以下、複数の実施形態による衣類処理装置について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。各実施形態は、図1に示す横軸又は斜め軸型のドラム式洗濯機、及び図示しない縦軸型の洗濯機のいずれにも適用することができる。
(第1実施形態)
まず、図1~図11を参照して第1実施形態について説明する。衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、図1~図4に示すように、筐体11、水槽12、回転槽13、回転槽モータ14、扉15、ベローズ16、給水機構17、排水部18、操作パネル19、及び示す制御装置20を備えている。洗濯乾燥機10は、ヒートポンプ方式の乾燥機能を備えた衣類乾燥機でもあり、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。なお、本実施形態において、筐体11に対して扉15側を洗濯乾燥機10の前側つまりユーザ側とする。また、重力方向つまり鉛直方向を洗濯乾燥機10の上下方向とし、前後方向及び上下方向に直交する水平方向を左右方向とする。
筐体11は、洗濯乾燥機10の外殻を構成するものであり、例えば鋼板等によってほぼ矩形の箱状に形成されている。筐体11は、図1に示すように、前面の概ね中央に設けられた開口部111が扉15によって開閉される。
水槽12は、筐体11の内部に収容されている。回転槽13は、水槽12の内部に収容されている。水槽12及び回転槽13は、いずれも円筒状に形成されている。水槽12は、円筒状の一方の端部に開口部121が形成され、他方の端部に水槽端板122が設けられている。開口部121は、傾斜した水槽12において水槽端板122よりも上側に位置している。
同様に、回転槽13は、円筒状の一方の端部に開口部131が形成され、他方の端部に回転槽端板132が設けられている。開口部131は、傾斜した回転槽13において回転槽端板132よりも上側に位置している。回転槽13の開口部131は、水槽12の開口部121に周囲を覆われている。水槽12及び回転槽13は、洗濯物を収容する洗濯室及び乾燥室として機能する。
回転槽モータ14は、水槽12の外側にあって水槽端板122に設けられている。回転槽モータ14は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータである。回転槽モータ14の軸部141は、水槽端板122を貫いて水槽12の内側へ突出し、回転槽端板132の中心部に固定されている。これにより、回転槽モータ14は、水槽12に対して回転槽13を相対的に回転させる。この場合、軸部141、回転槽13の回転軸、及び水槽12の中心軸は、それぞれ一致している。回転槽モータ14は、制御装置20に電気的に接続され、制御装置20による制御により駆動する。
扉15は、図示しないヒンジを介して筐体11の外面側に設けられている。扉15は、ヒンジを支点に回動し、筐体11の前面に形成された開口部111を開閉する。ベローズ16は、開口部111と水槽12の開口部121とを接続する。衣類等の洗濯物は、扉15を開放した状態で、開口部121、131を通して回転槽13内に出し入れされる。
給水機構17は、図5に示すように、例えば筐体11内の水槽12の上方左奥部に設けられている。給水機構17は、例えば水道等の給水源からの水を受けて水槽12内への給水を行う。
排水部18は、水槽12の重力方向の下側に位置する底部の後端部側に設けられている。排水部18は、排水口123、排水弁181、及び排水ホース182を含んで構成されている。排水口123は、水槽12の最底部となる後端部に設けられており、水槽12の内部と外部とを連通している。排水弁181は、例えば電磁式の液体用の開閉弁で構成されており、排水口123と排水ホース182との間に設けられている。排水弁181は、制御装置20に電気的に接続されており、制御装置20の制御を受けて開閉する。排水ホース182は、排水口123と機外つまり筐体11の外部とを繋いでおり、水槽12内の水を外部に排水するための排水経路として機能する。この場合、排水弁181は、排水口123と排水ホース182との間すなわち排水経路を開閉する。つまり、排水弁181が開放されることにより、水槽12内の水は、排水口123から排水弁181及び排水ホース182を経由して洗濯乾燥機10の外部へ排出される。
操作パネル19は、例えば図1に示すように筐体11の上面部における前部に設けられており、制御装置20に電気的に接続されている。各種操作キー等が設けられている。
操作パネル19は、例えばタッチパネル式の液晶パネルを含んで構成され、洗濯乾燥機10に関する種々の情報を表示することができる。なお、操作パネル19は、液晶パネルに限らず、他の実施形態では、例えば有機ELパネルを含んで構成されていても良い。
各種操作キーは、洗濯乾燥機10の運転に関するユーザによる各種の操作を受け付ける。操作キーは、操作パネル19に表示された画面に含まれるタッチキーで構成されている。ユーザは、操作パネル19に表示された操作キーに手指等で触れることにより、洗濯乾燥機10の運転に関する各種の入力操作を行うことができる。
操作パネル19を構成するタッチパネルとしては、例えばユーザの手指が触れた際に発生する静電容量の変化を感知する静電容量方式のタッチパネルを適用することができる。なお、操作パネル19を構成するタッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルに限らず、他の実施形態では、例えば抵抗膜方式のタッチパネルなど、各種の方式のタッチパネルを適用することができる。また、各種操作キーは、静電タッチ式に限られず、他の実施形態では、ボタン式であっても良い。
制御装置20は、図4に示すように、例えばCPU201や、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域202を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、洗濯乾燥機10全体の制御を行う。本実施形態の場合、制御装置20は、回転槽モータ14、及び排水弁181、操作パネル19、並びに後述する送風機39のファンモータ391、及び圧縮機43の駆動を制御する。
なお、洗濯乾燥機10は、図示しない外部のルータを介して例えばインターネットや携帯電話回線網等の電気通信回線に接続可能に構成されていても良い。この場合、図示しない通信部は、ルータ及び電気通信回線を介して、外部機器である例えばスマートフォンやタブレット、パソコン等の外部の情報端末や、企業等に設置されたサーバ等に通信可能に接続される。またこの場合、通信部は、情報端末等と有線又は無線によって直接接続されても良い。制御装置20は、外部機器である情報端末やサーバに例えば洗濯乾燥機10の運転状況等の各種情報を送信することができる。また、通信部は、情報端末やサーバ等から各種指示を受信することができる。
