JP2021027849A - 中性子捕捉療法用患者載置台、患者姿勢確認システム、および患者姿勢確認方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】治療計画の修正に係る作業を簡便化する。【解決手段】中性子線が照射される患者を載置する中性子捕捉療法用患者載置台としての患者載置台5は、土台部51と、土台部51上で患者を載置可能な載置部52と、載置部52に対向する主面が、中性子線を照射する照射室において中性子線の照射口が設けられた壁体の表面形状を模した形状であり、土台部51に対して着脱自在な前方カバー53と、を有する。【選択図】図3
Description
本発明は、中性子捕捉療法用患者載置台、患者姿勢確認システム、および患者姿勢確認方法に関する。
中性子線の照射により患者(被照射体)を治療する中性子捕捉療法では、一般的に、患者に対して照射する中性子線の線量分布等を考慮した治療計画を予め作成し、この治療計画に基づいて中性子線が患者に照射される(例えば、特許文献1参照)。
治療計画は、実際に患者に中性子線を照射する前に以下の手順で修正がなされる。まず、患者が載置台上において治療計画で想定されている姿勢となり、中性子線照射装置で用いられるコリメータとの位置合わせを行いながら姿勢の調整を行う。次に、姿勢の調整を行った患者をCT装置へ移動させて、CT装置において調整後の患者の姿勢を再現して撮像を行う。この結果得られた患者の姿勢に関する情報に基づいて、治療計画を修正する。
しかしながら、患者の姿勢の調整による治療計画の修正を上記の手順で行おうとすると、患者の移動が多くなるだけでなく、CT装置において調整後の患者の姿勢を再現する必要がある。そのため、治療計画の修正に多大な時間が必要となる可能性がある。
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、治療計画の修正に係る作業を簡便化することが可能な中性子捕捉療法用患者載置台、患者姿勢確認システム、および患者姿勢確認方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る中性子捕捉療法用患者載置台は、中性子線が照射される患者を載置する中性子捕捉療法用患者載置台であって、土台部と、前記土台部上で前記患者を載置可能な載置部と、前記載置部に対向する主面が、前記中性子線を照射する照射室において前記中性子線の照射口が設けられた壁体の表面形状を模した形状であり、前記土台部に対して着脱自在な前方カバーと、を有する。
上記の中性子捕捉療法用患者載置台によれば、前方カバーの載置部に対向する主面が、中性子線を照射する照射室において中性子線の照射口が設けられた壁体の表面形状を模した形状であるため、この中性子捕捉療法用患者載置台を利用して、治療計画の修正に係る患者の姿勢の調整を好適に行うことができる。また、この前方カバーは土台部に対して着脱自在であるため、患者が所定の姿勢をとった後にその状態を維持したまま前方カバーを外してCT装置での撮像を行うことができる。したがって、従来のように、CT装置において調整後の患者の姿勢を再現して撮像を行う場合と比較して、治療計画の修正に係る作業を簡便化することが可能となる。
ここで、前記土台部に対して取付けられ、前記照射口において用いられるコリメータを支持可能なコリメータ支持部を有し、前記コリメータ支持部は、非金属の材料により構成される態様とすることができる。
中性子捕捉療法用患者載置台にコリメータ支持部が設けられることで、コリメータ支持部において保持されるコリメータと患者との位置合わせを好適に行うことができる。また、コリメータ支持部が非金属の材料により構成されることで、コリメータ支持部が設けられた中性子捕捉療法用患者載置台をCT装置の撮像にも適用することができる。したがって、治療計画の修正に係る作業を簡便化することが可能となる。
また、前記患者の一部を固定可能な固定部をさらに有し、前記固定部は、非金属の材料により構成される態様とすることができる。
中性子捕捉療法用患者載置台に患者の一部を固定可能な固定部が設けられることで、所定の姿勢をとった患者を好適に支持することができる。また、固定部が非金属の材料により構成されることで、固定部により固定された状態の患者をCT装置により好適に撮像することができる。したがって、治療計画の修正に係る作業を簡便化することが可能となる。
