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JP2021015206A - トナー - Google Patents

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JP2021015206A
JP2021015206A JP2019129911A JP2019129911A JP2021015206A JP 2021015206 A JP2021015206 A JP 2021015206A JP 2019129911 A JP2019129911 A JP 2019129911A JP 2019129911 A JP2019129911 A JP 2019129911A JP 2021015206 A JP2021015206 A JP 2021015206A
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修 松下
Osamu Matsushita
修 松下
森部 修平
Shuhei Moribe
修平 森部
俊太郎 渡邉
Toshitaro Watanabe
俊太郎 渡邉
禎崇 鈴村
Yoshitaka Suzumura
禎崇 鈴村
寛之 友野
Hiroyuki Tomono
寛之 友野
弘貴 秋山
Hiroki Akiyama
弘貴 秋山
卓哉 水口
Takuya Mizuguchi
卓哉 水口
浩輝 香川
Hiroki Kagawa
浩輝 香川
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Abstract

【課題】低温定着性、耐熱保存性、定着均一性、帯電維持性及び現像性と転写性に優れたトナー。【解決手段】結着樹脂及び荷電制御剤を含有するトナーであって、結着樹脂が、炭素数18以上36以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される第一のモノマーユニット及び第二のモノマーユニットを有する重合体Aを含有し、第一のモノマーユニットの含有割合が、5.0モル%以上60.0モル%以下であり、第二のモノマーユニットの含有割合が、20.0モル%以上95.0モル%以下であり、第一のモノマーユニットのSP値をSP11(J/cm3)0.5とし、該第二のモノマーユニットのSP値をSP21(J/cm3)0.5としたとき、下記式(1)3.00≦(SP21−SP11)≦25.00・・・(1)、を満足し、第一及び第二の重合性単量体と荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差がさらに関係式を満たす。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法に用いられるトナーに関するものである。
近年電子写真方式における画像形成装置では、省エネルギー化の要請が高まっており、定着に用いる熱量を低減するため、低温定着性に優れたトナーが求められている。
トナーの低温定着性を実現するため、トナー中に結晶性樹脂を含有させる手段がある。結晶性樹脂は、その融点以下では高い弾性を示すが、融点において可塑し、速やかに結着樹脂と相溶し、トナーの溶融変形を促進させる。これによって、低温定着性と耐熱保存性を両立させることができる。
しかしながら、結晶性樹脂は帯電維持性が低いという課題がある。トナーの可塑剤として使用する結晶性樹脂はガラス転移点(Tg)が低く、樹脂の運動性が高いため電荷の漏洩部位になり得るためである。トナーの帯電維持性が低いと、電子写真方式での現像性は低下してしまう可能性がある。よって、結晶性樹脂を使用したトナーは、現在求められている高画質を達成できない可能性がある。
そこで、長鎖アルキルを含有する第一モノマーと、極性基を含有する第二モノマーから合成した結晶性樹脂を含有するトナーによって、低温定着性と耐熱保存性の両立を達成している(特許文献1)。
また、特定の構造を持つ荷電制御剤をトナーに含有することによって、トナーの帯電量を向上させ、高画質を達成している(特許文献2〜5)。
WO2018/110593 特許第3986488号 特許第6099873号 特開2015−194737号公報 特開2017−156706号公報
これまでは、トナー内の原料を均一微分散することでトナーの低温定着性と耐熱保存性及び帯電性の両立を達成し、プリンターの省エネルギー化及び高画質化の要求に応えてきた。特に、結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、その結晶ドメインをトナー内で均一微分散することが一つの達成手段である。しかしながら、現在のプリンター市場では、高精細且つ高画質が求められる上で、省エネルギー化と高速印刷の両立を要求される。これらの市場の要求に応えるためには、より高いレベルでのトナー内均一微分散を達成する必要がある。
特許文献1ではトナーの帯電分布が悪化し、現在求められる高画質を達成できない可能性がある。特許文献1で使用している荷電制御剤は、トナー内の結着樹脂との親和性が低いために、荷電制御剤及び結着樹脂中の結晶ドメインの偏在が発生してしまうことを本発明者らは見出した。よって、特許文献1では、トナー内の荷電制御剤が偏在することで、トナー内の電荷が偏在してしまい、現像や転写などのトナーの帯電特性が関わるプロセスに影響する可能性がある。また、結着樹脂中の結晶ドメインが偏在することで、トナー間の結晶ドメインの含有量に差ができてしまう。よって、結晶が融点付近で軟化することによる可塑効果にも差ができてしまうため、定着の均一性が損なわれてしまう。したがって、上記特許文献1では、印刷画像の濃度にムラが生じる可能性が高い。また特許文献1のトナーの樹脂構成では、荷電制御剤の帯電維持効果を発揮できないことを本発明者らは見出した。上記の樹脂に含有される長鎖アルキルは、運動性が高いため電荷漏洩部位になり得る。よって長鎖アルキルモノマーと親和性が高すぎる荷電制御剤は、電荷漏洩の影響を受けやすいと考えられる。特に、高温高湿環境下においてその特徴は顕著であった。
以上のように、上記樹脂と荷電制御剤との組み合わせは、それぞれの親和性のバランスが重要である。現在のプリンター市場の要求を満たすためには、上記材料間の親和性の緻密な制御が必要であると考えられる。
特許文献2〜5では、帯電性能の高いトナーを得られるため、高い現像性を実現できる。しかしながら、高いレベルでの低温定着性と耐熱保存性の両立を達成できない可能性がある。上記特許文献では、結晶性樹脂を含有していないため、トナーのシャープメルト性の向上が期待できない。よって、低温定着性を達成するためには結着樹脂のTgを下げる必要がある。この場合、高温環境下でのトナーの粘弾性が低下してしまうため、耐熱保存性が悪化する可能性がある。また、耐熱保存性を向上するためには、結着樹脂のTgを上げる必要があり、低温定着性を阻害してしまう可能性がある。
特許文献1におけるトナーの結着樹脂と、特許文献2〜5における荷電制御剤とを組み合わせたトナーにおいても、トナーの転写性及び定着均一性が損なわれることを本発明者らは見出した。これは、トナーの結着樹脂に含有される長鎖アルキルモノマーと極性基モノマー、及び荷電制御剤との親和性のバランスがとれていないことが要因の一つであると考えられる。トナーの低温定着性、耐熱保存性及び定着均一性と、高温高湿環境下での帯電維持性及び現像性と転写性の両立を高いレベルで実現するには、以下のことが必要である。すなわち、トナーの結着樹脂を構成するモノマーと、荷電制御剤との親和性のバランスを分子レベルで制御することが必要であると考えられる。
以上のことから本発明は、低温定着性、耐熱保存性及び定着均一性に優れ、高温高湿環境下での帯電維持性及び現像性と転写性を高いレベルで実現できるトナーを提供する事にある。
本発明者らが鋭意検討した結果、下記によって上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、結着樹脂及び荷電制御剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、
第一の重合性単量体に由来する第一のモノマーユニット、及び
該第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体に由来する第二のモノマーユニット
を有する重合体Aを含有し、
該第一の重合性単量体が、炭素数18以上36以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つであり、
該重合体A中の該第一のモノマーユニットの含有割合が、該重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、5.0モル%以上60.0モル%以下であり、
該重合体A中の該第二のモノマーユニットの含有割合が、該重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、20.0モル%以上95.0モル%以下であり、
該第一のモノマーユニットのSP値をSP11(J/cm30.5とし、該第二のモノマーユニットのSP値をSP21(J/cm30.5としたとき、下記式(1)
3.00≦(SP21−SP11)≦25.00 ・・・(1)
を満足し、
該第一の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa1、該第二の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa2としたとき、下記式(2)及び(3)を満たすことを特徴とするトナーである。
6.5≦Ra1≦13.0・・・(2)
Ra2≦11.0・・・(3)
また、本発明は、結着樹脂及び荷電制御剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、
第一の重合性単量体、及び
第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体
を含有する組成物の重合体である重合体Aを含有し、
該第一の重合性単量体が、炭素数18以上36以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つであり、
該組成物中の該第一の重合性単量体の含有割合が、該組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として、5.0モル%以上60.0モル%以下であり、
該組成物中の該第二の重合性単量体の含有割合が、該組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として、20.0モル%以上95.0モル%以下であり、
該第一の重合性単量体のSP値をSP12(J/cm30.5とし、該第二の重合性単量体のSP値をSP22(J/cm30.5としたとき、下記式(4)
0.60≦(SP22−SP12)≦15.00 ・・・(4)
を満足し、
該第一の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa1、該第二の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa2としたとき、下記式(2)及び(3)を満たすことを特徴とするトナーである。
6.5≦Ra1≦13.0・・・(2)
Ra2≦11.0・・・(3)
本発明によれば、低温定着性、耐熱保存性及び定着均一性に優れ、高温高湿環境下での帯電維持性及び現像性と転写性を高いレベルで実現できるトナーを提供できる。
本発明において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを意味する。また、「モノマーユニット」とは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。結晶性樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)測定において明確な吸熱ピークを示す樹脂を指す。
前記重合体Aは、前記のような含有割合とSP値の範囲に含まれるモノマーユニットまたは重合性単量体によって構成されている。この構成によって、該重合体Aは高い結晶化度と結晶ドメインの均一微分散を両立している。したがって、該重合体Aを含有するトナーは低温定着性、耐熱保存性の両立を達成している。
