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JP2021080329A - 白色熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

白色熱硬化性樹脂組成物 Download PDF

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JP2021080329A
JP2021080329A JP2019206943A JP2019206943A JP2021080329A JP 2021080329 A JP2021080329 A JP 2021080329A JP 2019206943 A JP2019206943 A JP 2019206943A JP 2019206943 A JP2019206943 A JP 2019206943A JP 2021080329 A JP2021080329 A JP 2021080329A
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white
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健太郎 石川
Kentaro Ishikawa
健太郎 石川
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Abstract

【課題】十分な光反射率および成形加工性を有し、耐熱光反射性に優れた白色熱硬化性樹脂組成物、それを備えた光半導体素子、光半導体搭載用基板、光半導体装置、およびそれらの製造方法を提供する。【解決手段】シリコーン樹脂、硬化触媒、および白色顔料を含有し、前記白色顔料が、酸化ジルコニウムにて被覆された酸化チタンを含有する、白色熱硬化性樹脂組成物とし、それを備えた光半導体素子、光半導体搭載用基板、光半導体装置、およびそれらの製造方法をとする。【選択図】なし

Description

本発明は、光半導体素子と蛍光体等の波長変換手段とを組み合わせた光半導体装置に用いられる光反射用白色熱硬化性樹脂組成物、これを用いた光半導体素子、光半導体素子搭載用基板およびその製造方法、並びに光半導体装置に関する。
近年、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の光半導体素子と蛍光体とを組み合わせた光半導体装置は、高エネルギー効率および長寿命等の利点から、屋外用ディスプレイ、携帯液晶バックライト、および車載用途等様々な用途に適用され、その需要が拡大している。
これに伴って、LEDデバイスの高輝度化が進み、素子の発熱量増大によるジャンクション温度の上昇、又は、直接的な光エネルギーの増大による素子材料の劣化が問題視され、近年、熱劣化および光劣化に対して耐性を有する素子材料の開発が課題となっている。
こうした状況下、熱又は光に起因する輝度低下の問題を防止する技術として、下記特許文献1には、光半導体素子が搭載される部位に光反射率の高いリフレクターを設けた光半導体素子搭載用基板が提案されている。また、特許文献1には、トランスファー成形によりリフレクターを形成することが開示されており、その材料として、シリコーン樹脂、硬化触媒、白色顔料等を含有する光反射用熱硬化性樹脂組成物が提案されている。
特開2016−94544号公報
ところで、LEDパッケージの製造では、光半導体素子搭載用基板と光半導体素子との接続、光半導体素子の樹脂封止、基板実装時のはんだリフロー等の高温プロセスを経る。光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いて作製された光半導体素子搭載用基板の場合、樹脂材料が熱により変色すると、LEDパッケージにおける初期の光学特性の確保が困難となる傾向にある。加えて、光半導体素子搭載用基板には、高温下で長時間使用された際にも光学特性を維持することが求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、十分な光反射率および成形加工性を有し、耐熱光反射性に優れた白色熱硬化性樹脂組成物、それを備えた光半導体素子、光半導体搭載用基板、光半導体装置およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、シリコーン樹脂、硬化触媒および白色顔料を含む熱硬化性樹脂組成物における白色顔料成分に酸化ジルコニウムにて被覆された酸化チタンを配合すること、シリコーン樹脂成分として、高度に化学構造が制御された特定のシリコーン樹脂を配合させることにより、光反射率の高い樹脂を得ることができると共に、高温での熱処理後における樹脂の光反射率の低下を従来よりも小さくすることができること、クラックの発生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、後述する特定の白色顔料およびシリコーン樹脂、硬化触媒を含む、白色熱硬化性樹脂組成物に関する。
前記白色顔料は酸化ジルコニウムにて被覆された酸化チタンを含み、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、シリカおよび無機中空微粒子を含んでも良い。前記白色顔料の含有量は、前記白色熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として5〜80質量部であると良い。
別の側面において、本発明は、前記白色熱硬化性樹脂組成物を備える、光素子半導体に関する。当該光素子半導体において前記白色樹脂組成物の硬化物を備える箇所は側面部または側面部および底面部であっても良い。さらに光素子半導体の側面と白色樹脂組成物の硬化物間に波長変換部を備えても良い。
別の側面において、本発明は、基板に塗布することにより光半導体素子搭載用基板とすることができる。
さらに別の側面において、本発明は、前記光半導体素子または前記光素子半導体搭載用基板に搭載された光半導体素子を備えた、光半導体装置に関する。
さらに別の側面において、本発明は、側面部に白色樹脂組成物を備えた光半導体素子の製造方法に関する。本発明にかかる製造方法は白色熱硬化性樹脂組成物をスペーサー中の開口部に配した光半導体素子に塗布して形成する工程を備える。
本発明は、酸化ジルコニウムにて被覆された酸化チタンを用いることによって、加熱時に樹脂の光反射性が劣化せず、クラックが発生しない樹脂を提供し、LEDの高出力化に際し十分な白色光反射層が得られる。
光半導体素子の一実施形態を示す断面模式図である。 光半導体素子の他の実施形態を示す断面模式図である。 光半導体素子の作製方法の一実施形態を示す断面模式図である。 光半導体素子搭載用基板の一実施形態を示す断面模式図である。 光半導体装置の一実施形態を示す断面模式図である。
本発明は、項1〜8などである。
項1. シリコーン樹脂、(C)成分である硬化触媒、および(E)成分である白色顔料を含有し、前記白色顔料が、酸化ジルコニウムにて被覆された酸化チタンを含有する、白色熱硬化性樹脂組成物。
項2. 前記シリコーン樹脂が、(A)成分、(B)成分、および(D)成分を含有する、項1に記載の白色熱硬化性樹脂組成物。
(A)成分; 式(A1)で表されるシルセスキオキサン骨格と、式(X1)、式(X2)、または式(X3)で表される基とを有するシリコーン化合物であり;