本発明の一形態に係る患者姿勢確認システムは、中性子線を患者に対して照射する中性子捕捉療法において、中性子線の照射時における患者の姿勢を確認する患者姿勢確認システムであって、上記の中性子捕捉療法用患者載置台と、所定の径の撮像空間を有する撮像部と、前記撮像部を移動させる移動部とを有し、CT撮像を行うCT装置と、を備え、前記中性子捕捉療法用患者載置台は、前記撮像空間の径方向の断面に平行な面での前記載置部の長さが、前記撮像空間の径よりも小さく、前記撮像空間の径方向の断面に平行な面での前記前方カバーの長さが、前記撮像空間の径よりも大きい。
上記のように、中性子捕捉療法用患者載置台は、撮像空間の径方向の断面に平行な面での前方カバーの長さが、撮像空間の径よりも大きい。このため、患者の姿勢の調整を好適に行うことができる一方で、CT装置の撮像空間に中性子捕捉療法用患者載置台を配置することは不可能である。一方、撮像空間の径方向と同じ方向での載置部の長さは、撮像空間の径方向の断面に平行な面よりも小さいため、前方カバーを外した状態の中性子捕捉療法用患者載置台の載置部は、撮像空間内に配置することができる。したがって、治療計画の修正に係る作業を簡便化することが可能となる。
また、前記CT装置の前記移動部は、前記撮像部を前記撮像空間の径方向に対して直交する方向へ移動可能である態様とすることができる。
CT装置の移動部が撮像部を撮像空間の径方向に対して直交する方向へ移動可能とすることで、CT装置の撮像空間内への中性子捕捉療法用患者載置台の載置部の移動を好適に行うことができる。
また、前記中性子捕捉療法用患者載置台の前記土台部は、走行手段を有する態様とすることができる。
中性子捕捉療法用患者載置台の土台部が走行手段を有することで、走行手段により載置部の移動をより簡便に行うことができる。
また、本発明の一形態に係る患者姿勢確認方法は、上記の患者姿勢確認システムによる患者姿勢確認方法であって、前記中性子捕捉療法用患者載置台から前記前方カバーを取り外すステップと、前記CT装置の前記撮像空間内に前記中性子捕捉療法用患者載置台の前記載置部を位置させるステップと、を有する。
上記のように、中性子捕捉療法用患者載置台から前方カバーを取り外すステップと、CT装置の撮像空間内に中性子捕捉療法用患者載置台の載置部を位置させるステップと、有することで、前方カバーを取り外した中性子捕捉療法用患者載置台の載置部を撮像空間内に位置させて撮像を行うことができる。したがって、治療計画の修正に係る作業を簡便化することが可能となる。
本発明によれば、治療計画の修正に係る作業を簡便化することが可能な中性子捕捉療法用患者載置台、患者姿勢確認システム、および患者姿勢確認方法が提供される。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
本発明の一実施形態に係る中性子捕捉療法用患者載置台および患者姿勢確認システムは、中性子捕捉療法システムを用いる際に使用する治療計画の修正に利用される。したがって、まず、中性子捕捉療法システムの概略構成を説明した後に、中性子捕捉療法用患者載置台および患者姿勢確認システムについて説明する。
まず、図1および図2を用いて、中性子捕捉療法システムの概要を説明する。図1および図2に示すように、ホウ素中性子捕捉療法を用いたがん治療を行う中性子捕捉療法システム1は、ホウ素(10B)を含む薬剤が投与された患者S(被照射体)のホウ素が集積した部位に中性子線を照射してがん治療を行うシステムである。中性子捕捉療法システム1は、載置台3に拘束された患者Sに中性子線Nを照射して患者Sのがん治療を行う照射室2を有している。
患者Sを載置台3に拘束する等の準備作業は、照射室2外の準備室(不図示)で実施され、患者Sが拘束された載置台3が準備室から照射室2に移動される。その後、載置台3は、照射室2の出射口の前の所定の位置に設置される。また、中性子捕捉療法システム1は、患者Sが載置される載置台3と、治療用の中性子線Nを発生させる中性子線発生部10と、照射室2内で載置台3に載置されている患者Sに対して中性子線Nを照射する中性子線照射部20と、を備えている。なお、照射室2は遮蔽壁Wに覆われているが、患者や作業者等が通過するために通路および扉41が設けられている。
中性子線発生部10は、荷電粒子を加速して荷電粒子線Lを出射する加速器11と、加速器11が出射した荷電粒子線Lを輸送するビーム輸送路12と、荷電粒子線Lを走査してターゲット8に対する荷電粒子線Lの照射位置の制御を行う荷電粒子線走査部13と、荷電粒子線Lが照射されることで核反応を起こして中性子線Nを発生させるターゲット8と、荷電粒子線Lの電流を測定する電流モニタ16と、を備えている。加速器11およびビーム輸送路12は、略長方形状を成す荷電粒子線生成室14の室内に配置されており、この荷電粒子線生成室14は、コンクリート製の遮蔽壁Wで覆われた空間である。なお、荷電粒子線生成室14には、メンテナンスのための作業者が通過するための通路および扉42が設けられている。なお、荷電粒子線生成室14は略長方形状に限定されず、他の形状であってもよい。例えば、加速器からターゲットまでの経路がL字状の場合には、荷電粒子線生成室14もL字状にしてよい。また、荷電粒子線走査部13は例えば荷電粒子線Lのターゲット8に対する照射位置を制御し、電流モニタ16はターゲット8に照射される荷電粒子線Lの電流を測定する。
