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JP2021140004A - レーザー直描露光用感光性樹脂組成物、それを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、プリント配線板の製造方法 - Google Patents

レーザー直描露光用感光性樹脂組成物、それを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、プリント配線板の製造方法 Download PDF

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JP2021140004A JP2020036920A JP2020036920A JP2021140004A JP 2021140004 A JP2021140004 A JP 2021140004A JP 2020036920 A JP2020036920 A JP 2020036920A JP 2020036920 A JP2020036920 A JP 2020036920A JP 2021140004 A JP2021140004 A JP 2021140004A
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photosensitive resin
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photosensitive
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思暁 任
Sixiao Ren
思暁 任
徹文 藤井
Tetsufumi Fujii
徹文 藤井
真次 高野
Shinji Takano
真次 高野
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Showa Denko Materials Co Ltd
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Abstract

【課題】 LDI方式に対応可能な高い光感度を有するレーザー直描露光用感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及びプリント配線板の製造方法を提供する。【解決手段】 (A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)メルカプト基を有する化合物及び(E)増感剤を含み、(E)成分の増感剤としてピラゾリン骨格を有する化合物を含有する、レーザー直描露光用感光性樹脂組成物。支持体と、該支持体上に前記のレーザー直描露光用感光性樹脂組成物を用いた感光層と、を備える感光性エレメント。【選択図】 図1

Description

本発明は、レーザー直描露光用感光性樹脂組成物、それを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、プリント配線板の製造方法に関する。
プリント配線板の製造業界では、従来から、プリント配線板上にソルダーレジストを形成することが行われている。このソルダーレジストは、実装部品をプリント配線板に接合するためのはんだ付け工程において、プリント配線板の導体層の不要な部分にはんだが付着することを防ぐ役割を有している他、実装部品接合後のプリント配線板の使用時においては導体層の腐食を防止したり導体層間の電気絶縁性を保持したりする永久マスクとしての役割も有している。
ソルダーレジストの形成方法としては、例えば、プリント配線板の導体層上に熱硬化性樹脂をスクリーン印刷する方法が知られている。しかし、このような方法ではレジストパターンの高解像度化に限界があるため、近年のプリント配線板の高密度化に対応させることが困難になってきている。
そこで、レジストパターンの高解像度化を達成するために、フォトレジスト法が盛んに用いられるようになってきている。このフォトレジスト法は、基板上に感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を形成し、この感光性樹脂組成物層を所定パターンの露光により硬化させ、未露光部分を現像により除去して所定パターンの硬化膜を形成するものである。
また、かかる方法に使用される感光性樹脂組成物は、作業環境保全、地球環境保全の点から、炭酸ナトリウム水溶液等の希アルカリ水溶液で現像可能なアルカリ現像型のものが主流になってきている。このような感光性樹脂組成物としては、例えば、下記特許文献1に記載の液状レジストインキ組成物や、下記特許文献2に記載の感光性熱硬化性樹脂組成物等が知られている。
特開昭61−243869号公報 特開平01−141904号公報
プリント配線板の製造分野においては、上記のソルダーレジストの用途のほかにエッチング処理、めっき処理などに用いられるレジストとして、感光性樹脂組成物、又は、感光性樹脂組成物を用いて形成される層(以下、「感光層」という)を支持体上に備える感光性エレメントが広く用いられている。上記のソルダーレジストの形成方法と同様な方法で、例えば、感光性エレメントを用いる場合、以下の手順で製造されている。すなわち、まず、感光性エレメントの感光層を銅張り積層板などの回路形成用基板上にラミネートする。次に、マスクフィルムなどを介して感光層を露光し、光硬化部を形成する。このとき、露光前又は露光後の何れかのタイミングで支持体を剥離する。その後、感光層の、光硬化部以外の領域を現像液で除却する。次に、エッチング処理又はめっき処理を施して導体パターンを形成し、最終的に光硬化部分を除却する。
感光性樹脂組成物は、さらなるプリント配線板の高密度化の観点から、マスクを必要とせず、CAD(computer−aided design)で作成したパターンをレーザー光により直接描画する方法である、LDI(laser direct imaging)方式へ対応可能な感光性硬化性樹脂組成物が望まれる。
LDI方式では、スループット向上等の観点から、高感度の感光性樹脂組成物が必要となる。しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載されている従来の感光性樹脂組成物では、LDI方式に対応し得る十分な光感度を有しておらず、LDI方式への適用は困難であった。また、光重合開始剤や増感剤を大量に添加してすることにより感度の向上を図ることはできるが、その場合、十分なレジスト特性が得られない傾向がある。
なお、レジストには、一般的に、現像性、高解像性、はんだ耐熱性、めっき耐性、温度サイクル試験(TCT)に対する耐熱衝撃性(クラック耐性)や、超加速高温高湿寿命試験(HAST)に対する微細配線間での耐性(HAST耐性)が求められている。また、作業性の観点からは、感光性樹脂組成物のタック性(溶剤乾燥後の表面べとつき)が小さいことも望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、LDI方式に対応可能な高い光感度を有するレーザー直描露光用感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、[1] (A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)メルカプト基を有する化合物及び(E)増感剤を含み、(E)成分の増感剤としてピラゾリン骨格を有する化合物を含有する、レーザー直描露光用感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[2]前記(D)成分のメルカプト基を有する化合物が、イミダゾール骨格を有する2級チオール又は3級チオールを有する化合物である上記[1]に記載のレーザー直描露光用感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[3]支持体と、該支持体上に上記[1]又は[2]に記載のレーザー直描露光用感光性樹脂組成物を用いた感光層と、を備える感光性エレメントに関する。
