JP2022012251A - 板状成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】精密研削工程用切削砥石の摩耗を低減できる板状成形体の製造方法を提供する。【解決手段】難切削性の板状体を所望の厚み近傍に加工する粗加工工程と、粗加工工程後の板状体表面を精細研削して高平坦度かつ高平滑な表面に加工する精密研削工程を有する板状成形体の製造方法において、粗加工工程で板状体表面に形成された凹凸部を熱硬化性樹脂により被覆して板状体表面を平滑化させる被覆層形成工程、および、被覆層20を乾燥硬化させる被覆層乾燥工程を粗加工工程と精密研削工程との間に設けると共に、上記精密研削工程において、硬化した被覆層20を凹凸部と共に精細研削して板状体表面を高平坦度かつ高平滑な表面に加工することを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、難切削性の板状体を所望の厚みに加工する粗加工工程と、粗加工工程後の板状体表面を精細研削して高平坦度かつ高平滑な表面に加工する精密研削工程を有する板状成形体の製造方法に係り、特に、精密研削工程で使用する切削砥石の摩耗を低減できる板状成形体の製造方法に関するものである。
炭化ケイ素(以下、「SiC」と記載することがある)は、ケイ素(以下、「Si」と記載することがある)と比較すると、3倍程度の大きなバンドギャップ(4H-SiCで、3.8eV程度、6H-SiCでは、3.1eV程度、Siは1.1eV程度)と高い熱伝導率(5W/cm・K程度、Siは1.5W/cm・K程度)を有する。このことから、近年、パワーデバイス用途の基板材料として単結晶のSiCが使用され始めている。
例えば、従来用いられてきたSiパワーデバイスと比較して、SiCパワーデバイスは5倍~10倍程度大きい耐電圧と数百℃以上高い動作温度を実現し、更に素子の電力損失を1/10程度に低減することができるため、鉄道車両用インバーター等で実用化されている。
基板材料としてのSiC単結晶基板は、通常、昇華再結晶法(改良レーリー法)と呼ばれる気相法で作製され(例えば非特許文献1参照)、所望の直径および厚さに加工される。
上記改良レーリー法は、固体状のSiC原料(通常は粉末状)を高温(2,400℃程度以上)で加熱・昇華させて、不活性ガス雰囲気中を昇華したSi原子と炭素原子が2,400℃の蒸気として拡散により輸送され、原料よりも低温に設置された種結晶上に過飽和となって再結晶化することにより塊状のSiC単結晶を育成する製造方法である。
しかし、改良レーリー法は、プロセス温度が2,400℃以上と非常に高いため、結晶成長の温度制御や対流制御、結晶欠陥の制御が非常に難しい。このため、この方法で作製されたSiC単結晶基板には、マイクロパイプと呼ばれる結晶欠陥やその他の結晶欠陥(積層欠陥等)が多数存在し得ることから、電子デバイス用途に耐え得る高品質の結晶基板を歩留まりよく製造することが極めて難しい。
その結果、電子デバイス用に用いることのできる結晶欠陥の少ない高品質なSiC単結晶基板は非常に高額なものとなってしまい、このようなSiC単結晶基板を用いたデバイスも高額なものになっていた。このことが、SiC単結晶基板が普及することの妨げとなっていた。
そこで、近年、SiC単結晶基板とSiC多結晶基板を準備し、上記SiC単結晶基板と上記SiC多結晶基板とを貼り合わせる工程を行い、その後、上記SiC単結晶基板を薄膜化する工程を行い、SiC多結晶基板上にSiC単結晶薄板層を形成したSiC基板を製造する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
この製造方法によれば、SiC単結晶基板の厚さを従来に較べ数分の一から数百分の一にまで減少させることができるため、従来のようにSiC基板のすべてを高額な、高品質のSiC単結晶で構成する場合に較べてSiC基板のコストを大幅に低減させることができる。また、結晶欠陥の少ない高品質なSiC単結晶層上にパワーデバイス等の素子を形成することができるため、デバイス性能の向上および製造歩留りを大きく改善させることが可能となる。
