JP2021143648A - サージ予兆検出装置、サージ予兆検出方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】カオス時系列解析の解析結果に基づいてサージの予兆を検出するサージ予兆検出装置を提供する。【解決手段】サージ予兆検出装置は、羽根車の回転翼を含む翼を収容し、入口配管部から供給される流体を圧縮して出口配管部に排出する収容部を有する圧縮機のサージの予兆を検出するサージ予兆検出装置であって、入口配管部における入口配管位置、出口配管部における出口配管位置、および入口配管位置と出口配管位置との間の中間位置のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データを取得するよう構成された取得部と、時系列データに対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するよう構成された解析部と、カオス時系列解析によって得られる解析値に基づいて、サージの予兆を検出するよう構成された検出部と、を備える。【選択図】 図1
Description
本開示は、軸流圧縮機、遠心圧縮機等の圧縮機のサージ(サージング)の予兆検出に関する。
各種用途に用いられる軸流圧縮機、遠心圧縮機等の圧縮機においては、運転時に、流量を絞った状態で圧力を上昇させていくと、失速またはサージが発生する。軸流圧縮機における失速は、いわゆる旋回失速であり、圧縮機を構成する動翼や静翼の翼列の周方向の一部で発生した失速域が、翼列内を周方向に伝搬して旋回する現象である。また、サージは、翼列の周方向全体で一斉に失速が生じ、圧力が急激に低下する現象である。特に、サージが発生すると、圧縮機につながる管路系全体にわたって、逆流や脈動による流速や圧力の大きな変動が生じ、管路系を含めた機器類に大きな負荷がかかってしまう。このようなサージは、事前の試験や解析などにより、発生する条件を測定または推定することができるため、圧縮機の運転に対しては、サージが発生する領域の境界(サージライン)から、安全率を取り、それよりも低圧力側で運転される。
しかし、圧縮機の効率が最大となる領域は、サージラインの近傍にあるため、できるだけサージラインの近傍となる領域の運転条件で、圧縮機を運転するのが好ましい。ところが、実際の圧縮機におけるサージラインは、圧縮機の経年変化による圧縮機内の汚れやエロージョン等により、運転時間が増えるに従って、初期の試験や解析で得られるサージラインよりも低圧力側になる可能性がある。また、実機でのサージラインの確認試験が行われない場合もある。したがって、上記の安全率を大きく取らざるを得ず、圧縮機を高い効率を発揮する条件で運転するのが難しい。
そこで、圧縮機の運転中、失速やサージの発生を検出し、それに応じて運転条件を制御することが考えられる。このような手法として、圧縮機の圧力変化、温度上昇、異音の発生等を検出することによって、サージの発生を検出するものがある。しかし、このような手法は、サージが発生したことを検出してから、圧縮機の運転を制御するものであるため、圧縮機側に何らかのダメージを与えてしまう可能性がある。
このため、従来から、サージが発生する予兆を検出する手法が提案されている(特許文献1〜2)。例えば特許文献2では、圧縮機のケーシング(収容部)内に設置された圧力センサの検出値など、圧縮機の圧縮流路における流体の流動状態を示すパラメータ値の時系列変化を表す波形信号(時系列データ)に基づいて、サージの発生の予兆を検出する。
なお、非特許文献1〜2は、カオス時系列解析に関するものである。
なお、非特許文献1〜2は、カオス時系列解析に関するものである。
山田泰司、"カオスの解析法"、1998年、日本ファジィ学会誌 Vol.10 No.4 pp.827−835、[令和2年1月24日検索]、インターネット<https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfuzzy/10/5/10_KJ00002086753/_pdf>
合原一幸、「カオス時系列解析の基礎と応用」、産業図書、ISBN4−7828−1010−5、2000年11月
圧縮機のサージは、圧縮機の流量の減少によって生じる不安定な流動現象であり、圧縮機単体のみならず、圧縮機の入口および出口の配管を含む管路系全体が関係する。このため、本発明者らは、この管路系全体の不安定さを評価することで、サージの予兆を検出することを考えた。具体的には、管路系における例えば圧力値などの内部圧力に相関を有する状態量を計測し、この状態量の時系列に対してカオス時系列解析することでアトラクタのカオス性を評価したところ、その解析値がサージの発生前に変化することを見出した。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、カオス時系列解析の解析結果に基づいてサージの予兆を検出するサージ予兆検出装置を提供することを目的とする。
本発明の少なくとも一実施形態に係るサージ予兆検出装置は、
羽根車の回転翼を含む翼を収容し、入口配管部から供給される流体を圧縮して出口配管部に排出する収容部を有する圧縮機のサージの予兆を検出するサージ予兆検出装置であって、
前記入口配管部における入口配管位置、前記出口配管部における出口配管位置、および前記入口配管位置と前記出口配管位置との間の中間位置のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データを取得するよう構成された取得部と、
前記時系列データに対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するよう構成された解析部と、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成された検出部と、を備える。
羽根車の回転翼を含む翼を収容し、入口配管部から供給される流体を圧縮して出口配管部に排出する収容部を有する圧縮機のサージの予兆を検出するサージ予兆検出装置であって、
前記入口配管部における入口配管位置、前記出口配管部における出口配管位置、および前記入口配管位置と前記出口配管位置との間の中間位置のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データを取得するよう構成された取得部と、
前記時系列データに対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するよう構成された解析部と、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成された検出部と、を備える。
本発明の少なくとも一実施形態に係るサージ予兆検出方法は、
羽根車の回転翼を含む翼を収容し、入口配管部から供給される流体を圧縮して出口配管部に排出する収容部を有する圧縮機のサージの予兆を検出するサージ予兆検出方法であって、
前記入口配管部における入口配管位置、前記出口配管部における出口配管位置、および前記入口配管位置と前記出口配管位置との間の中間位置のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データを取得するステップと、
前記時系列データに対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するステップと、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値に基づいて、前記サージの予兆を検出するステップと、を備える。
羽根車の回転翼を含む翼を収容し、入口配管部から供給される流体を圧縮して出口配管部に排出する収容部を有する圧縮機のサージの予兆を検出するサージ予兆検出方法であって、
前記入口配管部における入口配管位置、前記出口配管部における出口配管位置、および前記入口配管位置と前記出口配管位置との間の中間位置のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データを取得するステップと、
前記時系列データに対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するステップと、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値に基づいて、前記サージの予兆を検出するステップと、を備える。
本発明の少なくとも一実施形態に係るプログラムは、
羽根車の回転翼を含む翼を収容し、入口配管部から供給される流体を圧縮して出口配管部に排出する収容部を有する圧縮機のサージの予兆を検出するプログラムであって、
コンピュータに、
前記入口配管部における入口配管位置、前記出口配管部における出口配管位置、および前記入口配管位置と前記出口配管位置との間の中間位置のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データを取得するよう構成された取得部と、
前記時系列データに対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するよう構成された解析部と、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成された検出部と、を実現させるためのプログラムである。
羽根車の回転翼を含む翼を収容し、入口配管部から供給される流体を圧縮して出口配管部に排出する収容部を有する圧縮機のサージの予兆を検出するプログラムであって、
コンピュータに、
前記入口配管部における入口配管位置、前記出口配管部における出口配管位置、および前記入口配管位置と前記出口配管位置との間の中間位置のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データを取得するよう構成された取得部と、
前記時系列データに対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するよう構成された解析部と、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成された検出部と、を実現させるためのプログラムである。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、カオス時系列解析の解析結果に基づいてサージの予兆を検出するサージ予兆検出装置が提供される。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るサージ予兆検出装置1の構成を概略的に示す図である。図2〜図4は、本発明の一実施形態に係るセンサ9の設置位置を説明するための図である。
図1に示すサージ予兆検出装置1は、例えば遠心圧縮機や軸流圧縮機などとなる圧縮機8のサージ(サージング。以下同様)の予兆を検出するための装置である。
図1に示すサージ予兆検出装置1は、例えば遠心圧縮機や軸流圧縮機などとなる圧縮機8のサージ(サージング。以下同様)の予兆を検出するための装置である。
(圧縮機8の説明)
上記の圧縮機8について説明すると、圧縮機8は、図2〜図4に示すように、羽根車81と、この羽根車81の回転翼を含む翼81bを収容する収容部82とを有しており、収容部82の内部で羽根車81が回転可能に構成されている。例えば羽根車81は、回転軸86の他端側に結合されたタービンが排ガスなどにより回転されるのに伴って回転されるように構成されても良いし、電動モータによって回転されるように構成されても良い。この収容部82には、2つの配管が接続されており、入口側の配管から供給された例えば空気などの流体を上記の回転する羽根車81によって圧縮して、出口側の配管に排出するように構成される。
