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JP2020515255A - アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントおよび使用の方法 - Google Patents

アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントおよび使用の方法 Download PDF

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JP2020515255A JP2019553009A JP2019553009A JP2020515255A JP 2020515255 A JP2020515255 A JP 2020515255A JP 2019553009 A JP2019553009 A JP 2019553009A JP 2019553009 A JP2019553009 A JP 2019553009A JP 2020515255 A JP2020515255 A JP 2020515255A
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Abstract

本発明は、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントのポリペプチドおよびコード核酸を提供する。本発明はまた、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントを発現する細胞も提供する。本発明は、3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/もしくは1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成するための方法であって、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントを発現する細胞を培養する工程、またはそのような細胞の溶解物を使用する工程を含む方法をさらに提供する。本発明は、4−ヒドロキシブチルアルデヒド(4−HBal)および/もしくは1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成するための方法であって、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントを発現する細胞を培養する工程、またはそのような細胞の溶解物を使用する工程を含む方法をさらに提供する。

Description

本出願は、2017年3月31日に出願された米国仮特許出願第62/480,194号に対する利益を主張し、その全体の内容が本明細書に参考として援用される。
以下の仮国際出願について参照がなされ、それらはその全体が参照により本明細書に組み込まれている:(1)2017年3月31日出願の「3−HYDROXYBUTYRYL−COA DEHYDROGENASE VARIANTS AND METHODS OF USE」という表題の米国仮出願第62/480,208号(代理人整理番号12956−409−888);(2)2017年3月31日出願の「PROCESS AND SYSTEMS FOR OBTAINING 1,3−BUTANEDIOL FROM FERMENTATION BROTHS」という表題の米国仮出願第62/480,270号(代理人整理番号12956−407−888);(3)本出願と同日付出願の「3−HYDROXYBUTYRYL−COA DEHYDROGENASE VARIANTS AND METHODS OF USE」という表題の国際特許出願第_号(代理人整理番号12956−409−228);および(4)本出願と同日付出願の「PROCESS AND SYSTEMS FOR OBTAINING 1,3−BUTANEDIOL FROM FERMENTATION BROTHS」という表題の国際特許出願第_号(代理人整理番号12956−407−228)。
本出願は、2018年3月27日に作成された「12956−408−228_Sequence_Listing.txt」という表題の、498,061バイトのサイズを有する、ASCIIテキストファイルとしての配列表を参照により本明細書に組み込む。
本発明は一般に、所望の生成物を生成するように工学的に操作された生物体、所望の生成物の生成を促進する工学的に操作された酵素に、より具体的には3−ヒドロキシブチルアルデヒド、1,3−ブタンジオール、4−ヒドロキシブチルアルデヒド、1,4−ブタンジオールなどの所望の生成物ならびに関連する生成物およびそれに由来する生成物を生成する酵素および細胞に関する。
様々な大量生産型化学製品が、商業的用途のための所望の製品を製造するために用いられる。大量生産型化学製品の多くは、石油に由来する。そのような大量生産型化学製品は、溶媒、樹脂、ポリマー前駆体および特殊化学品としての用途を含む、様々な用途を有する。所望の大量生産型化学製品としては、4炭素分子、例として、上流前駆体および下流生成物である1,4−ブタンジオールおよび1,3−ブタンジオールが挙げられる。石油ベースの製品のための再生可能な供給源を提供するための、ならびにより低いエネルギーおよび資本集約的なプロセスを提供するための、大量生産型化学製品の生成のための方法を開発することは望ましい。
したがって、所望の生成物の生成を促進する方法の必要性が存在している。本発明は、この必要性を満たし、関連する利点も提供する。
本発明は、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントのポリペプチドおよびコード核酸を提供する。本発明はまた、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントを発現する細胞も提供する。本発明は、3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/もしくは1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成するための方法であって、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントを発現する細胞を培養する工程、またはそのような細胞の溶解物を使用する工程を含む方法をさらに提供する。本発明は、4−ヒドロキシブチルアルデヒド(4−HBal)および/もしくは1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成するための方法であって、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントを発現する細胞を培養する工程、またはそのような細胞の溶解物を使用する工程を含む方法をさらに提供する。
