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JP2022023000A - ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 Download PDF

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JP2022023000A JP2021106385A JP2021106385A JP2022023000A JP 2022023000 A JP2022023000 A JP 2022023000A JP 2021106385 A JP2021106385 A JP 2021106385A JP 2021106385 A JP2021106385 A JP 2021106385A JP 2022023000 A JP2022023000 A JP 2022023000A
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Satoshi Tsuchiya
一喜 片田
Ikki Katada
慎 窪田
Shin Kubota
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Abstract

【課題】同時二軸延伸機を用いた延伸工程を経て品質均一性の確保を達成できるポレオレフィン微多孔膜の製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、ポレオレフィン樹脂と可塑剤とを溶融混練して、得られた混合物を押出機より押し出して、シートを形成し、そのシートを延伸工程前に昇温しながらTDに熱膨張によるたるみを改善するために拡幅させる量とシートの自重によるたるみを改善するために拡幅させる量の和の分だけレール幅を広げ、その後MDとTDに20倍以上同時二軸延伸し、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させるポリオレフィン微多孔膜の製造方法である。【選択図】図2

Description

本発明は、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法に関するものである。
ポリオレフィン微多孔膜は、物質の分離や選択透過などに用いられる分離膜、アルカリ二次電池、リチウム二次電池、燃料電池及びコンデンサーなど電気化学素子の隔離材等として広く使用されている。特にリチウムイオン二次電池用セパレータとして好適に使用されている。リチウムイオン二次電池用は電気自動車用途への展開が期待されており、大幅な市場拡大が見込まれている。そのため、ポリオレフィン微多孔膜も今後の需要拡大することか予想されている。
従来より、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法として湿式法が知られている。湿式法では、ポリオレフィンに流動パラフィンなどの可塑剤を添加し、混練・分散したポリオレフィン溶液を口金より冷却ドラム上に吐出し、冷却固化することでゲル状シートを形成した後、ローラー法やテンター法により一軸方向または二軸方向に延伸し、次いで可塑剤を抽出して微多孔を有する膜を得る。
特に、テンター法では未延伸ゲル状シートの端部をクリップで把持することで、長手方向(MD)と幅手方向(TD)の二軸に引き延ばし、充分に配向された高強度の二軸配向微多孔膜を得ることができる。テンター法にはMDとTDを同時に延伸する同時二軸延伸法とMD・TDを一方向ずつ順に延伸する逐次二軸延伸法とがある。
同時二軸延伸法は、逐次二軸延伸法に比べ、面方向の配向バランスが均質なフィルムが得られるという優れた利点を有した製造方法である。
特許文献1には、口金から押し出した未延伸ゲル状シートをートをまずは1.3~2.0倍の延伸倍率でMDまたはTDに延伸し、その後、面積倍率25倍以上に同時二軸延伸する工程を有するポリオレフィン微多孔膜の製造方法が記載されている。
特許文献2には、シート状成形物をMDに2倍以上に延伸する二軸延伸工程を有するポリオレフィン微多孔膜の製造方法が記載されている。
国際公開第2016/024533号 国際公開第2018/043335号
前述したようにポレオレフィン微多孔膜はリチウムイオン二次電池用セパレータとして、需要の拡大が想定される。昨今の需要を満たすためには、微多孔膜の製膜速度の増大および製膜幅の拡大(広幅化)が必須となる。従来の製膜幅で同時二軸延伸機を用いた延伸では発生しえなかった延伸ムラや微多孔膜の欠点が、広幅化によって発生してしまうため増速・広幅化しても延伸均一性を達成した製膜方法を提供する必要がある。
特許文献1は同時二軸延伸を、特許文献2では逐次二軸延伸を用いた高機能性ポレオレフィン微多孔膜の製造方法を教示しているが、どちらにおいても増速・広幅化した際も同等の機能や、物性の均一性を達成するには至っていない。
