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JP2022091113A - 高分子微粒子 - Google Patents

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JP2022091113A
JP2022091113A JP2021168754A JP2021168754A JP2022091113A JP 2022091113 A JP2022091113 A JP 2022091113A JP 2021168754 A JP2021168754 A JP 2021168754A JP 2021168754 A JP2021168754 A JP 2021168754A JP 2022091113 A JP2022091113 A JP 2022091113A
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meth
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JP2021168754A
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English (en)
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和也 上西
Kazuya Uenishi
佑樹 高橋
Yuki Takahashi
十志和 高田
Toshikazu Takada
悠馬 佐々木
Yuma Sasaki
大介 鈴木
Daisuke Suzuki
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Shinshu University NUC
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Shinshu University NUC
Yokohama Rubber Co Ltd
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Abstract

【課題】機械的特性(特に破壊エネルギー)に優れた高分子微粒子を提供する。【解決手段】環状分子と上記環状分子を貫通する軸分子とを有するロタキサンと、(メタ)アクリレートとの共重合体からなる、高分子微粒子であって、上記環状分子及び上記軸分子のうち少なくとも一方が、重合性不飽和基含有基を有し、上記軸分子の炭素数が、4~12である、高分子微粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、高分子微粒子に関する。
従来、ロタキサンと(メタ)アクリレートと共重合体からなる高分子微粒子が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2018-30928号公報
このようななか、本発明者らが特許文献1を参考に高分子微粒子を合成したところ、さらなる機械的特性(特に破壊エネルギー)の向上が望ましいことが明らかになった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、機械的特性(特に破壊エネルギー)に優れた高分子微粒子を提供することを目的とする。
本発明者らの検討から、ロタキサンの軸分子の長さ(炭素数)によって得られる高分子微粒子の機械的特性(特に破壊エネルギー)が変化することが知見されている。そして、特許文献1の実施例のように軸分子がポリマーである場合よりも、軸分子が短く炭素数が特定の範囲である場合に、機械的特性が向上することが知見されている。本発明はこのような知見に基づくものであり、具体的には以下のとおりである。
(1) 環状分子と上記環状分子を貫通する軸分子とを有するロタキサンと、(メタ)アクリレートとの共重合体からなる、高分子微粒子であって、
上記環状分子及び上記軸分子のうち少なくとも一方が、重合性不飽和基含有基を有し、
上記軸分子の炭素数が、4~12である、高分子微粒子。
(2) 上記(メタ)アクリレートとして2種以上の(メタ)アクリレートを併用した、上記(1)に記載の高分子微粒子。
(3) 上記(メタ)アクリレートに対する上記ロタキサンの割合が、0.001~10モル%である、上記(1)又は(2)に記載の高分子微粒子。
(4) 上記環状分子及び上記軸分子の両方が、重合性不飽和基含有基を有する、上記(1)~(3)のいずれかに記載の高分子微粒子。
(5) 調和平均径が、2000nm以下である、上記(1)~(4)のいずれかに記載の高分子微粒子。
(6) 膨潤度が、18以上である、上記(1)~(5)のいずれかに記載の高分子微粒子。
(7) 上記重合性不飽和基含有基の重合性不飽和基が、ビニル基、アクリル基、又は、メタクリル基である、上記(1)~(6)のいずれかに記載の高分子微粒子。
(8) 破断伸びが、400%を超える、上記(1)~(7)のいずれかに記載の高分子微粒子。