加速器11は、陽子等の荷電粒子を加速して陽子線等の荷電粒子線Lを生成するものである。本実施形態では、加速器11としてサイクロトロンが採用されている。なお、加速器11として、サイクロトロンに代えて、他の円形加速器(例えば、シンクロトロン)、線形加速器、又は静電加速器等の他の加速器を用いてもよい。
ビーム輸送路12の一端(上流側の端部)は、加速器11に接続されている。ビーム輸送路12は、荷電粒子線Lを調整するビーム調整部15を備えている。ビーム調整部15は、荷電粒子線Lの軸を調整する水平型ステアリング電磁石および水平垂直型ステアリング電磁石と、荷電粒子線Lの発散を抑制する四重極電磁石と、荷電粒子線Lを整形する四方スリット等を有している。なお、ビーム輸送路12は荷電粒子線Lを輸送する機能を有していればよく、ビーム調整部15は無くてもよい。
ビーム輸送路12によって輸送された荷電粒子線Lは、荷電粒子線走査部13によって照射位置を制御されてターゲット8に照射される。なお、荷電粒子線走査部13を省略して、常にターゲット8の同じ箇所に荷電粒子線Lを照射するようにしてもよい。
ターゲット8は、荷電粒子線Lが照射されることによって中性子線Nを発生させる。ターゲット8は、例えば、ベリリウム(Be)、リチウム(Li)、タンタル(Ta)又はタングステン(W)で構成されており、板状を成している。ただし、ターゲットは板状に限らず、液状等であってもよい。ターゲット8が発生させた中性子線Nは、中性子線照射部20によって照射室2内の患者Sに向かって照射される。
中性子線照射部20は、ターゲット8から出射された中性子線Nを減速させる減速材21と、中性子線Nおよびガンマ線等の放射線が外部に放出されないように遮蔽する遮蔽体22とを備えており、この減速材21と遮蔽体22とでモデレータが構成されている。
減速材21は例えば異なる複数の材料から成る積層構造とされており、減速材21の材料は荷電粒子線Lのエネルギー等の諸条件によって適宜選択される。具体的には、例えば加速器11からの出力が30MeVの陽子線でありターゲット8としてベリリウムターゲットを用いる場合には、減速材21の材料は鉛、鉄、アルミニウム又はフッ化カルシウムとすることができる。
遮蔽体22は、減速材21を囲むように設けられており、中性子線N、および中性子線Nの発生に伴って生じたガンマ線等の放射線が遮蔽体22の外部に放出されないように遮蔽する機能を有する。遮蔽体22は、荷電粒子線生成室14と照射室2とを隔てる壁W1に少なくともその一部が埋め込まれていてもよく、埋め込まれていなくてもよい。また、照射室2と遮蔽体22との間には、照射室2の側壁面の一部を成す壁体23が設けられている。壁体23には、中性子線Nの出力口となるコリメータ取付部23aが設けられている。このコリメータ取付部23aには、中性子線Nの照射野を規定するためのコリメータ31が固定されている。コリメータ31における開口形状を変更することで、中性子線Nの照射野を規定することができる。なお、コリメータ取付部23aを壁体23に設けずに、載置台3にコリメータ31を取り付けてもよい。
以上の中性子線照射部20では、荷電粒子線Lがターゲット8に照射され、これに伴いターゲット8が中性子線Nを発生させる。ターゲット8によって発生した中性子線Nは、減速材21内を通過している際に減速され、減速材21から出射された中性子線Nは、コリメータ31を通過して載置台3に載置されている患者Sに対して照射される。ここで、中性子線Nとしては、比較的エネルギーが低い熱中性子線又は熱外中性子線を用いることができる。
なお、構造を説明するために、図2に示すように、中性子捕捉療法システム1に対してXYZ座標を設定する。Y軸方向は中性子線Nの照射方向(ターゲット8からコリメータ取付部23aへ向かう方向)を示す。また、Y軸方向のうち、中性子線Nの照射方向における下流側を「負」とし、上流側を「正」とする。X軸方向は地面に対して水平な面内のY軸に対して垂直な方向を示す。当該X軸方向の一方側を「負」とし、他方側を「正」とする。Z軸方向は地面に対して垂直な方向を示す。Z軸方向のうち、上側を「正」とし、下側を「負」とする。
