JP2022189169A - 連続鋳造用のストッパー - Google Patents
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Abstract
【課題】ストッパーの嵌合部付近における介在物の付着を抑制するとともに、ストッパーの先端領域が強度不足により割れたり剥離することを防止する。【解決手段】上下方向中心部にガス流通のための空洞11を備える連続鋳造用のストッパー1において、先端側部領域Cの上下方向断面の少なくとも一部において、外周面側にガス透過性を有する多孔質耐火物12、内周面側に多孔質耐火物12よりも高強度の耐火物13を配置した。【選択図】図1
Description
本発明は、溶鋼の連続鋳造において、主としてタンディッシュから鋳型に溶鋼を排出する際に、そのタンディッシュ底部に設置されているノズルに上方から嵌合することにより溶鋼の流量制御を行う、ガス吹き込み機能を備える連続鋳造用のストッパーに関する。
従来、ストッパーとノズルの嵌合部付近においては、アルミナ等の介在物が付着する問題があった。例えば、鋳造中において、ストッパーの嵌合部付近に介在物が付着し、その付着した介在物が剥離すると、瞬間的にストッパーとノズルとの間の隙間が大きくなって多量の溶鋼が供給されるため鋳型内の湯面変動が発生する。そうすると、鋳型内でパウダー巻き込み等が発生し、鋳片にパウダーや介在物等が巻き込まれ、製品に介在物起因の疵や欠陥が発生する問題があった。このため、ストッパーの嵌合部付近の介在物の付着を抑制する必要があった。
ストッパーの嵌合部付近の介在物の付着を抑制する技術としては、ストッパーの先端領域の一部を多孔質耐火物で構成した技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、ストッパーの先端領域に貫通孔を設けた構成も知られている(例えば、特許文献2参照)。
例えば、特許文献1の第4図に示すように、ストッパーの先端を多孔質先端部分76で構成した場合、多孔質先端部分76からのみガスが吹き込まれる構成であるので、ストッパーの嵌合部付近における介在物の付着は抑制できない。また、特許文献1の第3図に示すようにストッパーの先端領域の上下方向において多孔質先端部分66が低透過性耐火材料に挟まれた構成も知られているが、この構成の場合、ストッパーの横方向断面で見たときに、全面が多孔質材質(多孔質先端部分66)で構成されているので、構造上強度が十分ではない。このため、鋳造中の制御時における衝撃や振動などにより多孔質先端部分66が割れたり剥離する可能性がある。
一方、特許文献2に示すように、ストッパーの先端領域に貫通孔を設けた構成では、アルミナ介在物の付着を抑制するために多数の貫通孔(例えば第5図に示すように多数の貫通孔)を設ける必要がある。そうすると、製造が複雑になり製造コストが高くなる問題があった。また、貫通孔から出る気泡は、多孔質耐火物から出る気泡のように微細な気泡とならず、介在物の付着を抑制できない問題もあった。また、一般的に貫通孔を設ける構成において貫通孔の孔径は2~5mmと大きくなる。この場合、気泡径が大きくなり、介在物の付着を抑制する効果を発揮できない。また、鋳型内でのボイリングも発生しやすく、パウダー巻き込みを発生しやすくなる。
そこで本発明の課題は、ストッパーの嵌合部付近における介在物の付着を抑制するとともに、ストッパーの先端領域が強度不足により割れたり剥離することを防止することにある。
本発明の一観点によれば、次の連続鋳造用のストッパーが提供される。
上下方向中心部にガス流通のための空洞を備える連続鋳造用のストッパーであって、
先端側部領域の上下方向断面の少なくとも一部において、外周面側にガス透過性を有する多孔質耐火物、内周面側に前記多孔質耐火物よりも高強度の耐火物が配置されている、連続鋳造用のストッパー。
上下方向中心部にガス流通のための空洞を備える連続鋳造用のストッパーであって、
