JP2021087913A - 微小粒子の製造方法及び微小粒子 - Google Patents
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Abstract
【課題】硫酸塩及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質を内包する微小粒子を製造する方法を提供すること。【解決手段】硫酸塩及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質を内包する微粒子の製造方法であって、ポリアルキレングリコールを含む第1の水相と、前記電解質を含み、前記第1の水相と相分離した第2の水相とからなる水性成分を、油性成分に粒子状に分散させた状態で、粒子状の前記水性成分を、前記ポリアルキレングリコールに対して反応性を有する化合物と反応させて、粒子状の反応物を形成させると共に前記電解質を内包させる反応工程を備える、製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、微小粒子の製造方法及び微小粒子に関する。
機能性を有する物質を内包する微小粒子(微小カプセル)は、種々の用途への応用が検討されている。これまでにも種々の提案されており、例えば、特許文献1には、ポリマー水溶液と、ポリマー/硫酸ナトリウム水溶液と水溶性界面活性剤とを水相とし、オクタノールと増粘剤とを油相とし、無機塩を滴下させることにより、硫酸ナトリウム内部にシリカシェルが形成され、マイクロカプセル化した混合粘性蓄熱体が開示されている。
本発明者らにより、硫酸塩、リン酸塩といった電解質に関しては、微小粒子に内包させることが困難であることが見いだされた。
本発明の目的は、硫酸塩及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質を内包する微小粒子を製造する方法及び当該方法により得られた微小粒子を提供することにある。
本発明の一側面は、硫酸塩及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質を内包する微粒子の製造方法であって、ポリアルキレングリコールを含む第1の水相と、前記電解質を含み、前記第1の水相と相分離した第2の水相とからなる水性成分を、油性成分に粒子状に分散させた状態で、粒子状の前記水性成分を、前記ポリアルキレングリコールに対して反応性を有する化合物と反応させて、粒子状の反応物を形成させると共に前記電解質を内包させる反応工程を備える、製造方法に関する。
反応工程は、前記水性成分を、分散安定剤の存在下で前記油性成分に分散させた状態で行われてよい。
前記ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、200〜6000であってよい。
前記ポリアルキレングリコールの配合量は、前記水性成分中の水100質量部に対して、10〜45質量部であってよい。
前記電解質の配合量は、前記水性成分中の水100質量部に対して、10〜30質量部であってよい。
前記ポリアルキレングリコールに対して反応性を有する化合物は、ポリイソシアネートであってよい。
本発明の他の側面は、硫酸塩及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質と、該電解質を内包する外殻とを有し、前記外殻が、ポリアルキレングリコールと、該ポリアルキレングリコールに対して反応性を有する化合物との反応物で形成されている、微小粒子に関する。
前記ポリアルキレングリコールに対して反応性を有する化合物は、ポリイソシアネートであってよい。
本発明によれば、硫酸塩及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質を内包する微小粒子を製造する方法及び当該方法により得られた微小粒子を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合、原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必須ではない。数値及びその範囲も同様に、本発明を制限するものではない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本実施形態の微小粒子の製造方法は、硫酸塩及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質を内包する微粒子の製造方法である。
本実施形態の微小粒子の製造方法は、ポリアルキレングリコールを含む第1の水相と、電解質を含み、第1の水相と相分離した第2の水相とからなる水性成分を、油性成分に粒子状に分散させた状態で、粒子状の水性成分を、ポリアルキレングリコールに対して反応性を有する化合物(反応性化合物)と反応させて、粒子状の反応物を形成させると共に電解質を内包させる反応工程を備える。
水性成分が、ポリアルキレングリコールを含む第1の水相と、電解質を含み、第1の水相と相分離した第2の水相とからなる場合には、外殻が厚く、機械的強度に優れた微小粒子の調製が可能となり、また、第1の水相中で第2の水相の分散系を制御することで、粒子状の反応物の構造を単核から多核まで制御しやすくなる傾向がある。
