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JP2022189944A - ホットメルト型粘着剤組成物 - Google Patents

ホットメルト型粘着剤組成物 Download PDF

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JP2022189944A
JP2022189944A JP2022173771A JP2022173771A JP2022189944A JP 2022189944 A JP2022189944 A JP 2022189944A JP 2022173771 A JP2022173771 A JP 2022173771A JP 2022173771 A JP2022173771 A JP 2022173771A JP 2022189944 A JP2022189944 A JP 2022189944A
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真 赤井
Makoto Akai
友裕 小野
Tomohiro Ono
萌 川原
Moe Kawahara
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

【課題】各種被着体に対する粘着力に優れると共に、ホットメルト型粘着剤組成物を剥がした際の被着体に対する糊残りを抑制することができるホットメルト型粘着剤組成物を提供する。【解決手段】スチレン系ブロック共重合体(A)、アクリル系ブロック共重合体(B)、粘着付与樹脂(C)及び軟化剤(D)を含み、条件(1)~(6)を満たすことを特徴とするホットメルト型粘着剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明はホットメルト型粘着剤組成物に関する。
ホットメルト型粘着剤は加熱溶融状態で塗工した後、冷却することにより得られる粘着剤であり、製造過程で溶剤を使用しないことから安全性が高く、環境にもやさしい粘着剤である。したがって、ホットメルト型粘着剤は紙加工分野、木工分野、及び電子分野等で幅広く使用されている。
ホットメルト型粘着剤としては、例えばスチレン系エラストマーを用いたホットメルト型粘着剤が挙げられる。スチレン系エラストマーを用いたホットメルト型粘着剤は、ポリメタクリル酸メチル樹脂板(PMMA板)やステンレス板(SUS板)に対する粘着性が良好であるものの、比較的高い温度においては粘着亢進性が高いため糊残りが生じてしまうという問題がある。
これに対してアクリル系ブロック共重合体を用いたホットメルト型粘着剤は、粘着亢進性が低いため糊残りの問題は生じにくいが、ポリエチレン(PE)等の非極性樹脂に対する粘着力が弱いため、使用できる被着体が制限されるという問題があった。
これらの問題を解決すべくホットメルト型粘着剤に関する開発が盛んに行われている。例えば特許文献1にはスチレン系ブロック共重合体とアクリル系ブロック共重合体とを組み合わせたホットメルト型粘着剤が提案されている。
国際公開第2015/076332号公報
特許文献1に記載されるホットメルト型粘着剤においては、スチレン系ブロック共重合体とアクリル系ブロック共重合体とが均一に相容せず、十分な粘着力を得ることができないという問題があった。
本発明は前記従来の課題を鑑みてなされたものであって、各種被着体に対する粘着力に優れると共に、ホットメルト型粘着剤組成物を剥がした際の被着体に対する糊残りを抑制することができるホットメルト型粘着剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者らが検討を行ったところ、スチレン系ブロック共重合体の中でも高流動性を有するスチレン系ブロック共重合体は、アクリル系ブロック共重合体との親和性が高く、互いに相容しやすいという知見を得た。そして更に検討を進めたところ、前記流動性が高いスチレン系ブロック共重合体とアクリル系ブロック共重合体とが特定の溶融粘度の条件を満たし、更に各種条件を満たす材料を配合することにより適度な粘着亢進性に調整することができ、幅広い種類の被着体に対して優れた粘着性を有することを見出した。更に得られたホットメルト型粘着剤組成物は糊残りも抑制することができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は下記[1]~[4]を要旨とする。
[1]スチレン系ブロック共重合体(A)、アクリル系ブロック共重合体(B)、粘着付与樹脂(C)及び軟化剤(D)を含み、下記条件(1)~(6)を満たすことを特徴とするホットメルト型粘着剤組成物。
<条件(1)>
スチレン系ブロック共重合体(A)の190℃における溶融粘度(PA)と、アクリル系ブロック共重合体(B)の190℃における溶融粘度(PB)とが、PA<PBの関係を満たす。
<条件(2)>
アクリル系ブロック共重合体(B)に対するスチレン系ブロック共重合体(A)の含有量の質量比[(A)/(B)]が10/90~95/5である。
<条件(3)>
スチレン系ブロック共重合体(A)が、スチレン系化合物由来の構造単位を含有する重合体ブロック(a11)を1個以上、及び共役ジエン化合物由来の構造単位を含有する重合体ブロック(a12)を1個以上有するブロック共重合体(P1)の水素添加物であり、ISO11443:1995に準拠して、温度190℃、せん断速度121.6(1/sec)で測定した前記溶融粘度(PA)が100Pa・s以上600Pa・s未満である。
<条件(4)>
アクリル系ブロック共重合体(B)が、アクリル酸エステル由来の構造単位を含有する重合体ブロック(b11)を1個以上、及びメタクリル酸エステル由来の構造単位を含有する重合体ブロック(b12)を1個以上有し、数平均分子量(Mn)が50,000~300,000であり、アクリル系ブロック共重合体(B)中の前記重合体ブロック(b12)の含有量が5~30質量%である。
<条件(5)>
粘着付与樹脂(C)が、軟化点が80~160℃である粘着付与樹脂であって、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、水添石油系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、水添芳香族コポリマー及びクマロン-インデン系樹脂からなる群から選ばれる2種以上である。
<条件(6)>
軟化剤(D)が、液状アクリル系ポリマー、アクリルオリゴマー、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルからなる群から選ばれる1種以上である。
[2]前記アクリル系ブロック共重合体(B)の190℃における溶融粘度(PB)が100Pa・s超1,200Pa・s以下である、前記[1]に記載のホットメルト型粘着剤組成物。
[3]前記ホットメルト型粘着剤組成物中に含まれる前記スチレン系ブロック共重合体(A)の含有量が3~70質量%である、前記[1]又は[2]に記載のホットメルト型粘着剤組成物。
[4]前記ホットメルト型粘着剤組成物中に含まれる前記アクリル系ブロック共重合体(B)の含有量が0.5~50質量%である、前記[1]~[3]のいずれかに記載のホットメルト型粘着剤組成物。
本発明によれば、各種被着体に対する粘着力に優れると共に、ホットメルト型粘着剤組成物を剥がした際の被着体に対する糊残りを抑制することができるホットメルト型粘着剤組成物を提供することができる。
[ホットメルト型粘着剤組成物]
本発明のホットメルト型粘着剤組成物は、スチレン系ブロック共重合体(A)、アクリル系ブロック共重合体(B)、粘着付与樹脂(C)及び軟化剤(D)を含み、下記条件(1)~(6)を満たすことを特徴とするものである。
<条件(1)>
本発明は、スチレン系ブロック共重合体(A)の温度190℃における溶融粘度(PA)と、アクリル系ブロック共重合体(B)の温度190℃における溶融粘度(PB)とが、PA<PBの関係を満たすことを特徴とする。
溶融粘度(PA)と溶融粘度(PB)とが前記関係を満たす場合、スチレン系ブロック共重合体(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)との相容性が向上し、その結果、本発明のホットメルト型粘着剤組成物の粘着性が向上する。また粘着亢進性を適度な範囲に調整することができるため、被着体に対する糊残りを抑制することができる。これらの観点からPBはPAよりも5Pa・s以上大きいことが好ましく、50Pa・s以上大きいことがより好ましく、100Pa・s以上大きいことが更に好ましい。
なお、本明細書において「190℃における溶融粘度(PA)」及び「190℃における溶融粘度(PB)」は、ISO11443:1995に準拠し、温度190℃、せん断速度121.6(1/sec)で測定した溶融粘度を意味する。
<条件(2)>
本発明は、アクリル系ブロック共重合体(B)に対するスチレン系ブロック共重合体(A)の含有量の質量比[(A)/(B)]が10/90~95/5であることを特徴とする。
前記質量比が前記範囲内であるとスチレン系ブロック共重合体(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)とが均一に相容しやすくなるためホットメルト型粘着剤組成物の粘着性が向上する。この観点から前記質量比[(A)/(B)]は、10/90~95/5であり、20/80~90/10であることが好ましく、30/70~85/15であることがより好ましく、40/60~80/20であることが更に好ましい。
<条件(3)>
本発明は、スチレン系ブロック共重合体(A)が、スチレン系化合物由来の構造単位を含有する重合体ブロック(a11)を1個以上、及び共役ジエン化合物由来の構造単位を含有する重合体ブロック(a12)を1個以上有するブロック共重合体(P1)の水素添加物であり、ISO11443:1995に準拠して、温度190℃、せん断速度121.6(1/sec)で測定した前記溶融粘度(PA)が100Pa・s以上600Pa・s未満であることを特徴とする。
<条件(4)>
本発明は、アクリル系ブロック共重合体(B)が、アクリル酸エステル由来の構造単位を含有する重合体ブロック(b11)を1個以上、及びメタクリル酸エステル由来の構造単位を含有する重合体ブロック(b12)を1個以上有し、数平均分子量(Mn)が50,000~300,000であり、アクリル系ブロック共重合体(B)中の前記重合体ブロック(b12)の含有量が5~30質量%であることを特徴とする。
<条件(5)>
本発明は粘着付与樹脂(C)として、軟化点が80~160℃である粘着付与樹脂であって、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、水添石油系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、水添芳香族コポリマー及びクマロン-インデン系樹脂からなる群から選ばれる2種以上を用いることを特徴とする。
<条件(6)>
本発明は軟化剤(D)として、液状アクリル系ポリマー、アクリルオリゴマー、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルからなる群から選ばれる1種以上を用いることを特徴とする。本発明において軟化剤として前記のものを用いることにより、ホットメルト型粘着剤組成物の流動性が向上し、各成分が均一に相容しやすくなる結果、ホットメルト型粘着剤組成物の粘着性が向上する。
<スチレン系ブロック共重合体(A)>
