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JP2021016380A - 乳化粒子の微細化促進用、粗大粒子の形成抑制用、又は乳化安定性向上用剤 - Google Patents

乳化粒子の微細化促進用、粗大粒子の形成抑制用、又は乳化安定性向上用剤 Download PDF

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JP2021016380A JP2019135942A JP2019135942A JP2021016380A JP 2021016380 A JP2021016380 A JP 2021016380A JP 2019135942 A JP2019135942 A JP 2019135942A JP 2019135942 A JP2019135942 A JP 2019135942A JP 2021016380 A JP2021016380 A JP 2021016380A
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Yuya Ueda
祐也 上田
琢磨 松倉
Takuma Matsukura
琢磨 松倉
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San Ei Gen FFI Inc
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Abstract

【課題】本発明は、均一な乳化粒子を形成すべく、乳化粒子の微細化を促進し、また粗大粒子の割合を減らすための新たな手段を提供することを目的とする。【解決手段】ポリフェノール類を、乳化剤及び油性成分と共存させて乳化を行う。【選択図】なし

Description

本発明は、乳化粒子の微細化促進用、粗大粒子の形成抑制用、又は乳化安定性向上用の剤、該剤を用いた乳化組成物及びその製造方法、並びに、乳化粒子の微細化促進、粗大粒子の形成抑制、又は乳化安定性向上のための方法に関する。
食品等において、油溶性の香料、色素、生理活性成分等や油脂類を水性の組成物に添加するために、水に分散しやすく扱いやすい乳化製剤が用いられる。乳化製剤中の乳化粒子の水相における安定性の向上には、均一な乳化粒子を形成すること、乳化粒子の動きを抑制すること、粒子表面電荷による反発等で乳化粒子の接触を抑制すること、等が関連するとされている。
そして乳化粒子の安定性向上のために、現在までに、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する方法(特許文献1及び2)、油溶性香料等の油性成分を特定の割合で配合し、これをガティガム又はアラビアガムなどの特定の乳化剤を含む溶液に分散又は乳化する方法(特許文献3)等を用いる手段が開発されている。
また、特許文献4及び5には、アラビアガムやガティガムを乳化剤として用いることにより、乳化粒子の平均粒子径が0.4μm以下の透明性の高い乳化組成物が得られることや、高濃度のアルコールを含有する飲料に、香料を含有する乳化組成物の乳化安定性を損なうことなく透明に分散できることが記載され、特許文献4には、ガティガムや改質アラビアガムを用いることにより、乳化粒子の平均粒子径が0.3μm〜0.7μmの乳化組成物が得られることが記載されている。
特開2006−50986号公報 特開2007−267683号公報 特開2006−257246号公報 特開2010−126718号公報 特開2014−195477号公報
しかし、水相に分散した乳化粒子のさらなる安定性向上のための手段が望まれている。
そこで本発明では、均一な乳化粒子を形成すべく、乳化粒子の微細化を促進し、また粗大粒子の割合を減らすための新たな手段を提供することを目的とした。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ポリフェノール類を、乳化剤及び油性成分と共存させて乳化を行うことによって、得られる乳化粒子の微細化が促進され、また粗大粒子の形成が抑制されること、そして乳化安定性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の乳化粒子の微細化促進用、粗大粒子の形成抑制用、又は、乳化安定性向上用の剤を提供する。
項1.
ポリフェノール類を含有する、乳化粒子の微細化促進用、粗大粒子の形成抑制用、又は、乳化安定性向上用である、剤。
項2.
前記ポリフェノール類が、フラボノイド類、フェニルプロパノイド類、スチルベノイド、クルクミン類、エラグ酸、タンニン、テアフラビン類、キサントフモール、ストリクチニン、フロレチン、及びこれらの重合体からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、項1に記載の剤。
また、本発明は、以下の乳化組成物を提供する。
項3.
(A)乳化粒子の微細化促進、粗大粒子の形成抑制、又は、乳化安定性向上のために有効な量の、ポリフェノール類;
(B)乳化剤;
(C)油性成分;及び
(D)水;
を含有する、乳化組成物。
項4.
前記ポリフェノール類が、フラボノイド類、フェニルプロパノイド類、スチルベノイド、クルクミン類、エラグ酸、タンニン、テアフラビン類、キサントフモール、ストリクチニン、フロレチン、及びこれらの重合体からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、項3に記載の乳化組成物。
項5.
(A)成分の総含有量が、(D)成分以外の残部に対して0.01〜5質量%である、項3又は4に記載の乳化組成物。
項6.
前記乳化剤が、非イオン性界面活性剤、ステアロイル乳酸塩、及び増粘多糖類からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、項3〜5のいずれか一項に記載の乳化組成物。
項7.
(A)成分の総含有量1質量部に対する、(B)成分の総含有量が、15〜800質量部である、項3〜6のいずれか一項に記載の乳化組成物。
項8.
前記油性成分が、油溶性色素、油溶性香料、油溶性生理活性物質、動植物油脂、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)、ロジン、ダンマル樹脂、及びエステルガムからなる群より選ばれる1種又は2種以上である、項3〜7のいずれか一項に記載の乳化組成物。
項9.
