以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第一実施形態)
本開示の第一実施形態による表示制御装置の機能は、図1及び図2に示すHCU(Human Machine Interface Control Unit)100によって実現されている。HCU100は、車両Aにおいて用いられるHMI(Human Machine Interface)システム10を、ヘッドアップディスプレイ(以下、HUD)20等と共に構成している。HMIシステム10には、操作デバイス26及びドライバステータスモニタ(以下、DSM)27等がさらに含まれている。HMIシステム10は、車両Aの乗員(例えばドライバ等)によるユーザ操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ドライバへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを備えている。
HMIシステム10は、車両Aに搭載された車載ネットワーク1の通信バス99に通信可能に接続されている。HMIシステム10は、車載ネットワーク1に設けられた複数のノードのうちの一つである。車載ネットワーク1の通信バス99には、周辺監視センサ30、ロケータ40、DCM49、運転支援ECU(Electronic Control Unit)50、ボディECU53、及びナビゲーション装置55等がノードとして接続されている。通信バス99に接続されたこれらのノードは、相互に通信可能である。これら装置及び各ECUのうちの特定ノード同士は、相互に直接的に電気接続され、通信バス99を介することなく通信を実施可能であってよい。
尚、以下の説明における前後(図2 前方Ze及び後方Go参照)及び左右(図2 側方Yo参照)の各方向は、水平面上に静止させた車両Aを基準として規定される。具体的に、前後方向は、車両Aの長手方向(進行方向)に沿って規定される。また左右方向は、車両Aの幅方向に沿って規定される。さらに、上下(図2 上方Ue及び下方Si参照)の方向は、前後方向及び左右方向を規定した水平面の鉛直方向に沿って規定される。また、記載の簡略化のため、各方向を示す符号の記載を適宜省略する場合がある。
周辺監視センサ30は、車両Aの周辺環境を監視する自律センサである。周辺監視センサ30は、自車周囲の検出範囲から、歩行者、サイクリスト、人間以外の動物、及び他車両等の移動物体、さらに路上の落下物、ガードレール、縁石、道路標識、走行区画線等の路面表示、及び道路脇にある構造物等の静止物体、を検出可能である。周辺監視センサ30は、車両Aの周囲の物体を検出した検出情報を、通信バス99を通じて、運転支援ECU50等に提供する。
周辺監視センサ30は、物体検出のための検出構成として、フロントカメラ31及びミリ波レーダ32を有している。フロントカメラ31は、車両Aの前方範囲を撮影した撮像データ、及び撮像データの解析結果の少なくとも一方を、検出情報として出力する。ミリ波レーダ32は、例えば車両Aの前後の各バンパーに互いに間隔を開けて複数配置されている。ミリ波レーダ32は、ミリ波又は準ミリ波を、車両Aの前方範囲、前側方範囲、後方範囲及び後側方範囲等へ向けて照射する。ミリ波レーダ32は、移動物体及び静止物体等で反射された反射波を受信する処理により、検出情報を生成する。尚、ライダ及びソナー等の検出構成が、周辺監視センサ30に含まれていてもよい。
ロケータ40は、複数の取得情報を組み合わせる複合測位により、車両Aの高精度な位置情報等を生成する。ロケータ40は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信器41、慣性センサ42、高精度地図データベース(以下、高精度地図DB)43、及びロケータECU44を含む構成である。
GNSS受信器41は、複数の人工衛星(測位衛星)から送信された測位信号を受信する。GNSS受信器41は、GPS、GLONASS、Galileo、IRNSS、QZSS、Beidou等の衛星測位システムのうちで、少なくとも一つの衛星測位システムの各測位衛星から、測位信号を受信可能である。
慣性センサ42は、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを有している。高精度地図DB43は、不揮発性メモリを主体に構成されており、ナビゲーション装置55にて用いられる地図データよりも高精度な地図データ(以下、高精度地図データ)を記憶している。高精度地図データは、少なくとも高さ(z)方向の情報について、詳細な情報を保持している。高精度地図データには、道路の三次元形状情報、レーン数情報、各レーンに許容された進行方向を示す情報等、高度運転支援及び自動運転に利用可能な情報が含まれている。さらに、高精度地図データには、例えば白線等の道路標示について、両端の位置を示すノード点の情報が含まれている。
ロケータECU44は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータを主体として含む構成である。ロケータECU44は、GNSS受信器41で受信する測位信号、慣性センサ42の計測結果、及び通信バス99に出力された車速情報等を組み合わせ、車両Aの自車位置及び進行方向等を逐次測位する。ロケータECU44は、測位結果に基づく車両Aの位置情報及び方角情報を、ロケータ情報として、ナビゲーション装置55、HCU100、運転支援ECU50等に提供可能である。加えてロケータECU44は、HCU100及び運転支援ECU50等からの要求に応じて、要求された高精度地図データを要求元のECUに提供可能である。
DCM(Data Communication Module)49は、車両Aに搭載される通信モジュールである。DCM49は、LTE(Long Term Evolution)及び5G等の通信規格に沿った無線通信により、車両Aの周囲の基地局との間で電波を送受信する。DCM49の搭載により、車両Aは、インターネットに接続可能なコネクテッドカーとなる。DCM49は、クラウド上に設けられたサーバから、最新の高精度地図データを受信可能である。DCM49は、ロケータECU44と連携して、高精度地図DB43に格納された高精度地図データを、最新の情報に更新する。
運転支援ECU50は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。運転支援ECU50は、ドライバの運転操作を支援する運転支援機能を備えている。運転支援ECU50は、ドライバの運転操作を支援する運転支援機能、又はドライバの運転操作を代行可能な自動運転機能を備えている。一例として、運転支援ECU50は、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおいて、レベル2〜3程度の高度運転支援又は部分的な自動走行制御を可能にする。
運転支援ECU50は、周辺監視センサ30から取得する検出情報に基づき、後述の運転制御のために、車両Aの周囲の走行環境を認識する。一例として、運転支援ECU50は、複数レーンを含む道路において、車両Aが現在走行するレーン(以下、自車レーンLns,図5参照)を、複数レーンの中から特定する。詳記すると、運転支援ECU50は、自車レーンLnsの左右の区画線又は道路端の形状を認識し、認識した境界形状を、ロケータ情報に基づき、高精度地図データに登録された区画線の形状と照合する。こうしたマッチング処理により、運転支援ECU50は、自車レーンLns及び隣接レーンLnd等の相対位置を示す情報(以下、レーン特定情報)を生成し、HCU100に提供する。尚、ここで言う左右の方向は、上述したように、水平面上に静止した車両Aの幅方向と一致する方向であり、車両Aの進行方向を基準として設定される。
運転支援ECU50は、プロセッサによるプログラムの実行により、自動運転又は運転支援を実現する複数の機能部を有する。具体的に、運転支援ECU50は、ACC(Adaptive Cruise Control)制御部、車線維持制御部51及び車線変更制御部52を有する。ACC制御部は、目標車速で車両Aを定速走行させるか、又は前走車との車間距離を維持しつつ車両Aを追従走行させるACCの機能を実現する機能部である。
車線維持制御部51は、車両Aの車線内走行を制御するLTA(Lane Tracing Assist)の機能を実現する機能部である。LTAは、LTC(Lane Trace Control)とも呼称される。車線維持制御部51は、フロントカメラ31の撮像データ等から抽出された区画線等の認識情報に基づき、車両Aの操舵輪の舵角を制御する。車線維持制御部51は、ACC制御部と連携し、自車レーンLnsに沿った走行(以下、車線内走行)を車両Aに継続させる運転制御(車線維持制御又は車線追従制御)を行う。
車線変更制御部52は、車両Aの車線変更を制御するLCA(Lane Change Assist)の機能を実現する機能部である。車線変更制御部52は、LCAの実行を指示するドライバ等のオン操作に基づき、自車レーンLnsから車線変更での移動先となる隣接レーンLnd(図5参照)へ向かう走行軌跡(図4 車線変更軌跡PLC参照)を、高精度地図データ等を参照しつつ生成する。車線変更制御部52は、車線維持制御部51による車線内走行の運転制御を一時的に中断させ、自車レーンLnsからの離脱を可能にする。こうした状態下、車線変更制御部52は、車線変更軌跡PLCに従って、車両Aの操舵輪の舵角を自動制御することにより、自車レーンLnsから隣接レーンLndへの車線変更を実行する。車線変更制御部52による車線変更が完了すると、車線維持制御部51は、車線内走行を行う運転制御を再開させる。
車線変更制御部52は、オン操作に基づいてLCA機能を起動させると、車線変更に関する車線変更情報(以下、LCA情報)を、HCU100に逐次提供する。LCA情報には、ライン形状情報及びステータス情報が少なくとも含まれている。
ライン形状情報は、上述の車線変更軌跡PLCの形状を規定する情報である。ライン形状情報に基づき、HCU100は、車線変更軌跡PLCの形状を復元できる。ライン形状情報のデータ形式は、HCU100にて走行軌跡の形状復元が可能であれば、適宜変更されてよい。一例として、ライン形状情報は、車線変更軌跡PLC上の複数の特定点の三次元座標情報と、各特定点を接続する仮想線の長さ及び曲率半径等の情報を含むデータ形式とされる。また別の一例として、ライン形状情報は、車線変更軌跡PLC上に所定の間隔で並ぶ多数のポイントの三次元座標情報を含むデータ形式とされる。
ステータス情報は、LCA機能の作動状態が、起動開始状態、待機状態及び実行状態のいずれであるかを示す情報である。起動開始状態は、オン操作を受け付けた直後の状態である。起動開始状態では、検出情報に基づき、車線変更での移動先となる隣接レーンLnd(図5参照)に、他車両Ax(図6参照)が存在するか否かの確認(以下、周辺チェック)が実施される。周辺チェックが完了するとLCA機能の作動状態は、待機状態及び実行状態のいずれかに設定される。周辺チェックの結果、自車の車線変更を妨げる他車両Axが存在している場合、LCA機能は、待機状態となる。一方で、自車の車線変更を妨げるような他車両Axが存在しない場合、LCA機能は、起動開始状態又は待機状態から、車線変更を開始する実行状態となる。
