本実施の形態に係る遊技機として、スロットマシンを以下に示す実施例に基づいて説明する。
[スロットマシンの構成]
図1は、本実施形態に係るスロットマシン1の正面図である。図1に示すように、スロットマシン1は、前面が開口する筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bを備える。スロットマシン1の内部には、互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ同数ずつ配列されたリール2L,2C,2R(以下、左リール,中リール,右リール)が水平方向に並設されており、これらリール2L,2C,2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が、スロットマシン1の正面の略中央に設けられた透視窓3において各々上中下三段に表示されて遊技者側から見えるように配置されている。
なお、本実施の形態では、3つのリールを用いた構成を例示しているが、リールを1つのみ用いた構成、2つのリールを用いた構成、4つ以上のリールを用いた構成としてもよい。また、本実施の形態では、リール2L,2C,2Rの回転によって透視窓3に表示された図柄を可変表示させる構成を可変表示部としているが、リールに限らず、たとえば、外周面に複数の図柄が配置されたベルトを移動させることで図柄を変動表示させることが可能な構成でもよい。また、本実施の形態では、物理的なリールにて可変表示部を構成しているが、液晶表示器などの画像表示装置にて可変表示部を構成してもよい。
スロットマシン1の正面には、図1に示すように、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数(本実施の形態では、3)の賭数のうち最大の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L,2C,2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L,8C,8R(以下、左ストップスイッチ,中ストップスイッチ,右ストップスイッチ)、および演出時に遊技者によって操作される演出用スイッチ56が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
なお、以下では、スタートスイッチ7に対する操作(たとえば、スタートスイッチ7を手で押下する操作)を「スタート操作」または「開始操作」、1番目のリールの回転を停止するためのストップスイッチに対する操作(たとえば、ストップスイッチを手で押下する操作)を「第1停止操作」、2番目のリールの回転を停止するためのストップスイッチに対する操作(たとえば、ストップスイッチを手で押下する操作)を「第2停止操作」、および3番目のリールの回転を停止するためのストップスイッチに対する操作(たとえば、ストップスイッチを手で押下する操作)を「第3停止操作」とも称する。
また、第1停止操作、第2停止操作、および第3停止操作を総称して「停止操作」とも称する。さらに、1番目のストップスイッチに対する押下(第1停止操作)が解除されること(たとえば、ストップスイッチから手を離すこと)を「第1停止離し」、2番目のストップスイッチに対する押下(第2停止操作)が解除されること(すなわち、ストップスイッチから手を離すこと)を「第2停止離し」、および3番目のストップスイッチに対する押下(第3停止操作)が解除されること(すなわち、ストップスイッチから手を離すこと)を「第3停止離し」とも称する。また、第1停止操作によりリールが停止することを「第1停止」、第2停止操作によりリールが停止することを「第2停止」、第3停止操作によりリールが停止することを第3停止とも称する。
スロットマシン1の正面において、リール2L,2C,2Rの横には、複数のLEDで構成されるサイドランプ27が設けられている。また、リール2L,2C,2Rの近傍には、リール2L,2C,2Rのそれぞれに対応して設けられるとともにリール2L,2C,2Rのそれぞれに対してリールの裏側または横から光を照射するリールバックライト28L,28C,28C(以下、単に「リールバックライト28」とも称す)が設けられている。さらに、液晶表示器51の上方には、音を出力するスピーカ53,54が設けられている。
スロットマシン1の正面には、図1に示すように、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコードなどが表示される遊技補助表示器12、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、後述する有利区間に制御されている旨を点灯により報知する有利区間LED19、リプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられた遊技用表示部13が設けられている。
スロットマシン1の内部には、遊技の進行を制御するとともに遊技の進行に応じて各種コマンドを出力するメイン制御部41が設けられている。メイン制御部41は、遊技の進行に係る各種制御を行うメインCPU41aと、遊技の進行に係る各種データを記憶するRAM41cとを備える。メイン制御部41は、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、およびストップスイッチ8L,8C,8Rなどに対する操作、およびメダル投入部4に対するメダルの投入を検出し、検出した操作に応じて、リール2L,2C,2Rの回転/停止や遊技用表示部13における各LEDの点灯/消灯など、遊技の進行に係る制御を行う。
スロットマシン1の内部には、メイン制御部41からのコマンドに応じて演出を制御するサブ制御部91が設けられている。サブ制御部91は、演出に係る各種制御を行うサブCPU91aと、演出に係る各種データを記憶するRAM91cとを備える。サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドに基づいて、液晶表示器51における画像の表示、スピーカ53,54からの音出力、およびサイドランプ27やリールバックライト28の点灯/消灯などを制御する。液晶表示器51の画像表示やスピーカ53,54の音出力に用いられる演出データは、RAM91cに記憶されている。さらに、サブ制御部91は、演出用スイッチ56に対する操作を検出し、検出した操作に応じて液晶表示器51における画像の表示やスピーカ53,54からの音出力を制御する。
スロットマシン1においてゲームを行う場合、遊技者は、メダル投入部4にメダルを投入するか、MAXBETスイッチ6を操作するなどして規定数の賭数を設定する。これにより、入賞ラインLNが有効となり、かつスタートスイッチ7への操作が有効となってゲームが開始可能な状態となる。入賞ラインLNとは、透視窓3に表示されたリール2L,2C,2Rにおける図柄の組合せが入賞図柄の組合せと一致するか否かを判定するためのラインである。本実施形態では、リール2Lの中段、リール2Cの中段、リール2Rの中段、すなわち中段に水平方向に並んだ図柄に跨がって設定された入賞ラインLNのみが入賞ラインとして定められているが、複数の入賞ラインが設けられているものであってもよい。また、入賞を構成する図柄の組合せが入賞ラインLNに揃ったことを認識しやすくする無効ラインが設けられていてもよい。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7が操作されると、リール2L,2C,2Rが回転する。このとき、メイン制御部41によって内部抽選が行われる。内部抽選は、導出を許容する図柄組合せ(表示結果組合せ)を決定する処理である。内部抽選によって図柄組合せの導出が許容されることを、当該図柄組合せに対応する役に当選したともいう。
具体的には、メイン制御部41は、内部抽選処理において、所定の順番で各抽選対象役が当選したか否かを判定する。たとえば、内部抽選処理において、メイン制御部41は、所定範囲内(0〜65535)の整数から乱数を取得する。各抽選対象役には所定範囲内(0〜65535)の整数のうちから予め遊技状態に応じた判定値数が割り当てられている。メイン制御部41は、取得した乱数に対して、所定の順番で各抽選対象役の判定値数を加算していき、加算結果がオーバーフローした(65535を超えた)ときに、その時点で加算対象となっていた抽選対象役を当選役に決定する。内部抽選によって抽選対象役が当選することで、当該抽選対象役に対応する図柄組合せの導出が許容される。
ストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されると、操作されたストップスイッチに対応するリールの回転が停止する。これにより、透視窓3に図柄組合せが導出表示される。入賞ラインLN上において、当選役の図柄組合せと一致する図柄組合せが停止した場合、当該当選役に対応する入賞が発生する。
リールの停止制御では、各ストップスイッチについて操作が行われたときから最大停止遅延時間(本実施の形態では、190ms(ミリ秒))以内に、操作に対応するリール2L,2C,2Rの回転を停止させる制御が行われる。リール2L,2C,2Rを1分間に80回転させ、80(回転)×20(1リール当たりの図柄コマ数、たとえば、20コマ)=1600コマ分の図柄を変動させるので、予め定められた最大停止遅延時間(190ms)が経過するまでの間では、最大で4コマ分の図柄を引き込むことができることとなる。つまり、停止制御では、ストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分(引込範囲)の図柄から一の図柄を選択して、リール2L、2R、2Rに導出させることが可能である。
入賞が発生可能な役としては、特別役(ボーナス)、小役、および再遊技役がある。特別役(ボーナス)は、入賞することによって、小役に当選する確率が非ボーナス状態よりも高まるボーナス状態に遊技状態が制御される役である。特別役(ボーナス)には、RB(レギュラーボーナス)、BB(ビッグボーナス)、SB(シングルボーナス)、CB(チャレンジボーナス)が含まれる。本実施の形態においては、特別役として、BBおよびSBが設けられている。小役は、入賞することによって、メダルが付与される役である。再遊技役(リプレイ)は、入賞することによって、遊技者所有のメダルを消費することなく次の遊技が開始可能となる役である。
遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、内部抽選に当選して、当該役の当選フラグが設定されている必要がある。内部抽選は、メイン制御部41が、上述の各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L,2C,2Rの表示結果が導出される以前(具体的には、スタートスイッチ7の検出時)に乱数を用いて決定するものである。
なお、各役の当選フラグのうち、小役および再遊技役の当選フラグは、当該フラグが設定されたゲームにおいてのみ有効とされ、次のゲームでは無効となるが、特別役の当選フラグは、当該フラグにより許容された役の組合せが揃うまで有効とされ、許容された役の組合せが揃ったゲームにおいて無効となる。すなわち特別役の当選フラグが一度当選すると、当該フラグにより許容された役の組合せを揃えることができなかった場合にも、その当選フラグは無効とされずに、次のゲームへ持ち越されるようになっている。ただし、SBにおいては、当選フラグの持ち越しは行われない。
また、内部抽選において、予め定められた所定の操作態様(たとえば、操作順序、操作タイミング)で停止操作が行われる場合に他の操作態様で停止操作が行われた場合よりも有利となる小役や再遊技役(以下、「押し順役」とも称する)が当選し得るようになっている。押し順役には、たとえば、予め定められた所定の操作態様で停止操作が行われる場合に他の操作態様で停止操作が行われる場合に停止する停止態様よりも有利な停止態様となる役や、予め定められた所定の操作態様で停止操作が行われる場合に他の操作態様で停止操作が行われる場合よりも有利な停止態様が停止する割合が高い役などを含む。また、有利な停止態様とは、メダルの付与を伴う停止態様だけでなく、有利な遊技状態への移行を伴う停止態様、不利な遊技状態への移行が回避される停止態様なども含む。
メイン制御部41は、内部抽選によって押し順役に当選したときに、遊技者にとって有利となるストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様を報知するナビを実行可能である。具体的には、メイン制御部41は、ナビ情報として、内部抽選結果に応じて遊技者にとって有利となるストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様を遊技補助表示器12の点灯態様により報知するナビ報知を実行可能な報知期間となるアシストタイム(AT)に制御可能である。AT抽選においてAT当選することで、ATに制御される。以下、ATに制御されていない状態を、非AT中とも称する。
AT中において、メイン制御部41は、押し順役に当選したときに、ナビ報知を実行し、遊技者にとって有利となるストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様(たとえば、操作順序、操作タイミングなど)を遊技補助表示器12を用いて報知するとともに、遊技者にとって有利となる操作態様を特定可能なコマンドをサブ制御部91に対して送信することで、ナビ情報として、当該操作態様を液晶表示器51などを用いて報知するナビ演出を実行させる。
押し順役には、遊技者の操作態様が当選した押し順役に対応する操作態様(以下、「正解手順」とも称する)と一致したときにベルが入賞する押し順ベル(6択ベル)と、遊技者の操作態様が当選した押し順役に対応する操作態様と一致したときにリプレイが入賞する押し順リプとが含まれる。以下では、押し順ベルが当選したゲームで行われ得るナビを、ベルナビとも称する。
遊技者は、ベルナビに従って正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rを操作することで、押し順ベルに含まれる役のうち、メダルの払い出しが多い方の役を入賞させることができる。あるいは、遊技者は、ベルナビに従って正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rを操作することで、押し順ベルに含まれる役のうち、入賞を取りこぼす可能性のない役を入賞させることができる。なお、押し順ベルに含まれる役のうち、正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに入賞可能な役を「主役」、正解手順とは異なる不正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに入賞可能な役を「副役」とも称する。
ナビ報知およびナビ演出により報知される操作態様にて、ストップスイッチ8L,8C,8Rを操作することで、内部抽選にて当選した押し順役に含まれる主役を確実に入賞させることができるようになっている。
ATにおいて遊技者が獲得可能な1ゲーム当たりの純増数は、非ATにおいて遊技者が獲得可能な1ゲーム当たりの純増数よりも大きい。1ゲーム当たりの純増数(以下、「1G純増数」とも称する)とは、1ゲーム当たりで払い出されるメダルの枚数から1ゲーム当たりで賭数の設定に用いられるメダルの枚数を差し引いた数である。
ATへの制御は、たとえば、ゲーム数で管理されており、AT中に消化したゲーム数が予め設けられた上限ゲーム数に達したことを条件に、ATが終了する。なお、ATは、ゲーム数で管理されるものに限らず、ナビの実行回数が予め設けられた上限回数に達すること、押し順役当選時における主役の入賞回数が予め設けられた上限回数に達すること、および払出枚数や純増枚数が予め設けられた上限枚数に達することなど、その他の条件に基づき管理されるものであってもよい。
本実施の形態においては、AT抽選においてATが付与されることが決定された場合は、さらに、ATに制御されるゲーム数(ATゲーム数)が決定される。そして、AT当選すると、次のゲームからATに制御される。
また、ATにおいて上乗せ抽選を行い、上乗せ抽選に当選(上乗せ当選)した場合は、ATゲーム数に上乗せして上乗せゲーム数(ATゲーム数)が付与される。
[遊技状態の遷移]
図3は、遊技状態の遷移を説明するための図である。本実施形態におけるスロットマシン1は、RT0(「通常中」とも称する)と、RT1(「SB中」とも称する)と、RT2(「BB内部中」とも称する)と、RT3(「BB中」とも称する)とのうちのいずれかの遊技状態に制御される。RT3(BB中)においては、小役の当選確率がRT0〜RT2中であるときよりも向上する。
設定変更がされると、まず、RT0に制御される。RT0において、SB当選した場合、当該ゲームにおいてSB入賞するとRT1(SB中)に制御される。SB当選したときに設定される当選フラグは、次のゲームに持ち越されることはない。RT1は1ゲームの消化により終了する。つまり、RT1は1ゲームしか滞在することができない。RT1が終了すると、RT0に制御される。
