JP2022074217A - プラント保全リスク評価システムおよびプラント保全リスク評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の実施形態は、プラント保全活動のリスクを評価して保全計画の立案を支援する技術に関する。
一般に、プラントでは、定期点検もしくは運転中保全で、事前に定められた工程計画に沿ってプラント内機器の点検、修理および検査の3つの活動を行う。以下、3つの活動を総称して保全もしくは保全活動と呼ぶ。この保全活動の工程を管理するシステムには、例えば、信頼性評価システムと工程管理システムを連携して工程のリスクを算出し、問題作業を抽出するものがある。このようなシステムおよび方法においては、例えば、FTA(Fault Tree Analysis)の入力データに、点検周期の影響を加味した機器故障率データを用いることで、点検周期の延長による影響を工程リスクという尺度で評価している。
社会インフラ設備である各種プラント、その他施設は、その公共性から通常時はもとより、パンデミック、バイオテロ、化学テロ、自然災害などの緊急事態であっても、維持、運営および運転を継続する必要がある。しかし、パンデミックなどの緊急事態においては、人々の感染を防止するため、社会インフラ設備の維持管理に携わる人員の移動が制限される。また、自然災害であっても、人員の移動が制限されることが想定される。そのため、予め計画していた設備の試験検査または点検管理に必要な人員の確保が困難となり、社会インフラ設備の維持、運営および運転に支障が生じるおそれがある。
例えば、米国の原子力発電所では、COVID-19の影響で、運転に必須の人員をオンサイトで生活させることで運転人員を確保するようにしている。しかし、それ以外の人員は移動が制限されており、定期検査の先送りが検討されている。このような緊急事態時において、社会インフラ設備の保全計画を柔軟に変更するためには、高度な判断が必要となる。
従来のプラント工程管理技術では、定期検査の周期の変更などの影響を加味したリスク管理を行っていた。しかし、緊急事態時にプラントの保全人員数の減少などの影響を反映した保全の可否、人員リスク、調達品の調達リスク、経済リスクおよび保全延期による機器リスクを算出するものではなかった。
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、緊急事態において保全人員が減少するリスクなどを評価し、適切な保全計画を提示することができるプラント保全リスク評価技術を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係るプラント保全リスク評価システムは、プラントの保全作業の実行に必要な保全人員の少なくとも最小の必要人数を記憶する保全作業データベースと、特定事象に関する特定期間に実際に確保できる前記保全人員の人員数が前記必要人数以上であるか否かに基づいて前記保全作業の実行の可否を判定する保全可否判定部と、前記保全作業が実行できないと判定された場合の保全リスクを判定する保全リスク判定部と、を備える。
本発明の実施形態により、緊急事態において保全人員が減少するリスクなどを評価し、適切な保全計画を提示することができるプラント保全リスク評価技術が提供される。
以下、図面を参照しながら、プラント保全リスク評価システムおよびプラント保全リスク評価方法の実施形態について詳細に説明する。
図1の符号1は、本実施形態のプラント保全リスク評価システムである。このプラント保全リスク評価システム1は、定期点検(定検)計画もしくは運転中保全(オンラインメンテナンス)計画において、パンデミックなどの緊急事態(特定事象)が生じた場合に保全人員が減少するリスクなどを評価し、適切な保全計画を提示する。
例えば、プラント保全リスク評価システム1は、原子力発電所、火力発電所、水力発電所、新エネルギー発電所(風力発電所、太陽光発電所、バイオマス発電所など)などのエネルギープラント、化学プラント、または工場などのプラント、その他インフラ設備において、定期点検もしくは運転中保全を行う際に、緊急事態(パンデミック、バイオテロ、化学テロ、自然災害など)が生じた場合に、保全人員が減少するリスクなどを評価し、適切な保全計画を提示するものである。本実施形態では、原子力発電所の定期検査もしくは運転中保全に用いる態様を例示する。
パンデミックなどの特定事象が生じた場合に、人々の感染を防止するために、プラントの保全に携わる人員の移動が制限される期間が生じる。本実施形態では、このような通常とは異なる期間を特定期間と称する。この特定期間は、特定事象が生じている期間と同一の期間を含む。さらに、特定期間には、特定事象が治まった後に、しばらくその影響を受ける期間を含めても良い。また、本実施形態の特定期間は、初期の保全計画が立案された後の期間であり、初期の保全計画の立案時には、特定事象が発生する期間を予測できなかったものとする。
また、原子力発電所は、原子炉の炉心部に放射性物質を含む核燃料を内包している。そのため、日頃より、確率論的リスク評価手法(PRA)を用いて、炉心損傷頻度(CDF)を算出し、リスク評価に役立てている。
原子力発電所のようなプラントの保全時には、複数の関連部門が関わり、どの部門がプラントの保全リスクのボトルネックとなる箇所であるかが把握し難くなっている。プラント保全リスク評価システム1は、これらのリスクを一元管理することでリスク低減を図り、適切な保全計画を提示することができる。
本実施形態のプラント保全リスク評価システム1は、原子力発電所の定期点検もしくは運転中保全において、人員数推移に応じた保全可否と、保全人員・調達・経済リスクと、機器リスクとを提示することにより、パンデミックなどの保全人員の減少時に対応した保全計画の立案を効率的に行うことができる。
次に、プラント保全リスク評価システム1のシステム構成を図1から図2に示すブロック図を参照して説明する。