ボディECU53は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えたマイクロコントローラを主体として含む構成である。ボディECU53は、前照灯及び方向指示器(ウィンカー)等、車両Aに搭載された灯火装置の作動を制御する機能を少なくとも有している。ボディECU53は、方向指示スイッチ54と電気的に接続されている。
方向指示スイッチ54は、ステアリングコラム部8に設けられたレバー状の操作部である。ボディECU53は、方向指示スイッチ54へ入力されるユーザ操作の検知に基づき、操作方向に対応した左右いずれかの方向指示器の点滅を開始させる。方向指示スイッチ54には、手動運転の状態にて方向指示器の点滅作動を開始させる通常のユーザ操作に加えて、LTC機能が作動した状態にて、車線変更制御部52に車線変更制御の実施を指示するオン操作が入力される。一例として、方向指示スイッチ54を所定時間(例えば1〜3秒程度)半押し状態とするユーザ操作が、LCA機能のオン操作とされている。
ボディECU53は、LCA機能のオン操作の入力を検知すると、運転支援ECU50へ向けてオン操作情報を出力する。運転支援ECU50は、オン操作の入力があったこと示す情報及びオン操作の左右の入力方向を示す情報等を、オン操作情報として、ボディECU53から取得する。尚、オン操作とは逆方向への方向指示スイッチ54の操作が、LCA機能のキャンセル操作とされる。さらに、ドライバによる特定操作量を超えるステアリング操作、アクセル操作及びブレーキ操作等も、LCA機能のキャンセル操作となる。
ナビゲーション装置55は、HMIシステム10と連携し、ドライバによって設定された目的地までの経路案内を実施する車載装置である。ナビゲーション装置55は、ナビゲーション用の地図データベース(以下、ナビ地図DB)56及びナビゲーションECU57等を含んでいる。ナビ地図DB56は、不揮発性メモリを主体に構成されており、高精度地図DB43よりも広範囲の地図データ(以下、ナビ地図データ)を網羅的に記憶している。ナビ地図データには、道路についてのリンクデータ、ノードデータ、及び形状データ等が記載されている。
ナビゲーションECU57は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータを主体として含む構成である。ナビゲーションECU57は、ロケータECU44よりロケータ情報を取得する。ナビゲーションECU57は、目的地までの経路が設定されている場合、設定経路に含まれた案内エリアGAの近傍において、当該案内エリアGAにおける車両Aの進行方向を、画面表示及び音声メッセージ等を組み合わせて、ドライバに案内する。
加えてナビゲーションECU57は、目的地までの経路情報をHCU100へ向けて出力する。ナビゲーションECU57は、案内エリアGAに車両Aが接近すると、虚像Viを用いた経路案内の実施を要求する案内実施要求を、HCU100へ向けて出力する。さらに、ナビゲーションECU57は、車両Aの設定経路から逸脱を判定した場合、リルート機能により、目的地までの新たな経路を自動的に再探索する。ナビゲーションECU57は、リルート機能によって新しい経路を設定すると、更新された設定経路の案内開始を要求する案内実施要求を、HCU100へ向けて出力する。
尚、案内エリアGAは、経路案内が行われるポイントである。案内エリアGAには、交差点、分岐ポイント及び合流ポイント、並びに目的地及び経由地等が含まれる。また、案内実施要求には、案内エリアGAの位置情報、案内エリアGAにて車両Aが進むべき方向等を示す情報が含まれている。
ここで、ナビゲーション装置55に替えて、スマートフォン等のユーザ端末が、車載ネットワーク1又はHCU100に接続されていてもよい。ユーザ端末にて実行されるアプリケーションには、ドライバ等のユーザ操作に基づき、目的地までの経路が設定される。ユーザ端末は、ナビゲーション装置55と同様に、画面表示及び音声メッセージ等を組み合わせて、交差点及び分岐ポイント等にて、車両Aの進行方向を案内する。
次に、HMIシステム10に含まれる操作デバイス26、DSM27、HUD20及びHCU100の各詳細を順に説明する。
操作デバイス26は、ドライバ等によるユーザ操作を受け付ける入力部である。操作デバイス26には、例えば運転支援機能及び自動運転機能等について、起動及び停止の切り替えを行うユーザ操作が入力される。具体的には、ステアリングホイールのスポーク部に設けられたステアスイッチ、ステアリングコラム部8に設けられた操作レバー、及びドライバの発話を検出する音声入力装置等が、操作デバイス26に含まれる。
DSM27は、近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニットとを含む構成である。DSM27は、運転席のヘッドレスト部分に近赤外カメラを向けた姿勢にて、例えばステアリングコラム部8の上面又はインスツルメントパネル9の上面等に設置されている。DSM27は、近赤外光源によって近赤外光を照射されたドライバの頭部を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、アイポイントEPの位置及び視線方向等の情報を撮像画像から抽出し、抽出した状態情報をHCU100へ向けて逐次出力する。
HUD20は、メータディスプレイ等と共に、複数の車載表示デバイスの一つとして車両Aに搭載されている。HUD20は、HCU100と電気的に接続されており、HCU100によって生成された映像データを逐次取得する。HUD20は、映像データに基づき、例えば経路情報、標識情報、及び各車載機能のステータス情報等、車両Aに関連する種々の情報を、虚像Viを用いてドライバに提示する。
HUD20は、ウィンドシールドWSの下方にて、インスツルメントパネル9内の収容空間に収容されている。HUD20は、虚像Viとして結像される光を、ウィンドシールドWSの投影範囲PAへ向けて投影する。ウィンドシールドWSに投影された光は、投影範囲PAにおいて運転席側へ反射され、ドライバによって知覚される。ドライバは、投影範囲PAを通して見える前景に、虚像Viが重畳された表示を視認する。
HUD20は、プロジェクタ21及び拡大光学系22を備えている。プロジェクタ21は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル及びバックライトを有している。プロジェクタ21は、LCDパネルの表示面を拡大光学系22へ向けた姿勢にて、HUD20の筐体に固定されている。プロジェクタ21は、映像データの各フレーム画像をLCDパネルの表示面に表示し、当該表示面をバックライトによって透過照明することで、虚像Viとして結像される光を拡大光学系22へ向けて射出する。拡大光学系22は、凹面鏡等の光学素子を、少なくとも一つ含む構成である。拡大光学系22は、プロジェクタ21から射出された光を反射によって広げつつ、上方の投影範囲PAに投影する。
以上のHUD20には、画角VAが設定される。HUD20にて虚像Viを結像可能な空間中の仮想範囲を結像面ISとすると、画角VAは、ドライバのアイポイントEPと結像面ISの外縁とを結ぶ仮想線に基づき規定される視野角である。画角VAは、アイポイントEPから見て、ドライバが虚像Viを視認できる角度範囲となる。HUD20では、垂直方向における垂直画角(例えば4〜5°程度)よりも、水平方向における水平画角(例えば10〜12°程度)の方が大きくされている。アイポイントEPから見たとき、結像面ISと重なる前方範囲(例えば十数m〜100m程度の範囲)が画角VA内の範囲となる。
HUD20は、重畳コンテンツCTs(図5参照)及び非重畳コンテンツCTn(図5等参照)を、虚像Viとして表示する。重畳コンテンツCTsは、拡張現実(Augmented Reality,以下、AR)表示に用いられるAR表示物である。重畳コンテンツCTsの表示位置は、例えば路面の特定位置、前方車両、歩行者及び道路標識等、前景に存在する特定の重畳対象に関連付けられている。重畳コンテンツCTsは、前景中にある特定の重畳対象に重畳表示され、当該重畳対象に相対固定されているように、重畳対象を追って、ドライバの見た目上で移動可能である。即ち、ドライバのアイポイントEPと、前景中の重畳対象と、重畳コンテンツCTsとの相対的な位置関係は、継続的に維持される。そのため、重畳コンテンツCTsの形状は、重畳対象の相対位置及び形状に合わせて、所定の周期で更新され続ける。重畳コンテンツCTsは、非重畳コンテンツCTnよりも水平に近い姿勢で表示され、例えばドライバから見た奥行き方向(進行方向,前方Ze)に延伸した表示形状とされる。
非重畳コンテンツCTnは、前景に重畳表示される表示物のうちで、重畳コンテンツCTsを除いた非AR表示物である。非重畳コンテンツCTnは、重畳コンテンツCTsとは異なり、重畳対象を特定されないで、前景に重畳表示される。非重畳コンテンツCTnの表示位置は、特定の重畳対象に関連付けられていない。非重畳コンテンツCTnの表示位置は、投影範囲PA(上述の画角VA)内の決まった位置とされる。故に、非重畳コンテンツCTnは、ウィンドシールドWS等の車両構成に相対固定されているように表示される。加えて非重畳コンテンツCTnの形状は、実質的に一定とされる。尚、車両Aと重畳対象との位置関係に起因し、非重畳コンテンツCTnであっても、重畳コンテンツCTsの重畳対象に重畳表示されるタイミングが発生してもよい。
HCU100は、HMIシステム10において、メータディスプレイ及びHUD20等の車載表示デバイスによる表示を統合的に制御する電子制御装置である。HCU100及びHUD20等は、虚像表示システムを構成している。
HCU100は、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。処理部11は、RAM12と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部11は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。処理部11は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、NPU(Neural network Processing Unit)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。RAM12は、映像生成のためのビデオRAMを含む構成であってよい。処理部11は、RAM12へのアクセスにより、本開示の表示制御方法を実現するための種々の処理を実行する。記憶部13は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部13には、処理部11によって実行される種々のプログラム(表示制御プログラム等)が格納されている。
図1〜図3に示すHCU100は、記憶部13に記憶された表示制御プログラムを処理部11によって実行することで、HUD20によるコンテンツの重畳表示を制御するための複数の機能部を有する。具体的に、HCU100には、視点位置特定部71、経路情報取得部72、ロケータ情報取得部73、制御情報取得部74及び表示生成部76等の機能部が構築される。
視点位置特定部71は、DSM27から取得する状態情報に基づき、運転席に着座しているドライバのアイポイントEPの位置を特定する。視点位置特定部71は、アイポイントEPの位置を示す三次元の座標(以下、アイポイント座標)を生成し、生成したアイポイント座標を、表示生成部76に逐次提供する。
