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JP2021063189A - 裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物 - Google Patents

裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物 Download PDF

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JP2021063189A
JP2021063189A JP2019189419A JP2019189419A JP2021063189A JP 2021063189 A JP2021063189 A JP 2021063189A JP 2019189419 A JP2019189419 A JP 2019189419A JP 2019189419 A JP2019189419 A JP 2019189419A JP 2021063189 A JP2021063189 A JP 2021063189A
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Abstract

【課題】裏刷りフィルム用印刷インキ組成物として水性のフレキソ印刷用インキ組成物とすることにより、樹脂フィルム基材に対しても、裏刷り印刷を行うためのフレキソ印刷用インキ組成物を提供すること。【解決手段】顔料、揮発性塩基性化合物で一部又は全てを中和した酸基含有ウレタン樹脂エマルジョン、界面活性剤、水溶性有機溶剤、水を含有し、HLB値3.0〜8.0のアセチレン系界面活性剤をインキ組成物中に0.1〜3.0質量%含有し、水溶性有機溶剤として、沸点60〜200℃の水溶性有機溶剤をインキ組成物中に0.1〜20質量%含有する裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物に関する。
食品、菓子、生活雑貨、ペットフード等には意匠性、経済性、内容物保護性、輸送性などの機能から、各種プラスチックフィルムを使用した包装材料が使用されている。また、多くの包装材料が消費者へアピールする意匠性、メッセージ性の付与を意図してグラビア印刷やフレキソ印刷が施されている。
そして用途の包装材料を得るために、包装材料の基材フィルムの表面に印刷される表刷り印刷、あるいは包装材料の基材フィルムの印刷面に必要に応じて接着剤やアンカー剤を塗布し、フィルムにラミネート加工を施す裏刷り印刷が行われる。
裏刷り印刷では、ポリエステル、ナイロン、アルミニウム箔等の各種フィルム上に色インキ、白インキを順次印刷後、該白インキの印刷層上に、接着剤を用いたドライラミネート加工や、アンカーコート剤を用いたエクストルージョンラミネート加工等によりヒートシールを目的にポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等が積層されている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、水性フレキソインキは薄紙や段ボールなどの紙などの浸透乾燥性の原反において広く使用されており、樹脂フィルム基材に対しては、溶剤性インキによるグラビア印刷方法が多く採用されてきた。そのような中、近年環境配慮型製品の開発が求められ、水性インキが注目を集めている。樹脂フィルム基材への印刷の分野においても、インキの水性化が求められている。しかしながら、水を多く含む水性インキでは表面張力が高くなるため、表面自由エネルギーの低い樹脂フィルム基材を濡らすことが困難であり、特にレベリング性が不良であった(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
特開平05−097959号公報 特開平08−120205号公報 特開2015−067818号公報
本発明の課題は、裏刷りフィルム用印刷インキ組成物として水性のフレキソ印刷用インキ組成物とすることにより、樹脂フィルム基材に対しても、裏刷り印刷を行うためのフレキソ印刷用インキ組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、下記の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物を発明した。
1.顔料、水性ウレタン樹脂エマルジョン、界面活性剤、水溶性有機溶剤、水を含有し、HLB値3.0〜8.0のアセチレン系界面活性剤をインキ組成物中に0.1〜3.0質量%含有し、
水溶性有機溶剤として、沸点60〜200℃の水溶性有機溶剤をインキ組成物中に0.1〜20質量%含有する
裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物。
2.アルカリ可溶性水溶性樹脂を含有する1.に記載の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物。
3.アルカリ可溶性水溶性樹脂が、アクリル系樹脂である2.に記載の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物。
4.さらに、カルボジイミド系硬化剤及び/又はアジリジン系硬化剤を含有する1.〜3.のいずれかに記載の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物。
本発明の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物は、特定の樹脂と特定の界面活性剤を組み合わせることにより、優れた樹脂フィルムへの密着性、耐ブロッキング性、レベリング性、トラッピング性、耐ボイル性をバランス良く発揮することができる。
以下、本発明の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物についてより詳しく説明する。
<顔料>
本発明では、印刷インキにおいて一般的に用いられている各種無機顔料及び/又は有機顔料等を使用できる。
