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JP2021171867A - 電動工具システム、制御方法、及びプログラム - Google Patents

電動工具システム、制御方法、及びプログラム Download PDF

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JP2021171867A JP2020076942A JP2020076942A JP2021171867A JP 2021171867 A JP2021171867 A JP 2021171867A JP 2020076942 A JP2020076942 A JP 2020076942A JP 2020076942 A JP2020076942 A JP 2020076942A JP 2021171867 A JP2021171867 A JP 2021171867A
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Abstract

【課題】課題は、使い勝手を向上させることである。【解決手段】電動工具システム100は、モータ1と、先端工具28と連結される出力軸5と、モータ1の動力を出力軸5に伝達する伝達機構4と、モータ1に流れる電流に基づいて先端工具28が出力する出力トルクに関連するトルク値を取得する取得部31と、ユーザからの操作を受け付けるトリガスイッチ70と、取得部31で取得されるトルク値Tq1が上限値TqLを超えないように、トリガスイッチ70への操作に応じてモータ1を制御するトルク管理モードを有する制御部3と、を備える。制御部3は、トルク管理モードにおいて、所定の条件が満たされると、トリガスイッチ70の操作量に関係なくモータ1の速度が所定の制限値となるようにモータ1を制御する。所定の条件は、取得部31で取得されるトルク値が、上限値よりも小さい閾値に達することを含む。【選択図】図1

Description

本開示は一般に電動工具システム、制御方法、及びプログラムに関し、より詳細にはモータを備える電動工具システム、電動工具システムの制御方法、及びプログラムに関する。
特許文献1に記載の電動工具は、制御方法として、電子クラッチ制御を有している。電子クラッチ制御では、トルク検出手段により検出された回転トルクが所定のトルク設定値以上となった場合には、モータの回転を停止させる。
電子クラッチ制御では、使用者がトルク設定値を設定変更可能に構成されている。即ち、電子クラッチ制御は、トルク設定値が、例えば9段階に設定されており、使用者は、何れかのトルク設定値に設定することができる。また、電子クラッチ制御では、9段階の各トルク設定値毎に、個別に最大回転数が設定されている。そのため、電子クラッチ制御において、使用者がトルク設定値をトルク設定値1〜9の何れかに設定すると、コントローラは、その設定されたトルク設定値に対応して設定されている最大回転数を上限として、制御を行う。そして、検出された回転トルクがトルク設定値以上となった場合は、たとえトリガスイッチが引かれていても、またそのときの回転数いかんにかかわらず、モータの回転を強制的に停止させる。
特開2012−139800号公報
本開示は、使い勝手を向上させることを目的とする。
本開示の一態様に係る電動工具システムは、モータと、出力軸と、伝達機構と、取得部と、トリガスイッチと、制御部と、を備える。前記出力軸は、先端工具と連結される。前記伝達機構は、前記モータの動力を前記出力軸に伝達する。前記取得部は、前記モータに流れる電流に基づいて、前記先端工具が出力する出力トルクに関連するトルク値を取得する。前記トリガスイッチは、ユーザからの操作を受け付ける。前記制御部は、前記取得部で取得される前記トルク値が上限値を超えないように、前記トリガスイッチへの操作に応じて前記モータを制御するトルク管理モードを有する。前記制御部は、前記トルク管理モードにおいて、所定の条件が満たされると、前記トリガスイッチの操作量に関係なく前記モータの速度が所定の制限値となるように前記モータを制御する。前記所定の条件は、前記取得部で取得される前記トルク値が、前記上限値よりも小さい閾値に達することを含む。
本開示の一態様に係る制御方法は、電動工具システムの制御方法である。前記電動工具システムは、モータと、出力軸と、伝達機構と、取得部と、トリガスイッチと、を備える。前記出力軸は、先端工具と連結される。前記伝達機構は、前記モータの動力を前記出力軸に伝達する。前記取得部は、前記モータに流れる電流に基づいて、前記先端工具が出力する出力トルクに関連するトルク値を取得する。前記トリガスイッチは、ユーザからの操作を受け付ける。前記制御方法は、前記取得部で取得される前記トルク値が上限値を超えないように、前記トリガスイッチへの操作に応じて前記モータを制御するトルク管理駆動モードで前記モータを制御することを含む。前記制御方法は、前記トルク管理駆動モードにおいて、所定の条件が満たされると、前記トリガスイッチの操作量に関係なく前記モータの速度が所定の制限値となるように前記モータを制御することを更に含む。前記所定の条件は、前記取得部で取得される前記トルク値が、前記上限値よりも小さい閾値に達することを含む。
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに前記制御方法を実行させるためのプログラムである。
本開示によれば、使い勝手を向上させることが可能となる、という利点がある。
図1は、一実施形態に係る電動工具システムの概略図である。 図2は、同上の電動工具システムのブロック図である。 図3は、同上の電動工具システムの制御部による制御の説明図である。 図4は、同上の電動工具システムの制御部における設定部のブロック図である。 図5は、同上の電動工具システムの電流閾値と上限値との間の関係を示すグラフである。 図6は、同上の電動工具システムの制御部の動作を示すフローチャートである。 図7は、同上の電動工具システムの一動作例を示すグラフである。
以下、実施形態に係る電動工具システム100について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(1)概要
図1、図2に示すように、電動工具システム100は、モータ1と、出力軸5と、伝達機構4と、取得部31と、トリガスイッチ70と、制御部3と、電源部8と、を備える。本実施形態では、取得部31は制御部3に設けられている。
モータ1は、電源部8から供給される電力により、制御部3の制御に応じて動作(回転)する。
出力軸5は、先端工具28と連結される。
伝達機構4は、モータ1の動力を出力軸5に伝達する。
取得部31は、モータ1に流れる電流に基づいて、先端工具28が出力する出力トルクに関連するトルク値Tq1を取得する。
トリガスイッチ70は、ユーザからの操作を受け付ける。
制御部3は、モータ1を制御する。
電動工具システム100では、制御部3は、動作モードとして、トルク管理モードを有している。トルク管理モードにおいて、制御部3は、取得部31で取得されるトルク値Tq1が上限値TqLを超えないように、トリガスイッチ70への操作に応じてモータ1を制御する。すなわち、トルク管理モードにおいては、トルク値Tq1が上限値TqLに達するとモータ1を停止させる、いわゆる電子クラッチ制御が実現される。以下では、トルク管理モードのことを「電子クラッチモード」ともいう。