リチウムイオン二次電池は需要拡大に伴い、ポリオレフィン微多孔膜の生産量を増加させる必要性が出てくる。生産量の増加のためには新たな製膜装置を増設する必要があり、製膜装置を製膜速度の増大および製膜幅の拡大に対応させることが必須となってくる。広幅化においては、実際に幅を大きくした装置を用いない限り実機での検証が困難であることもあり、広幅化検証段階での課題発見が困難である。
本発明の目的は、製膜装置による検証をすることなく、広幅化してもムラや欠点の発生を抑え、品質均一性及び品質水準に優れ、生産安定性及び生産性に優れたフィルムの製造方法を提供する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意研究を行った結果、ポレオレフィン微多孔膜の熱膨張によるたるみ挙動を解析したところ、広幅化することでシートのたるみ量が従来よりも増大することを確認し、これを制御することによって同時二軸延伸法で広幅化を実施した場合において均一性を維持することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
(1)(a)ポレオレフィン樹脂及び可塑剤を含む樹脂組成物を溶融混練し押し出す押出工程、
(b)前記(a)工程で得られた押出物をゲル状シートに成形してゲル状シート成形物を得る工程
(c)前記(b)工程で得られたゲル状シート成形物をTDとMDに同時二軸延伸して延伸シートを得る工程、
ここで、ゲル状シート成形物をクリップで把持し、TDクリップ間距離の拡幅率が下式で算出されるR[%]となるように広げながら予熱をした後、面倍率が20倍以上になるように同時二軸延伸を行う
R = a + b
(R:総拡幅率[%]、a:熱膨張によるたるみを改善するために拡幅させる率[%]、b:シートの自重によるたるみを改善するために拡幅させる率[%])
(d)前記(c)工程で得られた延伸シートから可塑剤を抽出する抽出工程、
(e)前記(d)工程で得られたシートを少なくとも一軸方向に延伸する第二延伸工程、
を有するポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
(2)前記(c)工程のTDクリップ間距離の拡幅率が0.05~2.00%であり、熱膨張によるたるみを改善するために拡幅させる率aが0.05~2.00%である、前記(1)に記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
(3)前記(c)工程のシートの自重によるたるみを改善するために拡幅させる率bは式1で算出される、
Figure 2022023000000002
(D:クリップで把持した際のたるみ量[m]、 S:クリップ間距離[m])
前記(1)または(2)に記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
(4)前記(c)工程の延伸温度が110℃以上である前記(1)~(3)のいずれかに記載の製造方法。
本発明によると、ゲル状シートを搬送しながら、同時二軸延伸機での延伸工程前の予熱工程にて昇温による熱膨張分とシートの自重によるたるみ分をクリップで把持したシートをTDに広げて、たるみを緩和する工程を組み込むことで、広幅化してもムラや欠点の発生を抑え、品質均一性及び品質水準に優れ、生産安定性及び生産性に優れたフィルムの製造方法を提供することができる。
本発明で延伸工程における同時二軸延伸装置の概略図である。 本発明の延伸工程における延伸装置とシートたるみの概略図である。 本発明で製造されるシートの膨張率と温度を求めた関係図である。 本発明で製造されるシートのたるみ量の予測値と実測値である。
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されない。また、図面は説明の都合上、寸法や比率が実際とは異なる場合がある。
原料を二軸押出機に投入し、ポレオレフィン溶液をギアポンプで計量しながら口金に供給し、ゲル状シートを得る。ゲル状シートを同時二軸延伸機に導入することで延伸し、その後可塑剤除去・乾燥工程で可塑剤を除去し、ポレオレフィン微多孔膜を得る。得られたポレオレフィン微多孔膜をテンターで第二延伸し、巻き取り機で巻き取ることで製品とした。
(1)ポリオレフィン樹脂
本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜は、ポリエチレン樹脂組成物を主成分とする。ポリエチレン樹脂組成物を主成分とするとは、ポリオレフィン微多孔膜全体に対して90質量%以上のポリエチレンを含むことをいう。
本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜の主成分でポリエチレン樹脂組成物は、他のα-オレフィンを少量含有する共重合体であってもよいが、経済性及び膜強度の観点から、好ましくはホモポリマーである。共重合体中にはエチレン以外の他のα-オレフィンを含んでもよく、このようなα―オレフィンとしては、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、メチルペンテン、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン等を使用することができる。エチレン以外のα-オレフィンの含有量は、共重合体100モル%を基準として10.0モル%以下であることが好ましい。かかる共重合体は、チーグラー・ナッタ触媒又はシングルサイト触媒を用いるプロセス等の、いずれかの都合のよい重合プロセスにより製造することができる。