無機顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料を挙げることができる。
有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。
上記顔料の含有量としては、本発明の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物中に0.5〜50.0質量%が好ましい。裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物中の顔料の含有量が上記の範囲より少ないと、インキ組成物としての着色力が低下し、上記の範囲より多いと、インキ組成物の粘度が高くなり、印刷物が汚れやすくなる。
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂としては、水性ウレタン樹脂エマルジョンが使用できる。
<水性ウレタン樹脂エマルジョン>
水性ウレタン樹脂エマルジョンとしては、酸価が10〜100mgKOH/gのものが好ましい。なお、エマルジョンとしてハイドロゾルを包含する。
水性ウレタン樹脂エマルジョンとしては、有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物を反応させて、ウレタンプレポリマーを合成した後、鎖伸長剤、反応停止剤を反応させて得られるものであって、乳化剤の存在下で水中に分散させる方法、あるいは分子内に遊離のカルボキシル基を導入し、塩基性化合物および必要に応じて乳化剤の存在下で水中に分散させる方法により得られる酸基含有ウレタン樹脂エマルジョンである。これらの中でも、分子内に遊離のカルボキシル基を導入し、塩基性化合物の存在下で水中に分散させる方法により得られる酸基含有ウレタン樹脂エマルジョンが好ましい。
有機ジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4−シクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物を挙げる事ができる。その中でも、各種フィルムに対する接着性や水性印刷インキの再溶解性を良好にするという点から、脂環族または芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が好ましい。
高分子ジオール化合物としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖状グリコール類、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール等の分岐グリコール類、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエーテル系ジオール類等の低分子量ジオール成分と、アジピン酸、フタル酸などの二塩基酸成分との重縮合、あるいは、ラクトン類などの環状エステル化合物の開環反応によって得られるポリエステルジオール類、また、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフラン等を単独重合もしくは共重合して得られるポリエーテルジオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物、更には、アルキレンカーボネート、ジアリルカーボネート、ジアルキルカーボネート等のカーボネート成分あるいはホスゲンと、前記低分子量ジオール成分とを反応させて得られるポリカーボネートジオール類、ポリブタジエングリコール類等が挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂を塩基性化合物の存在下で水性化するための、遊離のカルボキシル基を有する高分子ジオール化合物としては、前記高分子ジオール成分と無水ピロメリット酸などの四塩基酸無水物を反応させるか、あるいは、ジメチロールプロピオン酸やジメチロールブタン酸等を開始剤として、ラクトン類を開環重合して得られる高分子ジオール化合物を使用する事ができる。
これらの高分子ジオール化合物の数平均分子量としては、500〜4,000のものが好適に使用できる。
プラスチックフィルムとの接着性やラミネート適性等の面から、高分子ジオール化合物としては、ポリエステルジオール類、ポリカーボネートジオール類が好適に使用でき、さらにボイル・レトルト適性の面からは、ポリエステルジオール類が好適に使用できる。
さらに、カルボン酸基含有ポリウレタン樹脂を得る目的で、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボン酸基を有するポリオール化合物を共重合成分としたり、1,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のアルカンジオールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の低分子ジオール化合物を単独又は2種以上混合して併用することができる。
次に、ウレタンプレポリマーの鎖伸長に用いる鎖伸長剤について説明する。
鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ヒドラジン、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、イソホロンジアミン等の脂肪族および脂環族ジアミン類、N−メチルジアミノエチルアミン、N−エチルジアミノエチルアミン等のN−アルキルジアミノアルキルアミン化合物の単独または混合物を挙げることができ、さらにこれらと併用できる鎖伸長剤としては、グリセリン、1,2,3−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール類、1,3,5−シクロヘキサントリオール等の脂環族ポリオール類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン類を挙げることもできる。
ポリウレタン樹脂を塩基性化合物の存在下で水性化するための、遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤としては、次の一般式(1):
