JP2021180139A - リチウムイオン電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】電池のサイクル寿命及び生産性向上が期待できるセパレータを提供することを課題とする。【解決手段】測定面圧63kPaを基準とした測定面圧189kPaにおける厚み弾性率が、6.3MPa以下であり、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するリチウムイオン電池用セパレータを提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、リチウムイオン電池用セパレータに関する。
リチウムイオン電池(以下、「電池」と略記する場合がある)は、携帯電話、携帯型音楽プレーヤー、ノート型パーソナルコンピューター等の携帯型電気機器の電源として広く利用されてきた。また近年は、電気自動車等の大型機器での利用が急速に拡大している。リチウムイオン電池利用機器の進展に伴い、電池に求められる保証寿命は従来の2年程度から10年以上と、5倍以上に拡大している。
従来、リチウムイオン電池用セパレータ(以下、「セパレータ」と略記する場合がある)としては、貫通した微細孔を有するポリオレフィン多孔フィルムが用いられてきた。しかし、ポリオレフィン多孔フィルムでは充放電を繰り返す内に充放電容量が低下する課題があった。このような課題に対し、セパレータの変形性を高め、充放電時の電極の膨張収縮に対する追随性を高めるセパレータが提案されている(例えば特許文献1参照)。しかし、特許文献1では、変形荷重として50kg/cm2もの高圧を付与しており、電極の膨張収縮による低圧力で速やかに変形追随可能かは疑問が残る。
また、自動車用途向け電池では、電極とセパレータを積層した後にロール状に捲回する円筒型、円筒型を押し潰して、2面の平面と曲線状の両端部を形成させた扁平型、九十九折(zigzag)にしたセパレータの間に、枚葉に切り出した電極を挿入した九十九折型、枚葉に切り出したセパレータと、枚葉に切り出した電極を積層した枚葉積層型等の、電極とセパレータの巻回体又は積層体を缶又はラミネート式の電池セルに収納している。複数の電池セルが定型の外装缶・パック内に収納されるため、電池セルのサイズが厳密に定められている。電極とセパレータの巻回体又は積層体の厚みが設計許容差(交差)の範囲を超えると、電池の外装缶・パックに納まらなくなるため、セパレータ及び電極には厳密な厚み制御が求められ、これがセパレータの生産性を落とす一因となっている。
本発明の課題は、リチウムイオン電池用セパレータに関し、電池のサイクル寿命に優れ、且つ生産性向上が期待できるセパレータを提供することである。
本発明者らは鋭意研究した結果、課題を解決できるリチウムイオン電池用セパレータを発明するに至った。
(1)フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するリチウムイオン電池用セパレータにおいて、測定面圧63kPaを基準とした測定面圧189kPaにおける厚み弾性率が、6.3MPa以下であることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
(2)フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するリチウムイオン電池用セパレータにおいて、測定面圧63kPaを基準とした測定面圧316kPaにおける厚み弾性率が、5.0MPa以下である上記(1)記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
(1)フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するリチウムイオン電池用セパレータにおいて、測定面圧63kPaを基準とした測定面圧189kPaにおける厚み弾性率が、6.3MPa以下であることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
(2)フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するリチウムイオン電池用セパレータにおいて、測定面圧63kPaを基準とした測定面圧316kPaにおける厚み弾性率が、5.0MPa以下である上記(1)記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
本発明によれば、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するリチウムイオン電池用セパレータにおいて、圧力による変形性が高いリチウムイオン電池用セパレータが得られ、該リチウムイオン電池用セパレータを用いたリチウムイオン電池がサイクル寿命に優れるという効果が得られる。また、生産性の向上が期待できるリチウムイオン電池用セパレータが得られる。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータは、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有し、測定面圧63kPaを基準とした測定面圧189kPaにおける厚み弾性率が、6.3MPa以下であり、より好ましくは5.5MPa以下であり、さらに好ましくは5.3MPa以下である。また、該厚み弾性率の下限値は、1.8MPa以上であることが好ましい。
また、該セパレータの測定面圧63kPaを基準とした測定面圧316kPaにおける厚み弾性率が、5.0MPa以下であることが好ましく、4.7MPa以下であることがより好ましく、4.4MPa以下であることがさらに好ましい。また、該厚み弾性率の下限値は、2.0MPa以上であることが好ましい。
