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JP2022117560A - 樹脂組成物、樹脂シート、硬化物、中空構造体、及び電子部品 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂シート、硬化物、中空構造体、及び電子部品 Download PDF

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JP2022117560A
JP2022117560A JP2021014111A JP2021014111A JP2022117560A JP 2022117560 A JP2022117560 A JP 2022117560A JP 2021014111 A JP2021014111 A JP 2021014111A JP 2021014111 A JP2021014111 A JP 2021014111A JP 2022117560 A JP2022117560 A JP 2022117560A
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cured product
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悠太 小林
Yuta Kobayashi
悠基 桂田
Yuki Katsurada
友孝 河野
Tomotaka Kono
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】薄い屋根材であっても、幅広い加工温度領域における封止工程で屋根材の変形を抑制でき、且つ信頼性の高い絶縁膜を形成することができる樹脂組成物を提供すること。【解決手段】 (A)ポリマー及び(B)反応性モノマーを含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の硬化後の180℃における貯蔵弾性率をS180(GPa)、損失弾性率が最大となる温度をTE(℃)、ガラス転移温度をTG(℃)としたとき、S180>12、及び、TG-TE<16の関係を満たす、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、耐圧性に優れる絶縁膜を形成するのに適した樹脂組成物に関する。
樹脂組成物をシート状に成形した材料では、シート状である特徴を活かし電子部品中の構造形成に使用されており、特に感光性を付与した樹脂組成物は、フォトリソグラフィー技術によって微細加工が可能であることから、配線基板の絶縁膜として広く使用されている。電子部品の中空構造体形成のための屋根材への適用が進んでいる。近年では、中空構造体の屋根を形成する樹脂シートに対し、封止工程に耐える高い耐圧性が要求されている。耐圧性向上のために無機フィラーを添加し、弾性率を高める手法が提案されており、中でも特許文献1で提案された、樹脂組成物と屈折率を整合させたガラスフィラーを添加する技術は、フィラー添加による耐圧性向上に加え、露光に用いる光の散乱を抑制し、パターン加工性も両立できることが期待される。
特開2015-118194号公報
近年、市場では電子部品の低背化が求められるため、屋根材の薄膜化を要求されながらも、封止工程においては複雑な形状への封止樹脂の充填性を高めるために、各部材はより高い圧力に耐える必要がある。また、高い信頼性を有するために幅広い加工温度域で優れた耐圧性を有することが求められる。
そこで本発明は、薄い屋根材であっても、幅広い加工温度領域における封止工程で屋根材の変形を抑制(以降、封止工程で屋根材の変形を抑制できる性質のことを耐変形性と呼称する。)でき、且つ信頼性の高い絶縁膜を形成することができる樹脂組成物を提供する。
上記課題を解決するための本発明は、以下である。
(A)ポリマー及び(B)反応性モノマーを含む樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物の硬化後の180℃における貯蔵弾性率をS180(GPa)、損失弾性率が最大となる温度をT(℃)、ガラス転移温度をTG(℃)としたとき、S180>12、及び、T-T<16の関係を満たす、樹脂組成物。
本発明によれば、封止工程における幅広い加工温度領域での耐変形性を有し、且つ信頼性の高い絶縁膜を形成することができる。本発明の樹脂組成物は、高弾性率および高解像度を要求される基板用途や、さらに耐圧性も要求される中構造体を有する電子部品用途に好適に用いることができる。
本発明の中空構造体を形成するための凸部が形成された一態様を示した平面模式図である。 本発明の樹脂シートを用いて中空構造体を形成する方法の例を示した模式図である。 本発明の実施例における割断位置を示した平面模式図である。 本発明の実施例における耐変形性評価用積層体の構造を示した断面模式図である。
本発明の樹脂組成物は、
(A)ポリマー及び(B)反応性モノマーを含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の硬化後の180℃における貯蔵弾性率をS180(GPa)、損失弾性率が最大となる温度をT(℃)、ガラス転移温度をT(℃)としたとき、S180>12、及び、T-T<16の関係を満たす、樹脂組成物である。本発明の樹脂組成物は、感光性を有していることが加工性の観点から好ましい。

[(A)ポリマー]
本発明の樹脂組成物は、(A)ポリマーを含有する。ポリマーを含有することで、樹脂組成物の厚膜形成が容易となり、用途に応じた膜厚調整が容易となる。ポリマーの主骨格は特に限定されないが、(メタ)アクリルポリマー、エポキシポリマー、ポリウレタン、ポリベンゾオキサジン、ポリアミド酸、ポリイミドなどを用いることができる。
本発明の樹脂組成物は感光性を有していることが好ましい。また(A)ポリマーには、ポリアミド酸、ポリイミドが耐熱性、アルカリ可溶性の付与のしやすさから好ましく用いられ、パターン加工後の熱処理温度を下げられることからポリイミドであることが最も好ましい。この時(A)ポリマーは、現像液に溶解することが好ましく、特にアルカリ可溶性であることが好ましい。ここでいうアルカリ可溶性とは、2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液への溶解度が0.1g/100mL以上になることを指す。樹脂組成物の主成分である。
(A)ポリマーにアルカリ可溶性を付与する、つまり(A)ポリマーとしてアルカリ可溶性ポリマーを用いることで、樹脂組成物のアルカリ現像液への溶解が促進されて、良好なパターン形状を得ることができる。(A)ポリマーに対してアルカリ可溶性を付与する官能基、つまりアルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられるが、(A-1)アルカリ可溶性ポリマーは、アルカリ可溶性基としてフェノール性水酸基及びカルボキシル基のいずれか又は両方を有することが好ましい。
(A-1)アルカリ可溶性ポリマーについて、アルカリ可溶性ポリマーの中でも特に好適なアルカリ可溶性ポリイミドの例を以下に示す。(A-1)アルカリ可溶性ポリマーとしてポリイミドを用いる場合、アルカリ可溶性を有しさえすればその組成は特に限定されないものの、下記一般式(1)または(2)で表される一種以上のポリイミドを含有することが好ましい。
Figure 2022117560000001
(式中、Xはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有する1価の有機基を表し、Yはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有する2価の有機基を表す。また、Rは4~14価の有機基を表し、Rは2~12価の有機基を表し、RおよびRは、それぞれ独立にカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる少なくとも一つのアルカリ可溶性基を表す。また、αおよびβはそれぞれ独立に0~10の整数を表し、nは3~200の整数を表す。)
Xは、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有する1価の有機基であり、中でも、フェノール性水酸基またはチオール基を有する1価の有機基であることが好ましい。Yは、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有する2価の有機基であり、なかでもフェノール性水酸基またはチオール基を有する2価の有機基であることが好ましい。