また、本発明は、[4](i)回路形成用基板上に、上記[1]又は[2]に記載のレーザー直描露光用感光性樹脂組成物、又は、上記[3]に記載の感光性エレメントを用いて、感光層を形成する工程と、(ii)前記感光層の所定部分に活性光線を照射して、光硬化部を形成する工程と、(iii)前記回路形成用基板の感光層から前記光硬化部以外の少なくとも一部を除却する工程と、を備える、レジストパターンの形成方法に関する。
また、本発明は、[5] 上記[4]に記載のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された基板を、エッチング処理又はめっき処理して導体パターンを形成する工程を備える、プリント配線板の製造方法に関する。
更に、本発明は、[6] 導体パターンを形成する工程の後に、光硬化部を除却する工程を更に備える、上記[5]に記載のプリント配線板の製造方法に関する。
本発明のレーザー直描露光用感光性樹脂組成物を用いると高い光感度を有し、LDI方式での直描露光を行うことができ、プリント配線板の回路形成に好適な、高感度、耐めっきに優れる感光性エレメント(ドライフィルム)やレジストパターン、プリント配線板が得られる。
実施例で作製したレジストパターンに銅めっきと錫めっきにより導体パターンを形成した断面を示す写真である。 実施形態に係る感光性エレメントの断面構成を模式的に示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明における(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタアクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタアクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及び/又はメタアクリロイル基を意味する。
(レーザー直描露光用感光性樹脂組成物)
本実施形態に係るレーザー直描露光用感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマーと、(B)光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、(D)メルカプト基を有する化合物及び(E)増感剤を含有し、前記(E)成分の増感剤としてピラゾリン骨格を有する化合物を用いる。
<(A)バインダーポリマー>
本実施形態に係るレーザー直描露光用感光性樹脂組成物は、(A)成分であるバインダーポリマーを1種又は複数含有する。
バインダーポリマーとしては、分子内にカルボキシル基を有するポリマーが好ましく、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン、ビニル基含有エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリカーボネート、メラミン樹脂、ポリフェニレンスルフィド及びポリオキシベンゾイル等の公知の樹脂やその酸変性樹脂であって、分子内にカルボキシル基を有するものが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態に係るレーザー直描露光用感光性樹脂組成物は、(A)成分として、下記に示す(a1)ウレタン樹脂を含有することが好ましい。
(a1)成分のウレタン樹脂は、エチレン性不飽和基及びカルボキシル基を有する。(a1)成分としては、感光性樹脂組成物の光感度が一層向上し、より少ない活性光線エネルギー量での硬化に対応する観点から、(a)エチレン性不飽和基及び2以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物と、(b)ジイソシアネート化合物と、(c)カルボキシル基を有するジオール化合物とを反応させて得られるウレタン樹脂(a1)が好ましい。
上記(a)エポキシアクリレート化合物は、エチレン性不飽和基と2以上の水酸基とを有するエポキシアクリレート化合物であればよく、例えば、(a−1)2以上のエポキシ基を有する化合物と(a−2)不飽和モノカルボン酸との反応により得られる化合物等を使用することができる。
ここで、上記(a−1)2以上のエポキシ基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA型又はビスフェノールF型とエピクロルヒドリンとの反応により得られるビスフェノール型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型又は水添ビスフェノールF型とエピクロルヒドリンとの反応により得られる水添ビスフェノール型エポキシ化合物、アミノ基含有エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン、等が挙げられる。また、ノボラック類とエピクロルヒドリンとの反応により得られるノボラック型エポキシ化合物も好適に使用できる。なお、上記ノボラック類は、例えば、フェノール、クレゾール、ハロゲン化フェノール又はアルキルフェノール類とホルムアルデヒドとを酸性触媒存在下で反応して得られる。ノボラック型エポキシ化合物としては、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製YDCN−701、YDCN−704、YDPN−638及びYDPN−602、ダウ・ケミカル社製DEN−431及びDEN−439、チバ・ガイギ社製EPN−1299、DIC株式会社製N−730、N−770、N−865、N−665、N−673、VH−41 50及びVH−4240、日本化薬株式会社製EOCN−120及びBREN、等が商業的に入手可能である。
上記2以上のエポキシ基を有する化合物としては、サリチルアルデヒド−フェノール型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物(日本化薬株式会社製EPPN502H、FAE2500等)なども好適に用いられる。他にも、例えば、三菱ケミカル株式会社製エピコート828、エピコート1007及びエピコート807、DIC株式会社製エピクロン840、エピクロン860及びエピクロン3050、ダウ・ケミカル社製DER−330、DER−337及びDER−361、株式会社ダイセル製セロキサイド2021、三菱ガス化学株式会社製TETRAD−X及びTETRAD−C、日本曹達株式会社製EPB−13及びEPB−27等が使用できる。更に、上記2以上のエポキシ基を有する化合物としては、上述した化合物の混合物やブロック共重合物等を使用してもよい。
