[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2022157128A - 水性ボールペン用インク組成物 - Google Patents

水性ボールペン用インク組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2022157128A
JP2022157128A JP2021061181A JP2021061181A JP2022157128A JP 2022157128 A JP2022157128 A JP 2022157128A JP 2021061181 A JP2021061181 A JP 2021061181A JP 2021061181 A JP2021061181 A JP 2021061181A JP 2022157128 A JP2022157128 A JP 2022157128A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
ball
ink composition
ink
ballpoint pen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021061181A
Other languages
English (en)
Inventor
千裕 望月
Chihiro Mochizuki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Pencil Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Pencil Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Pencil Co Ltd filed Critical Mitsubishi Pencil Co Ltd
Priority to JP2021061181A priority Critical patent/JP2022157128A/ja
Publication of JP2022157128A publication Critical patent/JP2022157128A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Pens And Brushes (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】 経時安定性に優れ、筆記性能を低下させることなく、また、低粘度インクであっても、ホルダーとボールの隙間から、重力によりインクが垂れたり漏れたりする、いわゆる「直流現象」の発生がない水性ボールペン用インク組成物を提供する。【解決手段】本発明の水性ボールペン用インク組成物は、少なくとも、色材と、ポリエステル樹脂エマルションとを含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、経時安定性に優れ、筆記性能を低下させることなく、しかも、低粘度インクであっても、ホルダーとボールの隙間から、重力によりインクが垂れたり漏れたりする、いわゆる「直流現象」の発生がない水性ボールペン用インク組成物に関する。
従来より、水性ボールペンにおいて、ホルダーとボールの隙間から、重力によりインクが垂れたり漏れたりする、いわゆる「直流現象」が発生することがあるなどの課題があった。
これを解消する方法としては、ボールペンのチップの構造からのアプローチと、インクの組成からのアプローチとが知られており、そのうち、後者のアプローチとしては、例えば、特許文献1記載の発明では、ペン先からインクが先漏れしないよう微粒子無水シリカを含有することを特徴とするもの、また、特許文献2記載の発明では、インク漏れ防止のために最低造膜温度が30℃以下の吸水膨潤性球状高分子化合物を添加することが知られている。
更に、特許文献3記載の発明では、インク収容筒の先端部にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インク収容筒内に少なくとも水、着色剤、有機樹脂粒子、剪断減粘性付与剤からなる水性ボールペン用インク組成物を収容してなる水性ボールペンであって、ボールペンチップのボールの軸方向への移動量が15μm以上であり、有機樹脂粒子の平均粒子径が15μm以下であることを特徴とする水性ボールペン、特許文献4の発明では、少なくとも結晶セルロースと樹脂粒子とを含有することを特徴とするボールペン用インク組成物などが知られている。
しかしながら、上記特許文献1では、シリカのような粒子は比重が重いため、長期的に均一にインク中に存在させることが難しく、上記特許文献2では、ペン先で皮膜化することにより、ドライアップ等の要因ともなるなどの少なからずの課題がある。
上記特許文献3では、インクの組成と構造からのアプローチであるが、低粘度インクの場合に、未だ十分な「直流現象」の課題を解決するものとなっていないのが現状であった。上記特許文献4では、結晶セルロースを用いた従来にない技術であり、直流現象の発生を抑制するものであるが、更なるニーズとして、経時安定性に優れ、筆記性能を低下させることなく、しかも、低粘度インクであっても、「直流現象」の発生がない水性ボールペン用インク組成物が切望されている。
一方、樹脂エマルションなどを筆記具用インクに用いる技術としては、例えば、特許文献5では、着色材と樹脂エマルションを含み、前記樹脂エマルションに含まれる樹脂のガラス転移点が20℃以上100℃以下であり、前記樹脂エマルションは前記着色材で着色された着色樹脂エマルションである布用マーキングペン用水性インキ組成物、特許文献6では、顔料と、グアーガム誘導体と、難水溶性樹脂(樹脂エマルション)と、水とを含む筆記具用水性インキ組成物であって、インキ組成物全量に対する顔料の総含有量をU、インキ組成物全量に対するグアーガム誘導体の総含有量をVとした場合、V/Uが、0.0005≦V/U≦0.05であり、かつ、インキ組成物全量に対する難水溶性樹脂の総含有量をXとした場合、X/Vが、5≦X/V≦75であることを特徴とする筆記具用水性インキ組成物、およびそれを用いた筆記具が知られている。