図1は、アルデヒドデヒドロゲナーゼを含む例示的な1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)経路を示す。図1は、アセトアセチルCoAから1,3−ブタンジオールへの経路を示す。酵素は:(A)アセトアセチルCoAレダクターゼ(CoA依存型、アルデヒド形成);(B)3−オキソブチルアルデヒドレダクターゼ(ケトン還元);(C)1,3−ブタンジオールデヒドロゲナーゼとも本明細書で呼ばれる3−ヒドロキシブチルアルデヒドレダクターゼ;(D)アセトアセチルCoAレダクターゼ(CoA依存型、アルコール形成);(E)3−オキソブチルアルデヒドレダクターゼ(アルデヒド還元);(F)4−ヒドロキシ,2−ブタノンレダクターゼ;(G)アセトアセチルCoAレダクターゼ(ケトン還元);(H)3−ヒドロキシブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼとも本明細書で呼ばれる3−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼ(アルデヒド形成);および(I)3−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼ(アルコール形成)である。
図2は、アルデヒドデヒドロゲナーゼを含む例示的な1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)経路を示す。生合成反応を触媒する酵素は:(1)スクシニルCoAシンテターゼ;(2)CoA非依存型コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ;(3)α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ;(4)グルタミン酸:コハク酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ;(5)グルタミン酸デカルボキシラーゼ;(6)CoA依存型コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ;(7)4−ヒドロキシブタン酸デヒドロゲナーゼ(4−ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼとも呼ばれる);(8)α−ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ;(9)4−ヒドロキシブチリルCoA:アセチルCoAトランスフェラーゼ;(10)酪酸キナーゼ(4−ヒドロキシ酪酸キナーゼとも呼ばれる);(11)ホスホトランスブチリラーゼ(ホスホ−トランス−4−ヒドロキシブチリラーゼとも呼ばれる);(12)アルデヒドデヒドロゲナーゼ(4−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼとも呼ばれる);(13)アルコールデヒドロゲナーゼ(4−ヒドロキシブタナールレダクターゼまたは4−ヒドロキシブチルアルデヒドレダクターゼとも呼ばれる)である。
図3は、ALD−1、ALD−2およびALD−3の配列アラインメントを示す。配列は、それぞれ、配列番号1、2および3に対応する。図中の下線部は、2つのループ領域であり、第1番目はAと名付けられ、第2番目はBと名付けられ、両方とも、本明細書で決定されるように基質特異性およびエナンチオマー特異性に関与する。ALD−1のループAは、配列LQKNNETQEYSINKKWVGKD(配列番号124)であり、ALD−2のループAは、配列IGPKGAPDRKFVGKD(配列番号125)であり、ALD−3のループAは、配列ITPKGLNRNCVGKD(配列番号126)である。ALD−1のループBは、配列SFAGVGYEAEGFTTFTIA(配列番号127)であり、ALD−2のループBは、配列TYCGTGVATNGAHSGASALTIA(配列番号128)であり、ALD−3のループBは、配列SYAAIGFGGEGFCTFTIA(配列番号129)である。ALD−2由来の基質特異性ループAおよびBの配列および長さは、ALD−1およびALD−3の配列および長さとは異なる;それにもかかわらず、アラインメントは、本明細書に記載するように置換についての対応する位置の特定を容易にするのに十分な保存を示し、とりわけ、図6に示されるように3Dモデリングと組み合わせた場合、十分な保存を示す。ALD−3を、結晶構造のモデリングについての鋳型として用いた;とりわけ、本明細書に記載するように例示的な置換で改変した場合、基質特異性およびエナンチオマー特異性に影響を及ぼすように相互作用する2つのループ領域を示す図6を参照されたい。ALD−1およびALD−3は、51.9%同一である。ALD−1およびALD−2は、35.9%同一である。ALD−3およびALD−2は、40%同一である。ALD−1、ALD−2およびALD−3のアラインメントに基づいたループAについての一致は、IXPKG−−−−−XXNRKXVGKD(配列番号5)である。ALD−1、ALD−2およびALD−3のアラインメントに基づいたループBについての一致は、SYAGXGXXXE−−−−GFXTFTIA(配列番号6)である。コンセンサス配列中の具体的に特定されたアミノ酸は保存残基であり、一方で、「X」で印をつけた位置は可変であり、本明細書で所望され、開示されるように、任意のアミノ酸に対応し得ることが理解される。「−−−−−」は、可変数のアミノ酸残基の存在または非存在に対応し得ることがさらに理解される。そのような可変数のアミノ酸残基の例は、図3および4A〜4Cで示される。さらに、コンセンサス配列中の保存残基は、例えば、本明細書に記載するように、保存的アミノ酸により置換され得ることが理解される(例えば図4A〜4Cを参照)。
図4A〜4Cは、例示的なアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALD:aldehyde deydrogenase)のアラインメントを示し、その代表的なアラインメントは、本発明の置換が行われ得る代表的な鋳型ALD配列中の位置に対応する、ALD中の位置を特定することを示す。図3と同様に、下線部は、2つのループ領域であり、第1番目はAと名付けられ、第2番目はBと名付けられ、両方とも、本明細書で決定されるように基質特異性およびエナンチオマー特異性に関与する。図4Aは、ALD−1と比較して40〜55%カットオフでの例示的なALD配列のアラインメントを示す。配列は、図4Aに示されるように配列番号1(ALD−1)、13、20および24に対応する。図4Bは、ALD−1と比較して75〜90%カットオフでの例示的なALD配列のアラインメントを示す。配列は、図4Bに示されるように配列番号1(ALD−1)、30、33および37に対応する。ループAおよびBを下線で示す。図4Cは、ALD−1と比較して90%カットオフでの例示的なALD配列のアラインメントを示す。配列は、図4Cに示されるように配列番号1(ALD−1)、38、40および44に対応する。ALD−1は、配列番号38、40および44と、それぞれ、99%、97%および95%同一である。図4A〜4Cは、本明細書で教示される置換についての対応する位置が、ALD−1と少なくとも40%同一性を有するALD、とりわけループAおよびB領域、とりわけ非常に保存されているループB領域において特定され得ることを示す。 同上 同上
