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JP2021075665A - カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するセルロースナノファイバー及びその製造方法 - Google Patents

カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するセルロースナノファイバー及びその製造方法 Download PDF

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JP2021075665A JP2019205275A JP2019205275A JP2021075665A JP 2021075665 A JP2021075665 A JP 2021075665A JP 2019205275 A JP2019205275 A JP 2019205275A JP 2019205275 A JP2019205275 A JP 2019205275A JP 2021075665 A JP2021075665 A JP 2021075665A
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昌浩 森田
Masahiro Morita
昌浩 森田
俊輔 山▲崎▼
Shunsuke Yamazaki
俊輔 山▲崎▼
健嗣 藤井
Taketsugu Fujii
健嗣 藤井
智弘 八木
Tomohiro Yagi
智弘 八木
惟緒 角田
Io Tsunoda
惟緒 角田
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

【課題】新規なセルロースナノファイバー及びその製造方法を提供する。【解決手段】酸化パルプ以外のアニオン変性パルプ又は酸化セルロースナノファイバー以外のアニオン変性セルロースナノファイバーに対し、酸化処理を行うことにより、セルロース中の水酸基が酸化されることにより生成するカルボキシル基と、上記アニオン変性処理により導入されるカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するセルロースナノファイバーを製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するセルロースナノファイバー及びその製造方法に関する。
セルロース分子鎖にカルボキシル基やカルボキシメチル基などのアニオン性基を導入し、機械的に処理(解繊)すると、ナノスケールの繊維径を有するセルロースナノファイバーへと変換することができることが知られている。セルロースナノファイバーは、軽くて強度が高く、生分解性であるため、様々な分野への応用が検討されている。アニオン性基を導入したセルロースナノファイバーの製法として、例えば、特許文献1には、水中でN−オキシル化合物を酸化触媒とし、共酸化剤を作用させてセルロースの酸化処理を行うことによりセルロース鎖のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基をカルボキシル基にまで酸化させ、得られた反応物繊維に分散力を加えることで、数nmから数10nmの繊維径のナノファイバーの分散体を得る方法が記載されている。また、特許文献2には、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度を0.01〜0.30としたカルボキシメチルセルロースを解繊することにより、平均繊維径が3〜500nmのカルボキシメチル化セルロース繊維を得る方法が記載されている。
特開2008−1728号公報 国際公開第2014/088072号
アニオン性基を有するセルロースナノファイバー及びその製法としては、ニーズの多様化に応じて、これまで多数のものが報告されている。本発明は、さらに新たな製造方法を提案することにより、新たな特性を有するセルロースナノファイバーを提供することを目的とする。
アニオン性基を有するセルロースナノファイバーとしては、特許文献1に記載されるような酸化処理により得られるカルボキシル基を有するセルロースナノファイバー(酸化セルロースナノファイバー)や、特許文献2に記載されるようなカルボキシアルキルエーテルを有するセルロースナノファイバー、また、リン酸エステル基を有するセルロースナノファイバーなどが知られている。本発明者らは鋭意検討を行った結果、パルプのセルロースに酸化処理以外の処理方法を用いてアニオン性基を導入する処理を行った後に、さらにセルロース中に残留する水酸基の一部をカルボキシル基にまで酸化させる酸化処理を行い、パルプを解繊することにより、酸化処理によるカルボキシル基と、酸化処理以外の処理方法により導入されたカルボキシル基以外のアニオン性基との両方を有するセルロースナノファイバーを製造できることを見出した。また、得られたカルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基との両方を有するセルロースナノファイバーは、従来のカルボキシル基のみが導入された酸化セルロースナノファイバーや、酸化処理以外のアニオン変性処理によるアニオン性基が導入されたセルロースナノファイバーに比べて、分散体とした際の透明度が高く、また、粘度が低いことを見出した。本発明は、これらに限定されないが、以下を含む。
[1]酸化パルプ以外のアニオン変性パルプ又は酸化セルロースナノファイバー以外のアニオン変性セルロースナノファイバーを酸化処理することを含む、カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するセルロースナノファイバーの製造方法。
[2]前記酸化パルプ以外のアニオン変性パルプ又は酸化セルロースナノファイバー以外のアニオン変性セルロースナノファイバーが、カルボキシアルキル化パルプ又はカルボキシアルキル化セルロースナノファイバー、リン酸エステル化パルプ又はリン酸エステル化セルロースナノファイバー、あるいは、硫酸エステル化パルプ又は硫酸エステル化セルロースナノファイバーである、[1]に記載の方法。
[3]前記酸化パルプ以外のアニオン変性パルプ又は酸化セルロースナノファイバー以外のアニオン変性セルロースナノファイバーが、カルボキシメチル化パルプ又はカルボキシメチル化セルロースナノファイバーである、[2]に記載の方法。
[4]前記酸化パルプ以外のアニオン変性パルプ又は酸化セルロースナノファイバー以外のアニオン変性セルロースナノファイバーが、カルボキシアルキル化パルプ又はカルボキシアルキル化セルロースナノファイバーであり、前記カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するセルロースナノファイバーは、カルボキシアルキルエーテル置換度が0.50以下である、[1]に記載の方法。
[5]前記カルボキシアルキル化パルプ又はカルボキシアルキル化セルロースナノファイバーを、水を溶媒としてマーセル化反応を行い、次いで、水と有機溶媒との混合溶媒下でエーテル化反応を行うことを含む方法により製造することをさらに含む、[4]に記載の方法。