nはポリマーの構造単位の繰り返し数を示している。nは3~200の範囲であり、好ましくは5~100である。nが3~200の範囲であれば、樹脂組成物を樹脂シートに加工する際、厚膜で使用することが可能になり、かつアルカリ現像液に対する十分な溶解性を付与し、パターン加工を行うことができる。
上記一般式(1)および(2)において、Rはテトラカルボン酸二無水物由来の構造成分を表す。なかでもRは、芳香族基または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5~40の有機基であることが好ましい。
テトラカルボン酸二無水物としては具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9-ビス{4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物や、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族のテトラカルボン酸二無水物、および下記に示した構造の酸二無水物などを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
Figure 2022117560000002
ここで、Rは酸素原子、C(CF、C(CHおよびSOより選ばれる基を、RおよびRは、それぞれ、水酸基およびチオール基より選ばれる基を表す。
上記一般式(1)および(2)において、Rはジアミン由来の構造成分を表しており、2~12価の有機基である。なかでも芳香族基または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5~40の有機基であることが好ましい。
ジアミンの具体的な例としては、ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ)ビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのヒドロキシル基含有ジアミン、ジメルカプトフェニレンジアミンなどのチオール基含有ジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’-ジアミノジフェニルスルヒド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、2,6-ナフタレンジアミン、ビス(4-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジ(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレンあるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンおよび下記に示した構造のジアミンなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
Figure 2022117560000003
ここで、Rは酸素原子、C(CF、C(CHおよびSOより選ばれる基を、R~R12はそれぞれ、水酸基およびチオール基より選ばれる基を表す。
これらのうち、ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ)ビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのヒドロキシル基含有ジアミン、ジメルカプトフェニレンジアミンなどのチオール基含有ジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’-ジアミノジフェニルスルヒド、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレンおよび下記に示した構造のジアミンなどが好ましい。
一般式(1)および(2)において、RおよびRは、それぞれ独立にカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる少なくとも一つのアルカリ可溶性基を表している。このRおよびRのアルカリ可溶性基の量を調整することで、ポリイミドのアルカリ水溶液に対する溶解速度が変化するので、適度な溶解速度を有したネガ型感光性を有する樹脂組成物を得ることができる。
さらに、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲でRにシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p-アミノ-フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1~10モル%共重合したものなどがあげられる。
一般式(1)において、Xは末端封止剤である1級モノアミンに由来する。末端封止剤として用いられる1級モノアミンとしては、5-アミノ-8-ヒドロキシキノリン、1-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-4-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-カルボキシ-7-アミノナフタレン、1-カルボキシ-6-アミノナフタレン、1-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-カルボキシ-7-アミノナフタレン、2-カルボキシ-6-アミノナフタレン、2-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-アミノ安息香酸、3-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸、4-アミノサリチル酸、5-アミノサリチル酸、6-アミノサリチル酸、2-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノベンゼンスルホン酸、4-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、2-アミノフェノール、3-アミノフェノール、4-アミノフェノール、2-アミノチオフェノール、3-アミノチオフェノール、4-アミノチオフェノールなどが好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
また、一般式(2)において、Yは末端封止剤であるジカルボン酸無水物に由来する。末端封止剤として用いられる酸無水物としては、4-カルボキシフタル酸無水物、3-ヒドロキシフタル酸無水物、シス-アコニット酸無水物などが好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
本発明に用いられるアルカリ可溶性ポリイミドは、一般式(1)または(2)で表される構造のみからなるものであっても良いし、アルカリ可溶性を有する他の構造との混合体であっても良い。その際、一般式(1)または(2)で表される構造のアルカリ可溶性ポリイミドを、アルカリ可溶性ポリイミド全体の重量に対して30重量%以上含有していることが好ましい。さらに、好ましくは60重量%以上である。30重量%以上であれば、熱硬化時の収縮を抑えることができ、厚膜作製に好適である。混合されるポリイミドの種類および量は、最終加熱処理によって得られるポリイミドの耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
アルカリ可溶性ポリイミドは、ジアミンの一部を末端封止剤であるモノアミンに置き換えて、または、テトラカルボン酸二無水物を、末端封止剤であるジカルボン酸無水物に置き換えて、公知の方法を利用して合成することができる。例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とモノアミンを反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸無水物とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミンとモノアミンと縮合剤の存在下で反応させる方法などの方法を利用して、ポリイミド前駆体を得る。その後、得られたポリイミド前駆体を、公知のイミド化反応法を用いて完全イミド化させる方法を利用してポリイミドを合成することができる。
