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JP2022019210A - 内燃機関の制御装置および制御方法 - Google Patents

内燃機関の制御装置および制御方法 Download PDF

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JP2022019210A JP2020122909A JP2020122909A JP2022019210A JP 2022019210 A JP2022019210 A JP 2022019210A JP 2020122909 A JP2020122909 A JP 2020122909A JP 2020122909 A JP2020122909 A JP 2020122909A JP 2022019210 A JP2022019210 A JP 2022019210A
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】複数の燃焼方式の切替え時に燃焼騒音およびスモークの悪化を抑制すること。【解決手段】エンジンは、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システム(燃料噴射装置,燃料ポンプ,コモンレール,燃料タンクを含んで構成)を備える。制御装置は、エンジンにおける複数の燃焼方式(PCCI燃焼,メイン2段噴射燃焼)のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射におけるそれぞれの噴射量を算出し(ステップS123,S124,S132,S136,S137)、各サイクルにおいて算出されたそれぞれの噴射量で燃料を複数段、噴射するよう噴射システムを制御し(ステップS141)、燃焼方式の切替えの過渡期間には、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射量を、切替え前の燃焼方式の噴射量から、切替え後の燃焼方式の噴射量に徐変するように算出する(ステップS132~S135)。【選択図】図10

Description

この開示は、内燃機関の制御装置および制御方法に関し、特に、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システムを備える内燃機関の制御装置および制御方法に関する。
従来、ディーゼルエンジンにおいて、1サイクルに複数回、燃料を噴射する場合に、メイン噴射を前段と後段とに分けて噴射する燃焼方式があった(たとえば、特許文献1参照)。以降は、この燃焼方式をメイン2段噴射燃焼と呼ぶ。メイン2段噴射燃焼においては、メイン噴射の前段の噴射時期と後段の噴射時期との間隔を調整することで、前段の燃焼時の圧力波と後段の燃焼時の圧力波とを互いに相殺させて、騒音を低減させることができる。しかし、メイン2段噴射燃焼においては、メイン噴射の後段の着火遅れが短いことによるスモークの悪化が生じることが分かっている。
この対応として、コモンレールのレール圧を高くすることにより、スモーク特性を改善することができる。レール圧を高めることで、燃焼騒音が悪化する。しかし、これについては、レール圧を高くするのを必要最小限に留めることで、燃焼騒音およびスモークを共に目標をクリアすることができる。
特開2015-068284号公報
ここで、内燃機関の制御マップおいて、メイン2段噴射燃焼および他の燃焼方式が向いている領域と向いていない領域とがある。複数の燃焼方式を制御マップ上において切替えるだけでは、切替え時に燃焼騒音およびスモークが悪化することが懸念される。
この開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数の燃焼方式の切替え時に燃焼騒音およびスモークの悪化を抑制することが可能な内燃機関の制御装置および制御方法を提供することである。
この開示に係る制御装置は、内燃機関を制御する。内燃機関は、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システムを備える。制御装置は、内燃機関における複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射におけるそれぞれの噴射量を算出し、各サイクルにおいて算出されたそれぞれの噴射量で燃料を複数段、噴射するよう噴射システムを制御し、燃焼方式の切替えの過渡期間には、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射量を、切替え前の燃焼方式の噴射量から、切替え後の燃焼方式の噴射量に徐変するように算出する。
複数の燃焼方式は、第1の燃焼方式と、第2の燃焼方式とを含むようにしてもよく、制御装置は、内燃機関の制御マップにおける、第1の燃焼方式では、所定指標が所定基準を満たさない領域において、所定指標が所定基準を満たす第2の燃焼方式に切替える。
第1の燃焼方式と第2の燃焼方式とでは、燃料の圧力の制御範囲が異なり、制御装置は、燃焼方式に応じた燃料の圧力とするよう噴射システムを制御し、第1の燃焼方式と第2の燃焼方式との切替えの過渡期間には、切替え後の燃料の圧力への追従遅れの度合いを算出し、切替え前後において対応する段の噴射量を、算出した度合いに応じて徐変するように算出してもよい。
たとえば、第1の燃焼方式では、1サイクルにおけるメイン噴射が1段であり、第2の燃焼方式では、1サイクルにおけるメイン噴射が前段と後段との2段であり、制御装置は、第1の燃焼方式と第2の燃焼方式との切替えの過渡期間には、切替え後の燃料の圧力への追従遅れの度合いを算出し、第1の燃焼方式のメイン噴射の後段が存在しない状態と、第2の燃焼方式のメイン噴射の後段が存在する状態との間で、算出した度合いに応じてメイン噴射の後段の噴射量が徐変するよう算出するようにしてもよい。
この開示の他の局面によれば、内燃機関の制御方法は、内燃機関の制御装置によって実行される。内燃機関は、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システムを備える。制御方法は、制御装置が、内燃機関における複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射におけるそれぞれの噴射量を算出するステップと、各サイクルにおいて算出されたそれぞれの噴射量で燃料を複数段、噴射するよう噴射システムを制御するステップと、燃焼方式の切替えの過渡期間には、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射量を、切替え前の燃焼方式の噴射量から、切替え後の燃焼方式の噴射量に徐変するように算出するステップとを含む。
この開示によれば、複数の燃焼方式の切替え時に燃焼騒音およびスモークの悪化を抑制することが可能な内燃機関の制御装置および制御方法を提供することができる。
