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JP2021014569A - 組成物 - Google Patents

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JP2021014569A
JP2021014569A JP2020101620A JP2020101620A JP2021014569A JP 2021014569 A JP2021014569 A JP 2021014569A JP 2020101620 A JP2020101620 A JP 2020101620A JP 2020101620 A JP2020101620 A JP 2020101620A JP 2021014569 A JP2021014569 A JP 2021014569A
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由樹 末光
Yuki Suemitsu
由樹 末光
吉井 公彦
Kimihiko Yoshii
公彦 吉井
一喜 平田
Kazuki Hirata
一喜 平田
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Emulsion Technology Co Ltd
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Abstract

【課題】常温成膜性に優れると共に、耐候性、耐水性、耐酸性、耐塩水性、耐ブロッキング性、初期光沢等の特性に優れる塗膜を形成することができる組成物の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、第1重合体及び第2重合体を含む粒子と、液状媒体とを含有し、上記第1重合体が、含フッ素エチレン系単量体に由来する第1繰り返し単位を有し、上記第2重合体が、置換又は非置換の炭素数6〜20の1価の炭化水素基を含む第2繰り返し単位を有し、上記第2繰り返し単位中の上記炭化水素基の一部又は全部が環員数6〜20の環構造を有し、上記第2重合体における上記第2繰り返し単位の含有割合が75質量%以上であり、上記第2重合体における上記炭化水素基が上記環構造を有する第2繰り返し単位の含有割合が32質量%以上であり、上記粒子における上記第1重合体の含有割合が、0.1質量%以上80質量%以下である組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、組成物に関する。
含フッ素系重合体は、耐熱性、耐候性、電気絶縁性等に優れ、ガラス、金属、樹脂、木材、スレート等の各種基材に対して防汚性や耐薬品性を付与するコーティング剤の成分として用いられている。しかし、含フッ素系重合体は、基材への密着性等が劣るため、十分な塗膜の強度や安定性が得られないという不都合がある。例えば特許文献1や特許文献2に開示されている含フッ素系重合体においても、ガラス、硬質アルミ等の各種基材上に塗布した場合には、十分な強度や安定性を有する塗膜が得られるとは言い難い。
塗膜の強度や安定性を向上させるために、特許文献3や特許文献4には、含フッ素系重合体に有機ケイ素系オリゴマーを配合する技術が開示されている。また、特許文献5は、含フッ素系重合体及び(メタ)アクリル系重合体の複合重合体粒子の水性分散体と、有機ケイ素化合物及び(メタ)アクリル系重合体の複合重合体粒子の水性分散体との配合技術を開示している。特許文献6には、含フッ素系重合体と、この含フッ素系重合体と相溶性の(メタ)アクリル酸エステル単位等を含む架橋性アクリル系重合体とからなるアクリル−フッ素複合重合体粒子が開示されている。しかし、いずれの技術を用いた場合でも、組成物の常温成膜性、並びに得られる塗膜の耐候性、耐水性、耐酸性、耐塩水性、耐ブロッキング性、初期光沢等の特性を十分に満たすことはできていない。
特開平10−120858号公報 特開2009−227754号公報 特開平08−120211号公報 国際公開第98/23680号 特開2003−286440号公報 特開2012−92316号公報
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、常温成膜性に優れると共に、耐候性、耐水性、耐酸性、耐塩水性、耐ブロッキング性、初期光沢等の特性に優れる塗膜を形成することができる組成物を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、第1重合体(以下、「重合体(Pa)」ともいう)及び第2重合体(以下、「重合体(Pb)」ともいう)を含む粒子(以下、「[A]粒子」ともいう)と、液状媒体(以下、「[B]液状媒体」ともいう)とを含有し、上記重合体(Pa)が、含フッ素エチレン系単量体に由来する第1繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(I)」ともいう)を有し、上記重合体(Pb)が、置換又は非置換の炭素数6〜20の1価の炭化水素基を含む第2繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(II)」ともいう)を有し、上記繰り返し単位(II)中の上記炭化水素基の一部又は全部が環員数6〜20の環構造を有し、上記重合体(Pb)における上記繰り返し単位(II)の含有割合が75質量%以上であり、上記重合体(Pb)における上記炭化水素基が上記環構造を有する繰り返し単位(II)の含有割合が32質量%以上であり、上記[A]粒子における上記重合体(Pa)の含有割合が、0.1質量%以上80質量%以下である組成物である。
本発明の組成物は、常温成膜性に優れると共に、耐候性、耐水性、耐酸性、耐塩水性、耐ブロッキング性、初期光沢等の特性に優れる塗膜を形成することができる。従って、当該組成物は、クリヤー組成物、塗料組成物等として好適に用いることができる。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
<組成物>
当該組成物は、[A]粒子と、[B]液状媒体とを含有する。当該組成物は、好適成分として、[C]架橋剤を含有していてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有していてもよい。以下、各成分について、詳細に説明する。
<[A]粒子>
[A]粒子は、重合体(Pa)及び重合体(Pb)を含む粒子である。[A]粒子は、重合体(Pa)及び重合体(Pb)以外のその他の重合体を含有していてもよいが、重合体(Pa)及び重合体(Pb)のみからなることが好ましい。[A]粒子は、通常[B]液状媒体中に分散したラテックス状の粒子である。[A]粒子は、重合体以外の成分を含有していてもよい。
[重合体(Pa)]
重合体(Pa)は、繰り返し単位(I)を有する重合体である。重合体(Pa)は、後述する重合体(Pb)とは異なる重合体である。重合体(Pa)は、繰り返し単位(I)以外に、含フッ素エチレン系単量体以外のその他の単量体に由来する繰り返し単位を有していてもよい。
(繰り返し単位(I))
繰り返し単位(I)は、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位である。
含フッ素エチレン系単量体は、エチレン性炭素−炭素二重結合とフッ素原子とを有する化合物である。含フッ素エチレン系単量体としては、例えばフッ化オレフィン、フッ化塩化オレフィン、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート、パーフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。フッ化オレフィンとしては、例えばフッ化ビニリデン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン等が、フッ化塩化オレフィンとしては、例えば三フッ化塩化エチレン等が、フッ素原子を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば以下に示す式(a)で表される化合物、(メタ)アクリル酸3−[4〔1−トリフルオロメチル−2,2−ビス〔ビス(トリフルオロメチル)フルオロメチル〕エチニルオキシ〕ベンゾオキシ]−2−ヒドロキシプロピル等が、パーフルオロアルキルビニルエーテルとしては、例えばトリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル、へプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル等が挙げられる。
Figure 2021014569
上記式(a)中、Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、炭素数1〜18の1価のフッ化炭化水素基である。
式(a)におけるRとしては、例えば炭素数1〜12のフッ化アルキル基、炭素数6〜16のフッ化アリール基、炭素数7〜18のフッ化アラルキル基等が挙げられる。これらの中で、炭素数1〜12のフッ化アルキル基が好ましい。Rの好ましい具体例としては、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基、β−(パーフルオロオクチル)エチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル基、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル基、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロ−1−ノニル基、1H,1H,11H−イコサフルオロウンデシル基及びパーフルオロオクチル基が挙げられる。
含フッ素エチレン系単量体としては、これらの中で、フッ化オレフィンが好ましく、フッ化ビニリデン、四フッ化エチレン及び六フッ化プロピレンからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、フッ化ビニリデン及び六フッ化プロピレンがさらに好ましく、フッ化ビニリデンが特に好ましい。含フッ素エチレン系単量体としてこれらの化合物を用いると、乳化重合時に系の安定性がより向上し、[A]粒子をより効果的に形成することができる。含フッ素エチレン系単量体は、1種単独で使用してもよく、複数種を併用してもよい。