本発明のホットメルト型粘着剤組成物は、スチレン系ブロック共重合体(A)を含有する。本発明においてはスチレン系ブロック共重合体(A)を用いることにより多様な被着体に対する粘着性を向上することができる。本発明に用いる前記スチレン系ブロック共重合体(A)は、スチレン系化合物由来の構造単位を含有する重合体ブロック(a11)を1個以上、及び共役ジエン化合物由来の構造単位を含有する重合体ブロック(a12)を1個以上有する、ブロック共重合体(P1)の水素添加物である。スチレン系ブロック共重合体(A)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔重合体ブロック(a11)〕
ブロック共重合体(P1)に含まれる重合体ブロック(a11)は、スチレン系化合物由来の構造単位を含有する。前記スチレン系化合物としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N-ジエチル-4-アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4-メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン及びジビニルベンゼン等が挙げられる。これらのスチレン系化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレン系化合物は、スチレン、α-メチルスチレン、及び4-メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
前記重合体ブロック(a11)は、スチレン系化合物以外の単量体、例えば、後述する重合体ブロック(a12)を構成する共役ジエン等のその他の単量体に由来の構造単位を含有してもよい。ただし、重合体ブロック(a11)中のスチレン系化合物由来の構造単位の含有量は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることがより更に好ましく、実質的に100質量%であることが特に好ましい。
〔重合体ブロック(a12)〕
ブロック共重合体(P1)に含まれる重合体ブロック(a12)は、共役ジエン化合物由来の構造単位を含有する。前記共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-ブタジエン、2-フェニル-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,3-シクロヘキサジエン、2-メチル-1,3-オクタジエン、1,3,7-オクタトリエン、ミルセン、ファルネセン及びクロロプレン等が挙げられる。これらの共役ジエンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、共役ジエンは、ブタジエン、イソプレン、及びファルネセンが好ましい。
前記重合体ブロック(a12)は、共役ジエン以外の単量体、例えば、前述の重合体ブロック(a11)を構成するスチレン系化合物等のその他の単量体に由来の構造単位を含有してもよい。ただし、重合体ブロック(a12)中の共役ジエン化合物由来の構造単位の含有量は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることがより更に好ましく、実質的に100質量%であることが特に好ましい。
(重合体ブロック(a12)のビニル化度)
重合体ブロック(a12)に含まれる共役ジエン化合物由来の構造単位のビニル化度は、特に制限はないが、1~95モル%であることが好ましく、2~90モル%であることがより好ましく、3~85モル%であることが更に好ましく、4~80モル%であることがより更に好ましい。なお、前記ビニル化度は、後述するアニオン重合により、スチレン系ブロック共重合体を製造する場合には、使用する溶媒の種類、必要に応じて使用されるルイス塩基の種類及び添加量、重合温度等を制御することにより調整することができる。
本発明において、「ビニル化度」とは、特定の重合体ブロック(例えば、重合体ブロック(a12))に含まれる、共役ジエン化合物由来の構造単位の合計100モル%中、1,2-結合、3,4-結合(ファルネセン以外の場合)、及び3,13-結合(ファルネセンの場合)で結合をしている共役ジエン化合物由来の構造単位(1,4-結合(ファルネセン以外の場合)及び1,13-結合(ファルネセンの場合)以外で結合をしている共役ジエン化合物由来の構造単位)の合計モル%を意味する。なお、本発明において、水素添加前の重合体に含まれる共役ジエン化合物由来の構造単位での結合形態から求められるビニル化度を、水素添加後の重合体においても、その重合体のビニル化度と定義する。ビニル化度は、水素添加前の重合体において、1H-NMRを用いて1,2-結合、3,4-結合(ファルネセン以外の場合)、及び3,13-結合(ファルネセンの場合)で結合をしている共役ジエン化合物由来の構造単位に由来のピークと1,4-結合(ファルネセン以外の場合)及び1,13-結合(ファルネセンの場合)で結合をしている共役ジエン化合物由来の構造単位に由来するピークの面積比から算出する。
〔重合体ブロック(a11)及び重合体ブロック(a12)の結合形態〕
ブロック共重合体(P1)に含まれる重合体ブロック(a11)及び重合体ブロック(a12)の結合形態は特に制限されず、直鎖状、分岐状、放射状又はそれらの2つ以上の組み合わせであってもよい。これらの中でも、各ブロックが直鎖状に結合した形態が好ましく、重合体ブロック(a11)をa11、重合体ブロック(a12)をa12で表したときに、(a11-a12)l、a11-(a12-a11)m、a12-(a11-a12)n、又はa12-a11-a12-a11-a12で表される結合形態が好ましい。なお、前記l、n及びmはそれぞれ独立して1以上の整数を表す。
前記結合形態としては、得られるホットメルト型粘着剤組成物の密着力、加工性及び取り扱い性の観点から、重合体ブロック(a11)、重合体ブロック(a12)、重合体ブロック(a11)の順にブロックを有する(重合体ブロック(a12)の両端に重合体ブロック(a11)が2個結合している)ことが好ましく、スチレン系ブロック共重合体(A)はa11-a12-a11で表されるトリブロック共重合体の水素添加物が好ましい。また、スチレン系ブロック共重合体(A)は、流動性の観点から、a11-a12-a11で表されるトリブロック共重合体の水素添加物とa11-a12で表されるジブロック共重合体の水素添加物の混合物であってもよい。混合物とする場合の質量比[前記トリブロック共重合体の水素添加物/前記ジブロック共重合体の水素添加物の質量比]は、99/1~1/99であることが好ましく、85/15~15/85であることがより好ましく、80/20~20/80であることが更に好ましく、75/25~25/75であることがより更に好ましい。
また、ブロック共重合体(P1)が、重合体ブロック(a11)を2個以上有する場合、それぞれの重合体ブロック(a11)は、同じ構造単位からなる重合体ブロックであっても、異なる構造単位からなる重合体ブロックであってもよい。同様に、ブロック共重合体(P1)が、重合体ブロック(a12)を2個以上有する場合、それぞれの重合体ブロック(a12)は、同じ構造単位からなる重合体ブロックであっても、異なる構造単位からなる重合体ブロックであってもよい。例えば、a11-a12-a11で表されるトリブロック共重合体における2個の重合体ブロック(a11)において、それぞれの重合体ブロックで使用されるスチレン系化合物は、その種類が同じであっても異なっていてもよい。
ここで、本明細書においては、同種の重合体ブロックがn価のカップリング剤等を介して直鎖状に結合している場合、結合している重合体ブロック全体は一つの重合体ブロックとして取り扱われる。これに従い、本来厳密にはa11-X-a11(Xはカップリング剤残基を表す)と表記されるべき重合体ブロックは、全体としてa11と表示される。本明細書においては、カップリング剤残基を含むこの種の重合体ブロックを前記のように取り扱うので、例えば、カップリング剤残基を含み、厳密にはa11-a12-X-a12-a11と表記されるべきブロック共重合体は、a11-a12-a11と表記され、トリブロック共重合体の一例として取り扱われる。
〔各重合体ブロックの含有量〕
ブロック共重合体(P1)中の重合体ブロック(a11)の含有量は8~45質量%であることが好ましい。重合体ブロック(a11)の含有量が前記範囲内であると、ホットメルト型粘着剤組成物の柔軟性が向上し、被着体への密着性が向上する。当該観点から、重合体ブロック(a11)の含有量は、11~40質量%であることがより好ましく、14~37質量%であることが更に好ましく、17~35質量%であることがより更に好ましい。本発明の粘着剤組成物が2種以上のスチレン系ブロック共重合体(A)を含む場合は、少なくとも1種のブロック共重合体(P1)の重合体ブロック(a11)について前記範囲内であることが好ましく、すべてのブロック共重合体(P1)の重合体ブロック(a11)について前記範囲内であることがより好ましい。
ブロック共重合体(P1)中の重合体ブロック(a12)の含有量は、55~92質量%であることが好ましく、60~89質量%であることがより好ましく、63~86質量%であることが更に好ましく、65~83質量%であることがより更に好ましい。本発明のホットメルト型粘着剤組成物が2種以上のスチレン系ブロック共重合体(A)を含む場合は、少なくとも1種のブロック共重合体(P1)の重合体ブロック(a12)について前記範囲内であることが好ましく、すべてのブロック共重合体(P1)の重合体ブロック(a12)について前記範囲内であることがより好ましい。
ブロック共重合体(P1)中における、重合体ブロック(a11)及び重合体ブロック(a12)の合計含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、実質的に100質量%であることがより更に好ましい。本発明の粘着剤組成物が2種以上のスチレン系ブロック共重合体(A)を含む場合は、ブロック共重合体(P1)の混合物全体の重合体ブロック(a11)及び重合体ブロック(a12)の合計含有量が前記範囲であることが好ましい。
〔スチレン系ブロック共重合体(A)の水素添加率〕
本発明におけるスチレン系ブロック共重合体(A)は、ブロック共重合体(P1)の水素添加物である。重合体ブロック(a12)中の炭素-炭素二重結合の水素添加率は、耐熱性、耐候性の観点から、50~100モル%であることが好ましく、70~100モル%であることがより好ましく、75~100モル%であることが更に好ましく、80~100モル%であることがより更に好ましく、85~100モル%であることが特に好ましく、90~100モル%であることがより特に好ましい。本発明のホットメルト型粘着剤組成物が2種以上のスチレン系ブロック共重合体(A)を含む場合は、これらスチレン系ブロック共重合体(A)の混合物全体の水素添加率が前記範囲であることが好ましく、すべてのスチレン系ブロック共重合体(A)の水素添加率が前記範囲内であることがより好ましい。
重合体ブロック(a12)中の共役ジエン化合物単位の含有量が前記下限値以上であると、スチレン系ブロック共重合体(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)との相容性が向上し、優れた粘着力を示すようになる。
なお、水素添加率は、ブロック共重合体(P1)及び水素添加後のスチレン系ブロック共重合体(A)の1H-NMRを測定することにより算出できる。
〔スチレン系ブロック共重合体(A)の190℃における溶融粘度〕