また、ポリエチレン以外の他のポリオレフィン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリオクテンにあってはMwが1×10以上、4×10以下であることが好ましく、ポリエチレンワックスにあってはMwが1×10以上、1×10以下であることが好ましい。
前記ポリエチレン以外のポリオレフィンの含有量は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、適宜調節できるが、前記ポリオレフィン樹脂中、10重量部以下が好ましく、5重量部未満がより好ましい。
前記ポリオレフィン微多孔膜に含まれるポリオレフィン樹脂100質量%に占めるポリエチレン樹脂の割合は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。ポリエチレンの含有量を前記範囲内とすると、得られるポリオレフィン微多孔膜の強度の向上を図ることができる。
ポリエチレン樹脂の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、通常1×10~1×10の範囲内であり、好ましくは1×10~5×10の範囲内であり、より好ましくは1×10~4×10の範囲内である。但しMwが1×10未満のポリエチレンの含有量は、ポリエチレン樹脂全体を100重量部として5重量部未満であるのが好ましい。このような低分子量成分の含有量を5重量部未満であれば、微多孔膜の機械的強度の観点から好ましい。なお、上記ポリエチレン樹脂のMwは、原料として用いられるポリエチレン樹脂のMwを示す。
ポリエチレン樹脂としては、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンなどを用いることができる。ここで、高密度ポリエチレンは、密度が0.94g/cmを超えるポリエチレン、中密度ポリエチレンは、密度が0.93g/cm以上0.94g/cm以下のポリエチレン、低密度ポリエチレンは、0.93g/cm未満のポリエチレンをいう。
超高分子量ポリエチレンを用いる場合、微多孔膜の強度を付与する観点からそのMwは8×10以上であるのが好ましく、より好ましくは1×10以上である。また、延伸などの加工のし易さなどの観点から1.5×10以下であることが好ましく、より好ましくは、5×10以下である。
ポリエチレン樹脂組成物としては、超高分子量ポリエチレンを含むものが好ましい。超高分子量ポリエチレンを含むポリエチレン樹脂組成物は、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも一種類のポリエチレンをさらに含むことが好ましい。より好ましくは、機械的強度及び成形加工性に優れる観点から超高分子量ポリエチレンと高密度ポリエチレンとを含むポリエチレン樹脂組成物であり、透気抵抗度をより低下させる観点から、さらにより好ましくはポリエチレンが超高分子量ポリエチレンと高密度ポリエチレンとからなるポリエチレン樹脂組成物である。
高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのMwは、混成型加工性の観点から1×10以上8×10未満であるのが好ましく、低密度ポリエチレンのMwは1×10以上~5×10未満の範囲内であるのが好ましい。なお、上記超高分子量ポリエチレンのMwは、原料として用いられるポリエチレン樹脂のMwを示す。
ポリエチレン樹脂組成物が超高分子量ポリエチレンを含む場合、ポリエチレン樹脂の重量を100重量部とすると、微多孔膜の強度向上の効果を得る観点から超高分子量ポリエチレンの含有量の下限は1重量部以上であることが好ましく、10重量部以上であることがより好ましく、30重量部以上であることが特に好ましい。また、押出成形のし易さの観点から超高分子量ポリエチレンの含有量の上限は、90重量部以下であることが好ましく、80重量部以下であることがより好ましく、70重量部以下であることがさらに好ましい。
ポリエチレン樹脂の分子量分布(MWD)[Mwと数平均分子量(Mn)の比 Mw/Mn]は押出成型性、安定した結晶化制御による物性コントロールの観点から、1.0以上であるのが好ましく、より好ましくは3.0以上である。また、十分な強度を得る観点から、Mw/Mnは300以下であるのが好ましく、より好ましくは100未満であり、さらにより好ましくは10未満であり、特に好ましくは8未満である。このようなMWDの範囲に調整するために、ポリエチレン樹脂を多段重合により調製してもよい。