経路情報取得部72は、ナビゲーション装置55に目的地が設定されている場合に、目的地までの経路案内のための経路情報と、経路案内に用いられるナビ地図データとを、ナビゲーションECU57から取得する。加えて経路情報取得部72は、案内エリアGAへの接近に基づき、ナビゲーションECU57によって出力される案内実施要求を取得する。経路情報取得部72は、車両Aの設定経路からの逸脱等によって設定経路が更新されると、再探索された新しい設定経路に関する経路情報を取得する。具体的に、経路情報取得部72は、リルート後の設定経路についての案内実施要求を、ナビゲーションECU57から取得する。
ロケータ情報取得部73は、ロケータ情報をロケータECU44から取得する。加えてロケータ情報取得部73は、自車周辺の高精度地図データの提供をロケータECU44から取得する。ロケータ情報取得部73は、例えば重畳コンテンツCTsの重畳表示に必要な範囲(一例として、車両Aの周囲50m〜200m程度)の情報を、ロケータECU44から取得する。
尚、ロケータ情報取得部73による高精度地図データの取得が可能な範囲では、経路情報取得部72によるナビ地図データの取得は、実施されなくてもよい。また、自車レーンLnsの位置がロケータ40にて特定されている場合、上述のレーン特定情報に相当する情報が、ロケータ情報に含まれていてもよい。
制御情報取得部74は、通信バス99に出力されるLCA情報及びレーン特定情報を取得する。LCA情報は、上述したように、車線変更制御部52によって通信バス99に出力される車線変更に関する運転制御情報である。制御情報取得部74は、LCA機能の作動状態を示すステータス情報、及び車線変更軌跡PLCの形状を示すライン形状情報を、表示生成部76に逐次提供する。
ここで、上記のレーン特定情報は、車両Aの周囲の走行環境を認識してなる認識情報である。こうしたレーン特定情報に替えて、又はレーン特定情報と共に、制御情報取得部74は、フロントカメラ31の撮像データを用いた画像認識処理により、レーン特定情報に相当する走行環境の認識情報を取得可能であってよい。制御情報取得部74は、重畳コンテンツCTsの重畳表示に必要な範囲(上記範囲を参照)の走行環境の認識情報を、車内通信又は解析によって取得する。通信によって認識情報を取得する場合、制御情報取得部74は、運転支援ECU50が認識可能な全範囲の認識情報を取得してもよく、又は重畳表示に必要な範囲の認識情報を限定的に取得してもよい。
表示生成部76は、HUD20に逐次出力される映像データを生成することで、HUD20によるドライバへの情報提示を制御する。表示生成部76は、虚像Viとして表示される各コンテンツの元画像を、映像データを構成する個々のフレーム画像に描画する。表示生成部76は、重畳コンテンツCTs(図5等参照)の元画像をフレーム画像に描画する場合、アイポイントEP及び重畳対象の各位置に応じて、フレーム画像における元画像の描画位置及び描画形状を補正する。以上により、重畳コンテンツCTsは、アイポイントEPから見たとき、重畳対象に正しく重畳される位置及び形状で表示されるようになる。
表示生成部76は、上述の映像データの生成機能を実現するため、仮想レイアウト機能及びコンテンツ選定機能をさらに有している。仮想レイアウト機能は、表示生成部76に提供される種々の情報に基づき、重畳コンテンツCTsの表示レイアウトをシミュレーションする機能である。表示生成部76は、制御情報取得部74にて取得される情報に基づく自らの判断により、表示レイアウトのシミュレーションを開始可能である。具体的に、表示生成部76は、経路情報取得部72にて案内実施要求が取得された場合、及びロケータ情報取得部73にてLCA機能の起動を示すステータス情報が取得された場合等に、車両Aの現在の走行環境を仮想空間中に再現する。表示生成部76は、経路情報、ロケータ情報、レーン特定情報、及び高精度地図データ等を適宜用いて、走行環境を再現する。
詳しく説明すると、図2〜図4に示すように、表示生成部76は、仮想の三次元空間の基準位置に自車オブジェクトAOを設定する。表示生成部76は、高精度地図データの示す形状の道路モデルを、ロケータ情報に基づき、自車オブジェクトAOに関連付けて、三次元空間にマッピングする。表示生成部76は、経路情報に基づく形状の車線変更軌跡PLCを、道路モデル上に再現する。
加えて表示生成部76は、自車オブジェクトAOに関連付けて、仮想カメラ位置CP及び重畳範囲SAを設定する。仮想カメラ位置CPは、ドライバのアイポイントEPに対応する仮想位置である。表示生成部76は、視点位置特定部71にて取得される最新のアイポイント座標に基づき、自車オブジェクトAOに対する仮想カメラ位置CPを逐次補正する。重畳範囲SAは、虚像Viの重畳表示が可能となる範囲である。表示生成部76は、仮想カメラ位置CPと、記憶部13(図1参照)等に予め記憶された結像面ISの外縁位置(座標)情報とに基づき、仮想カメラ位置CPから前方を見たときに結像面ISの内側となる前方範囲を、重畳範囲SAとして設定する。重畳範囲SAは、HUD20の画角VAに対応している。
さらに表示生成部76は、三次元空間の道路モデルの路面上に、第一仮想オブジェクトVO1及び第二仮想オブジェクトVO2を配置する。第一仮想オブジェクトVO1は、後述する車線変更コンテンツCTc(図5参照)の形状を規定するオブジェクトである。第一仮想オブジェクトVO1は、車線変更コンテンツCTcを虚像表示させる場合に、仮想空間中に設定される。第一仮想オブジェクトVO1は、レーン特定情報等の走行環境の認識情報等に基づき、仮想空間中にレイアウトされる。一方、第二仮想オブジェクトVO2は、後述する経路案内コンテンツCTg(図5参照)の形状を規定するオブジェクトである。第二仮想オブジェクトVO2は、経路案内コンテンツCTgを虚像表示させる場合に、仮想空間中に設定される。第二仮想オブジェクトVO2は、主として経路情報及びロケータ情報に基づき、仮想空間中にレイアウトされる。
表示生成部76は、第一仮想オブジェクトVO1及び第二仮想オブジェクトVO2を共に設定する場合、第一仮想オブジェクトVO1の位置に合わせるように、認識情報を用いて、第二仮想オブジェクトVO2の位置を補正する。これにより、ドライバの見た目上では、経路案内コンテンツCTgの重畳位置は、車線変更コンテンツCTcの重畳位置に合わせて調整される。
以上の各仮想オブジェクトVO1,VO2を仮想カメラ位置CPから見た形状が、アイポイントEPから視認される各コンテンツCTc,CTgの虚像形状となる。言い替えれば、各仮想オブジェクトVO1,VO2を仮想カメラ位置CPへ向けて仮想の結像面ISに投影した形状が、各重畳コンテンツCTsの虚像形状とされる。表示生成部76は、HUD20の光学系の仕様情報に基づき、各仮想オブジェクトVO1,VO2の形状から、虚像形状、ひいては元画像の描画形状を演算する。
コンテンツ選定機能は、例えば情報提示に用いるコンテンツを選定する機能である。表示生成部76は、複数種類の重畳コンテンツCTs及び非重畳コンテンツCTnを使い分け、ドライバへの情報提示を行う。表示生成部76は、緊急度及び重要度の高い情報がドライバに優先的に提示されるように、虚像表示させるコンテンツを調停する。
コンテンツの調停が行われる具体的な走行シーンの一例は、高速道路の分岐ポイントにて、高速出口等に繋がるレーン(以下、案内先レーンLng)へ向けて本線から退出する退出シーンである(図5〜図7等参照)。こうした退出シーンにおいて、表示生成部76は、経路案内コンテンツCTg及び車線変更コンテンツCTcの表示調停を行う場合がある。経路案内コンテンツCTgは、案内先レーンLngへ移動するように経路案内を行うコンテンツである。一方、車線変更コンテンツCTcは、案内先レーンLngへの移動のため、ドライバがLCA機能を起動させた場合に、車線変更制御の制御内容を示すコンテンツである。表示生成部76は、経路案内コンテンツCTg及び車線変更コンテンツCTcの一方を表示中に他方の表示要求が生じた場合、車線変更コンテンツCTcを経路案内コンテンツCTgよりも優先して重畳表示させる。
こうした優先表示の詳細を、図5〜図11に基づき、図3を参照しつつ説明する。尚、以下の説明では、図5〜図11に示す道路の本線において、案内先レーンLngに隣接する走行レーンを第一レーンLn1とし、第一レーンLn1を挟んで案内先レーンLngの反対側に位置する走行レーンを第二レーンLn2とする。
図5に示す分岐ポイントでの退出シーンにおいて、表示生成部76は、車両Aから基準地点GPまでの残距離Drに応じた経路案内を実施する。基準地点GPは、案内エリアGAの高精度地図データに規定された特定の地点である。例えば分岐ポイントにおいては、案内先レーンLngが第一レーンLn1から分離する座標であり、案内先レーンLng及び第一レーンLn1の境界終端が、概ね基準地点GPとされる。こうした基準地点GPは、案内エリアGA内において、適宜変更されてよい。さらに、案内エリアGA中における基準地点GPの位置に応じて、残距離Drと比較される各閾値距離も適宜調整されてよい。
表示生成部76では、残距離Drが所定の距離(例えば2km)未満となる案内開始地点Pgsにて、経路案内コンテンツCTgの表示要求が発生する。車両Aが第二レーンLn2を走行している場合、表示生成部76は、表示要求に基づき、第一レーンLn1の路面に、経路案内コンテンツCTgを重畳表示させる(図5 下段参照)。
経路案内コンテンツCTgは、第一レーンLn1の路面を塗り潰すような態様で表示される。経路案内コンテンツCTgは、ドライバが車両Aを移動させるべき範囲を提示する重畳コンテンツCTsである。表示生成部76は、経路案内コンテンツCTgの形状を、画角VA内に視認される第一レーンLn1の路面形状に合わせて更新する。
経路案内コンテンツCTgの表示開始後、ドライバのオン操作が入力され、LCA機能の実行状態を示すステータス情報が制御情報取得部74にて取得されると、表示生成部76では、LCA情報に基づく車線変更コンテンツCTcの表示要求が発生する。車線変更コンテンツCTcは、車線変更での移動先となる隣接レーンLndの路面範囲を示す重畳コンテンツCTsとされる。故に、車線変更コンテンツCTcは、経路案内コンテンツCTgと同様に、第一レーンLn1の路面を塗り潰すような態様となる。
以上のケースでは、経路案内コンテンツCTgにおいて第一レーンLn1への重畳を想定された範囲に、車線変更コンテンツCTcにおいて第一レーンLn1への重畳を想定された範囲が重なる。表示生成部76は、これらコンテンツの重なる範囲について、車線変更コンテンツCTcを経路案内コンテンツCTgよりも優先して重畳表示させる。即ち、表示生成部76は、表示要求に基づき、第一レーンLn1の路面に、経路案内コンテンツCTgに替えて、車線変更コンテンツCTcを重畳表示させる。
具体的には、経路案内コンテンツCTgは、車両Aの走行に伴って画角VA外へ移動し、非表示となる。一方、車線変更コンテンツCTcは、車両Aの走行に伴って画角VA内に進入し、第一レーンLn1の路面全体に重畳表示される(図5 中段参照)。経路案内コンテンツCTgから車線変更コンテンツCTcへの遷移期間において、表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcの重畳表示のために取得する認識情報等を用いて、経路案内コンテンツCTgの重畳位置を調整する。その結果、経路案内コンテンツCTg及び車線変更コンテンツCTcは、互いに横方向にずれることなく、第一レーンLn1に沿って並んだ状態で、第一レーンLn1の路面に重畳表示される。
