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JP2021142740A - 記録装置 - Google Patents

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JP2021142740A
JP2021142740A JP2020044564A JP2020044564A JP2021142740A JP 2021142740 A JP2021142740 A JP 2021142740A JP 2020044564 A JP2020044564 A JP 2020044564A JP 2020044564 A JP2020044564 A JP 2020044564A JP 2021142740 A JP2021142740 A JP 2021142740A
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純也 渋谷
Junya Shibuya
純也 渋谷
一俊 松▲崎▼
Kazutoshi Matsuzaki
一俊 松▲崎▼
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Abstract

【課題】支持部材と記録ヘッドとの組付位置にばらつきあっても、支持部材と記録ヘッドとのギャップ量を適切に調整することができる記録装置を提供する。【解決手段】記録装置11は、媒体を搬送する搬送部と、搬送された媒体を支持する支持部材60と、媒体における支持部材60に支持された部分に記録する記録ヘッド52を有する記録部50と、記録ヘッド52と支持部材60とのギャップ量を、切り替えられる切替段階よりも多い多段階または無段階に調整可能なギャップ調整機構70と、記録部50およびギャップ調整機構70を制御する制御部とを備える。ギャップ調整機構70は、媒体種に応じたギャップ量に切替可能に構成される。記録部50には、支持部材60の高さ位置を測定する測定部80が設けられる。制御部は、測定部80が測定した支持部材60の高さ位置を基準位置としてギャップ量を調整する。【選択図】図8

Description

本発明は、媒体を支持する支持部材と、媒体に記録する記録部との間のギャップ量を調整するギャップ調整機構を備える記録装置に関する。
インクジェットプリンター等の記録装置は、媒体を搬送する搬送部と、搬送された媒体を支持する支持部材と、媒体における支持部材に支持された部分に液体を吐出して記録する記録ヘッドを有する記録部とを備える。また、記録装置には、記録ヘッドと支持部材とのギャップ量を調整するギャップ調整機構を備えるものがある。ギャップ調整機構は、媒体種に応じた適切なギャップ量に調整する。
ギャップ調整機構が適正なギャップ調整を行うためには、記録部を支持部材に対して基準の高さ位置に調整しておく必要がある。そのため、記録装置の出荷前に、記録部をギャップ調整を行ううえで制御上の所定高さ位置に配置した状態で、記録ヘッドと支持部材との間にゲージを差し込んでギャップ量を計測し、ギャップ量が所定の高さ位置に対応する適切な値になるように支持部材と記録部との組付位置を調整する。例えば、支持部材に対して適切なギャップ量が得られるように記録部の組付高さ位置を調整する。
例えば、特許文献1には、記録ヘッドと支持部材(プラテン)とのギャップの調整量を非接触で検出する検出装置が開示されている。この検出装置は、支持部材側に光を投じる投光部と、支持部材側からの光を受けて光に応じた電圧を発生させる受光部と、受光部により発生された電圧の値に基づいて、支持部材と記録ヘッドとに関するギャップ値を検出するギャップ検出手段と、検出されたギャップ値に基づいてギャップの調整量を検出する調整量検出手段とを備える。
特開2007−230012号公報
しかしながら、特許文献1に記載の検出装置によれば、ギャップの調整量を非接触で検出できるものの、出荷前の調整作業は依然として作業者が手作業で行う必要があり、その調整作業の作業負担が大きいという課題がある。また、調整作業時に使用されるゲージが記録ヘッドに接触すると、記録ヘッドを損傷させる可能性がある。さらに、出荷された記録装置の運搬中の振動によって、支持部材と記録部との組付位置がずれてしまう場合があり、その場合はギャップ量の精度が低下してしまう。これらのうちいずれか1つを解消するために、記録装置の出荷前の調整作業を簡易または廃止しても、適切なギャップ量に調整できる構成が要望されている。
上記課題を解決する記録装置は、媒体を搬送する搬送部と、搬送された前記媒体を支持する支持部材と、前記媒体における前記支持部材に支持された部分に記録する記録ヘッドを有する記録部と、前記記録部に設けられ、前記支持部材の高さ位置を測定する測定部と、前記記録ヘッドと前記支持部材とのギャップ量を、媒体種に応じて切り替えられる切替段階よりも多い多段階または無段階で微調整することにより媒体種に応じたギャップ量に切替可能に構成されるギャップ調整機構と、前記記録部および前記ギャップ調整機構を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記測定部が測定した前記支持部材の高さ位置を基準位置として前記ギャップ量を調整する。
上記課題を解決する記録装置は、媒体を搬送する搬送部と、搬送された前記媒体を支持する支持部材と、前記媒体における前記支持部材に支持された部分に記録する記録ヘッドを有する記録部と、前記記録部に設けられ、前記支持部材の高さ位置である基準位置を測定する測定部と、前記記録ヘッドと前記支持部材とのギャップ量を、媒体種に応じて切り替えられる切替段階よりも多い多段階または無段階で調整可能に構成されるギャップ調整機構と、前記搬送部、前記記録部および前記ギャップ調整機構を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記支持部材に支持される位置まで媒体を搬送し、前記測定部により当該媒体の表面の高さ位置である媒体高さ位置を測定し、前記基準位置と前記媒体高さ位置との差に基づき媒体厚を取得し、前記ギャップ調整機構を制御して前記媒体厚に応じたギャップ量に調整する。
上記課題を解決する記録装置の制御方法は、
第1実施形態における記録装置の斜視図。 筐体を取り外した状態にある記録装置を示す斜視図。 筐体を取り外した状態にある記録装置を示す斜視図。 記録装置の要部を示す斜視図。 記録装置の要部を示す斜視図。 ギャップ調整機構を示す模式側面図。 記録部を底面側から見た斜視図。 記録装置を示す模式正面図。 ギャップ調整機構におけるカムの回転角とギャップ量との関係を示すグラフ。 記録部および支持部材を示す模式側面図。 記録部および支持部材を示す模式側面図。 記録装置の電気的構成を示すブロック図。 基準位置測定処理を示すフローチャート。 第2実施形態における記録部を底面側から見た斜視図。 非接触式センサーにおける距離と電流出力値との関係を示すグラフ。 記録装置を示す模式正面図。 媒体を検出するときの記録装置を示す模式正面図。 第3実施形態における記録部を底面側から見た斜視図。 記録装置を示す模式正面図。 記録部および支持部材を示す模式側面図。 記録部が下降して支持部材を検出するときの状態を示す模式側面図。 第4実施形態における記録部を底面側から見た斜視図。 記録装置を示す模式正面図。 媒体を検出するときの記録装置を示す模式正面図。 基準位置出し処理ルーチンを示すフローチャート。 ギャップ調整処理ルーチンを示すフローチャート。 第5実施形態における記録部および支持部材を示す模式正面図。 記録部を示す模式底面図。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態における記録装置について図面を参照して説明する。図1では、記録装置11が水平面上に置かれているものとして、互いに直交する3つの仮想軸を、X軸、Y軸及びZ軸とする。X軸は後述する記録ヘッドの走査方向と平行な仮想軸であり、Y軸は記録時の媒体の搬送方向と平行な仮想軸である。また、Z軸は鉛直方向と平行な仮想軸である。Y軸と平行な一方向が、記録時の媒体の搬送方向である。なお、Y軸において筐体12Aにおける後述する操作パネルが配置される側の面を前面、前面とは反対側の面を背面ともいう。また、記録部50が往復移動するX軸と平行な方向を走査方向X、記録時に媒体Mが搬送されるY軸と平行な方向を搬送方向Y、Z軸と平行な方向を鉛直方向Zともいう。
<記録装置の構成>
図1に示す記録装置11は、シリアル記録方式のインクジェットプリンターである。図1に示すように、記録装置11は、直方体状の装置本体12と、装置本体12の上部を覆う開閉可能なカバー13とを備える。本例の記録装置11は、複合機であり、記録ユニット20と、記録ユニット20の上側に配置される読取ユニット30とを有する。
装置本体12は、直方体状の筐体12Aを有する。筐体12Aの正面下部には、用紙等の記録媒体M(以下、単に「媒体M」ともいう。)を収納するカセット21が着脱可能な状態で凹部14に挿着されている。カセット21には、複数の媒体Mが収容される。なお、図1に示す例では、カセット21は鉛直方向Zに並んで2段設けられている。カセット21の数は、1つでもよいし、3つ以上の複数でもよい。
記録装置11が記録した媒体Mは、筐体12Aの前面に開口する排出口15から排出される。排出口15から排出された記録後の媒体Mは、排出トレイ22上に積載される。排出トレイ22は、伸縮式で、図1に示す収納位置から引き延ばされた伸長位置で使用される。また、記録装置11は、筐体12Aの前面に操作パネル23を備える。操作パネル23は、電源スイッチ24とメニューや各種のメッセージ等が表示される表示部25とを備える。ここで、表示部25はタッチパネルにより構成され、表示部25の操作機能が操作部の一部を兼ねる。なお、操作部は、スイッチ式のものが1つまたは複数備えられてもよい。
図1に示すように、読取ユニット30は原稿台カバー31を備える。原稿台カバー31の上部には、原稿トレイ33を備えた自動原稿送り装置32(Auto Document Feeder)が設けられている。読取ユニット30は、原稿トレイ33上の原稿Dを1枚ずつ給送して読み取るシートフィーダー型のスキャナー機能と、原稿台カバー31を開けると露出する原稿台に載置された原稿Dを読取るフラットベッド型のスキャナー機能とを備える。複合機である記録装置11は、インクジェット方式で媒体Mに記録する記録機能と、読取ユニット30がスキャナー機能により読み取った原稿Dの画像を媒体Mに記録するコピー記録機能とを備える。
図1に示すように、筐体12Aの前部一端部には、液体供給ユニット27が設けられている。液体供給ユニット27内には、インク等の液体をそれぞれ収容する複数の液体収容容器28(図2も参照)が配置されている。複数の液体収容容器28は、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの色の異なるインクを収容する。液体収容容器28が収容する液体は、記録装置11が媒体Mに吐出して記録するために用いられる。液体供給ユニット27は、前面に液体収容容器28ごとの液量を視認可能な複数の窓部27Aを有している。液体供給ユニット27は、上部に開閉可能な蓋部27Bを有している。液体収容容器28は、液体が収容された例えばタンクである。なお、液体収容容器28は、液体を注入可能な注入式であることに限定されず、交換式のインクカートリッジでもよい。また、液体供給方式は、液体収容容器28が、装置本体側に装着されるオフキャリッジ方式に限らず、キャリッジ51に搭載されるオンキャリッジ方式でもよい。
<記録装置の内部構造>
図2、図3は、読取ユニット30及び筐体12Aを取り外した状態の記録装置11の内部構造を示す。図2、図3に示すように、記録装置11は、カセット21に収容された媒体Mを1枚ずつ給送する給送部41を備える。記録装置11は、媒体Mを搬送する搬送部42を備える。給送部41は、駆動源として給送モーター43(図12参照)を備える。搬送部42は、給送された媒体Mを搬送方向Yに搬送する。また、記録装置11は、搬送された媒体Mを支持する支持部材60を備える。
支持部材60は、走査方向Xに複数のリブ61を有する。複数のリブ61の端面が、媒体Mを支持する支持面60Aとなっている。支持部材60は、媒体Mが搬送される領域よりも走査方向Xの外側に位置する端部に被検知エリア62を有している。
図2において、搬送部42は、媒体Mを搬送方向Yに搬送する搬送ローラー対44と、搬送方向Yの異なる位置に配置された第1排出ローラー対45と第2排出ローラー対46とを備える。搬送ローラー対44は、搬送方向Yにおいて記録ヘッド52の走査領域よりも上流位置に配置される。また、排出ローラー対45,46は、記録ヘッド52の走査領域よりも下流位置に配置されている。搬送部42は、搬送モーター47(図12参照)の動力を搬送ローラー対44および排出ローラー対45,46に伝達する動力伝達機構48を備える。また、搬送部42は、図4に示す搬送ローラー対44を構成する搬送ローラー44Aの回転を検出する図3に示すエンコーダー49を備える。エンコーダー49は、円板状のスケール板49Aと、スケール板49Aの回転を検出するセンサー49Bとを備える。なお、図4に示す搬送モーター47の動力は、搬送ローラー対44の搬送ローラー44Aと第1排出ローラー対45の駆動ローラー45A等とに伝達される。
図2、図3に示すように、筐体12A内には、媒体Mに記録する記録ヘッド52(図7参照)を備える記録部50が設けられている。記録ヘッド52は、媒体Mのうち支持部材60に支持された部分に記録する。本実施形態の記録部50は、シリアル記録式であり、走査方向Xに往復移動可能である。記録部50は、走査方向Xに往復移動するキャリッジ51を備える。記録装置11は、キャリッジ51を走査方向Xに移動させる移動機構53を備える。記録ヘッド52は、キャリッジ51に設けられ、媒体Mに記録する。支持部材60は、キャリッジ51の走査領域と対向する位置に配置されている。なお、液体収容容器28から記録ヘッド52へは不図示のチューブを通って供給される。
図2、図3に示すように、記録装置11は、走査方向Xに沿って延びるメインフレーム16と、メインフレーム16の長手方向の両端部に固定された第1サイドフレーム17(図2参照)および第2サイドフレーム18とを備える。キャリッジ51は、走査方向Xに延びるガイド軸19と、メインフレーム16の一部により形成されるガイドレール16Aとにより走査方向Xに移動可能に支持されている。キャリッジ51は、ホーム位置HP側の端部に配置された第1サイドフレーム17と、反ホーム位置AH側の端部に配置された第2サイドフレーム18との間を移動する。キャリッジ51は、ガイド軸19およびガイドレール16Aに移動可能に案内されるガイド部511と、記録ヘッド52(図2参照)が下面に支持されたキャリッジ本体512とを備える。
図2、図3に示すように、移動機構53は、メインフレーム16における走査方向Xの一端近傍位置に配設されたキャリッジモーター54を備える。キャリッジモーター54は、キャリッジ51の駆動源である。また、移動機構53は、キャリッジモーター54の駆動力をキャリッジ51に伝達する無端状のタイミングベルト55を備える。タイミングベルト55はガイド軸19に沿って延び、その一部にキャリッジ51が固定されている。キャリッジモーター54が正転駆動されると、キャリッジ51が第1方向X1に往動し、キャリッジモーター54が逆転駆動されると、キャリッジ51が第2方向X2に復動する。なお、ガイド軸19の近傍には、キャリッジ51の走査方向Xの位置を検出するためのリニアエンコーダー56が走査方向Xに沿って設けられている。また、キャリッジ51には、信号の送受信および電力の供給に用いられるフレキブルフラットケーブル57が接続されている。
図2、図3では、記録部50は、媒体Mに記録を行わない非記録時に待機する待機位置であるホーム位置HP(ホームポジション)に位置している。X軸においてホーム位置HPとは反対側となる端部の位置が、キャリッジ51の反ホーム位置AHである。キャリッジ51は、媒体Mに記録する場合、ホーム位置HPと反ホーム位置AHとの間の走査領域のうち支持部材60のリブ61により支持される記録領域PA(図8参照)を往復移動する。