本発明において、厚み弾性率は、以下のようにして定義される。即ち、セパレータを10枚重ね、測定圧力が任意調整可能な外側マイクロメーターを用いて、該セパレータ積層体の厚みを測定する。測定面圧63kPaのときのセパレータ積層体の厚みをTa、測定面圧189kPaのときのセパレータ積層体の厚みをTb、測定面圧316kPaのときのセパレータ積層体の厚みをTcとし、63kPaにおける厚みからの各測定面圧での厚み変化量を下式によって算出し、各測定面圧をその厚み変化量で除すことで各測定面圧における厚み弾性率を算出する。厚み弾性率の算出は下式による。なお、本明細書において、「測定面圧63kPaを基準とした測定面圧189kPaにおける厚み弾性率」を「測定面圧189kPaにおける厚み弾性率」と略記する場合がある。また、「測定面圧63kPaを基準とした測定面圧316kPaにおける厚み弾性率」を「測定面圧316kPaにおける厚み弾性率」と略記する場合がある。
(式1)
測定面圧189kPaにおける厚み変化量=(Ta−Tb)/Ta
(式2)
測定面圧316kPaにおける厚み変化量=(Ta−Tc)/Ta
測定面圧189kPaにおける厚み変化量=(Ta−Tb)/Ta
(式2)
測定面圧316kPaにおける厚み変化量=(Ta−Tc)/Ta
(式3)
測定面圧189kPaにおける厚み弾性率=189/{(Ta−Tb)/Ta}
(式4)
測定面圧316kPaにおける厚み弾性率=316/{(Ta−Tc)/Ta}
測定面圧189kPaにおける厚み弾性率=189/{(Ta−Tb)/Ta}
(式4)
測定面圧316kPaにおける厚み弾性率=316/{(Ta−Tc)/Ta}
本発明において、各セパレータの厚み弾性率を調節する方法としては、例えば、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するセパレータの原材料、及び/又は、製造工程を調整する方法が挙げられる。
オレフィン樹脂を溶融延伸し製造するポリオレフィン多孔フィルムに対し、繊維の積層構造体である、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するセパレータは圧力に対する応答性が高く、比較的弱い圧力であっても容易に変形するため、電極の膨張収縮に対する追随性に優れる。また、吸液・保液性に優れる三次元多孔構造により、セパレータの圧縮・開放時に電解液が速やかに追随し、局所的な電解液不足が生じ難いため、電流密度の不均一による電極劣化を抑制可能である。一方で、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するセパレータは、一般的にポリオレフィン多孔フィルムに対し、機械強度に劣り、変形を繰り返すことで脆化してしまい、電極の膨張収縮に対する追随性が経時で損なわれてしまっていた。本発明のセパレータによれば、電極の膨張収縮に対する追随性を有し、圧力による変形性が高いことから、本発明のセパレータを用いた電池がサイクル寿命に優れるという効果が得られる。また、生産性向上が期待できるセパレータが得られる。
フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するセパレータの厚み弾性率を調節する方法を説明する。
1つ目の方法としては、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維のフィブリル化の程度を調節する方法が挙げられる。フィブリル化が進行していると、繊維同士の接着点が増え、セパレータの機械強度が向上し、変形を繰り返しても厚み弾性率が維持される。フィブリル化が進行し過ぎると、繊維間の空隙が減少し、厚み弾性率が高くなり過ぎる場合がある。また、繊維自体の強度が低下することによって、変形を繰り返した際にセパレータの厚み弾性率が高くなり過ぎる場合がある。
2つ目の方法としては、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するセパレータに、合成繊維を含有させる方法が挙げられる。機械強度に優る合成繊維が、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維間で柱の役割を果たし、セパレータの変形時の強度劣化を抑制し、変形を繰り返しても厚み弾性率が維持される。フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維間の微細で緻密な三次元多孔構造を阻害することなく、均一な構造を維持し、セパレータに局所負荷がかかることを避けるため、セパレータに対する合成繊維の含有率は、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の含有率を超えないことが好ましい。
3つ目の方法としては、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するセパレータに、ナノセルロースを含有させる方法が挙げられる。比表面積が高く、水素結合点の多いナノセルロースによってセパレータの機械強度が向上し、変形を繰り返しても厚み弾性率が維持される。ナノセルロースが多過ぎると、繊維間の結着点が増え、厚み弾性率が高くなり過ぎる場合があるため、セパレータに対するナノセルロースの含有率は、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の含有率を超えないことが好ましい。
4つ目の方法としては、セパレータの層内で厚み方向における繊維配向性又は繊維構成に変化を持たせる方法が挙げられる。繊維配向性又は繊維構成を変化させることによって、層内で厚み弾性率が変化する。そして、一定方向の膨張収縮に対する圧力が分散されやすく、変形を繰り返しても脆化しにくくなる。
これらの方法を適宜組み合わせることで、セパレータの厚み弾性率を調節することが可能である。
本発明において、溶剤紡糸セルロース繊維とは、従来のビスコースレーヨンや銅アンモニアレーヨンのように、セルロースを一旦セルロース誘導体に化学的に変化させた後再度セルロースに戻す、いわゆる再生セルロース繊維と異なり、セルロースを化学的に変化させることなく、アミンオキサイドに溶解させた紡糸原液を水中に乾湿式紡糸してセルロースを析出させた繊維を指す。
フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を作製する方法としては、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒型の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕機、繊維懸濁液に少なくとも20MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより繊維に剪断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等が挙げられる。この中でも特にリファイナーが好ましい。
フィブリル化の程度の目安として、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度が挙げられる。フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度は75〜220mlであることが好ましく、90〜175mlであることがより好ましく、90〜120mlであることがさらに好ましい。変法濾水度が220mlより大きい場合、セパレータの緻密性が不十分になり、内部短絡不良率が高くなる場合がある。また、繊維同士の接着点が少ないため、セパレータの機械強度が不十分で、経時で厚み弾性率が高くなり過ぎる場合がある。変法濾水度が75mlより小さい場合、フィブリル化が過剰進行し、繊維の機械強度が低下する。これによって、変形を繰り返した際にセパレータの厚み弾性率が高くなり過ぎる場合がある。
なお、「変法濾水度」とは、「ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度を0.1%にした以外はJIS P8121−2:2012に準拠して測定した値」である。
溶剤紡糸セルロース繊維の場合、微細化が進むに従って、繊維長が短くなっていき、特に試料濃度が薄いと、繊維同士の絡みが少なくなり、繊維ネットワークが形成されにくくなるため、溶剤紡糸セルロース繊維自体がふるい板の穴をすり抜けてしまう。つまり、微細化した溶剤紡糸セルロースの場合は、JIS P8121−2:2012に準拠した測定方法では、正確な濾水度が計測できない。より詳細に説明すると、天然セルロース繊維は、微細化の程度が進むほど、繊維の幹から細かいフィブリルが多数裂けた状態になるため、フィブリルを介して繊維同士が絡みやすく、繊維ネットワークを形成しやすいのに対し、溶剤紡糸セルロース繊維は微細化処理によって繊維の長軸に平行に細かく分割されやすく、分割後の繊維1本1本における繊維径の均一性が高いため、平均繊維長が短くなるほど、繊維同士が絡みにくくなり、繊維ネットワークを形成しにくいと考えられる。そこで、本発明では、溶剤紡糸セルロース繊維の正確な濾水度を測定するために、変法濾水度を用いた。
フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長は、0.1〜3.0mmが好ましく、0.2〜2.0mmがより好ましく、0.3〜1.1mmがさらに好ましい。繊維長が0.1mmより短いと、セパレータから脱落する場合やセパレータの機械強度が低下する場合があり、3.0mmより長いと、繊維のフィブリル化が不十分となり、内部短絡不良率が高くなる場合や繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じる場合がある。フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長は、装置として、KajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して測定した。上記装置の投影繊維長(Proj)モードにおける長さ加重繊維長(L(l)、単位[mm])が「長さ加重平均繊維長」である。
本発明において、フィブリル化とは、フィルム状ではなく、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状で、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっている繊維を指す。フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の長さと巾のアスペクト比が約20〜約100000の範囲にあることが好ましい。
本発明において、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するセパレータに合成繊維を含有させることができる。機械強度に優る合成繊維が、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維間で柱の役割を果たし、セパレータの変形時の強度劣化を抑制し、変形を繰り返しても厚み弾性率が維持されるため好ましい。合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、半芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルなどのポリエステル;アクリル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;全芳香族ポリエステルアミド;脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドなどのポリアミド;脂肪族ポリケトン、芳香族ポリケトンなどのポリケトン;ポリエーテル;ポリアセタール;ポリカーボネート(PC);ポリイミド(PI);ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリベンゾイミダゾール(PBI);ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂;ポリビニルアルコール;エチレン−ビニルアルコール共重合体;ポリウレタン;ポリ塩化ビニルなどの樹脂からなる単繊維や複合繊維を挙げることができる。