図5Aおよび5Bは、様々な例示的なアルデヒドデヒドロゲナーゼの酵素活性を示す。図5Aは、3ヒドロキシ−(R)−ブチルアルデヒド(バーの組の左のバー)および3ヒドロキシ−(S)−ブチルアルデヒド(バーの組の右のバー)に対するALD−2、ALD−1およびALD−1バリアントの比活性を示す。図5Bは、3−ヒドロキシブチルアルデヒドのR形態のS形態に対する活性の比を示す。 図5Aおよび5Bは、様々な例示的なアルデヒドデヒドロゲナーゼの酵素活性を示す。図5Aは、3ヒドロキシ−(R)−ブチルアルデヒド(バーの組の左のバー)および3ヒドロキシ−(S)−ブチルアルデヒド(バーの組の右のバー)に対するALD−2、ALD−1およびALD−1バリアントの比活性を示す。図5Bは、3−ヒドロキシブチルアルデヒドのR形態のS形態に対する活性の比を示す。
図6A〜6Cは、アルデヒドデヒドロゲナーゼ959の構造のリボン図を示す。図は、3−ヒドロキシ−(R)−ブチルアルデヒド(図6A)または3−ヒドロキシ−(S)−ブチルアルデヒド(図6B)の、959の構造へのドッキングを示す。図6Cは、3−ヒドロキシ−(R)−ブチルアルデヒド(R3HB)と同じ向きを示す。
本発明は、望ましい特性を有し、所望の生成物を生成するのに有用な酵素バリアントに関する。特定の実施形態では、本発明は、天然に存在する野生型酵素と比較して顕著に異なる構造および/または機能特徴を有する酵素バリアントである、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントに関する。したがって、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼは、天然に存在する酵素ではない。本発明のそのようなアルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、工学的に操作された細胞、例として、所望の生成物を生成するように工学的に操作された微生物体(microbial organism)において有用である。例えば、本明細書で開示されるように、代謝経路を有する細胞、例として、微生物体は、所望の生成物を生成し得る。望ましい特徴を有する本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼは、アルデヒドデヒドロゲナーゼ酵素活性を用いて所望の生成物を生成する代謝経路を有する細胞、例として、微生物体に導入することができる。そのようなアルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、in vitroで所望の反応を行うための生物触媒としてさらに有用である。したがって、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、工学的に操作された細胞、例として、微生物体において利用して所望の生成物を生成するか、またはin vitro生物触媒として利用して所望の生成物を生成することができる。
本明細書で用いる場合、本発明の細胞、微生物体または微生物に関して用いられる場合、用語「天然に存在しない」は、その細胞が、その参照種の野生型株を含むその参照種の天然株で通常見られない、少なくとも1つの遺伝的変化を有することを意味するものとする。遺伝的変化には、例えば、代謝ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を導入する改変、他の核酸の付加、核酸欠失および/または細胞遺伝物質の他の機能的破壊が含まれる。そのような改変には、例えば、参照種の異種の、同種の、または異種および同種のポリペプチドのコード領域およびその機能的断片が含まれる。追加の改変には、例えば、その改変が遺伝子またはオペロンの発現を変化させる非コード調節領域が含まれる。例示的な代謝ポリペプチドには、所望の生成物を生成するための生合成経路内の酵素またはタンパク質が含まれる。
代謝改変は、その天然の状態から変更された生化学反応を指す。したがって、天然に存在しない細胞は、代謝ポリペプチドまたはその機能的断片をコードする核酸に対する遺伝子改変を有することができる。例示的な代謝改変が、本明細書で開示される。
本明細書で用いる場合、細胞または微生物体に関して用いられる場合、用語「単離された」は、そのような細胞が天然に見出される場合に、参照の細胞が天然で見られるような少なくとも1つの成分を実質的に含まない細胞を意味するものとする。本用語は、その天然環境で見られるような一部または全ての成分が除去されている細胞を含む。本用語は、その細胞が天然に存在しない環境で見られるような一部または全ての成分が除去されている細胞も含む。したがって、単離された細胞は、それが天然で見られるか、またはそれが天然に存在しない環境で増殖され、保存されるか生存するような他の物質から一部または完全に分離される。単離された細胞の具体例には、部分的に純粋な細胞、実質的に純粋な細胞、および天然に存在しない培地で培養された細胞が含まれる。
本明細書で用いる場合、用語「微生物の」、「微生物体」または「微生物」は、古細菌、細菌または真核生物のドメインに含まれる、微視的細胞として存在する任意の生物体を意味するものとする。したがって、本用語は、顕微鏡的大きさを有する原核生物または真核生物の細胞または生物体を包含するものとし、全ての種の細菌、古細菌および真正細菌、ならびに酵母および真菌類などの真核生物の微生物を含む。本用語は、生化学物質の生成のために培養することができる、任意の種の細胞培養物も含む。
本明細書で用いる場合、用語「CoA」または「補酵素A」は、活性酵素系を形成するためにその存在が多くの酵素(アポ酵素)の活性のために必要とされる、有機コファクターまたは補欠分子族(酵素の非タンパク部分)を意味するものとする。補酵素Aは、特定の縮合酵素で機能し、アセチルまたは他のアシル基転移、ならびに脂肪酸合成および酸化、ピルベート酸化ならびに他のアセチル化で作用する。
本明細書で用いる場合、培養または増殖条件に関して用いられる場合、用語「実質的に嫌気性」は、酸素の量が、液体培地中の溶存酸素の飽和量の約10%未満であることを意味するものとする。本用語は、約1%未満の酸素の雰囲気で維持される、液体または固体培地の密封チャンバー、も含むものとする。
