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JP2021129487A - 蓄電装置 - Google Patents

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JP2021129487A
JP2021129487A JP2020024745A JP2020024745A JP2021129487A JP 2021129487 A JP2021129487 A JP 2021129487A JP 2020024745 A JP2020024745 A JP 2020024745A JP 2020024745 A JP2020024745 A JP 2020024745A JP 2021129487 A JP2021129487 A JP 2021129487A
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Hiroyuki Nomura
博之 野村
俊雄 小田切
Toshio Odagiri
俊雄 小田切
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Abstract

【課題】直列接続される複数の電池を備える蓄電装置において、電池の開回路電圧による電池の充電率の推定精度が良くない場合であっても、電池の充電率を均等化する。【解決手段】電池B1、B2と、電池B1、B2をそれぞれ放電するセルバランス回路CVと、電池B1、B2に流れる電流の積算値を用いる電流積算法により電池B1、B2の充電率を推定する充電率推定部521と、充電率の推定精度が良いか否かを判定する精度判定部522と、充電率の推定精度が良いと判定された場合、電池B1、B2の充電率が均等化するようにセルバランス回路CVの動作を制御し、充電率の推定精度が良くないと判定された場合、電池B1、B2の充電率を均等化しないセルバランス制御部523とを備えて蓄電装置1を構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、直列接続される複数の電池を備える蓄電装置に関する。
蓄電装置として、直列接続される複数の電池のうちのいずれかの電池の充電率の単位変化量に対する電池の開回路電圧の変化量が所定量よりも小さい場合からその変化量が所定量よりも大きくなる場合に移行すると、充電率と開回路電圧との対応関係を用いて各電池の充電率を均等化するものがある。関連する技術として、特許文献1がある。
ところで、各電池の充電率が均等化されていない場合、電池全体で使用可能な容量が制限されて、蓄電装置を搭載する車両の走行可能距離が短くなるおそれがある。
そのため、上記蓄電装置では、電池の充電率の単位変化量に対する電池の開回路電圧の変化量が所定量よりも小さい場合など、充電率と開回路電圧との対応関係を用いて推定される電池の充電率の推定精度が良くない場合、各電池の充電率が均等化されず、車両の走行可能距離が短くなるおそれがある。
特開2015−136268号公報
本発明の一側面に係る目的は、直列接続される複数の電池を備える蓄電装置において、充電率と開回路電圧との対応関係を用いて推定される電池の充電率の推定精度が良くない場合であっても、各電池の充電率を均等化することである。
本発明に係る一つの形態である蓄電装置は、直列接続された複数の電池と、各電池をそれぞれ放電するセルバランス回路と、各電池に流れる電流の積算値を用いる電流積算法により各電池の充電率を推定する充電率推定部と、充電率の推定精度が良いか否かを判定する精度判定部と、充電率の推定精度が良いと判定された場合、各電池の充電率が均等化するようにセルバランス回路の動作を制御し、充電率の推定精度が良くないと判定された場合、各電池の充電率を均等化しないセルバランス制御部とを備える。
これにより、充電率と開回路電圧との対応関係を用いて推定される電池の充電率の推定精度が良くない場合であっても、電池に流れる電流の積算値を用いて推定される電池の充電率の推定精度が良い場合、各電池の充電率を均等化することができる。