しかしながら、上記特許文献5は、布に筆記された筆跡又は塗膜の耐滲み性、耐洗濯性を良好とするものであり、また、上記特許文献6は、紙や布などの繊維間の隙間が大きい被筆記体の表面に筆記した際においても、着色剤を被筆記面の繊維表面に留めることが可能となる筆跡の発色性や定着性に優れた水性インキ組成物の提供であり、本発明とは、発明の課題及び技術思想(構成及びその作用効果)が相違するものである。
特開2001- 40266号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2006- 63235号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2016-124179号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2013-103986号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2003-238879号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2019- 11397号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、経時安定性に優れ、筆記性能を低下させることなく、しかも、低粘度インクであっても、「直流現象」の発生がない水性ボールペン用インク組成物及びこれを搭載した水性ボールペンを提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、少なくとも、色材と、特定の樹脂エマルションとを含有することなどにより、上記目的の水性ボールペン用インク組成物などが得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の水性ボールペン用インク組成物は、少なくとも、色材と、ポリエステル樹脂エマルションとを含むことを特徴とする。
剪断速度383sec-1における粘度が25℃で1~100mPa・secであることが好ましい。
上記ポリエステル樹脂エマルションは、数平均分子量(Mn)が10000以上であることが好ましい。
上記ポリエステル樹脂エマルションの含有量は、インク組成物全量に対して、固形分濃度で0.5~30質量%であることが好ましい。
本発明の水性ボールペンは、上記構成の水性ボールペン用インク組成物を搭載したことを特徴とする。
ボールチップのボールの軸方向への移動量が15~60μmであることが好ましい。
本発明によれば、経時安定性に優れ、筆記性能を低下させることなく、また、低粘度インクであっても、ホルダーとボールの隙間から、重力によりインクが垂れたり漏れたりする、いわゆる「直流現象」の発生がない水性ボールペン用インク組成物及びこれを搭載した水性ボールペンが提供される。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
本発明の水性ボールペン用インク組成物を収容した水性ボールペンのインクリフィルの一例を示す縦断面図である。 図1のインクリフィルにおけるボールチップのボールの軸方向への移動量(ボールペンチップのボールとボール受け座とのクリアランス)を説明するためのボールペンチップの要部を縦断面態様で示す説明図である。 本発明の水性ボールペンの一例を示す縦断面図である。 図3の水性ボールペンの正面図である。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は下記で詳述する実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
本発明の水性ボールペン用インク組成物は、少なくとも、色材と、ポリエステル樹脂エマルションとを含むことを特徴とするものである。
本発明に用いる色材としては、水に溶解もしくは分散する全ての染料、酸化チタン等の従来公知の無機系および有機顔料系、顔料を含有した樹脂粒子顔料、樹脂エマルションを染料で着色した疑似顔料、白色系プラスチック顔料、シリカや雲母を基材とし表層に酸化鉄や酸化チタンなどを多層コーティングした顔料、熱変色性顔料、光変色性粒子等を制限なく使用することができる。
染料としては、例えば、エオシン、フオキシン、ウォーターイエロー#6-C、アシッドレッド、ウォーターブルー#105、ブリリアントブルーFCF、ニグロシンNB等の酸性染料;ダイレクトブラック154,ダイレクトスカイブルー5B、バイオレットBB等の直接染料;ローダミン、メチルバイオレット等の塩基性染料などが挙げられる。
