以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1および図2は、本発明の一実施形態に係る物品排除装置およびこれを選別部とする物品検査装置テムの構成を示している。
まず、その構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態の物品検査装置1は、物品検査部である検査機10と物品排除装置であるエアジェット選別機20とを含んで構成されている。
検査機10は、被検査物品であるワークWpを所定の搬送方向、例えば図1中のX方向に搬送する第1の搬送部11と、第1の搬送部11による物品搬送経路上で所定の物品検査を行う検査部12と、それらを制御する制御部13(第1の制御部)と、ワークWpが検査部12の検査領域内に入ることを検知する物品検知センサ18とを具備している。
第1の搬送部11は、例えば複数のローラに無端のコンベアベルトを巻回したベルトコンベア式のものであり、X方向に物品搬送可能なコンベア搬送路11aを有している。
検査部12は、例えばX線検査を行うもので、その検査のためのX線発生器およびX線検出器を有している。ただし、検査部12は、他の検査、例えば金属検査や質量計測、形状検査等を行うもの、あるいは、そのような複数の検査のうち少なくとも1つの検査を行うものであってもよい。
制御部13は、例えば第1の搬送部11によるワークWpの搬送速度や搬送間隔等を制御するとともにエアジェット選別機20に対し搬送制御信号Cbや停止指令信号Ctを出力する搬送制御手段13aと、X線発生器の出力を制御したりワークWpの搬送速度に応じたX線検出器のX線ライン検出周期および検査期間等を制御したりする検査制御手段13bと、両手段による物品検査および物品搬送を制御するため各種制御値を演算する演算制御手段13cと、検査部12の検査結果に応じた選別指令信号Rjをあるいは更に物品検知センサ18による物品検知情報をエアジェット選別機20側に出力する選別制御手段13dと、操作入力および画面表示が可能な操作表示手段13eを含んでいる。
この制御部13における選別制御手段13dは、検査部12での検査結果に応じて、例えば特定のワークWp中に異物が検出されたとの検査結果に応じてその不良品のワークWpの選別排出を指令する選別指令信号Rjを生成し、そのワークWpの物品検知センサ18による検知時点から所定時間内に、選別部であるエアジェット選別機20側に出力するようになっている。また、操作表示手段13eは、例えばワークWpの搬送方向長さであるワークWpのサイズや搬送姿勢を特定するワーク長さL(mm)、ワーク幅W(mm)およびワーク高さH(mm)の他、ワーク質量M(g)、第1の搬送部11の搬送速度である検査機コンベア速度Vx(mm/s)、第2の搬送部21の搬送速度である選別機コンベア速度Vrj(mm/s)、エアジェット選別機20の選別能力PPS(個/s)、選別タイミングに関する時間(s)等のパラメータ設定操作の他に、アラーム表示等を実行可能である。
一方、エアジェット選別機20は、検査機10の物品搬送ライン上で下流側に組み込まれており、検査機10のコンベア搬送路11aの下流側に位置するコンベア搬送路21aを有する第2の搬送部21と、コンベア搬送路21a(選別搬送路)の側方に配置されたエアノズル22と、エアノズル22の上流側でエア供給経路を開閉する電磁弁23と、電磁弁23の上流側でエアノズル22に供給されるエア(圧縮空気)の圧力、すなわちエアの圧力を所定圧力に制御するフィルタレギュレータ24(レギュレータ)と、フィルタレギュレータ24より上流側で図外のエアコンプレッサ等のエア源に接続するエア配管25を具備している。
さらに、エアジェット選別機20には、エア配管25を通してエア源側からフィルタレギュレータ24に供給されるエアの供給流量Qsおよび供給圧力(エア圧)Psを監視する監視部26と、供給流量Qsおよびエア圧Psの変動を抑えるよう監視部26の上流側に配置されたエアタンク27と、第1の搬送部11により第2の搬送部21のコンベア搬送路21a上に搬入(移載)されたワークWpを検知する物品検知センサ28と、制御部13からの搬送制御信号Cbや選別指令信号Rj等に加えて監視部26からの監視情報および物品検知センサ28からの物品検知情報を入力し、これら入力情報を基に電磁弁23の開閉を制御することでエアノズル22からのエア噴射を制御する選別制御ユニット30(第2の制御部)とが設けられている。
第2の搬送部21は、例えば複数のローラに無端のコンベアベルトを巻回したベルトコンベア式のものであり、第1の搬送部11のコンベア搬送路11aに対して下流側(図1中の右側)に位置するコンベア搬送路21aを有している。この第2の搬送部21は、勿論、ベルトコンベア式に限定されるものではない。
エアノズル22は、検査機10の検査部12の後段側に位置する例えばフラット型、ラウンド型またはスポット型のもので、フィルタレギュレータ24で所定圧力Pjに制御されたエアが電磁弁23を介して供給されるとき、選別搬送部21の所定搬送区間である選別区間Zj内にエアジェット噴射を行うことができるようになっている。
電磁弁23は、選別制御ユニット30からの開弁制御信号入力に応じて開弁したとき、フィルタレギュレータ24により所定圧力Pjに制御されて供給される圧縮空気をエアノズル22に流入させることができる一方、選別制御ユニット30からの開弁制御信号入力がなくなって閉弁したとき、フィルタレギュレータ24側からの圧縮空気をエアノズル22から遮断することができるようになっている。
エア配管25は、図外のエアコンプレッサ等のエア源に接続するとともに、それぞれに図示しない空気圧作動部を有する複数の他装置A、Bに接続されており、エア源からの圧縮空気を各装置A、Bおよび本実施形態のエアジェット選別機20に供給することができる。
監視部26は、エア源側からエア配管25およびエアタンク27を介して供給されるエアの流量Qsおよび圧力Psを監視する手段として、少なくとも例えば前後差圧に応動するダイヤフラム等の可動受圧部品とその変位を検出するセンサ等を有している。勿論、監視部26は、渦流量計、熱式質量流量計もしくはコリオリ流量計等の流量計と圧力計を有するものや、エアパワーメータを用いるものであってもよい。