ポリエチレン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、2.0g/10分以下であることが好ましく、0.01以上1.0g/10分以下であることがより好ましい。MFRが前記範囲内であれば、得られるポリオレフィン微多孔膜の突刺強度などの機械強度が低下することを避けることができる。なお、前記MFRは、JIS K6922-2に準拠して、190℃、2.16kg荷重にて、溶融したポリマーをダイ(長さ8mm、外径9.5mm、内径2.095mm)より押出して測定した値である。
また、ポリオレフィン樹脂(組成物)溶液は、ポリオレフィン樹脂又はポリオレフィン樹脂組成物にさらに適当な製膜用可塑剤を配合した後、溶融混練することにより調製することができる。ポリオレフィン樹脂に添加する製膜用可塑剤としては、ノナン、デカン、デカリン、パラキシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等の脂肪族若しくは環式の炭化水素、沸点がこれらに対応する鉱油留分等を用いることができる。
(2)ゲル状シートの形成
ポリオレフィン樹脂(組成物)溶液を押出機からダイに送給し、シート状に押し出して、シート状成形物を得る。同一又は異なる組成の複数のポリオレフィン樹脂組成物を、押出機から一つのダイに送給し、そこで層状に積層させ、シート状に押出してもよい。押出方法はフラットダイ法及びインフレーション法のいずれでもよい。
押出し温度は、(使用するポリオレフィン樹脂の融点)~(使用するポリオレフィン樹脂の融点+120)℃の範囲に設定することが好ましい。
ゲル状シート成形物の厚みは、ゲル状シート表面を溶融する際にシート状成形物(ゲル状シート)の全体がポリオレフィンの融点以上の温度になることを避けるために、100μm以上であることが好ましく、より好ましくは120μm以上であり、さらに好ましくは150μm以上である。また、ゲル状シート成形物の厚さの上限は、延伸後の膜厚を十分に薄くする観点から3000μm以下であることが好ましく、より好ましくは2500μm以下であり、さらに好ましくは2000μm以下である。
(3)ゲル状シートの延伸
得られたゲル状シート成形物をテンター法によりクリップで把持し、昇温しながら幅手方向(TD)クリップ間距離の拡幅率が下式で算出されるR[%]となるように広げながら予熱をした後(図1符号1)、面倍率が20倍以上になるように同時二軸延伸を行う(図1符号2)。
R = a + b
(R:総拡幅率[%]、a:熱膨張によるたるみを改善するための拡幅率[%]、b:シートの自重によるたるみを改善するための拡幅率[%])
次いで熱固定(図1符号3)を実施してもよい。
図1から、同時二軸延伸工程は大きく3つの「予熱」「延伸」「熱固定」の3工程に区分できる。シートを昇温する工程である予熱工程において、シートに張力をかけていないため熱膨張した分が直接シートのたるみ量となる(図2)。また、クリップでシートを噛みこんだ際、シートの自重によりシートが垂れ下がり、それがたるみ量となる。一方で、シートを塑性変形させながら目標倍率まで延伸する延伸工程は長手方向(MD)・TDに延伸張力をかけるため、たるみ量としては改善する方向に向かう。そのため、延伸工程において、たるみ量は大きな課題とはならない。熱固定工程は、延伸によって生じた残留応力を緩和する工程であるため、フィルムの縮む方向に張力が発生する。よって、たるみが発生したとしてもフィルムの縮みによって緩和されるため、予熱工程ほどたるみの影響をうけることはない。
予熱工程では、熱膨張によりシートがたるむのを改善するために、昇温しながらTDクリップ間距離を0.05~2.00%に広げることが好ましく、1.70%~2.00%であることがより好ましい(熱膨張によるたるみを改善するための拡幅率ともいう。)。
前記拡幅範囲に加えて、シートの自重によりシートがたるむ分を改善するために下式(1)の分だけ昇温しながらTDクリップ間距離[%]を広げることが好ましい(シートの自重によるたるみを改善するための拡幅率ともいう。)。
Figure 2022023000000003
式1中のDはクリップで把持した際のたるみ量[m]、Sはクリップ間距離[m]を表す。クリップ間距離が700mmでシートの自重によるたるみが40mmであったとすると、たるみを解消できる拡幅量は式(1)より0.9%の拡幅を行うことで、シートの自重たるみが無くなり、全体のたるみ量も改善する。シートの自重によるたるみを改善するための拡幅率が式1を満たす場合、延伸工程でのシートたるみが解消されるため、延伸均一性の高い製膜が可能となる。特に広幅となった際には自重によるたるみ量が大きくなるため、テンター底部にシートが接触し、微多孔膜に欠点が発生する恐れがあるが、拡幅率が式1を満たすことで、微多孔膜に欠点が発生することを抑制することが可能となる。
クリップ間距離が前記範囲ないであることで熱膨張によるゲル状シートのたるみとシートの自重によるたるみを緩和でき、かつゲル状シートに張力が発生しない範囲となる。予熱段階でシートに張力が発生し、延伸してしまうと、充分に昇温されていない状態での延伸となるため、予熱工程で不均一な微延伸シートとなってしまい、本発明の期待するところに至らない。