しかしながら、高画質プリンターを達成するためには、該トナーは帯電量が十分でない可能性がある。そこで、トナーの帯電量を向上するために、一般的なトナーに使用される荷電制御剤を含有する方法が考えられる。しかしながら、特定の構造以外の荷電制御剤を含有した場合以下のような弊害が発生する可能性がある。たとえば、第一のモノマーユニットとの親和性が高く、第二のモノマーユニットとの親和性が低い荷電制御剤を使用した場合、荷電制御剤の偏在が発生する。第一のモノマーユニットとの親和性が低く、第二のモノマーユニットとの親和性が高い荷電制御剤を使用した場合も同様である。さらに第一のモノマーユニットとの親和性が高すぎる場合においても、該第一のモノマーユニットの長鎖アルキル部位が電荷漏洩部位となりうるため、荷電制御剤の帯電維持効果が抑制されてしまう可能性が高い。
以上のことから、上記重合体Aを含有するトナーにおいて、低温定着性、耐熱保存性及び高画質を両立するためには、該第一のモノマーユニットと、該第二のモノマーユニット及び荷電制御剤との親和性のバランスを分子レベルで緻密に制御する必要がある。
前記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の条件を満たすトナーを見出した。つまり、該第一の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa1、該第二の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa2としたとき、下記式(2)及び(3)を満たすことを特徴とするトナーである。
6.5≦Ra1≦13.0・・・(2)
Ra2≦11.0・・・(3)
上記条件を満たす荷電制御剤は、第一と第二双方のモノマーユニットと高い親和性を示す。該荷電制御剤はトナー内で均一微分散するため、トナー内及びトナー間の均一な帯電性を実現できる。よってトナー内及びトナー間の帯電分布が狭くなる。トナー間の帯電分布が狭くなると、トナーをドラムに現像する際、潜像以外の箇所にトナーが現像される確率が低下する。よって、カブリの少ない高画質な画像を実現できる。またトナー内の帯電が均一になると、トナー内の局所的な電荷の発生を抑制でき、トナーと転写体との静電付着力を抑制できると考えられる。よって、転写体から印刷紙などのメディアへの転写効率を良化することができる。
さらに該トナーは、該第一のモノマーユニットと荷電制御剤との親和性を制御することにより、荷電制御剤の帯電維持効果を維持できるうえ、トナー内の結晶ドメインのさらなる均一微分散を達成できることを本発明者らは見出した。
前述した重合体Aのモノマー構成では、第一のモノマーユニットと第二のモノマーユニットがある程度相分離状態を形成している。この相分離状態によって、第一のモノマーユニットの結晶化を促進し、耐熱保存性を担保するとともに、定着温度領域におけるシャープメルトを達成している。しかしながら、第一のモノマーユニットは相分離状態を促進されているため結晶ドメインはある程度大きいと考えられる。そこで、第一のモノマーユニットとの親和性の高い荷電制御剤をトナー内に含有することで、第一のモノマーユニットの相分離状態を、結晶化度を維持しながら緩和できると考えられる。それによって、該第一のモノマーユニットは結晶状態を維持したまま小さいドメインでトナー内を均一微分散すると考えられる。均一微分散した結晶ドメインは、トナー定着時に速やかにトナーを可塑させるため、より高いレベルの低温定着性を実現できる。
しかしながら、該第一のモノマーユニットと該荷電制御剤との親和性が高すぎると、前述したように、該第一のモノマーユニットに含有される長鎖アルキルの電荷漏洩の影響を荷電制御剤が受けてしまうと考えられる。そこで、上記式(2)を満たす範囲で、該第一のモノマーユニットと該荷電制御剤との親和性を制御することによって、上記の結晶ドメインの均一微分散と電荷漏洩影響の抑制を両立している。つまり、該重合体Aと該荷電制御剤との親和性を分子レベルで制御することにより、より高いレベルの低温定着性と高画質を両立できる。
本発明は、結着樹脂及び荷電制御剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、
第一の重合性単量体に由来する第一のモノマーユニット、及び
該第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体に由来する第二のモノマーユニット
を有する重合体Aを含有し、
該第一の重合性単量体が、炭素数18以上36以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つであり、
該重合体A中の該第一のモノマーユニットの含有割合が、該重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、5.0モル%以上60.0モル%以下であり、
該重合体A中の該第二のモノマーユニットの含有割合が、該重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、20.0モル%以上95.0モル%以下であり、
該第一のモノマーユニットのSP値をSP11(J/cm30.5とし、該第二のモノマーユニットのSP値をSP21(J/cm30.5としたとき、下記式(1)
3.00≦(SP21−SP11)≦25.00 ・・・(1)
を満足し、
該第一の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa1、該第二の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa2としたとき、下記式(2)及び(3)を満たすことを特徴とするトナーである。
6.5≦Ra1≦13.0・・・(2)
Ra2≦11.0・・・(3)
また、本発明は、結着樹脂及び荷電制御剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、
第一の重合性単量体、及び
第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体
を含有する組成物の重合体である重合体Aを含有し、
該第一の重合性単量体が、炭素数18以上36以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つであり、
該組成物中の該第一の重合性単量体の含有割合が、該組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として、5.0モル%以上60.0モル%以下であり、
該組成物中の該第二の重合性単量体の含有割合が、該組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として、20.0モル%以上95.0モル%以下であり、
該第一の重合性単量体のSP値をSP12(J/cm30.5とし、該第二の重合性単量体のSP値をSP22(J/cm30.5としたとき、下記式(4)
0.60≦(SP22−SP12)≦15.00 ・・・(4)
を満足し、
該第一の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa1、該第二の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa2としたとき、下記式(2)及び(3)を満たすことを特徴とするトナーである。
6.5≦Ra1≦13.0・・・(2)
Ra2≦11.0・・・(3)
ここで、SP値とは、溶解度パラメータ(soluble parameter)の略であり、溶解性の指標となる値である。算出方法については後述する。
またHSPとは、ハンセン溶解度パラメータ(Hansen Soluble parameter)の略であり、SP値と同様、溶解性の指標となる値である。算出方法は後述する。
以下、本発明の各構成要件およびその意義について詳細に説明する。
本発明は、結着樹脂が重合体Aを含有する。重合体Aは、第一の重合性単量体に由来する第一のモノマーユニット、及び該第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体に由来する第二のモノマーユニットを有する。該第一の重合性単量体は、炭素数18以上36以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つである。該第一のモノマーユニットを有することで、重合体Aは結晶性を示す樹脂となる。
重合体Aは、第一の重合性単量体に由来する第一のモノマーユニット、及び、該第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体に由来する第二のモノマーユニットを有し、該第一のモノマーユニットのSP値をSP11(J/cm30.5とし、該第二のモノマーユニットのSP値をSP21(J/cm30.5としたとき、下記式(1)を満足する。
また、重合体Aは、該第一の重合性単量体のSP値をSP12(J/cm30.5とし、該第二の重合性単量体のSP値をSP22(J/cm30.5としたとき、下記式(4)を満足する。
3.00≦(SP21−SP11)≦25.00 (1)
0.60≦(SP22−SP12)≦15.00 (4)
本発明におけるSP値の単位は、(J/m30.5であるが、1(cal/cm30.5=2.045×103(J/m30.5によって(cal/cm30.5の単位に換算することができる。
上記式(1)又は式(4)を満足することで、重合体Aの結晶性が低下することなく、融点が維持される。それにより、低温定着性と耐熱保存性の両立が図られる。このメカニズムについて、以下のように推察している。
該第一のモノマーユニットは、重合体に組み込まれ、該第一のモノマーユニット同士が集合することで結晶性を発現するが、通常の場合、他のモノマーユニットが組み込まれていると結晶化を阻害するため、重合体として結晶性を発現しにくくなる。この傾向は、重合体の一分子内にて該第一のモノマーユニットと該他のモノマーユニットがランダムに結合されていると顕著になる。
一方、本発明においては、SP22−SP12が上記式(4)の範囲となる重合性単量体を使用することで、重合時に該第一の重合性単量体と該第二の重合性単量体がランダムに結合するのではなく、ある程度連続して結合できると考えられる。それにより、該重合体Aは、該第一のモノマーユニット同士が集合できるようになり、他のモノマーユニットが組み込まれていても結晶性を高めることが可能となることで、融点も維持できると考えられる。すなわち、重合体Aは第一の重合性単量体に由来する第一のモノマーユニットを含む結晶性部位を有することが好ましい。また、重合体Aは、第二の重合性単量体に由来する第二のモノマーユニットを含む非晶性部位を有することが好ましい。
また、SP21−SP11が上記式(1)の範囲にあることで、重合体Aにおいて該第一のモノマーユニットと該第二のモノマーユニットが相溶することなく明確な相分離状態を形成しうると考えられ、結晶性を低下させることなく、融点が維持されると考えられる。
SP22−SP12が0.60よりも小さいと、重合体Aの融点が低下し、耐熱保存性が低下する。また、15.00よりも大きいと、該重合体Aの共重合性が劣ると考えられ、不均一化が生じ、低温定着性が低下する。該SP22−SP12の値は、3.50(J/cm30.5以上12.00(J/cm30.5以下であることが好ましく、4.00(J/cm30.5〜11.00(J/cm30.5であることがより好ましい。SP12とSP22が上記関係を満たすことで、重合体Aのブロック化の度合いが高まり、耐熱保存性と低温定着性が向上する。
同様に、SP21−SP11が3.00よりも小さいと、該重合体Aの融点が低下し、耐熱保存性が低下する。また、25.00よりも大きいと、該重合体Aの共重合性が劣ると考えられ、不均一化が生じ、低温定着性が低下する。該SP21−SP11の値は、5.00(J/cm30.5以上22.00(J/cm30.5以下であることが好ましく、7.00(J/cm30.5以上20.00(J/cm30.5以下であることがより好ましい。SP11とSP21が上記関係を満たすことで、重合体Aのブロック化の度合いが高まり、耐熱保存性と低温定着性が向上する。