Figure 2021080329

Figure 2021080329

Figure 2021080329

Figure 2021080329

ここで、式(A1)において、Xが独立して、式(X1)、式(X2)、または式(X3)で表される基となり、式(A1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(X1)で表される基と、式(X2)で表される基と、式(X3)で表される基の割合が異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の式(X1)で表される基の数をx、式(X2)で表される基の数をx、式(X3)で表される基の数をxとしたとき、
+2x+x=4であり、0<x≦3であり、0≦x≦1であり、かつ0<x≦3であり、
式(A1)において、
は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、mは1〜100を満たす平均値であり、
式(X2)において、
およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり
nは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値であり、
式(X3)において、
およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり、
pは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値であり、
は、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基であり;
’は、Rと同じ炭素数である飽和炭化水素基であり;
(B)成分;式(B1)で表される化合物であり;
Figure 2021080329

式(B1)において、
およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、
rは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、1〜50を満たす平均値であり、
は独立して、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基であり、
(D)成分;式(D1)で表されるシルセスキオキサン化合物であり;
Figure 2021080329

Figure 2021080329

Figure 2021080329

Figure 2021080329

Figure 2021080329
式(D1)において、
Zは独立して、式(Z1)、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基であり、
式(D1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(Z1)で表される基と、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基の割合とが異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の、式(Z1)で表される基の数をz、式(Z2)で表される基の数をz、式(Z31)、式(Z32)、または式(Z33)で表される基の数をz、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基の数をzとしたとき、
+2z+z+z=4であり、0.5≦z≦3.0であり、0.5≦2z≦2.0であり、0.1≦z≦2.0であり、0≦z≦1.0であり;
は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、
wは、1〜100を満たす平均値であり、
式(Z2)において、
およびR10は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり、
iは、−OSi(R10−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値であり、
式(Z41)におけるR11、式(Z42)におけるR12、式(Z42)におけるR13、および式(Z43)におけるR14は独立して、メチル、エチル、ブチル、またはイソプロピルであり;
式(Z42)におけるxは、−OSi(R12−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値であり、
式(Z43)におけるyは、−OSi(R14−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値であり、
式(Z43)におけるRは炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
項3. 前記シリコーン樹脂中、前記(A)成分100質量部に対する前記(B)成分の含有割合が1〜40質量部であり、前記(A)成分100質量部に対する前記(D)成分の含有割合が0.1〜10質量部である、項1に記載の白色熱硬化性樹脂組成物
項4. 前記白色熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として、前記白色顔料の含有量が5〜80質量部である、項1〜3のいずれか一項に記載の白色硬化性樹脂組成物。
項5. 項1〜4のいずれか一項に記載の白色硬化性樹脂組成物を備える、光半導体素子。
項6. 項1〜4のいずれか一項に記載の白色熱硬化性樹脂組成物を備える、光半導体素子搭載用基板。
項7. 項5または6記載の光半導体素子または光半導体素子搭載用基板を有する光半導体装置。
項8. 項1〜4のいずれか一項に記載の白色熱硬化性樹脂組成物をスペーサー中に配した光半導体素子に塗布した後に硬化する項5記載の光半導体素子の作製方法。
(白色熱硬化性樹脂組成物)
本実施形態の白色熱硬化性樹脂組成物は、シリコーン樹脂、硬化触媒および白色顔料を含む。また、白色熱硬化性樹脂組成物を、単に、熱硬化性樹脂組成物と表記することがある
本実施形態に係る好ましい白色熱硬化性樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分を含む。
(A)成分としては、式(A1)で表されるダブルデッカー型の化合物である。

Figure 2021080329
式(A1)において、Xは独立して、式(X1)、式(X2)、または式(X3)で表される基である。Rは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。
mは、1〜100を満たす平均値である。mは1であることが好ましい。
Figure 2021080329

