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JP2021158975A - 健康機能を付与したお好み焼き類又はたこ焼き、及び、その製造用澱粉含有原料粉ミックス - Google Patents

健康機能を付与したお好み焼き類又はたこ焼き、及び、その製造用澱粉含有原料粉ミックス Download PDF

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慎人 江崎
Masato Ezaki
和代 白神
Kazuyo Shirakami
千尋 加藤
Chihiro Kato
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Abstract

【課題】お好み焼き類や、たこ焼きのような嗜好性の高い食品に、アルギン酸カルシウムの健康機能を付与し、該食品の摂食後の血糖値上昇を抑制し、しかも、アルギン酸カルシウムの添加による、食感や風味を損なわないお好み焼き類及びたこ焼きを製造する方法を提供することにある。【解決手段】お好み焼き類又はたこ焼きの製造において、穀粉を含む澱粉含有原料粉100質量部に対し、粒度1〜53μmの範囲の粉末状アルギン酸カルシウムを4〜8質量部となる割合で含有させることにより、お好み焼き類又はたこ焼き製造用の澱粉含有原料粉ミックスを調製し、該澱粉含有原料粉ミックスを用いて、バッターを調製し、お好み焼き類又はたこ焼きを製造することにより、アルギン酸カルシウムの健康機能の付与と、高食感を保持した、お好み焼き類又はたこ焼きを製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、摂食後の血糖値上昇を抑制し、かつ、食感や風味を損なわないお好み焼き又はたこ焼きの製造方法、及び、該お好み焼き類又はたこ焼きを製造するための澱粉含有原料粉ミックスに関する。
近年、我国の糖尿病や糖尿病が疑われる人は増加の一途をたどっている。II型糖尿病の発症には現代の食生活習慣、運動不足、ストレスなどが密接に関わっており、食事療法及び運動療法が糖尿病治療の有効な手段とされている。食品科学分野での糖尿病予防に関する研究は、糖質の分解と吸収を阻害、遅延して過血糖を抑制することが目的とされ、飲食品にもそのような健康機能が求められている。また、ダイエットの観点から血糖値の急激な上昇を招く食品を避けたいとする消費者も少なくない。
糖質制限が課せられる糖尿病や糖尿病が疑われる人々を主なターゲットとして、難消化性澱粉、難消化性デキストリン、大豆粉、豆乳粉末、おから、フスマ、セルロース、ポリデキストロース、小麦食物繊維、大豆食物繊維、難消化性グルカン、寒天、こんにゃく粉、アーモンドプードル、ナッツ粉末、小麦蛋白、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白、卵蛋白などの低糖質食品原料を含有する食品の需要が高まっている。
従来より、上記のとおり、食生活習慣に起因する糖尿病等の予防等を企図して、食事療法的に、糖質摂取を制限した食品の提供が行われている。例えば、特許文献1には、焼菓子用組成物において、蛋白質系原料としてホエイパウダー又はホエイ蛋白を含有させることにより、食物繊維として難消化性デキストリンを含ませた食品が開示されており、該食品を製造する際の、該食物繊維による食感の低下を改善することについても開示されている。しかし、その効果は充分なものではなく、またアレルギー物質を含むという問題もある。
また、特許文献2では、低糖質食品原料と麹を含有することで食感や風味をより効果的に改善できるようにした食品用組成物の提供について開示されている。しかしながら、これらの低糖質食品原料を含有した食品について、実際に対照食と比較して摂食後の血糖値上昇を抑制したという記述はなく、真に糖尿病や糖尿病を疑われる人々に向けた食品として成り得るのかは明らかになっていない。