上記の圧縮機8について説明すると、圧縮機8は、図2〜図4に示すように、羽根車81と、この羽根車81の回転翼を含む翼81bを収容する収容部82とを有しており、収容部82の内部で羽根車81が回転可能に構成されている。例えば羽根車81は、回転軸86の他端側に結合されたタービンが排ガスなどにより回転されるのに伴って回転されるように構成されても良いし、電動モータによって回転されるように構成されても良い。この収容部82には、2つの配管が接続されており、入口側の配管から供給された例えば空気などの流体を上記の回転する羽根車81によって圧縮して、出口側の配管に排出するように構成される。
(センサ9の設置位置の説明)
また、上記の圧縮機8および上記の2つの配管のうちの少なくとも一か所には、これらによって形成される管路系(内部流路)における状態量を検出するためのセンサ9が設置されている。この状態量は、圧縮機8の内部圧力に相関を有する物理量であり、例えば圧力や、騒音、振動などとなる。具体的には、図2〜図4に示すように、センサ9は、上述した収容部82の内部にある翼81bの前縁LEまたは後縁TE付近や、これらよりも上流側あるいは下流側の任意の位置に設置される。
また、上記の圧縮機8および上記の2つの配管のうちの少なくとも一か所には、これらによって形成される管路系(内部流路)における状態量を検出するためのセンサ9が設置されている。この状態量は、圧縮機8の内部圧力に相関を有する物理量であり、例えば圧力や、騒音、振動などとなる。具体的には、図2〜図4に示すように、センサ9は、上述した収容部82の内部にある翼81bの前縁LEまたは後縁TE付近や、これらよりも上流側あるいは下流側の任意の位置に設置される。
ここで、管路系における上記の収容部82よりも上流側に位置する流路を形成する部分を入口配管部83と呼び、上記の収容部82によりも下流側に位置する流路を形成する部分を出口配管部84と呼ぶ。また、センサ9の設置位置であって、圧縮機8の最も上流側に位置する翼81bの前縁LE付近よりも上流側の任意の位置を入口配管位置Piと呼ぶ。同様に、センサ9の設置位置であって、圧縮機8の最も下流側に位置する翼81bの後縁TE付近よりも下流側の任意の位置を出口配管位置Peと呼ぶ。また、センサ9の設置位置であって、上記の入口配管位置Piと上記の出口配管位置Peとの間の任意の位置を中間位置Pmと呼ぶ。以下この定義に従うが、この定義によれば、上記のセンサ9は、入口配管位置Pi、出口配管位置Peまたは中間位置Pmのうちの少なくとも一か所に設置される。なお、入口配管部83および出口配管部84は、図2〜図4に示されていないさらに上流および下流まで存在する。
より詳細には、図2に示す圧縮機8はターボチャージャのコンプレッサであり、遠心圧縮機の例である。図2に示す実施形態では、羽根車にはフルブレードとスプリッターブレードが設けられているが、最上流の翼81b(回転翼)の前縁LEおよび最下流の翼81bの後縁TEは、フルブレードのものとなる。他方、図3〜図4に示す圧縮機8は軸流圧縮機の例である。軸流圧縮機は、ケーシング(収容部82)と、このケーシング内に設けられた主軸(回転軸86)、およびこの主軸の軸線方向に沿って複数枚が配置された動翼(81b。回転翼)で構成される羽根車81と、主軸の軸線方向において互いに前後する動翼間に配置された静翼(81b)と、を備えている。図3に示す軸流圧縮機はガスタービン圧縮機や軸流ブロワなどであり、図4に示す軸流圧縮機はボイラ用軸流ファンである。そして、いずれも、最上流の翼81bは動翼(回転翼)であり、最下流の翼81bは静翼となっている。
(サージ予兆検出装置1の説明)
そして、サージ予兆検出装置1は、上述したように設置された少なくとも1つのセンサ9による検出値(センサ値x)を例えば周期的など、時間の経過と共に連続的に取得することで得られる時系列データDに基づいて、圧縮機8のサージの予兆を検出する。この時系列データDは、任意に定めた規定期間における状態量の推移を示すデータであり、例えば時刻や取得順序などの情報に関連付けられたセンサ値xの集合を含んで構成されても良いし、検出順に並べられたセンサ値xの集合であっても良い。上記の規定期間は、規定数のセンサ値xが含まれるような期間としても良い。
そして、サージ予兆検出装置1は、上述したように設置された少なくとも1つのセンサ9による検出値(センサ値x)を例えば周期的など、時間の経過と共に連続的に取得することで得られる時系列データDに基づいて、圧縮機8のサージの予兆を検出する。この時系列データDは、任意に定めた規定期間における状態量の推移を示すデータであり、例えば時刻や取得順序などの情報に関連付けられたセンサ値xの集合を含んで構成されても良いし、検出順に並べられたセンサ値xの集合であっても良い。上記の規定期間は、規定数のセンサ値xが含まれるような期間としても良い。
より具体的には、例えば幾つかの実施形態では、図1に示すように、サージ予兆検出装置1はセンサ9に接続されており、圧縮機8の運転中におけるセンサ9の検出値(センサ値x)がリアルタイムに入力されるように構成されても良い。そして、規定期間分のセンサ値xが集まる毎に、次に説明するようにサージの予兆検出のための処理(予兆検出処理)を実行しても良く、最新のセンサ値xを含む時系列データDを対象に検出処理を行うことが可能となる。この際、入力される全てのセンサ値xを処理の対象としなくても良い。例えば、ある規定期間の時系列データDと、その次の規定期間の時系列データDとの間の一定期間分のデータは処理の対象としなくても良い。換言すれば、周期的に時系列データDの取得を行っても良い。これによって、サージ予兆検出装置1の処理性能が比較的劣る場合であっても、常に最新のセンサ値xを含む時系列データDに対して予兆検出処理を実行することができ、リアルタイム性を確保することが可能となる。
以下、サージ予兆検出装置1の詳細について、図1〜図8Bを用いて説明する。
図1に示すように、サージ予兆検出装置1は、取得部2と、解析部3と、検出部4と、を備える。これらの構成について、センサ9が圧力センサであり、センサ値xが圧力の検出値であるものとして説明する。
図1に示すように、サージ予兆検出装置1は、取得部2と、解析部3と、検出部4と、を備える。これらの構成について、センサ9が圧力センサであり、センサ値xが圧力の検出値であるものとして説明する。
なお、サージ予兆検出装置1は、コンピュータで構成されており、CPUなどのプロセッサ11や、ROMやRAMといったメモリなどの記憶装置12を備えている。この記憶装置12は外部記憶装置を含んでも良い。そして、メモリ(主記憶装置)にロードされたプログラム(サージ予兆検出プログラム)の命令に従ってプロセッサ11が動作(データの演算など)することで、サージ予兆検出装置1が備える上記の各機能部を実現する。換言すれば、上記のサージ予兆検出プログラム10は、コンピュータに後述する各機能部を実現させるためのソフトウェアであり、コンピュータによる読み込みが可能な記憶媒体に記憶されても良い。
取得部2は、上述した入口配管位置Pi、出口配管位置Pe、中間位置Pmのうちの少なくとも1つの位置における上述した状態量の時系列データDを取得するよう構成された機能部である。入口配管位置Piは入口配管部83における任意の位置である。出口配管位置Peは出口配管部84における任意の位置である。中間位置Pmは、入口配管位置Piと出口配管位置Peとの間の任意の位置であり、例えば翼81bの前縁LE付近や後縁TE付近など、翼81bの失速現象を捉えるのに適した位置であっても良い。そして、取得部2は、これらの位置の少なくとも一か所に設置されたセンサ9のセンサ値xの時系列を、時系列データDとして取得する。
解析部3は、上述した取得部2によって取得された時系列データDに対して、埋め込み次元数(再構成次元数)を3以上としてカオス時系列解析を実行するよう構成された機能部である。カオス時系列解析は、決定論的カオス理論に基づいて、時系列データDから現象の本質を数理的に記述しようとする解析手法(時系列解析)である。センサ9によって検出された状態量は一次元的な情報であるが、管路系における様々な要素の複合的な結果として決定論的に現れたものと考えられ、管路系における不安定な流動現象をカオス時系列解析によるカオス性で評価する。
より詳細には、カオス時系列解析では、時系列データDからアトラクタA(系の安定な状態を作る集合)を再構成し、再構成されたアトラクタAの特徴量(解析値R。以下同様)を算出する。つまり、この解析の結果としてアトラクタAの特徴量が得られる。
具体的には、埋め込み次元数および時間遅れを定めて、その次元数(座標軸数)を有する時間遅れ座標上にマッピングする。例えば、時系列データDに含まれる各時刻tにおける状態量の値をx(t)、埋め込み次元数を3、時間遅れをTとすれば、x(t)、x(t−T)、x(t−2T)の3次元を有する時間遅れ座標系に時系列データDをマッピングする。これによって、時系列データDの背後にあるアトラクタA上の軌道を再構成することができる。この際、次元数を2以下にすると、アトラクタAの軌道に交点が生じる場合がある。交点が生じることは、同一の状態であるにもかかわらず軌道の向きが異なることなので、解が一意に定まらないことを意味する。よって、本実施形態では、埋め込み次元数を3以上としている。
また、解析部3が求める上記のアトラクタAの特徴量は、例えば最大リアプノフ指数(Maximum Lyapunov Exponent)などのリアプノフ指数、KSエントロピー(Kolmogorov−Sinai Entropy)、あるいは並進誤差量(Translation Error)など、複数種類の特徴量のうちの少なくとも1つであっても良い。なお、リアプノフ指数は、カオスの特徴である軌道不安定性(初期値鋭敏性あるいは予測不能性)を有するかを示す指標であり、少なくとも最大リアプノフ指数が正であれば、軌道不安定性を有することを示す。また、(pesinの定理により)KSエントロピーは正のリアプノフ指数の合計値によって表され、この軌道不安定性の変化をより感度良く捉えることが可能である。
検出部4は、上記の解析部3によるカオス時系列解析によって得られる解析値R(特徴量)に基づいて、サージの予兆を検出するよう構成された機能部である。より詳細には、検出部4は、圧縮機8の運転条件の変化に伴って生じる解析値Rの変化量に基づいて、サージの予兆を検出するよう構成されても良い。例えば圧縮機8の運転条件は、圧縮機8の圧力比Pと、入口配管部83から収容部82に流入する流体の流量とで規定しても良い。あるいは、上記の運転条件は、取得時の運転条件に応じて定まるサージ発生流量Qsに対する収容部82への流体の流入量(実流量Q)の流量比Qr(Q/Qs)で規定しても良い(後述の図5A〜図7B参照)。
また、上記のサージの予兆は、プレサージの予兆を含んでも良い。プレサージは、サージと同様の現象であるものの、圧縮機8の運転を継続可能である運転状態である。より具体的には、プレサージは、流量が減少するものの、圧縮機8から排出された圧縮流体の逆流までは生じていないような状態である。プレサージは、サージの発生前に起こり得るものであり、サージの予兆の一種である。なお、運転条件によってはプレサージなしにサージが発生することもあり、特に高速側の回転数N(回転速度)で見受けられている。また、例えば、上記の解析値Rは、上述したアトラクタAの特徴量の少なくとも1つを含んで良いし、上記以外のカオス性の評価が可能な他の特徴量などの指標を含んでも良い。
上述したようにサージ予兆検出装置1を構成したのは、本発明者らが、鋭意研究により、カオス時系列解析によって得られる解析値Rが、運転条件によってはプレサージを含むサージ(以下、適宜、単にサージ)の発生前に変化することを見出したことによる。この新たな知見によれば、上記の解析値を圧縮機8の運転中に監視することで、サージの予兆や、プレサージの予兆を検出することが可能となる。