Figure 2021063189
(式中、Rは、水素原子、あるいは1〜8個の炭素原子を有する直鎖状または側鎖を有するアルキル基を表す)で示される化合物、あるいはコハク酸、アジピン酸等と低級ポリオールとを反応させて得られる脂肪族カルボン酸含有ポリオール類、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸またはその無水物とポリオールとを反応させて得られる芳香族カルボン酸含有ポリオール類を挙げる事ができる。
さらに、プラスチックフィルムに対するより高い接着性と優れたラミネート強度を印刷インキに付与させることを目的として、分子内にヒドラジン残基を有する鎖伸長剤が使用でき、具体的には例えば次の一般式(2):
Figure 2021063189
(式中、Rは2〜15個の炭素原子を有するアルキレン基、6〜15個の炭素原子を有する2価の脂環族あるいは芳香族基、3〜5個の窒素原子を有するポリエチレンポリアミンの一級アミノ基を除いた残基、Rは水素原子またはメチル基を表す)で示されるポリアミノヒドラジドをあげることができる。
上記一般式(2)の鎖伸長剤は、従来公知の方法(特公平3−8649公報)に従って、まず、ポリアミンと(メタ)アクリル酸誘導体のマイケル付加化合物を得た後、ヒドラジンと(メタ)アクリル酸エステル部のエステル交換により得る事ができる。
一般式(2)で表される分子構造の鎖伸長剤は、鎖伸長後もヒドラジン残基がポリウレタン樹脂内に残り、フィルム表面などと架橋することにより良好な接着性を得ることができるものである。
ここで、ポリアミノヒドラジドの合成に使用できるポリアミンとしては、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等、2〜15個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン、ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノビシクロメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン等、6〜15個の炭素原子を有する脂環族あるいは芳香族ジアミン、更にジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の3〜5個の窒素原子を有するポリエチレンポリアミンを挙げる事ができる。
(メタ)アクリル酸誘導体としては、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル、アミノアルキルエステルなどを挙げる事ができ、その中でも反応性の面からアクリル酸誘導体が好ましい。
次に、反応停止剤について説明する。
反応停止剤とは、ウレタンプレポリマーを鎖伸長剤で鎖伸長した後、未反応のイソシアネート基と反応させて、反応性を消失させるために使用されるものである。
通常利用される反応停止剤としては、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン等のN,N−ジ−n−ブチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン、メタノール、エタノール等のモノアルコール、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等のポリアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’−ジ(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類等の両末端が1級アミノ基であるポリアミン化合物を挙げる事ができる。
さらに、ポリウレタン分子内にヒドラジン残基を導入するために使用される反応停止剤としては、イソシアネート基と反応するための官能基とヒドラジン残基を有する化合物であり、前記ポリアミノヒドラジドが好適に使用できる他、ヒドラジン、次の一般式(3):
Figure 2021063189
(式中、Xは1〜8個の炭素原子を有するアルキレン基、あるいは1〜10個の炭素原子を有する飽和または不飽和二塩基酸の残基を表す)で示される、アルキレンジヒドラジンまたは飽和脂肪族二塩基酸、不飽和二塩基酸のジヒドラジド化合物等も使用できる。
ここでアルキレンジヒドラジンとして、具体的にはメチレンジヒドラジン、エチレンジヒドラジン、ブチレンジヒドラジン等を挙げる事ができる。また、飽和脂肪族二塩基酸のジヒドラジド化合物として、具体的にはシュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等を挙げる事ができ、更に不飽和二塩基酸のジヒドラジド化合物として、具体的にはフタル酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等を挙げる事ができる。
以上の有機ジイソシアネート化合物、高分子ジオール化合物、鎖伸長剤および反応停止剤を用いて、ポリウレタン樹脂を製造する方法を以下に説明する。
上記有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物の使用比率は、イソシアネート基:水酸基の当量比(イソシアネートインデックス)が、通常、1.2:1〜3.0:1、より好ましくは1.3:1〜2.0:1となる範囲である。上記のイソシアネートインデックスが1.2より小さくなると、柔軟なポリウレタン樹脂となる傾向があり、インキを印刷した時に耐ブロッキング性等が低いとき等は、他の硬質の樹脂と併用することが好ましい場合がある。
そして、有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物を、上記のモル比率で混合した後、両者の反応性に応じて、溶媒や触媒の使用の要否や種類、反応温度等を決定し、既知の方法で反応させて、ウレタンプレポリマーを合成する。次いで、鎖伸長剤、反応停止剤を順次反応させて製造を完結する。