図2、図3に示す記録部50は、走査方向Xに移動する過程で記録ヘッド52から媒体Mに向かって液体を吐出することで媒体Mに画像又は文書を記録する。詳しくは、キャリッジ51が走査方向Xに移動する過程で記録ヘッド52が液体を吐出して媒体Mに1走査分の記録を施す記録動作と、搬送部42が媒体Mを次の記録位置まで搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、媒体Mに記録される。記録済みの媒体Mは、搬送部42によって排出口15から排出され、排出トレイ22(図1参照)上に積載される。
また、図2、図3に示すように、記録装置11は、記録ヘッド52と支持部材60とのギャップを調整するギャップ調整機構70を備える。ギャップ調整機構70は、支持部材60に対するキャリッジ51の高さ位置を変更することで記録ヘッド52と支持部材60とのギャップ量を調整する。本実施形態のギャップ調整機構70は、キャリッジ51を支持するガイド軸19の高さ位置を変更することで、記録ヘッド52の高さ位置を調整する。なお、ギャップ調整機構70は、キャリッジ51に設けられ、キャリッジ51のうちガイド軸19に支持される部分に対して、記録ヘッド52が固定されたキャリッジ本体の部分を鉛直方向Zに相対移動させることでギャップを調整する方式でもよい。
図2、図3に示すように、第1サイドフレーム17と第2サイドフレーム18のそれぞれの外側には、各サイドフレーム17,18を貫通したガイド軸19の両端部を支持する一対の支持位置調整部材71が設けられている。一対の支持位置調整部材71はガイド軸19を支持する高さ位置を調整する支持高さ調整機能を有する。但し、本実施形態の記録装置11は、一対の支持位置調整部材71によってガイド軸19の支持高さを正確に調整しなくても、ギャップ量を適切に調整可能なギャップ調整機能を有する。そのため、本実施形態では、一対の支持位置調整部材71の位置調整機能は、ガイド軸19の簡易な調整に使用されるか、あるいは使用されない。
ここで、記録装置11は出荷前に記録部50の組付位置の調整作業が行われていない段階では、メインフレーム16、記録部50および支持部材60のそれぞれ組付位置のばらつきのため、ガイド軸19が所定の基準回転角にあるときの記録ヘッド52と支持部材60とのギャップ量は、記録装置11ごとの個体差によるばらつきがある。そのため、従来は、ガイド軸19が所定の基準回転角にあるときの記録ヘッド52と支持部材60とのギャップ量が、基準ギャップ量になるように、一対の支持位置調整部材71の調整機能を用いてガイド軸19の高さ位置を調整することで記録部50の組付位置を調整していた。
本実施形態では、ガイド軸19が所定の基準回転角にあるときの記録装置11の個体差によるギャップ量のばらつきを、後述する測定部80が支持部材60の高さ位置を測定し、その測定した支持部材60の高さ位置を基準位置としてギャップ量を調整することにより解消する。このため、記録装置11の出荷前に従来行っていた、ガイド軸19の組付高さを調整することによる記録部50の組付位置の調整作業を省くことも可能である。なお、ガイド軸19の組付高さを調整しなくてもギャップ量を適切に調整可能であることから、ガイド軸19の組付位置の調整に用いられる一対の支持位置調整部材71に替え、調整機能を有さない一対のガイド軸支持部材としてもよい。
図2、図4に示すように、第2サイドフレーム18には第2規制面18Aから第2方向X2に突出する被操作部72Aが設けられている。被操作部72Aは、ばね(図示略)の弾性力により第2方向X2に付勢されている。キャリッジ51は、第1方向X1に第2規制面18Aに当接するエンド位置まで移動することにより、被操作部72Aを第1方向X1に押込む押込み操作が可能である。被操作部72Aは、キャリッジ51が反ホーム位置AHから離れているときに図2、図4に示す非操作位置に配置され、キャリッジ51が反ホーム位置AHまで移動すると、非操作位置から操作位置に押し込まれる。被操作部72Aは、切替機構72の一部を構成する。
図4に示すように、ギャップ調整機構70は、駆動源の動力により駆動され、ガイド軸19を軸回転させる駆動機構73を備える。本実施形態では、ギャップ調整機構70は、搬送部42の駆動源である搬送モーター47を駆動源とする。切替機構72は、搬送部42を構成する動力伝達機構48と駆動機構73との間に介在している。切替機構72は、被操作部72Aが非操作位置から操作位置に押込み操作されることで、動力伝達機構48と駆動機構73とを動力伝達可能な接続状態に切り替えられる。駆動機構73は、第1カム機構74を介してガイド軸19の一端部と動力伝達可能に連結されている。第1カム機構74は、ガイド軸19の一端部に固定された偏心カム76と、偏心カム76の外周面よりなるカム面76Aと接触部77Aで接触する状態で偏心カム76を支持する当接部77(図6参照)とを備える。
また、図5に示すように、ガイド軸19の他端部は、第2カム機構75を介して支持されている。第2カム機構75は、ガイド軸19の他端部に固定された偏心カム76と、偏心カム76の外周面よりなるカム面76Aと接触部77Aで接触する状態で偏心カム76を支持する当接部77とを備える。当接部77は、第1サイドフレーム17に支持された支持位置調整部材71の一部を構成する。第1サイドフレーム17に対する支持位置調整部材71の取付角度が調整されることで、偏心カム76を支持する当接部77の支持高さが調整される。なお、第1サイドフレーム17の第1規制面17Aにキャリッジ51が当たったときの位置を、キャリッジ51の走査方向Xの位置を計測するときの原点として位置出しされる。換言すれば、制御部100は、キャリッジ51が第1規制面17Aに当接したときのキャリッジ位置を原点としてキャリッジ51の走査方向Xにおける位置であるキャリッジ位置を計測する。
図4に示す搬送モーター47が、被操作部72Aが操作位置に押されて動力伝達機構48と駆動機構73とが接続された状態の下で駆動されると、その駆動力によってガイド軸19が軸回転する。ガイド軸19が軸回転すると、ガイド軸19の両端部に設けられた第1カム機構74および第2カム機構75を介してガイド軸19の高さ位置が変更される。ガイド軸19の高さ位置が変更されると、ガイド軸19に支持されたキャリッジ51の高さ位置が同じ分だけ変更される。これにより、記録ヘッド52と支持部材60とのギャップ量が調整される。
図6は、第1カム機構74を示す。第1カム機構74と第2カム機構75は、ガイド軸19の中心を通りかつガイド軸19と直交する仮想面に対して、互いに面対称となる向きに配置される以外は基本的に同じ構成である。そのため、第1カム機構74を例にして説明する。図6に示すように、偏心カム76のカム面76Aは、円弧面である。この円弧面を含む仮想の円の中心C1はガイド軸19の軸心C0に対して所定の距離だけずれている。つまり、偏心カム76のカム面76Aは、ガイド軸19の軸心C0に対して偏心している。偏心カム76は、その回転によりガイド軸19の高さ位置を無段階に調整可能な無段階カムである。
このように、本実施形態のギャップ調整機構70は、キャリッジ51を移動可能に支持する軸としてのガイド軸19にカム部として設けられた偏心カム76を備え、ガイド軸19の軸回転による偏心カム76の回転によってガイド軸19の高さ位置を変更することによって、支持部材60と記録部50との間のギャップ量を調整する機構である。
ギャップ調整機構70は、記録ヘッド52と支持部材60とのギャップ量を、無段階で微調整することにより、媒体種に応じたギャップ量に切替可能に構成される。すなわち、ギャップ調整機構70は、記録ヘッド52と支持部材60とのギャップ量PGを、無段階で微調整可能に構成されている。なお、ギャップ調整機構70は、ギャップ量PGを無段階に調整可能な無段階調整方式に限定されず、ギャップ量PGを、媒体種に応じて切り替えられる切替段数k(本例ではk=4)よりも多い多段階で調整可能な多段階調整方式であってもよい。ギャップ調整機構70は、ギャップ量PGを媒体種に応じて切り替えられる切替段数(本例では4段)よりも多い段数として、例えば20〜100の範囲内の段数であってもよい。このように、ギャップ調整機構70は、記録ヘッド52と支持部材60とのギャップ量PGを、媒体種に応じて切り替えられる切替段数よりも多い多段階で微調整可能に構成されてもよい。換言すれば、ギャップ調整機構70は、ギャップ量PGを、媒体種に応じて複数段階に切り替えるときの切替間隔の最小値よりも狭い間隔の切替ピッチで切替可能な多段階で微調整可能に構成されてもよい。ここで、切替間隔の最小値とは、後述する図9において媒体種に応じて切り替えられるギャップ量PG1,PG2,PG3,PG4の各間隔のうちの最小値を指す。そして、多段階とは、この切替間隔の最小値よりも短い間隔の切替ピッチでギャップ量を調整可能な多段数であればよい。これにより、ギャップ調整機構70は、基準位置G0に対して記録ヘッド52の高さ位置を微調整することが可能になるので、基準位置G0が記録装置11ごとに異なっても、予め媒体種ごとに設定された適切な設定ギャップ量に調整することが可能である。
図7に示すように、キャリッジ51の底部51Aには、記録ヘッド52が固定されている。記録ヘッド52は、ノズル58Nが開口するノズル面52Aを有する。ノズル面52Aには、インク色の数と同数の複数のノズル列58が設けられている。ノズル列58は、搬送方向Yに沿って並ぶ複数のノズル58Nを有する。記録部50には測定部80が設けられている。本実施形態では、測定部80は、記録部50の底部に設けられている。図7に示す例では、測定部80は、ノズル面52Aの端部に設けられている。測定部80は、支持部材60の高さ位置を測定する。本例では、測定部80は、センサー81により構成される。センサー81は、例えば、接触式センサーである。このため、測定時には、センサー81が支持部材60に接触するまで記録部50を下降させる。また、キャリッジ51の底部51Aには、媒体Mの側端を検出する幅センサー82が設けられている。幅センサー82は非接触式センサーである。幅センサー82は光学式の検出部82Aを有する。キャリッジ51が走査方向Xに移動する過程で、幅センサー82は媒体Mの側端を検知する。なお、記録部50は、キャリッジ51の背面部に設けられた円筒状のガイド部51Bに挿通されたガイド軸19により走査方向Xに移動可能な状態で支持されている。
図8に示すように、キャリッジ51は、非記録時は、ホーム位置HPで待機し、記録中は、支持部材60と対向する記録領域PAを移動することで、媒体M(図1参照)に対して記録を行う。記録領域PAよりも走査方向Xの外側には測定位置MPが設定されている。キャリッジ51が測定位置MPにあるときに、センサー81が対向する位置には、基準位置測定用の凸部63が突出している。本実施形態では、測定部80は、接触式センサー81を含み、支持部材60のうち記録部50が媒体Mに記録する記録領域PA以外の測定位置MPで、支持部材60の高さ位置を測定する。この測定は、例えば、記録装置11に初めて電源が投入されたとき、または初めて記録の指示を受け付けたときに行われる。また、測定は、初めての測定によって支持部材60の基準位置G0の測定および記憶が行われた後、所定の時間間隔ごとまたは所定の記録回数ごとなどの所定のタイミングで行って、定期的または不定期に基準位置G0を更新してもよい。
詳しくは、キャリッジ51が測定位置MPにあるとき、切替機構72が接続状態とされる。この状態で、ギャップ調整機構70の駆動源である搬送モーター47が駆動されると、その動力は、動力伝達機構48、切替機構72および駆動機構73を介してガイド軸19に伝達され、ガイド軸19が軸回転する。ガイド軸19が軸回転することによりカム機構74,75を介してガイド軸19が昇降し、ガイド軸19に支持された記録部50も昇降する。詳しくは、切替機構72が接続状態にあるとき、搬送モーター47が媒体Mを搬送するときの正転方向と反対の方向である逆転方向に駆動されると、カム機構74,75を構成する各偏心カム76の回転角に応じてキャリッジ51は下降または上昇する。
測定部80が、媒体Mが支持される支持部材60の支持面60Aの高さ位置である基準位置G0を測定するときは、キャリッジ51が図8に二点鎖線で示す測定位置MPにある状態で、測定部80が支持部材60の凸部63に接触するまでキャリッジ51を下降させる。制御部100は、下降する記録ヘッド52の高さ位置を、後述する第3カウンター103の計数値を基に監視し、接触式センサー81が凸部63の端面である被測定面63Aに接触してオンしたときの計数値から凸部63の高さ位置を検出する。この場合、凸部63の突出高さは、リブ61の突出高さと同じでもよいし異なってもよい。本実施形態では、凸部63の上端面である被測定面63Aと、リブ61の支持面60Aとの高さ位置の差は既知であるので、凸部63の被測定面63Aの高さを測定した測定高さから、リブ61の支持面60Aの高さ位置である基準位置G0を算出する。
記録部50は、記録ヘッド52を支持するとともに走査方向Xに移動するキャリッジ51を備える。制御部100は、キャリッジ51を測定位置MPに移動させ、測定部80に支持部材60の高さ位置を測定させる。
図8に示すように、本例では基準位置測定用の凸部63は、支持部材60と一体の構成であるため、支持部材60のフレーム等に対する組付誤差などがあっても、凸部63の高さ位置を検出することにより支持部材60の支持面60Aの高さ位置を測定できる。また、測定部80は、記録ヘッド52に固定されているので、測定部80によって、記録ヘッド52と同じスケールで支持部材60の高さ位置を測定できる。なお、測定対象は、凸部63である必要はなく、支持部材60の一部、支持部材60と一体に組み付けられた部材、支持部材60に対して所定の位置関係を満たしつつ共通のフレーム等に組み付けられた部材であってもよい。
記録装置11は、記録部50およびギャップ調整機構70を制御する制御部100(図12参照)を備える。制御部100は、ギャップ調整機構70を制御し、測定部80が測定した高さ位置を基準位置G0としてギャップ量PGを調整する。制御部100は、媒体種を特定可能な媒体種情報を取得し、基準位置G0に対して媒体種に応じたギャップ量に調整する。ここで、測定部80は、キャリッジ51が測定位置MPにあるときに、測定対象の凸部63の端面の高さ位置を測定し、その測定値から支持部材60において媒体Mが支持される支持面60Aの高さ位置を基準位置G0として測定する。
また、図8に示すように、キャリッジ51が非記録中に待機するホーム位置HP側には、メンテナンス装置90が配置されている。メンテナンス装置90はキャップ91を有する。キャリッジ51がホーム位置HPに移動したときの記録ヘッド52は、キャップ91がノズル面52Aに接触するキャッピング状態とされることで、ノズル58N内の液体の乾燥が防止される。また、キャップ91をノズル面52Aに接触させたキャッピング状態で、ノズル面52Aとキャップ91とにより囲まれた略閉空間を負圧にすることでノズル58Nから液体を強制的に排出させることで、ノズル58N内の増粘したインク等の液体および液体中の気泡等を除去するクリーニングが行われる。
<ガイド軸の回転角とギャップ量との関係>
図9は、ガイド軸19の回転角と、ギャップ量PGとの関係を示す。このグラフにおいて、横軸がガイド軸19の回転角、縦軸がギャップ量である。図9に示すように、ガイド軸19が1回転の軸回転をする間に、記録ヘッド52と支持部材60とのギャップ量PGが、ギャップ量PG1〜PG4に順次変化する。ここで、ギャップ量PGの大きさは、PG1<PG2<PG3<PG4の関係にある。偏心カム76のカム面76Aは、側面視で偏心した円であり、偏心カム76の回転によってギャップ量PGを無段階に調整可能である。このため、ガイド軸19が1回転する間に、ギャップ量PGは、図9に示すように変化する。すなわち、ガイド軸19が1回転する間に、ギャップ量PGは、連続的に変化し、ガイド軸19の回転角がθ1,θ2,θ3,θ4にあるとき、それぞれ第1ギャップ量PG1、第2ギャップ量PG2、第3ギャップ量PG3、第4ギャップ量PG4をとる。次にギャップ量PGは連続的に減少し、最小ギャップに至る。ガイド軸19の回転角は、搬送系のエンコーダー49の検出信号に基づいて検出される。ここで、図9において、基準位置G0からの設定ギャップ量として、設定ギャップ量ΔPG1,ΔPG2,ΔPG3,ΔPG4が設定されている。本実施形態では、支持面60Aの高さ位置である基準位置G0は、記録装置11の個体差によって変動する。基準位置G0に対して、設定ギャップ量ΔPG1,ΔPG2,ΔPG3,ΔPG4を加算した位置を、媒体種に応じたギャップ量PG1,PG2,PG3,PG4に設定する。つまり、添字を「n」とすると、ギャップ量PGnは、PGn=G0+ΔPGn(但し、nは1,2,…,k)で示される。ここで、kは、ギャップ量の切替段数である。これらのギャップ量PG1,PG2,PG3,PG4は、原点検出部93が原点を検出したときの記録部50の高さ位置である原点高さを基準とする高さ位置で示される。詳しくは、ギャップ量PGは、原点検出部93が原点を検出した時にリセットされる後述する第3カウンター103(図12参照)が、エンコーダー49からの検出信号のパルスエッジを計数した計数値で示される。なお、搬送系と共有するエンコーダー49に替え、ガイド軸19の回転を検出する専用のエンコーダーを設け、このエンコーダーの検出信号に基づいてガイド軸19の回転角を検出してもよい。
