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JP2021116112A - ポリエステル容器およびポリエステルプリフォーム - Google Patents

ポリエステル容器およびポリエステルプリフォーム Download PDF

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JP2021116112A JP2020011713A JP2020011713A JP2021116112A JP 2021116112 A JP2021116112 A JP 2021116112A JP 2020011713 A JP2020011713 A JP 2020011713A JP 2020011713 A JP2020011713 A JP 2020011713A JP 2021116112 A JP2021116112 A JP 2021116112A
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Makoto Eguchi
誠 江口
章智 関根
Akitomo Sekine
章智 関根
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Abstract

【課題】容易に押し潰すことができるポリエステル容器を提供。【解決手段】本発明は、ポリエステルにより構成されたポリエステル容器であって、ポリエステル容器内の異なる5箇所をTG−DTAで測定した際に、熱分解開始温度の標準偏差が、2.0℃以上5.0℃以下である、ポリエステル容器である。【選択図】図2

Description

本発明は、ポリエステル容器およびこのポリエステル容器の製造に用いるポリエステルプリフォームに関する。
ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルは、機械的特性、化学的安定性、耐熱性、ガスバリア性および透明性などに優れ、かつ安価であることから、飲料品などを充填する容器などの製造に広く使用されている。
ところで、ポリエステル容器はその使用後に廃棄・回収されることが一般的である。この際にポリエステル容器は、嵩張らないように押し潰し、可能な限り減容化することが望まれている。しかしながら、ポリエステル容器は機械的強度に優れるため、容易に押し潰すことができないことがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易に押し潰すことができるポリエステル容器を提供することである。
また、このポリエステル容器の製造に用いるポリエステルプリフォームを提供することである。
本発明は、ポリエステルにより構成されたポリエステル容器であって、
ポリエステル容器内の異なる5箇所をTG−DTAで測定した際に、熱分解開始温度の標準偏差が、2.0℃以上5.0℃以下である、ポリエステル容器である。
一実施形態において、ポリエステル容器は、内層を構成している第1層と、第2層とを有し、第1層が、バージンポリエステルにより構成され、記第2層が、リサイクルポリエステルにより構成されている。
一実施形態において、ポリエステル容器は、外層を構成している第3層をさらに有し、第3層が、バージンポリエステルにより構成されている。
一実施形態において、ポリエステル容器は、口部と、首部と、肩部と、胴部と、底部とを備え、第1層は、内容物充填領域に設けられている。
一実施形態において、ポリエステル容器は、口部と、首部と、肩部と、胴部と、底部とを備え、第1層が、口部の上端から底部にかけて設けられている。
一実施形態において、ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートまたは改質ポリエチレンテレフタレートである。
一実施形態において、ポリエステル容器の断面の厚さが、0.05mm以上0.54mm以下である。
本発明は、上記ポリエステル容器を製造するためのポリエステルプリフォームであって、
ポリエステルプリフォームがポリエステルにより構成された、ポリエステルプリフォーム。
本発明によれば、容易に押し潰すことができるポリエステル容器を提供することができる。
また、このポリエステル容器の製造に用いるポリエステルプリフォームを提供することができる。
実施例1のポリエステル容器のTG−DTA測定のチャートである。 本発明のポリエステル容器の一実施形態を示す模式半断面図である。 本発明のポリエステル容器の一実施形態を示す模式半断面図である。 本発明のポリエステル容器の一実施形態を示す模式半断面図である。 本発明のポリエステル容器の一実施形態を示す模式半断面図である。 本発明のポリエステル容器の一実施形態を示す模式半断面図である。 本発明のポリエステル容器の一実施形態を示す模式半断面図である。 本発明のポリエステルプリフォームの一実施形態を示す模式半断面図である。 本発明のポリエステルプリフォームの一実施形態を示す模式半断面図である。 本発明のポリエステルプリフォームの一実施形態を示す模式半断面図である。 本発明のポリエステルプリフォームの一実施形態を示す模式半断面図である。 本発明のポリエステルプリフォームの一実施形態を示す模式半断面図である。 本発明のポリエステルプリフォームの一実施形態を示す模式半断面図である。
<ポリエステル容器>
本発明のポリエステル容器は、ポリエステルにより構成されている。本発明において、「ポリエステル」とは、ジカルボン酸化合物とジオール化合物との共重合体を意味する。
ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸およびエチルマロン酸、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸およびこれらのエステル誘導体などが挙げられる。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノール、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタジオール、4−シクロペンテン−1,3−ジオール、アダマンジオール、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、スチレングリコール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールなどが挙げられる。
ポリエステルは、テレフタル酸と、エチレングリコールとの共重合体であるポリエチレンテレフタレート、またはこれに共重合モノマーが添加された改質ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
本発明の特性を損なわない範囲において、ポリエステル容器のポリエステルは、ジカルボン酸化合物およびジオール化合物以外のモノマーを含んでいてもよいが、その含有量は、全構成単位に対し、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル容器は、ポリエステル容器内の異なる5箇所を熱重量−示差熱分析(TG−DTA)に測定した際に、熱分解開始温度の標準偏差が、2.0℃以上5.0℃以下であることを特徴とする。これにより、ポリエステル容器を容易に押し潰すことができる。その理由は定かではないが、以下の通り推測する。
ポリマーの熱分解開始温度は、原料のモノマーが同一であっても、分子量や立体構造などにより異なることが知られ、また、ポリマーは分子量や立体構造などによって機械的強度は異なる。即ち、異なる熱分解開始温度を有するポリマーは、原料のモノマーが同一であっても、機械的強度は異なる。ポリエステル容器を押し潰す際には、容器内の比較的機械的強度が低い箇所から変形が始まり、この箇所に応力が集中すると考えられる。そのため、容器内における機械的強度が均一のものよりも、容器内における機械的強度が異なる箇所が点在するものの方が、容易に押し潰すことができると考えられる。
本発明のポリエステル容器は、ポリエステル容器内の異なる5箇所において測定した熱分解開始温度の標準偏差を2.0℃以上とすることにより、ポリエステル容器内において機械的強度の異なる箇所が点在し、その結果、容易に押し潰すことができると考えられる。
また、上記熱分解開始温度の標準偏差を5.0℃以下することにより、ポリエステル容器として必要な強度を保つことができる。
本発明のポリエステル容器において好ましい熱分解開始温度の標準偏差は、2.0℃以上4.5℃以下であり、より好ましくは2.5℃以上4.0℃以下である。
本発明のポリエステル容器における熱分解開始温度は、熱重量−示差熱分析(TG−DTA)により測定する。
熱分解開始温度の測定は、まず、ポリエステル容器の一部約6〜8mgの試料をアルミニウムパンに秤量する。続いて、175ml/minの空気気流下にて、試料を30℃で10分間保持し、その後、10℃/minの昇温温度で600℃まで昇温する。図1に示すように、30℃〜300℃までのTG曲線の接線と、高温度側で急激に重量減少するTG曲線の変曲点の接線が交差する点の温度を熱分解開始温度とした。なお、装置としては、(株)島津製作所製のDTA−60Aを用いることができる。
ポリエステル容器内の異なる5箇所の試料において、TG−DTAにより熱分解開始温度を測定し、以下の式(I)から標準偏差を算出する。
Figure 2021116112
本発明のポリエステル容器において、ポリエステル容器内の異なる5箇所を測定した際に、熱分解開始温度の平均値は、380℃以上405℃以下であることが好ましく、385℃以上400℃以下であることがより好ましい。熱分解開始温度の平均値は、上記した熱重量−示差熱分析(TG−DTA)により測定することができる。
一実施形態において、ポリエステル容器のポリエステルは、リサイクルポリエステルを含む。これにより、ポリエステル容器の環境負荷低減性をより向上することができる。
「リサイクルポリエステル」とは、ケミカルリサイクルポリエステルまたはメカニカルリサイクルポリエステルを指す。
ケミカルリサイクルポリエステルとは、ポリエステル容器をモノマーレベルまで分解して、再度重合することにより得られたポリエステルを指す。
メカニカルリサイクルポリエステルとは、ポリエステル容器を選別・粉砕・洗浄して汚染物質や異物を除去し、フレークを得て、フレークをさらに高温・減圧下などで一定時間処理して樹脂内部の汚染物質を除去することにより得られたポリエステルを指す。
一実施形態において、ポリエステル容器のポリエステルは、バージンポリエステルを含む。本発明において、「バージンポリエステル」とは、上記したリサイクル処理が施されていないポリエステル、すなわち、未使用のポリエステルを指す。
ポリエステル容器は、飲料物の保存用途以外にも、非食品(例えば、農薬や機械油)の保存などにも用いられている。このような非食品の保存などに用いられたポリエステル容器をリサイクルした場合に、洗浄による汚染物質の除去が不十分であると、リサイクルポリエステルを用いたポリエステル容器において、充填された内容物へ汚染物質が溶出する恐れがある。そのため、ポリエステル容器のポリエステルを、バージンリサイクルポリエステルを含むものとすることにより、ポリエステル容器の衛生性を向上することができる。
また、ポリエステル容器のポリエステルは、リサイクルポリエステルと、バージンポリエステルとを含むものであってもよい。
本発明のポリエステル容器がリサイクルポリエステルを含む場合に、リサイクルポリエステルの含有量は、ポリエステル容器に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、30質量部以上95質量部以下であることが好ましく、50質量部以上80質量部以下であることがより好ましく、60質量部以上80質量部以下であることがさらに好ましい。