この点について、図5A〜図7Bを用いて説明する。
図5A〜図5Bは、本発明の一実施形態に係る入口配管位置Piでの圧力値の時系列データDから得られた解析値Rと流量比Qrとの関係を示す図である。図6A〜図6Bは、本発明の一実施形態に係る中間位置Pm(翼近傍)での圧力値の時系列データDから得られた解析値Rと流量比Qrとの関係を示す図である。図7A〜図7Bは、本発明の一実施形態に係る出口配管位置Peでの圧力値の時系列データDから得られた解析値Rと流量比Qrとの関係を示す図である。図5A、図6Aおよび図7Aの解析値Rは最大リアプノフ指数である。また、図5B、図6Bおよび図7Bの解析値Rは並進誤差量である。
図5A〜図5Bは、本発明の一実施形態に係る入口配管位置Piでの圧力値の時系列データDから得られた解析値Rと流量比Qrとの関係を示す図である。図6A〜図6Bは、本発明の一実施形態に係る中間位置Pm(翼近傍)での圧力値の時系列データDから得られた解析値Rと流量比Qrとの関係を示す図である。図7A〜図7Bは、本発明の一実施形態に係る出口配管位置Peでの圧力値の時系列データDから得られた解析値Rと流量比Qrとの関係を示す図である。図5A、図6Aおよび図7Aの解析値Rは最大リアプノフ指数である。また、図5B、図6Bおよび図7Bの解析値Rは並進誤差量である。
図5A〜図7Bに示すグラフの横軸は流量(Flow Rate)である。より具体的には、横軸は、上述した流量比Qr(Q/Qs)である。なお、サージ発生流量Qsは、サージ領域Fsと、サージ領域Fsではない正常の運転領域との境界(サージライン)の流量である。実流量Qは、例えば入口側の配管に設置された流量を測定可能な流量センサ92によって計測することで得られる。縦軸は、状態量(ここでは圧力)の時系列データDのカオス時系列解析によって得られる上記の解析値R(以下、単に解析値R)である。
具体的には、解析値Rは、図5A、図6A、図7Aは最大リアプノフ指数であり、図5B、図6B、図7Bは並進誤差量である。いずれの時系列データDも、概ね同じ低速側の回転数Nでのセンサ値xで構成されている。この低速(低回転)側の回転数Nは、例えばBパラメータが第1規定値よりも小さい場合としても良く、後述の高速(高回転)側という場合は第2規定値(第1規定値≦第2規定値)よりも大きい場合としても良い。なお、回転数Nを、インペラ外径部における回転周速(あるいはマッハ数)によって区別しても良い。
また、図5A〜図7Bに示す線は、解析値Rの算出値の傾向を示す。この傾向は、解析値Rの算出値に対して例えば最小二乗法などの周知な手法で求めたものである。図5A〜図7Bの例では、プレサージ領域Fpが観測されている場合であるが、図示されたサージ領域Fsや、プレサージ領域Fpは観測に基づいて示したものである。
また、図5A〜図7Bに示す線は、解析値Rの算出値の傾向を示す。この傾向は、解析値Rの算出値に対して例えば最小二乗法などの周知な手法で求めたものである。図5A〜図7Bの例では、プレサージ領域Fpが観測されている場合であるが、図示されたサージ領域Fsや、プレサージ領域Fpは観測に基づいて示したものである。
図5A〜図7Bに示すように、この低速側の回転数Nにおいては、最大リアプノフ指数および並進誤差量のいずれにおいても、流量比Qrがサージ(100%)に近づく(紙面の右側に向かう)に従って、サージ領域Fsに突入する前に傾向が変化(増加あるいあは減少)している。なお、KSエントロピーについては、最大リアプノフ指数と同様の傾向であり、省略する。
具体的には、図5Aの例示では、最大リアプノフ指数は、上記の入口配管位置Piに設置されたセンサ9(出口センサ)の複数の検出値で構成される時系列データD(以下、入口時系列データDi)に対する解析結果であるが、プレサージ領域Fpよりも流量比Qrが大きい側(紙面の左側)では概ね一定の傾向である。しかし、プレサージ領域Fpを超えた後からサージ領域Fsまでの間で減少傾向に転じている。これと同様な傾向は、図5Bで示すように、同一の時系列データDから得られた並進誤差量にも当てはまるが、プレサージ領域Fpを超えた後からサージ領域Fsまでの間は、図5Aとは逆の増加傾向に転じている点で異なっている。
図6Aの例示では、最大リアプノフ指数は、上記の中間位置Pmに設置されたセンサ9(翼近傍センサ)の複数の検出値で構成される時系列データD(以下、翼近傍時系列データDm)に対する解析結果であるが、プレサージ領域Fpよりも流量比Qrが大きい側(紙面の左側)では概ね一定の傾向である。しかし、プレサージ領域Fpからサージ領域Fsまでの間で、単調といえるような増加傾向に転じている。これと同様な傾向は、図6Bで示すように、同一の時系列データDから得られた並進誤差量にも当てはまる。
図7Aの例示では、最大リアプノフ指数は、上記の出口配管位置Peに設置されたセンサ9(出口センサ)の複数の検出値で構成される時系列データD(以下、出口時系列データDe)に対する解析結果であるが、プレサージ領域Fpの直前で概ね一定のところから増加傾向(丸破線の箇所)に転じると共に、プレサージ領域Fpを超えた後からサージ領域Fsまでの間で減少傾向に転じている。これと同様な傾向は、図7Bで示すように、同一の時系列データDから得られた並進誤差量にも当てはまるが、プレサージ領域Fpを超えた後からサージ領域Fsまでの間は、図7Aとは逆の増加傾向(丸破線の箇所)に転じている点で異なっている。
そして、上記の図5A〜図7Bは、既に述べたように圧縮機8が低速側のある回転数Nで運転されている際に得られた各種の時系列データDに基づくものであるが、本発明者らは、この低速側の回転数Nよりも高い高速側の回転数Nと、この低速側の回転数Nと高速側の回転数Nとの中間の回転数Nとの両方でそれぞれ圧縮機8が運転されている場合も同様に確認している。この高速側と中間の回転数Nでの図については省略するが、これらの結果を表にまとめたのが図8A〜図8Bである。
図8A〜図8Bは、本発明の一実施形態に係るサージの予兆を示す解析値の変化傾向をセンサ9の設置位置に応じて示した図である。解析値Rは、図8Aでは最大リアプノフ指数あるいはKSエントロピー(以下、最大リアプノフ指数等)であり、図8Bでは並進誤差量である。なお、上記の中間の回転数Nは、高速側や低速側との判別が難しい回転数Nであり、ちょうど中間の回転数Nの結果は、図5A〜図7B(低速側)と同様の結果であったため、図8A〜図8Bでは省略している。
この結果、図8A〜図8Bに示すように、圧縮機8の回転数Nが低速側におけるサージ(低速側サージ)の予兆は、入口配管位置Pi、中間位置Pm、出口配管位置Peの各々で得られる時系列データDに基づく上記の解析値Rが、流量比Qrが小さくなる(100%に近づく)に従って変化することを検出することで、捉えることが可能である。具体的には、入口時系列データDiに基づく最大リアプノフ指数等の減少、あるいは、並進誤差量の増加を検出する。翼近傍時系列データDmに基づく最大リアプノフ指数等および並進誤差量の増加を検出する。出口時系列データDeに基づく最大リアプノフ指数等の減少、あるいは、並進誤差量の増加を検出する。この検出によって低速側サージの検出が可能である。
また、低速側ではプレサージが観測されており、出口時系列データDeに基づく上記の解析値Rのみが、プレサージ領域Fpに突入する前に、流量比Qrが小さくなるに従って増加傾向に変わる。よって、低速側のプレサージの予兆は、出口時系列データDeに基づく上記の解析値Rが、流量比Qrが小さくなるに従って増加することを検出することで、捉えることが可能である。
他方、圧縮機8の回転数Nが高速側におけるサージ(高速側サージ)の予兆は、入口時系列データDiまたは出口時系列データDeに基づく上記の解析値Rが、流量比Qrが小さくなるに従って変化することを検出することで、捉えることが可能である。具体的には、入口時系列データDiに基づく最大リアプノフ指数等または並進誤差量の減少を検出する。出口時系列データDeに基づく最大リアプノフ指数等または並進誤差量の増加を検出する。この検出によって高速側サージの検出が可能である。
以上のような結果(図8A〜図8B)に基づいて、検出部4は、サージの予兆を検出する。具体的には、幾つかの実施形態では、検出部4は、上述した入口時系列データDi、翼近傍時系列データDmおよび出口時系列データDeのいずれかの時系列データDに対するカオス時系列解析によって得られる、少なくとも1種類の上記の解析値Rの変化量が、運転条件の変化に伴って、上記の解析値Rの種類に応じて定められた閾値Lを超えて変化している場合をサージの予兆として検出するよう構成されても良い。これによって、サージの予兆を精度良く検出することが可能となる。
例えば上記の運転条件の変化は、実流量Qの変化で監視しても良いし、流量比Qrの変化で監視しても良い。後者の場合には、予兆検知の対象の圧縮機8のコンプレッサマップMを記憶装置12などに記憶しておき、このコンプレッサマップMに基づいて実流量Qと圧力比P(測定値)とに対応するサージ発生流量Qsとを得ても良い。サージラインは経年変化により移動する可能性があるが、この移動が生じても、上記の解析値Rの傾向変化は捉えることが可能である。他の幾つかの実施形態では、実流量Qの変化であっても良い。
上記の閾値は、上述したようにサージの予兆が圧縮機8の回転数に依存性がある場合には、解析値Rの種類および回転数Nに応じて定めても良い。この場合、閾値Lと、解析値Rの種類と、圧縮機8の回転数Nとの関係が定められた関数あるいはマップなどの閾値情報を予め用意しておき、この閾値情報Bに基づいて閾値Lを算出するようにしても良い。
また、例えば複数種類の解析値Rを監視する場合には、サージの予兆ありと判定するのは、そのうちの1種類の解析値Rが閾値Lを超えた場合であっても良いし、2以上の解析値Rが各々の閾値Lを超えた場合など複数の検出条件が全て満たされた場合であっても良い。また、上記の閾値Lは、上述したようにサージの予兆が圧縮機8の回転数Nに依存性がある場合には、解析値Rの種類および回転数Nに応じて定めても良い(後述)。
そして、検出部4は、幾つかの実施形態では、上記の解析値Rの変化量の絶対値が上記の閾値Lを超えている場合にサージの予兆があると判定しても良い。あるいは、他の幾つかの実施形態では、次に説明するように、解析値Rの変化の方向を検出条件に加えても良い。
すなわち、幾つかの実施形態では、検出部4は、出口時系列データDeに基づいて得られる解析値Rについては、図8A〜図8Bに従って、リアプノフ指数等については、羽根車81の回転数Nの高速側において流量比Qrの減少に伴って出口部閾値Leを超えて増加している場合、または、回転数Nの低速側において流量比Qrの減少に伴って出口部閾値Leを超えて変化(低速側サージは減少、低速側プレサージは増加)している場合をサージの予兆として検出するよう構成されても良い。並進誤差量については、流量比Qrの減少に伴って出口部閾値Leを超えて増加している場合をサージの予兆として検出するよう構成されても良い。
同様に、幾つかの実施形態では、検出部4は、入口時系列データDiに基づいて得られる解析値Rについては、リアプノフ指数等については、流量比Qrの減少に伴って入口部閾値Liを超えて減少している場合をサージの予兆として検出するよう構成されても良い。並進誤差量については、羽根車81の回転数Nの高速側において流量比Qrの減少に伴って入口部閾値Liを超えて減少している場合、または、回転数Nの低速側において流量比Qrの減少に伴って入口部閾値Liを超えて増加している場合をサージの予兆として検出するよう構成されても良い。
また、幾つかの実施形態では、検出部4は、翼近傍時系列データDmに基づいて得られる解析値Rについては、リアプノフ指数等および並進誤差量については、回転数Nの低速側において流量比Qrの減少に伴って近傍部閾値Lmを超えて増加している場合をサージの予兆として検出しても良い。