これらの合成繊維は、単独で使用しても良いし、2種類以上の組み合わせで使用しても良い。また、各種の分割型複合繊維を分割させたものを使用しても良い。この中でも、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、全芳香族ポリエステルアミド、ポリアミドがより好ましく、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィンがさらに好ましい。ポリエステル、アクリル、ポリオレフィンを使用すると、他の合成繊維よりも、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維とが均一に絡み合ってネットワーク構造を形成しやすいため、表面の平滑性がより高く、緻密性や機械強度に優れたリチウムイオン電池用セパレータを得ることができる。これによって変形を繰り返しても、厚み弾性率が維持されやすい。
フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維間の微細で緻密な三次元多孔構造を阻害することなく、均一な構造を維持し、セパレータに局所負荷がかかり、経時で厚み弾性率が高くなることを避けるため、合成繊維は細いことが好ましい。合成繊維の平均繊維径は、0.1〜3.5μmが好ましく、1.5〜3.5μmがより好ましく、1.5〜2.5μmがさらに好ましい。平均繊維径が0.1μm未満の場合、繊維が細過ぎて、セパレータから脱落する場合がある。平均繊維径が3.5μmより太い場合、セパレータの厚みを薄くすることが困難になる場合や緻密性が不十分となる場合がある。また、繊維本数が減るため、セパレータの機械強度が低下する場合がある。さらに、セパレータを20μm未満の低厚みにした場合、最大ポア径が拡大し、内部短絡不良率が高くなる場合がある。本発明において、平均繊維径は、セパレータ断面及び表面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、セパレータを形成する繊維の面積を計測し、真円に換算した繊維径を計測し、無作為に選んだ100本の繊維径の平均値である。
合成繊維の繊維長は、0.3〜10mmであることが好ましく、0.5〜5mmであることがより好ましく、1〜3mmであることがさらに好ましい。繊維長が0.3mmより短い場合、セパレータから脱落する場合がある。繊維長が10mmより長い場合、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じる場合がある。
本発明において、セパレータに対して、合成繊維の含有量は0〜40質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましく、5〜25質量%であることがさらに好ましい。合成繊維の含有量が40質量%を超えた場合、低坪量とした際に、電解液の保液性が不十分で、内部抵抗が高くなる場合や、セパレータの緻密性が不十分で、内部短絡不良率や放電特性のバラツキが高くなる場合がある。また、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維間の微細で緻密な三次元多孔構造を阻害し、局所負荷が発生することによって、経時で厚み弾性率が高くなり過ぎる場合がある。
本発明において、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するセパレータにナノセルロースを含有させることができる。比表面積が高く、水素結合点の多いナノセルロースによってセパレータの機械強度が向上し、変形を繰り返しても厚み弾性率が維持されるため好ましい。本発明において、ナノセルロースとは、平均繊維径1000nm以下のセルロースである。平均繊維径が1000nm以下であることによって、セパレータの機械強度が高くなる。平均繊維径は、より好ましくは850nm以下であり、さらに好ましくは700nm以下である。また、平均繊維径が2nm以上であることが、セパレータ製造の際、ハンドリングが容易であることから好ましい。
ナノセルロースとしては、針葉樹、広葉樹等の木材パルプ;コットン、麻、バガス、ケナフ、竹等の非木材パルプ等の原料を、所望の繊維径となるまで機械的に剪断力を与えて微細化したセルロースを使用することができる。原料を微細化する手段としては、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、回転刃式ホモジナイザー、二重円筒式高速ホモジナイザー、超音波破砕器、高速ホモジナイザー等によって機械的剪断力を与える手段が挙げられる。
本発明において、セパレータに対して、ナノセルロースの含有量は、0〜10質量%が好ましく、0〜7質量%がより好ましく、0〜5質量%がさらに好ましい。ナノセルロースの含有量が10質量%を超えると、繊維ネットワークが密になり過ぎ、イオン伝導性が阻害されることで、内部抵抗が高くなる場合や放電特性が低くなる場合がある。また、繊維間の結着点が増え、厚み弾性率が高くなり過ぎる場合がある。さらには、後述する抄紙方法を用いたセパレータの生産性が、脱水性の低下によって悪化する場合がある。
本発明のセパレータは、湿式抄造法によって製造される湿式不織布であり、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有していることから、紙製セパレータと呼ばれる場合がある。湿式抄造法では、繊維を水に分散して均一な抄造用スラリーとし、この抄造用スラリーを抄紙機で抄き上げて湿式不織布を製作する。湿式不織布には、必要に応じて、カレンダー処理、熱カレンダー処理、熱処理などが施される。