図1から図3に示すように、水槽12は、空気出口21と、空気入口22とを有している。空気出口21は、例えば水槽12の筒状部分を構成する周壁にあって上部前寄り部分に設けられている。空気入口22は、水槽端板122にあって、該水槽端板122の中心よりやや上寄り部分に設けられている。空気出口21及び空気入口22は、水槽12の内部と外部とを連通している。空気出口21は、乾燥室である水槽12及び回転槽13からの空気の出口である。空気入口22は、乾燥室である水槽12及び回転槽13への空気の入口である。空気出口21と空気入口22とは、いずれも排水口123よりも上方に位置している。
図1に示すように、回転槽13は、複数の孔23と、複数の連通口24とを有している。孔23及び連通口24は、回転槽13の内部と外部とを連通している。孔23は、回転槽13の円筒状の筒状部分を構成する周壁の全域に形成されている。連通口24は、回転槽端板132の全域に形成されている。孔23及び連通口24は、洗い工程、排水工程、すすぎ工程及び脱水工程を含む洗濯運転時には、主に水が出入りする通水孔として機能し、乾燥運転時には空気が出入りする通風孔として機能する。なお、図1では、簡単のため複数の孔23及び連通口24のうち一部のみを示している。
洗濯乾燥機10は、図1~図3に示すように循環風路30及びヒートポンプユニット40を備えている。循環風路30は、水槽12の外側に設けられており、空気出口21と空気入口22とを繋いでいる。具体的には、循環風路30は、排気ダクト31、フィルタ装置32、接続ダクト33、熱交換部34、及び給気ダクト35を有して構成されている。
排気ダクト31は、図1及び図3に示すように、水槽12の空気出口21とフィルタ装置32とを接続している。排気ダクト31は、例えば蛇腹状のホースで構成されている。フィルタ装置32は、筐体11の内側上部にあって、水槽12及び回転槽13の上方に設けられている。フィルタ装置32内には、フィルタ321が設けられている。フィルタ装置32は、空気出口21から排気された空気をフィルタ321に通過させることで、空気出口21から排気された空気に含まれるリント等の異物を取り除く。フィルタ装置32は、接続ダクト33を介して熱交換部34の上流側に接続されている。熱交換部34は、筐体11の内側下部にあって、水槽12及び回転槽13の下方に設けられている。
更に、循環風路30は、図1から図3に示すように排気口36と、開閉装置37と、吸気口38と、を有する。排気口36は、接続ダクト33において、フィルタ装置32側に設けられている。排気口36は、接続ダクト33の一部の上部を例えば複数のスリット形状に開口して形成されていて、接続ダクト33ひいては循環風路30の内部と外部とを接続する。開閉装置37は、排気口36の外部側に設けられている。開閉装置37は、いわゆるダンパであり、一端を支点に図示しないモータにより回動して排気口36を開閉することができる。開閉装置37は、制御装置20に接続されており、制御装置20の制御を受けて開閉駆動される。
吸気口38は、熱交換部34の上部に設けられている。吸気口38は、熱交換部34の一部を開口して形成されていて、熱交換部34ひいては循環風路30の内部と外部とを接続する。開閉装置37を開いて開状態とすると、図1に矢印A1で示すように循環風路30内の空気の一部は排気口36を通って循環風路30外に排出される。すると、循環風路30内が減圧となるため、吸気口38を通して循環風路30外の空気が循環風路30に吸入される。この場合、循環風路30内に負圧が発生することにより、ベルヌーイの定理により循環風路30内の風量が増加する。つまり、水槽12及び回転槽13に供給される乾燥空気の風量が増加する。また、排気口36から温められた空気の一部を排出して吸気口38から循環風路30外部の空気を取り入れると、循環風路30内の空気の温度が下がりやすくなる。
ヒートポンプユニット40は、循環風路30のうち熱交換部34の内部を通過する空気を除湿及び加熱することで乾燥した温風を生成する機能を有する。熱交換部34内には、ヒートポンプユニット40の一部を構成する蒸発器41及び凝縮器42が設けられている。蒸発器41は、乾燥運転時における熱交換部34内の空気の流れに関して、凝縮器42よりも上流側に設けられている。熱交換部34内を通る空気は、蒸発器41によって冷却され、これにより除湿される。蒸発器41によって除湿された空気は、その後、凝縮器42によって加熱されて温風になる。
循環風路30のうち熱交換部34の下流側は、給気ダクト35を介して水槽12の空気入口22に接続されている。熱交換部34と給気ダクト35との接続部分には、送風機39が設けられている。送風機39は、図2に示すように、ファンモータ391とファン392とを有して構成されている。
送風機39は、熱交換部34内の空気を吸い込み、給気ダクト35側へ吐出する。これにより、図1、図2、及び図3の矢印Aで示すように、水槽12及び循環風路30を循環する空気の流れが生じる。この場合、循環風路30内の空気の流れについてみると、空気出口21が最上流側となり、空気入口22が最下流側となる。
この構成において、圧縮機43及び送風機39を駆動させると、熱交換部34内で除湿及び加熱された温風は、送風機39の送風作用により、給気ダクト35を介して空気入口22から水槽12内へ供給される。その後、温風は、主に連通口24から回転槽13内へ入り、回転槽13内の洗濯物の温度を上昇させると共に洗濯物から湿気を奪った後、主に孔23から回転槽13の外側へ出る。そして、湿気を含んだ空気は、空気出口21から循環風路30に吸い込まれる。循環風路30に吸い込まれた空気は、まず排気ダクト31及びフィルタ装置32を通過する。その後、空気は、接続ダクト33を介して熱交換部34へ流れる。このように、水槽12から循環風路30に入った空気は、循環風路30内で除湿及び加熱された後、再び水槽12内に供給される。
次に、ヒートポンプユニット40について説明する。ヒートポンプユニット40は、水槽12から循環風路30内に流入した空気を、除湿及び加熱して乾いた温風にし、再び水槽12内に供給するための温風供給装置として機能する。
ヒートポンプユニット40は、図3に示すように、蒸発器41及び凝縮器42の他、圧縮機43と、減圧装置44と、アキュムレータ45とを備えている。圧縮機43と、減圧装置44と、アキュムレータ45は、熱交換部34の外側に設けられている。冷媒は、図3に示す矢印Bのように、ヒートポンプユニット40内を循環する。ヒートポンプユニット40は、圧縮機43を基準とした冷媒が流れる方向に対して順に、凝縮器42、減圧装置44、蒸発器41、及びアキュムレータ45を環状に接続して構成されている。
蒸発器41及び凝縮器42は、例えば微小な間隔で設けられた多数のフィンを有する管で構成されており、この管の内部に冷媒を通すことで、フィン間を通る空気と冷媒との熱交換を行う。蒸発器41及び凝縮器42は、熱交換器として機能する。
圧縮機43は、圧送により冷媒を凝縮器42へ供給する。圧縮機43は、制御装置20に接続され、制御装置20の制御により駆動及び停止される。減圧装置44は、凝縮器42から吐出された高圧で液状の冷媒を、減圧して低圧の気液混合状態にする。この場合、減圧装置44は、例えばキャピラリチューブ等で構成されているが、制御装置20の制御によって開閉可能な電磁開閉式の膨張弁等であっても良い。