車線変更コンテンツCTcは、車両Aの走行に従い、第一レーンLn1(隣接レーンLnd)の路面と共に下方(後方)へ移動する。表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcの形状を、画角VA内に視認される第一レーンLn1の路面形状に合わせて更新させる。車線変更コンテンツCTcは、経路案内コンテンツCTgとは異なる表示色又は表示輝度にて表示され、経路案内コンテンツCTgよりも誘目性の高い態様とされている。
ここで、車線変更コンテンツCTcが優先表示される場合、ナビゲーション装置55及びメータディスプレイの少なくとも一方は、画面表示による経路案内を継続する。加えて表示生成部76は、経路案内コンテンツCTgのフレームアウトに合わせて、経路案内アイコンCTiを表示させる(図5 上段参照)。
経路案内アイコンCTiは、矢印状画像部及び外周画像部を含む非重畳コンテンツCTnである。矢印状画像部は、案内先レーンLng側に屈曲する形状により、分岐ポイントでの車両Aの移動方向を示す。外周画像部は、矢印形画像部の周囲を円環状に囲んでいる。経路案内アイコンCTiは、画角VA内の概ね中央からやや下寄りに表示される。自車レーンLnsが直線状であれば、経路案内アイコンCTiは、ドライバから見て、自車レーンLnsの路面に重畳される。
表示生成部76は、LCA機能による車線変更が完了すると、表示レイアウトのシミュレーション結果に基づき、案内先レーンLngの路面が画角VA内か否かを把握する。表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcの重畳表示を行う場合、案内先レーンLngが画角VA内か否かに応じて、優先表示の態様を変更する。表示生成部76は、案内先レーンLngの路面が画角VA外である場合、経路案内コンテンツCTgの全体を、一時的に非表示とする。一方で、案内先レーンLngの路面が画角VA内である場合、表示生成部76は、案内先レーンLngの路面に対する経路案内コンテンツCTgの重畳表示を継続させる。これは、LCA機能による車線変更後に、次の車線変更の実施が連続的に必要であることを、ドライバに通知するためである。
図6に示す分岐ポイントでの退出シーンは、案内開始地点Pgsにて経路案内コンテンツCTgの重畳表示が開始された後に、車線変更の待機状態が発生するシーンである。このシーンでは、車両Aの第一レーンLn1(隣接レーンLnd)への車線変更を妨げる他車両Axが、第一レーンLn1を走行している。他車両Axに起因し、LCA機能を起動するオン操作に基づいた周辺チェックの結果は、LCA機能の待機状態となる。この場合、表示生成部76は、案内開始地点Pgsにて表示させた経路案内コンテンツCTg(図6 下段参照)に替え、LCA機能の待機状態を示すステータス情報に基づき、待機コンテンツCTw及び待機アイコンCTwiを表示させる(図6 中段参照)。
待機コンテンツCTwは、LCA機能が待機状態であることをドライバに通知するコンテンツである。待機コンテンツCTwは、第一レーンLn1の路面に、経路案内コンテンツCTgに替えて重畳表示される。待機コンテンツCTwは、車線変更コンテンツCTcと同様に、経路案内コンテンツCTgに対して優先表示される。待機コンテンツCTwは、経路案内コンテンツCTg等と同様に、画角VA内に視認される第一レーンLn1の路面形状に合わせて、描画形状を更新される。待機コンテンツCTwは、車線変更コンテンツCTc及び経路案内コンテンツCTgのいずれとも異なる態様で表示される。例えば待機コンテンツCTwは、車線変更コンテンツCTcと同一の表示色にて、点滅表示される。
待機アイコンCTwiは、LCA機能が待機状態の原因である他車両Axの存在を通知する非重畳コンテンツCTnである。待機アイコンCTwiは、画角VAの四隅のうちで、他車両Axの相対位置に対応した位置に表示される。一例として、他車両Axが自車の左後側方を並走している場合、待機アイコンCTwiは、画角VAの左下に表示される。
表示生成部76は、ステータス情報の示す作動状態が待機状態から実行状態に遷移すると、待機コンテンツCTw及び待機アイコンCTwiの表示を終了させる。そして、表示生成部76は、第一レーンLn1の路面に、待機コンテンツCTwに替えて、車線変更コンテンツCTcを重畳表示させる(図6 上段参照)。このとき、表示生成部76は、経路案内アイコンCTiをさらに表示させてもよい。
図7に示す分岐ポイントでの退出シーンでは、第二レーンLn2から第一レーンLn1への車線変更が、案内開始地点Pgsの通過直後に実施される。表示生成部76は、経路案内が行われる基準地点GPまでの残距離Drに応じて、車線変更コンテンツCTcを経路案内コンテンツCTgに対し優先させる一連の優先表示の態様を変更する。
詳記すると、車線変更後の車両Aにおいて、案内先レーンLngは、車両Aからの距離が遠いため、概ね画角VA外となるか又は小さく視認される程度となる。そのため表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcの表示を終了させた後、案内先レーンLngの路面が画角VA内に十分な大きさで視認されるようになるまで、経路案内コンテンツCTgの表示を待機する(図7 中上段参照)。表示生成部76は、案内先レーンLngが十分な視認サイズとなると推定される特定距離まで残距離Drが減少したことに基づき、案内先レーンLngの路面への経路コンテンツの重畳表示を開始させる(図7 上段参照)。
ここで、表示生成部76は、残距離Drではなく、HUD20の画角VA内に表示可能な経路案内コンテンツCTgの面積の割合に応じて、優先表示の態様を変更する表示制御を行うことができる。詳記すると、表示生成部76は、表示レイアウトのシミュレーション結果に基づき、結像面IS(画角VA)の全範囲のうちで、ドライバからの見た目上にて案内先レーンLngの路面と重なる範囲が占める面積割合を演算できる。表示生成部76は、シミュレーション結果に基づく面積割合が所定の閾値(以下、視認閾値)未満である場合、経路案内コンテンツCTgの重畳表示を待機する。そして、表示生成部76は、面積割合が視認閾値以上となった場合に、経路案内コンテンツCTgの重畳表示を開始させる。視認能閾は、一例として、案内先レーンLngの路面に経路案内コンテンツCTgが重畳されていることを、ドライバが知覚可能になる面積割合(例えば、20%程度)とされる。
図8に示す走行シーンにおいて、ドライバは、経路情報の示す分岐ポイントでの経路に従わない判断をしている。ドライバは、第二レーンLn2から第三レーンLn3への車線変更を指示するオン操作を入力する。その結果、経路情報の示す移動方向と、車線変更制御での移動方向とが互いに異なってくる。以上のように、二つの移動方向が一致しない場合、表示生成部76は、二つの移動方向が一致する場合よりも、車線変更コンテンツCTcを経路案内コンテンツCTgに対してさらに優先させた優先表示を実施する。具体的に、表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcの表示要求に基づき、経路案内コンテンツCTgの表示を直ちに中止させる(破線の範囲参照)。そうしたうえで、表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcを第三レーンLn3(隣接レーンLnd)の路面に重畳表示させる。
図9〜図11に示す走行シーンでは、図6に示す退出シーンと同様に、第一レーンLn1(隣接レーンLnd)への車線変更を妨げる他車両Axが存在している。このシーンでは、LCA機能による第一レーンLn1への車線変更が他車両Axによって困難となり、車両Aは、第二レーンLn2を走行したまま基準地点GP(案内エリアGA)を通過する。
図9に示すように、第二レーンLn2の走行が継続された場合、LCA機能のオン操作によって開始された待機コンテンツCTw及び待機アイコンCTwiの表示(図9 中段参照)は、基準地点GPの通過まで継続される(図9 上段参照)。この場合、表示生成部76は、案内先レーンLngの路面が画角VA内に含まれていても、案内先レーンLngへの経路案内コンテンツCTgの重畳表示を実施しない。
図10及び図11に示すように、車両Aが基準地点GPを通過すると、ナビゲーションECU57は、車両Aが設定経路から外れたと判定し、目的地への経路を再検索するリルート処理を開始する。この場合、ナビゲーション装置55及びメータディスプレイの少なくとも一方の画面には、リルート中であること、言い替えれば、目的地への経路を再検索していることを示すメッセージ等が表示される。加えて、リルート処理により目的地への経路が再設定されると、新たな設定経路を案内する表示が、ナビゲーション装置55及びメータディスプレイの少なくとも一方によって開始される。
図10に示す走行シーンでは、基準地点GPの手前にて、他車両Axは、第一レーンLn1から離脱している。その結果、基準地点GPの近傍又は基準地点GPの通過後にて、LCA機能による第一レーンLn1への車線変更が可能になる。この場合も、表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcを経路案内コンテンツCTgよりも優先して重畳表示される。
具体的に、表示生成部76は、ナビゲーションECU57によるリルート処理の開始を、虚像表示によってドライバに通知しない。表示生成部76は、再検索された経路の案内実施要求が経路情報取得部72にて取得された場合でも、LCA機能による車線変更制御が待機中又は実行中の期間には、再検索された経路を案内する経路案内コンテンツCTgの表示を保留する。以上により、基準地点GPの通過後、ナビゲーション装置55又はメータディスプレイによるリルート表示が開始されても、表示生成部76は、待機コンテンツCTw及び待機アイコンCTwiの表示を継続させる(図10 中下段参照)。
表示生成部76は、LCA機能の作動状態が待機状態から実行状態に遷移すると、待機コンテンツCTw及び待機アイコンCTwiに替えて、車線変更コンテンツCTcを表示させる。このとき表示生成部76は、経路案内アイコンCTi(図6参照)をさらに表示させてもよい。表示生成部76は、第一レーンLn1(隣接レーンLnd)への車両Aの車線変更が完了するまで、第一レーンLn1への車線変更コンテンツCTcの重畳表示を継続させる(図10 中上段参照)。
表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcの表示終了後に、再検索された経路を案内する経路案内コンテンツCTgの表示を開始させる。車線変更後の第一レーンLn1の先にリルート後の案内先レーン(以下、再案内レーンLnr)が存在する場合、表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcの進行方向(奥側)に、経路案内コンテンツCTgを表示させる(図10 上段参照)。
図11に示す走行シーンでは、基準地点GPの通過後も、他車両Axは、第一レーンLn1の走行を継続する。その結果、LCA機能による第一レーンLn1への車線変更は、ドライバのオン操作から所定の時間が経過した段階で、タイムアウトによって中止される。又は、LCA機能による第一レーンLn1への車線変更は、ドライバのキャンセル操作によって中止される。これらの場合でも、表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcを経路案内コンテンツCTgよりも優先して重畳表示される。