図1に示すように、プラント保全リスク評価システム1は、メイン制御部2と入力部3と出力部4と記憶部5と通信部6とを備える。
さらに、プラント保全リスク評価システム1は、保全作業データベース7と保全機器データベース8と保全人員・企業データベース9と保全機器調達データベース10とを備える。これらは、メモリ、HDDまたはクラウド上の保存容量に記憶され、検索または蓄積ができるよう整理された情報の集まりである。なお、クラウドを用いることで同一のプラントに限らず、他のプラントの情報を共有することも可能となる。
本実施形態のプラント保全リスク評価システム1は、CPU、ROM、RAM、HDDなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態のプラント保全リスク評価方法は、各種プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
プラント保全リスク評価システム1の各構成は、必ずしも1つのコンピュータに設ける必要はない。例えば、ネットワークで互いに接続された複数のコンピュータを用いて1つのプラント保全リスク評価システム1を実現しても良い。例えば、各種のデータベースがそれぞれ個別のコンピュータに搭載されていても良い。
入力部3には、プラント保全リスク評価システム1を使用するユーザの操作に応じて所定の情報が入力される。例えば、入力部3には、プラントで行う機器の保全作業と、そのスケジュールと、過去の保全実績値と、保全コスト(必要コスト)と、プラントに設けられている機器の構成とリスク評価に用いるフォールトツリーと、プラントでの保全作業に関連する人員・企業リストと、機器調達リストなどの保全作業情報が入力される。この入力部3には、マウスまたはキーボードなどの入力装置が含まれる。つまり、これら入力装置の操作に応じて所定の情報が入力部3に入力される。
出力部4は、所定の情報の出力を行う。例えば、出力部4は、メイン制御部2が導き出した評価結果とデータベース7~10に記憶された情報の出力を行う。本実施形態のプラント保全リスク評価システム1には、解析結果の出力を行うディスプレイなどの画像の表示を行う装置が含まれる。つまり、出力部4は、ディスプレイに表示される画像の制御を行う。なお、ディスプレイはコンピュータ本体と別体であっても良いし、一体であっても良い。
なお、本実施形態のプラント保全リスク評価システム1は、ネットワークを介して接続される他のコンピュータが備えるディスプレイに表示される画像の制御を行っても良い。その場合には、他のコンピュータが備える出力部4が、メイン制御部2が導き出した評価結果などの出力の制御を行っても良い。
なお、本実施形態では、画像の表示を行う装置としてディスプレイを例示するが、その他の態様であっても良い。例えば、プロジェクタを用いて情報の表示を行っても良い。さらに、紙媒体に情報を印字するプリンタをディスプレイの替りとして用いても良い。つまり、出力部4が制御する対象として、プロジェクタまたはプリンタが含まれていても良い。
記憶部5は、それぞれのデータベース7~10に記憶された情報に基づいて、定期検査もしくは運転中保全のリスク評価を行うときに必要な各種情報を記憶する。
通信部6は、インターネットなどの通信回線を介して他のコンピュータと通信を行う。なお、本実施形態では、プラント保全リスク評価システム1と他のコンピュータがインターネットを介して互いに接続されているが、その他の態様であっても良い。例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)または携帯通信網を介して互いに接続されても良い。
図2に示すように、メイン制御部2は、プラント保全リスク評価システム1を統括的に制御する。このメイン制御部2は、対象作業特定部11と保全可否判定部12と保全リスク判定部13と機器リスク判定部14とを備える。これらは、メモリまたはHDDに記憶されたプログラムがCPUによって実行されることで実現される。
本実施形態では、作業項目には作業ID、企業名には企業ID、作業人員には作業員ID、機器名には機器ID、部品には部品ID、プラントの系統には系統IDを割り振っている。このようにすれば、データ連携を容易にすることが可能となる。なお、IDとは、これに対応する事項を個々に識別するために必要な識別情報であり、それぞれの事項に対応付けて固有のIDが付与される。
図1に示すように、保全作業データベース7は、プラントの保全作業の実行に必要な保全人員の少なくとも最小の必要人数を記憶する。保全作業データベース7は、それぞれの作業に応じて必要な保全人員の必要人数を記憶する。なお、保全作業データベース7に記憶される必要人数は、最小の人数でなくても良い。例えば、最小の人数よりも多く、初期の保全計画時に、予定されている人数が保全作業データベース7に記憶されても良い。
この保全作業データベース7には、例えば、プラントで行う機器の作業項目と、その作業IDと、請負体制と、そのスケジュールと、保全コスト(必要コスト)とが記憶される。なお、作業項目には、作業に関する複数のタスクおよびその順序が対応付けられている。保全作業データベース7には、これらタスクに関する情報も記憶される。
また、保全作業データベース7には、時系列順に実行される複数の保全作業と、それぞれに対応する必要人数とが記憶される。また、保全作業データベース7には、少なくとも過去において保全作業に要した期間と要した人数とを示す保全実績値が記憶される。なお、保全実績値には、期間と人数以外の情報が含まれても良い。
図3に示すように、保全作業データベース7に記憶されるスケジュールには、プラントで行う機器の保全作業と、その期間との関係が登録されている。