図10に示すように、記録部50が測定位置MPにあるとき、測定部80を構成するセンサー81は、基準位置測定用の凸部63と対向する。このとき、記録部50は、被操作部72A(図2、図4参照)を操作位置に押し込んでいる。
ギャップ調整機構70の駆動源である搬送モーター47が駆動されると、ガイド軸19が図10に示す回転角から軸回転し、これに伴ってガイド軸19の両端部に固定された一対の偏心カム76が回転することで、当接部77により偏心カム76を介して支持されたガイド軸19が下降する。図11に示すように、ガイド軸19の下降と共にキャリッジ51が下降し、これにより接触式センサー81は凸部63の上端面である被測定面63Aに接触することで凸部63を検知する。
記録部50の高さ位置は、図12に示す制御部100がエンコーダー49からの検出信号に含まれるパルスのパルスエッジの数を計数することで得られる計数値から取得する。制御部100は、センサー81が凸部63を検知してオンした時の計数値、つまりセンサー81がオンしたときの記録部50の高さ位置から基準位置を取得する。基準位置は、例えば、媒体Mが支持されるリブ61の端面である支持面60Aの高さ位置に換算して取得される。測定が終わると、搬送モーター47が記録部50を下降させたとき回転方向と反対の方向に駆動されることで、記録部50は、所定のギャップ量PGとなる高さ位置に戻される。
<記録装置の電気的構成>
次に、図12を参照して、記録装置11の電気的構成について説明する。図12に示すように、記録装置11は、記録装置11の制御を司る制御部100を備える。制御部100は、記録装置11に対する記録制御を含む各種の制御を行う。制御部100は、自身が実行する全ての処理についてソフトウェア処理を行うものに限られない。たとえば、制御部100は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(たとえば特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、制御部100は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサー、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはそれらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
図12に示すように、制御部100には、出力系として、給送モーター43、搬送モーター47、キャリッジモーター54および記録ヘッド52が、電気的に接続されている。制御部100は、給送モーター43、搬送モーター47、キャリッジモーター54および記録ヘッド52を制御する。給送モーター43は、給送部41の駆動源である。搬送モーター47は、搬送部42およびギャップ調整機構70の駆動源である。
制御部100は、基準位置G0の測定時は、キャリッジモーター54を制御することで、記録部50を測定位置MPに移動させ、次いで搬送モーター47を駆動することでギャップ調整機構70を介して記録ヘッド52を下降させ、測定部80による凸部63の高さ位置の測定を行う。
また、制御部100は、ギャップ調整機構70を駆動させるときは、測定時と同様に記録部50を反ホーム位置AH側のエンド位置まで移動させ、被操作部72Aを押込み操作することで切替機構72を接続状態にする。そして、制御部100は、搬送モーター47を駆動させることで、そのとき記録条件情報の1つとして選択されている媒体種に応じたギャップ量PGに調整する。
制御部100には、入力系として、エンコーダー49、リニアエンコーダー56、測定部80および原点検出部93が電気的に接続されている。エンコーダー49は、ロータリーエンコーダーにより構成される。エンコーダー49は、搬送ローラー44Aの回転を検出するとともに、切替機構72が接続状態にあるときにガイド軸19の回転を検出する。エンコーダー49は、搬送ローラー44A(図4参照)の回転量に比例する数のパルスを含む検出信号を出力する。また、エンコーダー49は、切替機構72が接続状態にあるときにガイド軸19の回転量に比例する数のパルスを含む検出信号を出力する。
また、リニアエンコーダー56は、リニアスケール56A(図4参照)と、キャリッジ51に設けられた不図示の光学センサーとを備える。リニアスケール56Aには光学センサーが読取可能な微小な一定のピッチで多数の透光スリットが形成されている。光学センサーはリニアスケール56Aを光学的に読み取ることで、記録部50の移動量に比例する数のパルスを含む検出信号を出力する。
測定部80は、測定部80が設けられた記録ヘッド52の高さ位置から支持部材60までの鉛直方向Zの距離を測定する。本例の測定部80は、接触式センサーよりなるセンサー81である。測定部80は、鉛直方向Zにおいて記録部50の所定高さ位置から、支持部材60の凸部63までの距離を測定する。記録部50は、その下面に設けられたセンサー81が、支持部材60の凸部63と対向する測定位置MPまで走査方向Xに移動する。本例のセンサー81は、記録部50が測定位置MPにおいて下降する過程で凸部63の上端に接触することで凸部63を検知する。つまり、センサー81は、測定位置MPにおいて記録部50が下降して凸部63の上端に接触したときに検知信号を出力する。
原点検出部93は、ガイド軸19が軸回転するときの原点を検出する。原点検出部93は、ガイド軸19が原点角度にあるときに検知状態となり、ガイド軸19が原点角度以外の回転角度にあるときに非検知状態となる。エンコーダー49は、別の原点検出部(図示略)を有する。切替機構72の切断状態では、ガイド軸19と搬送ローラー44Aとの回転角がずれる可能性がある。そのため、エンコーダー49側の原点検出部は、ガイド軸19と搬送ローラー44Aとの回転角がずれた場合にガイド軸19の回転角を正確に検出できなくなる可能性がある。このため、ガイド軸19と搬送ローラー44Aとの回転角がずれても、ガイド軸19の回転角を正確に検出できるように、ガイド軸19の原点角度を検出する原点検出部93をガイド軸専用に設けている。
制御部100は、測定部80による測定結果から得た基準位置G0と媒体種ごとの設定ギャップ量ΔPG1〜ΔPG4とにより、媒体種ごとの設定ギャップ量ΔPG1〜ΔPG4が得られるガイド軸19の回転位置を不揮発性メモリー104に記憶している。すなわち、不揮発性メモリー104には、媒体種ごとの設定ギャップ量ΔPG1〜ΔPG4を得るための記録ヘッド52の高さ位置を示すギャップ量PG1〜PG1が記憶されている。
詳しくは、次に示す値が媒体種ごとに設定されている。ここで、媒体Mの厚さが薄い方から順に、第1媒体種M1、第2媒体種M2、第3媒体種M3、第4媒体種M4とする。第1媒体種M1にはギャップ量PG1としてG0+ΔPG1が設定され、第2媒体種M2にはギャップ量PG2としてG0+ΔPG2が設定され、第3媒体種M3にはギャップ量PG3としてG0+ΔPG3が設定され、さらに第4媒体種M4にはギャップ量PG4としてG0+ΔPG4が設定されている。ここで、基準位置G0は、記録装置11ごとに個別に異なる。つまり、記録装置11ごとに個別の基準位置G0を用いているので、基準位置G0を基準として設定されたギャップ量PGに調整すれば、そのとき選択されている媒体種に応じた設定ギャップ量ΔPGが得られる。ギャップ量PGは、記録装置11ごとに個別にガイド軸19の回転角と対応付けられている。
図12に示すように、制御部100は、第1カウンター101、第2カウンター102、第3カウンター103および不揮発性メモリー104を有する。第1カウンター101は、給送部41により給送された媒体Mの先端が不図示の媒体検出器により検知されたときの媒体Mの位置を原点位置とし、媒体Mの先端又は後端の位置に相当する値を計数する。第1カウンター101は、搬送ローラー44Aの回転を検出するエンコーダー49から入力する検出信号のパルスエッジの数を計数する。このため、第1カウンター101の計数値は、搬送方向Yにおける媒体Mの先端又は後端の位置を示す。制御部100は、第1カウンター101の計数値を基に搬送系のモーター43,47を制御することにより、媒体Mの給送、搬送および排出を制御する。
第2カウンター102は、キャリッジ51の位置に相当する値を計数する。第2カウンター102は、キャリッジ51がホーム位置HP側の第1規制面17Aに接触した原点位置でリセットされる。第2カウンター102は、リニアエンコーダー56から入力する検出信号のパルスエッジの数を計数する。このため、第2カウンター102の計数値は、キャリッジ51のホーム位置HP側のエンド位置を原点とする走査方向Xにおけるキャリッジ位置を示す。制御部100は、第2カウンター102の計数値を基にキャリッジモーター54を制御することにより、キャリッジ51の速度制御および位置制御を行う。
第3カウンター103は、ガイド軸19の回転角度を計数する。第3カウンター103は、原点検出部93がガイド軸19の原点角度を検出する度にリセットされる。つまり、本例では、搬送ローラー44Aの回転を検出するエンコーダー49が、ガイド軸19の回転角を検出するために流用される。しかし、ガイド軸19の原点角度を正確に取得するために、専用の原点検出部93を用いる。第3カウンター103は、エンコーダー49から入力する検出信号のパルスエッジの数を計数する。このため、制御部100は、第3カウンター103の計数値からガイド軸19の原点角度を基準とする回転角を取得する。ガイド軸19の回転角は、ギャップと対応する値である。このため、制御部100は、第3カウンター103の計数値から、ガイド軸19の回転角に応じたギャップ量PGを取得する。なお、ガイド軸19の回転を検出する専用のエンコーダーを設けてもよい。
また、第3カウンター103は、測定部80が測定する距離の計数にも用いられる。第3カウンター103が計数するガイド軸19の回転角は、記録部50の高さ位置を示す値でもある。制御部100は、測定部80を用いて測定を行うときに、測定部80であるセンサー81が凸部63を検知してオンしたときの検知信号を入力すると、そのときの第3カウンター103の計数値、つまり記録部50の高さ位置を基準位置として取得する。なお、制御部100は、センサー81が凸部63を検知したときの第3カウンター103の計数値を、凸部63とリブ61との高さとの違いなどを補正し、その補正した値を基準位置G0とする。つまり、基準位置G0は、媒体Mが支持されるリブ61の上端面である支持面60Aの高さ位置として取得される。
図12に示す不揮発性メモリー104には、図13にフローチャートで示される基準位置測定処理用のプログラムを含む各種のプログラムPRが記憶されている。また、図12に示すように、不揮発性メモリー104には、制御部100が、測定部80を用いて測定した基準位置G0を含む基準位置データSPが記憶されている。さらに、不揮発性メモリー104には、設定ギャップ量ΔPGを含む設定ギャップ量データSGが記憶されている。設定ギャップ量ΔPGのデータは、媒体種と設定ギャップ量ΔPGとの対応関係を示すテーブルデータである。すなわち、不揮発性メモリー104には、図9に示す媒体種に対応する設定ギャップ量ΔPG1,ΔPG2,ΔPG3,ΔPG4が記憶されている。
制御部100は、不揮発性メモリー104に記憶された設定ギャップ量データSGを参照し、そのときの媒体種に応じた設定ギャップ量ΔPGを選択する。設定ギャップ量ΔPGは、記録装置11の個体差に関わらず共通の値である。つまり、支持面60Aとノズル面52Aとの間に設けるべき媒体種に応じたギャップ量を示す。制御部100は、基準位置G0に、そのときの媒体種に応じた設定ギャップ量ΔPGを加算し、ギャップ量PGを算出する。ギャップ量PGは、記録部50の高さ位置、つまりガイド軸19の回転角を示す計数値で取得される。
次に、記録装置11の作用について説明する。
製造工場で、記録装置11は組み立てられる。例えば、支持部材60は、フレームに対して所定の高さ位置に所定の水平度に組み付けられる。
従来は、製造工場における出荷前検査において、作業者は、ガイド軸19が所定の基準回転角にあるときの記録ヘッド52と支持部材60とのギャップ量が、所定の基準ギャップ量になるように、支持部材60と記録ヘッド52との間にゲージを差し込んで、ガイド軸19の高さ位置を、一対の支持位置調整部材71の調整機能を用いて調整していた。このように、支持部材60に対して所定の基準ギャップ量が得られるように、記録ヘッド52の基準位置出しを行っていた。
本実施形態では、作業者による記録部50の基準位置出しのための調整作業を省略することができる。このため、一対の支持位置調整部材71による位置調整作業を行わないか、簡易な位置調整作業で済ませている。
製造工場における出荷前検査において、作業者は、記録装置11に対して基準位置測定処理の実行を指示する操作を行う。制御部100は、基準位置測定処理の指示を受け付けると、図13にフローチャートで示される基準位置測定処理のプログラムを実行する。この基準位置測定処理では、ギャップ調整を行うときの基準位置G0を設定する。
また、制御部100は、記録装置11の電源オン時に、図13にフローチャートで示される基準位置測定処理を実行してもよい。但し、基準位置測定処理を実行するのは、記録装置11を初めて使用する最初の電源オン時、および前回の電源オン時から所定の時間経過以後の電源オン時であってもよい。この理由は、電源オンの度に記録部50の組付位置が変動することは少ないからである。このため、制御部100は、特定の電源オン時にプログラムPRを実行する。なお、電源オン時は、キャリッジ51は図8に実線で示すホーム位置HPにあり、キャップ91が同図に示す退避位置から上昇して記録ヘッド52のノズル面52Aに接触するキャッピング状態にある。
まず、ステップS11では、制御部100は、キャリッジ51を測定位置まで第1方向X1に移動させる。制御部100は、キャップ91を図8に示す退避位置まで下降させ、次にキャリッジモーター54を正転駆動してキャリッジ51を第1方向X1に向かって測定位置MPまで移動させる。キャリッジ51が図8に二点鎖線で示す測定位置MPにあるとき、センサー81は凸部63と対向する位置にある(図10も参照)。この測定位置MPでは、キャリッジ51は、被操作部72Aを押し込み、切替機構72が接続状態となる。この結果、搬送モーター47の動力が動力伝達機構48と駆動機構73とを介してガイド軸19に動力伝達可能な状態に接続される。
次のステップS12では、制御部100は、測定を行う。制御部100は、搬送モーター47を逆転駆動させることにより、ガイド軸19を一方向に軸回転させて、記録部50を下降させる。センサー81が凸部63に接触する位置まで下降して凸部63を検知したか否かを判定する。これに先立ち、記録部50が原点を示す所定高さ位置を経由し、第3カウンター103は、原点検出部93が原点を検出したときにリセットされ、リセット後にエンコーダー49から入力する検出信号のパルスエッジを計数することにより、記録部50の原点高さを基準とする高さ位置を示す計数値を計数する。測定部80を構成するセンサー81が凸部63を検知してオンすると、制御部100は、センサー81がオンしたときの第3カウンター103の計数値を、測定値として取得する。
ステップS13では、制御部100は、測定値に基づき基準位置G0を算出する。制御部100は、凸部63の端面である被測定面63A(図11参照)の高さ位置が第3カウンター103の計数値で示される測定値と、凸部63とリブ61との高さの差である既知情報とを用いて、支持面60Aの高さ位置である基準位置G0(図9参照)を算出する。