先端側部領域の上下方向断面の少なくとも一部において、外周面側にガス透過性を有する多孔質耐火物、内周面側に前記多孔質耐火物よりも高強度の耐火物が配置されている、連続鋳造用のストッパー。
本発明によれば、ストッパーの先端側部領域の外周面側に配置された多孔質耐火物から溶鋼中に吹き込まれたガスによる気泡は、溶鋼によりストッパーの嵌合部付近に引き込まれる。これにより、ストッパーの嵌合部付近に気泡が供給され、ストッパーの嵌合部付近におけるアルミナ等の介在物の付着を抑制することができる。また、多孔質耐火物から溶鋼中に吹き込まれたガスによる気泡は、貫通孔から溶鋼中に吹き込まれたガスによる気泡よりも微細な気泡となる。このため、貫通孔から溶鋼中にガスを吹き込む構成よりも介在物の付着を抑制することができる。さらに、ストッパーの先端側部領域の内周面側には多孔質耐火物よりも高強度の耐火物が配置されているので、ストッパーの先端領域、特に先端側部領域が強度不足により割れたり剥離するのを防止することができる。
図1に、本発明の一実施形態である連続鋳造用のストッパー(以下、単に「ストッパー」という。)1を上下方向断面で示している。また、図2には図1のA-A方向断面を示している。ここで、ストッパー1の上下方向断面とは、ストッパー1の上下方向中心軸Bを通る縦方向断面のことをいう。また、図1では、ストッパー1が上方から嵌合するノズル2を仮想的に示している。このノズル2は、具体的にはタンディッシュ底部に設置されているノズル(上ノズル)である。
ストッパー1は、上下方向中心部にガス流通のための空洞11を備えている。そして、ストッパー1の先端側部領域Cの上下方向断面の少なくとも一部において、外周面側にガス透過性を有する多孔質耐火物12、内周面側に多孔質耐火物12よりも高強度の耐火物(以下「高強度耐火物」という。)13が配置されている。
ここで、ストッパー1の先端側部領域Cとは、ストッパー1のノズル2との嵌合部14より上方の先端領域のことをいい、本明細書では、この先端側部領域Cと、ストッパー1の嵌合部14より下方の領域とを合わせてストッパーの先端領域Dという。
本発明では、先端側部領域Cの上下方向断面の少なくとも一部において外周面側に多孔質耐火物12を配置するが、具体的に多孔質耐火物12は、ストッパー1の嵌合部14の上方10mm以上250mm以下の領域に配置することが好ましい。これは、以下に述べる水モデル試験結果等に基づく。
図4に、水モデル試験の結果を示している。水モデル試験では、図1に示したようなストッパー1とノズル2(タンディッシュ底部に設置されている上ノズル)との取り合いで、多孔質耐火物12の配置位置、すなわち嵌合部14から多孔質耐火物12まで距離を変化させ、多孔質耐火物12から出た気泡のタンディッシュ(TD)内への浮上率を測定した。水モデル試験は、通水量が0.42m3/minとなるように、ストッパー1の嵌合部14とノズル2の嵌合部21との間の隙間を調整して実施した。この通水量=0.42m3/minは、鋳造量=3t/minに相当する。また、多孔質耐火物12から水中に吹き込むガスの流量は5L/minとし、多孔質耐火物12から出る気泡径は約0.3~1mm程度とした。なお、嵌合部14から多孔質耐火物12まで距離とは、嵌合部14から多孔質耐火物12の下端までの距離のことをいう。
図4に示すように、嵌合部14から多孔質耐火物12までの距離が大きくなるにつれて多孔質耐火物12から出た気泡のタンディッシュ内への浮上率が高くなる。タンディッシュ内への浮上率が高いということは、嵌合部14付近に供給される気泡が少なくなるということである。したがって、嵌合部14付近における介在物の付着を抑制する観点からは、嵌合部14から多孔質耐火物12までの距離は小さい方がよい。図4の水モデル試験結果より、嵌合部14から多孔質耐火物12までの距離が約250mm以下であるとタンディッシュ内への浮上率を約80%未満に抑えることができるので、嵌合部14から多孔質耐火物12までの距離は250mm以下とすることが好ましい。