繰り返し単位(I)の含有割合としては、重合体(Pa)を構成する全繰り返し単位に対して、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
(その他の単量体に由来する繰り返し単位)
その他の単量体としては、国際公開第2014/112252号に記載の単量体等を使用することができ、例えば不飽和カルボン酸、α,β−不飽和ニトリル、カルボニル基含有化合物、共役ジエン、芳香族ビニル化合物、ビニルエーテル、アリルエーテル、重合性基含有アルコキシシラン、不飽和カルボン酸エステル等が挙げられる。その他の単量体は、1種単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
不飽和カルボン酸としては、エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のモノ又はジカルボン酸等が挙げられる。これらの中で、アクリル酸、メタクリル酸又はイタコン酸が好ましい。
α,β−不飽和ニトリルとしては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。
カルボニル基含有化合物としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、アクロレイン等が挙げられる。
共役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ジビニルベンゼン、p−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
ビニルエーテルとしては、例えばエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル等が挙げられる。
アリルエーテルとしては、例えばメチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシプロピルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル等が挙げられる。
重合性基含有アルコキシシランとしては、以下に示す式(b)で表される化合物等が挙げられる。
Si(OR4−n ・・・・・(b)
(上記式(b)中、Rは、炭素数1〜8の1価の有機基である。但し、Rのうちの少なくとも1つは重合性基を有する。Rは、炭素数1〜8の1価の有機基である。nは、0〜3の整数である。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。)
上記式(b)で表される化合物は、重合体において、以下に示す式(c)で表される繰り返し単位を形成する。
SiO(4−m)/2 ・・・・・(c)
(上記式(c)中、Rは、炭素数1〜8の1価の有機基である。但し、Rのうちの少なくとも1つは重合性基を有する基に由来する基である。mは、0〜3の数である。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。)
式(b)及び(c)において、R及びRにおける重合性基としては、例えばビニル基、1−プロペニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。これらの中で、(メタ)アクリロイル基が好ましい。Rで表される重合性基を有する1価の有機基としては、例えばγ−(メタ)アクリルオキシプロピル基等が挙げられる。R及びRの1価の有機基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましい。Rで表される1価の有機基としては、例えば炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アシル基等が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。アシル基としては、炭素数1〜6のアシル基が好ましく、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基等が挙げられる。
不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば不飽和カルボン酸のアルキルエステル、不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。「アルキルエステル」は、直鎖状、分岐状及び環状のアルキル基を含むエステルを意味する。
重合体(Pa)がその他の単量体に由来する繰り返し単位を有する場合、この繰り返し単位の含有割合としては、重合体(Pa)を構成する全繰り返し単位に対して、例えば0.1質量%以上99.9質量%以下であり、10質量%以下が好ましい。
[A]粒子における重合体(Pa)の含有割合の下限としては、0.1質量%であり、1質量%が好ましく、3質量%がより好ましく、5質量%がさらに好ましく、10質量%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、80質量%であり、75質量%が好ましく、70質量%がより好ましい。[A]粒子における重合体(Pa)の含有割合を上記範囲とすることで、当該組成物の貯蔵安定性を向上させることができる。
[重合体(Pb)]
重合体(Pb)は、繰り返し単位(II)を有する重合体である。重合体(Pb)は、繰り返し単位(II)以外のその他の繰り返し単位(但し、重合体(Pa)の繰り返し単位(I)に該当するものを除く)を有していてもよい。
(繰り返し単位(II))
繰り返し単位(II)は、置換又は非置換の炭素数6〜20の1価の炭化水素基を含む繰り返し単位である。繰り返し単位(II)は、1種単独で使用してもよく、複数種を併用してもよい。
「炭化水素基」には、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が含まれる。この「炭化水素基」は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよい。「鎖状炭化水素基」とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基をいい、直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基の両方を含む。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基をいい、単環の脂環式炭化水素基及び多環の脂環式炭化水素基の両方を含む。但し、脂環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基をいう。但し、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環構造を含んでいてもよい。
炭素数6〜20の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数6〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数6〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数6〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基等のアルキル基;
ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基等のアルケニル基;
ヘキシニル基、オクチニル基、デシニル基、ドデシニル等のアルキニル基などが挙げられる。
炭素数6〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の単環の脂環式飽和炭化水素基;
シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基等の単環の脂環式不飽和炭化水素基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基、テトラシクロドデセニル基等の多環の脂環式不飽和炭化水素基などが挙げられる。
炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
炭化水素基の炭素数としては、6〜16が好ましく、6〜12がより好ましく、6〜10がさらに好ましく、6〜8が特に好ましい。
炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基;
メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;
ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基等のアシル基;
ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアシロキシ基などが挙げられる。
炭化水素基の置換基の炭素数の上限としては、10が好ましく、5がより好ましく、3がさらに好ましく、2が特に好ましい。
繰り返し単位(II)を与える単量体(以下、「単量体(M)」ともいう)としては、例えば
(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−へプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキセニル等の炭素数6〜20の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸シクロプロピルプロピル、(メタ)アクリル酸シクロブチルエチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチルメチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロへプチル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル、(メタ)アクリル酸シクロデシル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキセニル等の炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トリル、(メタ)アクリル酸キシリル、(メタ)アクリル酸メシチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントリル、(メタ)アクリル酸ピレニル等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどの炭素数6〜20の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロオクタン等の炭素数6〜20の炭化水素基を有するビニル化合物;
スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、o−、m−又はp−エチルスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−フルオロスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、ビニルピレン等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を有する置換又は非置換のビニル芳香族化合物などが挙げられる。
繰り返し単位(II)の含有割合の下限としては、重合体(Pb)を構成する全繰り返し単位に対して、75質量%であり、76質量%が好ましく、77質量%がより好ましく、78質量%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、100質量%が好ましく、99質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましく、90質量%が特に好ましい。
重合体(Pa)及び重合体(Pb)における各繰り返し単位の含有割合(質量%)の値は、通常、上記重合体の合成に用いた各繰り返し単位を与える単量体の使用割合(質量%)の値と同等になる。
繰り返し単位(II)中の炭化水素基の一部又は全部は、環員数6〜20の環構造を有している(環員数6〜20の環構造を有する炭化水素基を含む繰り返し単位(II)を、「繰り返し単位(II−1)」ともいう)。「環員数」とは、脂環構造、芳香環構造、脂肪族複素環構造及び芳香族複素環構造の環を構成する原子の数をいい、縮合環、橋架け環のような多環の場合は、この多環を構成する原子の数の総和をいう。例えばナフタレン構造の環員数は10であり、アダマンタン構造の環員数は10である。
環員数6〜20の環構造としては、例えば環員数6〜20の脂環構造、環員数6〜20の芳香環構造等が挙げられる。
環員数6〜20の脂環構造としては、例えば
シクロヘキサン構造、シクロへプタン構造、シクロオクタン構造、シクロデカン構造、シクロドデカン構造等の単環の飽和脂環構造;
シクロヘキセン構造、シクロへプテン構造、シクロオクテン構造、シクロデセン構造、シクロドデセン構造等の単環の不飽和脂環構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環の飽和脂環構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造、テトラシクロドデセン構造等の多環の不飽和脂環構造などが挙げられる。
脂環構造の環員数としては、6〜17が好ましく、6〜12がより好ましく、6〜10がさらに好ましく、6〜8が特に好ましい。
環員数6〜20の芳香環構造としては、例えばベンゼン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、フェナントレン構造、テトラセン構造、ピレン構造等が挙げられる。
芳香環構造の環員数としては、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましく、6が特に好ましい。
環員数6〜20の環構造を有する炭化水素基としては、例えば
シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の単環の脂環式飽和炭化水素基;
シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基等の単環の脂環式不飽和炭化水素基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環の脂環式不飽和炭化水素基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、テトラセニル基、ピレニル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
繰り返し単位(II−1)を与える単量体としては、例えば
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロへプチル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル、(メタ)アクリル酸シクロデシル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデシル等の環員数6〜20の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トリル、(メタ)アクリル酸キシリル、(メタ)アクリル酸メシチル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントリル、(メタ)アクリル酸ピレニル等の環員数6〜20の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどの環員数6〜20の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロオクタン等の環員数6〜20の脂環式炭化水素基を有するビニル化合物;
スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、o−、m−又はp−エチルスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−フルオロスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、ビニルピレン等の環員数6〜20の芳香族炭化水素基を有する置換又は非置換のビニル芳香族化合物などが挙げられる。
繰り返し単位(II−1)の含有割合の下限としては、重合体(Pb)を構成する全繰り返し単位に対して、32質量%であり、33質量%が好ましく、34質量%がより好ましく、35質量%がさらに好ましく、36質量%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、100質量%が好ましく、99質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましく、90質量%が特に好ましい。
(その他の繰り返し単位)
その他の繰り返し単位は、繰り返し単位(II)以外のその他の繰り返し単位(但し、重合体(Pa)の繰り返し単位(I)に該当するものを除く)である。その他の繰り返し単位を与える単量体としては、例えば不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、カルボニル基含有エステル、アルコキシシラン、α,β−不飽和ニトリル、共役ジエン、架橋性単量体等が挙げられる。その他の繰り返し単位は、1種単独で使用してもよく、複数種を併用してもよい。
不飽和カルボン酸としては、エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のモノ又はジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば不飽和カルボン酸のアルキルエステル、不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、不飽和カルボン酸のアルキレングリコールエステル、不飽和カルボン酸の窒素原子含有エステル、重合性基含有アルコキシシラン等が挙げられる。なお、本明細書において「アルキルエステル」とは、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を含むエステルを意味する。
不飽和カルボン酸のアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルなどが挙げられる。
不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなどが挙げられる。
不飽和カルボン酸のアルキレングリコールエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール等の(メタ)アクリル酸のポリアルキレングリコールエステルなどが挙げられる。
不飽和カルボン酸の窒素原子を含有するエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、3−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)4−ヒドロキシフェネチル=メタクリラート(製品名:RUVA−93(大塚化学(株)))などが挙げられる。
重合性基含有アルコキシシランとしては、例えばγ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
カルボニル基含有化合物としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、アクロレイン等が挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
α,β−不飽和ニトリルとしては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。
共役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
「架橋性単量体」とは、エチレン性不飽和基を少なくとも2個有する化合物をいう。架橋性単量体としては、例えばメタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン及びこれらのアクリレート類等が挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸アリル、トリアリルイソシアヌレート又はエチレングリコールジメタクリレートが好ましく、メタクリル酸アリルがより好ましい。