ステップS14では、制御部100は、基準位置G0を不揮発性メモリー104に記憶する。こうして、不揮発性メモリー104に基準位置G0が記憶される。ここで、支持部材60に対する記録部50の組付高さは調整されていないか、簡易な調整なので、記録ヘッド52の高さ位置の精度は粗い。また、記録装置11ごとに支持部材60に対する記録部50の組付高さが異なる。ガイド軸19が所定の基準回転角にあるときの記録ヘッド52と支持部材60とのギャップ量は、記録装置11の個体ごとにばらついている。
その後、ユーザーが、タッチパネル式の表示部25に表示された操作部を操作したり、不図示のホスト装置からマウス等のポインティングデバイスを操作したりして、記録装置11に対して記録の指示を行うと、制御部100は、記録データを受信する。記録データには、記録条件情報および画像データが含まれる。記録条件情報には、媒体種、媒体サイズ、記録モード等の情報が含まれる。制御部100は、記録条件情報等に基づいて搬送モーター47およびキャリッジモーター54を制御するとともに、画像データに基づいて記録ヘッド52を駆動制御することで、画像データに基づく画像等を媒体Mに記録する。
この画像の記録に先立って、制御部100は、記録条件情報に含まれる媒体種情報を基に設定ギャップ量データSGを参照し、設定ギャップ量ΔPG1,ΔPG2,ΔPG3,ΔPG4のうちそのときの媒体種に対応する1つの設定ギャップ量ΔPGを取得する。そして、制御部100は、現在の設定ギャップ量がその取得した設定ギャップ量ΔPGと異なる場合、キャリッジモーター54を駆動してキャリッジ51を反ホーム位置AHに移動させ、被操作部72Aを押し込むことで切替機構72を接続状態にする。次に、制御部100は、ギャップ調整機構70の駆動源である搬送モーター47を駆動し、ガイド軸19を軸回転させることで、ギャップ量を切り替える。このとき、制御部100は、記録装置11ごとの支持面60Aの高さ位置である基準位置G0のデータを、不揮発性メモリー104から読み出し、読み出した基準位置G0に、そのときの媒体種に応じた設定ギャップ量ΔPGを加算して求めたギャップ量PGに記録ヘッド52の高さ位置を調整する。
こうして、媒体Mが第1媒体種であれば、記録ヘッド52は、PG1=G0+ΔPG1の高さ位置に調整される。また、媒体Mが第2媒体種であれば、記録ヘッド52は、PG2=G0+ΔPG2の高さ位置に調整される。さらに、媒体Mが第3媒体種であれば、記録ヘッド52は、PG3=G0+ΔPG3の高さ位置に調整される。また、媒体Mが第4媒体種であれば、記録ヘッド52は、PG4=G0+ΔPG4の高さ位置に調整される。ここで、第1媒体種は例えば普通紙、第2媒体種は例えば写真紙等の厚紙、第3媒体種は例えば封筒、第4媒体種は例えばCD−RやDVD等の記憶ディスクである。なお、媒体種に応じたギャップ量の切替段数を4段階の例を示したが、ギャップ量が4段階以外の複数段階に切り替えられる構成でもよい。
第1実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)記録装置11は、搬送部42と、支持部材60と、記録ヘッド52を有する記録部50と、記録部50に設けられ、支持部材60の高さ位置を測定する測定部80と、ギャップ調整機構70と、制御部100とを備える。ギャップ調整機構70は、記録ヘッド52と支持部材60とのギャップ量を無段階で調整することにより媒体種に応じたギャップ量に切替可能に構成される。制御部100は、測定部80が測定した支持部材60の高さ位置を基準位置G0としてギャップ量を調整する。
ところで、支持部材60と記録部50とのうち少なくとも一方の組付位置のばらつきによって、支持部材60と記録ヘッド52とのギャップ量は、記録装置11ごとの個体差によるばらつきを含む。この構成によれば、測定部80が支持部材60の高さ位置を測定し、その測定された支持部材60の高さ位置を基準位置G0として媒体種に応じたギャップ量が得られるようにギャップ調整機構70が制御される。よって、支持部材60と記録ヘッド52との組付位置にばらつきあるままでも、支持部材60と記録ヘッド52との間のギャップ量を適切な値に調整できる。このため、記録装置11の出荷前に、記録部50の組付位置を調整する調整作業を簡易または廃止しても、適切なギャップ量に調整できる。
このため、記録装置11の出荷前における支持部材60と記録部50との組付位置の調整作業を軽減または廃止し、調整作業の作業負担を軽減できる。また、従来、調整作業時に使用されるゲージが記録ヘッド52に接触すると、記録ヘッド52を損傷させる心配があったが、ゲージを用いた調整作業を廃止できるので、記録ヘッド52の損傷も防止できる。さらに、出荷された記録装置11の運搬中の振動によって、支持部材60と記録部50との調整後の組付位置がずれてしまった場合、その後の記録時におけるギャップ量の精度が低下してしまう。これに対して本実施形態の記録装置11は、組付位置がずれても、そのずれた組付位置に合わせて基準位置G0が設定されるので、記録時に精度の高いギャップ量に調整できる。
(2)制御部100は、基準位置G0に対して、取得した媒体種情報から特定される媒体種に応じた設定ギャップ量ΔPGを加えたギャップ量に調整する。よって、媒体種に応じた適切なギャップ量に調整することができる。
(3)記録部50は、記録ヘッド52を支持するとともに走査方向Xに移動するキャリッジ51を備える。制御部100は、キャリッジ51を測定位置MPに移動させ、測定部80に支持部材60の高さ位置を測定させる。よって、シリアル記録方式の記録装置11において、媒体種に応じた適切なギャップ量に調整できる。
(4)測定部80は、接触式センサー81,84を含み、測定部80は、支持部材60のうち記録部50が媒体Mに記録する記録領域PA以外の測定位置MPで、支持部材60の高さ位置を測定する。例えば、支持部材60のうち記録領域PAの部分には、媒体Mへの記録に用いられるインク等の記録材が付着している場合がある。接触式センサー81を支持部材60のうち記録領域PA以外の測定位置MPで被測定部である凸部63に接触させて支持部材60の高さ位置を測定するので、接触式センサー81を支持部材60の記録領域PA内の箇所に接触させる構成に比べ、測定時に接触式センサー81にインク等の記録材が転写されにくい。このため、記録中の媒体Mが仮に浮き上がって記録部50の接触式センサー81に接触しても、媒体Mが汚れにくい。
(第2実施形態)
次に、図14〜図17を参照して第2実施形態の記録装置11について説明する。この実施形態では、測定部80を構成するセンサーが、非接触式センサーである点が、第1実施形態と異なる。非接触式センサーであるので、測定対象と接触する必要がないので、リブ61の端面である支持面60Aを測定対象とする。支持面60Aを非接触で測定するので、非接触式センサーがリブ61の支持面60Aに付着したインク等の液体によって汚れる心配がない。
図14に示すように、測定部80を非接触式センサーで構成する場合、非接触式センサーとして、幅センサー82を用いる構成でもよいし、幅センサー82とは別の非接触式センサー83を用いる構成でもよい。図14に示すように、幅センサー82は、光を出射する発光部と、発光部からの出射された光の反射光を受光する受光部とを含む検出部82Aを有する。また、幅センサー82とは別の非接触式センサー83を測定部80として用いる場合、非接触式センサー83は、記録ヘッド52のノズル面52Aにおいて図14に二点鎖線で示す位置に配置されてもよい。非接触式センサー83は、ノズル面52Aのうちノズル列58の配置領域以外の領域に配置される。図14に示す例では、非接触式センサー83は、ノズル面52Aの周縁部に配置されている。ここで、非接触式センサー83は、例えば、光学式センサーであり、支持部材60側に光を投じる投光部と、支持部材60側からの光を受けて光に応じた電圧を発生させる受光部とを有する。非接触式センサー83は受光部が発生した電圧を検出信号として出力する。なお、非接触式センサー83は、距離を検出可能な他の方式の距離センサーでもよく、光学方式に替え、超音波方式や磁気方式でもよい。なお、幅センサー82と非接触式センサー83とを特に区別しない場合、幅センサー82を非接触式センサー82ともいう。
図15は、幅センサー82の検出特性を示す。図15に示すグラフの横軸は距離L、縦軸は電流出力値となっている。このグラフにおいて、距離Lが0.2〜2.8mmの範囲GAでは、距離Lが大きくなるほど電流出力値が一様な傾きで大きくなる特性を有している。すなわち、検出される距離Lが0.2〜2.8mmの範囲GAでは、非接触式の幅センサー82から出力される電流出力値から検出距離が一義的に定まる。
また、非接触式センサー83は、例えば、距離センサーであり、検出する距離に対応する電流出力値を出力する。距離センサーであるセンサー83は、光学式の距離センサーでもよいし、超音波式の距離センサーでもよいし、磁気式の距離センサーでもよい。
図16に示すように、測定部80は、非接触式センサー82又は83により構成され、リブ61を測定対象とする構成なので、支持部材60は凸部63を有していない。本実施形態では、測定部80は、非接触式センサー82又は83を含み、非接触式センサー82又は83は、支持部材60のうち記録部50による媒体Mへの記録が行われる記録領域PA内の測定位置で支持部材60の高さ位置を測定する。測定位置は、非接触式センサー82又は83が、媒体Mを支持するリブ61の端面である支持面60Aと対向する位置である。記録部50は、走査方向Xに第1測定位置x1と第2測定位置x2とを含む複数の測定位置で、測定部80によりリブ61の端面である支持面60Aの高さ位置を測定する。すなわち、測定部80は、複数の測定位置x1,x2で、支持面60Aの高さ位置である基準位置G0を測定する。例えば、走査方向Xに位置の異なる複数の測定位置で測定部80により測定された支持面60Aの高さ位置の平均値を基準位置G0とする。また、例えば、走査方向Xに位置の異なる複数の測定位置で測定部80により測定された支持面60Aの高さ位置が許容値を超えて異なる場合、記録部50が走査方向に移動する過程で走査方向Xの異なる位置で、支持部材60と記録ヘッド52とのギャップ量が異なることになる。
制御部100は、走査方向Xに異なる複数の位置でギャップ量が異なる場合、ギャップ量が異なることに起因するドットの位置ずれを抑制するためにノズル58Nから液滴を吐出する吐出タイミングを制御する。
非接触式センサー82又は83は、記録部50が測定位置x1,x2を含む複数の測定位置にあるときに、リブ61までの距離を検出する。このとき、非接触式センサー82又は83が走査方向Xに位置の異なる複数の測定位置で検出した距離の差から、支持部材60に対する記録ヘッド52の移動経路の傾きが検出される。つまり、非接触式センサー82又は83は、複数の測定位置で記録ヘッド52のノズル面52Aと、支持部材60の支持面60Aとのギャップ量を検出する。走査方向Xに異なる位置間でギャップ量が異なると、ノズル58Nからの液滴の吐出タイミングが同じでも、吐出された液滴が媒体Mの表面に着弾するタイミングが異なるので、媒体Mに液滴が着弾してできるドットの位置が走査方向Xにずれる。
このため、本実施形態では、ノズル58Nから液滴を吐出する吐出タイミングを制御することで、吐出された液滴が媒体Mの表面に着弾してできるドットの位置を走査方向Xに揃える。この場合、制御部100は、ギャップ量に応じてノズル58Nから吐出タイミングを調整する。すなわち、制御部100は、記録ヘッド52が、第1ギャップ量の位置にあるときの第1吐出タイミングよりも、第1ギャップ量よりも小さい第2ギャップ量の位置にある第2ノズルの第2吐出タイミングよりも遅くする。これによりノズル58Nから吐出された液滴が媒体Mに着弾したときにできるドットの走査方向Xのずれを抑制できる。
また、制御部100は、媒体Mの厚さに応じたギャップ量に調整してもよい。制御部100は、図17に示すように、支持部材60に支持される位置まで媒体Mを搬送し、測定部80により媒体Mの表面の高さ位置である媒体高さ位置を測定し、基準位置G0と媒体高さ位置との差に基づき媒体厚を取得する。制御部100は、ギャップ調整機構70を制御して媒体厚に応じたギャップ量に調整する。
制御部100は、媒体厚を基に媒体種を特定し、ギャップ調整機構70を制御することにより、支持部材60と記録ヘッド52とのギャップ量を、媒体種に応じた値に調整する。
図17に示すように、媒体Mを支持部材60の支持面60Aに支持される位置まで予備搬送する。測定部80により媒体Mの表面までの距離を測定する。詳しくは、非接触式センサー82又は83がリブ61の端面である支持面60Aまでの距離を検出する。このとき、媒体Mの幅は、媒体サイズ情報から既知であるので、制御部100は、記録部50を非接触式センサー82又は83が媒体Mと対向する位置まで移動させる。媒体Mと対向する位置にある非接触式センサー82又は83が検出した距離から媒体Mの厚さを検出する。すなわち、制御部100は、媒体Mがないときに非接触式のセンサー82又は83が検出した支持面60Aまでの距離である第1距離L1と、媒体Mが予備搬送されたときに非接触式センサー82又は83が検出した媒体Mの表面までの距離である第2距離L2との差ΔL=L1−L2を計算して媒体Mの厚さ(媒体厚)を測定する。そして、制御部100は、測定した媒体厚に応じたギャップ量に調整する。媒体種と設定ギャップ量との対応関係を示す設定ギャップ量データSGが不揮発性メモリー104に記憶されている。ここで、媒体種が同じでも媒体厚が異なる媒体Mが存在する。例えば、媒体種が「普通紙」でも、厚さが異なるものが存在する。例えば、「普通紙」では、厚さ0.1mmの媒体Mと、厚さ0.15mmの媒体Mとでは、支持部材60と記録ヘッド52とのギャップ量(プラテンギャップ量)が同じでも、媒体Mの表面と記録ヘッド52のノズル面52Aとのギャップ量であるメディアギャップ量が異なる。そのため、本実施形態では、媒体種が同じであっても、媒体厚さが異なる場合、メディアギャップ量が同じになるように調整してもよい。
第2実施形態によれば、第1実施形態における効果(1)〜(3)が同様に得られる他、以下に示す効果が得られる。
(5)記録装置11は、搬送部42と、支持部材60と、記録ヘッド52を有する記録部50と、記録部50に設けられ、支持部材60の高さ位置である基準位置G0を測定する測定部80と、ギャップ調整機構70と、制御部100とを備える。ギャップ調整機構70は、記録ヘッド52と支持部材60とのギャップ量を無段階で調整可能に構成される。制御部100は、支持部材60に支持される位置まで媒体Mを搬送し、測定部80により媒体Mの表面の高さ位置である媒体高さ位置を測定し、基準位置G0と媒体高さ位置との差に基づき媒体厚を取得し、ギャップ調整機構70を制御して媒体厚に応じたギャップ量に調整する。よって、媒体厚に応じたギャップ量に調整できる。このため、媒体Mと記録ヘッド52とのギャップ量を適切な値に調整でき、媒体Mに記録するときの記録位置精度が向上する。また、制御部100に与えた媒体種情報が間違っていたり、制御部100に媒体種情報を与えなかったりしても、適正なギャップ量で媒体Mに記録することができる。
(6)制御部100は、媒体厚を基に媒体種を特定し、ギャップ調整機構70を制御することにより、支持部材60と記録ヘッド52とのギャップ量を、媒体種に応じた値に調整する。よって、支持部材60と記録部50との組付位置が調整なされていない記録装置11でも、記録時に媒体種に応じた適切なギャップ量に調整できる。また、媒体種情報を与えなくても、また与えた媒体種情報が間違っていても、適切な媒体種に応じたギャップ量に調整することができる。
(7)制御部100は、ギャップ調整機構70を制御し、媒体Mと記録ヘッド52との間のメディアギャップ量を、媒体種と媒体厚とに応じた値に調整する。よって、媒体種と媒体厚とに応じた適切なメディアギャップ量に調整できる。この結果、媒体Mに高い記録精度で記録を行うことができる。
(8)測定部80は、非接触式センサー82,83を含み、非接触式センサー82,83は、支持部材60のうち記録部50が媒体Mに記録する記録領域PA内の測定位置で支持部材60の高さ位置を測定する。よって、非接触式センサー82,83なので、支持部材60のうち記録領域PA内の測定位置で支持部材60の被測定部であるリブ61の高さ位置を測定することで、支持部材60の高さ位置を測定しても、非接触式センサー82,83がインク等の記録材によって汚れる可能性が低い。そのため、記録中に媒体Mが浮き上がって記録部50の非接触式センサー82,83に接触しても、媒体Mが記録材で汚れる可能性が低い。