無機系顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、ニトロソ顔料などが挙げられる。より具体的には、カーボンブラック、チタンブラック、亜鉛華、べんがら、アルミニウム、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトポン、カドミウムエロー、朱、カドミウムレッド、黄鉛、モリブデードオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、ホワイトカーボン、クレー、タルク、群青、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、炭酸カルシウム、鉛白、紺白、紺青、マンガンバイオレット、アルミニウム粉、真鍮粉等の無機顔料、C.I.ピグメントブルー17、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー17、C.I.ピグメントブルー27、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド48、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド53、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー34、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー167、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット50、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
熱変色性顔料としては、発色剤として機能するロイコ色素と、該ロイコ色素を発色させる能力を有する成分となる顕色剤及び上記ロイコ色素と顕色剤の呈色において変色温度をコントロールすることができる変色温度調整剤を少なくとも含む熱変色性組成物を、所定の平均粒子径(例えば、0.1~6μm)となるように、マイクロカプセル化することにより製造された熱変色性顔料などを挙げることができる。
光変色性粒子としては、例えば、少なくともフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などから選択される1種以上と、テルペンフェノール樹脂などの樹脂とにより構成される光変色性粒子や、少なくともフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などから選択される1種以上と、有機溶媒と、酸化防止剤、光安定剤、増感剤などの添加剤とを含む光変色性組成物を、所定の平均粒子径(例えば、0.1~6μm)となるように、マイクロカプセル化することにより製造された光変色性粒子などを挙げることができる。
本発明(実施例等含む)において、「平均粒子径」は、粒度分析計〔マイクロトラックHRA9320-X100(日機装社製)〕にて、測定したD50の値である。
上記熱変色性顔料のマイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法などを挙げることができ、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、水溶液からの相分離法では、ロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を加熱溶融後、乳化剤溶液に投入し、加熱攪拌して油滴状に分散させ、次いで、カプセル膜剤として、壁膜がウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂等となる樹脂原料を使用、例えば、アミノ樹脂溶液、具体的には、メチロールメラミン水溶液、尿素溶液、ベンゾグアナミン溶液などの各液を徐々に投入し、引き続き反応させて調製後、この分散液を濾過することにより熱変色性マイクロカプセル顔料を製造することができる。この熱変色性顔料では、ロイコ色素、顕色剤及び変色温度調整剤の種類、量などを好適に組み合わせることにより、各色の発色温度、消色温度を好適な温度に設定することができる。
また、上記光変色性粒子のマイクロカプセル化法としては、上述の熱変色性の樹脂粒子の製造と同様に調製することができる。
この光変色性粒子は、フォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などを好適に用いることにより、例えば、室内照明環境(室内での白熱灯、蛍光灯、ランプ、白色LEDなどから選ばれる照明器具)において無色であり、紫外線照射環境(200~400nm波長の照射、紫外線を含む太陽光での照射環境)で発色する性質を有するものとすることができる。
これらの色材は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。また、これらの色材のうち、水に分散する顔料や、樹脂粒子顔料、疑似顔料、白色系プラスチック顔料、多層コーティングした顔料、熱変色性顔料、光変色性粒子等の平均粒子径は、ボール径、インク組成・粘度などにより変動するが、平均粒子径が0.02~6μmのものが望ましい。
これらの色材の含有量は、インクの描線濃度に応じて適宜増減することが可能であるが、インク組成物全量に対して、0.1~40質量%(以下、「質量%」を「%」という)、好ましくは、1~10質量%が望ましい。
本発明に用いるポリエステル樹脂エマルションは、本発明の効果を発揮せしめるために含有するものである。
用いるポリエステル樹脂エマルションは、少なくとも、多価アルコール成分と多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステル等の多価カルボン酸成分とを用いて得ることができる。
多価アルコール成分の例には、炭素数2~36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール等)、炭素数4~36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等)、炭素数6~36の脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等)、上記脂環式ジオールの炭素数2~4のアルキレンオキシド(エチレンオキシド(以下、EOと略記する)、プロピレンオキシド(以下、POと略記する)、ブチレンオキシド(以下、BOと略記する))付加物(付加モル数1~30)またはビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)の炭素数2~4のアルキレンオキシド(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2~30)等が含まれる。これらの多価アルコール成分は1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