このようなSiC単結晶基板とSiC多結晶基板とを貼り合わせる工程において、SiC多結晶基板は緻密で高純度であると共に、高平坦度であることが求められる。このため、SiC多結晶基板の製造には化学的気相蒸着法(以下、「CVD法」と記載することがある)が用いられ、CVD法を用いたSiC多結晶基板の製造方法が特許文献2に記載されている。以下、特許文献2に記載されたSiC多結晶基板の製造法について説明する。
まず、図2(A)に示す炭素質支持基板(例えば黒鉛支持基板)1が配置された育成炉内を1300℃以上の環境に設定し、該炉内にSiH4等のSi系原材料ガス、CH4等のC系原材料ガス、不純物ガスである窒素ガス、および、キャリアガスである水素ガスを導入し、熱反応により炭素質支持基板1の表裏面と外周端面に図2(B)に示すSiC多結晶膜2を析出させる。そして、SiC多結晶膜2が析出された炭素質支持基板1を育成炉から取り出し、炭素質支持基板1をベベリング加工して図2(C)に示すように炭素質支持基板1の端面を露出させた後、電気炉等を用い炭素質支持基板1のみを燃焼させて、図2(D)に示す炭素質支持基板1の表裏面に形成されたSiC多結晶膜2から成る2枚のSiC多結晶基板3が得られる。
しかし、CVD法を用いたこの製造方法においては、図2(B)に示すように炭素質支持基板1の外周端近傍(外周部分)において、成膜したSiC多結晶膜2の膜厚が大きくなる傾向にあることから、図2(D)に示すように得られたSiC多結晶基板3の中央部付近に較べ周辺部が厚くなり易く、炭素質支持基板1を燃焼除去した後、研削や研磨によりSiC多結晶基板3の厚さと平坦度を調整する下記工程を要した。
すなわち、図3(A)~(B)に示すようにSiC多結晶基板3の周辺部を切除する切り抜き工程と、図3(C)に示すようにSiC多結晶基板3を所望の厚み近傍に加工する粗加工工程と、所望の直径に加工し、その後にSiC多結晶基板3の端面を面取りするベベル工程と、粗加工工程で得られたSiC多結晶基板3の表面を精細研削して図3(D)に示すように高平坦度かつ高平滑な基板表面とする精密研削工程と、精密研削工程で発生した図示外の線状加工痕を化学機械研磨(メカノケミカルポリッシュ)によって除去し、図3(E)に示すようにSiC多結晶基板3表面を鏡面とするポリッシュ工程を要し、これ等工程を経てSiC基板の製造に供されるSiC多結晶基板は、所望の状態となる。
Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov:J.of Cryst.Growth,43(1978)p.209
ところで、炭化ケイ素(SiC)は、その硬度が非常に高く、難切削性の材料であるため、粗加工工程においては、砥粒の番手が100番(ISO 8486表示)から300番(ISO 8486表示)程度の炭化ホウ素砥粒による研磨加工、あるいは、同様な番手範囲のダイヤモンド砥粒を用いた研削砥石の加工によりSiC多結晶基板の加工時間と加工コストの軽減が図れる反面、粗加工工程においてSiC多結晶基板の表面には急峻な凹凸が形成される。ここで、急峻な凹凸部が形成された表面とは、ISO 25178に準じる測定方法で測定した場合、算術平均粗さRaが0.5μm以上である表面を意味する。このため、ベベル工程を経た後の精密研削工程において、例えば、番手が6000番(ISO 8486表示)の研削砥石を用い、研削加工を10μm実施した場合、研削砥石の結合強度にもよるが、砥石の摩耗率[(砥石の摩耗量)÷(被加工物の加工量)]が500%を超えてしまうことがある。ここで、精密研削とは、研削後の表面粗さRaが2nm(ナノメーター)以下、好ましくは1nm以下となる加工方法を意味する。
尚、精密研削工程で用いる研削砥石の大きな摩耗対策として、一般的には、研磨・研削に用いる砥粒や研削砥石の番手が、粗加工工程で用いるよりも大きな番手で、かつ、精密研削工程で用いるよりも小さな番手の砥粒や研削砥石を用いる追加の「加工工程」を、粗加工工程と精密研削工程との間に少なくとも一工程挟むことにより、精密研削工程で用いる研削砥石の摩耗を低減させることは可能となる。
