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JP2021156675A - 水素センサ素子 - Google Patents

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JP2021156675A JP2020055634A JP2020055634A JP2021156675A JP 2021156675 A JP2021156675 A JP 2021156675A JP 2020055634 A JP2020055634 A JP 2020055634A JP 2020055634 A JP2020055634 A JP 2020055634A JP 2021156675 A JP2021156675 A JP 2021156675A
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めぐみ 早坂
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Abstract

【課題】有機物を含む水素検知膜を備える水素センサ素子であって、可逆性が良好な水素センサ素子を提供する。【解決手段】一対の電極と、該一対の電極に接して配置される水素検知膜とを含む水素センサ素子であって、水素検知膜は共役高分子及び有機ドーパントを含み、有機ドーパントは分子容積が0.20nm3以下であるドーパントを含む水素センサ素子が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、水素センサ素子に関する。
従来の水素センサ素子として、接触燃焼式と半導体式が主に知られている。
接触燃焼式水素センサ素子は、検知部において、燃焼触媒として白金・パラジウム等の貴金属を、担体材として酸化スズやアルミナを使用し、水素の触媒反応燃焼による素子温度の上昇を検知することによって水素を検知する。
半導体式水素センサ素子は、白金線コイルに酸化インジウム等の微粒子を塗布したものを検知部として使用する。該検知部で水素の酸化反応が起こると、上記微粒子の表面に負イオン化吸着した酸素が消費され、これに伴い自由電子が生成されて電気抵抗値が低下する。半導体式水素センサ素子は、この電気抵抗値の低下を検知することによって水素を検知する。
接触燃焼式及び半導体式のいずれの方式であっても、検知部を数百度以上に加熱する必要があるため、消費電力が大きく、また安全性の面でも改善の余地がある。また、いずれの方式であっても、無機物の焼結体を使用しているため、水素センサ素子にフレキシブル性を持たせることは通常困難である。
非特許文献1には、カンファースルホン酸でドープされたポリアニリンとTiOとの複合体からなる水素検知膜を備える水素センサ素子が記載されている。
Subodh Srivastava, Sumit Kumar, V.N. Singh, M. Singh, Y.K. Vijay, Synthesis and characterization of TiO2doped polyaniline composites for hydrogen gas sensing, International Journal Of Hydrogen Energy 36 (2011) 6343-6355
電気抵抗値の増減に基づいて水素を検知する水素センサ素子は、センサとしての機能及び/又は信頼性を高める観点から、電気抵抗値の可逆性が良好であることが好ましい。非特許文献1に記載の水素センサ素子は、電気抵抗値の可逆性の点で改善の余地があった。
本明細書において電気抵抗値の可逆性とは、水素センサ素子を用いて水素濃度を測定する対象(例えば環境)における水素濃度が変化する場合において、その水素濃度の変化が同じであれば同じ感度を示すことができる能力を意味する。例えば、測定対象の水素濃度がA→B→A→Bと変化する場合、最初のAからBへの水素濃度の変化に対する感度が2回目のAからBへの水素濃度の変化に対する感度と同じであるか、又はそれらの差が小さければ、その水素センサ素子は可逆性が良いといえる。
ここでいう感度とは、水素センサ素子が示す電気抵抗値の変化率をいう。
本発明の目的は、有機物を含む水素検知膜を備える水素センサ素子であって、可逆性が良好な水素センサ素子を提供することにある。
本発明は、以下に示す水素センサ素子を提供する。
[1] 一対の電極と、前記一対の電極に接して配置される水素検知膜と、を含む水素センサ素子であって、
前記水素検知膜は、共役高分子及び有機ドーパントを含み、
前記有機ドーパントは、分子容積が0.20nm以下であるドーパントを含む、水素センサ素子。
[2] 前記共役高分子がポリアニリン系高分子である、[1]に記載の水素センサ素子。
[3] 前記有機ドーパントが有機酸である、[1]又は[2]に記載の水素センサ素子。
[4] 前記水素検知膜が前記共役高分子のナノファイバーを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の水素センサ素子。