Figure 2021080329
式(X2)において、RおよびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。
nは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値である。nは2〜10であることが好ましい。
Figure 2021080329
式(X3)において、RおよびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。
pは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値である。
pは、2〜10が好ましく、pが2〜4であるとより好ましい。
は、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基であり;
’は、Rと同じ炭素数である飽和炭化水素基である。
式(A1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(X1)で表される基と、式(X2)で表される基と、式(X3)で表される基の割合が異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の式(X1)で表される基の数をx、式(X2)で表される基の数をx、式(X3)で表される基の数をxとしたときに、
+2x+x=4であり、0<x≦3であり、0≦x≦1であり、0<x≦3である。
アルケニルは、炭素−炭素二重結合を含む基であれば特に制限されるものではなく、炭素数2〜5の脂肪族不飽和炭化水素基である。アルケニルは、炭化水素基の分子鎖途中にあっても末端にあってもよいが、得られる組成物の硬化速度、硬化後の物性の点から、分子鎖末端、特に、分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
式(A1)で表される化合物中の、x、x、xは、任意に、例えば、国際公開第2011/145638号に記載の製造方法に準拠することにより調整できる。
(A)成分は、ダブルデッカー型シルセスキオキサン骨格を有するシリコーン化合物であり、結合エネルギーの高い結合を有すると共に、ダブルデッカー型シルセスキオキサン骨格が疎水性を示し、熱硬化後の耐湿性を向上させる性質を有する。このような化合物と、硬化触媒及び白色顔料とを組み合わせることにより得られる光反射用熱硬化性樹脂組成物は、十分に高い成形加工性を有し、高温環境下での酸化劣化による着色を抑制しつつ、光反射率が高く、耐熱着色性に優れた成形体を形成することができる。
(B)成分は、式(B1)で表される化合物である。
Figure 2021080329
式(B1)において、
およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり;
rは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、1〜50を満たす平均値であり;
は独立して、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基である。
(B)成分は、本発明の硬化組成物の粘度の調整や、硬化物に強度または柔軟性を補佐するための成分である。式(B1)において、RおよびRが、全て炭素数1〜4のアルキルの場合は、メチルを用いることが好ましく、その場合、Rは炭素数2の不飽和炭化水素基が用いることが好ましくなり、式(B2)で表される化合物となる。
Figure 2021080329
式(B2)において、rは1〜40を満たす平均値である。rが20以下であると本発明の硬化組成物との相溶性が良好となり好ましい。柔軟性を付与するためには、5以上が好ましい。樹脂組成物の粘度を調整するためには、1以上が好ましい。
本発明の白色樹脂組成物の耐熱性が向上し、樹脂強度が高まるため、(B)成分の含有割合は、(A)成分、(B)成分、および(D)成分を合算した重量に対して30質量部以下とすることが好ましい。
これらのアルケニルを2個以上有する(B)成分は、任意により組み合わせて使用してもよい。
成分(B)は、公知慣用の方法により製造することができる。式(B2)で表されるオルガノシロキサン化合物は、例えば、テトラメチルビニルジシロキサンとオクタメチルシクロテトラシロキサンとを、活性白土等の固体酸触媒存在下に平衡化反応させた後、ろ過により固体酸触媒を除去し、その後、0.13kPa程度の真空条件、100〜120℃の温度条件下で低沸カットさせることにより製造できる。
成分(D)は、式(D1)で表される化合物である。
Figure 2021080329
式(D1)において、Zはそれぞれ独立して、下記式(Z1)、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基であり、式(D1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(Z1)で表される基と、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基の割合とが異なる化合物の混合物である場合は、該化合物1分子平均]の、
式(Z1)で表される基の数をzとして、
式(Z2)で表される基の数をzとして、
式(Z31)、式(Z32)、または式(Z33)で表される基の数をzとして、
そして、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基の数をzとした場合に、
+2z+z+z=4であり、0.5≦z≦3.0であり、0.5≦2z≦2.0であり、0.1≦z≦2.0であり、かつ0≦z≦1.0である。
15は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、wは1〜100を満たす平均値である。
Figure 2021080329

Figure 2021080329
式(Z2)において、RおよびR10は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。
iは、−OSi(R10−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値である。
Figure 2021080329