具体的に、表示生成部76は、車両Aの基準地点GPの通過後、再検索された経路の案内実施要求が経路情報取得部72にて取得された場合でも、経路案内コンテンツCTgの表示を保留する。表示生成部76は、待機コンテンツCTw及び待機アイコンCTwiの表示を継続させる(図11 中下段参照)。そして、タイムアウト又はキャンセル操作によって車線変更が中止されると、表示生成部76は、LCA機能のオフ状態を示すステータス情報に基づき、待機コンテンツCTw及び待機アイコンCTwiの表示を終了させる。表示生成部76は、待機コンテンツCTw及び待機アイコンCTwiに替えて、経路案内コンテンツCTgを表示させる(図11 中上段及び上段参照)。
一例として、第一レーンLn1の先に再案内レーンLnrが存在する場合、表示生成部76は、第一レーンLn1に重畳させる重畳コンテンツCTsを、待機コンテンツCTwから経路案内コンテンツCTgに切り替える。この場合、表示生成部76は、待機コンテンツCTw及び経路案内コンテンツCTgの一方のみが画角VA内に表示されるように、重畳コンテンツCTsを入れ替える。
以上の表示調停を実現する表示制御方法の詳細を、図12〜図14に示すフローチャートに基づき、図5〜図11を参照しつつ、以下説明する。
図12及び図13に示す表示制御処理は、案内エリアGAについて案内開始要求を受信したHCU100により開始される。具体的に、S101では、経路案内コンテンツCTgを用いた経路案内表示が既に実施されているか否かを判定する。S101にて、経路案内表示が実施されていると判定した場合、S104に進む。一方で、S101にて、経路案内表示が実施されていないと判定した場合、S102にて車両Aが案内開始地点Pgsに到達するのを待機し、S103に進む。S103では、経路案内コンテンツCTgの重畳表示(図5参照)を開始させ、S104に進む。
S104では、LCA情報に基づき、LCA機能のオン操作の有無を判定する。LCA機能のオン操作が無い場合、経路案内コンテンツCTgの表示を継続した後、案内エリアGAの通過に基づき、表示制御処理を終了する。一方、S104にて、オン操作があったと判定した場合、S105に進む。
S105では、今回の処理開始に伴って取得した経路情報と、LCA情報とに基づき、経路案内の方向と、オン操作での車線変更の方向とが一致するか否かを判定する。S105にて、二つの移動方向が一致していると判定した場合、S106に進む。
S106では、LCA情報に基づき、LCA機能が実行状態にあるか否かを判定する。S106にて、LCA機能が実行状態にあり、車線変更可能であると判定した場合、S107に進む。S107では、車線変更コンテンツCTcの優先表示として、経路案内コンテンツCTgに替えて車線変更コンテンツCTcを隣接レーンLndの路面に重畳する表示を開始し(図5参照)、今回の表示制御処理を終了する。尚、S107では、経路案内アイコンCTiの表示がさらに開始されてもよい。
一方、S106にて、LCA機能が待機状態であり、車線変更を実行できないと判定した場合、S108に進む。S108では、経路案内コンテンツCTgに替えて待機コンテンツCTwを隣接レーンLndの路面に重畳する表示を開始し(図6参照)、S113に進む。S108では、待機コンテンツCTwの表示に合わせて、待機アイコンCTwiの表示も開始する。
S113では、ナビゲーションECU57にて、リルート処理による経路の再検索及び再設定が行われたか否かを判定する。S113にて、ナビゲーションECU57による経路の再設定がない(リルートなし)と判定した場合、S106に戻る。以上により、車線変更制御部52にてLCA機能の待機状態が維持される期間では、S106,S108及びS113の繰り返しにより、待機コンテンツCTw及び待機アイコンCTwiの表示が継続される。尚、リルート開始前にLCA機能が待機状態のままタイムアウトとなると、今回の表示制御処理も終了されてよい。
一方、S113にて、ナビゲーションECU57にて経路が再設定された(リルートあり)と判定した場合、S114に進む。S114では、S106と同様に、LCA情報(ステータス情報)に基づき、LCA機能による車線変更が実行可能か否かを判定する。S114にて、LCA機能の待機状態が継続していると判定した場合、S115に進む。
S115では、LCA機能による車線変更が中止されたか否かを判定する。S115にて、LCA機能の待機状態が継続していると判定した場合、S114に戻る。対して、キャンセル操作又はタイムアウトにより、車線変更が中止されたと判定した場合、S117に進む。S117では、待機コンテンツCTwからリルート後の経路を示す経路案内コンテンツCTgへの表示遷移を行い(図11参照)、今回の表示制御処理を終了する。
一方、S114にて、車線変更が実行可能であると判定した場合、S116に進む。S116では、車線変更コンテンツCTcの表示を開始させ、S117に進む。S117では、車線変更コンテンツCTcからリルート後の経路を示す経路案内コンテンツCTgへの表示遷移を行い(図10参照)、今回の表示制御処理を終了する。
また上記のS105にて、移動方向が一致していないと判定した場合、S110に進む。S110では、経路案内コンテンツCTgの表示を中断させる。さらに、車線変更コンテンツCTcの表示を開始させ(図8参照)、LCA機能のオン操作を受け付けたことを通知したうえで、S111に進む。このとき、車線変更コンテンツCTcに替えて、待機コンテンツCTw及び待機アイコンCTwiを表示させてもよい。
S111では、S106と同様に、LCA情報に基づき、車線変更が実行可能か否かを判定する。S111にて、車線変更を実行できないと判定した場合、S113に進む。S113では、S108と同様に、待機コンテンツCTw及び待機アイコンCTwiの表示を開始させる。この場合も、待機状態が維持される期間では、S111及びS113の繰り返しにより、待機コンテンツCTw及び待機アイコンCTwiの表示が継続される。
対して、S111にて、車線変更が実行可能と判定した場合、S112に進む。S112では、車線変更コンテンツCTcの表示継続により、車線変更制御の実行を通知し、今回の表示制御処理を終了する。
図14に示す表示制御処理は、車線変更制御が完了したことに基づき、表示生成部76によって開始され、経路案内コンテンツCTgの再表示のタイミングを制御する。具体的に、S121では、ロケータ情報及びレーン特定情報等に基づき、案内エリアGAの基準地点GPに対する自車の相対位置を把握し、S122に進む。
S122では、S121にて把握した自車位置に基づき、重畳開始地点に車両Aが到達したか否かを判定する。経路案内コンテンツCTgの再表示タイミングが残距離Drに基づいて制御される場合、S122では、残距離Drが特定距離まで減少した場合に、車両Aが重畳開始地点に到達したと判定する。また、経路案内コンテンツCTgの面積割合に基づいて再表示タイミングが制御される場合、S122では、面積割合が視認閾値以上となった場合に、車両Aが重畳開始地点に到達したと判定する。
S123では、経路案内コンテンツCTgを案内先レーンLngの路面に重畳表示させて(図7参照)、今回の表示制御処理を終了する。
さらに、図15に示すコンテンツ表示は、図5〜図7等と同様の退出シーンにおいて、車両Aが案内開始地点Pgsに到達するよりも僅かに早く、ドライバによるオン操作が入力された場合の表示遷移の詳細である。こうしたケースにおいても、表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcを経路案内コンテンツCTgよりも優先表示させる。
具体的に、表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcの表示中に経路案内コンテンツCTgの表示要求が発生した場合、経路案内コンテンツCTgの表示を保留する。表示生成部76は、経路案内コンテンツCTgの表示開始を待機し、車線変更コンテンツCTcの重畳表示を継続させる。表示生成部76は、車線変更の完了後に、案内先レーンLngへの経路案内コンテンツCTgの重畳表示を開始させる。
以上のシーンでの表示調停を実現する表示制御処理の詳細を、図16に示すフローチャートに基づき、図15を参照しつつ、さらに説明する。図16に示す表示制御処理は、オン操作に基づくLCA機能の起動により、この起動を示すステータス情報を受信したHCU100によって開始される。
S141では、LCA機能のステータス情報に基づき、LCA機能による車線変更が実行中か否かを判定する。S142では、車両Aが案内開始地点Pgsに到達したか否かを判定する。以上のS141及びS142により、車線変更の実行中に車両Aが案内開始地点Pgsに到達したタイミングで、S143に進む。
S143では、経路案内コンテンツCTgの重畳表示の待機により、車線変更コンテンツCTcの重畳表示を優先させる設定とし、S144に進む。S144では、S122と同様に、残距離Drと特定距離との比較、又は面積割合と視認閾値との比較に基づき、車両Aが重畳開始地点に到達したか否かを判定する。S144にて、重畳開始地点に車両Aが到達した場合、S145に進む。S145では、経路案内コンテンツCTgを案内先レーンLngの路面に重畳表示させて、今回の表示制御処理を終了する。
ここまで説明した第一実施形態によれば、経路案内コンテンツCTg及び車線変更コンテンツCTcの各重畳表示が重複しそうな場合、車線変更コンテンツCTcの重畳表示が経路案内コンテンツCTgよりも優先される。こうした車線変更コンテンツCTcの優先表示によれば、共に車両Aの移動方向を示す二つのコンテンツCTg,CTcが同等に表示されて、ドライバによる認識を難しくする事態は回避される。したがって、ドライバに認識され易いコンテンツ表示が実現される。
加えて第一実施形態では、経路情報の示す移動方向と車線変更制御での移動方向とが一致しない場合、表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcを経路案内コンテンツCTgよりも優先して重畳表示させる。以上によれば、異なる方向への誘導が同時且つ同等に表示されて、ドライバを混乱させてしまう事態は、確実に回避され得る。
また第一実施形態では、二つの移動方向が一致しない場合、経路案内コンテンツCTgは直ちに非表示とされる。このように、移動方向が一致しない場合の優先表示では、移動方向が一致する場合の優先表示よりも、経路案内コンテンツCTgがより目立たなくされる。以上により、ドライバの意思に反したコンテンツの表示がドライバに煩わしく感じられてしまう事態は、確実に回避され得る。
さらに第一実施形態によれば、経路案内コンテンツCTg及び車線変更コンテンツCTcのうちで第一レーンLn1への重畳を想定された範囲が重なる場合、この範囲については、車線変更コンテンツCTcが優先表示される。以上によれば、車線変更コンテンツCTcは、正規の形状にて路面に重畳表示されて、ドライバの意思に基づいた車両制御の内容を、ドライバに分り易く提示できる。
さらに第一実施形態によれば、残距離Dr又は画角VA内に表示可能な経路案内コンテンツCTgの割合に応じて、優先表示の態様が変更される。具体的には、車線変更の後、移動先レーンに隣接した案内先レーンLngへの経路案内を行う必要がある場合、基準地点GPまでの残距離Drが遠いとき、案内先レーンLngへの経路案内コンテンツCTgの重畳表示が開始されない。一方で、基準地点GPまでの残距離Drが近い場合、案内先レーンLngへの経路案内コンテンツCTg重畳表示が実施される。