また、アルカリ可溶性ポリイミドのイミド化率は、例えば、以下の方法で容易に求めることができる。ここで、イミド化率とは、前記のようにポリイミド前駆体を経てポリイミドを合成するにあたって、ポリイミド前駆体のうち、何モル%がポリイミドに転換しているかを意味する。まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定し、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm-1付近、1377cm-1付近)の存在を確認する。次に、そのポリマーについて、350℃で1時間熱処理した後、再度、赤外吸収スペクトルを測定し、熱処理前と熱処理後の1377cm-1付近のピーク強度を比較する。熱処理後のポリマーのイミド化率を100%として、熱処理前のポリマーのイミド化率を求める。ポリマーのイミド化率は90%以上であることが好ましい。
アルカリ可溶性ポリイミドに導入された末端封止剤は、以下の方法で検出できる。例えば、末端封止剤が導入されたポリイミドを、酸性溶液に溶解して、ポリイミドの構成単位であるアミン成分とカルボン酸無水物成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMRにより測定する。これとは別に、末端封止剤が導入されたポリイミドを直接、熱分解ガスクロクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトルおよび13CNMRスペクトルを用いて測定しても、検出可能である。
(A-1)アルカリ可溶性ポリマーの含有量は、樹脂組成物の固形分100重量%中、10~60重量%の範囲で含むことが好ましい。この範囲であることで、良好な現像性、解像性を得ることができる。ここでいう固形分とは、樹脂組成物を支持フィルムなどの基材上に塗工、乾燥し、樹脂組成物からなる層を形成した際に、基材上に残る成分、つまり基材上には残らない溶媒などを除いた成分、を指す。

[(B)反応性モノマー]
本発明の樹脂組成物は、(B)反応性モノマーを含有する。反応性モノマーとは、露光により生成したラジカルやカチオンなどの活性種、または硬化剤、硬化触媒により重合可能な化合物であり、(メタ)アクリル基を有するモノマーやグリシジル基を有するモノマーが用いられる。
(メタ)アクリル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル基を分子内に一つ、もしくは二つ以上有する化合物を用いることができ、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3-ジアクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、1,3-ジメタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルアクリレート、N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルメタクリレート、N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAメタクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、プロピレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用される。
グリシジル基を有するモノマーとしては、グリシジル基を分子内に一つまたは二つ以上有する化合物が用いることができ、例えばjER 828、jER1002、jER1750、jER152、jER157S70、jER YL980、jER630LSD(三菱化学(株)製)、アデカレジンEP-4100HF、アデカレジンEP-4901HF、アデカレジンEP-4000S、アデカレジンEP-4000L、アデカレジンEP-4003S、アデカレジンEP-4010S,アデカレジンEP-4010L、(ADEKA(株)製)、エピクロンHP7200、エピクロンHP4032、エピクロンN-865、エピクロンEXA-850CRP(以上DIC(株)製)、YD-825GS、YDCN-704(以上新日鉄化学(株)製)、EOCN-1020、NC3000(以上日本化薬(株)製)、LX-01(ダイソー(株)製)、などのエポキシ樹脂が挙げられ、これらを単独または2種以上の組み合わせで用いてもよい。
本発明の樹脂組成物における(B)反応性モノマーの含有量は、樹脂組成物の固形分100重量%中、5~40重量%の範囲で含むことが好ましい。この範囲であることで、良好な解像性を得ることができる。
反応性モノマーの官能基数は、2~6個であることが好ましく、2~4個であることが特に好ましい。この範囲であることで、モールド加工時の耐変形性が向上する。モノマーの分子量/官能基数で表される官能基当量は、少なくとも一つ以上の反応性モノマーの官能基当量が80~300であることが好ましく、90~160であることがより好ましい。この範囲にあることで、弾性率を向上できる。

[(C)光重合開始剤]
本発明の樹脂組成物に感光性を付与することで感光性樹脂組成物とする場合、(C)光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤は紫外線の照射によってラジカルを生成する光重合開始剤、酸を発生する光酸発生剤が挙げられ、それぞれ、(メタ)アクリル基を有するモノマーのラジカル重合、グリシジル基を有するモノマーのカチオン重合を促進することができる。ラジカルを生成する光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン類、グリシン類、メルカプト類、オキシム類、アシルフォスフィン類、α-アミノアルキルフェノン類などが挙げられ、中でもアシルフォスフィン類、オキシム類が好適に用いられる。光重合開始剤は1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4,-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3,4,4,-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、3,5-ビス(ジエチルアミノベンジリデン)-N-メチル-4-ピペリドン、3,5-ビス(ジエチルアミノベンジリデン)-N-エチル-4-ピペリドンなどのベンジリデン類、7-ジエチルアミノ-3-ノニルクマリン、4,6-ジメチル-3-エチルアミノクマリン、3,3-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)、7-ジエチルアミノ-3-(1-メチルメチルベンゾイミダゾリル)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-ジエチルアミノクマリンなどのクマリン類、2-t-ブチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノンなどのアントラキノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン類、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、エチレングリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)、2-メルカプトベンズチアゾール、2-メルカプトベンゾキサゾール、2-メルカプトベンズイミダゾールなどのメルカプト類、N-フェニルグリシン、N-メチル-N-フェニルグリシン、N-エチル-N-(p-クロロフェニル)グリシン、N-(4-シアノフェニル)グリシンなどのグリシン類、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、ビス(α-イソニトロソプロピオフェノンオキシム)イソフタル、1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(o-ベンゾイルオキシム)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム)などのオキシム類、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィン類、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オンなどのα-アミノアルキルフェノン類、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、などが挙げられる。