リサイクルポリエステルの含有量を、ポリエステル容器に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、30質量部以上とすることにより、ポリエステル容器の環境負荷低減性をより向上することができる。
リサイクルポリエステルの含有量を、ポリエステル容器に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、95質量部以下とすることにより、ポリエステル容器の衛生性をより向上することができる。また、後述するようにポリエステル容器が第2層を備える場合には、ポリエステルプリフォーム作製においてリサイクルポリエステルが第1層側または第3層側へ露出してしまうことを防止することができる。
本発明の特性を損なわない範囲において、ポリエステルは、重合触媒を用いて重合されたものであってもよい。重合触媒としては、マンガン触媒、チタン触媒、アルミニウム触媒、リチウム触媒、ゲルマニウム触媒、アンチモン触媒などを挙げることができる。
本発明のポリエステル容器に、加熱された内容物を充填する場合や、内容物の充填後に加熱するポリエステル容器の場合には、アンチモン触媒以外の触媒を用いて重合することが好ましい。これにより、内容物へのアンチモンの溶出を防止することができる。
マンガン触媒としては、例えば、酢酸マンガンなどの脂肪酸マンガン塩、炭酸マンガン、塩化マンガン、マンガンのアセチルアセトナート塩、水酸化マンガンなどが挙げられる。
チタン触媒としては、例えば、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネートなどのチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、酢酸チタン、シュウ酸チタン、シュウ酸チタンカリウム、シュウ酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸−水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウムおよびチタンアセチルアセトナートなどが挙げられる。
アルミニウム触媒としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)およびエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
リチウム触媒としては、例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウおよびフェニルリチウムなどが挙げられる。
ゲルマニウム触媒としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラプロポキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムテトラペンタキシドおよびゲルマニウムテトラヘキソキシドなどが挙げられる。
アンチモン触媒としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、トリフェニルアンチモン、アンチモングリコールなどが挙げられる。
本発明の特性を損なわない範囲において、ポリエステル容器は、添加剤を含んでいてもよく、例えば、酸素吸収剤、ガスバリア性樹脂(ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド)、可塑剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色剤などが挙げられる。
本発明のポリエステル容器は、容器の内面全域にわたって蒸着膜を備えていてもよい。これにより、ポリエステル容器のガスバリア性を向上することができる。
蒸着膜としては、例えば、アルミニウムなどの金属、並びに酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウムなどの無機酸化物、ヘキサメチルジシロキサンなどの有機珪素化合物、DLC(Diamond Like Carbon)膜などの硬質炭素膜から構成される、蒸着膜を挙げることができる。
なお、DLC膜からなる硬質炭素膜とは、iカーボン膜または水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H)とも呼ばれる硬質炭素膜のことで、SP結合を主体にしたアモルファスな炭素膜のことである。
また、蒸着膜の厚さは、特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上150nm以下とすることができる。
蒸着膜の形成は、従来公知の方法を用いて行うことができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法およびイオンプレーティング法などの物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、並びにプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法および光化学気相成長法などの化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)などを挙げることができる。
図2は、本発明のポリエステル容器10の一実施形態を示す模式半断面図である。一実施形態において、ポリエステル容器10は、図2に示すように、口部11と、首部12と、肩部13と、胴部14と、底部15とを備えている。
一実施形態において、口部11は、図2に示すように、キャップが螺着されるネジ部16と、ネジ部16下にカブラ17と、カブラ17下にサポートリング18を備える。
