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JP2021151942A - 多孔質シリカアルミナ粒子およびその製造方法 - Google Patents

多孔質シリカアルミナ粒子およびその製造方法 Download PDF

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JP2021151942A
JP2021151942A JP2020053558A JP2020053558A JP2021151942A JP 2021151942 A JP2021151942 A JP 2021151942A JP 2020053558 A JP2020053558 A JP 2020053558A JP 2020053558 A JP2020053558 A JP 2020053558A JP 2021151942 A JP2021151942 A JP 2021151942A
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広 松本
Hiroshi Matsumoto
広 松本
裕一 濱▲崎▼
Yuichi Hamazaki
裕一 濱▲崎▼
俊二 鶴田
Shunji Tsuruta
俊二 鶴田
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Abstract

【課題】高い比表面積と高い細孔容積をもつ多孔質シリカアルミナ粒子を提供する。【解決手段】シリカヒドロゲルと擬ベーマイトアルミナ水和物を混合した混合物ゲルスラリーを得る工程と、該混合物ゲルスラリーの洗浄・乾燥を繰り返し、アルカリ金属イオンや鉱酸イオン残存量の少ない非晶質の多孔質シリカアルミナ粒子を得る。【選択図】なし

Description

本発明は、高比表面積と高い細孔容積をもつ多孔質シリカアルミナ粒子およびその製造方法に関する。
シリカ−アルミナ組成物を調製する方法は当技術分野において周知であり、中和反応法とpHスイング法が代表的な方法として挙げられる。
中和反応(共沈法、共ゲル化法)法としては、特許文献1〜4のように、シリカヒドロゲルと金属塩の溶液を混合して、金属塩を内部に均等に含有する非晶質シリカ−アルミナを製造できるようにする調製法が挙げられる。
また、pHスイング法(浸漬法)としては、特許文献5および6のように、反応混合物のpHを変化させ、それによってシリカおよびアルミナを沈澱させることによって、単一の容器中で非晶質シリカ−アルミナを製造できるようにする調製法が挙げられる。
特公昭27−3989号公報 特公昭31−1862号公報 特公昭30−5963号公報 特公昭32−413号公報 特表2010−537808号公報 特表2016−502971号公報
しかしながら、従来の技術では、特許文献1〜6に記載の調製方法から得られる多孔質シリカアルミナは、比表面積が比較的小さい、すなわち、400m/gよりはるかに小さい傾向があるという問題があった。
さらには、細孔容積が1.0ml/gよりも小さい傾向があるという問題があった。
本発明の目的は、高い比表面積と高い細孔容積をもつ多孔質シリカアルミナ粒子およびその製造方法を提供することにある。
このような技術的背景のもと、発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、高い比表面積と高い細孔容積をもつ多孔質シリカアルミナ粒子が得られることを知見し、本発明を開発するに至った。
前記課題を解決し上記の目的を実現するため開発した本発明は、下記のとおりのものである。すなわち、本発明は、第一に、多孔質シリカアルミナ粒子の製造方法であって、
a.擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液を得る工程と、
b.シリカヒドロゲル水溶液を得る工程と、
c.前記擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液と、前記シリカヒドロゲル水溶液を混合したスラリーを、pH7.0〜9.0の範囲に調整し、温度40〜60℃で10分〜2時間の範囲で反応促進を行い、シリカアルミナ混合物水溶液を得る工程と、