充電率推定部は、推定タイミングになると、前回の推定タイミングで推定した充電率、前回の推定タイミングから今回の推定タイミングまでの間に各電池に流れる電流の積算値、及び各電池の満充電容量を用いる電流積算法により各電池の充電率を推定し、または、各電池の開回路電圧を用いる電圧法により前記各電池の充電率を推定し、精度判定部は、開回路電圧の検出精度を示す第1の指標、電流の積算値の算出精度を示す第2の指標、及び満充電容量の推定精度を示す第3の指標のうちの少なくとも1つに基づく指標が、閾値よりも高い場合、充電率の推定精度が良いと判定するように構成してもよい。
これにより、使用する指標の数が多くなるほど、充電率の推定精度が良いか否かを判定する際の判定精度を高くすることができる。また、精度判定部の処理能力に応じて、第1〜第3の指標のうち、使用する指標を選択することができるため、精度判定部の処理能力の自由度を上げることができる。
本発明によれば、直列接続される複数の電池を備える蓄電装置において、充電率と開回路電圧との対応関係を用いて推定される電池の充電率の推定精度が良くない場合であっても、各電池の充電率を均等化することができる。
実施形態の蓄電装置の一例を示す図である。 記憶部に記憶されている情報の一例を示す図である。 記憶部に記憶されている情報の他の例を示す図である。 セルバランス処理の一例を示すフローチャートである。
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、実施形態の蓄電装置の一例を示す図である。
図1に示す蓄電装置1は、電動フォークリフトなどの産業車両や電気自動車などの車両Veに搭載され、電池B1、B2と、電流計2と、温度計3と、スイッチSW1〜SW3と、監視ECU(Electronic Control Unit)4と、セルバランス回路CVと、電池ECU5とを備える。
車両Veは、蓄電装置1の他に、車両Veの走行用のモータMと、モータMを駆動するインバータ回路Invと、インバータ回路Invの動作を制御するとともに車両Veの外部に設けられる充電器Chと通信を行う車両ECU6とを備える。
インバータ回路Invは、スイッチを備え、そのスイッチが繰り返しオン、オフすることにより、電池B1、B2から供給される直流電力を交流電力に変換してモータMに供給する。また、インバータ回路Invは、スイッチが繰り返しオン、オフすることにより、モータMから供給される交流電力(回生電力)を直流電力に変換して電池B1、B2に供給する。
車両ECU6は、プロセッサや記憶部などを備えて構成され、インバータ回路Invのスイッチのオン、オフを制御する制御信号のデューティ比を変化させることにより、インバータ回路Invから電池B1、B2に供給される電力または電池B1、B2からインバータ回路Invに供給される電力を変化させる。車両ECU6の機能を電池ECU5の機能に含ませて電池ECU5と車両ECU6とを統合し、その統合後の電池ECU5を蓄電装置1または車両Veに設けてもよい。
電池B1、B2は、それぞれ、1つ以上のリチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの二次電池により構成される。電池B1のマイナス端子は電池B2のプラス端子に接続されている。すなわち、電池B1、B2は互いに直列接続されている。電池B1のプラス端子はインバータ回路Invのプラス入力端子に接続されている。電池B2のマイナス端子は、電流計2及びスイッチSW1、SW2を介してインバータ回路Invのマイナス入力端子に接続されている。また、充電器Chが充電ケーブルなどを介して車両Veに接続されているとき、電池B1のプラス端子が充電器Chのプラス端子に接続され、電池B2のマイナス端子が電流計2及びスイッチSW1、SW3を介して充電器Chのマイナス端子に接続される。また、電池B1のプラス端子は監視ECU4の入力端子In1に接続され、電池B1のマイナス端子と電池B2のプラス端子との接続点は監視ECU4の入力端子In2に接続され、電池B2のマイナス端子は監視ECU4の入力端子In3に接続されている。なお、電池B1、B2を特に区別しない場合、単に、電池Bとする。また、互いに直列接続される電池Bの数は3つ以上でもよい。
電流計2は、シャント抵抗などにより構成され、電池B1、B2に流れる電流を検出し、その検出した電流を監視ECU4に送る。
温度計3は、サーミスタなどにより構成され、電池B1、B2の温度を検出し、その検出した温度を監視ECU4に送る。