項3〜8のいずれか一項に記載の乳化組成物であって、
該組成物を水中に分散させた際にレーザー回折式粒度分布計によって測定されるD50粒子径が、0.7μm以下であり、かつ1.3μm以上の粒子の体積基準での割合が10%以下である、乳化組成物。
さらに、本発明は、以下の乳化組成物の製造方法を提供する。
項10.
乳化粒子の微細化、粗大粒子の形成抑制、又は、乳化安定性向上のために有効な量のポリフェノール類、油性成分、乳化剤及び水を含有する液状物を準備する工程;並びに、
前記液状物を乳化する工程;
を含む、乳化組成物の製造方法。
さらに、本発明は、以下の乳化粒子の微細化、粗大粒子の形成抑制、又は、乳化安定性向上のための方法を提供する。
項11.
ポリフェノール類を、油性成分及び乳化剤を含有する乳化粒子に適用することを含む、乳化粒子の微細化、粗大粒子の形成抑制、又は、乳化安定性向上のための方法。
ポリフェノール類を乳化剤及び油性成分と共存させて乳化することで、乳化粒子の粒子径をより小さくし、また粗大粒子の割合を減らすことができるので、粒子の均一性を高めることができる。そして、小さな乳化粒子が粗大粒子に吸収合一化されるのを防ぎ、乳化安定性を向上させることができる。
[乳化粒子の微細化促進用、粗大粒子の形成抑制用、又は、乳化安定性向上用である、剤]
(用途)
本発明の剤はポリフェノール類を含有し、乳化粒子の微細化促進用、粗大粒子の形成抑制用、又は、乳化安定性向上の用途で使用される。
本明細書において、乳化粒子の微細化促進とは、レーザー回折式粒度分布計によって測定される乳化粒子の粒子径をより小さくすることを表す。
本明細書において、粗大粒子とは、レーザー回折式粒度分布計によって測定される粒子径が1.3μm以上の粒子を表す。また、本明細書において、粗大粒子の形成抑制とは、粒子径が1.3μm以上の粒子の割合が減少することを表す。
本発明の剤は、乳化粒子の微細化促進又は粗大粒子の形成抑制により、いわゆる「乳化性」を向上させる。そのため、本発明の剤は、乳化性向上用途にも適する。
本明細書において、乳化安定性の向上とは、乳化粒子の粒子径が経時的に増大することを抑え、乳化粒子が水相中に浮遊した状態を維持する時間が増加することを表す。
本発明の剤は、乳化剤と油性成分を含有する乳化組成物全般に用いることができるが、中でも飲食品である乳化組成物又は飲食品添加用の乳化製剤に用いられることが好ましい。
(ポリフェノール類)
ポリフェノール類とは、分子内に2個以上のフェノール性水酸基を含む、ポリフェノール骨格を有する天然有機化合物である。このようなポリフェノール類としては、特に限定されないが、フラボノイド類、フェニルプロパノイド類(リグノイド類)(コーヒー酸、リグナン、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、イソクロロゲン酸、トリカフェオイルキナ酸、ロスマリン酸等)、スチルベノイド(ピアセタンノール、ピノシルビン、レスベラトロール等)、クルクミン類、エラグ酸、タンニン、テアフラビン類(テアフラビン、テアルビジン等)、キサントフモール、ストリクチニン、フロレチン等、又はこれらの重合体が例示される。本発明に用いられるポリフェノール類は、それぞれの種類に分類されるアグリコンに糖がグリコシド結合した配糖体を包含する。本発明には、これらのポリフェノール類の化合物が1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明に用いられるポリフェノール類は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、配糖体を含むことが好ましい。
フラボノイド類とは、2つのベンゼン環(C)を3個の炭素原子(C)でつないだC−C−Cのジフェニルプロパン構造を有する化合物であり、特に限定されないが、例えば、フラボノール類(ケルセチン、ミリセチン、ケンフェロール、ガランギン、ラムネチン等;ミリシトリン、クエルシトリン、イソクエルシトリン、ルチン、キサントラムニン等)、フラバノン類(ナリンゲニン、へスペレチン、フラバノン、フラバノノール、ピノセムブリン、ピノストロビン、リクイリチゲニン、ブチン、サクラネチン、イソサクラネチン等;ナリンギン、ヘスペリジン、リクイリチン、サクラニン、ポンシリン等)、フラボン類(アピゲニン、ルテオリン、フラボン、クリシン、コスモシイン、アカセチン、バイカレイン、ジオスメチン等;アピイン、トリンジン、ホルツネリン、バイカリン、スクテラリン、ジオスミン等)、カテキン類(カテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等)、イソフラボン類(ダイジン、ゲニスチン、グリシチン等;ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン等)、アントシアニジン類(シアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン、プロアントシアニジン等;アントシアニン類)、カルコン類、ビフラボン(フクゲチン等)、ギンケチン、ビロベチン、ポリメトキシフラボン等を挙げることができる。なお、フラボノイド類の例示において括弧内の化合物名が「;」で隔てられている場合、「;」の前はアグリコン、「;」の後は配糖体である。
本発明に用いられるポリフェノール類は、上記のポリフェノール骨格を有する化合物が2以上重合した重合体であっても、非重合体であってもよいが、溶解のしやすさ及び製剤の色味を抑える観点から、好ましくは非重合体である。重合体のポリフェノール類としては、特に限定されないが、例えばタンニンが挙げられる。
本発明に用いられるポリフェノール類は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくはフラボノイド類であり、より好ましくはフラボノール類、フラバノン類、フラボン類、カテキン類、イソフラボン類、アントシアニジン類及びカルコン類より選ばれる1種又は2種以上の化合物であり、更に好ましくはフラボノール類、フラバノン類、及びフラボン類より選ばれる1種又は2種以上の化合物であり、更により好ましくはミリシトリン、ナリンギン、ヘスペリジン、及びアピインからなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