Figure 2021080329
式(Z41)におけるR11、式(Z42)におけるR12、および式(Z43)におけるR14は独立して、メチル、エチル、ブチル、またはイソプロピルであり;
式(Z42)におけるxは、−OSi(R12−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値であり;
式(Z43)におけるyは、−OSi(R14−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値であり;
式(Z43)におけるRは、炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
式(Z1)で表される基は、SiH基を有するシルセスキオキサンに、式(Z2)で表される基に相当する化合物と、式(Z31)〜式(Z33)で表される基に相当するエポキシ誘導体、必要に応じて用いられる式(Z41)〜式(Z43)で表される基に相当する化合物とが反応した後に残る、シルセスキオキサン由来の基である。したがって、式(Z1)で表される基は、本発明の化合物を密着付与材として適用するシルセスキオキサンとオルガノポリシロキサンとの反応物である熱硬化性樹脂と反応し得るため、本発明の化合物の密着付与材としての機能を強化する役割を持つ。
本発明の白色樹脂組成物と光半導体素子や光半導体搭載用基板との接着強度が高まるため、(D)成分の含有割合は、(A)成分、(B)成分および(D)成分を合算した重量に対して(D)成分を0.1〜11質量部含有することが好ましい。また、耐熱性をより向上させるために、11%以下とすることが好ましい。
(C)成分としては、ヒドロシリル化反応を促進する触媒活性を有するものであれば特に限定されない。Pt触媒、Rh触媒、Pd触媒、Co触媒などを用いることができ、好ましくはPt触媒を用いる。Pt触媒は、白金を含む触媒であり、白金は酸化されていなくても良いし、酸化されていても良い。酸化された白金としては、例えば、酸化白金が挙げられる。部分的に酸化された白金としては、例えば、アダムス触媒などが挙げられる。
Pt触媒としては、例えば、カルステッド触媒(Karstedt catalyst)、スパイヤー触媒(Speier catalyst)、ヘキサクロロプラチニック酸などが挙げられる。これらは一般的によく知られた触媒である。このなかでも酸化されていないタイプのカルステッド触媒が好ましく用いられる。
硬化触媒の含有割合は、本実施形態の硬化性樹脂組成物の硬化を進めるのに十分な量であることが好ましく、具体的には、(A)成分、(B)成分および(D)成分を合算した重量に対して0.01ppm〜10ppmとすることが好ましく、0.1ppm〜1.5ppmとすることがより好ましい。
硬化を進行させるためには、硬化触媒の含有割合を(A)成分、(B)成分および(D)成分を合算した重量に対して0.01ppm以上とすることが好ましく、速やかに硬化を進行させるため、硬化触媒の含有割合を0.1ppm以上とすることがより好ましい。また、硬化物の耐熱性を保持させるためには、硬化触媒の配合割合を10ppm以下とすることが好ましい。
また、保存安定性の観点から、熱硬化性樹脂組成物を2剤に分けて保管することが好ましい。(A)成分および(D)成分と(C)成分が分かれるように、2剤に分けて保管するとより好ましい。本発明の性能を発揮するために、使用する場合にはこの2剤を十分に混合したのち、使用する。
(E)成分としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、シリカ、及び無機中空粒子といった白色顔料が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
無機中空粒子は、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム以外の材料から形成された粒子である。無機中空粒子としては、例えば、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス又はシラスの粒子が挙げられる。
白色顔料の中心粒径は、50nm〜1000nmの範囲にあることが好ましい。この中心粒径が50nm以上であると粒子が凝集を防ぎ分散性が良くなる傾向があり、1000nm以下であると硬化物の光反射特性が十分に得られ易くなる傾向がある。
白色熱硬化性樹脂組成物中の白色顔料の含有割合は、白色熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として5〜80質量部であることが好ましい。白色顔料の含有量が5質量部以上であると、硬化物の光反射特性が十分に得られ易くなり、80質量部を以下であると、熱硬化性樹脂組成物の塗工性が良くなり、光半導体素子等の作製が容易となる。
光反射用熱硬化性樹脂組成物は、上述した成分以外に、無機充填剤、酸化防止剤、離型剤、分散剤、イオン捕捉剤等の各種添加剤を更に含有することができる。
無機充填剤としては、例えば、溶融球状シリカ、破砕状シリカ、シリカ、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム及び炭酸バリウムが挙げられる。無機充填剤の中心粒径は、白色顔料とのパッキング効率を向上させる観点から、10〜1000nmの範囲内にあることが好ましい。無機充填剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として、0.1〜8質量部の範囲であることが好ましい
光反射用熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じてカップリング剤等が添加されていてもよい。この場合、(A)成分の樹脂成分と、白色顔料、無機充填剤等の無機成分との界面接着性を向上させることができる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤としては、一般にエポキシシラン系、アミノシラン系、カチオニックシラン系、ビニルシラン系、アクリルシラン系、メルカプトシラン系及びこれらの複合系等、公知の化合物を用いることができる。カップリング剤の使用量は、無機成分に対する表面被覆量を考慮して適宜調整することが好ましいが、硬化性を向上させる観点から、熱硬化性樹脂組成物全量を基準として5質量部以下とすることが好ましい。白色顔料、無機充填剤等の無機成分が予め上記カップリング剤で処理されていてもよい。