(9) 残留歪が、25%を超える、上記(1)~(8)のいずれかに記載の高分子微粒子。
以下に示すように、本発明によれば、機械的特性(特に破壊エネルギー)に優れた高分子微粒子を提供することができる。
以下、本発明の高分子微粒子について説明する。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、各成分は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について量とは、特段の断りが無い限り、合計の量を指す。
また、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
[高分子微粒子]
本発明の高分子微粒子は、
環状分子と上記環状分子を貫通する軸分子とを有するロタキサンと、(メタ)アクリレートとの共重合体からなる、高分子微粒子であって、
上記環状分子及び上記軸分子のうち少なくとも一方が、重合性不飽和基含有基を有し、
上記軸分子の炭素数が、4~12である、高分子微粒子である。
〔特定ロタキサン〕
本発明の高分子微粒子に用いられるロタキサン(以下、「特定ロタキサン」とも言う)は、環状分子と上記環状分子を貫通する軸分子とを有するロタキサンである。ここで、上記軸分子の炭素数は4~12である。
<環状分子>
上記環状分子は特に制限されないが、その具体例としては、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、クラウンエーテル、及び、これらの誘導体等が挙げられる。
上記環状分子は置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アセチル基、プロピオニル基、ヘキサノイル基、メチル基、エチル基、プロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、1,2-ジヒドロキシプロピル基、シクロヘキシル基、ブチルカルバモイル基、ヘキシルカルバモイル基、フェニル基、ポリカプロラクトン基、アルコキシシラン基、アクリロイル基、メタクリロイル基、シンナモイル基、ポリマー鎖(ポリカプロラクトン基、ポリカーボネート基など)、及び、これらの誘導体等が挙げられる。
上記環状分子は、本発明の効果がより優れる理由から、クラウンエーテル、又は、クラウンエーテルの誘導体であることが好ましい。
1つの特定ロタキサンが有する環状分子の数は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1であることが好ましい。
<軸分子>
上記軸分子は、上記環状分子を貫通する軸状(棒状)の分子であり、通常、その両末端に上述した環状分子の脱離を防止するための嵩高い末端官能基を有する。
(軸状部分)
上記軸分子は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。
なお、上記2価の脂肪族炭化水素基を構成する1又は2以上の炭素原子は、-O-、-S-、-SO-、-N(R)-(R:水素原子又は置換基)、-CO-、-COO-、-CONR-(R:水素原子又は置換基)、又は、これらを組み合わせた基によって置き換えられていてもよい。
上記2価の脂肪族炭化水素基は、本発明の効果がより優れる理由から、上記2価の脂肪族炭化水素基を構成する少なくとも1つの炭素原子が、-O-、-S-、-SO-、-N(R)-(R:水素原子又は置換基)、-CO-、-COO-、-CONR-(R:水素原子又は置換基)、又は、これらを組み合わせた基によって置き換えられたものであることが好ましい。
(末端官能基)
上述のとおり、上記軸分子は、通常、その両末端に上述した環状分子の脱離を防止するための嵩高い末端官能基を有する。
上記末端官能基は特に制限されないが、その具体例としては、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、ジニトロフェニル基、アダマンタン基、トリチル基、フルオレセイン基、シルセスキオキサン基、ピレン基、及び、これらの誘導体等が挙げられる。
上記軸分子は、本発明の効果がより優れる理由から、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることが好ましく、置換基を有していてもよいフェニル基であることがより好ましい。
<炭素数>
上述のとおり、軸分子の炭素数は4~12である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、6~10であることが好ましい。
なお、上記「軸分子の炭素数」とは、軸分子の軸状部分の炭素数であり、上述した末端官能基の炭素数、及び、軸分子が有する置換基(例えば、後述する重合性不飽和基含有基)の炭素数は含まれない。
<重合性不飽和基含有基>