一実施形態において、首部12は、図2に示すように、サポートリング18と肩部13との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部13は、首部12側から胴部14側に向けて径が徐々に拡大する円筒形状を有する。
一実施形態において、胴部14は、図2に示すように、肩部13と底部15との間に位置している。また、胴部14は、図2に示すように、パネル部21を備える。このような構成とすることにより、ポリエステル容器内に加熱された内容物を充填する場合や内容物の充填後に加熱するポリエステル容器の場合に、内圧の増減による容器の変形を防止することができる。
一実施形態において、底部15は、図2に示すように、中央に位置する陥没部19と、陥没部19の周囲に設けられた接地部20とを備え、この接地部20において胴部14と連接している。このような構成とすることにより、ポリエステル容器内に加熱された内容物を充填する場合や内容物の充填後に加熱するポリエステル場合に、内圧の増減による容器の変形を防止することができる。
なお、一実施形態において、「底部」とは、ポリエステル容器を自立させた場合の接地部から内側の部分を意味する。
本発明のポリエステル容器は、単層、または2層以上の多層により構成されていてもよく、単層と多層とを組み合わせて構成されていてもよい。
以下、本発明のポリエステル容器が多層構造を有する実施形態の一例について、図3〜図7を参照して説明する。
一実施形態において、本発明のポリエステル容器10は、図3および図4に示すように、第1層22と、第2層23とを有し、第1層22が内層を構成している。
一実施形態において、本発明のポリエステル容器10は、図5〜図7の円A中に示すように、第1層22と、第2層23と、第3層24を有し、第1層22が内層を構成し、第3層24が外層を構成している。
第2層23は、例えば、口部11の上端から底部15にかけて設けられていてもよい(図5および図6参照)。
また、第2層23は、ポリエステル容器の一部、例えば、口部11の下端から底部15にかけて設けられていてもよい(図7参照)。なお、第1層22および第3層24が同じ材料から構成されている場合、図7に示すように、第2層23が設けられていない箇所において、これらの層は単層となる。
なお、口部11、首部12、肩部13、胴部14、底部15、ネジ部16、カブラ17、サポートリング18、陥没部19、接地部20、およびパネル部21の詳細については、上述したため、ここでは記載を省略する。
本発明のポリエステル容器は、容量/重量が、5mL/g以上、50mL/g以下であることが好ましく、8mL/g以上、45mL/g以下であることがより好ましい。
ポリエステル容器の容量/重量を5mL/g以上とすることにより、ポリエステル容器のブロー成形性を向上することができると共に、ポリエステルの使用量が過剰となってしまうことを防止でき、廃棄されるポリエステルの量を削減することができるため環境負荷低減をより向上することができる。
また、ポリエステル容器の容量/重量を50mL/g以下とすることにより、ポリエステル容器の強度を向上することができる。
本発明のポリエステル容器の断面の厚さは、0.05mm以上0.54mm以下であることが好ましく、0.1mm以上0.5mm以下であることがより好ましい。
断面の厚さを0.05mm以上とすることにより、ポリエステル容器の強度をより向上することができる。
また、断面の厚さを0.54mm以下とすることにより、ポリエステル容器のブロー成形性を向上することができる。また、ポリエステルの使用量が過剰となってしまうことを防止でき、環境負荷を低減することができる。
なお、ポリエステル容器の断面の厚さは、例えば、ポリエステル容器の胴部において、断面の厚さが最も薄くなる箇所を意味する。
(第1層)
一実施形態において、本発明のポリエステル容器が備える第1層は、上記したバージンポリエステルにより構成されている。これにより、ポリエステル容器にリサイクルポリエステルを使用した場合であっても、リサイクルポリエステルが内容物に接触することを防止でき、ポリエステル容器の衛生性を向上することができる。
本発明の特性を損なわない範囲において、第1層を構成するバージンポリエステルは、上記した重合触媒を用いて重合されたものであってもよい。
本発明のポリエステル容器に、加熱された内容物を充填する場合や、内容物の充填後に加熱するポリエステル容器の場合には、第1層のバージンポリエステルは、アンチモン触媒以外の触媒を用いて重合することが好ましい。これにより、内容物へのアンチモンの溶出を防止することができる。
本発明の特性を損なわない範囲において、第1層は、添加剤を含んでいてもよく、例えば、酸素吸収剤、ガスバリア性樹脂(ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド)可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料などが挙げられる。
一実施形態において、ポリエステル容器の第1層は、内容物充填領域に設けられている。なお、本発明において、「内容物充填領域」とは、ポリエステル容器に内容物を充填させ、正立させた状態で、内容物とポリエステル容器とが接する領域を意味する。
一実施形態において、第1層は、口部の上端の下5〜70mmの位置から、底部15にかけて設けられる。好ましくは、第1層は、口部の上端の下5〜15mmの位置から、底部15にかけて設けられている。
第1層を口部の上端の下5〜70mmの位置から、底部にかけて設けることにより、第1層により内容物充填領域を覆うことができ、ポリエステル容器にリサイクルポリエステルを使用した場合であっても、リサイクルポリエステルが内容物に接触することを防止でき、ポリエステル容器の衛生性をより向上することができる。
また、第1層を口部の上端の下5〜70mmの位置から、底部にかけて設けることにより、自動機でのキャッピングの際に口部の割れが発生してしまうことを効果的に防止することができる。