なお、鎖伸長剤および反応停止剤として同一化合物を使用する方法、および、鎖伸長剤と反応停止剤を同時に添加する方法でも差し支えない。
これらのウレタンプレポリマーからポリウレタン樹脂を製造する方法は、ポリウレタン樹脂の各々の分子がほぼ均一な構造を有する他、分子量のばらつきが少なく好適である。
以上の材料と製造方法より得られるポリウレタン樹脂の中で、本発明中のポリウレタン樹脂としては、数平均分子量が、5,000〜200,000、好ましくは70,000〜100,000のものである。数平均分子量が前記範囲未満では、樹脂皮膜は弾性に乏しく、脆弱なものとなり、一方数平均分子量が前記範囲を超えると、塩基性化合物の存在下で水中に溶解させた水性ポリウレタン樹脂では粘度が高くなり、また、乳化剤および/または塩基性化合物の存在下で水中に分散させた水性ポリウレタン樹脂では分散性が低下する。
次に、本発明のポリウレタン樹脂を水性ワニス化する方法について説明する。まず、主として、分子内に遊離のカルボキシル基を有しないポリウレタン樹脂を水性ワニス化する方法としては、乳化剤の存在下で水中にポリウレタン樹脂を分散させる方法を用いる。
この方法としては、以下の二つの方法が利用できる。
a.有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物を反応させて得られたウレタンプレポリマーを、乳化剤存在下で水中に分散させた後、鎖伸長剤で鎖伸長し、反応停止剤で反応停止する方法。
b.該ウレタンプレポリマーを酢酸メチルなどの水混和性溶剤に溶解させて、鎖伸長剤で鎖伸長し、反応停止剤で反応停止した後、乳化剤を含有した水と混合し、溶剤を留去する方法。
これらの方法で使用する乳化剤としては、例えば高級アルコール硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類などの陰イオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン誘導体等の非イオン系界面活性剤を挙げる事ができ、単独または混合して使用できる。
一方、ポリウレタン分子内に遊離のカルボキシル基を導入し、揮発性塩基性化合物および必要に応じて乳化剤の存在下で水中に分散させる方法としては、前記遊離のカルボキシル基を有する高分子ジオール化合物および/または鎖伸長剤を用いて、鎖伸長段階で水中に溶解または分散させた後、反応停止する方法が利用できる。ここで、遊離のカルボキシル基を有する高分子ジオール化合物および鎖伸長剤のトータルの使用量は、当該ポリウレタン樹脂の酸価を5〜100、より好ましくは10〜60とする範囲である。
酸価が前記範囲より低い場合には、得られるポリウレタン樹脂が水系で安定な自己乳化状態を維持するのが困難となり、一方酸価が前記範囲を超えると、得られる樹脂皮膜が硬くなり過ぎて、良好な皮膜物性を有する印刷インキが得られなくなる。
(塩基性化合物)
本発明において使用する上記のポリウレタン分子内に遊離のカルボキシル基を導入したウレタン樹脂は、そのカルボキシル基の一部又は全部が塩基性化合物により中和される。
その塩基性化合物としては、揮発性の塩基性化合物が好ましい。揮発性の塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミンが例示でき、中でもアンモニアが好ましい。乾燥性に関する性能が低下しない範囲で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ジアザビシクロオクテン等の不揮発性アミン化合物も併用することが可能である。
以上の方法から得られる水性ウレタン樹脂エマルジョンの中でも、一般に高い乾燥性、耐水性が要求される場合は、揮発性塩基性化合物の存在下で水中に分散させた水性ポリウレタン樹脂エマルジョンが有利であり、それに対して、顔料分散性、印刷再現性が要求される場合は、乳化剤の存在下で水中に分散させた水性ポリウレタン樹脂エマルジョンの使用が有利であり、この場合、さらに顔料分散用樹脂または顔料分散剤を併用することがより望ましい。
本発明の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物中に、水性ポリウレタン樹脂エマルジョンの固形分量として5〜25重量%することが好ましい。ポリウレタン樹脂固形分が前記の範囲より少なくなると、ポリエステルやナイロンフィルムに対する接着性、ラミネート強度が低下し、一方前記範囲より多くなるとポリオレフィン系フィルムに対する接着性やダイレクトラミネート適性が低下して好ましくない。
<アルカリ可溶性水溶性樹脂>
本発明にて使用され得るアルカリ可溶性樹脂(アルカリ可溶性水溶性樹脂)は、酸基の一部又は全部が塩基性化合物により中和されてなるアルカリ可溶性樹脂である。
このようなアルカリ可溶性樹脂を構成する単量体成分は、カルボキシル基を有する単量体、顔料との吸着性を向上させるための疎水性基を含有する単量体、及び重合可能な他の単量体からなる。
カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸、無水シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル等を使用できる。
顔料との吸着性を向上させるための疎水性基を含有する単量体としては、好ましくは、炭素数6〜20の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート、なかでも、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシステアリル(メタ)アクリレート等がより好ましく、さらに、スチレン系単量体として、スチレン、α−スチレン、ビニルトルエン等を使用できる。
重合可能な他の単量体としては、アルカリ可溶性樹脂の性質を損なわない範囲にて使用できる単量体であり、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシルなどの(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を使用できる。