本実施の形態においては、遊技状態(RT0〜RT3)が遷移しても、リプレイ確率は変化せず一定である。BB中(RT3)においては、他の遊技状態に比べるとベルの当選確率が高くなり、メダルが増加する状態になる。また、SB中は通常中に比べると、ベル(6択ベル1〜6)の当選確率が高くなるように設計されている。ただし、後述するように、非AT中である場合、SB中に制御されているときと通常中に制御されているときとで、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値は同等または同等に近い値であり、AT中である場合、SB中に制御されているときの方が通常中に制御されているときよりも、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値が小さくなるように設計されている。なお、遊技状態に応じてリプレイ確率を異ならせるようにしてもよいし、その他のベル以外の小役の当選確率を異ならせるようにしてもよい。
RT0またはRT1において、BBに当選したときには、RT2(BB内部中)に制御される。BBが当選したときに設定される当選フラグは、当選しているBBの入賞が発生するまで持ち越される。RT2は、BB当選からBB入賞発生まで継続して制御される。
RT2中においてBB入賞が発生すると、RT3(BB中)に制御される。RT3において、規定のメダル枚数(たとえば、351枚)以上払出されることによりBBが終了し、RT0に制御される。
図4は、スロットマシンの構成を示すブロック図である。図4に示されるように、スロットマシン1は、遊技の進行を制御するとともに遊技の進行に応じて各種コマンドを出力する遊技制御基板40と、コマンドに応じて所定の演出を制御する演出制御基板90と、電気部品の駆動電源を生成する電源基板101と、遊技の進行に応じた信号を外部に出力する外部出力基板1000となどを備える。
遊技制御基板40は、各種の操作手段や検出手段(図4の遊技制御基板40の左側に例示)などのスイッチ類からの検出信号に基づいて遊技を進行させ、報知手段(図4の遊技制御基板40の左側に例示)などの表示機器類を駆動制御する。また、遊技制御基板40は、リールセンサ33L,33C,33Rからの信号に基づき、リールモータ32L,32C,32Rを駆動制御する。
遊技制御基板40には、メイン制御部41などの回路構成(図4の遊技制御基板40内に例示)が搭載されている。メイン制御部41は、遊技の進行に関する処理を行うとともに、遊技制御基板40に搭載あるいは接続された構成を直接的または間接的に制御する。メイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータであり、図示されないCPU、ROM、RAM、I/Oポートなどを備えている。
演出制御基板90は、演出用スイッチ56が接続される。また、演出制御基板90は、液晶表示器51などの演出装置(図4の演出制御基板90の左側に例示)を駆動制御する。演出制御基板90には、サブ制御部91などの回路構成(図4の演出制御基板90内に例示)が搭載されている。サブ制御部91は、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行う処理を行うとともに、演出制御基板90に搭載あるいは接続された構成を直接的または間接的に制御する。サブ制御部91は、1チップマイクロコンピュータであり、図示されないCPU、ROM、RAM、I/Oポートなどを備えている。
サブ制御部91の回路構成には、たとえば、日および時刻のうちの少なくともいずれか一方を計時するための時計装置97(以下では、RTCともいう)を含む。サブ制御部91は、たとえば、RTC97により計時された日および時刻のうちの少なくともいずれか一方の値や、演出用スイッチ56からの検出信号などに応じて演出制御を実行可能である。電源基板101には、ホッパーモータ34b、各種の操作手段や検出手段(図4の電源基板101の右側に例示)などが接続されている。
[入賞役]
図5は、入賞役の種類、入賞役の図柄組合せ、および入賞時の付与について説明するための図である。図5の名称欄には、入賞役の名称が示され、図柄の組合せ欄には、その入賞役が入賞となる図柄の組合せが示されている。また、無効ラインに停止し得る図柄の組合せ欄には、入賞となる図柄の組合せが入賞ラインに停止したときに無効ラインに停止し得る図柄の組合せであって遊技者が認識しやすい図柄の組合せが示されている。付与欄には、入賞時に付与される価値(メダル払出枚数、再遊技付与など)が示されている。
図5に示すように、特別役としては、SBおよびBBが設けられている。小役としては、中段ベル、上段ベル1〜8、スイカ、およびチェリーが設けられている。再遊技役としては、通常リプが設けられている。
SBは32種類(SB1〜SB32)ある。たとえば、SB1の入賞図柄組合せは、「赤7−スイカ−スイカ」である。いずれのSBにおいても、各リールにおいて所定のタイミングで対応するストップスイッチを操作しないと、入賞図柄が導出されないようになっている。BBは1種類あり、入賞図柄組合せは、「赤7−赤7−赤7」である。
中段ベルは、上述した主役に対応する役である。上段ベル1〜8は、上述した副役に対応する役であり、中段ベルよりも払い出し枚数が少ない。具体的には、中段ベルに入賞すると9枚の払い出しが行われ、上段ベル1〜8に入賞すると1枚の払い出しが行われる。スイカが入賞した場合、リール2L,2C,2Rにおいてスイカ図柄が揃う。
[抽選対象役]
図6は、遊技状態ごとに抽選対象役として読み出される入賞役の組合せについて説明するための図である。図6の役番号欄には、抽選対象役ごとに定められた役番号が示され、抽選対象役欄には、その名称が示され、入賞役の組合せ欄には、各抽選対象役に含まれる入賞役の組合せが示され、遊技状態欄には、遊技状態ごとに丸印でその抽選対象役が抽選対象であることが示されている。
図6に示すように、特別役の抽選対象役としては、SB1〜SB32とボーナス1〜ボーナス3が設けられている。BBはチェリーやスイカと同時当選可能である。小役の抽選対象役としては、6択ベル1〜6、スイカ、およびチェリーが設けられている。再遊技役の抽選対象役としては、通常リプが設けられている。なお、スイカ、チェリーは、内部抽選における当選確率が6択ベルよりも低いため、「レア役」とも称する。
RT0においては、全ての役が当選可能である。RT1においては、SB1〜SB32以外の役が当選可能である。RT2およびRT3においては、SB1〜SB32およびボーナス1〜3以外の役が当選可能である。
[押し順役のリール制御]
図7は、押し順役当選時のリール制御を説明するための図である。図7に示すように、押し順役には、6択ベル1〜6が設けられている。AT中において6択ベルが当選したゲームでは、ベルナビが実行され、正解手順が遊技者に報知される。遊技者は、ベルナビに従って正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rを操作することで、遊技者にとって有利な入賞役を入賞させることができる。
たとえば、6択ベル1〜6のいずれかに当選したゲームでは、正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに主役である中段ベルが入賞して9枚の払い出しが行われる一方、不正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに副役である上段ベルが入賞して1枚の払い出しが行われるか、あるいは入賞を取りこぼす。なお、6択ベル1が当選したときの中段ベルを6択ベル1とも称する。6択ベル2〜6についても同様である。
[設定値]
本実施の形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、設定値に応じて、内部抽選で用いる当選確率を決定することにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1〜6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
設定値を変更するためには、スロットマシン1の内部に設けられている電源ボックスの電源スイッチを操作して、スロットマシン1の電源がON状態である場合には一旦OFF状態にし、さらに、設定キースイッチを操作して、設定キースイッチをON状態にしてから、スロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチをON状態にしてスロットマシン1の電源をON状態にすると、ドアが開放していることを条件に、遊技の進行が不可能な状態である設定変更状態に移行する。設定変更状態に移行すると、設定値表示器にRAM41cから読み出された現在の設定値が表示値として表示される。