一実施形態において、ポリエステル容器の第1層は、口部の上端の下70mmの位置から、底部にかけて設けられている。
また、第1層は、口部の上端の下15mmの位置から、底部にかけて設けられていることが好ましい。これにより、第1層により内容物充填領域を覆うことができ、ポリエステル容器にリサイクルポリエステルを使用した場合であっても、リサイクルポリエステルが内容物に接触することを防止でき、ポリエステル容器の衛生性をより向上することができる。
さらに、本発明のポリエステル容器において、第1層は、口部の上端から、底部にかけて設けられていることがさらに好ましい。これにより、自動販売機などの中において横に倒した状態で、加温保管した場合であっても、リサイクルポリエステルが内容物に接触することをより軽減でき、ポリエステル容器の衛生性をより向上することができる。
ポリエステル容器における第1層の厚さは、0.01mm以上0.33mm以下であることが好ましく、0.025mm以上0.3mm以下であることがより好ましく、0.025mm以上0.1mm以下であることがさらに好ましい。
第1層の厚さを0.01mm以上とすることにより、ポリエステル容器にリサイクルポリエステルを使用した場合であっても、リサイクルポリエステルが内容物に接触することを効果的に防止することができる。
また、第1層の厚さを0.33mm以下とすることにより、ポリエステル容器における第2層の割合を増やすことができ、ポリエステル容器の環境負荷低減性をより向上することができる。
なお、第1層の厚さは、例えば、ポリエステル容器の胴部において、第1層の厚さが最も薄くなる箇所を意味する。
(第2層)
一実施形態において、本発明のポリエステル容器が備える第2層は、上記したリサイクルポリエステルにより構成されている。これにより、ポリエステル容器の環境負荷低減性をより向上することができる。
本発明の特性を損なわない範囲において、第2層を構成するリサイクルポリエステルは、上記した重合触媒を用いて重合されたものであってもよい。
本発明の特性を損なわない範囲において、第2層は、添加剤を含んでいてもよく、例えば、酸素吸収剤、ガスバリア性樹脂(ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド)可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料などが挙げられる。
ポリエステル容器における第2層の厚さは、0.04mm以上0.49mm以下であることが好ましく、0.1mm以上0.4mm以下であることがより好ましく、0.1mm以上0.22mm以下であることがさらに好ましい。
第2層の厚さを0.04mm以上とすることにより、ポリエステル容器の環境負荷低減性をより向上することができる。
また、第2層の厚さを0.49mm以下とすることにより、ポリエステルプリフォーム作製においてリサイクルポリエステルが内容物側へ露出してしまうことを防止することができる。
なお、第2層の厚さは、例えば、ポリエステル容器の胴部において、第2層の厚さが最も薄くなる箇所を意味する。
(第3層)
一実施形態において、本発明のポリエステル容器が備える第3層は、上記したバージンポリエステルにより構成されている。このような構成とすることにより、ポリエステル容器の耐熱性および強度を向上することができる。
本発明の特性を損なわない範囲において、第3層を構成するバージンポリエステルは、上記した重合触媒を用いて重合されたものであってもよい。また、第3層は、第1層と同じ材料から構成されていてもよい。
本発明の特性を損なわない範囲において、第3層は、添加剤を含んでいてもよく、例えば、酸素吸収剤、ガスバリア性樹脂(ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド)可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料などが挙げられる。
ポリエステル容器における第3層の厚さは、0.01mm以上0.1mm以下であることが好ましく、0.025mm以上0.05mm以下であることが好ましい。
第3層の厚さを0.01mm以上とすることにより、ポリエステル容器の耐熱性および強度をより向上することができる。
また、第3層の厚さを0.1mm以下とすることにより、第2層のポリエステル容器における割合を増やすことができ、ポリエステル容器の環境負荷低減性をより向上することができる。
なお、第3層の厚さは、例えば、ポリエステル容器の胴部において、第3層の厚さが最も薄くなる箇所を意味する。
<ポリエステルプリフォーム>
本発明のポリエステルプリフォームは、ポリエステル容器の製造に用いるものである。
本発明のポリエステルプリフォームは、ポリエステルにより構成されている。
本発明のポリエステルプリフォームを構成するポリエステルは、上記したポリエステル容器のポリエステルと同様のものを用いることができる。
本発明の特性を損なわない範囲において、ポリエステルプリフォームは、添加剤を含んでいてもよく、例えば、酸素吸収剤、ガスバリア性樹脂(ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド)可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料などが挙げられる。
図8は、本発明のポリエステルプリフォームの一実施形態を示す模式半断面図である。一実施形態において、本発明のポリエステルプリフォーム30は、図8に示すように、口部31と、胴部32と、底部33とを備える。
一実施形態において、図8に示すように、口部31は、上記したポリエステル容器10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、一実施形態において、胴部32は、上記したポリエステル容器10の首部12、肩部13および胴部14に対応するものであり、略円筒形状を有している。また、一実施形態において、底部33は、上記したポリエステル容器10の底部15に対応するものであり、略半球形状を有している。