有機物を含む水素検知膜を備える水素センサ素子であって、可逆性が良好な水素センサ素子を提供することができる。
本発明に係る水素センサ素子の一例を示す概略上面図である。 水素センサ素子の作製方法を示す概略上面図である。 水素センサ素子の作製方法を示す概略上面図である。 水素センサ素子の感度及び電気抵抗値の可逆性を評価するための測定系の構成を示す模式図である。
本発明に係る水素センサ素子(以下、単に「水素センサ素子」ともいう。)は、一対の電極と、該一対の電極に接して配置される水素検知膜とを含む。
水素検知膜は上記一対の電極にそれぞれ接していればよい。好ましくは、上記一対の電極は離間して対向配置され、水素検知膜は、該対向配置される一対の電極間において、それぞれの電極に接して配置される。
図1は、水素センサ素子の一例を示す概略上面図である。図1に示される水素センサ素子100は、第1電極101及び第2電極102からなる一対の電極と、第1電極101及び第2電極102の双方に接して配置される水素検知膜103とを含む。水素検知膜103は、その両端部がそれぞれ第1電極101、第2電極102上に形成されることによってこれらの電極に接している。
水素センサ素子は、第1電極101、第2電極102及び水素検知膜103を支持する基板104をさらに含むことができる(図1参照)。
図1に示される水素センサ素子100は、水素検知膜103に含まれる共役高分子に水素がドープ/脱ドープされることによって生じる電気抵抗値の低下/上昇を検知することによって水素を検知する。
[1]第1電極及び第2電極
第1電極101及び第2電極102としては、水素検知膜103よりも電気抵抗値が十分に小さいものが用いられる。水素センサ素子が備える第1電極101及び第2電極102の電気抵抗値は、具体的には、温度25℃において、好ましくは500Ω以下であり、より好ましくは200Ω以下であり、さらに好ましくは100Ω以下である。
第1電極101及び第2電極102の材質は、水素検知膜103よりも十分に小さい電気抵抗値が得られる限り特に制限されず、例えば、金、銀、銅、プラチナ、パラジウム等の金属単体;2種以上の金属材料を含む合金;酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の金属酸化物;導電性有機物(導電性のポリマー等)などであることができる。
第1電極101の材質と第2電極102の材質とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第1電極101及び第2電極102の形成方法は特に制限されず、蒸着、スパッタリング、コーティング(塗布法)等の一般的な方法であってよい。第1電極101及び第2電極102は、基板104に直接形成することができる。
第1電極101及び第2電極102の厚みは、水素検知膜103よりも十分に小さい電気抵抗値が得られる限り特に制限されないが、例えば50nm以上1000nm以下であり、好ましくは100nm以上500nm以下である。
[2]基板
基板104は、第1電極101、第2電極102及び水素検知膜103を支持するための支持体である。
基板104の材質は、非導電性(絶縁性)である限り特に制限されず、熱可塑性樹脂等の樹脂材料、ガラス等の無機材料などであることができる。基板104として樹脂材料を用いると、典型的には水素検知膜103がフレキシブル性を有していることから、水素センサ素子にフレキシブル性を付与することができる。
基板104の厚みは、好ましくは、水素センサ素子のフレキシブル性及び耐久性等を考慮して設定される。基板104の厚みは、例えば10μm以上5000μm以下であり、好ましくは50μm以上1000μm以下である。
[3]水素検知膜
水素検知膜103は、共役高分子及び有機ドーパントを含み、好ましくは、有機ドーパントがドープされた共役高分子を含む。水素検知膜103は、好ましくは、共役高分子及び有機ドーパントからなり、より好ましくは、有機ドーパントがドープされた共役高分子からなる。
水素検知膜103は、水素ガスとの反応性を高めて感度を向上させる観点から、大きい表面積を有する形状を有していることが好ましい。
上記形状を有する水素検知膜としては、例えば、共役高分子のナノファイバーから構成され、該ナノファイバーに有機ドーパントがドープ(吸着)している膜;共役高分子の微粒子から構成され、該微粒子に有機ドーパントがドープ(吸着)している膜;多孔質材料を含み、該多孔質材料に共役高分子及び有機ドーパントが含浸されている膜などが挙げられる。
水素検知膜103は、好ましくは、共役高分子のナノファイバーを含み、該ナノファイバーに有機ドーパントがドープ(吸着)している膜であり、より好ましくは、共役高分子のナノファイバーと該ナノファイバーにドープ(吸着)している有機ドーパントからなる膜である。
水素検知膜103は、共役高分子と水素との接触を可能とする観点、望ましくは、できるだけ大きい表面積にて共役高分子と水素との接触を可能とする観点から、共役高分子が表面に露出していることが好ましい。
[3−1]共役高分子