本明細書で用いる「外因性」は、参照分子または参照活性が宿主の細胞に導入されることを意味するものとする。分子は、例えば、宿主染色体への組込みなどによる宿主遺伝物質へのコード核酸の導入によって、またはプラスミドなどの非染色体遺伝物質として導入することができる。したがって、コード核酸の発現に関して用いられる本用語は、細胞への発現可能な形でのコード核酸の導入を指す。生合成活性に関して用いられる場合、本用語は、宿主参照生物体に導入される活性を指す。供給源は、例えば、宿主の微生物体への導入の後に参照活性を発現する、同種または異種のコード核酸であってよい。したがって、用語「内因性」は、宿主に存在する参照分子または活性を指す。同様に、コード核酸の発現に関して用いられる場合、本用語は、細胞に含まれるコード核酸の発現を指す。用語「異種の」は、参照種以外の供給源に由来する分子または活性を指し、「同種の」は、宿主細胞に由来する分子または活性を指す。したがって、本発明のコード核酸の外因性の発現は、異種または同種のコード核酸のいずれかまたは両方を利用することができる。
2つ以上の外因性核酸が微生物体に含まれる場合、こうした2つ以上の外因性核酸は、上記で論じた参照のコード核酸または生合成活性を指すことが理解される。本明細書で開示されるように、そのような2つ以上の外因性核酸は、宿主細胞の別個の核酸分子上に、ポリシストロニック核酸分子上に、またはそれらを組み合わせて宿主細胞に導入することができ、そしてそれは依然として、2つ以上の外因性核酸とみなすことができることがさらに理解される。例えば、本明細書で開示されるように、細胞を工学的に操作して、所望の酵素またはタンパク質、例えば、経路の酵素またはタンパク質をコードする2つ以上の外因性核酸を発現させることができる。所望の活性をコードする2つの外因性核酸が宿主細胞に導入される場合、こうした2つの外因性核酸は、単一の核酸として、例えば、単一のプラスミド上にもしくは別個のプラスミド上に導入することができ、宿主染色体の単一の部位もしくは複数の部位へと組み込むこともでき、そしてそれは依然として、2つの外因性核酸とみなすことができることが理解される。同様に、3つ以上の外因性核酸は、任意の所望の組合せで、宿主の生物体へと、例えば、単一のプラスミド上にもしくは別個のプラスミド上に導入することができ、宿主染色体の単一の部位もしくは複数の部位へと組み込むことができ、そしてそれは依然として、2つ以上の外因性核酸、例えば、3つの外因性核酸とみなすことができることが理解される。したがって、参照される外因性の核酸または生合成活性の数は、宿主生物体へと導入された別々の核酸の数ではなく、コード核酸の数または生合成活性の数を指す。
本明細書で用いる場合、用語「遺伝子破壊」またはその文法的均等物は、コードされた遺伝子生成物を不活性化または減弱させる遺伝的変化を意味するものとする。遺伝的変化は、例えば、全遺伝子の欠失、転写もしくは翻訳に必要な調節配列の欠失、トランケートされた遺伝子生成物をもたらす遺伝子の一部の欠失またはコードされた遺伝子生成物を不活性化もしくは減弱させる様々な変異戦略のいずれかによるものであり得る。完全遺伝子破壊は、本発明の天然に存在しない細胞において遺伝子復帰変異の発生を低下または排除するので、それは、遺伝子欠失の1つの特に有用な方法である。遺伝子破壊はまた、ヌル変異も含み、これは、RNAに転写されない、かつ/または機能的遺伝子生成物に翻訳されない遺伝子をもたらす、遺伝子または遺伝子を含有する領域内の変異を指す。そのようなヌル変異は、例えば、不活性化点変異、遺伝子の一部の欠失、全遺伝子欠失または染色体セグメントの欠失を含む、多くの種類の変異から生じ得る。
本明細書で用いる場合、生化学生成物の生成に関して用いられる場合、用語「増殖連結型の」は、参照の生化学生成物の生合成が微生物の増殖期の間に生成されることを意味するものとする。特定の実施形態では、増殖連結型の生成は、必須である場合があり、これは、参照の生化学物質の生合成が、微生物の増殖期の間に生成される必須の生成物であることを意味する。
本明細書で用いる場合、用語「減弱させる」またはその文法的均等物は、酵素またはタンパク質の活性または量を弱めるか、低下させるか、または減少させることを意味するものとする。酵素またはタンパク質の活性または量の減弱は、減弱のために活性または量が所与の機能に必要とされる臨界レベル未満に落ちる場合、完全な破壊を模倣し得る。しかしながら、完全な破壊、例えば、1つの経路についての完全な破壊を模倣する酵素またはタンパク質の活性または量の減弱は、それでも、別の経路が機能し続けるのに十分であり得る。例えば、内因性酵素またはタンパク質の減弱は、本発明の所望の生成物の生成のための同じ酵素またはタンパク質の完全な破壊を模倣するのに十分であり得るが、酵素またはタンパク質の残りの活性または量は、それでも、他の経路、例として、宿主細胞が生存、再生または増殖するのに重要な経路を維持するのに十分であり得る。酵素またはタンパク質の減弱はまた、本発明の所望の生成物の収率を増大するのに十分な量の酵素またはタンパク質の活性または量を弱めるか、低下させるか、または減少させることであり得るが、酵素またはタンパク質の完全な破壊を必ずしも模倣しない。
本発明の天然に存在しない細胞は安定した遺伝的変化を含むことができ、それは変化を失わずに5世代を超えて培養することができる細胞を指す。一般に、安定した遺伝的変化には、10世代を超えて存続する改変が含まれ、特に安定した改変は約25世代を超えて存続し、より詳しくは、安定した遺伝子改変は無期限を含めて50世代を超える。
遺伝子破壊の場合、特に有用な安定な遺伝的変化は、遺伝子欠失である。安定な遺伝的変化を導入するための遺伝子欠失の使用は、遺伝的変化前の表現型への復帰変異の可能性を低下させるために特に有用である。例えば、安定な増殖連結型の生化学物質の生成は、例えば、1組の代謝改変内の1つまたは複数の反応を触媒する酵素をコードする遺伝子の欠失によって達成され得る。増殖連結型の生化学物質の生成の安定性は、複数の欠失を通して、各破壊した活性について発生する複数の代償的復帰変異の可能性を顕著に低下させ、さらに増強させることができる。
当業者は、本明細書で例示される代謝改変を含む遺伝的変化が、E.coliなどの適切な宿主細胞または生物体およびそれらの対応する代謝反応、または所望の遺伝物質、例えば所望の代謝経路の遺伝子に適する供給源細胞または生物体に関して記載されることを理解するであろう。しかし、多種多様な生物体の完全なゲノム配列決定およびゲノミクスの領域における高レベルの技術を考慮して、当業者は、本明細書で提供される教示および指針を事実上他の全ての生物体に適用することが容易にできる。例えば、本明細書で例示したE.coliの代謝改変は、参照種以外の種からの同じであるか類似したコード核酸を組み込むことによって、他の種に容易に適用することができる。そのような遺伝的変化には、例えば、一般には種のホモログの遺伝的変化、より詳細には、オルソログ、パラログまたは非オルソロガスな遺伝子置換が含まれる。