しかし、粗加工工程で用いるよりも大きな番手で、かつ、精密研削工程で用いるよりも小さな番手の砥粒や研削砥石を用いる「加工工程」が追加されることにより、研削砥石の段取り替えや管理項目、必要設備の増加、および、加工で用いる部材費用の上昇等を引き起こしてしまう問題があった。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、粗加工工程と精密研削工程を有する板状成形体の製造方法において、上述した研削砥石の段取り替えや管理項目等の問題を起こすことなく精密研削工程で使用する切削砥石の摩耗率を低減できる板状成形体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、発明者は、粗加工工程で急峻な凹凸部が形成されたSiC多結晶基板(難切削性の板状体)の表面が、その後の加工においてどの程度の加工量まで持続され、また、それによって、精密研削工程で用いる切削砥石の大きな摩耗がどの深さまで継続するかについて調査を行った。その結果、6000番(ISO 8486表示)の研削砥石を用い、急峻な凹凸部が形成された表面を2~3μm研削するまでは砥石の摩耗率[(砥石の摩耗量)÷(被加工物の加工量)]は1000%~1500%と大きいが、それ以降の研削加工における研削砥石の摩耗率はほぼ一定で、120%~140%程度に減少することが確認された。このため、粗加工工程によって形成された粗面状態を簡便な方法で予め被覆し、粗加工工程で発生した凹凸部を被覆層に内包させることにより、その後の工程である精密研削において研削砥石が大きく摩耗してしまう問題を防止できることを見出すに至った。本発明はこのような技術的発見により完成されたものである。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
難切削性の板状体を所望の厚み近傍に加工する粗加工工程と、該粗加工工程後の板状体表面を精細研削して高平坦度かつ高平滑な表面に加工する精密研削工程を有する板状成形体の製造方法において、
上記粗加工工程で板状体表面に形成された凹凸部を熱硬化性樹脂により被覆して板状体表面を平滑化させる被覆層形成工程、および、該被覆層を乾燥硬化させる被覆層乾燥工程を上記粗加工工程と精密研削工程との間に設けると共に、
上記精密研削工程において、硬化した被覆層を上記凹凸部と共に精細研削して板状体表面を高平坦度かつ高平滑な表面に加工することを特徴とする。
難切削性の板状体を所望の厚み近傍に加工する粗加工工程と、該粗加工工程後の板状体表面を精細研削して高平坦度かつ高平滑な表面に加工する精密研削工程を有する板状成形体の製造方法において、
上記粗加工工程で板状体表面に形成された凹凸部を熱硬化性樹脂により被覆して板状体表面を平滑化させる被覆層形成工程、および、該被覆層を乾燥硬化させる被覆層乾燥工程を上記粗加工工程と精密研削工程との間に設けると共に、
上記精密研削工程において、硬化した被覆層を上記凹凸部と共に精細研削して板状体表面を高平坦度かつ高平滑な表面に加工することを特徴とする。
次に、本発明に係る第2の発明は、
第1の発明に記載の板状成形体の製造方法において、
上記難切削性の板状体が、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、アルミナまたは窒化ホウ素から選択されるいずれかの材料で構成されることを特徴とし、
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載の板状成形体の製造方法において、
上記被覆層形成工程において、スピンコート、スプレーコートまたは印刷から選択されるいずれかの方法で熱硬化性樹脂を板状体表面に塗布して被覆層を形成することを特徴とし、
第4の発明は、
第1の発明~第3の発明のいずれかに記載の板状成形体の製造方法において、
上記熱硬化性樹脂が、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂またはフェノール樹脂から選択されるいずれか1種以上であることを特徴とし、
また、第5の発明は、
第1の発明~第4の発明のいずれかに記載の板状成形体の製造方法において、