なお、上記の出口部閾値Le、入口部閾値Liおよび近傍部閾値Lmは、それぞれ、解析値Rの種類、回転数N、サージまたはプレサージに応じて適切に定める。
なお、上記の出口部閾値Le、入口部閾値Liおよび近傍部閾値Lmは、それぞれ、解析値Rの種類、回転数N、サージまたはプレサージに応じて適切に定める。
図1に示す実施形態について説明すると、センサ9が検出したセンサ値xは、この検出の際に実流量Qを計測可能な流量センサ92の計測値、および圧力比Pの計測が可能な圧力比センサ93の計測値と共にサージ予兆検出装置1に入力されるようになっている。そして、サージ予兆検出装置1は、これらのセンサ値x、実流量Qおよび圧力比Pを関連付けて記憶装置12の所定の記憶領域に格納するようになっている。そして、上述した取得部2は、記憶装置12の上記の記憶領域から時系列データDを取得するようになっている。また、取得部2は、上述した解析部3に接続されており、時系列データDが得られると、解析部3に入力するようになっている。
解析部3は、時系列データDが入力されると、入力された時系列データDに対してカオス時系列解析を実行し、検出部4に入力するようになっている。検出部4は、解析部3および取得部2にそれぞれ接続されており、カオス時系列解析により得られた解析値R、および、この解析値Rが得られた時系列データDに関連付けられた実流量Qおよび圧力比Pが入力されるようになっている。なお、時系列データDに関連付けられた実流量Qおよび圧力比Pは、対応する時系列データDの間で得られた複数の計測値の例えば平均などの統計値であっても良い。
そして、検出部4は、コンプレッサマップMに基づいて、実流量Qおよび圧力比Pに対応するサージ発生流量Qsを取得することで、上記の流量比Qrを算出し、解析値Rと流量比Qrとを関連付けて蓄積する。1つの時系列データDを処理する度にこの解析値Rおよび流量比Qrが得られるので、複数の時系列データDを処理することで、上述した解析値Rの変化量が求まる。よって、検出部4は、求めた解析値Rの変化量と閾値Lとを比較することで、サージの予兆を検出するようになっている。
ただし、上述した実施形態に本発明は限定されない。他の幾つかの実施形態では、検出部4は、上記の各種の時系列データDに対するカオス時系列解析によって得られる上記の解析値Rの大きさが、運転条件の変化に伴って上記の閾値を超えた場合をサージの予兆として検出しても良い。
上記の構成によれば、例えば圧力、騒音、振動などの圧縮機の内部圧力に相関を有する状態量の時系列データDに対してカオス時系列解析(埋め込み次元数は3以上)を実行すると共に、これにより得られる例えば最大リアプノフ指数、KSエントロピー、または並進誤差量などの解析値Rに基づいて、圧縮機8のサージの予兆を検出する。これによって、圧縮機8のプレサージの予兆やサージの予兆を適切に検出することができる。
上述した実施形態において幾つかの実施形態では、図1に示すように、サージ予兆検出装置1は、サージの予兆が検出された場合に、サージの発生を防止するための抑制制御を実行するよう構成された抑制部5を、さらに備えても良い。この抑制制御は、周知な手法で良く、例えば圧縮機8の吐出力を下げることや、あるいは、圧縮機8の通過流量を増やすための制御であっても良い。具体的には、圧縮機8の入口と出口を接続するバイパス菅(不図示)に設置されたバイパス弁(不図示)を閉弁状態から開弁状態にすることで、出口側から入口側へ流体を戻しても良い。あるいは、圧縮機8の出口側などに設置された放風弁8vを閉弁状態から開弁状態にすることで外部に流体を放出しても良い。
図1に示す実施形態では、抑制部5は放風弁8vを制御可能に構成されている。具体的には、放風弁8vの開度を制御可能な制御装置に対して指令を送ることが可能に構成されることで、放風弁8vを制御しても良い。そして、サージの予兆が検出されると、例えばスピーカやディスプレイなどの音や画面表示によりアラームを出力することが可能な報知装置6(出力装置)にその旨を出力することでオペレータなどに報知すると共に、上記の抑制制御を実行するようになっている。なお、他の幾つかの実施形態では、抑制部5は、アラームを出力することなく、抑制制御を実行しても良い。
上記の構成によれば、サージの予兆が検知された場合には、サージが発生しないように、圧縮機8の吐出力を上げる、あるいは、通過流量を増やすなどして、サージの発生の回避動作を行う。これによって、サージが発生するのを回避することができる。
次に、上述したセンサ9の設置位置に関する幾つかの実施形態について説明する。
上述したように、カオス時系列解析の解析値Rを用いてサージの予兆検出を行うのに必要なセンサ9の設置位置は、翼近傍に限定されず、入口配管位置Pi、出口配管位置Peまたは中間位置Pmのいずれかで良い。つまり、本発明者らは、センサ9の設置位置は、出口配管位置Peまたは入口配管位置Piでも可能なことを新たな知見として見出している(図8A〜図8B参照)。
上述したように、カオス時系列解析の解析値Rを用いてサージの予兆検出を行うのに必要なセンサ9の設置位置は、翼近傍に限定されず、入口配管位置Pi、出口配管位置Peまたは中間位置Pmのいずれかで良い。つまり、本発明者らは、センサ9の設置位置は、出口配管位置Peまたは入口配管位置Piでも可能なことを新たな知見として見出している(図8A〜図8B参照)。
これに関しては、例えばカオス時系列解析を、翼近傍などの失速が捉えられるような位置での時系列データDに対して行うと、その解析値Rは失速による不安定性を主に捉えるものと考えられる。しかし、圧縮機8のサージの発生は上述の通り管路系全体が関連する。このため、本発明者らは、むしろ翼近傍よりもその下流側や上流側で得られる状態量の変動波形(時系列データD)でサージを評価することで、サージの予兆が検出し易いと考えたことによる。
より詳細には、図2〜図4に示すように、幾つかの実施形態では、上述した出口配管位置Peや入口配管位置Piは、翼81bの通過に伴う状態量の変動や、翼81bに発生する失速周波数の影響が検出されにくい領域(影響しにくい領域)である。他方、上述した中間位置Pmは、翼81bの通過に伴う状態量の変動や、翼81bに発生する失速周波数が明確に捉えられる領域である。
具体的には、図2〜図4に示すように、出口配管位置Peは、出口配管部84における、翼81bの後縁TEから羽根車81の出口高さHe以上下流側へ離れた任意の位置であっても良い。この出口高さHeは図示の流路の幅となる。より具体的には、幾つかの実施形態では、出口配管位置Peは、出口高さHeの3倍(3×He)以上下流側に離れた任意の位置であっても良い。他の幾つかの実施形態では、出口配管位置Peは、ディフューザ出口Pdよりも下流側にある任意の位置であっても良い。また、遠心圧縮機の場合(図2)には、幾つかの実施形態では、スクロール舌部Ptよりも下流側にある任意の位置であっても良い。この領域は、圧縮機8の作動点変化によるスクロール内の周方向静圧変化が検知されにくい領域(影響しにくい領域)である。
また、上記の入口配管位置Piは、入口配管部83における、翼81bの前縁LEから羽根車81の入口高さHi以上上流側へ離れた任意の位置であっても良い。この入口高さHiは図示の流路の幅となる。より具体的には、幾つかの実施形態では、出口配管位置Peは、入口高さHiの3倍(3×Hi)以上上流側に離れた任意の位置であっても良い。
他方、上記の中間位置Pmは、出口配管位置Peと入口配管位置Piとの間の位置であっても良い。図2〜図4に示す実施形態では、中間位置Pmは、翼81bの後縁TEから羽根車81の出口高さHeだけ下流側へ離れた位置と、翼81bの前縁LEから羽根車81の入口高さHiだけ上流側へ離れた位置との間となっている。これによって、サージの予兆を適切に検出することが可能となる。
上記の構成によれば、サージの予兆の検出を、翼81bの近傍にセンサ9を設置することなく行うことができる。つまり、時系列データDを得るために設置するセンサ9の設置位置(計測位置)を、翼81bの近傍などの中間位置Pmではなく、入口配管位置Piや出口配管位置Peにすることができる。よって、センサ9の設置位置に関する自由度を増大し、圧力などの態量の計測の容易性を大幅に向上させることができる。
次に、上述した検出部4に関する幾つかの実施形態について説明する。
図8A〜図8Bに示すように、サージの予兆として検出可能な、運転条件の変化に伴う解析値Rの変化(以下、単に、解析値Rの変化)は、圧縮機8の回転数Nに応じて逆傾向となる場合がある。例えば図8Aに破線で示すように、出口時系列データDeに基づく解析値Rの変化については、低速側サージの予兆の検出条件は減少である一方で、高速側サージの予兆の検出条件は増加である。また、図8Bに破線で示すように、入口時系列データDiに基づく解析値Rの変化については、低速側サージの予兆の検出条件は増加である一方で、高速側サージの予兆の検出条件は減少ある。
図8A〜図8Bに示すように、サージの予兆として検出可能な、運転条件の変化に伴う解析値Rの変化(以下、単に、解析値Rの変化)は、圧縮機8の回転数Nに応じて逆傾向となる場合がある。例えば図8Aに破線で示すように、出口時系列データDeに基づく解析値Rの変化については、低速側サージの予兆の検出条件は減少である一方で、高速側サージの予兆の検出条件は増加である。また、図8Bに破線で示すように、入口時系列データDiに基づく解析値Rの変化については、低速側サージの予兆の検出条件は増加である一方で、高速側サージの予兆の検出条件は減少ある。
このため、幾つかの実施形態では、検出部4は、解析値R、および羽根車81の回転数Nに基づいて、サージの予兆を検出するよう構成されても良い。図1に示す実施形態ではサージ予兆検出装置1は、圧縮機8の回転数Nを検出可能な回転数センサ94の検出値が入力されるようになっている。また、記憶装置12には、上述した閾値情報Bが記憶されている。そして、検出部4には、取得部2から回転数Nの計測値が入力されるようになっており、解析値Rが入力されると、上記の閾値情報Bを参照することで、解析値Rの種類および回転数Nの値に応じた閾値Lを取得すると共に、解析値Rと取得した閾値Lとに基づいて、サージの予兆を検出するようになっている。
上記の構成によれば、羽根車81の回転数Nを考慮して、サージの予兆の検出を実行する。本発明者らは、鋭意研究により、羽根車81の回転数Nに応じて解析値Rの挙動が変化することを見出した。例えば、羽根車81の回転数Nに応じて、運転条件の変化に応じた解析値Rの変化傾向が逆転する場合があり(図8A〜図8B参照)、また、閾値Lの適切な値についても適応的に調整する必要がある場合があり得る。よって、羽根車81の回転数Nを考慮することで、サージの予兆の検出精度を向上させることができる。
ただし、本実施形態に本発明は限定されない。センサ9の設置位置や解析値Rの種類によっては、サージの予兆時の解析値Rの変化の傾向が回転数に依存しない場合がある(図8A〜図8B参照)。また、閾値の値についても、回転数によらずに一律に規定できる場合もあり得る。よって、他の幾つかの実施形態では、サージ予兆検出装置1は、回転数Nを考慮することなく、サージの予兆を検出するように構成されていても良い。
また、幾つかの実施形態では、検出部4は、上述した出口時系列データDe、入口時系列データDi、および翼近傍時系列データDmのうちの少なくとも2種類の時系列データDの各々に対するカオス時系列解析によって得られる複数の解析値Rに基づいて、サージの予兆を検出するように構成されても良い。上記の少なくとも2種類の時系列データDは、それぞれ、圧縮機8に設置された複数のセンサ9によって互いに同時期に得られたものである。