重合体(Pb)がその他の繰り返し単位を有する場合、その他の繰り返し単位の含有割合の下限としては、0.1質量%が好ましく、1質量%がより好ましく、2質量%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、30質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。
[A]粒子における重合体(Pb)の含有割合の下限としては、20質量%が好ましく、45質量%がより好ましく、50質量%がさらに好ましく、55質量%が特に好ましく、60質量%がさらに特に好ましく、65質量%が最も好ましい。上記含有割合の上限としては、99.9質量%が好ましく、99質量%がより好ましく、97質量%がさらに好ましく、95質量%が特に好ましく、90質量%がさらに特に好ましい。
[A]粒子の含有割合の下限としては、当該組成物の全固形分に対して、30質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、例えば100質量%であり、99質量%が好ましい。当該組成物の「全固形分」とは、当該組成物の[B]液状媒体以外の成分の総和をいう。
<[A]粒子の合成方法>
[A]粒子は、例えば所定の単量体を、公知の方法に従って乳化重合し、重合体(Pa)及び(Pb)を形成すること等により製造することができる。[A]粒子は、重合体(Pa)及び(Pb)の繰り返し単位が、上述のような構成を有するものである限り、その合成方法は特に限定されないが、例えば公知の乳化重合工程又はこれを適宜に組み合わせることによって、容易に合成することができ、例えば国際公開第2014/112252号に記載の方法等により合成することができる。
[A]粒子は、例えば繰り返し単位(I)を有する重合体(Pa)を公知の方法によって形成し、次いで、この重合体(Pa)に重合体(Pb)を形成するための単量体を加え、重合体(Pa)の粒子の編み目構造の中に上記単量体を吸収させた後、重合体(Pa)の編み目構造の中で吸収させた単量体を重合させて重合体(Pb)を形成することにより合成することができ、例えば[A]粒子を含有する水系分散体などとして得ることができる。
[[A]粒子の物性]
(吸熱ピーク温度)
[A]粒子は、JIS K7121に準拠する示差走査熱量測定(DSC)によって測定したときに、−50℃以上+80℃以下の温度範囲における吸熱ピークが少なくとも1つ存在することが好ましい。[A]粒子が有するこの吸熱ピークの1つの温度が、−30℃以上+70℃以下の範囲にあることがより好ましく、−20℃以上+60℃以下の範囲にあることがさらに好ましい。[A]粒子が有する1つの吸熱ピークの温度が上記範囲にある場合には、[A]粒子は例えば塗膜に対してより良好な柔軟性と粘着性とを付与することができる。
また、[A]粒子は、JIS K7121に準拠する示差走査熱量測定(DSC)によって測定したときに、上述の吸熱ピーク以外に、さらに80℃超150℃以下の温度範囲における吸熱ピークが1つ以上観測されることが好ましい。
建材等の基材に塗料を塗布して乾燥する場合、通常室温以上80℃程度以下の環境下で乾燥させる。この場合、乾燥の際の温度において重合体粒子の表層面が隣り合う顔料粒子や重合体粒子と融着し、密着する必要がある。上記温度範囲に少なくとも1つの吸熱ピークが存在することは、この温度において何らかの相変化を生じることを示しており、その結果、塗膜強度を向上させる融着を促進すると考えられる。
さらに、80℃超150℃以下の温度範囲における吸熱ピークがもう1つ存在することは、上述の通常の塗料の乾燥条件において、相変化せず、さらに高温でようやく相変化する相が[A]粒子中に存在することを意味する。このような乾燥の際に相変化しない相を有すると、乾燥時の塗料の過剰な流動性を抑制し、塗膜均質性を向上させる効果があるため好ましいと考えられる。
(平均粒子径)
[A]粒子の平均粒子径(Da)の下限としては、30nmが好ましく、50nmがより好ましい。上記Daの上限としては、400nmが好ましく、300nmがより好ましい。[A]粒子のDaを上記範囲とすることで、製膜した際に緻密な塗膜を形成することができるので、耐候性の劣化を効果的に抑制することができる。
[A]粒子のDaは、光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、小さい粒子から粒子を累積したときの粒子数の累積度数が50%となる粒子径(D50)の値である。このような粒度分布測定装置としては、例えば「コールターLS230」、「コールターLS100」、「コールターLS13 320」(以上、Beckman Coulter.Inc)、「FPAR−1000」(大塚電子(株))等が挙げられる。これらの粒度分布測定装置は、[A]粒子の一次粒子だけを評価対象とするものではなく、一次粒子が凝集して形成された二次粒子をも評価対象とすることができる。従って、これらの粒度分布測定装置によって測定された粒度分布は、塗料中に含まれる[A]粒子の分散状態の指標とすることができる。
<[B]液状媒体>
当該組成物は、[B]液状媒体を含有する。[B]液状媒体としては、水を含有する水系媒体が好ましい。この水系媒体には、水以外の非水系媒体を含有させることができる。当該組成物の塗布性を改善する観点から、60℃以上350℃以下の標準沸点を有する非水系媒体を含有することができる。このような非水系媒体の具体例としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド;トルエン、キシレン、n−ドデカン、テトラリン等の炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、ラウリルアルコール等のアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ホロン、アセトフェノン、イソホロン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル;o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン等のアミン;γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド、スルホラン等のスルホン化合物などが挙げられる。[B]液状媒体が水及び水以外の非水系媒体を含有する場合、[B]液状媒体における水の含有量の下限としては、90質量%が好ましく、95質量%がより好ましい。当該組成物は、[B]液状媒体として水系媒体を使用することにより、環境に対して悪影響を及ぼす程度が低くなり、取扱作業者に対する安全性も高くなる。
<[C]架橋剤>
当該組成物は、[C]架橋剤を含有することができる。当該組成物が[C]架橋剤を含有することにより、塗膜を架橋により緻密化することができ、耐水性を向上させることで、長期の屋外暴露に使用することが可能になると考えられる。[C]架橋剤としては、[B]液状媒体中に溶解していることが好ましい。
[C]架橋剤としては、ヒドラジン誘導体、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、アミノ化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、酸無水物、アジリジン化合物等が挙げられる。
ヒドラジン誘導体としては、例えば少なくとも2個のヒドラジノ基を有する化合物等が挙げられる。ヒドラジン誘導体の含有量の下限としては、[A]粒子中に含有されるカルボニル基1モルに対して0.02モルが好ましく、0.2モルがより好ましい。上記含有量の上限としては、1.1モルが好ましく、1.0モルがより好ましい。ヒドラジン誘導体の含有量を上記範囲とすることで、形成される塗膜の耐水性や耐溶剤性をより向上させることができる。
少なくとも2個のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体としては、例えばシュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の炭素数2〜12、好ましくは4〜6のジカルボン酸ジヒドラジド、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン等の炭素数2〜4の脂肪族の水溶性ジヒドラジンなどが挙げられる。これらの中で、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド及びセバシン酸ジヒドラジドが好ましい。ヒドラジン誘導体は、組成物の水が乾燥により飛散する際、重合体のカルボニル基とヒドラジン誘導体中のヒドラジノ基が反応して網目構造の被膜を形成する作用を有する。この架橋反応には、通常触媒を用いないが、必要に応じて、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸コバルト等の水溶性金属塩などを触媒として使用することができる。
カルボジイミド化合物の市販品としては、例えばユニオンカーバイド社のUCARLNK Crosslinker XL−29SE、日清紡ケミカル(株)のカルボジライトE−02、E−03A、E−04、E−05、V−02、SV−02、V−02−L2、V−04、V−10等が挙げられる。これらの中で、カルボジライトE−05、V−02及びV−10が好ましい。
イソシアネート化合物の具体例としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体やビウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、リジントリイソシアネート、ブロック化されたイソシアネート類等が挙げられる。
アミノ化合物の具体例としては、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、アミンアダクト、ポリアミド等が挙げられる。市販品としては、三井サイテック(株)のサイメル、エアプロダクツ社のアンカミン、エピリンク、ヘンケル社のバーサミン、バーサミド、富士化成工業(株)のトーマイド、フジキュアー、第一ゼネラル(株)のバーサミド、ジャパンエポキシレジン(株)のエピキュアー、三和化学工業(株)のサンマイド、味の素(株)のエポメート等が挙げられる。