光反射用熱硬化性樹脂組成物には、保存安定性を改良する目的、又は、製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を添加してもよい。硬化遅延剤としては、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物として、プロパルギルアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で、無色又は例えば淡黄色の比較的着色していないものが好ましい。硬化遅延剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
硬化遅延剤の添加量は、使用する硬化触媒1質量部に対し、0.1〜10000質量部の範囲が好ましく、1〜50質量部の範囲がより好ましい。
光反射用熱硬化性樹脂組成物には、特性を改質する目的で、(A)成分以外の熱硬化性樹脂を特性に悪影響を及ぼさない範囲で添加することが可能である。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ウレタン樹脂等が例示されるが、これに限定されるものではない。これらのうち、電子部品としての利便性が高く金属部品との接着性等に優れるという観点から、エポキシ樹脂が好ましい。上記熱硬化性樹脂としては、無色、又は、淡黄色のような比較的着色していないものが好ましい。
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサフルオロビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート及びジアリルモノグリシジルイソシアヌレートが挙げられる。エポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤として、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族酸又はこれらの無水物を更に添加するとよい。これらのエポキシ樹脂又は硬化剤は、それぞれ単独で用いても、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
本発明の白色熱硬化性樹脂組成物には、粘弾性を制御する目的で、シリカを添加することが好ましい。
本発明の白色熱硬化性樹脂組成物におけるシリカの割合は、白色熱硬化性樹脂組成物全量に対して0.1〜15質量部であることが好ましい。
シリカは、天然に産する珪石を細粒化(天然シリカ)したものを使用してもよく、産業的に合成されたシリカ(合成シリカ)を使用してもよい。天然シリカの場合、結晶であるため結晶軸を持つ。このため、結晶由来の光学的な特徴を期待することができるものの、比重が合成シリカと比べてやや高いため、熱硬化性樹脂組成物中での分散に影響する場合がある。また、天然物を粉砕して得る場合、不定形状の粒子である場合や、粒径分布が広い材料となる場合がある。
合成シリカは、湿式合成シリカ及び乾式合成シリカがあるが、本発明では特に使用の限定はない。ただし、合成シリカでは製法に関わらず結晶水を持つ場合があり、この結晶水が熱硬化性樹脂組成物若しくは硬化物、またはLED素子等に何らかの影響を与える可能性があるときは、結晶水数も考慮して選択することが好ましい。
合成シリカは、結晶ではなくアモルファスであるため、粒子分布の制御のほか、粒子径を極めて小さくできるなどの特徴を有する。
特に、ヒュームドシリカはナノオーダーの粒子径であり、粒子の分散性に優れている。さらに同じ重量で比較した場合は、粒子径が小さいほど表面積の総和が大きくなることから、光の反射方向がより多様化するので、より好ましく用いることができる。
また、一般にシリカは表面積が大きく、かつ表面に存在するシラノールの効果により親水性の材料(親水性シリカ)であるが、化学修飾により疎水性シリカとすることもできる。どちらの性質のシリカを使用するかは、目的に応じて選択される。
光反射用熱硬化性樹脂組成物は、その用途から、硬化後の波長430〜800nmにおける光反射率が、90%以上となることが好ましい。この光反射率が90%以上である場合、光半導体装置の輝度向上に十分に寄与できる傾向がある。本実施形態の光反射用熱硬化性樹脂組成物は、上記光反射率が90%以上となるものであることが好ましい。また、光半導体装置の輝度を向上させる点で、硬化後の波長450nmにおける光反射率が、90%以上となることが好ましく、95%以上となることがより好ましい。
耐熱光反射性を良好にする観点から、硬化後の成形物が、180℃の環境下に500時間晒す耐熱性試験の後でも、波長430〜800nmにおいて90%以上の光反射率を保持することが好ましい。より好ましくは、上述の耐熱性試験後の測定時に、波長450nmにおける光反射率が90%以上となることがより好ましく、95%以上となることが更に好ましい。このような熱硬化性樹脂組成物の光反射特性は、熱硬化性樹脂組成物を構成する各種成分の配合量を適切に調整することによって実現することができ、より具体的には、無色の熱硬化性樹脂成分と高屈折率の白色顔料を混合することで達成できる。
本発明の白色熱硬化性樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されない。例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリウムミキサー、ニーダー、三本ロールまたはビーズミル等の混合機を用いて、常温または加温下で、上述した硬化促進剤、シリコーン樹脂、白色顔料および、必要に応じて上記熱硬化剤、酸化防止剤等の各所定量を混合する方法が挙げられる。
本発明の白色樹脂組成物を反射層として含む光半導体素子もまた、本発明の1つである。
(白色樹脂硬化物を備えた光半導体素子)
本実施形態に係る白色樹脂硬化物を備えた光半導体素子は、本発明の白色樹脂組成物の硬化物を、光半導体素子の側面に備え、底面には備えていても備えていなくても良い。また、光半導体素子側面と白色樹脂硬化物の間または光半導体素子上部に波長変換層を備えていても備えていなくても良い。
図1は、光半導体素子の一実施形態を示す模式断面図である。光半導体素子100は側面部に光反射層101を備える。光反射層101が、上述の本実施形態に係る白色樹脂組成物の硬化物からなる。
図2は、光半導体素子の一実施形態を示す模式断面図である。光半導体素子100は上面部および側面部に波長変換層103を備え、底面部に光反射層101を備える。さらに波長変換層103は側面部および底面部に光反射層101を備える。光反射層101が、上述の本実施形態に係る白色樹脂組成物の硬化物からなる。
