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JP2022101196A - 劣化推定装置、劣化推定方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

劣化推定装置、劣化推定方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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JP2022101196A JP2020215630A JP2020215630A JP2022101196A JP 2022101196 A JP2022101196 A JP 2022101196A JP 2020215630 A JP2020215630 A JP 2020215630A JP 2020215630 A JP2020215630 A JP 2020215630A JP 2022101196 A JP2022101196 A JP 2022101196A
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Abstract

【課題】停止時に蓄電素子の劣化を推定することが可能な劣化推定装置、劣化推定方法、及びコンピュータプログラムを提供する。【解決手段】劣化推定装置4は、蓄電素子3の使用停止時の第1SOCを導出する第1導出部41と、停止期間中の温度情報を取得する取得部41と、蓄電素子3の使用再開前の第2SOCを導出する第2導出部41と、前記第1SOC、前記第2SOC、前記温度情報、及び前記停止期間に基づいて、自己放電率を導出する第3導出部41と、導出した自己放電率に基づいて、蓄電素子3の劣化の度合を推定する推定部41とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、蓄電素子の停止時の劣化を推定する劣化推定装置、劣化推定方法、及びコンピュータプログラムに関する。
電気エネルギーを蓄積し、必要な時に動力源としてエネルギーを供給できる蓄電素子が利用されている。蓄電素子は、携帯機器、電源装置、自動車や鉄道を含む輸送機器、航空・宇宙・建設用を含む産業用機器等に適用されている。
リチウムイオン二次電池等の蓄電素子(以下、電池という)は、充放電が繰り返されることで徐々に劣化する。
電池の使用可否、使用方法を決定する上で、電池のSOH(State of Health:容量維持率等)を容易に、かつ正確に推定することは重要な課題である。
一例として、抵抗の増加と、劣化度合との関係を求めておき、該関係に基づいてSOHを推定する。特許文献1には、電池の温度、並びに電流及び電圧から算出された内部抵抗に基づいて電池の充電状態を算出する二次電池システムの発明が開示されている。
特開2019-124612号公報
電池が自動車に備えられる場合、上述の技術は、走行中(電池の使用時)の情報を統計的に処理して劣化を検知するため、停止中(電池の不使用時)の劣化を検知することができない。自動車以外の用途においても、同様に電池の停止中に劣化を検知することができない。
本発明の目的は、停止時に蓄電素子の劣化を推定することが可能な劣化推定装置、劣化推定方法、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
本発明の一態様に係る劣化推定装置は、蓄電素子の使用停止時の第1SOCを導出する第1導出部と、停止期間中の温度情報を取得する取得部と、前記蓄電素子の使用再開前の第2SOCを導出する第2導出部と、前記第1SOC、前記第2SOC、前記温度情報、及び前記停止期間に基づいて、自己放電率を導出する第3導出部と、導出した前記自己放電率に基づいて、蓄電素子の劣化の度合を推定する推定部とを備える。
本発明の一態様に係る劣化推定方法は、蓄電素子の使用停止時の第1SOCを導出し、停止期間中の温度情報を取得し、前記蓄電素子の使用再開前の第2SOCを導出し、前記第1SOC、前記第2SOC、前記温度情報、及び前記停止期間に基づいて、自己放電率を導出し、導出した自己放電率に基づいて、蓄電素子の劣化の度合を推定する。