この開示の実施の形態における車両のエンジンシステムの構成の概略を示す図である。 この開示の課題におけるエンジンの回転速度と燃料の全噴射量とに応じた制御マップでのPCCI(Premixed Charge Compression Ignition)燃焼からメイン2段噴射燃焼への切替えを示す図である。 この開示の課題におけるPCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼へ切替えるときのレール圧の変化を示す図である。 この開示の課題におけるPCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼へ切替えるときの噴射パターンおよび熱発生の変化を示す図である。 この開示の課題におけるエンジン11の回転速度と燃料の全噴射量とに応じた制御マップでのメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼への切替えを示す図である。 この開示の課題におけるメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼へ切替えるときのレール圧の変化を示す図である。 この開示の課題におけるメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼へ切替えるときの噴射パターンおよび熱発生の変化を示す図である。 この実施の形態における燃料噴射処理の流れを示すフローチャートである。 この実施の形態における燃料噴射前半処理の流れを示すフローチャートである。 この実施の形態における燃料噴射後半処理の流れを示すフローチャートである。 この開示の実施の形態におけるエンジン11の回転速度と燃料の全噴射量とに応じた制御マップでのPCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼への切替えを示す図である。 この開示の実施の形態におけるPCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼へ切替えるときのレール圧、追従割合およびメイン2噴射の噴射量の変化を示す図である。 この開示の実施の形態におけるPCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼へ切替えるときの噴射パターンおよび熱発生の変化を示す図である。 この開示の実施の形態におけるエンジン11の回転速度と燃料の全噴射量とに応じた制御マップでのメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼への切替えを示す図である。 この開示の実施の形態におけるメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼へ切替えるときのレール圧、追従割合およびメイン2噴射の噴射量の変化を示す図である。 この開示の実施の形態におけるメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼へ切替えるときの噴射パターンおよび熱発生の変化を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、この開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返されない。
図1は、この開示の実施の形態における車両1のエンジンシステム10の構成の概略を示す図である。図1を参照して、エンジンシステム10は、エンジン11と、燃料タンク12と、燃料噴射装置13と、燃料ポンプ14と、コモンレール15と、吸気通路8と、排気通路7と、EGR通路18と、EGR弁19と、エアフローメータ2と、吸気絞り弁16と、開度センサ17と、エンジン回転速度センサ20と、圧力センサ21と、アクセル開度センサ22と、制御装置100とを含む。
制御装置100は、各種処理を行なうCPU(Central Processing Unit)110と、プログラムおよびデータを記憶するROM(Read Only Memory)およびCPUのワークメモリとして用いられたり処理結果等を記憶したりするRAM(Random Access Memory)を含むメモリ150と、制御装置100の外部の機器と情報のやり取りを行なうための入力ポートおよび出力ポート(いずれも図示せず)とを含む。入力ポートには、エアフローメータ2、開度センサ17、エンジン回転速度センサ20、圧力センサ21、および、アクセル開度センサ22等が接続される。
制御装置100は、入力ポートに接続された各機器から信号を受信し、受信した信号に基づいて、所定の処理を実行し、処理の結果に基づいて、出力ポートに接続された、吸気絞り弁16、燃料噴射装置13、燃料ポンプ14、および、EGR弁19等を制御する。
吸気通路8の一方端には、エアクリーナ(図示せず)が設けられる。吸気通路8の他方端は、エンジン11(より具体的には、気筒11a)に接続される。吸気通路8の途中には、EGR通路18が接続される。
エアフローメータ2は、吸気通路8の一方端と、EGR通路18の合流位置との間に設けられる。エアフローメータ2は、吸気通路8からエンジンシステム10に導入される新気の流量(吸入空気量)を検出し、検出された吸入空気量を示す信号を制御装置100に出力する。
吸気絞り弁16は、エアフローメータ2と、EGR通路18の合流位置との位置に設けられる。吸気絞り弁16は、制御装置100からの制御信号によって開閉動作を行なう。開度センサ17は、吸気絞り弁16の位置に設けられる。開度センサ17は、吸気絞り弁16の開度を検出し、検出した吸気絞り弁16の開度を示す信号を制御装置100に出力する。
エンジン11は、ディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン11は、複数の気筒11aと複数のピストン11bとを含む。たとえば、エンジン11が4気筒エンジンである場合には、エンジン11には、4つの気筒11aが設けられる。なお、図1においては、複数の気筒11aのうちの1つの構成を例示的に示しており、他の気筒についても同様の構成を有する。そのため、その詳細な説明については繰り返さない。
燃料噴射装置13は、気筒11aの頂部に設けられる。燃料噴射装置13は、たとえば、噴孔が形成されたボディと、ボディ内部に設けられ、噴孔を開閉するニードルとを有するインジェクタによって構成される。燃料噴射装置13は、コモンレール15を介して燃料ポンプ14および燃料タンク12に接続される。燃料ポンプ14は、制御装置100からの制御信号に応じて、圧力センサ21で検出されるコモンレール15内の燃料の圧力が所定の圧力になるように燃料タンク12内の燃料をコモンレール15に供給する。燃料噴射装置13は、制御装置100からの制御信号に応じてニードルを動作させて、噴孔を開状態(すなわち、噴孔とコモンレール15とを連通状態)にすることによってコモンレール15内の燃料を気筒11a内の燃焼室に噴射する。