また、本実施形態の電動工具システム100では、制御部3は、電子クラッチモードにおいて所定の条件が満たされると、トリガスイッチ70の操作量に関係なくモータ1の速度(回転速度、回転数)が所定の制限値ωcとなるようにモータ1を制御する。所定の条件は、取得部31で取得されるトルク値Tq1が、上限値TqLよりも小さい閾値に達することを含んでいる。これにより、電動工具システム100では、トルク値Tq1が上限値TqLに達することをもってモータ1を停止させる前に、トルク値Tq1が閾値に達することをもって、モータ1の速度が制限値ωcへと制御される。すなわち、電動工具システム100では、モータ1の速度を制限値ωcに近づける制御を行ってから、モータ1を停止させる。そのため、モータ1を停止させる直前のモータ1の速度のばらつきを小さくできる。そのため、例えば先端工具28により締付部材(ねじ等)に対して締付作業(ねじ締め作業等)を行う場合、締付部材へ出力される締付トルクのばらつきを小さくすることが可能となり、電動工具システム100の使い勝手を向上させることが可能となる。
ところで、モータの速度が比較的大きい状態からモータの回転を停止させる場合、モータの慣性の影響によって、電子クラッチ制御が実現できない場合がある。図5は、電子クラッチ制御において、上限値TqLと電流閾値との間の関係の一例を示す図である。ここでの「電流閾値」は、モータに流れる電流がこの閾値に達したときに、制御部3がモータを停止させる閾値である。図5において、「X1」は、モータの速度が23500[rpm]の場合、「X2」は、モータの速度が900[rpm]の場合を示す。
例えば、図5に示すように、モータの速度が900[rpm]の場合において、上限値TqLとして8[Nm]という値を用いる場合、制御部は、モータに流れる電流が54[A]に達すると、出力トルクが上限値TqLに達したと判断する。また、モータの速度が900[rpm]の場合において、上限値TqLとして4[Nm]という値を用いる場合、制御部は、モータに流れる電流が24[A]に達すると、出力トルクが上限値TqLに達したと判断する。
すなわち、電子クラッチ制御において、モータの速度が一定の場合には、上限値TqLと電流閾値との間に線形の関係がある。モータからの出力トルクはモータに流れる電流に依存するので、上限値TqLの値が大きい程電流閾値を大きくすることで、モータを停止させる際に出力軸から出力される最終的な出力トルクを大きくさせている。
また、図5に示すように、モータの速度が23500[rpm]の場合において、上限値TqLとして8[Nm]という値を用いる場合、制御部は、モータに流れる電流が9[A]に達すると、出力トルクが上限値TqLに達したと判断する。
すなわち、電子クラッチ制御において、同じ上限値TqLの値(8[Nm])に対する電流閾値の値は、モータの速度が増加すると低下する。これは、モータの慣性(モータが回り続けようとする特性)のためである。
そのため、例えばモータの速度が23500rpmの場合には、上限値TqLとして4Nmという値を用いる場合に対応する電流閾値が、存在しない(負の値となる)。要するに、モータの速度が比較的大きい場合、モータの慣性(慣性モーメント)の影響によって、電子クラッチ制御が実現できないこととなる。
この課題を解決するためには、例えば特許文献1に記載の電動工具のように、複数のトルク設定値(上限値TqL)の各々に対して、個別に最大回転数を設定することが考えられる。しかしながら、この場合には、上限値TqLが比較的小さな値の場合に、最大回転数も比較的小さな値に設定されることとなる。そのため作業速度が低下し、作業時間が長くなる。
本実施形態の電動工具システム100では、制御部3は、所定の条件が満たされると、トリガスイッチ70の操作量に関係なくモータ1の回転数が所定の制限値ωcとなるようにモータ1を制御する。そして、制御部3は、所定の条件が満たされるまでは、トリガスイッチ70の操作量に応じてモータ1の速度を制御する。これにより、特許文献1の電動工具に比べて作業時間の短縮を図ることが可能となり、使い勝手が向上する。
(2)詳細
(2.1)電動工具システム
以下、本実施形態の電動工具システム100について、図面を参照して更に詳細に説明する。本実施形態の電動工具システム100は、電動ドリルドライバである。
図1、図2に示すように、電動工具システム100は、モータ1と、インバータ回路部2と、制御部3と、伝達機構4と、出力軸5と、入出力部7と、電源部8と、電流測定部110と、モータ回転測定部25と、を備える。
モータ1は、ブラシレスモータである。特に、本実施形態のモータ1は、同期電動機であり、より詳細には、永久磁石同期電動機(PMSM(Permanent Magnet Synchronous Motor))である。図2に示すように、モータ1は、永久磁石231を有する回転子23と、コイル241を有する固定子24と、を備えている。回転子23は、回転動力を出力する回転軸26を有している。コイル241と永久磁石231との電磁的相互作用により、回転子23は、固定子24に対して回転する。
電源部8は、モータ1の駆動に用いられる電源である。電源部8は、直流電源である。電源部8は、本実施形態では、二次電池を有している。電源部8は、いわゆる電池パックである。電源部8は、インバータ回路部2及び制御部3の電源としても利用される。
インバータ回路部2は、モータ1を駆動するための回路である。インバータ回路部2は、電源部8からの電圧Vdcを、モータ1用の駆動電圧Vaに変換する。本実施形態では、駆動電圧Vaは、U相電圧、V相電圧及びW相電圧を含む三相交流電圧である。以下では、必要に応じて、U相電圧をv、V相電圧をv、W相電圧をvで表す。また、各電圧v,v,vは、正弦波電圧である。
インバータ回路部2は、PWMインバータとPWM変換器とを利用して実現できる。PWM変換器は、駆動電圧Va(U相電圧v、V相電圧v、W相電圧v)の目標値(電圧指令値)v ,v ,v に従って、パルス幅変調されたPWM信号を生成する。PWMインバータは、このPWM信号に応じた駆動電圧Va(v,v,v)をモータ1に与えてモータ1を駆動する。より具体的には、PWMインバータは、三相分のハーフブリッジ回路とドライバとを備える。PWMインバータでは、ドライバがPWM信号に従って各ハーフブリッジ回路におけるスイッチング素子をオン/オフすることにより、電圧指令値v ,v ,v に従った駆動電圧Va(v,v,v)がモータ1に与えられる。これによって、モータ1には、駆動電圧Va(v,v,v)に応じた駆動電流が供給される。駆動電流は、U相電流i、V相電流i、及びW相電流iを含む。より詳細には、U相電流i、V相電流i、及びW相電流iは、モータ1の固定子24における、U相の電機子巻線の電流、V相の電機子巻線の電流、及びW相の電機子巻線の電流である。
電流測定部110は、2つの相電流センサ11を備える。2つの相電流センサ11は、ここでは、インバータ回路部2からモータ1に供給される駆動電流のうちU相電流i及びV相電流iを測定する。なお、W相電流iは、U相電流i及びV相電流iから求めることができる。なお、電流測定部110は、相電流センサ11の代わりに、シャント抵抗等を利用した電流検出器を備えていてもよい。
