1.概要
図1には、一実施形態のパネルユニット100が示されている。パネルユニット100は、例えば、図2に示すように、建物101が有する板状の上支持部102と下支持部103の間に設置される外装ルーバーとして用いられる。
図1に示すように、パネルユニット100は、建物101の上支持部102と下支持部103の間に設置されるパネル1と、パネル1の上端部を上支持部102に取り付ける上取付ユニット104と、パネル1の下端部を下支持部103に取り付ける下取付ユニット105とを備える。
以下では、パネル1、上取付ユニット104、及び下取付ユニット105について順に詳しく説明する。
2.詳細
2−1.パネル
パネル1は、矩形板状である。パネル1は、自身の長手方向が鉛直方向に対して平行となる起立姿勢で建物101に設置される。以下では、パネル1の長手方向を上下方向とし、パネル1の短手方向を左右方向とし、パネル1の厚み方向を前後方向として、各構成について説明する。
図1及び図3Aに示すように、パネル1は、前後方向に対向する一対の板材2,3と、一対の板材2,3の間に位置する矩形枠状のスペーサーユニット4と、を備える。パネル1は更に、芯材5及び化粧カバー6を備える。本実施形態では、パネル1には、建物101への取り付けに用いられる複数の取付部材7と支持部材8が取り付けられる。
2−1−1.一対の板材
図1、図3A、及び図4に示すように、一対の板材2,3のうち、前側に位置する板材2は、後側に開口した扁平な矩形の箱型である。板材2は、スペーサーユニット4及び芯材5の前側に位置する矩形状の主板部20と、スペーサーユニット4の左右に位置する一対の側板部21とを含む。板材2は更に、スペーサーユニット4の上面を覆う上板部22と、スペーサーユニット4の下面を覆う下板部23とを含む。
左右一対の側板部21は、主板部20の左右の縁の上下方向の全長から後側に突出している。上板部22は、主板部20の上縁の左右方向の全長から後側に突出している。下板部23は、主板部20の下縁の左右方向の全長から後側に突出している。左右一対の側板部21、上板部22及び下板部23のそれぞれは、主板部20に対して略垂直である。
図5Aに示すように、上板部22は、スペーサーユニット4が有する左右の側部スペーサー40,41の上端開口を覆う部分に、取付部材7の一部(詳しくは後述する連結片71)が挿通される切欠き220と、上下方向に貫通した第一貫通孔221と、を有する。上板部22は、その前後方向の長さが、切欠き220のある箇所を除いて、左右方向にわたって一定であり、スペーサーユニット4の前後方向の長さの略半分である。
上板部22は、左右の切欠き220の間に位置する中央部222を有する。中央部222は、上板部22のうち左右の切欠き220の間の部分である。中央部222の後面の左右の端部には、左右方向外側の部分ほど前側に位置するように傾いた面取り部223が形成されている。左右の面取り部223は、その間の長さが、上部スペーサー42の左右方向の長さと同じ長さとなるように、中央部222に形成されている。
図5Bに示すように、下板部23は、左右のスペーサー40,41の下端開口を覆う部分に、取付部材7の一部(詳しくは連結片71)が挿通される凹段部230と、上下方向に貫通した第一貫通孔231と、を有する。下板部23は、左右の凹段部230よりも左右方向の外側の部分の前後方向の長さが、左右方向にわたって一定であり、スペーサーユニット4の前後方向の長さの略半分である。下板部23は、左右の凹段部230とその間の部分の前後方向の長さが、左右方向にわたって一定である。左右の凹段部230とその間の部分の前後方向の長さは、左右の凹段部230よりも左右方向の外側の部分の前後方向の長さよりも短い。
図3A及び図4に示すように、一対の板材2,3のうち、後側に位置する板材3は、前側に開口した扁平な矩形の箱型である。板材3は、スペーサーユニット4及び芯材5の後側に位置する矩形状の主板部30と、スペーサーユニット4の左右に位置する一対の側板部31とを含む。板材3は更に、スペーサーユニット4の上面を覆う上板部32と、スペーサーユニット4の下面を覆う下板部33とを含む。
左右一対の側板部31は、主板部30の左右の縁の上下方向の全長から前側に突出している。上板部32は、主板部30の上縁の左右方向の全長から前側に突出している。下板部33は、主板部30の下縁の左右方向の全長から前側に突出している。板部31,32,33のそれぞれは、主板部30に対して略垂直である。
図5Aに示すように、上板部32は、左右のスペーサー40,41の上端開口を覆う部分に、取付部材7の一部(詳しくは連結片71)が挿通される切欠き320と、上下方向に貫通した第二貫通孔321と、を有する。上板部32は、その前後方向の長さが、切欠き320のある箇所を除いて、左右方向にわたって一定であり、スペーサーユニット4の前後方向の長さの略半分である。
上板部32は、左右の切欠き320の間に位置する中央部322を有する。中央部322は、上板部32のうち左右の切欠き320の間の部分である。中央部322の前面の左右の端部には、左右方向外側の部分ほど後側に位置するように傾いた面取り部323が形成されている。左右の面取り部323は、その間の長さが、上部スペーサー42の左右方向の長さと同じ長さとなるように、中央部322に形成されている。
図5Bに示すように、下板部33は、左右の側部スペーサー40,41の下端開口を覆う部分に、取付部材7の一部(詳しくは連結片71)が挿通される凹段部330と、上下方向に貫通した第二貫通孔331と、を有する。下板部33は、左右の凹段部330よりも左右方向の外側の部分の前後方向の長さが、左右方向にわたって一定であり、スペーサーユニット4の前後方向の長さの略半分である。下板部33は、左右の凹段部330とその間の部分の前後方向の長さが、左右方向にわたって一定である。左右の凹段部330とその間の部分の前後方向の長さは、左右の凹段部330よりも左右方向の外側の部分の前後方向の長さよりも短い。
板材2,3のそれぞれは、金属板を折り曲げて形成される。金属板は、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム鋼板、チタン板等であるが、これらに限定されない。金属板の厚みは、例えば0.35mm〜1.2mmである。
図5Aに示すように、板材2の上板部22の切り欠き220と、板材3の上板部32の切り欠き320とは、側部スペーサー40,41の上端開口に対向し、この上端開口よりも面積の小さい上挿入口24を形成している。前後方向及び左右方向において、上挿入口24は、側部スペーサー40,41の上端開口よりも短い。言い換えると、上挿入口24の前後方向の長さは、側部スペーサー40,41の上端開口の前後方向の長さよりも短く、上挿入口24の左右方向の長さは、側部スペーサー40,41の上端開口の左右方向の長さよりも短い。上挿入口24の大きさは、後述する取付部材7の連結片71と固定部材11の突出部111と連結具12のサイズに対応している。