例えば、図8A〜図8Bに示すように、低速側サージの予兆の検出条件は、入口時系列データDiに基づく最大リアプノフ指数等については減少であり(図8A)、並進誤差量については増加であるが(図8B)、検出部4は、これらの両方を検出した時のみに、サージの予兆が有ると判定しても良い。同様に、出口時系列データDeに基づく最大リアプノフ指数等については減少であり、並進誤差量については増加であり、傾向が逆転しているため、その両方を検出した時のみに、サージの予兆が有りと判定しても良い。
これによって、実際にはサージの予兆が生じていない場合において、複数の条件のうちの1つが何らかの理由に満たされることによって予兆有りと判定しまうような誤検出の発生を防止することができ、サージの予兆の検出の信頼性を高めることが可能となる。
上記の構成によれば、出口配管位置Pe、入口配管位置Piまたは中間位置Pmの各々から同時期に得られる少なくとも2種類の時系列データDに対してそれぞれカオス時系列解析を実行し、こうして得られた複数の解析値Rに基づいて、サージの予兆を検出する。これによって、サージの予兆の検出の信頼性を高めることができる。
また、幾つかの実施形態では、上述した検出部4は、サージの予兆を検出した際に、複数の解析値Rに基づいて、検出されたサージの予兆がプレサージの予兆または発生であるかを判別するよう構成されていても良い。現実的には、サージが発生すると、例えば放風弁8vを全開にするなどの対処が必要であり、圧縮機8の効率が大幅に低下する。その一方で、プレサージは、圧縮機8の運転が可能であり、そのまま運転を継続することや、放風弁8vを全開よりも小さい開度に開放するといった対処で脱することが可能である。よって、検出したのがプレサージの予兆であるか否かを判定し、その判定結果に応じた対処を行うようにすることで、運転効率の低下を抑制することが可能である。
図8Aの例では、出口時系列データDeに基づく最大リアプノフ指数等については、低速側プレサージの予兆の検出条件は増加であり、プレサージではない真のサージの予兆の検出条件は減少であるが、入口時系列データDiおよび翼近傍時系列データDmに基づく最大リアプノフ指数等の傾向の変化は見られない。よって、最大リアプノフ指数等が出口時系列データDeのもので増加し、かつ、入口時系列データDiまたは翼近傍時系列データDmで増加および減少以外(以下、変化なし)である場合には、検出したサージの予兆が、プレサージの予兆であると判定しても良い。
他方、図8Bでは、出口時系列データDeに基づく並進誤差量については、低速側プレサージの予兆の検出条件は増加であり、真のサージの予兆の検出条件も増加である。このため、検出した予兆が、低速側プレサージのものが真のサージのものかの判別はこのままでは難しい。しかし、低速側プレサージの予兆の場合には入口時系列データDiおよび翼近傍時系列データDmに基づく並進誤差量の傾向の変化は見られず、真のサージの予兆の場合にはその変化がみられる。よって、並進誤差量が出口時系列データDeのもので増加し、かつ、入口時系列データDiまたは翼近傍時系列データDmで変化なしの場合には、検出したサージの予兆が、プレサージの予兆であると判定しても良い。
なお、上記の2つの例を組み合わせても良い。例えば、出口時系列データDeに基づく最大リアプノフ指数等の増加と、入口時系列データDiまたは翼近傍時系列データDmに基づく並進誤差量で変化なしの場合に、プレサージの予兆と判定しても良い。出口時系列データDeに基づく並進誤差量の増加と、入口時系列データDiまたは翼近傍時系列データDmに基づく最大リアプノフ指数等で変化なしの場合に、プレサージの予兆と判定しても良い。
上記の構成によれば、出口配管位置Pe、入口配管位置Piまたは中間位置Pmの各々から同時期に得られる少なくとも2種類の時系列データDに対してそれぞれカオス時系列解析を実行し、こうして得られた複数の解析値Rに基づいて、検出したサージの予兆がプレサージの予兆または発生かを判別する。これによって、プレサージの予兆または発生を検出することができる。
次に、上述したサージ予兆検出装置の処理に対応するサージ予兆検出方法を、図9を用いて説明する。図9は、本発明の一実施形態に係るサージ予兆検出方法を示す図である。
サージ予兆検出方法は、圧縮機8のサージの予兆を検出するための方法である。図9に示すように、サージ予兆検出方法は、取得ステップと、解析ステップと、検知ステップと、を備える。この方法を、図9に示すフローに従って説明する。
サージ予兆検出方法は、圧縮機8のサージの予兆を検出するための方法である。図9に示すように、サージ予兆検出方法は、取得ステップと、解析ステップと、検知ステップと、を備える。この方法を、図9に示すフローに従って説明する。
ステップS1において、取得ステップを実行する。取得ステップは、上述した入口時系列データDi、出口時系列データDeおよび翼近傍時系列データDmのうちの少なくとも1つの位置における上述した時系列データDを取得するステップである。この取得ステップは、既に説明した取得部2が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
ステップS2において、解析ステップを実行する。解析ステップは、上記の取得ステップによって取得された時系列データDに対して、埋め込み次元数(再構成次元数)を3以上としてカオス時系列解析を実行するステップである。この解析ステップは、既に説明した解析部3が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
ステップS3において、検出ステップを実行する。検出ステップは、上記の解析ステップによるカオス時系列解析によって得られる上述した解析値Rに基づいて、サージの予兆を検出するステップである。この検出ステップは、既に説明した検出部4が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
幾つかの実施形態では、図9に示すように、サージ予兆検出方法は、上記の検出ステップ(S3)は、サージの予兆を検出した際に、複数の解析値Rに基づいて、検出されたサージの予兆がプレサージの予兆または発生であるかを判別する判別ステップ(S4)を有しても良い。
また、幾つかの実施形態では、図9に示すように、サージ予兆検出方法は、サージの予兆が検出された場合に、既に説明した抑制制御を実行する抑制ステップ(S5)を、さらに備えても良い。この抑制ステップは、既に説明した抑制部5が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
図9に示す実施形態では、ステップS3においてサージの予兆が検出されない場合には、フローを終了するようになっている。逆に、ステップS3においてサージの予兆が検出された場合にはステップS4に進み、サージの予兆が検出された旨の警報を行うと共に、サージの予兆がプレサージの予兆であるか否かを判別するようになっている(判別ステップ)。そして、この判別結果に基づいて、サージを抑制するための抑制ステップ(S5)を実行するようになっている。
具外的には、本実施形態では、プレサージの予兆ではない場合には、真のサージの予兆であるため、ステップS5aにおいて放風弁8vの開度を例えば全開などの第1開度にするようになっている。逆に、プレサージの予兆と判定された場合には、ステップS5bにおいて、放風弁8vの開度を上記の第1開度よりも小さい(閉弁側)の第2開度にするようになっている。
なお、上記のステップS4では、警報の実行はしなくても良い。また、警報のタイミングは、予兆の種類の判別の前後のいずれであっても良い。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るサージ予兆検出装置(1)は、
羽根車(81)の回転翼(81b)を含む翼(81b)を収容し、入口配管部(83)から供給される流体を圧縮して出口配管部(84)に排出する収容部(82)を有する圧縮機(8)のサージの予兆を検出するサージ予兆検出装置(1)であって、
前記入口配管部(83)における入口配管位置(Pi)、前記出口配管部(84)における出口配管位置(Pe)、および前記入口配管位置(Pi)と前記出口配管位置(Pe)との間の中間位置(Pm)のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データ(D)を取得するよう構成された取得部(2)と、
前記時系列データ(D)に対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するよう構成された解析部(3)と、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値(R)に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成された検出部(4)と、を備える。
羽根車(81)の回転翼(81b)を含む翼(81b)を収容し、入口配管部(83)から供給される流体を圧縮して出口配管部(84)に排出する収容部(82)を有する圧縮機(8)のサージの予兆を検出するサージ予兆検出装置(1)であって、
前記入口配管部(83)における入口配管位置(Pi)、前記出口配管部(84)における出口配管位置(Pe)、および前記入口配管位置(Pi)と前記出口配管位置(Pe)との間の中間位置(Pm)のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データ(D)を取得するよう構成された取得部(2)と、
前記時系列データ(D)に対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するよう構成された解析部(3)と、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値(R)に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成された検出部(4)と、を備える。
上記(1)の構成によれば、例えば圧力、騒音、振動などの圧縮機(8)の内部圧力に相関を有する状態量の時系列データ(D)に対してカオス時系列解析(埋め込み次元数は3以上)を実行すると共に、これにより得られる例えばリアプノフ指数、KSエントロピー、または並進誤差量などの解析値(R)に基づいて、圧縮機(8)のサージの予兆を検出する。これによって、圧縮機(8)のプレサージの予兆やサージの予兆を適切に検出することができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記検出部(4)は、前記解析値(R)、および前記羽根車(81)の回転数(N)に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成されている。
前記検出部(4)は、前記解析値(R)、および前記羽根車(81)の回転数(N)に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成されている。
上記(2)の構成によれば、羽根車(81)の回転数(N)を考慮して、サージの予兆の検出を実行する。本発明者らは、鋭意研究により、羽根車(81)の回転数(N)に応じて解析値(R)の挙動が変化することを見出した(例えば図8A〜図8B参照)。よって、羽根車(81)の回転数(N)を考慮することで、サージの予兆の検出精度を向上させることができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(2)の構成において、
前記検出部(4)は、前記圧縮機(8)の運転条件の変化に伴って生じる前記解析値(R)の変化量に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成されている。
前記検出部(4)は、前記圧縮機(8)の運転条件の変化に伴って生じる前記解析値(R)の変化量に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成されている。