d.前記シリカアルミナ混合物水溶液を濾別し、シリカアルミナ混合物ケーキ1を得た後、洗浄する第1洗浄工程と、
e.前記シリカアルミナ混合物ケーキ1を水に分散し、温度30〜50℃でpH8.0〜12.0に調整した後、さらに80℃以上に加熱してシリカアルミナゲルスラリーを得る工程と、
f.前記シリカアルミナゲルスラリーを乾燥して、シリカアルミナ粒子1を得る第1乾燥工程と、
g.乾燥して得られた前記シリカアルミナ粒子1を再度懸濁させ撹拌した後、濾別を行い、洗浄しシリカアルミナ粒子ケーキ2を得る第2洗浄工程と、
h.前記シリカアルミナ粒子ケーキ2を、乾燥してシリカアルミナ粒子2を得る第2乾燥工程と、を含む多孔質シリカアルミナ粒子の製造方法を提案する。
また、本発明は、第二に、非晶質の多孔質シリカアルミナ粒子であって、
BET法で測定した比表面積SAが400〜600m/gの範囲にあり、
BJH法で測定した細孔容積PVが1.25〜2.00ml/gの範囲にあり、
BJH法で測定した平均細孔径PDが8〜20nmの範囲にあり、
シリカとアルミナとが質量比で、2/98〜70/30の範囲にあることを特徴とする多孔質シリカアルミナ粒子を提供する。
なお、本発明にかかる上記多孔質シリカアルミナ粒子については、さらに、アルカリ金属イオン(M)をMO換算で0.1質量%以下含有し、無機酸イオンの残存量が1.0質量%以下であること、がより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
本発明は、多孔質シリカアルミナ粒子として、高い比表面積と高い細孔容積をもつ多孔質シリカアルミナ粒子を提供することにある。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
[多孔質シリカアルミナ粒子]
本発明の多孔質シリカアルミナ粒子(以下、単に「シリカアルミナ粒子」ともいう)は、シリカ(SiO)とアルミナ(Al)とからなる多孔質な粒子であり、高い比表面積と高い細孔容積を有する酸化物として構成されている。
本発明の多孔質シリカアルミナ粒子は、非晶質である。したがって、結晶性のシリカアルミナであるゼオライト等は本発明のシリカアルミナに含まれない。本発明のシリカアルミナが非晶質であるか否かは、X線回折パターンから判断することができる。具体的には、本発明のシリカアルミナをX線回折測定して得られるX線回折パターンにおいて、5°≦2θ≦50°の範囲で半値全幅が1.0°未満である回折ピークを示さなければ、本発明のシリカアルミナは非晶質であると判断できる。
本発明で得られたシリカアルミナ粒子は、シリカとアルミナの比率S/Aが、それぞれSiOとAlで換算した質量比S/A:2/98〜70/30の範囲であり、好ましくはS/A:5/95〜65/35の範囲である。S/A:70/30よりもアルミナ比率が低いと固体酸量が低下する傾向があり、該粒子を分解触媒等に用いた場合、必要な分解率が得られなくなる。一方、S/A:2/98よりもシリカ比率が低下すると、比表面積SAが低下する傾向にある。
得られるシリカアルミナ粒子のBET法による比表面積SAは、400〜600m/gの範囲であり、好ましくは420〜550m/gの範囲である。下限設定理由は、分解触媒に用いた場合、炭化水素との接触性や反応性から比表面積SAは適度に高い方が有利だからである。一方、比表面積SAが、600m/g超えになると細孔径PDが小さくなりすぎ、反応物の炭化水素分子サイズよりも小さくなって細孔内に拡散できなくなり有効な反応が生じないおそれがある。
さらに、BJH法による細孔容積PVは、1.25〜2.00ml/gの範囲であり、好ましくは1.30〜1.90ml/gの範囲である。細孔容積PVが1.25ml/gよりも小さい場合、炭化水素分子との有効な反応の場が少なくなる。一方、細孔容積PVが2.00ml/g超えの場合、分解触媒に用いるにあたり、成型物の圧壊強度あるいは摩耗強度が弱くなり反応器に充填したときに粉化が生じ運転が出来なくなるおそれがある。