図5Bに示すように、板材2の下板部23の左右の凹段部230と、板材3の下板部33の左右の凹段部330とは、側部スペーサー40,41の下端開口に対向し、この下端開口よりも面積の小さい下挿入口25を形成している。前後方向及び左右方向において、下挿入口25は、側部スペーサー40,41の下端開口よりも短い。言い換えると、下挿入口25の前後方向の長さは、側部スペーサー40,41の下端開口の前後方向の長さよりも短く、下挿入口25の左右方向の長さは、側部スペーサー40,41の下端開口の左右方向の長さよりも短い。下挿入口25の大きさは、後述する取付部材7の連結片71と固定部材11の突出部111と連結具12のサイズに対応している。本実施形態では、上挿入口24と下挿入口25は、互いに同じ大きさである。
2−1−2.芯材
図1、図3A、及び図4に示すように、芯材5は、板材2と板材3とスペーサーユニット4によって囲まれる領域の全体に位置する。
芯材5は、全体形状が1つの板をなすように左右方向に並んだ複数のブロック体で構成される。複数のブロック体のそれぞれは、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材をバインダー等で固めて形成される。
芯材5の厚みは、スペーサーユニット4の厚みと同じである。芯材5は、スペーサーユニット4で囲まれる領域の全体に充填された樹脂発砲材(ウレタンフォーム、フェノールフォーム、スチレンフォーム等)であってもよい。
2−1−3.スペーサーユニット
スペーサーユニット4は、矩形枠状のスペーサーユニット4の左右の枠部分を構成する直管状の一対の側部スペーサー40,41を含む。スペーサーユニット4は更に、スペーサーユニット4の上枠部分を構成する上部スペーサー42と、スペーサーユニット4の下枠部分を構成する下部スペーサー43とを含む。
側部スペーサー40,41は、長手方向(上下方向)の長さが、互いに同じである。スペーサー42,43は、長手方向(左右方向)の長さが互いに同じである。側部スペーサー40,41の長手方向の長さは、スペーサー42,43の長手方向の長さよりも長い。スペーサー40,41,42,43は、前後方向の長さが互いに同じである。
上部スペーサー42は、側部スペーサー40,41の上端部の間に位置する。下部スペーサー43は、側部スペーサー40,41の下端部の間に位置する。スペーサー40,41,42,43は、矩形枠状に配置されている。
スペーサー40,41,42,43のそれぞれは、自身の長手方向にわたって断面形状が一定である。スペーサー40,41,42,43は、断面形状が互いに同じである。スペーサー40,41,42,43のそれぞれは、例えばアルミニウム製の押出成形品である。スペーサー40,41,42,43のそれぞれは、同じ型を用いて成形される。
続いて、左側の側部スペーサー40について更に詳しく説明する。
図3Bに示すように、側部スペーサー40は、自身の長手方向に直交する断面形状が、略矩形の枠状である。側部スペーサー40は、自身の長手方向にわたって断面形状が一定である。
側部スペーサー40は、板材2の側(前側)を向く面の左端部に、この面の他の部分よりも後側に凹んだ第一凹段部44を有し、板材3の側(後側)を向く面の左端部に、この面の他の部分よりも前側に凹んだ第二凹段部45を有する。第一凹段部44の右端部には、後側に更に凹んだ凹み440が設けられ、第二凹段部45の右端部には、前側に更に凹んだ凹み450が設けられている。
側部スペーサー40は、芯材5の側とは反対側(左側)を向く面の前後方向の中央部に、右側に凹んだ凹条部46を有する。凹条部46は、芯材5の側とは反対側(左側)に開口している。
側部スペーサー40は、自身の長手方向(上側と下側)に開口した第一挿入孔47と第二挿入孔48を更に有する。挿入孔47,48のそれぞれは、C字状の片で囲まれた部分であり、芯材5の側(右側)にも開口している。第一挿入孔47は、側部スペーサー40の前側の部分に位置し、第二挿入孔48は、側部スペーサー40の後側の部分に位置する。挿入孔47,48は、側部スペーサー40の左側の部分に位置する。挿入孔47,48は、凹段部44,45の間に位置する。
側部スペーサー40は更に、芯材5の側(右側)を向く面の前端部と後端部に、この面の前後方向の中央部よりも左側に凹んだ凹段部49を有する。
側部スペーサー40は、凹段部44,45及び挿入孔47,48よりも芯材5の側(右側)の部分が、取付部材7が挿入される部分である。
スペーサー41,42,43のそれぞれは、側部スペーサー40と同様に、第一凹段部44、第二凹段部45、凹条部46、第一挿入孔47、第二挿入孔48、及び一対の凹段部49を有する。
2−1−4.化粧カバー
図1に示すように、化粧カバー6は、上下方向に長尺な部材であり、側部スペーサー40,41と同じ上下長さを有する。化粧カバー6は、自身の長手方向に直交する断面形状が、長手方向にわたって一定である。化粧カバー6は、例えば、アルミニウム製の押出成形品である。化粧カバー6には、塗装等の各種の表面加工が施される。
パネル1は、左右の側部スペーサー40,41に取り付けられる左右一対の化粧カバー6を備える。左右一対の化粧カバー6は、長手方向に直交する断面形状が互いに同じである。以下では、左側の化粧カバー6について説明する。
図3Bに示すように、化粧カバー6は、側部スペーサー40を前後方向から挟む第一取付片60と第二取付片61を有する。化粧カバー6は更に、側部スペーサー40の凹条部46に嵌まる突条部62を有する。化粧カバー6は更に、板状の化粧部63を有する。
化粧部63は、略矩形板状である。突条部62は、化粧部63と一体であり、本実施形態では、半角筒状である。突条部62は、化粧部63から芯材5の側(右側)に突出した一対の突出片620と、一対の突出片620の先端部(右端部)の間に介在する連結片621とで構成される。一対の突出片620は、互いに平行である。
取付片60,61のそれぞれは、突条部62と一体であり、本実施形態では、L字状である。第一取付片60は、前側の突出片620の右側の部分から前側に突出した第一片部600と、第一片部600の前端部から右側に突出した第二片部601と、第二片部601の先端部から後側に突出した爪部602とを有する。
第一取付片60は更に、第一片部600の前後方向の中央部から左側に突出した第一堰部603を有する。第一取付片60は更に、第二片部601の板材2の主板部20の側を向く面(前面)の前後方向の中央部に設けられ、ビス等の固定具9の挿入位置を示す凹条の溝604を有する。
第二取付片61は、後側の突出片620の右側の部分から後側に突出した第一片部610と、第一片部610の後端部から右側に突出した第二片部611と、第二片部611の先端部から前側に突出した爪部612とを有する。
第二取付片61は更に、第一片部610の前後方向の中央部から左側に突出した第二堰部613を有する。第二取付片61は更に、第二片部611の板材3の主板部30の側を向く面(後面)の前後方向の中央部に設けられ、固定具9の挿入位置を示す凹条の溝614を有する。
化粧カバー6は、第一取付片60と第二取付片61とで側部スペーサー40を前後方向から挟み、かつ突条部62が側部スペーサー40の凹条部46に嵌まり込むように、側部スペーサー40に取り付けられる。