[6]前記酸化処理が、N−オキシル化合物及び酸化剤を用いることを含む、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7]セルロース鎖のC2位、C3位、及びC6位の水酸基の少なくとも一部が、カルボキシル基以外のアニオン性基に置換されており、また、上記水酸基の残りの少なくとも一部が、カルボキシル基へと酸化されており、前記カルボキシル基以外のアニオン性基と前記カルボキシル基との合計量が、絶乾質量に対して、1.60〜5.00mmol/gである、カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するセルロースナノファイバー。
本発明により、カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基との両方を有するセルロースナノファイバーを製造することができる。得られたセルロースナノファイバーは、従来の酸化処理によるカルボキシル基のみが導入されたセルロースナノファイバーや、酸化処理以外のアニオン変性処理によるアニオン性基が導入されたセルロースナノファイバーに比べて、分散体とした際の透明度が高く、また、粘度が低いという特徴を有する。粘度が低いことは、流動性の良さにつながり、取り扱いがしやすいという利点がある。また、本発明の製法により得られるセルロースナノファイバーは、少ないエネルギーで透明度の高い分散体を形成できるため、透明性が要求される用途に最適である。
本発明は、カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基との両方を有するセルロースナノファイバーの製造方法に関する。以下、「セルロースナノファイバー」を、「CNF」と記載する。なお、本発明において、「カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するCNF」というときには、「カルボキシル基」(−COOH)には、特に断りがない限り、「カルボキシアルキルエーテル」(−ORCOOH)中のカルボキシル基は含まないものとする。「カルボキシル基」は、特に断りがない限り、カルボキシアルキルエーテルにおけるカルボキシル基部分とは別に形成された、より詳細にはセルロースの水酸基部分が直接にカルボキシル基に酸化されることにより形成された「カルボキシル基」である。一方、「カルボキシアルキルエーテルを有する」とは、セルロースの水酸基部分においてカルボキシアルキルエーテルに置換された構造を有することをいう。
本発明の製造方法は、まず、原料となるパルプに後述する酸化処理以外の方法によりアニオン変性処理を行い、次いで、セルロース中の残留した水酸基の一部をカルボキシル基にまで酸化する酸化処理(カルボキシル化処理とも呼ぶ)を行う。酸化処理以外のアニオン変性処理を行った後、またはアニオン変性処理と酸化処理の両方を行った後に、パルプ中のセルロース繊維をナノスケールのオーダーの繊維幅まで解繊する解繊処理を行う。本明細書では、解繊前の状態のセルロース繊維を「パルプ」と呼び、ナノスケールの繊維幅まで解繊した後のセルロース繊維を「CNF」と呼ぶことがある。
<原料>
酸化処理以外のアニオン変性処理に供する原料パルプの種類は、特に限定されない。例えば、これらに限定されないが、木材、木綿、わら、竹、麻、ジュート、ケナフ等からの晒パルプ又は未晒パルプを挙げることができる。晒パルプ又は未晒パルプの製造方法は特に限定されず、機械的方法、化学的方法、あるいはその中間で二つを組み合せた方法であってもよい。製造方法により分類される晒パルプ又は未晒パルプとしては例えば、メカニカルパルプ(サーモメカニカルパルプ(TMP)、砕木パルプ)や、ケミカルパルプ(針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)等の亜硫酸パルプ;針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)等のクラフトパルプ)等が挙げられる。さらに、上記の製紙用パルプの他に、人造繊維やセロハンの主原料として用いられる溶解パルプを用いてもよい。
<アニオン変性処理>
アニオン変性処理とは原料パルプのセルロースにアニオン性基を導入する処理をいう。酸化処理以外のアニオン変性処理とは、セルロースの水酸基をカルボキシル基にまで酸化する酸化処理(カルボキシル化処理)以外のアニオン変性処理をいう。そのような処理としては、例えば、置換反応によってセルロースのピラノース環にアニオン性基を導入する処理が挙げられる。具体的には、例えば、カルボキシアルキルエーテルを導入するカルボキシアルキル化処理、リン酸エステルを導入するリン酸エステル化処理、、亜リン酸エステルを導入する亜リン酸エステル化処理、硫酸エステルを導入する硫酸エステル化処理クエン酸エステルを導入するクエン酸エステル化処理が挙げられるが、これらに限定されない。
<カルボキシアルキル化処理>
酸化処理以外のアニオン変性処理の一例として、原料パルプに対し、カルボキシアルキルエーテルを導入するカルボキシアルキル化処理が挙げられる。カルボキシアルキルエーテルは、−ORCOOH(酸型)及び−ORCOOM(金属塩型)を含み、ここでRはメチレン基、エチレン基等のアルキレン基であり、Mは金属イオンである。導入するカルボキシアルキルエーテルとしては、上述のRがメチレン基であるカルボキシメチルエーテルとすることが最も好ましい。本明細書では、カルボキシアルキルエーテルまたはカルボキシメチルエーテルを導入することをそれぞれ、「カルボキシアルキル化」または「カルボキシメチル化」と呼ぶ。なお、以下では、「カルボキシメチル」を「CM」と略すことがある。
原料パルプのカルボキシアルキル化は公知の方法で行ってよいが、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシアルキルエーテル置換度を0.50以下とすることが好ましい。当該置換度が0.50を超えるとカルボキシアルキルエーテルを有するパルプ(「カルボキシアルキル化パルプ」と呼ぶ)が、水中に溶解するようになり、水中で繊維状の形状を維持することができなくなることがある。カルボキシアルキルエーテル置換度の下限値は、0.01以上が好ましい。パルプ中のセルロース鎖にカルボキシメチルエーテルを導入することで、セルロース鎖同士が電気的に反発し、ナノ解繊されやすくなり、透明度の向上効果が得られる。カルボキシアルキルエーテル置換度は、より好ましくは0.02〜0.40の範囲であり、さらに好ましくは0.10〜0.30の範囲である。なお、無水グルコース単位とは、セルロースを構成する個々の無水グルコース(グルコース残基)を意味し、カルボキシアルキルエーテル置換度とは、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基(−OH)のうちカルボキシアルキルエーテル基(−ORCOOHまたは−ORCOOM)で置換されているものの割合(1つのグルコース残基当たりのカルボキシアルキルエーテル基の数)を示す。
グルコース単位当たりのカルボキシアルキルエーテル置換度は、以下の方法で測定することができる。以下では、カルボキシメチルエーテル置換度の測定方法を例に挙げて説明する:
カルボキシメチル化したセルロース試料(絶乾)約2.0gを精秤して、300ml容共栓付き三角フラスコに入れる。硝酸メタノール(メタノール1000mlに特級濃硝酸100mlを加えた液)100mlを加え、3時間振とうして、カルボキシメチル化セルロース塩(CM化セルロース)を水素型CM化セルロースに変換する。水素型CM化セルロース(絶乾)を1.5〜2.0g精秤し、300ml容共栓付き三角フラスコに入れる。80質量%メタノール15mlで水素型CM化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100ml加え、室温で3時間振とうする。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのHSOで過剰のNaOHを逆滴定する。カルボキシメチルエーテル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A=[(100×F’−(0.1NのHSO)(ml)×F)×0.1]/(水素型CM化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:水素型CM化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(ml)
F:0.1NのHSOのファクター
F’:0.1NのNaOHのファクター。
また、カルボキシメチル基(−CHCOOH)の量(mmol/g)は、以下の方法で測定することができる:
カルボキシメチル化したセルロース試料をエタノール、t-ブタノールの順に溶媒置換した後、凍結乾燥する。試料200mgにエタノール15ml及び水5mlを加え、30分間撹拌する。その後、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を10ml加え、70℃で30分間撹拌し、さらに30℃で24時間撹拌する。次いで、指示薬としてフェノールフタレインを加え、塩酸で滴定を行い、下式を用いて算出する:
カルボキシメチル基の量〔mmol/g試料〕=(5−(0.1×塩酸滴定量[ml]))/0.2。
カルボキシアルキルエーテル置換度及びカルボキシアルキル基の量も、上記と同様の方法で得ることができる。なお、カルボキシアルキルエーテル置換度とカルボキシアルキル基の量は、酸化処理の前後や解繊の前後で変わらないといえる。
カルボキシアルキル化処理の一例として、以下の工程を含む方法が挙げられる。以下では、CM化を例にして説明する:
i)原料パルプと溶媒とマーセル化剤とを混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間でマーセル化処理を行う。
ii)次いで、CM化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1〜4時間でエーテル化処理を行う。
溶媒としては、3〜20質量倍の水または低級アルコール、具体的には水、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、または2種以上の混合媒体を使用できる。マーセル化剤としては、原料パルプの無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用することが好ましい。
カルボキシメチル化セルロースの製造としては、マーセル化処理とエーテル化処理の両方を水を溶媒として行う方法(水媒法)と、マーセル化処理とエーテル化処理の両方を有機溶媒又は有機溶媒と水との混合溶媒を用いて行う方法(溶媒法)が一般に用いられ、本発明ではこれらのいずれも用いることができる。また、マーセル化処理を水を主とする溶媒下で行い、次いでエーテル化処理を水と有機溶媒との混合溶媒下で行う方法(「水媒−溶媒法」と呼ぶ。)を用いると、分散体とした際により高い透明度と低い粘度とを呈するCNFが得られるため、好ましい。
上述の水媒−溶媒法において、「マーセル化処理を水を主とする溶媒下で行う」とは、水を50質量%より高い割合で含む溶媒下でマーセル化処理を行うことをいう。水を主とする溶媒中の水は、好ましくは55質量%以上あり、より好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上である。特に好ましくは水を主とする溶媒は、水が100質量%(すなわち、水)である。マーセル化処理時の水の割合が多いほど、CNF分散体の透明度が高まる傾向がある。水を主とする溶媒中の水以外の(水と混合して用いられる)溶媒としては、上述のメタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の低級アルコールや、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン、ならびに、ジオキサン、ジエチルエーテル、ベンゼン、ジクロロメタンなどを挙げることができ、これらの単独又は2種以上の混合物を水に50質量%未満の量で添加して用いることができる。これらの中では、水との相溶性が優れることから、炭素数1〜4の一価アルコールが好ましく、炭素数1〜3の一価アルコールがさらに好ましい。水を主とする溶媒中の有機溶媒の量は、好ましくは45質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは0質量%である。
水媒−溶媒法において、上述のマーセル化処理を行った後、カルボキシアルキル化剤(エーテル化剤ともいう)を添加してエーテル化処理を行う。エーテル化処理の際には、水と有機溶媒との混合溶媒を用いる。マーセル化処理に水を主とする溶媒を用い、エーテル化処理に水と有機溶媒との混合溶媒を用いることにより、解繊した際に高い透明度と低い粘度を呈するCNF分散体を得ることができる。また、こうした水媒−溶媒法は、カルボキシアルキル化剤の有効利用率が高いという利点がある。カルボキシアルキル化剤の有効利用率とは、カルボキシアルキル化剤におけるカルボキシアルキル基のうち、セルロースに導入されたカルボキシアルキル基の割合を指す。カルボキシアルキル化剤の有効利用率は15%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは25%以上であり、特に好ましくは30%以上である。カルボキシアルキル化剤の有効利用率の上限は特に限定されないが、現実的には80%程度が上限となる。なお、カルボキシアルキル化剤の有効利用率は、AMと略すことがある。
カルボキシアルキル化剤の有効利用率の算出方法は以下の通りである:
AM =(DS × セルロースのモル数)/ カルボキシアルキル化剤のモル数
DS: カルボキシアルキルエーテル置換度
セルロースのモル数:パルプ質量(100℃で60分間乾燥した際の乾燥質量)/162
(162はセルロースのグルコース単位当たりの分子量)。
エーテル化処理の際の混合溶媒中の有機溶媒の割合は、水と有機溶媒との総和に対して有機溶媒が20〜99質量%であることが好ましく、30〜99質量%であることがより好ましく、40〜99質量%であることがさらに好ましく、45〜99質量%であることがさらに好ましい。また、エーテル化処理の際の反応媒(セルロースを含まない、水と有機溶媒等との混合溶媒)は、マーセル化処理の際の反応媒よりも、水の割合が少ない(言い換えれば、有機溶媒の割合が多い)ことが好ましい。本範囲を満たすことで、セルロースの結晶化度を維持しながらカルボキシアルキルエーテル置換度を高くしやすくなり、解繊した際に透明度の高い分散体となるCNFをより効率的に得ることができるようになる。また、エーテル化処理の際の反応媒が、マーセル化処理の際の反応媒よりも水の割合が少ない(有機溶媒の割合が多い)場合、マーセル化処理からエーテル化処理に移行する際に、マーセル化処理終了後の反応系に所望の量の有機溶媒を添加するという簡便な手段でエーテル化処理用の混合溶媒を形成させることができるという利点も得られる。