伝達機構4は、モータ1の回転軸26と出力軸5との間に配されている。伝達機構4は、モータ1の動力を出力軸5に伝達する。伝達機構4は、例えば、速度切換スイッチへの操作に応じてギア比を変更可能な減速機構を備えていてもよい。
出力軸5は、モータ1の動力により回転する部分である。出力軸5には、例えばチャック50を介して、先端工具28が取り付けられる。
先端工具28は、出力軸5と一緒に回転する。電動工具システム100は、モータ1の駆動力で出力軸5を回転させることで、先端工具28を回転させる。すなわち、電動工具システム100は、先端工具28をモータ1の駆動力で駆動する工具である。各種の先端工具28のうち用途に応じた先端工具28が、チャック50に取り付けられて用いられる。なお、出力軸5に直接に先端工具28が装着されてもよい。また、出力軸5と先端工具28とが一体であってもよい。先端工具28は、例えばドライバビット、ドリルビット、ソケット等であり、ここではドライバビットである。
入出力部7は、ユーザインタフェースである。入出力部7は、電動工具システム100の動作に関する表示、電動工具システム100の動作の設定、及び、電動工具システム100の操作に利用される装置を備える。
本実施形態では、入出力部7は、ユーザからの操作を受け付けるトリガスイッチ(トリガボリューム)70及び操作パネル71を備えている。
トリガスイッチ70は、押しボタンスイッチの一種である。トリガスイッチ70を引く操作により、モータ1のオンオフを切換可能である。また、トリガスイッチ70を引く操作の引込み量で、モータ1の速度の目標値ω を変更可能である。その結果として、トリガスイッチを引く操作の引込み量で、モータ1及び出力軸5の速度を調整可能である。上記引込み量が大きいほど、モータ1及び出力軸5の速度が速くなる。
より詳細には、トリガスイッチ70は、操作信号を出力する多段階スイッチ又は無段階スイッチ(可変抵抗器)を備える。操作信号は、トリガスイッチ70への操作量(引込み量)に応じて変化する。
入出力部7は、トリガスイッチ70からの操作信号に応じて目標値ω を決定し、制御部3に与える。制御部3は、入出力部7からの目標値ω に応じて、モータ1を回転又は停止させ、また、モータ1の速度を制御する。
操作パネル71は、電動工具システム100の動作モードを設定する機能を有する。電動工具システム100の動作モードは、少なくとも電子クラッチモード(トルク管理モード)を含む。電子クラッチモードは、出力軸5から出力される出力トルク(先端工具28が出力する出力トルク)を監視し、出力トルクが設定された上限値TqLを超えないように、モータ1の動作を制御するモードである。本実施形態の電動工具システム100は、動作モードとして電子クラッチモードのみを備えている。
操作パネル71は、上限値TqLを設定する機能を有している。操作パネル71は、例えば、上限値TqLを設定するための2つの操作ボタン(upボタン、downボタン)と、表示器と、を備えている。上限値TqLは、複数の候補上限値から選択され得る。表示器は、現在選択されている上限値TqLを表示する。例えば、upボタンが押されると、表示器に表示される上限値TqLの値が増加し、downボタンが押されると、表示器に表示される上限値TqLの値が減少する。操作パネル71は、表示器に表示されている値を、上限値TqLとして、制御部3へ出力する。
要するに、電動工具システム100は、複数の候補上限値のうちの一つを上限値TqLとして設定する上限値設定部(操作パネル71)を備えている。
モータ回転測定部25は、モータ1の回転角を測定する。モータ回転測定部25としては、例えば、光電式エンコーダ又は磁気式エンコーダを採用することができる。モータ回転測定部25で測定されたモータ1の回転角及びその変化から、モータ1(回転子23)の回転子位置θ及び速度ωが求められ得る。
制御部3は、モータ1の速度の指令値ω を求める。特に、制御部3は、トリガスイッチ70から与えられるモータ1の速度の目標値ω に基づいて、モータ1の速度の指令値ω を求める。また、制御部3は、モータ1の速度が指令値ω に一致するように駆動電圧Vaの目標値(電圧指令値)v ,v ,v を決定してインバータ回路部2に与える。
(2.2)制御部
以下、制御部3について更に詳細に説明する。制御部3は、本実施形態では、ベクトル制御を用いてモータ1を制御する。ベクトル制御は、モータ電流を、トルク(回転力)を発生する電流成分と磁束を発生する電流成分とに分解し、それぞれの電流成分を独立に制御するモータ制御方式の一種である。
図3は、ベクトル制御におけるモータ1の解析モデル図である。図3には、U相、V相、W相の電機子巻線固定軸が示されている。ベクトル制御では、モータ1の回転子23に設けられた永久磁石231が作る磁束の回転速度と同じ速度で回転する回転座標系が考慮される。回転座標系において、永久磁石231が作る磁束の方向をd軸にとり、d軸に対応する制御上の回転軸をγ軸とする。また、d軸から電気角で90度進んだ位相にq軸をとり、γ軸から電気角で90度進んだ位相にδ軸をとる。実軸に対応する回転座標系はd軸とq軸を座標軸に選んだ座標系であり、その座標軸をdq軸と呼ぶ。制御上の回転座標系はγ軸とδ軸を座標軸に選んだ座標系であり、その座標軸をγδ軸と呼ぶ。
dq軸は回転しており、その回転速度をωで表す。γδ軸も回転しており、その回転速度をωeで表す。また、dq軸において、U相の電機子巻線固定軸から見たd軸の角度(位相)をθで表す。同様に、γδ軸において、U相の電機子巻線固定軸から見たγ軸の角度(位相)をθeで表す。θ及びθeにて表される角度は、電気角における角度であり、それらは一般的に回転子位置又は磁極位置とも呼ばれる。ω及びωeにて表される回転速度は、電気角における角速度である。以下、必要に応じて、θ又はθeを、回転子位置と呼び、ω又はωeを単に速度と呼ぶことがある。
制御部3は、基本的に、θとθeとが一致するようにベクトル制御を行う。θとθeとが一致しているとき、d軸及びq軸は夫々γ軸及びδ軸と一致することになる。なお、以下の説明では、必要に応じて、駆動電圧Vaのγ軸成分及びδ軸成分を、それぞれγ軸電圧vγ及びδ軸電圧vδで表し、駆動電流のγ軸成分及びδ軸成分を、それぞれγ軸電流iγ及びδ軸電流iδで表す。
また、γ軸電圧vγ及びδ軸電圧vδの目標値を表す電圧指令値を、それぞれγ軸電圧指令値vγ 及びδ軸電圧指令値vδ により表す。γ軸電流iγ及びδ軸電流iδの目標値を表す電流指令値を、それぞれγ軸電流指令値iγ 及びδ軸電流指令値iδ により表す。
制御部3は、γ軸電圧vγ及びδ軸電圧vδの値がそれぞれγ軸電圧指令値vγ 及びδ軸電圧指令値vδ に追従しかつγ軸電流iγ及びδ軸電流iδの値がそれぞれγ軸電流指令値iγ 及びδ軸電流指令値iδ に追従するように、ベクトル制御を行う。
制御部3は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、制御部3の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