監視ECU4は、プロセッサや記憶部などを備えて構成され、電池B1、B2のそれぞれの電圧を検出する。すなわち、監視ECU4は、入力端子In2と入力端子In3との間にかかる電圧を、電池B2の電圧として検出し、入力端子In1と入力端子In3との間にかかる電圧から電池B2の電圧を減算した電圧を、電池B1の電圧として検出する。また、監視ECU4は、CAN(Controller Area Network)通信などを用いて、検出した電圧、電流計2により検出された電流、及び温度計3により検出された温度を電池ECU5に送信する。
スイッチSW1〜SW3は、それぞれ、半導体スイッチ(例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor))または電磁式リレーなどにより構成される。なお、スイッチSW1〜SW3は、電池B1のプラス端子側に接続されていてもよい。
スイッチSW1、SW2が導通し、スイッチSW3が遮断すると、インバータ回路Invから電池B1、B2に電力を供給することが可能な状態になるとともに、電池B1、B2からインバータ回路Invに電力を供給することが可能な状態になる。また、充電器Chが車両Veに接続されているとき、スイッチSW1、SW3が導通し、スイッチSW2が遮断すると、充電器Chから電池B1、B2に電力が供給することが可能な状態になる。インバータ回路Invまたは充電器Chから電池B1、B2に電力が供給されると、電池B1、B2が充電され電池B1、B2の充電率(電池Bの満充電容量に対する電池Bの容量の割合)及び電圧が増加し、電池B1、B2からインバータ回路Invに電力が供給されると、電池B1、B2が放電され電池B1、B2の充電率及び電圧が減少する。
セルバランス回路CVは、抵抗R1、R2と、スイッチS1、S2とを備える。
抵抗R1及びスイッチS1は、互いに直列接続されているとともに、電池B1に並列接続されている。すなわち、抵抗R1の一方端子が電池B1のプラス端子に接続され、抵抗R1の他方端子がスイッチS1の一方端子に接続され、スイッチS1の他方端子が電池B1のマイナス端子に接続されている。スイッチS1が遮断状態から導通状態に切り替わると、抵抗R1により電池B1が放電して、電池B1の充電率及び電圧が減少する。
抵抗R2及びスイッチS2は、互いに直列接続されているとともに、電池B2に並列接続されている。すなわち、抵抗R2の一方端子が電池B2のプラス端子に接続され、抵抗R2の他方端子がスイッチS2の一方端子に接続され、スイッチS2の他方端子が電池B2のマイナス端子に接続されている。スイッチS2が遮断状態から導通状態に切り替わると、抵抗R2により電池B2が放電して、電池B2の充電率及び電圧が減少する。
なお、抵抗R1、R2を特に区別しない場合、単に、抵抗Rとする。また、スイッチS1、S2を特に区別しない場合、単に、スイッチSとする。また、3つ以上の電池Bを蓄電装置1に備える場合、互いに直列接続される抵抗R及びスイッチSが各電池Bにそれぞれ並列接続され、何れかのスイッチSが遮断状態から導通状態に切り替わることにより各電池Bが選択的に放電する。
電池ECU5は、記憶部51と、プロセッサ52とを備える。
記憶部51は、RAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)などにより構成される。また、記憶部51は、後述する、分極解消時間と指標P1(第1の指標)との対応関係を示す情報D1、電流積算継続時間と指標P2(第2の指標)との対応関係を示す情報D2、装置製造後経過時間と指標P3(第3の指標)との対応関係を示す情報D3、及び、電池Bの充電率と電池Bの開回路電圧とが対応付けられている情報D4(SOC−OCV特性)などを記憶している。開回路電圧は、電流計2により検出される電流がゼロまたは略ゼロであるときに監視ECU4により検出される電圧とする。
なお、指標P1は、開回路電圧の検出精度を示している。後述する電流積算法では、開回路電圧を取得し、該開回路電圧に対応する充電率を基に電池Bに電流が流れた後の充電率推定を行う。電池B1、B2の充電または放電が終了した後の経過時間(分極解消時間)が増加するほど、監視ECU4により検出される開回路電圧が、電池Bの分極が解消された後の真の電池電圧に近づく場合、電池B1、B2の充電または放電が終了した後の経過時間が増加するほど、電流積算法で用いる開回路電圧が真の電池電圧に近づいて検出精度が高くなり、指標P1が高くなるものとする。