極最近、本発明者らによって、茹でめんの製造方法において、小麦粉を含む粉体原料に、粉末状アルギン酸カルシウムを練りこむことで、食感を損なわずに摂食後血糖値の上昇を抑制する機能を有する麺類を製造する方法が開示されている(特許文献3)。該開示の方法は、茹で麺の製造工程において、麺類製造用粉体原料に、微粉砕アルギン酸カルシウム粉末を、特定の割合で混合し、該麺類製造用粉体原料を用いて、混錬工程、製麺工程、及び、茹で上げ工程を行うことにより、アルギン酸カルシウムの健康機能の付与と、麺の高食感の保持を可能にした、茹で麺の製造方法を提供するものである。該茹で麺の製造方法は、茹で麺に、その食感の低下を起こすことなく、アルギン酸カルシウムの健康機能付与濃度を保持することを可能とし、しかも、茹で麺の製造工程における、茹で上げ工程を経た上でも、該濃度を保持することを可能としたものであり、該茹で麺の製造方法により、茹で麺摂食後の血糖値上昇抑制効果等の健康機能を有する茹で麺を提供することを可能にしている。
一方で、従来より、サクサクとした表面と、内部のなめらかでくちどけが良い食感を持ち、具材及び調味料等により、独特の味覚のある、指向性の高い和風の焼成食品として、お好み焼き類及びたこ焼きが知られている。お好み焼き類及びたこ焼きの製造については、その食味・食感の改善、及び、製造技術及び冷凍等の保存に対する品質の改善等、多くの改良技術が提案されている。お好み焼きや、たこ焼きの製造においても、健康機能の観点から、プレミックスに、難消化デキストリンを添加するような方法も開示されている(特許文献4)。しかしながら、お好み焼き類や、たこ焼きのような嗜好性の食品類において、上述のように低糖質食品原料を多量に配合すると、食感がボソボソとして、口溶けや風味が悪く、美味しい食品にならないという、技術上の問題も存在する。
上記のように、お好み焼き類や、たこ焼きのような嗜好性が志向される食品においては、その食味・食感の改善という観点からは、多くの改良技術が提案されているが、該食品において、健康機能の付与という観点からは、従来から、新たな提案がほとんどなされていないというのが現状である。しかしながら、お好み焼き類や、たこ焼きのような食品類においても、例えば、摂食後血糖値の上昇というような問題は存在しており、したがって、そのような問題に対処できる、健康機能を付与した食品を提供することが、その嗜好性の高い食品の味覚を味わうとともに、その健康機能を享受する観点で、重要な課題となる。
特開2015−65839号公報 特開2017−55662号公報 WO/2019/130634号公報 特開2019−180366号公報
本発明の課題は、お好み焼き類や、たこ焼きのような嗜好性の高い食品に、健康機能を付与し、食品の嗜好性の高い味覚とともに、その健康機能を享受できる食品を提供すること、特に、お好み焼き類や、たこ焼きのような嗜好性の高い食品に、アルギン酸カルシウムの健康機能を付与し、該食品の摂食後の血糖値上昇を抑制し、しかも、該食品の製造に際して、アルギン酸カルシウムの添加による、食感や風味を損なわないお好み焼き類及びたこ焼きを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、お好み焼き類や、たこ焼きのような嗜好性の高い食品においても、該食品の摂食後の血糖値が上昇するような問題があることから、該食品の健康食品としての問題を解決し、嗜好性の高い食味.食感と、健康機能を両有するお好み焼き類や、たこ焼きを提供することについて、鋭意検討する中で、麺類等において血糖値上昇抑制効果があることが知られているアルギン酸カルシウムを、お好み焼き類や、たこ焼きのような食品の製造原料に混合し、アルギン酸カルシウムの健康機能を付与することを検討した。
そこで、アルギン酸カルシウムの粉末を、お好み焼き類や、たこ焼きの製造原料に混合することを検討する中で、特定の粒度の微粉末状アルギン酸カルシウムを、特定割合で、お好み焼き類や、たこ焼きの製造原料である、澱粉含有原料粉に混合し、澱粉含有原料粉ミックスとして調製し、該澱粉含有原料粉ミックスを用いて、バッターを調製し、お好み焼き類や、たこ焼きを製造することにより、アルギン酸カルシウム粉末を添加する場合に問題となる、粉っぽさによる食味・食感の低下を回避して、サクサクとした表面と、内部のなめらかでくちどけが良い食感を持ち、指向性の高い食味・食感を持ち、しかも、アルギン酸カルシウムの有効な健康機能を付与した、お好み焼き類及びたこ焼きを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、お好み焼き類又はたこ焼きの製造において、穀粉を含む澱粉含有原料粉100質量部に対し、粒度1〜53μmの範囲の粉末状アルギン酸カルシウムを4〜8質量部となる割合で含有させることにより、お好み焼き類又はたこ焼き製造用の澱粉含有原料粉ミックスを調製し、該澱粉含有原料粉ミックスを用いて、バッターを調製し、お好み焼き類又はたこ焼きを製造することにより、アルギン酸カルシウムの健康機能の付与と、高食感を保持した、お好み焼き類又はたこ焼きを製造することからなる。