制御部3は、図2に示すように、座標変換器12と、減算器13と、減算器14と、電流制御部15と、磁束制御部16と、速度制御部17と、座標変換器18と、減算器19と、位置・速度推定部20と、脱調検出部21と、設定部22と、を備える。なお、座標変換器12、減算器13,14,19、電流制御部15、磁束制御部16、速度制御部17、座標変換器18、位置・速度推定部20、脱調検出部21、及び設定部22は、制御部3によって実現される機能を示している。よって、制御部3の各要素は、制御部3内で生成された各値を自由に利用可能となっている。
設定部22は、モータ1の速度の指令値ω を生成する。設定部22は、入出力部7から受け取った目標値ω 等に基づいて、指令値ω を求める。設定部22の詳細については、「(2.3)指令値」の欄で説明する。
座標変換器12は、回転子位置θeに基づいてU相電流i及びV相電流iをγδ軸上に座標変換することにより、γ軸電流iγ及びδ軸電流iδを算出して出力する。ここで、γ軸電流iγは、d軸電流に対応し、励磁的な電流であり、トルクには殆ど寄与しない電流である。δ軸電流iδは、q軸電流に対応し、トルクに大きく寄与する電流である。回転子位置θeは、位置・速度推定部20にて算出される。
減算器19は、速度ωeと指令値ω とを参照し、両者間の速度偏差(ω −ωe)を算出する。速度ωeは、位置・速度推定部20にて算出される。
速度制御部17は、比例積分制御などを用いることによって、速度偏差(ω −ωe)がゼロに収束するようにδ軸電流指令値iδ を算出して出力する。
磁束制御部16は、γ軸電流指令値iγ を決定して減算器13に出力する。γ軸電流指令値iγ は、制御部3にて実行されるベクトル制御の種類、モータ1の速度ω等に応じて、様々な値をとりうる。例えば、d軸電流をゼロとして最大トルク制御を行う場合は、γ軸電流指令値iγ が0とされる。また、d軸電流を流して弱め磁束制御を行う場合は、γ軸電流指令値iγ が速度ωeに応じた負の値とされる。以下の説明では、γ軸電流指令値iγ が0である場合を取り扱う。
減算器13は、磁束制御部16から出力されるγ軸電流指令値iγ より座標変換器12から出力されるγ軸電流iγを減算し、電流誤差(iγ −iγ)を算出する。減算器14は、速度制御部17から出力される値iδ より座標変換器12から出力されるδ軸電流iδを減算し、電流誤差(iδ −iδ)を算出する。
電流制御部15は、電流誤差(iγ −iγ)及び(iδ −iδ)が共にゼロに収束するように、比例積分制御などを用いた電流フィードバック制御を行う。この際、γ軸とδ軸との間の干渉を排除するための非干渉制御を利用し、(iγ −iγ)及び(iδ −iδ)が共にゼロに収束するようにγ軸電圧指令値vγ 及びδ軸電圧指令値vδ を算出する。
座標変換器18は、位置・速度推定部20から出力される回転子位置θeに基づいて電流制御部15から与えられたγ軸電圧指令値vγ 及びδ軸電圧指令値vδ を三相の固定座標軸上に座標変換することにより、電圧指令値(v 、v 及びv )を算出して出力する。
インバータ回路部2は、座標変換器18からの電圧指令値(v 、v 及びv )に応じた三相電圧を、モータ1に供給する。モータ1は、インバータ回路部2から供給された電力(三相電圧)により駆動され、回転動力を発生させる。
位置・速度推定部20は、回転子位置θe及び速度ωeを推定する。より詳細には、位置・速度推定部20は、座標変換器12からのiγ及びiδ並びに電流制御部15からのvγ 及びvδ の内の全部又は一部を用いて、比例積分制御等を行う。位置・速度推定部20は、d軸とγ軸との間の軸誤差(θe−θ)がゼロに収束するように回転子位置θe及び速度ωeを推定する。なお、回転子位置θe及び速度ωeの推定手法として従来から様々な手法が提案されており、位置・速度推定部20は公知の何れの手法をも採用可能である。
脱調検出部21は、モータ1が脱調しているか否かを判定する。より詳細には、脱調検出部21は、モータ1の磁束に基づいて、モータ1が脱調しているか否かを判定する。モータ1の磁束は、d軸電流及びq軸電流及びγ軸電圧指令値vγ 及びδ軸電圧指令値vδ から求められる。脱調検出部21は、モータ1の磁束の振幅が閾値未満であれば、モータ1が脱調していると判断してよい。なお、閾値は、モータ1の永久磁石231が作る磁束の振幅に基づいて適宜定められる。なお、脱調検出手法として従来から様々な手法が提案されており、脱調検出部21は公知の何れの手法をも採用可能である。
(2.3)指令値
上述のように、制御部3は、モータ1の速度ωeが、設定部22で生成されたモータ1の速度の指令値ω に一致するように、モータ1の動作を制御する。以下、設定部22による指令値ω の生成動作について説明する。
設定部22は、入出力部7から受け取る目標値ω 及び上限値TqLと、モータ1の速度ωeと、取得部31で取得されるトルク値Tq1と、に基づいて、指令値ω を求める。
図4に示すように、取得部31は、ここでは設定部22に含まれている。取得部31は、座標変換器12から、δ軸電流iδの値を取得する。上述のように、δ軸電流iδはq軸電流に対応しており、トルクに大きく寄与する電流成分である。取得部31は、δ軸電流iδに基づいて、先端工具28が出力する出力トルクに関連するトルク値Tq1を取得する。以下では、便宜上、δ軸電流iδのことを「トルク電流」ともいう。要するに、取得部31は、モータ1に流れるトルク電流(δ軸電流iδ)に基づいて、トルク値Tq1を取得する。
ここでは、取得部31は、モータ1の加速度に応じてδ軸電流iδを補正し、得られた値(補正後のδ軸電流)に基づいて、トルク値Tq1を取得する。すなわち、モータ1の速度が変化する場合(モータ1が加速又は減速する場合)、δ軸電流iδは、出力軸5から出力される出力トルクを発生させるための電流成分に加えて、モータ1の速度を変化させるための電流成分を含んでいる。そのため、取得部31は、モータ1の加速度に応じてδ軸電流iδを補正することで、出力軸5から出力される出力トルクを発生させるための電流成分を求め、求めた電流成分に基づいてトルク値Tq1を取得する。
発明者らは、鋭意研究の結果、δ軸電流iδのうちでモータ1の速度を変化させるための電流成分は、モータ1の加速度(回転数の変化量)と線形の関係があることを見出した。一実験例において、δ軸電流iδのうちでモータ1の速度を変化させるための電流成分をY[A]、モータ1の加速度(回転数の変化量)をx[rpm/s]とすると、Y=0.095x+2.5の式が成立することを見出した。そのため、「Y」の値を補正値として、δ軸電流iδの値からこの補正値を差し引くことで、δ軸電流iδのうちで、出力軸5から出力される出力トルクを発生させるための電流成分(補正後のδ軸電流)を求めることができる。以下では、便宜上、補正後のδ軸電流のことを「補正トルク電流」ともいう。
設定部22は、通常動作と定速動作とを有している。
電動工具システム100の動作の開始時では、設定部22は、通常動作で動作する。通常動作において、設定部22は、指令値ω として、入出力部7から受け取った目標値ω を設定する。通常動作において、指令値ω は目標値ω と一致する。
通常動作で動作中に、所定の条件が満たされると、設定部22の動作が通常動作から定速動作へと切り換わる。