選別制御ユニット30は、検査機10の制御部13から検査部12の検査結果に応じた選別指令信号Rjが出力されたとき、その選別指令信号Rjを受けて、プログラマブルコントローラや制御基板等によるON/OFF制御で電磁弁23を開閉制御するように構成されている。
エア配管25より下流側の空気圧回路で構成されたエアジェット選別機20の物品排出性能(空気圧パワーに応じた排出質量)は、概ねエアの供給圧力と供給流量に応じて規定されるが、供給圧力Psについては例えば0.4~0.9[MPaG]に設定される。また、供給流量Qsは、標準状態(20℃、1atm、湿度65%)の大気に換算した流量値(ANR)で、例えば空圧部品の一般的な基準流量レベルである400[L/min]ないし500[L/min](ANR)に設定されている。これにより、エアジェット選別機20は、エア源から供給される圧縮空気を電磁弁23を介してエアノズル22に供給し、搬送されているワークWpをエアノズル22から噴射されるエアブローにより物品搬送ラインから排除することができる。
図1ないし図3に示すように、検査機10の制御部13およびエアジェット選別機20の選別制御ユニット30は、制御部13から選別制御ユニット30に選別指令信号Rjが出ることを条件に、その選別指令信号Rjに対応する選別対象(排除対象)のワークWpが物品検知センサ18により検知される物品検知時点(あるいは物品検知センサ28による物品検知時点でもよい)t11から所定の選別遅延時間Toffが経過するか否かをチェックし、その選別遅延時間Toffの経過時点t12(エアブロー開始タイミング)から所定の選別動作時間Tonだけ選別制御ユニット30から電磁弁23に開弁駆動信号を出力させるようになっている。そして、この電磁弁23の開弁期間中のエアブローの風圧(圧縮空気エネルギ)によって、選別区間Zj内の選別対象のワークWpをコンベア搬送路21a上からY方向(図1中の下方)に排出させるように吹き飛ばすかまたはスリップさせて選別排出するようになっている。
具体的には、選別制御ユニット30は、選別対象のワークWpの質量や搬送条件に応じて予めの実験結果を基に作成されたエアブロー時間算出用の特性データテーブルやそれに対応する計算式等を記憶するメモリ31(特性記憶手段)を含んでおり、メモリ31に記憶格納させたそのテーブルや計算式に基づいて選別対象の物品排除に要するエアブロー時間Ta_s、Ta_dを算出し、そのエアブロー時間Ta_s、Ta_dに対応する電磁弁23への開弁信号出力を、選別区間Zj内の所定位置までのワークWpの搬送距離および搬送速度に応じた所定の選別遅延時間Toffが経過するタイミングで開始し、所定の選別動作時間Tonだけそのエアブロー出力を継続するようになっている。
より具体的には、選別制御ユニット30は、まず、メモリ31に記憶させたテーブルまたは演算式等によって、品種登録された選別対象物品の質量(例えば図4中のワーク質量(M))に応じてエアブロー制御するためのエアブロー時間をエア吹き付けの動作時間とし選別動作時間Tonと、電磁弁23の応答時間およびエアタンク27の充填に充てる時間(以下、単にタンク充填時間という)Tchgを、メモリ31に記憶格納させた特性データテーブルや計算式に基づいて算出することができるようになっている。
選別制御ユニット30は、また、各ワークWpが検査機10のコンベア搬送路11a上からエアジェット選別機20のコンベア搬送路21a上に移載される際における物品検知センサ28からの搬入検知信号を入力するとともに、検査機10のコンベア搬送路11a上への物品搬入を検知する上流側の搬入物品検知センサ18からの物品検知信号を入力するようになっている。そして、図3に示すように、選別制御ユニット30は、例えばワークWpが物品検知されてから選別区間Zj内の所定位置に到達するまでの選別遅延時間Toff(s)と、先行ワークWpの選別区間Zj内への進入時点t11から後続ワークWpの選別区間Zj内への進入時点t21までの製品ピッチ相当時間A1(s/個)と、選別遅延時間Toffの経過時点t12から選別動作時間Tonと、電磁弁23の応答時間およびタンク充填時間Tchgが経過するまでの必要動作周期Aw(s)と、選別遅延時間Toffの経過時点t12から後続ワークWpの選別区間Zj内への進入時点t21までの製品ピッチ限界A1´とを、各選別対象ワークWpについて、それぞれ算出することができるようになっている。
また、選別制御ユニット30は、物品検知センサ28からの搬入検知からその選別対象のワークWpの選別区間Zj内への進入までの算出済みの選別遅延時間Toffと、前述の特性データテーブルまたは演算式等によって算出したエアブロー時間の選別動作時間Tonとに基づいて、電磁弁23を開閉するタイミング、例えば図3中の開弁時点t12、t22および閉弁時点t13、t23を設定することができるようになっている。
さらに、選別制御ユニット30は、図3に示す各製品ピッチ相当時間A1、A2(s/個)が、それぞれ確実な選別動作に要する必要動作周期Aw(s)に達しているか否かを監視する選別動作監視手段の機能を有している。
図3の例示では、製品ピッチ相当時間A1、A2は、対応するワークWpがそれぞれ検査機10のコンベア搬送路11a上に搬入されたときの物品検知時点t11、t21から開始する対象ワークWp毎の処理時間であり、これらの製品ピッチ相当時間A1、A2から選別遅延時間Toffを差し引いた製品ピッチ限界A1´、A2´は、エアジェット選別の実動作許容時間となっている。
同図中、選別動作時間Tonは、電磁弁23の有効なチョーク流れ期間が確保可能で、かつ、選別対象の所定質量のワークWpをコンベア搬送路21a上から選別排出可能なエアブロー時間を確実に設定可能な期間であり、メモリ31に予め記憶させたエアブロー時間算出用の特性データテーブルや計算式を基に算出される。
また、タンク充填時間Tchgは、電磁弁23を選別動作時間Tonだけ開弁させる1回の選別排出動作ごとに、電磁弁23の閉弁によりエア源側から供給される空気圧パワーを所要レベルに回復させる空気圧パワーチャージ時間であり、本実施形態では、電磁弁23の応答時間およびエアタンク27への所定レベルの蓄圧に要する時間として算出されるようになっている。