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、蓄電素子の使用停止時の第1SOCを導出し、停止期間中の温度情報を取得し、前記蓄電素子の使用再開前の第2SOCを導出し、前記第1SOC、前記第2SOC、前記温度情報、及び前回停止期間に基づいて、自己放電率を導出し、導出した自己放電率に基づいて、蓄電素子の劣化の度合を推定する処理をコンピュータに実行させる。
本発明においては、蓄電素子の停止期間の劣化の度合を精度良く推定することができる。
蓄電素子の停止期間と自己放電率との関係を示すグラフである。 実施形態1に係る充放電システム及びサーバの構成を示すブロック図である。 SOCと係数kとの関係を示すグラフである。 温度25℃における3 √tとΔVとの関係を示すグラフである。 1000/Tとlnkとの関係を示すグラフである。 SOC65%における3 √tとΔVとの関係を示すグラフである。 電池モジュールの斜視図である。 制御部による容量維持率の導出処理の手順を示すフローチャートである。 自己放電率と、容量維持率との第5関係を示すグラフの一例である。 実施形態2に係る制御部の容量維持率の導出処理の手順を示すフローチャートである。
(実施形態の概要)
本発明者等は、蓄電素子の停止期間における、単位期間当たりのΔSOC(自己放電率)が、経過時間が長くなるのに従い、即ち劣化が進行するのに従い、小さくなり、かつΔSOCの減少量が漸減することを見出した。
図1は、蓄電素子の停止期間と自己放電率との関係を示すグラフである。図1の横軸は停止期間(日)、縦軸は自己放電率(%)である。図1においては、蓄電素子の温度が45℃であり、停止時のSOC1 (第1SOC)が85%であり、停止期間が30日である場合の自己放電率(30日当たりのΔSOC)をプロットしている。図1に示すように、経過時間が長くなるのに従い、自己放電率が小さくなり、自己放電率の減少量も小さくなることが分かる。これは、蓄電素子の劣化の進行に従い、蓄電素子内での副反応量が小さくなるためであると推察される。
自己放電率は、第1SOC及び停止期間が同一であっても温度履歴に応じて異なる。温度が高い場合、自己放電率は大きくなる。また、自己放電率は停止期間及び温度が同一であっても第1SOCに応じて異なる。第1SOCと、蓄電素子の使用再開前のOCV等により求めた第2SOCとの差分に基づいて自己放電率を求め、自己放電率と劣化の度合との関係に基づいて劣化の度合を推定する場合、第1SOC及び温度履歴の影響を考慮していないことになる。本発明者等は、第1SOC、第2SOC、温度履歴、及び停止期間に基づいて自己放電率を導出し、導出した自己放電率、及び前記関係に基づいて良好に劣化の度合を推定できることを見出し、本発明を完成した。
即ち実施形態に係る劣化推定装置は、蓄電素子の使用停止時の第1SOCを導出する第1導出部と、停止期間中の温度情報を取得する取得部と、前記蓄電素子の使用再開前の第2SOCを導出する第2導出部と、前記第1SOC、前記第2SOC、前記温度情報、及び前記停止期間に基づいて、自己放電率を導出する第3導出部と、導出した前記自己放電率に基づいて、蓄電素子の劣化の度合を推定する推定部とを備える。
ここで、蓄電素子の使用停止時とは、蓄電素子の使用が停止されたタイミングと全く同一のタイミングに限らず、停止直前又は停止直後のタイミングを含んでよい。例えば、第1導出部が導出する第1SOCは、停止前の最後の取得タイミングで得られたSOCであってもよい。代替的に、停止期間に入った直後に得られたSOCであってもよい。この場合、蓄電素子の停止期間に入った後、SOCを取得してから、システムを完全停止させてもよい。蓄電素子の使用再開前とは、蓄電素子の使用再開時にSOC-OCV曲線等により取得したSOCであってもよい。代替的に、使用再開後の最初のSOC取得タイミングで電流積算法等により得られたSOCでもよい。この場合、蓄電素子の使用再開のタイミングに到達した後、SOC-OCV曲線等によりSOCを取得してから、システムを完全に再開させてもよい。