また、一実施形態において、口部31は、図8に示すように、キャップが螺着されるネジ部34と、ネジ部34下にカブラ35と、カブラ35下にサポートリング36を備える。
本発明のポリエステルプリフォームは、単層、または2層以上の多層により構成されていてもよく、単層と多層とを組み合わせて構成されていてもよい。
本発明のポリエステルプリフォームが多層構造を有する実施形態の一例について、図9〜図13を参照して説明する。
一実施形態において、本発明のポリエステルプリフォーム30は、図9および図10に示すように、第1層37と、第2層38とを有し、第1層37が内層を構成している。
一実施形態において、本発明のポリエステルプリフォーム30は、図11〜図13に示すように、第1層37と、第2層38と、第3層39とを有し、第1層37が内層を構成し、第3層39が外層を構成している。
第2層38は、例えば、底部33の下端から口部31の上端にかけて設けられていてもよい(図11および図12参照)。
また、第2層38は、ポリエステルプリフォームの一部、例えば、底部33の下端から口部31の下端にかけて設けられていてもよい(図13参照)。なお、第1層37および第3層39が同じ材料から構成されている場合、図13に示すように、第2層38が設けられていない箇所において、これらの層は単層となる。
なお、口部31、胴部32、底部33、ネジ部34、カブラ35、およびサポートリング36の詳細については、上述したため、ここでは記載を省略する。
本発明のポリエステルプリフォームの断面の厚さは、1.3mm以上4.7mm以下であることが好ましく、2.1mm以上4.0mm以下であることがより好ましい。断面の厚さを上記範囲とすることにより、上述したようなポリエステル容器を得ることができる。
なお、ポリエステルプリフォームの断面の厚さは、例えば、ポリエステルプリフォームの胴部において、断面の厚さが最も薄くなる箇所を意味する。
(第1層)
一実施形態において、ポリエステルプリフォーム30は、図9および図11に示すように、底部33の下端から口部31の上端までの距離をLとしたときに、第1層37が、下端から0.4L以上0.97L以下の範囲に設けられている。
第1層37が、底部33の下端から0.4L以上の範囲に設けられていることにより、ポリエステルプリフォームをブロー成形し、ポリエステル容器としたときに、第1層により内容物充填領域を覆うことができ、リサイクルポリエステルを使用した場合であっても、リサイクルポリエステルが内容物に接触することを防止でき、ポリエステル容器の衛生性をより向上することができる。
また、第1層37が、底部33の下端から0.97L以下の範囲に設けられていることにより、ポリエステルプリフォームをブロー成形し、ポリエステル容器としたときに、自動機でキャッピングを行う際に、口部の割れが発生してしまうことを効果的に防止することができる。
一実施形態において、第1層は、底部の下端から口部の上端にかけて設けられていても、底部の下端から口部の下端まで設けられていてもよい。
ポリエステルプリフォームにおける第1層を構成する材料については、ポリエステル容器における第1層を構成する材料と同様のものを用いることができる。
ポリエステルプリフォームにおける第1層の厚さは、0.1mm以上2.9mm以下であることが好ましく、0.2mm以上2.0mm以下であることがより好ましい。また、ポリエステルプリフォームが第3層を備える場合に、ポリエステルプリフォームにおける第1層の厚さは、0.05mm以上1.5mm以下であることが好ましく、0.1mm以上1.0mm以下であることがより好ましい。ポリエステルプリフォームにおける第1層の厚さを上記範囲とすることにより、上述したようなポリエステル容器を得ることができる。
ポリエステルプリフォームにおける第1層の厚さは、例えば、ポリエステルプリフォームの胴部において、第1層の厚さが最も薄くなる箇所を意味する。
(第2層)
ポリエステルプリフォームにおける第2層を構成する材料については、ポリエステル容器における第2層を構成する材料と同様のものを用いることができる。
ポリエステルプリフォームにおける第2層の厚さは、0.5mm以上4.3mm以下であることが好ましく、1.9mm以上4.0mm以下であることが好ましい。また、ポリエステルプリフォームが第3層を備える場合に、ポリエステルプリフォームにおける第2層の厚さは、0.4mm以上3.7mm以下であることが好ましく、1.6mm以上3.4mm以下であることが好ましい。ポリエステルプリフォームにおける第2層の厚さを上記範囲とすることにより、上述したようなポリエステル容器を得ることができる。
ポリエステルプリフォームにおける第2層の厚さは、例えば、ポリエステルプリフォームの胴部において、第2層の厚さが最も薄くなる箇所を意味する。
(第3層)
ポリエステルプリフォームにおける第3層を構成する材料については、ポリエステル容器における第3層を構成する材料と同様のものを用いることができる。
ポリエステルプリフォームにおける第3層の厚さは、0.05mm以上1.5mm以下であることが好ましく、0.1mm以上1.0mm以下であることが好ましい。ポリエステルプリフォームにおける第3層の厚さを上記範囲とすることにより、上述したようなポリエステル容器を得ることができる。
ポリエステルプリフォームにおける第3層の厚さは、例えば、ポリエステルプリフォームの胴部において、第3層の厚さが最も薄くなる箇所を意味する。
<ポリエステル容器の製造方法>
一実施形態において、図2に記載のポリエステル容器は、上記したポリエステルを、射出成形することにより、ポリエステルプリフォームを作製し、これをブロー成形することにより製造することができる。