洗濯乾燥機10は、図1、及び図4から図6に示すように、更に蒸気発生装置50を備える。蒸気発生装置50は、回転槽13に蒸気を供給する機能を有する。蒸気発生装置50は、筐体11内部であり、水槽12外部に設けられている。本実施形態では、蒸気発生装置50は、水槽12の上方であって洗濯乾燥機10上部の前端部に設けられ、水槽12及び回転槽13の上前方から開口部121及び開口部131を通して回転槽13内の衣類に蒸気を吹き付ける。
蒸気発生装置50は、蒸気発生部51と、噴霧部52とを含んで構成されている。蒸気発生部51は、給水機構17を通して外部の水源から供給された水を加熱して回転槽13に供給する蒸気を生成する。噴霧部52は、蒸気発生部51で発生した蒸気を微細化して回転槽13内に噴霧する。本実施形態では、噴霧部52は、例えば静電噴霧によって蒸気を微細化する。他の実施形態では、噴霧部52は静電噴霧方式に限らず、例えば超音波を用いて蒸気を微細化しても良い。
図5には、洗濯乾燥機10のうち蒸気発生装置50が設けられた上部が示されている。図5に示すように、給水機構17は、給水弁171と、給水経路172とを有する。なお、図1では給水経路172の上流側部分と給水弁171とは省略されている。給水弁171は、制御装置20に接続されており、制御装置20の制御を受けて開閉駆動される。制御装置20は、給水弁171を開閉駆動することにより、外部の水源からの水を、給水弁171、及び給水経路172を介して蒸気発生部51へ供給する。なお、給水機構17は、例えば水道などの給水源からの水を受けて水槽12内への給水を行う図示しない給水経路と、当該給水経路を開閉する図示しない給水弁とを別途有する。
図6に示すように、蒸気発生部51は、タンク511と、加熱部512と、注水口513と、吐出口514とを有する。タンク511は、容器状に形成され、内部に給水経路172を通して供給された水を貯水する。タンク511は、耐熱性で熱伝導率の高い金属ダイキャスト、例えばアルミニウムダイキャストで形成されている。加熱部512は、タンク511の下方に設けられてタンク511内の水を加熱する。注水口513は、この場合タンク511上部に設けられて、タンク511と給水経路172とを接続する。吐出口514は、タンク511に設けられて、タンク511と噴霧部52とを接続する。
噴霧部52は、放電電極521を含んで構成されている。放電電極521は、前記吐出口514から吐出された蒸気が通過する位置に設けられている。高圧電源装置53からの高電圧を放電電極521間に印加し、蒸気発生部51から吐出された蒸気が放電電極521によって発生する電界を通過することで、蒸気の水粒子は、電荷を帯びて分裂を繰り返すいわゆるレイリー分裂により表面積を増やして微細化する。これにより、蒸気は更に微細化して霧化した蒸気となって噴霧速度を増して回転槽13内に吐出される。
洗濯乾燥機10は、図3から図5に示すように、給気温度センサ61と、水槽温度センサ62と、タンク温度センサ63と、重量センサ64と、を備えている。給気温度センサ61と、水槽温度センサ62と、タンク温度センサ63と、重量センサ64とは、それぞれ制御装置20に電気的に接続されている。
給気温度センサ61は、図3に示すように循環風路30内に設けられ、循環風路30内の空気の温度を検出する。具体的には、給気温度センサ61は、凝縮器42と空気入口22との間でかつ空気入口22の近傍に設けられている。給気温度センサ61は、給気ダクト35を通って乾燥室である水槽12及び回転槽13内へ供給される空気、つまり熱交換部34で熱せられて乾燥室内へ供給される空気の温度を検出する。
なお、給気温度センサ61は、本実施形態では熱交換部34で熱せられて乾燥室内へ供給される空気の温度を直接検出するが、これに限らない。他の実施形態では、制御装置20は、乾燥室内へ供給される空気の温度を間接的に検出する構成であっても良い。例えば、制御装置20は、乾燥室である水槽12及び回転槽13から排気されて排気ダクト31内を通る空気の温度を検出する排気温度センサ、圧縮機43から吐出される冷媒の温度つまり圧縮機43の温度を検出する圧縮機温度センサ、凝縮器42の温度を検出する凝縮器温度センサなどの検知結果に基づいて乾燥室内へ供給される空気の温度を間接的に検出することができる。
水槽温度センサ62は、図3に示すように水槽12の任意の位置に設けられて、水槽12の温度を検知する。この場合、水槽12の温度は、回転槽13の温度及び回転槽13内の衣類の温度と同程度となる。
タンク温度センサ63は、図6に示すようにタンク511に設けられて、タンク511の温度を検知する。本実施形態では、タンク温度センサ63は、例えばタンク511の上部に設けられている。タンク温度センサ63は、例えばいわゆるサーミスタであっても良い。制御装置20は、タンク温度センサ63の検知温度が所定の温度x0以上であるか否かを判定する。タンク511の温度が所定の温度x0に達した場合、タンク511内の水が加熱されて全て蒸気となったと考えることができる。所定の温度は、100℃よりも高温に設定されている。所定の温度x0は、例えば115℃~125℃の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の温度x0は120℃に設定されている。制御装置20は、例えばタンク温度センサ63の検知温度が所定の温度x0に達した場合加熱部512への通電を停止する。
制御装置20は、CPU201において制御プログラムを実行することにより、図4に示す重量センサ64をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、制御装置20は、重量センサ64を集積回路等のハードウェアにより実現しても良いし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実現しても良い。
重量センサ64は、制御装置20の記憶領域202にアクセス可能に構成されている。重量センサ64は、回転槽13内部の洗濯物の重量を検知する。また、制御装置20は、検知した洗濯物の重量を記憶領域202に記憶させる。本実施形態では、重量センサ64は、洗い工程から排水工程までの間に、洗濯物の重量を検知することができる。重量センサ64は、例えば回転槽モータ14のベクトル制御におけるq軸電流を測定することによって回転槽モータ14に作用している現在の負荷を検知し、その負荷に基づいて回転槽13内部の洗濯物の重量を測定することができる。なお、重量センサ64は、指令した回転数と実際の回転数との差から回転槽モータ14への負荷を検知しても良い。
制御装置20は、回転槽モータ14、給水機構17、排水弁181、送風機39、圧縮機43等を制御して、洗濯運転と乾燥運転と洗濯乾燥運転とを選択的に実行可能である。洗濯乾燥運転は、洗濯運転の後に続けて乾燥運転を行う態様である。
洗濯運転は、洗い工程、濯ぎ工程、脱水工程のうち少なくともいずれか1つの工程を含む。洗い工程は、給水機構17によって水槽12に水を供給し、回転槽モータ14によって回転槽13を回転させて洗剤と水とで衣類を洗う工程である。濯ぎ工程は、給水機構17によって水槽12に水を供給し、回転槽モータ14によって回転槽13を回転させて衣類を濯ぐ工程である。脱水工程は、回転槽モータ14を駆動させて回転槽13を回転させることで衣類が吸った水を除去する工程である。