なお、本発明において重合体A中に上記第一のモノマーユニットの要件を満たすモノマーユニットが複数種類存在する場合、式(1)におけるSP11の値はそれぞれのモノマーユニットのSP値を加重平均した値とする。例えば、SP値がSP111のモノマーユニットAを第一のモノマーユニットの要件を満たすモノマーユニット全体のモル数を基準としてAモル%含み、SP値がSP112のモノマーユニットBを第一のモノマーユニットの要件を満たすモノマーユニット全体のモル数を基準として(100−A)モル%含む場合のSP値(SP11)は、
SP11=(SP111×A+SP112×(100−A))/100
である。第一のモノマーユニットの要件を満たすモノマーユニットが3以上含まれる場合も同様に計算する。一方、SP12も同様に、それぞれの第一の重合性単量体のモル比率で算出した平均値を表す。
一方、第二の重合性単量体に由来するモノマーユニットは、上記方法で算出したSP11に対して式(1)を満たすSP21を有するモノマーユニット全てが該当する。同様に、第二の重合性単量体は、上記方法で算出したSP12に対して式(4)を満たすSP22を有する重合性単量体全てが該当する。
すなわち、該第二の重合性単量体が2種類以上の重合性単量体である場合、SP21はそれぞれの重合性単量体に由来するモノマーユニットのSP値を表し、SP21−SP11はそれぞれの第二の重合性単量体に由来するモノマーユニットに対して決定される。同様に、SP22はそれぞれの重合性単量体のSP値を表し、SP22−SP12はそれぞれの第二の重合性単量体に対して決定される。
重合体A中の第一のモノマーユニットの含有割合は、重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、5.0モル%以上60.0モル%以下であり、重合体A中の該第二のモノマーユニットの含有割合が、重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、20.0モル%以上95.0モル%以下である。
また、重合体Aは、第一の重合性単量体、及び該第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体を含有する組成物の重合体である。該組成物中の該第一の重合性単量体の含有割合は、該組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として、5.0モル%以上60.0モル%以下であり、該組成物中の該第二の重合性単量体の含有割合が、該組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として、20.0モル%以上95.0モル%以下である。
重合体A中の第一のモノマーユニットの含有割合、及び該組成物中の第一の重合性単量体の含有割合が上記範囲であることで、重合体Aのシャープメルト性が発揮され、低温定着性にすぐれたトナーとなる。該含有割合が5.0モル%よりも小さいと、重合体Aの結晶量が少なくなり、シャープメルト性が低下する。それにより、低温定着性が低下する。一方、該含有割合が60.0モル%よりも大きいと、室温付近での弾性が低下し、トナーの耐久性が低下する。
重合体A中の第一のモノマーユニットの含有割合、及び該組成物中の第一の重合性単量体の含有割合は、好ましくは10.0モル%以上60.0モル%以下であり、モル20.0モル%以上40.0モル%以下であることがより好ましい。
なお、重合体Aが、2種以上の炭素数18以上36以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを有する場合、第一のモノマーユニットの含有割合は、それらの合計のモル比率を表す。また、重合体Aに用いる組成物が2種以上の炭素数18以上36以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む場合も同様に、第一の重合性単量体の含有割合は、それらの合計のモル比率を表す。
重合体A中の第二のモノマーユニットの含有割合、及び該組成物中の第二の重合性単量体の含有割合が上記範囲であることで、重合体Aの室温付近での弾性が向上し、耐久性に優れたトナーとなる。加えて、重合体Aにおいて該第一のモノマーユニットの結晶化を阻害しないため、融点維持も可能となる。
該含有割合が20.0モル%よりも小さいと、重合体Aの弾性が低下し、トナーの耐久性が低下する。また、該含有割合が95.0モル%よりも大きいと、重合体Aのシャープメルト性が低下し、低温定着性が低下する。
該含有割合は、40.0モル%以上95.0モル%以下であることが好ましく、40.0モル%以上70.0モル%以下であることがより好ましい。
重合体Aにおいて、式(1)を満足する第二の重合性単量体に由来するモノマーユニットが2種類以上存在する場合、第二のモノマーユニットの割合は、それらの合計のモル比率を表す。また、重合体Aに用いる組成物が2種以上の第二の重合性単量体を含む場合も同様に、第二の重合性単量体の含有割合は、それらの合計のモル比率を表す。
本発明のトナーに含有する荷電制御剤は、以下の条件を満たす必要がある。
前記第一の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa1、前記第二の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa2としたとき、下記式(2)及び(3)を満たす。
6.5≦Ra1≦13.0・・・(2)
Ra2≦11.0・・・(3)
HSPの差とは、複数の物質の混和のしやすさを、分子間相互作用の観点で示した計算値である。複数の物質間のHSPの差を考慮することによって、物質間の親和性を分子レベルの構成で制御することができると考えられる。トナー内の原料のより均一な微分散を達成するためには、このような緻密な分子レベルの親和性のコントロールが必要である。
該配位子が式(2)を満たすことで、該荷電制御剤と、前記重合体Aに含有される前記第一のモノマーユニットとの親和性が適度に制御できると考えられる。これによって、該荷電制御剤と重合体A中の結晶ドメインの均一微分散を達成しつつ、該荷電制御剤の帯電維持効果を維持できる。
Ra1が6.5より小さいと、該荷電制御剤と該第一のモノマーユニットとの親和性が過度に高くなり、長鎖アルキルが該荷電制御剤に近接することによって該荷電制御剤の帯電維持効果が抑制されてしまうと考えられる。これによって、特に高温高湿環境下でのトナーの帯電維持性が悪化する。高温高湿環境下では、高温による長鎖アルキルの運動性の上昇と、水分子による結晶部位の可塑化によって、電荷漏洩効果が促進されると考えられる。よって、高温高湿環境下では、長鎖アルキルと近接した荷電制御剤は、帯電維持効果がさらに悪化してしまう。
Ra1が13.0より大きいと、該荷電制御剤と該第一のモノマーユニットとの親和性が低下し、荷電制御剤及び結晶ドメインの偏在が発生すると考えられる。これによって、トナーの転写性と低温定着性が悪化する。
トナーの帯電維持性の観点から、Ra1は10.0≦Ra1≦13.0が好ましく、11.5≦Ra1≦13.0がより好ましい。上記を満たすことで、トナーの低温定着性、転写性及び高温高湿環境下での帯電維持性を両立できる。
該配位子が式(3)を満たすことで、前記第二のモノマーユニットとの親和性が向上すると考えられる。これによって、該荷電制御剤の均一微分散を達成できる。
Ra2が11.0より大きいと、該荷電制御剤と該第二のモノマーユニットとの親和性が低下し、荷電制御剤の偏在が発生すると考えられる。これによってトナーの転写性が悪化する。
荷電制御剤の分散性の観点から、Ra2は5.0≦Ra2≦11.0が好ましく、7.0≦Ra2≦11.0がより好ましい。Ra2の値が前記の好ましい範囲であれば、該荷電制御剤と該第二のモノマーユニット、及び該第一のモノマーユニットの三者の親和性のバランスがより適正になり、荷電制御剤の分散性がより良化すると考えられる。
<重合体A>
重合体Aは、ビニル重合体であることが好ましい。ビニル重合体は、例えば、エチレン性不飽和結合を含むモノマーの重合体が挙げられる。エチレン性不飽和結合とは、ラジカル重合することが可能な炭素−炭素二重結合を指し、例えば、ビニル基、プロペニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
重合体Aには、上述した、第一の重合性単量体に由来する第一のモノマーユニット、第二の重合性単量体に由来する第二のモノマーユニットのモル比率を損ねない範囲で、上記式(1)又は式(4)の範囲に含まれない第三の重合性単量体に由来するモノマーユニットが含まれていてもよい。
また、第一の重合性単量体、及び、該第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体を含有する組成物には、該組成物中の該第一の重合性単量体の含有割合、及び第二の重合性単量体の含有割合を損ねない範囲で、上記式(1)又は式(4)の範囲に含まれない第三の重合性単量体が含まれていてもよい。
第三の重合性単量体としては、例えば以下のものを用いることができる。
スチレン、o−メチルスチレンなどのスチレン及びその誘導体、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステル類。なお、該単量体は極性基を有さないためにSP値が低く、式(1)又は式(4)を満たしにくい。しかし、式(1)又は式(4)を満たす場合には、第二の重合性単量体として用いることができる。
該重合体Aの酸価は、30.0mgKOH/g以下であることが好ましく、20.0mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価が30.0mgKOH/g以下であると、該重合体Aの結晶化を阻害されず、融点の低下もない。なお、該重合体Aの酸価は、0mgKOH/g以上であることが好ましい。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される該重合体Aのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の重量平均分子量(Mw)は、10,000以上200,000以下であることが好ましく、20,000以上150,000以下であることがより好ましい。
該重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあることで、室温付近での弾性が維持しやすい。
該重合体Aの融点は、50℃以上80℃以下であることが好ましく、53℃以上70℃以下であることがより好ましい。該融点が上記範囲にある場合、耐熱保存性及び低温定着性がより向上する。
結着樹脂中の重合体Aの含有量は、50.0質量%以上であることが好ましい。50.0質量%以上であることで、トナー粒子のシャープメルト性が維持されやすく、低温定着性が向上する。より好ましくは60.0質量%以上であり、70.0質量%であることがさらに好ましい。
なお、結着樹脂中の重合体Aの含有量は以下のように算出する。
トナーをメタノールなどの水系溶媒で洗浄し、該溶媒に溶出する成分を抽出する。次いで、トルエンなどの非極性溶媒で洗浄し、溶出成分を抽出する。各成分を1H−NMRにて構造を同定し、重合体A由来の成分を特定する。重合体A由来の成分の抽出量と、抽出前のトナー量から、重合体Aの含有量を算出する。
結着樹脂として重合体A以外に使用可能な樹脂としては、従来公知の、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、電子写真特性の観点から、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
<第一の重合性単量体>
第一の重合性単量体は、炭素数18以上36以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つである。
炭素数18以上36以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数18以上36以下の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ヘンエイコサニル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸リグノセリル、(メタ)アクリル酸セリル、(メタ)アクリル酸オクタコサ、(メタ)アクリル酸ミリシル、(メタ)アクリル酸ドドリアコンタなど]及び炭素数18〜36の分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシルなど]が挙げられる。