エポキシ化合物の具体例としては、例えばエポキシ樹脂、エポキシ変性シランカップリング剤等が挙げられる。市販品としては、ジャパンエポキシレジン(株)のエピコート、エピレック、カードライト社のカードライト、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社のコートジル1770、A−187等が挙げられる。
オキサゾリン化合物の市販品としては、例えば(株)日本触媒のエポクロスK−1010E、K−1020E、K−1030E、K−2010E、K−2020E、K−2030E、WS−500、WS−700等が挙げられる。これらの中で、エポクロスWS−500及びWS−700が好ましい。
アジリジン化合物の具体例としては、例えば(株)日本触媒のケミタイトPZ−33、DZ−22E等が挙げられる。
当該組成物が[C]架橋剤を含有する場合、[C]架橋剤の含有量の下限としては、[A]粒子100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、1質量部がより好ましい。上記含有量の上限としては、20質量部が好ましく、10質量部がより好ましい。
[C]架橋剤を添加する方法としては、例えば[C]架橋剤を水中に溶解又は分散させたものを組成物に添加する方法、[C]架橋剤を少量の水溶性有機溶剤に溶解させたものを組成物に添加する方法、[C]架橋剤を直接組成物に添加する方法等が挙げられる。[C]架橋剤を添加するタイミングとしては予め組成物に添加していてもよく、また組成物を塗装する直前でもよい。塗装直前に添加することでポットライフが短い架橋剤でも2液型の硬化剤として使用することが出来る。
<その他の任意成分>
当該組成物は、必要に応じて、[A]〜[C]成分以外のその他の任意成分を含有することができる。その他の任意成分としては、例えば[D]顔料分散液、[E]増粘剤、[F]成膜助剤、[G]安定化剤、[H]pH調整剤、消泡剤、凍結防止剤、濡れ性改善剤、耐候性向上剤、表面作製剤、防錆剤等が挙げられる。これらのその他の任意成分としては、1種単独で使用してもよく、複数種を併用してもよい。
[D]顔料分散液は、例えば顔料又は充填剤、顔料分散剤、消泡剤、水等の液状媒体などを混合して調製される。
顔料及び充填剤としては、例えばJR−1000(テイカ(株))、CR−50、CR−97、R−630、R−820(以上、石原産業(株))、R−216(JIANGHU TITANIUM WHITE)などの酸化チタン、酸化鉄、黄酸化鉄、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化インジウム、アンチモン・スズ酸化物、アルミフレーク、鱗片状アルミ、コバルトブルー、リトポン、硫化鉛、酸化ジルコニウム、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、アゾ系、ペリノン系、ペリレン系、インジゴ/チオインジゴ系、ジオキサジン系、メチン/アゾメチン系、イソインドリノン系、ジケトピロロピロール系の各色素、カーボンブラック、ダイヤモンドブラック、グラファイト、フラーレン、グラフェン、アニリンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、ホワイトカーボン、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ケイソウ土、消石灰、石膏、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ、アクリルビーズ、タルク、クレー、雲母、粘土鉱物、鉄、銅、ニッケル、金、銀、亜鉛、フェライト、ステンレス鋼、酸化クロム、酸化コバルト、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントグリーン、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクイエロー、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントイエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛、亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、ボーン黒、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデン等が挙げられる。また、有機顔料に金属キレートを形成した系も使用することができ、銅フタロシアニン系の色素等が挙げられる。充填剤の市販品としては、例えば扶桑化学工業(株)のコロイダルシリカ「PL−3」、スルホン酸変性コロイダルシリカ「PL−3−D」、日産化学(株)のコロイダルシリカ「スノーテックスO」、(株)ADEKAのコロイダルシリカ「アデライトAT−50」、「アデライトAT−30A」等が挙げられる。
顔料分散剤の市販品としては、例えばビックケミー社の「BYK−190」「BYK−191」、サンノプコ(株)の「SNディスパーサント5027」「SNディスパーサント5029」等が挙げられる。
消泡剤としては、例えばシリコン系消泡剤、鉱油系消泡剤、ポリマー系消泡剤等が挙げられる。消泡剤の市販品としては、SNデフォーマー113、SNデフォーマー381、SNデフォーマー382、SNデフォーマー399、SNデフォーマー1311、SNデフォーマー1312(以上、サンノプコ(株))、KM−73A(信越化学(株))、BYK−024、BYK−1610、BYK−1615(以上、ビックケミー)等が挙げられる。消泡剤の添加量としては、[A]粒子100質量部に対して、固形分として0.1質量部以上20質量部以下が好ましい。
[D]顔料分散液の固形分濃度の下限としては、10質量%が好ましく、50質量%がより好ましい。上記固形分濃度の上限としては、90質量%が好ましく、80質量%がより好ましい。
[E]増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース化合物;上記セルロース化合物のアンモニウム塩又はアルカリ金属塩;ポリ(メタ)アクリル酸、変性ポリ(メタ)アクリル酸等のポリカルボン酸;上記ポリカルボン酸のアルカリ金属塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系(共)重合体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸等の不飽和カルボン酸と、ビニルエステルとの共重合体の鹸化物等の水溶性ポリマー等が挙げられる。これらの中で特に好ましい増粘剤は、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩及びポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩である。
[E]増粘剤の市販品としては、例えばCMC1120、CMC1150、CMC2200、CMC2280、CMC2450(以上、(株)ダイセル)、ASE−60(ロームアンドハースジャパン(株))、Acrysol RM−8W(ダウ・ケミカル社)、SN612、SN615、SN617、SN618、SN621N、SN623N(以上、サンノプコ(株))、アデカノールUH−420((株)ADEKA)等が挙げられる。増粘剤の添加量としては、[A]粒子100質量部に対して、固形分として0.05質量部以上20質量部以下が好ましい。
[F]成膜助剤としては、例えばテキサノール、ブチルカルビトール、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、アジピン酸ジエチル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。[F]成膜助剤の市販品としては、例えばJNC(株)の「CS−12」等が挙げられる。成膜助剤の添加量としては、[A]粒子100質量部に対して、0.5質量部以上30質量部以下が好ましい。
[G]安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤の添加量としては、[A]粒子100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましい。
[H]pH調整剤としては、例えばアンモニア水、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−メチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。pH調整剤の添加量としては、[A]粒子100質量部に対して、固形分として0.1質量部以上20質量部以下が好ましい。
凍結防止剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。凍結防止剤の添加量としては、[A]粒子100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましい。
濡れ性改善剤としては、例えばブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、SN8X9705(サンノプコ(株))、ノプコールW−2730(サンノプコ(株))、TEGO Wet270(エボニック・ジャパン(株))等が挙げられる。濡れ性改善剤の添加量としては、[A]粒子100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましい。
耐候性向上剤としては、例えばシラン化合物及びその加水分解・脱水縮合生成物、光安定化剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
シラン化合物としては、例えばメチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。シラン化合物の添加量としては、[A]粒子100質量部に対して、固形分として0.1質量部以上30質量部以下が好ましい。