100番~300番(ISO8486表示)の砥粒が適用された研磨装置若しくは100番~300番(ISO8486表示)の砥粒を含む切削砥石が適用された切削装置を使用して上記粗加工工程を実施し、かつ、4000番~6000番(ISO8486表示)の砥粒を含む切削砥石が適用された切削装置を使用して上記精密研削工程を実施することを特徴とするものである。
第1の発明に記載の板状成形体の製造方法において、
上記難切削性の板状体が、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、アルミナまたは窒化ホウ素から選択されるいずれかの材料で構成されることを特徴とし、
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載の板状成形体の製造方法において、
上記被覆層形成工程において、スピンコート、スプレーコートまたは印刷から選択されるいずれかの方法で熱硬化性樹脂を板状体表面に塗布して被覆層を形成することを特徴とし、
第4の発明は、
第1の発明~第3の発明のいずれかに記載の板状成形体の製造方法において、
上記熱硬化性樹脂が、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂またはフェノール樹脂から選択されるいずれか1種以上であることを特徴とし、
また、第5の発明は、
第1の発明~第4の発明のいずれかに記載の板状成形体の製造方法において、
100番~300番(ISO8486表示)の砥粒が適用された研磨装置若しくは100番~300番(ISO8486表示)の砥粒を含む切削砥石が適用された切削装置を使用して上記粗加工工程を実施し、かつ、4000番~6000番(ISO8486表示)の砥粒を含む切削砥石が適用された切削装置を使用して上記精密研削工程を実施することを特徴とするものである。
難切削性の板状体を所望の厚み近傍に加工する粗加工工程と、該粗加工工程後の板状体表面を精細研削して高平坦度かつ高平滑な表面に加工する精密研削工程を有する本発明に係る板状成形体の製造方法は、
粗加工工程で板状体表面に形成された凹凸部を熱硬化性樹脂により被覆して板状体表面を平滑化させる被覆層形成工程、および、該被覆層を乾燥硬化させる被覆層乾燥工程を粗加工工程と精密研削工程との間に設けると共に、
上記精密研削工程において、硬化した被覆層を上記凹凸部と共に精細研削して板状体表面を高平坦度かつ高平滑な表面に加工することを特徴としている。
粗加工工程で板状体表面に形成された凹凸部を熱硬化性樹脂により被覆して板状体表面を平滑化させる被覆層形成工程、および、該被覆層を乾燥硬化させる被覆層乾燥工程を粗加工工程と精密研削工程との間に設けると共に、
上記精密研削工程において、硬化した被覆層を上記凹凸部と共に精細研削して板状体表面を高平坦度かつ高平滑な表面に加工することを特徴としている。
そして、研削砥石の段取り替えや管理項目等の問題を引き起こす追加の「加工工程」を挟まなくとも、粗加工工程で形成される急峻な凹凸部が実質的に無くなった状態で精密研削加工を行えることから、精密研削工程において高番手の切削砥石により高平坦度かつ高平滑な板状体表面を形成する際、研削砥石の大幅な摩耗が防止できるためその摩耗率を低減させることが可能となる。
以下、本発明の実施形態に係る板状成形体の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1(A)は、CVD法により製造されかつ炭素質支持基板(黒鉛支持基板)が燃焼除去されたSiC多結晶基板(元基板11)の断面を示し、図1(B)は、上記SiC多結晶基板(元基板11)の周辺部を切り抜いて所望の直径に加工したSiC多結晶基板(切り抜き円盤12)の断面を示す。
まず、切り抜き加工により得られた上記SiC多結晶基板(切り抜き円盤12)について、厚みのばらつきと反り低減のために粗加工を実施し、図1(C)に示すSiC多結晶基板(粗面基板13)を得た後、端面を面取りするベベル加工を実施する。尚、粗加工工程では、砥粒の番手が100番(ISO 8486表示)~300番(ISO 8486表示)程度の炭化ホウ素砥粒による研磨加工、若しくは、同様な番手範囲のダイヤモンド砥粒を用いた研削砥石による加工が例示される。