多価カルボン酸成分の例には、炭素数4~36のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アピジン酸、セバシン酸等)、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸等)、炭素数4~36の脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸(2量化リノール酸)等)、炭素数4~36のアルケンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等)、または炭
素数8~36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはこれらの誘導体、ナフタレンジカルボン酸等)等が含まれる。これらの多価カルボン酸成分は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、好ましくは、10000以上、更に好ましくは、10000~100000であるものが望ましい。上記ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が10000以上であると、直流現象防止の効果と、長期の保存安定性に優れる。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定される値であり、例えば、株式会社島津製作所製「RID-6A」(カラム:東ソー株式会社製「TSK-GEL」、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、カラム温度:40℃)を用いて、ポリスチレン標準試料で作成した検量線から求めることができる。
上記ポリエステル樹脂エマルションとしては、市販品を用いてもよい。上記ポリエステル樹脂エマルションの市販品の例には、ユニチカ株式会社製のエリーテルKA-5034、エリーテルKA-5071S、エリーテルKA-1449、エリーテルKA-0134、エリーテルKA-3556、エリーテルKA-6137、エリーテルKZA-6034、エリーテルKT-8803、エリーテルKT-8701、エリーテルKT-9204、エリーテルKT-8904、エリーテルKT-0507、エリーテルKT-9511(以上、ユニチカ株式会社製」)などを挙げることができる。これらは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらのポリエステル樹脂エマルションの含有量は、インク組成物全量に対して、固形分濃度で0.5~30%とすることが好ましく、更に好ましくは、1~10%とすることが望ましい。
このポリエステル樹脂エマルションの固形分の含有量が0.5%未満であると、本発明の効果を発揮することができず、一方、30%を越えると、インクの経時安定性が低下する場合があり、また、ペン先でインクが固化しやすく初筆性が低下するため、好ましくない。
〈水性ボールペン用インク組成物〉
本発明の水性ボールペン用インク組成物には、少なくとも、上述の色材とポリエステル樹脂エマルションとを含むことを特徴とするものであり、その他に、水溶性溶剤、残部として溶媒である水(水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等)の他、本発明の効果を損なわない範囲で、分散剤、潤滑剤、増粘剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤などを適宜含有することができる。
用いることができる水溶性溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3-ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、単独或いは混合して使用することができる。この水溶性溶剤の含有量は、インク組成物全量に対して、5~40%とすることが望ましい。
用いることができる分散剤としては、ノニオン、アニオン界面活性剤や水溶性樹脂が用いられる。好ましくは水溶性高分子が用いられる。
用いることができる潤滑剤としては、顔料の表面処理剤にも用いられる多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルなどのノニオン系や、リン酸エステル、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのアニオン系、ポリアルキレングリコールの誘導体やポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
用いることができる増粘剤としては、例えば、合成高分子、セルロースおよび多糖類からなる群から選ばれた少なくとも一種が望ましい。具体的には、アラビアガム、トラガカントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、ダイユータンガム、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸及びその塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸及びその塩、ポリエチレシオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体及びその塩などが挙げられる。