(第3実施形態)
次に、図18〜図21を参照して第3実施形態の記録装置11について説明する。なお、記録装置11の基本的な構成は、第1実施形態と同様である。測定部80及び測定対象の構成および測定結果を用いた制御の一部の内容が、前記各実施形態と異なる。
図18に示すように、記録部50の底部には、搬送方向Yに異なる位置に複数の測定部80が設けられている。本実施形態では、搬送方向Yに位置の異なる複数の測定部80は、キャリッジ51の底部51Aに固定された記録ヘッド52のノズル面52Aに設けられている。図18に示す例では、測定部80は、ノズル面52Aの搬送方向Yに異なる端部に設けられている。測定部80は、支持部材60の高さ位置を測定する。本例では、測定部80は、複数のセンサー84を備える。すなわち、測定部80は、接触式センサー84により構成される。
図19に示すように、本実施形態では、測定部80は、接触式センサー84を含み、支持部材60のうち記録部50が媒体Mに記録する記録領域PA以外の測定位置MPで、支持部材60の高さ位置を測定する。記録部50が測定位置MPにあるとき、測定部80は、接触式センサー84が支持部材60のうち記録領域PA以外の位置に突出する凸部63の端面である被測定面63Aを検知することで、被測定面63Aの高さ位置を測定する。制御部100は、測定部80が測定した被測定面63Aの高さ位置から、被測定面63Aと支持面60Aとの高さの差である既知情報を用いて、支持部材60の支持面60Aの高さ位置である基準位置G0を測定する。
図18に示すように、複数のセンサー84は、媒体Mの搬送方向Yに異なる位置に設けられる。測定部80は、複数のセンサー84を用いて、支持部材60における搬送方向Yに異なる複数の位置で複数の高さ位置を測定する。制御部100は、複数の高さ位置を基に、基準位置G0と、支持部材60に対する記録ヘッド52の搬送方向における傾きとを取得する。換言すれば、制御部100は、複数の高さ位置を基に、支持部材60と記録ヘッド52との搬送方向Yにおける相対的な傾きを取得する。また、図18に示す記録ヘッド52は、搬送方向Yの位置が異なる第1ノズル58Nと第2ノズル58Nとを含むノズル群の一例としてのノズル列58を有する。なお、第1ノズル58Nと第2ノズル58Nは、搬送方向Yの位置が異なればどの2つのノズル58Nでもよいし、異なるノズル列58に属する2つのノズル58Nであってもよい。
制御部100は、支持部材60における第1ノズル58Nと対向する位置を基準位置としてギャップ量に調整する。また、制御部100は、第1ノズル58Nの吐出タイミングに対して、支持部材60と記録ヘッド52との搬送方向における相対的な傾きに応じたギャップ量の差分に応じて第2ノズルの吐出タイミングをずらす。
図19に示すように、キャリッジ51は、非記録時は、ホーム位置HPで待機し、記録中は、支持部材60と対向する記録領域PAを移動することで、媒体M(図1参照)に対して記録を行う。記録領域PAよりも走査方向Xの外側には測定位置MPが設定されている。キャリッジ51が測定位置MPにあるときに、センサー84が対向する位置には、基準位置測定用の凸部63が突出している。
測定時には、センサー84が測定対象の凸部63に接触するまで記録部50を下降させる。搬送方向Yに異なる位置に複数のセンサー84を設けることにより、記録ヘッド52のノズル面52Aの搬送方向Yにおける傾きを検出する。
キャリッジ51が測定位置MPにあるとき、切替機構72が接続状態とされる。この状態で、ギャップ調整機構70の駆動源である搬送モーター47が駆動されると、その駆動力は、動力伝達機構48、切替機構72および駆動機構73を介してガイド軸19に伝達され、ガイド軸19が軸回転する。ガイド軸19が軸回転することによりカム機構74,75を介してガイド軸19と共に記録部50が昇降する。詳しくは、切替機構72が接続状態にあるとき、搬送モーター47が媒体Mを搬送するときの正転方向と反対の方向である逆転方向に駆動されると、カム機構74,75を構成する各偏心カム76の回転角に応じてキャリッジ51は下降または上昇する。
測定部80が、媒体Mが支持される支持面60Aの基準高さを測定するときは、キャリッジ51が図19に二点鎖線で示す測定位置MPにある状態で、測定部80が支持部材60の凸部63に接触するまでキャリッジ51を下降させる。制御部100は、下降する記録ヘッド52の高さ位置を第3カウンター103の計数値を基に監視し、接触式センサー84が凸部63の被測定面63Aに接触してオンしたときの計数値から凸部63の高さ位置を検出する。
この場合、第1実施形態と同様に、凸部63の突出高さは、リブ61の突出高さと同じでもよいし異なってもよい。制御部100は、凸部63の上端面である被測定面63Aと、リブ61の支持面60Aとの高さ位置の差は既知であるので、測定された凸部63の被測定面63Aの高さ位置から、リブ61の支持面60Aの高さ位置である基準位置G0を算出する。
図20に示すように、キャリッジ51が測定位置MPにあるとき、搬送方向Yに位置の異なる2つの接触式センサー84と鉛直方向Zの下側に対向する位置には、一対の凸部63が配置されている。一対の凸部63の間は、凸部63の上端面である被測定面63Aよりも低く凹んだ凹部64となっている。凹部64は、記録ヘッド52のノズル面52Aに形成されたノズル列58と対向する。複数の接触式センサー84が接触する被測定面63Aは、測定時に記録部50が下降するときに記録部50における接触式センサー84以外の部分が対向する部分よりも高い位置にある。本実施形態では、被測定面63Aは、測定時に記録部50が下降するときに記録ヘッド52における接触式センサー84以外の部分が対向する部分よりも高い位置にある。支持部材60は、走査方向Xにおいて記録領域PA外の位置に、凹みを挟む両側に測定対象となる一対の凸部63を備える。なお、複数の接触式センサー84をキャリッジ51の下面に設けてもよい。この場合、被測定面63Aは、測定時に記録部50が下降するときに記録部50における接触式センサー84以外の部分である記録ヘッド52と対向する部分よりも高い位置にあってもよい。
このため、図21に示すように、記録部50が、接触式センサー84で凸部63の被測定面63Aを検知するまで下降したとき、ノズル面52Aのうち接触式センサー84以外の部分が凸部63と接触する心配がない。特に、ノズル列58は凹部64と対向するので、凸部63と接触する心配がない。
図20に示すように、複数の接触式センサー84に弾性を持たせている。接触式センサー84は、凸部63の被測定面63Aに接触したときに縮むことが可能な弾性部材85を備える。本例では、弾性部材85は、ばねである。接触式センサー84は、弾性部材85により下方に付勢されている。接触式センサー84は、被測定面63Aに接触したときに、弾性部材85の付勢力に抗して検知時の位置よりも上方に没するよう退避する。なお、弾性部材85は、ゴムでもよい。
図21に示すように、支持部材60と記録ヘッド52とが搬送方向Yに傾いていると、測定時に記録部50が下降したときに、まず一方の接触式センサー84が凸部63の被測定面63Aに接触して検知状態になる。その後、さらに記録部50が下降すると、他方の接触式センサー84が凸部63の被測定面63Aに接触して検知状態になる。このとき、先に被測定面63Aに接触した一方の接触式センサー84が弾性部材85の付勢力に抗して上方に没するように退避することで、他方の接触式センサー84が被測定面63Aに接触するまで記録部50のさらなる下降が可能となる。これにより、接触式センサー84であっても、搬送方向Yに異なる位置にある2つの凸部63の被測定面63Aに接触するまでの下降距離を計測することにより、搬送方向Yに位置の異なる2つの凸部63の高さ位置を測定する。そして、凸部63の高さ位置とリブ61の高さ位置との差が既知であることから、制御部100は、測定した凸部63の被測定面63Aの高さ位置から、支持部材60の支持面60Aの高さ位置である基準位置G0を算出する。制御部100は、基準位置G0を不揮発性メモリー104に記憶する。なお、図21では、支持部材60が傾く例を示すが、支持部材60が水平に組み付けられ、記録部50が支持部材60に対して傾く場合がある。
ギャップ調整時には、制御部100は、不揮発性メモリー104から、基準位置G0と媒体種に応じた設定ギャップ量ΔPGnとを読み出すか、あるいは予め算出して媒体種に対応付けて記憶してあるギャップ量PGn=G0+ΔPGnを不揮発性メモリー104から読み出す。制御部100は、キャリッジ51を反ホーム位置AH側のエンド位置まで移動させた状態で搬送モーター47を駆動することで、キャリッジ51を鉛直方向Zに変位させ、第3カウンター103の計数値が、ギャップ量PGn=G0+ΔPGn(図9参照)の値に達すると、搬送モーター47の駆動を停止させる。この結果、支持部材60と記録ヘッド52とのギャップ量が、媒体種に応じた設定ギャップ量ΔPGに調整される。
第3実施形態によれば、第1実施形態における効果(1)〜(4)が同様に得られる他、以下に示す効果が得られる。
(9)測定部80は、複数のセンサー84を備える。よって、複数のセンサー84で支持部材60の高さ位置を複数箇所で測定することで、複数のセンサー84の位置の異なる2点間の方向における支持部材60と記録部50との相対的な傾きを測定することができる。よって、制御部100は、支持部材60と記録ヘッド52との相対的な傾きに応じて記録ヘッド52から液体を吐出する吐出タイミングを制御することで、傾きに起因する媒体Mへの液体の着弾位置のずれを抑制することができる。
(10)複数のセンサー84は、媒体Mの搬送方向Yに異なる位置に設けられ、支持部材60における搬送方向Yに異なる複数の位置で複数の高さ位置を測定する。制御部100は、複数の高さ位置を基に、基準位置G0と、支持部材60と記録ヘッド52との搬送方向における相対的な傾きとを取得する。記録ヘッド52は、搬送方向Yの異なる位置に第1ノズル58Nと第2ノズル58Nとを含むノズル列58を有する。制御部100は、支持部材60における第1ノズル58Nと対向する位置を基準位置G0としてギャップ量に調整する。また、制御部100は、第1ノズル58Nの吐出タイミングに対して、相対的な傾きに応じたギャップ量の差分に応じて第2ノズル58Nの吐出タイミングをずらす。よって、支持部材60と記録ヘッド52との間に搬送方向Yの傾きのずれがあって搬送方向Yの位置の違いによってギャップ量が異なっていても、第1ノズル58Nと第2ノズル58Nのそれぞれから吐出された液体の着弾位置の搬送方向Yにおける位置ずれを抑制することができる。
(11)複数の接触式センサー84に弾性を持たせる。よって、複数の接触式センサー84のそれぞれが測定する支持部材60の高さ位置が異なっていても、それぞれの高さ位置を測定することができる。例えば、高さ位置の違いから、支持部材60と記録ヘッド52との相対的な傾きを測定することができる。
(12)複数の接触式センサー84が接触する被測定部である凸部63は、測定時に記録部50が下降するときに記録部50における接触式センサー84以外の部分が対向する部分よりも高い位置にある。よって、接触式センサー84が被測定部である凸部63に接触する位置まで下降したときに記録部50の接触式センサー84以外の部分が、他の部材に接触することを防止することができる。特に、測定時に記録ヘッド52が対向する位置にある他の部材に接触することを防止することができる。
(第4実施形態)
次に、図22〜図26を参照して第4実施形態の記録装置11について説明する。
図22に示すように、記録部50の底部には、搬送方向Yに異なる位置に複数の測定部80が設けられている。本実施形態では、搬送方向Yに位置の異なる複数の測定部80は、キャリッジ51の底部51Aに固定された記録ヘッド52のノズル面52Aに設けられている。図22に示す例では、測定部80は、ノズル面52Aにおける搬送方向Yの両端部に設けられている。測定部80は、支持部材60の高さ位置を測定する。本例では、測定部80は、複数の非接触式センサー86を備える。非接触式センサー86は、例えば、光学式センサーであるが、超音波方式または磁気方式の距離センサーでもよい。
図23に示すように、本実施形態の記録装置11は、第1実施形態と基本的な構成が同じであるギャップ調整機構70を備える。すなわち、ギャップ調整機構70は、キャリッジ51を移動可能に支持するガイド軸19の両端部を支持する一対のカム機構74,75を備え、ガイド軸19の軸回転による偏心カム76の回転によってガイド軸19の高さ位置を変更することによって、ギャップ量を調整する。本実施形態のギャップ調整機構70は、走査方向Xに異なる位置間でギャップ量のずれを小さく補正する補正機構78を備える。図23に示すように、補正機構78は、ガイド軸19の両端部の高さ位置を個別に調整可能な機構である。補正機構78は、ガイド軸19の両端部に設けられている2つの偏心カム76のうち一方を、ガイド軸19と一体回転可能な接続状態と、ガイド軸19と一体回転しない非接続状態との間で切り替え可能なクラッチ機構79を備える。図23に示す例では、2つの偏心カム76のうち反ホーム位置AH側に位置する一方の偏心カム76にクラッチ機構79を設けているが、ホーム位置HP側に位置する一方の偏心カム76にクラッチ機構79を設けてもよい。制御部100は、幅方向Xに位置の異なる複数の高さ位置のずれ量を小さくするように補正機構78を制御する。
図23に示すクラッチ機構79は、一方の偏心カム76とガイド軸19とを一体回転可能な接続状態と、一方の偏心カム76とガイド軸19とを一体回転させない非接続状態とに切替可能である。クラッチ機構79が接続状態にあるとき、2つの偏心カム76とガイド軸19とは一体回転可能であり、ガイド軸19の回転と共に2つの偏心カム76は同じ回転量だけ回転する。クラッチ機構79が非接続状態にあるとき、2つの偏心カム76のうち一方の偏心カム76はガイド軸19が回転しても回転せず、他方の偏心カム76のみがガイド軸19と同じ回転量だけ回転する。このため、2つの偏心カム76の回転角を個別に調整することができ、ガイド軸19の両端部の高さ位置が個別に調整される。これにより、支持部材60に対するガイド軸19の走査方向Xの傾きを調整することが可能である。つまり、支持部材60とガイド軸19とが走査方向Xに傾いていても、その傾きを無くす又は小さくして走査方向Xにおけるギャップ量の変動を許容範囲内に収めることが可能である。
そして、クラッチ機構79が接続状態にあるとき、ガイド軸19の回転と共に2つの偏心カム76が回転することで、ギャップ量を調整可能なギャップ調整機構70として機能する。制御部100がクラッチ機構79を制御して第1接続状態を選択することで、補正機構に切り替え、第2接続状態を選択することで、ギャップ調整機構に切り替えることができる。
本実施形態では、測定部80は、非接触式センサー86を含む。非接触式センサー86は、支持部材60のうち記録領域PA内の測定位置で高さ位置を測定する。測定位置は、非接触式センサー86が、リブ61の端面である支持面60Aと対向する位置である。測定時に、キャリッジ51は測定位置x1,x2を含む複数の測定位置に順次移動する。測定部80は、記録部50の走査方向X(媒体Mの幅方向X)に異なる位置で支持部材60の高さ位置を測定する。
複数のセンサー86は、媒体Mの搬送方向Yに異なる位置に設けられる。測定部80は、複数のセンサー86を用いて、支持部材60における搬送方向Yに異なる複数の位置で複数の高さ位置を測定する。制御部100は、複数の高さ位置を基に、基準位置G0と、支持部材60と記録ヘッド52との搬送方向Yにおける相対的な傾きとを取得する。また、記録ヘッド52は、搬送方向Yの異なる位置に第1ノズル58Nと第2ノズル58Nとを含むノズル群としてのノズル列58を有する。なお、シリアル記録方式の本実施形態では、制御部100は、複数の高さ位置を基に、支持部材60と記録ヘッド52の移動経路との搬送方向Yにおける相対的な傾きを取得する。
制御部100は、搬送方向Yにおいて第1ノズル58Nと対向する位置を基準位置としてギャップ量を調整する。また、制御部100は、第1ノズル58Nの吐出タイミングに対して、支持部材60と記録ヘッド52との相対的な傾きに応じたギャップ量の差分に応じて第2ノズル58Nの吐出タイミングをずらす。
複数のセンサー86は、走査方向Xに異なる位置で支持部材60の高さ位置を複数箇所で測定する。記録装置11がシリアルプリンターである場合、制御部100は、キャリッジ51を走査方向Xに移動させて複数のセンサー86に、幅方向Xに異なる位置で支持部材60の高さ位置を測定させる。