光安定化剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定化剤(HALS)等が挙げられる。HALSとしては、例えばアデカノールUC−605、アデカスタブLA−52(以上、(株)ADEKA)、チヌビン−123、チヌビン−123DW(以上、BASF社)等の低分子量型HALS、アデカスタブLA−63P、アデカスタブLA−68(以上、(株)ADEKA)等の高分子量型HALS、アデカノールUC−606((株)ADEKA)等の高分子量/低分子量混合型HALSなどが挙げられる。光安定化剤の添加量としては、[A]粒子100質量部に対して、固形分として0.1質量部以上20質量部以下が好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えばアデカノールUC−3125、アデカノールUC−3140(以上、(株)ADEKA)、チヌビン384−2(BASF社)等が挙げられる。紫外線吸収剤の添加量としては、[A]粒子100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましい。
表面作製剤としては、例えばシロキサン化合物、アクリル系共重合体、メタクリル系共重合体、TEGO Glide410(エボニック・ジャパン(株))等が挙げられる。表面作製剤の添加量としては、[A]粒子100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましい。
防錆剤としては、例えば「NOPCOCHEX28」(サンノプコ(株))、「NALZIN FA179」(エレメンティス・ジャパン(株))等が挙げられる。防錆剤の添加量としては、[A]粒子100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましい。
以上のようなその他の任意成分を添加する方法としては、例えばその他の任意成分を水中に溶解又は分散させたものを組成物に添加する方法、その他の任意成分を少量の水溶性有機溶剤に溶解させたものを組成物に添加する方法、その他の任意成分を直接組成物に添加する方法、[A]粒子を構成する重合体(Pb)を合成する際に重合系に添加する方法等が挙げられる。
[組成物の調製方法]
当該組成物は、例えば[A]粒子を含有する[B]液状媒体の分散体を調製し、この分散体に、必要に応じて[C]架橋剤の[B]液状媒体の懸濁液及び/又はその他の任意成分を混合することで調製することができる。当該組成物の固形分濃度の下限としては、1質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、30質量%がさらに好ましい。上記固形分濃度の上限としては、80質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましい。当該組成物の「固形分濃度」とは、[B]液状媒体以外の全成分の濃度(質量%)をいう。
<クリヤー組成物、塗料組成物>
当該組成物は、クリヤー組成物、塗料組成物等として好適に用いることができる。「クリヤー組成物、塗料組成物」とは、保護、美装、又は独自な機能を付与するために、基材の表面に塗り付ける流動体のことをいう。「塗膜」とは、クリヤー組成物、塗料組成物等を基材の表面に塗布した後、乾燥させて形成された膜のことをいう。当該組成物から形成された塗膜は、耐候性、耐水性、耐酸性、耐塩水性、耐ブロッキング性、初期光沢等の特性に優れる。
「クリヤー組成物」は、顔料等の着色剤などを含有していない組成物であり、クリヤー塗装用の塗料又はコーティング剤として好適に用いることができる。「塗料組成物」は、着色する等して塗膜に更なる機能を付与するために、必要に応じて無機顔料、有機顔料、充填剤等の無機又は有機化合物等の着色剤などを含有させた組成物であり、エナメル塗料、着色コーティング剤等として好適に用いることができる。
<塗装体>
「塗装体」とは、基材と、クリヤー組成物、塗料組成物等としての当該組成物が塗布及び乾燥されて形成された塗膜とを備えるものをいう。かかる塗膜は、適宜の基材の表面に、上述の当該組成物を塗布し、それを乾燥させることにより形成することができる。
塗装体の基材としては、特に限定されないが、例えばセメント、タイル、スレート、金属、プラスチック、ガラス等の基材が挙げられる。これらの基材の表面に当該組成物を塗布して形成された塗膜は、高耐久保護コーティング材として使用することができる。また、上記塗膜は、建築、建材、自動車等、屋外使用を想定した耐久性及び耐汚染性が要求される遮熱塗膜や防食塗膜として好適に用いられる他、フェルトやガラス、紙等の多孔質物質への含浸加工材、パッキング材、繊維・織物や畳の保護膜としても好適に使用することができる。
当該組成物の基材への塗布方法については、特に限定されない。塗布方法としては、例えばドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、浸漬法、ハケ塗り法、スプレー塗布、ローラー塗布、バーコーター、ナイフコーター、スクリーン印刷、スピンコーター、アプリケーター、フローコーター、遠心コーター、超音波コーター、フレキソ印刷等の適宜の方法が挙げられる。
当該組成物の塗布量も特に限定されないが、液状媒体(水及び任意的に使用される非水系媒体の双方を包含する概念である)を除去した後に形成される塗膜の厚さが、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜50μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜100μm程度となることが好ましい。
当該組成物は直接基材上に塗布することもできるが、用途に応じて、基材上にエポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキド系等の下塗り(プライマー)層や中塗り層を予め形成して、この層上に塗布することができる他、ジンクリッチペイント等の防食層を設けてこの層上に塗布することもできる。
基材上に塗布した後の乾燥方法(水及び任意的に使用される非水系媒体の除去方法)についても特に限定されず、例えば自然乾燥に加え、温風、熱風、低湿風による乾燥;真空乾燥;(遠)赤外線、電子線等の照射による乾燥等によることができる。乾燥速度としては、応力集中によって塗膜に亀裂が入ったり、塗膜が基材から剥離したりしない程度の速度範囲の中で、できるだけ速く[B]液状媒体が除去できるように適宜に設定することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<[A]粒子の合成>
[合成例1](粒子(S1)の合成)
電磁式攪拌機を備えた内容積約6Lのオートクレーブの内部を十分に窒素置換した後、脱酸素した純水2.5L及び乳化剤としてのパーフルオロデカン酸アンモニウム25gを仕込み、350rpmで攪拌しながら60℃まで昇温した。次いで、単量体であるフッ化ビニリデン(VDF)88質量%、四フッ化エチレン(TFE)6質量%及び六フッ化プロピレン(HFP)6質量%からなる混合ガスを、内圧が20kg/cmに達するまで仕込んだ。重合開始剤としてのジイソプロピルパーオキシジカーボネートを20質量%含有するフロン113溶液25gを窒素ガスを使用して圧入し、重合を開始した。重合中は内圧が20kg/cmに維持されるようVDF88質量%、TFE6質量%及びHFP6質量%からなる混合ガスを逐次圧入して、圧力を20kg/cmに維持した。また、重合が進行するに従って重合速度が低下するため、3時間経過後に、先と同じ重合開始剤溶液の同量を窒素ガスを使用して圧入し、さらに3時間反応を継続した。その後、反応液を冷却すると同時に攪拌を停止し、未反応の単量体を放出した後に反応を停止することにより、重合体(Pa)の微粒子を40質量%含有する水系分散体を得た。得られた重合体につき、19F−NMRにより分析した結果、各単量体の質量組成比はVDF/TFE/HFP=36/2/5であった。
セパラブルフラスコの内部を十分に窒素置換した後、上記の工程で得られた重合体(Pa)の微粒子を含有する水系分散体107.5質量部(重合体(Pa)43質量部)、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム1質量部及び水9質量部を仕込んだ。別容器にて、この水系分散体に含まれる重合体(Pa)43質量部に対して、乳化剤((株)ADEKAの「アデカリアソープSR1025」)1.6質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)4質量部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)80.2質量部、メタクリル酸メチル(MMA)6.1質量部、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(MAPS)0.5質量部、メタクリル酸1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(PMPMA)((株)ADEKAの「LA−82」)0.5質量部、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)5質量部、アクリル酸(AA)3.7質量部及び水80質量部を混合し、十分に攪拌し単量体乳化液を作製した。その後、上記セパラブルフラスコを水浴にて昇温を開始し、このセパラブルフラスコの内温が50℃に到達した時点で、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム0.3質量部を加えた。セパラブルフラスコの内温が75℃に到達した時点で、上記作製した単量体乳化液の添加を開始し、セパラブルフラスコの内温を75℃に維持したまま単量体乳化液を2時間かけてゆっくりと添加した。その後、セパラブルフラスコの内温を85℃まで昇温し、この温度を1時間維持して重合反応を行い、重合体(Pb)を重合した。その後、セパラブルフラスコを冷却して反応を停止させ、アンモニア水を加えてpHを7.6に調整し、水を加えて固形分濃度を調整し、粒子(S1)を47質量%含有する水系分散体を得た。
<平均粒子径>
水系分散体について、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置(大塚電子(株)の「FPAR−1000」)を用いて粒度分布を測定し、その粒度分布から平均粒子径を求めたところ、粒子(S1)の粒子の平均粒子径は130nmであった。
(DSC測定)
粒子(S1)について示差走査熱量計(DSC)によって測定したところ、吸熱ピークが93℃と101℃とにそれぞれ観測された。
[合成例2〜18](粒子(S2)〜(S18)の合成)
単量体の組成を表1に示すように変更した以外は上記合成例1と同様にして粒子(S2)〜(S18)を含有する水系分散体を得、この水系分散体の固形分濃度に応じて水を減圧除去又は追加することにより、粒子(S2)〜(S18)を47質量%含有する水系分散体を得た。