本発明に用いられるポリフェノール類の由来としては、特に限定されず、例えば植物抽出物又は植物搾汁液として、例えば、チャ(緑茶葉、紅茶葉、ウーロン茶葉等を含む)、甜茶、マテ、コーヒー豆、ヤマモモ、カカオ、ブルーベリー、クランベリー、赤ワイン、ローズマリー、杜仲葉、ラズベリー、大豆、リンゴ、ホップ、ブドウ、ザクロ、エンジュ、レッドクローバ、カシス、ライチ、キウイ、柑橘類、アムラ、マツ、月見草、グアバ、ミント、ユーカリ、黒米、黒大豆、ピーナツ、ソバ、さとうきび、フキ、赤ショウガ、バラ、シソ、大麦、オリーブ、アカショウマ、アオイ、カンゾウ、クローブ、セイヨウワサビ、セージ、セリ、ドクダミ、ナタネ、ヒマワリ、ピメンタ、イチョウ、コショウ、ホウセンカ、モリンガ、ユーカリ葉、リンドウ、サツマイモ等の抽出物が挙げられる。
本発明の剤において、ポリフェノール類の総含有量は、特に限定はされないが、剤の全量に対して、例えば、0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.1質量%以上、1質量%以上である。
本明細書において、ポリフェノール類の総含有量は、(+)−カテキンを標準物質としてFolin-Ciocalteu法を用いて得られる(+)−カテキン換算値で表される。Folin-Ciocalteu法は、「Determination of substances characteristic of green and black tea -Part 1: Content of total polyphenols in tea - Colorimetric method using Folin-Ciocalteu reagent」(ISO 14502-1:2005) の方法に基づく。
(その他成分)
本発明の剤には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ポリフェノール類以外の、栄養成分(アミノ酸類、ビタミン類、ミネラル等);アルコール;酒類;塩類(食塩、塩化マグネシウム、酸性リン酸カリウム、酸性リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム等);呈味成分(塩味、うま味等を含む);果汁(濃縮物を含む);果肉;野菜;野菜汁(濃縮物を含む);ピューレ;エキス;甘味料(果糖ぶどう糖液糖、グルコース、スクロース、フルクトース、ガラクトース、マルトース、マンノース、ラクトース、ハチミツ、水飴等);糖アルコール(ソルビトール、キシリトール、マルチトール、還元パラチノース、ラクチトール等);高感度甘味料(スクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、ソーマチン、ステビア、グリチルリチン、モネリン、アリテーム、グリチルリチン酸二ナトリウム等);苦味料(イソ−α酸、ローホップ、ヘキサホップ、テトラホップ等);酸味料(リン酸、乳酸、グルコン酸カリウム、DL−リンゴ酸ナトリウム、クエン酸、アジピン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸等);香料;着色料(ベニバナ黄色素、カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素等);食品添加物(食物繊維、賦形剤、乳化剤、レシチン、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、多価アルコール(プロピレングリコール、グリセリン等)、pH調整剤、保存料、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE、抽出トコフェロール等)、増粘剤、安定化剤、糊料等);医薬品、医薬部外品又は化粧品の有効成分又は添加剤、等を1種以上含有することができる。
[乳化組成物]
本発明の乳化組成物は、(A)乳化粒子の微細化、粗大粒子の形成抑制、又は、乳化安定性向上のために有効な量の、ポリフェノール類;(B)乳化剤;(C)油性成分;及び(D)水を含有する。
((A)ポリフェノール類)
本発明の乳化組成物は、(A)成分として、乳化粒子の微細化、粗大粒子の形成抑制、又は、安定性向上のために有効な量のポリフェノール類を含有する。ポリフェノール類の種類及び好ましい態様は、上記の[乳化粒子の微細化促進用、粗大粒子の形成抑制用、又は、乳化安定性向上用である、剤]の項の「ポリフェノール類」の項に記載したものと同じである。
(A)成分の総含有量は、特に限定されず、他の成分の種類及び含有量、製剤形態に応じて適宜設定されるが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、乳化組成物の(D)成分以外の残部に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。
(A)成分の総含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、乳化組成物の(D)成分以外の残部に対して、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
((B)乳化剤)
本発明の乳化組成物は、(B)成分として乳化剤を含有する。乳化剤は、特に限定されないが、飲食品に用いうるものが好ましく、本発明の効果を顕著に奏する観点から、非イオン性界面活性剤、ステアロイル乳酸塩(ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム等)、及び増粘多糖類からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物が好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、サポニン、ポリソルベート(ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80等)等が挙げられる。