次に、図3および図4を参照して、本実施形態に係る中性子捕捉療法用患者載置台について説明する。中性子捕捉療法用患者載置台は、上記の中性子捕捉療法システム1における載置台3に対応する装置である。また、中性子捕捉療法用患者載置台は、治療計画を修正する際に用いられる。
治療計画は、所定の姿勢をとった患者に対して照射する中性子線の線量分布等を規定したものである。ただし、中性子捕捉療法システム1の装置の配置等の何らかの理由によって、治療計画において規定した姿勢を患者が正確に再現できない場合がある。患者が治療計画において規定した姿勢を再現できない場合、治療計画で想定された位置に対して中性子線を適切に照射できない可能性がある。そこで、中性子捕捉療法システム1での中性子線の照射の前に、治療計画で指定された姿勢を患者がとり、中性子線Nの照射野を制限するコリメータ31に対する位置合わせを行う。そして、治療計画において想定された患者の姿勢と、上記の位置合わせにおいて治療計画に基づいて患者が実際にとった姿勢との差分に基づいて、治療計画を修正する。
上記の一連の流れにおいて、治療計画の修正には患者に係るCT画像が使用される。具体的には、治療計画において想定された患者の姿勢と、治療計画に基づいて患者が実際にとった姿勢との差分を把握するために、治療計画に基づいて所定の姿勢をとった患者に係るCT画像を取得する。そして、CT画像により特定される患者の姿勢と、治療計画において想定された患者の姿勢とを比較し、差分が特定される。
ここで、従来は、中性子捕捉療法システム1での載置台3に対応する形状を有する患者載置台上で、コリメータ31に対応する模擬コリメータ(模擬照射口)を用いて患者の姿勢の調整(位置合わせ)を行い、さらに、CT装置(X線CT装置)を利用して、患者が当該姿勢をとった状態での患者の姿勢に係る情報となるCT画像を取得する。しかしながら、従来は、患者載置台上で中性子線の模擬コリメータと患者との位置合わせを行った後、CT装置へ移動し再度位置合わせ時の姿勢を再現してCT撮像を行われている。そのため、患者は、患者載置台上およびCT装置の両方において治療計画で指定された姿勢を再現することが必要となり、患者の姿勢に係る治療計画の修正に多大な時間を要してしまうという問題があった。
これに対して、本実施形態に係る患者載置台によれば、患者載置台上で模擬コリメータに対する位置合わせを行った後、位置合わせを行った状態を維持したままCT装置へ移動してのCT画像の撮像が可能となるため、患者の姿勢に係る治療計画の修正を簡便に行うことを可能とする。
図3は、中性子捕捉療法用患者載置台となる患者載置台5のX軸方向の負側からの断面図(X軸方向の中央位置での断面図)である。また、図4は、患者載置台5をY軸方向の正側から見た図である。なお、図3では患者載置台5に載置された患者Sが示されているが、図4では患者Sを省略している。また、図3では、患者Sの頭部に対して中性線を照射する場合について示している。
図3および図4に示すように、患者載置台5は、土台部51と、載置部52と、前方カバー53と、コリメータ支持部54(コリメータスタンド)と、を備える。
土台部51は、準備室等の床面F上に配置される部材であり、患者載置台5の各構成要素を下方から支持するためのものである。土台部51には、扁平な直方体状であり、上面または側面等に各構成要素が取り付けられる。土台部51の下面には、車輪512などの走行手段が設けられていてよい。土台部51は、当該走行手段によって、床面F上を移動することができる。なお、走行手段は設けられていなくてもよい。
土台部51には、患者Sが載置部52に載置された際に患者Sの足を置くことができる略平板状のステップ部511を有していてよい。患者載置台5では、ステップ部511に対して後述のコリメータスタンド55が取り付けられている。ただし、コリメータスタンド55の取り付け位置は限定されない。
載置部52は、土台部51上に設けられ、患者Sが載置可能な部材である。載置部52は、患者Sが腰掛けるための椅子521と、椅子521を支持する椅子支持部522と、を備えている。
椅子521は、椅子支持部522の上面側に設けられる。椅子521は、患者Sの姿勢に応じてZ軸周りに回転可能である。椅子521が回転可能である場合、患者Sの向く方向に応じて椅子521を回転することができ、患者Sが座りやすくすることができる。
椅子支持部522は、土台部51の上面51a上に設けられ、椅子521を支持する。また、椅子支持部522は、椅子521をY軸方向に沿って往復移動可能に支持する構成としてもよい。なお、椅子支持部522X軸方向における幅は、椅子521に座った状態の患者Sが、跨ぐことができる程度の幅に設定される。