テンター内の温度を115℃、テンター入口のTDクリップ間距離(STD)が500mmであったとすると、115℃での膨張率が1.90%であるので、熱膨張によりLTDは509.5mmとなる。予熱工程で1.90%の拡幅を行うことでSTDも509.5mmとなるため、TDのたるみが無くなり、全体のたるみ量も改善する。
テンター内の温度によりゲル状シートの膨張率が異なり、幅LTDが変化する。そのためクリップ間距離は上記範囲内で自由に変えられることが好ましい。LTDの変化に対応するために予熱工程での延伸倍率を上記範囲内で自由に変えられるようにすることが好ましい。
式(1)で提示されるクリップで把持した際のたるみ量Dは下記式(2)で算出することができる。
Figure 2022023000000004
式2中のDはたるみ量、Wはシートの自重、Sはクリップ間距離、Tは水平張力を表す。
W÷Tの値はシートの組成や厚みが変化しない限りほとんど一定であるので、クリップ間距離700mmで40mmたるむため、W÷Tは0.00065である。ここでクリップ間距離が1000mmであったとすると、シートの自重によるたるみは式(2)より、82mmと算出できるため、たるみを解消できる拡幅量は17.90mmであり1.8%の拡幅を行うことでシートの自重たるみが無くなり、全体のたるみ量も改善する。
同時二軸延伸による面積延伸倍率は20倍以上が好ましく、25倍以上が特に好ましい。また、MD及びTDのいずれでも3倍以上が好ましく、MDとTDでの延伸倍率は、互いに同じでも異なってもよい。面積延伸倍率を20倍以上とすると、突刺強度の向上が期待できる。ここで面積延伸倍率とは、延伸直前のゲル状シートの面積を基準とする。
同時二軸延伸機の延伸工程で延伸して得られた延伸シートに熱固定を実施することが好ましい。高温条件下で倍率をかけずにシートを把持しておくことで、シート内の残留応力が緩和し、熱耐性に優れたポレオレフィン微多孔膜を製造することが可能となる。
(4)製膜可塑剤の除去
可塑剤除去溶媒を用いて、製膜用可塑剤の除去を行う。ポリオレフィン相は製膜用可塑剤相と相分離しているので、製膜用可塑剤を除去すると、微細な三次元網目構造を形成するフィブリルからなり、三次元的に不規則に連通する孔を有する多孔質の膜が得られる。除去溶媒及びこれを用いた製膜用可塑剤の除去方法は公知であるので説明を省略する。例えば日本国特許第2132327号明細書や特開2002-256099号公報に開示の方法を利用することができる。
(5)乾燥
製膜用可塑剤を除去した微多孔膜を、加熱乾燥法又は風乾法により乾燥する。乾燥温度はポリエチレン樹脂の結晶分散温度(Tcd)以下であるのが好ましく、特にTcd-5℃以下が好ましい。乾燥は、微多孔膜を100重量部(乾燥重量)として、残存除去溶媒が5重量部以下になるまで行うのが好ましく、3重量部以下になるまで行うのがより好ましい。
(6)第二延伸
なお、製膜用可塑剤の除去及び乾燥を行った後の微多孔膜を、少なくとも一軸方向にさらに延伸する第二延伸をしてもよい。微多孔膜の延伸は、加熱しながら前記と同様にテンター法等により行うことができる。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸及び逐次二軸延伸のいずれでもよい
第二延伸における延伸温度は、特に限定されないが、通常90~135℃であり、より好ましくは95~130℃である。
第二延伸における微多孔膜の延伸の一軸方向への延伸倍率(面積延伸倍率)は、下限が1.0倍以上であるのが好ましく、より好ましくは1.1倍以上、さらに好ましくは1.2倍以上である。また、上限が1.8倍以下とするのが好ましい。一軸延伸の場合、MD又はTDに1.0~2.0倍とする。二軸延伸の場合、面積延伸倍率は、下限が1.0倍以上であるのが好ましく、より好ましくは1.1倍以上、さらに好ましくは1.2倍以上である。上限は、3.5倍以下が好適であり、MD及びTDに各々1.0~2.0倍とし、MDとTDでの延伸倍率が互いに同じでも異なってもよい。なお、第二延伸における延伸倍率とは、第二延伸する直前の微多孔膜を基準として、第二延伸の次の工程に供される直前の微多孔膜の延伸倍率のことをいう。
(7)熱処理
また、乾燥後の微多孔膜は、熱処理を行うことができる。熱処理によって結晶が安定化し、ラメラ構造の大きさが均一化される。熱処理方法としては、熱固定処理及び/又は熱緩和処理を用いることができる。熱固定処理とは、膜の寸法が変わらないように保持しながら加熱する熱処理である。熱緩和処理とは、膜を加熱中にMDやTDに熱収縮させる熱処理である。熱固定処理は、テンター方式又はロール方式により行うのが好ましい。熱固定処理温度は、Tcd-20℃以上融点T未満であることが好ましい。
(試験方法)
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。ポレオレフィン微多孔膜のたるみ量は以下の方法により測定した。
(1)膨張率