上記構成によれば、電気自動車などの既存のシステムに組み込むことにより、第1SOC、温度情報、及び停止期間を加味して自己放電率を精度良く求めることができ、良好に蓄電素子の停止時の劣化の度合を推定できる。
上述の劣化推定装置において、前記温度情報は、温度履歴であってもよい。
上記構成によれば、複数の温度を用いて計算することによって、蓄電素子の劣化度合いをより精度良く推定できる。
上述の劣化推定装置において、第1SOC、温度、及び係数の関係を参照し、導出した前記第1SOC、及び前記温度情報に基づいて係数を特定する特定部を備え、前記第3導出部は、特定した前記係数に基づいて、自己放電率を導出してもよい。
温度情報としては、停止期間の温度の平均値、最頻値、中央値等の代表値であってもよい。中でも平均値が好ましい。
上記構成によれば、蓄電素子の温度が停止期間中に一定していない場合等に、取得した温度情報に基づいて温度代表値を特定する。
予め求めた第1SOC、温度、及び係数の関係を参照し、実測した第1SOC及び温度情報に基づいて係数を特定し、特定した係数に基づいて容易に、良好に自己放電率を導出できる。
上述の劣化推定装置において、前記係数は、電圧低下速度であってもよい。
上述したように、自己放電率は、経過時間が長くなるのに従い、小さくなる。自己放電率に対応する、停止期間の電圧低下量も、経過時間が長くなるのに従い、小さくなり、電圧低下量の減少量も小さくなる。電圧低下量と停止期間との関係の傾き、即ち電圧低下速度を係数として、第1SOC別、温度別に求めておき、実測した第1SOC、温度に基づいて電圧低下速度を特定し、特定した電圧低下速度を用いることで容易に、良好に自己放電率を導出できる。
上述の劣化推定装置において、推定した劣化の度合を出力する出力部を備えてもよい。
上記構成によれば、例えば蓄電素子が例えばHEV(ハイブリッド電気自動車)に備えられている場合、エンジンの始動前にユーザに蓄電素子の劣化を報知できる。他の蓄電素子においても、使用の再開前に劣化の度合を取得できる。
上述の劣化推定装置において、停止期間中に、前記第3導出部は複数の時点で自己放電率を導出し、各時点で導出した自己放電率を積算してもよい。
上記構成によれば、停止期間中に温度の変化に応じて導出した複数の自己放電率を積算することで、精度良く停止の全期間の自己放電率を導出できる。
実施形態に係る劣化推定方法は、蓄電素子の使用停止時の第1SOCを導出し、停止期間中の温度情報を取得し、前記蓄電素子の使用再開前の第2SOCを導出し、前記第1SOC、前記第2SOC、前記温度情報、及び前記停止期間に基づいて、自己放電率を導出し、導出した自己放電率に基づいて、蓄電素子の劣化の度合を推定する。
上記構成によれば、第1SOC、温度情報、及び停止期間を加味して自己放電率を精度良く求めることができ、良好に蓄電素子の停止時の劣化の度合を推定できる。
実施形態に係るコンピュータプログラムは、蓄電素子の使用停止時の第1SOCを導出し、停止期間中の温度情報を取得し、前記蓄電素子の使用再開前の第2SOCを導出し、前記第1SOC、前記第2SOC、前記温度情報、及び前記停止期間に基づいて、自己放電率を導出し、導出した自己放電率に基づいて、蓄電素子の劣化の度合を推定する処理をコンピュータに実行させる。
上記構成によれば、第1SOC、温度情報、及び停止期間を加味して自己放電率を精度良く求めることができ、良好に蓄電素子の停止時の劣化の度合を推定できる。
以上、纏めると、本発明もしくは、従来技術に加えて本発明を組み合わせることによって劣化の度合いを精度よく推定することができる。
以下、具体的に蓄電素子の劣化の推定方法について説明する。
(実施形態1)
図2は、実施形態1に係る充放電システム1及びサーバ8の構成を示すブロック図である。充放電システム1は、例えばEV(電気自動車)、HEV、PHEV(プラグインハイブリッド電気自動車)等の自動車や鉄道を含む輸送機器、航空・宇宙・建設用を含む産業用機器等に備えられる。以下、エンジンが燃料を多く使用する発進時及び加速時にモータがサポートするHEVにおいて充放電システム1を備える場合を説明する。