前方カバー53は、土台部51のY方向の正側の端部に設けられる。前方カバー53は、照射室2の側壁面の一部を成し中性子線Nの照射口が設けられる壁体23のうち、照射室2側の壁面を模した形状とされている。すなわち、前方カバー53のY方向の負側(載置部52側)の主面の形状は、照射室2において、壁体23の照射室2側の表面形状に対応した領域を有している。前方カバー53のY方向の負側の主面のうち、少なくとも椅子521に座った状態の患者Sが触れる可能性のある領域は、表面形状が中性子線Nの照射口が設けられる壁体23の照射室2側の表面形状に対応する。
前方カバー53には、開口531が設けられる。開口531は、コリメータ31の外周を囲うような大きさとされている。また、開口531の中心軸線は、コリメータ31の中心軸線に対応する位置となるように配置される。図4に示す例では、開口531の中心軸線は、土台部51および載置部52のX方向の中心位置と一致している。
前方カバー53の開口531は、図4に示すように、Z方向の正側(上方)が閉じていない形状であってもよい。また、前方カバー53は、X方向の中央位置付近に延びる分割線Pに沿って2つに分割可能であってもよい。
なお、前方カバー53は、土台部51に対して着脱自在とされている。前方カバー53が土台部51に対して着脱自在である、とは、着脱の際に前方カバー53、および、前方カバー53を取付けている相手方の部材の両方が破壊されない(非破壊である)状態であり、また、着脱の所要時間がそれぞれ1時間以内である状態であることをいう。
本実施形態では、前方カバー53は、土台部51に対して着脱自在とされているが、土台部51に対してどのように取付けられるかは特に限定されない。また、前方カバー53を土台部51に対して取り付ける際に、土台部に対して着脱可能な支持フレーム等を組み合わせて前方カバー53を支持する構成としてもよい。
コリメータ支持部54は、中性子線Nの照射に使用するコリメータ31またはコリメータ31に対応する模擬コリメータを支持可能である。コリメータ支持部54は、土台部51に設けられたステップ部511の上面からZ方向の正側に延びる長尺状の部材からなり、そのZ方向の正側の端部においてコリメータ31(または模擬コリメータ)を支持する。なお、コリメータ支持部54によるコリメータ31の支持方法は特に限定されず、例えば、コリメータ支持部54の端部においてコリメータ31を収容する凹部等を設けることができる。なお、コリメータ支持部54の長尺状の部材は、図3で示すようにその一部が折り曲げられていてもよい。
なお、コリメータ支持部54には、患者Sの身体の一部を固定するための固定部57が設けられていてもよい。図3に示す例では、固定部57は、中性子線の照射対象となる患者Sの頭部を固定する。固定部57の材質等は特に限定されず、例えば、弾性を有する板材等を複数組み合わせて固定部57を形成してもよい。固定部57は、コリメータ支持部54に対して取り付けられているのではなく、土台部51に対して取り付けられていてもよい。
また、コリメータ支持部54には、患者Sの腕を支持する支持台58が設けられていてもよい。また、支持台58は、コリメータ支持部54に対して取り付けられているのではなく、土台部51に対して取り付けられていてもよい。
なお、コリメータ支持部54および固定部57は、非金属の材料により構成される。図3等に示されるように、コリメータ支持部54および固定部57は、中性子線の照射対象となる患者Sの頭部近傍に配置される。したがって、CT装置で患者Sの頭部近傍を撮像する際に、コリメータ支持部54および固定部57に対してもX線が照射される可能性がある。そこで、コリメータ支持部54および固定部57を非金属の材料(X線に対する感度が低い材料)により構成することで、患者Sの姿勢に係るCT画像を撮像する際にコリメータ支持部54および固定部57に対して干渉することを防ぐことができる。
なお、コリメータ支持部54は、患者Sと当接し得るXZ平面に沿って延びる板状部材を有していてもよい。板状部材が設けられている場合、この板状部材を利用して患者Sの姿勢を維持する構成とすることもできる。
また、前方カバー53とコリメータ支持部54とを組み合わせることで、中性子線の照射口が設けられた壁体の表面形状が形成されるような構成としてもよい。すなわち、コリメータ支持部54が設けられる場合、前方カバー53は、コリメータ支持部54の形状および配置を考慮した形状となっていてもよい。
また、コリメータ支持部54は土台部51に対して着脱自在であってもよい。ただし、その場合には、コリメータ支持部54は、患者Sが所定の姿勢をとった場合に、患者Sとコリメータ支持部54が当接しないような構成とする必要がある。