設定変更状態においては、リセット/設定スイッチが操作されると、設定値表示器に表示された表示値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。その後、スタートスイッチ7が操作されると、表示値を設定値として確定する。設定キースイッチがOFF状態にされると、確定した表示値(設定値)がRAM41cに格納され、遊技の進行が可能な状態に移行する。なお、電源スイッチを一旦OFF状態にし、設定キースイッチをON状態として電源スイッチをONさせる操作を行うことにより、設定変更状態に移行されるため、該操作をまとめて設定変更操作ともいう。
[型式試験]
スロットマシン1は、遊技状態やエラーの発生状況などを示す外部出力信号を出力可能である。これら外部出力信号は、メイン制御部41の制御により遊技制御基板40より出力され、外部出力基板1000、スロットマシン1が設置される遊技店(ホール)の情報提供端子板を介してホールコンピュータやスロットマシン1に対応して設置されたデータ表示端末などの外部機器に出力されるようになっている。
これとは別に、スロットマシン1は、型式試験に用いる信号についても外部出力可能に構成されている。スロットマシンなどの遊技機が流通する業界においては、出荷前段階において第三者機関による検査(型式試験)が義務づけられており、当該型式試験において所定の基準を満たしていると判定された機種のみ遊技場への出荷が許されるといった特別な事情を有している。
型式試験は、著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機を規制することを目的として実施されるものである。たとえば、規定のゲーム数(たとえば、400ゲーム)を実行した結果、出玉率が上限値(たとえば、220%)を超えた場合、著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機に該当することになり、型式試験に合格しない。このように、型式試験によって、著しく射幸心をそそる虞のあるスロットマシンを排除している。ここで、出玉率は、規定のゲーム数を実行する期間において、賭数の設定に用いられるメダルの総数に対する払い出されるメダルの総数の比率である。
スロットマシン1は、試験に用いる信号を入出力するための入出力基板を備えている。入出力基板は、遊技制御基板40および演出制御基板90と電気的に接続されている。スロットマシン1から試験装置に出力される試験信号には、開始操作を特定可能な信号や、停止操作を特定可能な信号や、払出枚数を特定可能な信号などが含まれる。
スロットマシン1に搭載された入出力基板には、遊技制御基板40と電気的に接続するためのコネクタと、演出制御基板90と電気的に接続するためのコネクタと、試験装置と電気的に接続するためのコネクタとが設けられている。型式試験は、入出力基板と試験装置とがコネクタにより接続された状態で、各種信号を入出力させることにより行なわれる。スロットマシン1が試験信号を出力することで、試験信号が入出力基板を介して試験装置に入力される。これにより、試験装置において、スロットマシン1において実行されたゲーム数、設定された賭数、払い出されたメダル枚数などが特定可能になる。
以上のように、入出力基板を介して、スロットマシン1と試験装置との間で情報の入出力が繰り返し行なわれ、自動的にゲームを繰り返し行なうことができる。その結果、自動的にスロットマシン1についての型式試験を行うことができる。
上記型式試験の試験方法としては、シミュレーション試験がある。シミュレーション試験は、遊技ごとに獲得可能な最大数のメダルが獲得されるように行われる試験である。たとえば、ボーナス(SBやBB)に当選したときは当該ゲームにおいて必ず入賞が発生し、押し順ベル(6択ベル)などの押し順役に当選した場合は、正解手順で操作がされて払出枚数が最大となる入賞が発生する。
[各状態における出玉の推移]
上述のように、メイン制御部41は、通常中とSB中とBB中とを含む複数種類の状態に制御可能である。本実施の形態においては、SB(シングルボーナス)は32種類あり、SBには、SB1〜SB32が含まれる。
メイン制御部41は、遊技者にとって有利な有利決定に基づき有利制御を行う。たとえば、遊技者にとって有利な有利決定は、ATへの制御決定や上乗せゲーム数の決定である。有利制御は、ATへの制御やATゲーム数の上乗せである。
ATに制御されていないときは、有利決定として、ATに制御されることが決定可能である。ATに制御されているときは、有利決定として、ATを延長することが決定可能である(上乗せゲーム数を決定可能である)。
有利決定としてATへの制御が決定された場合は、有利制御としてATへの制御が行われる。ATにおいては、ストップスイッチの押し順に対応するナビ情報を報知可能である。
有利決定として上乗せゲーム数が決定された場合は、有利制御としてATゲーム数の上乗せが行われる。なお、これに限らず、有利決定として何らかの特典の付与が決定され、有利制御として当該特典が付与される制御が行われるようにしてもよい。
複数種類のSB(SB1〜32)のうちのいずれかが当選し、当選したSBに対応する操作態様(操作タイミング)でストップスイッチが操作されたときに、当選したSBに対応する入賞図柄組合せ(SB1〜32入賞図柄組合せ)が導出される。SBは通常中(RT0)においてのみ当選可能である。
たとえば、通常中においてSB1が当選したとする。SB1の入賞図柄組合せは、「赤7−スイカ−スイカ」である。「当選したSB1に対応する操作タイミングでストップスイッチが操作されたとき」とは、左リールにおいて赤7図柄を引き込み可能なタイミングで左ストップスイッチを操作し、中リールにおいてスイカ図柄を引き込み可能なタイミングで中ストップスイッチを操作し、右リールにおいてスイカ図柄を引き込み可能なタイミングで右ストップスイッチを操作されたときを意味する。
SB1に対応する操作タイミングでストップスイッチが操作されたとき(SB1入賞図柄組合せ「赤7−スイカ−スイカ」を引き込み可能なタイミングでストップスイッチが操作されたとき)は、SB1に対応するSB1入賞図柄組合せ「赤7−スイカ−スイカ」が導出される。これにより、SB1入賞が発生し、次のゲームにおいてSB1に制御される。
同様に、通常中においてSB2が当選した場合、当該ゲームにおいて、SB2に対応する操作タイミングでストップスイッチが操作されたとき(SB2入賞図柄組合せ「赤7−スイカ−チェリー」を引き込み可能なタイミングでストップスイッチが操作されたとき)は、SB2に対応するSB2入賞図柄組合せ「赤7−スイカ−チェリー」が導出される。これにより、SB2入賞が発生し、次のゲームにおいてSB2に制御される。SB3〜SB32についても同様である。
このように、通常中においてSB当選し、当該ゲームにおいて当選したSBに対応する入賞図柄組合せが導出されたときに、SB中に制御される。
図8は、各状態における出玉の推移を説明するための図である。図8(a)は通常中の出玉の推移の例であり、図8(b)はAT中の出玉の推移の例であり、図8(c)はシミュレーション試験中の出玉の推移の例である。
まず、通常中の出玉の推移の例について説明する。図8(a)の表においては、14ゲームの遊技を行った場合において、各ゲームにおける投入されたメダル数(「IN」とも称する)と、当該ゲームにおいて当選した役と、払い出されたメダル数(「OUT」とも称する)を示している。
さらに、表の右側には、14ゲームにおいて投入されたメダル数(IN)の合計と、14ゲームにおいて払い出されたメダル数(OUT)の合計と、14ゲームにおける出玉率が示されている。
出玉率は、賭数の設定に用いられるメダルの総数に対する払い出されるメダルの総数の比率であり、「出玉率」=「14ゲームにおいて払い出されたメダル数(OUT)の合計」/「14ゲームにおいて投入されたメダル数(IN)の合計」により算出される。以下、図8(b),(c)の表においても同様である。
図8(a)に示すように、通常中の1ゲーム(「G」とも称する)目において、3枚のメダルを投入して賭数を設定する(IN=3である)。当該ゲームにおいて、通常リプ(「リプレイ」とも称する)が当選したとする。当該ゲームにおいてリプレイが入賞し、再遊技が付与されたとする。リプレイ入賞により払い出されるメダル数は0(OUT=0)である。
再遊技が付与されたため、次のゲーム(2G目)においては、メダルを投入する必要がない(IN=0となる)。当該ゲームにおいて、SBが当選したとする(たとえば、SB1当選)。しかしながら、本実施の形態においては、SBは32種類あり、全てのSBにおいて入賞を発生させるためのストップスイッチの操作タイミングが異なる。