また、指標P2は、電池B1、B2に流れる電流の積算値の算出精度を示している。電流計2により検出される電流に誤差が含まれる場合、電流計2により検出される電流を積算し続けている時間(電流積算継続時間)が増加するほど、電流の積算値の算出精度が低くなり、指標P2が低くなるものとする。
また、指標P3は、満充電容量の推定精度を示している。電池B1、B2の経年劣化に伴って満充電容量が減少する。満充電容量推定が行われない場合において、満充電容量の推定値が実際の満充電容量から離れていくため、蓄電装置1の製造後の経過時間(装置製造後経過時間)が増加するほど、満充電容量の推定精度が低くなり、指標P3が低くなるものとする。満充電容量推定が行われた場合、満充電容量の推定値が実際の満充電容量に近づくため、満充電容量の推定精度が高くなり、指標P3が高くなるものとする。
図2(a)は、情報D1の一例を示す図である。なお、図2(a)に示す2次元座標の横軸は分極解消時間を示し、縦軸は指標P1を示している。また、図2(a)に示す実線は電池Bの温度が温度T1であるときの情報D1(情報D11)を示し、図2(a)に示す破線は電池Bの温度が温度T1より小さい温度T2であるときの情報D1(情報D12)を示している。
図2(a)に示す情報D11、D12では、上述したように、分極解消時間が増加するほど、監視ECU4により検出される開回路電圧が真の電池電圧に近づいていくため、分極解消時間が増加するほど、指標P1が最大値P1maxに近づいていく。すなわち、後述する電流積算法において、基となる充電率を開回路電圧から求める際に、該開回路電圧の分極解消時間が長いほど、電流積算法による充電率の推定精度が高くなる。なお、電池B1、B2の分極が解消されると、情報D11、D12の指標P1が最大値P1maxと同じになるものとする。
また、電池B1、B2が充分分極解消されるまでの時間が温度が低いほど長くなる場合、電池B1、B2の充電または放電が終了してから所定時間経過後の時刻tにおける情報D11の指標P1は情報D12の指標P1より大きいものとする。このように、電池B1、B2の温度に応じて指標P1が変化するため、温度計3により検出される温度に応じて情報D11と情報D12を使い分けることで、開回路電圧の検出精度に関する指標P1をより正確にすることができる。
図2(b)は、情報D2の一例を示す図である。なお、図2(b)に示す2次元座標の横軸は電流積算継続時間を示し、縦軸は指標P2を示している。また、図2(b)に示す実線は情報D2を示している。また、開回路電圧を用いて電池B1、B2の充電率が推定されると、情報D2において、電流積算継続時間がゼロにリセットされ、指標P2が最大値P2maxにリセットされるものとする。
図2(b)に示す情報D2では、上述したように、電流積算継続時間が増加するほど、電流積算値に含まれる誤差が大きくなるため、電流積算継続時間が増加するほど、指標P2が小さくなるものとする。すなわち、後述する電流積算法において、電流積算継続時間が増加するほど、電流積算値に含まれる誤差が増加するため、電流積算法による充電率の推定精度が低くなる。
図2(c)は、情報D3の一例を示す図である。なお、図2(c)に示す2次元座標の横軸は製品製造後経過時間を示し、縦軸は指標P3を示している。また、図2(c)に示す実線は情報D3を示している。また、時刻t1、t2において、充電前後の電池B1、B2の充電率と、充電中の電池B1、B2に流れる電流の積算値とを用いて満充電容量が更新されることで情報D3の指標P3が少しだけ上昇しているものとする。
図2(c)に示す情報D3では、上述したように、満充電容量推定が行われない場合において、満充電容量の推定値が実際の満充電容量から離れるため、装置製造後経過時間が増加するほど、指標P3が小さくなるものとする。すなわち、後述する電流積算法において用いられる満充電容量の誤差が増加するため、電流積算法による充電率の推定精度が低くなる。
図3(a)は、情報D4の一例を示す図である。なお、図3(a)に示す2次元座標の横軸は電池Bの充電率[%]を示し、縦軸は電池Bの開回路電圧(真の電池電圧)[V]を示している。また、図3(a)に示す実線は充電率と開回路電圧との対応関係においてフラット領域を有する電池B1、B2(例えば、正極材にリン酸鉄リチウム(LiFePO4)、負極材に黒鉛を用いた電池)を用いた場合の情報D4を示している。なお、電池Bの充電率の全領域(0〜100[%])のうち、充電率の単位変化量に対する開回路電圧の変化量の割合(図3(a)に示す実線の傾き)が所定値以下である場合に対応する領域をフラット領域とし、フラット領域以外の領域を非フラット領域とする。または、電池Bの充電率の全領域のうち、充電率の単位変化量に対する開回路電圧の変化量が監視ECU4の検出誤差より小さい場合に対応する領域をフラット領域とし、フラット領域以外の領域を非フラット領域とする。