また、上記(a−2)不飽和モノカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられ、これらのうちアクリル酸が光感度及びはんだ耐熱性の観点から好ましい。また、上記不飽和モノカルボン酸として、飽和又は不飽和多塩基酸無水物と不飽和モノアルコール化合物との反応により得られる化合物も好適に使用できる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
ここで、飽和又は不飽和多塩基酸無水物としては、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、へキサヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、無水イタコン酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などの二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物、その他これに付随する例えば5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。また、不飽和モノアルコール化合物としては、例えば、水酸基を1つ有する(メタ)アクリレート類、飽和又は不飽和二塩基酸の半エステル化合物類等が挙げられる。更に上記半エステル化合物類としては、飽和又は不飽和二塩基酸と不飽和モノグリシジル化合物との反応により得られる化合物が挙げられ、このような半エステル化合物類としては、例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、マレイン酸又はコハク酸と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート又はグリシジル(メタ)アクリレートとを、常法により等モル比で反応させて得ることができる。
上記(b)ジイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、o−水添キシレンジイソシアネート、m−水添キシレンジイソシアネート、p−水添キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記(c)カルボキシル基を有するジオール化合物としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等が挙げられる。
(a)エチレン性不飽和基及び2以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物と、(b)ジイソシアネート化合物と、(c)カルボキシル基を有するジオール化合物とを反応させて得られるウレタン樹脂としては、UXE−3011、UXE−3012、UXE−3024(日本化薬株式会社製、商品名)が例示できる。これらのうち難燃性、耐熱衝撃性、はんだ耐熱性の観点より、UXE−3024(日本化薬社製、商品名)が最も好ましい。
また、(a)エチレン性不飽和基及び2以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物と、(b)ジイソシアネート化合物と、(c)カルボキシル基を有するジオール化合物とを反応させて得られるウレタン樹脂としては、例えば、下記一般式(1)で表される構造を有するウレタ ン樹脂が好ましい。
Figure 2021140004
一般式(1)中、R11はエポキシアクリレートの残基、R12はジイソシアネートの残基、R13は炭素数1〜5のアルキル基、R14は水素原子又はメチル基を示す。なお、残基とは、原料成分から結合に供された官能基を除いた部分の構造をいう。また、式中に複数ある基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
また、(a1)成分としては、ジオール化合物と、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物と、エチレン性不飽和基を有するモノヒドロキシ化合物とを反応させて得られるポリマーも好適に使用できる。ここで、ジオール化合物としては、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリブタジエンジオール等が挙げられ、エチレン性不飽和基を有するモノヒドロキシ化合物としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
(a1)成分は、酸価が20〜130mgKOH/gであることが好ましく、40〜110mgKOH/gであることがより好ましく、50〜100mgKOH/gであることが更に好ましい。このような(a1)成分を含有する感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液による現像性がより良好となり、一層優れた解像度が得られるようになる。
ここで、酸価は、次のようにして測定することができる。すなわち、まず、酸価を測定すべき樹脂の溶液約1gを精秤した後、この樹脂溶液にアセトンを30g添加し、これを均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、次式により酸価を算出する。
A=10×Vf×56.1/(Wp×I)
式中、Aは酸価(mgKOH/g)を示し、Vfは0.1NのKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは測定した樹脂溶液の重量(g)を示し、Iは測定した樹脂溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
また、(a1)成分の重量平均分子量は、感光性樹脂組成物による塗膜性や、その硬化膜のクラック耐性及びHAST耐性を一層良好に得る観点から、3,000〜200,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることがより好ましく、7,000〜50,000であることが更に好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる(標準ポリスチレンによる換算)。
本実施形態に係るレーザー直描露光用感光性樹脂組成物は、(A)成分であるバインダーポリマーとして、アクリル樹脂を含むことが好ましい。上記アクリル樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体(重合性単量体)を重合(ラジカル重合等)して得られたものが挙げられる。このようなエチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、例えば、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸系単量体、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸系単量体、フマル酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸 、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル樹脂としては、光感度及び光硬化後のレジスト形状を一層良好にする観点から、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体単位として含むアクリル樹脂((a2)成分)が好ましい。(a2)成分としては、メタクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合成分として得られるビニル系共重合化合物が更に好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