上述のとおり、上述した環状分子及び上述した軸分子のうち少なくとも一方は、重合性不飽和基含有基を有する。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、上述した環状分子及び上述した軸分子の両方が重合性不飽和基含有基を有するのが好ましい。上述した環状分子及び上述した軸分子の両方が重合性不飽和基含有基を有することで、特定ロタキサンのスライディング効果が生じて、柔軟性及び強靭性がさらに向上する。
また、上述した軸分子が上記重合性不飽和基含有基を有する場合、軸分子の軸状部分が上記重合性不飽和基含有基を有するのが好ましい。
上述した環状分子及び上述した軸分子は、それぞれ2以上の重合性不飽和基含有基を有していてもよい。
上記重合性不飽和基含有とは、重合性不飽和基、又は、重合性不飽和基を含有する基であり、-L-P(ここで、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Pは重合性不飽和基を表す)で表される基である。
上記重合性不飽和基含有基の重合性不飽和基は特に制限されないが、その具体例としては、ビニル基、アクリル基(アクリロイル基)、メタクリル基(メタクリロイル基)、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が好ましい。
上記-L-P中のLが2価の連結基である場合のその具体例としては、2価の脂肪族炭化水素基(特にアルキレン基)、2価の芳香族炭化水素基、-O-、-S-、-SO-、-N(R)-(R:水素原子又は置換基)、-CO-、-COO-、-CONR-(R:水素原子又は置換基)、これらを組み合わせた基等が挙げられる。
<製造方法>
特定ロタキサンの製造方法は特に制限されず、公知の方法を組み合わせることで製造することができる。
〔(メタ)アクリレート〕〕
本発明の高分子微粒子に用いられる(メタ)アクリレートは特に制限されず、その具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシノニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ジシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグルコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2-モルホリノエチル(メタ)アクリレート、9-アントリル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トランス-1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-テトラメチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール-テトラメチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリレートは、本発明の効果がより優れる理由から、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1~10のアルコールとのエステルであることが好ましく、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1~5のアルコールとのエステルであることがより好ましく、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1~3のアルコールとのエステルであることがより好ましい。
上記(メタ)アクリレートとして1種を用いても2種以上を併用してもよいが、本発明の効果がより優れる理由から、2種以上を併用するのが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、及び、エチル(メタ)アクリレート又はメトキシエチル(メタ)アクリレートを併用するのがより好ましい。
〔その他のモノマー〕
本発明の高分子微粒子は、上述した特定ロタキサン及び上述した(メタ)アクリレートに加えて、その他のモノマーを共重合したものでもよいが、全モノマー(特定ロタキサン、(メタ)アクリレート、その他のモノマー)に対する特定ロタキサン及び(メタ)アクリレートの合計の割合は、本発明の効果がより優れる理由から、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。全モノマーに対する特定ロタキサン及び(メタ)アクリレートの合計の割合の上限は特に制限されず、100モル%である。
〔特定ロタキサン/(メタ)アクリレート〕
上述した(メタ)アクリレートに対する上述した特定ロタキサンの割合は、本発明の効果がより優れる理由から、0.001~10モル%であることが好ましく、0.01~1モル%であることがより好ましい。
〔調和平均径〕
本発明の高分子微粒子の調和平均径は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、2000nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることがより好ましく、500nm以下であることがさらに好ましい。上記調和平均径の下限も特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがさらに好ましく、200nm以上であることが特に好ましい。