次いで、SiC多結晶基板(粗面基板13)両面に熱硬化性樹脂を塗布して被覆層を形成し、かつ、加熱処理若しくは露光処理等により被覆層を乾燥硬化させて図1(D)に示すようにSiC多結晶基板(粗面基板13)両面に被覆層20が形成されたSiC多結晶基板(コート基板14)を得る。尚、上記熱硬化性樹脂としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂、または、フェノール樹脂から選択されるいずれか1種が例示され、また、SiC多結晶基板(粗面基板13)の表面に熱硬化性樹脂を塗布する方法としては、スピンコート、スプレーコート、または、印刷による方法が例示される。そして、粗加工後の表面粗さRaが0.5μm以上であったSiC多結晶基板(粗面基板13)は、被膜層20の形成によりRaが0.1μm以下まで低下する。
次いで、両面に被覆層20が形成されたSiC多結晶基板(コート基板14)について、硬化した被覆層と共に両面を精密研削して図1(E)に示すSiC多結晶基板(精細面基板15)を得る。尚、精密研削工程では、4000番~6000番(ISO8486表示)の砥粒を含む切削砥石の加工が例示される。そして、被膜層20の形成によりRaが0.1μm以下まで低下した表面粗さを、4000番~6000番(ISO8486表示)の高番手砥石により精密研削しても研削砥石の摩耗率はほぼ一定で、摩耗率100%~150%を維持する。
次いで、SiC多結晶基板(精細面基板15)の片面を化学機械研磨してその片面が鏡面30である図1(F)に示すSiC多結晶基板(鏡面基板16)、すなわち、板状成形体を得る。
尚、上記板状成形体の構成材料としては、炭化ケイ素(SiC)に加え、炭化ホウ素、炭化チタン、アルミナまたは窒化ホウ素等の難切削性の板状体が例示される。
以下、本発明の実施例について比較例も挙げて具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
CVD法により製造され、かつ、炭素質支持基板(黒鉛支持基板)が燃焼除去されると共に、切り抜き加工を実施した直径150.1mm、平均の厚さが650μmのSiC多結晶基板(切り抜き円盤12)に対し、反り、および厚みばらつき低減のために170番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を用いたビトリファイド研削砥石(旭ダイヤ製)によって表裏両平面に平面研削加工(粗加工)を施して厚さを375μmとした。この時点で、SiC多結晶基板(粗面基板13)の中央1点および同基板の外周部4点の表面粗さRaを測定したところ、Raは平均で0.65μmであった。
CVD法により製造され、かつ、炭素質支持基板(黒鉛支持基板)が燃焼除去されると共に、切り抜き加工を実施した直径150.1mm、平均の厚さが650μmのSiC多結晶基板(切り抜き円盤12)に対し、反り、および厚みばらつき低減のために170番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を用いたビトリファイド研削砥石(旭ダイヤ製)によって表裏両平面に平面研削加工(粗加工)を施して厚さを375μmとした。この時点で、SiC多結晶基板(粗面基板13)の中央1点および同基板の外周部4点の表面粗さRaを測定したところ、Raは平均で0.65μmであった。
次いで、SiC多結晶基板(粗面基板13)の外周部をベベル加工して直径150.02mmとし、更に、SiC多結晶基板の両平面にポリイミド製コーティング剤[京セラ製:商品名CT4112]をスピンコート法(回転数3000回転/分、回転時間50秒)により塗布して被覆膜を形成し、その後、大気中180℃、乾燥時間1時間の熱処理により上記コーティング剤を乾燥硬化させた。このときのSiC多結晶基板(コート基板14)のRaは0.05μmであった。