このように本実施形態の物品検査装置1においては、物品搬送ライン上のワークWpを、エアジェット選別機20で、物品搬送方向(図1中のX方向)と交差する排出方向(同図中のY方向)に向けたエアの吹きつけによりコンベア搬送路21a外に排出するようになっている。そして、検査機10の制御部13およびエアジェット選別機20の選別制御ユニット30は、前述の選別動作時間Tonに対応するエアブロー時間Ta_s、Ta_dの算出および設定を容易化するために、次のような複数の機能部を有している。
まず、制御部13あるいは選別制御ユニット30は、エアジェット選別機20のコンベア搬送路21a上に所定の基本形状、姿勢およびエアブロー距離等の排出条件で静止する理想ワークWiに対して、エアノズル22からY方向にエアを吹きつけてコンベア搬送路21a外に排出するのに必要なエアブロー時間Taを、図11に実線で示すように、ワーク質量M[g]に応じて特定することができる静的物品排出特性のベース特性として記憶設定している。制御部13あるいは選別制御ユニット30は、静的物品排出特性のベース特性をデータテーブルや計算式、例えば次式(1)の形でメモリ31に記憶している。
Ta[s]=xM[g]+y ・・・(1)
このベース特性は、エアジェット選別部20で形状等の排出条件が理想的な理想ワークWiを静止状態(スタティック状態)でエアブローするときに排出質量に応じて必要になるエアブロー時間を示すものである。
また、制御部13あるいは選別制御ユニット30は、コンベア搬送路21a上に品種毎の物品形状および搬送姿勢で静止する実ワークWpに対して、エアノズル22から所定のエアブロー距離でY方向にエアを吹きつけてコンベア搬送路21a外に排出するのに必要な実エアブロー時間Ta_sを、図11に点線で示すように、ワーク質量M[g]に応じて特定することができる静的実物品排出特性として、ベース特性と同様にデータテーブルや計算式の形でメモリ31に記憶している。
ここにいう実エアブロー時間Ta_sは、理想ワークWiに対する実ワークWpの形状、姿勢およびエアブロー距離等の相違によるエアブロー排出力の低下度合を例えば総合補正係数Actkで補正して把握するものとした場合に、ベース特性に基づくエアブロー時間Taの単位質量毎の増加率xをその総合補正係数Actkで除した増加率(x/Actk)を用いて、次の計算式(2)の形で表すことができる。
Ta_s[s]=(x/Actk)・M[g]+y ・・・(2)
本実施形態では、このように実ワークWpの形状や姿勢、エアブロー距離等の相違によるエアブロー排出力の低下に対応する総合補正係数Actkの算出に相当する作業を、後述する選別動作時間Tonの調整作業中に自動的に実行できるようになっている。
具体的には、エアジェット選別部20では、ワークWのサイズや搬送姿勢、ワークとコンベア搬送路21aの間の摩擦、コンベア搬送路21aの路幅、エアノズル22の取付角度、エアの拡散、エア当たり具合等の複数の排出力低下要因があることから、ワークWを排出するエアブロー時間Taを計算のみで精度良く求めることは非常に困難であるが、本実施形態では、静止状態の実ワークWpに対するエアブロー時間Taの調整作業(以下、スタティック調整という)を行うことで、その調整作業中に容易にエアブロー時間Ta_sを精度良く求めることができるようにしている。
このエアブロー時間Taのスタティック調整は、ワークWとコンベア搬送路21aの間の摩擦やコンベア幅などを考慮した「理想ワークWiの排出質量Mに対するエアブロー時間Taのベース特性」に対して、実ワークWpを静止状態(スタティック状態)にてエアブローすることによって、前述の総合補正係数Actkを求めることができるとの考えに基づくものである。
例えば、理想ワークWiの所定の基本形状は、搬送方向の製品長さLが搬送方向と直交する幅や高さより大きい直方体形状であり、エアブロー方向に対して直交する側面を有している。これに対し、実ワークWpは、その形状や姿勢、エアブロー距離等が理想ワークWiとは相違し、その相違によってエアブロー排出力が低下する。このような観点で、エアブロー排出力の低下度合は、次式(3)に示すように、
Actk=Ak×Ck×Tk×Mk ・・・(3)
エアブロー係数Ak、形状係数Ck、搬送姿勢係数Tkおよびエアノズル取付係数Mkを掛け合わせた総合補正係数Actkとして把握することができる。
ただし、ここで、エアブロー補正係数Akは、エアノズル幅Lg(mm)よりの製品長さL(mm)が短く、製品にエアブローのすべてを当てることができない場合において、その当たり具合に起因する排出力の低下に対応する1以下の係数である。また、形状係数Ckは、実ワークWpでは理想ワークWiの所定の基本形状に対し外表面が傾斜したり湾曲したりすることで、エアブローを垂直に当てることができない場合において、その当たり具合に起因する排出力の低下に対応する1以下の係数である。さらに、搬送姿勢係数Tkは、搬送時のワーク姿勢乱れによるエアブローの排出力低下に対応する1以下の係数であり、エアノズル取付係数Mkは、エアノズル取付角の相違によるエアブローの排出力低下に対応する1以下の係数である。
前述の計算式(1)、(2)は、次式(1´)、(2´)に変形できるので、
xM =Ta[s]-y ・・・(1´)
xM = (Ta_s-y)Actk ・・・(2´)
両変形式から、式(4)を得ることができ、同式から計算式(5)が得られる。
Ta-y = (Ta_s-y)Actk ・・・(4)
Actk = (Ta-y)/(Ta_s-y) ・・・(5)
このように、総合補正係数Actkは、静的物品排出特性に係る計算式(5)を用いて算出することができる。
よって、実ワークWpについてのスタティック調整時に、必要なエアブロー時間Ta_sとベース特性のエアブロー時間Taを基に式(5)を用いて予め総合補正係数Actkを求め、その係数値を計算式(3)に当てはめることで、エアブロー係数Ak、形状係数Ck、搬送姿勢係数Tkおよびエアノズル取付係数Mkといった多数の係数を個々に設定したり調整したりすることなく、実ワークWpの搬送中の排出質量Mに対応するエアブロー時間Ta_sの排出特性を容易に求めることができる。
一方、実搬送では、一般に、ワークWに対してエアブローした瞬間に、ワークWとコンベア搬送路21aの間の摩擦状態が変化し、スタティックエアブロー時間Ta_sよりも短いエアブロー時間で排出可能となる。