機能性食品の製造において、アルギン酸カルシウムを添加して、アルギン酸カルシウムの健康機能を付与することは従来から提案されている。しかし、アルギン酸カルシウム粉末の添加により、添加する食品に粉っぽさのような食感を付与してしまい、アルギン酸カルシウムの健康機能を付与する濃度で添加するのが難しいという問題があった。そこで、上記、麺類の場合のように、微粉砕したアルギン酸カルシウムの特定量を麺生地に練りこむような方法を採用することにより、アルギン酸カルシウムの健康機能の付与と麺の食味・食感を保持するような方法が採られていた。特に、お好み焼き類や、たこ焼きのような食品においては、表面のサクサクとした食感や、内部のなめらかでくちどけが良い食感のような嗜好性の高い食感が望まれるところから、アルギン酸カルシウムのような成分の添加による食味・食感の低下が、製品の品質に直接影響を及ぼす要因となる。そこで、本発明においては、上記のような方法を採用することにより、アルギン酸カルシウムの健康機能の付与と、高食感を保持した、お好み焼き類又はたこ焼きを提供することに成功した。
本発明において、アルギン酸カルシウムの健康機能の付与した、お好み焼き類又はたこ焼きの製造においては、まず、澱粉含有原料粉にアルギン酸カルシウム粉末を混合して、澱粉含有原料粉ミックスを調製する。該澱粉含有原料粉ミックスの調製は、澱粉含有原料粉100質量部に対し、粒度1〜53μmの範囲の粉末状アルギン酸カルシウムを4〜8質量部となる割合で含有するように、配合、混合する。該混合により、アルギン酸カルシウムの健康機能の付与と、高食感を保持した、お好み焼き類又はたこ焼き製造用の澱粉含有原料粉ミックスとして提供することができる。該粒度1〜53μmの範囲の粉末状アルギン酸カルシウムは、270メッシュパスの微粉砕アルギン酸カルシウム粉末として、調製することができる。
本発明の健康機能を付与した、お好み焼き類又はたこ焼きの製造方法は、穀粉を含む澱粉含有主原料粉と水とを混合するバッター調製工程、前記バッターに、食材を添加する食材添加工程、前記食材を添加したバッターを加熱する加熱調理工程からなるお好み焼き類又はたこ焼き製造方法において、該バッター調製工程を、上記澱粉含有原料粉ミックス、すなわち、穀粉を含む澱粉含有主原料粉に、粒度1〜53μmの範囲の粉末状アルギン酸カルシウムを、該穀粉を含む澱粉含有主原料粉100質量部に対して、4〜8質量部の割合で、添加、混合して調製した、澱粉含有原料粉ミックスに、水を、穀粉を含む澱粉含有主原料粉100質量部に対する前記水の加水率が160〜180質量部となるように添加し、バッターを調製する工程として行うことからなる。本発明のお好み焼き類又はたこ焼きの製造方法により、摂食後の血糖値の上昇抑制等の健康機能効果を有する、お好み焼き類又はたこ焼きを提供することができる。
本発明においてお好み焼き類とは、お好み焼き及びお好み焼き以外のお好み焼き様焼きもの、例えば、チヂミ、もんじゃ焼き、広島焼き等のお好み焼き様焼き物ものが含まれる。
すなわち、本発明は、
[1]穀粉を含む澱粉含有原料粉100質量部に対し、粒度1〜53μmの範囲の粉末状アルギン酸カルシウムを4〜8質量部となる割合で含有させたことを特徴とする、アルギン酸カルシウムの健康機能の付与と、高食感を保持した、お好み焼き類又はたこ焼き製造用の澱粉含有原料粉ミックス、
[2]粒度1〜53μmの範囲の粉末状アルギン酸カルシウムが、270メッシュパスの
微粉砕アルギン酸カルシウム粉末であることを特徴とする請求項1に記載のお好み焼き類
又はたこ焼き製造用の澱粉含有原料粉ミックス、