スチレン系ブロック共重合体(A)の190℃における溶融粘度は、100Pa・s以上600Pa・s未満であり、200Pa・s以上580Pa・s未満であることが好ましく、後述するアクリル系ブロック共重合体(B)の190℃における溶融粘度より低い。これによって、スチレン系ブロック共重合体(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)の相容性がより向上する。
相容性の観点からは、スチレン系ブロック共重合体(A)の190℃における溶融粘度は、210~570Pa・sであることがより好ましく、220~560Pa・sであることが更に好ましく、230~560Pa・sであることがより更に好ましい。本発明のホットメルト型粘着剤組成物が2種以上のスチレン系ブロック共重合体(A)を含む場合は、少なくとも1種のスチレン系ブロック共重合体(A)が前記範囲であればよいが、これらスチレン系ブロック共重合体(A)の混合物全体の溶融粘度(例えば、各共重合体の重量分率と溶融粘度を乗じたものの総和)が前記範囲であることが好ましく、これらスチレン系ブロック共重合体(A)の混合物の溶融粘度が前記範囲であり、且つ、すべてのスチレン系ブロック共重合体(A)の溶融粘度が前記範囲内であることがより好ましい。
〔スチレン系ブロック共重合体(A)の230℃における溶融粘度〕
スチレン系ブロック共重合体(A)の230℃における溶融粘度は、25Pa・s以上155Pa・s未満であることが好ましい。溶融粘度が前記範囲にあるスチレン系ブロック共重合体(A)がホットメルト型粘着剤組成物に含まれることにより、ホットメルト型粘着剤組成物の加工性が更に向上する。
本明細書において「230℃における溶融粘度」は、ISO11443:1995に準拠して、温度230℃、せん断速度121.6(1/sec)で測定した溶融粘度を意味する。
ホットメルト型粘着剤組成物の加工性及び密着力を向上させる観点からは、スチレン系ブロック共重合体(A)の230℃における溶融粘度は、30~152Pa・sであることがより好ましく、35~149Pa・sであることが更に好ましく、40~146Pa・sであることがより更に好ましく、45~143Pa・sであることがより更に好ましい。本発明のホットメルト型粘着剤組成物が2種以上のスチレン系ブロック共重合体(A)を含む場合は、少なくとも1種のスチレン系ブロック共重合体(A)が前記範囲であればよいが、これらスチレン系ブロック共重合体(A)の混合物全体の溶融粘度(例えば、各共重合体の重量分率と溶融粘度を乗じたものの総和)が前記範囲であることが好ましく、これらスチレン系ブロック共重合体(A)の混合物全体の溶融粘度が前記範囲であり、且つ、すべてのスチレン系ブロック共重合体(A)の溶融粘度が前記範囲内であることがより好ましい。
〔スチレン系ブロック共重合体(A)の数平均分子量〕
スチレン系ブロック共重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、10,000~500,000であることが好ましく、20,000~400,000であることがより好ましく、30,000~300,000であることが更に好ましく、40,000~100,000であることがより更に好ましく、45,000~75,000であることがより更に好ましく、50,000~70,000であることが特に好ましい。スチレン系ブロック共重合体(A)の数平均分子量が前記下限値以上であると、ホットメルト型粘着剤組成物の各種被着体に対する粘着性が向上する。一方、数平均分子量が前記上限値以下であるとホットメルト型粘着剤組成物の粘着力を維持しつつ、糊残りを抑制することができる。
スチレン系ブロック共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、1.00~6.00であることが好ましく、1.00~4.00であることがより好ましく、1.00~3.00であることが更に好ましく、1.00~2.00であることがより更に好ましく、1.00~1.30であることが特に好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、スチレン系ブロック共重合体(A)の粘度のばらつきが小さく、取り扱いが容易であり、ホットメルト型粘着剤組成物の被着体へのブリードアウトを抑えられる。
なお、本発明のホットメルト型粘着剤組成物が2種以上のスチレン系ブロック共重合体(A)を含む場合は、少なくとも1種のスチレン系ブロック共重合体(A)のMw/Mnが前記範囲内であることが好ましく、すべてのスチレン系ブロック共重合体(A)のMw/Mnが前記範囲内であることがより好ましい。
本明細書において、スチレン系ブロック共重合体(A)に関する数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレン換算で求めた値であり、分子量分布(Mw/Mn)は前記Mw及びMnの値から算出した値である。
〔他の重合体ブロック〕
ブロック共重合体(P1)は、重合体ブロック(a11)及び重合体ブロック(a12)のほか、本発明の効果を阻害しない限り、他の単量体で構成される重合体ブロックを含有していてもよい。
前記他の単量体としては、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、及び1-エイコセン等の不飽和炭化水素化合物;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタクリロイルエタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、酢酸ビニル、及びメチルビニルエーテル等の官能基含有不飽和化合物;等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ブロック共重合体(P1)が他の重合体ブロックを有する場合、その含有量は20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることがより更に好ましい。
〔スチレン系ブロック共重合体(A)のメルトフローレート〕
スチレン系ブロック共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、30~260g/10分であることが好ましく、35~250g/10分であることがより好ましく、40~240g/10分であることが更に好ましく、45~230g/10分であることがより更に好ましい。スチレン系ブロック共重合体(A)のMFRが前記範囲内であるとスチレン系ブロック共重合体(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)との相容性が向上し、ホットメルト型粘着剤組成物の塗工性を向上する。
本明細書においてスチレン系ブロック共重合体(A)のメルトフローレートは、JIS K7210-1:2014に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した値を意味する。
〔スチレン系ブロック共重合体(A)の含有量〕
本発明のホットメルト型粘着剤組成物中に含まれるスチレン系ブロック共重合体(A)の含有量は、3~70質量%であることが好ましく、5~60質量%であることがより好ましく、10~55質量%であることが更に好ましい。スチレン系ブロック共重合体(A)の含有量が前記下限値以上であると粘着性を十分に向上させることができ、前記上限値以下であるとアクリル系ブロック共重合体(B)との相容性が向上する。
〔スチレン系ブロック共重合体(A)の製造方法〕
スチレン系ブロック共重合体(A)は、例えば、ブロック共重合体(P1)をアニオン重合により得る重合工程、及び該ブロック共重合体(P1)中の重合体ブロック(a12)中の、炭素-炭素二重結合を水素添加する工程により好適に製造できる。
(重合工程)
ブロック共重合体(P1)は、溶液重合法又は特表2012-502135号公報、特表2012-502136号公報に記載の方法等により製造することができる。これらの中でも溶液重合法が好ましく、例えば、アニオン重合やカチオン重合等のイオン重合法、ラジカル重合法等の公知の方法を適用できる。これらの中でもアニオン重合法が好ましい。アニオン重合法としては、炭化水素に代表される溶媒中、必要に応じて、エーテル化合物又は3級アミンに代表されるルイス塩基の存在下、有機アルカリ金属に代表されるアニオン重合開始剤により、スチレン系化合物、共役ジエン等の単量体を逐次添加して、ブロック共重合体(P1)を得る方法が好ましい。
重合反応は、メタノール、イソプロパノール等のアルコールを重合停止剤として添加して停止できる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いでブロック共重合体(P1)を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することによりブロック共重合体(P1)を単離できる。
ブロック共重合体(P1)は、重合体ブロック(a11)、重合体ブロック(a12)等をこの順に重合し、重合体ブロック(a12)の末端同士を、ハロゲン化シラン化合物、アルコキシシリル基含有化合物等に代表されるカップリング剤を用いてカップリングすることにより製造する方法によって製造してもよい。
後述の水素添加工程の前に、前記ブロック共重合体(P1)を変性してもよい。導入可能な官能基としては、例えばアミノ基、アルコキシシリル基、水酸基、エポキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、メルカプト基、イソシアネート基、及び酸無水物基等が挙げられる。
ブロック共重合体(P1)の変性方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫に代表されるカップリング剤、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンに代表される重合末端変性剤、又は特開2011-132298号公報に記載のその他の変性剤を添加する方法が挙げられる。また、単離後の共重合体に無水マレイン酸等をグラフト化する方法も挙げられる。
(水素添加工程)
前記方法により得られたブロック共重合体(P1)又は変性されたブロック共重合体(P1)を水素添加する工程に付すことにより、スチレン系ブロック共重合体(A)を得ることができる。水素添加する方法は公知の方法を用いることができる。例えば、水素添加反応に影響を及ぼさない溶媒にブロック共重合体(P1)を溶解させた溶液に、チーグラー触媒、メタロセン系触媒又はパラジウムカーボンに代表される水素添加触媒を添加して、適切な水素圧及び反応温度で水素添加反応させて得ることができる。
<アクリル系ブロック共重合体(B)>
本発明のホットメルト型粘着剤組成物は、アクリル系ブロック共重合体(B)を含有する。本発明においてはアクリル系ブロック共重合体(B)を用いることにより、ホットメルト型粘着剤組成物を剥がした際の被着体に対する糊残りを抑制することが可能になる。本発明に用いるアクリル系ブロック共重合体(B)は、前述のとおり、アクリル酸エステル由来の構造単位を含有する重合体ブロック(b11)を1個以上、及びメタクリル酸エステル由来の構造単位を含有する重合体ブロック(b12)を1個以上有し、数平均分子量(Mn)が50,000~300,000であり、アクリル系ブロック共重合体(B)中の前記重合体ブロック(b12)の含有量が5~30質量%である。
本発明のホットメルト型粘着剤組成物は、アクリル系ブロック共重合体(B)を1種単独で含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
〔重合体ブロック(b11)〕