制御装置100は、アクセル開度センサ22で検出されるアクセルペダルのユーザによる操作量に応じて、燃料噴射装置13において1サイクル中に噴射される全噴射量Qに対応する制御指令値を決定する。制御装置100は、決定された制御指令値に基づいて燃料噴射装置13を制御する。制御指令値は、たとえば、燃料噴射装置13からの燃料の噴射時間(噴射の開時間)または噴射量を示す値である。
制御装置100は、たとえば、1サイクル中に噴射される全噴射量Qを複数回に分けて噴射するよう燃料噴射装置13を制御する。制御装置100は、たとえば、1サイクル中にパイロット噴射と、メイン噴射と、アフタ噴射とが実行されるように燃料噴射装置13を制御する。パイロット噴射は、たとえば、燃焼音や燃焼圧の発生を抑制するために実行される。メイン噴射は、たとえば、エンジン11に要求されたトルクを実現するために実行される。アフタ噴射は、たとえば、スモークなどの発生を抑制するために実行される。
ピストン11bは、出力軸であるクランク軸(図示せず)に接続されている。エンジン回転速度センサ20は、クランク軸に設けられ、クランク軸の回転速度(以下、エンジン11の回転速度NEと記載する)を検出する。エンジン回転速度センサ20は、制御装置100に接続され、検出されたエンジン11の回転速度NEを示す信号を制御装置100に送信する。
排気通路7の一方端は、エンジン11(より具体的には、気筒11a)に接続される。排気通路7には、排気中のPM(Particulate Matter),HC(炭化水素),CO(一酸化炭素),NOx(窒素酸化物)を浄化する排気処理装置(不図示)が設けられる。
エンジン11には、さらにEGR(排気再循環)システムが設けられる。EGRシステムは、EGR通路18とEGR弁19とを含む。EGR通路18は、気筒11aを経由しないで排気通路7と吸気通路8とを連通して、排気通路7に排出された排気の一部を吸気通路8に戻す。EGR弁19は、制御装置100からの制御信号に応じて、EGR通路18によって循環するガス流量を調整する。制御装置100は、エンジン11の運転状態に基づいてEGR弁19の開度を制御する。
具体的には、制御装置100は、たとえば、全噴射量Qとエンジン11の回転速度NEとに基づいてEGR率の目標値を設定する。制御装置100の後述するメモリ150には、たとえば、全噴射量Qとエンジン11の回転速度NEとEGR率の目標値との関係を示すマップが記憶される。制御装置100は、制御指令値に対応する全噴射量Qとエンジン11の回転速度NEと上述したマップとからEGR率の目標値を設定する。制御装置100は、EGR率が目標値になるようにEGR弁19の開度を制御する。
さらに、エンジン11には、排気通路7を流通する排気エネルギーを用いて吸気通路8内の空気を過給する過給機(図示せず)が設けられる。過給機は、たとえば、排気通路7に設けられ、タービンブレードを収納するタービンと、吸気通路8に設けられ、コンプレッサブレードを収納するコンプレッサと、タービンブレードとコンプレッサブレードとを連結するシャフトとを含む。排気通路7に流通する排気によってタービン内のタービンブレードが回転すると、タービンブレードに連結されたシャフトおよびコンプレッサブレードが一体的に回転し、コンプレッサから気筒に空気が圧送されることによって過給が行なわれる。また、タービン内のタービンブレードの周囲には、排気のタービンブレードへの流入速度を変化可能に構成される複数のベーンが設けられる。複数のベーンは、アクチュエータによって動作する。制御装置100は、エンジン11の運転状態に基づいてベーン間の開度を制御する。
[課題]
従来、エンジン11において、1サイクルに複数回、燃料を噴射する場合に、メイン噴射を前段と後段とに分けて噴射する燃焼方式があった。この燃焼方式をメイン2段噴射燃焼という。メイン2段噴射燃焼においては、メイン噴射の前段の噴射時期と後段の噴射時期との間隔を調整することで、前段の燃焼時の圧力波と後段の燃焼時の圧力波とを互いに相殺させて、騒音を低減させることができる。しかし、メイン2段噴射燃焼においては、メイン噴射の後段の着火遅れが短いことによるスモークの悪化が生じることが分かっている。
この対応として、コモンレール15のレール圧を高くすることにより、スモーク特性を改善することができる。レール圧を高めることで、燃焼騒音が悪化する。しかし、これについては、レール圧を高くするのを必要最小限に留めることで、燃焼騒音およびスモークを共に目標をクリアすることができる。
ここで、エンジン11の制御マップおいて、メイン2段噴射燃焼および他の燃焼方式が向いている領域と向いていない領域とがある。複数の燃焼方式を制御マップ上において切替えるだけでは、切替え時に燃焼騒音およびスモークが悪化することが懸念される。
図2は、この開示の課題におけるエンジン11の回転速度と燃料の全噴射量とに応じた制御マップでのPCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼への切替えを示す図である。PCCI燃焼は、1回のメイン噴射の終了後から予混合化期間を経て一定の燃料濃度分布となった予混合気を圧縮着火する燃焼方式である。この開示の実施の形態においては、メイン2段噴射燃焼とPCCI燃焼とを切替えることを例示して説明する。なお、この2つの燃焼方式と異なる燃焼方式であってもよいし、3つ以上の燃焼方式を切替えるようにしてもよい。
図2を参照して、横軸がエンジン11の回転速度NE、縦軸が1サイクル当りの燃料の全噴射量Qを示す。この制御マップ上の回転速度NEと全噴射量Qとの組合せごとに着火性指標τ0が予め定められている。制御マップ上で囲まれた領域であるメイン2段噴射燃焼領域が、PCCI燃焼であると燃焼騒音が大きくなる一方、メイン2段噴射燃焼であると燃焼騒音が比較的小さくなるため、メイン2段噴射燃焼に適した領域である。制御マップ上で囲まれた領域の外の領域が、PCCI領域である。
ここでは、回転速度NEと全噴射量Qとの組合せを、PCCI領域の制御点(1)から、メイン2段噴射燃焼領域の制御点(2)を経て、メイン2段噴射燃焼領域の制御点(3)に切替える場合について説明する。
図3は、この開示の課題におけるPCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼へ切替えるときのレール圧の変化を示す図である。PCCI燃焼におけるレール圧の制御範囲と比較して、メイン2段噴射燃焼におけるレール圧の制御範囲は高い。このため、回転速度NEおよび全噴射量Qなど、制御に用いられる指標が同じ程度であれば、PCCI領域の制御点(1)からメイン2段噴射燃焼領域の制御点(2)および制御点(3)に切替えるときに、レール圧を上げなければならない。
図3を参照して、PCCI領域の制御点(1)からメイン2段噴射燃焼領域の制御点(2)に切替えるときに、PCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼に切替えるが、この切替え時点で、レール圧の制御の目標値は、PCCI燃焼でのレール圧からメイン2段噴射燃焼でのレール圧に上げられるが、実レール圧は、遅れて追従するため、制御点(2)においては、メイン2段噴射燃焼において必要とされるレール圧よりも低くなってしまう。