前記ゲル状シートから50mm×4mm四辺サイズとなるようにサンプルを切り出し、サンプルの長手方向を引張試験機(セイコーインスルメンツ製 TMA/SS 6100 7100)で保持した。引張試験機で一定の張力をかけ25度から130度まで上昇させ、各温度におけるゲル状シートの膨張率を図3に示した。図3によるとシートの膨張率は温度によって変化した。120℃付近まではシートは熱膨張を続け、120℃を超えたあたりから膨張率が下がり始めた。これは流動パラフィンを含むポリエチレンの融点が120℃付近にあり、融点を超えると溶融状態となるため測定できないことを示した。また、シートの位置や向きによる依存性はないことがわかる。以上から、キャストシートは融点以下において最大で2%まで熱膨張量は増加していくことを示した。
(2)熱膨張によるたるみ量の推算
電柱などの支持物に取り付けられた電線のたるみに関連する下記式(3)がある。
Figure 2022023000000005
式(3)中のLは電線の実長、Dは電線たるみ、Sは支持物間の距離を表す。
電線のたるみ式を応用しシートの熱膨張によるたるみ量を下記式(4)に表すことができる。
Figure 2022023000000006
式(4)中のDはシートのたるみ量、STDはTDクリップ間距離、SMDはMDクリップ間距離、LTDはTDクリップ間のシート長さ、LMDはMDクリップ間のシート長さを表す(図2参照)。また、実際のたるみ量を実測することで、上式により推定されるシートのたるみ量が実際のたるみ量の実測値と一致しているかを評価した。各温度におけるシート長さを式(4)のLTDとLMDに、シートを固定しているクリップ間距離を同式STDに410mmをSMDに60mmを代入して求まる値をたるみ量の予測値とした。ここで、各温度におけるLTDとLMDは、昇温前のシート長さに図3で得た膨張率を乗じて求めた。
同時二軸延伸機導入前のゲル状シートからMD×TD=60mm×410mm四辺サイズとなるようにサンプルを切り出し、サンプルのTD両端をクリップで把持させた。前記状態でオーブン内に設置し常温から徐々に上昇させていき、各温度でのたるみ量を実測した。たるみ量は昇温前のシート位置を基準としたときの図4の温度でのたるみ最下部までの実測値とした。オーブン内の温度は放射温度計で記録した。
各温度におけるたるみ量の予測値と実測値をプロットしたものを図4に示す。図4によると、推測値と実測値がフィッティングしていることから、電線のたるみ式を応用したモデル式(4)が正確であることを示した。
(3)総たるみ量
シートをクリップに噛ませた状態の写真を撮影し、その画像を解析することでシートの自重によってたるむ量を算出し、シート噛みこみ時の自重によるたるみ量とした。その後、熱膨張によるたるみ量とシートの自重によるたるみ量を、延伸工程の予熱ゾーンで拡幅した状態でのたるみ量を式(1)と式(4)から算出し、総たるみ量とした。
(4)延伸ムラ(膜厚ムラ)
定点膜厚測定機(Mitsutoyo製 LITEMATIC)を用いてTDに500mm間隔で5点、MDも500mm間隔で5点の計25点の膜厚を測定し、延伸工程における延伸ムラを膜厚のR/Ave.(=(最大膜厚-最小膜厚)/平均膜厚)を用いて下記のように評価した。
最良好(◎):R/Ave.≦ 0.03となるフィルム
良好(〇):R/Ave. ≦ 0.05となるフィルム
可(△):R/Ave. ≦0.10となるフィルム
不可(×):R/Ave. >0.10となるフィルム
(5)製膜性(クリップでのシート滑り)
同時二軸延伸出口から出てくるシートサンプルに関し、クリップで把持できているかを確認し、下記のように評価した。
良好(〇):クリップでのシート滑り無し
可(△):クリップでのシート滑り有り
不可(×):破膜
(6)製品欠点(フィルムの傷)
同時二軸延伸出口から出てくる微多孔膜サンプルに関し、欠点検出器(ヤマハエンジニアリング製 AIRIS-UC)を用いて、テンター底部にシートが擦ることで傷が発生するかを確認し、下記の様に評価した。
良好(〇):欠点検出器にて検出されない
可(△):欠点検出器にて問題ない傷として検出されるが、目視では見えない
不可(×):欠点検出器にて問題ある傷として検出され、目視でも確認できる
[実施例1]
質量平均分子量(Mw)が2.5×10の超高分子量ポリエチレンを40質量%、Mwが2.8×10の高密度ポリエチレン(HDPE)60質量%とからなるポレオレフィン樹脂組成物100質量%に、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.375質量部をドライブレンドし、混合物を得た。得られた混合物と可塑剤である流動パラフィンを25:75の割合で二軸押出機に投入し、高温で混合した。得られたポリエチレン溶液を、ギアポンプで計量しながら口金に供給し、ポリエチレン溶液を冷却ドラム上に吐出して、厚み0.8mmのゲル状シートを形成した。
得られたゲル状シートを、シート表面の温度が115℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離600mm)、余熱工程段階でTDクリップ間距離を0.05%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