取付状態において、第一取付片60の第二片部601は、側部スペーサー40の第一凹段部44に接し、第一取付片60の爪部602は、側部スペーサー40の凹み440に挿入される。第一取付片60の第一片部600は、側部スペーサー40の左側の面のうち、凹条部46よりも前側の部分に接する。
また取付状態において、第二取付片61の第二片部611は、側部スペーサー40の第二凹段部45に接し、第二取付片61の爪部612は、側部スペーサー40の凹み450に挿入される。第二取付片61の第一片部610は、側部スペーサー40の左側の面のうち、凹条部46よりも後側の部分に接する。
また取付状態において、突条部62の一対の突出片620のうち、第一片部600,610よりも芯材5の側の部分と連結片621は、側部スペーサー40の凹条部46に嵌まり込む。
側部スペーサー40への化粧カバー6の取り付けは、側部スペーサー40の左側に化粧カバー6を配置した状態から、化粧カバー6を側部スペーサー40に対して近づけ、一対の取付片60,61で側部スペーサー40を挟み込むことで、行うことができる。この際、一対の取付片60,61は、側部スペーサー40に接触することで、第二片部601,611の先端部間の間隔が僅かに拡がるように弾性変形可能である。
化粧カバー6は、取付片60,61で側部スペーサー40を挟み込んだ状態で、固定具9を取付片60,61の第二片部601,611の溝604,614に打ち込むことによって、側部スペーサー40に固定される。
右側の化粧カバー6は、右側の側部スペーサー41に対して、上述した方法と同様の方法で固定される。
2−1−5.取付部材
図1に示すように、複数の取付部材7は、互いに同じ構造である。なお、複数の取付部材7は、上取付ユニット104と下取付ユニット105の構成の一部である。パネル1には、4つの取付部材7が取り付けられている。4つの取付部材7は、側部スペーサー40,41の上下の端部に対して、上下方向に移動可能に1つずつ取り付けられる。以下では、左側の側部スペーサー40の下端部に取り付けられる取付部材7について説明する。
図6に示すように、取付部材7は、側部スペーサー40の下端部内に嵌め込まれる嵌め込み部70と、嵌め込み部70から下側に突出した連結片71を含む。連結片71は、嵌め込み部70よりも前後方向の長さが短い。嵌め込み部70は、上挿入口24及び下挿入口25よりも前後方向に長くかつ左右方向に短く、連結片71は、上挿入口24及び下挿入口25よりも前後方向に短くかつ左右方向に短い(図5A,B参照)。
嵌め込み部70は、平面視H字状の本体部72と、本体部72に取り付けられた筒状の弾性部材73とで構成される。
本体部72は、前後一対の矩形板状のフランジ部分720と、前側のフランジ部分720の左右方向の中央部分と後側のフランジ部分720の左右方向の中央部分の間に位置する矩形板状のウェブ部分721とを含む。本体部72は更に、ウェブ部分721の上端部と下端部から左右方向の両側に突出した支持部722を含む。
ウェブ部分721は、左右方向に貫通した矩形状の孔723を有する。孔723は、ウェブ部分721のうち、上下方向及び前後方向の中央部分に位置する。ウェブ部分721は更に、左右方向に貫通した円形の孔724を有する。孔724は、ウェブ部分721のうち、上側の支持部722と孔723の間の部分と、孔723と下側の支持部722の間の部分とにそれぞれ1つずつ設けられる。上下一対の支持部722は、互いに平行であり、それぞれが矩形板状である。
弾性部材73は、略角筒状であり、周方向の一部に内側に凹んだ形状の取付部730を有する。本実施形態では、弾性部材73は、左右一対の取付部730を有する。
弾性部材73は、その一部が、前側のフランジ部分720の前面と左右の側面に接し、他の一部が後側のフランジ部分720の後面と左右の側面に接し、左右一対の取付部730が左右両側の上下の支持部722の間にそれぞれ位置するように、本体部72に装着される。左右両側の上下の支持部722によって、弾性部材73が本体部72から外れ落ちることが抑制される。
連結片71は、ウェブ部分721の前後方向の中央部分から下側に突出している。連結片71は、平板状である。連結片71の左右方向の長さ(つまり厚み)は、ウェブ部分721の左右方向の長さ(つまり厚み)と同じである。
連結片71の上部は、上下方向に亘って前後幅が一定であり、連結片71の下部は、下側ほど前後幅が小さくなるように設けられている。連結片71の下面は、下方に凸の円弧状である。連結片71は、左右方向に貫通する貫通孔710を有する。貫通孔710は、連結片71の先端部(下端部)に位置する。連結片71は更に、貫通孔710よりも上側に、左右方向に貫通する孔711を有する。連結片71は、左右の面のそれぞれの貫通孔710の周囲に位置する凹部713と、各凹部713に配置されるワッシャー712とを更に有する。
本体部72及び連結片71は、例えば、鉄やステンレスなどの金属で鋳造された鋳物である。本体部72及び連結片71は、鋳造に限らず、溶接やプレス等のその他の方法で製造されてもよい。
弾性部材73及びワッシャー712のそれぞれは、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴムやクロロプレンゴムで形成される。弾性部材73及びワッシャー712のそれぞれは、ゴム製に限らず、その他の弾性を有する材料で形成されてもよい。貫通孔710の周囲に、弾性を有するワッシャー712を備えることで、貫通孔710に挿入された後述する連結具12のピン14が、がたつくことを抑制することができる。
図3Bに示すように、取付部材7は、側部スペーサー40の下端部の内周面に、弾性部材73を介して本体部72が押し当たることで、側部スペーサー40に対して上下方向に移動可能に取り付けられる。取付部材7は、連結片71が側部スペーサー40の外側(下側)に位置するように、側部スペーサー40に取り付けられる。連結片71は、前側の下板部23の凹段部230と後側の下板部33の凹段部330の間(つまり下挿入口25(図5B参照))を通じて、側部スペーサー40の外側(下側)に突出する。
取付部材7は、側部スペーサー40の上端部に対しても、同様に取り付けられる。側部スペーサー40の上端部に取り付けられた取付部材7は、前側の上板部22の切欠き220と後側の上板部32の切欠き320の間(つまり上挿入口24(図5A参照))を通じて、側部スペーサー40の外側(上側)に突出する。
側部スペーサー40の上端部からの取付部材7の抜け出しは、前後の上板部22,32の上挿入口24の周縁部によって防がれ、側部スペーサー40の下端部からの取付部材7の抜け出しは、前後の下板部23,33の下挿入口25の周縁部によって防がれる。
右側の側部スペーサー41の上端部と下端部に対しても、取付部材7が同様に取り付けられる。
2−1−6.支持部材
図1、図4、及び図5Bに示すように、支持部材8は、下部スペーサー43の凹条部46の底面460の左右方向の中央部に固定される。支持部材8は、底面460に固定されるベース80と、底面460及びベース80に軸部分810が挿通され、頭部811がベース80よりも下側に位置するボルト81と、ボルト81の軸部分810に取り付けられたナット82と、を有する。支持部材8は更に、ベース80とナット82との間に挟まれるワッシャー83を有する。