定速動作において、設定部22は、指令値ω として、「制限値ωc」を設定する。制限値ωcは、上限値設定部(操作パネル71)で設定された上限値TqLに応じて決まる値である。定速動作において、指令値ω は制限値ωcと一致する。
また、設定部22は、通常動作及び定速動作の両方において、取得部31で取得されるトルク値Tq1が上限値TqLに達すると、指令値ω を0に設定してモータ1を停止させる(電子クラッチ制御)。
より詳細には、設定部22は、図4に示すように、取得部31に加えて、第1閾値設定部221と、速度設定部222と、切換判断部223と、第2閾値設定部224と、停止判断部225と、指令値生成部226と、を備えている。
第1閾値設定部221は、上限値設定部で設定された上限値TqLに応じて、第1閾値Th1(図7参照)を設定する。第1閾値Th1は、設定部22が通常動作で動作中に、切換判断部223によって、補正トルク電流(補正後のδ軸電流)と比較される値である。複数の候補上限値に対して、一対一に対応する複数の第1閾値候補が予め登録されており、上限値設定部で設定された上限値TqLに対応する第1閾値候補が、第1閾値Th1として選択される。補正トルク電流が第1閾値Th1に達することが、出力トルクが閾値に達することに相当する。要するに、閾値は、上限値設定部で設定された前記上限値に応じた値である。
速度設定部222は、上限値設定部で設定された上限値TqLに応じて、制限値ωcを設定する。制限値ωcは、設定部22が定速動作で動作中に、設定部22によって指令値ω として設定される値である。また、制限値ωcは、設定部22が通常動作で動作中に、切換判断部223によって、モータ1の速度ωeと比較される値でもある。複数の候補上限値に対して、一対一に対応する複数の候補制限値が予め登録されており、上限値設定部で設定された上限値TqLに対応する候補制限値が、制限値ωcとして選択される。要するに、制限値ωcは、上限値設定部で設定された上限値に応じた値である。
切換判断部223は、設定部22の通常動作から定速動作への切り換えを判断する。切換判断部223は、所定の条件が満たされると、設定部22の動作を通常動作から定速動作へと切り換える。ここでは、所定の条件は、第1条件と第2条件とを含む。
第1条件は、取得部31で取得されるトルク値Tq1が閾値に達する、という条件である。第1条件は、特に、上記トルク値Tq1が閾値よりも小さな値から増加して閾値に達する、という条件である。
切換判断部223は、ここでは、補正トルク電流(補正後のδ軸電流)を第1閾値Th1と比較し、補正トルク電流が第1閾値Th1に達すると、トルク値Tq1が閾値に達したと判断する。すなわち、モータ1から出力されるトルクはモータ1に流れる補正トルク電流に依存するので、切換判断部223は、補正トルク電流が第1閾値Th1に達すると、トルク値Tq1が閾値に達したと判断するよう構成されている。
切換判断部223は、通常動作において、補正トルク電流を第1閾値Th1と随時比較し、補正トルク電流が第1閾値Th1に達したか否かを判定する。
第2条件は、モータ1の速度ωe(或いは速度ω)が速度設定部222で設定された制限値ωc以上である、という条件である。切換判断部223は、通常動作において、モータ1の速度ωeを制限値ωcと比較し、速度ωeが制限値ωc以上であるか否かを判定する。
要するに、所定の条件は、取得部31で取得されるトルク値Tq1が、上限値TqLよりも小さい閾値に達すること(第1条件)を含む。また、所定の条件は、モータ1の速度ωeが制限値ωc以上であること(第2条件)を、更に含む。
切換判断部223は、第1条件と第2条件との両方が満たされると、所定の条件が満たされたと判断して、設定部22の動作を通常動作から定速動作へと切り換える。
第2閾値設定部224は、上限値設定部で設定された上限値TqL、及びモータ1の速度ωe(或いは速度ω)に基づいて、第2閾値Th2(図7参照)を設定する。第2閾値Th2は、設定部22が通常動作及び定速動作の各々で動作中に、停止判断部225によって、補正トルク電流(補正後のδ軸電流)と比較される値である。第2閾値Th2は、第1閾値Th1よりも大きい。
第2閾値設定部224は、上限値設定部で設定されたある上限値TqLに対して、モータ1の速度ωeが大きい程、第2閾値Th2の値が小さくなるように、第2閾値Th2を設定する。また、第2閾値設定部224は、あるモータ1の速度ωeに対して、上限値TqLが大きい程、第2閾値Th2の値が大きくなるように、第2閾値Th2を設定する。
上述のように、定速動作では、モータ1の速度ωeが制限値ωcに制御されるので、第2閾値Th2の値も、設定された上限値TqLに対応する値へと制御される。すなわち、定速動作では、上限値TqLに変更が無い限り、第2閾値Th2の値は一定になる。
一方、通常動作では、入出力部7から入力される目標値ω に応じて、モータ1の速度ωeが時間的に変動し得る。そのため、通常動作では、第2閾値Th2は、時間的に変動し得る。
停止判断部225は、通常動作及び定速動作において、停止条件が満たされているか否かを判断する。停止条件は、補正トルク電流(補正後のδ軸電流)が第2閾値Th2に達することを含む。
停止判断部225は、補正トルク電流を第2閾値Th2と随時比較する。停止判断部225は、補正トルク電流が第2閾値Th2に達すると、トルク値Tq1が上限値TqLに達したとみなし、モータ1を停止させる指令を指令値生成部226に与える。
指令値生成部226は、指令値ω を生成する。指令値生成部226は、通常動作において、指令値ω として、入出力部7から受け取った目標値ω を設定する。指令値生成部226は、定速動作において、指令値ω として、速度設定部222で生成された制限値ωcを設定する。
また、指令値生成部226は、モータ1を停止させる指令を停止判断部225から受け取ると、指令値ω を0とする。すなわち、制御部3(設定部22)は、トルク値Tq1が上限値TqLに達すると、モータ1を停止させる。
以下に、図6のフローチャートを参照して、設定部22の動作について簡単に説明する。
トリガスイッチ70がオンされると、設定部22は通常動作で動作を開始し(S1)、入出力部7から上限値TqLを取得して、取得した上限値TqLに基づいて、第1閾値Th1、第2閾値Th2及び制限値ωcを生成して設定する。そして、設定部22は指令値ω として、トリガスイッチ70の引込み量に応じた目標値ω を出力し(S2)、モータ1の動作を開始させる。モータ1の動作を開始すると、設定部22は、モータ1の速度ωe及びトルク電流(δ軸電流iδ)を随時取得する。
通常動作において、設定部22は、停止条件を満たすか否かを随時判断する(S3)。停止条件を満たす場合(S3:Yes)、設定部22は、指令値ω として0[rpm]を出力し、モータ1を停止させる(S8)。停止条件を満たさない場合(S3:No)、設定部22は、所定の条件(第1条件及び第2条件)を満たすか否かを随時判断する(S4)。所定の条件を満たさない場合(S4:No)、設定部22は、通常動作での動作を継続する。