[合成例19](粒子(S19)の合成)
セパラブルフラスコの内部を十分に窒素置換した後、乳化剤((株)ADEKAの「アデカリアソープSR1025」)8.0質量部、及び水120質量部を仕込んだ。別容器にて、乳化剤((株)ADEKAの「アデカリアソープSR1025」)1.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)32質量部、メタクリル酸メチル(MMA)67質量部、アクリル酸(AA)1.3質量部及び水95質量部を混合し、十分に攪拌し単量体乳化液を作製した。その後、上記セパラブルフラスコを水浴にて昇温を開始し、このセパラブルフラスコの内温が50℃に到達した時点で、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム0.3質量部を加えた。セパラブルフラスコの内温が75℃に到達した時点で、上記作製した単量体乳化液の添加を開始し、セパラブルフラスコの内温を75℃に維持したまま単量体乳化液を2時間かけてゆっくりと添加した。その後、セパラブルフラスコの内温を85℃まで昇温し、この温度を1時間維持して重合反応を行い、重合体(Pb)の前駆体となる重合体(以下、「重合体(pPb)」ともいう)を重合した。その後、セパラブルフラスコを冷却して反応を停止させ、アンモニア水を加えてpHを7.8に調整し、水を加えて固形分濃度を調整し、重合体(pPb)の粒子を30質量%含有する水系分散体を得た。
セパラブルフラスコの内部を十分に窒素置換した後、合成例1と同様にして得た重合体(Pa)の微粒子を含有する水系分散体50質量部(重合体(Pa)18質量部)、上記合成した重合体(pPb)の微粒子を含有する水系分散体53質量部(重合体(pPb)15.9質量部)、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム1質量部及び水2質量部を仕込んだ。別容器にて、この水系分散体に含まれる重合体(Pa)18質量部に対して、乳化剤((株)ADEKAの「アデカリアソープSR1025」)0.6質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)28質量部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)45質量部、メタクリル酸メチル(MMA)3質量部、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(MAPS)0.5質量部、メタクリル酸1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(PMPMA)((株)ADEKAの「LA−82」)0.2質量部、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)5質量部、アクリル酸(AA)2.8質量部及び水50質量部を混合し、十分に攪拌し単量体乳化液を作製した。その後、上記セパラブルフラスコを水浴にて昇温を開始し、このセパラブルフラスコの内温が50℃に到達した時点で、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム0.3質量部を加えた。セパラブルフラスコの内温が75℃に到達した時点で、上記作製した単量体乳化液の添加を開始し、セパラブルフラスコの内温を75℃に維持したまま単量体乳化液を2時間かけてゆっくりと添加した。その後、セパラブルフラスコの内温を85℃まで昇温し、この温度を1時間維持して重合反応を行い、重合体(Pb)を重合した。その後、セパラブルフラスコを冷却して反応を停止させ、アンモニア水を加えてpHを7.8に調整し、水を加えて固形分濃度を調整し、粒子(S19)を47質量%含有する水系分散体を得た。
それぞれの平均粒子径及び吸熱ピーク温度について、合成例1と同様に評価した。評価結果を表1に合わせて示す。
表1における各成分の略称は、それぞれ以下の化合物を意味する。
VDF:フッ化ビニリデン
TFE:四フッ化エチレン
HFP:六フッ化プロピレン
EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
LA:アクリル酸ラウリル
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
ST:スチレン
MMA:メタクリル酸メチル
EA:アクリル酸エチル
BA:アクリル酸ブチル
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
MAPS:γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
PEGMA:メタクリル酸ポリエチレングリコール(日油(株)の「PE−200」、平均オキシエチレン付加モル数:4.5)
PMPMA:メタクリル酸1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル((株)ADEKAの「LA−82」)
DAAM:ジアセトンアクリルアミド
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
Figure 2021014569
組成物の調製に用いた[A]粒子以外の各成分について以下に示す。
([C]架橋剤)
アジピン酸ジヒドラジド:大塚化学(株)の「アジピン酸ジヒドラジド」
カルボジイミド化合物:日清紡ケミカル(株)の「カルボジライトE−05」
カルボジイミド化合物:日清紡ケミカル(株)の「カルボジライトV−02」
カルボジイミド化合物:日清紡ケミカル(株)の「カルボジライトV−10」
(その他の任意成分)
(充填剤)
スルホン酸変性コロイダルシリカ:扶桑化学工業(株)の「PL−3−D」
([E]増粘剤)
ロームアンドハースジャパン(株)の「ASE−60」
ダウ・ケミカル社の「Acrysol RM−8W」
([F]成膜助剤)
JNC(株)の「CS−12」
([G]安定化剤)
亜硫酸ナトリウム:大東化学(株)の「無水亜硫酸ソーダ」
重亜硫酸ナトリウム:大東化学(株)の「無水重亜硫酸ソーダ」
チオ硫酸ナトリウム:大東化学(株)の「無水チオ硫酸ソーダ」
亜硝酸ナトリウム:日産化学(株)の「亜硝酸ソーダ」
([H]pH調整剤)
10%アンモニア水溶液
(濡れ性改善剤)
エボニック・ジャパン(株)の「TEGO wet270」
(表面作製剤)
エボニック・ジャパン(株)の「TEGO Glide 410」
(防錆剤)
エレメンティス・ジャパン(株)の「NALZIN FA179」
<クリヤー組成物の調製>
[実施例1−1]
[A]粒子としての粒子(S2)を含有する水系分散体106.4質量部(粒子(S2)50質量部を含有する)に、[C]架橋剤としてのアジピン酸ジヒドラジド0.8質量部及び水1.2質量部からなる水懸濁液を加え、300rpmで攪拌した。さらに、[F]成膜助剤としての「CS−12」5質量部を加え、再度300rpmで攪拌し、組成物(T1−1)を調製した。
[実施例1−2〜1−15、1−17及び比較例1−1〜1−2]
[A]粒子、[C]架橋剤及びその他の成分の種類及び量を下記表2に示す通りに変更した他は、上記実施例1と同様にして組成物(T1−2)〜(T1−15)、(T1−17)及び(CT1−1)〜(CT1−2)を調製した。
[実施例1−16]
[A]粒子としての粒子(S14)を含有する水系分散体53.2質量部(粒子(S14)25質量部を含有する)と粒子(S15)を含有する水系分散体53.2質量部(粒子(S15)25質量部を含有する)に、[C]架橋剤としてのアジピン酸ジヒドラジド0.4質量部及び水0.6質量部からなる水懸濁液を加え、300rpmで攪拌撹拌した。さらに、[F]成膜助剤としての「CS−12」テキサノール5質量部、並びに[G]安定化剤としての亜硫酸ナトリウム0.01質量部、重亜硫酸ナトリウム0.01質量部、チオ硫酸ナトリウム0.01質量部及び亜硝酸ナトリウム0.01質量部を加え、再度300rpmで攪拌撹拌し、組成物(T1−16)を調製した。
<評価>
上記得られたクリヤー組成物について、以下の項目を以下に示す方法により評価した。評価結果を表2に合わせて示す。
[塗膜の常温成膜性]
予め水性エポキシ下塗り材を塗布し120℃で焼成しておいた硬質アルミ基材上に、上記得られた組成物をギャップ値200μmのアプリケーターを用いて塗布し、常温(25℃)下で1週間放置することにより塗膜を形成した。形成された塗膜の外観を目視で観察した。塗膜の常温成膜性は、塗膜外観にクラックや膨れが認められない場合は「A」(良好)と、塗膜外観に(端部等に)クラックや膨れが認められる場合は「B」(やや不良)と、塗膜の半分以上が粉状となり膜として形成されていない場合は「C」(不良)と評価した。
[初期光沢]
上記得られた塗膜の60°光沢を、BYKガードナー社の「マイクロトリグロス−S」を用いて測定した。塗膜に光沢性が要求される場合、初期光沢は数値が大きいほど好ましい。初期光沢は、70以上の場合は「A」(良好)と、50以上70未満の場合は「B」(やや不良)と、50未満の場合は「C」(不良)と評価した。
[耐ブロッキング性]
上記得られた塗膜を40℃に加熱し、分銅を用いて0.5kg/mmとなるように5分間荷重した。その後分銅を取り外し、塗膜の外観を目視で観察した。分銅の跡が全くない場合は「A」(非常に良好)と、分銅の跡がごく僅かに見える場合は「B」(良好)と、分銅の跡がはっきりと認められる場合は「C」(不良)と評価した。
[耐水性]
ガラス基板上に、上記得られた組成物をギャップ値200μmのアプリケーターを用いて塗布し、常温(25℃)下で1週間放置することにより塗膜を形成した。このようにして得られた塗膜付のガラス板を50℃温水中に24時間浸漬し、取出し直後の塗膜の白化及び膨れ具合を目視にて観察し、塗膜の耐水性を評価した。
塗膜の白化に関し、塗膜の白化が認められない、又は透き通った白さであり取出し後常温で5時間経過後に塗膜の白化が消えた場合は「A」(非常に良好)と、塗膜に不透明な白化が認められるものの、取出し後常温で5時間経過後に塗膜の白化が消えた場合は「B」(良好)と、塗膜に不透明な白化が認められ、取出し後常温で5時間経過後も白化が消えない場合は「C」(不良)と評価した。
塗膜の膨れに関し、塗膜の膨れが認められない場合は「A」(非常に良好)と、塗膜の膨れがごくわずか認められる場合は「B」(良好)と、塗膜の膨れが大幅に認められる場合は「C」(不良)と評価した。
[耐候性]
