JP2022167687A - インプリント装置、および物品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】先行露光を行う際の自由度およびスループットの点で有利な技術を提供する。【解決手段】型と基板のショット領域上のインプリント材とを接触させた状態で前記インプリント材を光照射によって硬化させて前記ショット領域上にパターンを形成するインプリント装置は、光通過部および光遮断部を有し、前記インプリント材への光照射を制御するためのシャッタ部材と、前記光通過部を通過した光が照射される照射領域の寸法を変更するための変更部材と、前記光通過部を通過した光を前記インプリント材の一部に照射する先行露光と、前記先行露光の後に、前記光通過部を通過した光を前記インプリント材の全体に照射する本露光とを制御する制御部と、を備え、前記光遮断部による光遮断期間が前記先行露光と前記本露光との間に設けられ、前記照射領域の寸法を変更するための前記変更部材の駆動が前記光遮断期間中に終了する。【選択図】図1
Description
本発明は、インプリント装置、および物品の製造方法に関する。
インプリント装置は、基板のショット領域上のインプリント材と型(モールド)とを接触させた状態でインプリント材に光を照射して当該インプリント材を硬化させることにより、ショット領域上にインプリント材のパターンを形成する装置である。インプリント装置では、ショット領域上のインプリント材と型とが接触した状態で、ショット領域と型との位置合わせが行われる。この位置合わせは、アライメントスコープによって基板のショット領域と型との位置合わせ誤差を検出しながら行われうる。
インプリント材の粘度(粘弾性)が高い場合、基板と型とがインプリント材によって結合された状態となり、基板の振動はインプリント材を介して型に伝達され、また、型の振動はインプリント材を介して基板に伝達される。つまり、インプリント材の粘度が高い場合、基板と型とが相互に追従して振動しうるため、基板のショット領域と型との位置合わせを精度よく行うことができる。一方、インプリント材の粘度が低い場合、基板と型とが相互に独立して振動しうるため、基板のショット領域と型との位置合わせを精度よく行うことが困難になりうる。
特許文献1には、基板のショット領域上のインプリント材に光を照射して当該インプリント材の粘度を増加させる先行露光を行うことにより、ショット領域と型との位置合わせ精度を向上させる技術が提案されている。
先行露光においてショット領域上のインプリント材の全体に光を照射してインプリント材の粘度を増加させると、型のパターンを構成する凹部に対するインプリント材の充填性が型のパターン領域の全域において低下しうる。そのため、型のパターン領域の全域におけるインプリント材の充填が完了するまでの待ち時間が長くなり、スループットの点で不利になりうる。したがって、先行露光は、ショット領域上のインプリント材の一部に対して行われるとよい。
特許文献1に記載された技術では、ショット領域上のインプリント材のうち先行露光が行われる一部の寸法は、光を通過させる第1光通過部としてシャッタ板に構成された複数の開口の配置によって規定される。しかしながら、ショット領域のサイズは様々であるため、先行露光を行う当該一部の寸法をショット領域のサイズに応じて柔軟に変更可能であること(即ち、先行露光の自由度の向上)が望まれる。
また、ショット領域と型との位置合わせの後では、ショット領域上のインプリント材の全体に光を照射して当該インプリント材を硬化させる本露光が行われうる。つまり、ショット領域上のインプリント材のうち光が照射される照射領域の寸法が先行露光と本露光とで異なりうるため、先行露光と本露光とで当該照射領域の寸法を変更する必要がある。この場合において、スループットへの影響が低減されるように当該照射領域の寸法の変更を行うことが望まれる。
そこで、本発明は、先行露光の自由度およびスループットの点で有利な技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのインプリント装置は、型と基板のショット領域上のインプリント材とを接触させた状態で前記インプリント材を光照射によって硬化させて前記ショット領域上にパターンを形成するインプリント装置であって、光通過部および光遮断部を有し、前記ショット領域上の前記インプリント材への光照射を制御するためのシャッタ部材と、前記ショット領域上の前記インプリント材のうち前記シャッタ部材の前記光通過部を通過した光が照射される照射領域の寸法を変更するための変更部材と、前記光通過部を通過した光を前記ショット領域上の前記インプリント材の一部に照射する先行露光と、前記先行露光の後に、前記光通過部を通過した光を前記ショット領域上の前記インプリント材の全体に照射する本露光とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記シャッタ部材の前記光遮断部により前記インプリント材への光照射が遮断されている光遮断期間が前記先行露光と前記本露光との間に設けられるように前記シャッタ部材の駆動を制御するとともに、前記先行露光における前記照射領域の第1寸法から前記本露光における前記照射領域の第2寸法へ前記照射領域の寸法を変更するための前記変更部材の駆動が前記光遮断期間中に終了するように前記変更部材の駆動を制御する、ことを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、先行露光を行う際の自由度およびスループットの点で有利な技術を提供することができる。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態について説明する。インプリント装置は、基板上に供給されたインプリント材と型とを接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギを与えることにより、型の凹凸パターンが転写された硬化物のパターンを形成する装置である。例えば、インプリント装置は、基板上に液状のインプリント材を複数の液滴として供給し、凹凸のパターンが形成された型(モールド)を基板上のインプリント材に接触させた状態で当該インプリント材に光を照射することにより当該インプリント材を硬化させる。そして、型と基板との間隔を広げて、硬化したインプリント材からモールドを剥離(離型)することで、基板上のインプリント材にモールドのパターンを転写することができる。このような一連の処理は「インプリント処理」と呼ばれ、基板における複数のショット領域の各々について行われる。