上記(3)の構成によれば、圧縮機(8)の運転条件の変化に伴って生じる上記の解析値(R)の変化量に基づいて、サージの予兆の検出を実行する。これによって、サージの予兆の検出精度を向上させることができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記出口配管位置(Pe)は、前記出口配管部(84)における、前記翼(81b)の後縁(TE)から前記羽根車(81)の出口高さ以上下流側へ離れた位置であり、
前記時系列データ(D)は、前記出口配管位置(Pe)に設置された出口センサ(9)の検出値で構成される出口時系列データ(De)を含む。
前記出口配管位置(Pe)は、前記出口配管部(84)における、前記翼(81b)の後縁(TE)から前記羽根車(81)の出口高さ以上下流側へ離れた位置であり、
前記時系列データ(D)は、前記出口配管位置(Pe)に設置された出口センサ(9)の検出値で構成される出口時系列データ(De)を含む。
上記(4)の構成によれば、サージの予兆の検出は、羽根車(81)の翼(81b)の後縁(TE)から下流側へ、羽根車(81)の出口高さ以上離れた位置に設置されたセンサ(9)(出口センサ(9))により得られる時系列データ(D)を用いて行う。これによって、サージの予兆の検出を、翼(81b)の近傍にセンサ(9)を設置することなく行うことができる。つまり、時系列データ(D)を得るために設置するセンサ(9)の設置位置(計測位置)を、翼(81b)の近傍などの中間位置(Pm)ではなく、出口配管位置(Pe)にすることができる。よって、センサ(9)の設置位置に関する自由度を増大することができ、上記の状態量の計測の容易性を大幅に向上させることができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記検出部(4)は、前記出口時系列データ(De)に対する前記解析部(3)による解析によって得られる前記解析値(R)の変化量が、前記運転条件の変化に伴って、前記解析値(R)の種類に応じて定められた出口部閾値(Le)を超えて変化している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている。
前記検出部(4)は、前記出口時系列データ(De)に対する前記解析部(3)による解析によって得られる前記解析値(R)の変化量が、前記運転条件の変化に伴って、前記解析値(R)の種類に応じて定められた出口部閾値(Le)を超えて変化している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている。
上記(5)の構成によれば、運転条件の変化に伴う解析値(R)の変化量の閾値(L)が、例えばリアプノフ指数、KSエントロピー、並進誤差量などの解析値(R)の種類に応じて定められており、上記の解析値(R)の変化量が閾値(L)(出口部閾値(Le))を超えて変化している場合をサージの予兆として検出する。これによって、サージの予兆を精度良く検出することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記解析値(R)は、前記カオス時系列解析によって得られるリアプノフ指数、KSエントロピーまたは並進誤差量の少なくとも1つを含み、
前記検出部(4)は、
前記運転条件を、前記運転条件に応じて定まるサージ発生流量(Qs)に対する前記収容部(82)への気体の流入量の流量比(Qr)として定量化すると共に、
前記リアプノフ指数または前記KSエントロピーについては、前記羽根車(81)の回転数(N)の高速側において前記流量比(Qr)の減少に伴って前記出口部閾値(Le)を超えて増加している場合、または、前記回転数(N)の低速側において前記流量比(Qr)の減少に伴って前記出口部閾値(Le)を超えて変化している場合を前記サージの予兆として検出し、あるいは、
前記並進誤差量については、前記流量比(Qr)の減少に伴って前記出口部閾値(Le)を超えて増加している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている。
前記解析値(R)は、前記カオス時系列解析によって得られるリアプノフ指数、KSエントロピーまたは並進誤差量の少なくとも1つを含み、
前記検出部(4)は、
前記運転条件を、前記運転条件に応じて定まるサージ発生流量(Qs)に対する前記収容部(82)への気体の流入量の流量比(Qr)として定量化すると共に、
前記リアプノフ指数または前記KSエントロピーについては、前記羽根車(81)の回転数(N)の高速側において前記流量比(Qr)の減少に伴って前記出口部閾値(Le)を超えて増加している場合、または、前記回転数(N)の低速側において前記流量比(Qr)の減少に伴って前記出口部閾値(Le)を超えて変化している場合を前記サージの予兆として検出し、あるいは、
前記並進誤差量については、前記流量比(Qr)の減少に伴って前記出口部閾値(Le)を超えて増加している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている。
上記(6)の構成によれば、運転条件に応じて定まるサージ発生流量(Qs)に対する収容部(82)への気体の流量比(Qr)の減少に伴い、リアプノフ指数、KSエントロピーまたは並進誤差量の変化量が出口部閾値(Le)を超えて増加している場合をサージの予兆として検出する。これによって、サージの予兆を精度良く検出することができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(3)〜(6)の構成において、
前記入口配管位置(Pi)は、前記入口配管部(83)における、前記翼(81b)の前縁(LE)から前記羽根車(81)の入口高さ以上上流側へ離れた位置であり、
前記時系列データ(D)は、前記入口配管位置(Pi)に設置された入口センサ(9)の検出値で構成される入口時系列データ(Di)を含む。
前記入口配管位置(Pi)は、前記入口配管部(83)における、前記翼(81b)の前縁(LE)から前記羽根車(81)の入口高さ以上上流側へ離れた位置であり、
前記時系列データ(D)は、前記入口配管位置(Pi)に設置された入口センサ(9)の検出値で構成される入口時系列データ(Di)を含む。
上記(7)の構成によれば、サージの予兆を検出は、羽根車(81)の翼(81b)の前縁(LE)から上流側へ、羽根車(81)の入口高さ以上離れた位置に設置されたセンサ(9)(入口センサ(9))により得られる時系列データ(D)を用いて行う。これによって、サージの予兆の検出を、翼(81b)の近傍にセンサ(9)を設置することなく行うことができる。つまり、時系列データ(D)を得るために設置するセンサ(9)の設置位置(計測位置)を、翼(81b)の近傍などの中間位置(Pm)ではなく、入口配管位置(Pi)にすることができる。よって、センサ(9)の設置位置に関する自由度を増大することができ、上記の状態量の計測の容易性を大幅に向上させることができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記検出部(4)は、
前記入口時系列データ(Di)に対する前記解析部(3)による解析によって得られる前記解析値(R)の変化量が、前記運転条件の変化に伴って、前記解析値(R)の種類に応じて定められた入口部閾値(Li)を超えて変化している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている。
前記検出部(4)は、
前記入口時系列データ(Di)に対する前記解析部(3)による解析によって得られる前記解析値(R)の変化量が、前記運転条件の変化に伴って、前記解析値(R)の種類に応じて定められた入口部閾値(Li)を超えて変化している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている。
上記(8)の構成によれば、運転条件の変化に伴う解析値(R)の変化量の閾値(L)が、上述した解析値(R)の種類に応じて定められており、上記の解析値(R)の変化量が閾値(L)(入口部閾値(Li))を超えて変化している場合をサージの予兆として検出する。これによって、サージの予兆を精度良く検出することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)の構成において、
前記解析値(R)は、前記カオス時系列解析によって得られるリアプノフ指数、KSエントロピーまたは並進誤差量の少なくとも1つを含み、
前記検出部(4)は、
前記運転条件を、前記運転条件に応じて定まるサージ発生流量(Qs)に対する前記収容部(82)への気体として定量化すると共に、
前記リアプノフ指数または前記KSエントロピーについては、前記流量比(Qr)の減少に伴って前記入口部閾値(Li)を超えて減少している場合を前記サージの予兆として検出し、あるいは、
前記並進誤差量については、前記羽根車(81)の回転数(N)の高速側において前記流量比(Qr)の減少に伴って前記入口部閾値(Li)を超えて減少している場合、または、前記回転数(N)の低速側において前記流量比(Qr)の減少に伴って前記入口部閾値(Li)を超えて増加している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている。
前記解析値(R)は、前記カオス時系列解析によって得られるリアプノフ指数、KSエントロピーまたは並進誤差量の少なくとも1つを含み、
前記検出部(4)は、
前記運転条件を、前記運転条件に応じて定まるサージ発生流量(Qs)に対する前記収容部(82)への気体として定量化すると共に、
前記リアプノフ指数または前記KSエントロピーについては、前記流量比(Qr)の減少に伴って前記入口部閾値(Li)を超えて減少している場合を前記サージの予兆として検出し、あるいは、
前記並進誤差量については、前記羽根車(81)の回転数(N)の高速側において前記流量比(Qr)の減少に伴って前記入口部閾値(Li)を超えて減少している場合、または、前記回転数(N)の低速側において前記流量比(Qr)の減少に伴って前記入口部閾値(Li)を超えて増加している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている。
上記(9)の構成によれば、解析値(R)の種類に応じて、運転条件に応じて定まるサージ発生流量(Qs)に対する収容部(82)への気体の流量比(Qr)の減少に伴い、解析値(R)の変化量の入口閾値(L)を超えた減少または増加がある場合を、サージの予兆として検出する。これによって、サージの予兆を精度良く検出することができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(3)〜(9)の構成において、
前記中間位置(Pm)は、前記出口配管位置(Pe)と前記入口配管位置(Pi)との間の位置であり、
前記時系列データ(D)は、前記中間位置(Pm)に設置された翼近傍センサ(9)の検出値で構成される翼近傍時系列データ(Dm)を含む。
前記中間位置(Pm)は、前記出口配管位置(Pe)と前記入口配管位置(Pi)との間の位置であり、
前記時系列データ(D)は、前記中間位置(Pm)に設置された翼近傍センサ(9)の検出値で構成される翼近傍時系列データ(Dm)を含む。
上記(10)の構成によれば、サージの予兆を検出は、上述した出口配管位置(Pe)と入口配管位置(Pi)との間に設置されたセンサ(9)(翼近傍センサ(9))により得られる時系列データ(D)を用いて行う。これによって、サージの予兆を適切に検出することができる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)の構成において、