湿式抄造方式としては、例えば、長網、円網、傾斜ワイヤー式等を用いることができる。1種の湿式抄造方式を有する抄紙機を使用しても良いし、同種又は異種の2種以上の湿式抄造方式がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機を使用しても良い。また、2層以上の多層構造の場合には、抄き合わせ法、流延法等で製造することができる。抄き合わせ法とは、各々の湿式抄造方式で抄き上げた湿紙を積層する方法である。流延法は、一方の層を形成した後に、該層の上に繊維を分散したスラリーを流延する方法である。流延法において、先に形成した一層は湿紙状態であっても良いし、乾燥状態であっても良い。このほかに、2枚以上の乾燥状態の層を熱融着させて、多層構造とすることもできる。
抄造用スラリーには、繊維のほかに必要に応じて、分散剤、増粘剤、消泡剤などを適宜添加することができ、0.001〜5質量%程度の固形分濃度に抄造用スラリーを調成する。この抄造用スラリーをさらに所定濃度に希釈して抄紙し、乾燥する。湿式不織布を製造する工程において、必要に応じて水流交絡処理を施しても良い。
本発明においては、異種の湿式抄造方式がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機を使用することによって、セパレータの層内で厚み方向における繊維配向性を変化させることが可能である。例えば傾斜ワイヤーを用いた場合は、繊維が流れ方向に配向しやすく、円網を用いた場合は縦横の配向差がつきにくくなる。又は、傾斜ワイヤーと傾斜ワイヤーのコンビネーション抄紙機の場合でも、それぞれのJ/W比を変えることでセパレータの層内で厚み方向における繊維配向性を変化させることが可能である。セパレータの層内で厚み方向における繊維配向性を変化させることによって、一定方向の膨張収縮に対する圧力が分散されやすく、変形を繰り返しても厚み弾性率が維持されやすくなる。
本発明においては、同種又は異種の湿式抄造方式がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機を使用し、それぞれの抄造用スラリーの配合を変えることでセパレータの層内で厚み方向における繊維構成を変化させることが可能である。セパレータの層内で厚み方向における繊維構成を変化させることによって、一定方向の膨張収縮に対する圧力が分散されやすく、変形を繰り返しても厚み弾性率が維持されやすくなる。
リチウムイオン電池用セパレータの坪量は、4〜20g/m2が好ましく、5〜15g/m2がより好ましく、6〜12g/m2がさらに好ましい。4g/m2未満では、十分な機械強度が得られない場合があり、正極と負極との間の絶縁性が不十分となる場合や、内部短絡不良率やサイクル特性が低下する場合がある。20g/m2を超えると、リチウムイオン電池の内部抵抗が高くなる場合や、放電特性が低くなる場合がある。本発明のセパレータの坪量は、JIS P8124:2011に準拠して測定した値である。
リチウムイオン電池用セパレータの厚みは、6〜30μmが好ましく、7〜25μmがより好ましく、8〜20μmがさらに好ましい。厚みが6μm未満では、十分な機械強度が得られない場合や、正極と負極との間の絶縁性が不十分となる場合や、内部短絡不良率、サイクル特性が悪くなる場合がある。30μmより厚い場合、リチウムイオン電池の内部抵抗が高くなる場合や、放電特性が低くなる場合がある。本段落における厚みは、JIS B 7502:2016に規定された外側マイクロメーターにより測定された値を意味し、測定面圧189kPaにおいて測定した厚みである。
リチウムイオン電池の負極活物質としては、黒鉛やコークスなどの炭素材料、金属リチウム、アルミニウム、シリカ、スズ、ニッケル、鉛から選ばれる1種以上の金属とリチウムとの合金、SiO、SnO、Fe2O3、WO2、Nb2O5、Li4/3Ti5/3O4等の金属酸化物、Li0.4CoNなどの窒化物が用いられる。充放電を繰り返したときに負極表面に金属リチウムが析出する「リチウムデンドライト」という現象が発生し、このリチウムデンドライトは徐々に成長し、セパレータを貫通して正極に達し、内部短絡の原因になることがある。本発明のリチウムイオン電池用セパレータは、このリチウムデンドライトが発生し難いチタン酸リチウムを負極活物質として用いたリチウムイオン電池に好適に使用される。
正極活物質としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、チタン酸リチウム、リチウムニッケルマンガン酸化物、リン酸鉄リチウムが用いられる。リン酸鉄リチウムは、さらに、マンガン、クロム、コバルト、銅、ニッケル、バナジウム、モリブデン、チタン、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、ホウ素、ニオブから選ばれる1種以上の金属との複合物でも良い。
リチウムイオン電池の電解液には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン、これらの混合溶媒などの有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用いられる。リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)や四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)等が挙げられる。固体電解質としては、ポリエチレングリコールやその誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリシロキサンやその誘導体、ポリフッ化ビニリデンなどのゲル状ポリマーにリチウム塩を溶解させたものが用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において、%及び部は、特にことわりのない限り、すべて質量基準である。
実施例1