エーテル化処理の際に用いる有機溶媒としては、上述のマーセル化処理時に水と混合して用いることができる有機溶媒と同様のものを使用することができる。
エーテル化処理の終了後は、残存するアルカリ金属塩を鉱酸又は有機酸で中和してもよい。また、必要に応じて、副生する無機塩、有機酸塩等を含水メタノールで洗浄して除去しもよい。また、乾燥、粉砕、分級等を行ってもよい。
カルボキシアルキル化によりカルボキシアルキルエーテルを導入されたパルプ(カルボキシアルキル化パルプ)は、次いで、酸化処理に送られるか、あるいは、解繊してカルボキシアルキルエーテルを有するCNF(カルボキシアルキル化CNF)を形成してから酸化処理に送られる。
<リン酸エステル化処理>
酸化処理以外のアニオン変性処理の一例として、原料パルプに対し、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸基、又は亜リン酸基を導入する処理を挙げることができる。本明細書では、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸基、又は亜リン酸基を導入することをまとめて、「リン酸エステル化」と呼ぶこととする。リン酸エステル化処理の方法としては、原料パルプに対し、リン酸系化合物の粉末や水溶液を混合する方法、原料パルプのスラリーに対し、リン酸系化合物の水溶液を添加する方法等が挙げられる。リン酸系化合物としては、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸あるいはこれらのエステルが挙げられる。これらは塩の形態であってもよい。中でも、低コストであり、扱いやすく、また、解繊効率の向上が図れるなどの理由から、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が好ましい。これらの1種、あるいは2種以上を併用することで原料パルプにリン酸基を導入することができる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、下記解繊工程で解繊しやすく、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が特に好ましい。特にリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムが好ましい。また、反応を均一に進行できかつリン酸基導入の効率が高くなることから前記リン酸系化合物は水溶液として用いることが望ましい。リン酸系化合物の水溶液のpHは、リン酸基導入の効率が高くなることから7以下であることが好ましいが、パルプ繊維の加水分解を抑える観点からpH3〜7が好ましい。
リン酸エステル化パルプの製造方法の例として、以下の方法を挙げることができる。固形分濃度0.1〜10質量%の原料パルプの懸濁液に、リン酸系化合物を撹拌しながら添加して原料パルプのセルロースにリン酸基を導入する。原料パルプを100質量部とした際に、リン酸系化合物の添加量はリン元素量として、0.2〜500質量部であることが好ましく、1〜400質量部であることがより好ましい。リン酸系化合物の割合が前記下限値以上であれば、CNFとしたときの収率をより向上させることができる。しかし、前記上限値を超えると収率向上の効果は頭打ちとなるので、コスト面から好ましくない。
リン酸系化合物に加えて、他の化合物の粉末や水溶液を混合してもよい。リン酸系化合物以外の他の化合物としては、特に限定されないが、塩基性を示す窒素含有化合物が好ましい。ここでの「塩基性」は、フェノールフタレイン指示薬の存在下で水溶液が桃色から赤色を呈すること、または水溶液のpHが7より大きいことと定義される。本発明で用いる塩基性を示す窒素含有化合物は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、アミノ基を有する化合物が好ましい。例えば、尿素、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。中でも低コストで扱いやすい尿素が好ましい。これらの他の化合物の添加量は原料パルプの固形分100質量部に対して、2〜1000質量部が好ましく、100〜700質量部がより好ましい。反応温度は0〜95℃が好ましく、30〜90℃がより好ましい。反応時間は特に限定されないが、1分〜600分程度であり、30分〜480分がより好ましい。リン酸エステル化反応の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度にエステル化されて溶解しやすくなることを防ぐことができ、リン酸エステル化パルプの収率が良好となる。得られたリン酸エステル化パルプ懸濁液を脱水した後、セルロースの加水分解を抑える観点から、100〜170℃で加熱処理することが好ましい。さらに、加熱処理の際に水が含まれている間は130℃以下、好ましくは110℃以下で加熱し、水を除いた後、100℃〜170℃で加熱処理することが好ましい。
リン酸エステル化パルプのグルコース単位当たりのリン酸エステル置換度は0.001以上0.40未満であることが好ましい。セルロースにリン酸エステル又はリン酸基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、リン酸エステル化パルプは容易にナノ解繊することができる。グルコース単位当たりのリン酸エステル置換度が0.001より小さいと、十分にナノ解繊することができない。一方、グルコース単位当たりのリン酸エステル置換度が0.40より大きいと、膨潤あるいは溶解するため、ナノファイバーとして得られなくなる場合がある。解繊を効率よく行なうために、上記で得たリン酸エステルパルプを煮沸した後、冷水を用いて洗浄することが好ましい。
リン酸エステル化パルプにおけるリン酸エステル基の量(mmol/g)は、以下の方法で測定することができる:
リン酸エステル化したセルロース試料をエタノール、t-ブタノールの順に溶媒置換した後、凍結乾燥する。試料200mgにエタノール15ml及び水5mlを加え、30分間撹拌する。その後、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を10ml加え、70℃で30分間撹拌し、さらに30℃で24時間撹拌する。次いで、指示薬としてフェノールフタレインを加え、塩酸で滴定を行い、下式を用いて算出する:
リン酸エステル基の量〔mmol/g試料〕=(5−(0.1×塩酸滴定量[ml]×3))/0.2。
また、リン酸エステル基の量(mmol/g)を用いて、リン酸エステル化パルプのグルコース単位当たりのリン酸エステル置換度(DS)を、次式によって算出することができる:
DS=0.162×A/(1−0.079×A)
A:リン酸エステル基の量(mmol/g)。
リン酸エステル化によりリン酸エステル又はリン酸基を導入されたパルプ(「リン酸エステル化パルプ」と呼ぶ。)は、次いで、酸化処理に送られるか、あるいは、解繊してリン酸基又はリン酸エステルを有するCNF(「リン酸エステル化CNF」と呼ぶ。)を形成してから酸化処理に送られる。