制御部100は、幅方向Xに位置の異なる複数の高さ位置のずれを小さくするように補正機構78を制御する。つまり、制御部100は、第1接続状態の下で、ガイド軸19を回転させることで、第2端部の高さ位置に対する第1端部の高さ位置を調整する。これにより、ガイド軸19が傾きのない水平に近づくように調整される。その後、第2接続状態の下で、ガイド軸19を回転させることで、第1端部の高さ位置と第2端部の高さ位置とが同期して調整されることで、媒体種に応じたギャップ量に調整される。
不揮発性メモリー104には、図25にフローチャートで示される基準位置出し処理ルーチンのプログラムと、図26にフローチャートで示されるギャップ調整処理ルーチンのプログラムとを含むプログラムPRが記憶されている。制御部100は、図25及び図26に示されるプログラムPRを実行する。
以下、制御部100がプログラムPRを実行することで行われるギャップ調整制御について説明する。
まず、ステップS21では、制御部100は、キャリッジ51を移動して測定を行う。制御部100は、キャリッジ51を測定位置x1,x2を含む複数の測定位置に移動させて測定対象であるリブ61の端面である支持面60Aまでの距離L1,L2を検出することで、支持面60Aの高さ位置である基準位置G0を測定する。
ステップS22では、制御部100は、走査方向Xの傾きがあるか否かを判定する。制御部100は、複数の測定位置x1,x2で測定した距離L1,L2の差ΔLから、支持部材60と記録ヘッド52の移動経路との間に傾きがあるか否かを判定する。傾きがある場合はステップS23に進み、傾きがない場合、つまり平行であるとみなされればステップS25に進む。
ステップS23では、制御部100は、傾き補正を行う。制御部100は、クラッチ機構79を非接続状態としたうえで、一方の偏心カム76のガイド軸19との一体回転を規制した状態でガイド軸19を回転させて他方の偏心カム76のみを回転させることにより、走査方向Xにおいて支持部材60に対する記録ヘッド52の移動経路の傾きを補正する。詳しくは、まず、制御部100は、キャリッジ51を反ホーム位置AHのエンド位置まで移動させて被操作部72Aを押し込むことで切替機構72を接続状態とし、かつクラッチ機構79を非接続状態とする。次に、制御部100は、搬送モーター47を回転駆動させる。この結果、ガイド軸19が軸回転する。このとき、一方の偏心カム76は回転せず、他方の偏心カム76のみがガイド軸19と共に回転する。これにより、ガイド軸19の傾きが小さくなる。この結果、例えば、ガイド軸19は水平に配置される。あるいは、支持部材60に対して平行な傾き角に調整される。これにより、走査方向Xに異なる位置間でギャップ量がほぼ同じになる。
ステップS24では、制御部100は、キャリッジ51を移動して再測定する。制御部100は、キャリッジ51を移動させて測定部80によりリブ61の端面である支持面60Aの高さ位置を再度測定する。この再測定は、傾き補正が適切になされたか否かを確認するための処理であり、複数箇所で測定された距離の差が許容範囲内にあれば傾き補正が適切に行われたと判定する。なお、仮に、再測定の結果、複数箇所で測定された距離の差が許容範囲から外れると、再度、傾き補正を行う。
ステップS25では、制御部100は、測定値に基づき基準位置G0を算出する。制御部100は、測定部80を構成する非接触式センサー86が測定した距離に基づいて基準位置G0を算出する。このとき、走査方向Xには記録ヘッド52の移動経路が支持部材60に対して平行にする傾き補正が既になされている。このため、走査方向Xに位置の異なる複数箇所で測定された距離は、ほぼ同じ値となる。また、搬送方向Yに位置の異なる複数箇所(本例では2箇所)で測定された距離には許容範囲を超える差がある場合がある。この場合、搬送方向Yに位置の異なる複数箇所の距離のうち一番長い距離を採用する。この理由は、一番長い距離よりも短い距離を採用すると、ギャップ量が小さすぎて媒体Mが記録ヘッド52のノズル面52Aに擦れたり、記録ヘッドがリブ61に接触したりすることを回避するためである。
ステップS26では、制御部100は、基準位置G0を不揮発性メモリー104に記憶する。ここで、記録装置11ごとに支持部材60の組付高さ、および記録ヘッド52の組付高さが異なる。本実施形態では、ガイド軸19が所定の回転角度にあるときに支持部材60の支持面60Aと記録ヘッド52のノズル面52Aとのギャップ量が設定ギャップ量となるような作業者による基準出しが行われていない。
ステップS27では、制御部100は、搬送方向Yの傾きがあるか否かを判定する。制御部100は、測定部80を構成する複数の非接触式センサー86が搬送方向Yに異なる位置でそれぞれ検出した距離間の差が許容範囲を超える場合、搬送方向Yの傾きがあると判定する。制御部100は、複数の非接触式センサー86が検出した距離の差を算出し、その差が許容範囲を規定する閾値を超えるか否かを判定する。搬送方向Yの傾きがある場合はステップS28に進み、搬送方向Yの傾きがない場合は当該ルーチンを終了する。
ステップS28では、制御部100は、吐出タイミング補正を行う。制御部100は、ステップS23における記録ヘッド52の傾き補正制御の他の制御として、吐出タイミング制御を行う。制御部100は、搬送方向Yに位置の異なる複数のセンサー86が検出した距離の差から、支持部材60に対する記録ヘッド52の搬送方向Yの傾きを検出する。つまり、搬送方向Yに位置の異なる複数のセンサー86は、それぞれが配置される位置において記録ヘッド52のノズル面52Aと、支持部材60の支持面60Aとのギャップ量を検出する。搬送方向Yに異なる位置間でギャップ量が異なると、ノズル58Nからの吐出タイミングが同じでも、吐出された液滴が媒体Mの表面に着弾するタイミングが異なるので、媒体Mに液滴が着弾してできるドットの位置が搬送方向Yにずれる。
このため、本実施形態では、ノズル58Nから液滴を吐出する吐出タイミングを制御することで、吐出された液滴が媒体Mの表面に着弾してできるドットの位置を搬送方向Yに揃える。搬送方向Yに位置の異なる二位置においてギャップ量が異なる場合、制御部100は、第1ギャップ量の位置にある第1ノズル58Nの吐出タイミングよりも、第1ギャップ量よりも小さい第2ギャップ量の位置にある第2ノズル58Nの吐出タイミングを遅くする。ここでは、吐出タイミングの設定変更のみ行う。記録ヘッドの吐出タイミングを制御するタイミング制御回路(図示略)を備える。タイミング制御回路は、1つのノズル列を構成する全ノズルを複数に分割した分割ノズル群ごと又はノズル58Nごとに、基準吐出タイミングに対する吐出タイミングの遅延時間を設定するためのレジスタに設定する。制御部100は、タイミング制御回路の分割ノズル群ごと又はノズル58Nごとに対応するレジスタに吐出タイミングを規定する遅延時間を設定する。このとき、制御部100は、第1ギャップ量の位置にある第1ノズル58Nに設定する遅延時間よりも、第1ギャップ量よりも小さい第2ギャップ量の位置にある第2ノズル58Nに設定する遅延時間を長くする。また、吐出タイミングの補正情報は、不揮発性メモリー104にも記憶される。
制御部100は、上記の基準位置出し処理ルーチンを終えた後、次に、ギャップ調整処理ルーチンを実行する。以下、制御部100が実行するギャップ調整処理ルーチンについて図26を参照して説明する。なお、制御部100は、ユーザーが、タッチパネル式の表示部25に表示された操作部を操作したり、不図示のホスト装置からマウス等のポインティングデバイスを操作したりして、記録装置11に対して記録の指示を行うと、記録データを受信する。記録データには、記録条件情報および画像データが含まれる。記録条件情報には、媒体種、媒体サイズ、記録モード等の情報が含まれる。
まずステップS31では、制御部100、媒体を測定位置まで搬送する。制御部100は、給送モーター43を駆動し、媒体Mを支持部材60の支持面60Aに支持される測定位置まで搬送する。
次のステップS32では、制御部100は、媒体厚を測定する。制御部100は、キャリッジ51を走査方向Xに測定部80を構成する非接触式センサー86が媒体Mと対向可能な位置である複数の媒体厚測定位置に移動させて測定対象である媒体Mの表面までの距離を検出することで、媒体Mの表面の高さ位置を測定する。制御部100は、支持部材60の支持面60Aの高さ位置である基準位置G0と、測定した媒体Mの表面の高さ位置との差分を計算し、媒体Mの媒体厚を求める。
ステップS33では、制御部100は、媒体種は正しいか否かを判定する。制御部100は、媒体厚から特定される媒体種が、媒体種情報から特定される媒体種と同じであれば、媒体種が正しいと判定する。媒体種は正しい場合はステップS36に進み、媒体種が正しくない場合はステップS34に進む。
ステップS34では、制御部100は、確認表示を行う。制御部100は、表示部25に媒体種が正しいかどうかをユーザーに確認するためのメッセージを表示する。表示部25に表示されたメッセージを見たユーザーは、例えば、カセット21にセットされている媒体Mの媒体種を確認し、正しければ表示部25の画面上のOKボタンを操作し、間違っていれば、NGボタンを操作する。この場合、予備搬送された媒体Mは、記録がなされないまま排出される。なお、予備搬送された媒体Mをユーザーが取り除いてカセット21内の媒体Mを正しい媒体種のものに交換したうえで、ユーザーが表示部25の画面上のOKボタンを操作してもよい。
次のステップS35では、制御部100は、OK操作がなされたか否かを判定する。制御部100は、ユーザーがOKボタンを操作したOK操作を受け付けていないうちは待機し、ユーザーがOKボタンを操作したOK操作を受け付けた場合はステップS36に進む。
ステップS36では、制御部100は、媒体種に応じたギャップ量に調整する。制御部100は、正しい媒体種の情報を基に設定ギャップ量データSGを参照し、設定ギャップ量ΔPG1,ΔPG2,ΔPG3,ΔPG4のうちそのときの媒体種に対応する1つの設定ギャップ量ΔPGを取得する。制御部100は、媒体厚を基に媒体種を特定し、ギャップ調整機構70を制御することにより、支持部材60と記録ヘッド52とのギャップ量を、媒体種に応じた値に調整する。媒体厚に応じたギャップ量は、媒体Mと記録ヘッド52との間のメディアギャップ量である。そして、制御部100は、現在のギャップ量がその取得した設定ギャップ量ΔPGと異なる場合、キャリッジモーター54を駆動してキャリッジ51を反ホーム位置AHに移動させ、被操作部72Aを押し込むことで切替機構72を接続状態にする。次に、制御部100は、ギャップ調整機構70の駆動源である搬送モーター47を駆動し、ガイド軸19を軸回転させることで、ギャップを切り替える。このとき、制御部100は、記録装置11ごとのリブ61が媒体Mを支持する支持面60Aの高さ位置である基準位置G0のデータを、不揮発性メモリー104から読み出し、読み出した基準位置G0に、そのときの媒体種に応じた設定ギャップ量ΔPGを加算したギャップ量PGに記録ヘッド52の高さ位置を調整する。この結果、支持部材60の支持面60Aと記録ヘッド52のノズル面52Aとのギャップがそのときの媒体種に応じた設定ギャップ量ΔPGに調整される。
ステップS37では、制御部100は、媒体を記録開始位置まで搬送する。制御部100は、キャリッジ51を反ホーム位置AHのエンド位置から離間させて切替機構72を非接続状態としたうえで、搬送モーター47を駆動することで媒体Mを記録開始位置まで搬送する。
ステップS38では、制御部100は、記録を開始する。制御部100は、キャリッジ51を走査方向Xに移動させるとともにその移動途中で記録ヘッド52のノズル58Nから液滴を吐出することで、媒体Mに1走査分の記録を行う記録動作と、次の記録位置まで媒体Mを搬送する搬送動作とを交互に行うことで、媒体に記録を行う。
このとき、記録動作では、ステップS28において補正した吐出タイミングでノズル58Nから液滴を吐出することで、媒体Mに液滴が着弾して形成されるドットの走査方向Xの位置ずれが抑制される。つまり、同じノズル列58中の両端のノズル58N間で液滴の着弾位置のずれが小さく抑制される。よって、高い記録精度で媒体Mに記録することができる。
このように、本実施形態では、支持部材60に対するガイド軸19の組付高さの調整が粗かったり、行われていなかったりして、支持部材60に対する記録部50の移動経路が傾いていても、制御部100が補正機構99を駆動させることでその傾きを補正することができる。また、記録ヘッド52が搬送方向Yに傾いていても、吐出タイミング制御により媒体Mに記録されるドットの走査方向Xの位置ずれを抑制することができる。
第4実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)〜(3)、第2実施形態の効果(5)〜(8)および第3実施形態の効果(9),(10)が同様に得られる他、以下に示す効果が得られる。
(13)ギャップ調整機構70は、媒体Mの搬送方向と交差する幅方向Xに異なる位置のギャップ量のずれを小さく補正する補正機構78を備え、測定部80は、媒体Mの幅方向Xに異なる位置で支持部材60の高さ位置を測定し、制御部100は、幅方向Xに位置の異なる複数の高さ位置のずれ量を小さくするように補正機構を制御する。よって、幅方向Xに異なる位置における高さ位置のずれに応じたギャップ量のずれを小さく補正する補正機構が制御される。支持部材60と記録ヘッド52との間で、幅方向Xに異なる位置のギャップ量が同じ値に近づくように調整される。
(第5実施形態)
次に、図27、図28を参照して第5実施形態の記録装置11について説明する。
図27、図28に示すように、記録装置11は、ライン記録方式の記録部50を有するラインプリンターである。記録部50は、ライン記録方式の記録ヘッド52と、記録ヘッド52を所定高さに支持する支持フレーム95とを備える。記録ヘッド52は、幅方向Xに最大幅の媒体Mの幅よりも少し長い範囲に亘り複数のノズル58N(図28参照)が開口するノズル面52Aを有する。
記録装置11は、支持部材60の支持面60Aと、ライン記録方式の記録ヘッド52のノズル面52Aとのギャップ量を調整可能なギャップ調整機構96を備える。ギャップ調整機構96は、支持フレーム95の幅方向Xの両端部を昇降可能に支持する一対の昇降機構97を備える。昇降機構97は、例えば、鉛直方向Zに延びるラック97Aと、ラック97Aの歯部と噛合するピニオン歯車97Bと、ピニオン歯車97Bを正逆に回転させる駆動源である電動モーター98とを備える。なお、昇降機構97は、ラック・アンド・ピニオン方式以外の他の駆動方式でもよい。
また、図27に示すように、ギャップ調整機構96は、媒体Mの搬送方向Yと交差する幅方向Xに異なる位置のギャップ量のずれを小さく補正する補正機構99を備える。記録装置11は、ライン記録方式の記録ヘッド52の幅方向Xの両端部を支持する高さ位置を個別に補正可能な補正機構99を備える。補正機構99は、支持フレーム95の幅方向Xの両端部を昇降可能に支持する一対の昇降機構97を備える。支持フレーム95の幅方向Xの両端部は高さ位置を個別に変更可能に一対の昇降機構97により支持されている。このため、一対の昇降機構97が個別に調整されることで、記録ヘッド52のノズル面52Aを幅方向Xに傾きが0度の水平姿勢に調整可能である。このように、ギャップ調整機構96を構成する昇降機構97を記録ヘッド52の幅方向Xの両端部の高さ位置を個別に調整可能に一対設けることにより、記録ヘッド52の幅方向Xの傾き角を補正できるようにしている。なお、補正機構を備えない構成も可能であり、この場合、一対の昇降機構97を構成する2つの電動モーター98のうち一方を廃止し、一対の昇降機構97が同期して昇降する構成としてもよい。
図27に示す支持部材60は、基本的に第2実施形態と同様の構成であり、幅方向Xに間隔を空けて位置する複数のリブ61を有する。支持部材60における複数のリブ61の端面が、媒体Mを支持する支持面60Aとなっている。支持部材60における媒体Mを支持する支持面60Aの高さ位置が基準位置G0として測定部80の測定対象となる。測定部80は、媒体Mの幅方向Xに異なる位置で支持部材60の高さ位置を測定する。
複数のセンサー87は、媒体Mの搬送方向Yに異なる位置に設けられ、支持部材60における搬送方向Yに異なる複数の位置で複数の高さ位置を測定する。制御部100は、複数の高さ位置を基に、基準位置G0と、支持部材60の搬送方向Yにおける傾きとを取得する。