乾燥運転は、衣類を乾燥する工程を含む。乾燥工程において、制御装置20は、回転槽モータ14と、送風機39と、圧縮機43とを駆動する。乾燥工程は、圧縮機43を駆動することで空気を蒸発器41及び凝縮器42によって加熱及び除湿し、加熱した乾燥空気を送風機39によって乾燥室に送風して、回転槽モータ14を駆動して衣類を回転させながら乾燥させる工程である。
更に制御装置20は、洗濯運転、乾燥運転、若しくは洗濯乾燥運転の実行後、又は単独で、蒸気処理運転を実行可能である。蒸気処理運転は、衣類を収容した水槽12内に蒸気を供給して、蒸気によって衣類を処理する運転である。ユーザは、例えば衣類についたにおいを取り除きたいときに、操作パネル19を操作することにより蒸気処理運転を選択して洗濯乾燥機10に実行させることができる。
図7は、蒸気処理運転のタイミングチャートを示す。図7に示すように、蒸気処理運転は第1工程と、第1工程の後に実行される第2工程とを含んで実行される。更に言えば、蒸気処理運転は、第1工程と第2工程とを含む1セットを、所定の最大繰り返し回数Nmaxだけ繰り返して実行される。最大繰り返し回数Nmaxは、第1工程と第2工程とを含むセットを何セット繰り返し実行すれば蒸気処理運転が終了するかを示す。
第1工程は、蒸気発生装置50によって蒸気を発生させ、発生させた蒸気を水槽12に投入する工程である。これにより、洗濯乾燥機10は、水槽12内に収容された衣類に蒸気を供給し浸透させる。第2工程は、熱交換部34において加熱乾燥された空気を送風機39によって水槽12に送風する工程である。これにより、衣類に浸透した蒸気を蒸発させ、例えば衣類についたにおいの成分を衣類から揮発させて取り除くことができる。
第1工程において、制御装置20は蒸気発生装置50を駆動して蒸気を発生させる。この場合、具体的には、制御装置20は給水弁171を開放してタンク511に外部の水源の水を貯水する。また制御装置20は、加熱部512を駆動してタンク511内の水を加熱して蒸気を発生させる。更に制御装置20は、高圧電源装置53からの高電圧を放電電極521間に印加し、蒸気を微細化して水槽12に投入する。
また、第1工程において、制御装置20は送風機39を駆動する。これにより、衣類が巻き上がって衣類間の間隔が広がることで、蒸気発生装置50によって発生した蒸気が衣類に浸透しやすくなる。また、蒸気発生装置50によって発生した蒸気が衣類に浸透しないまま空気出口21から循環風路30に回収されても、循環風路30を循環して再度空気入口22から乾燥室に供給される。なお、本明細書で送風機39を駆動するとは、停止していた送風機39を駆動することと、駆動していた送風機39の駆動を継続することとの両方を意味する。
更に、第1工程において、制御装置20は開閉装置37を閉じた閉状態として、循環風路30内の空気が排気口36から機外に排出されることを抑制する。これにより、蒸気発生装置50によって発生した蒸気が衣類に浸透せずに機外に排出されてしまうことを抑制することができる。
更にまた、第1工程において、制御装置20は、圧縮機43を駆動して循環風路30内の空気を加熱する。これにより、加熱した循環空気により衣類を温めることで、蒸気による衣類の処理を更に促すことができる。この場合、制御装置20は、衣類を温めることで、衣類に付着したにおい成分を揮発しやすくし、衣類からにおい成分を取り除く。なお、本明細書で圧縮機43を駆動するとは、停止していた圧縮機43を駆動することと、駆動していた圧縮機43の駆動を継続することとの両方を意味する。
第2工程において、制御装置20は蒸気発生装置50を駆動しない。つまり、第2工程において制御装置20は水槽12に蒸気を新たに供給しない。また、第2工程において、制御装置20は開閉装置37を開いた開状態にする。これにより、衣類から蒸発した蒸気や、蒸気と一緒に衣類から取り除かれたにおい成分を含んだ空気を排気口36から機外に排出することができる。
また、第2工程において、制御装置20は圧縮機43を駆動する。これにより、水槽12から戻ってきた蒸気を含む空気が熱交換部34において加熱乾燥される。この場合、制御装置20は、水槽12内に供給する空気の温度が所定の温度x1以上となるように圧縮機43の運転周波数を制御する。この場合、温度x1は、衣類からにおい成分が揮発しやすくなる温度である。温度x1は、例えば38℃~42℃の範囲内に設定することができる。本実施形態では、温度x1は40℃に設定されている。制御装置20は、給気温度センサ61の検知温度が40℃となるように、圧縮機43の運転周波数を制御する。
第2工程において、制御装置20は、送風機39を駆動する。これにより、熱交換部34において加熱乾燥された循環空気は水槽12に供給され、また衣類が巻き上げられて衣類間の間隔が広がる。そのため、洗濯乾燥機10は、衣類からの蒸気の蒸発とにおい成分の揮発とを促進することができる。
なお、第2工程において、制御装置20は、圧縮機43を駆動して循環風路30内の空気を加熱しなくても良い。一方、圧縮機43の立ち上げ時には、継続駆動時よりも大きな電力が消費される。本実施形態のように、第1工程のみならず第2工程においても圧縮機43を駆動することで、第1工程と第2工程とを含む蒸気処理運転の間継続して圧縮機43を駆動することになる。そのため、本実施形態では圧縮機43を何度も駆動したり停止したりしないで済むので、圧縮機43の消費電力を抑制することができる。
第1工程と第2工程とを含む1セットの最大繰り返し回数Nmaxは、例えば水槽12に収容された衣類の重量に応じて設定される。この場合、衣類の重量が重いほど、衣類のかさが大きくなり蒸気が浸透しづらくまたにおい成分が揮発しづらくなることが想定され、更に衣類に付着しているにおい成分の総量も多くなることが想定される。そのため、衣類の重量が重いほど、最大繰り返し回数Nmaxは大きくなるように設定される。また、衣類の重量が軽いほど、最大繰り返し回数Nmaxは小さくなるように設定される。
図8は、衣類の重量に応じて設定された最大繰り返し回数Nmaxの一例を示す。衣類の重量が2kg以下では最大繰り返し回数Nmaxは2回に、4kg以下では3回に、7kg以下では4回に、12kg以下では5回に設定されている。
更に、繰り返し実行回数N回目の第1工程の期間TfNと、繰り返し実行回数N回目の第2工程の期間TsNとは、それぞれ一例を図9及び図10に示すように、蒸気処理運転の効率を向上するようにカウントNに応じて設定される。カウントNは、それぞれの工程実行が何回目であるかを示す。つまり、カウントNは、それぞれの工程の繰り返し実行回数を示す。なおここで、第1工程及び第2工程の実行が初回の場合において、カウントN=1であり、2回目の場合はカウントN=2、最大繰り返し回数Nmaxの場合はカウントN=Nmaxである。