(a2)成分としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルや(メタ)アクリル酸とともに、これらと共重合し得るビニルモノマーを共重合させて得られるものを使用してもよい。このようなビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
また、(a2)成分としては、側鎖又は末端にエチレン性不飽和結合を導入した共重合体も好適である。このような共重合体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、ケイヒ酸、クロトン酸、イタコン酸等のカルボキシル基を持つビニル重合性単量体と、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドン、α−メチルスチレン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート等のビニル重合性単量体とを、有機溶剤中でアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、過酸化ベンゾイル等の重合開始剤を用いて一般的な溶液重合により得られるものを用いることができる。
(A)成分としては、酸変性ポリエステル樹脂も好ましい。酸変性ポリエステル樹脂としては、例えば、9.0以下のpKaを有する3級アミンを触媒とするジグリシジルエーテル型エポキシ化合物と二塩基酸との重合反応により生成するエステル結合を含む鎖状構造を分子内に有する樹脂であって、鎖状構造に酸無水物が付加してカルボキシル基を有するものが挙げられる。
この酸変性ポリエステル樹脂を形成するためのジグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノールジグリシジルエーテル等のビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、これらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中で、耐熱性、耐薬品性に一層優れ、硬化により比較的収縮しないことからビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(A)成分の酸価は、アルカリ現像性を一層良好にする観点から、例えば、アクリル系又は酸変性ポリエステル系のバインダーポリマーの場合、40〜170mgKOH/gであることが好ましく、50〜150mgKOH/gであることがより好ましく、60〜120mgKOH/gであることが更に好ましい。また、バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)は、感光性樹脂組成物の塗膜性及びアルカリ現像性を一層良好にする観点から、5,000〜200,000であることが好ましく、10,000〜170,000であることがより好ましく、20,000〜150,000であることがより好ましい。
(A)成分としては、光感度、塗膜性及び耐熱性を一層良好にする観点から、上記の(a1)成分と(a2)成分とを併用することが好ましい。
レーザー直描露光用感光性樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、レーザー直描露光用感光性樹脂組成物の有機化合物固形分全量を基準として、20〜70質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。
また、(a1)成分、(a2)成分を含有する場合における(a1)成分の含有割合は、(A)成分の総量中20〜100質量%が好ましく、40〜100質量%がより好ましい。また、(a2)成分の含有割合は、(A)成分の総量中5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
<(B)成分>
本実施形態に係るレーザー直描露光用感光性樹脂組成物は、(B)成分として光重合性化合物を含有する。
多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー又はウレタンオリゴマー等が挙げられる。また、これら以外にも、ノニルフェノキシポリオキシエチレンアクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
ここで、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO又はPO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記EO変性は、エチレンオキサイドで変性していることを示し、PO変性は、プロピレンオキサイドで変性していることを示す。
また、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
上記の2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なお、環境への負荷低減の観点より、上述した(B)成分の中でもハロゲンフリーのものを用いることが好ましい。
上記化合物のうち、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)は、BPE−1300(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。
また、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)フェニル等が挙げられる。なお、上述したような化合物を得るためのα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
また、ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーと、イソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物が挙げられる。また、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO又はPO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等も使用できる。
更に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
これらの(B)成分は、1種類を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(B)成分の含有量は、タック性、感度、及び解像性の観点から、感光性樹脂組成物の有機化合物固形分全量を基準として5〜45質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。(B)成分の含有量を5質量%以上にすることにより感度及び解像性がより良好となる傾向があり、45質量%以下とすることでタック性がより良好となる傾向がある。
<(C)成分>