[3]アルギン酸カルシウムの健康機能の付与が、お好み焼き類又はたこ焼き摂食後の血糖の上昇抑制効果であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のお好み焼き又はたこ焼き製造用の澱粉含有原料粉ミックス、
[4]穀粉を含む澱粉含有主原料粉と水とを混合するバッター調製工程、前記バッターに、食材を添加する食材添加工程、前記食材を添加したバッターを加熱する加熱調理工程からなるお好み焼き類又はたこ焼き製造方法において、該バッター調製工程が、穀粉を含む澱粉含有主原料粉に、粒度1〜53μmの範囲の粉末状アルギン酸カルシウムを、該穀粉を含む澱粉含有主原料粉100質量部に対して、4〜8質量部の割合で、添加、混合し、澱粉含有原料粉ミックスを調製し、該澱粉含有原料粉ミックスに、水を、穀粉を含む澱粉含有主原料粉100質量部に対する前記水の加水率が160〜180質量部となるように添加し、バッターを調製する工程からなることを特徴とする、アルギン酸カルシウムの健康機能の付与と、高食感を保持した、お好み焼き類又はたこ焼きの製造方法からなる。
本発明は、摂食後の血糖値上昇抑制効果等、アルギン酸カルシウムの健康機能を有効に保持し、しかも、お好み焼き類又はたこ焼きの製造において、アルギン酸カルシウムを添加した際に起こる、粉っぽさ等の食感の低下を起こすことなく表面のサクサクとした食感や、内部のなめらかでくちどけが良い食感のような、本来の食感を保持した高食感のお好み焼き類又はたこ焼きを提供する。
図1は、本発明の実施例における、「お好み焼の摂取後血糖値の上昇抑制効果を確認する試験」において、試料摂取後の「血糖値の平均の推移」を示すグラフである。
本発明は、穀粉を含む澱粉含有原料粉100質量部に対し、粒度1〜53μmの範囲の粉末状アルギン酸カルシウムを4〜8質量部となる割合で含有させた、アルギン酸カルシウムの健康機能の付与と、高食感を保持した、お好み焼き類又はたこ焼き製造用の澱粉含有原料粉ミックス、及び、穀粉を含む澱粉含有主原料粉と水とを混合するバッター調製工程、前記バッターに、食材を添加する食材添加工程、前記食材を添加したバッターを加熱する加熱調理工程からなるお好み焼き類又はたこ焼き製造方法において、該バッター調製工程を、前記澱粉含有原料粉ミックスに、水を、穀粉を含む澱粉含有主原料粉100質量部に対する前記水の加水率が160〜180質量部となるように添加し、バッターを調製する工程として行う、アルギン酸カルシウムの健康機能の付与と、高食感を保持した、お好み焼き類又はたこ焼きの製造方法からなる
本発明において、澱粉含有原料粉ミックスの調製に用いられる穀粉を含む澱粉含有原料粉における、穀粉とは、小麦粉、米粉、あわやひえ等の雑穀粉などを含み、小麦粉は薄力粉や中力粉が特に好ましく、一部に強力粉を使用することもできる。
本発明のお好み焼き類又はたこ焼き製造用の澱粉含有原料粉ミックスの調製においては、粉末状アルギン酸カルシウムが用いられる。本発明に用いる粉末状アルギン酸カルシウムの由来原料は、褐藻類であればいかなる種も使用可能であるが、褐藻綱、コンブ目、レッソニア科、ニグレッセンスが好ましく、特定の分子量範囲に限定されないが、その分子量はおおよそ70万KDaともいわれている。
本発明の澱粉含有原料粉ミックスの調製に用いられる、粉末状アルギン酸カルシウムは、微粉砕アルギン酸カルシウム粉末として用いられる。該微粉砕アルギン酸カルシウムの粒度は、1〜53μmの範囲である微粒子化されたものが好ましく、270メッシュパスの分級によって得ることができる。それより篩の目開きを小さくすると篩効率は著しく低下するが、400メッシュで1〜40μmに分級すれば更に好ましい。該微粉砕アルギン酸カルシウム粉末の粒度は、レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置、(株)堀場製作所LA−920で測定することができる。
本発明の澱粉含有原料粉ミックスの調製において、粉末状アルギン酸カルシウムの配合率(添加率)については、前記粉体原料100質量部に対し4〜8質量部が、血糖値上昇抑制効果が認められ、かつ、食感や風味を損なわない点で望ましく、5〜6質量部がより望ましい。アルギン酸カルシウム量が4質量部未満の場合は、摂食後の血糖値上昇抑制効果が不十分となるおそれがあり、8質量部を超える場合は食感を低下させる場合がある。