<硫酸エステル化処理>
酸化処理以外のアニオン変性処理の一例として、原料パルプに対し、硫酸エステル又は硫酸基を導入する硫酸エステル化処理を挙げることができる。本明細書では、硫酸エステル又は硫酸基を導入することをまとめて、「硫酸エステル化」と呼ぶ。硫酸エステル化処理の方法としては、原料パルプに対し、硫酸系化合物の粉末や水溶液を混合する方法、原料パルプのスラリーに対し、硫酸系化合物の水溶液を添加する方法等が挙げられる。硫酸系化合物としては、硫酸、スルファミン酸、クロルスルホン酸、三酸化硫黄などが挙げられる。これらは塩の形態であってもよい。中でも、水系での反応が可能な点から硫酸が好ましい。
硫酸エステル化パルプの製造方法の例として、以下の方法を挙げることができる:
パルプ原料を乾燥させた後、硫酸系化合物の水溶液を添加し、所定時間撹拌する。その後、イオン交換水で洗浄し、硫酸エステル化パルプを製造する。反応時のパルプ濃度は、1〜30質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。硫酸の添加量は原料パルプの固形分100質量部に対して、600〜1500質量部が好ましく、1000〜1200質量部がより好ましい。反応温度は0〜95℃が好ましく、30〜90℃がより好ましい。反応時間は特に限定されないが、1分〜300分程度であり、30分〜120分がより好ましい。硫酸エステル化反応の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度にエステル化されて溶解しやすくなることを防ぐことができ、硫酸エステル化パルプの収率が良好となる。
硫酸エステル化パルプにおける硫酸エステル基の量(mmol/g)は、以下の方法で測定することができる:
硫酸エステル化したセルロース試料をエタノール、t-ブタノールの順に溶媒置換した後、凍結乾燥する。試料200mgにエタノール15ml及び水5mlを加え、30分間撹拌する。その後、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を10ml加え、70℃で30分間撹拌し、さらに30℃で24時間撹拌する。次いで、指示薬としてフェノールフタレインを加え、塩酸で滴定を行い、下式を用いて算出する:
硫酸エステル基の量〔mmol/g試料〕=(5−(0.1×塩酸滴定量[ml]×2))/0.2。
硫酸エステル化により硫酸エステル又は硫酸基を導入されたパルプ(「硫酸エステル化パルプ」と呼ぶ。)は、次いで、酸化処理に送られるか、あるいは、解繊して硫酸基又は硫酸エステルを有するCNF(「硫酸エステル化CNF」と呼ぶ。)を形成してから酸化処理に送られる。
<酸化処理>
上述の酸化処理以外のアニオン変性処理を行ったアニオン変性パルプ又はアニオン変性CNFに対し、セルロース鎖中に残留している水酸基の一部をカルボキシル基にまで酸化する酸化処理を行う。カルボキシル基は、−COOH(酸型)及び−COOM(金属塩型)を含み、式中、Mは金属イオンである。
セルロース中の水酸基の一部をカルボキシル基に酸化する酸化処理は、公知の方法を用いて行うことができる。酸化処理の一例として、原料を、N−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する方法を挙げることができる。この方法により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基(−COOH)又はカルボキシレート基(−COO)とを有するセルロース繊維を得ることができる。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物であり、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル(TEMPO)及びその誘導体(例えば4−ヒドロキシTEMPO)を用いることができる。N−オキシル化合物の使用量は、特に制限されず、例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、好ましくは0.01〜10mmol、さらに好ましくは0.01〜1mmol、さらに好ましくは0.05〜0.5mmolを用いることができる。
臭化物及びヨウ化物とはそれぞれ臭素及びヨウ素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属及びヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物又はヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択することができ、臭化物及びヨウ化物の合計量で、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、好ましくは0.1〜100mmol、さらに好ましくは0.1〜10mmol、さらに好ましくは0.5〜5mmolを用いることができる。
酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸又はそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムは好ましい。酸化剤の適切な使用量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.5〜500mmolが好ましく、0.5〜50mmolがより好ましく、1〜25mmolがさらに好ましく、3〜10mmolが最も好ましい。
酸化処理時の温度は4〜40℃が好ましく、また15〜30℃程度の室温であってもよい。酸化の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。酸化を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを8〜12、好ましくは10〜11程度に維持することが好ましい。反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。酸化処理の時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5〜6時間、例えば、0.5〜4時間程度である。
また、酸化処理は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた反応生成物を、再度、同一又は異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