本実施形態に係るレーザー直描露光用感光性樹脂組成物は、(C)成分の光重合開始剤として、(B)成分の光重合性化合物を重合させることができるものであれば、特に制限は無く、通常用いられる光重合開始剤から適宜選択することができる。
(C)成分としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン骨格を有するチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(O−アセチルオキシム)、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−[O−(エトキシカルボニル)オキシム]等のオキシムエステル類;2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−フルオロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジブロモフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロナフチル)ビイミダゾールなどが挙げられる。
ヘキサフェニルビイミダゾール化合物は、イミダゾール環上の2,2’−位に結合したベンゼン環のo−位がメチル原子、メトキシ基、又はハロゲン原子で置換されたものが好ましく、そのイミダゾール環上の4,4’,5,5’−位に結合したベンゼン環が無置換、又は、ハロゲン原子、若しくはメトキシ基で置換されたもの等が好ましい。これらの(C)成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(C)成分の含有量は、レーザー直描露光用感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.2〜15質量%、0.4〜5質量%、又は、0.6〜1質量%から適宜選択すればよい。(C)成分の含有量が、0.2質量%以上であると露光部が現像中に溶出しにくい傾向があり、15.0質量%以下であると耐熱性が向上する。
<(D)メルカプト基を有する化合物>
(D)メルカプト基を有する化合物は、メルカプト基を含有する化合物であれば特に制限はない。(D)メルカプト基を有する化合物は、水素供与体として有効に機能し、感光性樹脂組成物の感度及び経日安定性をより向上させる効果を有すると考えられる。
ここで、水素供与体は、上記の光重合開始剤の露光処理により発生するラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味するものである。本発明においては、上記のアシルホスフィンオキサイド系光重合性開始剤又はヘキサフェニルビイミダゾール化合物と、水素供与体として(D)メルカプト基を有する化合物との組み合わせが、とりわけ、パターン輪郭の直線性が良くレジスト形状に優れ、解像性に優れたパターンを形成する点で効果的である。
(D)メルカプト基を有する化合物としては、例えば、メルカプトベンゾオキサゾール(MBO)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、エタンチオール、ベンゼンチオール、メルカプトフェノール、メルカプトトルエン、2−メルカプトエチルアミン、メルカプトエチルアルコール、メルカプトキシレン、チオキシレノール、2−メルカプトキノリン、メルカプト酢酸、α−メルカプトプロピオン酸 、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオサリチル酸、メルカプトシクロヘキサン、α−メルカプトジフェニルメタン、C−メルカプトテトラゾール、メルカプトナフタリン、メルカプトナフトール、4−メルカプトビフェニル、メルカプトヒポキサンチン、メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、メルカプトプリン、チオクマゾン、チオクモチアゾン、ブタン−2,3−ジチオール、チオシアヌル酸、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの(D)メルカプト基を有する化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、水素供与体として有効に機能し、感光性樹脂組成物の感度及び経日安定性をより向上できる観点から、好ましくはメルカプトベンゾオキサゾール(MBO)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)及びメルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、より好ましくはイミダゾール骨格を有するメルカプトベンゾイミダゾール(MBI)である。
レーザー直描露光用感光性樹脂組成物中の(D)メルカプト基を有する化合物の含有量は、解像性に優れたパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%、更に好ましくは0.2〜1.5質量%、特に好ましくは0.6〜1.2質量%である。
(D)メルカプト基を有する化合物の含有量が0.01質量%以上であると感光性樹脂組成物の溶液がゲル化し難くなる傾向があり、5質量%以下であると感度の低下を抑制することができる。
<(E)成分>
本発明のレーザー直描露光用感光性樹脂組成物は(E)増感剤を含有し、その増感剤としてピラゾリン骨格を有する化合物を用いる。ピラゾリン骨格を有する化合物をピラゾリン系増感剤と称する場合がある。
ピラゾリン系増感剤を添加することにより、デジタル露光であっても、底部がえぐられるアンダーカットの発生、及びレジスト上部の欠落が発生することなく、パターン輪郭の直線性が良くレジスト形状に優れ、解像性に優れたパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得ることができる。
ピラゾリン系増感剤としては、ピラゾール環を有する増感剤であれば特に制限はないが、下記一般式(2)で示されるピラゾリン系増感剤が好ましい。
Figure 2021140004
一般式(2)中、Rは炭素数4〜12のアルキル基を示し、a、b及びcはそれぞれ0〜2の整数を示し、a、b及びcの総和は1〜6である。a、b及びcの総和が2〜6のとき、同一分子中の複数のRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。Rのアルキル基は、直鎖状でも枝分かれ状でもよく、またハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基等により置換されたものであってもよい。Rとしては、炭素数4、8及び12であるアルキル基が好ましく、より具体的には、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−オクチル基、及びn−ドデシル基が好ましく、これらの中から選ばれる同一又は異なったものであることが好ましい。