一方、所定の条件を満たすと(S4:Yes)、設定部22は、定速動作での動作を開始し(S5)、上限値設定部で上限値TqLが変更されていれば、入出力部7から上限値TqLを取得して第1閾値Th1、第2閾値Th2及び制限値ωcを設定する。そして、設定部22は、指令値ω として制限値ωcを出力し(S6)、モータ1の速度が制限値ωcとなるようにモータ1を動作させ、モータ1の速度ωe及びトルク電流(δ軸電流iδ)を随時取得する。
定速動作において、設定部22は、停止条件を満たすか否かを随時判断する(S7)。停止条件を満たさない場合(S7:No)、設定部22は、定速動作での動作を継続する。停止条件を満たす場合(S7:Yes)、設定部22は、指令値ω として0[rpm]を出力し、モータ1を停止させる(S8)。
(2.4)動作例
図7を参照して、電動工具システム100の動作の一例について説明する。
図7において、「A1」はモータ1の速度ω[rpm]を示し、「A2」は指令値ω [rpm]を示し、「A3」は補正トルク電流[A]を示す。なお、「A4」は、取得部31によって補正される前のトルク電流(δ軸電流iδ)[A]を示す。
また、図7において、「B1」は、モータ1の速度の制限値ωc[rpm]を示し、「Th1」は第1閾値Th1[A]を示し、「Th2」は第2閾値Th2[A]を示している。図7の例では、モータ1の速度の制限値ωcが10000[rpm]に設定され、第1閾値Th1が15[A]に設定されている。また、第2閾値Th2は、時点t3以降は20Aに設定されている。なお、時点t0〜t3の期間は、停止判断部225が動作を行わないマスク期間である。すなわち、たとえマスク期間内に補正トルク電流が第2閾値Th2を超えても、制御部3はモータ1を停止させない。これにより、モータ1が始動できなくなる可能性を低減できる。図7では、停止判断部225が動作を行わないこと(時点t0〜t3の期間)を、第2閾値Th2の値を0[A]として図示することで、示している。
締付部材(木ねじ)の頭部に先端工具28を添えた状態で、ユーザがトリガスイッチ7を引き込む操作を行うことにより、設定部22が通常動作で動作を開始し、モータ1が動作を開始する(時点t0)。これにより、モータ1に電流が供給されはじめ、トルク電流が増加する。その後、遅くとも時点t1頃から時点t4頃まで、指令値ω が増え続ける。これに伴い、モータ1の速度ωも増え続ける。なお、時点t1〜t4の期間は、木ねじが下穴にねじ込まれていく期間のため、トルク電流はモータ1の速度を変化させる(モータ1を加速させる)ための電流成分が主であり、補正トルク電流は略0[A]となっている。
通常動作で動作中、設定部22は、所定の条件(第1条件及び第2条件)が満たされているかを随時(定常的に)判断している。この例では、時点t2において、モータ1の速度ωが制限値ωcに達している。そのため、時点t2以降は、第2条件が満たされている。
時点t5において、木ねじが下穴の底部に到達する。この時点以降、トルク電流及び補正トルク電流が増加し、また、モータ1の速度が低下する。
補正トルク電流が第1閾値Th1に達すると(時点t6)、制御部3(設定部22)は、第1条件(及び第2条件)が満たされたと判断し、動作を定速動作へと切り換える。これにより、指令値ω が制限値ωcへと強制的に制御される。ここでは、制御部3(設定部22)は、モータ1の速度(指令値ω )を制限値ωcまで1段階で変化させる。
その後、補正トルク電流が第2閾値Th2に達すると(時点t7)、設定部22は指令値ω を0[rpm]に設定し、モータ1を停止させる。
なお、ねじ締め作業の場合、補正トルク電流が第2閾値Th2に達すること(時点t7)は、ねじの頭部が作業対象に着座したことを意味し得る。
このように、本実施形態の電動工具システム100では、制御部3は、電子クラッチモードにおいて、所定の条件が満たされると(時点t6)、トリガスイッチ70の操作量に関係なくモータ1の速度が所定の制限値ωc(10000[rpm])となるようにモータ1を制御する。これにより、電子クラッチ制御ができない状況を回避できる。また、モータ1を停止させる直前の、モータ1の速度のばらつきを小さくできる。そのため、先端工具28から作業対象に出力される締付トルクのばらつきを小さくすることが可能となり、電動工具システム100の使い勝手を向上させることが可能となる。
(3)変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。
電動工具システム100の制御部3と同様の機能は、電動工具システム100の制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
一態様に係る制御方法は、電動工具システム100の制御方法である。電動工具システム100は、モータ1と、出力軸5と、伝達機構4と、取得部31と、トリガスイッチ70と、を備える。出力軸5は、先端工具28と連結される。伝達機構4は、モータ1の動力を出力軸5に伝達する。取得部31は、モータ1に流れる電流に基づいて、先端工具28が出力する出力トルクに関連するトルク値Tq1を取得する。トリガスイッチ70は、ユーザからの操作を受け付ける。この制御方法は、取得部31で取得されるトルク値Tq1が上限値TqLを超えないように、トリガスイッチ70への操作に応じてモータ1を制御するトルク管理駆動モードでモータ1を制御することを含む。この制御方法は、トルク管理駆動モードにおいて、所定の条件が満たされると、トリガスイッチ70の操作量に関係なくモータ1の速度が所定の制限値ωcとなるようにモータ1を制御することを、更に含む。所定の条件は、取得部31で取得されるトルク値Tq1が、上限値TqLよりも小さい閾値に達することを含む。
一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の電動工具システム100の制御方法を実行させるためのプログラムである。プログラムは、非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
以上述べた制御部3の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部3としての機能の一部が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、制御部3における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。制御部3の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。反対に、制御部3における複数の機能が、基本例のように、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、制御部3の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
一変形例において、制御部3(設定部22)は、所定の条件が満たされると、モータ1の速度(指令値ω )を制限値ωcまで複数段階で段階的に変化させてもよい。制御部3(設定部22)は、所定の条件が満たされると、モータ1の速度(指令値ω )を制限値ωcまで線形に変化させてもよいし、時間経過に応じてS字状、下に凸となる形状、或いは上に凸となる形状に変化させてもよい。