或いは、車線変更の後、移動先レーンに隣接した案内先レーンLngへの経路案内を行う必要がある場合、画角VAの視認閾値以上に経路案内コンテンツCTgが表示できないとき、案内先レーンLngへの経路案内コンテンツCTgの重畳表示が開始されない。一方で、画角VAの視認閾値以上に経路案内コンテンツCTgが表示できるとき、案内先レーンLngへの経路案内コンテンツCTg重畳表示が実施される。
以上のように、表示生成部76は、案内先レーンLngに十分接近するまで、経路案内コンテンツCTgをあえて表示させない制御を実施する。以上によれば、車線変更コンテンツCTcに対して非優先側となる経路案内コンテンツCTgであっても、ドライバに分り易く情報提示する機能は、確保される。
加えて第一実施形態では、車線変更制御の待機中に、再検索された経路情報として、新たな設定経路の案内実施要求が経路情報取得部72にて取得された場合、再検索された経路を案内する経路案内コンテンツCTgの表示が保留される。このように、リルート発生時においても、車線変更に関連する各コンテンツCTc,CTwが優先表示されれば、コンテンツ表示の認識が困難になる事態は、回避される。
また第一実施形態では、車線変更コンテンツCTc又は待機コンテンツCTwの表示終了後に、再検索された経路を案内する経路案内コンテンツCTgの表示が開始される。以上によれば、ドライバは、コンテンツ表示に従った操作を順次行い得る。その結果、リルート発生時でも認識容易なコンテンツ表示が実現される。
さらに第一実施形態では、経路案内コンテンツCTgの重畳位置が車線変更コンテンツCTcの重畳位置に合わせて調整される。経路案内コンテンツCTg及び車線変更コンテンツCTcは、互いに情報の出所が異なるため、重畳位置のずれが生じ易い。こうしたずれを回避するため、位置精度の高い認識情報が両方の重畳コンテンツCTsの位置決めに用いられる。その結果、同一の重畳対象に関連付けて重畳された重畳コンテンツCTsが互いにずれてしまい、違和感のあるコンテンツ表示となる事態は、回避される。
加えて第一実施形態では、車線変更コンテンツCTcの重畳表示のために取得される認識情報を用いて、経路案内コンテンツCTgの重畳位置が調整される。即ち、車線変更コンテンツCTc及び経路案内コンテンツCTgは共に、車両Aの挙動制御に使用される認識情報に基づき、重畳位置を設定される。以上のように、各重畳コンテンツCTsの生成に車両制御と同一の情報が用いられていれば、コンテンツ表示と車両挙動との間のずれが生じ難くなる。その結果、コンテンツ表示の違和感が低減され得る。
尚、第一実施形態において、第一レーンLn1が「特定レーン」に相当し、残距離Drが「距離」に相当し、基準地点GPが「案内地点」に相当する。また、表示生成部76が「表示制御部」に相当し、HCU100が「表示制御装置」に相当する。さらに、車線変更コンテンツCTcに加えて、待機コンテンツCTwも「車線変更コンテンツ」に相当する。
(第二,第三実施形態)
図17及び図18に示す本開示の第二実施形態、並びに図19及び図20に示す本開示の第三実施形態は、それぞれ第一実施形態の変形例である。第二実施形態では、経路案内コンテンツCTg、待機コンテンツCTw及び車線変更コンテンツCTcに加えて、LTA実行コンテンツCTtが表示生成部76(図3参照)によって重畳表示される。
LTA実行コンテンツCTtは、前景中の自車レーンLnsの路面中央に重畳表示される重畳コンテンツCTsである。LTA実行コンテンツCTtは、細帯状に描画され、路面に沿った姿勢にて、路面に貼り付くように表示されることで、LTA機能による車線内走行の予想軌跡を示す。LTA実行コンテンツCTtは、車線変更コンテンツCTcと同様に、車両Aの走行に合わせて、アイポイントEP(図2参照)から見える路面形状に適合するように、所定の更新周期で描画形状を更新される。
第二実施形態では、図17に示す分岐ポイントでの退出シーンにおいて、経路案内コンテンツCTgの重畳対象は、案内先となる第一レーンLn1の路面である。一方で、LTA実行コンテンツCTtの重畳対象は、自車が走行中の第二レーンLn2である。故に、LTA機能によって車線内走行を実施する車両Aが案内開始地点Pgsに到達すると、表示生成部76は、LTA実行コンテンツCTtに加えて、経路案内コンテンツCTgをさらに表示させる。
経路案内コンテンツCTgの表示開始後、ドライバのオン操作に基づき、車線変更コンテンツCTcの表示要求が発生すると、表示生成部76は、LTA実行コンテンツCTtの表示を終了させる。加えて表示生成部76は、第一実施形態と同様に、車線変更コンテンツCTcの優先表示を開始する。以上により、隣接レーンLndの路面には、経路案内コンテンツCTgに替えて、車線変更コンテンツCTcが重畳表示される。
LCA機能による車線変更が完了すると、表示生成部76は、新たに自車レーンLnsとなった第一レーンLn1の路面に、LTA実行コンテンツCTtを重畳表示させる。加えて表示生成部76は、案内先レーンLngの路面に経路案内コンテンツCTgを重畳表示させる。
図18に示す退出シーンでは、第一実施形態(図6参照)と同様に、他車両Axに起因する車線変更の待機状態が発生する。この場合、表示生成部76は、自車レーンLnsへのLTA実行コンテンツCTtの重畳表示に加えて、隣接レーンLndへの待機コンテンツCTwの重畳表示を実施する。さらに表示生成部76は、画角VAの左下隅に待機アイコンCTwiを表示させる。LTA実行コンテンツCTtは、LCA機能の待機状態から実行状態への遷移に伴い、重畳表示を終了させる。一方、第一レーンLn1に優先表示されるコンテンツも、LCA機能の実行状態への遷移に伴い、待機コンテンツCTwから車線変更コンテンツCTcへと変更される。
また図19及び図20に示す第三実施形態では、車線変更コンテンツCTc及び待機コンテンツCTwの描画形状が第二実施形態とは異なっている。車線変更コンテンツCTc及び待機コンテンツCTwは、自車レーンLns及び隣接レーンLndの両方の路面に跨って重畳される。車線変更コンテンツCTcは、車線変更軌跡PLC(図4参照)を辿るように延伸する細帯状に描画される。第三実施形態でも、車線変更コンテンツCTcは、経路案内コンテンツCTgに対して優先表示され、経路案内コンテンツCTgが消された隣接レーンLndの路面に重畳表示される。
待機コンテンツCTwは、経路案内コンテンツCTg及びLTA実行コンテンツCTtと共に表示可能なコンテンツである。LCA機能が待機状態である場合、待機コンテンツCTwは、LTA実行コンテンツCTtと共に自車レーンLnsの路面に重畳表示される。加えて、待機コンテンツCTwの先端部分は、経路案内コンテンツCTgに重ねて表示される。
ここまで説明した第二,第三実施形態でも、車線変更コンテンツCTcの優先表示により、車両Aの移動方向を示す二つのコンテンツCTg,CTcが同等に表示されて、ドライバによる認識を難しくする事態は回避される。したがって、ドライバに認識され易いコンテンツ表示が実現される。
(第四実施形態)
図21に示す本開示の第四実施形態は、第一実施形態の別の変形例である。上記第一実施形態では、第一レーンLn1への車線変更が開始された後、表示生成部76は、第一レーンLn1への経路案内コンテンツCTgの重畳表示を実施しない。表示生成部76は、重畳開始地点(図12 S122参照)に到達するまで、経路案内コンテンツCTgの再表示を待機し、重畳開始地点への到達後、案内先レーンLngの路面に経路案内コンテンツCTgを重畳表示させる(図7参照)。
一方、第四実施形態の表示生成部76は、第一レーンLn1への自動車線変更が開始された後も、車線変更コンテンツCTcの優先表示を行ったうえで、経路案内コンテンツCTgを、第一レーンLn1の路面に重畳表示させる。このように、表示生成部76は、車線変更コンテンツCTc及び経路案内コンテンツCTgを同一の第一レーンLn1の路面に重畳表示させる場合、車線変更コンテンツCTcの重畳範囲の進行方向に、経路案内コンテンツCTgの重畳範囲を設定する。ここでの進行方向とは、走行中のレーンに沿って、車線変更コンテンツCTcを挟んで自車両の反対側の範囲を指している。以上により、第一レーンLn1の路面のうちで、LCA機能による操舵制御が有効な範囲までは、車線変更コンテンツCTcが優先的に重畳される。一方で、経路案内コンテンツCTgは、LCA機能による操舵制御が終了された後の路面範囲に連続的に重畳表示される。
ここまで説明した第四実施形態でも、車線変更コンテンツCTcを優先することで、ドライバに認識され易いコンテンツ表示が実現される。加えて第四実施形態では、車線変更コンテンツCTcが重畳されない路面範囲であれば、経路案内コンテンツCTgの重畳表示が実施される。故に、車線変更コンテンツCTcの表示を優先しても、経路案内コンテンツCTgによる情報提示の分かり易さが確保される。尚、第四実施形態では、第一レーンLn1が「走行レーン」に相当する。
(第五実施形態)
本開示の第五実施形態は、第一実施形態の別の変形例である。第五実施形態では、経路案内コンテンツCTgの重畳対象とされる路面範囲が最大限確保される。具体的には、図22に示す退出シーンにおいて、車両Aが第三レーンLn3を走行している場合、案内開始地点Pgsにて表示される経路案内コンテンツCTgの重畳対象は、第二レーンLn2の路面に限定されない。経路案内コンテンツCTgの重畳対象は、案内先レーンLng、第一レーンLn1及び第二レーンLn2の各路面とされる。同様に、車両Aが第二レーンLn2を走行する場合、経路案内コンテンツCTgの重畳対象は、案内先レーンLng及び第一レーンLn1の各路面とされる。尚、車線変更コンテンツCTcの重畳対象は、第一実施形態と同様に、隣接レーンLnd(例えば、第二レーンLn2)の路面のみとされる。
ここまで説明した第五実施形態では、車線変更コンテンツCTcの重畳表示を妨げないようにしつつ、経路案内コンテンツCTgを重畳させる路面範囲が最大限拡張される。以上によれば、車線変更コンテンツCTcの表示を優先しても、経路案内コンテンツCTgによる情報提示の分かり易さが確保される。
(第六実施形態)
図23〜図25に示す本開示の第六実施形態は、第一実施形態のさらに別の変形例である。第六実施形態では、経路案内コンテンツCTg、待機コンテンツCTw及び車線変更コンテンツCTcの描画形状が、第一実施形態とは異なっている。経路案内コンテンツCTg、待機コンテンツCTw及び車線変更コンテンツCTcは、自車の進行方向(移動方向)を指し示す矢印形状に描画され、複数(二つ)の走行レーンの路面に跨って重畳表示される。
図23に示す分岐ポイントでの退出シーンでは、案内開始地点Pgsにて、経路案内コンテンツCTgの重畳表示が開始される。経路案内コンテンツCTgは、第二レーンLn2から第一レーンLn1へ向かって延伸する矢印形状とされる。経路案内コンテンツCTgの描画形状は、車両Aの走行に伴って、所定の周期で更新される。
ドライバのオン操作に基づき車線変更コンテンツCTcの表示要求が発生すると、経路案内コンテンツCTgから車線変更コンテンツCTcへと、表示されるコンテンツが遷移する。車線変更コンテンツCTcは、自車レーンLnsから隣接レーンLndへ向かって延伸する矢印形状とされる。こうした車線変更コンテンツCTcの表示開始に合わせて、経路案内アイコンCTiの表示も開始される。但し、経路案内アイコンCTiの表示は、省略されてもよい。