ベース80の左右方向の中央部には、ボルト81の軸部分810が挿通される孔800が形成されている。孔800は、直径が一定の孔であり、内周面に螺旋状の溝が形成されたねじ孔ではない。ベース80は、底面460に対して、例えば、ねじ801で固定される。ナット82は、ボルト81の軸部分810の軸方向(長手方向)に沿って位置を変更可能である。ワッシャー83は、エチレン・プロピレン・ジエンゴムやクロロプレンゴム等の弾性を有する部材で形成される。ワッシャー83は、ボルト81の軸部分810のうちナット82よりも先端側の部分に通されて、ナット82とベース80との間に挟まれる。
支持部材8は、ナット82を回転させて軸部分810における位置を変更することで、ボルト81の下側への突出量を調整することができる。このとき、ナット82とベース80との間にワッシャー83が介在することで、ナット82の回転操作が円滑に行える。
2−1−7.その他
図1に示すように、パネル1は、一対の側部スペーサー40,41に取り付けられ、取付部材7の一対の側部スペーサー40,41の内部への所定長以上の侵入を防ぐストッパー50を更に備える。ストッパー50は、本実施形態では、ビスである。
ストッパー50は、一対の側部スペーサー40,41のそれぞれの長手方向の両端から所定長離れた位置に、取り付けられている。所定長とは、取付部材7の上下方向の長さよりも若干長い長さであり、更に詳しくは、後述する固定部材11を連結した状態にある取付部材7が、一対の側部スペーサー40,41内に挿入可能な最大長さよりも若干長い長さである。これにより、固定部材11を連結していない状態の取付部材7が、一対の側部スペーサー40,41の内部へ所定長以上入り込んで、一対の側部スペーサー40,41から取付部材7が抜き出しにくくなることを防ぐことができる。なお、ストッパー50の取付位置を上記位置とすることで、固定部材11を連結した状態にある取付部材7が、固定部材11がパネル1に当たる位置まで差し込む際に、ストッパー50が邪魔にならない。
図4及び図5に示すように、パネル1は、上部スペーサー42の上面のうち、一対の凹段部49の間の部分に貼り付けられる止水テープ51を更に備える。止水テープ51は、例えば、ブチル両面テープである。なお、止水テープ51は、ブチル両面テープに限らず、その他の止水の機能を有する両面テープであってもよい。
止水テープ51の長さは、上部スペーサー42の左右方向の長さよりも若干長い。止水テープ51は、その左右両端に、上部スペーサー42の左右両端よりも外側に延びたはみ出し部510を有する。左右両端のはみ出し部510は、側部スペーサー40,41の内面に貼り付けられ、これにより、止水テープ51は、上部スペーサー42と側部スペーサー40,41との間の隙間を上方から塞いで、この部分の止水を行うことができる。また、止水テープ51は、板材2,3の上板部22,32と上部スペーサー42との接着にも用いられ、上板部22,32間の隙間を塞いで、この部分の止水も行うことができる。止水テープ51の幅は、上挿入口24の前後長さよりも若干短い。
2−1−8.パネルの組み立て方法
続いて、パネル1の組み立て方法の一例について説明する。
まず、板材2を、主板部20の前面が下側を向くように、平置きする。この状態で、主板部20の上面、一対の側板部21の左右方向内側の面、板部22,23の前後方向内側の面のそれぞれに、接着剤10を塗布する。
次いで、板材2の主板部20の上面に、スペーサーユニット4を載せる。まず、上部スペーサー42を、凹条部46が上板部22とは反対側に開口するように、主板部20の上面の前端部に載せる(図4参照)。このとき、上板部22の中央部222の左右の面取り部223の左右方向内側の端縁に対して、上部スペーサー42の左右の端縁が後方に並ぶように、上部スペーサー42を配置する(図5A参照)。上部スペーサー42としては、上板部22の側を向く面のうち、一対の凹段部49の間の部分に、止水テープ51を貼り付けたものを用いる。上部スペーサー42は、止水テープ51及び接着剤を介して上板部22に接着される。止水テープ51のうち、上部スペーサー42の長さ方向の両端からはみ出した左右両端のはみ出し部510は、上板部22の中央部222の左右両端から外側(前側)に突出するように折り曲げる。これにより、この後の側部スペーサー40,41の設置の際に、止水テープ51の左右両端のはみ出し部510が邪魔になることが抑制される。
次いで、下部スペーサー43を、凹条部46が下板部23の側に開口するように、主板部20の上面の後端部に載せる。下部スペーサー43には、止水テープ51が貼り付けられていない。下部スペーサー43は、下板部23の側を向く面のうち、凹条部46よりも下側の部分が、下板部23に接着剤によって接着される。なお、下部スペーサー43は、板材2の主板部20の上面に側部スペーサー40,41を載せた後に、主板部20の上面に載せてもよい。
次いで、板材2の主板部20の上面に、側部スペーサー40,41を載せる。側部スペーサー40,41としては、長手方向の両端部に取付部材7が挿入され、二つのストッパー50が取り付けられ、かつ化粧カバー6が固定されたものを用いる。
図3Bに示すように、左側の側部スペーサー40は、化粧カバー6の第一堰部603が、左の側板部21の右面に当たり、化粧カバー6の化粧部63が、左の側板部21よりも左側に位置するように、主板部20の上面の左端部に載せる。またこのとき、側部スペーサー40の第一挿入孔47が、板部22,23の第一貫通孔221,231に対して、前後に一直線上に並ぶように、側部スペーサー40を配置する。
右側の側部スペーサー41は、化粧カバー6の第一堰部603が、右の側板部21の左面に当たり、化粧カバー6の化粧部63が、右の側板部21よりも右側に位置するように、主板部20の上面の右端部に載せる。またこのとき、側部スペーサー41の第一挿入孔47が、板部22,23の第一貫通孔221,231に対して、前後に一直線上に並ぶように、側部スペーサー41を配置する。
次いで、止水テープ51の左右両端のはみ出し部510を、側部スペーサー40,41の上部スペーサー42側の壁の内面(側部スペーサー40,41の内側を向く面)に沿うように折り曲げて貼り付ける。これにより、上部スペーサー42と側部スペーサー40,41の間の隙間が、止水テープ51によって覆われて、この部分の止水性が向上する。
なお、止水テープ51の左右両端のはみ出し部510を側部スペーサー40,41に貼り付ける際、側部スペーサー40,41内の取付部材7をストッパー50に当たるか又は近接する位置まで挿入する。これにより、側部スペーサー40,41の上部スペーサー42側の壁のうちはみ出し部510が貼り付けられる部分と、取付部材7の連結片71とが対向し、この間に、作業スペースを確保することができる。そのため、止水テープ51の左右両端のはみ出し部510を側部スペーサー40,41に貼り付ける際、取付部材7が邪魔になりにくい。