本発明に係る第1実施形態について説明する。インプリント装置は、基板上に供給されたインプリント材と型とを接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギを与えることにより、型の凹凸パターンが転写された硬化物のパターンを形成する装置である。例えば、インプリント装置は、基板上に液状のインプリント材を複数の液滴として供給し、凹凸のパターンが形成された型(モールド)を基板上のインプリント材に接触させた状態で当該インプリント材に光を照射することにより当該インプリント材を硬化させる。そして、型と基板との間隔を広げて、硬化したインプリント材からモールドを剥離(離型)することで、基板上のインプリント材にモールドのパターンを転写することができる。このような一連の処理は「インプリント処理」と呼ばれ、基板における複数のショット領域の各々について行われる。
インプリント材には、硬化用のエネルギが与えられることにより硬化する硬化性組成物(未硬化状態の樹脂と呼ぶこともある)が用いられる。硬化用のエネルギとしては、電磁波、熱等が用いられる。電磁波としては、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される、赤外線、可視光線、紫外線などの光である。
硬化性組成物は、光の照射により、あるいは、加熱により硬化する組成物である。このうち、光により硬化する光硬化性組成物は、重合性化合物と光重合開始材とを少なくとも含有し、必要に応じて非重合性化合物または溶剤を含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマ成分などの群から選択される少なくとも一種である。
インプリント材は、スピンコータやスリットコータにより基板上に膜状に付与される。あるいは、液体噴射ヘッドにより、液滴状、あるいは複数の液滴が繋がってできた島状または膜状となって基板上に付与されてもよい。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下である。
[インプリント装置の構成]
図1は、本実施形態のインプリント装置100の構成例を示す概略図である。本実施形態のインプリント装置100は、例えば、型1を保持するインプリントヘッド4(型保持部)と、基板2を保持して移動可能な基板ステージ5と、計測部6と、供給部7と、光照射部8と、検出部9と、制御部10とを含みうる。制御部10は、例えばCPU(プロセッサ)およびメモリを有するコンピュータによって構成され、インプリント装置100の各部を制御してインプリント処理を実行(制御)する。なお、本実施形態のインプリント装置100は、光をインプリント材に照射することにより当該インプリント材を硬化させる光硬化法を採用するものとする。また、以下では、基板2の表面に平行な面内において互いに直交する方向をX軸方向およびY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に垂直な方向をZ軸方向としている。以下の説明において「X軸方向」と記載されている場合、それは+X方向および-X方向を含むものとして定義されうる。「Y軸方向」および「Z軸方向」についても同様である。
図1は、本実施形態のインプリント装置100の構成例を示す概略図である。本実施形態のインプリント装置100は、例えば、型1を保持するインプリントヘッド4(型保持部)と、基板2を保持して移動可能な基板ステージ5と、計測部6と、供給部7と、光照射部8と、検出部9と、制御部10とを含みうる。制御部10は、例えばCPU(プロセッサ)およびメモリを有するコンピュータによって構成され、インプリント装置100の各部を制御してインプリント処理を実行(制御)する。なお、本実施形態のインプリント装置100は、光をインプリント材に照射することにより当該インプリント材を硬化させる光硬化法を採用するものとする。また、以下では、基板2の表面に平行な面内において互いに直交する方向をX軸方向およびY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に垂直な方向をZ軸方向としている。以下の説明において「X軸方向」と記載されている場合、それは+X方向および-X方向を含むものとして定義されうる。「Y軸方向」および「Z軸方向」についても同様である。
型1(モールド)は、通常、石英など紫外線を透過させることが可能な材料で作製されており、基板側の面における一部の領域(パターン領域1a)に、基板2(ショット領域2a)上のインプリント材3に転写されるべき凹凸のパターンを有する。本実施形態の場合、パターン領域1aは、型1の基板側の面において基板側に突出したメサ形状を有している。また、基板2としては、ガラス、セラミックス、金属、半導体、樹脂等が用いられ、必要に応じて、その表面に基板とは別の材料からなる部材が形成されていてもよい。基板2としては、具体的に、シリコンウェハ、化合物半導体ウェハ、石英ガラスなどである。また、インプリント材の付与前に、必要に応じて、インプリント材と基板との密着性を向上させるために密着層を設けてもよい。
インプリントヘッド4は、例えば真空力などにより型1を保持する型チャック4aと、型1と基板2との間隔を変更するように型1(型チャック4a)をZ軸方向に駆動する型駆動部4bとを含みうる。インプリントヘッド4により型1をZ軸方向に駆動することで、基板2(ショット領域2a)上のインプリント材3に型1を押し付ける押印処理、および、硬化したインプリント材3から型1を剥離する離型処理を行うことができる。また、インプリントヘッド4は、Z軸方向に限られず、X軸方向、Y軸方向およびθ方向(Z軸周りの回転方向)に型1を駆動するように構成されてもよい。
本実施形態のインプリントヘッド4には、光照射部8から射出された光が通過する空間SPが設けられる。この空間SPは、光透過部材11によって仕切られて略密閉された空間である。そのため、押印処理や離型処理の際に、不図示の圧力調整部によって空間SPの内部圧力を調整することで、型1(パターン領域1a)を、その中央部が基板2に向かって突出した凸形状に変形することができる。例えば、押印処理において型1を凸形状に変形することにより、パターン領域1aをインプリント材3に徐々に接触させ、型1のパターンを構成する凹部における気体の閉じ込めを低減することができる。