図3は、光半導体素子を製造する工程の一実施形態を示す概略図である。光半導体素子の製造方法は特に限定されないが、例えばはんだバンプ102を備えた半導体素子100をスペーサー104に配置し、白色樹脂組成物105をディスペンサーなどを用いて塗布し、加熱硬化後スペーサーを除去し底部をバフ研磨するなどしてはんだバンプを露出することにより作製することができる。
加熱硬化の条件としては、特に限定されないが、例えば、80℃にて40分間、120℃にて40分間、その後160℃にて2時間の順で加熱することが好ましい。
本実施形態に係る光半導体搭載用基板は、銅箔と銅箔上に積層された前述した白色樹脂組成物を用いて形成された光反射層を備える。
図4は、光半導体素子搭載用基板の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図4に示すように、光半導体素子搭載用基板200は、基材201と、該基材201上に積層された銅箔202と、該銅箔202に積層された光反射層101からなる。光反射層101は、前述した本発明の白色樹脂組成物を用いて形成されている。
基材201としては、光半導体搭載用基板に用いられる基材を特に制限なく使用することができるが、例えば、ガラスエポキシ樹脂積層板やフェノール樹脂積層板などが挙げられる。
光半導体素子搭載用基板200は、銅箔202付の基材201上に、本実施形態に係る白色樹脂組成物を塗布し、加熱硬化することにより作製することができる。
図5は、光半導体装置の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図5に示すように、光半導体装置300は、反射層101を備えた光半導体素子100と、光半導体素子搭載用基板200からなる。光半導体素子100は、はんだバンプ102を介して、銅箔202と電気的に接続されている。
本実施形態に係る光半導体装置300は、前述の光反射層101を備えた光半導体素子100と光半導体素子搭載用基板200の双方または一方を備えた光半導体装置である。
本発明の白色樹脂組成物で、反射層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、モールド型枠中に本発明の光半導体用組成物を予め注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレーム等を浸漬した後、硬化させる方法、発光素子を挿入した型枠中に本発明の光半導体用組成物を注入し、硬化する方法、および発光素子に塗布した後に硬化し切り分ける方法が挙げられる。
本発明の白色樹脂組成物を注入する方法としては、例えば、ディスペンサーによる注入、トランスファー成形、および射出成形が挙げられる。さらに塗布する方法としては、例えば、本発明の白色樹脂組成物を発光素子上へ滴下、孔版印刷、スクリーン印刷、マスクを介して塗布し硬化させる方法、および底部に発光素子を配置したカップ等に本発明の光半導体用組成物をディスペンサー等により注入し、硬化させる方法が挙げられる。
加熱硬化の条件としては、特に限定されないが、例えば、80℃にて40分間、120℃にて40分間、その後160℃にて2時間の順で加熱することが好ましい。
本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって限定されない。
<数平均分子量、重量平均分子量の測定>
本発明で合成したポリマーの数平均分子量と重量平均分子量は、次のように測定した。
日本分光(株)製の高速液体クロマトグラフシステムCO−2065plusを使用し、試料濃度1質量%のTHF溶液20μLを分析サンプルとして、カラム:Shodex KF804L[昭和電工(株)製](直列に2本接続)、カラム温度:40℃、検出器:RI、溶離液:THF、および溶離液流速:1.0mL毎分でGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。
実施例で使用した試薬等は下記の通りである。
DVTS(1,5−ジビニル−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン):GELEST社製
サイラプレーンFM−2205(両末端にビニルを有する数平均分子量が700のポリジメチルシロキサン):JNC株式会社製
MA−DGIC(モノアリルジグリシジルイソアヌレート):四国化成工業株式会社製
サイラエースS210(ビニルトリメトキシシラン):JNC株式会社製
MVS−H(1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン):GELEST社製
ECYH−OH(1−エチニルシクロヘキサノール):東京化成株式会社製
PF−690(酸化ケイ素にて被覆された酸化チタン):石原産業株式会社製
PFC107(酸化ケイ素にて被覆された酸化チタン):石原産業株式会社製
UT771(酸化ジルコニウムにて被覆された酸化チタン):石原産業株式会社製
PF699(酸化ジルコニウムにて被覆された酸化チタン):石原産業株式会社製
CR−95(酸化ケイ素にて被覆された酸化チタン):石原産業株式会社製
PFC105(酸化ケイ素にて被覆された酸化チタン):石原産業株式会社製
WR−3100(熱硬化性白色シリコーン樹脂):東レ・ダウコーニング株式会社製
青色フリップチップLED(B3838FCP1):Genesis Photonics Inc.製
本発明の(A)成分として、式(A1)において、x[式(X1)]=2.34、x[式(X2)]=0、x[式(X3)]=1.66である、式(A11)で表される化合物を使用した。この(A11)は国際公開2011/145638号に開示されている方法で製造した。
Figure 2021080329
[合成例1]
式(A11)は、反応式(1)により、次の方法で合成した。温度計、還流冷却器、および撹拌機を備えた内容積200mLの反応容器にシルセスキオキサン誘導体(DD−4H)を50g(0.0384モル)、1,5−ジビニル−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(DVTS)を51.3g(0.197モル)(DD−4Hに対して5倍モル)、溶媒としてトルエンを37.5g入れた。
窒素雰囲気下、加熱攪拌を開始した。内容物が115℃に達した後、Pt濃度がDD−4Hに対して0.005ppmになるように加えて、加熱攪拌を行った。GPCにより反応追跡を行い、7時間後に加熱を止めることにより反応を停止させた。反応液をナスフラスコに移しエバポレーターにて70℃、0.13kPaの減圧条件下でトルエン並びに過剰分のDVTSを留去し、25℃の粘度が95Pa・sの無色透明の液体を58g得た。分子量をGPCにより分析したところ、数平均分子量:Mn=1200、重量平均分子量:Mw=1400であった。分析結果より、x[式(X1)]=2.34、x[式(X2)]=0、x[式(X3)]=1.66であり、m=1である化合物と同定した。