本発明の乳化組成物に用いられる非イオン性界面活性剤のHLB値は、好ましくは10〜17、より好ましくは12〜16である。
本発明の乳化組成物に用いられるショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素数は、好ましくは10〜22、より好ましくは12〜18である。
本発明の乳化組成物に用いられるショ糖脂肪酸エステルの好ましい具体例は、特に限定されず、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等が挙げられる。
本発明の乳化組成物に用いられるグリセリン脂肪酸エステルは、特に限定されないが、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、有機酸モノグリセリド等が挙げられるが、中でもポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、(a)平均重合度が2以上(好ましくは3〜15、より好ましくは3〜10)のポリグリセリンと、(b)炭素数8〜18の脂肪酸(例、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸)とのエステルであることが好ましい。
このようなポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレート等が挙げられる。
本発明において、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルの定量は、ガスクロマトグラフィー/質量分析法を用いて行われる。具体的には、食品衛生学雑誌第44巻第1号,2003年,p.19−25に記載される分析法を用いることができる。
本発明の乳化組成物に用いられる増粘多糖類としては、特に限定されないが、ガティガム、アラビアガム、ペクチン、キサンタンガム、加工澱粉(オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム等)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、大豆多糖類等が挙げられ、中でも少なくともガティガム又はアラビアガムを含むことが好ましく、少なくともガティガムを含むことがより好ましい。
本発明の乳化組成物に用いられるガティガムは、シクンシ科ガティノキ(Anogeissus Latifolia)の樹液(分泌液)に由来する多糖類であり、増粘安定剤(食品添加物)として公知の多糖類である。本発明で使用するガティガムは商業的に入手可能であり、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の「ガティガムRD」を挙げることができる。
本発明の乳化組成物に用いられるガティガムは、限定はされないが、低分子化されたガティガム(低分子ガティガム)であってもよい。低分子ガティガムの重量平均分子量は、限定はされないが、例えば、0.020×10〜1.10×10とすることができる。なお、ガティガムの分子量の測定は、国際公開第2018/062554号公報に記載される、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)を用いた方法により行われる。
本発明の乳化組成物に用いられるアラビアガムは、マメ科植物であるアカシア属の植物(例えば、アカシア・セネガル(Acacia senegal)やアカシア・セイアル(Acacia seyal等))の樹液から得られる多糖類である。アラビアガムの分子構造は完全には明らかにされていないが、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、及びグルクロン酸を構成糖とすることが知られている。
アラビアガムは商業的に入手することができ、かかる製品としては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ガムアラビックSD」等が挙げられる。
本発明の乳化組成物に用いられるアラビアガムとして、アラビアガムを改質した、改質アラビアガムを用いることも可能である。改質の方法としては、例えば、90〜180℃で15分〜72時間加熱処理する方法や、アラビアガムから金属塩を除去又は低減する方法等が挙げられる。アラビアガムから金属塩を除去又は低減する方法としては、例えば、有機溶媒中でのイオン交換処理、電気透析膜、又はイオン交換樹脂等による脱塩処理が例示できる。これら改質アラビアガムは、例えば、特表2006−522202号公報、又は特開2005−179417号公報に記載された方法等に従って製造することができる。
改質アラビアガムは、例えば、特表2006−522202号公報に記載の方法に従って製造することができる。一例として、アカシア・セネガル種に属するアラビアガムを110℃で10時間以上、又はこれと実質的に同じ効果を得ることができる条件下で加熱することによって、改質アラビアガムを製造することができる。加熱時間の条件としては、例えば72時間が挙げられる。また、改質アラビアガムは商業的に入手することができ、かかる製品として例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「SUPER GUM EM10」等が挙げられる。
本発明の乳化組成物に用いられるアラビアガムは、特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が好ましくは90万〜500万、より好ましくは120万〜500万、更に好ましくは150万〜500万、更により好ましくは150万〜450万、特に好ましくは200万〜400万であるアラビアガム、及び/又は、アラビノガラクタン蛋白質含量が好ましくは17〜30質量%、より好ましくは20〜30質量%であるアラビアガムが例示される。