共役高分子は、通常、それ自体の電気伝導度が極めて低く、例えば1×10−6S/m以下であるように、電気伝導性をほとんど示さない。共役高分子自体の電気伝導度が低いのは、価電子帯に電子が飽和していて、電子が自由に移動できないためである。一方で、共役高分子は、電子が非局在化しているため、飽和ポリマーに比べてイオン化ポテンシャルが著しく小さく、また電子親和力が非常に大きい。したがって、共役高分子は、適切なドーパント、例えば電子受容体(アクセプター)又は電子供与体(ドナー)との間で電荷移動を起こしやすく、ドーパントが共役高分子の価電子帯から電子を引き抜くか、又は、伝導帯に電子を注入することができる。そのため、ドーパントをドープさせてなる共役高分子では、価電子帯に少数のホール、又は、伝導帯に少数の電子が存在し、これが自由に移動できるために、導電性が飛躍的に向上する傾向にある。
共役高分子は、リード棒間の距離を数mm〜数cmにして電気テスターで測った際の単品での線抵抗Rの値が、温度25℃において、好ましくは0.01Ω以上300MΩ以下の範囲である。このような共役高分子とは、分子内に共役系構造を有するものであり、例えば二重結合と単結合とが交互に連なっている骨格を有する分子、共役する非共有電子対を有する高分子などが挙げられる。このような共役高分子は、前述のように、ドーピングによって容易に電気伝導性を与えることが可能である。共役高分子としては、特に制限されないが、例えば、ポリアセチレン;ポリ(p−フェニレンビニレン);ポリピロール;ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[PEDOT]等のポリチオフェン系高分子;ポリアニリン系高分子などが挙げられる。ここで、ポリチオフェン系高分子とは、ポリチオフェン、ポリチオフェン骨格を有し、かつ側鎖に置換基が導入されている高分子、ポリチオフェン誘導体などである。本明細書において、「系高分子」というときは、同様の分子を意味する。
共役高分子は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合や同定の容易さの観点から、共役高分子は、ポリアニリン系高分子であることが好ましい。
[3−2]有機ドーパント
有機ドーパントとしては、共役高分子に対して電子受容体(アクセプター)として機能する有機化合物、及び、共役高分子に対して電子供与体(ドナー)として機能する有機化合物が挙げられる。
一般に、共役高分子は、ドーパントによって電子を引き抜かれるか、又は電子を供与されることによって導電性が付与される。
共役高分子に対するドーパントのドーピング/脱ドーピング挙動は、可逆的な酸化還元反応である。ドーピング状態は、酸化状態であってその化学電位は高い。ドーピング状態の共役高分子は、酸化剤として働くが、その電位は共役高分子の種類によって異なる。
また、ドーパントの共役高分子へのドーピング率には幅があり、ドーピング率が高くなるに従って化学電位は上昇する。ドーピング率があまりに高いと共役高分子そのものの酸化分解が起こる。酸化分解を生じない上限のドーピング率は、共役高分子の種類によって異なる。
電子受容体として機能するドーパントであるHがドープされたポリアニリンを例に挙げて、共役高分子及びドーパントを含む水素検知膜が水素を検知する機構を、下記式を用いて説明する。なお、ポリアニリンは、エメラルジン塩状態の場合のみ導電性となる。
ドーパントHがドープされたポリアニリンは、水素ガスに晒されると、水素をさらにドープし、その結果、電気抵抗値が低下する。このような電気抵抗値の変動を検知することにより水素ガスを検知することができる。
ドープされる水素分子は、ポリアニリン二分子のプラスチャージを有する窒素原子に作用する(下記式(a)及び(b))。ついで、水素分子と上記ポリアニリン二分子との間にN−Hの結合が形成されると、水素分子中のH−H結合が解離する(下記式(c))。その後、各ポリアニリン二分子において、隣接するN原子の間で電子及びA−の移動が生じ(下記式(c)及び(d))、その際、水素原子がN原子より解離して水素分子を生じる(下記式(e))。
Figure 2021156675
上記機構が示すとおり、水素検知膜は、水素ガスと可逆的に反応することができ、これにより水素センサ素子は、電気抵抗値の可逆性を示すことが可能になる。
また、共役高分子及びドーパントを含む水素検知膜を備える水素センサ素子は、上記機構に基づいて水素検知を行うため、常温での駆動が可能である。
水素検知膜103に含まれる有機ドーパントは、分子容積が0.20nm以下であるドーパント(以下、この有機ドーパントを「ドーパント(A)」ともいう。)を含む。これにより、水素センサ素子の電気抵抗値の可逆性を向上させることができる。
水素検知膜103に含まれる有機ドーパントは、ドーパント(A)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
水素検知膜103に含まれる有機ドーパントがドーパント(A)を含むことにより水素センサ素子の電気抵抗値の可逆性が向上するのは、該ドーパントであれば、共役高分子のドープ部位に水素分子が近づいたり離れたりすることが容易になることが一因であると推定される。