水性成分は、水を含む成分であり、第1の水相と、第1の水相と相分離した第2の水相とからなる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水;超純水等が挙げられる。水性成分中の水の含有量は、水性成分の全質量を基準として、例えば、50質量%以上であってよく、90質量%以下又は70質量%以下であってよい。
第1の水相と、第2の水相との相分離は、界面の形成を目視観察することにより確認することができる。具体的には後述する実施例に記載の方法によって確認することができる。
第1の水相は、ポリアルキレングリコールを含む。ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリブチレングリコールが挙げられる。ポリアルキレングリコールは、微小粒子の外殻がより形成されやすくなる観点から、ポリエチレングリコール又はポリブチレングリコールであってよい。第1の水相は、ポリアルキレングリコール以外の成分を含んでいてもよく、例えば、微量の上記電解質を含んでいてもよい。
ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、200以上、300以上、400以上、又は500以上であってよく、6000以下、5000以下、4000以下、3000以下、2000以下、1000以下、800以下、又は700以下であってよい。微小粒子の外殻がより形成されやすくなる観点から、ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、200〜6000であってよい。ここで、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される、標準ポリスチレン換算値を意味する。
ポリアルキレングリコールの配合量(含有量)は、水性成分中の水100質量部に対して、微小粒子中に上記電解質がより内包されやすくなる観点から、10質量部以上、15質量部以上、20質量部以上、25質量部以上、30質量部以上、又は35質量部以上であってよく、60質量部以下、55質量部以下、50質量部以下、又は45質量部以下であってよい。微小粒子中の電解質の高含有化の観点から、ポリアルキレングリコールの配合量は、水性成分中の水100質量部に対して、10〜45質量部であってよい。
第2の水相は、電解質を含む。電解質は、硫酸塩及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である。硫酸塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどが挙げられる。リン酸塩としては、例えば、リン酸ナトリウムやリン酸カリウムなどが挙げられる。第2の水相は、電解質以外の成分を含んでいてもよく、例えば、微量のポリアルキレングリコールを含んでいてもよい。
電解質の配合量は、水性成分中の水100質量部に対して、9質量部以上又は10質量部以上であってよく、30質量部以下、25質量部以下、20質量部以下、又は18質量部以下であってよい。電解質を内包する微小粒子がより一層得られやすくなる観点から、電解質の配合量は、水性成分中の水100質量部に対して、10〜30質量部であってよい。
油性成分は、ポリアルキレングリコールと反応性化合物との反応温度において、水と相分離する疎水性の成分であり、例えば、60〜80℃において、水と相分離する疎水性の成分である。油性成分としては、炭化水素油、油脂、脂肪酸、シリコーンなどが挙げられる。炭化水素油の具体例としては、ケロシン、シクロヘキサンなどが挙げられる。
油性成分の質量に対する水性成分の質量の比(水性成分/油分)は、0.1〜0.5であってよく、0.5〜0.6であってよい。
反応工程は、水性成分を、油性成分に粒子状に分散させた状態で行われる。すなわち、反応工程は、水性成分を油性成分に粒子状に分散させることを含む。水性成分を、油性成分に分散させ、必要に応じて、液滴径を調整することによって、油中水型エマルションが形成される。液滴径の調整は例えば、後述する実施例に記載の方法により行うことができる。
反応工程は、水性成分を、分散安定剤の存在下で油性成分に分散させた状態で行われてもよい。分散安定剤としては、界面活性能を有する物質を使用することができる。このような分散安定剤としては、例えば、界面活性剤、高分子安定剤、固体粉末などが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、油中水型(W/O)型乳化剤として使用される界面活性剤を用いることができる。界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリグリセリンポリリシノレート(例えば、理研ビタミン株式会社製のポエムPR−100)、スパン80などを用いることができる。
分散安定剤の配合量は、油分及び界面活性剤の合計100質量部に対して、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1.0質量部以上、1.2質量部以上、又は1.4質量部以上であってよく、10.0質量部以下、8.0質量部以下、6.0質量部以下、4.0質量部以下、又は2.0質量部以下であってよい。