アラビアガムの重量平均分子量及びアラビノガラクタン蛋白質含量(質量%)は、例えば、光散乱(MALLS)検出器、屈折率(RI)検出器及び紫外線(UV)検出器の3つの検出器を備えたゲル濾過クロマトグラフィーにより測定することができる。詳細には、特表2006−522202号公報に記載の方法に従って測定することができる。
(B)成分の総含有量は、特に限定されず、他の成分の種類及び含有量、製剤形態に応じて適宜設定されるが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、乳化組成物の(D)成分以外の残部に対して、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上である。
(B)成分の総含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、乳化組成物の(D)成分以外の残部に対して、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
((C)油性成分)
本発明の乳化組成物は、(C)成分として、油性成分を含有する。油性成分は、特に限定されないが、飲食品に用いることができるものが好ましく、例えば、油溶性色素、油溶性香料、油溶性生理活性物質、動植物油脂、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)、ロジン、ダンマル樹脂、エステルガム等を挙げることができる。本発明の乳化組成物は、中でも、油溶性色素、油溶性香料、油溶性生理活性物質、及び動植物油脂からなる群より選ばれる1種又は2種以上の物質を含有することが好ましい。
油溶性色素としては、特に限定されないが、例えば、アナトー色素(ノルビキシン、ビキシン等)、カロテノイド色素(ヘマトコッカス藻色素、トマト色素、マリーゴールド色素、パプリカ色素、デュナリエラカロチン、ニンジンカロチン、パーム油カロチン、β−カロチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、リコピン、ルテイン、アポカロテナール、フコキサンチン、クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、カプサンチン、カプソルビン等)、クロロフィル等が挙げられる。
油溶性香料(脂溶性香料を含む。以下、同じ。)は、香気成分を含有する油溶性又は脂溶性の物質である。本発明の効果が損なわれない限りにおいて特に限定されず、例えば、動物性・植物性の天然原料から、不揮発性溶剤による抽出、揮発性溶剤による抽出、超臨界抽出等により得られる抽出物;水蒸気蒸留や圧搾法等により得られる精油や回収フレーバー等の天然香料;化学的手法で合成された合成香料;これらの香料を油脂や溶媒に配合・溶解した香料ベース等が例示できる。天然香料の例として、アブソリュート、エキストラクト、オレオレジン等の抽出物、コールドプレス等の精油、チンキと呼ばれるアルコール抽出物等が挙げられる。より具体的には、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、マンダリン油等の柑橘系精油類;ラベンダー油等の花精油又はアブソリュート類;ペパーミント油、スペアミント油、シナモン油等の精油類;オールスパイス、アニスシード、バジル、ローレル、カルダモン、セロリ、クローブ、ガーリック、ジンジャー、マスタード、オニオン、パプリカ、パセリ、ブラックペパー、ワサビ等のスパイス類の精油又はオレオレジン類;リモネン、リナロール、ゲラニオール、メントール、オイゲノール、バニリン、ネロール、シトロネロール、シトラール、シンナミックアルデヒド、アネトール、ペリラアルデヒド、γ−ウンデカラクトン等の合成香料類;コーヒー、カカオ、バニラ、ローストピーナッツ等の豆由来の抽出油;紅茶、緑茶、ウーロン茶等のエキストラクト類;その他合成香料化合物等を挙げることができる。
油溶性生理活性物質としては、特に限定されないが、例えば、肝油、ビタミンA(レチノール等)、ビタミンA油、ビタミンD(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等)、ビタミンB2酪酸エステル、アスコルビン酸脂肪酸エステル、ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール等)、ビタミンK(フィロキノン、メナキノン等)等の脂溶性ビタミン類;グリコシルセラミド;セサミン;ホスファチジルセリン;コエンザイムQ10;ユビキノール;α−リポ酸;α−リノレン酸;エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等のω−3系脂肪酸;リノール酸、γ−リノレン酸等のω−6系脂肪酸;植物ステロール等が挙げられる。
動植物油脂としては、動物性油脂類、植物性油脂類が挙げられる。
動物性油脂類としては、動物に由来する脂肪であれば特に制限されず、例えば、牛、山羊等の哺乳動物から採取される乳成分に含まれる乳脂肪を好適に使用できる。乳脂肪を含有するものとしては、例えば、生乳、牛乳、山羊乳、濃縮乳、加糖練乳、無糖練乳、全脂粉乳、クリーム、発酵乳、バター、加工乳、チーズ等が挙げられる。動物性油脂類には、さらに牛脂、豚脂(ラード)、魚油等が包含される。動物性油脂類には、動物性油脂をアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ等の酵素で改質したものが包含される。
植物性油脂類は、植物に由来する脂肪であれば特に限定されず、例えば、豆乳、大豆油、カカオバター、ココナッツ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、ヒマワリ油、米油、菜種油、綿実油、ゴマ油、落花生油、サフラワー油、椿油、オリーブ油、キャノーラ油、コーヒーオイル、シソ油、エレミ樹脂、マスティック樹脂等が挙げられる。植物性油脂類には、これらの油脂を精製したものや、水素添加やエステル交換等で加工したもの、及びこれらを乳化剤や粉末基材などで加工した液状や粉末状の乳化物、例えば、植物性脂肪コーヒーホワイトナー、植物性脂肪ホイップクリーム、植物性脂肪クリーム等も含まれる。