第1工程の繰り返し実行回数が多いほど、第1工程の期間TfNは短くなるように設定される。本実施形態では、少なくとも最終回つまりカウントN=Nmaxの場合の第1工程の期間TfNmaxは、初回つまりカウントN=1の場合の第1工程の期間Tf1よりも短く設定されている。これは、第1工程と第2工程とを繰り返して実行するうちに、次第に水槽12内の衣類が温まって来るため、蒸気処理の効率が向上して短期間でも十分となるためである。本実施形態では、第2回目以降つまりカウントN≧2の場合の第1工程の期間Tf2~TfNmaxは、初回つまりカウントN=1の場合の第1工程の期間Tf1よりも短く設定されている。具体的には、Tf1は15分~25分の範囲内に設定され、Tf2~TfNmaxは5分~15分の範囲内に設定されている。本実施形態では、図9に示すように、Tf1は20分に設定され、Tf2~TfNmaxは10分に設定されている。
また、第2工程の繰り返し実行回数が多いほど、第2工程の期間TsNは長くなるように設定される。本実施形態では、最終回つまりカウントN=Nmaxの場合の第2工程の期間TsNmaxは、少なくとも初回つまりカウントN=1の場合の第2工程の期間Tf1よりも長く設定されている。これにより、蒸気処理運転終了後に、ユーザが安全に扉15を開放して乾燥室から衣類を取り出せるように、乾燥室の温度と衣類の温度とを十分に下げることができる。本実施形態では、最終回つまりカウントN=Nmaxの場合の第2工程の期間TsNmaxは、初回から最終回以前つまりカウントN=1~Nmax-1の場合の第2工程の期間Ts1~TsNmax-1よりも長く設定されている。具体的には、TsNmaxは7分~20分の範囲内に設定され、Ts1~TsNmax-1は3分~7分の範囲内に設定されている。本実施形態では、図9に示すように、TsNmaxは10分に設定され、Ts1~TsNmax-1は5分に設定されている。
更に、制御装置20は、蒸気処理の進行具合例えば衣類の温まり具合に応じて第1工程の期間TfNを調整することができる。本実施形態では、制御装置20は、第1工程実行中に水槽温度センサ62の検知温度が所定の温度x2以上となったら、衣類が十分に温まったと判断して第1工程を終了して処理を第2工程に移行する。これにより、蒸気処理運転の運転期間を短縮することができる。所定の温度x2は、例えば43℃~47度の範囲内に設定することができる。本実施形態では、温度x2は45℃に設定されている。
続いて、蒸気処理運転における制御装置20の処理について、図11に示すフローチャートを参照して説明する。図11のスタートの時点では、洗濯乾燥機10の電源が入っており、衣類は水槽12内に収容されて扉15は閉じられているものとする。また、スタートの時点でカウントN=0に設定されている。
ユーザの操作パネル19への操作などにより、蒸気処理運転が開始されると(スタート)、制御装置20は、ステップS11において重量センサ64によって水槽12内の衣類の重量を検知する。そして、制御装置20は、ステップS12において重量センサ64の検知重量に応じた最大繰り返し回数Nmaxを設定する。最大繰り返し回数Nmaxは、例えば図8に示すように重量センサ64の検知重量に応じて設定される。
続いて、制御装置20は、ステップS13においてカウントNを1だけ増加してN+1とし、この新たなカウントを記憶領域202に記憶する。つまり、スタート直後であれば、カウントN=0+1つまり1となる。
制御装置20は、ステップS14において開閉装置37を開状態とする。これにより、排気口36が閉塞されて、蒸気発生装置50によって発生した蒸気が機外に排出されることを抑制できる。また、制御装置20は、ステップS15において送風機39を駆動する。これにより、衣類が巻き上げられて衣類間に隙間ができることで衣類全体に蒸気が浸透しやすくなる。更に、制御装置20は、ステップS16において圧縮機43を駆動する。これにより、加熱された循環空気が衣類を温めるので、蒸気による衣類の処理が促進される。
制御装置20は、ステップS17において、蒸気発生装置50を駆動する。これにより、水槽12に蒸気が供給される。蒸気発生装置50を駆動することは、給水弁171を開放する処理と、加熱部512に通電する処理と、高圧電源装置53からの高電圧を放電電極521間に印加する処理とを含む。
なお、フローチャートに詳細は示さないが、制御装置20は、タンク511に所定の量の水が貯水された時点で給水弁171を閉じる。この場合、制御装置20は、給水弁171を開放している期間で管理しても良いし、タンク511に水量センサを設けて、貯水された水が所定の水量となった時点で給水弁171を閉じる処理を実行しても良い。また、フローチャートに詳細は示さないが、制御装置20は、タンク温度センサ63の検知温度が所定の温度x0以上となった時点で加熱部512への通電を停止する。
制御装置20は、ステップS18において、水槽温度センサ62の検知温度が温度x2未満であるか否かを判定する。水槽温度センサ62の検知温度が温度x2以上である場合(ステップS18でNo)、制御装置20は、衣類が十分に温められたと判断して処理をステップS20に進める。水槽温度センサ62の検知温度が温度x2未満である場合(ステップS18でYes)、制御装置20は、処理をステップS19に進める。
ステップS19において、制御装置20は、開閉装置37を閉じてから期間TfNが経過したか否かを判定する。期間TfNは、カウントNに応じて例えば図9に示すように設定された第1工程の実行期間である。期間TfNが経過していない場合(ステップS19でNo)、制御装置20は、処理をステップS18に戻す。期間TfNが経過している場合(ステップS19でYes)、制御装置20は、処理をステップS20に進める。
ステップS20において、制御装置20は、蒸気発生装置50を停止する。これにより、水槽12への蒸気の供給が停止する。蒸気発生装置50を停止することには、給水弁171を閉じる処理と、加熱部512への通電を停止する処理と、高電圧の印加を停止する処理とが含まれる。場合によっては、ステップS20の時点で既に給水弁171が閉じられていることや、加熱部512への通電が停止されていることがある。制御装置20は、既に給水弁171が閉じられている場合には、給水弁171が閉じられた状態を維持する。また、制御装置20は、既に加熱部512への通電が停止されている場合は、通電が停止された状態を維持する。ステップS14からステップS20までは第1工程に含まれる。
ステップS21において、制御装置20は開閉装置37を開状態とする。これにより、排気口36が開放されて、衣類から蒸発した蒸気や、衣類から揮発したにおい成分が機外に排出される。
ステップS22において、制御装置20は、開閉装置37を開いてから期間TsNが経過したか否かを判定する。期間TsNは、カウントNに応じて例えば図10に示すように設定された第2工程の実行期間である。期間TsNが経過していない場合(ステップS22でNo)、制御装置20は、ステップS22の処理を繰り返す。期間TsNが経過している場合(ステップS22でYes)、制御装置20は、処理をステップS23に進める。ステップS21からステップS22までは第2工程に含まれる。
ステップS23において、制御装置20は、カウントNがステップS12で設定した最大繰り返し回数Nmaxに等しいか否かを判定する。カウントNが最大繰り返し回数Nmax未満の場合(ステップS23でNo)、制御装置20は、処理をステップS13に進める。カウントNが最大繰り返し回数Nmaxに等しい場合(ステップS23でYes)、制御装置20は、全ての処理を停止して、蒸気処理運転を終了する(エンド)。