続いて、ダイヤモンド砥粒の番手が6000番(ISO 8486表示)であるビトリファイド研削砥石(ノリタケカンパニーリミテド製)により、片面12μm、すなわち両面で合計24μm研削加工し、SiC多結晶基板(精細面基板15)の厚さを351μmとした。このとき、上記6000番(ISO 8486表示)の研削砥石の摩耗量は40μmで、砥石の摩耗率[(砥石の摩耗量)÷(被加工物の加工量)]×100(%)は、(40μm÷24μm)×100(%)=167%であった。
すなわち、精密研削工程で使用する切削砥石の摩耗率を著しく低減できることが確認された。この結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同様の工程で、SiC多結晶基板(切り抜き円盤12)を380μmの厚みになるまで粗研削を実施し、加工後のSiC多結晶基板(粗面基板13)外周部をベベル加工し、更に、上記ポリイミド製コーティング剤をスピンコート法(実施例1と同一条件)により塗布して被覆膜を形成し、その後、実施例1と同一の条件でコーティング剤を乾燥硬化させた。
実施例1と同様の工程で、SiC多結晶基板(切り抜き円盤12)を380μmの厚みになるまで粗研削を実施し、加工後のSiC多結晶基板(粗面基板13)外周部をベベル加工し、更に、上記ポリイミド製コーティング剤をスピンコート法(実施例1と同一条件)により塗布して被覆膜を形成し、その後、実施例1と同一の条件でコーティング剤を乾燥硬化させた。
続いて、ダイヤモンド砥粒の番手が6000番(ISO 8486表示)の上記ビトリファイド研削砥石により、片面15μm、すなわち両面で合計30μm研削加工し、SiC多結晶基板(精細面基板15)の厚さを350μmとした。このとき、6000番(ISO 8486表示)の上記ビトリファイド研削砥石の摩耗量は46μmであり、砥石の摩耗率[(砥石の摩耗量)÷(被加工物の加工量)]×100(%)は、(46μm÷30μm)×100(%)=153%であった。
すなわち、精密研削工程で使用する切削砥石の摩耗率を著しく低減できることが確認された。この結果も表1に示す。
[実施例3]
実施例1と同様の工程で、SiC多結晶基板(切り抜き円盤12)を375μmの厚みになるまで粗研削を実施し、加工後のSiC多結晶基板(粗面基板13)外周部をベベル加工し、更に、上記ポリイミド製コーティング剤をスピンコート法(実施例1と同一条件)により塗布して被覆膜を形成し、その後、実施例1と同一の条件でコーティング剤を乾燥硬化させた。
実施例1と同様の工程で、SiC多結晶基板(切り抜き円盤12)を375μmの厚みになるまで粗研削を実施し、加工後のSiC多結晶基板(粗面基板13)外周部をベベル加工し、更に、上記ポリイミド製コーティング剤をスピンコート法(実施例1と同一条件)により塗布して被覆膜を形成し、その後、実施例1と同一の条件でコーティング剤を乾燥硬化させた。
続いて、ダイヤモンド砥粒の番手が4000番(ISO 8486表示)のビトリファイド研削砥石(旭ダイヤ製)により、片面10μm、すなわち両面で合計20μm研削加工し、SiC多結晶基板(精細面基板15)の厚さを355μmとした。このとき、4000番(ISO 8486表示)の上記ビトリファイド研削砥石の摩耗量は24μmであり、砥石の摩耗率[(砥石の摩耗量)÷(被加工物の加工量)]×100(%)は、(24μm÷20μm)×100(%)=120%であった。
すなわち、精密研削工程で使用する切削砥石の摩耗率を著しく低減できることが確認された。この結果も表1に示す。
[実施例4]
実施例1と同様の工程で、SiC多結晶基板(切り抜き円盤12)を386μmの厚みになるまで粗研削を実施し、加工後のSiC多結晶基板(粗面基板13)外周部をベベル加工し、更に、上記ポリイミド製コーティング剤をスピンコート法(実施例1と同一条件)により塗布して被覆膜を形成し、その後、実施例1と同一の条件でコーティング剤を乾燥硬化させた。
実施例1と同様の工程で、SiC多結晶基板(切り抜き円盤12)を386μmの厚みになるまで粗研削を実施し、加工後のSiC多結晶基板(粗面基板13)外周部をベベル加工し、更に、上記ポリイミド製コーティング剤をスピンコート法(実施例1と同一条件)により塗布して被覆膜を形成し、その後、実施例1と同一の条件でコーティング剤を乾燥硬化させた。