なかでも、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、アクリル・マレイン酸共重合体等のアクリル系樹脂が好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂の酸価としては40〜300mgKOH/gが好ましく、より好ましくは70〜250mgKOH/gである。アルカリ可溶性樹脂の酸価が40mgKOH/gより低いと、得られるアルカリ可溶性樹脂の水性分散液の分散安定性が低下する場合があり、一方300mgKOH/gより大きいと、親水性が高くなり過ぎるため、貯蔵安定性、耐水性が低下する場合がある。
前記アルカリ可溶性樹脂の分子量としては、通常重量平均分子量が3,000〜200,000であるのが好ましく、より好ましくは10,000〜50,000である。アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が3,000未満の場合には顔料の分散安定性や得られる印刷物の耐擦過性が低下する傾向にあり、一方200,000を超えると、粘度が高くなるため好ましくない。
裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物中に、アルカリ可溶性樹脂の配合量は固形分で、好ましくは0.5〜5.0質量%、さらに好ましくは1.0〜3.0質量%である。
なお、酸価は、アルカリ可溶性樹脂を合成するために用いる単量体の組成に基づいて、アルカリ可溶性樹脂1gを中和するのに理論上要する水酸化カリウムのmg数を算術的に求めた理論酸価である。
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater 2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel 5μm MIXED−D(Agilent Technologies社製)を使用してクロマトグラフィーを行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
(塩基性化合物)
本発明において使用するアルカリ可溶性樹脂を中和する塩基性化合物としては、従来公知のものが使用できる。
その塩基性化合物としては、揮発性の塩基性化合物が好ましい。揮発性の塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミンが例示でき、中でもアンモニアが好ましい。乾燥性に関する性能が低下しない範囲で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ジアザビシクロオクテン等の不揮発性アミン化合物も併用することが可能である。
<HLB値3〜8のアセチレン系界面活性剤>
耐ブロッキング性、レベリング性等を共に向上させる点から、HLB値3.0〜8.0のアセチレン系界面活性剤を含有させることが必要である。このような界面活性剤としては、下記式(4)にて示される化合物を基礎とするサーフィノール104E、104H、104A、104PA、104PG−50、104S、SE、SE−F465、485等を挙げることができる。
Figure 2021063189
裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物中のHLB値3.0〜8.0のアセチレン系界面活性剤の含有量としては0.1〜5.0質量%であり、なかでも0.1〜3.0質量%が好ましく、0.1〜1.5質量%がより好ましい。
このようなHLB値3〜8のアセチレン系界面活性剤を所定量配合することにより、耐ブロッキング性、レベリング性及びトラッピング性をバランス良く発揮できる。
<その他の界面活性剤>
上記のHLB値3.0〜8.0のアセチレン系界面活性剤による効果を阻害しない範囲で、その他の界面活性剤を添加することができる。その他の界面活性剤としては、HLB値が3.0未満または8.0を超えるサーフィノール465、485等のアセチレングリコール系界面活性剤及びその誘導体、BYK−381、3441、302、307、325、331、333、342、345、346、347、348、349、378、3455(ビックケミー・ジャパン(株)製)等のシリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が例示できる。
<沸点60〜200℃の水溶性有機溶剤>
水性溶媒としては水と共に使用される水溶性有機溶剤として、例えば、モノアルコール類、多価アルコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ケトン類、エーテル類、エステル類、窒素含有化合物類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記モノアルコール類としては、メタノール(65℃)、エタノール(78℃)、n−プロパノール(97℃)、n−ブタノール(118℃)、n−ペンタノール(138℃)、n−ヘキサノール(157℃)、n−ヘプタノール(176℃)、n−オクタノール(195℃)、またはこれらの異性体、シクロペンタノール(139℃)、シクロヘキサノール(161℃)等が挙げられ、好ましくはアルキル基の炭素数が1〜6のアルコールを使用できる。
上記多価アルコール類としては、エチレングリコール(197℃)、プロピレングリコール(188℃)、等を使用できる。
上記多価アルコールの低級アルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル(125℃)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(142℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(171℃)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(161℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(121℃)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(150℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(187℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(162℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(176℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(189℃)等が挙げられる。なお、括弧内の数値は沸点を示したものである。