pH調整剤としては、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンや、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなとの炭酸やリン酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水和物などが挙げられる。また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシルアンモニウムナイトライト、サポニン類など、防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、チアゾリン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
上記分散剤、潤滑剤、増粘剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤などの各成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの市販品があればそれを使用することができる
本発明の水性ボールペン用インク組成物は、他の水性インク組成物の製造方法と比べて特に変わるところはなく製造することができる。
すなわち、本発明の水性ボールペン用インク組成物は、少なくとも、色材と、ポリエステル樹脂エマルションと、水溶性溶剤、その他の各成分をミキサー等、更に、例えば、強力な剪断を加えることができるビーズミル、ホモミキサー、ホモジナイザー等を用いて撹拌条件を好適な条件に設定等して混合撹拌することにより、更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去すること等によって水性ボールペン用インク組成物を製造することができる。
また、本発明の水性ボールペン用インク組成物のpH(25℃)は、使用性、安全性、インク自身の安定性、インク収容体とのマッチング性の点からpH調整剤などにより5~10に調整されることが好ましく、更に好ましくは、6~9.5とすることが望ましい。
本発明の水性ボールペン用インク組成物は、剪断速度383sec-1における粘度が25℃で1~100mPa・secの範囲内で調製される。
この粘度が上記剪断速度で100mPa・sを越えて粘度が高くなると、インク流量が低下し、筆感が重くなり、滑らかに書きづらくなり、一方、1mPa・sec未満であると、筆跡の滲みや裏抜け抑制効果が発揮されないこととなり、好ましくない。
なお、本発明において、上記剪断速度において粘度を上記範囲内に調製するためには、用いる樹脂エマルション、溶媒となる水、色材などを好適に組み合せ、これらの各含有量を好適に調整することなどにより行うことができる。
本発明の水性ボールペン用インク組成物は、ボールペンチップなどのペン先部を備えたボールペンに搭載される。
本発明における水性ボールペンとしては、例えば、上記組成の水性ボールペン用インク組成物を直径が0.18~2.0mmのボールを備えたボールペン用インク収容体(リフィール)に収容すると共に、該インク収容体内に収容された水性インク組成物とは相溶性がなく、かつ、該水性インク組成物に対して比重が小さい物質、例えば、ポリブテン、シリコーンオイル、鉱油等がインク追従体として収容されるものが挙げられる。直径が上記範囲のボールを備えたものであれば、用いる水性ボールペンの構造などは、特に限定されず、特に、上記水性インク組成物をポリプロピレン製の樹脂製チューブのインク収容管に充填し、先端のステンレスチップ(ボールは超鋼合金)を有するリフィールの水性ボールペンに仕上げたものが望ましい。
更に、軸筒自体をインク収容体として該軸筒内に上記構成の水性ボールペン用インク組成物を充填したコレクター構造(インク保持機構)を備えた直液式のボールペンであってもよいものである。
図1~4は、本発明の水性ボールペン用インク組成物を、金属チップ、樹脂チップなどのボールペンチップを備えたインクリフィル、並びに、ボールペンに搭載して使用に供する場合の水性ボールペンの一例を示す各図面である。
本発明の水性ボールペン用インク組成物を収容したインクリフィル10としては、例えば、図1に示すように、ボールペンチップ15と、継手部材14と、インク収容管11とから構成されるものが挙げられる。インク収容管11は、ポリプロピレン製などの樹脂製の管であり、その内部には本発明の水性ボールペン用インク組成物12が収容されており、更に、このインク組成物12の後端にはインク追従体13が収容されている。
インクリフィル10の先端部には、継手部材14を介してボールペンチップ15が装着されている。このボールペンチップ15は、図1及び図2に示すように、ホルダー16と、これに抱持される超硬合金製の筆記ボール17とによって構成されている。ホルダー16は、円柱状に形成され、その先端側が先細形状のボール保持部となるテーパー部16aと、後端側の外周が小径となっている連結部16bと、ホルダー後端からテーパー部16aの中途部分までの内部空間として形成されたバック孔16cとで構成されている。筆記ボール17を受けるホルダー16の先端部分は、図2に示すように、ボールハウス16d
、筆記ボール17を抱持するカシメ部16e、バック孔16cに連通するインク誘導孔16f及びインク溝16g、ボール受け座16hが形成されている。
この水性ボールペンの実施形態において、ボールペンチップ15の筆記ボール17とボール受け座16hとのクリアランス、すなわち、筆記ボール17の軸方向(上下方向)の移動量(移動距離)Lは、インク直流の防止の点、大粒子径の樹脂粒子を含むインクを適切に吐出させる点、初筆性を確保する点から、15~60μmとすることが好ましい。