次に、患者載置台5と、患者載置台5上の患者Sを撮像するためのCT装置と、を含む患者姿勢確認システムについて、図5を参照しながら説明する。図5(a)は、患者姿勢確認システムの正面図であり、図5(b)は、患者姿勢確認システム右側面図である。
患者姿勢確認システム6とは、中性子線を患者に対して照射する中性子捕捉療法において、中性子線の照射時 における患者の姿勢を確認するシステムであり、患者載置台5とCT装置7とによって構成される。CT装置7は、内側に所定の径の撮像用の撮像空間Rを有する撮像部71と、撮像部71を移動させる移動部72と、を有する。本実施形態で説明するCT装置7は撮像部71が床面Fに対して垂直方向に移動可能な所謂縦型CT装置である。CT装置7は、照射室2および準備室とは別のCT室4内に設置することができる。
図5(a)に示す例では、撮像部71はX線照射部711とX線検出部712とにより構成され、これらは床面Fに対して垂直な方向に延びる軸Aを挟んで対称となる位置に配置される。また、X線照射部711およびX線検出部712は、それぞれ軸Aの周囲を回動可能となるように、回動部73により支持される。すなわち、回動部73は、撮像部71を回動させる移動部72としての機能を有する。回動部73は、略円環状に構成されて、X線照射部711とX線検出部712との間に設けられる撮像用の撮像空間Rが回動部73の中央の開口の一部となるように構成されている。すなわち、撮像空間Rは、軸A方向に回動部73を貫通する開口の一部となる。なお、本実施形態では、X線照射部711およびX線検出部712の回動軸となる軸Aが床面Fに対して垂直な方向に延びた状態で固定されている場合について説明するが、軸Aの傾き等が変化する構成であってもよい。
また、撮像部71としてのX線照射部711およびX線検出部712が取付けられた回動部73は、CT室4内の床面Fと天井Cとの間に垂直方向に延びる支持部74により支持される。また、支持部74は、回動部73を垂直方向に移動可能な状態で支持する。したがって、支持部74は、撮像部71を垂直方向(上下方向:CT装置7の場合には軸Aに沿った方向)に移動させる移動部72としての機能を有する。
このように、撮像部71は、回動部73によって水平方向(床面Fに平行な方向)に軸Aの周囲を回動可能とされる。また、撮像部71は、支持部74によって垂直方向(上下方向:CT装置7の場合は軸Aに沿った方向)に移動可能とされている。これにより、撮像部71は、対象物に対して相対的に移動しながら、対象物の撮像を行うことができる。なお、支持部74による撮像部71の移動方向は、軸Aとは関係なく設定されてもよい。
本実施形態では、上記のCT装置7と患者載置台5とが組み合わせて使用される。患者載置台5をCT装置7と組み合わせて使用する患者姿勢確認方法は、例えば、以下の手順行われる。まず、所定の姿勢をとった患者Sを患者載置台5の載置部52上に載置させた状態で、撮像部71の軸Aが通る位置に配置する。患者載置台5を撮像部71の軸Aが通る位置に配置する前または後に、患者載置台5から前方カバー53を取り外す(中性子捕捉療法用患者載置台から前記前方カバーを取り外すステップ)。そして、移動部72となる回動部73および支持部74を動作させることで撮像部71を移動させて、患者Sの撮像対象となる部分(例えば、頭部)を撮像空間R内に位置させる(CT装置の撮像空間内に載置部を位置させるステップ)。この状態で撮像部71を移動させながら撮像を行うことで、患者Sの撮像対象となる部分に係るCT画像を取得することができる。
ここで、本実施形態に係る患者載置台5は、撮像空間Rの径方向の断面に平行な面での載置部52の長さが、撮像空間Rの径D(図5参照)よりも小さい。「撮像空間Rの径方向」とは、図5に示すCT装置7においては、軸Aを中心に回動するX線照射部711およびX線検出部712を結ぶ方向である。したがって、「撮像空間Rの径」とは、X線照射部711およびX線検出部712の間の長さとなる。また、「撮像空間Rの径方向の断面」とは、X線照射部711およびX線検出部712の回動中心となる軸Aに対して垂直な断面をいう。
図5に示すCT装置7の場合、撮像空間Rの径方向の断面は、軸Aに対して直交する方向、すなわち水平方向に拡がっている。この場合、載置部52の水平方向での長さ(水平面で見たときの幅の最大値)が、撮像空間Rの径に対して小さくされる。また、前方カバー53は、撮像空間Rの径方向の断面に平行な面での載置部52の長さが、撮像空間Rの径よりも大きい。前方カバー53の水平方向での長さは、図4に示すようにX軸に沿った前方カバー53の長さの最大値となる。このように、患者載置台5は、前方カバー53の長さは撮像空間Rの径よりも大きく、載置部52の長さは撮像空間Rの径Dよりも小さい。そのため、患者載置台5は、脱着可能な前方カバー53を取り外すことで、載置部52を撮像空間R内に導入することができる。したがって、載置部52上に載置された患者Sについて、CT装置7を利用して撮像することができる。