このため、仮に、遊技者がいずれかのSBを入賞させるための操作タイミングでストップスイッチを操作したとしても、ほとんどのケースにおいては入賞は発生しない。また、入賞図柄組合せを引き込み可能なタイミングでストップスイッチを操作する必要があるため、任意のタイミングでストップスイッチを押したとしても、入賞が発生する確率は低い。
SB当選した2G目において、SB入賞しなかったとする。この場合、払い出されるメダル数は0(OUT=0)である。SB入賞が発生しなかったため、SB中に制御されることなく、3G目においても通常中が継続する。
3G目に6択ベル(単に「ベル」とも称する)が当選したとする。通常中においては、押し順がナビされないため、遊技者が任意の押し順で操作をするか、左、中、右の順でストップスイッチを操作した場合、押し順に正解する確率は1/6である。
押し順に正解した場合は、中段ベルが入賞して9枚払い出される。押し順に正解しなかった場合、ハズレ目が導出されたとする。この場合、ベル当選により払い出されるメダル数の期待値は、9×(1/6)+0×(5/5)=1.5枚となる。すなわち、OUT=1.5となる。
4G目にベルが当選したとする。3G目と同様、押し順がナビされないため、IN=3、OUT=1.5となる。5G目にSBが当選したとする。2G目と同様、SB当選時にSB入賞することはほぼないため、5G目においてもSB入賞しなかったものとする。このとき、IN=3、OUT=0となる。このため、6G目においても通常中が継続する。
以下同様に、6G目においてベルが当選し、IN=3、OUT=1.5となる。7G目においてベルが当選し、IN=3、OUT=1.5となる。8G目においてリプレイが当選し、IN=3、OUT=0となる。9G目においてSBが当選し、IN=0、OUT=0となる。10G目においてベルが当選し、IN=3、OUT=1.5となる。11G目においてベルが当選し、IN=3、OUT=1.5となる。12G目においてSBが当選し、IN=3、OUT=0となる。13G目においてベルが当選し、IN=3、OUT=1.5となる。14G目においてリプレイが当選し、IN=3、OUT=0となる。
そして、14ゲームにおけるINの累計は33となり、OUTの累計は10.5となるため、出玉率は、31.8%(=10.5/33)となる。
次に、AT中の出玉の推移の例について説明する。14ゲームにおいて当選する役は通常時と同じであるとする。図8(b)に示すように、AT中においては、押し順がナビされる。このため、3,4,6,7,11,13G目のベル当選時において、正解手順が報知されることにより、9枚役である中段ベルを確実に入賞させることができる。
このため、通常中において、ベル当選時のOUTの期待値は1.5であったのに対して、AT中においては、ベル当選時のOUTの期待値は9となる。AT中において、ベル当選時以外は、通常中と同じである。
AT中において、14ゲームにおけるINの累計は33となり、OUTの累計は63となるため、出玉率は、190.9%(=63/33)となる。
次に、シミュレーション試験中の出玉の推移の例について説明する。シミュレーション試験中においては、当選した全ての役が必ず入賞するような操作、あるいは正解手順となる操作が行われる。たとえば、SBが当選した場合は、必ずSBが入賞するようにストップボタンの操作が行われるような信号がスロットマシンに入力される。また、ベルが当選した場合は、必ず正解手順となる押し順でストップボタンが操作されるような信号がスロットマシンに入力される。
図8(c)に示すように、14ゲームにおいて当選する役は、原則として、通常中やAT中の例と同様である。しかし、シミュレーション試験においては、SB当選した場合、必ずSB入賞するため、次のゲームにおいてSB中に制御される。そして、SB中に制御されたゲームにおいてSB中の遊技(「SB遊技」とも称する)を行い、SB遊技を行ったゲームの次のゲームから再度通常中に制御される。
本例においては、SB当選した2,5,9,12G目の後の、3,6,10,13G目においてSB中に制御される。このため、通常中やAT中においては、3,6,10,13G目において通常中においてベルが当選していたが、代わりに、SB中の遊技が行われることになる。
本実施の形態においては、通常中は、6択ベル1〜6は、いずれも所定確率(X%)で当選する。このため、6択ベル1〜6のいずれかが当選する確率は、6×X%である。一方で、SB中は6択ベル1〜6が全て同時当選し、同時当選する6択ベル1〜6の確率は、Y%である。ここで、X%<Y%であるが、X%とY%はほぼ等しい値である。
このため、通常中の6択ベルの当選確率(6択ベル1〜6のいずれかが当選する確率)は6×X%であるのに対し、SB中の6択ベルの当選確率(同時当選する6択ベル1〜6が当選する確率)はY%(X%とほぼ同じ)であるため、SB中においては、通常中のおよそ1/6しか6択ベルに当選しないことになる。
3,6,10,13G目のSB遊技において、たとえば、1/6の確率でベル(6択ベル)に当選し、それ以外(5/6)はハズレであったとする。ベルに当選した場合、シミュレーション試験においては必ず正解手順で操作されるため、9枚払い出される。このため、SB遊技においては、IN=3であり、OUTの期待値は、(1/6)×9+(5/6)×0=1.5となる。
3,6,10,13G目のSB遊技が終了すると、4,7,12,14G目において再度通常中に制御される。また、通常中の4,7,11G目において、ベルが当選しているが、シミュレーション試験においては必ず正解手順で操作されるため、9枚払い出される。
シミュレーション試験において、14ゲームにおけるINの累計は33となり、OUTの累計は33となるため、出玉率は、100%(=33/33)となっている。
シミュレーション試験とAT中と比較すると、通常中のベル当選時に必ず9枚の払出がされる点では同じである。しかし、シミュレーション試験においてはSB当選した場合に必ずSB入賞するため、3,6,10,13G目のSB中においては、払出が少なくなってしまう(OUT=1.5)。
一方で、AT中においては、3,6,10,13G目に当選したベルに入賞させているため、シミュレーション試験よりも払出を多くすることができる(OUT=9)。このように、本実施の形態においては、シミュレーション試験においては、SB入賞させることで出玉を抑える一方で、AT中においては、ほぼSB入賞することがないため、ベル当選により出玉率を向上させることできる。
シミュレーション試験と通常中と比較すると、通常中のベル当選時にはOUT=1.5であるのに対して、シミュレーション試験においてはベル当選時はOUT=9となる。シミュレーション試験においてはSB当選した場合に必ずSB入賞し、3,6,10,13G目においてSB遊技が行われるが、通常時においてはベルに当選している。
通常時の場合は、正解手順が報知されないため、ベル当選しても9枚払い出される確率は1/6となっている。一方で、シミュレーション試験においては、ベルが当選すれば必ず9枚払い出させるものの、ベルの当選確率が1/6になっている。このため、本例においては、3,6,10,13G目の通常時とシミュレーション試験を比較すると、いずれもOUTは1.5になっている。
本実施の形態においては、AT中でない(非AT中である)場合、SB中に制御されているときと通常中に制御されているときとで、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値は同等である。また、同等でなくても、近い値であればよい。
また、本実施の形態においては、AT中である場合、SB中に制御されているときの方が通常中に制御されているときよりも、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値が小さい。
具体的に説明すると、次の通りである。通常中とSB中との内部抽選における違いは、SB当選の有無と、ベルの当選確率の違いである。具体的には、通常中においてはSB当選するが、SB中においてはSB当選しない。たとえば、通常中においてSBに割り当てられている判定値数は、SB中においてはハズレに割り当てられる。SB当選した場合は、SB入賞するか否かに関わらず払い出されるメダル数は0(OUT=0)である。このため、通常中であればSB当選する乱数を取得した場合、通常中であってもSB中であってもOUT=0となり、遊技者が獲得するメダル数の期待値は同等である。なお、通常中においてSBに割り当てられている判定値数を、SB中においてはチェリーに割り当てるようにしてもよい。このようにすることで、通常中よりもSB中の方がチェリーの当選確率が高くなる。