水性成分を油性成分に分散させて、油中水型エマルションを形成させる際の条件は、各種成分の種類等に応じて適宜設定することができる。水性成分を油性成分に分散させる際の温度(分散温度)は、例えば、60〜80℃であってよい。水性成分を油性成分に分散させる際の撹拌数は、例えば、200〜300rpmであってよい。上記温度及び撹拌数で、10〜30分間撹拌することにより、水性成分を油性成分に分散させてよい。
反応工程では、水性成分を、油性成分に分散させた状態で、粒子状の水性成分を、ポリアルキレングリコールに対して反応を有する化合物(反応性化合物)と反応させる。当該反応によって、粒子状の反応物を形成させると共に電解質を内包させる。粒子状の反応物は、電解質と、電解質を内包する外殻とを含む。外殻には、電解質以外の成分(その他の成分)が更に内包されていてもよい。その他の成分は、例えば、微小粒子の製造工程において添加された成分であってよいし、製造工程における反応の副生成物(例えば、反応性化合物と、水、ポリアルキレングリコールとの反応物(例えば、ウレア結合、ウレタン結合を有する化合物)等)であってもよい。粒子状の反応物は、内部に空隙が存在する粒子であってもよく、内部に空隙が存在していなくてもよい。
反応性化合物は、ポリアルキレングリコールに対して反応性を有する基(反応性基)を含む。反応性基としては、イソシアネート基が挙げられる。反応性化合物中の反応性基の数は、例えば、2以上であってよい。反応性化合物としては、例えば、イソシアネート(イソシアネート基を有する化合物)が挙げられる。イソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート等の有機ポリイソシアネートが挙げられる。反応性化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
反応性化合物は、微小粒子の外殻がより形成されやすくなる観点から、好ましくはイソシアネートであり、より好ましくはポリイソシアネート(例えばジイソシアネート)である。ポリイソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が挙げられる。
反応工程は、例えば、水性成分を、油性成分に分散させることによって形成された油中水型エマルションと、反応性混合物及び油性成分を含む混合液とを混合することにより行われてもよい。油性成分は、水性成分の分散に用いられる油性成分と同種であっても異種であってもよい。混合液中の反応性化合物の配合量は、例えば、油性成分100質量部に対して、1質量部以上、又は2質量部以上であってよく、10質量部以下、又は5質量部以下であってよい。
反応性化合物の配合量は、例えば、ポリアルキレングリコール100質量部に対して、80〜120であってよい。
反応は撹拌しながら行われてよい。例えば、撹拌条件は、100〜300rpmであってよい。反応させる際の温度(反応温度)は、例えば、60〜80℃であってよい。当該温度に保持する時間(反応時間)は、例えば、1〜10時間であってよい。
本実施形態の微小粒子は、硫酸塩及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質と、該電解質を内包する外殻とを有する。当該微小粒子において、外殻は、ポリアルキレングリコールと、該ポリアルキレングリコールに対して反応性を有する化合物(反応性化合物)との反応物から形成されている。本実施形態の微小粒子は、例えば、上述した方法によって製造することができる。
微小粒子の平均粒径は、10〜100μmであってよく、100〜200μmであってもよい。微小粒子の平均粒径が上記範囲内であると、微小粒子が砂又は土粒子間を通過しやすくなり、地盤内に微小粒子を配置することがより容易になるため、地盤改良用途の微小粒子としてより一層好適なものとなる。微小粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡及び/又は光学顕微鏡による直接観察により測定される。
外殻は、電解質以外の成分(その他の成分)を更に内包していてよい。その他の成分は、微小粒子の製造工程において添加された成分(添加成分)であってよいし、製造工程における反応の副生成物(外殻を構成する反応物以外の成分)であってもよい。例えば、外殻は、反応性化合物と、水、ポリアルキレングリコールとの反応物(例えば、ウレア結合、ウレタン結合を有する化合物)等を更に内包していてもよい。
微小粒子中の電解質の含有量は、微小粒子の用途、大きさ等に応じて、適宜調整することができる。微小粒子中の上記電解質の含有量は、微小粒子の全質量を基準として、例えば、20〜40質量%、0.1〜20質量%、又は40〜50質量%であってよい。
上記電解質を含む微小粒子は、上記電解質が解乳化作用を有しているため、解乳化剤として用いることができる。解乳化作用を有する成分を内包する微小粒子は、例えば、徐放性、圧力に対する刺激応答性等の機能を更に有することができる。
本実施形態の微小粒子は、例えば、地盤注入用薬液の一成分、又は地盤注入用薬液とともに使用される添加剤として用いることができる。微小粒子の使用態様の一例を次に示す。まず、油相に水と反応し得る樹脂(例えば、イソアシアネート基末端プレポリマー)を含む水中油型エマルションと、本実施形態の微小粒子と、を含む地盤注入用薬液とを地盤に注入する。地盤に注入した後に、地盤注入用薬液中の水中油型エマルションを、微小粒子から放出された上記電解質と接触させて、水中油型エマルションを解乳化し、地盤内の広範囲に上記樹脂を配置する。その後上記樹脂を水と反応させ、固化することによって、地盤を改良する。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<相分離性の評価>