一変形例において、所定の条件は、第1条件だけを含んでいてもよい。この場合、第2条件を満たさない(すなわち、モータ1の速度が制限値ωcより小さな)低速回転時に第1条件が満たされると、モータ1の速度(指令値ω )が制限値ωcまで増加されることとなる。
一変形例において、制御部3(設定部22)は、第1条件と第2条件とのうち一方のみが満たされた後に、他方のみが満たされても、所定の条件が満たされていないと判断してもよい。例えば、制御部3は、第1条件が満たされると第1フラグを設定する。また、制御部3は、第2条件が満たされると第2フラグを設定する。そして制御部3は、第1フラグと第2フラグとの両方が設定されている場合、所定の条件が満たされたと判断する。例えば、制御部3は、ある時点で第1条件が満たされかつ第2条件が満たされていなかったことをもって第1フラグのみが設定された場合、その後、第1フラグをリセットする。その後の時点で、第1条件が満たされず第2条件のみが満たされた場合には、制御部3は、第2フラグのみが設定されていると判断し、所定の条件が満たされていない、と判断する。
逆に、制御部3(設定部22)は、第1条件と第2条件とのうち一方のみが満たされた後に、他方のみが満たされると、所定の条件が満たされたと判断してもよい。この場合、例えば、ある時点で第1条件が満たされかつ第2条件が満たされていなかったことをもって第1フラグのみが設定された場合、制御部3は、第1フラグをリセットしない。
一変形例において、電動工具システム100の動作モードは、電子クラッチモード以外の他のモードを含んでいてもよい。他のモードは、例えば基本モードを含み得る。基本モードにおいて、電動工具システム100は、出力軸5からの出力トルクの大きさに関係なく常に、トリガスイッチ70の引込み量に応じた速度でモータ1を回転させる。電動工具システム100の動作モードは、例えば、操作パネル71に設けられた切換スイッチを操作することで切り換えられる。
一変形例において、第1閾値Th1は、第2閾値Th2に比例していてもよい。例えば、第1閾値Th1は、第2閾値Th2の0.5〜0.7倍の範囲内の値であり得る。
一変形例において、設定部22が補正トルク電流を求めることは必須ではない。すなわち、設定部22(切換判断部223及び停止判断部225)は、補正トルク電流ではなく、トルク電流を第1閾値Th1及び第2閾値Th2と比較してもよい。
一変形例において、設定部22(切換判断部223)は、通常動作において、モータ1の速度ではなく、モータ1の速度の指令値ω を、制限値ωcと比較してもよい。
一変形例において、ある閾値(第1閾値Th1、第2閾値Th2、制限値ωc)に達したか否か、又は以上であるか否かの判断は、複数回(例えば5回)の判定結果に基づいて行われてもよい。この場合、ノイズの影響を低減できる。
(4)態様
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
第1の態様の電動工具システム(100)は、モータ(1)と、出力軸(5)と、伝達機構(4)と、取得部(31)と、トリガスイッチ(70)と、制御部(3)と、を備える。出力軸(5)は、先端工具(28)と連結される。伝達機構(4)は、モータ(1)の動力を出力軸(5)に伝達する。取得部(31)は、モータ(1)に流れる電流に基づいて、先端工具(28)が出力する出力トルクに関連するトルク値(Tq1)を取得する。トリガスイッチ(70)は、ユーザからの操作を受け付ける。制御部(3)は、取得部(31)で取得されるトルク値(Tq1)が上限値(TqL)を超えないように、トリガスイッチ(70)への操作に応じてモータ(1)を制御するトルク管理モードを有する。制御部(3)は、トルク管理モードにおいて、所定の条件が満たされると、トリガスイッチ(70)の操作量に関係なくモータ(1)の速度が所定の制限値(ωc)となるようにモータ(1)を制御する。所定の条件は、取得部(31)で取得されるトルク値(Tq1)が、上限値(TqL)よりも小さい閾値に達することを含む。
この態様によれば、トルク値(Tq1)が上限値(TqL)に達することをもってモータ(1)が停止する前に、トルク値(Tq1)が閾値に達することをもってモータ(1)の速度が制限値(ωc)へと制御される。すなわち、モータ1の速度が制限値(ωc)に一旦近づいてから、モータ(1)が停止される。そのため、モータ(1)を停止させる直前のモータ(1)の速度(ωe)のばらつきを小さくでき、使い勝手を向上させることが可能となる。
第2の態様の電動工具システム(100)は、第1の態様において、上限値設定部(操作パネル71)を更に備える。上限値設定部は、複数の候補上限値のうちの一つを上限値(TqL)として設定する。
この態様によれば、ユーザが所望の上限値(TqL)を設定することが可能となる。
第3の態様の電動工具システム(100)では、第2の態様において、制限値(ωc)は、上限値設定部で設定された上限値(TqL)に応じた値である。
この態様によれば、上限値(TqL)に応じた制限値(ωc)を設定することが可能となり、所望の締付トルクの大きさ(上限値TqL)に適した速度(制限値ωc)で、モータ1を動作させることが可能となる。
第4の態様の電動工具システム(100)では、第2又は第3の態様において、閾値は、上限値設定部で設定された上限値(TqL)に応じた値である。
この態様によれば、上限値(TqL)に応じた閾値を設定することが可能となる。
第5の態様の電動工具システム(100)では、第1〜第4のいずれか1つの態様において、制御部(3)は、ベクトル制御を用いてモータ(1)を制御する。取得部(31)は、モータ(1)に流れるトルク電流に基づいて、トルク値(Tq1)を取得する。
この態様によれば、ベクトル制御に用いられるトルク電流を用いて、トルク値(Tq1)の取得が可能となり、専用のセンサ等の追加が不要となり、構成の簡略化を図ることが可能となる。
第6の態様の電動工具システム(100)では、第1〜第5のいずれか1つの態様において、制御部(3)は、トルク管理モードにおいて、所定の条件が満たされるまでは、トリガスイッチ(70)の操作量に応じてモータ(1)の速度を制御する。
この態様によれば、作業時間の短縮を図ることが可能となり、使い勝手が向上する。
第7の態様の電動工具システム(100)では、第1〜第6のいずれか1つの態様において、制御部(3)は、所定の条件が満たされると、モータ(1)の速度を制限値(ωc)まで複数段階で段階的に変化させる制御を行う。
この態様によれば、使い勝手を向上させることが可能となる。
第8の態様の電動工具システム(100)では、第1〜第6のいずれか1つの態様において、制御部(3)は、所定の条件が満たされると、モータ(1)の速度を制限値(ωc)まで1段階で変化させる制御を行う。
この態様によれば、使い勝手を向上させることが可能となる。
第9の態様の電動工具システム(100)では、第1〜第8のいずれか1つの態様において、所定の条件は、モータ(1)の速度が制限値以上であることを更に含む。
この態様によれば、使い勝手を向上させることが可能となる。
第10の態様の電動工具システム(100)では、第9の態様において、制御部(3)は、トルク値(Tq1)が閾値に達するという第1条件とモータ(1)の速度が制限値(ωc)以上になるという第2条件とのうちの一方のみが満たされた後に、他方のみが満たされても、所定の条件が満たされていないと判断する。