このようなピラゾリン系増感剤としては、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1,5−ビス−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−ピラゾリン、1−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1,5−ビス−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(2,4−ジ−n−ブチル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,6−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,6−ジ−n−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−n−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(3,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン及び1−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン等が好ましく挙げられる。
レーザー直描露光用感光性樹脂組成物中の固形分全量を100質量部とする(E)成分のピラゾリン系増感剤(ピラゾリン骨格を有する化合物)の含有量は、0.01〜10.0質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましく、0.02〜1質量部が更に好ましく、0.03〜0.5質量部が特に好ましく、0.03〜0.2質量部が極めて好ましい。ピラゾリン系増感剤の含有量が、0.01質量部以上であると露光部が現像中に溶出しにくくなり、10質量部以下であると耐熱性の低下を抑制することができる。
<その他の成分>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、必要に応じて、マラカイトグリーン等の染料、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン系若しくはアゾ系等の有機顔料、二酸化チタン等の無機顔料、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム若しくは硫酸バリウム等の無機顔料からなる充填剤、上述した充填剤、有機顔料若しくは無機顔料等の湿潤分散剤、難燃剤、消泡剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤等を含有させることができる。これらの成分を含有する場合、その含有量は、レーザー直描露光用感光性樹脂組成物の有機化合物固形分全量を基準として、0.01〜70質量%程度であることが好ましい。また上記の成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて 用いることができる。
また、本実施形態に係るレーザー直描露光用感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解・分散し、固形分30〜70質量%程度の溶液として塗布することができる。
本実施形態に係るレーザー直描露光用感光性樹脂組成物は、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金等の金属面上に、液状レジストとして塗布してから乾燥後、必要に応じて保護フィルムを被覆して用いるか、後述する感光性エレメントの形態で用いることができる。
(感光性エレメント)
次に、本実施形態に係るレーザー直描露光用感光性樹脂組成物を用いた感光性エレメントについて説明する。図2は、本実施形態に係る感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図2に示した感光性エレメント100は、支持体10と、支持体10上に設けられた感光性樹脂組成物層(感光層)20とで構成される。感光性樹脂組成物層20は、本実施形態に係る感光性樹脂組成物からなる層である。また、本実施形態に係る感光性エレメント100は、感光性樹脂組成物層20上の支持体10とは反対側の面を、保護フィルム30で被覆してもよい。
感光性樹脂組成物層20は、本実施形態に係るレーザー直描露光用感光性樹脂組成物を上記溶剤又は混合溶剤に溶解して固形分30〜70質量%程度の溶液とした後に、かかる溶液を支持体10上に塗布して形成することが好ましい。
感光性樹脂組成物層20の厚みは、用途により異なるが、加熱又は熱風吹き付けにより溶剤を除去した乾燥後の厚みで、10〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。感光性樹脂組成物層20の厚みを10μm以上にすることで、工業的な塗工がより容易になる傾向があり、100μm以下にすることで本発明により奏される上述の効果が一層大きくなるとともに、可とう性及び解像度がより良好となる傾向がある。
感光性エレメント100が備える支持体10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムなどが挙げられる。
支持体10の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。この厚みを5μm以上とすることで現像前に支持体を剥離する際に当該支持体が破れにくくなる傾向があり、また、100μm以下とすることで解像度及び可撓性がより良好となる傾向がある。
支持体10と感光性樹脂組成物層20の2層からなる感光性エレメント100は、又は、支持体10と感光性樹脂組成物層20と保護フィルム30の3層からなる感光性エレメントは、例えば、そのまま貯蔵してもよく、保護フィルムを介在させた上で巻芯にロール状に巻き取って保管してもよい。
[レジストパターンの形成方法]
本実施形態に係る感光性エレメントを用いたレジストパターンは、感光性エレメントを回路形成用基板上に積層する積層工程と、活性光線を感光性樹脂組成物層の所定部分に照射して、感光性樹脂組成物層に光硬化部を形成させる露光工程と、該光硬化部以外の感光性樹脂組成物層を除去する現像工程と、を備える製造方法により製造することができる。
上記レジストパターンの形成方法は、感光性エレメントが保護フィルムを有する場合、感光性エレメントから保護フィルムを除去する除去工程を、積層工程の前に更に備えてもよい。また、上記積層工程においては、感光性樹脂組成物層の支持体とは反対側の面と回路形成用基板とが接するように積層する。すなわち、感光性エレメントを、回路基板上に感光性樹脂組成物層、支持体の順に積層されるように、積層する。
上記回路形成用基板とは、絶縁層と、絶縁層上に形成された導電体層(銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金からなる)とを備えた基板をいう。
上記積層工程における積層方法としては、感光性樹脂組成物層を加熱しながら回路形成用基板に圧着することにより積層する方法等が挙げられる。かかる積層の際には、密着性及び追従性等の見地から減圧下で積層することが好ましい。積層される表面は、通常、回路形成用基板の導電体層の面であるが、当該導電体層以外の面であってもよい。
ここで感光性樹脂組成物層の加熱温度は50〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は0.1〜1.0MPa程度とすることが好ましく、周囲の気圧は4,000Pa以下とすることがより好ましいが、これらの条件には特に制限はない。また、感光性樹脂組成物層を上記のように50〜130℃に加熱すれば、予め回路形成用基板を予熱処理することは必ずしも必要ではないが、積層性を更に向上させるために、回路形成用基板の予熱処理を行うこともできる。