重合体ブロック(b11)は、アクリル酸エステル由来の構造単位を含有する。前記アクリル酸エステルは、一般式CH2=CH-COOR1(X)(式(X)中、R1は炭素数4~6の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステル(以下、アクリル酸エステル(b11-1)ともいう)、一般式CH2=CH-COOR2(Y)(式(Y)中、R2は炭素数7~12の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステル(以下、アクリル酸エステル(b11-2)ともいう)、これら以外のアクリル酸エステルに大別される。
前記式(X)における前記R1が示す炭素数4~6の有機基としては、例えばブチル基、アミル基(ペンチル基)、ヘキシル基、及びシクロヘキシル基等の炭素数4~6のアルキル基;フェニル基等の炭素数6の芳香族環基;エトキシエチル基、テトラヒドロフルフリル基、及びジエチルアミノエチル基等の炭素数の合計が4~6である酸素等の炭素以外の元素を含む有機基等が挙げられる。
前記アクリル酸エステル(b11-1)としては、例えば、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、及びアクリル酸フェニル等の官能基を有さないアクリル酸エステル;アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、及びアクリル酸ジエチルアミノエチル等の官能基を有するアクリル酸エステル等が挙げられる。
前記式(Y)における前記R2が示す炭素数7~12の有機基としては、例えばエチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、イソボルニル基、及びラウリル基等の炭素数7~12のアルキル基;ベンジル基等の炭素数7~12の芳香族環基、フェノキシエチル基等の炭素数の合計が7~12である酸素等の炭素以外の元素を含む有機基等が挙げられる。
前記アクリル酸エステル(b11-2)としては、例えばアクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、及びアクリル酸ベンジル等の官能基を有さないアクリル酸エステル;アクリル酸フェノキシエチル等の官能基を有するアクリル酸エステル等が挙げられる。
アクリル酸エステル(b11-1)及びアクリル酸エステル(b11-2)以外のアクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸オクタデシル等の官能基を有さないアクリル酸エステル;アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-アミノエチル、アクリル酸グリシジル等の官能基を有するアクリル酸エステル等が挙げられる。
アクリル酸エステル(b11-1)の中でも、得られるホットメルト型粘着剤組成物の柔軟性の観点から、官能基を有さないアクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸n-ブチルがより好ましい。
重合体ブロック(b11)中に含まれるアクリル酸エステル(b11-1)由来の構造単位の割合[(b11-1)/(b11)×100]は、10~100質量%であることが好ましく、30~100質量%であることがより好ましく、50~100質量%であることが更に好ましく、実質的に100質量%であってもよい。前記範囲にあると本発明のホットメルト型粘着剤組成物の成形加工性が良好になる。
アクリル酸エステル(b11-1)由来の構造単位、重合体ブロック(b11)の含有量は、1H-NMRによって求めることができ、具体的には実施例に記載の方法で求めることができる。
アクリル酸エステル(b11-2)の中でも、重合体ブロック(b11)と重合体ブロック(b12)との極性差がより大きくなることで、重合体ブロック(b11)と重合体ブロック(b12)の相分離がより明瞭となり、ホットメルト型粘着剤組成物としたときに高い凝集力を発現する観点から、官能基を有さないアクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸イソオクチル、及びアクリル酸ベンジルがより好ましい。また、得られるホットメルト型粘着剤組成物が広い温度範囲で安定した耐久性を発現する点から、アクリル酸2-エチルヘキシルがより好ましい。
前記アクリル酸エステルは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、重合体ブロック(b11)中のアクリル酸エステル由来の構造単位の含有量は、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、実質的に100質量%であってもよい。
前記アクリル酸エステルは、これらの中でも、アクリル系ブロック共重合体(B)とスチレン系ブロック共重合体(A)との相容性を向上し、安定した密着力及び加工性を発現させる観点から、アクリル酸エステル(b11-1)及びアクリル酸エステル(b11-2)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、アクリル酸エステル(b11-1)がより好ましい。
また前記観点から、前記重合体ブロック(b11)に含まれるアクリル酸エステル由来の構造単位となるアクリル酸エステルは、アクリル酸エステル(b11-1)から選ばれる少なくとも1種と、アクリル酸エステル(b11-2)から選ばれる少なくとも1種とを含んでもよい。この場合において、アクリル酸エステル(b11-1)由来の構造単位と前記アクリル酸エステル(b11-2)由来の構造単位との質量比[(b11-1)/(b11-2)]は、90/10~10/90であることが好ましく、80/20~20/80であることがより好ましく、70/30~30/70であることがより好ましく、60/40~40/60であることがより更に好ましい。
前記質量比[(b11-1)/(b11-2)]が前記範囲にあることにより、アクリル系ブロック共重合体(B)とスチレン系ブロック共重合体(A)との相容性がより向上し、より安定した密着力及び加工性を発現させることができる。なお、アクリル酸エステル(b11-1)由来の構造単位とアクリル酸エステル(b11-2)由来の構造単位との質量比は1H-NMR測定により求めることができる。
前記重合体ブロック(b11)に用いるアクリル酸エステル(b11-1)及びアクリル酸エステル(b11-2)の組み合わせとしては、例えば、アクリル酸n-ブチルとアクリル酸2-エチルヘキシル等との組合せが挙げられる。
このとき、用いるアクリル酸エステル(b11-1)及びアクリル酸エステル(b11-2)としては、アクリル酸エステル(b11-1)及びアクリル酸エステル(b11-2)の溶解度パラメーターの差が0.3~2.5(MPa)1/2であることがより好ましい。
前記溶解度パラメーターは、"POLYMER HANDBOOK Forth Edition"、VII 675-714頁(Wiley Interscience社、1999年発行)及び"Polymer Engineering and Science"、1974年、第14巻、147-154頁に記載の方法で計算することができる。
また、前記アクリル系ブロック共重合体(B)に、重合体ブロック(b11)が2つ以上含まれる場合には、それら重合体ブロック(b11)を構成するアクリル酸エステルの組み合わせ及びその割合は、同一であっても異なっていてもよい。
前記重合体ブロック(b11)が、アクリル酸エステル(b11-1)由来の構造単位及びアクリル酸エステル(b11-2)由来の構造単位の両方を含む共重合体である場合には、アクリル酸エステル(b11-1)及びアクリル酸エステル(b11-2)のランダム共重合体からなるものでもよいし、ブロック共重合体からなるものでもよいし、グラジェント共重合体からなるものでもよいが、通常ランダム共重合体からなるものが望ましい。前記アクリル系ブロック共重合体(B)に、重合体ブロック(b11)が2つ以上含まれる場合には、それら重合体ブロック(b11)の構造は、同一であっても異なっていてもよい。
また、重合体ブロック(b11)中に含まれるアクリル酸エステル(b11-1)及びアクリル酸エステル(b11-2)由来の構造単位の合計単位の割合は、重合体ブロック(b11)中60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、実質的に100質量%であってもよい。
前記重合体ブロック(b11)のガラス転移温度は-100~30℃であることが好ましく、-80~10℃であることがより好ましく、-70~0℃であることが更に好ましく、-60~-10℃であることがより更に好ましい。重合体ブロック(b11)のガラス転移温度が前記範囲内であると、アクリル系ブロック共重合体(B)を含む本発明のホットメルト型粘着剤組成物が常温において優れた密着力を有することができる。
〔重合体ブロック(b12)〕
重合体ブロック(b12)は、メタクリル酸エステル由来の構造単位を含有する。前記メタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等の官能基を有さないメタクリル酸エステル;メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-アミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等の官能基を有するメタクリル酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、得られるホットメルト型粘着剤組成物の耐熱性及び耐久性を向上させる観点から、官能基を有さないメタクリル酸エステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジルがより好ましい。更に重合体ブロック(b11)と重合体ブロック(b12)との相分離がより明瞭となり、ホットメルト型粘着剤組成物の機械物性を向上させる観点から、メタクリル酸メチルが更に好ましい。
重合体ブロック(b12)は、これらメタクリル酸エステルの1種から構成されていても、2種以上から構成されていてもよい。また、前記アクリル系ブロック共重合体(B)は、重合体ブロック(b12)を2つ以上有することが粘着耐久性を高める観点から好ましい。その場合、それら重合体ブロック(b12)は、同一であっても異なっていてもよい。
前記重合体ブロック(b12)のガラス転移温度は80~140℃であることが好ましく、90~130℃であることがより好ましく、100~120℃であることが更に好ましい。ガラス転移温度が前記範囲にあると、ホットメルト型粘着剤組成物の通常の使用温度において、前記重合体ブロック(b12)がアクリル系ブロック共重合体(B)の物理的な疑似架橋点として作用し、得られるホットメルト型粘着剤組成物の密着力、耐久性、及び耐熱性がより向上する。
前記重合体ブロック(b11)は、本発明の効果を損なわない範囲で、メタクリル酸エステル由来の構造単位を含有してもよく、重合体ブロック(b12)は、本発明の効果を損なわない範囲で、アクリル酸エステル由来の構造単位を含有してもよい。