オルソログは、垂直伝達(vertical descent)が関係し、異なる生物体での実質的に同じか同一の機能の役割を担う1つまたは複数の遺伝子である。例えば、マウスエポキシドヒドロラーゼおよびヒトエポキシドヒドロラーゼは、エポキシドの加水分解の生物学的機能のためのオルソログと考えることができる。遺伝子は、例えば、それらが同種であるか共通祖先からの進化によって関係していることを示すのに十分な量の配列類似性をそれらが共有する場合、垂直伝達が関係している。それらが、一次配列類似性が識別可能でない程度までそれらが共通祖先から進化したことを示すのに十分な量の三次元構造を共有するが必ずしも配列類似性を共有しない場合にも、遺伝子はオルソログと考えることができる。オルソロガスである遺伝子は、約25%〜100%アミノ酸配列同一性の配列類似性を有するタンパク質をコードすることができる。それらの三次元構造も類似性を示す場合、25%未満のアミノ酸類似性を共有するタンパク質をコードする遺伝子も、垂直伝達によって生じたと考えることができる。組織プラスミノーゲン活性化因子およびエラスターゼを含む、酵素のセリンプロテアーゼファミリーのメンバーは、共通祖先から垂直伝達によって生じたと考えられる。
オルソログには、例えば進化を通して構造または全体的活性が異なった、遺伝子またはそれらのコードされた遺伝子生成物が含まれる。例えば、1つの種が2つの機能を示す遺伝子生成物をコードし、そのような機能が第2の種の異なる遺伝子に分離されている場合、3つの遺伝子およびそれらの対応する生成物はオルソログであるとみなされる。生化学生成物の生成については、当業者は、天然に存在しない細胞の構築のために、導入または破壊される代謝活性を抱えているオルソロガス遺伝子が選択されるべきであることを理解するであろう。分離できる活性を示すオルソログの例は、異なる活性が2つ以上の種の間で、または単一の種の中で異なる遺伝子生成物に分離されている場合である。具体例は、セリンプロテアーゼ活性の2つの型であるエラスターゼタンパク質分解およびプラスミノーゲンタンパク質分解の、プラスミノーゲン活性化因子およびエラスターゼのような異なる分子への分離である。第2の例は、マイコプラズマ5’−3’エキソヌクレアーゼおよびDrosophilaDNAポリメラーゼIII活性の分離である。第1の種からのDNAポリメラーゼは、第2の種からのエキソヌクレアーゼまたはポリメラーゼの一方または両方にオルソログであると、またはその逆とみなすことができる。
対照的に、パラログは、例えば複製とそれに続く進化的分岐によって関係があるホモログであり、類似または共通しているが、同一でない機能を有する。パラログは、例えば、同じ種または異なる種を起源とするかそれに由来することができる。例えば、ミクロソームのエポキシドヒドロラーゼ(エポキシドヒドロラーゼI)および可溶性のエポキシドヒドロラーゼ(エポキシドヒドロラーゼII)は、同じ種で異なる反応を触媒し、異なる機能を有する、共通祖先から共進化した2つの異なる酵素を表すので、パラログと考えることができる。パラログは、かなりの相互に配列類似性を有する同じ種からのタンパク質であり、共通祖先からの共進化を通してそれらが相同であるか関係することを示唆している。パラロガスのタンパク質ファミリー群には、HipAホモログ、ルシフェラーゼ遺伝子、ペプチダーゼなどが含まれる。
非オルソロガス遺伝子置換は、異なる種の参照遺伝子機能の代わりになることができる、1つの種からの非オルソロガス遺伝子である。置換には、例えば、異なる種での参照機能と比較して、起源種で実質的に同じかまたは類似した機能を発揮することができるものが含まれる。一般に、非オルソロガス遺伝子置換は、参照機能をコードする公知の遺伝子に構造的に関係することを確認することが可能であるが、より構造的に関係しないが機能的に類似した遺伝子およびそれらの対応する遺伝子生成物も、本明細書で用いられるような用語の意味の範囲内である。例えば、機能的類似性は、置換しようとする機能をコードする遺伝子と比較して、非オルソロガス遺伝子生成物の活性部位または結合性領域において少なくとも多少の構造類似性を要求する。したがって、非オルソロガス遺伝子には、例えばパラログまたは無関係な遺伝子が含まれる。
したがって、所望の生成物の生合成能力を有する本発明の天然に存在しない細胞を特定し、構築することにおいて、特定の種に本明細書で提供される教示および指針を適用することで、当業者は、代謝改変の特定にはオルソログの特定および組入れまたは不活化を含めることができることを理解する。パラログおよび/または非オルソロガスな遺伝子置換が、類似したか実質的に類似した代謝反応を触媒する酵素をコードする参照細胞に存在する範囲内において、当業者はこれらの進化関係の遺伝子を利用することもできる。遺伝子破壊についてと同様に、また、進化的に関係する遺伝子は、破壊の標的となった酵素活性の機能的冗長性を低下または排除するために宿主細胞において破壊または欠失され得る。
オルソログ、パラログおよび非オルソロガスな遺伝子置換は、当業者に周知である方法によって決定することができる。例えば、2つのポリペプチドのための核酸またはアミノ酸配列の検査は、比較される配列間の配列の同一性および類似性を明らかにする。そのような類似性に基づいて、タンパク質が共通祖先からの進化を通して関係していることを示すのにその類似性が十分に高いかどうか、当業者は決定することができる。当業者に周知であるアルゴリズム、例えばAlign、BLAST、Clustal Wなどは、生の配列の類似性または同一性を比較、決定し、さらに、重みまたはスコアを割り当てることができる配列中のギャップの存在または重要性を決定する。そのようなアルゴリズムは当技術分野でも公知であり、ヌクレオチド配列の類似性または同一性を決定することに同様に適用できる。関連性を決定するのに十分な類似性のパラメータは、統計的類似性、またはランダムなポリペプチド中で類似したマッチを見出す可能性、および決定されるマッチの有意性を計算するための周知の方法に基づいて計算される。所望により、2つ以上の配列のコンピュータによる比較を、当業者が視覚的に最適化することもできる。関係する遺伝子生成物またはタンパク質は、高い類似性、例えば25%〜100%の配列同一性を有すると予想することができる。無関係であるタンパク質は、十分なサイズのデータベースをスキャンする場合に偶然に起こることが予想されるのと事実上同じである同一性を有することができる(約5%)。5%から24%の間の配列は、比較する配列が関係していると結論するのに十分な相同性を表すことができるか、表すことができない。これらの配列の関連性を決定するために、データセットのサイズを前提とするそのようなマッチの有意性を決定する追加の統計分析を実施することができる。