この態様によれば、使い勝手を向上させることが可能となる。
第11の態様の電動工具システム(100)では、第1〜第10のいずれか1つの態様において、制御部(3)は、トルク値(Tq1)が上限値(TqL)に達すると、モータ(1)を停止させる。
この態様によれば、いわゆる電子クラッチ制御が可能となる。
第12の態様の制御方法は、電動工具システム(100)の制御方法である。電動工具システム(100)は、モータ(1)と、出力軸(5)と、伝達機構(4)と、取得部(31)と、トリガスイッチ(70)と、を備える。出力軸(5)は、先端工具(28)と連結される。伝達機構(4)は、モータ(1)の動力を出力軸(5)に伝達する。取得部(31)は、モータ(1)に流れる電流に基づいて、先端工具(28)が出力する出力トルクに関連するトルク値(Tq1)を取得する。トリガスイッチ(70)は、ユーザからの操作を受け付ける。制御方法は、取得部(31)で取得されるトルク値(Tq1)が上限値(TqL)を超えないように、トリガスイッチ(70)への操作に応じてモータ(1)を制御するトルク管理駆動モードでモータ(1)を制御することを含む。制御方法は、トルク管理駆動モードにおいて、所定の条件が満たされると、トリガスイッチ(70)の操作量に関係なくモータ(1)の速度が所定の制限値(ωc)となるようにモータ(1)を制御することを更に含む。所定の条件は、取得部(31)で取得されるトルク値(Tq1)が、上限値(TqL)よりも小さい閾値に達することを含む。
この態様によれば、トルク値(Tq1)が上限値(TqL)に達することをもってモータ(1)が停止する前に、トルク値(Tq1)が閾値に達することをもってモータ(1)の速度が制限値(ωc)へと制御される。すなわち、モータ(1)の速度が制限値(ωc)に一旦近づいてから、モータ(1)が停止される。そのため、モータ(1)を停止させる直前のモータ(1)の速度のばらつきを小さくでき、使い勝手を向上させることが可能となる。
第13の態様のブログラムは、1以上のプロセッサに、第12の態様の制御方法を実行させるためのプログラムである。
この態様によれば、使い勝手を向上させることが可能となる。
1 モータ
3 制御部
4 伝達機構
5 出力軸
28 先端工具
31 取得部
70 トリガスイッチ
100 電動工具システム
Tq1 トルク値
TqL 上限値
ωc 制限値
ωe 速度

Claims (13)

  1. モータと、
    先端工具と連結される出力軸と、
    前記モータの動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、
    前記モータに流れる電流に基づいて、前記先端工具が出力する出力トルクに関連するトルク値を取得する取得部と、
    ユーザからの操作を受け付けるトリガスイッチと、
    前記取得部で取得される前記トルク値が上限値を超えないように、前記トリガスイッチへの操作に応じて前記モータを制御するトルク管理モードを有する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記トルク管理モードにおいて、所定の条件が満たされると、前記トリガスイッチの操作量に関係なく前記モータの速度が所定の制限値となるように前記モータを制御し、
    前記所定の条件は、前記取得部で取得される前記トルク値が、前記上限値よりも小さい閾値に達することを含む、
    電動工具システム。
  2. 複数の候補上限値のうちの一つを前記上限値として設定する上限値設定部を更に備える、
    請求項1に記載の電動工具システム。
  3. 前記制限値は、前記上限値設定部で設定された前記上限値に応じた値である、
    請求項2に記載の電動工具システム。
  4. 前記閾値は、前記上限値設定部で設定された前記上限値に応じた値である、
    請求項2又は3に記載の電動工具システム。
  5. 前記制御部は、ベクトル制御を用いて前記モータを制御し、
    前記取得部は、前記モータに流れるトルク電流に基づいて前記トルク値を取得する、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動工具システム。
  6. 前記制御部は、前記トルク管理モードにおいて、前記所定の条件が満たされるまでは、前記トリガスイッチの操作量に応じて前記モータの速度を制御する、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動工具システム。
  7. 前記制御部は、前記所定の条件が満たされると、前記モータの速度を前記制限値まで複数段階で段階的に変化させる制御を行う、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動工具システム。
  8. 前記制御部は、前記所定の条件が満たされると、前記モータの速度を前記制限値まで1段階で変化させる制御を行う、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動工具システム。
  9. 前記所定の条件は、前記モータの速度が前記制限値以上であることを更に含む、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の電動工具システム。
  10. 前記制御部は、
    前記トルク値が前記閾値に達するという第1条件と前記モータの速度が前記制限値以上になるという第2条件とのうちの一方のみが満たされた後に、他方のみが満たされても、前記所定の条件が満たされていないと判断する、
    請求項9に記載の電動工具システム。
  11. 前記制御部は、前記トルク値が前記上限値に達すると、前記モータを停止させる、
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の電動工具システム。
  12. モータと、先端工具と連結される出力軸と、前記モータの動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、前記モータに流れる電流に基づいて、前記先端工具が出力する出力トルクに関連するトルク値を取得する取得部と、ユーザからの操作を受け付けるトリガスイッチと、を備える電動工具システムの制御方法であって、
    前記制御方法は、
    前記取得部で取得される前記トルク値が上限値を超えないように、前記トリガスイッチへの操作に応じて前記モータを制御するトルク管理駆動モードで前記モータを制御することと、
    前記トルク管理駆動モードにおいて、所定の条件が満たされると、前記トリガスイッチの操作量に関係なく前記モータの速度が所定の制限値となるように前記モータを制御することと、
    を含み、
    前記所定の条件は、前記取得部で取得される前記トルク値が、前記上限値よりも小さい閾値に達することを含む、
    制御方法。
  13. 1以上のプロセッサに、請求項12に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
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