ポリエチレングリコール600(富士フィルム和光純薬株式会社製、数平均分子量:600)、硫酸ナトリウム、水及び着色剤(青色2号,三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)をハンド混合し、評価用水溶液を調製した。評価用水溶液中の水100質量部に対する硫酸ナトリウムの含有量は、4質量部、8質量部、10質量部、12質量部又は16質量部とした。相分離しているかは、目視により確認した。確認結果を図1及び図2に示す。図2中の着色していない部分が硫酸ナトリウムを含む水相(W相)を示し、着色した部分がポリエチレングリコール(PEG)を含む水相(W’相)を示す。評価用水溶液中の水100質量部に対するポリエチレングリコール600の含有量は、40質量部であった。相分離性の確認は、70℃において行った。
ポリエチレングリコール600(富士フィルム和光純薬株式会社製、数平均分子量:600)、硫酸ナトリウム、水及び着色剤(青色2号,三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)をハンド混合し、評価用水溶液を調製した。評価用水溶液中の水100質量部に対する硫酸ナトリウムの含有量は、4質量部、8質量部、10質量部、12質量部又は16質量部とした。相分離しているかは、目視により確認した。確認結果を図1及び図2に示す。図2中の着色していない部分が硫酸ナトリウムを含む水相(W相)を示し、着色した部分がポリエチレングリコール(PEG)を含む水相(W’相)を示す。評価用水溶液中の水100質量部に対するポリエチレングリコール600の含有量は、40質量部であった。相分離性の確認は、70℃において行った。
図1及び図2に示すとおり、評価用水溶液中の水100質量部に対する硫酸ナトリウムの含有量が10質量部、12質量部及び16質量部である場合に、相分離していることが確認された。
<相分離の確認>
上記と同様の手順で第一の水相(上記評価用水溶液において青色に着色した、PEGを含む水相であるW’相)と第二の水相(硫酸ナトリウムを含む水相であるW相)とが相分離した評価用水溶液を準備した。第一の水相(上側の水相)及び第二の水相(下側の水相)それぞれをケロシンからなる油相に添加して、粒子状の水滴としたのちにイソシアネートを添加した。第一の水相を用いた場合には、図3に示すように、イソシアネートによる反応が進行し、粒子状の反応物が生成した。一方、第二の水相を用いた場合には、図4に示すように、反応物はほとんど観察されなかった。これらの結果から、第一の水相にポリエチレングリコールが含まれること、及び、第二の相に硫酸ナトリウムが含まれることが確認された。
上記と同様の手順で第一の水相(上記評価用水溶液において青色に着色した、PEGを含む水相であるW’相)と第二の水相(硫酸ナトリウムを含む水相であるW相)とが相分離した評価用水溶液を準備した。第一の水相(上側の水相)及び第二の水相(下側の水相)それぞれをケロシンからなる油相に添加して、粒子状の水滴としたのちにイソシアネートを添加した。第一の水相を用いた場合には、図3に示すように、イソシアネートによる反応が進行し、粒子状の反応物が生成した。一方、第二の水相を用いた場合には、図4に示すように、反応物はほとんど観察されなかった。これらの結果から、第一の水相にポリエチレングリコールが含まれること、及び、第二の相に硫酸ナトリウムが含まれることが確認された。
<硫酸ナトリウム水溶液濃度と相分離性>
ポリエチレングリコール水溶液に4〜16質量%(wt%)となるように硫酸ナトリウムを添加し、得られた液をケロシンに添加して形成される液滴を観察した。図1および図2の結果と同じようにおおよそ8〜10wt%で水相が分離し、(W/W)/O分散系が形成していることがわかった(図5参照)。
ポリエチレングリコール水溶液に4〜16質量%(wt%)となるように硫酸ナトリウムを添加し、得られた液をケロシンに添加して形成される液滴を観察した。図1および図2の結果と同じようにおおよそ8〜10wt%で水相が分離し、(W/W)/O分散系が形成していることがわかった(図5参照)。
<試験例1:微小粒子の作製>
蒸留水5.0gに、硫酸ナトリウムと、ポリエチレングリコール600(富士フィルム和光純薬株式会社社製、数平均分子量:600)2.0gとを溶解し、これらを含む溶液を水性成分とした。硫酸ナトリウムの配合量を、水性成分中の蒸留水100質量部に対して、4質量部又は16質量部とした。
蒸留水5.0gに、硫酸ナトリウムと、ポリエチレングリコール600(富士フィルム和光純薬株式会社社製、数平均分子量:600)2.0gとを溶解し、これらを含む溶液を水性成分とした。硫酸ナトリウムの配合量を、水性成分中の蒸留水100質量部に対して、4質量部又は16質量部とした。