以上説明した実施形態によれば、衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、水槽12と、循環風路30と、送風機39と、排気口36と、開閉装置37と、蒸気発生装置50と、制御装置20と、を備える。水槽12は、空気出口21及び空気入口22を有し内部に衣類が収容される。循環風路30は、水槽12の外部に設けられ空気出口21と空気入口22とを繋ぐ。送風機39は、循環風路30に設けられて水槽12に空気を送風する。排気口36は、循環風路30に設けられて空気を循環風路30外に排出する。開閉装置37は、排気口36を開閉する。蒸気発生装置50は、水槽12に供給する蒸気を生成する。制御装置20は、開閉装置37の開閉と、送風機39及び蒸気発生装置50の駆動とを制御する。制御装置20は、開閉装置37が閉じた閉状態で蒸気発生装置50により蒸気を発生させ送風機39を駆動する第1工程と、開閉装置37が開いた開状態で送風機39を駆動する第2工程とを、交互に所定の繰り返し回数この場合最大繰り返し回数Nmax行う蒸気処理運転を実行する。
これによれば洗濯乾燥機10は、蒸気処理運転において、衣類を蒸気で温める工程と、その後蒸気を蒸発させることによって衣類に付着したにおい成分を衣類から取り除きにおい成分を含む空気を機外に排出する工程とを複数回繰り返すことによって、衣類を効果的に処理例えば消臭することができる。したがって、蒸気による衣類処理の効率を向上した衣類処理装置が提供される。
また、洗濯乾燥機10は、ヒートポンプユニット40の一部を構成し、循環風路30に設けられて空気を加熱する加熱装置としての熱交換部34を備える。制御装置20は、少なくとも第1工程においてヒートポンプユニット40の一部を構成する圧縮機43を駆動し、熱交換部34によって加熱された空気を水槽12に供給する。
なお、本実施形態では、加熱装置としてヒートポンプユニット40の一部を構成する熱交換部34を用いているが、他の実施形態では、加熱装置はヒータであっても良い。また、制御装置20は、第1工程だけでなく第2工程の間も圧縮機43を駆動して熱交換部34によって空気を加熱しても良い。
更に、洗濯乾燥機10は、水槽12内の衣類の重量を検知する重量検知部としての重量センサ64を備える。制御装置20は、重量センサ64の検知重量が重いほど、所定の繰り返し回数つまり最大繰り返し回数Nmaxを増加させる。
一般に、衣類の重量が重いほど、衣類の体積が大きくなる。この場合、衣類の体積が大きいほど水槽内ににおい成分が沢山存在していると考えられる。また、衣類の体積が大きいほど衣類が積み重なっており、衣類からにおい成分を取り除くことが困難になると考えられる。したがって、衣類の重量に合わせて繰り返し回数を設定することで、衣類の重量が重くてもより確実ににおいを除去することができる。更に、衣類の重量が軽い場合には、必要十分な繰り返し回数だけ各工程を実行することで、余計な電力消費を抑制することができるとともに運転時間を短くすることができるので、ユーザの利便性が向上する。
更にまた、第1工程の期間TfNは、第1工程の実行が所定の繰り返し回数のうち何回目であるかによって異なる長さに設定される。これによれば、蒸気処理運転のステージに応じて、必要十分な第1工程の期間を適宜設定することができる。これにより、より効果的な蒸気による処理例えば消臭と、消費電力の最適化とを達成することができる。
本実施形態では、少なくとも最終回の第1工程の期間TfNmaxは、初回の第1工程の期間Tf1よりも短く設定されている。繰り返し回数が大きくなると衣類は初回から前回までの第1工程によってある程度温まっていると考えられる。したがって、少なくとも最終回において、蒸気によって衣類を温める期間を短くすることで、全体の運転時間を短くすることができる。したがってユーザの利便性が向上される。
洗濯乾燥機10は、水槽12内の温度を検知する温度検知部としての水槽温度センサ62を備える。制御装置20は、第1工程実行中に水槽温度センサ62の検知温度が所定の温度x2以上となったら第1工程を終了して第2工程を実行する。
第1工程において、所定の期間TfN経過しなくても、蒸気によって衣類が処理に十分な程度まで温まることがある。その場合、所定の期間TfNに達しなくても第1工程を切り上げて第2工程に移行することで、全体の運転時間が短くなる。そのため、洗濯乾燥機10は、消費電力を抑制すると共にユーザの利便性を向上することができる。
最終回の第2工程の期間TsNmaxは、少なくとも初回の第2工程の期間Ts1よりも長く設定されている。最終回すなわち運転終了直前の第2工程の期間をそれ以前の第2工程よりも長くして、衣類を十分に乾燥及び冷却することで、蒸気で温まった衣類をユーザがすぐに取り出せるようになる。
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態について図12~図14を参照して説明する。本実施形態では、第1工程の期間TfNは第1実施形態と異なって設定されている。本実施形態では、第1工程の期間TfNは、第1工程の繰り返し実行回数が多いほど長く設定される。具体的には、図12に一例を示すように、少なくとも初回つまりカウントN=1の場合の第1工程の期間Tf1は、最終回つまりカウントN=Nmaxの場合の第1工程の期間TfNmaxよりも短く設定されている。
初回の第1工程の実行の場合、蒸気処理運転がスタートして第1工程が開始してからタンク511に給水したり、加熱部512によってスチーム化したりしなければならない。そのため、急速に蒸気を乾燥室に供給するために例えばタンク511に給水する水の量を、2回目以降と比較して少なくすることが考えられる。更に、例えば第2回目以降の第1工程の実行の場合に、前回のセットの第2工程の期間中にタンク511に給水及び加熱部512による加熱を行っておくことで、第2工程開始時点ですぐに蒸気を水槽12に供給することができる。そのため、本実施形態では、第2回目以降の第1工程における蒸気の投入量を増やしても、蒸気処理運転の運転時間を必要以上に長くなることを抑制できる。
本実施形態では、第2回目以降つまりカウントN≧2の場合の第1工程の期間Tf2~TfNmaxは、初回つまりカウントN=1の場合の第1工程の期間Tf1よりも長く設定されている。本実施形態では、Tf1は3分~7分の範囲内に設定され、Tf2~TfNmaxは5分~15分の範囲内に設定されている。具体的には、Tf1は5分に設定され、Tf2~TfNmaxは10分に設定されている。
続いて、本実施形態の蒸気処理運転における制御装置20の処理について、図13~図14に示すフローチャートを参照して説明する。本実施形態のフローチャートは、図11に示す第1実施形態のフローチャートのステップS12に続いてステップS31及びステップS32を、ステップS16に続いてステップS17に替えてステップS33を、ステップS21に続いてステップS34~ステップS36を、それぞれ備えている。