また、先に説明したように、通常中は、6択ベル1〜6はいずれもX%の確率で当選し、SB中はY%(X%とほぼ同じ)の確率で6択ベル1〜6が全て同時当選する。たとえば、通常中において6択ベル1〜6に割り当てられている判定値数はそれぞれ100であり、SB中において同時当選する6択ベル1〜6に割り当てられている判定値数は101である。
このように、通常中においては6択ベル1〜6のそれぞれに独立した判定値数(100)が割り当てられているのに対し、SB中においては共通の判定値数(101)が割り当てられている。通常中における1つの6択ベルの判定値数(100)よりも、通常中における1つの6択ベルの判定値数(101)の方が多くなっているため、たとえば、通常中の6択ベル1の当選確率よりも、SB中の6択ベル1の当選確率の方が高く、有利であると言える。しかしながら、全体としてみれば、通常中において6択ベル1〜6に割り当てられている合計の判定値数は600であるのに対し、同時当選する6択ベル1〜6に割り当てられている判定値数は101であるため、SB中の方が不利であると言える。
本実施の形態においては、通常中であれば6択ベル1に当選する乱数を取得した場合(判定値数は100)、SB中においては6択ベル1〜6に同時当選する(6択ベル1〜6が同時当選する判定値数101のうちの100が重複)ようにしている。また、通常中であれば6択ベル2〜5に当選する乱数を取得した場合(判定値数は500=100×5)、SB中においてはほぼチャンス役(1枚役)に当選する(判定値数500のうち499でチャンスに役当選し、1で6択ベル1〜6に同時当選)ようにしている。チャンス役に入賞した場合は1枚の払出がある。チャンス役はSB中にのみ当選するようにしてもよいし、通常中にもチャンス役に当選し、通常中よりもSB中の方がチャンス役に当選する確率を高くしてもよい。
通常中において6択ベル1〜6のいずれかに当選する乱数を取得した場合(判定値数は600=100×6)のOUTの期待値は次のようになる。非AT中かつ通常中においては、9枚役である6択ベル1〜6の押し順に正解する確率は1/6であり、取りこぼしたときには1枚役に入賞すると仮定した場合、OUT=2.33(9×1/6+1×1×5/6)である。なお、1枚役に入賞しないと仮定すれば、OUT=1.5である。AT中かつ通常中においては、正解手順が報知されるため、OUT=9である。
一方で、SB中においては、6択ベル1〜6に同時当選(判定値数101)またはチャンス役に当選(判定値数499)する。6択ベル1〜6に同時当選した場合、いずれの操作手順でストップスイッチを操作したとしても、いずれかの6択ベルに必ず入賞するようになっている。これらが同時当選することで、「左中右」、「左右中」、「中左右」、「中右左」、「右左中」、「右中左」の全ての押し順がカバーされるからである。
たとえば、押し順「左中右」でストップスイッチが操作された場合は6択ベル1が入賞し、押し順「右中左」でストップスイッチが操作された場合は、6択ベル6が入賞する。つまり、AT中であっても非AT中であっても、必ず9枚の払出が発生する。また、ここでは、AT中であっても非AT中であってもチャンス役(1枚役)が当選したときは入賞が発生するものと仮定する。この場合、非AT中かつSB中においては、OUT=9×(101/600)+1×(499/600)=2.35となる。なお、チャンス役に入賞しないと仮定すれば、OUT=1.52である。また、AT中かつSB中においても同様に、OUT=2.35となる。
このように、ベル当選時に着目した場合、非AT中かつSB中においてはOUT=2.35であるのに対し、非AT中かつ通常中においてはOUT=2.33である。また、ベル当選時以外では期待値に差がないため、非AT中である場合、SB中に制御されているときと通常中に制御されているときとで、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値は同等または同等に近い値となる。なお、1枚役を取りこぼすと仮定した場合は、非AT中かつSB中においてはOUT=1.52であるのに対し、非AT中かつ通常中においてはOUT=1.5である。
また、ベル当選時に着目した場合、AT中かつSB中においてはOUT=2.35であるのに対し、AT中かつ通常中においてはOUT=9である。また、ベル当選時以外では期待値に差がないため、AT中である場合、SB中に制御されているときの方が通常中に制御されているときよりも、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値が小さくなる。なお、図8(c)の説明において、SB遊技中のOUT=1.5として算出したが、上記のような仮定で算出すればOUT=2.35または1.52となる。
以上説明したように、シミュレーション試験においては、ベル(6択ベル)が当選した場合、100%の確率で、払出枚数が最大となる中段ベルに入賞させ、SBが当選した場合、100%の確率でSB入賞させる。その一方で、実際の遊技においては、SBごとに入賞図柄組合せを導出するストップスイッチの操作態様が異なるため、SB当選してもSB入賞する確率が低くなる。
そして、AT中である場合、SB中に制御されているときの方が通常中に制御されているときよりも、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値が小さくなるため、100%の確率でSBに入賞するシミュレーション試験において、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値を下げることができる。すなわち、AT中の設計上の出玉の期待値を下げることができる。一方で、実際の遊技においては、SB入賞が発生しづらいため、設計上の出玉の期待値と実際の設計上の出玉の期待値との乖離を大きくすることができる。このように、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値とSB中への制御との関係において好適な制御を行うことができる。
[状態に応じた有利度の違い]
図9は、状態に応じた有利度の違いを説明するための図である。先に説明したように、非AT中においてAT当選した場合はATに制御され、通常中においてSB当選およびSB入賞した場合は、SB中に制御される。図9は、これらの関係を分かりやすく図示したものである。
たとえば、現在、非AT中において通常中に制御されているとする(以下、この状態を「状態A」とも称する)。状態Aにおいて、図9に示すように、SB当選し、当該ゲームにおいてSB入賞した場合は、非AT中においてSB中に制御される(以下、この状態を「状態B」とも称する)。ただし、上述のように、SBは32種類あるため、SB入賞することはほとんどない。SB中に1G消化すると、SBが終了し再度通常中に制御される。
ここで、非AT中の通常中(状態A)であっても、非AT中のSB中(状態B)であっても、AT抽選においてAT当選した場合は、ATに制御される。いずれの場合であっても、レア役(スイカ、チェリー)が当選した場合に、AT抽選が行われる。
非AT中の通常中(状態A)にAT当選した場合は、通常中のままATに制御され(以下、この状態を「状態C」とも称する)、ATへの制御が終了した場合は再度非AT状態(状態A)に戻る。非AT中のSB中(状態B)にAT当選した場合は、SB中のままATに制御され(以下、この状態を「状態D」とも称する)、ATへの制御が終了した場合は再度非AT状態(状態B)に戻る。
ここで、AT中の通常中(状態C)であっても、AT中のSB中(状態D)であっても、上乗せ抽選において上乗せ当選した場合は、ATゲーム数が上乗せされる。いずれの場合であっても、レア役(スイカ、チェリー)が当選した場合に、上乗せ抽選が行われる。
AT中において通常中に制御されている状態(状態C)において、SB当選し、当該ゲームにおいてSB入賞した場合は、AT中においてSB中に制御される(状態D)。ただし、上述のように、SB入賞することはほとんどない。SB中に1G消化すると、SBが終了し再度通常中(状態C)に制御される。
以下、上記で説明した状態A〜Dのそれぞれにおける有利度について説明する。本実施の形態においては、SB中に制御されているときの有利決定に関する有利度は、通常中に制御されているときの有利決定に関する有利度よりも高くなるように設計されている。有利決定に関する有利度は、たとえば、AT当選確率や上乗せ当選確率である。
具体的には、非AT中においてSB中に制御されているとき(状態A)は、非AT中において通常中に制御されているときより(状態B)も、AT当選確率が高い。また、AT中においてSB中に制御されているとき(状態C)は、AT中において通常中に制御されているとき(状態D)よりも、上乗せ当選確率が高い。