リファイナーを用いて平均繊維径11.5μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維をフィブリル化させた、変法濾水度200mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維100部をパルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリーa(0.5%濃度)を調成した。この抄造用スラリーaから、傾斜型抄紙機を使用し、湿潤シートを得て、ヤンキードライヤー温度100℃で乾燥した後、カレンダー処理を施して、坪量12g/m2、厚み20μmのリチウムイオン電池用セパレータAを作製した。セパレータAの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は6.0MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は5.5MPaであった。
リファイナーを用いて平均繊維径11.5μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維をフィブリル化させた、変法濾水度200mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維100部をパルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリーa(0.5%濃度)を調成した。この抄造用スラリーaから、傾斜型抄紙機を使用し、湿潤シートを得て、ヤンキードライヤー温度100℃で乾燥した後、カレンダー処理を施して、坪量12g/m2、厚み20μmのリチウムイオン電池用セパレータAを作製した。セパレータAの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は6.0MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は5.5MPaであった。
実施例2
変法濾水度200mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維100部の代わりに、リファイナーを用いて平均繊維径11.5μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維をフィブリル化させた、変法濾水度90mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維75部と、繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維25部とを使用して、抄造用スラリーbを調成した以外は、実施例1と同様にして、坪量12g/m2、厚み20μmのリチウムイオン電池用セパレータBを作製した。セパレータBの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は5.0MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は4.2MPaであった。
変法濾水度200mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維100部の代わりに、リファイナーを用いて平均繊維径11.5μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維をフィブリル化させた、変法濾水度90mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維75部と、繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維25部とを使用して、抄造用スラリーbを調成した以外は、実施例1と同様にして、坪量12g/m2、厚み20μmのリチウムイオン電池用セパレータBを作製した。セパレータBの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は5.0MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は4.2MPaであった。
実施例3
変法濾水度200mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維100部の代わりに、変法濾水度90mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維70部と、繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維25部と、リファイナーを用いて、平均繊維径900nmに調製したナノセルロース5部とを使用して、抄造用スラリーcを調成した以外は、実施例1と同様にして、坪量12g/m2、厚み20μmのリチウムイオン電池用セパレータCを作製した。セパレータCの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は4.7MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は3.8MPaであった。
変法濾水度200mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維100部の代わりに、変法濾水度90mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維70部と、繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維25部と、リファイナーを用いて、平均繊維径900nmに調製したナノセルロース5部とを使用して、抄造用スラリーcを調成した以外は、実施例1と同様にして、坪量12g/m2、厚み20μmのリチウムイオン電池用セパレータCを作製した。セパレータCの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は4.7MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は3.8MPaであった。
実施例4