前記検出部(4)は、
前記翼近傍時系列データ(Dm)に対する前記解析部(3)による解析によって得られる前記解析値(R)の変化量が、前記運転条件の変化に伴って、前記解析値(R)の種類に応じて定められた近傍部閾値(Lm)を超えて変化している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている。
前記検出部(4)は、
前記翼近傍時系列データ(Dm)に対する前記解析部(3)による解析によって得られる前記解析値(R)の変化量が、前記運転条件の変化に伴って、前記解析値(R)の種類に応じて定められた近傍部閾値(Lm)を超えて変化している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている。
上記(11)の構成によれば、運転条件の変化に伴う解析値(R)の変化量の閾値(L)が、上記の解析値(R)の種類に応じて定められており、上記の解析値(R)の変化量が閾値(L)(近傍部閾値(Lm))を超えて変化している場合をサージの予兆として検出する。これによって、サージの予兆を精度良く検出することができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)の構成において、
前記解析値(R)は、前記カオス時系列解析によって得られるリアプノフ指数、KSエントロピーまたは並進誤差量の少なくとも1つを含み、
前記検出部(4)は、
前記運転条件を、前記運転条件に応じて定まるサージ発生流量(Qs)に対する前記収容部(82)への気体の流入量の流量比(Qr)として定量化すると共に、
前記リアプノフ指数、前記KSエントロピーまたは前記並進誤差量については、前記回転数(N)の低速側において前記流量比(Qr)の減少に伴って前記近傍部閾値(Lm)を超えて増加している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている。
前記解析値(R)は、前記カオス時系列解析によって得られるリアプノフ指数、KSエントロピーまたは並進誤差量の少なくとも1つを含み、
前記検出部(4)は、
前記運転条件を、前記運転条件に応じて定まるサージ発生流量(Qs)に対する前記収容部(82)への気体の流入量の流量比(Qr)として定量化すると共に、
前記リアプノフ指数、前記KSエントロピーまたは前記並進誤差量については、前記回転数(N)の低速側において前記流量比(Qr)の減少に伴って前記近傍部閾値(Lm)を超えて増加している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている。
上記(12)の構成によれば、運転条件に応じて定まるサージ発生流量(Qs)に対する収容部(82)への気体の流量比(Qr)の減少に伴い、リアプノフ指数、KSエントロピーまたは並進誤差量の変化量が近傍部閾値(Lm)を超えて増加している場合をサージの予兆として検出する。これによって、サージの予兆を精度良く検出することができる。
(13)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(12)の構成において、
前記時系列データ(D)は、
前記出口配管位置(Pe)に設置された出口センサ(9)の検出値で構成される出口時系列データ(De)、前記入口配管位置(Pi)に設置された入口センサ(9)の検出値で構成される入口時系列データ(Di)、および、前記中間位置(Pm)に設置された翼近傍センサ(9)の検出値で構成される翼近傍時系列データ(Dm)のうちの少なくとも2つを含み、
前記検出部(4)は、複数の前記時系列データ(D)の各々に対する前記カオス時系列解析によって得られる複数の前記解析値(R)に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成されている。
前記時系列データ(D)は、
前記出口配管位置(Pe)に設置された出口センサ(9)の検出値で構成される出口時系列データ(De)、前記入口配管位置(Pi)に設置された入口センサ(9)の検出値で構成される入口時系列データ(Di)、および、前記中間位置(Pm)に設置された翼近傍センサ(9)の検出値で構成される翼近傍時系列データ(Dm)のうちの少なくとも2つを含み、
前記検出部(4)は、複数の前記時系列データ(D)の各々に対する前記カオス時系列解析によって得られる複数の前記解析値(R)に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成されている。
上記(13)の構成によれば、出口配管位置(Pe)、入口配管位置(Pi)または中間位置(Pm)の各々から同時期に得られる少なくとも2種類の時系列データ(D)に対してそれぞれカオス時系列解析を実行し、こうして得られた複数の解析値(R)に基づいて、サージの予兆を検出する。これによって、サージの予兆の検出の信頼性を高めることができる。
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)の構成において、
前記検出部(4)は、前記サージの予兆を検出した際に、前記複数の解析値(R)に基づいて、検出された前記サージの予兆がプレサージの予兆または発生であるかを判別するよう構成されている。
前記検出部(4)は、前記サージの予兆を検出した際に、前記複数の解析値(R)に基づいて、検出された前記サージの予兆がプレサージの予兆または発生であるかを判別するよう構成されている。
上記(14)の構成によれば、出口配管位置(Pe)、入口配管位置(Pi)または中間位置(Pm)の各々から同時期に得られる少なくとも2種類の時系列データ(D)に対してそれぞれカオス時系列解析を実行し、こうして得られた複数の解析値(R)に基づいて、検出したサージの予兆がプレサージの予兆または発生かを判別する。これによって、プレサージの予兆または発生を検出することができる。
(15)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(14)の構成において、
前記サージの予兆が検出された場合に、前記サージの発生を防止するための抑制制御を実行するよう構成された抑制部(5)を、さらに備える。
前記サージの予兆が検出された場合に、前記サージの発生を防止するための抑制制御を実行するよう構成された抑制部(5)を、さらに備える。
上記(15)の構成によれば、サージの予兆が検知された場合には、サージが発生しないように、圧縮機(8)の吐出力を上げる、あるいは、通過流量を増やすなどして、サージの発生の回避動作を行う。これによって、サージが発生するのを回避することができる。
(16)本発明の少なくとも一実施形態に係るサージ予兆検出方法は、
羽根車(81)の回転翼(81b)を含む翼(81b)を収容し、入口配管部(83)から供給される流体を圧縮して出口配管部(84)に排出する収容部(82)を有する圧縮機(8)のサージの予兆を検出するサージ予兆検出方法であって、
前記入口配管部(83)における入口配管位置(Pi)、前記出口配管部(84)における出口配管位置(Pe)、および前記入口配管位置(Pi)と前記出口配管位置(Pe)との間の中間位置(Pm)のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データ(D)を取得するステップと、
前記時系列データ(D)に対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するステップと、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値(R)に基づいて、前記サージの予兆を検出するステップと、を備える。
上記(16)の構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する。
羽根車(81)の回転翼(81b)を含む翼(81b)を収容し、入口配管部(83)から供給される流体を圧縮して出口配管部(84)に排出する収容部(82)を有する圧縮機(8)のサージの予兆を検出するサージ予兆検出方法であって、
前記入口配管部(83)における入口配管位置(Pi)、前記出口配管部(84)における出口配管位置(Pe)、および前記入口配管位置(Pi)と前記出口配管位置(Pe)との間の中間位置(Pm)のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データ(D)を取得するステップと、
前記時系列データ(D)に対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するステップと、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値(R)に基づいて、前記サージの予兆を検出するステップと、を備える。
上記(16)の構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する。
(17)本発明の少なくとも一実施形態に係るプログラムは、
羽根車(81)の回転翼(81b)を含む翼(81b)を収容し、入口配管部(83)から供給される流体を圧縮して出口配管部(84)に排出する収容部(82)を有する圧縮機(8)のサージの予兆を検出するプログラムであって、
コンピュータに、
前記入口配管部(83)における入口配管位置(Pi)、前記出口配管部(84)における出口配管位置(Pe)、および前記入口配管位置(Pi)と前記出口配管位置(Pe)との間の中間位置(Pm)のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データ(D)を取得するよう構成された取得部(2)と、
前記時系列データ(D)に対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するよう構成された解析部(3)と、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値(R)に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成された検出部(4)と、を実現させるためのプログラムである。
上記(17)の構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する。
羽根車(81)の回転翼(81b)を含む翼(81b)を収容し、入口配管部(83)から供給される流体を圧縮して出口配管部(84)に排出する収容部(82)を有する圧縮機(8)のサージの予兆を検出するプログラムであって、
コンピュータに、
前記入口配管部(83)における入口配管位置(Pi)、前記出口配管部(84)における出口配管位置(Pe)、および前記入口配管位置(Pi)と前記出口配管位置(Pe)との間の中間位置(Pm)のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データ(D)を取得するよう構成された取得部(2)と、
前記時系列データ(D)に対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するよう構成された解析部(3)と、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値(R)に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成された検出部(4)と、を実現させるためのプログラムである。
上記(17)の構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する。
1 サージ予兆検出装置
10 サージ予兆検出プログラム