例えば、エアブロー方向への風圧の作用に伴ってコンベア搬送路21a上のワークWの制動作用による静止摩擦解放力や鉛直方向の分布荷重がその風圧作用側で低下したり、搬送中のワークWに対する風圧の作用が排出方向である横向きでかつワーク搬送方向の先端側から始まったり、さらにコンベア搬送路21a側の支持状態が搬送方向位置によって変化したりすることで、コンベア搬送路21aと搬送中のワークWの間の摩擦が静止摩擦から動摩擦に変化する等して、摩擦力が低下するからである。
一方、このような摩擦力の低下によってスタティックエアブロー時間Ta_sより短くなるエアブロー時間をダイナミックエアブロー時間とすると、スタティックエアブロー時間Ta_sに対応するダイナミックエアブロー時間Ta_dは、コンベアタイプ(ベルト幅やベルト材質等)毎に搬送速度Vrjで決まる搬送速度補正係数k(k≦1)を用いて、次式(6)により算出することができる。
Ta_d[s]=k×Ta_s ・・・(6)
よって、実搬送時のダイナミックエアブロー時間Ta_dを、スタティックエアブロー時間Ta_sを基に容易に算出することができる。
次に、実ワークWpでのスタティック調整を伴うエアジェット選別機20の選別動作時間Tonの調整作業とその後の選別遅延時間Toffの調整作業について説明する。
図4ないし図7は、前述のような総合補正係数Actkの算出作業を選別動作時間Tonの調整作業中に自動的に実行可能にするための一連の操作画面を示している。
本実施形態では、まず、図4に示す品種登録画面であるパラメータ設定画面131を開くと、品種登録情報であるワーク長さL[mm]、ワーク幅W[mm]、ワーク高さW[mm]、ワーク質量M[g]、検査機コンベア速度Vx[m/min]、および選別機コンベア速度Vrj[m/min]の入力が要求されるようになっている。なお、制御部13や選別制御ユニット30において、コンベア速度は、[m/min]から[mm/s]に換算される。
図4に示すように、品種登録画面であるパラメータ設定画面131が生成され、このパラメータ設定画面131中に、ワーク形状に関するパラメータ入力用の複数の入力ボックス131a、131b、131cと、搬送速度に関するパラメータ入力用の複数の入力ボックス131d、131eと、ワーク質量に関するパラメータ入力用の入力ボックス131ma(質量設定部)と、対応個所確認用の表示画面131pとが表示されるようになっている。そして、パラメータ設定画面131中に複数の入力値が製品情報として取り込まれ、次に「進む」131fが選択されると、次に、図5(a)に第1の調整画面132が開き、第1の調整画面132中で、ワークWをエアブロー方向でコンベア搬送路21aの奥側に配置し、静止させた状態でのエアブロー(スタティクエアブロー)による排出の可否を確認する奥側エアブローテストが作業者に要求されるようになっている。
図5(a)に示す第1の調整画面132では、ワークWを奥側に配置して操作ボタンである「エアブローテスト」ボタン132aを選択した後、今回のエアブローテストによる排出の可否を視認できるか否かを「排出可」ボタン132bか「排出不可」ボタン132cかの選択操作で確認することが要求され、排出不可132cが選択されると、最大エアブロー時間Ta_maxまでの推奨範囲内で自動的に、次のエアブローテストについてのエアブロー時間が所定時間tα(例えば10ms)だけ延長され、粗調整される。
図5(b)に示す第2の調整画面133は、図5(a)で「次に進む」ボタンが選択された場合に選択される。この第2の調整画面133では、ワークWを奥側でなくエアブロー方向におけるコンベア搬送路21aの中央側か手前側に配置して「エアブローテスト」ボタン133aを選択した後、今回のエアブローテストによる排出の可否を視認できるか否かを「排出可」ボタン133bか「排出不可」ボタン133cの選択操作で確認することが要求され、排出不可ボタン133bが選択されると、最大エアブロー時間Ta_maxまでの推奨範囲内で自動的に、次のエアブローテストのエアブロー時間が所定時間tαより短い時間tβ(例えば5ms)だけ延長され、微調整される。
図6(a)に示す第3の調整画面134は、ワークWを奥側に配置して「エアブローテスト」を実行したのでは最大エアブロー時間Ta_maxまでエアブローテスト時間が延長され、推奨範囲を超えてしまう時間オーバーとなった場合に、推奨範囲を超えるエアブロー時間を入力ボックス134dにマニュアル(手動)で数値入力し、「エアブローテスト」ボタン134aを選択した後、今回のエアブローテストによる排出の可否を視認できるか否かを「排出可」ボタン134bか「排出不可」ボタン134cの選択操作で確認することが要求されるようになっている。
図6(b)に示す第4の調整画面135は、「エアブローテスト」におけるエアブロー時間のタイプ選択画面で、要求されるワーク質量Mに対応するエアブロー時間を実搬送分の低下補正を実行したダイナミックエアブロー時間Ta_dとするか、実搬送分の補正を実行しないスタティックエアブロー時間Ta_sとするか、マニュアルによる任意設定のエアブロー時間とするかを選択設定できるようになっており、任意設定のエアブロー時間は、初期値ではベース特性のワーク質量に対応するエアブロー時間Taとなっている。
図7(a)に示す第5の調整画面136は、図2に示すように、物品検知センサ18によりワークWの先端が検知されてからそのワークWの搬送方向長さの1/2がエアノズル22のエバブロー領域幅Lgの範囲内に入るまでの選別遅延時間Toffと、選別動作時間Tonとを、入力データや選択操作結果を基に算出して結果表示するとともに、それら算出結果通りの条件で選別動作を実行させ、排出確認するか否かを、「確認する(運転)」か「確認しない」かをチェックボックスで選択操作できるようになっている。
図7(b)に示す第6の調整画面137は、第5の調整画面136から次に進んだ操作画面であり、ワークWを実搬送して選別タイミングを確認し、排出タイミングが「良い」か、「遅い」か、「速い」か、「任意設定」かをそれぞれのボタン操作で選択することができる。また、「良い」が選択されると、現在の設定値で確定され、「遅い」が選択されると、10msだけ選別遅延時間が短縮され、「速い」が選択されると、10msだけ選別遅延時間が延長され、「任意設定」が選択されると、任意の時間が設定されることになる。