なお、上記調和平均径は、粒子径測定機(マルバーン社製ゼータサイザーナノS)を用いてキュムラント法によって測定されたDMF(ジメチルホルムアミド)中の調和平均径である。
〔膨潤度〕
本発明の高分子微粒子の膨潤度は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、10以上であることが好ましく、18以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。上記膨潤度の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100以下であることが好ましい。
なお、上記膨潤度は、下記式によって表されるパラメータである。
膨潤度=(D(DMF))/(D(水))
ここで、D(DMF)は、上述したDMF中の調和平均径を表す。また、D(水)は水中の調和平均径を表し、その測定方法は、DMFの代わりに水を用いる点以外上述したDMF中の調和平均径と同じである。
〔分子量〕
本発明の高分子微粒子の重量平均分子量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1,000~1,000,000であることが好ましく、10,000~100,000であることがより好ましい。
なお、上記重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値をもとにした標準ポリスチレン換算値である。
〔破断伸び〕
本発明の高分子微粒子の破断伸びは特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、400%を超えるのが好ましい。破断伸びの上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1000%以下であることが好ましい。
なお、上記破断伸びは以下のように測定したものとする。
高分子微粒子の分散液(5質量%、7mL)(遠心精製、透析済)を用いて5cm四方のフィルム(厚み:約0.4mm)を作製し、得られたフィルムから1cm×4cmのフィルムを4枚切り出して、長手方向中央にダイヤモンドカッターを使用して2mmの切り込みを入れる。このようにして、得られた引張試験用の試験片について、テンシロン引張試験機を用いて引張試験(ロードセル:50N、伸長速度:10mm/分、試験温度:25℃)を行う。
〔残留歪〕
本発明の高分子微粒子の残留歪は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、25%を超えるのが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。残留歪の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、80%以下であることが好ましい。
なお、上記残留歪みは以下のように測定したものとする。
高分子微粒子の分散液(5質量%、7mL)(遠心精製、透析済)を用いて5cm四方のフィルム(厚み:約0.4mm)を作製し、得られたフィルムに対して100kPaの応力を10時間印加し、その後14時間緩和させた後の残留歪を測定する。
[用途]
本発明の高分子微粒子は、例えば、ゴム組成物、接着剤組成物及び塗料組成物などにおける添加剤として有用である。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔ロタキサンの合成〕
以下のとおり、特定ロタキサン及び比較ロタキサンを合成した。
<特定ロタキサン>
以下のとおり、特定ロタキサンを合成した。
(軸状部分前駆体の合成)
3,5-ジメチルベンズアルデヒド(3.3g)のTHF(テトラヒドロフラン)(250mL)溶液に6-アミノ-1-ヘキサノール(2.9g)を加えて、室温で一昼夜攪拌した。溶媒を留去した後、残渣をメタノール(250mL)に溶解させ、NaBH(2.9g)に滴下した。その混合溶液を室温で5時間攪拌し、溶媒を留去した後、残渣をクロロホルム(100mL)に溶解させ、その有機相を蒸留水で洗浄した。得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、有機溶媒を留去させ、N-(3,5-ジメチルベンジル)-6-ヒドロキシヘキシルアミン)(化合物1)(5.8g)を無色のオイルとして得た。
次に、得られた化合物1をメタノール(100mL)に溶解させ、12Nの塩酸水溶液(8mL)を加えた。その混合溶液をジエチルエーテル(1L)に滴下すると沈殿物が固体成分として得られ、その固体成分を濾過した。得られた固体成分をヘキサフルオロホスフェートアンモニウム塩の飽和水溶液に加え、その溶液をメタノールに滴下すると、沈殿物を得た。得られた沈殿物をろ過した後、その固体成分を水洗した後乾燥し、N-(3,5-ジメチルベンジル)-6-ヒドロキシヘキシルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート塩)(化合物2)(1.4g)を白色固体として得た。