BJH法で測定した平均細孔径PDが、8〜20nm(80〜100Å)の範囲であり、好ましくは10〜18nm(100〜180Å)の範囲である。下限設定理由は、平均細孔径PDが小さすぎる場合、反応物の炭化水素分子サイズよりも小さい細孔が多くなり細孔内に拡散できなくなって有効な反応が生じないおそれがある。一方、上限設定理由は、比表面積の低下が生じ分解反応の活性点の低下が起こる。
本願のシリカアルミナ粒子には、陽陰の不純物イオン成分の残存量が少ないことも特徴である。残存陽イオンとしては、残存ナトリウムイオンやカリウムイオン等のアルカリ金属イオンがあげられる。それらアルカリ金属イオン(M)量が、MO換算で0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下である。さらに、硫酸イオン、硝酸イオン等の無機酸イオンの残存量は、1.0質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下である。不純物イオン成分の低減により固体酸点と活性金属の被毒が抑制される。
[多孔質シリカアルミナ粒子の製造方法]
<a.擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液を得る工程>
《a−1.調合工程》
擬ベーマイトアルミナ粒子の調製方法は、広く知られておりその中でも、アルミニウム塩および/またはアルミン酸塩溶液を中和して擬ベーマイトアルミナ粒子の沈殿を作る方法が好適である。アルミニウム塩としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等の任意のアルミニウム塩を用いることができる。また、アルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等の任意のものを用いることができる。中和反応は、アルミニウム塩水溶液に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリ性水溶液を添加する方法、アルミン酸塩水溶液に硫酸、塩酸、硝酸等の酸の水溶液を添加する方法、アルミニウム塩水溶液とアルミン酸塩水溶液を混合する方法のいずれを用いても構わないが、製造コストの点から言えばアルミニウム塩水溶液とアルミン酸塩水溶液を混合し擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液を得る方法が好ましい。
《a−2.熟成工程》
中和反応を行うため二液を混合した後、擬ベーマイトアルミナ水和物への反応促進(以下、「熟成」とも言う。)のために、溶液のpHを7.0〜10.0の範囲、温度を30〜70℃の範囲に調整することで、反応が促進し擬ベーマイトアルミナ水和物を得ることができる。pHが10.0を越えると、比表面積の小さなバイヤライト相が生成するため、最終的に製造した触媒の活性が低下することがある。また、pHが7.0を低いと、最終的に得られる擬ベーマイトアルミナ粒子の細孔容積が低下する傾向があり、触媒に適した擬ベーマイトアルミナ粒子の製造が難しくなることがある。
熟成の温度は、30〜70℃の範囲に入っていることが望ましい。温度が30℃以下では、粒子が強固に凝集する傾向があり、熟成乾燥工程を経て得られた粉の細孔容積が小さくなることがある。また、70℃以上では、バイヤライトが析出しやすくなるため、好ましくない。熟成時間は、5分〜120分間、好ましくは10〜100分間、さらに好ましくは10〜90分間の範囲であることが望ましい。この範囲から外れると、最終的に得られる擬ベーマイトアルミナ粒子の細孔容積が0.8cc/g以下となることがあり、触媒用の擬ベーマイトアルミナ粒子として使用できなくなることがある。熟成時間に関しては特に制限はないが、生産効率上から判断して、120分以内が好ましい。熟成時間が長過ぎると、最終的に得られる擬ベーマイトアルミナ粒子の比表面積が小さくなる傾向がある。
<b.シリカヒドロゲル水溶液を得る工程>
シリカヒドロゲルの調製方法は、広く知られておりその中でも、調合中のpHはケイ酸塩水溶液と酸の供給速度を調整することにより、又SiO濃度はあらかじめ計算された規定濃度のケイ酸水溶液と酸を用いることによって制御できる。