基板ステージ5は、例えば真空力などにより基板2を保持する基板チャック5aと、少なくともXY方向に移動可能な移動部5bとを含みうる。基板ステージ5(移動部5b)をXY方向に移動させることで基板2をXY方向に駆動し、型1と基板2との位置合わせ(アライメント)を行うことができる。また、基板ステージ5は、XY方向に限られず、Z軸方向やθ方向に基板2を駆動するように構成されてもよい。
計測部6は、XY方向における型1と基板2との相対位置を検出する。本実施形態の場合、計測部6は、インプリントヘッド4が固定されているブリッジ定盤に固定されており、XY方向における基板ステージ5の位置を計測するように構成される。例えば、計測部6は、レーザ干渉計を含み、基板ステージ5に設けられた反射板(ミラー)にレーザ光を照射し、当該反射板で反射されたレーザ光によって基板ステージ5の位置を計測する。このように、計測部6は、XY方向における基板ステージ5の位置を計測することにより、その計測結果に基づいて、インプリントヘッド4(型1)と基板ステージ5(基板2)との相対位置を計測することができる。なお、計測部6は、基板ステージ5(基板2)の位置だけでなく、インプリントヘッド4(型1)の位置も検出するように構成されてもよい。
供給部7(吐出部、ディスペンサ)は、基板ステージ5によって下方に配置された基板2(ショット領域2a)上にインプリント材3を供給する。本実施形態では、光の照射によって重合反応する樹脂がインプリント材3として用いられる。例えば、供給部7は、基板ステージ5により基板2が供給部7に対して相対的に移動している状態で、インプリント材3を複数の液滴として吐出することにより、基板2(ショット領域2a)上にインプリント材3を供給することができる。
光照射部8(硬化部)は、型1と基板2(ショット領域2a)上のインプリント材3とが接触している状態で当該インプリント材3に光を照射する。本実施形態の光照射部8は、先行露光と本露光とを実行可能に構成されうる。先行露光は、型1と基板2(ショット領域2a)との位置合わせにおいて、ショット領域2a上のインプリント材3に光を照射することにより当該インプリント材3の粘度(硬度、粘弾性とも呼ばれる)を増加させる処理である。本実施形態の先行露光では、インプリント材3の粘度が第1目標範囲に収まるように当該インプリント材3に光を照射する。このように、型1と基板2との位置合わせにおいてインプリント材3の粘度を増加させることにより、型1と基板2とが相互に独立して振動することを低減し、型1と基板2との位置合わせ精度を向上させることができる。また、本露光は、型1と基板(ショット領域2a)との位置合わせの後に、ショット領域2a上のインプリント材3に光を照射することにより当該インプリント材を硬化させる処理である。本実施形態の本露光では、インプリント材3の粘度(硬度)が第2目標範囲に収まるように当該インプリント材に光を照射する。
ここで、本露光の第2目標範囲は、インプリント材3が硬化(固化)させることができる粘度(硬度)の範囲として定義されうる。例えば、第2目標範囲は、離型工程で型1をインプリント材3から剥離した後においても、型1の凹凸パターンを転写することで得られたインプリント材3のパターンの形状を維持することができるインプリント材3の粘度の範囲として定義されうる。また、先行露光の第1目標範囲は、供給部7から基板上へインプリント材3を供給した直後における当該インプリント材の粘度より高いが、第2目標範囲における粘度の下限より低いインプリント材3の粘度(硬度)の範囲として定義されうる。つまり、第1目標範囲における粘度は、第2目標範囲におけるインプリント材3の粘度より高い流動性を有しているが、供給部7から基板上への供給直後におけるインプリント材3の粘度より低い流動性を有する。第1目標範囲は、型1と基板上のインプリント材3とを接触させた状態で型1と基板2とを相対駆動することができるのであれば、基板上への供給直後におけるインプリント材3の粘度より高く且つ第2目標範囲より低い範囲内で任意に設定されうる。一例として、第1目標範囲は、第2目標範囲における粘度の下限に対する20%~80%の範囲内、好ましくは第2目標硬度における粘度の下限に対する20%~50%の範囲内において設定されうる。
検出部9は、例えば、型1に設けられたアライメントマークと基板2のショット領域2aに設けられたアライメントマークとを検出するTTM(Through The Mold)スコープを含む。検出部9は、型1のアライメントマークとショット領域2aのアライメントマークとの相対位置をTTMスコープにより検出することで、型1とショット領域2aとの相対的な位置ずれ(位置合わせ誤差)を検出する。検出部9での検出結果に基づいて、制御部10は、型1と基板2との位置合わせ(アライメント)を制御することができる。型1と基板2との位置合わせは、インプリントヘッド4および/または基板ステージ5により型1と基板2とを相対的に駆動することでなされうる。ここで、検出部9(TTMスコープ)は、型1および/または基板2のマークを照明する照明部と、当該照明部により照明されたマークを撮像(観測)する撮像部とで構成されてもよい。また、本実施形態の検出部9は、光照射部8から射出された光の光路上に配置されたビームスプリッタ12を介して、型1のアライメントマークおよび基板2(ショット領域2a)のアライメントマークを検出するように構成されうる。
[光照射部の構成]
次に、光照射部8の構成例について、図2~図3を参照しながら説明する。図2には、本実施形態の光照射部8の構成例が示されている。また、図3(a)は、シャッタ機構81の構成例を示しており、図3(b)は、開口機構85の構成例を示している。光照射部8は、例えば、シャッタ機構81と、光源82と、結像光学系83と、ハエの目レンズ84と、変更機構85と、結像光学系86とを含みうる。光源82は、例えば、水銀ランプ等のランプ光源、あるいは、レーザまたはLED等の固体光源でありうる。シャッタ機構81は、ショット領域上のインプリント材3への光照射を制御するためのシャッタ板811(シャッタ部材)と、シャッタ板811を駆動するアクチュエータ812とを含みうる。アクチュエータ812は、例えばシャッタ板811を回転駆動するように構成されうるが、シャッタ板811を一方向に駆動(往復駆動)するように構成してもよい。