充放電システム1は、電池モジュール3と、制御装置4と、電圧センサ5と、電流センサ6と、温度センサ7とを備える。
電池モジュール3は、複数の蓄電素子としてのリチウムイオン二次電池(以下、電池セルという)2が直列に接続されている。
制御装置4は、充放電システム1全体を制御する。
サーバ8は、制御部81、及び通信部82を備える。
制御装置4は、制御部41、記憶部42、計時部43、入力部44、及び通信部45を備える。
制御装置4の制御部41は、通信部45、ネットワークNW、及び通信部82を介し、制御部81と接続されている。
負荷53は、端子51,52を介し電池モジュール3に接続されている。充電する場合は電池モジュール3に充電器が接続される。
制御部41、81は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等により構成され、制御装置4、及びサーバ8の動作を夫々制御する。
記憶部42は、各種のプログラム及びデータを記憶する。記憶部42には、SOH推定プログラム(以下、プログラムという)421が格納されている。プログラム421は、例えばCD-ROMやDVD-ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体40に格納された状態で提供され、制御装置4にインストールすることにより記憶部42に格納される。また、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラム421を取得し、記憶部42に記憶させることにしてもよい。
記憶部42には充放電の履歴DB422、温度DB423、係数DB424、及び関係DB425も記憶されている。充放電の履歴とは、電池モジュール3の運転履歴であり、電池モジュール3が充電又は放電を行った期間(使用期間)を示す情報、使用期間において電池モジュール3が行った充電又は放電に関する情報等を含む情報である。電池モジュール3の使用期間を示す情報とは、充電又は放電の開始及び終了の時点を示す情報、電池モジュール3が使用された累積使用期間等を含む情報である。電池モジュール3が行った充電又は放電に関する情報とは、電池モジュール3が行った充電時又は放電時の電圧、レート等を示す情報である。
温度DB423は、電池モジュール3の停止期間の温度履歴を記憶している。
図3は、係数DB424に記憶されている停止時のSOC(SOC1 )と係数k(電圧低下速度)との関係を示すグラフである。図3の横軸は停止時のSOC(%)、縦軸は係数kである。kは例えば3 √tとΔVとの第1関係の傾きである。ここで、tは日数である。予め、電池モジュール3の平均温度毎に、SOC別に3 √tとΔVとの第1関係を実験により求めておく。例えば図4に示すように、平均温度が25℃である場合に、SOCを例えば25%、45%、65%に変えて、第1関係を夫々求め、傾きkを夫々求める。図3に示すように、平均温度が25℃である場合に、各SOCにおけるkをプロットし、SOCとkとの第2関係aを得る。平均温度が45℃、65℃である場合についても同様にして、第2関係b、cを得る。なお、図4の第1関係においてtの1/3乗とΔVとが直線関係にあるが、この場合に限定されない。tn とΔVとが直線関係になるnを見出せばよく、電圧低下速度はtn とΔVとの関係の傾きである。
第2関係は補間することができる。例えば平均温度が35℃であった場合、第2関係aとbとの内挿により平均温度35℃の第2関係を求め、係数kを読み取る。
電圧低下速度の適用可能範囲として、例えば日数:0~150日、SOC:25%~85%、温度:-30℃~65℃が挙げられる。