また、有機ドーパントの分子容積が0.20nm以下であると、水素検知膜103中への水素ガスの侵入が容易になると考えられることから、水素センサ素子の感度の向上に有利であると考えられる。
有機ドーパントを用いることは、上記ドーピング率を適度な値にするうえで有利である。酸度関数が高い無機酸等の無機ドーパントを用いると、ドーピング率が高くなりすぎて共役高分子の酸化分解が起こりやすい。
電気抵抗値の可逆性を向上させる観点から、ドーパント(A)の分子容積は、好ましくは0.18nm以下であり、より好ましくは0.16nm以下であり、さらに好ましくは0.15nm以下である。
ドーパント(A)の分子容積は、通常0.05nm以上であり、水素検知膜103の長期安定性向上の観点から、好ましくは0.06nm以上である。
有機ドーパントとして、ポリマーのドーパントを用いると、ポリマーは水分を抱き込みやすく水素検知膜103が検知する電気抵抗値への湿度の影響が大きくなり、水素センサ素子としての信頼性が低下しやすい。
有機ドーパントの分子容積は、該ドーパントを構成する原子の大きさ、立体構造などにより変化する。
水素検知膜103は、ドーパント(A)とともに、ドーパント(A)以外の有機ドーパントをさらに含み得るが、ドーパント(A)のみを含むことが好ましい。
ドーパントの分子容積は、その分子構造に基づき、一般的な計算ソフトを用いたDFT(Density Functional Theory;B3LYP/6−31G+g(d))計算によって求めることができる。計算ソフトとしては、例えば、HULINKS社製の量子化学計算プログラム「Gaussian シリーズ」等が挙げられる。
ドーパント(A)は、共役高分子からの脱離を抑制することによって水素センサ素子の感度の低下を抑制する観点から、沸点が高い方が好ましい。ドーパント(A)の大気圧における沸点は、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは130℃以上である。
水素検知膜103が2種以上のドーパント(A)を含む場合、少なくとも1種が上記範囲の沸点を有することが好ましく、すべてのドーパント(A)が上記範囲の沸点を有することがより好ましい。
ドーパント(A)は、上述のように、共役高分子に対してアクセプターとして機能する化合物であってもよいし、共役高分子に対してドナーとして機能する化合物であってもよい。
分子容積が0.20nm以下であり、アクセプターである有機ドーパントとしては、例えば、有機酸(フェノール性化合物を除く。)、有機シアノ化合物、フェノール性化合物、有機金属化合物等が挙げられる。
分子容積が0.20nm以下であり、アクセプターである有機ドーパントとしては、共役高分子がポリアニリン系高分子である場合、有機カルボン酸、有機スルホン酸、有機ホスホン酸等の有機酸が好ましく用いられ、有機スルホン酸がより好ましく用いられる。共役高分子がポリアニリン系高分子である場合、有機酸はプロトン供与性が低いため、ポリアニリン系高分子が酸化分解されにくく、水素検知膜103の長期安定性が良くなる傾向にある。
有機酸としては、例えば、エタンスルホン酸、ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−フルオロベンゼンスルホン酸、3−フルオロベンゼンスルホン酸、4−フルオロベンゼンスルホン酸、ピリジン−2−スルホン酸、ピリジン−3−スルホン酸、ピリジン−4−スルホン酸、エタンジスルホン酸、3−アミノ−1−プロパンスルホン酸、アミノエチルスルホン酸、マロン酸、コハク酸等が挙げられる。
分子容積が0.20nm以下であり、アクセプターである有機シアノ化合物としては、例えば、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキシド、テトラシアノベンゼン等が挙げられる。
分子容積が0.20nm以下であり、アクセプターであるフェノール性化合物としては、例えば、メトキシフェノール,エトキシフェノール等が挙げられる。
分子容積が0.20nm以下であり、ドナーである有機ドーパントとしては、例えばアルキルアミン、アルキルアンモニウム塩が挙げられ、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウム塩、ジメチルジエチルアンモニウム塩等が挙げられる。
水素検知膜103の好ましい一例は、共役高分子がポリアニリン系高分子であり、有機ドーパントがドーパント(A)であり、かつドーパント(A)がアクセプターである形態がある。
水素検知膜103の好ましい他の一例は、共役高分子がポリアニリン系高分子であり、有機ドーパントがドーパント(A)であり、かつドーパント(A)がアクセプターとしての有機酸である形態がある。
ドーパント(A)は、水素センサ素子の感度向上の観点から、好ましくはフッ素原子を含まない。
水素検知膜103に含まれるドーパント(A)は、双極子モーメント(dipole moment)が6D(Debye)以下であることが好ましい。これにより、水素センサ素子が示す電気抵抗値の湿度依存性を低減させることができ(電気抵抗値が測定環境の湿度に影響されにくくすることができ)、もって、水素センサ素子の機能及び/又は信頼性をより高めることができる。