[実施例2]
実施例1と同様な方法で厚み0.8mmのゲル状シートを得た。得られたゲル状シートを、シート表面の温度が115℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離600mm)、余熱工程でTDクリップ間距離を1.00%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
[実施例3]
実施例1と同様な方法で厚み0.8mmのゲル状シートを得た。得られたゲル状シートを、シート表面の温度が115℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離600mm)、余熱工程段階でTDクリップ間距離を2.00%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
[実施例4]
実施例1と同様な方法で厚み0.8mmのゲル状シートを得た。得られたゲル状シートを、シート表面の温度が110℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離600mm)、余熱工程段階でTDクリップ間距離を1.00%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
[実施例5]
実施例1と同様な方法で厚み0.8mmのゲル状シートを得た。得られたゲル状シートを、シート表面の温度が125℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離600mm)、余熱工程段階でTDクリップ間距離を1.00%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
[実施例6]
実施例1と同様な方法で厚み0.8mmのゲル状シートを得た。得られたゲル状シートを、シート表面の温度が115℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離400mm)、余熱工程段階でTDクリップ間距離を2.00%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
[実施例7]
実施例1と同様な方法で厚み0.8mmのゲル状シートを得た。得られたゲル状シートを、シート表面の温度が115℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離800mm)、余熱工程段階でTDクリップ間距離を2.00%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
[実施例8]
実施例1と同様な方法で厚み1.2mmのゲル状シートを得た。得られたゲル状シートを、シート表面の温度が115℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離800mm)、余熱工程段階でTDクリップ間距離を2.00%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
[実施例9]
実施例1と同様な方法で厚み0.8mmのゲル状シートを得た。得られたゲル状シートを、シート表面の温度が115℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離600mm)、余熱工程段階でTDクリップ間距離を2.20%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
[実施例10]
実施例1と同様な方法で厚み0.8mmのゲル状シートを得た。得られたゲル状シートを、シート表面の温度が115℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離800mm)、余熱工程段階でTDクリップ間距離を2.70%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
[実施例11]
実施例1と同様な方法で厚み0.8mmのゲル状シートを得た。得られたゲル状シートを、シート表面の温度が115℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離1000mm)、余熱工程段階でTDクリップ間距離を3.30%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
[比較例1]
実施例1と同様な方法でゲル状シートを得た。得られたゲル状シートを、シート表面の温度が115℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離600mm)、余熱工程段階でTDクリップ間距離を0.00%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
[比較例2]