なかでも好ましいアシルフォスフィン類およびオキシム類の例としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、ビス(α-イソニトロソプロピオフェノンオキシム)イソフタル、1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、(株)ADEKA株式会社製のアデカアークルズ(登録商標)N-1919、NCI-831、NCI-930、BASF株式会社製OXE-01、OXE-02、OXE-04から選ばれた化合物である。
光酸発生剤の例としては、キノンジアジド類、ジアゾジスルホン類、トリフェニルスルホニウム類、ジフェニルヨードニウム類などが挙げられ、中でもキノンジアジド類が好適に用いられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の樹脂組成物は(C)光重合開始剤を含むことが好ましい。(C)光重合開始剤の含有量は、樹脂組成物の固形分100重量%中、0.05~5重量%の範囲で含むことが好ましい。この範囲であることで良好な解像性を得ることができる。 本発明の樹脂組成物は、露光前は現像液に容易に溶解するが、露光後は現像液に不溶になるネガ型のパターンを形成することができ、パターン形成後に熱処理を行うことで、信頼性の高い絶縁膜を得ることができる。

[(D)無機充填剤]
本発明の樹脂組成物は、(D)無機充填剤を含有する事が好ましい。(D)無機充填剤は特に限定されないが、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化ホウ素からなる群から選ばれる少なくとも二種を含有し、さらに(D)無機充填剤は希土類酸化物を含有することが好ましい。希土類酸化物を含有することで、後述する湿度によるガラス成分の溶出を防ぎ、かつ、屈折率を好適に調整することができる。(D)無機充填剤中に含まれる希土類酸化物は1種類でもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これら酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、および希土類酸化物は、混合物、固溶体あるいは複合酸化物として無機充填剤中に含まれることによって、湿度によるガラス成分の溶出を防ぐことができる。そして(D)無機充填剤は、湿度の影響により成分の溶出が起こる酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛の含有量が少ないことが好ましく、これらを含まないことがより好ましい。さらに(D)無機充填剤は、絶縁信頼性の観点から、アルカリ金属酸化物を含まないことがさらに好ましい。また、(D)無機充填剤は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化ホウ素のうち少なくとも二つ以上の酸化物への混じりやすさから、希土類酸化物のうち、酸化イットリウム、又は酸化ランタノイドが好ましく、さらには、(D)無機充填剤の屈折率の調整を緻密に行える観点から、酸化イットリウムを用いることがより好ましい。
前述のとおり、(D)無機充填剤は酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛の含有量が少ないことが好ましいため、(D)無機充填剤を121℃飽和水蒸気圧条件で24時間抽出処理をした抽出液から検出されるマグネシウムイオン、カルシウムイオン、及び亜鉛イオンの総量は、(D)無機充填剤中に100ppm(重量基準)以下であることが好ましい。なお、測定は後述する実施例に記載の方法によって行うことができる。
121℃飽和水蒸気圧条件で24時間抽出処理をした抽出液から検出されるマグネシウムイオン、カルシウムイオン、及び亜鉛イオンの総量を無機充填剤中に100ppm(重量基準)以下として、さらに405nmにおける屈折率が1.55~1.75となる(D)無機充填剤を得るために、(D)無機充填剤100重量%中、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化ホウ素からなる群から選ばれる少なくとも二つの合計の含有量が65~85%、希土類酸化物の合計の含有量が15~35重量%である無機充填剤とすることが好ましい。より好ましくは、(D)無機充填剤100重量%中、酸化ケイ素を40~50重量%、酸化アルミニウムを20~30重量%、酸化ホウ素を0~10重量%、希土類酸化物を15~35重量%含有する無機充填剤とすることである。無機充填剤中に含まれる希土類酸化物の含有量は、一般的に公知である無機元素の定量測定法で測定することが可能であり、SEM-EDX、TEM-EDX、ICP-MS、蛍光X線分析、X線回折、電子線回折などを組み合わせることで測定することができる。なお、SEM-EDXは走査電子顕微鏡―エネルギー分散型X線分光、TEM-EDXは透過電子顕微鏡―エネルギー分散型X線分光、ICP-MSは誘導結合プラズマ質量分析のことである。
本発明におけるガラスとは、2θ-θの粉末X線回折測定において、特定成分の結晶構造を現す鋭いピーク(半値幅2°以下)を持たないものを言う。
(D)無機充填剤の屈折率は、1.55~1.75であることが好ましい。無機充填剤の屈折率はVブロック法により測定でき、本発明においては波長405nmで測定した結果を屈折率とする。無機充填剤と樹脂組成物の有機成分の屈折率の差が大きい場合、界面での反射や散乱が起こるため、透明性が低下する。良好な解像性を得るために、(D)無機充填剤の屈折率と樹脂組成物から(D)無機充填剤を除いた有機成分(但し溶剤を含まない)の屈折率との差の絶対値は、0.05以下であることが好ましい。樹脂組成物の有機成分(但し溶剤を含まない)の屈折率は、主に(A)ポリマーの屈折率によるところが大きく、(A)ポリマーがポリイミドの場合、屈折率は1.55~1.75となる。樹脂組成物の有機成分(但し溶剤を含まない)の屈折率は、樹脂組成物の有機成分だけを調製して、塗布および乾燥工程後に、エリプソメトリー法によって、25℃における405nmの波長の光に関して測定を行うことで求めることができる。
(D)無機充填剤の平均粒子径は0.1~3.0μmであることが好ましく、0.1~2.0μmであることがより好ましい。平均粒子径が小さいほどパターン加工後の絶縁膜表面の平滑性をよくすることができる。本発明でいう無機充填剤の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を利用した粒度分布計(マイクロトラック粒度分析計 MODEL MT3000)を用いて測定した50%体積粒径の値である。測定は、試料1g程度をとり、精製水中で1~3分間40Wの出力の超音波で分散させて行う。無機充填剤の形状が球状でない場合は、レーザー回折散乱法で得られた平均粒子径は、体積相当球の直径を表すが、無機充填剤がいかなる形状であっても、平均粒子径は、上記範囲であることが好適である。(D)無機充填剤の形状としては、球状、針状、繊維状、無定形の粒状、板状、破砕状などが挙げられるが、特に限定されない。
本発明の樹脂組成物で用いられる(D)無機充填剤は、樹脂組成物の固形分100重量%中に、50重量%以上含むことが好ましく、60~80重量%含むことがより好ましい。この範囲であることにより、中空構造体の封止工程に耐えられる高弾性率の絶縁膜を得ることができる。
また、(D)無機充填剤を樹脂組成物中に分散させるため、必要に応じてシランカップリング剤による表面処理を行ってもよい。シランカップリング剤の具体例としては、信越化学工業のビニルトリメトキシシラン(KBM-1003)、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-503)、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-603)、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-603)などを用いることができる。無機充填剤の表面処理は、無機充填剤に対してシランカップリング剤、及び少量の水を添加し撹拌する乾式表面処理によって行うことができる。

[その他の成分]