これらの内、トナーの保存安定性の観点から、好ましくは炭素数18以上36以下の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つである。より好ましくは炭素数18以上30以下の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つである。さらに好ましくは直鎖の(メタ)アクリル酸ステアリル及び(メタ)アクリル酸ベヘニルからなる群から選択される少なくとも一つである。
第一の重合性単量体は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<第二の重合性単量体>
第二の重合性単量体としては、例えば以下に挙げる重合性単量体のうち、式(1)又は式(4)を満たす重合性単量体が挙げられる。
第二の重合性単量体は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ニトリル基を有する単量体;例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど。
ヒドロキシ基を有する単量体;例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルなど。
アミド基を有する単量体;例えば、アクリルアミド、炭素数1以上30以下のアミンとエチレン性不飽和結合を有する炭素数2以上30以下のカルボン酸(アクリル酸及びメタクリル酸など)を公知の方法で反応させた単量体。
ウレタン基を有する単量体:例えば、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2以上22以下のアルコール(メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、ビニルアルコールなど)と、炭素数1以上30以下のイソシアネート[モノイソシアネート化合物(ベンゼンスルフォニルイソシアネート、トシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、t−ブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、2−エチルヘキシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、アダマンチルイソシアネート、2,6−ジメチルフェニルイソシアネート、3,5−ジメチルフェニルイソシアネート及び2,6−ジプロピルフェニルイソシアネートなど)、脂肪族ジイソシアネート化合物(トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなど)、脂環族ジイソシアネート化合物(1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート及び水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど)、及び芳香族ジイソシアネート化合物(フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートなど)]とを公知の方法で反応させた単量体、及び
炭素数1以上26以下のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セタノール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ノナデシルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコールなど)と、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2以上30以下のイソシアネート[2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート及び1,1−(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートなど]とを公知の方法で反応させた単量体など。
ウレア基を有する単量体:例えば炭素数3〜22のアミン[1級アミン(ノルマルブチルアミン、t―ブチルアミン、プロピルアミン及びイソプロピルアミンなど)、2級アミン(ジノルマルエチルアミン、ジノルマルプロピルアミン、ジノルマルブチルアミンなど)、アニリン及びシクロキシルアミンなど]と、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2〜30のイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体など。
カルボキシ基を有する単量体;例えば、メタクリル酸、アクリル酸、(メタ)アクリル酸−2−カルボキシエチル。
中でも、ニトリル基、アミド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、又はウレア基を有する単量体を使用することが好ましい。より好ましくは、第二の重合性単量体は、ニトリル基、アミド基、ヒドロキシ基、ウレタン基、及びウレア基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体である。
第二の重合性単量体として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニルといったビニルエステル類も好ましく用いられる。ビニルエステル類は、非共役モノマーであり、第一の重合性単量体との反応性が適度に保たれやすい。
そのため、重合体Aにおいて第一の重合性単量体に由来するモノマーユニットが集合して結合している状態を形成させやすくなると考えられる。
すなわち、第一の重合性単量体に由来するモノマーユニットのブロック化の度合いが高まり、第一の重合性単量体に由来する部位の結晶性を向上させやすく、低温定着性と耐熱保存性がより両立しやすくなる。
また、第二の重合性単量体が、下記式(A)及び(B)からなる群から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
Figure 2021015206
該式(A)及び式(B)中、Xは単結合又は炭素数1以上6以下のアルキレン基を示し、
1は、ニトリル基(−C≡N)、
アミド基(−C(=O)NHR10(R10は水素原子、若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基))、
ヒドロキシ基、
−COOR11(R11は炭素数1以上6以下(好ましくは1以上4以下)のアルキル基若しくは炭素数1以上6以下(好ましくは1以上4以下)のヒドロキシアルキル基)、
ウレア基(−NH−C(=O)−NH(R132(R13はそれぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1以上6以下(好ましくは1以上4以下)のアルキル基))、
−COO(CH22NHCOOR14(R14は炭素数1以上4以下のアルキル基)、又は
−COO(CH22−NH−C(=O)−NH(R152(R15はそれぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1以上6以下(好ましくは1以上4以下)のアルキル基)
を示し、
2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を示し、
3は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を示す。
<荷電制御剤>
該荷電制御剤は、それを構成する配位子のHSPの極性項δPが7以上であることが好ましい。該極性項δPが7以上の場合、前記第一のモノマーユニットとの親和性が過度に高くなることなく、該荷電制御剤の帯電維持効果がより維持されると考えられるので好ましい。
上記の観点から、該荷電制御剤は配位子を有する金属錯体化合物から選択する必要があるが、それ以外は特に限定されない。
該荷電制御剤は、前記重合体A中のモノマーユニットとの親和性及び帯電特性の観点から、下記式(C)で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 2021015206
該式中、A1、A2及びA3は、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。B1は水素原子またはアルキル基を示す。Mは、Fe原子、Cr原子、又はAl原子を示し、X+は、水素イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン又はこれらの混合イオンを示す。
1、A2及びA3がCl、B1がメチル基及びMがFe原子であることがより好ましい。
前記トナーの帯電量と帯電維持性の両立の観点から、該荷電制御剤のトナーの結着樹脂に対する含有量は0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
<その他のトナー含有物>
該トナーの結着樹脂は、重合体Aの他に高粘弾性の重合体Hを含有することが好ましい。重合体Hとしては、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。特に、高温での粘弾性を制御する目的から、架橋密度の制御しやすいビニル系樹脂、ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。前記重合体Hを含有することで該トナーの定着時の濃度ムラを抑制できる。
該トナーの120℃における貯蔵弾性率Gt’(120)と、150℃における貯蔵弾性率Gt’(150)が下記式(5)を満たし、且つGt’(120)が、5.0×103Pa以上であることが好ましい。
0.8≦Gt’(150)/Gt’(120)≦1.0・・・(5)
上記の式(5)を満たすトナーは、広い定着温度領域における、定着時のトナーの粘弾性を一定値に保つと考えられる。これによって、広い温度領域で定着時の濃度ムラを抑制することができる。
定着時の濃度ムラ抑制の観点から、Gt’(120)は1.0×104Pa以上であることがさらに好ましく、2.0×104Pa以上であることがより好ましい。
該トナーは、定着時の離型性を付与するために、離型剤を含有することが好ましい。該トナーに含有する離型剤は、離型性の観点から、以下の条件を満たすことが好ましい。
該トナーに含有される離型剤と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa3としたとき、下記式(6)を満たし、且つ該離型剤の分子量が900以上となる。
10.5≦Ra3≦13.0・・・(6)
上記の式(6)を満たす離型剤は、離型剤と荷電制御剤との親和性が適正であり、両材料の均一微分散を達成できると考えられる。したがって、上記式(6)を満たす場合、該トナーの離型性がより良好になり、且つより高い転写性を達成できるので好ましい。また、分子量が900以上となる離型剤を含有することで、該トナーの結着樹脂と相分離状態を形成すると考えられ、より高い離型性を実現できるので好ましい。
該トナーの離型性と転写性の観点から、10.5≦Ra3≦12.0がより好ましく、11.0≦Ra3≦12.0がさらに好ましい。
離型剤は以下のものが挙げられる。
脂肪族炭化水素系ワックス:低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、フィッシャートロプシュワックス、又はこれらが酸化、酸付加されたワックス。
また、脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックスも使用可能である。エステルワックスは、分子量の観点から、3官能以上のエステルワックスであることが好ましく、より好ましくは4官能以上のエステルワックスである。
3官能以上のエステルワックスは、例えば3官能以上の酸と長鎖直鎖飽和アルコールの縮合、又は3官能以上のアルコールと長鎖直鎖飽和脂肪酸の合成によって得られる。
エステルワックスにて使用可能な3官能以上のアルコールとしては以下を挙げることができるが、これに限定されるものではない。エステルワックスは複数を混合して用いることも可能である。