このようにして積層が完了した後、露光工程において感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して光硬化部を形成せしめる。光硬化部の形成方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射する方法が挙げられ適用できるが、本発明では、LDI方式、DLP(Digital Light Processing)露光法等のマスクパターンを用いない直接描画法による露光に適している。
活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、半導体レーザー等の紫外線を有効に放射する光源を用いることができる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射する光源を用いることもできる。
次いで、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去した後、現像工程において、ウエット現像、ドライ現像等で光硬化部以外の感光性樹脂組成物層を除去して現像し、レジストパターンを形成させる。
ウエット現像の場合は、アルカリ性水溶液等の現像液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像することができる。現像液としては、安全かつ安定であり、操作性が良好なものが好ましく、例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(1〜5質量%水溶液)等が用いられる。
上述の形成方法により得られたレジストパターンは、例えば、プリント配線板のソルダーレジストとして用いる場合は、上記現像工程終了後、ソルダーレジストとしてのはんだ耐熱性、耐薬品性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射やオーブンによる加熱を行うことが好ましい。
紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば、0.2〜10J/cm程度の照射量で照射を行うことができる。また加熱する場合は、100〜170℃程度の範囲で15〜90分程行われることが好ましい。更に紫外線照射と加熱とを両方実施してもよく、いずれか一方を実施した後、他方を実施することもできる。
[プリント配線板の製造方法]
本発明のプリント配線板の製造方法は、基板上に本発明のレーザー直描露光用感光性樹脂組成物、又は本発明のドライフィルムを用いて感光層を形成する工程、該感光層にパターンを形成する工程(前記感光性の所定部分に活性光線を照射して、光硬化部を形成する工程)、及び該感光層を硬化して永久マスクレジストを形成する工程を順に有する。
具体的には、以下のようにして製造することができる。
まず銅張り積層板等の金属張り積層板、樹脂付き銅箔、金属スパッタ膜を備えるシリコンウエハー、アルミナ基板等のレジストを形成すべき基板上に、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、静電塗装法等の方法で、好ましくは10〜200μm、より好ましくは15〜150μm、更に好ましくは20〜100μm、特に好ましくは23〜50μmの膜厚で塗布し、次に塗膜を60〜110℃で乾燥させるか、又はカバーフィルムを剥がした本発明の感光性エレメント(ドライフィルム)を前記基板上に熱ラミネートすることにより、基板上に感光層を設ける。
次に、該感光層にLDI方式又はネガフィルムを直接接触(あるいは透明なフィルムを介して非接触)させて、活性光を、好ましくは10〜2,000mJ/cm、より好ましくは100〜1,500mJ/cm、更に好ましくは300〜1,000mJ/cm照射し、その後、未露光部を希アルカリ水溶液で溶解除去(現像)してパターンを形成する。使用される活性光としては前記したものが挙げられる。
次に、該感光層の露光部分を後露光(紫外線露光)又は後加熱によって十分硬化させて永久マスクレジストを形成する。
後露光の条件は、前記した条件で行うのが好ましい。
その後、形成したレジストをマスクとしてエッチング処理にて、配線を形成し、プリント配線板が作製される。又は、レジストパターンをマスクとして露出した基板にめっき処理してめっき導体パターンを形成する工程を行い、必要に応じ導体パターンを形成する工程の後に、光硬化部を除却する工程を更に備えプリント配線板が作製される。
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
[ワニスの作製]
(A)成分のバインダーポリマーとして感光性樹脂Aを57質量部、(B)成分の光重合性化合物として光重合性化合物Bを43質量部配合した原料に、(E)成分のピラゾリン骨格を有する化合物としてピラゾリン系増感剤Eを0.1質量部、(C)成分の光重合開始剤としてHABI(ヘキサアリールビスイミダゾール)系光重合開始剤Cを4.5質量部、(D)成分のメルカプト基を有する化合物としてメルカプト基を有する化合物Dを1.0質量部、染料Fを0.04質量部、密着付与剤Gを0.5質量部、トルエン20質量部、メタノール50質量部、アセトン15質量部を加えて20℃で1時間攪拌し、非揮発分56質量%のレーザー直描露光用感光性樹脂組成物ワニスを得た。
上記で用いた材料を以下に示す。
・(A)バインダーポリマー;感光性樹脂A;日立化成株式会社製、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/エチルアクリレート/スチレン共重合体
・(B)光重合性化合物B;日立化成株式会社製、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート及びビスフェノールA(EO)30ジメタクリレート混合物
・(C)光重合開始剤;HABI系光重合開始剤C;常州強力電子新材料社製、2,2’−ビズ(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール
・(D)メルカプト基を有する化合物D;東京化成工業株式会社製、2−メルカプトベンズイミダゾール
・(E)ピラゾリン骨格を有する化合物;ピラゾリン系増感剤E;株式会社日本化学工業所製、ピラゾリン系紫外線吸収剤
・(F)染料F;東京アニリン染料製造株式会社製、マラカイトグリーン
・(G)密着付与剤G;サンワ化成株式会社製、カルボキシベンゾトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、メトキシプロパノールの混合物
[ワニスの作製]
支持体としてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用い、前記で得られたレーザー直描露光用感光性樹脂組成物ワニスを、コーターを用い、塗工速度2.0m/min、乾燥炉1ゾーン110℃、2ゾーン70℃である条件で塗工し、乾燥後の厚み38μmの感光性エレメントを得た。
次いで、得られた感光性エレメントを使用してプリント配線板(回路)を作製した。
銅張り積層板(銅厚35μm)を用いて、酸洗を行って、乾燥機(80℃)において、予熱した。
感光性エレメントを用いて上記の予熱された銅張り積層板の表面温度60〜80℃でラミネートを行い、評価用積層体を得た。ラミネート条件は、ロール温度90〜110℃、圧力0.3〜0.5MPa、速度1.0〜2.0m/minである。ラミネート後1〜2時間静置しておいた。