続いて、ダイヤモンド砥粒の番手が4000番(ISO 8486表示)の上記ビトリファイド研削砥石により、片面17μm、すなわち両面で合計34μm研削加工し、SiC多結晶基板(精細面基板15)の厚さを352μmとした。このとき、4000番(ISO 8486表示)の上記ビトリファイド研削砥石の摩耗量は36μmであり、砥石の摩耗率[(砥石の摩耗量)÷(被加工物の加工量)]×100(%)は、(36μm÷34μm)×100(%)=106%であった。
すなわち、精密研削工程で使用する切削砥石の摩耗率を著しく低減できることが確認された。この結果も表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様の工程で、SiC多結晶基板(切り抜き円盤12)を375μmの厚みになるまで粗研削を実施し、加工後のSiC多結晶基板(粗面基板13)外周部をベベル加工した。
実施例1と同様の工程で、SiC多結晶基板(切り抜き円盤12)を375μmの厚みになるまで粗研削を実施し、加工後のSiC多結晶基板(粗面基板13)外周部をベベル加工した。
その後、上記被覆層を形成することなく、ダイヤモンド砥粒の番手が6000番(ISO 8486表示)の上記ビトリファイド研削砥石により、片面12μm、すなわち両面で合計24μm研削加工し、SiC多結晶基板(精細面基板15)の厚さを351μmとした。このとき、6000番(ISO 8486表示)の上記ビトリファイド研削砥石の摩耗量は106μmであり、砥石の摩耗率[(砥石の摩耗量)÷(被加工物の加工量)]×100(%)は、(106μm÷24μm)×100(%)=442%であった。
すなわち、精密研削工程で使用する切削砥石の摩耗率を所望とするレベルに低減できないことが確認された。この結果も表1に示す。
[比較例2]
実施例1と同様の工程で、SiC多結晶基板(切り抜き円盤12)を385μmの厚みになるまで粗研削を実施し、加工後のSiC多結晶基板(粗面基板13)外周部をベベル加工した。
実施例1と同様の工程で、SiC多結晶基板(切り抜き円盤12)を385μmの厚みになるまで粗研削を実施し、加工後のSiC多結晶基板(粗面基板13)外周部をベベル加工した。
その後、上記被覆層を形成することなく、ダイヤモンド砥粒の番手が4000番(ISO 8486表示)の上記ビトリファイド研削砥石により、片面17μm、すなわち両面で合計34μm研削加工し、SiC多結晶基板(精細面基板15)の厚さを351μmとした。このとき、4000番(ISO 8486表示)の上記ビトリファイド研削砥石の摩耗量は96μmであり、砥石の摩耗率[(砥石の摩耗量)÷(被加工物の加工量)]×100(%)は、(96μm÷34μm)×100(%)=282%であった。
すなわち、精密研削工程で使用する切削砥石の摩耗率を所望とするレベルに低減できないことが確認された。この結果も表1に示す。
[評 価]
粗加工工程で板状体表面に形成された凹凸部を熱硬化性樹脂で被覆して板状体表面を平滑化させ、硬化させた被覆層を凹凸部と共に精細研削して板状体表面を高平坦度かつ高平滑な表面に精密研削加工する本発明方法を採ることにより、通常の加工方法と比較して精密研削砥石の摩耗率を低減させることができる。
粗加工工程で板状体表面に形成された凹凸部を熱硬化性樹脂で被覆して板状体表面を平滑化させ、硬化させた被覆層を凹凸部と共に精細研削して板状体表面を高平坦度かつ高平滑な表面に精密研削加工する本発明方法を採ることにより、通常の加工方法と比較して精密研削砥石の摩耗率を低減させることができる。
本発明方法によれば、精密研削工程において高番手の切削砥石により高平坦度かつ高平滑な板状体表面を形成する際の上記研削砥石の摩耗率を低減させることが可能なため、炭化ケイ素(SiC)多結晶基板の製造に利用される産業上の利用可能性を有している。
1 炭素質支持基板(黒鉛支持基板)
2 SiC多結晶膜
3 SiC多結晶基板
11 SiC多結晶基板(元基板)
12 SiC多結晶基板(切り抜き円盤)
13 SiC多結晶基板(粗面基板)
14 SiC多結晶基板(コート基板)
15 SiC多結晶基板(精細面基板)
16 SiC多結晶基板(鏡面基板)
20 被覆層
30 鏡面
2 SiC多結晶膜
3 SiC多結晶基板