図7(c)に示す第7の調整画面138は、設定情報確認画面となっており、図4に示す品種登録画面の登録情報に加えて、設定済みの選別遅延時間Toffおよび選別動作時間Tonを表示するようになっている。
図1ないし図3に示すように、物品検知センサ18によりワークWが進入検知されてからエアジェット選別機20がエアブロー開始するまでの選別遅延時間Toffは、制御部13あるいは選別制御ユニット30によって自動計算されるが、この計算に際しては、ワークWが物品検知センサ18で検知された後、検査機10のコンベア搬送路11a上にある第1の移動距離Lx[mm]の間、ワークWは検査機10のコンベア速度Vxで移動し、エアジェット選別機20のコンベア搬送路21a上に移載されてからエアブロー開始までの移動距離Lrj[mm]の間、ワークWはエアジェット選別機20のコンベア速度Vrjで移動するものとする。
なお、ワークWの下面中心が検査機10のコンベア搬送路11aから離れた直後とエアジェット選別機20のコンベア搬送路21上に乗り移る直前(検査機10のコンベア搬送路11aとエアジェット選別機20のコンベア搬送路21aの間の隙間Ls[mm]に入る時間を除く)は、ワークWの半分(上流端側)を検査機コンベア速度Vxとし、残りの半分(下流端側)を選別機コンベア速度Vrjとする。また、ワークWの下面中心が隙間Ls[mm]内にある間については、ワークWの速度は検査機コンベア速度Vxとする。
よって、これらの条件から、選別遅延時間Toffは、次式(7)で算出し得る。
Toff[s] =(Lx+Ls+L/2)/Vx
+(Lrj-Lg/2)/Vrj・・・(7)
以上より、エアジェット選別部20の選別動作時間Tonおよび選別遅延時間Toffを好適な値で容易に設定可能となる。
このように、本実施形態の物品検査装置1は、検査機10(検査部)とエアジェット選別機20(選別部)を備え、コンベア搬送路21a(所定搬送路)上のワークWを、物品搬送方向と交差する排出方向(Y方向)に向けたエアの吹きつけによりコンベア搬送21a外に排出するものであり、制御ユニット30は、制御部13と協働する複数の機能部として、静的エアブロー時間設定手段41、排出可否判定手段42および実エアブロー時間算出手段43の機能を有している。なお、これらの手段41-43は、図1中では便宜的に制御ユニット30中に図示しているが、制御部13に設けられてもよい。
静的エアブロー時間設定手段41は、コンベア搬送路21a上に静止する所定質量MのワークWpを排出方向へのエアの吹きつけによりコンベア搬送路21a外に排出するための静的物品排出特性に係るエアブロー時間を設定することができる。また、排出可否判定手段42は、設定されたエアブロー時間のエアの吹きつけでワークWpがコンベア搬送路21a外に排出されるか否かを判定することができる。実エアブロー時間算出手段43は、排出可否判定手段42の判定結果および静的物品排出特性に係るエアブロー時間Ta_sを基に、ワークWを実搬送中にコンベア搬送路21a外に排出するための動的物品排出特性に係る実エアブロー時間Ta_dを算出することができる。
制御部13または/および制御ユニット30は、また、静的物品排出特性に係るエアブロー時間Ta_sを設定変更可能な基本動作時間設定手段44の機能と、実エアブロー時間算出手段43により実エアブロー時間Ta_dを算出するための動的物品排出特性に係る補正係数kを設定する動的排出補正係数設定手段45の機能を有している。
また、制御部13の操作表示手段13eは、静的エアブロー時間設定手段41、排出可否判定手段42、実エアブロー時間算出手段43および基本動作時間設定手段44のうちいずれかと協働して、ワークWの質量を入力し設定する質量設定部131ma等を有するパラメータ設定画面131と奥側エアブローテスト用の第1の調整画面132とを生成し、その第1の調整画面132中に、複数の操作ボタンである「エアブローテスト」ボタン132a、「排出可」ボタン132bおよび「排出不可」ボタン132cを操作可能に表示させる。また、操作表示手段13eは、パラメータ設定画面133、134中にも、それぞれ同様に、複数の操作ボタンである「エアブローテスト」ボタン133a、134aと、「排出可」ボタン133b、134bと、「排出不可」ボタン133c、134cとを操作可能に表示させる。
すなわち、制御部13または/および制御ユニット30は、まず、品種登録画面相当の操作画面131で入力された品種登録情報および前述のワーク質量M[g]に対応する静的物品排出特性のベース特性(図11参照)に基づいて、操作表示手段13eによって第1の調整画面132を生成する。そして、静的エアブロー時間設定手段41の機能により、ベース特性に基づいてエアブロー時間Ta(図5(a)では例えば70ms)を仮設定するようになっている。
排出可否判定手段42は、例えば第1の調整画面132中に、エアブロー方向で奥側のワーク配置となる第1の排出条件でのエアブローテストの実行要求操作が可能な「エアブローテスト」ボタン132aと、そのエアブローテストの実行によりワークWpが排出されたか否かを確認入力する「排出可」ボタン132bおよび「排出不可」ボタン132cとを、それぞれ操作入力可能に表示させる。
そして、排出可否判定手段42は、「排出可」ボタン132bが操作されたときには、エアブロー時間Taのエアの吹きつけでワークWpがコンベア搬送路21a外に排出され得ると判定する一方、「排出不可」ボタン132cが操作されたときには、エアブロー時間Taのエアの吹きつけではワークWpがコンベア搬送路21a外に排出され得ないと判定するようになっている。
ここで、「排出不可」ボタン132c、133cは、それぞれ「エアブローテスト」ボタン132a、133aの操作によりエアブローテストを実行してもワークWpが排出できなかったことを確認入力するものであり、仮設定されたエアブロー時間Taの設定変更を要求する要求入力部として機能する。
また、静的エアブロー時間設定手段41は、ベース特性に基づいてエアブロー時間Taを設定するとともに、エアブロー時間Taでのエアブローテストの結果を判定する排出可否判定手段42の判定結果に応じて、コンベア搬送路21a上に静止する所定質量MのワークWpをコンベア搬送路21a外に排出するための静的物品排出特性に係るエアブロー時間Ta_sを設定するようになっている。