反応はケイ酸塩水溶液と酸を10〜100℃、好ましくは20〜95℃に保った反応器で撹拌しながら供給することにより、シリカヒドロゲル溶液の得ることができる。
ケイ酸塩として使用できるものはケイ酸ソーダ1号、2号、3号、ケイ酸カリウムその他可溶性ケイ酸塩および珪藻土ならいずれでもよい。
酸としては硫酸、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸あるいはギ酸のような有機酸でもよいが無機酸が好ましい。
供給するケイ酸塩の濃度はSiO換算として30質量%以下、好ましくは10質量%以下である。ケイ酸塩の濃度の下限は特に設けるものではないが、例えば5質量%以上で供給すれば、必要なSiO量を調整するために大容積の調合容器や大量の水を必要としないので好ましい。一方、上限設定理由は、無機酸との中和で生じるゲル化により強固なゲル状物の影響で攪拌機が過負荷となり停止または充分な攪拌が出来なくなるからである。
上記調整法によればBET法による比表面積が190〜600m/gの範囲に入るシリカヒドロゲル水溶液を容易に得ることができる。
<c.シリカアルミナ混合物水溶液を得る工程>
(前記擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液と前記シリカヒドロゲル水溶液を混合し、シリカアルミナ粒子混合物水溶液を得る。)
固形分濃度を1〜5質量%に調整した擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液と固形分濃度を5〜10質量%に調整したシリカヒドロゲル水溶液とを混合し、さらにpH7.0〜10.0の範囲、より好ましくはpH8.0〜9.0の範囲に調整し、温度40〜60℃の範囲で10分〜2時間熟成を行い、シリカアルミナ混合物水溶液を得ることができる。この2液を混合する際は、擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液にシリカヒドロゲル水溶液を添加しても、シリカヒドロゲル水溶液に擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液を添加してもよい。
<d.第1洗浄工程>
前記工程cで得られたシリカアルミナ混合物水溶液を濾別した後、シリカアルミナ混合物ケーキ1を得る。該混合物ケーキ1を洗浄容器に移し、50〜70℃の水で洗浄し、未反応の原料や夾雑イオン等を除去し、シリカアルミナ混合物ケーキ1を得る。
洗浄水の温度は、未反応の原料や夾雑イオン等の除去効率をあげるため、常温より高い50〜70℃の範囲のものを用いることが好ましい。ここで用いる50〜70℃の水の量は、理論的に得られるシリカアルミナ粒子の質量の35倍程度の量を用いて洗浄することが好ましい。
<e.シリカアルミナゲルスラリーを得る工程>
前記工程dで得られたシリカアルミナ混合物ケーキ1を水に分散した後、温度30〜50℃でpHを8.0〜12.0の範囲、より好ましくはpH8.5〜11.5に調整した後、さらに80℃以上に加熱して1〜20時間、より好ましくは1〜15時間撹拌し、シリカアルミナ混合物からシリカアルミナゲルへ反応を促進しシリカアルミナゲルスラリーを得る。
ここで80℃以上での加熱においては、シリカアルミナゲルの熟成の促進・完結を目的としているため、常圧で行っても、オートクレーブ等の加圧条件で行ってもよく、加圧条件で行うことで、処理時間が短くて済むという利点がある。
<f.第1乾燥工程>
前記工程eで得られたシリカアルミナゲルスラリーを乾燥し、シリカアルミナ粒子1を得る。
乾燥して、シリカアルミナ粒子1を得るには、スプレードライまたはその他の通常用いられている乾燥装置を使用することができる。乾燥温度は特に制限はないが、温度が高すぎると擬ベーマイトアルミナからガンマ−アルミナへ相転移するため好ましくない。このため、入口温度500℃以下、出口温度200℃以下が好ましく、すなわち、入口温度300〜500℃、出口温度130〜200℃の範囲で乾燥することが好ましい。
<g.第2洗浄工程>