また、重合体ブロック(b11)及び重合体ブロック(b12)は、必要に応じて(メタ)アクリル酸エステル以外の他の単量体由来の構造単位を含有してもよい。前記他の単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するビニル系単量体;スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン等のスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブテン、オクテン等のオレフィン系単量体;ε-カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系単量体;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
これら他の単量体を用いる場合は、その使用量は、各重合体ブロックに使用する単量体の全質量に対して、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
本発明に用いる前記アクリル系ブロック共重合体(B)は、前記重合体ブロック(b11)及び重合体ブロック(b12)の他に、必要に応じて他の重合体ブロックを有していてもよい。前記他の重合体ブロックとしては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、オクテン、酢酸ビニル、無水マレイン酸、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の単量体由来の構造単位を含有する重合体ブロック又は共重合体ブロック;ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサンからなる重合体ブロック等が挙げられる。また、前記重合体ブロックには、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン化合物由来の構造単位を含有する重合体ブロックの水素添加物も含まれる。
前記アクリル系ブロック共重合体(B)は、重合体ブロック(b11)をb11、重合体ブロック(b11)とは異なる構造の重合体ブロック(b11)(ただし、重合体ブロック(b12)を除く)をb’11、重合体ブロック(b12)をb12で表したときに、一般式:
(b12-b11)n
(b12-b11)n-b12
b11-(b12-b11)n
(b12-b11)n-b’11
(b12-b11)n-Z
(b11-b12)n-Z
(式中、nは1~30の整数、Zはカップリング部位(カップリング剤が重合体末端と反応して化学結合を形成した後のカップリング部位、-は各重合体ブロックの結合手を示す。)を表す。なお、式中複数のb11、b12が含まれる場合には、それらは同一構造の重合体ブロックであってもよいし、異なる構造の重合体ブロックであってもよい。)で表されるものであることが好ましい。
ここで「異なる構造」とは、重合体ブロックを構成する単量体単位、分子量、分子量分布、立体規則性、及び複数の単量体単位を有する場合には各単量体単位の比率及び共重合の形態(ランダム、グラジェント、ブロック)のうち少なくとも1つが異なる構造を意味する。
前記nの値は、1~15であることが好ましく、1~8であることがより好ましく、1~4であることが更に好ましい。前記の構造の中でも、ホットメルト型粘着剤組成物の耐久性を向上させる観点から、(b12-b11)n、(b12-b11)n-b12、b11-(b12-b11)n、(b12-b11)n-b’11で表される直鎖状のブロック共重合体が好ましく、b12-b11で表されるジブロック共重合体、重合体ブロック(b12)、前記重合体ブロック(b11)、前記重合体ブロック(b’11)の順にブロックを有する式:b12-b11-b’11で表されるトリブロック共重合体、及び重合体ブロック(b12)、前記重合体ブロック(b11)、前記重合体ブロック(b12)の順にブロックを有する式:b12-b11-b12で表されるトリブロック共重合体がより好ましく、式:b12-b11-b12で表されるトリブロック共重合体が更に好ましい。
また、本発明におけるアクリル系ブロック共重合体(B)は、ジブロック共重合体とトリブロック共重合体の混合物であってもよく、かかる場合、b12-b11-b’11で表されるトリブロック共重合体とb12-b11で表されるジブロック共重合体との混合物、b12-b11-b12で表されるトリブロック共重合体とb12-b11で表されるジブロック共重合体との混合物がより好ましく、b12-b11-b12で表されるトリブロック共重合体とb12-b11で表されるジブロック共重合体との混合物が更に好ましい。
〔アクリル系ブロック共重合体(B)の190℃における溶融粘度〕
アクリル系ブロック共重合体(B)の190℃における溶融粘度は、100Pa・s超1,200Pa・s以下であることが好ましく、スチレン系ブロック共重合体(A)の190℃における溶融粘度より低い。これによって、スチレン系ブロック共重合体(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)の相容性がより向上する。
相容性の観点からは、アクリル系ブロック共重合体(B)の190℃における溶融粘度は、160~1,150Pa・sであることがより好ましく、200~1,050Pa・sであることが更に好ましく、240~950Pa・sであることがより更に好ましい。本発明のホットメルト型粘着剤組成物が2種以上のアクリル系ブロック共重合体(B)を含む場合は、少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体(B)の溶融粘度が前記範囲内であればよいが、これらアクリル系ブロック共重合体(B)の混合物の溶融粘度(例えば、各共重合体の重量分率と溶融粘度を乗じたものの総和)が前記範囲内であることが好ましく、これらアクリル系ブロック共重合体(B)の混合物の溶融粘度が前記範囲内であり、且つ、全てのアクリル系ブロック共重合体(B)の溶融粘度が前記範囲内であることがより好ましい。
〔アクリル系ブロック共重合体(B)の230℃における溶融粘度〕
アクリル系ブロック共重合体(B)の230℃における溶融粘度は、20~550Pa・sであることが好ましい。溶融粘度が前記範囲内にあるアクリル系ブロック共重合体(B)が本発明のホットメルト型粘着剤組成物に含まれることにより、PMMA板等の極性の高い樹脂からなる基材に対してより優れた密着力を有し、加工性により優れるホットメルト型粘着剤組成物が得られる。
ホットメルト型粘着剤組成物の加工性を向上させる観点、及びスチレン系ブロック共重合体(A)との相容性を向上させる観点からは、アクリル系ブロック共重合体(B)の前記溶融粘度は、25~450Pa・sであることがより好ましく、30~350Pa・sであることが更に好ましく、35~250Pa・sであることがより更に好ましい。本発明のホットメルト型粘着剤組成物が2種以上のアクリル系ブロック共重合体(B)を含む場合は、これらの共重合体の混合物の溶融粘度(例えば、各共重合体の重量分率と溶融粘度を乗じたものの総和)が前記範囲内であることが好ましい。
なお、本明細書においてアクリル系ブロック共重合体(B)の230℃における溶融粘度は、ISO11443:1995に準拠し、温度230℃、せん断速度121.6(1/sec)で測定した溶融粘度を意味する。
〔アクリル系ブロック共重合体(B)の数平均分子量〕
前記アクリル系ブロック共重合体(B)の数平均分子量(Mn)は50,000~300,000である。数平均分子量が前記範囲内にあるアクリル系ブロック共重合体(B)を使用することで、得られるホットメルト型粘着剤組成物の粘着性、加工性に優れる。中でも、本発明で得られるホットメルト型粘着剤組成物の粘着性を良好にする点から、前記Mnは51,000~270,000であることが好ましく、52,000~250,000であることがより好ましく、53,000~230,000であることが更に好ましく、53,000~200,000であることがより更に好ましい。本発明のホットメルト型粘着剤組成物が2種以上のアクリル系ブロック共重合体(B)を含む場合は、少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体(B)の数平均分子量が前記範囲内であることが好ましく、すべてのアクリル系ブロック共重合体(B)の数平均分子量が前記範囲内であることがより好ましい。
前記アクリル系ブロック共重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は1.00~1.40であることが好ましい。ホットメルト型粘着剤組成物とした際の耐久性を向上させる観点から、Mw/Mnは、1.00~1.35であることがより好ましく、1.00~1.30であることが更に好ましく、1.00~1.25であることがより更に好ましく、1.00~1.20であることが特に好ましい。本発明のホットメルト型粘着剤組成物が2種以上のアクリル系ブロック共重合体(B)を含む場合は、少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体(B)のMw/Mnが前記範囲内であることが好ましく、すべてのアクリル系ブロック共重合体(B)のMw/Mnが前記範囲内であることがより好ましい。
なお、アクリル系ブロック共重合体(B)に関する数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレン換算で求めた値であり、分子量分布(Mw/Mn)は前記Mw及びMnの値から算出された値である。
〔各重合体ブロックの含有量〕
アクリル系ブロック共重合体(B)中の前記重合体ブロック(b11)の含有量は、70~95質量%であることが好ましい。アクリル系ブロック共重合体(B)中の重合体ブロック(b11)の含有量が前記範囲内にあると、ホットメルト型粘着剤組成物に柔軟性が付与され、またPMMA板等の極性の高い樹脂からなる基材へより優れた密着力を示す。ホットメルト型粘着剤組成物に柔軟性を付与する観点から、アクリル系ブロック共重合体(B)中の重合体ブロック(b11)の含有量は、72~93質量%であることがより好ましく、74~91質量%であることが更に好ましい。本発明のホットメルト型粘着剤組成物が2種以上のアクリル系ブロック共重合体(B)を含む場合は、少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体(B)の重合体ブロック(b11)について前記範囲内であることが好ましく、すべてのアクリル系ブロック共重合体(B)の重合体ブロック(b11)について前記範囲内であることがより好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(B)中の前記重合体ブロック(b12)の含有量は、5~30質量%である。重合体ブロック(b12)の含有量が前記範囲内にあると、本発明のホットメルト型粘着剤組成物の加工性がより優れ、またPMMA板へのより優れた密着力を示す。加工性の観点から、重合体ブロック(b12)の含有量は、7~28質量%であることがより好ましく、9~26質量%であることが更に好ましい。本発明のホットメルト型粘着剤組成物が2種以上のアクリル系ブロック共重合体(B)を含む場合は、少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体(B)の重合体ブロック(b12)について前記範囲内であることが好ましく、すべてのアクリル系ブロック共重合体(B)の重合体ブロック(b12)について前記範囲内であることがより好ましい。
重合体ブロック(b11)、重合体ブロック(b12)の含有量は、1H-NMRによって求めることができ、具体的には実施例に記載の方法で求めることができる。
〔アクリル系ブロック共重合体(B)の含有量〕