なかでも、エタノール、n−プロパノール、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを採用することが好ましい。
上記水溶性有機溶剤の含有量は、裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物中0.1〜20質量%、好ましくは1.0〜10.0質量%、さらに好ましくは2.0〜7.0質量%である。水溶性有機溶剤を含有しない場合はレベリング性が低下することになり、20質量%を超えるときには乾燥不良や耐ブロッキング性が低下する。
また沸点が200℃を超える水溶性有機溶剤を添加する場合には、乾燥不良や耐ブロッキング性が低下する可能性があり、沸点が60℃未満の水溶性有機溶剤を添加する場合には、レベリング性が低下する可能性がある。このような沸点の範囲の水溶性有機溶剤を上記の含有量の範囲として使用することにより、インキ組成物を非危険物として取り扱うことが可能になる。
<硬化剤>
さらに、本発明の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物には、耐ボイル性付与のために、カルボジイミド系硬化剤、アジリジン系硬化剤等の硬化剤を含有させることが好ましい。
カルボジイミド系硬化剤としては、カルボジライトV−02、V−02−L2、SV−02、V−04、V−10等の水溶性タイプ、カルボジライトE−02、E−03A、E−05等のエマルジョンタイプ(いずれも、日清紡ケミカル(株)製)が利用できる。
アジリジン系硬化剤としては、分子内に少なくとも2個以上のアジリジン基(アジリジニル基)を含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−アジリジニル)ブチレート]、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−(2−メチル)アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−アジリジニル)−2−メチルプロピオネート]、ペンタエリスリトール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラ[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリス(1−(2−メチル)アジリジニル)フォスフィンオキサイド、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、エチレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ポリエチレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、プロピレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ポリプロピレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、テトラメチレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ポリテトラメチレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、N,N’−テトラメチレンビスエチレン尿素、N,N’−ヘキサメチレンビスエチレン尿素、N,N’−フェニレンビスエチレン尿素、N,N’−トルイレンビスエチレン尿素、N,N’−ジフェニル−4,4’−ビスエチレン尿素、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ビスエチレン尿素、ジフェニルメタンP,P−ビスエチレン尿素、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、ビス[1−(2−エチル)アジリジニル]ベンゼン−1,3−カルボン酸アミド等が挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−アジリジニル)ブチレート]、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−(2−メチル)アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−アジリジニル)−2−メチルプロピオネート]、ペンタエリスリトール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラ[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]などのようなアジリジニル基を3個またはそれ以上有するポリアジリジンが好ましく使用される。また、多官能性アジリジン化合物として、アジリジニル基と反応可能な官能基を2個以上有するポリエステルおよびポリカーボネートから選ばれる少なくとも1種とアジリジニル基を2個以上有するアジリジン化合物とを反応させてなる、アジリジンプレポリマーを用いてもよい。更に、樹脂が水酸基を有する場合、イソシアネート架橋剤を併用することもできる。
これらの硬化剤を配合する際には、水性ウレタン樹脂エマルジョンの酸基の1当量に対して、0.1〜1当量の範囲で使用することが好ましく、0.1〜0.7当量がさらに好ましい。使用量が、0.1当量より少ないと塗膜強度が低下する傾向にあり、一方、1当量より多いとポットライフ(経時安定性)が低下する傾向にある。