一実施形態において、図3および図4に記載のポリエステル容器は、上記した第1層および第2層を構成する材料を、共射出成形することにより、ポリエステルプリフォームを作製し、これをブロー成形することにより本発明のポリエステル容器を製造することができる。各層の形成位置は、樹脂温度などの射出成形条件により調整することができる。
また、図3などに記載のポリエステル容器は、二色成形やインサート成形を利用することによっても製造することができる。
さらに、図3などに記載のポリエステル容器は、内部金型内にバージンポリエステルを射出成形し、第1層を形成し、内部金型を後退させ、内部金型と第1層との間に隙間を設け、この隙間にリサイクルポリエステルを射出成形し、第2層を形成することにより製造することができる。
一実施形態において、図5〜図7に記載のポリエステル容器は、上記した第1層、第2層および第3層を構成する材料を、共射出成形することにより、プリフォームを作製し、これをブロー成形することにより本発明のポリエステル容器を製造することができる。
第2層をプリフォームの一部に形成する場合には、特開2008−94454号公報において開示されるホットランナーノズルを使用することが好ましい。
また、図5などに記載のポリエステル容器は、三色成形やインサート成形を利用することによっても製造することができる。
さらに、図5などに記載のポリエステル容器は、内部金型内にバージンポリエステルを射出成形し、第1層を形成し、内部金型を後退させ、内部金型と第1層との間に隙間を設け、この隙間にリサイクルポリエステルを射出成形し、第2層を形成し、内部金型を後退させ、内部金型と第1層および第2層との間に隙間を設け、この隙間にバージンポリエステルを射出成形し、第3層を形成することにより製造することができる。
上記熱分解開始温度の標準偏差の範囲を有する本発明のポリエステル容器は、ポリエステルプリフォームの作製において、射出成型の際の条件等を適切に制御することにより製造することができる。該条件としては、例えば、溶融したポリエステルをスクリュで送り出す際のスクリュの回転速度や温度、金型に溶融したポリエステル供給するノズルの温度や供給速度、金型の温度等が挙げられる。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(TG−DTAによる熱分解開始温度の測定および標準偏差の算出)
TG−DTAによって、ポリエステル容器およびポリエステルペレットの熱分解開始温度の測定を行った。測定する試料数は5個である。装置としては、(株)島津製作所製のDTA−60Aを用いた。
測定は、まず、ポリエステル容器の高さ方向中間部にて、周方向に異なる5箇所をカットして、一片が約0.4cmの正方形の試料を5個準備した。5個の試料からそれぞれ約7mgをアルミニウムパンに秤量した。続いて、175ml/minの空気気流下にて、試料を30℃で10分間保持し、その後、10℃/minの昇温温度で600℃まで昇温した。図1に示すように、30℃〜300℃までのTG曲線の接線と、高温度側で急激に重量減少するTG曲線の変曲点の接線が交差する点の温度を熱分解開始温度とした。なお、図1で示す試料の熱分解開始温度は、399.52℃であった。
ポリエステル容器内の異なる5箇所の試料において、TG−DTAにより熱分解開始温度を測定し、以下の式(I)から標準偏差を算出した。
Figure 2021116112
ポリエステルペレットの場合は、一粒を同様に秤量して、上記と同様の方法で熱分解開始温度を測定した。た。
実施例1
射出成形機を用いて、熱分解開始温度が395.5℃であるメカニカルリサイクルポリエステルから、口部と、胴部と、底部とを備えるポリエステルプリフォームを作製した。ポリエステルプリフォームの口部は、口部の上端から雄ネジ部、カブラおよびサポートリングを順に備えている。
ポリエステルプリフォームの胴部における断面の厚さは3.5mm、目付量は22gであった。
次いで、ポリエステルプリフォームを110℃に加熱し、ブロー成形金型内において、二軸延伸ブロー成形を行い、図2に示す形状を有する、内容量が500mLのポリエステル容器を得た。ポリエステル容器の胴部における断面の厚さは0.32mmであった。
次に、上記した方法に従って、TG−DTAにより、熱分解開始温度の測定および標準偏差の算出を行った。熱分解開始温度は396.1℃であり、熱分解開始温度の標準偏差は3.1℃であった。
実施例2
実施例1とは異なる、熱分解開始温度が397.7℃であるメカニカルリサイクルポリエステルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルプリフォームを作製した。ポリエステルプリフォームの胴部における断面の厚さは3.5mm、目付量は22gであった。また、本実施例のポリエステルプリフォームを用いて、実施例1と同様にしてポリエステル容器を作製し、熱分解開始温度の測定を行った。ポリエステル容器の胴部における断面の厚さは0.32mmであった。熱分解開始温度は396.3℃であり、熱分解開始温度の標準偏差は3.3℃であった。
実施例3
熱分解開始温度が395.5℃であるメカニカルリサイクルポリエステルと、熱分解開始温度が401.8℃であるリサイクルがされていないポリエステルを用意した。
これらを、射出成形機を用いて共射出し、リサイクルがされていないポリエステルから構成される第1層と、メカニカルリサイクルポリエステルから構成される第2層とを備える、図10に示す、多層(2種2層)プリフォームを作成した。
メカニカルリサイクルポリエステルの使用量は、多層プリフォームを構成する樹脂材料100質量部に対し、80質量部となるように調整した。
多層プリフォームの胴部における断面の厚さは3.5mm、目付量は22gであった。
次いで、多層プリフォームを110℃に加熱し、ブロー成形金型内において、二軸延伸ブロー成形を行い、図4に示す形状を有する、内容量が500mLの多層容器を得た。ポリエステル容器の胴部における断面の厚さは0.32mmであった。