本発明のお好み焼き類又はたこ焼きの製造方法は、穀粉を含む澱粉含有主原料粉と水とを混合するバッター調製工程、前記バッターに、食材を添加する食材添加工程、前記食材を添加したバッターを加熱する加熱調理工程からなるお好み焼き類又はたこ焼き製造方法において、該バッター調製工程を、本発明の澱粉含有原料粉ミックスを用いて、該澱粉含有原料粉ミックスに、水を、該ミックスの澱粉含有主原料粉100質量部に対する前記水の加水率が160〜180質量部となるように添加し、バッターを調製する工程として行う。該練り水の添加率は、穀粉を含む澱粉含有主原料粉に対し160〜180質量部が食感や操作性の点で望ましく、165〜175質量部がより望ましい。練り水の添加率が160質量部未満の場合は、食感を低下させるおそれがあり、180質量部を超える場合は操作性を低下させる場合がある。
本発明のお好み焼き類又はたこ焼きの製造方法において、一般的にお好み焼き類やたこ焼きに用いられている食材なら種類を問わず利用可能であり、キャベツやネギなどの野菜類、豚肉などの畜肉類、エビやタコなどの魚介類、鶏卵などの卵類、揚げ玉などが挙げられ、形状及び大きさに特に制限はなく、お好み焼き類の食材として使用可能な範囲で適宜設定すればよい。
本発明のお好み焼き類又はたこ焼きの製造方法において、一般的にお好み焼き類やたこ焼きに用いられている調味料なら種類を問わず利用可能であり、かつお節やコンブや煮干し等の天然調味料なども、エキス、粉末など形態を問わず使用できる。その他にも、本発明の効果を変更しない範囲で、必要に応じて膨張剤、増粘剤、油脂類、乳化剤、香辛料、甘味料、ビタミン類、ミネラル類、ゼラチン、難消化性デキストリン、大豆粉、豆乳粉末、おから、フスマ、セルロース、ポリデキストロース、小麦食物繊維、大豆食物繊維、難消化性グルカン、寒天、こんにゃく粉、アーモンドプードル、ナッツ粉末、小麦蛋白、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白、卵蛋白、乳蛋白等を使用することができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
270メッシュパス、及び80メッシュパス(比較例)、のアルギン酸カルシウムを小麦粉に対して6%添加したお好み焼きの摂食後血糖値の上昇抑制効果を確認する。
〔お好み焼きサンプルの調製〕
表1記載のサンプル区分毎にお好み焼きを調製した。まず、粉体原料をそれぞれ均一に粉体混合したものに練り水を加え、ダマが残らないように混合し均一なバッターとした後、約20mmに角切りしたキャベツ及び全卵を加え、空気を含ませるように混合し生地を調製した。次に、200℃に熱したホットプレート(定格消費電力1300W)の上でキャノーラ油大さじ1を塗布し、その上に厚さ2cm、直径15cm程度の円盤状に生地を広げた。
ホットプレートに蓋をして7分間焼成後、豚肉を生地の上面にのせてから上下反転させ、再度蓋をして5分間焼成した。その後、室温で冷ました後にポリフィルムで密封し、−20℃の冷凍庫にて凍結、対照、比較例及び実施例其々の冷凍サンプルを調製した。
Figure 2021158975
〔血糖値の測定方法〕
血糖値の測定はシマダヤ株式会社で行った。被験者は、健康な20歳以上の男女5名(男性4名、女性1名の健常者ボランティア)とした。調理は、冷凍されたサンプルを凍ったまま皿にのせ、ラップをかけずに電子レンジで900W1分30秒加熱し解凍調理した。被験者への提供は、調味料や追加の具材はなしとして、提供後8分間で食べ終えるように条件を揃えた。被験者らの血糖値の測定は、摂食前、摂食開始時から30分、60分、90分、120分の30分毎に測定した。その血糖値を[表2]に、血糖値の変化量を[表3]に示した。また、血糖値変化量の平均値の推移を[図1]のグラフに示した。
Figure 2021158975
Figure 2021158975
〔血糖値測定結果〕
全ての被験者で最大血糖値を示した摂食後30分において、血糖値変化量(表3)の被験者5名の平均は、対照で35.4mg/dlに対し、80メッシュの比較例は32.4mg/dl、270メッシュの実施例では28.7mg/dlの順で低い値を示した。すなわち、お好み焼きにアルギン酸カルシウムを混合すると摂食後の血糖値上昇を抑制することが認められ、80メッシュパスと比較して、270メッシュパスに微粒子化することでより摂食後の血糖値上昇を抑制することを示した。