このように、SB中に制御されているときの有利決定に関する有利度(AT当選確率、上乗せ当選確率)は、通常中に制御されているときの有利決定に関する有利度よりも高いため、SB中に制御された場合であっても、遊技の興趣を維持することができる。このように、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値とSB中への制御との関係において好適な制御を行うことができる。
また、本実施の形態においては、有利決定(ATへの制御決定、上乗せゲーム数の決定)は、レア役(スイカ、チェリー)に当選したことに基づき行われる。レア役は、通常中およびSB中のいずれにおいても当選する。
具体的には、非AT中の通常中(状態A)または非AT中のSB中(状態B)において、レア役が当選した場合は、AT抽選が行われる。AT中の通常中(状態C)またはAT中のSB中(状態D)において、レア役が当選した場合は、上乗せ抽選が行われる。
非AT中においてSB中に制御されているとき(状態B)にレア役が当選したときは、非AT中において通常中に制御されているとき(状態A)にレア役が当選したときよりも、AT抽選において、ATが当選する確率(ATへの制御が決定される確率)が高くなる。
AT中においてSB中に制御されているとき(状態D)にレア役が当選したときは、AT中において通常中に制御されているとき(状態C)にレア役が当選したときよりも、上乗せ抽選において、上乗せ当選する確率(ATゲーム数の上乗せが決定される確率)が高くなる。
また、本実施の形態においては、チャンス役が当選したことに基づき有利決定(ATへの制御決定、上乗せゲーム数の決定)が行われる。上述のように、SB中(状態BまたはD)においてチャンス役が当選する確率は、通常中(状態AまたはC)においてチャンス役が当選する確率よりも高くなる。
また、本実施の形態においては、チェリーが当選したことに基づき有利決定(ATへの制御決定、上乗せゲーム数の決定)が行われる。上述のように、通常中においてSBに割り当てられている判定値数を、SB中においてはチェリーに割り当てるようにして、SB中(状態BまたはD)においてチェリーが当選する確率は、通常中(状態AまたはC)においてチェリーが当選する確率よりも高くなるようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、AT中においてSB中に制御されているときの有利決定に関する有利度(上乗せ当選確率、上乗せゲーム数)は、非AT中においてSB中に制御されているときの有利決定に関する有利度(AT当選確率、ATゲーム数)よりも高くなるように設計されている。
具体的には、AT中においてSB中に制御されているとき(状態D)に上乗せ抽選が行われた場合は、非AT中においてSB中に制御されているとき(状態B)にAT抽選が行われた場合よりも有利になるように抽選が行われる。
ここで、「1回のAT抽選において付与されるATゲーム数の期待値」は、「AT当選確率」×「AT当選時に付与されるATゲーム数の期待値」である。また、「1回の上乗せ抽選において付与されるATゲーム数(上乗せゲーム数)の期待値」は、「上乗せ当選確率」×「上乗せ当選時に付与されるATゲーム数の期待値」である。
SB中に制御されている場合は、「AT当選確率×AT当選時に付与されるATゲーム数の期待値」が「上乗せ当選確率×上乗せ当選時に付与されるATゲーム数の期待値」よりも大きくなるようにAT抽選や上乗せ抽選が行われる。
また、AT中において、SB入賞報知が行われる。SB入賞報知は、SB当選したゲームにおいて当選したSBに対応する入賞図柄組合せが導出されたとき、入賞図柄組合せが導出されたことを報知するものである。
たとえば、SB入賞報知として、AT中の通常中(状態C)において、SB1が当選したゲームにおいてSB1入賞図柄組合せが導出されたときにSB入賞の発生が報知される。たとえば、SB入賞報知として、SB入賞発生時に、サイドランプ27を所定時間点滅させてもよい。SB1入賞に限らず、SB2〜SB32入賞についても同様である。
また、本実施の形態においては、通常中に制御されているとき(状態AまたはC)とSB中に制御されているとき(状態BまたはD)とで、BBに制御されることが決定される割合が同じである。つまり、内部抽選において、通常中にBB当選する確率と、SB中にBB当選する確率とは等しい。
[主な効果]
次に、前述した実施の形態により得られる主な効果を説明する。
(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
通常状態(たとえば、通常中)と特定状態(たとえば、SB中(SB1中〜SB32中))とを含む複数種類の状態に制御可能な状態制御手段(たとえば、メイン制御部41による遊技状態を制御する処理)と、
遊技者にとって有利な有利決定(たとえば、ATへの制御決定、上乗せゲーム数の決定)に基づき有利制御(たとえば、ATへの制御、ATゲーム数の上乗せ)を行う有利制御手段(たとえば、メイン制御部41によるATへの制御やATゲーム数の上乗せを行う処理)と、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(たとえば、メイン制御部41による内部抽選を行う処理)と、
表示結果を導出させるために操作される導出操作手段(たとえば、ストップスイッチ8L,8C,8R)と、
表示結果を導出させる制御を行う導出制御手段(たとえば、メイン制御部41が実行するリール制御処理)と、を備え、
前記事前決定手段の決定結果には、複数種類の特定決定結果(たとえば、SB1〜32当選)が含まれ、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定決定結果のうちのいずれかの特定決定結果となり、当該特定決定結果に対応する操作態様(たとえば、操作タイミング)で前記導出操作手段が操作されたときに、当該特定決定結果に対応する特定表示結果(たとえば、SB1〜32入賞図柄組合せ)を導出させる制御を行い(たとえば、図5)、
前記状態制御手段は、前記通常状態において前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果であるゲームにおいて当該特定決定結果に対応する前記特定表示結果が導出されたときに、前記特定状態に制御し(たとえば、図9)、
前記有利制御が行われていない場合、前記特定状態に制御されているときと前記通常状態に制御されているときとで、遊技者が獲得する遊技用価値の量(たとえば、メダル枚数)の期待値は同等であり(たとえば、図8)、
前記有利制御が行われている場合、前記特定状態に制御されているときの方が前記通常状態に制御されているときよりも、遊技者が獲得する遊技用価値の量の期待値が小さい(たとえば、図8)。
具体的には、メイン制御部41は、通常中とSB中(SB1中〜SB32中)とを含む複数種類の状態に制御可能である。メイン制御部41は、遊技者にとって有利な有利決定(ATへの制御決定、上乗せゲーム数の決定)に基づき有利制御(ATへの制御、ATゲーム数の上乗せ)を行う。抽選対象役には、複数種類のSB(SB1〜32)が含まれる。複数種類のSBのうちのいずれかが当選し、当選したSBに対応する操作態様(操作タイミング)でストップスイッチが操作されたときに、当選したSBに対応する入賞図柄組合せ(SB1〜32入賞図柄組合せ)が導出される。図9に示すように、通常中においてSB当選したゲームにおいて当選したSBに対応する入賞図柄組合せが導出されたときに、SB中に制御される。図8に示すように、AT中でない場合、SB中に制御されているときと通常中に制御されているときとで、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値は同等である。図8に示すように、AT中である場合、SB中に制御されているときの方が通常中に制御されているときよりも、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値が小さい。