このスケジュールでは、作業IDを主キーとして各種情報が登録される。例えば、作業IDに対応付けて、作業項目と、請負体制と、保全コスト(予算と実績値を含む。)と、人員(必要人数)と、各月における作業期間とが登録される。必ずしもこのスケジュールに示す全ての項目を含む必要はない。また、必要に応じて項目をスケジュールに追加しても良い。
例えば、図3のスケジュールの「(1)現場設営」の項目において、10月の第4週から11月第3週に亘ってタスクAとタスクBの計画値と実績値とが登録されている。計画値では、タスクA(第1保全作業)を先に実行し、その後にタスクB(第2保全作業)を実行するものであった。しかし、実績値では、タスクBを先に実行し、その後にタスクAを実行している。これは、本実施形態のプラント保全リスク評価システム1が、スケジュールを調整し、特定期間に実行されるタスク(保全作業)を入れ替えた結果である。
図1に示すように、保全機器データベース8は、機器リスク判定部14でリスク重要度と故障率および故障率の経時変動の予測値とを算出するときに用いるフォールトツリーを記憶する。このようにすれば、フォールトツリーに基づいて、プラントに設けられている機器の構成と機器リスクの評価を行うことができる。なお、機器リスクとは、保全作業を延期した場合に機器の故障などが生じるリスクを算出したものである。
図4に示すように、保全機器データベース8は、プラントに設けられている機器の構成とリスク評価に用いるフォールトツリーを記憶する。
このフォールトツリーにおいて、最下部の基事象15には、機器故障率データ、修復時間、または巡回点検の間隔などが入力される。これらの基事象15を論理ゲート16(ANDゲート、ORゲート)により関連付けてフォールトツリーを構築する。このフォールトツリーを用いて、頂上事象17の発生確率、またはリスクを算出することができる。
本実施形態では、フォールトツリーに基づく判定結果が系統の故障確率を含むものとなっている。このようにすれば、系統の故障確率を含めたリスク評価を行うことができる。
図1に示すように、保全人員・企業データベース9(保全人員データベース)は、保全作業に関する人員の情報が登録された保全人員リストと企業の情報が登録された企業リストとを記憶する。
図5(A)に示すように、人員リストでは、作業員IDを主キーとして各種情報が登録される。例えば、作業員IDに対応付けて、企業IDと、作業員の所属と、作業員名と、作業員のステータス情報と、作業員が保有している作業資格と、作業員が保全を経験したことがある機器である経験機器と、作業員の経験年数と、作業員の講習履歴とが登録される。
図5(B)に示すように、企業リストでは、企業IDを主キーとして各種情報が登録される。例えば、企業IDに対応付けて、企業名と、企業資格と、作業員数と、作業員名と、発注した場合の単価とが登録される。なお、作業員名には、追加的または代替的に、作業員名が登録されても良い。
人員リストと企業リストは、必ずしも図5(A)と図5(B)に示す全ての項目を含む必要はない。また、必要に応じて項目を人員リストと企業リストに追加しても良い。
これら人員リストと企業リストを用いることで、ある作業において、企業資格または作業資格などが必要な場合、有資格者のみを抽出することができる。また、人員リストのステータス情報と企業IDから、時系列の作業員の供給リソースを示すことができる。例えば、複数の企業の名称をディスプレイに表示する。そして、所定の企業名をマウスカーソルでクリックする、またはマウスカーソルを重ねることで、対応する企業の作業員の供給リソースを示す人員数推移(例えば、図9(A),図9(B))を表示させることができる。
図1に示すように、保全機器調達データベース10は、保全作業に必要な機器の調達に関する機器調達リストと既に調達済みの機器の保管品リストとを記憶する。
図6(A)に示すように、機器調達リストでは、機器IDを主キーとして各種情報が登録される。例えば、機器IDに対応付けて、機器名と、機器の保全を行っている保全メーカーの名称と、調達先と、調達先所在地と、機器の交換部材と、その頻度と、調達コストと、調達先リスク要因とが登録される。
図6(B)に示すように、保管品リストでは、機器IDを主キーとして各種情報が登録される。例えば、機器IDに対応付けて、機器名と、機器の部品IDと、部品名と、保管数と、調達先とが登録される。
機器調達リストと保管品リストは、必ずしも図6(A)と図6(B)に示す全ての項目を含む必要はない。また、必要に応じて項目を機器調達リストと保管品リストに追加しても良い。
図2に示すように、対象作業特定部11は、特定期間に実行が予定され、かつ保全リスクの判定の対象となる保全作業を特定する。このようにすれば、特定期間に実行が予定される保全作業を保全リスクの判定の対象として特定することができる。
また、対象作業特定部11は、保全作業データベース7に記憶されている情報に基づいて、複数の保全作業のうち特定期間に実行が予定されている保全作業を特定する。このようにすれば、時系列順に実行される複数の保全作業のうち特定期間に実行が予定されている保全作業を特定することができる。
例えば、対象作業特定部11は、保全作業データベース7に記憶されている、プラントで実行される機器の保全作業とそのスケジュールから、リスク評価を行う対象作業について特定する。そして、対象作業特定部11が、特定した作業について、保全リスク判定部13と機器リスク判定部14が評価結果を提示し、その結果により、保全可否判定部12で保全可否の判定を行うようにしている。
保全可否判定部12は、特定事象に関する特定期間に実際に確保できる保全人員(作業員)の人員数が必要人数以上であるか否かに基づいて保全作業の実行の可否を判定する。
また、保全可否判定部12は、特定期間に第1保全作業(例えば、タスクA)が実行できないと判定された場合に特定期間に実行される保全作業を第2保全作業(例えば、タスクB)に入れ替えた場合の判定を行う。例えば、特定期間に第1保全作業が実行できなくても第2保全作業が実行できる場合がある。その場合に特定期間に実行される保全作業を第2保全作業と入れ替えて、特定期間の後に第1保全作業を実行することで、複数の保全作業の全体の進行が遅れてしまうことを抑制することができる。