基本動作時間設定手段44は、静的エアブロー時間設定手段41で設定されたエアブロー時間Taを仮設定値として各調整画面132、133中に表示させる一方、「排出不可」ボタン132c、133cが操作される度に、排出可否判定手段42の判定結果に応じてエアブロー時間Taに所定の上昇時間tαを加算する処理(同図中の「自動でUP」)を実行して、そのUP処理後の静的物品排出特性に係るエアブロー時間をエア吹き付けの動作時間とした選別動作時間Ton_aj(但し、エアブロー時間はTa_ma以下)を各調整画面132、133中に表示させるようになっている。
加えて、制御部13または/および制御ユニット30は、基本動作時間設定手段44により設定された静的物品排出特性に係るエアブロー時間をエア吹き付けの動作時間とした選別動作時間Ton_ajを基本動作時間Ta_sとして、この基本動作時間Ta_sに対し式(6)の補正計算(Ta_d[s]=k×Ta_s)を適用する動的排出補正係数設定手段45の機能を有するとともに、エアブロー時間のタイプ選択画面である第4の調整画面135への選択操作入力(ダイナミックエアブロー、スタティックエアブロー、任意設定エアブローのいずれか)に応じて、動的排出補正係数設定手段45の機能を選択的に発揮させる補正選択手段46の機能を併有している。
図1に示すように、物品検査装置1は、ワークWがコンベア搬送路21a外に排出されたことを検知する排出センサ38をさらに有していてもよい。
次に、操作画面による調整とその動作について説明する。
図8および図9は、本実施形態の物品検査装置1において図4ないし図7に示すような一連の操作画面を用いる選別動作時間Tonの調整作業中に総合補正係数Actkを自動算出する処理の手順を示している。また、図10は、調整済みの選別動作時間Tonを基に選別遅延時間Toffを調整する処理手順を示している。
図8および図9に示すように、まず、図4に示す品種登録画面としてのパラメータ設定画面131での品種登録がなされ、ワーク長さL[mm]、ワーク質量M[g]、検査コンベア速度Vx、選別コンベア速度Vrj等 が設定され、コンベア速度は[m/min]から[mm/s]に換算される(ステップS11)。
パラメータ設定画面131で次に「進む」131fが選択操作されると、次いで、パラメータ設定画面である第1の調整画面132(図5(a)参照)が表示されるとともに、静的物品排出特性のベース特性においてワーク質量Mに対し要求されるエアブロー時間Taを初期値として、エアブローテストに用いるエアブロー時間の選別動作時間Ton_aj[s]が設定される(ステップS12;静的エアブロー時間設定段階)。
次いで、奥側のエアブローテストを指示する第1の調整画面132が表示され、操作画面132中の「エアブローテスト」ボタン132aが操作されて、ワークWpを選別区間Zj内のエアブロー方向奥側に配置した状態でのエアブローテストが指示されると、そのワークWpに対してエアノズル22からのエアブロー時間の選別動作時間Ton_aj[s]に対応するエア噴射時間のエアブローテストが実行され、そのエアブローテストによってワークWpがコンベア搬送路21aの外側方に排出されたか否かが、「排出可」ボタン132bもしくは「排出不可」ボタン132cの選択操作に応じて判定される(ステップS13;排出可否判定段階)。なお、このようなワークWpの排出確認は、「排出可」ボタン132bもしくは「排出不可」ボタン132cの選択操作に代えて、エアブローテストから所定時間内の排出センサ38による排出検知の有無を判定することによっても可能である。
このとき、「排出可」ボタン132bが選択操作されるか排出センサ38による所定時間内の排出検知が有ると、ワークWpのコンベア搬送路21a外への排出判定となり(ステップS13で排出可の場合)、エアブロー方向におけるコンベア搬送路21aの全幅が所定値以上であることを条件に、中央側または手前側のエアブローテストを指示する第2の調整画面133(図5(b)参照)が表示される。
そして、この第2の調整画面133で、ワークWpを選別区間Zj内のエアブロー方向の中央側か手前側に配置した状態で「エアブローテスト」ボタン133aが操作され、エアブローテストが指示されると、そのエアブローテストが実行される。そして、そのエアブローテストによりワークWpがコンベア搬送路21aの外側方に排出されたか否かが、「排出可」ボタン133bが選択操作されたか「排出不可」ボタン133cが選択操作されたかによって判定される(ステップS14;排出可否判定段階)。
このような排出可否判定段階(ステップS13またはS14)で「排出不可」ボタン132cまたは133cが選択操作されると、最大エアブロー時間Ta_maxまでの推奨範囲内で、自動的に次のエアブローテストについてのエアブロー時間の選別動作時間Ton_ajに所定時間tαが加算される粗調整(ステップS17、18)や、それより短い時間tβが加算される微調整(ステップS15、16)の処理がなされる。ここで、所定時間tαは、例えば10msであり、それより短い時間tβは、例えば5msである。
また、エアブロー時間の選別動作時間Ton_ajが最大エアブロー時間Ta_maxまでの推奨範囲から外れる程度に大きくなると(ステップS16、S18で条件×の場合)、マニュアル調整を指示する第3の調整画面134(図6(a)参照)が表示される。
この第3の調整画面134中の入力ボックス134dに最大エアブロー時間Ta_maxを超えたエアブロー時間Ta_o、例えば200msが入力され、ワークWpを選別区間Zj内に配置した状態で「エアブローテスト」ボタン134aが操作され、マニュアル調整のエアブローテストが指示されると(ステップS19)、そのエアブローテストによってワークWpがコンベア搬送路21aの外側方に排出されたか否かが、「排出可」ボタン134bが選択操作されたか「排出不可」ボタン134cが選択操作されたかによって判定される(ステップS20)。
このとき、「排出不可」ボタン134cの選択操作に応じてワークWpがコンベア搬送路21aから外側方に未排出だと判定されれば、次いで、操作表示手段13eによりその未排出状態を報知する画面表示出力等がなされる。