図28に示すように、記録ヘッド52のノズル面52Aには、搬送方向Yにインク色の色数と同数の複数列のノズル列58が配列されている。複数のノズル列58は、幅方向Xに一定のノズルピッチとなる各位置に開口する複数のノズル58Nを有する。複数のノズル58Nは、最大幅の媒体Mの幅よりも広い範囲に亘って配列されている。
図28に示すように、記録ヘッド52のノズル面52Aには、測定部80が設けられている。測定部80は、複数の非接触式センサー87を備える。詳しくは、記録ヘッド52のノズル面52Aには、ノズル列58の配置領域の外側となる周縁部に、複数の非接触式センサー87が配置されている。複数の非接触式センサー87は、幅方向Xに異なる位置に複数個(N個)と、搬送方向Yに異なる位置に複数個(M個)との合計(N+M)個設けられている。
複数のセンサー87は、支持部材60のリブ61と対向する位置に配置される。複数のセンサー87は、リブ61までの距離を検出する。つまり、複数のセンサー87は、それぞれが配置される位置において記録ヘッド52のノズル面52Aと、支持部材60の支持面60Aとのギャップ量を検出する。このため、幅方向Xに位置の異なる複数のセンサー87が検出した距離の差から、支持部材60に対する記録ヘッド52の幅方向Xの傾きを検出することが可能である。制御部100は、幅方向Xに位置の異なる複数の高さ位置のずれ量を小さくするように補正機構99を制御する。そして、記録ヘッド52が支持部材60に対して幅方向Xに傾いている場合、制御部100は、補正機構99を構成する一対の昇降機構97のうち少なくとも一方を駆動させて支持部材60に対する記録ヘッド52の傾きを0度に調整する。制御部100は、記録ヘッド52が幅方向Xに水平姿勢に保持された後、一対の昇降機構97を駆動させることで、支持部材60の支持面60Aと記録ヘッド52のノズル面52Aとのギャップ量を調整する。制御部100は、例えば、ホスト装置(図示略)から媒体種情報を入力すると、媒体種情報から特定される媒体種に応じたギャップ量に調整する。
記録装置11がラインプリンターである場合、記録ヘッド52には幅方向Xの異なる位置に複数のセンサー87が設けられる。ラインプリンターは、記録部50の幅方向Xの傾きを調整可能な補正機構99、あるいは、支持部材60の幅方向Xの傾きを調整可能な補正機構99を備える。
複数のセンサー87は、幅方向Xに異なる位置で支持部材60の高さ位置を測定する。制御部100は、複数のセンサー87に、幅方向Xに異なる位置で支持部材60の高さ位置を測定させる。
制御部100は、記録部50の幅方向Xの傾きを小さくするように補正機構99を制御する。あるいは、制御部100は、支持部材60の幅方向Xの傾きを小さくするように補正機構99を制御する。この結果、記録部50が幅方向Xの傾きが「0」の水平になるように、または支持部材60が幅方向Xの傾きが「0」の水平になるように調整される。その後、制御部100は、ギャップ調整機構96を制御し、測定部80が測定した支持部材60の高さ位置を基準位置G0としてギャップ量を調整する。
制御部100は、媒体種を特定可能な媒体種情報を取得し、基準位置G0に対して媒体種に応じたギャップ量に調整する。制御部100は、ギャップ調整機構96を制御し、記録部50の高さ位置を調整することで、媒体種に応じたギャップ量に調整する。制御部100は、媒体厚を基に媒体種を特定し、ギャップ調整機構70を制御することにより、支持部材60と記録ヘッド52とのギャップ量を、媒体種に応じた値に調整する。媒体厚に応じたギャップ量は、媒体Mと記録ヘッド52との間のメディアギャップ量である。
<媒体厚さに応じたギャップ量>
また、制御部100は、媒体Mの厚さに応じたギャップ量に調整してもよい。制御部100は、支持部材60に支持される位置まで媒体Mを搬送し、測定部80により媒体Mの表面の高さ位置である媒体高さ位置を測定し、基準位置G0と媒体高さ位置との差に基づき媒体厚を取得する。制御部100は、ギャップ調整機構70を制御して媒体厚に応じたギャップ量に調整する。図27に示すように、媒体Mを支持部材60の支持面60Aに支持される位置まで予備搬送する。測定部80により媒体Mの表面までの距離を測定する。詳しくは、非接触式センサー87がリブ61の端面である支持面60Aまでの距離を検出する。このとき、媒体Mの幅は、媒体サイズ情報から既知であるので、制御部100は、媒体Mと対向する位置にある非接触式センサー87が検出した距離から媒体Mの厚さを検出する。すなわち、制御部100は、媒体Mがないときに非接触式センサー87が検出した支持面60Aまでの距離である第1距離L1と、媒体Mが予備搬送されたときに非接触式センサー87が検出した媒体Mの表面までの距離である第2距離L2との差ΔL=L1−L2を計算して媒体Mの厚さ(媒体厚)を測定する。そして、制御部100は、測定した媒体厚に応じたギャップ量に調整する。媒体厚に応じたギャップ量とは、媒体種と、媒体種に応じた設定ギャップ量との対応関係を示すテーブルデータからなる設定ギャップ量データSGが不揮発性メモリー104に記憶されており、媒体種が同じでも媒体厚が異なる媒体Mが存在する。例えば、同じ普通紙でも、厚さが異なるものが存在する。例えば、普通紙では、厚さ0.1mmの媒体Mと、厚さ0.15mmの媒体Mとでは、媒体Mの表面と記録ヘッド52のノズル面52Aとのギャップ量であるメディアギャップ量が同じになるように調整される。
<吐出タイミング制御>
また、制御部100は、上記の記録ヘッド52の傾き補正制御以外の他の制御として、吐出タイミング制御を行う。測定時に、複数のセンサー87は、リブ61までの距離を検出する。このとき、搬送方向Yに位置の異なる複数のセンサー87が検出した距離の差から、支持部材60に対する記録ヘッド52の搬送方向Yの傾きが検出される。つまり、搬送方向Yに位置の異なる複数のセンサー87は、それぞれが配置される位置において記録ヘッド52のノズル面52Aと、支持部材60の支持面60Aとのギャップ量を検出する。搬送方向Yに異なる位置間でギャップ量が異なると、ノズル58Nからの吐出タイミングが同じでも、ノズル58Nから吐出された液滴が媒体Mの表面に着弾するタイミングが異なるので、媒体Mに液滴が着弾してできるドットの位置が搬送方向Yにずれる。
本実施形態では、ノズル58Nから液滴を吐出する吐出タイミングを制御することで、吐出された液滴が媒体Mの表面に着弾してできるドットの位置を搬送方向Yに揃える。このため、制御部100は、支持部材60における第1ノズル58Nと対向する位置を基準位置としてギャップ量に調整し、第1ノズル58Nの吐出タイミングに対して傾きに応じたギャップ量の差分に応じた分だけずらして第2ノズル58Nの吐出タイミングを制御する。搬送方向Yに位置の異なる二位置においてギャップ量が異なる場合、制御部100は、第1ギャップ量の位置にある第1ノズル58Nの吐出タイミングよりも、第1ギャップ量よりも小さい第2ギャップ量の位置にある第2ノズル58Nの吐出タイミングを遅くする。
複数のセンサー87は、幅方向Xに異なる位置で支持部材60の高さ位置を測定する。制御部100は、複数のセンサー87に、幅方向Xに異なる位置で支持部材60の高さ位置を測定させる。
制御部100は、記録部50の幅方向Xの傾きを小さくするように補正機構99を制御する。この結果、記録部50が幅方向Xの傾きが「0」となる水平姿勢に調整される。その後、制御部100は、ギャップ調整機構96を制御し、記録部50の高さ位置を調整することで、媒体種に応じたギャップ量に調整する。このとき、媒体Mの厚さに応じたギャップ量に調整してもよい。なお、補正機構99は、支持部材60が幅方向Xの傾きを小さくするように補正可能な構成でもよい。この場合、制御部100は、支持部材60の幅方向Xの傾きを小さくするように補正機構99を制御してもよい。さらに、記録部50用の補正機構99と支持部材60用の補正機構99との両方を設け、制御部100が両補正機構99を制御することで、記録部50と支持部材60との両方の傾きを小さくするように調整してもよい。
第5実施形態におけるライン記録方式の記録装置11によれば、記録部50がシリアル記録方式かライン記録方式かの違いはあるものの、シリアル記録方式の記録装置11で得られた第1実施形態の効果(1),(2)、第2実施形態の効果(5)〜(7)、第3実施形態の効果(9),(10)および第4実施形態の効果(13)が同様に得られる。
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
・前記第1実施形態において、基準位置調整制御と、媒体厚測定を含むギャップ調整制御とを行うが、一方の制御のみ行ってもよい。例えば、第1実施形態において、上記2つの制御のうち基準位置調整制御のみ行ってもよい。この場合、制御部100は、媒体種情報を取得し、媒体種情報に基づく媒体種に応じたギャップ量になるようにギャップ調整機構を制御してもよい。また、第1実施形態において、上記2つの制御のうち媒体厚測定を含むギャップ調整制御のみ行ってもよい。この場合、制御部100は、測定部を構成するセンサーが測定した基準位置と媒体高さ位置とに基づき媒体厚を取得し、媒体厚から特定される媒体種に応じたギャップ量になるようにギャップ調整機構を制御してもよい。
・第1および第3実施形態において、測定位置MPを走査方向Xにおいて記録領域PAを挟む両側に2箇所設け、傾き補正制御を行ってもよい。
・第4および第5実施形態において、1つの非接触式センサーが記録領域PA内のリブ61等の凸部を1点のみを測定してもよい。この場合、補正機構78のない構成とする。
・第4および第5実施形態において、基準位置出し制御と、媒体厚測定制御を含むギャップ調整制御とのうち一方の制御のみ行ってもよい。例えば、基準位置出し制御のみ行ってもよい。また、媒体厚測定制御を含むギャップ調整制御のみ行ってもよい。
・第4および第5実施形態において、傾き補正制御と吐出タイミング制御とのうち一方の制御のみ行ってもよい。例えば、吐出タイミング制御のみ行ってもよい。また、傾き補正制御のみ行ってもよい。
・第3および第4実施形態において、複数のセンサー84,86を記録部50における媒体Mの幅方向Xに異なる位置に設け、支持部材60における搬送方向Yと交差する幅方向Xに異なる複数の位置で複数の高さ位置を測定してもよい。制御部100は、複数の高さ位置を基に、支持部材60と記録ヘッド52との幅方向Xにおける相対的な傾きを取得し、ノズル58Nの吐出タイミングを、幅方向Xの相対的な傾きから決まるギャップ量に応じて制御してもよい。この構成によれば、支持部材60と記録ヘッド52との幅方向Xの相対的な傾きによって幅方向Xの位置の違いによってギャップ量が異なっていても、ノズル58Nから吐出された液体の着弾位置の幅方向Xにおける位置ずれを抑制できる。
・第1および第3実施形態において、接触式センサーが支持部材60のリブ61と接触して支持部材60を検知することで、記録ヘッド52から支持部材60までの距離または支持部材60の高さ位置を測定する構成でもよい。
・第2、第4および第5実施形態において、非接触式センサーが支持部材60の記録領域PA以外の位置にある凸部63を検出対象とすることで、記録ヘッド52から支持部材60までの距離または支持部材60の高さ位置を測定する構成でもよい。
・第5実施形態において、センサー87は、幅方向Xに位置の異なる2つのみでもよいし、搬送方向Yに位置の異なる2つのみでもよい。さらにセンサー87は1つでもよい。例えば、1つのセンサー87を記録ヘッド52の幅方向Xの中央位置に配置してもよいし、1つのセンサー87を記録ヘッド52の搬送方向Yの中央位置に配置してもよい。この場合、補正機構は廃止し、一対の昇降機構97を一方の電動モーター98のみの駆動力で連動して駆動させる構成としてもよい。
・ギャップ調整機構70,96は、記録部50を昇降させる機構に替え、支持部材と昇降させる機構でもよい。第4および第5実施形態において、記録装置11は、記録部50の幅方向Xの傾きを調整可能な補正機構78,99に加え、または補正機構78,99に替えて、支持部材60の幅方向Xの傾きを調整可能な補正機構を備えてもよい。
・第5実施形態のラインプリンターの場合、媒体厚を測定後、媒体Mを搬送開始位置まで逆搬送してもよい。ここで、搬送開始位置は、記録開始位置に達したときに記録を開始するときの所定搬送速度に達するように必要な加速距離を確保した搬送位置である。
・測定部80を構成する非接触式のセンサー82,83,86,87は、リブ61以外の測定対象を検知する構成としてもよい。例えば、支持部材60の記録領域PA内にリブ61以外の専用の測定対象を設けてもよい。
・記録部50において測定部80が設けられる位置は、記録部50の底面に限らず、記録部50の側面でもよい。この場合、例えば、キャリッジ51において記録ヘッド52が固定されている不図示のフレーム部材に測定部80を固定した構成であってもよい。
・被操作部72Aは、押込み式に限定されず、キャリッジ51によりレバー操作される切換えレバーでもよい。例えば、切換えレバーは、キャリッジ51の走査領域内に突出する状態で、走査領域の背面側または前面側に設けられる。キャリッジ51が走査方向Xに移動して切換えレバーをばねの付勢力に抗して第1方向X1または第2方向X2に押すことで切替機構72は切り替えられる。なお、切換えレバーは、記録動作中のキャリッジ51が操作できないように記録領域PAの外側に配置されることが好ましい。
・切替機構72は、歯車式に限定されない。クラッチ式でもよい。例えば、キャリッジ51が被操作部72Aを操作位置に操作すると、クラッチ式の切替機構72が接続される構成でもよい。
・切替機構72の被操作部72Aは、操作位置に操作されたのちキャリッジ51が離れても操作位置に保持され、キャリッジ51が操作位置にある被操作部72Aを押すと、被操作部72Aが操作位置から非操作位置へ復帰する構成でもよい。
・ギャップ調整機構70を駆動させる駆動源は、搬送モーター47に限らず、給送系または排出系のモーターでもよい。例えば、駆動源は給送モーター43でもよい。また、排出ローラー対46を専用のモーターで駆動し、この排出用のモーターを駆動源としてもよい。
・ギャップ調整機構70の駆動源は、搬送モーター47等の搬送系のモーターに限定されない。例えば、記録ヘッド52のメンテナンスを行うメンテナンス装置の駆動源であるメンテナンス系のモーターでもよい。また、搬送系およびメンテナンス系以外の他のモーターでもよい。さらに、駆動源は、モーター以外のアクチュエーターでもよい。例えば、電動シリンダーやソレノイド等でもよい。この場合、駆動源が出力する直線運動を回転運動に変換する変換機構を用いて、ガイド軸19を軸回転させればよい。
・電動モーター等のアクチュエーターの駆動力で支持部材60の高さ位置を調整することで、支持部材60と記録ヘッド52とのギャップ量を調整する構成でもよい。
・搬送部42は、ローラー搬送方式に替え、ベルト搬送方式でもよい。
・記録装置11は、用紙等の媒体に記録する記録装置に限定されず、布に記録する捺染装置でもよい。
・記録装置11は、記録部50が走査方向Xに往復移動するシリアルプリンターに限定されず、記録部50が主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能なラテラル式プリンターでもよい。
・記録装置11は、複合機に限定されず、読取ユニット30を搭載しないプリンターでもよい。
・媒体Mは、用紙に限らず、可撓性のプラスチックフィルムや、布、不織布などであってもよいし、ラミネートでもよい。
・記録装置は、印刷用のプリンターに限定されない。例えば、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体を吐出し、媒体の一例である基板に電気配線パターン、又は、液晶、EL(エレクトロルミネッセンス)及び面発光などの各種の方式のディスプレイの画素を製造するものでもよい。
・記録装置11は、インクジェット方式に限定されず、ワイヤインパクト式の記録装置、熱転写式の記録装置であってもよい。記録ヘッドと支持部とのギャップを調整するギャップ調整機構を備える記録装置であれば、記録方式は特に限定されない。
前記実施形態および変更例から把握される技術思想を、その作用効果と共に以下に記載する。