(環状分子の合成)
ヒドロキシメチルジベンゾ-24-クラウン-8-エーテル(1.9g)の塩化メチレン(45mL)溶液に2-イソシアナートエチルメタクリレート(1.4mL)とジブチル錫ジラウレート(0.2mL)を0℃で加えて、室温で48時間攪拌した。得られた混合物を10mLに濃縮し、ヘキサン中に投入し沈殿物を得た。その沈殿物を酢酸エチル/ヘキサン混合溶液(2/3)に溶解させ、シリカカラムで生成した。目的の環状分子(化合物3)を2.5g得た。
(ロタキサンの合成)
上記化合物2(150mg)と上記化合物3(260mg)の塩化メチレン(1mL)混合溶液を透明になるまで室温で超音波を照射した。その溶液にジブチル錫ジラウレート(1mg)と3,5-ジメチルフェニルイソシアナート(160mg)を加えて、室温で5時間攪拌した。その後、その溶液にメタノールを加えて、未反応のイソシアナートを失活させた。揮発成分を留去した後、残渣をTHF(4mL)に溶解した。そのTHF溶液にトリエチルアミン(810mg)と2-イソシアナートエチルメタクリレート(620mg)を加え、室温で2.5日攪拌した。その溶液から揮発成分を留去した後、カラムで生成することによって目的のロタキサン(下記)(290mg)を得た。得られたロタキサンを特定ロタキサン(RC)とも言う。
Figure 2022091113000001
得られたロタキサンは、環状分子(化合物3)と、上記環状分子を貫通する軸分子とを有するロタキサンであって、
上記軸分子が、その両末端に上記環状分子の脱離を防止するための嵩高い末端官能基(ジメチルフェニル基)を有し、
上記環状分子が、重合性不飽和基(メタクリロイルオキシ基)含有基を有し、
上記軸分子が、重合性不飽和基(メタクリロイルオキシ基)含有基(-C(=O)NHCOC(=O)C(CH)=CH)を有し、
上記軸分子(末端官能基及び重合性不飽和基含有基を除く)の炭素数が、8(メチレン基として1個、ヘキシレン基として6個、カルボニル基として1個)であるため、上述した特定ロタキサンに該当する。
<比較ロタキサン>
6-アミノ-1-ヘキサノールの代わりに12-アミノ-1-ドデカノールを使用した点以外は、上述した特定ロタキサンと同様の手順に従ってロタキサンを合成した。得られたロタキサンを比較ロタキサン(比較RC)とも言う。
得られたロタキサンは、環状分子(化合物3)と、上記環状分子を貫通する軸分子とを有するロタキサンであって、
上記軸分子が、その両末端に上記環状分子の脱離を防止するための嵩高い末端官能基(ジメチルフェニル基)を有し、
上記環状分子が重合性不飽和基(メタクリロイルオキシ基)含有基を有し、
上記軸分子が重合性不飽和基(メタクリロイルオキシ基)含有基(-C(=O)NHCOC(=O)C(CH)=CH)を有するが、
上記軸分子の炭素数(末端官能基及び重合性不飽和基含有基を除く)が、14(メチレン基として1個、ドデシレン基として12個、カルボニル基として1個)であるため、上述した特定ロタキサンに該当しない。
〔高分子微粒子の合成〕
下記表1に記載の割合[mol%]のモノマーの混合溶液(水:36g、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム):0.1g、ハイドロホーブ(ヘキサデカン):0.46g、総モノマー濃度:1600mM)を、超音波ホモジナイザーで超音波照射(375W、3分)してエマルジョン化した後、得られたエマルジョンに開始剤(過硫酸カリウム)(0.1g)を加えて、70℃で4時間重合反応させ(撹拌速度:200rpm(rotations per minute)、各高分子微粒子を得た。
下記表1中のモノマーの略称は以下のとおりである。
・EA:アクリル酸エチル
・MEA:2-メトキシエチルアクリレート
・MMA:メタクリル酸メチル
・HDD:1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(化学架橋剤)
・RC:上述のとおり合成した特定ロタキサン(RC)
・比較RC:上述のとおり合成した比較ロタキサン(比較RC)
〔評価〕
<破壊エネルギー、破断伸び、及び、破断応力>
得られた各高分子微粒子の分散液(5質量%、7mL)(遠心精製、透析済)を用いて5cm四方のフィルム(厚み:約0.4mm)を作製した。得られたフィルムから1cm×4cmのフィルムを4枚切り出して、長手方向中央にダイヤモンドカッターを使用して2mmの切り込みを入れた。このようにして、引張試験用の試験片を作製した。
得られた試験片について、テンシロン引張試験機を用いて引張試験(ロードセル:50N、伸長速度:10mm/分、試験温度:25℃)を行い、破壊エネルギー、破断伸び、及び、破断応力を評価した。結果を表1に示す。破壊エネルギー、破断伸び、及び、破断応力共に大きい方が好ましい。破壊エネルギーが大きい程、強靭性に優れると言える。