(C)成分の総含有量は、特に限定されず、本発明の効果を顕著に奏する観点から、乳化組成物の(D)成分以外の残部に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。
(C)成分の総含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、乳化組成物の(D)成分以外の残部に対して、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
((D)水)
本発明の乳化組成物は、水を含有する。水の含有量は、特に限定されないが、例えば乳化組成物が液状の製剤である場合においては、乳化組成物の全量に対して、好ましくは30〜80質量%である。例えばペースト状などの半固形状物の形態や粉末や粒状などの固形状物の製剤である場合においては、好ましくは0.1〜30質量%である。例えば乳化組成物が飲料又はその中間体である場合においては、乳化組成物の全量に対して、好ましくは80〜99.9質量%である。
(各成分の比)
本発明の乳化組成物において、(A)成分の総含有量1質量部に対する(B)成分の総含有量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは15〜800質量部、より好ましくは30〜600質量部、更に好ましくは50〜500質量部である。
本発明の乳化組成物において、(A)成分の総含有量1質量部に対する(C)成分の総含有量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは10〜1000質量部、より好ましくは30〜700質量部、更に好ましくは50〜500質量部である。
本発明の乳化組成物において、(A)成分の総含有量1質量部に対する脂質の総含有量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは10〜1000質量部、より好ましくは30〜700質量部、更に好ましくは50〜500質量部である。ここで、脂質は、食品表示基準(平成27年3月30日消食表第139号)の別添の「栄養成分等の分析方法等」に定められる脂質分析法である、クロロホルム・メタノール混液抽出法によって求められる脂質の量である。
(レシチン類)
本発明の乳化組成物は、特に限定されないが、(A)〜(D)成分に加えて、さらにレシチン類を含有することが好ましい。
レシチンは、リン脂質を主成分とする脂溶性成分である。その由来は、特に制限されず、油糧種子(例えば大豆や菜種が含まれる)等の植物由来のレシチンであっても、また卵黄などの動物由来のレシチンであってもよい。好ましくは、飲食品に配合可能な可食性レシチンであるか、又は化粧料として人体に適用可能なレシチンである。また本発明で用いられるレシチン類には、レシチンに加えて分別レシチン、酵素分解レシチン、及び酵素処理レシチン等の加工レシチンが含まれる。これらのレシチン類は、商業的に入手することができ、その一例として、辻製油株式会社製のSLP−ホワイトを挙げることができる。
本発明の乳化組成物のレシチン類の総含有量は、特に限定されず、乳化組成物の(D)成分以外の残部に対して、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜7質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%である。
(多価アルコール)
本発明の乳化組成物は、特に限定されないが、香味を良好とし、組成物の保存性を高める観点から、さらに多価アルコールを含有することが好ましい。このような多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール(D−ソルビトール)、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、キシロース、グルコース、ラクトース、マンノース、オリゴトース、果糖ブドウ糖液糖、ショ糖等が挙げられる。中でも、本発明の乳化組成物は、プロピレングリコール又はグリセリンを含有することが好ましく、グリセリンを含有することがより好ましい。
本発明の乳化組成物の多価アルコールの総含有量は、特に限定されず、乳化組成物の形態に応じて適宜調整され得る。例えば、乳化製剤の形態では、乳化組成物の全量に対して、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは10〜80質量%、更に好ましくは30〜60質量%である。
(その他成分)
本発明の乳化組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、(A)〜(D)成分、レシチン類、及び多価アルコール以外の、栄養成分、アルコール、酒類、塩類、呈味成分、果汁、果肉、野菜、野菜汁、ピューレ、エキス、甘味料、糖アルコール、高感度甘味料、苦味料、酸味料、香料、着色料(ベニバナ黄色素、カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素等)、食品添加物、医薬品、医薬部外品又は化粧品の有効成分又は添加剤、等を1種以上含有することができる。これらの成分の具体例は、上記の[乳化粒子の微細化促進用、粗大粒子の形成抑制用、又は、乳化安定性向上用である、剤]の「その他成分」の項に記載したものと同じである。
中でも、アルコール、酒類、塩類及び酸味料からなる群より選ばれる1種又は2種以上の成分を含有する場合は、通常は乳化安定性が悪化することが知られているが、本発明の乳化組成物は、これら成分を含有する場合でも顕著に高い乳化安定性を奏する。
(性状)
本発明の乳化組成物のD50粒子径は、好ましくは0.7μm以下、より好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。
本明細書において、D50粒子径は、25℃において、乳化組成物の粒度分布をレーザー回折式粒度分布計によって測定される、粒子の体積基準の頻度の累積が50%となる粒子径を表す。乳化組成物がそのままでは粒度分布計での測定に適さない濃度である場合は、純水によって希釈する。例えば、乳化物を10質量%含有するように純水で希釈を行ってから粒子分布の測定を行う。