図4は、この開示の課題におけるPCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼へ切替えるときの噴射パターンおよび熱発生の変化を示す図である。図4を参照して、制御点(1)においては、PCCI燃焼であるので、レール圧は、メイン2段噴射燃焼よりも低い状態で、パイロット1噴射(PL1),パイロット2噴射(PL2),メイン噴射(MAIN)の順で燃料が噴射される。なお、PCCI燃焼においては、実際には、メイン噴射の後にアフタ噴射も行われるが、図では示していない。これらの噴射に対応して、気筒11aの内部で燃焼熱が発生する。
制御点(2)においては、PCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼への過渡状態であるが、メイン噴射が前段のメイン1噴射と後段のメイン2噴射とに分かれているので、燃焼方式としてはメイン2段噴射燃焼となる。メイン2段噴射燃焼では、パイロット1噴射(PL1),パイロット2噴射(PL2),メイン1噴射(MAIN1),メイン2噴射(MAIN2)の順で燃料が噴射される。なお、メイン2段噴射燃焼においては、実際には、メイン2噴射の後にアフタ噴射も行われるが、図では示していない。これらの噴射に対応して、気筒11aの内部で燃焼熱が発生する。
制御点(2)のようなPCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼への過渡状態においては、各噴射の噴射時期および噴射量などの噴射パターンは、即時にメイン2段噴射燃焼の噴射パターンに切替え可能である。しかし、レール圧は追従が遅れるため、メイン2段噴射燃焼で必要なレール圧よりも低い状態となってしまう。このため、スモークの発生量が悪化してしまう。
制御点(3)においては、完全にメイン2段噴射燃焼のレール圧まで上がる。このため、スモークの発生状態は、メイン2段噴射燃焼の本来の良い状態となる。
図5は、この開示の課題におけるエンジン11の回転速度と燃料の全噴射量とに応じた制御マップでのメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼への切替えを示す図である。図5を参照して、図2と同様、横軸がエンジン11の回転速度NE、縦軸が1サイクル当りの燃料の全噴射量Qを示す。図2とは反対に、ここでは、回転速度NEと全噴射量Qとの組合せを、メイン2段噴射燃焼領域の制御点(4)から、PCCI領域の制御点(5)を経て、PCCI領域の制御点(6)に切替える場合について説明する。
図6は、この開示の課題におけるメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼へ切替えるときのレール圧の変化を示す図である。メイン2段噴射燃焼におけるレール圧の制御範囲と比較して、PCCI燃焼におけるレール圧の制御範囲は低い。このため、回転速度NEおよび全噴射量Qなど、制御に用いられる指標が同じ程度であれば、メイン2段噴射燃焼領域の制御点(4)からPCCI領域の制御点(5)および制御点(6)に切替えるときに、レール圧を下げなければならない。
図6を参照して、メイン2段噴射燃焼領域の制御点(4)からPCCI領域の制御点(5)に切替えるときに、メイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼に切替えるが、この切替え時点で、レール圧の制御の目標値は、メイン2段噴射燃焼でのレール圧からPCCI燃焼でのレール圧に下げられるが、実レール圧は、遅れて追従するため、制御点(5)においては、PCCI燃焼において必要とされるレール圧よりも高くなってしまう。
図7は、この開示の課題におけるメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼へ切替えるときの噴射パターンおよび熱発生の変化を示す図である。図7を参照して、制御点(4)においては、メイン2段噴射燃焼であるので、レール圧は、PCCI燃焼よりも高い状態で、パイロット1噴射(PL1),パイロット2噴射(PL2),メイン1噴射(MAIN1),メイン2噴射(MAIN2)の順で燃料が噴射される。なお、メイン2段噴射燃焼においては、実際には、メイン2噴射の後にアフタ噴射も行われるが、図では示していない。これらの噴射に対応して、気筒11aの内部で燃焼熱が発生する。
制御点(5)においては、メイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼への過渡状態であるが、制御的にはPCCIに切替えられているので、燃焼方式としてはPCCI燃焼となる。PCCI燃焼では、パイロット1噴射(PL1),パイロット2噴射(PL2),メイン噴射(MAIN)の順で燃料が噴射される。なお、PCCI燃焼においては、実際には、メイン噴射の後にアフタ噴射も行われるが、図では示していない。これらの噴射に対応して、気筒11aの内部で燃焼熱が発生する。
制御点(5)のようなメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼への過渡状態においては、各噴射の噴射時期および噴射量などの噴射パターンは、即時にPCCI燃焼の噴射パターンに切替え可能である。しかし、レール圧は追従が遅れるため、PCCI燃焼で必要なレール圧よりも高い状態となってしまう。このため、熱発生のピークが大きくなってしまい、燃焼騒音が悪化してしまう。
制御点(6)においては、完全にPCCI燃焼のレール圧まで下がる。このため、燃焼騒音は、PCCI燃焼の本来の良い状態となる。
上述の図2から図7で示したように、複数の燃焼方式を制御マップ上において切替えるだけでは、切替え時に燃焼騒音およびスモークが悪化する。
[この開示での制御]
そこで、制御装置100は、エンジン11における複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射におけるそれぞれの噴射量を算出し、各サイクルにおいて算出されたそれぞれの噴射量で燃料を複数段、噴射するよう燃料噴射装置13を制御し、燃焼方式の切替えの過渡期間には、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射量を、切替え前の燃焼方式の噴射量から、切替え後の燃焼方式の噴射量に徐変するように算出する。
これにより、複数の燃焼方式の切替え時に燃焼騒音およびスモークの悪化を抑制することができる。
以下、この実施の形態での制御を説明する。図8は、この実施の形態における燃料噴射処理の流れを示すフローチャートである。この燃料噴射処理は、制御装置100のCPU110によって、上位の処理から所定の制御周期ごとに呼出されて実行される。なお、以下に示すPCCI燃焼およびメイン2段噴射燃焼は、公知の燃焼方式であり、PCCI燃焼およびメイン2段噴射燃焼の1サイクルのパイロット噴射、メイン噴射およびアフタ噴射等の各噴射における噴射量および噴射時期の算出方法については公知であるため、これらの算出方法については詳細には説明しない。