<残留歪>
上述のとおり作製したフィルムに対して100kPaの応力を10時間印加し、その後14時間緩和させた後の残留歪を測定した。残留歪が大きい程、脆性破壊に対する強靭性に優れる。残留歪は25%超であることが好ましい。残留歪みが25%超であると、ゴム材料に生じる亀裂進展に対してその進展速度がさらに抑制されると考えられる。
Figure 2022091113000002
なお、表1中、D(水)、D(DMF)及び膨潤度については上述のとおりである。
表1から分かるように、ロタキサンを用いずに合成した高分子微粒子である比較例1、及び、ロタキサンの代わりにHDDを用いて合成した高分子微粒子である比較例2~4と比較して、特定ロタキサンを用いて合成した高分子微粒子である実施例1~3は、破壊エネルギーが大きく、優れた強靭性を示した。また、特定ロタキサンを用いて合成した高分子微粒子である実施例2と、ロタキサンとして特定ロタキサン以外のロタキサンを用いて合成した高分子微粒子である比較例5との対比((メタ)アクリレートに対するロタキサンの含有量が0.05モル%の態様同士の対比)から、特定ロタキサンを用いて合成した高分子微粒子である実施例2は、優れた機械的特性(破壊エネルギー、破断伸び、破断応力)を示した。
実施例1~3の対比から、(メタ)アクリレートに対する特定ロタキサンの割合が0.01~0.15モル%である実施例1~2は、より優れた機械的特性(破壊エネルギー、破断伸び、破断応力)を示した。なかでも、(メタ)アクリレートに対する特定ロタキサンの割合が0.04~0.1モル%である実施例2は、さらに優れた機械的特性(破壊エネルギー、破断伸び、破断応力)を示した。
同様に、ロタキサンとして特定ロタキサン以外のロタキサンを用いて合成した高分子微粒子である比較例6と比較して、特定ロタキサンを用いて合成した高分子微粒子である実施例4は、破壊エネルギーが大きく、優れた強靭性を示した。
同様に、ロタキサンを用いずに合成した高分子微粒子である比較例7、ロタキサンの代わりにHDDを用いて合成した高分子微粒子である比較例8~10、及び、ロタキサンとして特定ロタキサン以外のロタキサンを用いて合成した高分子微粒子である比較例11と比較して、特定ロタキサンを用いて合成した高分子微粒子である実施例5~7は、破壊エネルギーが大きく、優れた強靭性を示した。
実施例5~7の対比から、(メタ)アクリレートに対する特定ロタキサンの割合が0.01~0.15モル%である実施例5~6は、より優れた機械的特性(破壊エネルギー、破断伸び、破断応力)を示した。なかでも、(メタ)アクリレートに対する特定ロタキサンの割合が0.04~0.1モル%である実施例6は、さらに優れた機械的特性(破壊エネルギー、破断伸び、破断応力)を示した。

Claims (9)

  1. 環状分子と前記環状分子を貫通する軸分子とを有するロタキサンと、(メタ)アクリレートとの共重合体からなる、高分子微粒子であって、
    前記環状分子及び前記軸分子のうち少なくとも一方が、重合性不飽和基含有基を有し、
    前記軸分子の炭素数が、4~12である、高分子微粒子。
  2. 前記(メタ)アクリレートとして2種以上の(メタ)アクリレートを併用した、請求項1に記載の高分子微粒子。
  3. 前記(メタ)アクリレートに対する前記ロタキサンの割合が、0.001~10モル%である、請求項1又は2に記載の高分子微粒子。
  4. 前記環状分子及び前記軸分子の両方が、重合性不飽和基含有基を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の高分子微粒子。
  5. 調和平均径が、2000nm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の高分子微粒子。
  6. 膨潤度が、18以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の高分子微粒子。
  7. 前記重合性不飽和基含有基の重合性不飽和基が、ビニル基、アクリル基、又は、メタクリル基である、請求項1~6のいずれか1項に記載の高分子微粒子。
  8. 破断伸びが、400%を超える、請求項1~7のいずれか1項に記載の高分子微粒子。
  9. 残留歪が、25%を超える、請求項1~8のいずれか1項に記載の高分子微粒子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024048770A1 (ja) * 2022-08-31 2024-03-07 国立研究開発法人科学技術振興機構 ポリマー微粒子の製造方法、ポリマー微粒子成形体、及びポリマー微粒子のリサイクル方法
WO2024135454A1 (ja) * 2022-12-19 2024-06-27 株式会社レゾナック 複合粒子、非水系二次電池用バインダー組成物および非水系二次電池電極

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