11 SiC多結晶基板(元基板)
12 SiC多結晶基板(切り抜き円盤)
13 SiC多結晶基板(粗面基板)
14 SiC多結晶基板(コート基板)
15 SiC多結晶基板(精細面基板)
16 SiC多結晶基板(鏡面基板)
20 被覆層
30 鏡面
Claims (5)
- 難切削性の板状体を所望の厚み近傍に加工する粗加工工程と、該粗加工工程後の板状体表面を精細研削して高平坦度かつ高平滑な表面に加工する精密研削工程を有する板状成形体の製造方法において、
上記粗加工工程で板状体表面に形成された凹凸部を熱硬化性樹脂により被覆して板状体表面を平滑化させる被覆層形成工程、および、該被覆層を乾燥硬化させる被覆層乾燥工程を上記粗加工工程と精密研削工程との間に設けると共に、
上記精密研削工程において、硬化した被覆層を上記凹凸部と共に精細研削して板状体表面を高平坦度かつ高平滑な表面に加工することを特徴とする板状成形体の製造方法。 - 上記難切削性の板状体が、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、アルミナまたは窒化ホウ素から選択されるいずれかの材料で構成されることを特徴とする請求項1に記載の板状成形体の製造方法。
- 上記被覆層形成工程において、スピンコート、スプレーコートまたは印刷から選択されるいずれかの方法で熱硬化性樹脂を板状体表面に塗布して被覆層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の板状成形体の製造方法。
- 上記熱硬化性樹脂が、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂またはフェノール樹脂から選択されるいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の板状成形体の製造方法。
- 100番~300番(ISO8486表示)の砥粒が適用された研磨装置若しくは100番~300番(ISO8486表示)の砥粒を含む切削砥石が適用された切削装置を使用して上記粗加工工程を実施し、かつ、4000番~6000番(ISO8486表示)の砥粒を含む切削砥石が適用された切削装置を使用して上記精密研削工程を実施することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の板状成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020113947A JP2022012251A (ja) | 2020-07-01 | 2020-07-01 | 板状成形体の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR3139413A1 (fr) * | 2022-09-05 | 2024-03-08 | Soitec | Procédé de traitement d’une plaquette de carbure de silicium polycristallin |
-
2020
- 2020-07-01 JP JP2020113947A patent/JP2022012251A/ja active Pending
Cited By (2)
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FR3139413A1 (fr) * | 2022-09-05 | 2024-03-08 | Soitec | Procédé de traitement d’une plaquette de carbure de silicium polycristallin |
WO2024052615A1 (fr) * | 2022-09-05 | 2024-03-14 | Soitec | Procede de traitement d'une plaquette de carbure de silicium polycristallin |
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