例えば、BLASTアルゴリズムを用いて2つ以上の配列の関連性を決定するための例示的なパラメータは、下に示すようなものでよい。簡単に述べると、アミノ酸配列アラインメントは、BLASTPバージョン2.0.8(1999年1月5日)および以下のパラメータを用いて実施することができる:マトリックス:0 BLOSUM62;ギャップオープン:11;ギャップ伸長:1;x_dropoff:50;予想:10.0;ワードサイズ:3;フィルター:オン。核酸配列アラインメントは、BLASTNバージョン2.0.6(1998年9月16日)および以下のパラメータを用いて実施することができる:マッチ:1;ミスマッチ:−2;ギャップオープン:5;ギャップ伸長:2;x_dropoff:50;予想:10.0;ワードサイズ:11;フィルター:オフ。当業者は、例えば、比較のストリンジェンシーを増加または低減させ、2つ以上の配列の関連性を決定するために、どのような改変を上記のパラメータに加えることができるかを知るであろう。
一実施形態では、本発明は、野生型または親アルデヒドデヒドロゲナーゼのバリアントであるアルデヒドデヒドロゲナーゼを提供する。本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼは、アシルCoAをその対応するアルデヒドに転換する。そのような酵素は、アシルCoAをその対応するアルデヒドに転換するオキシドレダクターゼとも呼ばれ得る。そのような本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼは、反応1.2.1.bのオキシドレダクターゼ(アシルCoAからアルデヒド)として分類することができ、最初の3桁は、基質特異性に依存しない変換の一般型を示す酵素番号の最初の3桁に対応する。本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼの例示的な酵素的転換としては、3−ヒドロキシブチリルCoAの3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBalとも呼ばれる)への転換(図1を参照)、および4−ヒドロキシブチリルCoAの4−ヒドロキシブチルアルデヒドへの転換(図2を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼは、好適な代謝経路を含有する細胞、例として、微生物体において、またはin vitroで、所望の生成物、例として、3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)、1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)、4−ヒドロキシブチルアルデヒド(4−HBal)、1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)または他の所望の生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを含む下流生成物を生成するために用いることができる。例えば、1,3−BDOは、in vivoまたはin vitroのいずれかで、例えば、リパーゼを用いて酸と反応させて、エステルに転換することができる。そのようなエステルは、栄養補助食品、医薬品および食品用途を有する場合があり、1,3−ブタンジオールのR−形態が用いられる場合、それは(アセトアルデヒド化学合成経路によって石油からまたはエタノールから製造されるS−形態またはラセミ混合物と比較すると)エネルギー供給源として動物およびヒトの両方によって最もよく利用される形態であるので、有利である(例えば、ケトンエステル、例として、(米国でGenerally Recognized As Safe(GRAS)承認を有する)(R)−3−ヒドロキシブチル−R−1,3−ブタンジオールモノエステルおよび(R)−3−ヒドロキシ酪酸グリセロールモノエステルまたはジエステル)。ケトンエステルは、経口で送達することができ、エステルは、身体によって用いられるR−1,3−ブタンジオールを放出する(例えば、WO2013150153を参照)。したがって、本発明は、高度に富化されたまたは本質的にエナンチオマー的に純粋な、かつ副産物について純度の質の改善をさらに有する、1,3−ブタンジオール、つまりR−1,3−ブタンジオールの改善された組成物を提供するための改善された酵素経路および微生物を提供するために特に有用である。
1,3−ブタンジオールは、ブチレングリコールとも呼ばれ、直接的に食品供給源、食品成分、香味料、香味料のための溶媒または可溶化剤、安定剤、乳化剤ならびに抗菌剤および保存剤としての用途を含む、さらなる食品関連用途を有する。1,3−ブタンジオールは、非経口薬物溶媒として医薬産業で用いられる。1,3−ブタンジオールは、皮膚軟化薬、保水剤である成分、不溶性成分の結晶化を予防する成分、芳香剤などのより水溶性でない成分のための可溶化剤として、ならびに抗菌剤および保存剤として化粧品における用途を見出す。例えば、それは、とりわけヘアスプレーおよびセッティングローション中で、保水剤として用いることができる;それは、精油からの芳香の喪失を低下させ、微生物による変質に対して保存し、ベンゾエートのための溶媒として用いられる。1,3−ブタンジオールは、0.1パーセントまたはそれ未満〜50パーセントまたはそれより高い濃度で用いることができる。それは、毛髪および入浴製品、眼および顔面化粧品、芳香剤、身体の清潔のための製品ならびに剃毛およびスキンケア調製物で用いられる(例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Cosmetic Ingredient Review boardの報告書:「Final Report on the Safety Assessment of Butylene Glycol, Hexylene Glycol, Ethoxydiglycol, and Dipropylene Glycol」、Journal of the American College of Toxicology、4巻、5号、1985年を参照)。この報告書は、化粧品における1,3−ブタンジオール(ブチレングリコール)の特定の用途および濃度を提供するものであり、例えば、「Product Formulation Data」という表題のその中の報告の表2を参照されたい。