ドーパント(A)の双極子モーメントが6D以下であることにより電気抵抗値の湿度依存性を低減させることができるのは、該ドーパントであれば、極性分子である水との親和性が低いため、水を呼び込みにくいことが一因であると推定される。
電気抵抗値の湿度依存性を低減させる観点から、ドーパント(A)の双極子モーメントは、好ましくは5D以下であり、より好ましくは4.5D以下であり、さらに好ましくは4D以下であり、特に好ましくは3.5D以下である。
ドーパント(A)の双極子モーメントは、通常0.1D以上であり、共役高分子との相溶性の観点から、好ましくは1D以上である。
有機ドーパントの双極子モーメントは、該ドーパントを構成する原子の電気陰性度、立体構造などにより変化する。
有機ドーパントの双極子モーメントは、その分子構造に基づき、一般的な計算ソフトを用いたDFT(Density Functional Theory;B3LYP/6−31G+g(d))計算によって求めることができる。計算ソフトとしては、例えば、HULINKS社製の量子化学計算プログラム「Gaussian シリーズ」等が挙げられる。
分子容積が0.20nm以下であり、かつ双極子モーメントが6D以下である有機ドーパントとしては、例えば、エタンスルホン酸、ヒドロキシプロパンスルホン酸、ピリジン−3−スルホン酸、4−フルオロベンゼンスルホン酸、3−アミノ−1−プロパンスルホン酸、アミノエチルスルホン酸、マロン酸、コハク酸等が挙げられる。
電気抵抗値の湿度依存性をさらに低減させる観点から、ドーパント(A)は、双極子モーメントが6D以下であることに加えて、以下のいずれか1以上を満たすことがより好ましい。
(a)アルキル基等の疎水性基を分子内に有する。
(b)例えばポリアニリン系高分子のように、共役高分子が芳香環(例えばベンゼン環)を有する場合において、少なくとも1個、好ましく2個以上の芳香環(例えばベンゼン環)を分子内に有する。
上記(a)を満たすことにより、ドーパント(A)の非水溶性を高めることできるため、湿度依存性をさらに低減させることができる。ただし、非水溶性であることよりも双極子モーメントが小さく電荷の偏在の程度が小さい方が水を呼び込みにくい傾向にある。
上記(b)を満たすことにより湿度依存性をさらに低減させることができるのは、ドーパント(A)の共役高分子とのパッキング性が向上するためであると推定される。
上記の他、有機ドーパントの分子構造及びそれが有する官能基の種類は、湿度依存性に影響を与え得る。例えば、親水性基を有することは、湿度依存性を大きくする傾向にある。
水素検知膜103に含まれるドーパント(A)は、酸基を有するドーパントであってマイナスチャージの絶対値が0.55以上である原子(以下、この原子を「原子a」ともいう。)を上記酸基以外の分子構造内に含むことが好ましい。これにより、水素センサ素子の感度を向上させることができる。原子aとしては、通常、酸基以外の分子構造に含まれる原子のうち、マイナスチャージの絶対値が最も大きいものが選択される。
水素センサ素子の感度(水素に対する反応性)を高めるには、共役高分子のプラスチャージを小さくすることが重要である。共役高分子中のプラスチャージを小さくするということは、ドーパントによる共役高分子からの電子の引き寄せを小さくすることであり、これにより水素ガスのドープによって電子が引き寄せられる余地を共役高分子に残すことができる。原子aを上記酸基以外の分子構造内に含むドーパント(A)においては、原子aの周りの原子のチャージがプラスに大きくなっており、これに伴い酸基のプラスチャージが小さくなっている。これにより該ドーパント(A)は、共役高分子から電子を引き抜く力が弱くなっており、従って、該ドーパント(A)によってドープされた共役高分子のプラスチャージは小さくなる。その結果、原子aを上記酸基以外の分子構造内に含むドーパント(A)を含むことにより、水素センサ素子の感度を高めることができる。
水素センサ素子の感度を向上させる観点から、原子aのマイナスチャージの絶対値は、好ましくは0.6以上であり、より好ましくは0.65以上である。
原子aのマイナスチャージの絶対値は、通常1.5以下であり、アクセプターとしての機能を付与する観点から、好ましくは1.2以下である。
ドーパントのチャージは、その分子構造に基づき、一般的な計算ソフトを用いてDFT(Density Functional Theory;APFD/6−31G+g(d))計算を行った後、Electrostatic potential fitting(esp)法のMK法を使用して電荷を最適化することによって求めることができる。計算ソフトとしては、例えば、HULINKS社製の量子化学計算プログラム「Gaussian シリーズ」等が挙げられる。
分子容積が0.20nm以下であり、酸基を有するドーパントであって、原子aを酸基以外の分子構造内に含む有機ドーパントとしては、例えば、ピリジン−3−スルホン酸、ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アミノ−1−プロパンスルホン酸、アミノエチルスルホン酸等が挙げられる。