本発明のホットメルト型粘着剤組成物中に含まれるアクリル系ブロック共重合体(B)の含有量は、0.5~50質量%であることが好ましく、1.0~45質量%であることがより好ましく、1.5~40質量%であることが更に好ましい。アクリル系ブロック共重合体(B)の含有量が前記下限値以上であると優れた粘着性を維持しつつ、糊残りを抑制することができる。
〔アクリル系ブロック共重合体(B)の製造方法〕
前記アクリル系ブロック共重合体(B)の製造方法は、所望の重合体が得られる限りにおいて特に限定されることなく、公知の手法に準じた方法を採用することができる。一般に、分子量分布の狭いブロック共重合体を得る方法としては、構造単位となる単量体をリビング重合する方法を採用することができる。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤としてリビング重合する方法(特開平06-93060号公報参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩等の鉱酸塩の存在下でリビングアニオン重合する方法(特表平05-507737号公報参照)、有機アルミニウム化合物の存在下で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としリビングアニオン重合する方法(特開平11-335432号公報参照)、原子移動ラジカル重合法(ATRP)(Macromolecular Chemistry and Physics、2000年、201巻、p.1108-1114参照)等が挙げられる。
前記製造方法のうち、有機アルミニウム化合物の存在下で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてリビングアニオン重合する方法は、得られるブロック共重合体の透明性が高いものとなり、残存単量体が少なく臭気が抑えられ、ホットメルト型粘着剤組成物を成形する際、気泡の発生を抑制できるため好ましい。また、メタクリル酸エステル由来の構造単位の分子構造が高シンジオタクチックとなり、得られるホットメルト型粘着剤組成物の耐熱性を高める効果がある点からも好ましい。上述した有機アルミニウム化合物の存在下で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてリビングアニオン重合する方法では、通常、炭化水素等の有機溶媒中で重合を行うことが好ましい。また、その反応系内には、必要に応じてエーテル化合物、含窒素有機化合物等を添加することが好ましい。
<粘着付与樹脂(C)>
本発明のホットメルト型粘着剤組成物は粘着付与樹脂(C)を含有する。本発明においては粘着付与樹脂(C)を用いることによりホットメルト型粘着剤組成物の粘着性を向上させることができる。本発明に用いる粘着付与樹脂(C)は、軟化点が80~160℃であって、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、水添石油系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、水添芳香族コポリマー及びクマロン-インデン系樹脂からなる群から選ばれる2種以上である。これらの中でも、例えば天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンのグリセロールエステル、変性ロジンのグリセロールエステル、天然ロジンのペンタエリスリトールエステル、変性ロジンのペンタエリスリトールエステル、水素添加ロジン、水素添加ロジンのペンタエリスリトールエステル等のロジン系化合物;天然テルペンの共重合体、天然テルペンの3次元重合体、芳香族変性テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂の水素添加誘導体、テルペンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂の水素添加誘導体、テルペン樹脂(モノテルペン、ジテルペン、トリテルペン、ポリペルテン等)、水素添加テルペン樹脂、等のテルペン系化合物;脂肪族石油炭化水素樹脂(C5系樹脂)、脂肪族石油炭化水素樹脂の水素添加誘導体、スチレンオリゴマー等の芳香族石油炭化水素樹脂(C9系樹脂)、芳香族石油炭化水素樹脂の水素添加誘導体、ジシクロペンタジエン系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂の水素添加誘導体、C5/C9共重合系樹脂、C5/C9共重合系樹脂の水素添加物、環状脂肪族石油炭化水素樹脂、環状脂肪族石油炭化水素樹脂の水素添加物等の炭化水素樹脂からなる群から選ばれる2種以上を用いることが好ましい。
本発明においては、これらの中でも、スチレン系ブロック共重合体(A)との相容性向上の観点からは炭化水素樹脂、アクリル系ブロック共重合体(B)との相容性の観点からは、芳香族石油炭化水素樹脂(C9系樹脂)、特にスチレンオリゴマーを選択することが好ましく、これらを2種類以上組み合わせて用いることがより好ましい。
本発明のホットメルト型粘着剤組成物中の粘着付与樹脂(C)の含有量は、5~40質量%であることが好ましく、10~38質量%であることがより好ましく、15~35質量%であることが更に好ましい。ホットメルト型粘着剤組成物中の粘着付与樹脂(C)の含有量が前記下限値以上であると十分な粘着力が得られる。一方、ホットメルト型粘着剤組成物中の粘着付与樹脂(C)の含有量が前記上限値以下であると、糊残りを抑制することができる。
<軟化剤(D)>
本発明のホットメルト型粘着剤組成物は更に軟化剤(D)を含有する。本発明においては軟化剤(D)を用いることによりホットメルト型粘着剤組成物の流動性が向上し、各成分が均一に相容しやすくなる結果、ホットメルト型粘着剤組成物の粘着性が向上する。
本発明においては軟化剤として液状アクリル系ポリマー、アクリルオリゴマー、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルからなる群から選ばれる1種以上を用いる。なお、軟化剤(D)は、前述のスチレン系ブロック共重合体(A)、アクリル系ブロック共重合体(B)及び粘着付与樹脂(C)以外の成分である。
これらの中でも軟化剤(D)としては、液状アクリル系ポリマーやアクリルオリゴマー等のアクリル系ポリマー、パラフィン系プロセスオイルであることが好ましい。
本発明のホットメルト型粘着剤組成物中の軟化剤(D)の含有量は、1~30質量%であることが好ましく、3~25質量%であることがより好ましく、5~20質量%であることが更に好ましい。ホットメルト型粘着剤組成物中の軟化剤(D)の含有量が前記下限値以上であるとホットメルト型粘着剤組成物の各成分が均一に混合されるようになる。一方、ホットメルト型粘着剤組成物中の軟化剤(D)の含有量が前記上限値以下であると、軟化剤(D)の効果とコストとのバランスが良好になる。
<任意成分>
本発明のホットメルト型粘着剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて、前記各成分以外の任意成分を含んでもよい。本発明において用いる任意成分としては、例えば、酸化防止剤、無機充填材、他の熱可塑性重合体(スチレン系ブロック共重合体(A)、アクリル系ブロック共重合体(B)を除く)、滑剤、光安定剤、加工助剤、顔料や色素等の着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、シリコンオイル、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、香料等の任意成分が挙げられる。これら任意成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系、リン系、ラクトン系、ヒドロキシル系の酸化防止剤等が挙げられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。前記酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記無機充填材は、本発明のホットメルト型粘着剤組成物の耐熱性、耐候性等の物性の改良、硬度調整、増量剤としての経済性の改善等を目的として含有させることができる。無機充填材としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、マイカ、クレー、天然ケイ酸、合成ケイ酸、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸バリウム、ガラスバルーン、ガラス繊維等が挙げられる。前記無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のホットメルト型粘着剤組成物が前記任意成分を含有する場合、その含有量は0.5~10質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましく、1~3質量%であることが更に好ましい。
<ホットメルト型粘着剤組成物の溶融粘度(B型粘度)>
ホットメルト型粘着剤組成物の160℃における溶融粘度は、5,000~50,000mPa・sであることが好ましく、7,000~45,000mPa・sであることがより好ましく、8,000~40,000mPa・sであることが更に好ましい。ホットメルト型粘着剤組成物の160℃における溶融粘度が前記下限値以上であると優れた粘着性を示す。一方、前記上限値以下であるとホットメルト型粘着剤組成物の糊残りを抑制することができる。
なお、本明細書においてホットメルト型粘着剤組成物の溶融粘度は、B型粘度計を用いて測定した値であって、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
<ホットメルト型粘着剤組成物の製造方法>
本発明のホットメルト型粘着剤組成物の製造方法は特に制限されず、例えば、各成分を、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー等の既知の混合又は混練装置を使用して、通常100~250℃の範囲内の温度で混合することにより製造できる。また、各成分を有機溶媒に溶解して混合した後、該有機溶媒を留去することによって製造してもよい。得られたホットメルト型粘着剤組成物は、加熱溶融して使用可能であり、あるいは溶媒に溶解させて溶液型粘接着剤として使用してもよい。溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、エチルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、トルエン-エタノール混合溶媒等が挙げられる。なかでもトルエン、エチルベンゼン、酢酸エチル、メチルエチルケトンが好ましい。
なお、本発明のホットメルト型粘着剤組成物を加熱溶融して使用する場合、加工性、取扱性の観点から、溶融粘度が低いことが好ましい。一方、ホットメルト型粘着剤組成物の粘着特性と高保持力(耐クリープ性)を両立する観点からは、溶融粘度は高いことが好ましい。
本発明のホットメルト型粘着剤組成物は、ホットメルト型粘着剤組成物からなる粘接着層や、該粘接着層を含む積層体(例えば、積層フィルム又は積層シート)等の形態での粘接着製品に好適に用いられる。
前記粘接着層を形成する方法としては、本発明のホットメルト型粘着剤組成物を加熱溶融して用いる場合、例えば、ホットメルト塗工法、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー成形法、ラミネーション法等を用いてシート状やフィルム状等の形状に形成する方法が挙げられる。本発明のホットメルト型粘着剤組成物の溶融粘度が高い場合、より高い温度で加熱溶融させるため、Tダイから加熱溶融物を非接触で支持体上に塗布するホットメルト塗工方法が、粘着層の厚み制御、均質性、及び支持体に必要な耐熱性の観点から好ましい。