言い換えると、本実施形態でいう多孔質耐火物12を配置する先端側部領域Cとは、嵌合部14より上方に概ね250mmまでの領域のことをいう。なお、多孔質耐火物12から出た気泡のタンディッシュ内への浮上率をより低くして嵌合部14付近に供給される気泡をより多くする観点からは、嵌合部14から多孔質耐火物12までの距離は150mm以下とすることがより好ましく、100mm以下とすることがさらに好ましい。一方、嵌合部14から多孔質耐火物12までの距離の下限値は特に限定されないが、嵌合部14の強度を確保する等の観点からは、嵌合部14から多孔質耐火物12までの距離は10mm以上とすることが好ましい。
次に、多孔質耐火物12の配置の態様について説明する。本実施形態の一態様では図2に示すように多孔質耐火物12は、先端側部領域Cの上下方向断面の少なくとも一部において外周面側の全周に配置されている。このように、多孔質耐火物12を外周面側の全周に配置することで、多孔質耐火物12から吹き込まれるガスによる気泡をストッパー1の嵌合部14付近に均一に供給することができる。また、多孔質耐火物12を外周面側の全周に配置する代わりに、図3に示すように、多孔質耐火物12を、先端側部領域Cの上下方向断面の外周面側において高強度耐火物13と隣接する分散状態で配置してもよい。このように多孔質耐火物12を分散状態で配置する場合においても、多孔質耐火物12から吹き込まれるガスによる気泡をストッパー1の嵌合部14付近にほぼ均一に供給することができる。また、多孔質耐火物12を分散状態で配置する場合は、外周面側に高強度耐火物13が配置されるので、多孔質耐火物12を外周面側全周に配置する場合に比べ、先端側部領域Cが強度不足により割れたり剥離することを防止する効果を顕著に発揮することができる。
ここで図3では、多孔質耐火物12を8分割して分散状態で配置しているが、多孔質耐火物12の分割数はこれに限定されるものではない。すなわち、多孔質耐火物12から吹き込まれるガスによる気泡をストッパー1の嵌合部14付近に均一に供給する観点からは、多孔質耐火物12の分割数は多い方がよいが、分割数が多くなると製造が複雑になり製造コストが高くなるので、これらのバランスを考慮して多孔質耐火物12の分割数を適宜決定すればよい。
なお、本実施形態では図1に示すように、多孔質耐火物12を先端側部領域Cの上下方向断面の一部に1段で配置したが、例えば図1の多孔質耐火物12の段の上にもう1段、図2又は図3に示したような多孔質耐火物12の段を配置することもできるし、多孔質耐火物12を先端側部領域Cの上下方向断面の外周面側全部に配置することもできる。
ここで図3では、多孔質耐火物12を8分割して分散状態で配置しているが、多孔質耐火物12の分割数はこれに限定されるものではない。すなわち、多孔質耐火物12から吹き込まれるガスによる気泡をストッパー1の嵌合部14付近に均一に供給する観点からは、多孔質耐火物12の分割数は多い方がよいが、分割数が多くなると製造が複雑になり製造コストが高くなるので、これらのバランスを考慮して多孔質耐火物12の分割数を適宜決定すればよい。
なお、本実施形態では図1に示すように、多孔質耐火物12を先端側部領域Cの上下方向断面の一部に1段で配置したが、例えば図1の多孔質耐火物12の段の上にもう1段、図2又は図3に示したような多孔質耐火物12の段を配置することもできるし、多孔質耐火物12を先端側部領域Cの上下方向断面の外周面側全部に配置することもできる。
次に、多孔質耐火物12及び高強度耐火物13の材質、物性等について説明する。まず、多孔質耐火物12の材質は、ストッパーの材質として代表的なアルミナ・黒鉛(グラファイト)質を用いることができる。そして、原料配合物の粒度構成や原料配合物中の揮発分の含有率等を調整することで、ガス透過性(通気率)や気孔径等を調整する。多孔質耐火物12の通気率の範囲は2×10-15M2~5×10-14M2程度とすることができる。