Figure 2021080329
本発明の(B)成分としては、式(B1)のrが異なる以下のものを用いた。
式(B1)においてrが1であり、Rがビニル基である、式(B21)で表される1,5−ジビニル−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(GELEST社製)を用いた。
Figure 2021080329
式(B2)においてrが5であり、Rがビニル基である、式(B22)で表されるサイラプレーンFM−2205(JNC株式会社製)を用いた。
Figure 2021080329
硬化触媒として、カルステッド触媒 商標名Pt−VTS−3.0X[3wt%キシレン溶液、ユミコア社製]を用いた。
本発明の(D)成分として、式(D1)において、z[式(Z1)]=1.32、z[式(Z2)]=0.69、z[式(Z31)]=0.65、z[式(Z41)]=0.65、w=8.8である式(D11)を用いた。(D11)は特開2018−159055号公報に開示されている方法で製造した。
Figure 2021080329
[合成例2]
式(D11)は、反応式(2)により、次の方法で合成した。温度計、還流冷却器、および撹拌機を備えた内容積300mLの反応容器にシルセスキオキサン誘導体(DD−4H)を50g、サイラプレーンFM−2205を18.6g(0.0266モル)、モノアリルジエポキシイソシアヌレート(MA−DGIC)を7.47g(0.0252モル)、サイラエースS210を3.7g(0.0252モル)、溶媒としてトルエン50gを入れた。
窒素雰囲気下、加熱攪拌を開始した。内容物が100℃に達した後、Pt濃度がDD−4Hに対して1ppmとなる量を加え、そのまま5時間加熱攪拌を行った。GCよりMA−DGICの消失を確認して反応を終了した。室温まで冷却した後、活性炭を1.6g加え3時間以上攪拌した後、ろ過により活性炭を除去した。ろ液をエバポレーターにて90℃、0.13kPaの減圧条件下に溶媒であるトルエンを留去した。74gの水アメ状の無色透明の液体を得た。得られた生成物の分子量をGPCにより分析したところ、数平均分子量:Mn=3900、重量平均分子量:Mw=18200であった。
Figure 2021080329
<実施例(1)〜(4)、比較例(21)〜(24)の調製>
各成分を表1および2に示す配合組成(質量部)で混合し、カルステッド触媒0.7ppm、MVS−H7ppm、ECY−OH35ppmを添加することで実施例(1)〜(4)、および比較例(21)〜(24)を調製した。このシリコーン組成物を用いて各評価を行った。
<比較例(31)の調製>
各成分を表2に示す配合組成(質量部)で均一に混合し、比較例(31)を調製した。このシリコーン組成物を用いて各評価を行った。
<実施例(1)〜(4)、比較例(21)〜(24)における4mm厚の硬化物作製>
厚さ4mmのスペーサーとガラス板を用いて4mm厚の枠を作製し、この枠の中に実施例(1)〜(4)、比較例(21)〜(24)のシリコーン組成物を流し込み、80℃にて40分間、120℃にて40分間、その後160℃にて2時間の順で加熱することにより硬化させた。
<比較例(31)における4mm厚の硬化物作製>
厚さ4mmのスペーサーとガラス板を用いて4mm厚の枠を作製し、この枠の中に比較例(31)のシリコーン組成物を流し込み、150℃にて1時間加熱することにより硬化させた。
<反射率評価>
枠から取り外した4mm厚の硬化物を、日本分光株式会社製紫外可視分光光度計 V−650および積分球ILV−724を用いて波長450nmにおける光の反射率を測定した。
<耐熱試験後反射率評価>
初期反射率を測定した4mm厚の硬化物を、180℃に設定したオーブンに入れ、500時間後に取り出し、日本分光株式会社製紫外可視分光光度計 V−650および積分球ILV−724を用いて波長450nmにおける光の反射率を測定した。耐熱試験後の450nmにおける光の反射率が95%以上のものを、光反射性の劣化が小さく良好であると判断した。
<実施例(1)〜(4)、比較例(21)〜(23)および(31)における0.1mm厚樹脂硬化膜付 スライドガラスの作製>
実施例(1)〜(4)、比較例(21)〜(24)のシリコーン組成物を厚さ0.1mmのスペーサーを配したスライドガラスに塗布し、80℃にて40分間、120℃にて40分間、その後160℃にて2時間の順で加熱することにより硬化させ、スペーサーを取り除くことでスライドガラス上に30mmx55mmx0.1mm厚の樹脂硬化膜を得た。
<比較例(31)における0.1mm厚樹脂硬化膜付スライドガラスの作製>
比較例(31)のシリコーン組成物を厚さ0.1mmのスペーサーを配したスライドガラスに塗布し、150℃にて1時間加熱することにより硬化させ、スペーサーを取り除くことでスライドガラス上に30mmx55mmx0.1mm厚の樹脂硬化膜を得た。
<耐熱クラック性の試験>
前述した30mmx55mmx0.1mm厚の樹脂硬化膜付スライドガラスを250℃のオーブンに入れ、168時間および500時間加熱処理し外観を観察した。耐熱試験後にクラックが無いものを、耐熱クラック性に優れると判断した。
<実施例(1)における耐熱耐光性試験用サンプルの作製>
青色フリップチップLED(Genesis製B3838FCP1)の周囲に厚さ0.2mmのスペーサーを配し.実施例(1)のシリコーン組成物を塗布し、80℃にて40分間、120℃にて40分間、その後160℃にて2時間の順で加熱することにより硬化させ、スペーサーを取り除くことで、周囲に1mm幅0.2mm厚の樹脂硬化膜を備えた青色フリップチップLEDを得た。
<比較例(31)における耐熱耐光性試験用サンプルの作製>
青色フリップチップLEDの周囲に厚さ0.2mmのスペーサーを配し.比較例(31)のシリコーン組成物を塗布し、150℃にて1時間の順で加熱することにより硬化させ、スペーサーを取り除くことで、周囲に1mm幅0.2mm厚の樹脂硬化膜を備えた青色フリップチップLEDを得た。
<耐熱耐光性の試験>
前述した樹脂硬化膜を備えた青色フリップチップLEDを85℃湿度85%の環境試験機に入れ、定電流電源を用いて電流1.3Aを青色フリップチップLEDに供給し、500時間および1000時間点灯させ外観を観察した。耐熱耐光性試験後にクラックが無いものを、耐熱耐光性に優れると判断した。
表1.実施例配合比率(質量部)および評価結果
Figure 2021080329