フラット領域では、充電率の単位変化量に対する開回路電圧の変化量の割合が比較的小さくなるため、電池Bの充電率がフラット領域に含まれる場合、分極による開回路電圧の誤差などにより、開回路電圧から充電率を一意に求めることが難しくなるおそれがある。そのため、電池Bの充電率がフラット領域に含まれる場合、電池B1、B2の開回路電圧を均等化させても、電池B1、B2の充電率が均等化しないおそれがある。そこで、電池Bの充電率が非フラット領域に含まれる場合、電池B1、B2の開回路電圧を均等化させて、電池Bの充電率がフラット領域に含まれる場合、電池B1、B2の開回路電圧を均等化させないようにすることが考えられるが、電池B1、B2のフラット領域が比較的大きい場合、電池B1、B2の充電率を均等化させる機会が減少するおそれがある。
また、図3(b)は、充電時における充電率と開回路電圧との対応関係と放電時における充電率と開回路電圧との対応関係とが互いに異なる電池B1、B2(例えば、負極材にシリコン(SiO)を用いた電池)の場合の充電率と開回路電圧との対応関係の一例を示す図である。なお、図3(b)に示す2次元座標の横軸は電池Bの充電率[%]を示し、縦軸は電池Bの開回路電圧[V]を示している。また、図3(b)に示す実線は充電後の電池B1、B2の充電率と開回路電圧との対応関係を示し、図3(b)に示す破線は放電後の電池B1、B2の充電率と開回路電圧との対応関係を示している。
例えば、実線における開回路電圧OCVに対応する充電率SOC1は、破線における開回路電圧OCVに対応する充電率SOC2より小さい。
そのため、例えば、電池B1に別の電池B1を並列接続するとともに電池B2に別の電池B2を並列接続する場合で、かつ、各電池B1の間に還流電流が流れるとともに各電池B2の間に還流電流が流れる場合、電池B1、B2がそれぞれ充電状態であるか、放電状態であるかが分からず、開回路電圧から充電率を一意に求めることができないおそれがある。このような場合において、電池B1、B2の開回路電圧を均等化させても、電池B1、B2の充電率が均等化しないおそれがある。
そこで、実施形態の蓄電装置1では、後述するように、各電池Bの開回路電圧を均等化させることで各電池Bの充電率を均等化させるのではなく、電池B1、B2に流れる電流の積算値を用いて推定した電池B1、B2の充電率の推定精度が良いと判定した場合に、電池B1、B2の充電率を直接均等化させる。
図1に示すプロセッサ52は、充電率推定部521と、精度判定部522と、セルバランス制御部523とを備える。なお、プロセッサ52が記憶部51に記憶されているプログラムを実行することにより、充電率推定部521、精度判定部522、及びセルバランス制御部523が実現される。
充電率推定部521は、推定タイミングになると、後述する電圧法または電流積算法により、電池B1、B2の充電率を推定する。例えば、充電率推定部521は、車両Veのイグニッションのオフ時や充電器Chによる電池B1、B2の充電終了時など、電池B1、B2に電流が流れなくなったタイミングを推定タイミングとして、電圧法により、電池B1、B2の充電率を推定する。また、充電率推定部521は、車両Veのイグニッションのオン時や充電器Chによる電池B1、B2の充電時など、電池B1、B2に電流が流れているとき、一定時間が繰り返し経過するタイミングを推定タイミングとして、電流積算法により、電池B1、B2の充電率を推定する。
<電圧法>
充電率推定部521は、記憶部51に記憶されている情報D4を参照して、監視ECU4から送信される電流がゼロまたは略ゼロであるときに監視ECU4から送信される電圧と同じ開回路電圧に対応する充電率を、今回の推定タイミングにおける電池Bの充電率とする。
<電流積算法>
充電率推定部521は、「充電率[%]=前回の推定タイミングで推定した充電率[%]+(前回の推定タイミングから今回の推定タイミングまでの間に電池Bに流れた電流の積算値[Ah]/電池Bの満充電容量[Ah])×100」の計算結果を、今回の推定タイミングにおける電池Bの充電率とする。