傾斜型抄紙機と円網型抄紙機とのコンビネーションマシンを用いて、抄造用スラリーcを傾斜型抄紙機で、抄造用スラリーaを円網型抄紙機で、各層6g/m2の抄き合わせ法によって湿潤シートを得た以外は、実施例1と同様にして、坪量12g/m2、厚み20μmのリチウムイオン電池用セパレータDを作製した。セパレータDの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は4.6MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は3.8MPaであった。
傾斜型抄紙機と円網型抄紙機とのコンビネーションマシンを用いて、抄造用スラリーcを傾斜型抄紙機で、抄造用スラリーaを円網型抄紙機で、各層6g/m2の抄き合わせ法によって湿潤シートを得た以外は、実施例1と同様にして、坪量12g/m2、厚み20μmのリチウムイオン電池用セパレータDを作製した。セパレータDの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は4.6MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は3.8MPaであった。
比較例1
密度0.96g/cm3の高密度ポリエチレン40部及び流動パラフィン60部を二軸押出機に投入し200℃で溶融混練した。溶融物を冷却固化した後、金属板に挟み、200℃の熱プレス機にて圧縮し、厚さ1mmのシートを得た。二軸延伸機を用いて120℃で7×7倍に得られたシートを延伸後、塩化メチレン中に浸漬して流動パラフィンを除去し、その後乾燥して、セパレータEを作製した。セパレータEの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は9.4MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は14.4MPaであった。
密度0.96g/cm3の高密度ポリエチレン40部及び流動パラフィン60部を二軸押出機に投入し200℃で溶融混練した。溶融物を冷却固化した後、金属板に挟み、200℃の熱プレス機にて圧縮し、厚さ1mmのシートを得た。二軸延伸機を用いて120℃で7×7倍に得られたシートを延伸後、塩化メチレン中に浸漬して流動パラフィンを除去し、その後乾燥して、セパレータEを作製した。セパレータEの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は9.4MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は14.4MPaであった。
比較例2
変法濾水度200mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の代わりに、リファイナーを用いて平均繊維径11.5μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維をフィブリル化させた、変法濾水度250mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータFを作製した。セパレータFの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は6.5MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は5.7MPaであった。
変法濾水度200mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の代わりに、リファイナーを用いて平均繊維径11.5μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維をフィブリル化させた、変法濾水度250mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータFを作製した。セパレータFの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は6.5MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は5.7MPaであった。
比較例3
変法濾水度200mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の代わりに、リファイナーを用いて平均繊維径11.5μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維をフィブリル化させた、変法濾水度70mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータGを作製した。セパレータGの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は6.5MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は6.4MPaであった。
変法濾水度200mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の代わりに、リファイナーを用いて平均繊維径11.5μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維をフィブリル化させた、変法濾水度70mlのフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータGを作製した。セパレータGの測定面圧189kPaにおける厚み弾性率は6.5MPa、測定面圧316kPaにおける厚み弾性率は6.4MPaであった。
<評価>
[電極箔/セパレータ積層体の厚み変化]
各セパレータから50mm×50mmのサンプル10枚を切り出し、同サイズの銅箔11枚と交互に積層して、電極箔/セパレータ積層体を作製した。マイクロメーターで該電極箔/セパレータ積層体の厚みを測定した。測定面圧63kPaにおける厚みをTd、測定面圧189kPaにおける厚みをTe、測定面圧316kPaにおける厚みをTfとし、測定面圧63kPaにおける厚みからの各測定面圧での厚み変化率を下式によって算出した。該電極箔/セパレータ積層体は、電極とセパレータの積層体を模したものであり、電池外装材挿入前の電極とセパレータの積層体に圧力を掛けた際の厚み変化を模式的に示している。