板材2の主板部20の上面に、スペーサー40,41,42,43を載せることで、上部スペーサー42の左右の端面は、側部スペーサー40,41の長手方向の一端部(前端部)によって閉塞される。なお、上部スペーサー42の左右の端面と、側部スペーサー40,41の長手方向の一端部(前端部)との間には、パッキンを挟み込んでもよい。
またこのとき、下部スペーサー43の左右の端面は、側部スペーサー40,41の長手方向の他端部(後端部)によって閉塞される。なお、下部スペーサー43の左右の端面と、側部スペーサー40,41の長手方向の他端部(後端部)との間にも、パッキンを挟み込んでもよい。
次いで、主板部20の上面のうち、スペーサー40,41,42,43で囲まれる領域の全体に、芯材5を載せる。芯材5は、その下面全体が主板部20に接着される。
次いで、スペーサーユニット4及び芯材5の上面に、主板部30の前面が下側を向くように平置き姿勢にした板材3を載せる。ここで、板材3の主板部30の下面、左右の側板部31の左右方向内側の面、及び前後の板部32,33の前後方向内側の面のそれぞれには、接着剤10を塗布しておく。
板材3は、上板部32の中央部322の左右の面取り部323の左右方向内側の端縁が、上部スペーサー42の左右の端縁に対して前方に並ぶように配置する。またこのとき、板材3は、側部スペーサー40に固定された化粧カバー6の第二堰部613が、左の側板部31の右面に当たり、化粧カバー6の化粧部63が、左の側板部31よりも左側に位置するように、配置する。またこのとき、板材3は、側部スペーサー41に固定された化粧カバー6の第二堰部613が、右の側板部31の左面に当たり、この化粧カバー6の化粧部63が、右の側板部31よりも右側に位置するように、配置する。
上述のように配置することで、側部スペーサー40の第二挿入孔48が、板部32,33の第二貫通孔321,331に対して、前後に一直線上に並ぶ。また、側部スペーサー41の第二挿入孔48が、板部32,33の第二貫通孔321,331に対して、前後に一直線上に並ぶ。上部スペーサー42は、上板部32の側を向く面の上半部が、止水テープ51及び接着剤を介して上板部32に接着される。下部スペーサー43は、下板部33の側を向く面のうち、凹条部46よりも上側の部分が、接着剤を介して下板部33に接着される。
次いで、板材2の上板部22の左右の第一貫通孔221のそれぞれに位置決め用のピンを挿入して、側部スペーサー40,41のそれぞれの第一挿入孔47まで差し込んで、上板部22を側部スペーサー40,41に対して位置決めする。同様に、板材2の下板部23、板材3の上板部32、及び板材3の下板部33を、位置決め用のピンを用いて、側部スペーサー40,41に対して位置決めする。
次いで、スペーサーユニット4及び芯材5を間にセットした板材2,3に対して、ホットプレス加工を行って、接着剤10を硬化させ、板材2,3を、スペーサー40,41,42,43及び芯材5に対して固定する。
次いで、側部スペーサー40,41及び上下の板部22,23,32,33から位置決め用のピンを抜き、代わりに、ビス等の固定具を挿入する。これにより、板材2,3の上下の板部22,23,32,33は、スペーサーユニット4に固定具によって固定される。
次いで、下部スペーサー43の凹条部46に支持部材8を取り付ける。
上記のように組み立てることで、図1に示す取付部材7と支持部材8を装着したパネル1が製造される。
主板部20上にスペーサー40,41,42,43を載せる際、側部スペーサー40,41のそれぞれに固定されている化粧カバー6の第一堰部603は、接着剤10を堰き止めることができ、接着剤10のはみ出しを抑制することができる。
また、スペーサー40,41,42,43及び芯材5の上に板材3を載せる際、側部スペーサー40,41のそれぞれに固定されている化粧カバー6の第二堰部613は、接着剤10を堰き止めることができ、接着剤10のはみ出しを抑制することができる。
側部スペーサー40,41のそれぞれに固定されている化粧カバー6の第一取付片60と板材2とで囲まれる部分と、化粧カバー6の第二取付片61と板材3とで囲まれる部分のそれぞれは、接着剤10が溜まる部分となり、取付片60,61の、板材2,3に対する接着強度をそれぞれ高めることができる。
スペーサー42は、下側の凹段部49と板材2とで囲まれる部分と、上側の凹段部49と板材3とで囲まれる部分のそれぞれが、接着剤10が溜まる部分となり、板材2,3に対する接着強度をそれぞれ高めることができる。また、第一凹段部44と板材2とで囲まれる部分と、第二凹段部45と板材3とで囲まれる部分も、接着剤10が溜まる部分となり、スペーサー42の、板材2,3への接着強度を高めることとができる。
スペーサー43は、第二凹段部45と板材2とで囲まれる部分と、第一凹段部44と板材3とで囲まれる部分のそれぞれが、接着剤10が溜まる部分となり、板材2,3に対する接着強度を高めることができる。また、スペーサー43は、一対の凹段部49と板材2,3で囲まれる部分も、接着剤10が溜まる部分となり、板材2,3に対する接着強度を高めることができる。
また、側部スペーサー40,41に固定されている化粧カバー6の取付片60,61を固定する固定具9は、板材2,3によって覆い隠すことができ、もし緩んでも落下を防ぐことができる。
2−2.上取付ユニットと下取付ユニット
続いて、パネル1の上端部を建物101の上支持部102に取り付ける上取付ユニット104と、パネル1の下端部を建物101の下支持部103に取り付ける下取付ユニット105について説明する。
図1に示すように、上取付ユニット104と下取付ユニット105のそれぞれは、固定部材11と、一対の取付部材7と、一対の連結具12と、を備える。固定部材11は、上支持部102又は下支持部103に固定される固定部110と固定部110から突出した突出部111とを有する。一対の取付部材7は、一対の側部スペーサー40,41の上端部又は下端部内に上下方向に移動可能に接続される。一対の連結具12は、一対の取付部材7のそれぞれと固定部材11の突出部111とを連結する。固定部材11の突出部111と連結具12とは、側部スペーサー40,41の上端部又は下端部内に挿入可能に設けられている。
本実施形態では、上取付ユニット104と下取付ユニット105のそれぞれは、図6に示す取付部材7と、図7に示す固定部材11と連結具12とを備える。図1に示すように、上取付ユニット104と下取付ユニット105のそれぞれは、固定部材11と取付部材7と連結具12のセットを左右一対に備える。上取付ユニット104と下取付ユニット105とは、同じ部材の組み合わせで構成されている。
図7には、左側の側部スペーサー40の下端部に接続された取付部材7に対して、連結される固定部材11と連結具12とが示されている。固定部材11は、上支持部102又は下支持部103に固定される矩形板状の固定部110と、固定部110の長手方向の一端部から突出した突出部111とを有する。固定部110と突出部111は、ステンレス鋼等の金属製である。