精度判定部522は、電流積算法により推定される充電率の推定精度が良いか否かを判定する。すなわち、精度判定部522は、指標P1〜P3のうちの少なくとも1つに基づく指標Pが閾値Pthよりも高い場合、電流積算法により推定される充電率の推定精度が良いと判定し、指標Pが閾値Pth以下である場合、電流積算法により推定される充電率の推定精度が良くないと判定する。例えば、指標P=指標P1+指標P2+指標P3とする。
このように、電流積算法で用いられるパラメータとして、「前回の推定タイミングで推定した充電率」があるため、前回の推定タイミングにおいて電圧法により充電率が推定された場合で、かつ、前回の推定タイミングにおいて指標P1が比較的大きい場合、今回の推定タイミングにおいて、電流積算法により推定される充電率の推定精度が比較的高くなる。
また、電流積算法で用いられるパラメータとして、「前回の推定タイミングから今回の推定タイミングまでの間に電池Bに流れた電流の電流積算値」があるため、指標P2が比較的小さい場合、今回の推定タイミングにおいて、電流積算法により推定される充電率の推定精度が比較的低くなる。
また、電流積算法で用いられるパラメータとして、「電池Bの満充電容量」があるため、指標P3が比較的小さい場合、今回の推定タイミングにおいて、電流積算法により推定される充電率の推定精度が比較的低くなる。
セルバランス制御部523は、電流積算法により推定される充電率の推定精度が良いと精度判定部522により判定される場合、電流積算法により推定される充電率を均等化するセルバランスを実施し、電流積算法により推定される充電率の推定精度が良くないと精度判定部522により判定される場合、電流積算法により推定される充電率を均等化するセルバランスを実施しない。
例えば、セルバランス制御部523は、電流積算法により推定される充電率の推定精度が良いと判定された場合で、かつ、電流積算法により推定される電池B1の充電率と電池B2の充電率と差の絶対値である充電率差ΔSOCが閾値SOCth以上である場合で、かつ、電池B1の充電率が電池B2の充電率より大きい場合、電池B1の電圧を抵抗R1で除算した電流の積算値を、電池B1の満充電容量で除算することで求められる電池B1の充電率の減少量が、充電率差ΔSOCと同じになるまで、スイッチS1を導通状態にするとともにスイッチS2を遮断状態にする。
また、セルバランス制御部523は、電流積算法により推定される充電率の推定精度が良いと判定された場合で、かつ、充電率差ΔSOCが閾値SOCth以上である場合で、かつ、電池B2の充電率が電池B1の充電率より大きい場合、電池B2の電圧を抵抗R2で除算した電流の積算値を、電池B2の満充電容量で除算することで求められる電池B2の充電率の減少量が、充電率差ΔSOCと同じになるまで、スイッチS2を導通状態にするとともにスイッチS1を遮断状態にする。
なお、セルバランス制御部523は、電池B1、B2の充電率が非フラット領域に含まれる場合、電池B1、B2の開回路電圧を均等化させることにより、電池B1、B2の充電率を均等化させるように構成してもよい。
また、充電率推定部521、精度判定部522、及びセルバランス制御部523は、セルバランス処理を実行する。
図4は、セルバランス処理の一例を示すフローチャートである。なお、車両Veのイグニッションがオンしている状態とする。
まず、充電率推定部521は、車両Veのイグニッションがオフした旨を車両ECU6から受信すると(ステップS1:Yes)、電池ECU5を通常状態からスリープ状態に切り替える(ステップS2)。なお、電池ECU5が通常状態であるとき、全ての機能(充電率推定部521、精度判定部522、及びセルバランス制御部523など)が動作し、電池ECU5がスリープ状態であるとき、充電率推定部521以外の機能(精度判定部522及びセルバランス制御部523など)が停止する。