水素検知膜103に含まれるドーパント(A)は、基底状態におけるドーパント(A)の最低空軌道(LUMO)と共役高分子の最高被占軌道(HOMO)とのエネルギー差の絶対値|ΔG|が4.5eV以上となるように選択されることが好ましい。これにより、水素センサ素子の感度を向上させることができる。|ΔG|は、下記式で表される。
|ΔG|=|(ドーパント(A)のLUMOのエネルギー)−(共役高分子のHOMOのエネルギー)|
|ΔG|を4.5eV以上とすることにより、共役高分子とドーパント(A)との相互作用を小さくすることができ、これによりドーパント(A)による共役高分子からの電子の引き寄せを小さくすることができる。従って、ドーパント(A)によってドープされた共役高分子のプラスチャージは小さくなる。その結果、|ΔG|が4.5eV以上であると、水素センサ素子の感度を高めることができる。
水素センサ素子の感度を向上させる観点から、|ΔG|は、好ましくは4.6eV以上であり、より好ましくは4.7eV以上であり、さらに好ましくは4.8eV以上である。
|ΔG|は、通常10eV以下であり、共役高分子とドーパント(A)との相互作用を生じさせやすくする観点から、好ましくは8eV以下である。
ドーパントのLUMOのエネルギー及び共役高分子のHOMOのエネルギーは、それらの分子構造に基づき、一般的な計算ソフトを用いたDFT(Density Functional Theory;APFD/6−31G+g(d))計算によって求めることができる。計算ソフトとしては、例えば、HULINKS社製の量子化学計算プログラム「Gaussian シリーズ」等が挙げられる。
|ΔG|が4.5eV以上である共役高分子とドーパント(A)との組み合わせとしては、例えば、ポリアニリンとエタンスルホン酸、ポリアニリンとヒドロキシプロパンスルホン酸、ポリアニリンと3−アミノ−1−プロパンスルホン酸、ポリアニリンとアミノエチルスルホン酸、ポリアニリンとマロン酸、ポリアニリンとコハク酸等が挙げられる。
ドーパント(A)の含有量は、水素センサ素子の感度を高める観点から、共役高分子1molに対して、好ましくは0.1mol以上であり、より好ましくは0.4mol以上である。該含有量は、水素検知膜103を形成する際の製膜性の観点から、共役高分子1molに対して、好ましくは3mol以下であり、より好ましくは2mol以下である。
[3−3]水素検知膜の厚み
水素検知膜103の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.3μm以上50μm以下である。水素センサ素子のフレキシブル性の観点から、水素検知膜103の厚みは、好ましくは0.3μm以上40μm以下である。
[4]水素センサ素子
水素センサ素子は、例えば、第1電極101及び第2電極102からなる一対の電極が形成された基板104を用意し、第1電極101及び第2電極102の双方に接して配置されるように水素検知膜103を形成することによって製造することができる。
水素検知膜103は、例えば、基板104上で重合反応を行って共役高分子の膜(層)を形成した後、有機ドーパントを含浸させることによって製造することができる。
基板104上での重合反応は、例えば、共役高分子を形成するモノマーを含有する液と、重合開始剤を含有する液とを基板104上に重ねて配置する方法が挙げられる。重合反応の促進のために、必要に応じて基板を加熱してもよい。
水素センサ素子は、上記した構成要素以外の他の構成要素を含むことができる。他の構成要素としては、例えば、酸化防止剤、金属微粒子、金属酸化物微粒子、グラファイト等が挙げられる。
酸化防止剤は、水素検知膜103の酸化防止に寄与し得る。金属微粒子、金属酸化物微粒子、グラファイトは、水素センサ素子の感度向上に寄与し得る。
本発明に係る水素センサ素子は、電気抵抗値の可逆性に優れる。電気抵抗値の可逆性は、例えば以下の方法で評価することができる。まず、図2に示すように、ガラス基板(基板104)の一方の表面上にAuからなる一対の電極(第1電極101及び第2電極102)を形成し、その後、図3に示すように、これら電極の双方に接するように水素検知膜103を形成して、水素センサ素子を作製する。
次に、図4を参照して、水素センサ素子100の一対のAu電極と市販のデジタルマルチメータとをリード線401で繋ぐとともに、水素センサ素子100を筒状の容器402内に収容する。そして、リード線401の取出口とガス出入口が設けられたゴム栓403で上記容器の両端を封止する。
デジタルマルチメータで電気抵抗値をモニタリングしながら、容器402内に下記[1]〜[4]の順で下記の時間、ガスを流す試験を行う。下記の試験は、温度23℃の環境下で実施する。
[1]流量10L/minの乾燥空気のみ(水素濃度0vol%)10分間
[2]流量10L/minの乾燥空気及び流量0.2L/minの乾燥空気(水素濃度2vol%の混合ガス)10分間
[3]流量10L/minの乾燥空気のみ(水素濃度0vol%)10分間
[4]流量10L/minの乾燥空気及び流量0.2L/minの乾燥空気(水素濃度2vol%の混合ガス)10分間