図5は、係数DB424に記憶されている1000/Tとlnkとの関係を示すグラフである。図5の横軸は1000/T(Tは絶対温度)、縦軸はlnk(k=ΔV/3 √t)である。予め、電池モジュール3のSOC(SOC1 )毎に、平均温度別に3 √tとΔVとの第3関係を実験により求めておく。例えば図6に示すようにSOCが65%である場合に、平均温度を例えば25℃、45℃、65℃に変えて第3関係を夫々求め、傾きkを夫々求める。SOCが65%である場合に、各平均温度Tの逆数に1000を乗じたものにおける、kの対数をプロットし、1000/Tとlnkとの第4関係dを得る。SOCが45%、25%である場合についても同様にして、第4関係e、fを得る。第4関係は直線であり、平均温度が同一である場合、停止期間内の温度の高低差が異なっても、平均温度を温度代表値とすることができる。温度代表値として、停止期間の最頻値、及び中央値を挙げることが考えられるが、平均温度の方が、温度の高低差を良好に相殺できるので好ましい。
係数DB424は、第2関係及び第4関係を関数(関係式)として記憶してもよい。
関係DB425は、後述するようにして導出する自己放電率SDa とSOHとの第5関係を記憶している。第5関係に代えてSDa の関数を記憶してもよい。第5関係は関係DB425に少なくとも一つ記憶しておく。第5関係は、kの範囲等に応じて、複数記憶してもよい。
計時部43は経過時間をカウントする。
入力部44は、電圧センサ5、電流センサ6、及び温度センサ7からの検出結果の入力を受け付ける。
通信部45、82は、ネットワークNWを介して通信を行う機能を有し、所要の情報の送受信を行うことができる。
本実施形態においては、制御装置4及びサーバ8のいずれかが、本発明の劣化推定装置として機能する。なお、サーバ8が劣化推定装置として機能しない場合、充放電システム1がサーバ8に接続されていなくてもよい。
図2においては、電池モジュール3を一組備える場合を示しているが、電池モジュール3は、複数組、直列に接続してもよい。
制御装置4は、電池ECU(Electronic Control Unit)であってもよい。
電圧センサ5は、電池モジュール3に並列に接続されており、電池モジュール3の全体の電圧に応じた検出結果を出力する。電圧センサ5は、各電池セル2の後述する正極端子23,負極端子26に接続されており、各電池セル2の正極端子23,負極端子26間の電圧V1 を測定し、各電池セル2のV1 の合計値である電池モジュール3の後述する負極リード33,正極リード34間の電圧Vを検出する。
電流センサ6は、電池モジュール3に直列に接続されており、電池モジュール3の電流に応じた検出結果を出力する。
温度センサ7は、電池モジュール3の付近に設けられており、電池モジュール3の温度に応じた検出結果を出力する。
図7は、電池モジュール3の斜視図である。
電池モジュール3は、直方体状のケース31と、ケース31に収容された複数の前記電池セル2とを備える。
電池セル2は、直方体状のケース本体21と、蓋板22と、蓋板22に設けられた、正極端子23,負極端子26と、破裂弁24と、電極体25とを備える。電極体25は正極板、セパレータ、及び負極板を積層してなり、ケース本体21に収容されている。
電極体25は、正極板と負極板とをセパレータを介して扁平状に巻回して得られるものであってもよい。
正極板は、アルミニウムやアルミニウム合金等からなる板状(シート状)又は長尺帯状の金属箔である正極基材箔上に活物質層が形成されたものである。負極板は、銅及び銅合金等からなる板状(シート状)又は長尺帯状の金属箔である負極基材箔上に活物質層が形成されたものである。セパレータは、合成樹脂からなる微多孔性のシートである。
正極の活物質層に用いられる正極活物質は、例えばLix (NiaMnbCoc d )O2 (MはLi,Ni,Mn,Co以外の金属元素、0≦a<1、0≦b<1、0≦c<1、a+b+c+d=1、0<x≦1.1、a,cは同時に0でない)で表される層状酸化物である。正極活物質は層状岩塩型の結晶構造を有する。前記aは0.5≦a≦1を満たすものであってもよい。この場合、遷移金属サイトにNiを多く含有する。
正極活物質は、d=0であり、Lix (Nia CocMnb)O2 (a+b+c=1)で表されるNCMであるのが好ましい。NCMとしては、NCM111(a:b:c=1:1:1)でもよく、Ni含有量が高いNCM523(a:b:c=5:2:3)等でもよい。