グリセリン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール。また、これらの縮合物として、グリセリンの縮合したジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン及びデカグリセリン等のいわゆるポリグリセリン、トリメチロールプロパンの縮合したジトリメチロールプロパン、トリストリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールの縮合したジペンタエリスリトール及びトリスペンタエリスリトール等が挙げられる。
これらのうち、分岐構造をもつ構造が好ましく、ペンタエリスリトール、又はジペンタエリスリトールがより好ましく、特にジペンタエリスリトールが好ましい。
長鎖直鎖飽和脂肪酸は、一般式Cn2n+1COOHで表され、nが5以上28以下のものが好ましく用いられる。
例えば以下を挙げることができるが、これに限定されるものではない。場合によっては混合して用いることも可能である。カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノニル酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。ワックスの融点の面からミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が好ましい。
3官能以上の酸としては以下を挙げることができるが、これに限定されるものではない。場合によっては混合して用いることも可能である。トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸。
長鎖直鎖飽和アルコールはCn2n+1OHで表され、nが5以上28以下のものが好ましく用いられる。
例えば以下を挙げることができるが、これに限定されるものではない。場合によっては混合して用いることも可能である。カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが挙げられる。ワックスの融点の面からミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましい。
離型剤は、脂肪族炭化水素系ワックスを含むことが好ましく、脂肪族炭化水素系ワックスであることがより好ましい。脂肪族炭化水素系ワックスは極性が低いため、定着時に該重合体Aから染み出しやすくなる。
トナーには磁性酸化鉄粒子を含有させ磁性トナーとしても使用してもよい。この場合、磁性酸化鉄粒子は着色剤の役割をかねることもできる。
磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのような酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ビスマス、カルシウム、マンガン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物が挙げられる。
これらの磁性酸化鉄粒子は平均粒子径が2μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。トナー中の含有量は結着樹脂100質量部に対し20質量部以上200質量部以下であることが好ましく、40質量部以上150質量部以下であることがより好ましい。
トナーには着色剤を用いてもよい。着色剤の例を以下に挙げる。
黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラック、グラフト化カーボンや以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用可能である。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が挙げられる。シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
トナーはそのままトナーとして用いてもよいし、無機微粒子などの外添剤を添加してトナーとしてもよい。
トナー粒子には無機微粒子を添加することが好ましい。トナー粒子に添加する無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子又はそれらの複酸化物微粒子のような微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が、流動性改良及び帯電均一化のために好ましい。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。なかでも、表面及びシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタンのような金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であってもよい。
また、シリカ微粒子を疎水化処理することによって、トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成することができるため、疎水化処理されたシリカ微粒子を用いることがより好ましい。疎水化処理によりシリカ微粒子の吸湿を防ぎ、トナーの帯電量を保ち、現像性や転写性が良好になる。
シリカ微粒子の疎水化処理の処理剤としては、シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で又は併用して用いてもよい。
その中でも、シリコーンオイルにより処理されたシリカ微粒子が好ましい。
<トナー製法>
トナー粒子の製造方法は特に限定されず、例えば粉砕法や、乳化重合法、懸濁重合法及び溶解懸濁法などのいわゆる重合法を用いることができる。
トナー材料を均一に分散させるという観点から、粉砕法であることが好ましい。すなわち、トナーが粉砕トナーであることが好ましい。粉砕法における熔融混練工程によって、各材料の均一微分散を達成できると考えられる。
粉砕法では、まず、トナー粒子を構成する重合体A、荷電制御剤、並びに必要に応じて、重合体H、着色剤、離型剤などの添加剤を、ヘンシェルミキサ、ボールミル等の混合機により充分に混合する(混合工程)。次いで、得られた混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融混練する(溶融混練工程)。溶融混練物を冷却固化後、粉砕し(粉砕工程)、必要に応じて分級などを行う。これによって、トナー粒子を得られる。
上記混合工程の前に、重合体A及びHを溶融混練しながら架橋剤を添加し、これらを架橋する工程を行うことも好ましい。これにより、結着樹脂の一部が高温で不溶となるため、高温時の粘弾性を上昇させることが可能である。
トナー及びトナー材料の各種物性についての算出方法及び測定方法について以下に記す。
<重合体A中の各種重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合の測定方法>
重合体A中の各種重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合の測定は、1H−NMRにより以下の条件にて行う。
・測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
・測定周波数:400MHz
・パルス条件:5.0μs
・周波数範囲:10500Hz
・積算回数 :64回
・測定温度 :30℃
・試料 :測定試料50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl3)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
得られた1H−NMRチャートより、第一の重合性単量体に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークの中から、他に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値S1を算出する。
同様に、第二の重合性単量体に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークの中から、他に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値S2を算出する。
さらに、第三の重合性単量体を使用している場合は、第三の重合性単量体に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークから、他に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値S3を算出する。
第一の重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合は、上記積分値S1、S2及びS3を用いて、以下のようにして求める。なお、n1、n2、3はそれぞれの部位について着眼したピークが帰属される構成要素における水素の数である。
第一の重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S1/n1)/((S1/n1)+(S2/n2)+(S3/n3))}×100
同様に、第二の重合性単量体、第三の重合性単量体に由来するモノマーユニットの割合は以下のように求める。
第二の重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S2/n2)/((S1/n1)+(S2/n2)+(S3/n3))}×100
第三の重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S3/n3)/((S1/n1)+(S2/n2)+(S3/n3))}×100
なお、重合体Aにおいて、ビニル基以外の構成要素に水素原子が含まれない重合性単量体が使用されている場合は、13C−NMRを用いて測定原子核を13Cとし、シングルパルスモードにて測定を行い、1H−NMRにて同様にして算出する。
また、トナーが懸濁重合法によって製造される場合、離型剤やその他の樹脂のピークが重なり、独立したピークが観測されないことがある。それにより、重合体A中の各種重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合が算出できない場合が生じる。その場合、離型剤やその他の樹脂を使用しないで同様の懸濁重合を行うことで、重合体A’を製造し、重合体A’を重合体Aとみなして分析することができる。
<SP値の算出方法>
SP12、SP22は、Fedorsによって提案された算出方法に従い、以下のようにして求める。
それぞれの重合性単量体について、分子構造中の原子又は原子団に対して、「polym.Eng.Sci.,14(2),147−154(1974)」に記載の表から蒸発エネルギー(Δei)(cal/mol)及びモル体積(Δvi)(cm3/mol)を求め、(4.184×ΣΔei/ΣΔvi)0.5をSP値(J/cm30.5とする。
なお、SP11、SP21は、該重合性単量体の二重結合が重合によって開裂した状態の分子構造の原子又は原子団に対して、上記と同様の算出方法によって算出する。
<HSPの算出方法>
本発明では、重合体Aに使用する第一の重合性単量体、第二の重合性単量体及び荷電制御剤を構成する配位子のHSPの差が特定の範囲内であることが重要である。HSPの差とはハンセン溶解度パラメータ空間における距離である。
HSPは分散項、極性項、水素結合項からなる、三次元ベクトル量である。ある物質のHSPの分散項の値をδd、極性項の値をδp、水素結合項の値をδhとしたとき、本明細書中では、[δd,δp,δh]のように表記する。
HSPの差は、溶媒に対する溶質の溶けやすさ、あるいは複数の溶媒の混和のしやすさを、分子間相互作用の観点で示した計算値である。二つの物質のHSPの差が0に近いほど、それらの物質の親和性が高く、溶解性や混和性が高いことが推測される。
ある二つの物質に着目し、一方の物質のHSPを[δdA,δpA,δhA]、他方の物質のHSPを[δdB,δpB,δhB]としたとき、その二つの物質のHSPの差Raは、下式:
Ra={4(δdA−δdB)2+(δpA−δpB)2+(δhA−δhB)21/2
で表わされる。