また、保全可否判定部12は、機器リスクが基準値未満であるか否かに基づいて保全作業の実行の可否を判定する。このようにすれば、保全作業が延期されることの機器リスクを考慮して保全作業の実行の可否を判定することができる。
また、保全可否判定部12は、機器が実際に調達できる実績調達数が保全作業に必要な必要調達数以上であるか否かに基づいて保全作業の実行の可否を判定する。このようにすれば、機器(調達品)の調達リスクを考慮して保全作業の実行の可否を判定することができる。
また、保全可否判定部12は、保全作業に必要なコストである必要コストが許容される許容コスト以下であるか否かに基づいて保全作業の実行の可否を判定する。このようにすれば、必要コストを考慮して保全作業の実行の可否を判定することができる。
また、保全可否判定部12は、保全実績値に基づいて保全作業の実行の可否を判定する。このようにすれば、過去の保全実績値に基づいて保全作業の実行の可否を判定することができる。
例えば、保全可否判定部12は、対象作業特定部11で特定した対象作業について、保全リスク判定部13と、機器リスク判定部14の提示結果を用いて、保全の可否を判定する。また、第1保全作業(例えば、タスクA)が保全不可能と判定された場合は、後工程である第2保全作業(例えば、タスクB)の保全可否を判定する。そして、この第2保全作業が保全可能のときの機器リスクを提示し、最後に必要な必要コストが許容コストを上回っていないかを提示する。
保全リスク判定部13(保全人員・調達・経済リスク判定部)は、保全作業が実行できないと判定された場合の保全リスクを判定する。
また、保全リスク判定部13は、保全実績値に基づいて収集された保全作業に必要な人員の情報と保全人員リストとの比較結果を提示する。このようにすれば、保全作業に必要な人員の情報と保全人員リストとの比較結果の提示により、ユーザが保全リスクを把握することができる。
機器リスク判定部14は、プラントに設けられている機器に関するフォールトツリーに基づいて保全作業に対応する機器リスクを判定する。
図7は、保全可否判定部12による保全可否の判定結果の提示の一例である。この判定結果がディスプレイに表示される。
例えば、この保全可否の判定結果の「(1)現場設営」の項目において、10月の第4週から11月の第1週に亘って、タスクAが作業不可能、タスクBが作業可能であるとする。これらタスクの計画期間を示す計画線と実績期間を示す実績線とが表示されている。
保全可否判定部12は、保全作業データベース7と保全人員・企業データベース9とを用いて、タスクAおよびタスクBの必要人数と、人員数推移実績、または人員数推移予測からタスクAおよびタスクBの保全可否を判定する。なお、必要人数、人員数推移実績は、保全作業データベース7に記憶されている機器の保全作業とそのスケジュールと過去の保全実績値から得ることができる。
タスクAの人員数推移予測(図9(A))とタスクBの人員数推移予測(図9(B))を算出する場合には、保全作業データベース7に記憶されている機器の保全作業と、そのスケジュールと、過去の保全実績値とを抽出する。さらに、保全人員・企業データベース9に記憶されている人員の作業資格と、経験機器と、講習履歴を抽出する。なお、必要に応じて、選定する条件が合致する保全人員のステータス情報に基づき、保全人員の確保数が減少した場合にその代替が可能な人数を抽出することもできる。
保全コスト(必要コスト)は、保全作業データベース7に記憶されている機器の保全作業の保全コストに関する情報に基づいて、保全可否の判定結果の提示で、「OK」または「NG」を用いて表示しても良いし、文章で出力しても良い。
調達リスクは、保全機器調達データベース10に記憶されている情報に基づいて、保全可否の判定結果の提示で、「OK」または「NG」を用いて表示しても良いし、文章で出力しても良い。
また、保全可否の判定結果をディスプレイに表示中に、タスクの計画線(またはタスク名)を、マウスカーソルでクリックする、またはマウスカーソルを重ねることで、対応する保全作業の人員数推移(例えば、図9(A)と図9(B))を表示させることができる。
図9(A)において、破線がタスクAの計画時の人員数を示し、実線がタスクAの実績時の人員数を示す。特定期間Tにおいて、タスクAのために確保できる人員数の実績値が計画時よりも減少していることを示している。
図9(B)において、破線がタスクBの計画時の人員数を示し、実線がタスクBの実績時の人員数を示す。特定期間Tにおいて、タスクBのために確保できる人員数の実績値が減少しているが、計画時を下回らないことを示している。
図7の保全可否の判定結果では、特定期間において、作業順序を入れ替えることを提示している。例えば、「(1)現場設営」の項目のタスクAとタスクBの作業順序を入れ替えることを提示している。
なお、人員数推移(図9(A),図9(B))において、人員数の減少から人員数の増加に転じている状況としては、パンデミック時などに濃厚接触者が一時的に待機状態となったが解除された場合、代替企業または他サイトなどの応援人員が招集された場合などが想定されている。これらの実績またはその予測なども保全可否の判定に用いられる。
また、復帰する保全人員または他サイトからの応援人員においては、その予定日時を保全人員・企業データベース9に入力して記憶させることで、保全可否判定部12の提示をより確度の高いものにできる。
図8は、保全可否判定部12による保全可否の判定結果の提示の他の例である。この判定結果がディスプレイに表示される。
この保全可否の判定結果は、保全作業データベース7と、保全人員・企業データベース9と、保全リスク判定部13と、機器リスク判定部14とを用いて導き出される。