LCA機能による車線変更が実行され、案内先レーンLngが画角VA内となると、車線変更コンテンツCTcの見た目上での進行方向には、経路案内コンテンツCTgがさらに表示される。経路案内コンテンツCTgは、車線変更後での自車レーンLnsから案内先レーンLngへ向かって延伸する矢印形状とされる。車線変更コンテンツCTcは、車両Aの走行に伴い、画角VAの下方に移動し、表示を終了される。その結果、車線変更コンテンツCTcから経路案内コンテンツCTgへの表示遷移が完了する。
図24に示す分岐ポイントでの退出シーンでは、経路案内コンテンツCTgの重畳表示が開始された後に、他車両Axに起因する車線変更の待機状態が発生している。この場合、経路案内コンテンツCTgから待機コンテンツCTwへと、表示されるコンテンツが遷移される。待機コンテンツCTwは、車線変更コンテンツCTc(図23参照)と同様に、自車レーンLnsから隣接レーンLndへ向かって延伸する矢印形状とされる。待機コンテンツCTwは、車線変更コンテンツCTcと区別可能なように、例えば破線状の輪郭線を有している。尚、待機コンテンツCTwの表示開始に合わせて、経路案内アイコンCTiの表示が開始されてもよい。
他車両Axに起因する車線変更の待機状態が継続し、基準地点GPの接近に伴いLCA機能による車線変更が困難となった場合、LCA機能からドライバへの操作権の移譲の要求が行われる。操作権の権限移譲は、基準地点GPまでの残距離Dr又は残り時間を考慮し、基準地点GP手前の所定の位置にて開始される。この場合、表示中の待機コンテンツCTwに、経路案内コンテンツCTgがさらに重ねて表示される。加えて、例えばステアリングホイールの形状を模った移譲要求アイコンCTriが、画角VAの中央下寄りに非重畳コンテンツCTnとして表示される。
図25に示す走行シーンにおけるドライバは、経路情報の示す分岐ポイントでの経路に従わない判断をしており、第二レーンLn2から第三レーンLn3への車線変更を指示するオン操作を入力する。この場合、第二レーンLn2から第一レーンLn1に延伸する矢印形状の経路案内コンテンツCTgに替えて、第二レーンLn2から第三レーンLn3に延伸する矢印形状の車線変更コンテンツCTcが表示される。但し、他車両Axに起因して、LCA機能が待機状態である場合には(図9 S111:NO参照)、待機コンテンツCTwが表示される。待機コンテンツCTwは、車線変更コンテンツCTcと同様に、第二レーンLn2から第三レーンLn3に延伸する矢印形状であり、輪郭線を破線状に描画されている。そして、LCA機能が待機状態から実行状態へと遷移すると、待機コンテンツCTwから車線変更コンテンツCTcへと、表示されるコンテンツが切り替えられる。尚、経路情報の示す移動方向と、車線変更制御での移動方向とが互いに異なる場合には、待機アイコンCTwiの表示も省略される。
さらに、経路情報の示す移動方向とは異なる方向への車線変更指示をドライバがキャンセル操作によって解除した場合、車線変更コンテンツCTcの表示は終了される。この場合、車線変更コンテンツCTcに替えて、第二レーンLn2から第一レーンLn1へ向けて延伸する経路案内コンテンツCTgが再表示される。
ここまで説明した第六実施形態のように、矢印形状の重畳コンテンツCTsを用いて情報提示を行う形態でも、車線変更コンテンツCTcを優先表示すれば、ドライバに認識され易いコンテンツ表示が実現される。
(第七実施形態)
図26に示す本開示の第七実施形態は、第一実施形態のさらに別の変形例である。第七実施形態の経路案内コンテンツCTgは、第一実施形態と同様に、隣接レーンLnd(第一レーンLn1)の路面に、当該路面を塗り潰すような態様で重畳表示される。一方、車線変更コンテンツCTcは、第六実施形態と同様に、自車レーンLns及び隣接レーンLndの両路面に跨って重畳され、自車レーンLnsから隣接レーンLndへ向けて延伸する矢印形状とされる。
以上の第七実施形態でも、ドライバのオン操作に基づき、車線変更が実施される区間にて、経路案内コンテンツCTgを非表示とし、車線変更コンテンツCTcを優先表示させる表示遷移が実施される。このように、異なる描画形状の重畳コンテンツCTsを組み合わせた場合でも、車線変更コンテンツCTcを優先させる表示調停によれば、ドライバに認識され易いコンテンツ表示が実現される。
(第八実施形態)
図27〜図29に示す本開示の第八実施形態は、第一実施形態のさらに別の変形例である。第八実施形態では、経路案内コンテンツCTgの描画形状が、第一実施形態とは異なっている。経路案内コンテンツCTgは、左境界ラインCTl及び右境界ラインCTrを含み、複数(二つ)の走行レーンの路面に跨って重畳表示される。各境界ラインCTl,CTrは、経路情報に基づく移動先方向へ向けて細帯状に延伸する描画形状である。具体的に、左境界ラインCTlは、自車レーンLnsの左側区画線の近傍から、隣接レーンLndの左側区画線近傍へ向けて延伸している。右境界ラインCTrは、自車レーンLnsの右側区画線の近傍から、隣接レーンLndの右側区画線近傍へ向けて延伸している。
表示生成部76は、車線変更制御の待機中、再検索された経路情報が制御情報取得部74にて取得された場合に、再検索された経路を案内する経路案内コンテンツCTgの表示を保留しない。表示生成部76は、リルート後の経路情報を示す経路案内コンテンツCTgを、待機コンテンツCTw又は車線変更コンテンツCTcと共に表示させる。
具体的に、図27に示す走行シーンでは、第一実施形態(図10参照)と同様に、第一レーンLn1への車線変更を他車両Axによって妨げられた車両Aが、第二レーンLn2を走行したまま基準地点GPを通過している。これにより、ナビゲーションECU57は、車両Aが設定経路から外れたと判定し、目的地への経路を再検索するリルート処理を開始する。その結果、再検索された経路の案内実施要求がナビゲーションECU57から経路情報取得部72に通知される。
表示生成部76は、経路情報取得部72にて経路情報として取得される案内実施要求に基づき、再検索された経路を案内する経路案内コンテンツCTgの表示を開始する。表示生成部76は、ドライバの見た目上にて、待機コンテンツCTw又は車線変更コンテンツCTcの上側に、各境界ラインCTl,CTrを重ねて表示させる(図27 中下段及び中上段参照)。表示生成部76は、レーン特定情報を用いて、各境界ラインCTl,CTrの重畳位置を、待機コンテンツCTw又は車線変更コンテンツCTcの重畳位置に合わせて調整する。
表示生成部76は、LCA機能による車線変更の開始後、第一レーンLn1(隣接レーンLnd)への車線変更が完了するまで、車線変更コンテンツCTcに各境界ラインCTl,CTrを重ねた表示を継続させる。表示生成部76は、LCA機能による車線変更の完了に基づき、再案内レーンLnrへの経路を案内する各境界ラインCTl,CTrの表示を継続させたまま、車線変更コンテンツCTcの表示を終了させる。
一方、図28に示す走行シーンでは、基準地点GPの通過後も、LCA機能による第一レーンLn1への車線変更は、他車両Axによって実施困難となっている。こうした走行シーンでも、表示生成部76は、経路情報取得部72の案内実施要求の取得に基づき、再検索された経路を案内する経路案内コンテンツCTgの表示を開始する。経路案内コンテンツCTgの各境界ラインCTl,CTrは、待機コンテンツCTwに重ねて表示される(図28 中下段参照)。
表示生成部76は、タイムアウト又はキャンセル操作によって車線変更が中止された段階で、LCA機能のオフ状態を示すステータス情報に基づき、待機コンテンツCTwの表示を終了させる(図28 中上段参照)。この場合も、表示生成部76は、自車レーンLnsから隣接レーンLndへ向けて延伸する各境界ラインCTl,CTrの表示継続により、再案内レーンLnrへの経路案内を実施し続ける(図28 上段参照)。
以上の基準地点GP通過後の表示調停を実現する表示制御方法の詳細を、図29に示すフローチャートに基づき、図12、図27及び図28を参照しつつ、以下説明する。
S213は、第一実施形態のS113(図13参照)と同様に、待機コンテンツCTwの重畳表示の開始(図12 S108参照)後に実施される。S213では、ナビゲーションECU57にて、経路の再検索及び再設定が行われたか否かを判定する。S213にて、ナビゲーションECU57による経路の再設定がないと判定した場合、S106に戻る。
一方、S213にて、ナビゲーションECU57にて経路が再設定されたと判定した場合、S214に進む。S214では、リルート処理後の設定経路を案内する経路案内コンテンツCTgを追加で表示し、S215に進む。
S215では、S106と同様に、LCA情報に基づき、LCA機能による車線変更が実行可能か否かを判定する。S215にて、車線変更が実行可能であると判定した場合、S216に進む。
S216では、待機コンテンツCTwに替えて、車線変更コンテンツCTcを表示させ、S217に進む。S217では、LCA機能による車線変更が完了したか否かを判定する。S217にて、車線変更が継続していると判定した場合、S216に戻る。以上により、車線変更の完了まで、車線変更コンテンツCTcの表示が継続される。
一方、S217にて、車線変更が完了したと判定した場合、S218に進む。S218では、経路案内コンテンツCTgの表示を継続させつつ、車線変更コンテンツCTcを非表示とし、今回の表示制御処理を終了する。
上記のS215にて、LCA機能の待機状態が継続していると判定した場合、S219に進む。S219では、キャンセル操作又はタイムアウトにより、車線変更が中止されたか否かを判定する。S219にて、車線変更が中止されていないと判定した場合、S215に戻る。
一方、S219にて、車線変更が中止されたと判定した場合、S220に進む。S220では、経路案内コンテンツCTgの表示を継続させつつ、待機コンテンツCTwを非表示とし、今回の表示制御処理を終了する。
ここまで説明した第八実施形態でも、基準地点GPへの到達前までは、車線変更コンテンツCTcの優先表示が行われる。故に、第一実施形態と同様の効果を奏し、ドライバに認識され易いコンテンツ表示が実現される。
加えて第八実施形態では、車線変更制御の待機中に再検索された経路情報が経路情報取得部72にて取得された場合、再検索された経路を案内する経路案内コンテンツCTgが、待機コンテンツCTwと共に表示される。以上によれば、リルートされた経路情報が、経路案内コンテンツCTgの表示によってドライバに早期に通知され得る。
(他の実施形態)
以上、本開示の複数の実施形態及び変形例について説明したが、本開示は、上記実施形態及び変形例に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記実施形態では、車線変更コンテンツCTcの表示要求に基づいて経路案内コンテンツCTgの全体、又は車線変更コンテンツCTcと重なる部分を非表示にする調停により、車線変更コンテンツCTcが経路案内コンテンツCTgに対して優先表示されていた。しかし、優先表示の形態は、適宜変更されてよい。例えば上記実施形態にて、経路案内コンテンツCTgから非重畳コンテンツCTnである経路案内アイコンCTiに切り替える表示遷移も、車線変更コンテンツCTcの優先表示に相当する。