ケロシン98.5gに、界面活性剤(理研ビタミン株式会社製ポエムPR-100)1.5gを溶解して調製した混合液を準備し、当該混合液に、水性成分を投入し、水性成分をケロシンに分散させた。分散液の液滴径の調整を行い、水性二相系を水相とする油中水型((W/W)/O型)エマルション又は油中水型エマルション(W/O型エマルション)を調製した。これらのエマルションの調製は、70℃、20分間の条件で実施した。エマルションの調製では、撹拌速度はまず250rpmとし、エマルションにおける液滴径が目的の大きさまで調整されたら、撹拌速度を下げた。その後、ケロシン72.0gに、トルエンジイソシアネート(TDI)2.0gを溶解し、得られたイソシアネート溶液を上記エマルションに投入し、界面重合を実施し、粒子状の反応物を形成させた。界面重合は、70℃、200rpm、4時間の条件で実施した。
得られた粒子状の反応物を、以下の手順で処理して、内包物を評価するための評価試料を作製した。反応後に反応槽内のスラリーをろ過、洗浄し、その後、乾燥することで粒子状の反応物を得た。その後、粒子状の反応物を切断して、断面を露出させ、内包物の観察を実施した。
作製した試料について、走査電子顕微鏡(SEM)により観察した。観察結果を図6及び図7に示す。図6は、硫酸ナトリウムの配合量を、水相中の蒸留水100質量部に対して4質量部とした場合(相分離していない水性成分を用いた場合)の結果を示し、図7は、硫酸ナトリウムの配合量を、水相中の蒸留水100質量部に対して16質量部とした場合(相分離させた水性成分を用いた場合)の結果を示す。相分離させた水性成分を用いて作製した微小粒子は、2サンプルについて、内包物を確認した。
図6〜7に示すとおり、相分離していない水性成分を用いた場合には、硫酸ナトリウムが微小粒子にほとんど内包されず、相分離させた水性成分を用いた場合には、硫酸ナトリウムが微小粒子に内包されていることが確認された。
<ポリエチレングリコールの種類による効果>
硫酸ナトリウムの配合量を、水性成分中の蒸留水100質量部に対して、16質量部とし、ポリエチレングリコールの数平均分子量を1000(PEG1000)、又は2000(PEG2000)に変更したこと以外は、試験例1に記載の方法と同様にして、微小粒子の製造及び内包物の確認を行った。図8Aは、PEG1000を用いた場合の結果を示し、図8BはPEG4000を用いた場合の結果を示す。図8A及び図8Bに示すとおり、ポリエチレングリコールの数平均分子量を変更した場合であっても、同様の方法によって、硫酸ナトリウムを内包した微小粒子が得られることを確認した。ポリエチレングリコールの平均分子量を変更した場合でも、得られる微小粒子の形状には影響しなかった。
硫酸ナトリウムの配合量を、水性成分中の蒸留水100質量部に対して、16質量部とし、ポリエチレングリコールの数平均分子量を1000(PEG1000)、又は2000(PEG2000)に変更したこと以外は、試験例1に記載の方法と同様にして、微小粒子の製造及び内包物の確認を行った。図8Aは、PEG1000を用いた場合の結果を示し、図8BはPEG4000を用いた場合の結果を示す。図8A及び図8Bに示すとおり、ポリエチレングリコールの数平均分子量を変更した場合であっても、同様の方法によって、硫酸ナトリウムを内包した微小粒子が得られることを確認した。ポリエチレングリコールの平均分子量を変更した場合でも、得られる微小粒子の形状には影響しなかった。
なお、ポリエチレングリコールの数平均分子量を400に変更した場合でも、同様の方法によって、硫酸ナトリウムを内包した微小粒子が得られることを確認した。
Claims (8)
- 硫酸塩及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質を内包する微粒子の製造方法であって、
ポリアルキレングリコールを含む第1の水相と、前記電解質を含み、前記第1の水相と相分離した第2の水相とからなる水性成分を、油性成分に粒子状に分散させた状態で、粒子状の前記水性成分を、前記ポリアルキレングリコールに対して反応性を有する化合物と反応させて、粒子状の反応物を形成させると共に前記電解質を内包させる反応工程を備える、製造方法。 - 前記反応工程が、前記水性成分を、分散安定剤の存在下で前記油性成分に分散させた状態で行われる、請求項1に記載の微小粒子の製造方法。
- 前記ポリアルキレングリコールの数平均分子量が、200〜6000である、請求項1又は2に記載の微小粒子の製造方法。
- 前記ポリアルキレングリコールの配合量が、前記水性成分中の水100質量部に対して、10〜45質量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の微小粒子の製造方法。
- 前記電解質の配合量が、前記水性成分中の水100質量部に対して、10〜30質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の微小粒子の製造方法。
- 前記ポリアルキレングリコールに対して反応性を有する化合物がポリイソシアネートである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の微小粒子の製造方法。
- 硫酸塩及びリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質と、該電解質を内包する外殻とを有し、
前記外殻が、ポリアルキレングリコールと、該ポリアルキレングリコールに対して反応性を有する化合物との反応物で形成されている、微小粒子。 - 前記ポリアルキレングリコールに対して反応性を有する化合物が、ポリイソシアネートである、請求項7に記載の微小粒子。
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