一方、このとき、「排出可」ボタン134bの選択操作に応じてワークWpがコンベア搬送路21aの外側方に排出されたと判定されれば、次いで、図6(b)に示す第4の調整画面135で予め設定済みのエアブロー時間のタイプ選択の別、すなわち、スタティックエアブローか、ダイナミックエアブローか、任意設定エアブローかの別に応じて、エアブロー時間の搬送速度補正が実行される(ステップS22)。
スタティックエアブローの場合、スタティクエアブロー時間の選別動作時間Ton_ajは、コンベア上の静止状態の選別対象の物品排除に要するエアブロー時間Ta_sに設定され、エアブロー補正係数Actkは、静的物品排出特性に係る計算式(5)を用いて算出される総合補正係数値となる。
ダイナミックエアブローの場合、ダイナミックエアブロー時間Ta_d[s]は、コンベア上で静止状態の選別対象の選別排出に要するエアブロー時間Ta_sを式(6)により搬送速度補正係数k(k≦1)を用いて補正した値(Ta_d=k×Ta_s)となり、エアブロー補正係数Actkは、その補正値Ta_dを用いる次式(8)で算出される。
Actk=(Ta-y)/(Ta_d-y)・・・(8)
任意設定エアブローの場合、推奨範囲を超える任意設定のエアブロー時間Ta_oは、そのまま任意設定のエアブロー時間Ta_oとなり、エアブロー補正係数Actkは、その補正値Ta_oを用いる次式(9)で算出される。
Actk=(Ta-y)/(Ta_o-y)・・・(9)
次いで、選択したタイプのエアブロー時間Ta_s、Ta_dまたはTa_oを今回の選別動作時間Tonに設定する(ステップS26)。
さらに、以上の処理の結果を応用して、例えば次のような処理を追加実行することも考えられる(ステップS27)。
例えばワーク形状同一で質量が異なる場合は、図11に示すようなエアブロー時間のベース特性および補正特性からエアブロー時間(選別動作時間Ton)が計算できるので、重量選別機等の質量計測値を基に選別動作時間Tonをリアルタイムに可変設定することが可能となる。すなわち、同一形状の質量違いのワークWpは、総合補正係数Actkを用いる前述の式(2)と略同様の次式(10)によって
Ton[s]=(x/Actk)・M[g]+y・・・(10)
エアブロー時間(選別動作時間Ton)の自動計算が可能である。
選別遅延時間Toffは、図10に示すような手順で調整される。
まず、最初に、図8および図9に示す手順で自動計算および調整済みとなった選別動作時間Ton[s]を採用する(ステップS31)。
次いで、検査機10側の物品検知センサ18がワークWpを検知してからエアジェット選別機20がエアノズル22からのエアブローを開始するまでの選別遅延時間Toffが次式(11)によって自動計算される(ステップS32)。
Toff_aj[s]=(Lx+Ls+L/2)/Vx
+(Lrj-Lg/2)/Vrj・・・(11)
ここで、Lx[mm]は、物品検知センサ18による先端検知位置から検査機10のコンベア搬送路11aの後端までの距離であり、Ls[mm]は、検査機10とエアジェット選別機20のコンベア搬送路11a、21aの間の間隙であり、L[mm]はワーク長である。また、Lrj[mm]は、エアジェット選別機20のコンベア搬送路21aの先端からエアノズル22のエアブロー範囲の中心までの距離であり、Lg[mm]は、エアノズル幅であり、Vx[mm/s]は、検査機10側のコンベア速度であり、Vrj[mm/s]は、エアジェット選別機20側のコンベア速度である。
この式(11)は、ワークWpが検査機10側の物品検知センサ18で検知された後、ワークWpの重心が検査機10の第1の搬送部11のコンベア搬送路11a上で移動する距離Lx[mm]の間、ワークWpは検査機10のコンベア速度Vxで移動し、エアジェット選別機20の第2の搬送部21のコンベア搬送路21a上にある距離Lrj[mm]の間は選別部のコンベア速度Vrjで移動するという考えに基づくものである。なお、ワークWpの重心が検査機10側のコンベア搬送路11aからエアジェット選別機20側のコンベア搬送路21aに乗り移るときは、ワークWpの半分を検査機10側のコンベア速度Vxで、残りの半分をエアジェット選別機20側のコンベア速度Vrjで移動させるものとし、コンベア搬送路11a、21aの間の隙間Ls[mm]については、検査機10側のコンベア速度Vxとする。
本実施形態では、このように調整済みとなった選別動作時間Ton[s]を採用して選別遅延時間Toff[s]を自動計算する。
そして、選別遅延時間Toff_ajが正しく調整されていれば、必ずエアブローによる排除対象ワークWpの排出ができるとの考えを基に、次いで、選別タイミングの算出設定値が好適(良い)か否か(選別遅延時間の過大か過小)あるいは再設定要求があるかが判断される(ステップS33)。
また、この判断に先立って、図7(a)に示す第5の調整画面136中の「確認する(運転)」のチェックボックスを選択操作することにより、選別遅延時間Toffおよび選別動作時間Tonの算出結果通りの条件で選別動作を実行し、図7(b)に示す第6の調整画面137に進んで、実際にワークWpの実搬送状態での排出確認を実行させる。その上で、ワークWの実搬送時の選別タイミングが確認され、排出タイミングが良好か否かや任意設定(再設定)要求の有無が第6の調整画面137中の複数のボタン操作で選択され、選別タイミングの調整の適否が判断可能となる。
具体的には、図7(b)に示す第6の調整画面137中で、選別タイミングの複数の選択肢のうち「良い」が選択されると、良好な現在の選別遅延時間Toffの設定値で選別タイミングが確定され(ステップS37)、「速い」が選択されると、過小の選別遅延時間Toffが所定時間tγ(例えば10ms)だけ延長(自動up)される(ステップS34)。一方、選別タイミングの複数の選択肢のうち「遅い」が選択されると、過大な選別遅延時間Toffが所定時間tγ(例えば10ms)だけ短縮(自動down)され(ステップS35)、「任意設定」が選択されると、再設定が必要な選別遅延時間Toffが任意の時間に設定される(ステップS36)。
本実施形態では、このように総合補正係数Actkの算出に相当する作業を選別動作時間Tonの調整作業中に自動的に実行しつつ、調整済みとなった選別動作時間Ton[s]を採用して選別遅延時間Toffを自動算出する。ことにより、エアジェット選別機20の選別タイミングの実質的な最適値が容易に設定される(ステップS38)。