一実施形態では、本発明は、(a)配列番号1、2もしくは3としてまたは表4で参照されるアミノ酸配列をコードする核酸分子であって、アミノ酸配列が、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの1つまたは複数を含む、核酸分子;(b)高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で(a)の核酸にハイブリダイズし、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの1つまたは複数をコードする核酸配列を含む核酸分子;(c)ループA(配列番号5)および/またはループB(配列番号6)のコンセンサス配列を含むアミノ酸配列をコードする核酸分子であって、アミノ酸配列が、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの1つまたは複数を含む、核酸分子;ならびに(d)(a)または(b)に相補的な核酸分子から選択される単離された核酸分子を提供する。一実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換以外の、核酸分子によってコードされたアミノ酸配列は、配列番号1、2もしくは3でまたは表4で参照されるアミノ酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するか、またはこれと同一である。アミノ酸配列は、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15もしくは16個またはそれよりも多く、例えば、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42もしくは43個、すなわち、最大で置換を有するアミノ酸位置の全てを含み得る。
本発明はまた、本発明の核酸分子を含有するベクターも提供する。一実施形態では、ベクターは、発現ベクターである。一実施形態では、ベクターは、二本鎖DNAを含む。
本発明はまた、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼポリペプチドをコードする核酸も提供する。本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする核酸分子は、配列番号、GenBankおよび/もしくはGI番号によって本明細書で開示される核酸にハイブリダイズする核酸分子、または配列番号、GenBankおよび/もしくはGI番号によって本明細書で開示されるアミノ酸配列をコードする核酸分子にハイブリダイズする核酸分子も含み得る。ハイブリダイゼーション条件には、本明細書に記載する条件などの、当業者に周知の、高度にストリンジェントな、中程度にストリンジェントなまたはストリンジェンシーの低いハイブリダイゼーション条件が含まれ得る。同様に、本発明で用いることができる核酸分子は、配列番号、GenBankおよび/もしくはGI番号によって本明細書で開示される核酸、または配列番号、GenBankおよび/もしくはGI番号によって本明細書で開示されるアミノ酸配列をコードする核酸分子にハイブリダイズする核酸分子とある特定の配列同一性パーセントを有すると説明することができる。例えば、核酸分子は、本明細書に記載する核酸と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するか、またはこれと同一であり得る。
ストリンジェントなハイブリダイゼーションは、ハイブリダイズしたポリヌクレオチドが安定である条件を指す。当業者に公知のように、ハイブリダイズしたポリヌクレオチドの安定性は、ハイブリッドの融解温度(T)において反映される。一般に、ハイブリダイズしたポリヌクレオチドの安定性は、塩濃度、例えば、ナトリウムイオン濃度および温度の関数である。ハイブリダイゼーション反応は、より低いストリンジェンシーの条件下で行われ、続いて様々な、しかし、より高いストリンジェンシーで洗浄され得る。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーについての言及は、そのような洗浄条件に関する。本明細書で企図されるように、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーションには、0.018MのNaCl中で65℃にて安定なハイブリダイズしたポリヌクレオチドを形成する核酸配列のみのハイブリダイゼーションを許容する条件が含まれ、例えば、ハイブリッドが0.018MのNaCl中で65℃にて安定でない場合、それは高ストリンジェンシー条件下で安定ではない。高ストリンジェンシー条件は、例えば、50%ホルムアミド、5×デンハルト溶液(Denhart’s solution)、5×SSPE、0.2%SDS中の42℃でのハイブリダイゼーション、それに続く0.1×SSPEおよび0.1%SDS中の65℃での洗浄によって提供することができる。高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件以外のハイブリダイゼーション条件を、本明細書で開示される核酸配列を説明するために用いることもできる。例えば、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーションという句は、50%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2%SDS中の42℃でのハイブリダイゼーション、それに続く0.2×SSPE、0.2%SDS中の42℃での洗浄と同等の条件を指す。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションという句は、10%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、6×SSPE、0.2%SDS中の22℃でのハイブリダイゼーション、それに続く1×SSPE、0.2%SDS中の37℃での洗浄と同等の条件を指す。デンハルト溶液は、1%Ficoll、1%ポリビニルピロリドンおよび1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する。20×SSPE(塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は、3M塩化ナトリウム、0.2Mリン酸ナトリウムおよび0.025M(EDTA)を含有する。他の好適な低、中程度および高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション緩衝液および条件は、当業者に周知であり、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory、New York(2001年);およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、Baltimore、MD(1999年)に記載されている。
本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする核酸分子は、本明細書で開示されるヌクレオチド配列と少なくともある特定の配列同一性を有し得る。したがって、本発明のいくつかの態様では、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする核酸分子は、配列番号、GenBankおよび/もしくはGI番号によって本明細書で開示される核酸、または配列番号、GenBankおよび/もしくはGI番号によって本明細書で開示されるアミノ酸配列をコードする核酸分子にハイブリダイズする核酸分子と少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性もしくは少なくとも99%の同一性のヌクレオチド配列を有するか、またはこれと同一である。