ここで、多孔質耐火物12の厚み(先端側部領域Cの上下方向断面(図1)において横方向の寸法)は5mm以上であることが好ましい。多孔質耐火物12の厚みを5mm以上とすることで、多孔質耐火物12が剥離しにくくなる。また、多孔質耐火物12の厚みを十分に確保できるので、製造しやすいという効果も得られる。多孔質耐火物12の厚みは10mm以上であることがより好ましい。
また、多孔質耐火物12の高さ(先端側部領域Cの上下方向断面(図1)において上下方向の寸法)は15mm以上であることが好ましい。多孔質耐火物12の高さを15mm以上とすることにより、多孔質耐火物12から十分な量のガスを溶鋼中に吹き込むことができる。
ここで、多孔質耐火物12の厚み(先端側部領域Cの上下方向断面(図1)において横方向の寸法)は5mm以上であることが好ましい。多孔質耐火物12の厚みを5mm以上とすることで、多孔質耐火物12が剥離しにくくなる。また、多孔質耐火物12の厚みを十分に確保できるので、製造しやすいという効果も得られる。多孔質耐火物12の厚みは10mm以上であることがより好ましい。
また、多孔質耐火物12の高さ(先端側部領域Cの上下方向断面(図1)において上下方向の寸法)は15mm以上であることが好ましい。多孔質耐火物12の高さを15mm以上とすることにより、多孔質耐火物12から十分な量のガスを溶鋼中に吹き込むことができる。
本実施形態において高強度耐火物13は多孔質耐火物12以外の部分に使用されており、その材質は上述の通りストッパーの材質として代表的なアルミナ・黒鉛(グラファイト)質を用いることができる。高強度耐火物13の常温曲げ強度は、多孔質耐火物12の常温曲げ強度を100とする指数で105以上であることが好ましい。すなわち、多孔質耐火物12の内周面側に配置される耐火物の常温曲げ強度を、多孔質耐火物12の常温曲げ強度を100とする指数で105以上とすることにより、先端側部領域Cが強度不足により割れたり剥離することを防止する効果を顕著に発揮することができる。高強度耐火物13の常温曲げ強度は、多孔質耐火物12の常温曲げ強度を100とする指数で110以上であることがより好ましい。なお、高強度耐火物13の常温曲げ強度の上限は特に限定されないが、現実的には多孔質耐火物12の常温曲げ強度を100とする指数で300程度が上限である。
また、本実施形態において多孔質耐火物12の通気率は高強度耐火物13の通気率より高い。具体的に多孔質耐火物12の通気率は、JIS‐R2115に基づく測定において高強度耐火物13の通気率を100とする指数で300以上とすることができる。高強度耐火物13の通気率の上限は特に限定されないが、現実的には高強度耐火物13の通気率を100とする指数で9000程度が上限である。
また、本実施形態において多孔質耐火物12の通気率は高強度耐火物13の通気率より高い。具体的に多孔質耐火物12の通気率は、JIS‐R2115に基づく測定において高強度耐火物13の通気率を100とする指数で300以上とすることができる。高強度耐火物13の通気率の上限は特に限定されないが、現実的には高強度耐火物13の通気率を100とする指数で9000程度が上限である。
次に、ストッパー1のガス吹き込み機能について説明する。上述の通りストッパー1は、上下方向中心部にガス流通のための空洞11を備えており、この空洞11に供給されたガスが、多孔質耐火物12から溶鋼中に吹き込まれる。そのためストッパー1は、空洞11から多孔質耐火物12へガスを流通させるためにガス通過経路15を備えている。本実施形態においてガス通過経路15は、多孔質耐火物12の内周面と高強度耐火物13の外周面との間に設けられたスリット状のガスプール15aと、空洞11からガスプール15aにつながる貫通孔15bとからなる。本実施形態において貫通孔15bは図1に表れているように2段設けられており、図2及び図3に表れているように1段あたり8個、合計で16個設けられている。すなわち、空洞11に供給されたガスは16個の貫通孔15b及びガスプール15aを経由して多孔質耐火物12に供給され、多孔質耐火物12から溶鋼中に吹き込まれる。なお、図1から図3には図示していないが、ガスプール15aには、多孔質耐火物12の内周面と高強度耐火物13の外周面との間を部分的に架橋する架橋部分がある。