次に、作用について説明する。
上述のように構成された本実施形態の物品検査装置1においては、コンベア搬送路21a上で静止する質量MのワークWpを排出するための静的物品排出特性に係るエアブロー時間Ta_sが選別動作時間Tonとして設定されると、そのエアブロー時間をエア吹き付けの動作時間とした選別動作時間Tonのエアの吹きつけでワークWpがコンベア搬送路21a外に排出されるか否かが排出可否判定手段42によって判定され、その判定結果および静的物品排出特性に係るエアブロー時間Ta_sを基に、実エアブロー時間算出手段43により、ワークWpを実搬送中にコンベア搬送路21a外に排出するための動的物品排出特性に係る実エアブロー時間Ta_dが算出される。したがって、選別動作時間Tonの設定時に、他のタイミングパラメータを変化させながら多数回の排出確認を行う必要が無くなり、エア吹きつけの動作時間である選別動作時間Tonを確実な排出のために必要以上に大きな値にする傾向を有効に抑制することができる。
また、本実施形態では、質量設定部131maを有するパラメータ設定画面131と、静的物品排出特性に係るエアブロー時間Ta_sを設定変更可能な基本動作時間設定手段44とを有することで、ワークWpの質量Mに応じて静的物品排出特性に係るエアブロー時間Ta_sを基本動作時間として設定変更可能に設定できる。
さらに、本実施形態では、実エアブロー時間算出手段43により実エアブロー時間を算出するための動的物品排出特性に係る補正係数kを設定する動的排出補正係数設定手段45を有するので、静的物品排出特性に係るエアブロー時間Ta_sに対し、動的物品排出特性に係る補正係数kを掛けることで、動的物品排出特性に係る有効な実エアブロー時間Ta_dが短時間で算出可能となる。
加えて、本実施形態においては、エアブロー時間のタイプ選択画面である第4の調整画面135等によって動的排出補正係数設定手段45を選択的に作動させる補正選択手段46を有しているので、高排出能力が要求されるか否か等によって、静的物品排出特性に係るエアブロー時間Ta_sに対して動的物品排出特性に係る補正係数k(≦1)を掛けた相対的に短時間の実エアブロー時間Ta_dを算出するか否かの選択が可能となる。よって、物品検査や搬送の条件の自由度を高めることができる。
また、本実施形態では、基本動作時間設定手段44が、パラメータ設定画面131での設定パラメータを基に算出された静的物品排出特性に係るエアブロー時間Ta_s(スタティックエアブロー時間)について、各調整画面132、133中に対応するスタティックエアブロー時間Ta_sについての設定変更を要求する排出不可ボタン132c、133cを有しているので、排出可否判定手段42の判定結果に応じて静的物品排出特性に係るエアブロー時間Ta_sの設定変更の要求入力を行ったり、さらに次の調整画面134に進んで、対象ワークWpについて経験済みの設定入力を行ったりすることができる。
また、本実施形態では、基本動作時間設定手段44が、排出可否判定手段42の判定結果に応じてスタティックエアブロー時間Ta_sを設定しあるいは再計算するので、新規のワークWpに対してスタティックエアブロー時間Ta_sを自動設定可能となる。
さらに、本実施形態において、排出可否判定手段42は、ワークWpがコンベア搬送路21a外に排出されたことを検知する排出センサ38を有する構成とすれば、ワークWpがコンベア搬送路21a外に排出されたことを排出センサ38によって直接検知可能となるので、排出の可否を迅速的確に判定可能となる。
このように、本実施形態の物品検査装置1は、物品排除装置をエアジェット選別機20として備えるとともに、物品搬送ライン上のワークWp毎に所定の物品検査を実行する検査機10を備え、静的物品排出特性に係るエアブロー時間Ta_sが設定されると、そのエアブロー時間Ta_sのエアの吹きつけでワークWpがコンベア搬送路21a外に選別排出されるか否かが判定され、その判定結果と静的物品排出特性に係るエアブロー時間Ta_sを基に、実搬送中のワークWpをコンベア搬送路21a外に排出するための動的物品排出特性に係る実エアブロー時間Ta_dが算出される。したがって、物品検査結果に応じた排出対象ワークWpの決定からその排出動作開始までの選別遅延時間Toffといった他のタイミングパラメータを変化させながら多数回の排出確認を行うといった必要が無くなり、エア吹きつけによる選別動作時間Tonを必要以上に大きな値にする必要がなく、ワークWp排出に要するエアの吹きつけ動作時間Tonを短時間で的確に設定できる物品検査装置1を提供することができる。
以上のように、本実施形態によれば、物品排出に要するエアの吹きつけ動作時間Tonを短時間で的確に設定できる物品排除装置としてのエアジェット選別機20および物品検査装置1を提供することができる。
なお、上述の一実施形態においては、エアノズル22を1つのみ図示していたが、複数のエアノズルを高さ方向や搬送方向に吹き出し口が隣り合うような並列配置形態を取り得ることはいうまでもない。そのような配置形態にかかわりなくエアの吹きつけ動作時間Tonを短時間で的確に設定できることは勿論である。また、パラメータ設定画面131における設定パラメータが質量とそれ以外の任意のパラメータを含み得ることや必要なパラメータの追加が可能であることもいうまでもない。また、前述の一実施形態では、物品検査装置1の検査部である検査機10の後段に物品排除装置であるエアジェット選別機20を配置したが、エアジェット選別機20と略同様な物品排除装置の前段に検査機以外の包装機その他の装置を配置したり、物品検査結果以外の物品排除指令入力に従って物品排除装置を作動させたりすることができるのは勿論である。さらに、前述の一実施形態では、上流側に配置された検査機10側の物品検知センサ18の検知情報を基に選別遅延時間Toffを設定したが、エアジェット選別機20の上流端付近の物品検知センサ28の検知情報を基に選別遅延時間Toffを設定可能であることもいうまでもない。
以上説明したように、本発明は、物品排出に要するエアの吹きつけ動作時間を短時間で的確に設定できる物品排除装置および物品検査装置を提供することができるものであり、エアブロー式の物品排除装置およびそれを備える物品検査装置全般に有用である。