本発明の樹脂組成物は、熱架橋剤を含有することが好ましい。熱架橋剤は、パターン加工後の加熱処理によって硬化する成分であり、これによって信頼性の高い絶縁膜を得ることができる。熱架橋剤としては、例えばグリシジル基を分子内に一つまたは二つ以上有する化合物を用いることができる。熱架橋剤の一つであるグリシジル基を分子内に一つまたは二つ以上有する化合物としては、例えばjER 828、jER1002、jER1750、jER152、jER157S70、jER YL980、jER630LSD(三菱化学(株)製)、アデカレジンEP-4100HF、アデカレジンEP-4901HF、アデカレジンEP-4000S、アデカレジンEP-4000L、アデカレジンEP-4003S、アデカレジンEP-4010S,アデカレジンEP-4010L、(ADEKA(株)製)、エピクロンHP7200、エピクロンHP4032、エピクロンN-865、エピクロンEXA-850CRP(以上DIC(株)製)、YD-825GS、YDCN-704(以上新日鉄化学(株)製)、EOCN-1020、NC3000(以上日本化薬(株)製)、LX-01(ダイソー(株)製)、などのエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂と硬化剤、硬化触媒の組み合わせによって熱架橋を行っても良く、アミン系、フェノール系、酸無水物系、チオール系、カルボン酸系、イミダゾール系等の一般的にエポキシ樹脂と組み合わせて用いられる化合物を用いることができるが、特に限定されない。また、熱架橋剤が(B)反応性モノマーとして機能しても良い。
ベンゾオキサジン化合物も熱架橋剤として好適に用いられ、熱架橋性基を少なくとも2つ含有するものが好ましい。熱架橋性基を2つ有するものとして、46DMOC、46DMOEP(以上商品名、旭有機材工業(株)製)、DML-MBPC、DML-MBOC、DML-OCHP、DML-PC、DML-PCHP、DML-PTBP、DML-34X、DML-EP、DML-POP、ジメチロール-BisOC-P、DML-PFP、DML-PSBP、DML-MTrisPC、DMOM-PTBP(以上商品名、本州化学工業(株)製)、“ニカラック”(登録商標)MX-290(商品名、(株)三和ケミカル製)、B-a型ベンゾオキサジン、B-m型ベンゾオキサジン(以上商品名、四国化成工業(株)製)、2,6-ジメトキシメチル-4-t-ブチルフェノール、2,6-ジメトキシメチル-p-クレゾール、2,6-ジアセトキシメチル-p-クレゾールなどが挙げられる。また熱架橋性基を3つ有するものとしてTriML-P、TriML-35XL(以上商品名、本州化学工業(株)製)など、熱架橋性基を4つ有するものとしてTM-BIP-A(商品名、旭有機材工業(株)製)、TML-BP、TML-HQ、TML-pp-BPF、TML-BPA、TMOM-BP(以上商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX-280、ニカラックMX-270(以上商品名、(株)三和ケミカル製)など、熱架橋性基を6つ有するものとしてHML-TPPHBA、HML-TPHAP、HMOM-TPPHBA、HMOM-TPHAP(以上商品名、本州化学工業(株)製)などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物における熱架橋剤の含有量は、樹脂組成物の固形分100重量%中、25~25重量%の範囲で含むことが好ましい。この範囲であることで、熱処理後の絶縁膜の高い信頼性を得ることができる。また、本発明の樹脂組成物における熱架橋剤は官能基数を4以上とすることが好ましく、これにより貯蔵弾性率を向上することができる。
また、本発明の樹脂組成物は、重合禁止剤をさらに含有することもできる。重合禁止剤を含有することで、励起子の濃度が調節されるため、断面形状が矩形状のパターンを形成することができる。また、重合禁止剤により過度な光応答性の抑制が可能であり、露光マージンを広くすることができる。
重合禁止剤の例としては、例えば、ハイドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、t-ブチルカテコールなどのフェノール系重合禁止剤、フェノチアジン、2-メトキシフェノチアジン、1-ナフトール、1,4-ジヒドロキシナフタレン、4-メトキシ-1-ナフトール、1-メトキシナフタレン、1,4-ジメトキシナフタレン、2,6-ジメトキシナフタレン、2,7-ジメトキシナフタレン、1,4-ジエトキシナフタレン、2,6-ジエトキシナフタレン、2,7-ジエトキシナフタレン、2,6-ジブトキシナフタレン、2-エチル-1,4-ジエトキシナフタレン、1,4-ジブトキシナフタレン、1,4-ジフェネチルオキシナフタレン、1,4-ナフトキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、9-ブトキシアントラセン、9,10-ブトキシアントラセン、9-アントロン、9,10-アントラキノン、2-エチル-9,10-アントラキノンなどが挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用される。
本発明の樹脂組成物は必要に応じて、増感剤、密着改良剤、着色剤、分散剤などを含有してもよい。

[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物の硬化後の180℃における貯蔵弾性率をS180(GPa)、損失弾性率が最大となる温度をT(℃)、ガラス転移温度をTG(℃)としたとき、S180>12、及び、T-T<16の関係を満たすことが重要である。貯蔵弾性率S180は、12より大きければ特に限定されないが、より好ましくは14以上である。また貯蔵弾性率S180の上限は特に限定されないが、30以下であることが好ましい。T-Tの値は、16より小さければ特に限定されないが、より好ましくは14以下であることがより好ましい。またT-Tの下限は特に限定されないが、5以上であることが好ましい。
前記(B)反応性モノマーが、2官能モノマー、3官能モノマー、及び4官能モノマーからなる群より選ばれる少なくとも2つのモノマーを含有することで、T-Tの値を16より小さくすることができる。そのため(B)反応性モノマーは、2官能モノマー、3官能モノマー、及び4官能モノマーからなる群より選ばれる少なくとも2つのモノマーを含有することが好ましい。またこのように、官能基数が異なる反応性モノマーを組み合わせる際には、官能基数が最も少ない反応性モノマーの重量は、反応性モノマー全体の重量を100重量%としたときに20~60重量%であると、解像性が向上するため好ましい。

また本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物の硬化後の損失弾性率の最大値をEMAX(GPa)、180℃における損失弾性率をE180(GPa)としたとき、EMAX/E180>2.5の関係を満たすことが好ましい。EMAX/E180は、2.7以上であることがより好ましい。またEMAX/E180の上限は特に限定されないが、4.0以下であることが好ましい。(A)ポリマーと(B)反応性モノマーの相溶性を高めることによってEMAX/E180>2.5の関係を満たすことができるが、(A)ポリマーと(B)反応性モノマーの相溶性を高める手法としては、Fedors法によって求められるSP値が11.0以上である(B)反応性モノマーを少なくとも1種以上含むことで、解像性の劣化無くEMAX/E180>2.5の関係を満たすことができるため好ましい。
樹脂組成物の硬化物の貯蔵弾性率と損失弾性率は、以下の方法により測定することができる。
後述の方法によって得た樹脂シートから保護フィルムを剥離し、樹脂層を銅箔上に80℃に加温したロールラミネーターで貼り合わせる。必要に応じて樹脂層は積層しても良い。次いで支持フィルム面から樹脂層を露光した後、支持フィルムを剥離し、熱硬化を行う。樹脂層と銅箔の積層体に対し酸を用いて銅箔を除去することで樹脂層の硬化物の単体膜を得る。前記単体膜を幅5cmに加工し、長さ20mmのチャックに把持して40℃から350℃の範囲で昇温速度2℃/分の条件で動的弾性率の測定を行う。
樹脂組成物の硬化物の封止工程における変形を抑制するためには、180℃における貯蔵弾性率(S180)が12GPa以上であることが重要である。複素弾性率の粘性項の割合を示す損失弾性率を温度に対して測定すると、樹脂組成物のガラス転移温度T(℃)に近づくにつれ急激に増加して、特定の温度Tで損失弾性率が最大値を有する(なお、損失弾性率が最大となる温度をT(℃)という)。このため、広い温度範囲で均一な耐変形性を持たせるためにはTとTが近いことが好ましく、T-T<16の関係を満たすことが好ましい。
また、特に封止工程で一般的に用いられる180℃において、損失弾性率が低く抑えられているかという観点では、樹脂組成物の硬化物の損失弾性率の最大値をEMAX(GPa)、180℃における損失弾性率をE180(GPa)としたとき、EMAX/E180を計算することで評価でき、EMAX/E180>2.5の関係を満たすことが好ましい。

[樹脂組成物の製造方法、樹脂シート]