つまり、上記の患者姿勢確認システム6によれば、患者載置台5の載置部52の長さは、CT装置7の撮像部71による撮像空間Rの径Dよりも小さく、また、前方カバー53の長さは撮像空間Rの径よりも大きい。そのため、脱着可能な前方カバー53を取り外すことで、患者載置台5の載置部52を撮像空間R内に移動させることができる。そのため、例えば、前方カバー53を取付けた状態で患者Sの姿勢の調整を行った後、患者Sの姿勢を維持したまま、前方カバー53を取り外してCT装置7による撮像を行うことができる。
なお、患者載置台5が走行手段を有している場合、患者Sの姿勢の調整はCT装置7とは離れた場所(例えば、準備室等)で行い、その後、患者Sの姿勢を維持したまま患者載置台5を移動させてCT装置7による撮像を行うことができる。したがって、患者載置台5およびCT装置7を利用した患者の姿勢の確認を効率よく行うことができる。
また、図5(b)に示すように、患者載置台5にコリメータ支持部54および固定部57が設けられる場合には、コリメータ支持部54および固定部57が設けられた状態でCT装置7による撮像を行う場合がある。この場合には、撮像空間Rの径方向と同じ方向において、載置部52、コリメータ支持部54および固定部57の撮像空間Rの径方向の断面に平行な面での長さが、撮像空間Rの径D(図5参照)よりも小さくされる。図5に示すCT装置の場合、撮像空間Rの径方向は、軸Aに対して直交する方向、すなわち水平方向となっている。この場合、載置部52、コリメータ支持部54および固定部57が占有する領域の水平方向での長さ(水平面で見たときの幅の最大値)が、撮像空間Rの径に対して小さくされる。このような構成とすることで、コリメータ支持部54および固定部57を取り付けた状態で、載置部52を撮像空間R内に導入することができる。したがって、載置部52上に載置された患者Sについて、CT装置7を利用して撮像することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る中性子捕捉療法用患者載置台(患者載置台5)によれば、前方カバー53の載置部52に対向する主面が、中性子線を照射する照射室2において中性子線の照射口が設けられた壁体23の表面形状を模した形状である。したがって、この患者載置台5を利用して、治療計画の修正に係る患者Sの姿勢の調整を好適に行うことができる。また、この前方カバー53は土台部51に対して着脱自在であるため、患者Sが所定の姿勢をとった後にその状態を維持したまま前方カバー53を外してCT装置7での撮像を行うことができる。したがって、従来のように、CT装置7において調整後の患者の姿勢を再現して撮像を行う場合と比較して、治療計画の修正に係る作業を簡便化することが可能となる。
また、患者載置台5にはコリメータ支持部としてのコリメータ支持部54を設けることができる。患者載置台5にコリメータ支持部54が設けられることで、コリメータ支持部54において保持されるコリメータと患者Sとの位置合わせを好適に行うことができる。また、コリメータ支持部54が非金属の材料により構成されることで、コリメータ支持部54が設けられた患者載置台5を用いてCT装置7を撮像した場合にコリメータ支持部54が干渉することを防ぐことができる。したがって、治療計画の修正に係る作業を簡便化することが可能となる。
また、患者載置台5には患者の一部を固定可能な固定部57を設けることもできる。患者載置台5に患者の一部を固定可能な固定部57が設けられることで、所定の姿勢をとった患者Sを好適に支持することができる。また、固定部57が非金属の材料により構成されることで、固定部57が設けられた患者載置台5を用いてCT装置7を撮像した場合に固定部57が干渉することを防ぐことができる。したがって、治療計画の修正に係る作業を簡便化することが可能となる。
また、上記実施形態で説明した患者姿勢確認システム6は、上記の中性子捕捉療法用患者載置台(患者載置台5)と、CT撮像を行うCT装置7と、を含む。ここで、患者載置台5は、撮像空間Rの径方向の断面と平行な面での前方カバー53の長さが、撮像空間Rの径Dよりも大きい。このため、患者Sの姿勢の調整を好適に行うことができる一方で、CT装置7の撮像空間Rに患者載置台5を配置することは不可能である。一方、撮像空間Rの径方向の断面と平行な面での載置部52の長さは、撮像空間Rの径Dよりも小さいため、前方カバー53を外した状態の患者載置台5の載置部52は、撮像空間R内に配置することができる。したがって、治療計画の修正に係る作業を簡便化することが可能となる。