本発明の乳化組成物の粗大粒子(粒子径1.3μm以上の粒子)の含有率は、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、更に好ましくは5%以下、更により好ましくは1.2%以下である。
また、本発明の乳化組成物の粒子径0.669μm以上の粒子の含有率は、好ましくは70%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下、更により好ましくは5.3%以下である。
本明細書において、特定粒子径以上の粒子の含有率とは、25℃において、乳化組成物の粒度分布をレーザー回折式粒度分布計によって測定される、特定粒子径以上の粒子の体積基準の頻度の累積を表す。乳化組成物がそのままでは粒度分布計での測定に適さない濃度である場合は、純水によって希釈を行う。
(用途)
本発明の乳化組成物は、特に限定されないが、添加用の乳化製剤として、着色、着香、栄養付与若しくは強化、風味付与又は改変、等の用途で、飲食品、医薬品、医薬部外品、又は化粧品の製造に用いることができる。中でも飲食品の製造に用いられることが好ましく、粗大粒子が美観及び嗜好性に与える影響を低減する観点から、飲料の製造に用いられることがより好ましい。
本発明の乳化組成物を用いた飲料の製造には、工業的な飲料製造の他に、サーバーやカップベンダー(カップ式自動販売機)によって、あるいは消費者又は飲食品の提供者によって、本発明の乳化組成物が水、シロップ、炭酸水、アルコール類等又はこれらの混合物により希釈することが含まれる。
また、本発明の乳化組成物は、乳化粒子を含む飲料そのもの、又は乳化粒子を含む飲料の製造中間体であり得る。
本発明において、食品としては、特に限定されず、例えば、ゼリー、プリン、ババロア、ケーキ、クッキー、マカロン等のパティスリー;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓等の冷菓;ヨーグルト、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、調製液状乳等の乳製品;調理食品(シチュー、パスタクリームコロッケ等);ソース、ドレッシング等の調味料等を挙げることができる。
本発明において、飲料は、特に限定されず、例えば、清涼飲料、アルコール飲料、液剤、ドリンク剤等が挙げられる。
本明細書において、清涼飲料とは、特に限定されないが、例えば茶系飲料(緑茶、紅茶、烏龍茶、ほうじ茶、杜仲茶、麦茶、プーアール茶、玄米茶、ジャスミン茶、そば茶、雑穀茶、ルイボスティー、マテ茶等)、コーヒー飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜入り混合果汁飲料、果肉飲料、炭酸飲料、麦芽飲料、乳酸菌飲料、スポーツ飲料、ゼリー飲料、ココア飲料、チョコドリンク、乳性飲料、エネルギー飲料、健康飲料(薬系ドリンク、健康サポート飲料、機能性清涼飲料、スポーツドリンク、ビネガードリンク、麦芽ドリンク等)、植物性飲料(米、豆乳、アーモンドを主原料とする穀物飲料等)、甘酒、しるこ、スープ飲料、粉末スープ飲料等の、アルコール度数1度未満の飲料を指す。
本明細書において、アルコール飲料は、飲料中のアルコール度数が1度以上の飲料であり、例えば、酒税法上の「酒」を指すアルコール飲料が挙げられる。具体的には、清酒類(清酒、合成清酒)、焼酎、ビール、果実酒類(果実酒、梅酒等の甘味果実酒)、ウイスキー類(ウイスキー、ブランデー)、スピリッツ類(スピリッツ)、リキュール類、発泡酒、その他の醸造酒(マッコリ等)、雑酒(粉末酒、その他の雑酒)等を挙げることができる。
(形態)
本発明の乳化組成物は、通常、液状(溶液、乳化液、分散液を含む)又は半固形状(ペースト状やクリーム状を含む)の形状を有する。また本発明の乳化組成物を一旦、水性溶媒に分散又は溶解した後に、水性溶媒を蒸留又は乾燥等の定法に従って、減少又は除去することによって調製されるものを挙げることができる。このような方法により調製される乳化組成物は、ペースト状などの半固形状、又は粉末や粒状などの固形状でありうる。
さらに、本発明の乳化組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ソフトカプセル、ハードカプセル等のカプセルに封入されていてもよい。
(製造方法)
本発明の乳化組成物の製造方法は、乳化粒子の微細化、粗大粒子の形成抑制、又は、安定性向上のために有効な量のポリフェノール類、油性成分、乳化剤及び水を含有する液状物を準備する工程;並びに、前記液状物を乳化する工程;を含む。
液状物を準備する工程において、ポリフェノール類、油性成分、乳化剤、及び水は、いずれか1種以上を同時に含有させてもよいし、全て別々に含有させてもよい。
液状物を乳化する工程は、特に制限されず、常法に従って実施できる。例えば、機械乳化法、D相乳化法、転相乳化法、液晶乳化法、アミノ酸ゲル乳化法等が挙げられる。機械乳化法に用いる方法としては、例えば、高圧ホモジナイザー、コロイドミル、ナノマイザー、マイクロフルイタイザー、プロペラ付撹拌機、ホモミキサー又はホモディスパー等を用いた乳化方法が挙げられる。乳化処理の条件は特に制限されないが、一例として、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、マイクロフルイタイザー等を用いる場合の好ましい圧力条件(圧力)は5MPa以上であり、より好ましくは10MPa以上、更に好ましくは15MPa以上である。圧力の上限は特に制限されないが、例えば、200MPaである。
また、プロペラ付撹拌機、ホモミキサー、ホモディスパー等を用いる場合の好ましい回転条件(回転数)は500rpm以上であり、より好ましくは800rpm以上、更に好ましくは2000rpm以上、更により好ましくは5000rpm以上である。回転数の上限は特に制限されないが、例えば12000rpmである。
本発明の乳化組成物の製造工程には、さらに乳化剤、水、及び必要に応じてグリセリン等の水溶性成分を含有する水溶性混合物を準備する工程を含むことが好ましい。