次に本発明の樹脂組成物の製造方法の例を示す。本発明の樹脂組成物の第一の形態は、各種原料を溶剤に溶解、希釈したワニス材料である。溶解する方法としては、超音波、羽根撹拌、ボールミルなどが挙げられ、必要に応じてフィルターろ過を行ってもよい。濾過方法は特に限定されないが、保留粒子径1μm~50μmのフィルターを用いて加圧濾過により濾過する方法が好ましい。希釈する溶剤としては特に限定されないが、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノ-ル、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、その他、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトンなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物の第二の形態は、本発明の樹脂組成物を支持するフィルム(支持フィルムともいう)上に塗工、乾燥し、樹脂組成物からなる層を支持フィルム上に形成した樹脂シートである。つまり本発明の樹脂シートは、本発明の樹脂組成物からなる層および支持フィルムを有するシートである。
本発明の樹脂シートで用いられる支持フィルムは特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなど、通常市販されている各種のフィルムが使用可能である。支持フィルムと本発明の樹脂組成物からなる層との接合面には、密着性と剥離性を向上させるために、シリコーン、シランカップリング剤、アルミキレート剤、ポリ尿素などの表面処理を施してもよい。支持フィルムの厚みは特に限定されないが、作業性の観点から、10~100μmの範囲であることが好ましい。本発明の樹脂組成物からなる層に露光を行う際、支持フィルムを介して露光できるため、支持フィルムのヘイズは0.1%以上2.0%以下であることが好ましく、さらには、0.1%以上1.5%以下であることが好ましい。ヘイズが2.0%より大きいと露光光の散乱が発生するため、解像性が悪化する。
ヘイズとは、支持フィルムの透過率を示す指標であり、波長405nmにおけるヘイズ:HAZE405は、分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、U-3900型分光光度計)により支持フィルムの透過率を測定し、以下の式に代入することで求めることができる。
HAZE405=T2-T1
T1は分光光度計に積分球を装着せずに測定した波長405nmにおける透過率、T2は分光光度計に積分球を装着して測定した波長405nmにおける透過率を示し、HAZE405が小さいほど、光の散乱成分が小さく、支持フィルム内の光の直進性が良いことを表している。
支持フィルムの酸素透過率は、10~400cc/mであることが好ましい。支持フィルムの酸素透過率がこの範囲であれば、露光した後、空気中に含まれる酸素が樹脂組成物に接触することを抑制することができ、すなわち樹脂組成物の酸素結合反応を抑制することができ、良好なパターン形状を得ることができる。酸素透過率は、JIS-K7126「プラスチック・フィルム及びシート・ガス透過度試験法」によって測定することができる。
また、樹脂シートを保護するために、樹脂組成物からなる層及び支持フィルムから構成される樹脂シートにおける前記層の側に、保護フィルムを有してもよい。これにより、大気中のゴミやチリ等の汚染物質から樹脂シートの樹脂組成物からなる層の表面を保護することができる。保護フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエステルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム等が挙げられる。保護フィルムは、樹脂組成物からなる層と保護フィルムが容易に剥離しない程度となるものが好ましい。
樹脂組成物を支持フィルムに塗布する方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が、3.0μm以上100μm以下であることが好ましい。
本発明の樹脂シートは、樹脂組成物からなる層の厚さが、10~50μmであることが好ましい。特に本発明の硬化物を電子部品の中空構造体の屋根材として用いる場合には、電子部品の低背化の観点から本発明の樹脂シート中の樹脂組成物からなる層の厚さは50μm以下が好ましく、耐圧性の観点から10μm以上が好ましい。乾燥には、オーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。乾燥温度および乾燥時間は、有機溶媒を揮発させることが可能な範囲であればよく、樹脂シートが未硬化または半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、40℃から120℃の範囲で1分から数十分行うことが好ましい。また、これらの温度を組み合わせて段階的に昇温してもよく、例えば、50℃、60℃、70℃で各1分ずつ熱処理してもよい。
本発明の樹脂組成物の80℃における溶融粘度は、10,000~100,000Pa・sが好ましい。溶融粘度が100,000Pa・sより高い場合、樹脂組成物からなる層の接着性が不足し、被着体への貼り合わせ不良の原因となる。また、溶融粘度が100,000Pa・s以下であれば貼り合わせ温度を低温化できるためより好ましい。ラミネート加工時に樹脂組成物が溶融して変形してしまうため溶融粘度が10,000Pa・s以上であることが好ましい。
樹脂シート中の樹脂組成物からなる層(以下、樹脂組成物からなる層を、樹脂層という)の溶融粘度は、以下の方法により測定することができる。樹脂シートから保護フィルムを剥離し、樹脂層同士を80℃に加温したロールラミネーターで貼り合わせる。積層物のうち片面の支持フィルムを剥離し、再び樹脂層同士を貼り合わせる。これを繰り返し、厚み200~800μmの樹脂層の積層物を得る。この積層物の両面の支持フィルムを剥離し、粘弾性測定装置の直径15mmのプローブにはさみ、40℃から100℃の範囲で昇温速度2℃/分で測定を行い、80℃における複素粘度を溶融粘度とする。

[硬化物]
本発明の硬化物は、本発明の樹脂組成物を硬化させた硬化物からなる。本発明の硬化物は、本発明の樹脂組成物を光硬化又は熱硬化させることによって得ることができる。
硬化物の水蒸気透過率は、硬化物の厚さ20μmとしたときに、50~200g/(m・日)の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、樹脂組成物の硬化物を適用した電子部品の、信頼性試験における水蒸気の影響を小さくすることができ、信頼性試験における特性劣化を抑制することができる。

[中空構造体]
本発明の中空構造体は、本発明の樹脂組成物の硬化物を屋根材として有する中空構造体である。ここでいう中空構造体とは、基板、前記基板上に形成された基板の表面の一部を囲むように設けられた凸部、及び前記凸部の頂部に接する膜状物によって閉じた空間(以下、中空部という)が形成された構造体のことをいう。中空構造体の基板に形成された凸部のことを、壁や壁材と呼ぶことがある。また、前記凸部の頂部に接するよう設けられた膜状物を、屋根や屋根材と呼ぶことがある。
中空構造体の凸部は、基板上に樹脂材料の印刷や材料のフォトリソ加工で形成されてもよく、基板をドライエッチングなどの手法で削ることで凹みを形成し相対的に凸部が形成されてもよい。凸部が材料で形成された場合は、信頼性の観点からポリイミドを含むことが好ましい。
中空構造体の凸部の幅は、中空構造体に強度を持たせる観点から15μm以上が好ましく、中空構造体を小型化する観点から300μm以下が好ましい。高さは特に限定されないが、中空構造体の低背化の観点から30μm以下が好ましく、中空構造体の中空を維持する観点から5μm以上が好ましい。中空部中の基板の面積は、0.01~1.0mmの範囲であることが好ましい。この範囲より小さいと中空部に内部電極を配置するのが難しくなり、この範囲より大きいと樹脂シートの自重によって樹脂シートと基板が接地する懸念がある。凸部で囲まれた内側には独立した凸部、外壁と連続した凸部を有していてもよい。なお中空部中の基板の面積は、基板の凸部で囲まれた内側の面積であり、測長のできる顕微鏡で測定することができる。また、基板の凸部の幅とは、基板を囲む凸部(外壁としての凸部)の内壁面と外壁面の距離(図1のx)であり、測長のできる顕微鏡で測定することができる。
本発明の樹脂シートを用いて中空構造体を形成する方法は、以下の工程を有する。
工程1:基板上に凸部を形成する工程、
工程2:樹脂シートの樹脂層側を、基板の凸部上に貼り合わせる工程、