次に、光照射部8の構成例について、図2~図3を参照しながら説明する。図2には、本実施形態の光照射部8の構成例が示されている。また、図3(a)は、シャッタ機構81の構成例を示しており、図3(b)は、開口機構85の構成例を示している。光照射部8は、例えば、シャッタ機構81と、光源82と、結像光学系83と、ハエの目レンズ84と、変更機構85と、結像光学系86とを含みうる。光源82は、例えば、水銀ランプ等のランプ光源、あるいは、レーザまたはLED等の固体光源でありうる。シャッタ機構81は、ショット領域上のインプリント材3への光照射を制御するためのシャッタ板811(シャッタ部材)と、シャッタ板811を駆動するアクチュエータ812とを含みうる。アクチュエータ812は、例えばシャッタ板811を回転駆動するように構成されうるが、シャッタ板811を一方向に駆動(往復駆動)するように構成してもよい。
シャッタ板811が配置される面には、光源82の中間像が形成される。結像光学系83は、シャッタ板811が配置される面とハエの目レンズ84の入射面とが光学的に共役な位置関係になるように、シャッタ板811とハエの目レンズ84との間に配置されうる。ハエの目レンズ84は、シャッタ板811(あるいは結像光学系83)と変更機構85(あるいは結像光学系86)との間に配置される。また、結像光学系86は、ハエの目レンズ84の入射面と基板2が配置される面とが光学的に共役な位置関係になるように配置される。これにより、シャッタ板811は、基板2が配置される面に対して共役な面に配置されることとなる。
シャッタ板811は、駆動軸を介してアクチュエータ812に接続されており、アクチュエータ812によって回動(駆動)されうる。図3(a)中の点線は、光源82からの光LBが入射する領域(光路)を示している。シャッタ板811は、光源82からの光LBを遮断する光遮断部813と、光源82からの光LBを通過させる光通過部とを有する。本実施形態の場合、シャッタ板811は、光通過部として、先行露光で用いられる第1光通過部814と、本露光で用いられる第2光通過部815とを有する。また、光遮断部813は、シャッタ板811の駆動方向(回転方向)における第1光通過部814と第2光通過部815との間に位置する。
第2光通過部815は、光源82からの光LBの全体が通過するようにシャッタ板811に形成された切欠部によって構成される。一方、第1光通過部814は、シャッタ板811の羽根に形成された複数の孔によって構成される。複数の孔によって構成された第1光通過部814を通過した光は、ハエの目レンズ84を通過して光強度(照度)の均一化がなされた後にショット領域2a上のインプリント材3に照射される。そのため、第1光通過部814を通過してインプリント材3に照射される光の強度(照度)は、第2光通過部815を通過してインプリント材3に照射される光の強度(照度)より小さくなる。ここで、本実施形態では、第1光通過部814を、複数の孔によって構成したが、それに限られるものではなく、光源82からの光LBの強度を低下させる部材(例えばNDフィルタ)によって構成してもよい。また、本実施形態のシャッタ板811は、2回対称の構造であるが、それに限られず、3回対称などの他の構成であってもよい。
第1光通過部814では、ショット領域2a上のインプリント材3に照射される光の強度が所望の値になるように、各孔の寸法(径)、および孔の個数が調整(形成)されている。第1光通過部814を構成する複数の孔を通過した光は、後段のハエの目レンズ84によって照度ムラが均一化され、第2光通過部815を通過した光よりも低い強度の光をインプリント材3に照射することができる。これにより、インプリント材3への積算光量を精度よく制御することができるため、型1と基板2のショット領域2aとの位置合わせにおいて、第1光通過部814を通過した光でインプリント材3の粘度を増加させる先行露光を精度よく実施することができる。また、当該位置合わせの後では、第2光通過部815を通過した光でインプリント材3を硬化させる本露光が実施されうる。
ここで、先行露光を行うと、型1とショット領域2aとの位置合わせ精度を向上させることができるが、型1のパターン(凹部)へのインプリント材3の充填性が低下しうる。特に、ショット領域2aの外周部(周縁部)では、ショット領域2aの中央部に比べて、型1のパターンへのインプリント材3の充填性が低い。そのため、先行露光は、ショット領域2aの中央部のみに対して行われるとよい。一方、本露光は、ショット領域2a上のインプリント材の全体に対して行われる。したがって、本実施形態の光照射部8には、ショット領域2a上のインプリント材3における光の照射領域の寸法を先行露光と本露光とで変更するための変更機構85が設けられている。
変更機構85は、ショット領域2a上のインプリント材3における光の照射領域の寸法(サイズ)を変更するための変更部材を有し、当該変更部材を駆動することにより当該照射領域の寸法を変更する機構である。このような変更機構85を光照射部8に設けることにより、先行露光における照射領域の第1目標寸法(第1寸法)から本露光における照射領域の第2目標寸法(第2寸法)へ、照射領域の寸法を変更することができる。また、変更機構85を用いることで、ショット領域2a上のインプリント材3のうち先行露光を行う一部(先行露光部)の寸法、即ち、第1目標寸法を変更することができるため、先行露光の自由度を向上させることができる。
本実施形態では、変更機構85の一種として、開口機構85aが設けられている。開口機構85aは、図3(b)に示されるように、複数の遮光ブレード851a~851d(ブレード部材)と、複数のアクチュエータ852a~852dとを有する。複数の遮光ブレード851a~851dは、照射領域の寸法を変更するための変更部材として理解されてもよい。各アクチュエータ852a~852dは、一方向に遮光ブレード851を駆動するように構成されうる。開口機構85aは、複数のアクチュエータ852a~852dにより複数の遮光ブレード851a~851dをそれぞれ駆動し、照明光854が通過する開口853のサイズ(寸法)を変更することにより、照射領域の寸法を変更することができる。
また、変更機構85の一種として、可変倍率機構85bが設けられてもよい。可変倍率機構85bは、複数のレンズと、当該複数のレンズの間隔が変化するように当該複数のレンズを相対的にZ軸方向に駆動するアクチュエータとを有する。可変倍率機構85bにおける複数のレンズは、照射領域の寸法を変更するための変更部材として理解されてもよい。可変倍率機構85bは、アクチュエータにより複数のレンズを相対的にZ軸方向に駆動して光学倍率を変化させることにより、照射領域の寸法を変更することができる。