前記工程fで得られたシリカアルミナ粒子1を、再度懸濁させ撹拌した後、濾別を行い、洗浄しシリカアルミナ粒子ケーキ2を得る。
前記工程fで得られたシリカアルミナ粒子1の残留アルカリ金属イオン濃度を低減するために、懸濁液の温度は、40〜70℃の範囲のものを用いることが好ましく、また懸濁液には、水溶性酸性物質を含む水溶液で濾別を行うことが好ましい。ここで用いる水溶性酸性物質としては、例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどが挙げられる。
さらに、濾別後、残留塩等の除去を行うため、水溶性塩基性物質を含む温水等で洗浄、濾別を行い、シリカアルミナ粒子ケーキ2を得ることができる。洗浄水の温度は、未反応の原料や夾雑イオン等の除去効率をあげるため、常温より高い50〜70℃の範囲のものを用いることが好ましい。ここで用いる水溶性塩基性物質としては、例えば、アンモニア水、水酸化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩(ここでいう塩とは、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を意味する)を用いることができる。
<h.第2乾燥工程>
前記工程gで得られた濾別後のシリカアルミナ粒子ケーキ2の乾燥は、前記工程fに記載の乾燥方法で行うことで、目的のシリカアルミナ粒子2を得ることができる。
また、夾雑イオン等の不純物の残存量によっては、前記工程gの後に必要に応じて、さらに工程fおよび/またはgを再度行ってもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<測定方法ないし評価方法>
実施例等における測定方法ないし評価方法は、以下のとおりである。
(各元素、化合物および金属成分(Si、Al、Na、SO 2−)の含有量の測定方法)
測定試料3gを容量30mlの蓋付きジルコニアボールに採取して、加熱処理(200℃、20分)し、焼成(700℃、5分)した後、Na:2gおよびNaOH:1gを加えて15分間溶融した。さらに、HSO:25mlと水200mlを加えて溶解したのち、純水で500mlになるように希釈して試料とした。得られた試料について、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置((株)島津製作所製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を用いて、各成分の含有量を酸化物換算質量基準で測定した。
(細孔容積PVと平均細孔径PDの測定方法)
マイクロトラック・ベル株式会社製のBELSORP−mini Ver2.5.6により細孔容積PVと平均細孔径PDを測定した。具体的には、真空排気しながら500℃で2時間熱処理した試料に対して、窒素ガスを吸着させ、BJH法の相対圧力(P/P=0.99)の脱着側等温線により細孔容積PV(ml/g)と平均細孔径PD(nm)を算出した。
(比表面積SAの測定方法)
比表面積SAの測定のために、測定試料を磁製ルツボ(B−2型)に約30mL採取し、500℃の温度で2時間加熱処理後、デシケータに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得た。次に、このサンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、試料の比表面積SA(m/g)をBET法にて測定した。
(平均粒子径の測定方法)
実施例等の触媒の粒度分布を、堀場製作所(株)製レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA−300)により測定した。具体的には、光線透過率が70〜95%の範囲となるように試料を溶媒(水)に投入し、循環速度:2.8L/分、超音波照射:3分間、反復回数:30回の条件で測定した。得られた粒度分布から、メジアン径(D50)を平均粒子径として採用した。
(強熱減量(ignition loss、loss of ignition。以下、単に「強熱減量」ともいう)の測定方法)
測定試料である触媒を1000℃で1時間焼成し、焼成による質量減少量から算出している。