工程3:支持フィルムを介して樹脂層を露光する工程、
工程4:支持フィルムを剥離する工程、
工程5:樹脂層を現像する工程、
工程6:樹脂層を熱硬化して硬化物とする工程。
各工程について、図1および図2を用いて詳細に説明する。
まず、上述のように、基板上に樹脂材料の印刷や材料のフォトリソ加工によって凸部が形成される方法や、基板をドライエッチングなどの手法で削ることで凹みを形成し相対的に凸部が形成される方法等により基板上に凸部を形成する。
次いで、樹脂シートの樹脂層側を、基板の凸部上に貼り合わせる。
樹脂シートから保護フィルムを剥離し、樹脂組成物からなる層4を凸部2が形成された基板1に対向するように配置し、ロールラミネーターにて支持フィルム3の側からロールを当て貼り合わせる(図2(b))。貼り合わせ温度や圧力は基板に形成された凸部の形状などによるが、50~80℃、0.05~0.3MPaが好適である。
続いて、波長405nmの紫外線を含む光を発する超高圧水銀灯、LED、レーザーなどを光源とした露光機にて、凸部2を覆うパターンが形成できるフォトマスクを介して露光を行う。樹脂組成物からなる層4は、露光により所望のパターンが光硬化した層5となる(図2(c))。なお、露光後に、オーブンまたはホットプレートを用いて、40℃以上150℃以下の温度で、5秒以上60分以下での加熱処理を施してもよい。
続いて、支持フィルム3を剥離する(図2(d))。支持フィルムは、露光直後に剥離してもよいし、露光後の加熱処理後に剥離してもよい。続いて現像を行う(図2(e))。現像液を用いて未露光部を除去し、リンス処理行った後、スピン乾燥を行う。現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液や、炭酸ナトリウム水溶液などのアルカリ現像液、シクロヘキサノンやプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)などの現像液が挙げられ、樹脂層の溶解性によって適宜選択することができる。アルカリ水溶液を用いる場合は、現像が完了した後、純水によるリンスを行うことが好ましい。現像液の温度、現像時間についてはパターン形状などにより適宜設定されるが、それぞれ20~30℃、30秒~10分が好適である。
さらに、熱処理を行い、樹脂組成物を完全に硬化させ、樹脂組成物の硬化物6を有する中空構造体を得る(図2(f))。熱硬化によって樹脂組成物を完全に硬化させることにより、耐熱性、耐薬性を向上させることができる。
これら特性を向上させられる加熱温度としては150℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。また、樹脂層の熱分解が起きると特性が低下することから、加熱温度は350℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましい。

[電子部品]
本発明の中空構造体は、中空構造体を有する電子部品に用いられる。中空構造体を有する電子部品としては、弾性波フィルターが挙げられる。本発明の中空構造体を有する電子部品は弾性波フィルターである。
また、本発明の硬化物は、解像性に優れ、且つ信頼性の高い絶縁膜を形成できることから、弾性波フィルター以外の電子部品にも好適に用いることができる。つまり本発明の電子部品は、本発明の硬化物を含む電子部品である。
硬化物の用途は特に限定されないが、例えば、実装基板やウェハレベルパッケージなどの半導体を用いるシステム用の基板やパッケージに内蔵する表面保護膜、層間絶縁膜、回路基板の配線保護絶縁膜などのレジスト、多種の電子部品、装置への適用が可能である。また、その優れた耐熱性から、特に永久レジスト、すなわち、パターン形成された層間絶縁膜や、パターン形成後の基板、ガラス、半導体素子等と被着体とを熱圧着する接着剤用途に好適に用いることができる。
<樹脂シートの厚み>
樹脂シートの厚みは、樹脂組成物を支持フィルム上に塗布し、乾燥した後、接触式の膜厚計である(株)Nikon製デジマイクロMH-15Mを用い、測定した。
<解像性評価>
各実施例および各比較例により得られた樹脂シートの保護フィルムを剥離し、樹脂組成物からなる層がシリコンウエハに向くように配置し、80℃、0.3MPaの条件で4インチのシリコンウエハ上にロールラミネートした。
得られた支持フィルムと樹脂組成物からなる層に、ビアの径が5、10、15、と5μm刻みで100μmまでのビアパターンが20個配置されたフォトマスクを載せ、超高圧水銀灯を光源とした露光機にて露光量400mJ/cm(i線カットフィルター使用、h線換算)で露光を行った。露光後、支持体フィルムを剥離し、100℃のホットプレートで5分間加熱した。
次に、現像工程として、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38重量%水溶液を用いて、480秒間のシャワー現像により未露光部を除去し、水にてリンス処理を60秒間行い、その後、スピン乾燥を行った。さらに、イナートオーブンにて270℃、60分の熱処理を行い、シリコンウエハ上にビアパターンが加工された硬化物をシリコンウエハ上に形成した。
50μm以下のビアが開口したものをA、55μm~60μmのビアが開口したものをB、65~μmのビアが開口したものをCと判定した。
<貯蔵弾性率、損失弾性率及びガラス転移温度の評価>
(1)シリコンウエハの代わりに銅箔を使用したこと、(2)フォトマスクを使用せずに樹脂組成物を全面露光したこと、(3)現像工程を実施しないこと、の3点を除いては、上述した解像性評価の場合と同様の方法に沿って処理を行い、これにより、銅箔と樹脂組成物の硬化物の積層体を作製した。
得られた銅箔と樹脂組成物の硬化物の積層体を塩化第二鉄水溶液に浸して銅箔を完全に除去することで単膜を作製した。
この単膜を5mm×40mm に片刃で切り取り、動的粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、DMS6100)により180℃における弾性率を測定した。
なお、この測定は、試験モード:引張り、試験温度:室温(23℃)~350℃、昇温速度:5℃/min、試験周波数:1Hz、チャック間距離:10mm、サンプル幅:5mmの条件にて実施した。得られた値から180℃の貯蔵弾性率S180(GPa)、ガラス転移温度T(℃)、損失弾性率が最大となる温度T(℃)、損失弾性率の最大値EMAX(GPa)、180℃の損失弾性率E180(GPa)を読み取り評価結果とした。
<耐変形性評価>
フォトマスクを次のパターンに変更した以外は、上述した解像性評価の場合と同様の方法に沿って処理を行い、中空構造体を形成するための凸部を得た。この時用いたフォトマスクは幅300μm、長さ800μmの長方形の開口部が、それぞれ隣接する開口部感が300μmとなるように繰り返し配置された凸部を形成するためのパターンである。前記凸部はいずれの実施例及び比較例においても実施例1の樹脂シートを用いて作製した。次に、前記凸部上に各実施例および各比較例により得られた樹脂シートの保護フィルムを剥離し、樹脂組成物からなる層がシリコンウエハに向くように配置し、80℃、0.1MPaの条件でロールラミネートした後、超高圧水銀灯を光源とした露光機にて露光量1200mJ/cm(i線カットフィルター使用、h線換算)で露光を行った。この時ラミネートされた樹脂シート及びその硬化物を以降では屋根材と呼称する。その後、イナートオーブンにて270℃、60分の熱処理を行い、中空構造が形成されたシリコンウエハを得た。
前記中空構造が形成されたシリコンウエハの屋根材上にエポキシ樹脂含浸テープNo.5110(株式会社寺岡製作所)を樹脂含浸面が下になるように配置し、真空ダイヤフラムラミネーターMVLP-500/600(株式会社日本製鋼所)を用いて180℃、1.0MPa、600秒の条件で押圧し、耐変形性評価用積層体を得た。前記耐変形性評価用積層体を割断し、中空構造の開口部のうち800μmの辺の中央を結ぶ断面を観察し、屋根材の変形量を観察した。前記屋根材の変形量とは、屋根材のシリコンウエハに対向する面のうち、シリコンウエハ対して垂直なシリコンウエハとの距離の最小値と、前記凸部の高さの差である。前記変形量が10μm以下のものをA、前記変形量が10μmより大きく13μm以下のものをB、前記変形量が13μmより大きいものをCとした。
<溶融粘度>
樹脂組成物の溶融粘度は、次の方法により測定した。