例えば、作業項目が「(1)A系統保全」および「(2)B系統保全」の必要人数(人員)と、人員数推移実績または人員数推移予測から、「(1)A系統保全」が作業不可能であり、「(2)B系統保全」が作業可能であるとする。このような場合に、作業順序を入れ替え「(2)B系統保全」を先に行うことを提示するが、「(1)A系統保全」を延期したときの機器リスク推移を、ユーザが把握しておく必要がある。
図10は、保全作業を延期した場合の所定の機器に関する機器リスク推移を示している。破線が保全作業を行った場合の機器リスク推移を示し、実線が保全作業を行わなかった場合の機器リスク推移を示す。保全作業を行わなかった場合には、時間の経過とともに機器リスクが上昇することが分かる。例えば、機器リスク判定部14は、特定期間Tの終了時に機器リスクの値(実線が示す値)が基準値未満であるか否かを判定する。
この機器リスク推移は、機器リスク判定部14で算出する。なお、機器リスクの算出には、必要に応じて、リスク重要度(例えば、スクラムリスク重要度または事故リスク重要度)と、故障率および故障率の経時変動の予測値を用いる。なお、人員推移または過去の保全実績に基づき、保全期間の予測値もしくは実績値を含めて、機器リスク推移を算出しても良い。また、調達リスク推移に関しても、機器リスク判定部14で算出することができる。
人員数推移グラフ(図9(A),図9(B))と機器リスク推移グラフ(図10)は、例えば、ディスプレイに表示されるスケジュール(図3)のタスクの計画線(またはタスク名)を、マウスカーソルでクリックする、またはマウスカーソルを重ねることで表示される。
図8に示すように、保全リスク判定部13は、保全作業データベース7に記憶されている機器の保全作業と、そのスケジュールと、過去の保全実績値から、必要な人員情報を収集し、保全人員・企業データベース9に記憶されている保全人員リストとの比較結果を提示する。
なお、人員数の比較は、条件となる所定の閾値との比較を用いても良い。例えば、作業員が2名不足している場合は、「-2名」と表示する。必ずしもこの比較結果に示す全ての項目を含む必要はない。また、必要に応じて項目を比較結果に追加しても良い。
また、保全リスク判定部13は、保全作業データベース7に記憶されている保全作業の保全コストデータから、保全に要する保全コスト(必要コスト)が、保全発注者の予算もしくは予算を超えた場合に、発注者が発注を許容するコスト(許容コスト)を上回っているか否かを判定する。例えば、代替企業を提示するときは、元の保全コストと代替企業の保全コストを許容コスト比で提示する。許容コスト比は、以下の数式1を用いて算出する。
例えば、保全コストが予算の8割のときは、許容コスト比が「0.8」となる。また、保全コストが予算の9割のときは、許容コスト比が「0.9」となる。なお、人員確保可否または機器調達可否とともに、保全コストの上昇という経済的な観点のリスク(経済リスク)を提示することとができる。また、保全状況によって、保全コストの上昇という経済リスクを受け入れられる度合いが変化するため、保全不可能とする基準値は、それぞれの作業ごとに決定する。
図11(A)に示すように、保全リスク判定部13の保全リスク評価では、例えば、作業IDに対応付けて、作業項目と、元請の企業名と、一次企業の企業名と、二次企業の企業名と、現状人員および必要人員の人数と、現状人員と必要人員の差分である人員差と、代替企業可否および派遣可能人員に関する情報と、調達リスクの有無と、保全コストとが提示される。
この保全リスク評価をユーザが参照することで、例えば、「分解点検」の作業項目において、人員不足であるが、代替企業との人員調整により、作業可能であると把握することができる。また、「分解点検」の作業項目において、調達リスクが「有」と表示されている。この調達リスクの項目をマウスカーソルでクリックする、またはマウスカーソルを重ねることで、対応する調達リスクの詳細を表示させることができる。
図11(B)に示すように、調達リスクの詳細では、例えば、作業IDに対応付けて、作業項目と、機器IDと、取り替えの対象となる機器名と、機器またはその部品の必要数(必要調達数)と、機器またはその部品の保管数と、必要数と保管数の差と、機器またはその部品を調達するときのリードタイムまたは納品予定日と、調達先のリスク要因と、保全スケジュールとが提示される。
調達リスクの詳細をユーザが参照することで、例えば、「分解点検」の作業項目において、取り替えの対象となる機器の必要数(必要調達数)を満たしていないことが把握できる。
なお、調達先のリスク要因とは、例えば、調達先企業の立地条件と、地政学的リスクと、物流条件と、その他調達に関する一切の要因とを含む。
図4に示すように、機器リスク判定部14は、保全機器データベース8に記憶されているフォールトツリーを用いて、リスク重要度と、故障率および故障率の経時変動の予測値を算出し、提示する。
リスク重要度としては、スクラムリスク重要度または事故リスク重要度を用いる。スクラムリスク重要度は、原子炉の計画外スクラムまたは出力低下を発生させる事象を頂上事象17とし、それぞれの機器の故障確率を基事象15としてフォールトツリーを用いて算出される。このスクラムリスク重要度は、発電ロス事象発生頻度への機器の寄与度を表す指標で、FV値およびRAW値を代表とするものである。
FV値は、以下の数式2を用いて算出する。RAW値は、以下の数式3を用いて算出する。ここで、F(GL/A=0)は、所定の事象Aの発生確率が0の場合の発電ロス事象発生頻度を表す。F(GL/A=1)は、所定の事象Aの発生確率が1の場合の発電ロス事象発生頻度を表す。F(GL)は、発電ロス事象発生頻度を表す。必要に応じて、発電ロス事象発生頻度を発電ロス発生確率などに置き換えて使用することができる。
FV値は、対象としている設備または機器などが故障しないとした場合に、発電ロス事象発生頻度などが、どの程度変化するかを表す指標である。例えば、所定の設備または機器の故障率の低減による信頼性向上効果を把握することができる。