[電極箔/セパレータ積層体の厚み変化]
各セパレータから50mm×50mmのサンプル10枚を切り出し、同サイズの銅箔11枚と交互に積層して、電極箔/セパレータ積層体を作製した。マイクロメーターで該電極箔/セパレータ積層体の厚みを測定した。測定面圧63kPaにおける厚みをTd、測定面圧189kPaにおける厚みをTe、測定面圧316kPaにおける厚みをTfとし、測定面圧63kPaにおける厚みからの各測定面圧での厚み変化率を下式によって算出した。該電極箔/セパレータ積層体は、電極とセパレータの積層体を模したものであり、電池外装材挿入前の電極とセパレータの積層体に圧力を掛けた際の厚み変化を模式的に示している。
(式5)
測定面圧189kPaにおける電極箔/セパレータ積層体の厚み変化率=(1−Te/Td)×100[%]
(式6)
測定面圧316kPaにおける電極箔/セパレータ積層体の厚み変化率=(1−Tf/Td)×100[%]
測定面圧189kPaにおける電極箔/セパレータ積層体の厚み変化率=(1−Te/Td)×100[%]
(式6)
測定面圧316kPaにおける電極箔/セパレータ積層体の厚み変化率=(1−Tf/Td)×100[%]
[サイクル寿命]
各セパレータを用い、正極活物質がLiMn2O4、負極活物質がスピネル構造のLi4/3Ti5/3O4、電解液が六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)のエチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンの1/1(容量比)混合溶媒溶液(1mol/L)である設計容量が100mAhのラミネート型リチウムイオン電池を作製した。
各セパレータを用い、正極活物質がLiMn2O4、負極活物質がスピネル構造のLi4/3Ti5/3O4、電解液が六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)のエチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンの1/1(容量比)混合溶媒溶液(1mol/L)である設計容量が100mAhのラミネート型リチウムイオン電池を作製した。
その後、作製した各リチウムイオン電池について、45℃環境下で、1Cレートで1000サイクルの充放電を行い、[1−(1000サイクル目の放電容量/4サイクル目の放電容量)]×100(%)として容量低下率を求めた。評価は以下に従った。
◎(Excellent):容量低下率が10%未満である。
○(Good):容量低下率が10%以上15%未満である。
△(Average):容量低下率が15%以上25%未満である。長期使用時に容量が低下する懸念がある。
×(Poor):容量低下率が25%以上である。比較的短期での容量低下が懸念される。
○(Good):容量低下率が10%以上15%未満である。
△(Average):容量低下率が15%以上25%未満である。長期使用時に容量が低下する懸念がある。
×(Poor):容量低下率が25%以上である。比較的短期での容量低下が懸念される。
表1から明らかなように、比較例1〜3のセパレータと比較して、実施例1〜4のセパレータは、銅箔と積層した際における圧力に応じた、電極箔/セパレータ積層体の厚み変化率が大きい。電極箔/セパレータ積層体の厚み変化率が大きいほど、電極とセパレータの積層体の厚みが圧力次第で調整容易なことを示しており、電極とセパレータの積層体製造時の圧力調整次第で、電池の外装缶・パックに電極とセパレータの積層体を収めやすくなることが期待できる。その結果、セパレータを製造する時に厚み制御の自由度(許容範囲)が広くなり、生産性向上が期待できる。また、実施例1〜4のセパレータを用いたリチウムイオン電池は、サイクル寿命に優れていた。
実施例1〜4の比較から、測定面圧63kPaを基準とした測定面圧316kPaにおける厚み弾性率が、5.0MPa以下である場合、電極箔/セパレータ積層体の厚み変化率がより大きいため、好ましく、サイクル寿命もより優れている。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータは、リチウムイオン電池用途以外にも、リチウムイオンポリマー電池、リチウムイオンキャパシター等にも利用でき、さらに、リチウム以外の金属を用いた金属イオン電池、金属イオンポリマー電池、金属イオンキャパシター等にも利用できる。
Claims (2)
- フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するリチウムイオン電池用セパレータにおいて、測定面圧63kPaを基準とした測定面圧189kPaにおける厚み弾性率が、6.3MPa以下であることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
- フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維を含有するリチウムイオン電池用セパレータにおいて、測定面圧63kPaを基準とした測定面圧316kPaにおける厚み弾性率が、5.0MPa以下である請求項1記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020085623A JP2021180139A (ja) | 2020-05-15 | 2020-05-15 | リチウムイオン電池用セパレータ |
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Publications (1)
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