樹脂シートから保護フィルムを剥離し、樹脂組成物からなる層同士を80℃に加温したロールラミネーターで貼り合わせる。積層物のうち片面の支持フィルムを剥離し、再び樹脂層同士を貼り合わせる。これを繰り返し、厚み200~800μmの樹脂層の積層物を得る。この積層物の両面の支持フィルムを剥離し、粘弾性測定装置(TAインスツルメンツ製、AR-G2)の直径15mmのプローブにはさみ、40℃から100℃の範囲で昇温速度2℃/分で測定を行い、80℃における複素粘度を溶融粘度とした。
このようにして求めた80℃における溶融粘度が20,000~50,000Pa・sのものをA、10,000~100,000Pa・sの範囲であって、前記Aに含まれないものをB、それ以外をCとした。
以下に実施例及び比較例を示して具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<(A)ポリマー>
ポリイミド1:
以下の方法により合成したアルカリ可溶性ポリイミドを用いた。
乾燥窒素気流下、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(32.78g(0.0895モル))と、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(1.24g(0.005モル))とを、N-メチル-2-ピロリドン(100g)に溶解させた。以下、「N-メチル-2-ピロリドン」は、「NMP」と称する。この溶液に、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(31.02g(0.10モル))をNMP(30g)とともに加えて、20℃で1時間撹拌し、次いで50℃で4時間撹拌した。この攪拌後の溶液に、3-アミノフェノール(1.09g(0.01モル))を加え、50℃で2時間撹拌した後、180℃で5時間撹拌して樹脂溶液を得た。次に、この樹脂溶液を水(3L)に投入して、白色沈殿を生成させた。この白色沈殿を、濾過で集めて水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。得られたポリイミドのイミド化率は、94%であった。また、23℃のテトラメチルアンモニウム水溶液(2.38質量%)に対するポリイミドA1の溶解度は、0.5g/100g以上であった。
<(B)反応性モノマー>
BP-6EM(共栄社化学株式会社)
DPE-6A(共栄社化学株式会社)
M-306(東亞合成株式会社)
M-450(東亞合成株式会社)
DCP-A(共栄社化学株式会社)
BATG(昭和電工株式会社)
jER1032H60(三菱ケミカル株式会社)
jERYL980(三菱ケミカル株式会社)
<(C)光重合開始剤>
OXE-04(BASF株式会社)
<(D)無機充填剤>
ガラスフィラー1
酸化ケイ素(以下、SiOとも記す)を45重量%、酸化アルミニウム(以下、Alとも記す)を25重量%、酸化ホウ素(以下、Bとも記す)を4重量%、酸化イットリウム(以下、Yとも記す)を26重量%含有するガラスフィラー。屈折率(波長405nm):1.61、平均粒子径1.2μm、抽出イオン量(マグネシウムイオン、カルシウムイオン、及び亜鉛イオンの総量)7ppm(重量基準)。
<熱架橋剤、及び硬化剤、硬化触媒>
HMOM-TPHAP(本州化学工業株式会社)
c17z(四国化成工業株式会社)
トリフェニルホスフィン(富士フィルム和光純薬株式会社)
H-1(明和化成株式会社)
<重合禁止剤>
フェノチアジン(東京化成工業株式会社)
<密着改良剤>
KBM-403(信越化学工業株式会社)
<希釈溶剤>
γブチロラクトン(三菱化学株式会社)
<樹脂組成物の調合及び樹脂シートの作製>
以下に一例として実施例1の樹脂組成物の調合を示す。
(A)ポリマーとして、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂溶液(50g)、(B)反応性モノマーとしてM450(21g)、DCP-A(7g)、(C)光重合開始剤として OXE-04(2g)、(D)無機充填剤としてガラスフィラー1(214g)、熱架橋剤としてHMOM-TPHAP(43g(固形分として9g))、重合禁止剤としてフェノチアジン(0.01g)、密着改良剤としてKBM-403(3g)、希釈溶剤としてγブチロラクトン(130g)を添加し、120分間室温にて攪拌し樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を、コンマロールコーターを用いて、支持フィルム(厚さ50μmのPETフィルム)上に塗布し、65℃で5分間乾燥を行った後、保護フィルムとして、厚さ50μmのPPフィルムをラミネートし、厚みが25μmの樹脂シートを得た。得られた樹脂シートを前述の方法により評価し、実施例1の評価結果を表1に示した。
<実施例2~10、比較例1~5>
本発明の実施例2~10および本発明に対する比較例1~5では、上述した実施例1における組成を表1に示す組成に変更したこと以外は実施例1と同様の方法に沿って処理を行い、これにより、樹脂シートを作製した。得られた樹脂組シートを用いて、前述の方法により評価し、実施例2~10、比較例1~5の評価結果は表1に示した。
Figure 2022117560000004
Figure 2022117560000005
Figure 2022117560000006
表1に示すように、S180(GPa)>12、かつT-T<16の関係を満たす、実施例1~10では耐変形性が良好であった。
パターン加工性および耐圧性に優れ、且つ信頼性の高い絶縁膜を形成することができる。本発明の感光性樹脂組成物から得られる絶縁膜は、電気特性、機械特性および耐熱性に優れ、高い湿熱信頼性を有することから半導体素子や電子部品の表面保護膜や層間絶縁膜、回路基板の配線保護絶縁膜などの用途に有用である。さらに耐圧性を要求される中空構造体を有する電子部品、特に、弾性波フィルターや水晶デバイスなどの中空構造体の屋根用途に有用である。
1:基板
2:凸部
3:支持フィルム
4:樹脂組成物からなる層
5:光硬化した層
6:硬化物
7:変形量を測定するための割断位置
8:エポキシ含浸テープ
x:凸部の幅
y1:中空構造の開口部の幅
y2:中空構造の開口部の長さ
z1:凸部の高さ
z2:変形量

Claims (12)

  1. (A)ポリマー及び(B)反応性モノマーを含む樹脂組成物であって、
    前記樹脂組成物の硬化後の180℃における貯蔵弾性率をS180(GPa)、損失弾性率が最大となる温度をT(℃)、ガラス転移温度をTG(℃)としたとき、S180>12、及び、T-T<16の関係を満たす、樹脂組成物。
  2. 前記樹脂組成物の硬化後の損失弾性率の最大値をEMAX(GPa)、180℃における損失弾性率をE180(GPa)としたとき、EMAX/E180>2.5の関係を満たす、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(B)反応性モノマーが、2官能モノマー、3官能モノマー、及び4官能モノマーからなる群より選ばれる少なくとも2つのモノマーを含有する、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(A)ポリマーは、アルカリ可溶性ポリイミドである、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. (C)光重合開始剤を含む、請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. (D)無機充填剤を含む、請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記樹脂組成物の固形分100重量%中に、(D)無機充填剤を50重量%以上含む、請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 80℃における溶融粘度が10,000Pa・s以上100,000Pa・s以下である、請求項1~7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層及びそれを支持するフィルム(以下、支持フィルムという)を少なくとも有する、樹脂シート。
  10. 請求項1~8のいずれかに記載の樹脂組成物を硬化させた硬化物。
  11. 基板、前記基板上に形成された前記基板の表面の一部を囲むように設けられた凸部、及び前記凸部の頂部に接する膜状物(以下、屋根材という)を有し、
    前記基板、前記凸部、及び前記屋根材によって閉じた空間(以下、中空部という)が形成され、
    前記屋根材が、請求項10に記載の硬化物を含む、中空構造体。
  12. 請求項10に記載の硬化物を含む、電子部品。
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