酸化処理の別の例として、オゾンを含む気体と原料とを接触させることにより酸化する方法を挙げることができる。この酸化処理により、グルコピラノース環の少なくとも2位及び6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50〜250g/mであることが好ましく、50〜220g/mであることがより好ましい。セルロース原料に対するオゾン添加量は、セルロース原料の固形分を100質量部とした際に、0.1〜30質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。オゾン処理温度は、0〜50℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、特に限定されないが、1〜360分程度であり、30〜360分程度が好ましい。オゾン処理の条件がこれらの範囲内であると、過度な酸化及び分解を防ぐことができ、収率が良好となる。オゾン処理を施した後に、酸化剤を用いて、追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は特に限定されず、例えば、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物や、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。例えば、これらの酸化剤を水又はアルコール等の極性有機溶剤中に溶解して酸化剤溶液を作製し、溶液中に原料を浸漬させることにより追酸化処理を行うことができる。
酸化処理の方法としては、上記の中では、N−オキシル化合物及び酸化剤を用いる方法が特に好ましい。N−オキシル化合物及び酸化剤を用いる酸化処理を行うことにより、より透明度の高い分散体を形成することができるCNFを得ることができる。
酸化処理の終了後に、残存するアルカリ金属塩を鉱酸又は有機酸で中和してもよい。また、濾別し、水洗してもよい。また、必要に応じて、乾燥、粉砕、分級等を行ってもよい。
カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有する試料中のカルボキシル基を含むアニオン性基の合計量は、酸化処理を行う前に測定したカルボキシル基以外のアニオン性基の量(mmol/g)と塩酸滴定量(ml)とを用いて、以下の方法で測定することができる:
得られたパルプスラリーを塩酸でpH2.0に調整し、イオン交換水で3回洗浄した後、エタノール、t-ブタノールの順に溶媒置換し、凍結乾燥する。パルプ200mgにエタノール15ml及び水5mlを加え、30分撹拌する。その後、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液10mlを加え、24時間撹拌する。その後、指示薬としてフェノールフタレインを加え0.1Nの塩酸で滴定を行い、下式を用いて算出する:
(1)酸化処理以外のアニオン変性処理がカルボキシアルキル化処理である場合:
アニオン性基の合計量〔mmol/g試料〕=(5−(0.1×塩酸滴定量[ml]))/0.2
(2)酸化処理以外のアニオン変性処理がリン酸エステル化処理である場合:
アニオン性基の合計量〔mmol/g試料〕=((5−(0.1×(塩酸滴定量[ml]−リン酸エステル基の量の測定時の塩酸滴定量[ml]×3)))/0.2)+リン酸エステル基の量
(3)酸化処理以外のアニオン変性処理が硫酸エステル化処理である場合:
アニオン性基の合計量〔mmol/g試料〕=((5−(0.1×(塩酸滴定量[ml]−硫酸エステル基の量の測定時の塩酸滴定量[ml]×2)))/0.2)+硫酸エステル基の量。
上記の方法により測定されるアニオン性基の合計量(すなわち、カルボキシル基以外のアニオン性基と酸化処理により導入されたカルボキシル基との合計量)は、好ましくは、試料の絶乾質量に対して、1.60〜5.00mmol/gであり、さらに好ましくは2.00〜4.00mmol/gである。
<解繊>
酸化処理以外のアニオン変性処理後のパルプ又は酸化処理以外のアニオン変性処理と酸化処理の両方を行った後のパルプを解繊することにより、ナノスケールの繊維径を有するCNFへと変換する。あるいは、酸化処理以外のアニオン変性処理を行ったパルプに解繊処理を行ってから酸化処理を行い、次いで、得られた酸化処理後の繊維に再び解繊処理を施してもよい。
解繊に用いる装置は限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの強力なせん断力を印加できる装置を用いることが好ましい。効率よく解繊するには、50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。前記圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。高圧又は超高圧ホモジナイザーとは、ポンプにより流体を加圧して高圧にし、流路に設けた非常に繊細な間隙より噴出させることにより、粒子間の衝突、圧力差による剪断力等の総合エネルギーによって乳化、分散、解細、粉砕、及び超微細化を行う装置である。高圧ホモジナイザーでの解繊及び分散処理の前に、必要に応じて高速せん断ミキサーなどの公知の混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて予備処理を施してもよい。
解繊により得られるCNFは、平均繊維径が3〜500nm程度であることが好ましく、3〜150nm程度であることがさらに好ましく、3〜20nm程度であることがさらに好ましい。アスペクト比は30以上であることが好ましく、50以上であることがさらに好ましく、100以上であることがさらに好ましい。アスペクト比の上限は限定されないが、500以下程度となる。CNFの平均繊維径及び平均繊維長は、径が20nm未満の場合は原子間力顕微鏡(AFM)を用い、径が20nm以上の場合は電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、ランダムに選んだ200本の繊維について解析し、平均を算出することにより、測定することができる。また、アスペクト比は下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径。
<カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するCNF>
本発明により、カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するCNFを製造することができる。ここでいう「カルボキシル基」は、セルロース鎖の水酸基がカルボキシル基にまで酸化されることにより生じたものをいう。また、「カルボキシル基以外のアニオン性基」は、酸化処理以外の方法によりセルロース鎖の水酸基部分に導入されたカルボキシル基以外のアニオン性基をいう。なお、上述した通り、「カルボキシル基」(−COOH)には、「カルボキシアルキルエーテル」(−ORCOOH)中のカルボキシル基は含まないものとする。
本発明の製法により得られるCNFにおいては、最初の酸化処理以外のアニオン変性処理によりセルロースの3か所(C2位、C3位、C6位)の水酸基の一部がランダムにカルボキシル基以外のアニオン性基に置換されている。さらに、続く酸化処理により、セルロース中に残留していた水酸基の一部が、カルボキシル基にまで酸化されている。酸化処理にN−オキシル化合物と酸化剤とによる処理を用いた場合には、セルロースのC6位に残留していた水酸基の一部がカルボキシル基にまで酸化される。酸化処理にオゾンによる処理を用いた場合には、C2位、C3位、C6位に残留していた水酸基の一部がカルボキシル基にまで酸化される。したがって、本発明の製法により得られるカルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するCNFにおいては、セルロースのC2位、C3位、C6位において、カルボキシル基以外のアニオン性基への置換と、カルボキシル基への酸化(酸化の途中段階のアルデヒド基も含まれる)と、未変性の水酸基とが混合した状態となる。特に、酸化処理にN−オキシル化合物と酸化剤とによる処理を用いた場合には、セルロースのC2位及びC3位の水酸基の一部がカルボキシル基以外のアニオン性基に置換されており、また、C6位は、カルボキシル基以外のアニオン性基への置換と、カルボキシル基への酸化(酸化の途中段階のアルデヒド基も含まれる)と、未変性の水酸基とが混在した状態となる。