[先行露光、本露光]
次に、先行露光および本露光について説明する。ここでは、変更機構85として開口機構85aを用いる例について説明する。図4は、先行露光および本露光における開口機構85の開口853のサイズと、ショット領域2a(インプリント材3)に照射される光の照度分布855を示している。図4(a)は、先行露光における開口853のサイズおよび照度分布855aを示しており、図4(b)は、本露光における開口853のサイズおよび照度分布855bを示している。
次に、先行露光および本露光について説明する。ここでは、変更機構85として開口機構85aを用いる例について説明する。図4は、先行露光および本露光における開口機構85の開口853のサイズと、ショット領域2a(インプリント材3)に照射される光の照度分布855を示している。図4(a)は、先行露光における開口853のサイズおよび照度分布855aを示しており、図4(b)は、本露光における開口853のサイズおよび照度分布855bを示している。
遮光ブレード851によって形成される開口853を通過した光をショット領域2a(インプリント材3)に照射した場合、図4に示されるように、ショット領域2aのうち開口853に対応する領域の照度(光強度)は一定となる。一方、遮光ブレード851によって遮光された領域の照度は、遮光ブレード851のエッジ部を境界に、ほぼ一定の傾きで低下する。この傾きは、照射光のボケ量を示しており、光源82の照射光の波長幅や結像光学系83、結像光学系86の光学特性で決まるものであり、この傾きを急峻、つまりボケ量を小さくするのが好ましい。
先行露光では、図4(a)に示されるように、照射領域の寸法が第1目標寸法になるように、遮光ブレード851によって規定される開口853のサイズを小さくする。第1目標寸法は、インプリント領域2aの外周部(周縁部)に光が照射されない、もしくは、外周部の照度が中央部の照度よりも低くなるように決定された照射領域の寸法である。第1目標寸法(即ち、開口853のサイズ)は、ショット領域2a上のインプリント材3が型1のパターン(凹部)に充填される充填具合を実験やシミュレーションにより事前に求めることで決定されうる。前述したように、ショット領域2aの外周部においては、ショット領域2aの中央部に比べて、型1のパターンへのインプリント材3の充填性が低い。そのため、ショット領域2aの外周部に先行露光を行って当該外周部のインプリント材3の粘度を増加させてしまうと、型1のパターンへのインプリント材3の充填性が不十分になり、インプリント材3の未充填が発生しうる。当該外周部の未充填の有無は、インプリント処理後に光学顕微鏡で観測することで容易に判断できる。また、インプリント処理後におけるショット領域2aの表面を表面検査装置で測定して得られた未充填分布から判断することもできる。当該外周部の未充填分布が許容範囲内に入るように、遮光ブレード851の開口853のサイズを調整し、最適な開口853のサイズを決定するとよい。
一方、本露光では、図4(b)に示されるように、ショット領域2aの全域において、一定の照度分布で照射するのが望ましい。照度ムラがある場合、インプリント材3の硬化不足によって、離型時にインプリント材3の一部が剥がれ、剥がれたインプリント材3が型1に付着したり、パターン倒れ等の不具合を引き起こしたりすることがある。そのため、本露光では、照射領域の寸法が第2目標寸法になるように、遮光ブレード851によって規定される開口853のサイズを広げるとよい。第2目標寸法は、ショット領域2aの全域で一定の照度が得られるように決定された照射領域の寸法である。但し、本露光では、隣接するショット領域2aに光が照射されないように、遮光ブレード851の開口853のサイズを制御(調整)する必要がある。このように、開口機構85aにおける遮光ブレード851の開口853のサイズを変更することで、先行露光と本露光とのそれぞれで、好ましい照度分布を形成することができる。
図5は、インプリント処理の一連の動作におけるシャッタ機構81および開口機構85aの動作タイミングを示している。インプリント処理のシーケンス(インプリントシーケンス)は、図5(a)に示されるように、押印工程、充填工程、アライメント工程、硬化工程および離型工程を含みうる。押印工程は、供給部7によりショット領域2a上に供給されたインプリント材3に型1を押し付ける(接触させる)工程である。充填工程は、型1のパターン(凹部)にインプリント材3を充填する工程である。アライメント工程は、検出部9での検出結果に基づいて型1とショット領域2aとの位置合わせを行う工程であり、アライメント工程中に先行露光が行われうる。硬化工程は、インプリント材3に光を照射して当該インプリント材を硬化させる工程であり、本露光に対応するものである。離型工程は、硬化したインプリント材3から型1を引き剥がす(剥離する)工程である。このようなインプリント処理は、基板2における複数のショット領域2aの各々に対して実行されうる。ここで、アライメント工程は、型1のアライメントマークにインプリント材3が充填した状態、即ち、型1のアライメントマークを検出部9で検出可能な状態になった段階で開始されるため、充填工程とアライメント工程とが時間的に並行して行われてもよい。なお、充填工程は、型4のパターンの凹部だけでなく、ショット領域2aの外周部(エッジ)に対してもインプリント材3を拡げるために要する時間も含みうる。
先行露光は、充填・アライメント工程内で実施される。先行露光では、ショット領域2a上のインプリント材3の一部(例えば中央部)に光を照射して当該インプリント材3の粘度を増加させることにより、型1と基板2との相対振動を低減し、位置合わせ精度を向上させることを目的としている。一方で、インプリント材3の粘性を増加させることは、型1のパターンへのインプリント材3の充填を遅らせる作用があるため、充填・アライメント工程の後半で実施するのが望ましい。