固定部110には、アンカーボルト13(図8参照)が挿入される複数の貫通孔112が形成されている。突出部111は、一対の突出片113で構成されている。一対の突出片113のそれぞれには、厚み方向(左右方向)に貫通した貫通孔114が設けられている。一対の突出片113の間には、取付部材7の連結片71が配置される。一対の突出片113の前後方向の長さは、取付部材7の連結片71の前後方向の長さと略同じである。
突出部111、つまり一対の突出片113は、その前後方向の長さが、上挿入口24及び下挿入口25の前後方向の長さよりも短い。また、突出部111、つまり一対の突出片113は、その左右方向の長さが、上挿入口24及び下挿入口25の左右方向の長さよりも短い。
固定部材11は、固定部110のうち、上支持部102又は下支持部103の側(つまり突出部111の突出方向とは反対側)を向く面に重ねられるシート材115を更に有する。
シート材115は、弾性を有する。シート材115は、例えば、EPDM(Ethylene Propylene Rubber)で形成される。シート材115は、固定部110の片側の面の全体に重ねられる。シート材115のうち、固定部110の複数の貫通孔112に対応する部分には、貫通孔が設けられている。
固定部材11は、弾性を有するシート材115を有することで、上支持部102又は下支持部103が不陸を有していても、シート材115が不陸に合わせて変形できて、固定部110を上支持部102又は下支持部103に対して安定的に(ぐらつきを防いだ状態で)固定することができる。また、固定部材11は、シート材115を有することで、上支持部102又は下支持部103と固定部110との接触を防ぐことができ、例えば、上支持部102又は下支持部103が鉄骨であり、固定部110がステンレス鋼である場合に、異種金属接触腐食を防止することができる。
連結具12は、取付部材7の連結片71と固定部材11の突出部111を左右方向に貫通して、取付部材7を固定部材11に対して回転可能に連結する。
連結具12は、ピン14と、ピン14の先端部に着脱可能に取り付けられる抜け止め用のスナップピン15とを有する。
ピン14は、取付部材7の連結片71と固定部材11の突出部111を左右方向に貫通する軸部140と、軸部140の一端に設けられた頭部141と、を有する。軸部140の先端部(図では右端部)には、スナップピン15が挿入される挿入孔142が設けられている。
スナップピン15は、挿入孔142に挿入される棒状の挿入部150と、挿入部150の一端に連続したC字状の把持部151と、把持部151と連続し、挿入部150との間でピン14の軸部140を挟み込む挟み込み部152と、を有する。スナップピン15は更に、挟み込み部152と連続し、挿入部150と挟み込み部152との間への軸部140の挿入をガイドするガイド部153を有する。挟み込み部152は、ピン14の軸部140の外周面に沿うように湾曲した形状を有する。スナップピン15は、挿入部150がピン14の軸部140に対して直交するように、ピン14に取り付けられる。
ピン14は、その左右方向の長さが、上挿入口24及び下挿入口25よりも短い。また、スナップピン15は、その前後方向の長さが、上挿入口24及び下挿入口25よりも短い。連結具12の左右長さは、ピン14の左右長さであり、連結具12の前後長さは、スナップピン15の前後長さである。
固定部材11の突出部111の一対の突出片113と、連結具12のピン14とスナップピン15とが、上下の挿入口24,25に対して上述した寸法関係にあることで、固定部材11の突出部111と連結具12とは、上下の挿入口24,25を通じて、側部スペーサー40,41の上端部又は下端部内に挿入可能となっている。
3.パネルユニットの設置方法
続いて、上述したパネルユニット100を建物101の上支持部102と下支持部103との間に設置するパネルユニット100の設置方法の一例について説明する。
この設置方法は、固定部材設置工程と、パネル配置工程と、上連結工程と、下連結工程と、を備える。パネル1としては、四つの取付部材7と支持部材8が取り付けられたものを用いる。四つの固定部材11と四つの連結具12は、四つの取付部材7から外れている。
固定部材設置工程では、図8に示すように、上支持部102に上取付ユニット104の固定部材11の固定部110を固定し、下支持部103に下取付ユニット105の固定部材11の固定部110を固定する。
詳しくは、固定部材設置工程では、上下の支持部102,103のそれぞれに、2つの固定部材11をアンカーボルト13で固定する。各固定部材11は、固定部110と上下の支持部102,103との間に弾性を有するシート材115が介在することで、上下の支持部102,103に対して安定的に固定される。
次いで、パネル配置工程では、図9に示すように、一対の側部スペーサー40,41のそれぞれの上端部と下端部に取付部材7を接続したパネル1を、上支持部102と下支持部103との間に配置する。このとき、パネル1の支持部材8は、ボルト81の頭部811が下支持部103に当たるように、下方への突出長さを調整しておく。
次いで、上連結工程では、図10に示すように、上取付ユニット104の一対の取付部材7と上支持部102に固定された固定部材11の突出部111とを連結具12で連結する。
詳しくは、上連結工程では、まず、支持部材8のナット82を工具を用いて回転操作して、支持部材8を、ボルト81の頭部811とナット82とが接し、下方への突出量が最も短い状態とする。パネル1の支持部材8を上記状態とすることで、下取付ユニット105の固定部材11の突出部111は、パネル1の下挿入口25を通じて左右の側部スペーサー40,41の下端部内に挿入される。
次いで、上連結工程では、パネル1の左右の側部スペーサー40,41のそれぞれから上方に突出した取付部材7の連結片71を、上支持部102に固定された二つの固定部材11の一対の突出片113の間に配置する。次いで、この連結片71と一対の突出片113に対して左右方向外側から連結具12のピン14の軸部140を挿入し、ピン14の軸部140の挿入孔142に、スナップピン15の挿入部150を挿入して、スナップピン15の挟み込み部152と挿入部150とでピン14の軸部140を挟み込む。ピン14の軸部140を挿入する際、ピン14の軸部140にゴム製のワッシャー(図示せず)を通しておき、ピン14の頭部141と突出片113との間にワッシャーを配置する。これにより、連結具12のピン14とスナップピン15によって、取付部材7の連結片71と固定部材11の突出部111とがピン14の軸部140を中心とした左右方向の軸周りに回転可能に連結される。
上述したように、本実施形態では、上連結工程は、下取付ユニット105の固定部材11の突出部111が、パネル1の下挿入口25を通じて左右の側部スペーサー40,41の下端部内に挿入された状態で、行うことができる。そのため、上支持部102とパネル1との間の隙間を大きくすることができて、連結具12による取付部材7と固定部材11の連結作業がしやすい。更に、本実施形態では、下支持部103に固定部材11の固定部110を固定するアンカーボルト13の頭部が、パネル1の下部スペーサー43の凹条部46内に挿入された状態で、上連結工程を行うことができる。そのため、上支持部102とパネル1との間の隙間を更に大きくすることが可能である。