本発明では、計算ソフト「Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP) Version4.1.03」(Steven Abbott,Charles M. Hansen,Hiroshi Yamamoto著)を使用し、化学構造式を入力して計算を行う。
重合体Aに使用する重合性単量体のHSP[δd,δp,δh]の算出は、上記計算ソフトを使用し、化学構造式を入力して計算する。荷電制御剤を構成する配位子のHSP[δd,δp,δh]の算出は、該配位子の化学構造式を、以下のように決定し、計算する。荷電制御剤を構成する配位子の金属配位部分はH+で置き換える。例えば、荷電制御剤が以下の式(D)の化学構造式で表せる場合、該荷電制御剤の配位子の化学構造式は式(E)のようになる。
Figure 2021015206
重合体Aに第一のモノマーユニット、及び第二のモノマーユニットに該当する重合性単量体が複数存在する場合、荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をそれぞれ算出し、特定の範囲内であることを確認する。
なお、離型剤のHSPの算出は、同様に化学構造式を上記計算ソフトに入力し計算する。炭化水素ワックスのHSPは、その炭化水素ワックスの分子量Mpに最も近い直鎖アルカンの構造を該計算ソフトに入力して計算し、その値を用いる。
<貯蔵弾性率の測定方法>
測定装置としては、回転平板型レオメータ「ARES」(TA INSTRUMENTS社製)を用いる。
測定試料としては、25℃の環境下で、錠剤成型器を用いて、トナーを直径8.0mm、厚さ2.0±0.3mmの円板状に加圧成型した試料を用いる。
試料をパラレルプレートに装着し、室温(25℃)から55℃に15分間で昇温して、試料の形を整えた後、粘弾性の測定開始温度まで冷却し、測定を開始する。この際、初期のノーマルフォースが0になるようにサンプルをセットすることが、重要である。また、以下に述べるように、その後の測定においては、自動テンション調整(Auto Tension Adjustment ON)にすることで、ノーマルフォースの影響をキャンセルできる。
測定は、以下の条件で行う。
(1)直径7.9mmのパラレルプレートを用いる。
(2)周波数(Frequency)は6.28rad/sec(1.0Hz)とする。
(3)印加歪初期値(Strain)を0.1%に設定する。
(4)30℃から200℃の間を、昇温速度(Ramp Rate)2.0℃/minで測定を行う。なお、測定においては、以下の自動調整モードの設定条件で行う。自動歪み調整モード(Auto Strain)で測定を行う。
(5)最大歪(Max Applied Strain)を20.0%に設定する。
(6)最大トルク(Max Allowed Torque)200.0g・cmとし、最低トルク(Min Allowed Torque)0.2g・cmと設定する。
(7)歪み調整(Strain Adjustment)を 20.0% of Current Strain と設定する。測定においては、自動テンション調整モード(Auto Tension)を採用する。
(8)自動テンションディレクション(Auto Tension Direction)をコンプレッション(Compression)と設定する。
(9)初期スタティックフォース(Initial Static Force)を10.0g、自動テンションセンシティビティ(Auto Tension Sensitivity)を40.0gと設定する。
(10)自動テンション(Auto Tension)の作動条件は、サンプルモデュラス(Sample Modulus)が1.0×103Pa以上である。
<離型剤の分子量の測定方法>
離型剤の分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。ゲルクロマトグラフ用のo−ジクロロベンゼンに、特級2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を濃度が0.10質量/体積%となるように添加し、室温で溶解する。
サンプルビンに離型剤と上記のBHTを添加したo−ジクロロベンゼンとを入れ、150℃に設定したホットプレート上で加熱し、離型剤を溶解する。離型剤が溶けたら、予め加熱しておいたフィルターユニットに入れ、本体に設置する。フィルターユニットを通過させたものをGPCサンプルとする。なお、サンプル溶液は、濃度が0.15質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
・装置:HLC−8121GPC/HT(東ソー社製)
・検出器:高温用RI
・カラム:TSKgel GMHHR−H HT 2連(東ソー社製)
・温度:135.0℃
・溶媒:ゲルクロマトグラフ用o−ジクロロベンゼン(BHT 0.10質量/体積%添加)
・流速:1.0ml/min
・注入量:0.4ml
離型剤の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<酸価の測定方法>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。本発明における重合体Aの酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。該水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mlを三角フラスコに取り、該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、該水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した該水酸化カリウム溶液の量から求める。該0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した重合体Aの試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、該水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
<重合体のMwの測定方法>
重合体AのTHF可溶分の分子量(Mw)及び重合体Hの分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
・装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
・カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0ml/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<融点の測定方法>
重合体A及び離型剤の融点は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、示差走査熱量測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。
1回目の昇温過程における最大吸熱ピークのピーク温度を、融点とする。
なお、最大吸熱ピークとは、ピークが複数あった場合に、吸熱量が最大となるピークのことである。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。なお、以下の処方において、「部」は特に断りのない限り質量基準である。
<ウレタン基を有する単量体の調製>
メタノール50.0部を反応容器に仕込んだ。その後、撹拌下、40℃にてカレンズMOI[2−イソシアナトエチルメタクリレート](昭和電工社製)5.0部を滴下した。滴下終了後、40℃を維持しながら2時間撹拌を行った。その後、エバポレーターにて未反応のメタノールを除去することで、ウレタン基を有する単量体を調製した。
<ウレア基を有する単量体の調製>
ジブチルアミン50.0部を反応容器に仕込んだ。その後、撹拌下、室温にてカレンズMOI[2−イソシアナトエチルメタクリレート]5.0部を滴下した。滴下終了後、2時間撹拌を行った。その後、エバポレーターにて未反応のジブチルアミンを除去することで、ウレア基を有する単量体を調製した。
<重合体A1の製造例>
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、下記材料を投入した。
・トルエン 100.0部
・ベヘニルアクリレート(第一の重合性単量体) 67.0部
・メタクリロニトリル(第二の重合性単量体) 22.0部
・スチレン(第三の重合性単量体) 11.0部
・t−ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV) 3.0部
上記反応容器内を200rpmで撹拌しながら、70℃に加熱して12時間重合反応を行い、単量体組成物の重合体がトルエンに溶解した溶解液を得た。
続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。
得られたメタノール不溶分をろ別し、さらにメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して重合体A1を得た。重合体A1の重量平均分子量は20100、酸価は0.0mgKOH/g、融点は62℃であった。
上記重合体A1をNMRで分析したところ、ベヘニルアクリレート由来のモノマーユニットが28.9モル%、メタクリロニトリル由来のモノマーユニットが53.8モル%、スチレン由来のモノマーユニットが17.3モル%含まれていた。
<重合体A2〜A24の製造例>
モノマー処方を表1の記載に変更する以外は重合体A1の製造例と同様にして、重合体A2〜A24を得た。重合体A1〜A24の物性を表2に示す。
Figure 2021015206
Figure 2021015206
<荷電制御剤C1の製造例>
水76.5部及び35%塩酸15.2部の混合溶液中に、4−クロロ−2−アミノフェノールの10部を加え、冷却下で撹拌した。氷冷し、溶液の温度が0℃〜5℃になるように維持し、水24.6部に溶解させた亜硝酸ナトリウム13.6部を塩酸水溶液に滴下し、2時間撹拌しジアゾ化した。これにスルファミン酸で過剰の亜硝酸を消失させた後、ろ過を行ってジアゾ溶液とした。
次に、3−メチル−1−(3,4−ジクロロフェニル)−5−ピラゾロンの12.0部を水87部、25%水酸化ナトリウム12.1部、炭酸ナトリウム4.9部、及びn−ブタノール104.6部の混合溶液に添加し溶解させた。そこに上記ジアゾ溶液を加え、温度20℃〜22℃で4時間撹拌し、カップリング反応を行った。その後、水92.8部、25%水酸化ナトリウム水溶液43.5部を加え撹拌洗浄し、下層の水層を分液除去した。
次に、水42.2部、サリチル酸5.9部、ブタノール24.6部、及び15%炭酸ナトリウム48.5部を上記反応液に添加し撹拌した。さらに、38%塩化第二鉄水溶液15.1部と15%炭酸ナトリウム18.0部を加え、酢酸で反応液のpHを4.5に調整した。液温を温度30℃に昇温した後、8時間撹拌し錯体化反応を行った。撹拌停止後、静置して下部水層を分液した。更に水189.9部を加え撹拌洗浄し、下部水層を分液した。濾過後、水253部でケーキを洗浄した。温度60℃で24時間真空乾燥の後、モノアゾ金属錯体化合物である荷電制御剤C1を得た。
赤外吸収スペクトル、可視部吸収スペクトル、元素分析(C,H,N)、原子吸光分析、マススペクトルより、荷電制御剤C1の構造を同定したところ、下記の構造であることを確認した。
<荷電制御剤C2〜C4の製造例>
荷電制御剤C1の製造例において、3−メチル−1−(3,4−ジクロロフェニル)−5−ピラゾロンを表3のように変更した。それ以外は、荷電制御剤C1の製造例と同様にして、荷電制御剤C2〜C4を得た。
Figure 2021015206
荷電制御剤C1〜C4の化学構造式を下記に示す。
Figure 2021015206
荷電制御剤C1はYがCl、C2はH、C3はCH3、C4はn−C49となる。
<荷電制御剤C5>
荷電制御剤C5には、オリエント化学社製のS−34を使用した。荷電制御剤C5の化学構造式を以下に示す。
Figure 2021015206
<荷電制御剤C6>
荷電制御剤C6には、保土谷化学社製のT−77を使用した。荷電制御剤C6の化学構造式を以下に示す。尚、a+b+cは1である。
Figure 2021015206
<荷電制御剤C7>