(X線回折測定条件)
シリカアルミナ粒子のX線回折は、株式会社リガク製MiniFlexにより測定した。測定条件は、操作軸を2θ/θとし、線源にCuKαを用い、連続式測定方法により、電圧を40kV、電流を15mAとし、開始角度:2θ=5°から終了角度:2θ=50°まで、サンプリング幅を0.020°とし、スキャン速度を10.000°/minとした。
非晶質の判断基準は、5°≦2θ≦50°の範囲で半値全幅が1.0°未満である回折ピークを示さないこと、とした。
[実施例1]
(工程a).擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液を得る工程
200Lのスティームジャケット付ステンレスタンクに水60kgを張り込み、撹拌しながら25質量%のグルコン酸ソーダ水溶液:24gを投入した後、Al:22.6質量%、NaO:17.3質量%のアルミン酸ソーダ水溶液:885gを投入し、続いて24質量%の硫酸アルミニウム水溶液:1408gを2分間掛けて投入してpH7.2の擬ベーマイトアルミナ種子スラリーを調製した。この種子スラリーにAl:22.6質量%、NaO:17.3質量%のアルミン酸ソーダ水溶液を275ml/minの流量で、23.6質量%の硫酸アルミニウム溶液を488ml/minの流量で其々、20分間、60℃の温度を保ちながら種子スラリーに滴下した。仕上がりスラリーのpHは7.2であった。5分間撹拌した後、Al:22.6質量%、NaO:17.3質量%のアルミン酸ソーダ水溶液642gにてpHを8.8に調整し60℃にて2時間撹拌を続けて、擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液を調製した。
(工程b).シリカヒドロゲル水溶液を得る工程
25質量%の硫酸 4.72kgと純水 2.0kgを40Lのプラスティック製のタンクに張り込み30℃に調整した。この硫酸溶液を撹拌しながら45℃に調整した8.5質量%SiO濃度、SiO/NaOモル比3.2のケイ酸ソーダ溶液を0.56kg/minの流量、45分で滴下した後、流量を0.1kg/minに下げてpH4.0まで上記ケイ酸ソーダ液を30分間滴下した。滴下終了後165min撹拌を続けシリカヒドロゲル水溶液を得た。このシリカヒドロゲルに15%濃度のアンモニア水400mlを加えpH7.0にして1時間熟成した。
(工程c).シリカアルミナ混合物水溶液を得る工程
前記擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液を78,191gと前記シリカヒドロゲル水溶液を893gとを撹拌混合した後、15質量%のアンモニア水でpH8.8に調整して、温度40〜60℃で10分間熟成しシリカアルミナ混合物水溶液を得た。
(工程d).第1洗浄工程
前記工程cで得られたシリカアルミナ混合物水溶液の濾別を行い、濾別したシリカアルミナ混合ケーキ1aに60℃の水、105Lで掛水洗浄して、硫酸イオンとナトリウムイオンの除去を行った。(この段階での不純物含有量は、乾燥物基準でNaO換算濃度は0.1質量%、SO 2−濃度は2.1質量%であった。)
(工程e).シリカアルミナゲルスラリーを得る工程
前記工程dで得られたシリカアルミナ混合物ケーキ1aの重量23.0kgに60℃温純水7kgを加え、シリカアルミナ濃度10質量%に調整した後、撹拌してスラリー化した。このスラリーの温度は45℃でpHは8.7であった。このスラリーに15質量%のアンモニア水を1.8L加えpHを10.8に調整した後、スティームジャッケットの付いた50L密閉タンクに移し、95℃で10時間熟成した。
(工程f).第1乾燥工程
前記工程eで得られた熟成スラリーを乳化器で均一にした後、噴霧乾燥装置の入口温度300℃、出口温度150℃で乾燥して平均粒径70μmのシリカアルミナ粒子1aを得た。
(工程g).第2洗浄工程
前記工程fで得られたシリカアルミナ粒子1aについて、乾燥基準で300gを10質量%濃度で60℃の硫酸アンモニウム3000gに懸濁し、20分間撹拌した後、減圧濾過器にて固液分離して残ったケーキに60℃の温純水3000gを掛水して再懸濁した。続いて、15質量%のアンモニア水にてpHを8.8に調整して20分間撹拌した後、減圧濾過器にて固液分離してシリカアルミナ混合ケーキ2aを得た。