また、筆記ボール17のとすることが好ましい。なお、本発明で規定する「表面の粗さ」は表面の粗さは、大粒子径の樹脂粒子を含むインクを適切に転写する点、初筆性を確保する点から、1~5nm、JIS B 0601:2013で規定される方法により測定される「表面の平均粗さRa値」をいう。
このインクリフィル10は、例えば、図3及び図4に示すような、ノック式の水性ボールペン20に搭載され、使用に供されるものとなる。このノック式の水性ボールペン20は、三本(黒色、赤色、青色)の水性ボールペン用のインクリフィル10を先軸21と後軸22とが螺合により着脱自在となる軸筒23の軸先24から、夫々の筆記先端部を選択的に出没可能とした複式の水性ボールペンである。この水性ボールペン20のノック機構30は、各3本の水性ボールペン用チューブ10…を着脱可能に嵌着すると共に、リターンスプリングとなるバネ31…を挿通したノック体32…を備えたものであり、ノック体32の一つを下方にノックすることにより選択的に出没可能とし、使用に供することとなっている。図示符号25はゴム部材やエラストマー部材から構成されるグリップ部であり、26はクリップ部である。なお、インクリフィル10の内径(直径)は、1.5~3.0mm、インク追従体の充填長は5~20mmに設定されるものが好ましく、また、ノック機構を構成するリターンスプリングであるバネ31としては、上記好ましい範囲となるバネ乗数、使用時加重、収納時加重のものが用いられる。更に、図3及び図4では、複式の水性ボールペンとしたが、単式の水性ボールペンとしてもよいものである。
このように構成される本発明の水性ボールペン用インク組成物及びこれを搭載した水性ボールペンが、何故、経時安定性に優れ、筆記性能を低下させることなく、また、低粘度インクであっても、いわゆる「直流現象」の発生がないのは、ポリエステルエマルジョンがインク中で均一に分散しやすく、かつ、ペン先に溜まったインク滴の表面に、薄く均一で柔軟な膜を形成するため、経時安定性と、筆記性能の両立に効果を発揮するためと推測される。
本発明の水性ボールペン用インク組成物及びこれを搭載した水死絵ボールペンでは、本発明の効果を発揮せしめる持続効果が極めて優れており、しかも、その効果の発現期間・持続時間も長く、更に水性であるために経時的な安定性にも優れたものとなる。
次に、水性ボールペン用インク組成物及びこれを搭載した水性ボールペンの実施例1~8により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1~8〕
下記表1に示す配合処方にしたがって、常法により各水性ボールペン用インク組成物を調製した。
得られた各水性ボールペン用インク組成物(全量100質量%)について、下記各方法により剪断速度383sec-1(25℃)における粘度(mPa・s)の測定、並びに、直流試験、筆記試験(かすれ、線割れ)、経時安定性の各評価を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
〔剪断速度383sec-1(25℃)における粘度の測定方法〕
E型回転粘度計〔VISCOMETER RE215(東機産業社製)〕を用いて、コーン:1°34’*R24、測定時間60秒、測定温度25℃で剪断速度383sec-1のインク粘度(mPa・s)を測定した。
(直流試験の評価方法)
(水性ボールペン)
ボールペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:シグノUM-151〕の軸を使用し、図1に準拠する内径3.8mm、長さ113mmのポリプロピレン製インク収容管とボールペンチップ(ホルダー:ステンレス製、ボール:超硬合金ボール、ボール径0.7mm)及び該収容管と該チップを連結する継手からなるリフィールに、上記で得られた各ボールペン用水性インク組成物を充填し、インク後端にポリブテンからなるインク追従体を充填して水性ボールペン(各5本)を作製した。筆記ボール17の軸方向(上下方向)の移動量(移動距離)Lは、30μmであり、表面の粗さ(Ra値)は、2nmであった。
<直流試験>
各実施例又は比較例のいずれかのインクを充填した前記の水性ボールペンを25℃、相対湿度60%の環境下において、キャップを外した状態で筆記先端を下向きに1日放置し、筆記先端から漏れ出した程度により、下記評価基準で評価した。
評価基準:
A :全く漏れない。
A′:全く漏れない又はボールペンチップが僅かに汚れる程度。
B :ボールペンチップ周りに液滴ができるがそれ以上には進行せず。
C :液滴が大きくなり進行途中であるが垂れず。
D :ボールペンチップより液が滴り落ちる。
<筆記試験>
上記直流試験と同様に作製した水性ボールペンを用いて、手で螺旋筆記をして得られた描線を以下の2項目(かすれ、線割れ)において各評価基準により評価した。
(かすれの評価基準)
A:かすれは全くない。
B:わずかにかすれる箇所はあるが気にならない程度。
C:部分的にかすれる箇所がある。
D:カスレがかなり目立つ。
(線割れの評価基準)
A:線割れは全くない。
B:わずかに線割れしている箇所はあるが気にならない程度。
C:線割れはしているが文字は認識可能。
D:線割れがひどく目立つ。
(経時的安定性の評価方法)
上記で得た各水性ボールペンを60℃、相対湿度30%の環境下において、キャップをした状態でペン先を下向きにして1箇月保管した。その後、室温に6時間放置し、ボールペンが室温と同温度になった後、手で螺旋筆記をして下記評価基準で筆記性を評価した。
(経時安定性の評価基準)
A:筆記性に問題はない。
B:筆記に問題はないが筆感がやや重い。
C:書記と比較して筆記性は劣る。
D:筆記不可。
Figure 2022157128000001