荷電制御剤C7には、ジーt−ブチルサリチル酸アルミニウムを使用した。荷電制御剤C7の化学構造式を以下に示す。尚、n:mは3:2である。
Figure 2021015206
<重合体H1の製造例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 30.0部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 15.0部
・テレフタル酸 33.0部
・アジピン酸 15.0部
・トリメリット酸 7.0部
上記ポリエステルモノマー混合物を5リットルオートクレーブに仕込み、ポリエステルモノマー混合物総量に対して、0.05質量%のテトライソブチルチタネートを添加した。還流冷却器、水分分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内に窒素ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。表4に記載の分子量になるように反応時間を調整した。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して重合体H1を得た。得られた重合体B1は、分子量Mw45000であった。
<重合体H2、H3の製造例>
重合体H1の製造例からモノマー処方を表4のように変更し、重合体H2、H3を得た。重合体H2、H3の分子量Mwを合わせて表4に示す。
Figure 2021015206
<トナー粒子1の製造例>
[粉砕法によるトナー粒子の製造方法]
・重合体A1 70.0部
・重合体H1 30.0部
・荷電制御剤C1 1.0部
・離型剤1 2.0部
・球状磁性酸化鉄粒子(平均一次粒径0.20μm、Hc=6.0kA/m、σs=
85.2Am2/kg、σr=6.5Am2/kg) 95.0部
上記材料をFMミキサー(日本コークス工業(株)製)で前混合した後、二軸混練押し出し機(池貝鉄工(株)製PCM−30型))によって、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T−250)で粉砕し、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)7.5μmの負帯電性のトナー粒子1を得た。
<トナー粒子2〜35、38〜47の製造例>
トナー粒子1の製造例から用いる材料を表5のように変更し、トナー粒子2〜35、38〜47を得た。尚、使用した離型剤1〜5を表6に示す。
Figure 2021015206
Figure 2021015206
離型剤1〜3は三井化学社製、離型剤5は日本精蝋製である。
<トナー粒子36の製造例>
[懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法]
・単量体組成物 70.0部
(単量体組成物は以下のベヘニルアクリレート、メタクリロニトリル及びスチレンを
以下に示す割合で混合したものとする)
・ベヘニルアクリレート(第一の重合性単量体) 67.0部(28.9モル%)
・メタクリロニトリル(第二の重合性単量体) 22.0部(53.8モル%)
・スチレン(第三の重合性単量体) 11.0部(17.3モル%)
・重合体H1 30.0部
・荷電制御剤C1 1.0部
・離型剤1 2.0部
・カーボンブラック 10.0部
・トルエン 100.0部
からなる混合物を調製した。上記混合物をアトライター(日本コークス社製)に投入し、直径5mmのジルコニアビーズを用いて、200rpmで2時間分散することで原材料分散液を得た。
一方、高速撹拌装置ホモミクサー(プライミクス社製)及び温度計を備えた容器に、イオン交換水735.0部とリン酸三ナトリウム(12水和物)16.0部を添加し、12000rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。
そこに、イオン交換水65.0部に塩化カルシウム(2水和物)9.0部を溶解した塩化カルシウム水溶液を投入し、60℃を保持しながら12000rpmで30分間撹拌した。そこに、10%塩酸を加えてpHを6.0に調整し、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
続いて、上記原材料分散液を撹拌装置及び温度計を備えた容器に移し、100rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。そこに、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)8.0部を添加して60℃を保持しながら100rpmで5分間撹拌した後、上記高速撹拌装置にて12000rpmで撹拌している水系媒体中に投入した。60℃を保持しながら上記高速撹拌装置にて12000rpmで20分間撹拌を継続し、造粒液を得た。
上記造粒液を還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に移し、窒素雰囲気下において150rpmで撹拌しながら70℃に昇温した。70℃を保持しながら150rpmで10時間重合反応を行った。その後、反応容器から還流冷却管を外し、反応液を95℃に昇温した後、95℃を保持しながら150rpmで5時間撹拌することでトルエンを除去し、トナー粒子分散液を得た。
得られたトナー粒子分散液を150rpmで撹拌しながら20℃まで冷却した後、撹拌を保持したままpHが1.5になるまで希塩酸を加えて分散安定剤を溶解させた。
固形分をろ別し、イオン交換水で充分に洗浄した後、40℃で24時間真空乾燥して、トナー粒子36を得た。
<トナー粒子37の製造例>
[乳化凝集法によるトナー粒子の製造方法]
(重合体分散液Aの調製)
・トルエン 300.0部
・重合体A1 100.0部
・荷電制御剤C1 1.4部
上記材料を秤量、混合し、90℃で溶解させた。
別途、イオン交換水700.0部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0部、及びラウリン酸ナトリウム10.0部を加え90℃で加熱溶解させた。
次いで、前記のトルエン溶液と該水溶液を混ぜ合わせ、超高速撹拌装置T.K.ロボミックス(プライミクス製)を用いて7000rpmで撹拌した。
さらに、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)用いて200MPaの圧力で乳化した。その後、エバポレーターを用いて、トルエンを除去し、イオン交換水で濃度調整を行い重合体微粒子の濃度が20質量%の重合体分散液Aを得た。
(重合体分散液Hの調製)
重合体分散液Aの調製で用いた重合体A1を重合体H1に変更し、同様の方法で重合体分散液Hを得た。
(離型剤分散液の調製)
・離型剤1 100.0部
・アニオン界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 5.0部
・イオン交換水 395.0部
上記材料を秤量し、撹拌装置付きの混合容器に投入した後、90℃に加熱し、クレアミックスWモーション(エム・テクニック製)へ循環させて分散処理を60分間行った。分散処理の条件は、以下のようにした。
・ローター外径3cm
・クリアランス0.3mm
・ローター回転数19000r/min
・スクリーン回転数19000r/min
分散処理後、ローター回転数1000r/min、スクリーン回転数0r/min、冷却速度10℃/minの冷却処理条件にて40℃まで冷却することで、離型剤微粒子の濃度が20質量%の離型剤分散液を得た。
(磁性体分散液の調製)
・球状磁性酸化鉄粒子(平均一次粒径0.20μm、Hc=6.0kA/m、σs=
85.2Am2/kg、σr=6.5Am2/kg) 50.0部
・イオン交換水 450.0部
上記材料を秤量・混合し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)を用いて約1時間分散して、磁性体微粒子の濃度が10質量%の磁性体分散液を得た。
(トナーの製造)
・重合体分散液A 280.0部
・重合体分散液H 120.0部
・離型剤分散液 16.0部
・磁性体分散液 480.0部
・イオン交換水 100.0部
前記の各材料を丸型ステンレス製フラスコに投入し、混合した。
続いて、ホモジナイザー ウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて5000r/minで10分間分散した。1.0%硝酸水溶液を添加し、pHを3.0に調整した後、加熱用ウォーターバス中で撹拌翼を用いて、混合液が撹拌されるような回転数を適宜調節しながらで58℃まで加熱した。
形成された凝集粒子の体積平均粒径を、コールターマルチサイザーIIIを用い、適宜確認し、体積平均粒径が約6.0μmである凝集粒子が形成されたところで、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。
その後、撹拌を継続しながら、75℃まで加熱した。そして、75℃で1時間保持することで凝集粒子を融合させた。その後、50℃まで冷却し、3時間保持することで重合体の結晶化を促進させた。その後、25℃まで冷却し、ろ過・固液分離した後、イオン交換水で洗浄を行った。
洗浄終了後に真空乾燥機を用いて乾燥することで、重量平均粒径(D4)が6.1μmのトナー粒子37を得た。
<トナー1の製造例>
・トナー粒子1 100部
・疎水性シリカ微粉体(一次粒子の個数平均粒子径:10nm、原体シリカのBET比表面積200m2/g) 1部
上記材料をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で外添混合しトナー1を得た。トナー1の物性は表に示す。
<トナー2〜47の製造例>
トナー1の製造例で用いるトナー粒子1をトナー粒子2〜47に変更し、同様の方法でトナー2〜47を得た。トナー1〜47の物性を表7に示す。
Figure 2021015206
〔実施例1〕
本実施例で用いる評価機は、市販の磁性一成分方式のプリンターHP LaserJet Enterprise M609dn(ヒューレットパッカード社製:プロセススピード420mm/s)である。これを用いて、トナー1を用いた下記の評価を実施した。また、評価紙はVitality(Xerox社製、坪量75g/cm2、レターサイズ)を用いた。評価結果を表8に示す。
〔実施例2〜37〕
トナー2〜37を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。なおトナー36は、非磁性トナーのため、市販のカラーレーザープリンタColor Laser Jet CP4525(ヒューレットパッカード社製)を用いた。評価結果を表8に示す。
〔比較例1〜10〕
トナー38〜47を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。比較例1〜10の評価結果を表8に示す。
Figure 2021015206
<低温定着性の評価>
低温定着性の評価について、上記改造評価機の定着器を外部に取り出し、定着器の温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを520mm/secとなるように改造した外部定着器を用いた。この装置を用いて、180℃以上240℃以下の範囲で5℃おきに温調制御を行い、画像濃度が0.60以上0.65以下となるようにハーフトーン画像を出力した。得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率を測定した。
定着器の設定温度横軸に、濃度低下率を縦軸にして座標平面にプロットし、全てのプロットを直線で繋ぎ、濃度低下率10%の時の定着器の設定温度をトナーの定着開始温度とし、下記の基準により低温定着性を評価した。定着開始温度が低いトナーは低温定着性が良いことを示す。低温定着性の評価はトナーの熱定着に対し不利な条件である低温低湿環境下(7.5℃/15%RH)で行った。C以上を良好と判断した。
・評価基準
A:定着開始温度が135℃未満
B:定着開始温度が135℃以上140℃未満
C:定着開始温度が140℃以上145℃未満
D:定着開始温度が145℃以上
<耐熱保存性の評価>
トナー10gを50mLの樹脂製カップに計りとり、50℃から2℃刻みの6台の恒温槽にそれぞれ3日間放置した。放置後のトナーを目視で観察し、カップを回すうちに塊が小さくなってほぐれてくる上限の温度で保存性の評価を行った。C以上を良好と判断した。