正極活物質は、MがAl、b=0であり、Lix (Nia CocAld )O2 で表されるNCAであってもよい(a+c+d=1)。
なお、NCM又はNCAにおいて、Li、Ni以外の金属が夫々2種類の金属からなる場合に限定されず、3種類以上の金属からなるものでもよい。例えば、少量のTi、Nb、B、W、Zr、Ti、Mgなどが含まれてもよい。
正極活物質としては、例えばLiMeO-LiMnO固溶体、Li2O-LiMeO2固溶体、Li3NbO4 -LiMeO2固溶体、Li4 WO5 -LiMeO2固溶体、Li4 TeO5 -LiMeO2固溶体、Li3SbO4 -LiFeO2固溶体、Li2RuO3 -LiMeO2固溶体、Li2RuO3 -Li2 MeO3 固溶体等のLi過剰型活物質であってもよい。
正極活物質は上述の場合に限定されない。
負極活物質層に用いられる負極活物質としては、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン、Si、Sn、Cd、Zn、Al、Bi、Pb、Ge、Ag等の金属若しくは合金、又はこれらを含むカルコゲン化物等が挙げられる。カルコゲン化物の一例として、SiOが挙げられる。
電池モジュール3の隣り合う電池セル2の隣り合う正極端子23,負極端子26がバスバー32により電気的に接続されることで、複数の電池セル2が直列に接続されている。
電池モジュール3の両端の電池セル2の、正極端子23,負極端子26には、電力を取り出すための正極リード34,負極リード33が設けられている。
図8は、制御部41によるSOHとしての容量維持率の導出処理の手順を示すフローチャートである。
制御部41は、エンジンの停止時、即ち電池モジュール3の停止時のSOC1 を導出する(S1)。制御部41は、電流積算法によりSOC1 を導出する。
制御部41は、履歴DB422及び温度DB423を読み出し、停止期間t及び温度の履歴を取得する(S2)。ここで、tは日数とする。
制御部41は、使用開始直前のOCVを取得し、SOC2 を導出する(S3)。制御部41は、端子間電圧CCVを取得し、制御部41及びセルバランサ(不図示)に流す暗電流を考慮して、OCVを導出する。又は制御部41はここでは端子間電圧CCVをOCVとしてもよい。
制御部41は、SOC-OCV曲線において、導出したOCVに対応するSOCを読み取り、これをSOC2 とする。
制御部41は、SOC1 、及びSOC2 に基づいて下記式により自己放電率SDp を導出する(S4)。
SDp =(SOC1 -SOC2 )/t
上述のようにCCVをOCVとした場合、暗電流によるSOCの減少分は予め分かっているので、SDp を求めるときに、SOC1 -SOC2 からさらに暗電流によるSOCの減少分を減じる。
制御部41は、温度の履歴に基づいて停止期間tの平均温度を特定する(S5)。
制御部41は、係数DB424を読み出し、SOC1 、及び特定した平均温度に基づいて、係数kを特定する(S6)。制御部41は、例えばSOC1 が45%、平均温度25℃ある場合、例えば図3の第2関係aのグラフにおいて、SOC1 が45%であるときの係数kを読み取る。制御部41は、図4の第4関係eのグラフにおいて、平均温度が25℃、即ち1000/298であるときの係数kを読み取ってもよい。
制御部41は、ΔVを導出する(S7)。制御部41は、特定したk、及び停止期間tに基づいてΔVを算出する。ΔVは、係数kを因子とする、停止期間tの関数で表される。例えば3 √tとΔVとが直線関係にある場合、ΔVは3 √tの関数で表される。
制御部41は、SDp 、及びΔVに基づいてSDa を導出する(S8)。SDa は、ΔV、SDp の下記の関数で表される。
SDa =f(ΔV、SDp )
SDa は、k、t、SDp の関数で表してもよい。この場合、S7のΔVの導出は不要である。
制御部41は、関係DB425を読み出し、SDa に基づいて、容量維持率を導出する(S9)。
制御部41は、容量維持率を例えばカーナビゲーションのディスプレイ等に出力し(S10)、処理を終了する。ディスプレイに劣化度合として容量維持率が表示され、ユーザはエンジンの始動前に劣化度合を取得することができる。