図8を参照して、まず、制御装置100のCPU110は、後述の図9で示す燃料噴射前半処理を実行する(ステップS110)。
図9は、この実施の形態における燃料噴射前半処理の流れを示すフローチャートである。図9を参照して、CPU110は、アクセル開度センサ22によって検出されるアクセル開度、および、エンジン回転速度センサ20によって検出されるエンジン11の回転速度NEを取得する(ステップS111)。
CPU110は、アクセル開度および回転速度NEを用いて、アクセル開度および回転速度NEと全噴射量Qとの関係を示す予め設定されたマップから1サイクルにおける燃料の全噴射量Qを決定する(ステップS112)。CPU110は、筒内の着火性指標τ0を算出する(ステップS113)。着火性指標τ0は、図2等で示したように、回転速度NEと全噴射量Qとの組合せに対応づけて予め定められる。
CPU110は、アクセル開度、全噴射量Qおよび回転速度NE等を用いて、排気および燃費の要求を満たすような目標着火時期IGtrgを算出する(ステップS114)。CPU110は、アクセル開度、回転速度NE、外気温、気圧および冷却水温等を用いて、予め設定されたマップに基づいて、目標燃焼波形を得るための、燃料の噴射が開始されてから着火するまでの時間である目標着火遅れτtrgを算出する(ステップS115)。CPU110は、着火遅れ偏差Δτ(=目標着火遅れτtrg-着火性指標τ0)を算出する(ステップS116)。
CPU110は、算出した着火遅れ偏差Δτからパイロット噴射の噴射量を決定する(ステップS117)。たとえば、着火遅れ偏差Δτから要求筒内温度を算出し、要求筒内温度から現状の筒内温度を引いた、上げたい筒内温度を算出し、上げたい筒内温度を達成するための要求パイロット熱量を算出し、その要求パイロット熱量を発生させるためのパイロット噴射の噴射量を算出する。算出したパイロット噴射の噴射量は、パイロット1噴射の噴射量とパイロット2噴射の噴射量とを合算したものである。パイロット1噴射の噴射量およびパイロット2噴射の噴射量の比率は、所定の一定比率とする。
CPU110は、パイロット噴射の噴射時期を決定する(ステップS118)。燃料噴射装置13のインジェクタからの噴霧が壁面に触れると冷損し、HCが悪化するので、パイロット1噴射の噴射期間の開始タイミングは、噴霧が壁面に触れない程度に、なるべく進角することで着火遅れが大きくなるようにして、なるべく緩慢な燃焼とすることで、燃焼波形の初期の傾きが低減するようにする。パイロット1噴射の噴射期間の長さは、パイロット1噴射の噴射量およびレール圧から算出される。
パイロット2噴射に対する燃焼をメイン噴射に対する燃焼と重ねることで燃焼波形の初期傾きを低減するために、パイロット2噴射の噴射期間は、メイン噴射の噴射期間と最近接とする。パイロット2噴射の噴射期間の長さは、パイロット2噴射の噴射量およびレール圧か算出される。
CPU110は、メイン噴射(PCCIの場合、メイン噴射、メイン2段噴射燃焼の場合、メイン1噴射)の噴射時期を決定する(ステップS119)。メイン噴射時期は、要求される等容度を確保するために着火時期を調整するように定められる。
まず、ステップS114で算出した目標着火時期IGtrgから目標着火遅れτtrgを引いて仮メイン噴射時期を算出する。次に、ステップS117およびステップS118で決定したパイロット1噴射およびパイロット2噴射を実行するとともに、算出した仮メイン噴射時期で仮のメイン噴射量を噴射する場合の熱発生形状を推定する。なお、仮のメイン噴射量は、全噴射量Qから、パイロット1噴射量、パイロット2噴射量および仮のアフタ噴射量を減算することで算出される。仮のアフタ噴射量は、たとえば、前回の制御周期のアフタ噴射量とする。推定されたメイン着火時期と目標着火時期とに推定誤差が発生する場合、推定誤差分、メイン噴射時期を補正する。また、パイロット燃焼がメイン燃焼に重なった分、着火時期は早くなるので、早くなった分を目標着火時期に戻すため、メイン噴射の噴射期間の開始タイミングを補正する。
ステップS119の後、CPU110は、実行する処理をこの燃料噴射前半処理の呼出元の燃料噴射処理に戻す。図8に戻って、ステップS110での燃料噴射前半処理の後、CPU110は、後述の図10で示す燃料噴射後半処理を実行する(ステップS120)。
図10は、この実施の形態における燃料噴射後半処理の流れを示すフローチャートである。図10を参照して、CPU110は、エンジン11の回転速度NE、全噴射量Qおよび着火性指標τ0に基づいて、現在の制御点が、図2等で示した制御マップ上のPCCI領域にあるか、もしくは、メイン2段噴射燃焼領域にあるか、または、制御点がメイン2段噴射燃焼領域からPCCI領域に切替えられた後の切替期間であるか、もしくは、制御点がPCCI領域からメイン2段噴射燃焼領域に切替えられた後の切替期間であるかを判断する(ステップS121)。
制御点がPCCI領域にあると判断した場合、CPU110は、エンジン11の回転速度NEおよび全噴射量Qを用いて、PCCI用目標レール圧を求める(ステップS122)。PCCI用目標レール圧は、図2の着火性指標τ0と同様、回転速度NEと全噴射量Qとの組合せに対応づけて予め定められる。つまり、PCCI燃焼のレール圧は、予め定められた制御範囲で制御される。
CPU110は、エンジン11の回転速度NEおよび全噴射量Qを用いて、PCCI用アフタ噴射の噴射量および噴射時期を決定する(ステップS123)。PCCI用アフタ噴射の噴射量および噴射時期は、図2の着火性指標τ0と同様、回転速度NEと全噴射量Qとの組合せに対応づけて予め定められる。
CPU110は、全噴射量Qからパイロット1噴射の噴射量、パイロット2噴射の噴射量およびアフタ噴射の噴射量を減算することで、メイン噴射の噴射量を決定する(ステップS124)。
一方、制御点がメイン2段噴射燃焼領域にある、または、PCCI領域とメイン2段噴射燃焼領域との切替期間であると判断した場合、CPU110は、エンジン11の回転速度NEおよび全噴射量Qを用いて、メイン2段噴射用目標レール圧を求める(ステップS131)。メイン2段噴射用目標レール圧は、図2の着火性指標τ0と同様、回転速度NEと全噴射量Qとの組合せに対応づけて予め定められる。つまり、メイン2段噴射燃焼のレール圧は、予め定められた制御範囲で制御される。
CPU110は、エンジン11の回転速度NE、全噴射量Qおよび着火性指標τ0を用いて、メイン2段噴射燃焼のメイン2噴射の噴射量および噴射時期を決定する(ステップS132)。メイン2段噴射燃焼のメイン2噴射の噴射量および噴射時期は、図2の着火性指標τ0と同様、回転速度NEと全噴射量Qとの組合せに対応づけて予め定められる。
CPU110は、現時点がPCCI領域とメイン2段噴射燃焼領域との切替期間であるか否かを判断する(ステップS133)。切替期間である(ステップS133でYES)と判断した場合、CPU110は、圧力センサ21からコモンレール15のレール圧(=実噴射圧)を取得し、ステップS131で算出した目標レール圧に対する実噴射圧の追従割合を算出する(ステップS134)。追従割合は、メイン2段噴射燃焼の目標噴射圧に実噴射圧が追従している場合が「1」であり、PCCI燃焼の目標噴射圧に実噴射圧が追従している場合が「0」である。追従割合は、以下の数式(1)で算出する。つまり、0≦追従割合≦1となる。