実施例1と同様な方法でゲル状シートを得た。得られたゲル状シートを、シート表面の温度が115℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離600mm)、余熱工程段階でTDクリップ間距離を3.00%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
[比較例3]
実施例1と同様な方法でゲル状シートを得た。得られたゲル状シートを、シート表面の温度が100℃になるように温度設定をしたテンター内に把持し(TDクリップ間距離600mm)、余熱工程段階でTDクリップ間距離を1.00%広げた。同時二軸延伸機ではMDとTDの二軸に同時延伸した。その後、得られた延伸フィルムから可塑剤を抽出し、乾燥させることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
Figure 2022023000000007
全ての実施例と比較例とを対比すると、実施例では同時二軸延伸機の予熱工程で熱膨張によるたるみ量を改善するための拡幅率である0.05%から2.00%クリップ間距離を広げた。さらにシートの自重によるたるみ量を改善するための拡幅量分クリップ間距離を広げた。こうすることにより、予熱工程で熱膨張したシートがたるむことなく延伸区間に搬送された。これにより、たるんだ部分に可塑剤が溜まることなく、シートに均一で可塑剤が存在できた。可塑剤の分布が制御されたことによって、延伸時に発生するムラを安定して防止することができた。
これに対して、比較例1では予熱工程でTDに拡幅していなかった。その結果、昇温によるシートの膨張でシートがたるんでしまい、可塑剤がたるんだ部分に集中するため延伸ムラが発生した。また、シートがたるんだことによるテンターの底部とシートが接触し傷が検出された。
また、比較例2においては予熱工程で3.00%の拡幅を実施した。115℃の設定においてTD600mmでテンターに把持させるとTDたるみは1.90%となった。また、シートの自重によるたるみ量は29.4mmであったため、これを改善するための拡幅率は0.64%であり、熱膨張によるたるみ量とシートの自重によるたるみ量の両方を改善するための拡幅率は2.54%であった。熱膨張と自重によるたるみ量を改善する以上の拡幅を行い、予熱工程にてシートに張力がかかってしまったことで、均一な延伸ができなかった。結果として均一なフィルムを得るに至らなかった。
さらに比較例3においても延伸工程の温度を100℃としてクリップ間距離を広げた。延伸に十分な温度に達していない状態同時二軸延伸を行ったためフィルムに強い張力が発生し、クリップ噛みこみ悪化したためクリップ上でシート滑りが発生した。結果として均一なフィルムを得るに至らなかった。
本発明に係る微多孔膜は、非水電解液系二次電池用セパレータに適しており、特にリチウムイオン電池用セパレータとして好適に使用することができる。
1 予熱工程
2 延伸工程
3 熱固定工程

Claims (4)

  1. (a)ポレオレフィン樹脂及び可塑剤を含む樹脂組成物を溶融混練し押し出す押出工程、
    (b)前記(a)工程で得られた押出物をゲル状シートに成形してゲル状シート成形物を得る工程
    (c)前記(b)工程で得られたゲル状シート成形物をTDとMDに同時二軸延伸して延伸シートを得る工程、
    ここで、ゲル状シート成形物をクリップで把持し、TDクリップ間距離の拡幅率が下式で算出されるR[%]となるように広げながら予熱をした後、面倍率が20倍以上になるように同時二軸延伸を行う
    R = a + b
    (R:総拡幅率[%]、a:熱膨張によるたるみを改善するための拡幅率[%]、b:シートの自重によるたるみを改善するための拡幅率[%])
    (d)前記(c)工程で得られた延伸シートから可塑剤を抽出する抽出工程、
    (e)前記(d)工程で得られたシートを少なくとも一軸方向に延伸する第二延伸工程、
    を有するポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  2. 前記(c)工程のTDクリップ間距離の拡幅率が0.05~2.00%であり、熱膨張によるたるみを改善するための拡幅率aが0.05~2.00%である、請求項1に記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  3. 前記(c)工程のシートの自重によるたるみを改善するための拡幅率bが式1で算出される、
    Figure 2022023000000008
    (D:クリップで把持した際のたるみ量[m]、 S:クリップ間距離[m])
    請求項1または2に記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  4. 前記(c)工程の延伸温度が110℃以上である請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
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