本発明の乳化組成物の製造工程には、さらに油性成分、ポリフェノール及び必要に応じてレシチン類等の油溶性成分を含有する油溶性混合物を準備する工程を含むことが好ましい。
これらの工程により得られる水溶性混合物及び油溶性混合物は、ポリフェノール類、油性成分、乳化剤及び水を含有する液状物の調製に用いられる。
本発明の乳化組成物の製造工程には、製造する組成物の形態に応じて、さらに水による希釈工程、加熱殺菌工程、乾燥工程、カプセル充填工程、容器充填工程等を含んでいてもよい。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」を意味する。また、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製であることを示し、文中「※」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
[25%ガティガム溶液の調製]
イオン交換水74.5質量部を90℃に達するまで加熱し、そこにガティガム(「ガティガムRD」(*))25質量部及びクエン酸0.5質量部を加えて溶解し、25%ガティガム溶液を調製した。
[試験例]
以下の表1に示す組成となるように、(i)25%ガティガム溶液、イオン交換水及びグリセリンの混合物と、(ii)残りの成分の混合物、をそれぞれ攪拌混合して調製した。そして、(i)及び(ii)の混合物を混合してから、高圧ホモジナイザーを用いて温度40℃、圧力40MPaにて4回パスさせて、乳化組成物を調製した。
得られた乳化組成物10gを水100mlに分散させて攪拌した後、25℃において、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−960((株)堀場製作所製)を用いて、D50粒子径、及び粒子径0.669μm以上の粒子の体積基準の累積頻度を測定した。結果を同じ表1に示す。
Figure 2021016380
レシチンを含まず(A)成分を含有する実施例1〜3、並びに、レシチン及び(A)成分を含有する実施例4〜8と比べて、(A)成分を含まない比較例1及び2はD50粒子径が大きかった。従って、(A)成分を含有することにより、従来の乳化粒子よりも顕著に小さいD50粒子径を有する粒子が得られることがわかった。
さらに、実施例1〜8では0.669μm以上の粒子が実質的に存在しないのに対し、(A)成分を含有しない比較例では0.669μm以上及び1.318μm以上の粒子が検出された。従って、(A)成分を含有することで、粗大粒子を含む粒子径が大きい粒子の割合が大幅に減少することがわかった。
実施例5〜8のように、(A)成分としてミリシトリン(フラボノール配糖体)、ナリンギン(フラバノン配糖体)、ヘスペリジン(フラバノン配糖体)、アピイン(フラボン配糖体)を用いた場合、粒子径の微細化及び粗大粒子の抑制に対して、いずれも同等の効果を示した。

Claims (11)

  1. ポリフェノール類を含有する、乳化粒子の微細化促進用、粗大粒子の形成抑制用、又は、乳化安定性向上用である、剤。
  2. 前記ポリフェノール類が、フラボノイド類、フェニルプロパノイド類、スチルベノイド、クルクミン類、エラグ酸、タンニン、テアフラビン類、キサントフモール、ストリクチニン、フロレチン、及びこれらの重合体からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項1に記載の剤。
  3. (A)乳化粒子の微細化促進、粗大粒子の形成抑制、又は、乳化安定性向上のために有効な量の、ポリフェノール類;
    (B)乳化剤;
    (C)油性成分;及び
    (D)水;
    を含有する、乳化組成物。
  4. 前記ポリフェノール類が、フラボノイド類、フェニルプロパノイド類、スチルベノイド、クルクミン類、エラグ酸、タンニン、テアフラビン類、キサントフモール、ストリクチニン、フロレチン、及びこれらの重合体からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項3に記載の乳化組成物。
  5. (A)成分の総含有量が、(D)成分以外の残部に対して0.01〜5質量%である、請求項3又は4に記載の乳化組成物。
  6. 前記乳化剤が、非イオン性界面活性剤、ステアロイル乳酸塩、及び増粘多糖類からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項3〜5のいずれか一項に記載の乳化組成物。
  7. (A)成分の総含有量1質量部に対する、(B)成分の総含有量が、15〜800質量部である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の乳化組成物。
  8. 前記油性成分が、油溶性色素、油溶性香料、油溶性生理活性物質、動植物油脂、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)、ロジン、ダンマル樹脂、及びエステルガムからなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項3〜7のいずれか一項に記載の乳化組成物。
  9. 請求項3〜8のいずれか一項に記載の乳化組成物であって、
    該組成物を水中に分散させた際にレーザー回折式粒度分布計によって測定されるD50粒子径が、0.7μm以下であり、かつ1.3μm以上の粒子の体積基準での割合が10%以下である、乳化組成物。
  10. 乳化粒子の微細化、粗大粒子の形成抑制、又は、乳化安定性向上のために有効な量のポリフェノール類、油性成分、乳化剤及び水を含有する液状物を準備する工程;並びに、
    前記液状物を乳化する工程;
    を含む、乳化組成物の製造方法。
  11. ポリフェノール類を、油性成分及び乳化剤を含有する乳化粒子に適用することを含む、乳化粒子の微細化、粗大粒子の形成抑制、又は、乳化安定性向上のための方法。
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