上記試験において、[1]及び[2]の操作を1サイクル目といい、[3]及び[4]の操作を2サイクル目という。
そして、1サイクル目及び2サイクル目のそれぞれについて、下記式に基づき電気抵抗値変化率Z(%)を求める。1サイクル目について求められる電気抵抗値変化率Zを電気抵抗値変化率Z1といい、2サイクル目について求められる電気抵抗値変化率Zを電気抵抗値変化率Z2という。
Figure 2021156675
上記式において、電気抵抗値H2は、容器402内に導入するガスを水素濃度2vol%の混合ガスに切り替えてから3分後〜10分後までの電気抵抗値の平均値である。電気抵抗値H0は、乾燥空気のみを容器402内に導入してから、又は容器402内に導入するガスを乾燥空気のみに切り替えてから3分後〜10分後までの電気抵抗値の平均値である。
電気抵抗値変化率Zは、水素センサ素子の感度を表す指標(感度指標)であり、例えば電気抵抗値変化率Z1を水素センサ素子の感度の指標として用いることができる。
水素センサ素子としての機能及び/又は信頼性を高める観点から、電気抵抗値変化率Zは高い方が好ましい。例えば、電気抵抗値変化率Z1は、23℃において1%以上であり得るが、好ましくは4%以上であり、より好ましくは6%以上であり、さらに好ましくは8%以上である。電気抵抗値変化率Z1は、23℃において、25%以下であってよい。
本発明によれば、様々な目的、使用環境において感度が良好な水素センサ素子を提供することができる。
得られた電気抵抗値変化率Z1及びZ2を用いて、下記式に基づき電気抵抗値の可逆性の指標値(%)を求める。
Figure 2021156675
電気抵抗値変化率Z2と電気抵抗値変化率Z1との差が小さいほど、可逆性の指標値は大きくなる。従って、可逆性の指標値が高いほど、水素センサ素子は可逆性に優れるといえる。
可逆性の指標値は、23℃において、好ましくは80%以上であり、より好ましくは84%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上である。可逆性の指標値は、23℃において、100%以下又は100%未満であってよい。
水素センサ素子の電気抵抗値の湿度依存性は、例えば以下の方法で評価することができる。
水素センサ素子を作製した後、水素センサ素子を一晩乾燥空気中に晒し、水素センサ素子の一対のAu電極と市販のデジタルマルチメータとをリード線で繋ぐ。
次に、デジタルマルチメータで電気抵抗値をモニタリングしながら、水素センサ素子を温度30℃相対湿度30%RHの雰囲気下で30分間静置する。次いで、デジタルマルチメータで電気抵抗値をモニタリングしながら、水素センサ素子を温度30℃相対湿度80%RHの雰囲気下で30分間静置する。各雰囲気下での電気抵抗値から、下記式に基づき電気抵抗値の湿度依存性の指標値(%)を求める。
Figure 2021156675
上記式中、電気抵抗値RH30は、温度30℃相対湿度30%RHの雰囲気下で静置したときの電気抵抗値であり、具体的には、静置時間15分から30分までの電気抵抗値の平均値である。電気抵抗値RH80は、温度30℃相対湿度80%RHの雰囲気下で静置したときの電気抵抗値であり、具体的には、静置時間15分から30分までの電気抵抗値の平均値である。
電気抵抗値RH80と電気抵抗値RH30との差が小さいほど、湿度依存性の指標値は小さくなる。従って、湿度依存性の指標値が小さいほど、水素センサ素子は湿度依存性が小さいといえる。
湿度依存性の指標値は、好ましくは30%未満であり、より好ましくは25%以下であり、さらに好ましくは20%以下であり、なおさらに好ましくは15%以下であり、特に好ましくは10%以下である。湿度依存性の指標値は、1%以上であってよい。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り、質量基準である。
<実施例1>
図2を参照して、1辺5cmの正方形のガラス基板(コーニング社の「イーグルXG」)の一方の表面上に、イオンコータ((株)エイコー製「IB−3」)を用いたスパッタリングによって、長さ2cm×幅3mmの長方形のAu電極を一対形成した。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた断面観察によるAu電極の厚みは、200nmであった。
過硫酸アンモニウム(富士フィルム和光純薬(株)製)0.029gを1M塩酸1.55mLに溶解させたA溶液、及び、アニリン(東京化成工業(株)製)0.48gをキシレン(東京化成工業(株)製)1.2mLに溶解させたB溶液を準備した。
ガラス基板上に形成された一対のAu電極の間にA溶液を90μL滴下し、さらにその上にB溶液を10μL滴下し、5分間静置して重合反応を行った。
その後、ガラス基板をスピンコータ(Mikasa社製「MS−A100」)に移動させ、3000rpm/30sの条件で回転させることによって重合場をガラス基板から取り除いて、下記式(1)で表されるポリアニリンエメラルジン塩の膜を得た。室温で20分間乾燥させた後、2倍に希釈した25%アンモニア水(富士フィルム和光純薬(株)製)に浸漬させた。ポリアニリンが脱ドープされ、膜が緑から青色に変化したところでアンモニア水から取り出し、膜を水で洗浄した。