CNF中にカルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とが存在することは、例えば、核磁気共鳴装置(NMR)や、赤外分光光度計(IR)を用いて確認することができる。
例えば、カルボキシメチル基の存在は、以下の方法によりNMRを用いて測定することができる:
測定サンプルを40%NaOH水溶液に注ぎこみ6時間撹拌する。その後10M酢酸で中和を行い、水溶液部分を吸引濾過で得る。水溶液部分に対してエタノールを用いて再沈殿を行い、水溶性多糖部分を得る。試料をDOに溶解させた後、5mmのNMRチューブに移すことでNMR測定用サンプルを調製する。機器は、例えば、Varian 500 NMR (500 MHz) 分光光度計(Agilent Technologies, USA)を用いることができる。13C-NMRスペクトルにおいて、180ppm付近にカルボキシル基中のC=Oカーボン由来のシグナルが検出できる。HMBC(Heteronuclear Multiple Bond Coherence)スペクトルにおいて上記C=Oカーボンが、83−86ppm付近のC2位C3位のリングカーボンと交差ピークを有する4.6−4.9ppm付近のメチレン基プロトンとの交差ピークを有することにより、カルボキシメチル基が導入されたことが確認できる。
また、HSQC(Heteronuclear Single Quantum Coherence)スペクトルにおいて75ppm付近のC5との交差ピークを有し、かつHMBCスペクトルにおいて上記C=Oカーボンとの交差ピークを有するメチレン基プロトンが存在することにより、C5位に直接結合したカルボキシル基が存在することが確認できる。
リン酸エステルはIRを用いて測定することにより、リン酸エステル由来のP=Oのピークを1250cm−1、P-O-Cのピークを1058cm−1に検出することができる。この際、カルボキシル基由来のC=O伸縮のピークは、1730cm−1付近に検出される。
硫酸エステルはIRを用いて測定することにより、硫酸エステル由来のS=Oのピークを1240cm−1、S-O-Cのピークを800cm−1に検出することができる。この際、カルボキシル基由来のC=O伸縮のピークは、1730cm−1付近に検出される。
<CNFの分散体>
得られたカルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するCNFは、任意の分散媒に分散させることにより、分散体又はスラリーを形成させることができる。分散媒の種類や分散体/スラリーにおける固形分濃度は所望の用途に合わせて選択すればよい。
本発明により得られるCNFの分散体は、透明度が高いという特徴を有する。例えば、実施例で示したように、水を分散媒として固形分1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザーで20℃、150MPaで1回処理するだけで94.0%以上の透明度を有する分散体を得ることができる。同じ解繊条件では、従来の酸化処理のみがされたCNF(比較例5)では、34.3%の透明度が得られるに過ぎず、従来のCNFに比べて透明度の高い分散体を効率よく製造できることがわかる。なお、本明細書で用いる「透明度」は、以下の方法で測定することができる:
所定の濃度のCNF分散体を調製し、UV−VIS分光光度計 UV−1800(株式会社島津製作所製)を用い、光路長10mmの角型セルを用いて、660nm 光の透過率を測定し、透明度とする。
本発明により得られるCNFの分散体は、粘度が低いという特徴を有する。例えば、固形分1.0%(w/v)とした水分散体について、25℃で回転数60rpmで測定した粘度が好ましくは1000mPa・s以下、さらに好ましくは900mPa・s以下、さらに好ましくは800mPa・s以下、さらに好ましくは700mPa・s以下、さらに好ましくは500mPa・s以下、さらに好ましくは450mPa・s以下、さらに好ましくは300mPa・s以下、さらに好ましくは200mPa・s以下、さらに好ましくは100mPa・s以下であり、また、25℃で回転数6rpmで測定した粘度が好ましくは6000mPa・s以下、さらに好ましくは5000mPa・s以下、さらに好ましくは4000mPa・s以下、さらに好ましくは3000mPa・s以下、さらに好ましくは2000mPa・s以下、さらに好ましくは1000mPa・s以下、さらに好ましくは500mPa・s以下、さらに好ましくは200mPa・s以下となる分散体を形成することができる。CNF分散体の粘度が低いと、他材料との混合が容易などの利点がある。本明細書において、CNF分散体の粘度は、以下の方法で測定することができる:
所定の濃度のCNF分散体を調製し、JIS−Z−8803の方法に準じて、B型粘度計(東機産業社製)を用いて、25℃で、回転数60rpm又は6rpmで、3分後の値を測定する。
<用途>
本発明により得られるカルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するCNFは、粘度が低いため取り扱い性がよい。また、アニオン変性CNFにみられる水への良好な分散性を有しているため、様々な分野に用いることができると考えられる。例えば、これに限定されないが、化粧品、医薬、各種化学用品、塗料、インキ、スプレー、農薬、釉薬、土木、建築、電子材料、難燃剤、家庭雑貨、接着剤、洗浄剤、芳香剤、潤滑用組成物などで、増粘剤、ゲル化剤、糊剤、賦形剤、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、研磨剤、ゴム・プラスチック用配合材料、保水性付与剤、保形性付与剤、粘度調整剤、乳化安定剤、気泡安定剤、分散安定剤、泥水調整剤、ろ過助剤、溢泥防止剤などとして使用することができると考えられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りがない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<実施例1>
回転数を150rpmに調節した二軸ニーダーに、水130部と、水酸化ナトリウム20部を水10部とイソプロパノール(IPA)90部の混合溶媒に溶解したものとを加え、広葉樹パルプ(日本製紙(株)製、LBKP)を100℃、60分間乾燥した際の乾燥質量で100部仕込んだ。35℃で80分間撹拌、混合しマーセル化処理を行った。さらに撹拌しつつ水23部とIPA207部の混合溶媒と、モノクロロ酢酸ナトリウム40部とを添加し、30分間撹拌した後、70℃に昇温して90分間エーテル化処理を行った。反応終了後、pH7になるまで酢酸で中和、含水メタノールで洗浄、脱液、乾燥、粉砕して、CM化パルプのナトリウム塩を得た。得られたCM化パルプにおけるカルボキシメチルエーテル置換度は0.17であり、カルボキシメチル基の量は1.04mmol/gであった。