表2.比較例配合比率(質量部)および評価結果
Figure 2021080329

表3.耐熱耐光試験評価結果
Figure 2021080329

表1で示した通り。本発明の組成物(1)〜(4)は500時間の耐熱試験後にクラックの発生が無く、耐熱クラック性が良好である。さらに耐熱試験後の光反射率が95%以上であり、耐熱試験後の光反射性の劣化が見られず良好である。
表3で示した通り、本発明の組成物(1)は1000時間の耐熱耐光試験後にクラックの発生が無く、耐熱耐光性が良好である。
本発明の白色熱交性樹脂組成物は光反射材、絶縁膜、シール材、接着剤などに利用できる。本発明の白色熱硬化性樹脂組成物は、耐熱クラック性試験時や耐熱耐光性試験時にクラックの発生が抑制されるため、LED等の光半導体素子の光反射材として有用である。
100…光半導体素子、
101…光反射層、
102…はんだバンプ、
103…波長変換層、
104…スペーサー、
105…白色樹脂組成物、
200…光半導体素子搭載用基板、
201…基材、
202…銅箔、
300…光半導体装置。

Claims (8)

  1. シリコーン樹脂、(C)成分である硬化触媒、および(E)成分である白色顔料を含有し、前記白色顔料が、酸化ジルコニウムにて被覆された酸化チタンを含有する、白色熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記シリコーン樹脂が、(A)成分、(B)成分、および(D)成分を含有する、請求項1に記載の白色熱硬化性樹脂組成物。

    (A)成分; 式(A1)で表されるシルセスキオキサン骨格と、式(X1)、式(X2)、または式(X3)で表される基とを有するシリコーン化合物であり;
    Figure 2021080329

    Figure 2021080329

    Figure 2021080329

    Figure 2021080329

    ここで、式(A1)において、Xが独立して、式(X1)、式(X2)、または式(X3)で表される基となり、式(A1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(X1)で表される基と、式(X2)で表される基と、式(X3)で表される基の割合が異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の式(X1)で表される基の数をx、式(X2)で表される基の数をx、式(X3)で表される基の数をxとしたとき、
    +2x+x=4であり、0<x≦3であり、0≦x≦1であり、かつ0<x≦3であり、
    式(A1)において、
    は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、mは1〜100を満たす平均値であり、
    式(X2)において、
    およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり
    nは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値であり、
    式(X3)において、
    およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり、
    pは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値であり、
    は、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基であり;
    ’は、Rと同じ炭素数である飽和炭化水素基であり;

    (B)成分;式(B1)で表される化合物であり;
    Figure 2021080329

    式(B1)において、
    およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、
    rは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、1〜50を満たす平均値であり、
    は独立して、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基であり;

    (D)成分;式(D1)で表されるシルセスキオキサン化合物であり;
    Figure 2021080329

    Figure 2021080329

    Figure 2021080329

    Figure 2021080329

    Figure 2021080329
    式(D1)において、
    Zは独立して、式(Z1)、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基であり、
    式(D1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(Z1)で表される基と、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基の割合とが異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の、式(Z1)で表される基の数をz、式(Z2)で表される基の数をz、式(Z31)、式(Z32)、または式(Z33)で表される基の数をz、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基の数をzとしたとき、
    +2z+z+z=4であり、0.5≦z≦3.0であり、0.5≦2z≦2.0であり、0.1≦z≦2.0であり、0≦z≦1.0であり;
    は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、
    wは、1〜100を満たす平均値であり、
    式(Z2)において、
    およびR10は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり、
    iは、−OSi(R10−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値であり、
    式(Z41)におけるR11、式(Z42)におけるR12、式(Z42)におけるR13、および式(Z43)におけるR14は独立して、メチル、エチル、ブチル、またはイソプロピルであり;
    式(Z42)におけるxは、−OSi(R12−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値であり、
    式(Z43)におけるyは、−OSi(R14−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値であり、
    式(Z43)におけるRは炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
  3. 前記シリコーン樹脂中、前記(A)成分100質量部に対する前記(B)成分の含有割合が1〜40質量部であり、前記(A)成分100質量部に対する前記(D)成分の含有割合が0.1〜10質量部である、請求項1に記載の白色熱硬化性樹脂組成物
  4. 前記白色熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として、前記白色顔料の含有量が5〜80質量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の白色硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の白色硬化性樹脂組成物を備える、光半導体素子。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の白色熱硬化性樹脂組成物を備える、光半導体素子搭載用基板。
  7. 請求項5または6記載の光半導体素子または光半導体素子搭載用基板を有する光半導体装置。
  8. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の白色熱硬化性樹脂組成物をスペーサー中に配した光半導体素子に塗布した後に硬化する請求項5記載の光半導体素子の作製方法。
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