また、本発明のホットメルト型粘着剤組成物を溶媒に溶解して用いる場合、例えば、支持体としてポリエチレンテレフタレート等の耐熱材料やスチールベルト等の平板又はロールを用い、これらの上に、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター等を用いて本発明のホットメルト型粘着剤組成物を溶媒に溶解させた溶液を塗工し、乾燥により溶媒を除去する方法(溶液キャスト法)を用いて粘接着層を形成することができる。
乾燥により溶媒を除去する方法は、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができるが、複数の段階に分けて乾燥を行うことが好ましい。複数の段階に分けて乾燥を行う場合には、1段階目の乾燥は、溶媒の急激な揮発による発泡を抑制するために、比較的低い温度で行い、2段階目以降の乾燥は、十分に溶媒を除去するために、高温で乾燥を行う方法がより好ましい。
前記溶液中のホットメルト型粘着剤組成物の濃度は、該組成物の溶媒に対する溶解度、得られる溶液の粘度等を考慮して適宜決定されるが、5質量%以上であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
<ホットメルト型粘着剤組成物の用途>
本発明のホットメルト型粘着剤組成物は、種々の用途に使用できる。またホットメルト型粘着剤組成物からなる粘接着層は、単体で粘接着シートとして使用できるし、ホットメルト型粘着剤組成物を含む積層体も種々の用途に適用できる。例えば、表面保護等の保護用、マスキング用、結束用、包装用、事務用、ラベル用、装飾・表示用、接合用、ダイシングテープ用、シーリング用、防食・防水用、医療・衛生用、ガラス飛散防止用、電気絶縁用、電子機器保持固定用、半導体製造用、光学表示フィルム用、粘着型光学フィルム用、電磁波シールド用、又は電気・電子部品の封止材用の粘接着剤、粘着テープ、フィルム又はシート等が挙げられる。以下、具体例を挙げる。
表面保護用の粘接着剤、粘着テープ又はフィルム等は、金属、プラスチック、ゴム、木材等種々の材料に使用でき、具体的には塗料面、金属の塑性加工や深絞り加工時、自動車部材、光学部材の表面保護のために使用できる。
該自動車部材としては、塗装外板、ホイール、ミラー、ウィンドウ、ライト、ライトカバー等が挙げられる。該光学部材としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の各種画像表示装置;偏光フィルム、偏光板、位相差板、導光板、拡散板、DVD等の光ディスク構成フィルム;電子・光学用途向け精密ファインコート面板等が挙げられる。
マスキング用の粘接着剤、テープやフィルム等の用途としては、プリント基板やフレキシブルプリント基板の製造時のマスキング;電子機器でのメッキやハンダ処理時のマスキング;自動車等車両の製造、車両・建築物の塗装、捺染、土木工事見切り時のマスキング等が挙げられる。
結束用途としては、ワイヤーハーネス、電線、ケーブル、ファイバー、パイプ、コイル、巻線、鋼材、ダクト、ポリ袋、食品、野菜、花卉等が挙げられる。
包装用途としては、重量物梱包、輸出梱包、段ボール箱の封緘、缶シール等が挙げられる。
事務用途としては、事務汎用、封緘、書籍の補修、製図、メモ用等が挙げられる。
ラベル用途としては、価格、商品表示、荷札、POP、ステッカー、ストライプ、ネームプレート、装飾、広告用等が挙げられる。
前記ラベルとしては、紙、加工紙(アルミ蒸着加工、アルミラミネート加工、ニス加工、樹脂加工等を施された紙)、合成紙等の紙類;セロハン、プラスチック材料、布、木材及び金属製のフィルム等を基材とするラベルが挙げられる。基材としては、例えば上質紙、アート紙、キャスト紙、サーマル紙、ホイル紙;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、OPPフィルム、ポリ乳酸フィルム、合成紙、合成紙サーマル、オーバーラミフィルム等が挙げられる。中でも、本発明のホットメルト型粘接着剤組成物は、耐候性に優れる点で、経時的な変色が少ないため、サーマル紙や合成紙サーマルを基材とするサーマルラベルに好適に用いることができる。
前記ラベルの被着体としては、プラスチックボトル、発泡プラスチック製ケース等のプラスチック製品;ダンボール箱等の紙製・ダンボール製品;ガラス瓶等のガラス製品;金属製品;セラミックス等その他の無機材料製品等が挙げられる。
本発明のホットメルト型粘接着剤組成物からなる粘接着層を含む積層体からなるラベルは、室温よりやや高い温度(例えば40℃)で保管時に接着亢進が少なく、使用後に糊残りなく剥がすことができる。しかも低温(-40~+10℃)でも被着体に貼合でき、低温(-40~+10℃)で保管しても剥がれることがない。
装飾・表示用途としては、危険表示シール、ラインテープ、配線マーキング、蓄光テープ、反射シート等が挙げられる。
粘着型光学フィルム用途としては、例えば偏光フィルム、偏光板、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、反射防止フィルム、アンチグレアフィルム、カラーフィルター、導光板、拡散フィルム、プリズムシート、電磁波シールドフィルム、近赤外線吸収フィルム、機能性複合光学フィルム、ITO貼合用フィルム、耐衝撃性付与フィルム、輝度向上フィルム、視認性向上フィルム等の片面若しくは両面の少なくとも一部又は全部に粘接着層を形成した光学フィルム等が挙げられる。かかる粘着型光学フィルムは、前記光学フィルムの表面保護のために用いられる保護フィルムに本発明のホットメルト型粘接着剤組成物からなる粘接着層を形成させたフィルムを含む。粘着型光学フィルムは、液晶表示装置、PDP、有機EL表示装置、電子ペーパー、ゲーム機、モバイル端末等の各種画像表示装置に好適に用いられる。
電気絶縁用途としては、コイルの保護被覆又は絶縁、モータ・トランス等の層間絶縁等が挙げられる。
電子機器保持固定用途としては、キャリアテープ、パッケージング、ブラウン管の固定、スプライシング、リブ補強等が挙げられる。
半導体製造用としては、シリコンウエハーの保護用等が挙げられる。
接合用途としては、各種接着分野、自動車、電車、電気機器、印刷版固定、建築、銘板固定、一般家庭用、粗面、凹凸面、曲面への接着用等が挙げられる。
シーリング用途としては、断熱、防振、防水、防湿、防音又は防塵用のシーリング等が挙げられる。
防食・防水用途としては、ガス、水道管の防食、大口径管の防食、土木建築物の防食等が挙げられる。
医療・衛生用途としては、鎮痛消炎剤(プラスター、パップ)、虚血性心疾患治療剤、女性ホルモン補充剤、気管支拡張剤、癌性疼痛緩和剤、禁煙補助剤、感冒用貼付剤、鎮痒パッチ、角質軟化剤等の経皮吸収薬用途;救急絆創膏(殺菌剤入り)、サージカルドレッシング・サージカルテープ、絆創膏、止血絆、ヒト排泄物処理装着具用テープ(人工肛門固定テープ)、縫合用テープ、抗菌テープ、固定テーピング、自着性包帯、口腔粘膜貼付テープ、スポーツ用テープ、脱毛用テープ等種々のテープ用途;フェイスパック、目元潤いシート、角質剥離パック等の美容用途;冷却シート、温熱カイロ、防塵、防水、害虫捕獲用等が挙げられる。
電子・電気部品の封止材用途としては、液晶モニター、太陽電池等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例の各物性は、以下の方法により測定又は評価した。
[測定方法及び評価方法]
<溶融粘度>
スチレン系ブロック共重合体(A)、スチレン系ブロック共重合体(A’)、アクリル系ブロック共重合体(B)及びアクリル系ブロック共重合体(B’)の溶融粘度は、ISO11443:1995に準拠して、キャピログラフを用いて測定した。測定は3回行い、この平均値を溶融粘度とした。
・装置:(株)東洋精機製作所、製品名「CAPIROGRAPH 1C」
・温度:190℃又は230℃
・せん断速度:121.6(1/sec)
・キャピラリーダイ内径:直径1.0mm
・キャピラリーダイ長:10.0mm
・ピストン径:直径9.510mm
・炉体経:直径9.55mm
<B型粘度測定>
ホットメルト型粘着剤組成物の溶融粘度は、B型粘度計を用いて測定した。
・装置:BLOOKFIELD社製(DV2T(RV型))
・回転数:6~50rpm
・測定温度:160℃
・スピンドル:SC4-29
<数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)>
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(以下「GPC」という)によりポリスチレン換算分子量で数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求め、これらの値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。詳細は以下のとおりである。
・装置:東ソー(株)製GPC装置「HLC-8020」
・分離カラム:東ソー(株)製の「TSKgel GMHXL」、「G4000HXL」及び「G5000HXL」を直列に連結
・溶離剤:テトラヒドロフラン
・溶離剤流量:1.0ml/分
・カラム温度:40℃
・検出方法:示差屈折率(RI)
<スチレン系ブロック共重合体(A)、スチレン系ブロック共重合体(A’)、アクリル系ブロック共重合体(B)、及びアクリル系ブロック共重合体(B’)における各重合体ブロックの質量比>
スチレン系ブロック共重合体(A)(ブロック共重合体(P1))、スチレン系ブロック共重合体(A’)(ブロック共重合体(P2))、アクリル系ブロック共重合体(B)、及びアクリル系ブロック共重合体(B’)における各重合体ブロックの構成割合及び各重合体ブロックの組成比は、下記の測定条件で1H-NMR(1H-核磁気共鳴)測定を行い各単量体単位の特徴的な基に帰属されピークの積算値から求めた。
〔測定条件〕
・装置:日本電子(株)製 核磁気共鳴装置「JNM-LA400」
・重溶媒:重水素化クロロホルム
スチレン系ブロック共重合体に関しては、水添前のブロック共重合体(ブロック共重合体(P1)、ブロック共重合体(P2)等)を重水素化クロロホルムに溶解して、上述の装置を用いて、スチレンに由来するピークの積算値と共役ジエンに由来するピークの積算値の比から各重合体ブロックの含有量を算出した。
アクリル系ブロック共重合体(B)、アクリル系ブロック共重合体(B’)に関しては、以下のようにして各重合体ブロックの含有量を算出した。すなわち、1H-NMRスペクトルにおいて3.6ppm及び4.0ppm付近のシグナルは、それぞれ、メタクリル酸メチル由来の構造単位のエステル基に含まれる酸素原子に隣接する炭素原子に結合した水素原子(-O-CH3)、アクリル酸n-ブチル由来の構造単位のエステル基に含まれる酸素原子に隣接する炭素原子に結合した水素原子(-O-CH2-CH2-CH2-CH3)に帰属され、これらシグナルの積算値の比から各単量体単位のモル比を求め、これを単量体単位の分子量をもとに質量比に換算する。これにより各重合体ブロックの含有量を算出した。
<1,2-結合及び3,4-結合量(ビニル化度)>
スチレン系ブロック共重合体(A)、スチレン系ブロック共重合体(A’)の1,2-結合及び3,4-結合量(ビニル化度)は、下記の測定条件で、1H-NMR(1H-核磁気共鳴)測定を行い各単量体単位の特徴的な基に帰属されピークの積分値から求めた。
・装置:日本電子(株)製 核磁気共鳴装置「JNM-LA400」