図9は、SDa と、SOHとしての容量維持率との第5関係を示すグラフの一例である。図9より、自己放電率のばらつき3σにおいても、容量維持率の推定のばらつきは所定範囲内に収まることが分かる。上述したように、自己放電率と劣化度合との関係は、SOC1 及び温度に応じて変わる。SOC1 及び温度に基づくkを特定し、特定したkに基づいてSDa を導出し、関係DB425の第5関係に基づいてSDa から容量維持率を良好に導出できることが分かる。
以上のように、本実施形態によれば、SOC1 、温度履歴、及び停止期間を加味して自己放電率をSDa を精度良く求めることができ、良好に電池モジュール3の停止時の劣化度合を推定できる。電池モジュール3の使用中(走行中)の劣化度合を上述の電流積算法、又は抵抗の増加量に基づいて導出し、停止期間中の劣化度合を加算して、合計の劣化度合を求めることができる。
(実施形態2)
実施形態2においては、制御部41は停止期間内に所定の時間間隔aでSDai を導出し、SDai の合計値を停止期間のSDa として、容量維持率を導出する。
図10は、実施形態2に係る制御部41の容量維持率の導出処理の手順を示すフローチャートである。
制御部41は、エンジンの停止時、即ち電池モジュール3の停止時のSOC1 を導出する(S11)。制御部41は、電流積算法によりSOC1 を導出する。
制御部41は、変数iを1に設定する(S12)。
制御部41は、時間aが経過したか否かを判定する(S13)。制御部41は、時間aが経過していない場合(S13:NO)、この判定を繰り返す。
制御部41は、時間aが経過した場合(S13:YES)、温度DB423を読み出し、時間aの温度の履歴を取得し、時間aにおける平均温度を導出する(S14)。
制御部41は、CCVからOCVを導出し、OCVからSOC2i を導出する(S15)。
OCVは例えば下記の式から算出することができる。
OCV=CCV+I×R
ここで、I:暗電流
R:内部抵抗
制御部41は、SOC-OCV曲線において、導出したOCVに対応するSOCを読み取り、これをSOC2iとする。
制御部41は、SOC2i-1 、及びSOC2i に基づいて下記式により自己放電率SDp i を導出する(S16)。
SDp i =(SOC2i-1 -SOC2i )/t
ここで、t:時間a(日)
i=1の場合、SOC2i-1 =SOC1 である。
制御部41は、係数DB424を読み出し、SOC2i-1、及び特定した平均温度に基づいて、係数kを特定する(S17)。制御部41は、例えばSOC2i-1 が45%、平均温度が25℃である場合、例えば図3の第2関係aのグラフにおいて、SOC2i-1 が45%であるときの係数kを読み取る。制御部41は、図5の第4関係eのグラフにおいて、平均温度が25℃、即ち1000/298であるときの係数kを読み取ってもよい。
制御部41は、ΔVi を導出する(S18)。制御部41は、特定したk、及び時間aに基づいてΔVi を算出する。ΔVi は、係数kを因子とする、時間の関数で表される。例えば3 √tとΔVとが直線関係にある場合、ΔVは3 √tの関数で表され、tにaを代入する。
制御部41は、SDpi 、及びΔVi に基づいてSDai を導出する(S19)。SDa は、ΔVi 、SDp i の関数で表される。
SDa i =f(ΔVi 、SDp i
SDai は、k、t、SDpi の関数で表してもよい。この場合、S18のΔVi の導出は不要である。
制御部41は、SDa i を前回までのSDa の積算値に加算する(S20)。
制御部41は、電池モジュール3の使用が再開されたか否かを判定する(S21)。制御部41は、使用が再開されていない場合(S21:NO)、iをインクリメントし(S22)、処理をS13へ戻す。上記と同様にしてSDa i を導出し、S20において加算する。
制御部41は、使用が再開されている場合(S21:YES)、前回SDai を導出した後、再開するまでの時間におけるSDaend を上記と同様にして求める(S23)。SOC2i を導出した時点が再開時である場合、SDaend の導出は不要である。