また、CT装置7の移動部としての回動部73および支持部74は、CT装置7の撮像部71を撮像空間Rの径方向に対して直交する方向へ移動可能な構成とすることができる。このような構成とすることで、CT装置7の撮像空間R内への患者載置台5の載置部52の移動を好適に行うことができる。
また、患者載置台5の土台部51は、走行手段を有する構成とした場合、走行手段により載置部52の移動をより簡便に行うことができる。
また、上記実施形態に係る患者姿勢確認方法は、患者姿勢確認システム6による患者姿勢確認方法であって、患者載置台5から前方カバー53を取り外すステップと、CT装置7の撮像空間R内に患者載置台5の載置部52を位置させるステップと、を有する。このような構成とすることで、前方カバー53を取り外した患者載置台5の載置部52を撮像空間R内に位置させて撮像を行うことができる。したがって、治療計画の修正に係る作業を簡便化することが可能となる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、中性子捕捉療法システム1、患者載置台5、CT装置7の構成は一例であり、適宜変更することができる。また、各部の形状等も適宜変更することができる。
また、上記実施形態では、患者載置台5の載置部52に椅子521が含まれ患者Sが椅子521に座る場合について説明したが、載置部52における患者Sの姿勢は、座位に限定されず、立位であってもよい。患者Sがとる姿勢に応じて、載置部52の構成および形状等も適宜変更される。
また、上記実施形態では、CT装置7が所謂縦型CT装置である場合について説明したが、CT装置7の撮像部71の回動軸であり、且つ、支持部74による撮像部71の移動方向となる軸Aの延在方向は垂直方向に限定されない。
1…中性子捕捉療法システム、5…患者載置台、6…患者姿勢確認システム、7…CT装置、51…土台部、52…載置部、53…前方カバー、54…コリメータ支持部、57…固定部、71…撮像部、72…移動部、73…回動部、74…支持部。
Claims (7)
- 中性子線が照射される患者を載置する中性子捕捉療法用患者載置台であって、
土台部と、
前記土台部上で前記患者を載置可能な載置部と、
前記載置部に対向する主面が、前記中性子線を照射する照射室において前記中性子線の照射口が設けられた壁体の表面形状を模した形状であり、前記土台部に対して着脱自在な前方カバーと、
を有する、中性子捕捉療法用患者載置台。 - 前記土台部に対して取付けられ、前記照射口において用いられるコリメータを支持可能なコリメータ支持部を有し、
前記コリメータ支持部は、非金属の材料により構成される、請求項1に記載の中性子捕捉療法用患者載置台。 - 前記患者の一部を固定可能な固定部をさらに有し、
前記固定部は、非金属の材料により構成される、請求項1または2に記載の中性子捕捉療法用患者載置台。 - 中性子線を患者に対して照射する中性子捕捉療法において、中性子線の照射時における患者の姿勢を確認する患者姿勢確認システムであって、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の中性子捕捉療法用患者載置台と、
所定の径の撮像空間を有する撮像部と、前記撮像部を移動させる移動部とを有し、CT撮像を行うCT装置と、
を備え、
前記中性子捕捉療法用患者載置台は、
前記撮像空間の径方向の断面に平行な面での前記載置部の長さが、前記撮像空間の径よりも小さく、
前記撮像空間の径方向の断面に平行な面での前記前方カバーの長さが、前記撮像空間の径よりも大きい、患者姿勢確認システム。 - 前記CT装置の前記移動部は、前記撮像部を前記撮像空間の径方向に対して直交する方向へ移動可能である、請求項4に記載の患者姿勢確認システム。
- 前記中性子捕捉療法用患者載置台の前記土台部は、走行手段を有する、請求項4または5に記載の患者姿勢確認システム。
- 請求項4〜6のいずれか一項に記載の患者姿勢確認システムによる患者姿勢確認方法であって、
前記中性子捕捉療法用患者載置台から前記前方カバーを取り外すステップと、
前記CT装置の前記撮像空間内に前記中性子捕捉療法用患者載置台の前記載置部を位置させるステップと、
を有する、患者姿勢確認方法。
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