<その他添加剤>
その他、インキ性能の必要性に応じて、顔料分散剤、エチレン−アクリル酸共重合体等の耐ブロッキング剤、消泡剤、静電気防止剤等の各種添加剤を含有させる事もできる。
<裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物の製造>
前記の各種材料を使用して、裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物を製造する方法としては、顔料、バインダー樹脂、水性溶媒、及び必要に応じて顔料分散剤を混合して混練し、さらに硬化剤等の所定の材料の残りを添加、混合する方法が一般的である。
<印刷物>
以上の方法により得られる裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物は、フレキソ印刷方式によって、プラスチックフィルムに印刷することができる。
本発明の、裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物が印刷されるプラスチックフィルムとしては、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロンなどの各種プラスチックフィルムが挙げられ、特にコロナ放電処理などの表面処理されたものがより好適である。
<ラミネート印刷物>
さらに本発明の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物の印刷物をラミネート加工する方法としては、上記の各種フィルムに本発明の水性印刷インキ組成物を印刷した後、印刷面にイミン系、イソシアネート系、ポリブタジエン系、チタネート系などの各種アンカーコート剤を塗工し、溶融ポリエチレン樹脂を積層する通常の押出ラミネート法、印刷面にウレタン系などの接着剤を塗工し、プラスチックフィルムを積層するドライラミネート法、およびポリプロピレンフィルムに本発明の水性印刷インキ組成物を印刷した後、印刷面に直接溶融ポリプロピレン樹脂を積層するダイレクトラミネート法のいずれもが利用できる。
本発明の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物は、水性でありながらいずれのラミネート加工法でも良好なラミネート適性を有している。
なお、通常の押し出しラミネートおよびドライラミネート法を使用してラミネート加工する場合は、アンカーコート剤あるいは接着剤として水性のものを使用することにより、残留溶剤が少ないラミネート加工物が得られ、食品衛生などでより有利となる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
(水性ウレタン樹脂エマルジョンの製造)
温度計、撹拌機、冷却管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量1,000のポリネオペンチルアジペートジオール300部、およびイソホロンジイソシアネート133.2部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、撹拌下100〜105℃で4時間反応させ、次いで、ジメチロールプロピオン酸24.1部を仕込み、100〜110℃で2時間反応させた。ジメチロールプロピオン酸が完全に反応した事を確認後、100℃まで冷却し、水1128部およびトリエチルアミン20.2部を仕込んで水性化し、更に、アジピン酸ジヒドラジン34.8部で反応停止させ、固形分30%、樹脂酸価24の水性ポリウレタン樹脂溶液を得た。
(水溶性アクリル樹脂)
スチレン・ラウリルメタクリレート・アクリル酸共重合体(酸価100mgKOH/g、重量平均分子量11000、アンモニア中和、固形分28質量%)
(アセチレン系界面活性剤)
アセチレン系界面活性剤1:2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、HLB値4
アセチレン系界面活性剤2:アセチレン系界面活性剤1のエチレンオキシド付加物、HLB値6
アセチレン系界面活性剤3:アセチレン系界面活性剤1のエチレンオキシド付加物、HLB値13
アセチレン系界面活性剤4:アセチレン系界面活性剤1のエチレンオキシド付加物、HLB値17
(硬化剤)
硬化剤1:SU−125F(アジリジン系硬化剤、固形分25%、明成化学工業社製)
硬化剤2:カルボジライトE−02(カルボジイミド系硬化剤、固形分40%、日清紡ケミカル社製)
硬化剤3:カルボジライトE−05(カルボジイミド系硬化剤、固形分40%、日清紡ケミカル社製)
<フィルム>
PET:片面にコロナ放電処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム、東洋紡(株)製、E−5101、厚さ12μm
OPP:コロナ放電した二軸延伸ポリプロピレンフィルム、東洋紡(株)製 P−216
1、厚さ25μm
NY:ナイロンフィルム、東洋紡(株)製、N−1102、厚さ15μm
<裏刷り用水性フレキソ印刷藍色インキ組成物>
藍顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)、水溶性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂溶液をレッドデビル社製のペイントコンディショナーを用いて混練し、更に、アセチレン系界面活性剤、水溶性有機溶剤、硬化剤を加えて撹拌し、表1に示した実施例1〜10、13〜16、比較例1〜7の裏刷り用水性フレキソ印刷藍色インキ組成物を得た。
<裏刷り用水性フレキソ印刷白色インキ組成物>
白顔料(酸化チタン、商品名「R−960」、デュポン社製)、水溶性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂溶液をレッドデビル社製のペイントコンディショナーを用いて混練し、更に、アセチレン系界面活性剤、水溶性有機溶剤、硬化剤を加えて撹拌し、表1に示した実施例11、12、比較例8、9の裏刷り用水性フレキソ印刷白色インキ組成物を得た。