さらに、車線変更コンテンツCTc及び経路案内コンテンツCTgを共に表示させたうえで、車線変更コンテンツCTcを経路案内コンテンツCTgよりも強調させる優先表示が実施されてもよい。車線変更コンテンツCTcの強調は、車線変更コンテンツCTcの表示色の明度又は表示輝度を経路案内コンテンツCTgに対して高くする、車線変更コンテンツCTcの表示色を誘目性の高い色にする等の静的な差別化であってもよい。
加えて、車線変更コンテンツCTcの強調は、車線変更コンテンツCTc及び経路案内コンテンツCTgのうちで、車線変更コンテンツCTcのみをアニメーション表示させる等の動的な差別化であってもよい。また、静的又は動的な差別化によって相対的に強調される箇所は、車線変更コンテンツCTcの全体であってもよく、車線変更コンテンツCTcにおいて経路案内コンテンツCTgと重なる一部であってもよい。
具体的に、図30に示す上記実施形態の変形例1の車線変更コンテンツCTcは、経路案内コンテンツCTgに重ねて表示される。車線変更コンテンツCTcは、例えば自車レーンLnsから隣接レーンLndへ向けて繰り返し流れるアニメーションとして表示されるか、又は点滅表示される。このとき、経路案内コンテンツCTgのアニメーション表示は実施されない。以上の変形例1のように、アニメーションの付与によって動的に差別化されていれば、二つのコンテンツCTg,CTcは、互いに重ねた状態で、同一の路面範囲に重畳表示されてもよい。
図31に示す上記実施形態の変形例2では、HUDの画角VAが上記実施形態よりも狭くされている。そのため変形例2では、ドライバからの見た目上において、画角VA内に含まれる路面範囲は、概ね自車レーンLnsの路面のみとなる。そのため、経路案内コンテンツCTg及び車線変更コンテンツCTcは、自車レーンLnsの路面に重畳表示されて、移動方向としての案内先レーンLng又は隣接レーンLndの方向を指し示す。経路案内コンテンツCTgは、車線変更コンテンツCTcの優先表示のため、この車線変更コンテンツCTcを避けるように自車レーンLnsの路面に重畳される。その結果、経路案内コンテンツCTgは、車線変更コンテンツCTcの進行方向に重畳表示される。
上記実施形態では、経路情報の示す移動方向と車線変更制御での移動方向とが一致するか否かに関わらず、表示生成部76は、車線変更コンテンツCTcを経路案内コンテンツCTgよりも優先して、路面に重畳表示させていた。しかし、上記実施形態の変形例3では、二つの移動方向が一致しない場合に限り、車線変更コンテンツCTcの優先表示が実施される。以上の変形例3のように、車線変更コンテンツCTcの優先表示は、特定の条件下で限定的に実施されてもよい。
上記実施形態の変形例4では、経路案内が行われる案内エリアGA又は基準地点GPまでの残距離Drに応じて、車線変更コンテンツCTcを経路案内コンテンツCTgに対し優先させる優先表示が変更されない。即ち、残距離Drが特定距離よりも長い場合であっても、又は経路案内コンテンツCTgの面積割合が視認閾値より低い場合であっても、案内先レーンLngへの経路案内コンテンツCTgの重畳表示が実施される。
図32に示す上記第八実施形態の変形例5では、リルート処理後の案内実施要求の取得に基づき、非重畳コンテンツCTnである経路案内アイコンCTiが表示される(図32 中下段参照)。言い替えれば、重畳コンテンツCTsである経路案内コンテンツCTgの表示は、一時的に保留される。表示生成部76は、LCA機能の実行状態への遷移に基づき、待機コンテンツCTwから車線変更コンテンツCTcへの表示遷移に合わせて、経路案内アイコンCTiから経路案内コンテンツCTgへの表示遷移も実施する。以上により、隣接レーンLndの路面には、車線変更コンテンツCTcに重なる態様で各境界ラインCTl,CTrが表示される(図32 中上段参照)。
上記第一,第八実施形態では、基準地点GPの通過後のリルート処理の実施を前提とした表示制御処理が設定されていた。一方、上記実施形態の変形例6の表示制御処理では、リルート後の表示調停に関連するステップが省略されている。具体的に、図33に示す変形例6の表示制御処理にて、表示生成部76は、S108にてLCA待機表示を開始又は継続させた後、S106の判定に戻る。以上により、S106及びS108の繰り返しによって待機コンテンツCTw及び待機アイコンCTwiの表示が継続され、自動車線変更の中止に基づき、一連の表示制御処理が終了される。尚、図33のS101〜S113にて実施される処理は、第一実施形態(図12参照)と実質同一である。
上記実施形態の変形例7では、車線変更コンテンツCTcの重畳位置が、経路案内コンテンツCTgの重畳位置に合わせて調整される。このような変形例7でも、二つの重畳コンテンツCTsの重畳位置のずれが低減され得る。また、上記実施形態の変形例8では、車線変更コンテンツCTc及び経路案内コンテンツCTgの重畳位置を整合させる調整処理は、省略される。
上記実施形態の各コンテンツは、表示色、グラデーションの有無、表示輝度、基準となる表示形状等の静的な要素、さらに、点滅の有無、点滅の周期、アニメーションの有無、及びアニメーションの動作等の動的な要素を適宜変更されてよい。また、各コンテンツの静的又は動的な要素は、ドライバの嗜好に応じて変更可能であってよい。さらに、上記実施形態及び変形例の説明にて経路案内表示を例示した走行シーンは、一例である。上記のものとは異なる走行シーンにて、非重畳コンテンツ及び重畳コンテンツを併用した経路案内及び制御情報通知に関わる表示を、HCUは実施可能である。
上記実施形態のHCU100は、ドライバから見て重畳対象に重畳コンテンツがずれなく重畳されるように、DSM27の検出するアイポイントの位置情報を用いて、重畳コンテンツCTsとして結像される虚像光の投影形状及び投影位置を逐次制御していた。しかし、上記実施形態の変形例9のHCU100は、DSM27の検出情報を用いることなく、予め設定された基準アイポイント中心の設定情報を用いて、重畳コンテンツCTsとして結像される虚像光の投影形状及び投影位置を制御する。
変形例10のHUD20のプロジェクタ21には、LCDパネル及びバックライトに替えて、EL(Electro Luminescence)パネルが設けられている。さらに、ELパネルに替えて、プラズマディスプレイパネル、ブラウン管及びLED等の表示器を用いたプロジェクタがHUD20には採用可能である。
変形例11のHUD20には、LCD及びバックライトに替えて、レーザモジュール(以下、LSM)及びスクリーンが設けられている。LSMは、例えばレーザ光源及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナ等を含む構成である。スクリーンは、例えばマイクロミラーアレイ又はマイクロレンズアレイである。こうしたHUD20では、LSMから照射されるレーザ光の走査により、スクリーンに表示像が描画される。HUD20は、スクリーンに描画された表示像を、拡大光学素子によってウィンドシールドWSに投影し、虚像Viを空中表示させる。
また変形例12のHUD20には、DLP(Digital Light Processing,登録商標)プロジェクタが設けられている。DLPプロジェクタは、多数のマイクロミラーが設けられたデジタルミラーデバイス(以下、DMD)と、DMDに向けて光を投射する投射光源とを有している。DLPプロジェクタは、DMD及び投射光源を連携させた制御により、表示像をスクリーンに描画する。
さらに、変形例13のHUD20では、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)を用いたプロジェクタが採用されている。またさらに、変形例14のHUD20には、虚像Viを空中表示させる光学系の一つに、ホログラフィック光学素子が採用されている。
また上記実施形態の変形例15では、HCUとHUDとが一体的に構成されている。即ち、変形例15のHUDの制御回路には、HCUの処理機能が実装されている。こうした変形例15では、HUDが、「表示制御装置」に相当する。さらに、メータECU、ナビゲーションECU及びディスプレイオーディオECU等に、HCUの処理機能が実装されていてもよい。こうした変形例では、メータ装置、ナビゲーション装置及びディスプレイオーディオ装置が「表示制御装置」に相当する。
上記実施形態の変形例16では、フロントカメラ31の撮像データであって、自車の前景を撮像した撮像データを取得するカメラ画像取得部が、HCU100に設けられている。表示生成部76は、撮像データに基づく前景のリアル画像に、経路案内コンテンツCTg、車線変更コンテンツCTc、待機コンテンツCTw及びLTA実行コンテンツCTt等の元画像を重ねてなる映像データを生成する。こうした映像データに基づき、HUD20は、リアル画像に各重畳コンテンツCTsを重ねた表示を、前景に虚像Viとして投影する。以上のように、HUD20の画角VAが十分でない場合、ARコンテンツが画角VAからは外れるシーン等において、AR表示に用いられるコンテンツ等の元画像をリアル画像に重ねた虚像表示が実施されてもよい。
上記実施形態の変形例17では、自車レーンLnsの位置を特定する機能が、運転支援ECU50ではなく、ロケータECU44に設けられている。ロケータECU44は、ロケータ情報及び高精度地図データを組み合わせて、自車レーンLnsの位置を特定する。ロケータECU44は、生成したレーン特定情報を、ロケータ情報と共にロケータ情報取得部73に提供する。
上記実施形態の変形例18では、ナビゲーション装置55に替えて、スマートフォン等のユーザ端末が、経路案内のための電子装置として、HCU100に接続されている。表示生成部76は、ユーザ端末より取得する経路情報に基づき、経路案内コンテンツCTgを表示させる。加えて表示生成部76は、運転支援ECU50又は自動運転ECUから予定走行経路を示すライン形状情報を取得した場合、車線変更コンテンツCTcを表示させる。こうした変形例18でも、表示生成部76は、経路案内コンテンツCTgと車線変更コンテンツCTcとの表示調停を行い、車線変更コンテンツCTcを経路案内コンテンツCTgに対して、優先表示させることができる。
上記実施形態にて、HCUによって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
また、上記の表示制御方法を実現可能なプログラム等を記憶する記憶媒体の形態も、適宜変更されてよい。例えば記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、HCUの制御回路に電気的に接続される構成であってよい。さらに、記憶媒体は、HCUへのプログラムのコピー基となる光学ディスク及びのハードディスクドライブ等であってもよい。
HMIシステムを搭載する車両は、一般的な自家用の乗用車に限定されず、レンタカー用の車両、有人タクシー用の車両、ライドシェア用の車両、貨物車両及びバス等であってもよい。さらに、モビリティサービスに用いられるドライバーレス車両に、HCUを含むHMIシステムが搭載されてもよい。
HMIシステムを搭載する車両は、右ハンドル車両であってもよく、又は左ハンドル車両であってもよい。さらに、車両が走行する交通環境は、左側通行を前提とした交通環境であってもよく、右側通行を前提とした交通環境であってもよい。本開示による経路案内表示及びLCA関連表示は、それぞれの国及び地域の道路交通法、さらに車両のハンドル位置等に応じて適宜最適化される。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。