図5(b)に示されるシャッタ機構81の駆動シーケンスでは、先行露光を開始するまで、ショット領域2a上のインプリント材に光が照射されないように、シャッタ板811の光遮断部813を光路上に配置しておく。そして、先行露光を開始する際に、シャッタ板811を回転駆動して第1光通過部814を光路上に配置し、所望の時間が経過した後、シャッタ板811を回転駆動して光遮断部813を光路上に配置する。また、本露光は、硬化工程の開始タイミングで開始されることがスループットの点で好ましい。本露光では、シャッタ板811を回転駆動して第2光通過部815を光路上に配置し、所望の時間が経過した後に、シャッタ板811を回転駆動して光遮断部813を光路上に配置する。このように、本実施形態では、シャッタ板811の光遮断部813によりインプリント材3への光照射が遮断されている光遮断期間が先行露光と本露光との間に設けられるように、シャッタ板811の駆動が制御される。この光遮断期間では、先行露光が終了して型1とショット領域2aの相対振動が低減されている状態であるため、型1とショット領域2aとの位置合わせが精度よく行われうる。
一方、図5(c)に示される開口機構85aの駆動シーケンスでは、先行露光が開始されるまでに開口853のサイズが開口サイズ1になるように、遮光ブレード851の駆動が制御される。開口サイズ1は、図4(a)で示されるように、先行露光おける照射領域の寸法を第1目標寸法(第1寸法)にして、ショット領域2a上のインプリント材3の一部(例えば中央部)に光を照射するための開口853のサイズである。そして、遮光ブレード851の開口853のサイズが開口サイズ1である状態において先行露光が開始される。また、先行露光の終了後に遮光ブレード851の駆動が開始され、開口サイズ1から開口サイズ2にするための遮光ブレード851の駆動が本露光の開始までに(即ち、光遮断期間中に)終了するように、遮光ブレード851の駆動が制御される。開口サイズ2は、図4(b)で示されるように、本露光における照射領域の寸法を第2目標寸法(第2寸法)にして、ショット領域2a上のインプリント材3の全体に光を照射するための開口853のサイズである。そして、遮光ブレード851の開口853のサイズが開口サイズ2である状態において本露光が開始される。
ここで、開口サイズを変更するための遮光ブレード851の駆動に要する時間は、開口サイズ1から開口サイズ2に変更するための遮光ブレード851の移動量(駆動量)、移動加速度、移動速度によって決定される。つまり、当該時間を事前に算出しておき、本露光の開始までに開口サイズの変更が終了するように、先行露光の実施タイミング(開始タイミング、終了タイミング)を決定してもよい。これにより、開口サイズ1から開口サイズ2に変更するための遮光ブレード851の駆動が本露光の開始までに終了するように、当該遮光ブレード851の駆動に要する時間を担保することができる。
上述したように、本実施形態では、先行露光をショット領域2aの一部(中央部)に対して行う。これにより、アライメント工程での型1と基板2との相対振動を低減することができるとともに、ショット領域2aの一部の周囲(外周部)において、型1のパターンへのインプリント材3の充填性を確保することができる。また、本実施形態では、開口サイズを変更するための遮光ブレード851の駆動が、本露光が開始されるまでに終了するように、即ち、光遮断期間中に終了するように制御される。これにより、本露光(硬化工程)の開始を遅延することなくインプリント処理を行うことができるため、遮光ブレード851の駆動によるスループットへの影響を低減することができる。さらに、照射領域の寸法を無段階に変更することができる変更機構85を設けることで、ユーザプロセスによって決まる様々なショット領域のサイズや、インプリント材3や押印条件を主要因とした未充填領域の変動に対しても柔軟に対応することができる。
なお、本実施形態では、変更機構85として開口機構85aを用いる場合について説明したが、変更機構85として可変倍率機構85bを用いる場合であっても、開口機構85aを用いた場合と同様の駆動シーケンスを適用することができる。また、本実施形態では、シャッタ板811の第1光通過部814を用いて先行露光を行う例を説明したが、シャッタ板811の第2光通過部815を用いて先行露光を行ってもよい。この場合、インプリント材3の粘度が第1目標範囲に収まるように先行露光の時間(露光時間)を調整するとよい。
<第2実施形態>
本発明に係る第2実施形態について説明する。本実施形態は、基本的に第1実施形態を引き継ぐものであり、以下で言及する事項以外(例えばインプリント装置の構成・処理など)は第1実施形態で説明したとおりである。
本発明に係る第2実施形態について説明する。本実施形態は、基本的に第1実施形態を引き継ぐものであり、以下で言及する事項以外(例えばインプリント装置の構成・処理など)は第1実施形態で説明したとおりである。
昨今、スループット向上に伴い、インプリント材3の充填性を改善するための材料開発やアライメントを迅速に収束させるための制御方式の開発によって、充填・アライメント時間の短縮がなされている。また、変更機構85としての開口機構85aによる開口サイズの変更に関しても時間短縮が求められる。しかしながら、迅速(高速)に遮光ブレード851を動作させるためには、高剛性化、高推力のアクチュエータが必要となり、機構の大型化、コストアップ、しいては耐久性の課題を克服する必要がある。本実施形態では、先行露光の完了を待たずに、即ち、先行露光が終了する前に開口サイズを変更するための遮光ブレード851の駆動を開始することで、スループットの低下が低減されるように開口サイズの変更時間を確保する例を説明する。
図6(a)は、インプリント材3の硬化特性(粘度の増加特性)を示している。図6(a)における横軸は、インプリント材3に光を照射している照射時間を示しており、縦軸は、インプリント材3の粘度を示している。先行露光によって得られるインプリント材3の粘弾性の変化(増加)は、インプリント材3に照射される光の照度(強度)と照射時間との積である積算光量(積算エネルギ)によって決定されうる。インプリント材3の硬化特性では、図6(a)に示されるように、硬化反応(粘度の増加反応、重合反応)が殆ど得られない誘導期間があり、積算光量が閾値THに達した場合に硬化反応が加速(開始)して粘度が急速に増加しうる。積算光量が閾値THを超えて粘度が増加する期間は、硬化反応期間と呼ばれる。先行露光は、誘導期間を経て、硬化反応が急速に加速する直前の領域(A)を利用して所望の粘性を得る技術である。一方、本露光は、硬化反応が急速に進んだ後の領域(B)まで光を照射し続けることで、所望の硬化反応を得ている。