次いで、下連結工程では、図11に示すように、下取付ユニット105の一対の取付部材7と固定部材11の突出部111とを連結具12で連結する。
詳しくは、下連結工程では、まず、支持部材8のナット82を工具を用いて回転操作して、ボルト81の頭部811とナット82との間の距離を広げる。本実施形態では、上支持部102に固定部材11を固定するアンカーボルト13の頭部にパネルが当たる位置まで、ボルト81の頭部811とナット82との間の距離を広げることができる。このとき、上取付ユニット104の固定部材11の突出部111と連結具12が、パネル1の上挿入口24を通じて左右の側部スペーサー40,41の上端部内に挿入される。
次いで、下連結工程では、パネル1の左右の側部スペーサー40,41のそれぞれから下方に突出した取付部材7の連結片71を、下支持部103に固定された二つの固定部材11の一対の突出片113の間に配置する。次いで、この連結片71と一対の突出片113に対して左右方向外側から連結具12のピン14の軸部140を挿入し、ピン14の軸部140の挿入孔142に、スナップピン15の挿入部150を挿入して、スナップピン15の嵌め込み部152と挿入部150とでピン14の軸部140を挟み込む。これにより、連結具12のピン14とスナップピン15によって、取付部材7の連結片71と固定部材11の突出部111とがピン14の軸部140を中心とした左右方向の軸周りに回転可能に連結される。
上述したように、本実施形態では、下連結工程は、上取付ユニット104の固定部材11の突出部111と連結具12が、パネル1の上挿入口24を通じて左右の側部スペーサー40,41の上端部内に挿入された状態で、行うことができる。そのため、下支持部103とパネル1との間の隙間を大きくすることができて、連結具12による取付部材7と固定部材11の連結作業がしやすい。
次いで、図12に示すように、支持部材8のナット82を回転操作して、パネル1を上支持部102と下支持部103の間のおよそ中間地点に配置する。次いで、固定部材11の突出部111と連結片71との各連結部分の左右方向外側に、弾性変形可能なバックアップ材16を配置する。次いで、上下の支持部102,103とパネル1の間の隙間に、弾性変形可能なシーリング材17を充填して、隙間を埋める。これにより、上下の取付ユニット104,105の複数の取付部材7の連結片71、複数の固定部材11、複数の連結具12、支持部材8、及びバックアップ材16のそれぞれが、シーリング材17によって覆い隠される。
以上のようにして施工されたパネルユニット100の取付構造では、パネル1が、上下の支持部102,103に対して揺動可能に取り付けられている。そのため、地震が起こった場合などに、支持部102,103の層間変位に追従してパネル1が揺動することができ、パネル1の脱落や破壊を抑制することができる。
さらに、この取付構造では、パネル1が風で撓んだときに、複数の取付部材7のそれぞれが、パネル1の撓み具合に対応して、連結具12周りに回転して傾くことができる。そのため、この取付構造では、パネル1が風で撓んだときに、各取付部材7に過度な負荷がかかって変形することを抑制でき、建物101に対するパネル1の取付強度を確保することができる。
4.変形例
続いて、上述したパネルユニット100及びその設置方法の変形例について説明する。なお、後述する各変形例は、適宜組み合わせ可能である。
上取付ユニット104と下取付ユニット105とは、同じ部材のセット(取付部材7と固定部材11と連結具12)で構成されてなくてもよく、互いに別の構造であってもよい。例えば、上取付ユニット104が備える取付部材7と、下取付ユニット105が備える取付部材7とは、構造が共通していなくてもよい。また、固定部材11と連結具12についても同様である。
板材2,3は、挿入口24,25が設けられた上板部22,32及び下板部23,33を有さなくてもよく、固定部材11の突出部111及び連結具12は、挿入口24,25を通過せずに、側部スペーサー40,41の上端部又は下端部に直接挿入されてもよい。
パネルユニット100の設置方法は、上連結工程よりも下連結工程を先に行ってもよい。この場合、上連結工程では、下取付ユニット105の固定部材11の突出部111と連結具12とを側部スペーサー40,41の下端部内に挿入した状態で、上取付ユニット104の固定部材11と取付部材7の連結作業を行うことができる。
パネル1は、側部スペーサー40,41とは別部材の化粧カバー6を備えなくてもよく、化粧カバー6は側部スペーサー40,41と一体に成形されてもよい。
スペーサー40,41,42,43は、断面形状が互いに同じでなくてもよい。例えば、側部スペーサー40,41のみ、断面形状が互いに同じであり、側部スペーサー40,41の断面形状と、スペーサー42,43の断面形状とは、互いに異なってもよい。
パネル1は、パネル1の組み立て時に複数の取付部材7が側部スペーサー40,41に装着されるものに限らず、施工現場にて複数の取付部材7が側部スペーサー40,41に装着されるものであってもよい。また、支持部材8も同様に、パネル1に施工現場にて装着されてもよい。
パネル1は、複数のストッパー50を備えなくてもよい。
パネル1は、建物101内に設置される内装ルーバーを構成してもよい。また、パネル1は、ルーバーの機能を有さない他の建築材を構成してもよい。
5.まとめ
以上説明した一実施形態のパネルユニット100のように、第一態様のパネルユニット(100)は、以下の構成を備える。
すなわち、第一態様のパネルユニット(100)は、建物(101)の上支持部(102)と下支持部(103)の間に設置されるパネル(1)と、パネル(1)の上端部を上支持部(102)に取り付ける上取付ユニット(104)と、パネル(1)の下端部を下支持部(103)に取り付ける下取付ユニット(105)と、を備える。パネル(1)は、前後方向に対向する一対の板材(2)と、一対の板材(2)の間に位置する矩形枠状のスペーサーユニット(4)と、を有する。スペーサーユニット(4)は、スペーサーユニット(4)の左右の枠部分を構成する直管状の一対の側部スペーサー(40,41)を含む。上取付ユニット(104)と下取付ユニット(105)のそれぞれは、固定部材(11)と、一対の取付部材(7)と、一対の連結具(12)と、を備える。固定部材(11)は、上支持部(102)又は下支持部(103)に固定される固定部(110)と固定部(110)から突出した突出部(111)とを有する。一対の取付部材(7)は、一対の側部スペーサー(40,41)の上端部又は下端部内に上下方向に移動可能に接続される。一対の連結具(12)は、一対の取付部材(7)のそれぞれと突出部(111)とを連結する。突出部(111)と連結具(12)とは、一対の側部スペーサー(40,41)の上端部又は下端部内に挿入可能に設けられている。