その後、膜を乾燥させて、下記式(2)で表される脱ドープ状態であるポリアニリンエメラルジン塩基のナノファイバー膜を得た。形成された膜は、双方の電極に接していた(図3)。
Figure 2021156675
次に、エタンスルホン酸(東京化成工業(株)製)1gを蒸留水19gに溶かしたドーパント溶液1に、ガラス基板上に形成した脱ドープ状態のポリアニリンナノファイバー膜を温度23℃で浸漬し、2時間静置することで再ドープを行った。その後、乾燥空気で12時間、膜(水素検知膜)を乾燥させて水素センサ素子を得た。水素検知膜の厚みをDektak KXT(BRUKER社製)で測定したところ、30μmであった。
<実施例2>
ポリアニリンナノファイバー膜を浸漬させるドーパント溶液として、ドーパント溶液1の代わりに、ヒドロキシプロパンスルホン酸(東京化成工業(株)製)1gを蒸留水19gに溶かしたドーパント溶液2を用いたこと以外は実施例1と同様にして水素センサ素子を作製した。実施例1と同様にして水素検知膜の厚みを測定したところ、30μmであった。
<実施例3>
ポリアニリンナノファイバー膜を浸漬させるドーパント溶液として、ドーパント溶液1の代わりに、4−フルオロベンゼンスルホン酸(富士フィルム和光純薬(株)製)1gを蒸留水19gに溶かしたドーパント溶液3を用いたこと以外は実施例1と同様にして水素センサ素子を作製した。実施例1と同様にして水素検知膜の厚みを測定したところ、30μmであった。
<実施例4>
ポリアニリンナノファイバー膜を浸漬させるドーパント溶液として、ドーパント溶液1の代わりに、ピリジン−3−スルホン酸(東京化成工業(株)製)1gを蒸留水19gに溶かしたドーパント溶液4を用いたこと以外は実施例1と同様にして水素センサ素子を作製した。実施例1と同様にして水素検知膜の厚みを測定したところ、30μmであった。
<比較例1>
ポリアニリンナノファイバー膜を浸漬させるドーパント溶液として、ドーパント溶液1の代わりに、カンファースルホン酸(東京化成工業(株)製)1gを蒸留水19gに溶かしたドーパント溶液5を用いたこと以外は実施例1と同様にして水素センサ素子を作製した。実施例1と同様にして水素検知膜の厚みを測定したところ、30μmであった。
実施例及び比較例で用いた有機ドーパントの種類及びその分子容積を表1に示す。
有機ドーパントの分子容積は、その分子構造に基づき、HULINKS社製の量子化学計算プログラム「Gaussian 16」を用いたDFT(Density Functional Theory;B3LYP/6−31G+g(d))計算によって求めた。
[水素センサ素子の評価]
下記の試験により、実施例及び比較例で得られた水素センサ素子の感度及び可逆性を評価した。
図4を参照して、作製した水素センサ素子を一晩乾燥空気中に晒し、水素センサ素子100の一対のAu電極とデジタルマルチメータ(OWON社製「XDM3051」)とをリード線401で繋ぐとともに、水素センサ素子100をアクリル製筒(容器402)内に収容した。次いで、リード線401の取出口とガス出入口が設けられたゴム栓403で上記筒の両端を封止した。
デジタルマルチメータで電気抵抗値をモニタリングしながら、容器402内に下記[1]〜[4]の順で下記の時間、ガスを流す試験を行った。該試験は、温度23℃の環境下で実施した。
[1]流量10L/minの乾燥空気のみ(水素濃度0vol%)10分間
[2]流量10L/minの乾燥空気及び流量0.2L/minの乾燥空気(水素濃度2vol%の混合ガス)10分間
[3]流量10L/minの乾燥空気のみ(水素濃度0vol%)10分間
[4]流量10L/minの乾燥空気及び流量0.2L/minの乾燥空気(水素濃度2vol%の混合ガス)10分間
上記試験の結果に基づいて、上述のとおり定義される電気抵抗値変化率Z1及びZ2、並びに可逆性の指標値を上述の式に従って求めた。可逆性の指標値及び電気抵抗値変化率Z1(感度指標)を表1に示す。
Figure 2021156675
100 水素センサ素子、101 第1電極、102 第2電極、103 水素検知膜、104 基板、401 リード線、402 筒状の容器、403 ゴム栓。

Claims (4)

  1. 一対の電極と、前記一対の電極に接して配置される水素検知膜と、を含む水素センサ素子であって、
    前記水素検知膜は、共役高分子及び有機ドーパントを含み、
    前記有機ドーパントは、分子容積が0.20nm以下であるドーパントを含む、水素センサ素子。
  2. 前記共役高分子がポリアニリン系高分子である、請求項1に記載の水素センサ素子。
  3. 前記有機ドーパントが有機酸である、請求項1又は2に記載の水素センサ素子。
  4. 前記水素検知膜が前記共役高分子のナノファイバーを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素センサ素子。
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