(工程h).第2乾燥工程
濾過器からステンレスバットに得られたシリカアルミナ粒子ケーキ2aを取り出し、130℃で1晩乾燥し、目的のシリカアルミナ粒子Iを得た。化学組成分析と物理性状を表1に示す。
[実施例2]
(工程a〜c)
実施例1と同様に擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液とシリカヒドロゲル水溶液を得て、Al換算基準で2400g、SiO換算基準で600gのスラリーを計量した後、撹拌混合し、15質量%のアンモニア水でpH8.8に調整して10分間熟成した。
(工程d)
この混合スラリーを実施例1と同様に濾別・洗浄を行った。(この段階での不純物含有量は、乾燥物基準でNaO:0.9質量%、SO 2−:1.7質量%であった。)
(工程e〜h)
その後の処理は、実施例1と同様に処理を行い、目的のシリカアルミナ粒子IIを得た。
[実施例3]
(工程a〜c)
実施例1と同様に擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液とシリカヒドロゲル水溶液を得て、Al換算基準で1800g、SiO換算基準で1200gのスラリーを計量した後、撹拌混合し、15質量%のアンモニア水でpH8.8に調整して10分間熟成した。
(工程d)
この混合スラリーを実施例1と同様に濾別・洗浄を行った。(この段階での不純物含有量は、乾燥物基準でNaO:1.8質量%、SO 2−:1.1質量%であった。)
(工程e〜h)
その後の処理は、実施例1と同様に処理を行い、目的のシリカアルミナ粒子IIIを得た。
[実施例4]
(工程a〜c)
実施例1と同様に擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液とシリカヒドロゲル水溶液を得て、Al換算基準で1200g、SiO換算基準で1800gのスラリーを計量した後、撹拌混合し、15質量%のアンモニア水でpH8.8に調整して10分間熟成した。
(工程d)
この混合スラリーを実施例1と同様に減圧フィルターにて固液分離を行い温純水で掛水洗浄した。(この段階での不純物含有量は、乾燥物基準でNaO:2.7質量%、SO 2−:0.8質量%であった。)
(工程e〜h)
その後の処理は、実施例1と同様に処理を行い、目的のシリカアルミナ粒子IVを得た。
[実施例5]
(工程a〜c)
実施例1と同様に擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液とシリカヒドロゲル水溶液を得て、Al換算基準で1200g、SiO換算基準で1800gのスラリーを計量した後、撹拌混合し、15質量%のアンモニア水でpH8.8に調整して10分間熟成した。
(工程d)
この混合スラリーを実施例1と同様に濾別・洗浄を行った。(この段階での不純物含有量は、乾燥物基準でNaO:0.6質量%、SO 2−:3.2質量%であった。)
(工程e〜h)
その後の処理は、実施例1と同様に処理を行い、目的のシリカアルミナ粒子Vを得た。
[比較例1]
*擬ベーマイトアルミナを用いない方法
(工程a’〜c’)
25質量%の硫酸4.72kgと純水2.0kgを40Lの樹脂製のタンクに張り込み30℃に調整した。この硫酸溶液を撹拌しながら、45℃に調整した8.5質量%のSiO濃度、SiO/NaOモル比3.2のケイ酸ソーダ溶液を0.56kg/minの流量で45分間に亘り滴下した後、流量を0.1kg/minに下げてpH4.0まで上記ケイ酸ソーダ液を30分間滴下した。滴下終了後165min撹拌を続けシリカヒドロゲルを得た。このシリカヒドロゲルに15質量%濃度のアンモニア水500mlを加えpH7.0にして1時間熟成した。仕上がりシリカヒドロゲルの重量は35.54kgでこの1/2を50Lのスティームジャケット付タンクに移し替え純水を1kg加えた後、タンク内のスラリー温度を45℃に保ちながら23.6質量%濃度の硫酸アルミニウム溶液8.45kgを5分間で撹拌しながら加え、添加後のpHは2.96であった。次に22.6質量%Al濃度、17.3質量%NaO濃度のアルミン酸ソーダ溶液5.31kgを3分間で加えpHを7.0に調整した後45℃で2時間撹拌を続けた。