図6(b)は、ショット領域2a上のインプリント材3に光を照射することで得られる積算光量を示している。図6(b)では、シャッタ機構81の駆動シーケンス、および、開口機構85aの駆動シーケンスが示されている。
図中の線(b-1)は、ショット領域2a上のインプリント材3のうち開口サイズ1で先行露光が行われる一部(例えば中央部、以下では中央部と表記することがある)における積算光量を示している。先行露光では、中央部における積算光量が目標光量範囲に収まるように照度および照射時間が制御される。目標光量範囲とは、インプリント材3の粘度を第1目標範囲に収めることができる光量の範囲である。これにより、当該中央部におけるインプリント材3の粘度を第1目標範囲に収まった状態を維持することができ、その状態で型1とショット領域2aとの位置合わせを行うことで、位置合わせ精度を向上させることができる。
一方、線(b-2)は、ショット領域2a上のインプリント材3のうち当該中央部の周囲(例えば外周部、以下では外周部と表記することがある)における積算光量を示している。本実施形態では、開口サイズ1から開口サイズ2にするための遮光ブレード851の駆動が先行露光中に開始されるため、先行露光中において外周部に光が照射される。但し、遮光ブレード851の駆動の開始は、外周部のインプリント材3の粘度が第1目標範囲の下限より小さくなるように、即ち、外周部の積算光量が目標光量範囲より小さくなるようになされるとよい。より好ましくは、遮光ブレード851の駆動の開始は、外周部の積算光量が閾値THより小さくなるように行われるとよい。
例えば、開口サイズ1の期間では、外周部には遮光ブレード851によって照射光が遮蔽されているため、外周部の光量は積算されない。先行露光中に遮光ブレード851の駆動を開始すると、遮光ブレード851の開口サイズが広がるにつれて外周部の積算露光が徐々に増加していく。しかしながら、硬化反応が開始される閾値THを超える前に、シャッタ機構81によって照射光が遮断されるため、外周部のインプリント材3の粘度は殆ど増加しない。つまり、外周部におけるインプリント材3の充填性の低下を低減することができる。ここで、ショット領域2aの中央部と外周部とで、先行露光で得られる積算光量に差が生じるが、先行露光の光強度は本露光の光強度の0.5~5%の範囲であるため、本露光に与える影響は十分無視することができる。
このように、本実施形態では、開口サイズ1から開口サイズ2に変更するための遮光ブレード851の駆動が先行露光中に開始される。但し、当該遮光ブレード851の駆動の開始は、外周部のインプリント材3の粘度が第1目標範囲の下限より小さくなるように、より好ましくは、外周部の積算光量が閾値THより小さくなるようになされうる。これにより、遮光ブレード851の駆動を、先行露光と並行して実施し、本露光の開始前までに完了させることが容易になるため、スループットの点で有利になりうる。
<物品の製造方法の実施形態>
本発明の実施形態にかかる物品の製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品の製造方法は、基板に供給(塗布)されたインプリント材に上記のインプリント装置(インプリント方法)を用いてパターンを形成する工程と、かかる工程でパターンが形成された基板を加工する工程とを含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
本発明の実施形態にかかる物品の製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品の製造方法は、基板に供給(塗布)されたインプリント材に上記のインプリント装置(インプリント方法)を用いてパターンを形成する工程と、かかる工程でパターンが形成された基板を加工する工程とを含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
インプリント装置を用いて成形した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型等である。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性或いは不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子等が挙げられる。型としては、インプリント用のモールド等が挙げられる。
硬化物のパターンは、上記物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入等が行われた後、レジストマスクは除去される。
次に、物品の具体的な製造方法について説明する。図7(a)に示すように、絶縁体等の被加工材2zが表面に形成されたシリコンウェハ等の基板1zを用意し、続いて、インクジェット法等により、被加工材2zの表面にインプリント材3zを付与する。ここでは、複数の液滴状になったインプリント材3zが基板上に付与された様子を示している。
図7(b)に示すように、インプリント用の型4zを、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材3zに向け、対向させる。図7(c)に示すように、インプリント材3zが付与された基板1zと型4zとを接触させ、圧力を加える。インプリント材3zは型4zと被加工材2zとの隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギとして光を型4zを通して照射すると、インプリント材3zは硬化する。
図7(d)に示すように、インプリント材3zを硬化させた後、型4zと基板1zを引き離すと、基板1z上にインプリント材3zの硬化物のパターンが形成される。この硬化物のパターンは、型の凹部が硬化物の凸部に、型の凸部が硬化物の凹部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材3zに型4zの凹凸パターンが転写されたことになる。
図7(e)に示すように、硬化物のパターンを耐エッチングマスクとしてエッチングを行うと、被加工材2zの表面のうち、硬化物が無いか或いは薄く残存した部分が除去され、溝5zとなる。図7(f)に示すように、硬化物のパターンを除去すると、被加工材2zの表面に溝5zが形成された物品を得ることができる。ここでは硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子等に含まれる層間絶縁用の膜、つまり、物品の構成部材として利用してもよい。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