次いで、得られたCM化パルプのナトリウム塩20g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)80mgと臭化ナトリウム2.1gを溶解した水溶液600mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を8.2mmol/gになるように添加し、酸化処理を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することで酸化されたCM化パルプを得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は30分であった。
上記の工程で得られた酸化されたCM化パルプを水で1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で1回解繊処理を行い、カルボキシメチルエーテルとカルボキシル基とを有するCNFの水分散体を得た。得られたCNFのアニオン性基の合計量を前述の方法で測定したところ、2.31mmol/gであった。得られた分散体の透明度及び粘度を前述の方法で測定した。結果を表1に示す。
<実施例2>
マーセル化処理時の溶媒を水100%とし、エーテル化処理時に水23部とIPA207部の混合溶媒に代えてIPA230部を添加した以外は実施例1と同様にしてカルボキシメチルエーテルとカルボキシル基とを有するCNFを得た。CM化パルプにおけるカルボキシメチルエーテル置換度は0.23であり、カルボキシメチル基の量は1.36mmol/gであった。また、最終的に得られたCNFのアニオン性基の合計量を前述の方法で測定したところ、3.62mmol/gであった。得られた分散体の透明度及び粘度を前述の方法で測定した。結果を表1に示す。
<実施例3>
広葉樹パルプ(日本製紙(株)製、LBKP)100gを尿素120g、リン酸二水素アンモニウム45gを溶解させた水溶液400gに浸漬した後、70℃のオーブンで24時間乾燥させ、さらに150℃で10分間加熱した。その後、イオン交換水で5回洗浄し、リン酸エステル化パルプを得た。リン酸エステル化パルプのリン酸エステル基の量を上述の方法で測定したところ、0.67mmol/gであった。次いで、得られたリン酸エステル化パルプをCM化パルプの代わりに用いて、実施例1と同じ条件で酸化処理を行い、次いで、解繊処理を行った。最終的に得られたCNFのアニオン性基の合計量、分散体の透明度、及び粘度を、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
<実施例4>
広葉樹パルプ(日本製紙(株)製、LBKP)100gを105℃のオーブンで24時間乾燥させた後、60%硫酸水溶液2000gを添加して、50℃で1時間撹拌した。その後、イオン交換水で5回洗浄し、硫酸エステル化パルプを得た。硫酸エステル化パルプの硫酸エステル基の量を上述の方法で測定したところ、0.66mmol/gであった。次いで、得られた硫酸エステル化パルプをCM化パルプの代わりに用いて、実施例1と同じ条件で酸化処理を行い、次いで、解繊処理を行った。最終的に得られたCNFのアニオン性基の合計量、分散体の透明度、及び粘度を、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
<比較例1>
酸化処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、分散体を得た。得られた分散体の透明度及び粘度を前述の方法で測定した。結果を表1に示す。
<比較例2〜4>
酸化処理を行わなかったこと以外はそれぞれ実施例2〜4と同様にして、比較例2〜4の分散体を得た。
<比較例5>
CM化処理を行わずに、酸化処理のみを行った以外は実施例1と同様にして、分散体を得た。得られた分散体の透明度及び粘度を前述の方法で測定した。結果を表1に示す。
Figure 2021075665
表1に示されるように、本発明の製法により得られるCNFの分散体(実施例1〜4)は、酸化処理以外のアニオン変性処理のみが行われた従来の分散体(比較例1〜4)や、酸化処理のみが行われた従来の分散体(比較例5)に比べて、透明度が極めて高く、粘度が低いという特徴を有する。

Claims (7)

  1. 酸化パルプ以外のアニオン変性パルプ又は酸化セルロースナノファイバー以外のアニオン変性セルロースナノファイバーを酸化処理することを含む、カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するセルロースナノファイバーの製造方法。
  2. 前記酸化パルプ以外のアニオン変性パルプ又は酸化セルロースナノファイバー以外のアニオン変性セルロースナノファイバーが、カルボキシアルキル化パルプ又はカルボキシアルキル化セルロースナノファイバー、リン酸エステル化パルプ又はリン酸エステル化セルロースナノファイバー、あるいは、硫酸エステル化パルプ又は硫酸エステル化セルロースナノファイバーである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記酸化パルプ以外のアニオン変性パルプ又は酸化セルロースナノファイバー以外のアニオン変性セルロースナノファイバーが、カルボキシメチル化パルプ又はカルボキシメチル化セルロースナノファイバーである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記酸化パルプ以外のアニオン変性パルプ又は酸化セルロースナノファイバー以外のアニオン変性セルロースナノファイバーが、カルボキシアルキル化パルプ又はカルボキシアルキル化セルロースナノファイバーであり、前記カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するセルロースナノファイバーは、カルボキシアルキルエーテル置換度が0.50以下である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記カルボキシアルキル化パルプ又はカルボキシアルキル化セルロースナノファイバーを、水を溶媒としてマーセル化反応を行い、次いで、水と有機溶媒との混合溶媒下でエーテル化反応を行うことを含む方法により製造することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記酸化処理が、N−オキシル化合物及び酸化剤を用いることを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. セルロース鎖のC2位、C3位、及びC6位の水酸基の少なくとも一部が、カルボキシル基以外のアニオン性基に置換されており、また、上記水酸基の残りの少なくとも一部が、カルボキシル基へと酸化されており、前記カルボキシル基以外のアニオン性基と前記カルボキシル基との合計量が、絶乾質量に対して、1.60〜5.00mmol/gである、カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するセルロースナノファイバー。
JP2019205275A 2019-11-13 2019-11-13 カルボキシル基とカルボキシル基以外のアニオン性基とを有するセルロースナノファイバー及びその製造方法 Pending JP2021075665A (ja)

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