11 プロセッサ
12 記憶装置
2 取得部
3 解析部
4 検出部
5 抑制部
6 報知装置
8 圧縮機
81 羽根車
81b 翼(動翼または静翼)
82 収容部
83 入口配管部
84 出口配管部
86 回転軸
8v 放風弁
LE 前縁
TE 後縁
9 センサ
92 流量センサ
93 圧力比センサ
94 回転数センサ
x センサ値
D 時系列データ
De 出口時系列データ
Di 入口時系列データ
Dm 翼近傍時系列データ
Pe 出口配管位置
Pi 入口配管位置
Pm 中間位置
Pd ディフューザ出口
Pt スクロール舌部
R 解析値(カオス時系列解析)
P 圧力比
Q 実流量
Qs サージ発生流量
Qr 流量比
N 回転数
B 閾値情報
L 閾値
Le 出口部閾値
Li 入口部閾値
Lm 近傍部閾値
Fp プレサージ領域
Fs サージ領域
M コンプレッサマップ
10 サージ予兆検出プログラム
11 プロセッサ
12 記憶装置
2 取得部
3 解析部
4 検出部
5 抑制部
6 報知装置
8 圧縮機
81 羽根車
81b 翼(動翼または静翼)
82 収容部
83 入口配管部
84 出口配管部
86 回転軸
8v 放風弁
LE 前縁
TE 後縁
9 センサ
92 流量センサ
93 圧力比センサ
94 回転数センサ
x センサ値
D 時系列データ
De 出口時系列データ
Di 入口時系列データ
Dm 翼近傍時系列データ
Pe 出口配管位置
Pi 入口配管位置
Pm 中間位置
Pd ディフューザ出口
Pt スクロール舌部
R 解析値(カオス時系列解析)
P 圧力比
Q 実流量
Qs サージ発生流量
Qr 流量比
N 回転数
B 閾値情報
L 閾値
Le 出口部閾値
Li 入口部閾値
Lm 近傍部閾値
Fp プレサージ領域
Fs サージ領域
M コンプレッサマップ
Claims (17)
- 羽根車の回転翼を含む翼を収容し、入口配管部から供給される流体を圧縮して出口配管部に排出する収容部を有する圧縮機のサージの予兆を検出するサージ予兆検出装置であって、
前記入口配管部における入口配管位置、前記出口配管部における出口配管位置、および前記入口配管位置と前記出口配管位置との間の中間位置のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データを取得するよう構成された取得部と、
前記時系列データに対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するよう構成された解析部と、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成された検出部と、を備えるサージ予兆検出装置。 - 前記検出部は、前記解析値、および前記羽根車の回転数に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成されている請求項1に記載のサージ予兆検出装置。
- 前記検出部は、前記圧縮機の運転条件の変化に伴って生じる前記解析値の変化量に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成されている請求項1または2に記載のサージ予兆検出装置。
- 前記出口配管位置は、前記出口配管部における、前記翼の後縁から前記羽根車の出口高さ以上下流側へ離れた位置であり、
前記時系列データは、前記出口配管位置に設置された出口センサの検出値で構成される出口時系列データを含む請求項3に記載のサージ予兆検出装置。 - 前記検出部は、前記出口時系列データに対する前記解析部による解析によって得られる前記解析値の変化量が、前記運転条件の変化に伴って、前記解析値の種類に応じて定められた出口部閾値を超えて変化している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている請求項4に記載のサージ予兆検出装置。
- 前記解析値は、前記カオス時系列解析によって得られるリアプノフ指数、KSエントロピーまたは並進誤差量の少なくとも1つを含み、
前記検出部は、
前記運転条件を、前記運転条件に応じて定まるサージ発生流量に対する前記収容部への気体の流入量の流量比として定量化すると共に、
前記リアプノフ指数または前記KSエントロピーについては、前記羽根車の回転数の高速側において前記流量比の減少に伴って前記出口部閾値を超えて増加している場合、または、前記回転数の低速側において前記流量比の減少に伴って前記出口部閾値を超えて変化している場合を前記サージの予兆として検出し、あるいは、
前記並進誤差量については、前記流量比の減少に伴って前記出口部閾値を超えて増加している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている請求項5に記載のサージ予兆検出装置。 - 前記入口配管位置は、前記入口配管部における、前記翼の前縁から前記羽根車の入口高さ以上上流側へ離れた位置であり、
前記時系列データは、前記入口配管位置に設置された入口センサの検出値で構成される入口時系列データを含む請求項3〜6のいずれか1項に記載のサージ予兆検出装置。 - 前記検出部は、
前記入口時系列データに対する前記解析部による解析によって得られる前記解析値の変化量が、前記運転条件の変化に伴って、前記解析値の種類に応じて定められた入口部閾値を超えて変化している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている請求項7に記載のサージ予兆検出装置。 - 前記解析値は、前記カオス時系列解析によって得られるリアプノフ指数、KSエントロピーまたは並進誤差量の少なくとも1つを含み、
前記検出部は、
前記運転条件を、前記運転条件に応じて定まるサージ発生流量に対する前記収容部への気体として定量化すると共に、
前記リアプノフ指数または前記KSエントロピーについては、前記流量比の減少に伴って前記入口部閾値を超えて減少している場合を前記サージの予兆として検出し、あるいは、
前記並進誤差量については、前記羽根車の回転数の高速側において前記流量比の減少に伴って前記入口部閾値を超えて減少している場合、または、前記回転数の低速側において前記流量比の減少に伴って前記入口部閾値を超えて増加している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている請求項8に記載のサージ予兆検出装置。 - 前記中間位置は、前記出口配管位置と前記入口配管位置との間の位置であり、
前記時系列データは、前記中間位置に設置された翼近傍センサの検出値で構成される翼近傍時系列データを含む請求項3〜9のいずれか1項に記載のサージ予兆検出装置。 - 前記検出部は、
前記翼近傍時系列データに対する前記解析部による解析によって得られる前記解析値の変化量が、前記運転条件の変化に伴って、前記解析値の種類に応じて定められた近傍部閾値を超えて変化している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている請求項10に記載のサージ予兆検出装置。 - 前記解析値は、前記カオス時系列解析によって得られるリアプノフ指数、KSエントロピーまたは並進誤差量の少なくとも1つを含み、
前記検出部は、
前記運転条件を、前記運転条件に応じて定まるサージ発生流量に対する前記収容部への気体の流入量の流量比として定量化すると共に、
前記リアプノフ指数、前記KSエントロピーまたは前記並進誤差量については、前記回転数の低速側において前記流量比の減少に伴って前記近傍部閾値を超えて増加している場合を前記サージの予兆として検出するよう構成されている請求項11に記載のサージ予兆検出装置。 - 前記時系列データは、
前記出口配管位置に設置された出口センサの検出値で構成される出口時系列データ、前記入口配管位置に設置された入口センサの検出値で構成される入口時系列データ、および、前記中間位置に設置された翼近傍センサの検出値で構成される翼近傍時系列データのうちの少なくとも2つを含み、
前記検出部は、複数の前記時系列データの各々に対する前記カオス時系列解析によって得られる複数の前記解析値に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成されている請求項1〜12のいずれか1項に記載のサージ予兆検出装置。 - 前記検出部は、前記サージの予兆を検出した際に、前記複数の解析値に基づいて、検出された前記サージの予兆がプレサージの予兆または発生であるかを判別するよう構成されている請求項13に記載のサージ予兆検出装置。
- 前記サージの予兆が検出された場合に、前記サージの発生を防止するための抑制制御を実行するよう構成された抑制部を、さらに備える請求項1〜14のいずれか1項に記載のサージ予兆検出装置。
- 羽根車の回転翼を含む翼を収容し、入口配管部から供給される流体を圧縮して出口配管部に排出する収容部を有する圧縮機のサージの予兆を検出するサージ予兆検出方法であって、
前記入口配管部における入口配管位置、前記出口配管部における出口配管位置、および前記入口配管位置と前記出口配管位置との間の中間位置のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データを取得するステップと、
前記時系列データに対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するステップと、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値に基づいて、前記サージの予兆を検出するステップと、を備えるサージ予兆検出方法。 - 羽根車の回転翼を含む翼を収容し、入口配管部から供給される流体を圧縮して出口配管部に排出する収容部を有する圧縮機のサージの予兆を検出するプログラムであって、
コンピュータに、
前記入口配管部における入口配管位置、前記出口配管部における出口配管位置、および前記入口配管位置と前記出口配管位置との間の中間位置のうちの少なくとも1つの位置における内部圧力に相関を有する状態量の時系列データを取得するよう構成された取得部と、
前記時系列データに対して、埋め込み次元数を3以上としてカオス時系列解析を実行するよう構成された解析部と、
前記カオス時系列解析によって得られる解析値に基づいて、前記サージの予兆を検出するよう構成された検出部と、を実現させるためのプログラム。
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US17/149,175 US20210285457A1 (en) | 2020-03-13 | 2021-01-14 | Surging precursor detecting device, method of detecting surging precursor, and program |
CN202110060641.6A CN113389748A (zh) | 2020-03-13 | 2021-01-18 | 喘振预兆检测装置、喘振预兆检测方法及程序 |
EP21153033.2A EP3879119A1 (en) | 2020-03-13 | 2021-01-22 | Surging precursor detecting device, method of detecting surging precursor, and program |
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- 2021-01-14 US US17/149,175 patent/US20210285457A1/en not_active Abandoned
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