ステップS31において、制御装置20は給水弁171を開放して、タンク511への給水を開始する。なお、第1実施形態と同様に、フローチャートに詳細は示さないが、制御装置20は、タンク511に所定の量の水が貯水された時点で給水弁171を閉じる。この場合、制御装置20は、給水弁171を開放している期間で管理しても良いし、タンク511に水量センサを設けて、貯水された水が所定の水量となった時点で給水弁171を閉じる処理を実行しても良い。
ステップS32において、制御装置20は加熱部512への通電を開始する。これにより、蒸気の生成が開始される。なお、第1実施形態と同様に、フローチャートに詳細は示さないが、制御装置20は、タンク温度センサ63の検知温度が所定の温度x0以上となった時点で加熱部512への通電を停止する。
ステップS33において、制御装置20は、放電電極521間に高圧電源装置53からの高電圧を印加する。これにより、微細化された蒸気が水槽12に供給される。
ステップS20において、制御装置20は蒸気発生装置50を停止する。蒸気発生装置50を停止することには、給水弁171を閉じる処理と、加熱部512への通電を停止する処理と、高電圧の印加を停止する処理とが含まれる。場合によってはステップS20の時点で既に給水弁171が閉じられていることや、加熱部512への通電が停止されていることがある。制御装置20は、既に給水弁171が閉じられている場合には、給水弁171が閉じられた状態を維持する。また、制御装置20は、既に加熱部512への通電が停止されている場合は、通電が停止された状態を維持する。
ステップS34において、制御装置20は、現在の第2工程が最終セットの第2工程であるか否か換言するとカウントNが最大繰り返し回数Nmaxであるか否かを判定する。カウントNが最大繰り返し回数Nmaxである場合(ステップS34でYes)、制御装置20は、処理をステップS22に進める。カウントNが最大繰り返し回数Nmax未満である場合(ステップS34でNo)、制御装置20は、処理を図14に示すステップS35に進める。
図14に示すステップS35において、制御装置20は給水弁171を開放する。また、ステップS36において、制御装置20は加熱部512への通電を開始する。すなわち、現在の第2工程に引き続いて再度第1工程を実行する場合、第2工程の実行中に次の第1工程で水槽12に供給する蒸気を発生させる。その後、制御装置20は、処理を図13のステップS22に進める。
なお、上記と同様に、フローチャートに詳細は示さないが、制御装置20は、タンク511に所定の量の水が貯水された時点で給水弁171を閉じる。また、フローチャートに詳細は示さないが、制御装置20は、タンク温度センサ63の検知温度が所定の温度x0以上となった時点で加熱部512への通電を停止する。
以上説明した本実施形態によっても、上記の第1実施形態同様の効果が得られる。
更に、本実施形態によれば、少なくとも最終回の第1工程の期間つまりTfNmaxは、初回の第1工程の期間Tf1よりも長く設定されている。これによれば、初回の第1工程は、給水期間を短くし給水量を少なくすることで、短期間に水を加熱して蒸気を発生することができる。一方、最終回の第1工程など直前に第2工程が実行される場合は、直前の第2工程の実行中に第1工程用の給水及び加熱を行うことができる。そのため、給水量を多くしても、第1工程の期間を過度に長くすることなく、衣類の消臭などの蒸気による処理に必要な量の蒸気を供給することができる。
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態について、図15~図19を参照して説明する。本実施形態では、図15及び図16に示すように、洗濯乾燥機10は更ににおい検知部としてのにおいセンサ65を備えている。においセンサ65は、制御装置20に電気的に接続されている。
においセンサ65は、水槽12内の空気に含まれるにおい成分を検出して検出信号を出力する。においセンサ65は、水槽12内に設けられて水槽12内の空気のにおいを直接検出しても良いし、水槽12から循環風路30内に流れる空気に含まれるにおいを検出しても良い。本実施形態では、においセンサ65は、水槽12から循環風路30内に流れる空気に含まれるにおいを検出する構成であり、水槽12の外部に設けられている。具体的には、図16に示すように、においセンサ65は排気ダクト31において空気出口21の下流側であって、フィルタ装置32の上流側に設けられている。他の実施形態では、においセンサ65は、循環風路30の別の箇所、例えば熱交換部34において蒸発器41と凝縮器42との間に設けられていてもよい。
においセンサ65は、におい成分の量を検知できるように構成されている。本実施形態では、においセンサ65は、例えばにおい分子を吸着する感応膜が弾性体基板の表面に塗布された構造を持ち、におい分子の吸着に伴う感応膜の膨張・収縮など僅かな機械的な変形を応答シグナルとして得るナノメカニカルセンサである。このようなナノメカニカルセンサとして、例えば膜型表面応力センサが挙げられる。
なお、においセンサ65は上述のようなナノメカニカルセンサに限らず、半導体式、水晶振動子式、FETバイオセンサ等その他の方式であっても良い。半導体式においセンサは、半導体表面におけるにおい分子の吸着と表面反応による半導体の抵抗値の変化を利用する。水晶振動子式においセンサは、水晶振動子の表面に選択的に分子を吸着する天然脂質や合成脂質による脂質膜によるにおい感応膜を貼り付けた構造をしており、におい分子が感応膜に吸着すると膜の質量が増加して水晶振動子の共振周波数が低下することを利用してにおいを検出する。FETバイオセンサは、電界効果トランジスタ(FET)を応用したバイオセンサであって、ゲート絶縁膜上に固定されたプローブ分子との特異的な相互作用に基づいて吸着したにおい分子の電荷を電気信号へ変換することで、においを検出する。
制御装置20は、においセンサ65が検知したにおいの量を複数区分に分類する。例えば、制御装置20は、においが多くなる順に「少なめ」、「標準」、「多め」の3段階に区分する。この場合、一般に衣類の重量が多くなるほどにおいの量も多くなることが想定されるため、制御装置20は、衣類の重量に基づいてにおいの量を区分する。制御装置20は、記憶領域202に各衣類の重量に対する標準的なにおいの量のデータセットを記憶している。制御装置20は、においセンサ65で検知したにおいの量のデータセットと、記憶領域202に記憶された各衣類の重量に対する標準的なにおいの量とを比較して、検知したにおいの量を複数段階に区分する。
また、制御装置20は、蒸気処理運転の開始時に、重量センサ64の検知重量と、においセンサ65が検知したにおいの量とに応じて、最大繰り返し回数Nmaxを設定する。最大繰り返し回数Nmaxは、においの検知量が多いほど大きく設定され、においの検知量が少ないほど小さく設定される。例えば、図17に示すように、においの検知量が各衣類の重量に対して「標準」の場合の最大繰り返し回数Nmaxは、図8に示す第1実施形態の場合と同様に設定されている。においの検知量が各衣類の重量に対して「少なめ」の場合の最大繰り返し回数Nmaxは、「標準」の場合よりそれぞれ1回少なく設定されている。においの検知量が各衣類の重量に対して「多め」の場合の最大繰り返し回数Nmaxは、「標準」の場合よりそれぞれ1回多く設定されている。