なお、ガス通過経路15の構成は図1から図3に示した構成には限定されず、例えば、ガスプール15aを設けずに貫通孔15bから直接多孔質耐火物12へガスを供給することもできる。ただし、多孔質耐火物12へガスを均一に供給する観点からは、多孔質耐火物12の内周面側にスリット状のガスプールを設けることが好ましい。なお、ストッパーからのガス吹き込み量については、1L/min以上15L/min以下の範囲とすることができる。
なお、ガス通過経路15の構成は図1から図3に示した構成には限定されず、例えば、ガスプール15aを設けずに貫通孔15bから直接多孔質耐火物12へガスを供給することもできる。ただし、多孔質耐火物12へガスを均一に供給する観点からは、多孔質耐火物12の内周面側にスリット状のガスプールを設けることが好ましい。なお、ストッパーからのガス吹き込み量については、1L/min以上15L/min以下の範囲とすることができる。
このようなストッパー1は、成形用型枠内に、多孔質耐火物12を形成するための坏土及び高強度耐火物13を形成するための坏土をそれぞれ所定の位置に配置するとともに、ガス通過経路15を形成するために熱処理で消失する材料をガス通過経路15の形状となるように配置し、成形後、熱処理することで得ることができる。このように、多孔質耐火物12を形成するための坏土及び高強度耐火物13を形成するための坏土を一体的に成形することで、図1に示すように、多孔質耐火物12と高強度耐火物13との少なくとも上下方向の境界部は、目地のない連続した構造となる。これにより、先端側部領域Cが強度不足により割れたり剥離することを防止する効果を顕著に発揮することができる。また、地金が多孔質耐火物12と高強度耐火物13との間に侵入することを防止することができる。
以上の通り本実施形態によれば、ストッパー1の先端側部領域Cの外周面側に配置された多孔質耐火物12から溶鋼中に吹き込まれたガスによる気泡は、溶鋼によりストッパーの嵌合部14付近に引き込まれる。これにより、ストッパーの嵌合部14付近に気泡が供給され、ストッパーの嵌合部14付近におけるアルミナ等の介在物の付着を抑制することができる。また、多孔質耐火物12から溶鋼中に吹き込まれたガスによる気泡は、貫通孔から溶鋼中に吹き込まれたガスによる気泡よりも微細な気泡となる。このため、貫通孔から溶鋼中にガスを吹き込む構成よりも介在物の付着を抑制することができる。さらに、ストッパーの先端側部領域Cの内周面側には高強度耐火物13が配置されているので、ストッパーの先端領域D、特に先端側部領域Cが強度不足により割れたり剥離するのを防止することができる。
表1に示す実施例及び比較例のストッパーを用いて溶鋼の流量制御を行う連続鋳造試験を実施し、ストッパーの先端領域の状態と、ストッパーの嵌合部付近における介在物の付着状況を評価した。連続鋳造試験は鋳造チャージ(ch)数が6chの条件で実施した。なお、その他の鋳造条件(鋳造速度、鋳造サイズ等)は一般的な条件とした。
実施例及び比較例のストッパーに用いた多孔質耐火物及び高強度耐火物の材質はいずれもアルミナ・黒鉛(グラファイト)質を適用した。なお、実施例1~3のストッパーにおいて外周面側の多孔質耐火物は、ストッパーの嵌合部から上方に20~50mmの領域に配置した。すなわち、実施例1~3のストッパーにおいて外周面側の多孔質耐火物の高さは30mmとした。一方、実施例1~3のストッパーにおいて外周面側の多孔質耐火物の厚みは表1に示した通りである。ここで、実施例1~3のストッパーにおいて外周面側の多孔質耐火物の厚みは高さ方向で異なるが、表1ではその最小の厚みを表記した。また、実施例1~3のストッパーにおいて外周面側の多孔質耐火物及び内周面側の高強度耐火物の常温曲げ強度は、20×20×70mmの試験片を用いてJIS-R2213に基づいて測定した。そして表1には、内周面側の高強度耐火物の常温曲げ強度を、多孔質耐火物の常温曲げ強度を100とする指数で表記した。