(工程d〜h)
この後、シリカアルミナ混合物スラリーを、実施例1と同様に処理をしてシリカアルミナ粒子VIを得た。
[比較例2]
(工程a’〜c’)
比較例1と同様に35.54kgのシリカヒドロゲルを調製した。このシリカヒドロゲルのう31.1kgを計量して50Lのスティームジャケット付タンクに移し替え純水を1kg加えた後、タンク内のスラリー温度を45℃に保ちながら23.6質量%濃度の硫酸アルミニウム溶液4.22kgを5分間で撹拌しながら加え、添加後のpHは3.50であった。次にAl:22.6質量%、NaO:17.3質量%のアルミン酸ソーダ溶液2.66kgを3分間に亘って加え、pHを6.9に調整した後45℃で2時間撹拌を続けた。
(工程d〜h)
このシリカアルミナ混合物スラリーを、実施例1と同様に処理を行い、シリカアルミナ粒子VIIを得た。
上記で調整したサンプルNo.I〜VIIの成分組成、強熱減量LOI、細孔容積PV、平均細孔径PDおよび比表面積SAをまとめて、表1に示す。なお、サンプルNo.I〜VIIのX線回折測定の結果、非晶質のシリカアルミナ粒子であることを確認している。サンプルNo.I〜Vは、十分な細孔容積PVと比表面積SAを両立しているが、サンプルNo.VIおよびVIIは、平均細孔径PDが小さく、細孔容積PVが劣っている。
Figure 2021151942
本発明に係る多孔質シリカアルミナ粒子は、高い細孔容積、高い比表面積を有することから断熱性が期待できる。また、前記物性以外に、シリカアルミナから構成されるので固体酸を有することから、石油精製用の触媒や光学材料として利用、あるいは化粧品、樹脂フィラー、表面コート材への添加剤(光学散乱、屈折率調整などを目的とするもの)等に応用することができる。

Claims (3)

  1. 多孔質シリカアルミナ粒子の製造方法であって、
    a.擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液を得る工程と、
    b.シリカヒドロゲル水溶液を得る工程と、
    c.前記擬ベーマイトアルミナ水和物水溶液と、前記シリカヒドロゲル水溶液を混合したスラリーを、pH7.0〜9.0の範囲に調整し、温度40〜60℃で10分〜2時間の範囲で反応促進を行い、シリカアルミナ混合物水溶液を得る工程と、
    d.前記シリカアルミナ混合物水溶液を濾別し、シリカアルミナ混合物ケーキ1を得た後、洗浄する第1洗浄工程と、
    e.前記シリカアルミナ混合物ケーキ1を水に分散し、温度30〜50℃でpH8.0〜12.0に調整した後、さらに80℃以上に加熱してシリカアルミナゲルスラリーを得る工程と、
    f.前記シリカアルミナゲルスラリーを乾燥して、シリカアルミナ粒子1を得る第1乾燥工程と、
    g.乾燥して得られた前記シリカアルミナ粒子1を再度懸濁させ撹拌した後、濾別を行い、洗浄しシリカアルミナ粒子ケーキ2を得る第2洗浄工程と、
    h.前記シリカアルミナ粒子ケーキ2を、乾燥してシリカアルミナ粒子2を得る第2乾燥工程と、を含む多孔質シリカアルミナ粒子の製造方法。
  2. 非晶質の多孔質シリカアルミナ粒子であって、
    BET法で測定した比表面積SAが400〜600m/gの範囲にあり、
    BJH法で測定した細孔容積PVが1.25〜2.00ml/gの範囲にあり、
    BJH法で測定した平均細孔径PDが8〜20nmの範囲にあり、
    シリカとアルミナとが質量比で、2/98〜70/30の範囲にあることを特徴とする多孔質シリカアルミナ粒子。
  3. さらに、アルカリ金属イオン(M)をMO換算で0.1質量%以下含有し、
    無機酸イオンの残存量が1.0質量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の多孔質シリカアルミナ粒子。
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