追従割合=(実噴射圧-PCCI燃焼の目標噴射圧)/(メイン2段噴射燃焼の目標噴射圧-PCCI燃焼の目標噴射圧)・・・(1)
CPU110は、目標レール圧に対する実噴射圧の追従割合に応じて、切替期間のメイン2噴射の噴射量を補正する(ステップS135)。切替期間のメイン2噴射の噴射量は、以下の数式(2)で算出する。
切替期間のメイン2噴射の噴射量=PCCI燃焼のメイン2噴射の噴射量+(メイン2段噴射燃焼のメイン2噴射の噴射量-PCCI燃焼のメイン2噴射の噴射量)×追従割合・・・(2)
なお、PCCI燃焼においては、メイン2噴射は存在しないため、PCCI燃焼のメイン2噴射の噴射量は「0」である。つまり、数式(2)は、以下の数式(3)と表現できる。
切替期間のメイン2噴射の噴射量=メイン2段噴射燃焼のメイン2噴射の噴射量×追従割合・・・(3)
切替期間でない(ステップS133でNO)と判断した場合、つまり、制御点がメイン2段噴射燃焼領域にある場合、または、ステップS135の後、CPU110は、エンジン11の回転速度NEおよび全噴射量Qを用いて、メイン2段噴射用アフタ噴射の噴射量および噴射時期を決定する(ステップS136)。メイン2段噴射用アフタ噴射の噴射量および噴射時期は、図2の着火性指標τ0と同様、回転速度NEと全噴射量Qとの組合せに対応づけて予め定められる。
CPU110は、全噴射量Qからパイロット1噴射の噴射量、パイロット2噴射の噴射量およびアフタ噴射の噴射量を減算することで、メイン1噴射の噴射量を決定する(ステップS137)。
ステップS124またはステップS137の後、CPU110は、算出されたレール圧、噴射時期および噴射量で次のサイクルの噴射制御の実行を開始するよう、燃料噴射装置13を制御する(ステップS141)。ステップS141の後、CPU110は、実行する処理をこの燃料噴射後半処理の呼出元の燃料噴射処理に戻す。
なお、切替期間においても、エンジン11の回転速度NEおよび全噴射量Qなどの各パラメータは一定では無いため、これらのパラメータが動いたなりのレール圧、ならびに、各噴射の噴射量および噴射時期が算出され、算出されたレール圧で追従割合が算出されるようにする。
図11は、この開示の実施の形態におけるエンジン11の回転速度と燃料の全噴射量とに応じた制御マップでのPCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼への切替えを示す図である。図11を参照して、図11は、図2と同様であるので、重複する説明は繰返さない。
ここでは、回転速度NEと全噴射量Qとの組合せを、PCCI領域の制御点(1)から、メイン2段噴射燃焼領域の制御点(2)を経て、メイン2段噴射燃焼領域の制御点(3)に切替える場合について説明する。
図12は、この開示の実施の形態におけるPCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼へ切替えるときのレール圧、追従割合およびメイン2噴射の噴射量の変化を示す図である。PCCI燃焼におけるレール圧の制御範囲と比較して、メイン2段噴射燃焼におけるレール圧の制御範囲は高い。このため、回転速度NEおよび全噴射量Qなど、制御に用いられる指標が同じ程度であれば、PCCI領域の制御点(1)からメイン2段噴射燃焼領域の制御点(2)および制御点(3)に切替えるときに、レール圧を上げなければならない。
図12を参照して、PCCI領域の制御点(1)からメイン2段噴射燃焼領域の制御点(2)に切替えるときに、PCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼に切替えるが、この切替え時点で、レール圧の制御の目標値は、PCCI燃焼でのレール圧からメイン2段噴射燃焼でのレール圧に上げられるが、実レール圧は、遅れて追従するため、制御点(2)においては、メイン2段噴射燃焼において必要とされるレール圧よりも低くなってしまう。
このため、図10で示したように、レール圧の追従割合を算出して、その追従割合を用いてメイン2噴射の噴射量を算出するようにした。これにより、切替期間において、追従割合は、0から1に徐変し、これに伴い、メイン2噴射の噴射量も、PCCI燃焼のメイン2噴射の噴射量(PCCI燃焼ではメイン2噴射は存在しないため、0)から、メイン2段噴射燃焼のメイン2噴射の噴射量に徐変する。このように徐変させない場合は、レール圧がメイン2段噴射燃焼に必要な圧力まで上がっていない状態で、メイン2噴射の噴射量のみメイン2段噴射燃焼の噴射量とされていた。
図13は、この開示の実施の形態におけるPCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼へ切替えるときの噴射パターンおよび熱発生の変化を示す図である。図13を参照して、制御点(1)においては、PCCI燃焼であるので、レール圧は、メイン2段噴射燃焼よりも低い状態で、パイロット1噴射(PL1),パイロット2噴射(PL2),メイン噴射(MAIN)の順で燃料が噴射される。なお、PCCI燃焼においては、実際には、メイン噴射の後にアフタ噴射も行われるが、図では示していない。これらの噴射に対応して、気筒11aの内部で燃焼熱が発生する。
制御点(2)においては、PCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼への切替期間であり、メイン噴射が前段のメイン1噴射と後段のメイン2噴射とに分かれているので、燃焼方式としてはメイン2段噴射燃焼となる。メイン2段噴射燃焼では、パイロット1噴射(PL1),パイロット2噴射(PL2),メイン1噴射(MAIN1),メイン2噴射(MAIN2)の順で燃料が噴射される。なお、メイン2段噴射燃焼においては、実際には、メイン2噴射の後にアフタ噴射も行われるが、図では示していない。これらの噴射に対応して、気筒11aの内部で燃焼熱が発生する。
制御点(2)のようなPCCI燃焼からメイン2段噴射燃焼への切替期間においては、各噴射の噴射時期および噴射量などの噴射パターンは、即時にメイン2段噴射燃焼の噴射パターンに切替え可能である。レール圧は追従が遅れるため、メイン2段噴射燃焼で必要なレール圧よりも低い状態となってしまう。しかし、この実施の形態においては、目標レール圧に対する実レール圧の追従割合に応じて、メイン2噴射の噴射量を徐変させる。このため、スモークの発生量が悪化するのを防止できる。
制御点(3)においては、完全にメイン2段噴射燃焼のレール圧まで上がる。これにより、メイン2噴射の噴射量もメイン2段噴射燃焼の噴射量まで上がる。
図14は、この開示の実施の形態におけるエンジン11の回転速度と燃料の全噴射量とに応じた制御マップでのメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼への切替えを示す図である。図14を参照して、図14は、図5と同様であるので、重複する説明は繰返さない。