〔官能評価試験〕
対照、比較例及び実施例のサンプルについて官能評価を行った。調理は、冷凍されたサンプルを凍ったまま皿にのせ、ラップをかけずに電子レンジで900W1分30秒加熱し解凍調理した。評価は、対照のお好み焼きを3点とした5点評価法で、食感(ぐちゃつく5点―ふんわりする1点)、粉っぽさ(強い5点―弱い1点)、風味(強い5点―弱い1点)、好ましさ(良5点―悪1点)の計4項目をパネラー5名が採点し、得られた結果を[表4]に示した。
Figure 2021158975
その結果、食感の項目は、対照の基準3点に対し、比較例及び実施例は3.2点で同点。風味の項目は、対照に対し比較例及び実施例は共に2.8点。粉っぽさの項目は、対照に対し実施例は3.4点、比較例は4.8点を示し、80メッシュの比較例は明らかに高い値を示した。好ましさの項目は、対照に対し実施例は2.6点、比較例は2.0点を示し、80メッシュの比較例は明らかに低い値を示した。
官能評価の結果から、お好み焼きにおいて、アルギン酸カルシウムは80メッシュパスを混合すると明らかに粉っぽさが認められ、それに伴い好ましさが低下するのに対し、270メッシュパスに微粒子化することで粉っぽさが軽減され、食感や風味においてもアルギン酸カルシウム無添加と概ね同等であると認められた。
〔操作性評価試験〕
表1記載のサンプル区分毎にお好み焼きを調製し、その際の操作性を評価した。評価は、対照の操作性を3点とした5点評価法で、生地のまとまり(良い5点―悪い1点)、反転のしやすさ(容易5点―困難1点)、総合評価(良い5点―悪い1点)の計3項目をパネラー5名が採点し、得られた結果を[表5]に示した。
Figure 2021158975
その結果、生地のまとまりの項目は、対照の基準3点に対し、実施例は4.0点、比較例は4.4点で共に高い値を示した。反転のしやすさの項目は、対照の基準3点に対し、実施例及び比較例は共に3.8点で、共に高い値を示した。総合評価の項目は、対照の基準3点に対し、実施例は4.0点、比較例は4.4点で、共に高い値を示した。操作性評価の結果から、270メッシュパスに微粒子化することによるメリットは確認できなかったが、粉末のアルギン酸カルシウムを添加することで生地がまとまり易くなり調理中の操作性の改善が認められた。

Claims (4)

  1. 穀粉を含む澱粉含有原料粉100質量部に対し、粒度1〜53μmの範囲の粉末状アルギン酸カルシウムを4〜8質量部となる割合で含有させたことを特徴とする、アルギン酸カルシウムの健康機能の付与と、高食感を保持した、お好み焼き類又はたこ焼き製造用の澱粉含有原料粉ミックス。
  2. 粒度1〜53μmの範囲の粉末状アルギン酸カルシウムが、270メッシュパスの微粉砕アルギン酸カルシウム粉末であることを特徴とする請求項1に記載のお好み焼き類又はたこ焼き製造用の澱粉含有原料粉ミックス。
  3. アルギン酸カルシウムの健康機能の付与が、たこ焼き又はお好み焼き摂食後の血糖値の上昇抑制効果であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のお好み焼き類又はたこ焼き製造用の澱粉含有原料粉ミックス。
  4. 穀粉を含む澱粉含有主原料粉と水とを混合するバッター調製工程、前記バッターに、食材を添加する食材添加工程、前記食材を添加したバッターを加熱する加熱調理工程からなるお好み焼き類又はたこ焼き製造方法において、該バッター調製工程が、穀粉を含む澱粉含有主原料粉に、粒度1〜53μmの範囲の粉末状アルギン酸カルシウムを、該穀粉を含む澱粉含有主原料粉100質量部に対して、4〜8質量部の割合で、添加、混合し、澱粉含有原料粉ミックスを調製し、該澱粉含有原料粉ミックスに、水を、穀粉を含む澱粉含有主原料粉100質量部に対する前記水の加水率が160〜180質量部となるように添加し、バッターを調製する工程からなることを特徴とする、アルギン酸カルシウムの健康機能の付与と、高食感を保持した、お好み焼き類又はたこ焼きの製造方法。
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