次に、充電率推定部521は、電池ECU5がスリープ状態に切り替わってから一定時間が経過すると(ステップS3:Yes)、電池ECU5を起動することで電池ECU5をスリープ状態から通常状態に切り替え(ステップS4)、電池B1、B2の充電率を補正することが可能であるか否かを判断する(ステップS5)。例えば、充電率推定部521は、電圧法により推定される電池B1、B2の充電率が非フラット領域に含まれる場合で、かつ、電流計2により検出される電流がゼロになり電池B1、B2の分極が解消し始めてから所定時間経過後に監視ECU4により真の電池電圧に近い開回路電圧が検出されるまでの時間(分極解消時間)が閾値Tth以上である場合、充電率を補正することが可能であると判断し、電圧法により推定される電池B1、B2の充電率がフラット領域に含まれる場合、または、分極解消時間が閾値Tthより短い場合、充電率を補正することが可能でないと判断する。なお、閾値Tthは、電流計2により検出される電流がゼロになってから電池B1、B2の分極が充分に解消するまでにかかる時間とする。
次に、充電率推定部521は、電池B1、B2の充電率を補正することが可能であると判断すると(ステップS5:Yes)、電圧法により電池B1、B2の充電率を推定することで電池B1、B2の充電率を補正し(ステップS6)、電池B1、B2の充電率を補正することが可能でないと判断すると(ステップS5:No)、電池B1、B2の充電率を補正しない。
次に、精度判定部522は、電流積算法により推定される充電率の推定精度が良いか否かを判定する(ステップS7)。
次に、セルバランス制御部523は、電流積算法により推定される充電率の推定精度が良いと判定される場合で(ステップS7:Yes)、かつ、充電率差ΔSOCが閾値SOCth以上である場合(ステップS8:Yes)、電池B1、B2の充電率が均等化するようにセルバランス回路CVの動作を制御する(ステップS9)。なお、閾値SOCthは、充電率差ΔSOCと車両Veの走行可能距離との関係に基づいて求められてもよい。
一方、セルバランス制御部523は、電流積算法により推定される充電率の推定精度が良くないと判定される場合(ステップS7:No)、または、充電率差ΔSOCが閾値SOCthより小さい場合(ステップS8:No)、電池B1、B2の充電率を均等化しない。
このように、実施形態の蓄電装置1では、電流積算法により推定される充電率の推定精度が良いと判定された場合、電流積算法により推定される電池B1、B2の充電率を均等化させるセルバランスを実施し、電流積算法による充電率の推定精度が良くないと判定された場合、電流積算法により推定される電池B1、B2の充電率を均等化させるセルバランスを実施しない構成である。これにより、電圧法により推定される充電率の推定精度が良くない場合であっても、電流積算法により推定される充電率の推定精度が良い場合、電流積算法により推定される電池B1、B2の充電率を均等化することができる。
また、実施形態の蓄電装置1では、開回路電圧の検出精度を示す指標P1、電流の積算値の算出精度を示す指標P2、及び満充電容量の推定精度を示す指標P3のうちの少なくとも1つに基づく指標Pが、閾値Pthよりも高い場合、充電率の推定精度が良いと判定する構成である。これにより、使用する指標の数が多くなるほど、充電率の推定精度が良いか否かを判定する際の判定精度を高くすることができる。また、精度判定部522の処理能力に応じて、指標P1〜P3のうち、使用する指標を選択することができるため、精度判定部522の処理能力の自由度を上げることができる。
<プロセッサ52の他の動作>
図1に示すプロセッサ52は、ユーザによるイグニッションスイッチの操作によりイグニッションオフからイグニッションオンに切り替わった旨を車両ECU6から受信すると、スイッチSW1、SW2を遮断状態から導通状態に切り替えるとともにスイッチSW3を遮断状態のままにし、電池B1、B2の充電率に応じた入力電力指令値Winまたは出力電力指令値Woutを車両ECU6に送信する。
また、プロセッサ52は、電池B1、B2の充電率のうちの少なくとも1つの充電率が第1の下限閾値以下になると、制限後の出力電力指令値Woutを車両ECU6に送信し、その充電率が第1の上限閾値以上になると、制限後の入力電力指令値Winを車両ECU6に送信する。車両ECU6は、出力電力指令値Woutに応じた電力が電池B1、B2からインバータ回路Invに供給されるようにインバータ回路Invの動作を制御するとともに、入力電力指令値Winに応じた電力がインバータ回路Invから電池B1、B2に供給されるようにインバータ回路Invの動作を制御する。車両ECU6は、出力電力指令値Woutまたは入力電力指令値Winが制限されると、インバータ回路Invのスイッチのオン、オフを制御する制御信号のデューティ比を小さくすることにより、電池B1、B2からインバータ回路Invに供給される電力またはインバータ回路Invから電池B1、B2に供給される電力を制限する。