図11とは反対に、ここでは、回転速度NEと全噴射量Qとの組合せを、メイン2段噴射燃焼領域の制御点(4)から、PCCI領域の制御点(5)を経て、PCCI領域の制御点(6)に切替える場合について説明する。
図15は、この開示の実施の形態におけるメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼へ切替えるときのレール圧、追従割合およびメイン2噴射の噴射量の変化を示す図である。メイン2段噴射燃焼におけるレール圧の制御範囲と比較して、PCCI燃焼におけるレール圧の制御範囲は低い。このため、回転速度NEおよび全噴射量Qなど、制御に用いられる指標が同じ程度であれば、メイン2段噴射燃焼領域の制御点(4)からPCCI領域の制御点(5)および制御点(6)に切替えるときに、レール圧を下げなければならない。
図15を参照して、メイン2段噴射燃焼領域の制御点(4)からPCCI領域の制御点(5)に切替えるときに、メイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼に切替えるが、この切替え時点で、レール圧の制御の目標値は、メイン2段噴射燃焼でのレール圧からPCCI燃焼でのレール圧に下げられるが、実レール圧は、遅れて追従するため、制御点(5)においては、PCCI燃焼において必要とされるレール圧よりも高くなってしまう。
このため、図10で示したように、レール圧の追従割合を算出して、その追従割合を用いてメイン2噴射の噴射量を算出するようにした。これにより、切替期間において、追従割合は、1から0に徐変し、これに伴い、メイン2噴射の噴射量も、メイン2段噴射燃焼のメイン2噴射の噴射量から、PCCI燃焼のメイン2噴射の噴射量(PCCI燃焼ではメイン2噴射は存在しないため、0)に徐変する。このように徐変させない場合は、レール圧がPCCI燃焼に必要な圧力まで下がっていない状態で、メイン2噴射の噴射量のみPCCI燃焼の噴射量(つまり、0)とされていた。
図16は、この開示の実施の形態におけるメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼へ切替えるときの噴射パターンおよび熱発生の変化を示す図である。図16を参照して、制御点(4)においては、メイン2段噴射燃焼であるので、レール圧は、PCCI燃焼よりも高い状態で、パイロット1噴射(PL1),パイロット2噴射(PL2),メイン1噴射(MAIN1),メイン2噴射(MAIN2)の順で燃料が噴射される。なお、メイン2段噴射燃焼においては、実際には、メイン2噴射の後にアフタ噴射も行われるが、図では示していない。これらの噴射に対応して、気筒11aの内部で燃焼熱が発生する。
制御点(5)においては、メイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼への切替期間であり、メイン噴射が前段のメイン1噴射と後段のメイン2噴射とに分かれているので、燃焼方式としてはメイン2段噴射燃焼となる。メイン2段噴射燃焼では、パイロット1噴射(PL1),パイロット2噴射(PL2),メイン1噴射(MAIN1),メイン2噴射(MAIN2)の順で燃料が噴射される。なお、メイン2段噴射燃焼においては、実際には、メイン2噴射の後にアフタ噴射も行われるが、図では示していない。これらの噴射に対応して、気筒11aの内部で燃焼熱が発生する。
制御点(5)のようなメイン2段噴射燃焼からPCCI燃焼への切替期間においては、各噴射の噴射時期および噴射量などの噴射パターンは、即時にPCCI燃焼の噴射パターンに切替え可能である。レール圧は追従が遅れるため、PCCI燃焼で必要なレール圧よりも高い状態となってしまう。しかし、この実施の形態においては、目標レール圧に対する実レール圧の追従割合に応じて、メイン2噴射の噴射量を徐変させる。このため、熱発生のピークが大きくなってしまうことを防止でき、燃焼騒音が悪化してしまうのを防止できる。
制御点(6)においては、完全にPCCI燃焼のレール圧まで下がる。これにより、メイン2噴射の噴射量もPCCI燃焼の噴射量(つまり、0)まで下がる。
[変形例]
(1) 前述した実施の形態においては、図1で示したように、エンジン11が、ディーゼルエンジンであることとした。しかし、これに限定されず、エンジン11が、燃料の噴射圧を変化可能に構成されていればよく、ガソリンエンジンであってもよい。
(2) 前述した実施の形態においては、図8から図10で示したように、2つの燃焼方式を切替えるようにした。しかし、これに限定されず、3つ以上の燃焼方式を切替えるようにしてもよい。
(3) 前述した実施の形態においては、図4等で示したように、パイロット噴射が2段であり、メイン噴射が1段または2段であり、アフタ噴射が1段であることとした。しかし、これに限定されず、他の噴射、たとえば、ポスト噴射を含むようにしてもよい。また、各噴射の段数が他の段数であってもよい。
(4) 前述した実施の形態においては、図8から図16で示したように、メイン2噴射の噴射量を徐変させるようにした。しかし、これに限定されず、他の噴射(たとえば、メイン1噴射,アフタ噴射)の噴射量を徐変させるようにしてもよい。
(5) 前述した実施の形態においては、図10、図12および図15で示したように、切替期間において、メイン2噴射の噴射量を線形的に増減させるようにした。しかし、これに限定されず、噴射量を徐変させるのであれば、線形的でなく、非線形的に増減させるようにしてもよく、たとえば、図12のメイン2噴射量のグラフで示すように折れ線状に変化させるではなく、曲線状に滑らかに変化させるようにしてもよい。
(6) 前述した実施の形態においては、PCCI燃焼のレール圧の制御範囲と比較して、メイン2段噴射燃焼のレール圧の制御範囲は高いことを示した。両者の制御範囲の一部は重なり合っていてもよい。
(7) 前述した開示を、エンジン11の制御装置100の開示と捉えることができる。また、前述した開示を、制御装置100を備えるエンジンシステム10または車両1の開示と捉えることができるし、制御装置100によって実行される制御方法または制御プログラムの開示と捉えることができる。
[まとめ]
(1) 図1で示したように、制御装置100は、エンジン11を制御する。図1で示したように、エンジン11は、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システム(たとえば、燃料噴射装置13,燃料ポンプ14,コモンレール15,燃料タンク12を含んで構成)を備える。図8から図10で示したように、制御装置100は、エンジン11における複数の燃焼方式(たとえば、PCCI燃焼,メイン2段噴射燃焼)のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射におけるそれぞれの噴射量を算出し(たとえば、ステップS117,ステップS123,ステップS124,ステップS132,ステップS136,ステップS137)、各サイクルにおいて算出されたそれぞれの噴射量で燃料を複数段、噴射するよう噴射システムを制御し(たとえば、ステップS141)、燃焼方式の切替えの過渡期間には、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射量を、切替え前の燃焼方式の噴射量から、切替え後の燃焼方式の噴射量に徐変するように算出する(たとえば、ステップS132~ステップS135)。