記録装置は、媒体を搬送する搬送部と、搬送された前記媒体を支持する支持部材と、前記媒体における前記支持部材に支持された部分に記録する記録ヘッドを有する記録部と、前記記録部に設けられ、前記支持部材の高さ位置を測定する測定部と、前記記録ヘッドと前記支持部材とのギャップ量を、媒体種に応じて切り替えられる切替段階よりも多い多段階または無段階で調整可能に構成されるギャップ調整機構と、前記記録部および前記ギャップ調整機構を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記測定部が測定した前記支持部材の高さ位置を基準位置として前記ギャップ量を調整する。
支持部材と記録部とのうち少なくとも一方の組付位置のばらつきによって支持部材と記録ヘッドとのギャップ量は、記録装置ごとの個体差によるばらつきを含む。この構成によれば、測定部が支持部材の高さ位置を測定し、その測定された支持部材の高さ位置を基準位置として媒体種に応じたギャップ量が得られるようにギャップ調整機構が制御される。よって、支持部材と記録ヘッドとの組付位置にばらつきあるままでも、支持部材と記録ヘッドとの間のギャップ量を適切な値に調整できる。このため、記録装置の出荷前の調整作業を簡易または廃止しても、適切なギャップ量に調整できる。
上記記録装置において、前記制御部は、媒体種情報を取得し、前記基準位置に対して前記媒体種情報から特定される媒体種に応じたギャップ量に調整してもよい。
この構成によれば、媒体種に応じた適切なギャップ量に調整することができる。
記録装置は、媒体を搬送する搬送部と、搬送された前記媒体を支持する支持部材と、前記媒体における前記支持部材に支持された部分に記録する記録ヘッドを有する記録部と、前記記録部に設けられ、前記支持部材の高さ位置である基準位置を測定する測定部と、前記記録ヘッドと前記支持部材とのギャップ量を、媒体種に応じて切り替えられる切替段数よりも多い多段階または無段階で調整可能に構成されるギャップ調整機構と、前記搬送部、前記記録部および前記ギャップ調整機構を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記支持部材に支持される位置まで媒体を搬送し、前記測定部により当該媒体の表面の高さ位置である媒体高さ位置を測定し、前記基準位置と前記媒体高さ位置との差に基づき媒体厚を取得し、前記ギャップ調整機構を制御して前記媒体厚に応じたギャップ量に調整する。なお、媒体厚に応じたギャップ量には、支持部材と記録ヘッドとのギャップ量を媒体厚から特定される媒体種に応じたギャップ量に調整する場合と、支持部材に支持される媒体と記録ヘッドとのギャップ量(メディアギャップ量)を媒体厚から特定される媒体種に応じたギャップ量(メディアギャップ量)に調整する場合とが含まれる。
この構成によれば、媒体の媒体厚に応じたギャップ量に調整できる。例えば、制御部に与えた媒体種情報が間違っていても、あるいは制御部に媒体種情報を与えなくても、媒体種に応じた適切なギャップ量で媒体に記録することができる。また、同じ媒体種でも媒体厚に応じてギャップ量を調整することが可能になり、媒体と記録ヘッドとの適切なギャップ量(メディアギャップ量)で記録することができる。このため、媒体に記録するときの記録位置精度が向上する。
上記記録装置において、前記制御部は、前記媒体厚を基に媒体種を特定し、前記ギャップ調整機構を制御することにより、前記支持部材と前記記録ヘッドとのギャップ量を、前記媒体種に応じた値に調整してもよい。
この構成によれば、支持部材と記録部との組付位置が調整されていない記録装置でも、記録時に媒体種に応じた適切なギャップ量に調整できる。また、与えた媒体種情報が間違っていたり、媒体種情報を与えなかったりしても、適切な媒体種に応じたギャップ量に調整することができる。
上記記録装置において、前記制御部は、前記ギャップ調整機構を制御し、前記媒体と前記記録ヘッドとの間のメディアギャップ量を、前記媒体種と前記媒体厚に応じた値に調整してもよい。
この構成によれば、媒体厚に応じた適切なメディアギャップ量に調整できる。
上記記録装置において、前記記録部は、前記記録ヘッドを支持するとともに走査方向に移動するキャリッジを備え、前記制御部は、前記キャリッジを測定位置に移動させ、前記測定部に前記支持部材の高さ位置を測定させてもよい。
この構成によれば、シリアル記録方式の記録装置において、媒体種に応じた適切なギャップ量に調整できる。
上記記録装置において、前記測定部は、接触式センサーを含み、前記測定部は、前記支持部材のうち前記記録部が前記媒体に記録する記録領域以外の測定位置で、前記支持部材の前記高さ位置を測定してもよい。
支持部材のうち記録領域の部分には、媒体に記録されるときのインク等の記録材が付着している場合がある。この構成によれば、接触式センサーを支持部材のうち記録領域以外の測定位置で被測定部に接触させて支持部材の高さ位置を測定するので、接触式センサーを支持部材の記録領域内の箇所に接触させる構成に比べ、測定時に接触式センサーにインク等の記録材が転写されにくい。このため、記録中の媒体が仮に浮き上がって記録部の接触式センサーに接触しても媒体が汚れにくい。
上記記録装置において、前記接触式センサーは複数備えられ、複数の前記接触式センサーに弾性を持たせてもよい。
この構成によれば、複数の接触式センサーのそれぞれが測定する支持部材の高さ位置が異なっていても、それぞれの高さ位置を測定することができる。例えば高さ位置の違いから、支持部材と記録ヘッドとの相対的な傾きを測定することができる。
上記記録装置において、複数の前記接触式センサーが接触する被測定部は、測定時に前記記録部が下降するときに当該記録部における前記接触式センサー以外の部分が対向する部分よりも高い位置にあってもよい。
この構成によれば、接触式センサーが被測定部に接触する位置まで下降したときに記録部が対向する位置にある他の部材に接触することを防止することができる。例えば、記録ヘッドが他の部材に接触することを防止できる。
上記記録装置において、前記測定部は、非接触式センサーを含み、前記非接触式センサーは、前記支持部材のうち前記記録部が前記媒体に記録する記録領域内の測定位置で前記支持部材の高さ位置を測定してもよい。
この構成によれば、非接触式センサーなので、支持部材のうち記録領域内の測定位置で支持部材の被測定部の高さ位置を測定することで、支持部材の高さ位置を測定しても、非接触式センサーがインク等の記録材によって汚れる可能性が低い。そのため、記録中に媒体が浮き上がって記録部の非接触式センサーに接触しても、媒体が記録材で汚れる可能性が低い。
上記記録装置において、前記測定部は、複数のセンサーを備えてもよい。
この構成によれば、複数のセンサーで支持部材の高さ位置を複数箇所で測定することで、複数のセンサーの位置の異なる2点間の方向における支持部材と記録部との相対的な傾きを測定することができる。よって、制御部は、支持部材と記録ヘッドとの相対的な傾きに応じて記録ヘッドから液体を吐出する吐出タイミングを制御することで、前記傾きに起因する媒体への液体の着弾位置のずれを抑制することができる。
上記記録装置において、複数の前記センサーは、前記媒体の搬送方向に異なる位置に設けられ、前記支持部材における前記搬送方向に異なる複数の位置で複数の高さ位置を測定し、前記制御部は、前記複数の前記高さ位置を基に、前記支持部材と前記記録ヘッドとの前記搬送方向における相対的な傾きを取得し、前記記録ヘッドは、前記搬送方向の位置が異なる第1ノズルと第2ノズルとを含むノズル群を有し、前記制御部は、前記支持部材における前記第1ノズルと対向する位置を前記基準位置として前記ギャップ量に調整し、前記第1ノズルの吐出タイミングに対して前記傾きに応じたギャップ量の差分に応じて前記第2ノズルの吐出タイミングをずらしてもよい。
この構成によれば、支持部材と記録ヘッドとの間に搬送方向の傾きのずれがあって搬送方向の位置の違いによってギャップ量が異なっていても、第1ノズルと第2ノズルのそれぞれから吐出された液体の着弾位置の搬送方向における位置ずれを抑制することができる。
上記記録装置において、前記ギャップ調整機構は、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に異なる位置のギャップ量のずれを小さく補正する補正機構を備え、前記測定部は、前記媒体の幅方向に異なる位置で前記支持部材の前記高さ位置を測定し、前記制御部は、前記幅方向に位置の異なる複数の前記高さ位置のずれ量を小さくするように前記補正機構を制御してもよい。
この構成によれば、幅方向に異なる位置における高さ位置のずれに応じたギャップ量のずれを小さく補正する補正機構が制御される。支持部材と記録ヘッドとの間で、幅方向に異なる位置のギャップ量が同じ値に近づくように調整される。
11…記録装置、12…装置本体、12A…筐体、13…カバー、15…排出口、16…メインフレーム、17…第1サイドフレーム、17A…第1規制面、18…第2サイドフレーム、18A…第2規制面、19…ガイド軸、20…記録ユニット、21…カセット、22…排出トレイ、23…操作パネル、25…表示部、27…液体供給ユニット、28…液体収容容器、30…読取ユニット、31…原稿台カバー、32…自動原稿送り装置、33…原稿トレイ、41…給送部、42…搬送部、43…給送モーター、44…搬送ローラー対、46…第1排出ローラー対、47…第2排出ローラー対、47…搬送モーター、50…記録部、51…キャリッジ、52…記録ヘッド、52A…ノズル面、53…移動機構、54…キャリッジモーター、55…タイミングベルト、56…リニアエンコーダー、58…ノズル群の一例としてのノズル列、58N…第1ノズルおよび第2ノズルの一例としてのノズル、60…支持部材、60A…支持面、61…リブ、63…被測定部の一例である凸部、63A…被測定面、70…ギャップ調整機構、72A…被操作部、72…切替機構、73…駆動機構、74…第1カム機構、75…第2カム機構、76…偏心カム、76A…カム面、78…補正機構、79…クラッチ機構、80…測定部、81…接触式センサー、82…非接触式センサーの一例である幅センサー、83…非接触式センサー、84…接触式センサー、85…弾性部材、86…非接触式センサー、87…非接触式センサー、90…メンテナンス装置、91…キャップ、95…支持フレーム、96…ギャップ調整機構、97…昇降機構、98…電動モーター、99…補正機構、100…制御部、101…第1カウンター、102…第2カウンター、103…第3カウンター、104…不揮発性メモリー、D…原稿、M…媒体、HP…ホーム位置、AH…反ホーム位置、PA…記録領域、X1…第1方向、X2…第2方向、X…走査方向(幅方向)、Y…搬送方向、Z…鉛直方向、k…切替段数、PR…プログラム、SP…基準位置データ、SG…設定ギャップ量データ、MP,x1,x2…測定位置、G0…基準位置、PG1〜PG4,PGn…ギャップ量、ΔPG1〜ΔPG4,ΔPGn…設定ギャップ量、ΔL…差。

Claims (13)

  1. 媒体を搬送する搬送部と、
    搬送された前記媒体を支持する支持部材と、
    前記媒体における前記支持部材に支持された部分に記録する記録ヘッドを有する記録部と、
    前記記録部に設けられ、前記支持部材の高さ位置を測定する測定部と、
    前記記録ヘッドと前記支持部材とのギャップ量を、媒体種に応じて切り替えられる切替段階よりも多い多段階または無段階で調整可能に構成されるギャップ調整機構と、
    前記記録部および前記ギャップ調整機構を制御する制御部と
    を備え、
    前記制御部は、前記測定部が測定した前記支持部材の高さ位置を基準位置として前記ギャップ量を調整する、ことを特徴とする記録装置。
  2. 前記制御部は、媒体種情報を取得し、前記基準位置に対して前記媒体種情報から特定される媒体種に応じたギャップ量に調整することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 媒体を搬送する搬送部と、
    搬送された前記媒体を支持する支持部材と、
    前記媒体における前記支持部材に支持された部分に記録する記録ヘッドを有する記録部と、
    前記記録部に設けられ、前記支持部材の高さ位置である基準位置を測定する測定部と、
    前記記録ヘッドと前記支持部材とのギャップ量を、媒体種に応じて切り替えられる切替段数よりも多い多段階または無段階で調整可能に構成されるギャップ調整機構と、
    前記搬送部、前記記録部および前記ギャップ調整機構を制御する制御部と
    を備え、
    前記制御部は、前記支持部材に支持される位置まで媒体を搬送し、前記測定部により当該媒体の表面の高さ位置である媒体高さ位置を測定し、前記基準位置と前記媒体高さ位置との差に基づき媒体厚を取得し、前記ギャップ調整機構を制御して前記媒体厚に応じたギャップ量に調整する、ことを特徴とする記録装置。
  4. 前記制御部は、前記媒体厚を基に媒体種を特定し、前記ギャップ調整機構を制御することにより、前記支持部材と前記記録ヘッドとのギャップ量を、前記媒体種に応じた値に調整することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
  5. 前記制御部は、前記ギャップ調整機構を制御し、前記媒体と前記記録ヘッドとの間のメディアギャップ量を、前記媒体種と前記媒体厚に応じた値に調整することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
  6. 前記記録部は、前記記録ヘッドを支持するとともに走査方向に移動するキャリッジを備え、
    前記制御部は、前記キャリッジを測定位置に移動させ、前記測定部に前記支持部材の高さ位置を測定させる、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の記録装置。
  7. 前記測定部は、接触式センサーを含み、
    前記測定部は、前記支持部材のうち前記記録部が前記媒体に記録する記録領域以外の測定位置で、前記支持部材の前記高さ位置を測定することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の記録装置。
  8. 前記接触式センサーは複数備えられ、
    複数の前記接触式センサーに弾性を持たせることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
  9. 複数の前記接触式センサーが接触する被測定部は、測定時に前記記録部が下降するときに当該記録部における前記接触式センサー以外の部分が対向する部分よりも高い位置にあることを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
  10. 前記測定部は、非接触式センサーを含み、
    前記非接触式センサーは、前記支持部材のうち前記記録部が前記媒体に記録する記録領域内の測定位置で前記支持部材の高さ位置を測定する、ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の記録装置。
  11. 前記測定部は、複数のセンサーを備えることを特徴とする請求項1〜請求項7および請求項10のいずれか一項に記載の記録装置。
  12. 複数の前記センサーは、前記媒体の搬送方向に異なる位置に設けられ、前記支持部材における前記搬送方向に異なる複数の位置で複数の高さ位置を測定し、
    前記制御部は、前記複数の前記高さ位置を基に、前記支持部材と前記記録ヘッドとの前記搬送方向における相対的な傾きを取得し、
    前記記録ヘッドは、前記搬送方向の位置が異なる第1ノズルと第2ノズルとを含むノズル群を有し、
    前記制御部は、前記支持部材における前記第1ノズルと対向する位置を前記基準位置として前記ギャップ量に調整し、前記第1ノズルの吐出タイミングに対して前記傾きに応じたギャップ量の差分に応じて前記第2ノズルの吐出タイミングをずらす、ことを特徴とする請求項11に記載の記録装置。
  13. 前記ギャップ調整機構は、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に異なる位置のギャップ量のずれを小さく補正する補正機構を備え、
    前記測定部は、前記媒体の幅方向に異なる位置で前記支持部材の前記高さ位置を測定し、
    前記制御部は、前記幅方向に位置の異なる複数の前記高さ位置のずれ量を小さくするように前記補正機構を制御する、ことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の記録装置。
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