(露光量;感度)
ラミネート工程後、405nmの青紫色レーザダイオードを光源とする直描露光機(日立ビアメカニクス株式会社製、製品名DE−1AH)を用いて、感光性樹脂層の上から、格子状のパターンを有する描画データを使用し、ストーファー41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が20となるエネルギー量を評価した。それぞれの評価用積層体に照射したエネルギー量は表1中に記載した。なおエネルギー量が少ないほど、高感度な感光性樹脂組成物であることを意味する。
露光後、評価用積層体上の支持体のPETフィルムを剥離し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で、最少現像時間(未露光部が現像される最少時間)の1.7倍の時間でスプレー現像を行った。これにより、感光性樹脂組成物層が硬化されてなるパターンを形成した。
(密着性)
上記露光量の試験と同様にして得られた評価用積層体を、405nmの青紫色レーザダイオードを光源とする直描露光機(日立ビアメカニクス株式会社製、製品名DE−1AH)を用いて、上記評価用積層体の上から、スペース幅を400μmとし、ライン幅が6〜47の配線パターンを有する描画データを使用し、ストーファー41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が20となるエネルギー量で露光した。
露光後の評価用積層体上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で、最少現像時間(未露光部が除去される最少時間)の1.7倍の時間でスプレー現像を行い、未露光部を除去して密着性の評価を行った。密着性の値は、現像処理によって未露光部を完全に除去できたライン幅(μm)のうち最も小さい値で表され、この数値が小さい程、密着性が高いことを示す。
(解像度)
上記露光量の試験と同様にして得られた評価用積層体を、405nmの青紫色レーザダイオードを光源とする直描露光機(日立ビアメカニクス株式会社製、製品名DE−1AH)を用いて、上記評価用積層体の上から、ライン幅/スペース幅が6/6〜47/47(単位:μm)の配線パターンを有する描画データを使用し、ストーファー41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が20となるエネルギー量で露光した。
露光後の評価用積層体上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で、最少現像時間(未露光部が除去される最少時間)の1.7倍の時間でスプレー現像を行い、未露光部を除去して解像性の評価を行った。解像性の値は、現像処理によって未露光部を完全に除去できたスペース幅(μm)のうち最も小さい値で表され、この数値が小さい程、解像性が高いことを示す。
(剥離時間)
露光して硬化した感光層の3質量%のNaOH溶液を用いて、50℃での剥離時間を測定した。
(めっき処理による導体パターンの形成)
評価用積層体の感光層を、スペース幅を約2ミル(59μm)で形成した基板を用いて、上記と同様に処理した現像後の基板回路を、ローム&ハース社製脱脂液で洗浄、水洗、過硫酸アンモニウム(APS)でソフトエッチング、水洗処理した。
ローム&ハース社製銅めっき液を用いて電流密度0.5〜1.5A/dm(ASD)、60〜90minでめっきを行った。
銅めっきの後に、基板回路を、ローム&ハース社製脱脂液で洗浄、水洗、APSでソフトエッチング、水洗処理した。そして、ローム&ハース社製錫めっき液を用いて、電流密度0.5〜1.5ASD、5〜15min錫めっきを行った(図1参照)。
(実施例2)
実施例1において、メルカプト基を有する化合物D 1.0質量部を、0.4質量部に変えた以外は、全く同様に配合し、得られたワニスを用いて実施例1と同様に塗工し、感光性エレメントを作製し、評価を行った。
(比較例1)
実施例1において、メルカプト基を有する化合物D 1.0質量部を、0質量部に変えた以外は、全く同様に配合し、得られたワニスを用いて実施例1と同様に塗工し、感光性エレメントを作製し、評価を行った。
(比較例2)
実施例1において、(A)成分のバインダーポリマー57質量部を、0質量部に変えた以外は、全く同様に配合し、得られたワニスを用いて実施例1と同様に塗工し、感光性エレメントを作製し、評価を行った。
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた評価用積層体の露光量、密着性、解像度、剥離時間の測定、評価結果をまとめて表1に示した。
Figure 2021140004

本発明の(A)〜(E)成分を有するレーザー直描露光用感光性樹脂組成物では、少ない露光量でも露光することができ感度に優れ、解像度、密着性にも優れる。
本発明のレジストパターンや配線板の製造方法によれば、プリント配線板の回路形成に用いるのに好適な、高感度、耐めっきに優れる特性を有する感光性エレメント(ドライフィルム)が得られる。また本発明の感光性エレメントは、回路形成に用いる好適な、高感度、耐めっき性に優れるものである。
1…レジスト
2…銅
3…錫
10…支持体
20…感光性樹脂組成物層
30…保護フィルム
100…感光性エレメント

Claims (6)

  1. (A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)メルカプト基を有する化合物及び(E)増感剤を含み、前記(E)成分の増感剤としてピラゾリン骨格を有する化合物を含有する、レーザー直描露光用感光性樹脂組成物。
  2. 前記(D)成分のメルカプト基を有する化合物が、イミダゾール骨格を有する2級チオール又は3級チオールを有する化合物である請求項1に記載のレーザー直描露光用感光性樹脂組成物。
  3. 支持体と、該支持体上に請求項1又は請求項2に記載のレーザー直描露光用感光性樹脂組成物を用いた感光層と、を備える感光性エレメント。
  4. (i)回路形成用基板上に、請求項1又は請求項2に記載のレーザー直描露光用感光性樹脂組成物、又は、請求項3に記載の感光性エレメントを用いて、感光層を形成する工程と、
    (ii)前記感光層の所定部分に活性光線を照射して、光硬化部を形成する工程と、
    (iii)前記回路形成用基板の感光層から前記光硬化部以外の少なくとも一部を除却する工程と、を備える、レジストパターンの形成方法。
  5. 請求項4に記載のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された基板を、エッチング処理又はめっき処理して導体パターンを形成する工程を備える、プリント配線板の製造方法。
  6. 導体パターンを形成する工程の後に、光硬化部を除却する工程を更に備える、請求項5に記載のプリント配線板の製造方法。
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WO2024195502A1 (ja) * 2023-03-17 2024-09-26 株式会社レゾナック 感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及び配線基板の製造方法

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