連続鋳造試験の評価のうち、ストッパーの先端領域の状態は、連続鋳造試験後におけるストッパーの先端領域の状態を目視で確認して評価した。また、ストッパーの嵌合部付近における介在物の付着状況は、連続鋳造試験後に各例のストッパーの嵌合部付近の付着厚みを測定して評価し、表1では、比較例1のストッパーにおける嵌合部付近の付着厚みを100とする指数で表記した。
実施例1~3のストッパーは本発明の範囲内に属するストッパーであり、6chの連続鋳造後においても先端領域に割れや剥離は見られず、嵌合部付近における介在物の付着は比較例1のストッパーに比べて大幅に減少した。
比較例1のストッパーは、上記特許文献1の第4図のように多孔質耐火物をストッパーの先端にのみ配置したものである。ストッパーの嵌合部付近における介在物の付着を抑制する効果が得られず、ストッパーの嵌合部付近における介在物の付着が多くなった。
比較例2のストッパーは、上記特許文献1の第3図のように多孔質耐火物の内周側に高強度耐火物を配置しなかったものである。構造上強度が十分ではないため、6chの連続鋳造の途中で、多孔質耐火物部分が割れてストッパーの先端部分が脱落した。そのため、連続鋳造を中止せざるを得なくなり、ストッパーの嵌合部付近における介在物の付着は評価できなかった。
比較例2のストッパーは、上記特許文献1の第3図のように多孔質耐火物の内周側に高強度耐火物を配置しなかったものである。構造上強度が十分ではないため、6chの連続鋳造の途中で、多孔質耐火物部分が割れてストッパーの先端部分が脱落した。そのため、連続鋳造を中止せざるを得なくなり、ストッパーの嵌合部付近における介在物の付着は評価できなかった。
1 ストッパー
11 空洞
12 多孔質耐火物
13 高強度耐火物
14 嵌合部
15 ガス通過経路
15a ガスプール(ガス通過経路)
15b 貫通孔(ガス通過経路)
2 ノズル(上ノズル)
21 嵌合部
B ストッパーの上下方向中心軸
C ストッパーの先端側部領域
D ストッパーの先端領域
11 空洞
12 多孔質耐火物
13 高強度耐火物
14 嵌合部
15 ガス通過経路
15a ガスプール(ガス通過経路)
15b 貫通孔(ガス通過経路)
2 ノズル(上ノズル)
21 嵌合部
B ストッパーの上下方向中心軸
C ストッパーの先端側部領域
D ストッパーの先端領域
Claims (4)
- 上下方向中心部にガス流通のための空洞を備える連続鋳造用のストッパーであって、
先端側部領域の上下方向断面の少なくとも一部において、外周面側にガス透過性を有する多孔質耐火物、内周面側に前記多孔質耐火物よりも高強度の耐火物が配置されている、連続鋳造用のストッパー。 - 前記内周面側に配置される耐火物の常温曲げ強度は、前記多孔質耐火物の常温曲げ強度を100とする指数で105以上である、請求項1に記載の連続鋳造用のストッパー。
- 前記先端側部領域の上下方向断面の少なくとも一部において、前記多孔質耐火物は、前記外周面側の全周に配置、又は前記外周面側において前記多孔質耐火物よりも高強度の耐火物と隣接する分散状態で配置されている、請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造用のストッパー。
- 前記先端側部領域の上下方向断面の少なくとも一部において、前記多孔質耐火物の厚みが5mm以上である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の連続鋳造用のストッパー。
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