上記構成を備えることで、第一態様のパネルユニット(100)では、上下の取付ユニット(104,105)のうちいずれか一方の固定部材(11)の突出部(111)と連結具(12)を一対の側部スペーサー(40,41)の上端部又は下端部内に挿入することで、パネル(1)と建物(101)の上下の支持部(102,103)との間の隙間を広くすることができる。第一態様のパネルユニット(100)では、この広がった隙間において突出部(111)と取付部材(7)とを連結具(12)で連結することができるため、建物(101)に対して取り付けがしやすい。
また、上述した一実施形態のパネルユニット100のように、第二態様のパネルユニット(100)は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
すなわち、第二態様のパネルユニット(100)では、一対の板材(2,3)のそれぞれは、スペーサーユニット(4)の上面を覆う上板部(22,32)と、スペーサーユニット(4)の下面を覆う下板部(23,33)と、を有する。上板部(22,32)には、一対の側部スペーサー(40,41)の上端開口に対向し、上端開口よりも面積の小さい上挿入口(24)が設けられている。下板部(23,33)には、一対の側部スペーサー(40,41)の下端開口に対向し、下端開口よりも面積の小さい下挿入口(25)が設けられている。前後方向及び左右方向において、突出部(111)と連結具(12)のそれぞれは、上挿入口(24)及び下挿入口(25)よりも短い。
上記構成を備えることで、第二態様のパネルユニット(100)では、上下の取付ユニット(104,105)の固定部材(11)の突出部(111)と連結具(12)とを、板材(2,3)の上下の板部(22,23,32,33)に設けた挿入口(24,25)を通じて、側部スペーサー(40,41)の上端部又は下端部内に挿入することができる。そのうえ、第二態様のパネルユニット(100)では、上下の板部(22,23,32,33)の挿入口(24,25)の周縁部分によって、側部スペーサー(40,41)から取付部材(7)が抜け出すことを防ぐことができる。
また、上述した一実施形態のパネルユニット(100)のように、第三態様のパネルユニット(100)は、第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
すなわち、第三態様のパネルユニット(100)では、一対の取付部材(7)のそれぞれは、側部スペーサー(40,41)の上端部又は下端部内に嵌め込まれる嵌め込み部(70)と、嵌め込み部(70)から延長され、連結具(12)によって突出部(111)に連結される連結片(71)を含む。前後方向及び左右方向のうち少なくとも一方向において、嵌め込み部(70)は、上挿入口(24)及び下挿入口(25)よりも長く、前後方向及び左右方向において、連結片(621)は、上挿入口(24)及び下挿入口(25)よりも短い。
上記構成を備えることで、第三態様のパネルユニット(100)では、板材(2,3)の上下の板部(22,23,32,33)の挿入口(24,25)の周縁部分によって、側部スペーサー(40,41)から取付部材(7)の嵌め込み部(70)が抜け出すことを防ぐことができる。また、第三態様のパネルユニット(100)では、板材(2,3)の上下の板部(22,23,32,33)の挿入口(24,25)を通じて引き出した取付部材(7)の連結片(71)と固定部材(11)の突出部(111)とを連結具(12)によって連結できるため、上下の板部(22,23,32,33)があることで、連結作業がしにくくなることを防ぐことができる。
また、上述した一実施形態のパネルユニット(100)のように、第四態様のパネルユニット(100)は、第一から第三のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
すなわち、第四態様のパネルユニット(100)は、一対の側部スペーサー(40,41)に取り付けられ、一対の取付部材(7)の一対の側部スペーサー(40,41)の内部への所定長以上の侵入を防ぐ複数のストッパー(50)を更に備える。
上記構成を備えることで、第四態様のパネルユニット(100)では、一対の取付部材(7)が一対の側部スペーサー(40,41)の内部へ所定長以上入り込んで、引き出しにくくなることを複数のストッパー(50)によって防ぐことができる。
また、上述した一実施形態のパネルユニット100の設置方法のように、第五態様のパネルユニット(100)の設置方法は、第一から第四のいずれか一つの態様のパネルユニット(100)を建物(101)の上支持部(102)と下支持部(103)との間に設置する設置方法である。この設置方法は、固定部材設置工程と、パネル配置工程と、上連結工程と、下連結工程と、を備える。固定部材設置工程では、上支持部(102)に上取付ユニット(104)の固定部材(11)の固定部(110)を固定し、下支持部(103)に下取付ユニット(105)の固定部材(11)の固定部(110)を固定する。パネル配置工程では、一対の側部スペーサー(40)のそれぞれの上端部及び下端部に取付部材(7)を接続したパネル(1)を、上支持部(102)と下支持部(103)との間に配置する。上連結工程では、上取付ユニット(104)の取付部材(7)と固定部材(11)の突出部(111)とを連結具(12)で連結する。下連結工程では、下取付ユニット(105)の取付部材(7)と固定部材(11)の突出部(111)とを連結具(12)で連結する。上連結工程は、一対の側部スペーサー(40,41)の下端部内に、下取付ユニット(105)の固定部材(11)の突出部(111)を挿入した状態で行う。下連結工程は、一対の側部スペーサー(40,41)の上端部内に、上取付ユニット(104)の固定部材(11)の突出部(111)を挿入した状態で行う。
上記構成を備える第五態様のパネルユニット(100)の設置方法では、上連結工程又は下連結工程において、上下の取付ユニット(104,105)のうち一方の取付ユニットの固定部材(11)の突出部(111)を一対の側部スペーサー(40,41)の上端部又は下端部内に挿入することで、パネル(1)と建物(101)の上下の支持部(102,103)との間の隙間を広くすることができる。第五態様のパネルユニット(100)の設置方法では、この広がった隙間において突出部(111)と取付部材(7)とを連結具(12)で連結することができるため、建物(101)に対してパネルユニット(100)の取り付けがしやすい。
また、上述した一実施形態のパネルユニット100の設置方法のように、第六態様のパネルユニット(100)の設置方法は、第五態様において、下記の構成を付加的に備える。
すなわち、第六態様のパネルユニット(100)の設置方法では、下連結工程は、一対の側部スペーサー(40,41)の上端部内に、上取付ユニット(104)の固定部材(11)の突出部(111)と連結具(12)を挿入した状態で行う。
上記構成を備えることで、第六態様のパネルユニット(100)の設置方法では、上連結工程の後に下連結工程を行っても、パネル(1)と下支持部(103)の間の隙間を広くできて、下連結工程が行いやすい。
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。