これにより、複数の燃焼方式の切替え時に燃焼騒音およびスモークの悪化を抑制することができる。また、噴射量を徐変するので、燃焼音の音色の変化も最小限に抑えることができ、燃焼音の音色の繋がりをよくすることができる。
(2) 図8から図16で示したように、複数の燃焼方式は、第1の燃焼方式(たとえば、PCCI燃焼)と、第2の燃焼方式(たとえば、メイン2段噴射燃焼)とを含む。図2および図10で示したように、制御装置100は、エンジン11の制御マップにおける、第1の燃焼方式では、所定指標(たとえば、燃焼騒音,スモーク)が所定基準(たとえば、設計基準,要求基準)を満たさない領域において、所定指標が所定基準を満たす第2の燃焼方式に切替える(たとえば、ステップS121)。
これにより、制御マップ上において、第1の燃焼方式および第2の燃焼方式の有利な領域で、その燃焼方式を用いることができる。
(3) 図3等で示したように、第1の燃焼方式と第2の燃焼方式とでは、燃料の圧力の制御範囲が異なる。図8から図10で示したように、制御装置100は、燃焼方式に応じた燃料の圧力とするよう噴射システムを制御し(たとえば、ステップS141)、第1の燃焼方式と第2の燃焼方式との切替えの過渡期間には、切替え後の燃料の圧力への追従遅れの度合いを算出し(たとえば、ステップS134)、切替え前後において対応する段の噴射量を、算出した度合いに応じて徐変するように算出する(たとえば、ステップS135)。
これにより、燃料の圧力の追従遅れの度合いに応じて、燃料の噴射量を適切に徐変させることができる。
(4) 図4等で示したように、第1の燃焼方式では、1サイクルにおけるメイン噴射が1段であり、第2の燃焼方式では、1サイクルにおけるメイン噴射が前段と後段との2段である。図8から図10で示したように、制御装置100は、第1の燃焼方式と第2の燃焼方式との切替えの過渡期間には、切替え後の燃料の圧力への追従遅れの度合いを算出し(ステップS134)、第1の燃焼方式のメイン噴射の後段が存在しない状態と、第2の燃焼方式のメイン噴射の後段が存在する状態との間で、算出した度合いに応じてメイン噴射の後段の噴射量が徐変するよう算出する(ステップS135)。
これにより、PCCI燃焼およびメイン2段噴射燃焼においては、メイン噴射が燃焼騒音およびスモークを抑制する上で重要であるが、このメイン噴射の噴射量を適切に制御することができる。
今回開示された各実施の形態は、適宜組合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、2 エアフローメータ、7 排気通路、8 吸気通路、10 エンジンシステム、11 エンジン、11a 気筒、11b ピストン、12 燃料タンク、13 燃料噴射装置、14 燃料ポンプ、15 コモンレール、16 吸気絞り弁、17 開度センサ、18 EGR通路、19 EGR弁、20 エンジン回転速度センサ、21 圧力センサ、22 アクセル開度センサ、100 制御装置、110 CPU、150 メモリ。

Claims (5)

  1. 内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関は、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システムを備え、
    前記制御装置は、
    前記内燃機関における複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射におけるそれぞれの噴射量を算出し、
    各サイクルにおいて算出されたそれぞれの噴射量で燃料を複数段、噴射するよう前記噴射システムを制御し、
    燃焼方式の切替えの過渡期間には、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射量を、切替え前の燃焼方式の噴射量から、切替え後の燃焼方式の噴射量に徐変するように算出する、内燃機関の制御装置。
  2. 複数の燃焼方式は、第1の燃焼方式と、第2の燃焼方式とを含み、
    前記制御装置は、前記内燃機関の制御マップにおける、前記第1の燃焼方式では、所定指標が所定基準を満たさない領域において、前記所定指標が前記所定基準を満たす前記第2の燃焼方式に切替える、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記第1の燃焼方式と前記第2の燃焼方式とでは、燃料の圧力の制御範囲が異なり、
    前記制御装置は、
    燃焼方式に応じた燃料の圧力とするよう前記噴射システムを制御し、
    前記第1の燃焼方式と前記第2の燃焼方式との切替えの過渡期間には、切替え後の燃料の圧力への追従遅れの度合いを算出し、切替え前後において対応する段の噴射量を、算出した度合いに応じて徐変するように算出する、請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記第1の燃焼方式では、1サイクルにおけるメイン噴射が1段であり、
    前記第2の燃焼方式では、1サイクルにおけるメイン噴射が前段と後段との2段であり、
    前記制御装置は、前記第1の燃焼方式と前記第2の燃焼方式との切替えの過渡期間には、切替え後の燃料の圧力への追従遅れの度合いを算出し、前記第1の燃焼方式のメイン噴射の後段が存在しない状態と、前記第2の燃焼方式のメイン噴射の後段が存在する状態との間で、算出した度合いに応じてメイン噴射の後段の噴射量が徐変するよう算出する、請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 内燃機関の制御装置によって実行される前記内燃機関の制御方法であって、
    前記内燃機関は、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システムを備え、
    前記制御方法は、前記制御装置が、
    前記内燃機関における複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射におけるそれぞれの噴射量を算出するステップと、
    各サイクルにおいて算出されたそれぞれの噴射量で燃料を複数段、噴射するよう前記噴射システムを制御するステップと、
    燃焼方式の切替えの過渡期間には、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射量を、切替え前の燃焼方式の噴射量から、切替え後の燃焼方式の噴射量に徐変するように算出するステップとを含む、内燃機関の制御方法。
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