RAW値は、対象としている設備または機器などが故障した場合に、発電ロス事象発生頻度などが、どの程度増加するかを表す指標である。例えば、所定の設備または機器を待機除外した場合のリスク影響を把握することができる。
図12に示すように、機器リスクの判定結果では、例えば、系統IDに対応付けて、系統および機器名称と、系統ステータスと、保全間隔と、機器故障率と、各月における機器リスク推移を示すグラフ18とが提示される。なお、機器リスクは、フォールトツリー(図4)を用いて算出される。
機器リスク推移を示すグラフ18は、それぞれの系統IDに対応して表示される。ユーザは、複数の機器リスク推移を同時に参照することができる。また、機器リスク推移を示すグラフ18に対応して、保全開始から保全終了までの保全期間19が表示される。さらに、本日の時点を示すライン20が表示される。
次に、プラント保全リスク評価システム1が実行するプラント保全リスク評価処理(評価方法)について図13から図15フローチャートを用いて説明する。なお、図1から図2に示すブロック図を適宜参照する。以下のステップは、プラント保全リスク評価処理に含まれる少なくとも一部であり、他のステップがプラント保全リスク評価処理に含まれても良い。
図13に示すように、まず、ステップS11において、ユーザの操作に基づいて、入力部3から保全作業情報がプラント保全リスク評価システム1に入力される。また、通信部6を介して接続された他のコンピュータから保全作業情報がプラント保全リスク評価システム1に入力されても良い。
なお、保全作業情報には、例えば、リスク評価に用いるフォールトツリー(図4)が含まれる。また、計画値と実績値とが含まれる。さらに、特定期間に関する情報が含まれる。また、保全作業情報の入力時は、初期の保全計画時でも良いし、保全作業を行う直前の期間でも良いし、特定事象が発生したときでも良いし、特定期間が把握されたときでも良い。また、修正された保全作業情報がその修正の度に入力されても良い。また、実績値は、それぞれに保全作業が終了する度に入力されても良い。
次のステップS12において、データベース7~10は、入力された保全作業情報を記憶する。例えば、保全作業データベース7は、保全作業情報に含まれるプラントの保全作業の実行に必要な保全人員の少なくとも最小の必要人数を記憶する。保全機器データベース8は、フォールトツリーを記憶する。保全人員・企業データベース9は、保全人員リストと企業リストとを記憶する。保全機器調達データベース10は、機器調達リストと保管品リストとを記憶する。
次のステップS13において、対象作業特定部11は、保全リスクの判定(評価)の対象となる保全作業を特定する。例えば、対象作業特定部11は、特定期間に実行が予定される保全作業(第1保全作業、タスクA)を特定する。
次のステップS14において、保全可否判定部12は、対象作業特定部11が特定した保全作業について、保全作業(第1保全作業、タスクA)の実行の可否の判定処理を開始する。ここで、ステップS15およびステップS16に進む。
ステップS15において、保全可否判定部12は、第1保全作業(タスクA)のために、特定期間に実際に確保できる保全人員の人員数が必要人数以上であるか否かを判定する。ここで、実際に確保できる保全人員の人員数が必要人数以上である場合(ステップS15でYESの場合)は、ステップS17に進む。一方、実際に確保できる保全人員の人員数が必要人数未満である場合(ステップS15でNOの場合)は、ステップS31(図14)に進む。
図14に示すように、ステップS31において、保全可否判定部12は、保全人員・企業データベース9の人員リストから代替人員を抽出する。なお、代替人員の抽出は、コンピュータのみならず、ユーザが行っても良い。
次のステップS32において、保全可否判定部12は、第1保全作業(タスクA)のために、代替人員を含めて確保できる保全人員の人員数が必要人数以上であるか否かを判定する。ここで、代替人員を含めて確保できる保全人員の人員数が必要人数以上である場合(ステップS32でYESの場合)は、ステップS17(図13)に進む。一方、代替人員を含めて確保できる保全人員の人員数が必要人数未満である場合(ステップS32でNOの場合)は、ステップS33に進む。
ステップS33において、保全可否判定部12は、特定期間内に計画されている保全工程(第1保全作業、タスクA)の後工程であって、特定期間以外の期間に実行が予定されている保全作業(第2保全作業、タスクB)が、特定期間内に実行できるか否かの判定処理を開始する。なお、本実施形態の第2保全作業は、第1保全作業よりも後に実行が予定されているものを例示しているが、第2保全作業は、未実行であるものならば、第1保全作業よりも前に実行が予定されているものでも良い。
次のステップS34において、保全可否判定部12は、第2保全作業(タスクB)のために、特定期間に実際に確保できる保全人員の人員数が必要人数以上であるか否かを判定する。ここで、実際に確保できる保全人員の人員数が必要人数以上である場合(ステップS34でYESの場合)は、ステップS35に進む。一方、実際に確保できる保全人員の人員数が必要人数未満である場合(ステップS35でNOの場合)は、ステップS22(図13)に進む。
ステップS35において、機器リスク判定部14は、保全機器データベース8に記憶されているフォールトツリーに基づいて保全作業に対応する機器リスクを判定する。ここで、機器リスク判定部14は、フォールトツリーを用いて、リスク重要度と、故障率および故障率の経時変動の予測値を算出する。つまり、機器リスク判定部14は、仮に保全作業を延期した場合に機器(または部品)に生じる故障などのリスクを算出する。