シミュレーション試験においては、ベル(6択ベル)が当選した場合、100%の確率で払出枚数が最大となる中段ベルに入賞させ、SBが当選した場合、100%の確率でSB入賞させる。その一方で、実際の遊技においては、SBごとに入賞図柄組合せを導出するストップスイッチの操作態様が異なるため、SB当選してもSB入賞する確率が低くなる。そして、AT中である場合、SB中に制御されているときの方が通常中に制御されているときよりも、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値が小さくなるため、100%の確率でSBに入賞するシミュレーション試験において、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値を下げることができる。すなわち、AT中の設計上の出玉の期待値を下げることができる。一方で、実際の遊技においては、SB入賞が発生しづらいため、設計上の出玉の期待値と実際の設計上の出玉の期待値との乖離を大きくすることができる。このように、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値とSB中への制御との関係において好適な制御を行うことができる。
(2) 前記特定状態に制御されているときの前記有利決定に関する有利度(たとえば、AT当選確率、上乗せ当選確率)は、前記通常状態に制御されているときの前記有利決定に関する有利度よりも高い(たとえば、図9)。
具体的には、図9に示すように、SB中に制御されているときの有利決定に関する有利度(AT当選確率、上乗せ当選確率)は、通常中に制御されているときの有利決定に関する有利度よりも高い。
このように、SB中に制御されているときの有利決定に関する有利度(AT当選確率、上乗せ当選確率)は、通常中に制御されているときの有利決定に関する有利度よりも高いため、SB中に制御された場合であっても、遊技の興趣を維持することができる。このように、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値とSB中への制御との関係において好適な制御を行うことができる。
(3) 前記事前決定手段の決定結果が特別決定結果(たとえば、レア役当選)となったことに基づき前記有利決定が行われ、
前記通常状態および前記特定状態のいずれにおいても、前記事前決定手段の決定結果が前記特別決定結果となる(たとえば、図9)。
具体的には、レア役に当選したことに基づき有利決定(ATへの制御決定、上乗せゲーム数の決定)が行われる。図9に示すように、通常中およびSB中のいずれにおいても、レア役は当選する。このため、SB中に制御された場合でも遊技の興趣を維持することができる。
(4) 前記事前決定手段の決定結果が特殊決定結果(たとえば、チェリー当選、チャンス役当選)となったことに基づき前記有利決定が行われ、
前記特定状態において前記事前決定手段の決定結果が前記特殊決定結果となる割合は、前記通常状態において前記事前決定手段の決定結果が前記特殊決定結果となる割合よりも高い(たとえば、図9)。
具体的には、チェリーが当選したことに基づき有利決定(ATへの制御決定、上乗せゲーム数の決定)が行われる。図9に示すように、SB中においてチェリーが当選する確率は、通常中においてチェリーが当選する確率よりも高い。このため、SB中に制御された場合でも遊技の興趣を維持することができる。
(5) 前記有利制御が行われている場合(たとえば、AT中)において前記特定状態に制御されているときの前記有利決定に関する有利度は、前記有利制御が行われていない場合(たとえば、非AT中)において前記特定状態に制御されているときの前記有利決定に関する有利度よりも高い(たとえば、図9)。
具体的には、図9に示すように、AT中においてSB中に制御されているときの有利決定に関する有利度(上乗せ当選確率、上乗せゲーム数)は、非AT中においてSB中に制御されているときの有利決定に関する有利度(AT当選確率、ATゲーム数)よりも高い。このため、AT中において、SB中に制御された場合でも遊技の興趣を維持することができる。
(6) 前記有利制御として、前記導出操作手段の操作態様(たとえば、押し順)に対応する操作情報(たとえば、ナビ情報)を報知可能な報知期間(たとえば、AT)に制御可能であり(たとえば、メイン制御部41がATに制御する処理)、
前記報知期間に制御されていないときは、前記有利決定として、前記報知期間に制御されることが決定(たとえば、ATへの制御を決定)可能であり(たとえば、図9)、
前記報知期間に制御されているときは、前記有利決定として、前記報知期間を延長することが決定(たとえば、上乗せゲーム数の決定)可能である(たとえば、図9)。
具体的には、有利制御として、ストップスイッチの押し順に対応するナビ情報を報知可能なATに制御可能である。図9に示すように、ATに制御されていないときは、有利決定として、ATに制御されることが決定可能である。ATに制御されているときは、有利決定として、ATを延長することが決定可能である(上乗せゲーム数を決定可能である)。このため、ATへの制御および延長に遊技者が期待することができる。
(7) 前記有利制御が行われている場合において、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果であるゲームにおいて当該特定決定結果に対応する前記特定表示結果が導出されたとき、当該特定表示結果が導出されたことが報知(たとえば、SB入賞報知)される(たとえば、図9)。
具体的には、図9に示すように、AT中において、SB当選したゲームにおいて当選したSBに対応する入賞図柄組合せが導出されたとき、入賞図柄組合せが導出されたことを報知するSB入賞報知が行われる。AT中においてSBが当選した場合はナビ演出が実行されない。さらに、SB遊技においても、遊技者が獲得するメダル枚数の期待値が小さくなることから、ナビ演出が実行される確率が低くなる。このように、AT中にナビ演出が行われない遊技が連続することがあり、遊技の興趣が低下する原因となる。このため、AT中にSB入賞報知を行うことで、AT中にナビ演出が行われない遊技が連続することで、遊技の興趣が低下することを防止することができる。
(8) 前記複数種類の状態は、遊技者にとって有利な有利状態(たとえば、BB中)をさらに含み、
前記事前決定手段の決定結果が有利決定結果(たとえば、BB当選)となったときに、前記有利状態に制御されることが決定され、
前記通常状態に制御されているときと前記特定状態に制御されているときとで、前記有利状態に制御されることが決定される割合が同じである(たとえば、図9)。
具体的には、遊技状態は、遊技者にとって有利な有利状態(BB中)をさらに含む。BB当選したときに、BB中に制御されることが決定される。図9に示すように、通常中に制御されているときとSB中に制御されているときとで、BBに制御されることが決定される割合が同じである。このため、BBに対しては、通常中であってもSB中であっても同様に期待することができる。
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
[有利決定について]
本実施の形態においては、チェリーが当選したことに基づき有利決定が行われるが、SB中においてチェリーが当選する確率は、通常中においてチェリーが当選する確率よりも高くなるようにした。しかし、チェリーに限らず、SB中においてスイカが当選する確率は、通常中においてスイカが当選する確率よりも高くなるようにしてもよい。
また、チェリーやスイカの当選確率はSB中と通常中とで同じにし、SB中において所定役が当選する確率は、通常中において所定役が当選する確率よりも高くなるようにしてもよい。この場合、非AT中に所定役に当選したときにAT抽選を行い、AT中に所定役に当選したときに上乗せを行う。この場合、SB中の方が通常中よりも、有利度が高くなるようにAT抽選や上乗せ抽選を行うようにしてもよい。
[SB入賞報知について]
本実施の形態においては、SB入賞報知として、SB入賞発生時に、サイドランプ27を所定時間点滅させるようにした。しかし、これに限らず、リールバックライトを点滅させてもよいし、液晶表示器51にSB入賞の発生を報知するような画像を表示させてもよい。また、SB入賞報知において、SB1〜SB32のいずれのSBが入賞したか特定可能に報知してもよいし、共通の報知を行ってもよい。また、AT中に限らず、非AT中においてもSB入賞報知を行うようにしてもよい。
なお、上述した本実施の形態および変形例における各種構成、各種処理、各種処理のタイミングなどは、適宜組合せることができる。
また、上述した実施例および変形例では、本発明を遊技機の一例であるスロットマシン1に適用する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技領域に遊技球を発射することにより遊技を行うパチンコ遊技機、さらには、スロットマシンやパチンコ遊技機以外の一般ゲーム機等、所定の遊技を行う遊技機であれば適用可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。