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1~8の水性ボールペン用インク組成物を搭載した水性ボールペンは、経時安定性に優れ、筆記性能(かすれ、線割れ)を低下させることなく、また、低粘度インクであっても、いわゆる「直流現象」の発生がないことが確認された。特に、数平均分子量(Mn)が10000以上となるポリエステル樹脂エマルションを含有した実施例1~3は、実施例4~8に較べ、格段に優れることが確認された。
水性ボールペンに好適なインク組成物が得られる。

Claims (6)

  1. 少なくとも、色材と、ポリエステル樹脂エマルションとを含むことを特徴とする水性ボールペン用インク組成物。
  2. 剪断速度383sec-1における粘度が25℃で1~100mPa・secであることを特徴とする、請求項1記載の水性ボールペン用インク組成物。
  3. 上記ポリエステル樹脂エマルションは、数平均分子量(Mn)が10000以上であることを特徴とする、請求項1又は2記載の水性ボールペン用インク組成物。
  4. 上記ポリエステル樹脂エマルションの含有量は、インク組成物全量に対して、0.5~30質量%であることを特徴とする、請求項1~3の何れか一つに記載の水性ボールペン用インク組成物
  5. 請求項1~4の何れか一つに記載の水性ボールペン用インク組成物を搭載したことを特徴とする水性ボールペン。
  6. ボールチップのボールの軸方向への移動量が15~60μmであることを特徴とする、請求項5に記載の水性ボールペン。
JP2021061181A 2021-03-31 2021-03-31 水性ボールペン用インク組成物 Pending JP2022157128A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021061181A JP2022157128A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 水性ボールペン用インク組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021061181A JP2022157128A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 水性ボールペン用インク組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022157128A true JP2022157128A (ja) 2022-10-14

Family

ID=83559166

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021061181A Pending JP2022157128A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 水性ボールペン用インク組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022157128A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2017155081A (ja) 筆記具用水性インク組成物
JP2011178973A (ja) ボールペン用水性インク組成物及びそれを用いた水性ボールペン
JP6626373B2 (ja) 筆記具用水性インク組成物
JP2017155162A (ja) 筆記具用水性インク組成物
JP2007297514A (ja) ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペンレフィル、ボールペン
JP2022157128A (ja) 水性ボールペン用インク組成物
JP7145605B2 (ja) 筆記具
JP6827376B2 (ja) 筆記具用水性インキ組成物、およびそれを用いた筆記具
JP2005171037A (ja) ボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いた水性ボールペン
JP2002235025A (ja) ボールペン用水性インキ組成物
JP4326867B2 (ja) ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン
JP2006111861A (ja) キャップレスボールペン用水性インキ組成物及びそれを収容したキャップレスボールペン
JP4326912B2 (ja) 水性ボールペン
JP2017052832A (ja) 筆記具用水性インク組成物
JP2007297448A (ja) ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペンレフィル、ボールペン
JP5241167B2 (ja) ボールペン用水性インキ組成物及びそれを収容したボールペン
JP2005036156A (ja) 筆記具用水性インキ組成物
JP7323332B2 (ja) 水性ボールペン用インク組成物
JP2006008941A (ja) 筆記具用水性インキ組成物
JP2007177023A (ja) ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン
JP2006142511A (ja) 水性ボールペン
WO2022224680A1 (ja) 水性ボールペン用インク組成物
JP2021109916A (ja) 水性ボールペン用インキ組成物、水性ボールペンレフィル及び水性ボールペン
JP2023004211A (ja) ボールペン用水性インク組成物
JP2023024288A (ja) 筆記具用水性インク組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240226