・評価基準
A:58℃以上
B:54℃以上58℃未満
C:50℃以上54℃未満
D:50℃未満
<初期現像性の評価>
常温常湿環境下(23℃,60%RH)において、全ベタ画像をサンプル画像として5枚連続で出力した。得られた全ベタ画像の中心1点の反射濃度を、マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して測定し、5枚の平均濃度から初期現像性の評価を行った。C以上を良好と判断した。
・評価基準
A:1.30以上
B:1.20以上1.30未満
C:1.10以上1.20未満
D:1.10未満
<転写性(転写ラチチュード)の評価>
前記の実施例で用いた評価機の感光体と転写ローラー間の電圧差(以下転写バイアスともいう)を調整できるように改造した。
初期のトナーカートリッジを常温常湿環境下(23℃,60%RH)で24時間放置した。転写紙としては90g/m2の紙を使用した。感光体と転写ローラーの間に電圧をかけた(以下転写バイアスともいう)。転写ローラーが感光体に対し、転写バイアスが+100Vから+1000Vになるように100Vごとに電圧をかけて、転写バイアスに対する転写効率を測定した。転写性はベタ黒(トナー載り量0.40mg/cm2)の感光体上の転写残トナーの単位面積当たりの重さをDrrM(mg/cm2)とし、転写材に転写したトナーの単位面積当たりの重さをTrM(mg/cm2)とする。DrrMとTrMの合計はベタ黒の感光体上のトナー量を示す。転写効率Tr(%)は、以下のようにして求めた。
Tr=DrrM/(DrrM+TrM)×100
転写効率Tr95%以上が得られる電圧の範囲を転写ラチチュードとした。そのときの転写電圧の値の幅TrVを以下のように評価し、C以上を良好と判断した。
・評価基準
A:700V以上
B:600V以上700V未満
C:500V以上600V未満
D:500V未満
<高温高湿環境下での帯電維持性>
前記トナーとシリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(個数平均粒径35μm)とで、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、回転時間5minで混合し、二成分系現像剤を得た。
上記二成分系現像剤10.0gを50ccのポリ瓶に入れ、32.5℃、80%RHの環境下24時間放置し、前記環境下にてヤヨイ振蘯器200rpm5minで振蘯させ後、トナー帯電量をホソカワミクロン社製E−SpartAnalyserにて初期の平均帯電量(μC/g)測定した。
上記の評価を行ったポリ瓶中の二成分現像剤を、前記環境に2週間放置した後、上記同様にホソカワミクロン社製E−SpartAnalyserを用いて、放置後の平均帯電量(μC/g)を測定した。
初期の平均帯電量と放置後の平均帯電量との関係から、平均帯電量の維持率を計算し、下記評価基準に従って評価した。C以上を良好と判断した。
・評価基準
A:維持率90%以上
B:維持率80%以上90%未満
C:維持率70%以上80%未満
D:維持率70%未満
<画像ムラの評価>
常温常湿環境下(23℃,60%RH)において、全ベタ画像をサンプル画像として100枚連続で出力したうちの最後の5枚を得た。得られた全ベタ画像濃度全体から均等に9点を選択し、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、反射濃度を測定した。9点の最大と最小の値からその差を算出し、この差の5枚平均から定着時の画像ムラの評価を行った。C以上を良好と判断した。
・評価基準
A:0.02未満
B:0.02以上0.04未満
C:0.04以上0.06未満
D:0.06以上
<離型性の評価>
上記低温定着性の評価試験において、下記評価基準に従って離型性を評価した。
高温オフセット(H.O.)とは、高温定着時に一部のトナーが定着ローラーに融着する現象であり、離型性が低いトナーほど、低い定着温度で発生しやすい。下記評価基準において、C以上を良好と判断した。
・評価基準
高温オフセットが発生しない最高温度が、
A:最低定着温度プラス50℃以上である
B:最低定着温度プラス40℃以上50℃未満である
C:最低定着温度プラス30℃以上40℃未満である
D:最低定着温度プラス30℃未満である

Claims (12)

  1. 結着樹脂及び荷電制御剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該結着樹脂が、
    第一の重合性単量体に由来する第一のモノマーユニット、及び
    該第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体に由来する第二のモノマーユニット
    を有する重合体Aを含有し、
    該第一の重合性単量体が、炭素数18以上36以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つであり、
    該重合体A中の該第一のモノマーユニットの含有割合が、該重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、5.0モル%以上60.0モル%以下であり、
    該重合体A中の該第二のモノマーユニットの含有割合が、該重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、20.0モル%以上95.0モル%以下であり、
    該第一のモノマーユニットのSP値をSP11(J/cm30.5とし、該第二のモノマーユニットのSP値をSP21(J/cm30.5としたとき、下記式(1)
    3.00≦(SP21−SP11)≦25.00 ・・・(1)
    を満足し、
    該第一の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa1、該第二の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa2としたとき、下記式(2)及び(3)を満たすことを特徴とするトナー。
    6.5≦Ra1≦13.0・・・(2)
    Ra2≦11.0・・・(3)
  2. 結着樹脂及び荷電制御剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該結着樹脂が、
    第一の重合性単量体、及び
    第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体
    を含有する組成物の重合体である重合体Aを含有し、
    該第一の重合性単量体が、炭素数18以上36以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つであり、
    該組成物中の該第一の重合性単量体の含有割合が、該組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として、5.0モル%以上60.0モル%以下であり、
    該組成物中の該第二の重合性単量体の含有割合が、該組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として、20.0モル%以上95.0モル%以下であり、
    該第一の重合性単量体のSP値をSP12(J/cm30.5とし、該第二の重合性単量体のSP値をSP22(J/cm30.5としたとき、下記式(4)
    0.60≦(SP22−SP12)≦15.00 ・・・(4)
    を満足し、
    該第一の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa1、該第二の重合性単量体と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa2としたとき、下記式(2)及び(3)を満たすことを特徴とするトナー。
    6.5≦Ra1≦13.0・・・(2)
    Ra2≦11.0・・・(3)
  3. 前記重合体A中の前記第二のモノマーユニットの含有割合が、前記重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、40.0モル%以上95.0モル%以下である請求項1に記載のトナー。
  4. 前記組成物中の前記第二の重合性単量体の含有割合が、前記組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として、40.0モル%以上95.0モル%以下である請求項2に記載のトナー。
  5. 前記結着樹脂中の前記重合体Aの含有量が、50.0質量%以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記第二の重合性単量体が、下記式(A)及び(B)からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
    Figure 2021015206
    (該式(A)及び式(B)中、Xは単結合又は炭素数1以上6以下のアルキレン基を示し、
    1は、ニトリル基(−C≡N)、
    アミド基(−C(=O)NHR10(R10は水素原子、若しくは炭素数1以上4以下のアルキル基))、
    ヒドロキシ基、
    −COOR11(R11は炭素数1以上6以下のアルキル基若しくは炭素数1以上6以下のヒドロキシアルキル基)、
    ウレア基(−NH−C(=O)−NH(R132(R13はそれぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1以上6以下のアルキル基))、
    −COO(CH22NHCOOR14(R14は炭素数1以上4以下のアルキル基)、又は
    −COO(CH22−NH−C(=O)−NH(R152(R15はそれぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1以上6以下のアルキル基)
    を示し、
    2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を示し、
    3は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を示す。)
  7. 前記重合体Aが、前記第一の重合性単量体、及び第二の重合性単量体とは異なる第三の重合性単量体に由来する第三のモノマーユニットをさらに含有し、前記第三のモノマーユニットがスチレン、メタクリル酸メチル、及びアクリル酸メチルからなる群から選ばれる少なくとも一つの重合性単量体に由来するモノマーユニットである請求項1〜6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記荷電制御剤を構成する配位子の極性項δPが7以上となる請求項1〜7のいずれか一項に記載のトナー。
  9. 前記荷電制御剤が下記式(C)で表わされる化合物である請求項1〜8のいずれか一項に記載のトナー。
    Figure 2021015206
    (該式中、A1、A2及びA3は、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。B1は水素原子またはアルキル基を示す。Mは、Fe原子、Cr原子、又はAl原子を示し、X+は、水素イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン又はこれらの混合イオンを示す。)
  10. 前記重合体Aが、ビニル重合体である請求項1〜9のいずれか一項に記載のトナー。
  11. 該トナーの120℃における貯蔵弾性率Gt’(120)と、150℃における貯蔵弾性率Gt’(150)が下記式(5)を満たし、且つGt’(120)が、5.0×103Pa以上となる請求項1〜10のいずれか一項に記載のトナー。
    0.8≦Gt’(150)/Gt’(120)≦1.0 ・・・(5)
  12. 該トナーに含有される離型剤と該荷電制御剤を構成する配位子とのHSPの差をRa3としたとき、下記式(6)を満たし、且つ該離型剤の分子量が900以上となる請求項1〜11のいずれか一項に記載のトナー。
    10.5≦Ra3≦13 ・・・(6)
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