・重溶媒:重水素化クロロホルム
[実施例で使用した原料]
<スチレン系ブロック共重合体(A)及びスチレン系ブロック共重合体(A’)の製造>
スチレン系ブロック共重合体(A)に該当する(A-1)、(A-2)及びスチレン系ブロック共重合体(A’)に該当する(A’-1)は、以下のようにして製造した。
シクロヘキサン溶媒中、必要に応じてテトラヒドロフラン等のルイス塩基の存在下、有機アルカリ金属であるsec-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液)を重合開始剤として、各ブロックに相当する単量体(スチレン、イソプレン、ブタジエン)を逐次添加してアニオン重合により複数の重合体ブロックからなるブロック共重合体(P1)又は(P2)を含む重合反応液を得た。重合反応停止後、このブロック共重合体(P1)又は(P2)を含む反応液に水素添加触媒であるパラジウムカーボンを添加し、水素添加反応を行った。水素添加反応を停止し、放冷、放圧後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、濾液を濃縮し、更に真空乾燥することにより、スチレン系ブロック共重合体(A-1)、(A-2)、(A’-1)を得た。なお、詳細な製造条件は、例えば、特許第5936791号に記載の各合成例等を参考に決定できる。
前記製造方法により得られた、スチレン系ブロック共重合体(A-1)、(A-2)、(A’-1)の各特性を表1にまとめる。
・スチレン系ブロック共重合体(A-1)
スチレン系ブロック共重合体(A-1)は、スチレン重合体ブロック/ブタジエン重合体ブロック/スチレン重合体ブロックからなるトリブロック共重合体の水素添加物である。
・スチレン系ブロック共重合体(A-2)
スチレン系ブロック共重合体(A-2)は、スチレン重合体ブロック/イソプレン重合体ブロック/スチレン重合体ブロックからなるトリブロック共重合体の水素添加物である。
・スチレン系ブロック共重合体(A’-1)
スチレン系ブロック共重合体(A’-1)は、スチレン重合体ブロック/イソプレン重合体ブロック/スチレン重合体ブロックからなるトリブロック共重合体の水素添加物とスチレン重合体ブロック/イソプレン重合体ブロックからなるジブロック共重合体の水素添加物との混合物である。
なお、スチレン系ブロック共重合体(A’-1)ではこれら混合物全体におけるスチレン重合体ブロックの含有量を重合体ブロック(a11)の含有量とし、また混合物全体のMn、Mw/Mn、溶融粘度、ビニル化度を、スチレン系ブロック共重合体(A’-1)のそれぞれの値としている。
Figure 2022189944000001
<アクリル系ブロック共重合体(B)、アクリル系ブロック共重合体(B’)>
アクリル系ブロック共重合体(B)に該当する(B-1)~(B-3)及びアクリル系ブロック共重合体(B’)に該当する(B’-1)は以下のようにリビングアニオン重合により製造した。
トルエン溶媒中、エーテル化合物である1,2-ジメトキシエタン、有機アルミニウム化合物であるイソブチルビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウムの存在下で有機アルカリ金属化合物であるsec-ブチルリチウムを重合開始剤として、表2に記載の各重合体ブロックの仕込み比率に沿って、まず所定量のメタクリル酸メチルを仕込んだ。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間撹拌後には無色となった。引き続き、重合液の内部温度を-30℃に冷却し、-20℃を超えないように連続的に所定量のアクリル酸n-ブチルを仕込み、仕込み後-30℃にて5分間撹拌した。更に、これに所定量のメタクリル酸メチルを仕込み、一晩室温にて撹拌して、複数の重合体ブロックからなるアクリル系ブロック共重合体(B)又はアクリル系ブロック共重合体(B’)を含む重合反応液を得た。重合反応停止後、アルミニウム分、リチウム分を除去し、その重合反応液を脱揮二軸押出機に導入し、揮発分を除去して、アクリル系ブロック共重合体(B)、及びアクリル系ブロック共重合体(B’)を得た。表2にアクリル系ブロック共重合体(B-1)~(B-3)、及び(B’-1)の各特性をまとめる。
・アクリル系ブロック共重合体(B-1)
下記の表2に示した通り、アクリル系ブロック共重合体(B-1)は、メタクリル酸メチル重合体ブロック(PMMA)-アクリル酸n-ブチル重合体ブロック(PnBA)-メタクリル酸メチル重合体ブロック(PMMA)のトリブロック共重合体である。
・アクリル系ブロック共重合体(B-2)
アクリル系ブロック共重合体(B-2)は、メタクリル酸メチル重合体ブロック(PMMA)-アクリル酸n-ブチル重合体ブロック(PnBA)-メタクリル酸メチル重合体ブロック(PMMA)のトリブロック共重合体である。
・アクリル系ブロック共重合体(B-3)
アクリル系ブロック共重合体(B-3)は、メタクリル酸メチル重合体ブロック(PMMA)-アクリル酸n-ブチル重合体ブロック(PnBA)-メタクリル酸メチル重合体ブロック(PMMA)のトリブロック共重合体である。
・アクリル系ブロック共重合体(B’-1)
アクリル系ブロック共重合体(B’-1)は、メタクリル酸メチル重合体ブロック(PMMA)-アクリル酸n-ブチル重合体ブロック(PnBA)-メタクリル酸メチル重合体ブロック(PMMA)のトリブロック共重合体である。
Figure 2022189944000002
<粘着付与樹脂>
表3に実施例及び比較例で使用した粘着付与樹脂(C)を記載する。
Figure 2022189944000003
<軟化剤>
表4に実施例及び比較例で使用した軟化剤(D)を記載する。
Figure 2022189944000004
<実施例1~10、比較例1~6>
〔ホットメルト型粘着剤組成物の製造方法〕
表5に記載の配合割合で、スチレン系ブロック共重合体、アクリル系ブロック共重合体、粘着付与樹脂及び軟化剤を下記の混錬機を用いて、下記溶融温度及び混練条件で溶融混練し、ホットメルト型粘着剤組成物を製造した。
混錬機 :BENCH KNEADER PBV-0.3K((株)入江商会)
溶融温度:180℃
回転数 :40rpm
次いで、得られたホットメルト型粘着剤組成物をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡(株)製エステルフィルムA3100、厚み50μm)の離型未処理面上に厚み25μmになるように下記のロールコーターを用いて、下記溶融温度でホットメルト塗工し、PETフィルム層と粘着剤層との構成からなる粘着ロールフィルムを得た。
塗工機:ホットメルトラボコーター KMD-HML10((株)久保設計)
溶融温度:160℃
得られた粘着ロールフィルムからサンプルを幅25mm×長さ150mmに切断して粘着テープとし、粘着物性を下記の方法にて評価した。
<粘着力の試験方法>
粘着テープを、貼合機(ChemInstruments製;2kgゴムローラー、10mm/sec)で被着体(アクリル板〔PMMA〕、ステンレス板〔SUS304〕、ポリエチレン板〔HDPE板〕、硬質ポリ塩化ビニル板〔硬質PVC板〕)に23℃で圧着貼合した後、23℃、50%RHの条件で24時間、及び60℃、50%RHの条件で168時間調整した。その後、JIS Z0237:2009に準拠して、貼合したフィルムを剥がす際にかかる力を、下記測定環境下で、下記引張条件(引張速度、剥離角度)で、下記引張試験機により測定し、測定本数5本の平均値を求めた。
引張試験機:卓上引張試験機(AGS-X:(株)島津製作所製)
引張速度:300mm/min
剥離角度:180°
測定環境:23℃×50RH
結果を表5に示す。なお、表5における粘着力変化率は、「60℃,168時間保管後の粘着力」/「23℃,50%RH,24時間保管後の粘着力」を意味する。
<糊残り>
粘着テープを剥がした後、被着体の貼った跡を目視にて観察し、下記の判定基準によって被着体への汚染性を評価した。
E(Excellent):被着体面に粘着テープを貼った跡が全くみられない。
G(Good) :被着体面に粘着テープを貼った跡が弱くみられるが実用上問題ない。
P(Poor) :被着体面に粘着テープを貼った跡が強くみられる。
Figure 2022189944000005
実施例及び比較例の結果より明らかなように、本発明のホットメルト型粘着剤組成物は、各種被着体に対する粘着力に優れると共に、ホットメルト型粘着剤組成物を剥がした際の被着体に対する糊残りを抑制することができる。

Claims (4)

  1. スチレン系ブロック共重合体(A)、アクリル系ブロック共重合体(B)、粘着付与樹脂(C)及び軟化剤(D)を含み、下記条件(1)~(6)を満たすことを特徴とするホットメルト型粘着剤組成物。
    <条件(1)>
    スチレン系ブロック共重合体(A)の190℃における溶融粘度(PA)と、アクリル系ブロック共重合体(B)の190℃における溶融粘度(PB)とが、PA<PBの関係を満たす。
    <条件(2)>
    アクリル系ブロック共重合体(B)に対するスチレン系ブロック共重合体(A)の含有量の質量比[(A)/(B)]が10/90~95/5である。
    <条件(3)>
    スチレン系ブロック共重合体(A)が、スチレン系化合物由来の構造単位を含有する重合体ブロック(a11)を1個以上、及び共役ジエン化合物由来の構造単位を含有する重合体ブロック(a12)を1個以上有するブロック共重合体(P1)の水素添加物であり、ISO11443:1995に準拠して、温度190℃、せん断速度121.6(1/sec)で測定した前記溶融粘度(PA)が100Pa・s以上600Pa・s未満である。
    <条件(4)>
    アクリル系ブロック共重合体(B)が、アクリル酸エステル由来の構造単位を含有する重合体ブロック(b11)を1個以上、及びメタクリル酸エステル由来の構造単位を含有する重合体ブロック(b12)を1個以上有し、数平均分子量(Mn)が50,000~300,000であり、アクリル系ブロック共重合体(B)中の前記重合体ブロック(b12)の含有量が5~30質量%である。
    <条件(5)>
    粘着付与樹脂(C)が、軟化点が80~160℃である粘着付与樹脂であって、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、水添石油系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、水添芳香族コポリマー及びクマロン-インデン系樹脂からなる群から選ばれる2種以上である。
    <条件(6)>
    軟化剤(D)が、液状アクリル系ポリマー、アクリルオリゴマー、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルからなる群から選ばれる1種以上である。
  2. 前記アクリル系ブロック共重合体(B)の190℃における溶融粘度(PB)が100Pa・s超1,200Pa・s以下である、請求項1に記載のホットメルト型粘着剤組成物。
  3. 前記ホットメルト型粘着剤組成物中に含まれる前記スチレン系ブロック共重合体(A)の含有量が3~70質量%である、請求項1又は2に記載のホットメルト型粘着剤組成物。
  4. 前記ホットメルト型粘着剤組成物中に含まれる前記アクリル系ブロック共重合体(B)の含有量が0.5~50質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載のホットメルト型粘着剤組成物。
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