初期光沢評価用と同様の方法で得られた塗膜に対してメタルウェザー(ダイプラ・ウィンテス社)により、促進耐候性試験1,000hrを行い、試験前後の塗膜の60°光沢を測定し、光沢保持率(=試験後の光沢×100/試験前の光沢)(%)を算出した。試験条件は、メタルハライドランプ光源を用いてKF−1フィルターで295〜780nmの光を照射し、照射(63℃、50%RH下で75mW/cm)4hrと暗黒(30℃、98%RH下)4hrとのサイクル条件とした。耐候性は、光沢保持率が80%以上の場合は「A」(非常に良好)と、光沢保持率が60%以上80%未満の場合は「B」(良好)と、光沢保持率が60%未満の場合は「C」(不良)と評価できる。
また、試験後の膜面におけるクラックの発生を目視観察した。クラックについては、塗膜にクラックが認められない場合は「A」(良好)と、塗膜にクラックがごくわずか認められる場合は「B」(良好)と、塗膜にクラックが多数認められる場合は「C」(不良)と評価した。
Figure 2021014569
実施例1−1〜1−18によれば、当該組成物をクリヤー組成物として用いた場合、常温成膜性に優れると共に、耐候性、耐水性、耐ブロッキング性、初期光沢等の特性に優れる塗膜を形成することができることが明らかとなった。したがって、当該組成物はクリヤー組成物として好適に用いることができることが分かった。
<塗料組成物の調製>
[顔料分散液の調製]
塗料組成物に用いる[D]顔料分散液として、顔料分散液(D−1)及び(D−2)を次の処方で調製した。
(顔料分散液(D−1))
酸化チタン(石原産業(株)の「タイペークCR−97」)200質量部
顔料分散剤(ビックケミー社の「BYK−190」)10質量部
消泡剤(サンノプコ(株)の「SN113」)0.4質量部
水62質量部
得られた顔料分散液(D−1)の固形分濃度は75質量%であった。
(顔料分散液(D−2))
酸化チタン(JIANGHU TITANIUM WHITEの「R−216」)200質量部
顔料分散剤(ビックケミー社の「BYK−190」)10質量部
消泡剤(ビックケミー社の「BYK−024」)2.0質量部
pH調整剤(ANGUS社の「AMP−90」;2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールの90%水溶液)2.0質量部
凍結防止剤(プロピレングリコール)14質量部
水77質量部
得られた顔料分散液(D−2)の固形分濃度は68質量%であった。
[実施例2−1]
[A]粒子としての粒子(S2)を含有する水系分散体106.4質量部(粒子(S2)50質量部を含有する)に、上記調製した[D]顔料分散液としての(D−1)33.5質量部、[C]架橋剤としてのアジピン酸ジヒドラジド0.8質量部を加え、1000rpmで攪拌した。攪拌しながら、[E]増粘剤としての「ASE−60」0.4質量部(固形分)、[F]成膜助剤としての「CS−12」5質量部、[H]pH調整剤としての10質量%アンモニア水0.4質量部を加えた後、しばらく攪拌し、組成物(T2−1)を得た。
[実施例2−2〜2−17及び比較例2−1〜2−2]
[A]粒子、[C]架橋剤及びその他の成分の種類及び量を下記表3に示す通りに変更した他は、上記実施例2−1と同様にして、組成物(T2−2)〜(T2−17)及び(CT2−1)〜(CT2−2)を調製した。
[実施例2−18]
[A]粒子としての粒子(S9)を含有する水系分散体106.4質量部(粒子(S9)50質量部を含有する)に、上記調製した[D]顔料分散液としての(D−2)64.5質量部を加え、ホモディスパーを用いて1000rpmで攪拌した。攪拌しながら、[E]増粘剤としての「Acrysol RM−8W」0.57質量部(固形分として0.1質量部)、[F]成膜助剤としての「CS−12」5.3質量部、濡れ性改善剤として「TEGO wet270」0.2質量部、表面作製剤として「TEGO Glide 410」0.6質量部、及び防錆剤として「NALZIN FA179」0.4質量部(固形分として0.02質量部)を加えた後、しばらく攪拌し、組成物(T2−18)を得た。
[実施例2−19]
粒子(S9)に替えて粒子(S19)を用いたこと以外は実施例2−18と同様にして組成物(T2−19)を得た。
<評価>
上記得られた塗料組成物について、以下の項目を以下に示す方法により評価した。評価結果を表3に合わせて示す。
[塗膜の常温成膜性]
予め水性エポキシ下塗り材を塗布し120℃で焼成しておいた硬質アルミ基材上に、上記得られた塗料組成物をギャップ値200μmのアプリケーターを用いて塗布し、常温(25℃)下で1週間放置することにより塗膜を形成した。形成された塗膜の外観を目視で観察した。塗膜の常温成膜性は、塗膜外観にクラックや膨れが認められない場合は「A」(良好)と、塗膜外観に(端部等に)クラックや膨れが認められる場合は「B」(やや不良)と、塗膜が半分以上が粉状となり膜として形成されていない場合は「C」(不良)と評価した。
[初期光沢]
上記得られた塗膜の60°光沢を、BYKガードナー社の「マイクロトリグロス−S」を用いて測定した。塗膜に光沢性が要求される場合、初期光沢は数値が大きいほど好ましい。初期光沢は、80以上の場合は「A」(非常に良好)と、70以上80未満の場合は「B」(良好)と、50以上70未満の場合は「C」(やや不良)と、50未満の場合は「D」(不良)と評価した。
[耐候性]
初期光沢評価用と同様の方法で得られた塗膜に対してメタルウェザー(ダイプラ・ウィンテス社)により、促進耐候性試験1,000hrを行い、試験前後の塗膜の60°光沢を測定し、光沢保持率(=試験後の光沢×100/試験前の光沢)(%)を算出した。試験条件は、メタルハライドランプ光源を用いてKF−1フィルターで295〜780nmの光を照射し、照射(63℃、50%RH下で75mW/cm)4hrと暗黒(30℃、98%RH下)4hrとのサイクル条件とした。耐候性は、光沢保持率が80%以上の場合は「A」(非常に良好)と、光沢保持率が60%以上80%未満の場合は「B」(良好)と、光沢保持率が60%未満の場合は「C」(不良)と評価できる。
また、試験後の膜面におけるクラックの発生を目視観察した。クラックについては、塗膜にクラックが認められない場合は「A」(良好)と、塗膜にクラックがごくわずか認められる場合は「B」(良好)と、塗膜にクラックが多数認められる場合は「C」(不良)と評価した。
[耐酸性]
水性エポキシ下塗り材と水性エポキシ中塗り材を塗装した鋼板基材に上記得られた塗料組成物をギャップ値200μmのアプリケーターを用いて塗布し、常温(25℃)下で1週間放置することにより塗膜を形成した。その後基材端面および裏面を水性下塗りエポキシ材で塗装した基材を0.5質量%硫酸水溶液に168時間浸漬させ、取出した塗膜の耐酸性を評価した。
塗膜の膨れに関し、塗膜の膨れが認められない場合は「A」(非常に良好)と、塗膜の膨れがごくわずか認められる場合は「B」(良好)と、塗膜の膨れが大幅に認められる場合は「C」(不良)と評価した。
試験前後の塗膜の60°光沢を測定し、光沢保持率(試験後の光沢×100/試験前の光沢)(%)を算出した。光沢保持率が80%以上の場合は「A」(非常に良好)と、光沢保持率が60%以上80%未満の場合は「B」(良好)と、光沢保持率が60%未満の場合は「C」(不良)と評価した。
[耐塩水性]
水性エポキシ下塗り材と水性エポキシ中塗り材を塗装した鋼板基材に上記得られた塗料組成物をギャップ値200μmのアプリケーターを用いて塗布し、常温(25℃)下で1週間放置することにより塗膜を形成した。その後、基材端面及び裏面を水性エポキシ材で塗装した基材を5質量%塩化ナトリウム水溶液に168時間浸漬させ、取り出した塗膜の耐酸性を評価した。
塗膜の膨れに関し、塗膜の膨れが認められない場合は「A」(非常に良好)と、塗膜の膨れがごくわずか認められる場合は「B」(良好)と、塗膜の膨れが大幅に認められる場合は「C」(不良)と評価した。
Figure 2021014569
実施例2−1〜2−19によれば、当該組成物を塗料組成物として用いた場合、常温成膜性に優れると共に、耐候性、耐酸性、耐塩水性、初期光沢等の特性に優れる塗膜を形成することができることが明らかになった。これに対して、比較例2−1〜2−2の組成物は、これらの特性の一部が劣っていた。したがって、当該組成物は塗料組成物として好適に用いることができることが分かった。
本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、これらの実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、これらの実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、これらの実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。
本発明の組成物は、常温成膜性に優れると共に、耐候性、耐水性、耐酸性、耐塩水性、耐ブロッキング性、初期光沢等の特性に優れる塗膜を形成することができる。従って、当該組成物は、クリヤー組成物、塗料組成物等として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 第1重合体及び第2重合体を含む粒子と、
    液状媒体と
    を含有し、
    上記第1重合体が、含フッ素エチレン系単量体に由来する第1繰り返し単位を有し、
    上記第2重合体が、置換又は非置換の炭素数6〜20の1価の炭化水素基を含む第2繰り返し単位を有し、
    上記第2繰り返し単位中の上記炭化水素基の一部又は全部が環員数6〜20の環構造を有し、
    上記第2重合体における上記第2繰り返し単位の含有割合が75質量%以上であり、
    上記第2重合体における上記炭化水素基が上記環構造を有する第2繰り返し単位の含有割合が32質量%以上であり、
    上記粒子における上記第1重合体の含有割合が、0.1質量%以上80質量%以下である組成物。
  2. 上記含フッ素エチレン系単量体が、フッ化ビニリデン、四フッ化エチレン及び六フッ化プロピレンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の組成物。
  3. 上記環構造が、環員数6〜12の脂環構造、環員数6〜14の芳香環構造又はこれらの組み合わせである請求項1又は請求項2に記載の組成物。
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