また、プロセッサ52は、電池B1、B2の充電率のうちの少なくとも1つの充電率が第1の下限閾値より小さい第2の下限閾値以下になると、または、その充電率が第1の上限閾値より大きい第2の上限閾値以上になると、スイッチSW1、SW2、SW3を遮断することにより、電池B1、B2からインバータ回路Invに電力が供給されること、インバータ回路Invから電池B1、B2に電力が供給されること、及び充電器Chから電池B1、B2に電力が供給されることを禁止する。なお、第2の下限閾値は、電池B1、B2が過放電状態になる直前の電池B1、B2の充電率とし、第2の上限閾値は、電池B1、B2が過充電状態になる直前の電池B1、B2の充電率とする。これにより、電池B1、B2が過充電状態または過放電状態になることを防止することができる。
また、プロセッサ52は、スイッチSW1を導通させているとき、監視ECU4から送信される電圧が過電圧閾値以上になると、または、監視ECU4から送信される電流が過電流閾値以上になると、または、監視EUC4から送信される温度が過温度閾値以上になると、電池B1、B2に異常が発生したと判断し、その旨を車両ECU6に送信する。車両ECU6は、電池B1、B2に異常が発生した旨を受信すると、スイッチSW1、SW2、SW3を遮断することにより、電池B1、B2からインバータ回路Invに電力が供給されること、インバータ回路Invから電池B1、B2に電力が供給されること、及び充電器Chから電池B1、B2に電力が供給されることを禁止する。
また、プロセッサ52は、ユーザによるイグニッションスイッチの操作によりイグニッションオンからイグニッションオフに切り替わった旨を車両ECU6から受信すると、スイッチSW1、SW2を導通状態から遮断状態に切り替えるとともにスイッチSW3を遮断状態のままにする。
また、プロセッサ52は、充電器Chと車両Veとが充電ケーブルを介して接続された後、電池B1、B2の充電開始指示を車両ECU6から受信すると、スイッチSW1、SW3を導通させるとともにスイッチSW2を遮断状態にし、電池B1、B2の充電率に応じた電流指令値を車両ECU6に送信する。車両ECU6は、電流指令値に応じた電流が充電器Chから電池B1、B2に供給されるように電流指令値を充電器Chに送信する。
本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
1 蓄電装置
2 電流計
3 温度計
4 監視ECU
5 電池ECU
6 車両ECU
51 記憶部
52 プロセッサ
521 充電率推定部
522 充放電制御部
523 精度判定部
524 セルバランス制御部
Ve 車両
Inv インバータ回路
M モータ
Ch 充電器
SW1、SW2、SW3 スイッチ
B1、B2 電池
CV セルバランス回路

Claims (2)

  1. 直列接続された複数の電池と、
    前記各電池をそれぞれ放電するセルバランス回路と、
    前記各電池に流れる電流の積算値を用いる電流積算法により前記各電池の充電率を推定する充電率推定部と、
    前記充電率の推定精度が良いか否かを判定する精度判定部と、
    前記充電率の推定精度が良いと判定された場合、前記各電池の充電率が均等化するように前記セルバランス回路の動作を制御し、前記充電率の推定精度が良くないと判定された場合、前記各電池の充電率を均等化しないセルバランス制御部と、
    を備える蓄電装置。
  2. 請求項1に記載の蓄電装置であって、
    前記充電率推定部は、推定タイミングになると、前回の推定タイミングで推定した充電率、前回の推定タイミングから今回の推定タイミングまでの間に前記各電池に流れる電流の積算値、及び前記各電池の満充電容量を用いる前記電流積算法により前記各電池の充電率を推定し、または、前記各電池の開回路電圧を用いる電圧法により前記各電池の充電率を推定し、
    前記精度判定部は、前記開回路電圧の検出精度を示す第1の指標、前記電流の積算値の算出精度を示す第2の指標、及び前記満充電容量の推定精度を示す第3の指標のうちの少なくとも1つに基づく指標が、閾値よりも高い場合、前記充電率の推定精度が良いと判定する
    ことを特徴とする蓄電装置。
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