次に、実施例1と同様にして熱分解開始温度の測定を行った。熱分解開始温度は394.5℃であり、熱分解開始温度の標準偏差は2.9℃であった。
実施例4
熱分解開始温度が395.5℃であるメカニカルリサイクルポリエステルと、熱分解開始温度が401.8℃であるリサイクルがされていないポリエステルを用意した。
これらを、射出成形機を用いて共射出し、リサイクルがされていないポリエステルから構成される第1層と、メカニカルリサイクルポリエステルから構成される第2層と、リサイクルがされていないポリエステルから構成される第3層を備える、図12に示す、多層(2種3層)プリフォームを作成した。
メカニカルリサイクルポリエステルの使用量は、多層プリフォームを構成する樹脂材料100質量部に対し、50質量部となるように調整した。
多層プリフォームの胴部における断面の厚さは3.5mm、目付量は22gであった。
次いで、多層プリフォームを110℃に加熱し、ブロー成形金型内において、二軸延伸ブロー成形を行い、図6に示す形状を有する、内容量が500mLの多層容器を得た。ポリエステル容器の胴部における断面の厚さは0.32mmであった。
次に、実施例1と同様にして熱分解開始温度の測定を行った。熱分解開始温度は389.4℃であり、熱分解開始温度の標準偏差は2.5℃であった。
比較例1
熱分解開始温度が401.8℃であるリサイクルがされていないポリエステルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルプリフォームを作製した。ポリエステルプリフォームの胴部における断面の厚さは3.5mm、目付量は22gであった。また、本比較例のポリエステルプリフォームを用いて、実施例1と同様にしてポリエステル容器を作製し、熱分解開始温度の測定を行った。ポリエステル容器の胴部における断面の厚さは0.32mmであった。熱分解開始温度は395.4℃であり、熱分解開始温度の標準偏差は0.3℃であった。
比較例2
熱分解開始温度が381.0℃であるメカニカルリサイクルポリエステルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルプリフォームを作製した。ポリエステルプリフォームの胴部における断面の厚さは3.5mm、目付量は22gであった。また、本比較例のポリエステルプリフォームを用いて、実施例1と同様にしてポリエステル容器を作製し、熱分解開始温度の測定を行った。ポリエステル容器の胴部における断面の厚さは0.32mmであった。熱分解開始温度は377.4℃であり、熱分解開始温度の標準偏差は1.0℃であった。
<<容器の潰しやすさ評価>>
上記実施例および比較例において得られた容器の胴部を手で押し潰し、潰しやすさを下記評価基準に基づいて評価した。評価の参加者は5人である。
評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:比較例1と比較して、潰しやすい。
B:比較例1と比較して、潰しやすさは同等。
Figure 2021116112
評価の参加者5人とも、上記表の評価結果となり、上記実施例および比較例において、熱分解開始温度の標準偏差が本発明の範囲内であるポリエステル容器は、容器の潰しやすさが向上され、高い環境負荷低減性を有するポリエステル容器であることがわかる。
10:ポリエステル容器
11:口部
12:首部
13:肩部
14:胴部
15:底部
16:ネジ部
17:カブラ
18:サポートリング
19:陥没部
20:接地部
21:パネル部
22:第1層
23:第2層
24:第3層
30:ポリエステルプリフォーム
31:口部
32:胴部
33:底部
34:ネジ部
35:カブラ
36:サポートリング
37:第1層
38:第2層
39:第3層

Claims (8)

  1. ポリエステルにより構成されたポリエステル容器であって、
    前記ポリエステル容器内の異なる5箇所をTG−DTAにより測定した際に、熱分解開始温度の標準偏差が、2.0℃以上5.0℃以下である、ポリエステル容器。
  2. 前記ポリエステル容器が、内層を構成している第1層と、第2層とを有し、
    前記第1層が、バージンポリエステルにより構成され、
    前記第2層が、リサイクルポリエステルにより構成されている、請求項1に記載のポリエステル容器。
  3. 前記ポリエステル容器が、外層を構成している第3層をさらに有し、
    前記第3層が、バージンポリエステルにより構成されている、請求項2に記載のポリエステル容器。
  4. 前記ポリエステル容器が、口部と、首部と、肩部と、胴部と、底部とを備え、
    前記第1層が、内容物充填領域に設けられている、請求項2または3に記載のポリエステル容器。
  5. 前記ポリエステル容器が、口部と、首部と、肩部と、胴部と、底部とを備え、
    前記第1層が、前記口部の上端から前記底部にかけて設けられている、請求項2または3に記載のポリエステル容器。
  6. 前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートまたは改質ポリエチレンテレフタレートである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリエステル容器。
  7. 前記ポリエステル容器の断面の厚さが、0.05mm以上0.54mm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリエステル容器。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリエステル容器を製造するためのポリエステルプリフォームであって、
    前記ポリエステルプリフォームがポリエステルにより構成された、ポリエステルプリフォーム。
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