次のステップS36において、機器リスク判定部14は、算出した機器リスクが基準値未満であるか否かを判定する。ここで、機器リスクが基準値未満である場合(ステップS36でYESの場合)は、ステップS17(図13)に進む。一方、機器リスクが基準値未満でない場合(ステップS36でNOの場合)は、ステップS22(図13)に進む。
図13に示すように、前述のステップS14から進むステップS16において、保全可否判定部12は、保全機器調達データベース10の機器調達リストおよび保管品リストに基づいて、第1保全作業(タスクA)のために必要な機器の実績調達数が必要調達数以上であるか否かを判定する。なお、この実績調達数には、調達先から調達できる機器(または部品)の数と、プラントに保管されている機器(または部品)の数とを含む。ここで、実績調達数が必要調達数以上である場合(ステップS16でYESの場合)は、ステップS17に進む。一方、実績調達数が必要調達数未満である場合(ステップS16でNOの場合)は、ステップS41(図15)に進む。
図15に示すように、ステップS41において、保全可否判定部12は、第1保全作業(タスクA)の開始前までに必要な機器を調達できるか否かの判定処理を開始する。
次のステップS42において、保全可否判定部12は、保全機器調達データベース10の機器調達リストに基づいて、第1保全作業(タスクA)のために、機器が実際に調達できる実績調達数が保全作業に必要な必要調達数以上であるか否かを判定する。なお、この実績調達数は、調達先から調達できる機器(または部品)の数である。ここで、実績調達数が必要調達数以上である場合(ステップS42でYESの場合)は、ステップS17(図13)に進む。一方、実績調達数が必要調達数未満である場合(ステップS42でNOの場合)は、ステップS43に進む。
ステップS43において、保全可否判定部12は、特定期間内に計画されている保全工程(第1保全作業、タスクA)の後工程であって、特定期間以外の期間に実行が予定されている保全作業(第2保全作業、タスクB)の開始前までに、必要な機器を調達できるか否かの判定処理を開始する。
次のステップS44において、保全可否判定部12は、保全機器調達データベース10の機器調達リストに基づいて、第2保全作業(タスクB)のために、機器が実際に調達できる実績調達数が保全作業に必要な必要調達数以上であるか否かを判定する。なお、この実績調達数は、調達先から調達できる機器(または部品)の数である。ここで、実績調達数が必要調達数以上である場合(ステップS44でYESの場合)は、ステップS35(図14)に進む。一方、実績調達数が必要調達数未満である場合(ステップS44でNOの場合)は、ステップS22(図13)に進む。
図13に示すように、前述のステップS15,S16,S32,S36,S42でYESの場合に進むステップS17において、保全リスク判定部13は、保全リスク(人員リスクと調達リスクと経済リスクとを含む統合リスク)の判定処理を開始する。
ステップS18において、保全リスク判定部13は、保全作業のために、実際に確保できる保全人員に関する人員リスクが許容可能であるか否かを判定する。ここで、人員リスクが許容できない場合(ステップS18でNOの場合)は、ステップS22に進む。一方、人員リスクが許容可能である場合(ステップS18でYESの場合)は、ステップS19に進む。
ステップS19において、保全リスク判定部13は、保全作業のために、必要な機器の調達に関する調達リスクが許容可能であるか否かを判定する。ここで、調達リスクが許容できない場合(ステップS19でNOの場合)は、ステップS22に進む。一方、調達リスクが許容可能である場合(ステップS19でYESの場合)は、ステップS20に進む。
ステップS20において、保全リスク判定部13は、保全作業に必要な必要コストが許容される許容コスト以下であるか否かを判定する。ここで、必要コストが許容コストを超えている場合(ステップS20でNOの場合)は、ステップS22に進む。一方、必要コストが許容コスト以下である場合(ステップS20でYESの場合)は、ステップS21に進む。
ステップS21において、保全リスク判定部13は、保全作業の実行が可能であるとする判定(評価)結果を導出する。この判定結果には、保全作業が実行できると判定された場合の保全リスクに関する情報が含まれる。そして、ステップS23に進む。
前述のステップS18,S19,S20,S34,S36,S44でNOの場合に進むステップS22において、保全リスク判定部13は、保全作業の実行が不可能であるとする判定(評価)結果を導出する。この判定結果には、保全作業が実行できないと判定された場合の保全リスクに関する情報が含まれる。そして、ステップS23に進む。
ステップS23において、保全リスク判定部13は、保全リスク(人員リスクと調達リスクと経済リスクとを含む統合リスク)の判定(評価)結果をディスプレイなどに出力する。そして、プラント保全リスク評価処理を終了する。
なお、前述の実施形態において、所定の閾値(必要人数、基準値、必要調達数、許容コスト)を用いた任意の値(人員数、機器リスク、実績調達数、必要コスト)の判定は、「任意の値が閾値以上か否か」の判定でも良いし、「任意の値が閾値を超えているか否か」の判定でも良い。或いは、「任意の値が閾値以下か否か」の判定でも良いし、「任意の値が閾値未満か否か」の判定でも良い。また、閾値が固定されるものでなく、変化するものであっても良い。従って、閾値の代わりに所定範囲の値を用い、任意の値が所定範囲に収まるか否かの判定を行っても良い。また、予め装置に生じる誤差を解析し、閾値を中心として誤差範囲を含めた所定範囲を判定に用いても良い。
なお、前述の実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
前述の実施形態のシステムは、専用のチップ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスまたはキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。このシステムは、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