更に、制御装置20は、蒸気処理運転実行中ににおいセンサ65に水槽12内のにおいを検知させて、最大繰り返し回数Nmaxを設定し直す。この場合、制御装置20は、例えば第2工程の終盤又は終了後ににおいセンサ65ににおいを検知させることができる。本実施形態では、第2工程の終了後であって次のセットの第1工程の実行前に、制御装置20はにおいセンサ65ににおいを検知させ、最大繰り返し回数Nmaxを設定し直す。
制御装置20は、蒸気処理運転実行中に検知したにおいの量が多いほど最大繰り返し回数Nmaxが大きくなるように再設定し、蒸気処理運転実行中に検知したにおいの量が少ないほど最大繰り返し回数Nmaxが小さくなるように再設定する。具体的には、制御装置20は、蒸気処理運転実行中に検知したにおいの量と、運転開始時に検知したにおいの量との変化量を測定し、その変化量に基づいて最大繰り返し回数Nmaxを再設定する。
具体的には、制御装置20は、Nセット実行後の各衣類の重量に応じたにおいの標準的な変化量のデータセットを記憶領域202に記憶している。そして、制御装置20は、検知したにおいの変化量を記憶領域202に記憶した標準的な変化量と比較して、においの変化量を複数段階この場合「ちいさめ」、「標準」、「大きめ」の3段階に区分してする。区分「ちいさめ」は、検知したにおいの変化量が記憶領域202に記憶した標準的な変化量と比較して小さく、においが比較的取り除けていない状態を示唆する。区分「標準」は、検知したにおいの変化量が記憶領域202に記憶した標準的な変化量と同程度つまり平均的であり、においの除去の状態も平均的であることを示唆する。区分「大きめ」は、検知したにおいの変化量が記憶領域202に記憶した標準的な変化量と比較して大きく、においが比較的よく取り除けている状態を示唆する。
制御装置20は、一例を図18に示すように、においの変化量の区分に応じて最大繰り返し回数Nmaxを修正して再設定する。制御装置20は、においの変化量の区分が「小さめ」であれば、最大繰り返し回数Nmaxに1加えて大きくする。また、制御装置20は、においの変化量の区分が「表人」であれば、最大繰り返し回数Nmaxをそのまま維持する。更にまた、制御装置20は、においの変化量の区分が「大きめ」であれば、最大繰り返し回数Nmaxから1引いて小さくする。
なお、別の実施形態では、制御装置20は例えば検知したにおいの量が所定の量以下であれば最大繰り返し回数Nmaxを現在のカウントNにして、すなわち以降のセットをキャンセルして蒸気処理運転を終了しても良い。
続いて、本実施形態の蒸気処理運転における制御装置20の処理について、図19に示すフローチャートを参照して説明する。本実施形態のフローチャートは、図11に示す第1実施形態のフローチャートのステップS11に続いてステップS41を、ステップS22に続いてステップS42及びステップS43を、備えている。
ステップS41において、制御装置20はにおいセンサ65に水槽12内のにおいを検知させる。続いてステップS12において、制御装置20はステップS11における重量センサ64の検知重量とステップS41におけるにおいセンサ65の検知したにおいの量とに応じて、例えば図17に示すチャートに従って最大繰り返し回数Nmaxを設定する。
また、ステップS42において、制御装置20はにおいセンサ65に水槽12内のにおいを検知させ、運転開始からのにおいの変化量を測定する。続いてステップS43において、制御装置20はステップS11における重量センサ64の検知重量とステップS42におけるにおいの変化量とに応じて、例えば図18に示すチャートに従って最大繰り返し回数Nmaxを修正して再設定する。これにより、蒸気処理運転の進行状況に応じて、最適な繰り返し回数が設定され、衣類を効果的に処理することができると共に、消費電力を最適化することができる。
以上説明した本実施形態によっても、上記の各実施形態同様の効果が得られる。
また、本実施形態によれば、洗濯乾燥機10は、循環空気のにおいの量を検知するにおい検知部としてのにおいセンサ65を備える。制御装置20は、運転開始時ににおいセンサ65ににおいの量を検知させ、検知したにおいの量が多いほど所定の繰り返し回数つまり最大繰り返し回数Nmaxを増やす。
これによれば、衣類は、においが強く蒸気処理の必要性が大きいほど繰り返して蒸気処理を受ける。そのため、衣類を効果的に処理することができると共に、消費電力を最適化することができる。
更に、制御装置20は、第2工程実行後ににおいセンサ65ににおいの量を検知させる。また制御装置20は、においセンサ65のにおい検知量に基づいて所定の繰り返し回数つまり最大繰り返し回数Nmaxを修正する。
これによれば、制御装置20は、例えばにおいが十分に取り除かれていれば、運転開始時に設定した最大繰り返し回数Nmaxを終了していなくても運転を終了することができる。また、制御装置20は、においが思ったよりも取り除かれていなければ、運転開始時に設定した最大繰り返し回数Nmaxを終了していても、更に運転を継続することができる。そのため、洗濯乾燥機10は、蒸気処理の効率が良ければ蒸気処理運転の運転時間を短くし、消費電力を抑制すると共に、蒸気処理の効率が思わしくない場合には蒸気処理を繰り返すことで、衣類を十分に処理することができる。そのため、洗濯乾燥機10は、ユーザの利便性を向上することができる。
更にまた、制御装置20は、第2工程実行後ににおいセンサ65ににおいの量を検知させる。制御装置20は、運転開始時のにおい検知量と第2工程実行後のにおい検知量との変化量に基づいて、所定の繰り返し回数つまり最大繰り返し回数Nmaxを修正する。
これによれば、蒸気処理運転の進行状況に応じて、最適な繰り返し回数が設定され、衣類を効果的に処理することができると共に、消費電力を最適化することができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、蒸気発生装置50は、水槽12の上方であって洗濯乾燥機10上部の前端部に設けられ、開口部121及び開口部131を通して上前方から回転槽13内の衣類に蒸気を吹き付ける構成としたが、これに限らない。例えば、別の実施形態では、蒸気発生装置50を回転槽端板132及び水槽端板122の後方に配置し、循環風路30内この場合給気ダクト35内に蒸気を吹き付ける構成としても良い。この場合、蒸気の吹き付け方向と送風機39による送風方向とが一致するので、蒸気が回転槽13内の衣類に浸透しやすくなる。
更に、制御装置20は、上記各実施形態の蒸気処理運転の第1工程及び第2工程において、回転槽モータ14を駆動して衣類を攪拌しても良い。衣類が攪拌されることにより、蒸気が衣類全体に浸透しやすくなる。また、衣類全体に循環風が当たりやすくなるため、衣類が多めであっても、蒸気が衣類から蒸発しやすくなったり、それに伴いにおい成分が揮発しやすくなったりする。
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。