<印刷物1の製造>
裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷藍色インキ組成物(実施例1〜10、13〜16、比較例1〜7)を各フィルムの処理面にフレキソ印刷機を利用し、下記条件で印刷、乾燥させて、印刷物を得た。得られた印刷物を用いて、基材密着性、耐ブロッキング性、レベリング性、耐ボイル性の評価を行った。具体的な評価方法を以下に示す。
(印刷方法・印刷条件)
印刷時部屋内の環境:温度25℃、湿度50%
塗工機 :フレキソ印刷機
塗工速度:150m/min
刷版 :ベタ版
乾燥温度:55℃
<印刷物2の製造>
フィルムの処理面にフレキソ印刷機を利用して裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷藍色インキ組成物(実施例1〜10、13〜16、比較例1〜7)を下記条件で印刷、乾燥させた。次いで、裏刷り用フィルム用水性フレキソ印刷白色インキ組成物(実施例11、12、比較例8、9)を表1の重ね刷りとなるように下記条件で印刷、乾燥させて、印刷物を得た後、重ね刷り適性を評価した。具体的な評価方法を以下に示す。
(印刷方法・印刷条件)
印刷時部屋内の環境:温度25℃、湿度50%
塗工機 :フレキソ印刷機
塗工速度:150m/min
刷版 :藍色及び白色を印刷する印刷版:ベタ版
乾燥温度:55℃
(基材密着性)
印刷面にセロハンテープを貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜がフィルムから剥離する度合いから、接着性を評価した。
A:印刷皮膜がフィルムから全く剥離しない。
B:印刷皮膜の面積比率として、20%未満がフィルムから剥離した。
C:印刷皮膜の面積比率として、20%以上、50%未満がフィルムから剥離した。
D:印刷皮膜の面積比率として、50%以上がフィルムから剥離した。
(耐ブロッキング性)
印刷面と非印刷面を合わせて、バイスでしめこみ、40℃で1日後に手で剥がし、インキの剥離の程度と剥離抵抗の強度から耐ブロッキング性を評価した。
A:印刷皮膜の剥離が全くなく、剥離抵抗も感じられない。
B:印刷皮膜の剥離が全くないが、剥離抵抗が感じられた。
C:印刷皮膜が少し剥離し、剥離抵抗が強く感じられた。
D:印刷皮膜がほとんど剥離し、剥離抵抗が強く感じられた。
(レベリング性)
印刷物のベタ部を拡大して観察し、目視にて印刷物のレベリング性を評価した。
A:濃淡のムラがなく、均一であった。
B:わずかに濃淡のムラがあった。
C:点抜けが目立った。
D:点抜けが多く、波状の模様がみえた。
(トラッピング性)
フレキソ印刷機を用いて、各添加剤を含有した希釈藍色インキを印刷後に、希釈白インキを印刷し、得られた印刷物について目視で評価した。
A:濃淡のムラがなく、均一であった。
B:わずかに濃淡のムラがあった。
C:上刷りインキのにじみが見られた。
D:上刷りインキのにじみ、波状の模様が見られた。
(耐ボイル性)
印刷後1日経過した各PETフィルム印刷物、各NYフィルム印刷物に、固形分で2.0g/mとなる量のウレタン系接着剤(タケラックA−616/タケネートA−65、三井化学ポリウレタン社製)を塗布した後、ドライラミネート機で無延伸ポリプロピレンフィルム(RXC−22、厚さ60μm、東セロ社製)を貼り合わせ、40℃で3日放置してドライラミネート物を得た。このドライラミネート物を製袋し、中に水を詰めて溶封後、90℃の熱水中に30分間浸漬した時のラミネートフィルムの浮きの有無から耐ボイル性を評価した。
A:全くラミ浮きが見られないもの。
B:ピンホール状もしくは一部に細くて短いラミ浮きがみられるもの。
C:長い筋状のラミ浮きが全面にみられるもの。
Figure 2021063189
上記の結果によれば、本発明に沿った例である実施例1〜16によると、基材密着性、耐ブロッキング性、レベリング性、トラッピング性、及び耐ボイル性に優れた裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物を得ることができた。これに対して、HLB値3.0〜8.0のアセチレン系界面活性剤を含有しない比較例1、及び沸点60〜200℃の水溶性有機溶剤を含有しない比較例3のインク組成物では、レベリング性に劣る結果となった。また界面活性剤としてHLB値3.0〜8.0の範囲ではないアセチレン系界面活性剤のみを含有した比較例5、6、8及び9によるとレベリング性が悪化するか、又はさらに悪化した。
さらにHLB値3.0〜8.0のアセチレン系界面活性剤を過剰に含有した比較例2によれば、耐ブロッキング性とトラッピング性が悪化し、沸点60〜200℃の水溶性有機溶剤を過剰に含有した比較例4及び沸点60〜200℃の水溶性有機溶剤を含有せず、この沸点の範囲外の水溶性有機溶媒を含有した比較例7によれば耐ブロッキング性が悪化した。

Claims (4)

  1. 顔料、水性ウレタン樹脂エマルジョン、界面活性剤、水溶性有機溶剤、水を含有し、
    HLB値3.0〜8.0のアセチレン系界面活性剤をインキ組成物中に0.1〜3.0質量%含有し、
    水溶性有機溶剤として、沸点60〜200℃の水溶性有機溶剤をインキ組成物中に0.1〜20質量%含有する
    裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物。
  2. アルカリ可溶性水溶性樹脂を含有する請求項1に記載の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物。
  3. アルカリ可溶性水溶性樹脂が、アクリル系樹脂である請求項2に記載の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物。
  4. さらに、カルボジイミド系硬化剤及び/又はアジリジン系硬化剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の裏刷りフィルム用水性フレキソ印刷インキ組成物。
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