なお、前述の実施形態のシステムで実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されて提供するようにしても良い。
また、このシステムで実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしても良い。また、このシステムは、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
以上説明した実施形態によれば、特定事象に関する特定期間に実際に確保できる保全人員の人員数が必要人数以上であるか否かに基づいて保全作業の実行の可否を判定する保全可否判定部を備えることにより、緊急事態において保全人員が減少するリスクなどを評価し、適切な保全計画を提示することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態またはその変形は、発明の範囲と要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…プラント保全リスク評価システム、2…メイン制御部、3…入力部、4…出力部、5…記憶部、6…通信部、7…保全作業データベース、8…保全機器データベース、9…保全人員・企業データベース、10…保全機器調達データベース、11…対象作業特定部、12…保全可否判定部、13…保全リスク判定部、14…機器リスク判定部、15…基事象、16…論理ゲート、17…頂上事象、18…グラフ、19…保全期間、20…ライン、T…特定期間。
Claims (11)
- プラントの保全作業の実行に必要な保全人員の少なくとも最小の必要人数を記憶する保全作業データベースと、
特定事象に関する特定期間に実際に確保できる前記保全人員の人員数が前記必要人数以上であるか否かに基づいて前記保全作業の実行の可否を判定する保全可否判定部と、
前記保全作業が実行できないと判定された場合の保全リスクを判定する保全リスク判定部と、
を備える、
プラント保全リスク評価システム。 - 前記特定期間に実行が予定され、かつ前記保全リスクの判定の対象となる前記保全作業を特定する対象作業特定部を備える、
請求項1に記載のプラント保全リスク評価システム。 - 前記保全作業データベースには、時系列順に実行される複数の前記保全作業とそれぞれに対応する前記必要人数とが記憶されており、
前記対象作業特定部は、複数の前記保全作業のうち前記特定期間に実行が予定されている前記保全作業を特定する、
請求項2に記載のプラント保全リスク評価システム。 - 複数の前記保全作業が第1保全作業と第2保全作業とを含み、
前記保全可否判定部は、前記特定期間に前記第1保全作業が実行できないと判定された場合に前記特定期間に実行される前記保全作業を前記第2保全作業に入れ替えた場合の判定を行う、
請求項3に記載のプラント保全リスク評価システム。 - 前記プラントに設けられている機器に関するフォールトツリーに基づいて前記保全作業に対応する機器リスクを判定する機器リスク判定部を備え、
前記保全可否判定部は、前記機器リスクが基準値未満であるか否かに基づいて前記保全作業の実行の可否を判定する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプラント保全リスク評価システム。 - 前記機器リスク判定部でリスク重要度と故障率および前記故障率の経時変動の予測値とを算出するときに用いる前記フォールトツリーを記憶する保全機器データベースを備える、
請求項5に記載のプラント保全リスク評価システム。 - 少なくとも前記保全作業に必要な機器の調達に関する機器調達リストを記憶する保全機器調達データベースを備え、
前記保全可否判定部は、前記機器が実際に調達できる実績調達数が前記保全作業に必要な必要調達数以上であるか否かに基づいて前記保全作業の実行の可否を判定する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプラント保全リスク評価システム。 - 前記保全可否判定部は、前記保全作業に必要なコストである必要コストが許容される許容コスト以下であるか否かに基づいて前記保全作業の実行の可否を判定する、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプラント保全リスク評価システム。 - 前記保全作業データベースには、少なくとも過去において前記保全作業に要した期間と要した人数とを示す保全実績値が記憶され、
前記保全可否判定部は、前記保全実績値に基づいて前記保全作業の実行の可否を判定する、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のプラント保全リスク評価システム。 - 前記保全作業に関する人員の情報が登録された保全人員リストを記憶する保全人員データベースを備え、
前記保全リスク判定部は、前記保全実績値に基づいて収集された前記保全作業に必要な前記人員の情報と前記保全人員リストとの比較結果を提示する、
請求項9に記載のプラント保全リスク評価システム。 - 保全作業データベースに、プラントの保全作業の実行に必要な保全人員の少なくとも最小の必要人数を記憶するステップと、
保全可否判定部が、特定事象に関する特定期間に実際に確保できる前記保全人員の人員数が前記必要人数以上であるか否かに基づいて前記保全作業の実行の可否を判定するステップと、
保全リスク判定部が、前記保全作業が実行できないと判定された場合の保全リスクを判定するステップと、
を含む、
プラント保全リスク評価方法。
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