制御部41は、SDaendを前回までのSDa の積算値に加算する(S24)。
制御部41は、関係DB425を読み出し、合計のSDa に基づいて、容量維持率を導出する(S25)。
制御部41は、容量維持率を例えばカーナビゲーションのディスプレイ等に出力し(S26)、処理を終了する。ディスプレイに劣化度合として容量維持率が表示され、ユーザはエンジンの始動前に劣化度合を取得することができる。
本実施形態によれば、停止期間中に温度の変化に応じて導出した複数の自己放電率を積算するので、停止の全期間の自己放電率をより精度良く導出できる。
前記実施形態は、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
電池モジュール3の自己放電率に基づいて容量維持率を推定する場合に限定されず、電池セル2の自己放電率に基づいて容量維持率を推定してもよい。
SOHとして容量維持率を推定する場合に限定されず、容量低下率、抵抗等を推定してもよい。
電池モジュール3は、自動車に備える場合に限定されない。他の機器に備える場合に、電池モジュール3の停止時に、本発明の劣化の推定方法により劣化度合を推定できる。
また、係数kは電圧低下速度に限定されない。
蓄電素子はリチウムイオン二次電池には限定されない。蓄電素子は、ナトリウムイオン電池などの非水電解質を用いた他の二次電池であってもよい。
1 充放電システム
2 電池セル(蓄電素子)
3 電池モジュール(蓄電素子)
4 制御装置
41 制御部(第1導出部、取得部、第2導出部、第3導出部、推定部、特定部)
42 記憶部
421 SOH推定プログラム
422 履歴DB
423 温度DB
424 温度DB
425 関係DB
43 計時部
44 入力部
45、82 通信部
5 電圧センサ
6 電流センサ
7 温度センサ
8 サーバ
81 制御部

Claims (7)

  1. 蓄電素子の使用停止時の第1SOCを導出する第1導出部と、
    停止期間中の温度情報を取得する取得部と、
    前記蓄電素子の使用再開前の第2SOCを導出する第2導出部と、
    前記第1SOC、前記第2SOC、前記温度情報、及び前記停止期間に基づいて、自己放電率を導出する第3導出部と、
    導出した前記自己放電率に基づいて、蓄電素子の劣化の度合を推定する推定部と
    を備える劣化推定装置。
  2. 前記温度情報は、温度履歴である、請求項1に記載の劣化推定装置。
  3. 第1SOC、温度、及び係数の関係を参照し、導出した前記第1SOC、及び前記温度情報に基づいて係数を特定する特定部を備え、
    前記第3導出部は、特定した前記係数に基づいて、自己放電率を導出する、請求項1に記載の劣化推定装置。
  4. 前記係数は、電圧低下速度である、請求項3に記載の劣化推定装置。
  5. 停止期間中に、前記第3導出部は複数の時点で自己放電率を算出し、各時点で算出した自己放電率を積算する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の劣化推定装置。
  6. 蓄電素子の使用停止時の第1SOCを導出し、
    停止期間中の温度情報を取得し、
    前記蓄電素子の使用再開前の第2SOCを導出し、
    前記第1SOC、前記第2SOC、前記温度情報、及び前記停止期間に基づいて、自己放電率を導出し、
    導出した自己放電率に基づいて、蓄電素子の劣化の度合を推定する、劣化推定方法。
  7. 蓄電素子の使用停止時の第1SOCを導出し、
    停止期間中の温度情報を取得し、
    前記蓄電素子の使用再開前の第2SOCを導出し、
    前記第1SOC、前記第2SOC、前記温度情報、及び前記停止期間に基づいて、自己放電率を導出し、
    導出した自己放電率に基づいて、蓄電素子の劣化の度合を推定する
    処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
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