1:型、2:基板、3:インプリント材、4:インプリントヘッド、5:基板ステージ、6:計測部、7:供給部、8:光照射部、81:シャッタ機構、85:変更機構、9:検出部、10:制御部
Claims (14)
- 型と基板のショット領域上のインプリント材とを接触させた状態で前記インプリント材を光照射によって硬化させて前記ショット領域上にパターンを形成するインプリント装置であって、
光通過部および光遮断部を有し、前記ショット領域上の前記インプリント材への光照射を制御するためのシャッタ部材と、
前記ショット領域上の前記インプリント材のうち前記シャッタ部材の前記光通過部を通過した光が照射される照射領域の寸法を変更するための変更部材と、
前記光通過部を通過した光を前記ショット領域上の前記インプリント材の一部に照射する先行露光と、前記先行露光の後に、前記光通過部を通過した光を前記ショット領域上の前記インプリント材の全体に照射する本露光とを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記シャッタ部材の前記光遮断部により前記インプリント材への光照射が遮断されている光遮断期間が前記先行露光と前記本露光との間に設けられるように前記シャッタ部材の駆動を制御するとともに、前記先行露光における前記照射領域の第1寸法から前記本露光における前記照射領域の第2寸法へ前記照射領域の寸法を変更するための前記変更部材の駆動が前記光遮断期間中に終了するように前記変更部材の駆動を制御する、ことを特徴とするインプリント装置。 - 前記制御部は、前記第1寸法から前記第2寸法への前記照射領域の寸法を変更するための前記変更部材の駆動が前記光遮断期間中に終了するように、前記先行露光の実施タイミングを決定する、ことを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
- 前記先行露光は、前記状態での前記型と前記ショット領域との位置合わせ中に行われ、
前記本露光は、前記位置合わせの後に行われる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインプリント装置。 - 前記シャッタ部材は、前記光通過部として、第1光通過部および第2光通過部を有し、
前記第1光通過部を通過して前記インプリント材に照射される光の強度は、前記第2光通過部を通過して前記インプリント材に照射される光の強度より小さく、
前記制御部は、前記先行露光において前記第1光通過部を通過した光を前記一部に照射し、前記本露光において前記第2光通過部を通過した光を前記全体に照射するように、前記シャッタ部材の駆動を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインプリント装置。 - 前記シャッタ部材は、駆動方向における前記第1光通過部と前記第2光通過部との間に前記光遮断部を有する、ことを特徴とする請求項4に記載のインプリント装置。
- 前記制御部は、前記先行露光において前記インプリント材の前記一部の粘度が目標範囲に収まるように前記シャッタ部材の駆動を制御するとともに、前記一部の周囲の粘度が前記目標範囲の下限より小さくなるように、前記第1寸法から前記第2寸法へ前記照射領域の寸法を変更するための前記変更部材の駆動を前記先行露光中に開始する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインプリント装置。
- 前記インプリント材は、前記インプリント材に照射される光の積算光量が閾値に達した場合に粘度の増加を開始する特性を有し、
前記制御部は、前記一部の周囲における前記インプリント材に照射される光の積算光量が前記閾値より小さくなるように、前記第1寸法から前記第2寸法へ前記照射領域の寸法を変更するための前記変更部材の駆動を前記先行露光中に開始する、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインプリント装置。 - 前記制御部は、前記第1寸法から前記第2寸法へ前記照射領域の寸法を変更するための前記変更部材の駆動を前記先行露光の終了後に開始する、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインプリント装置。
- 前記シャッタ部材と前記変更部材とは、光路上における互いに異なる位置に配置されている、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインプリント装置。
- 前記変更部材は、光が通過する開口のサイズを規定するブレード部材を有し、
前記制御部は、前記ブレード部材を駆動して前記開口のサイズを変化させることにより前記照射領域の寸法を変更する、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインプリント装置。 - 前記変更部材は、複数のレンズを有し、
前記制御部は、前記複数のレンズを駆動して光学倍率を変化させることにより前記照射領域の寸法を変更する、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインプリント装置。 - 前記シャッタ部材が配置される面に対して共役な面に配置された入射面を有するハエの目レンズを更に備え、
前記ハエの目レンズは、前記シャッタ部材と前記変更部材との間に配置されている、ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインプリント装置。 - 前記シャッタ部材は、前記基板が配置される面に対して共役な面に配置されている、ことを特徴とする請求項12に記載のインプリント装置。
- 請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインプリント装置を用いて基板上にパターンを形成する形成工程と、
前記形成工程でパターンが形成された前記基板を加工する加工工程と、を含み、
前記加工工程で加工された前記基板から物品を製造することを特徴とする物品の製造方法。
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