配列同一性(相同性または類似性としても公知)は、2つの核酸分子間または2つのポリペプチド間の配列類似性を指す。同一性は、比較の目的のためにアラインされ得る各配列中の位置を比較することによって決定することができる。比較される配列中の位置が、同じ塩基またはアミノ酸によって占有されている場合には、分子は、その位置で同一である。配列間の同一性の程度は、配列によって共有される整合位置または相同位置の数の関数である。2つの配列の配列同一性パーセントを決定するためのそれらのアラインメントは、例えば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、Baltimore、MD(1999年)に記載されているソフトウェアプログラムなどの当技術分野で公知のソフトウェアプログラムを用いて行うことができる。好ましくは、デフォルトパラメータが、アラインメントのために用いられる。用いられ得る当技術分野で周知の1つのアラインメントプログラムは、デフォルトパラメータに設定されたBLASTである。特に、プログラムは、以下のデフォルトパラメータを用いるBLASTNおよびBLASTPである:遺伝子コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;予想=10;マトリックス=BLOSUM62;記載=50配列;分類=HIGH SCORE;データベース=非重複、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+SwissProtein+SPupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、米国国立バイオテクノロジー情報センターで見出すことができる(Altschulら、「J. Mol. Biol.」215巻:403〜410頁(1990年)も参照)。
いくつかの実施形態では、核酸分子は、単離された核酸分子である。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、参照ポリペプチドのバリアントをコードする核酸分子であって、(i)参照ポリペプチドが、配列番号1、2もしくは3または表4の配列のアミノ酸配列(配列番号7〜123)を有し、(ii)バリアントが、配列番号1、2もしくは3または表4の配列と比べて1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、(iii)1つまたは複数のアミノ酸置換が、表1〜3で示されるアミノ酸置換から選択される、核酸分子である。表1〜3は、配列番号1、2もしくは3または表4の配列の例示的なバリアントの非限定的なリストを提供する。一実施形態では、表1〜3の各バリアントについて、示される位置を除く、全ての位置は、配列番号1、2もしくは3または表4の配列と同一である。アミノ酸置換は、元のアミノ酸の同一性を示す文字、それに続く配列番号1、2もしくは3または表4の配列における置換されたアミノ酸の位置を示す数字、それに続く置換されたアミノ酸の同一性を示す文字によって示される。例えば、「D12A」は、配列番号1または2の12位のアスパラギン酸が、アラニンで置き換えられていることを示す。アミノ酸を特定するために用いられる1文字コードは、当業者に公知の標準コードである。表1〜3のいくつかのバリアントは、置換のリストによって示される、2個またはそれよりも多い置換を含む。1つまたは複数のアミノ酸置換は、表1〜3で列挙されるバリアントのうちのいずれか1つから、または表1〜3で列挙される2つもしくはそれよりも多いバリアントの任意の組合せから選択され得る。表1〜3の単一のバリアントから選択する場合、得られたバリアントは、示される置換の全てまたは示される置換の全てより少ない置換を含む、任意の組合せの選択されたバリアントの置換のうちの1つまたは複数を含み得る。置換が、表1〜3の2つまたはそれよりも多いバリアントの置換から選択される場合、得られたバリアントは、任意の組合せの、2つまたはそれよりも多い選択されたバリアントのそれぞれからの、示される置換の全てまたは示される置換の全てより少ない置換を含む、選択されたバリアントの置換のうちの1つまたは複数を含み得る。例えば、得られたバリアントは、表1〜3の単一のバリアントからの1、2、3または4個の置換を含み得る。さらなる例として、得られたバリアントは、表1〜3の1、2、3、4、5つまたはそれよりも多い選択されたバリアントから選択される、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、20、25個またはそれよりも多い置換を含み得る。いくつかの実施形態では、得られたバリアントは、表1〜3の選択されたバリアントの示される置換の全てを含む。いくつかの実施形態では、得られたバリアントは、配列番号1、2もしくは3または表4の配列とは少なくとも1個のアミノ酸置換だが、25、20、10、5、4または3個未満のアミノ酸置換によって異なる。いくつかの実施形態では、得られたバリアントは、表1〜3から選択されるバリアントによって示される配列を含むか、本質的にこれからなるか、またはこれからなり、示されるアミノ酸置換でのみ配列番号1、2もしくは3または表4の配列とは異なる。
いくつかの実施形態では、核酸分子は、参照ポリペプチド(配列番号1、2もしくは3または表4の配列のアミノ酸配列を有する参照ポリペプチド)のバリアントをコードする単離された核酸分子であって、バリアントが、(i)表1〜3から選択される対応するバリアントの1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、(ii)対応するバリアントと少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有する、単離された核酸分子である。第2のバリアントが、対応するバリアントと100%の配列同一性を有する場合、第2のバリアントは、表1〜3から選択されるバリアントによって示される配列を含み、アミノ末端およびカルボキシ末端のいずれかまたは両方で1つまたは複数の追加のアミノ酸を有してもよく、有さなくてもよい。いくつかの実施形態では、得られたバリアントは、表1〜3から選択される対応するバリアントと少なくとも80%、85%、90%または95%の配列同一性を有し;いくつかの場合、同一性は、少なくとも90%またはそれよりも高い。得られたバリアントが、表1〜3から選択される対応するバリアントと100%未満同一である場合、対応するバリアントについて示されるアミノ酸置換のうちの1つまたは複数の位置は、(例えば、1つまたは複数のアミノ酸の挿入または欠失の場合)移動するが、それでも得られたバリアント内に含有され得る。例えば、「D12A」(配列番号1または2に対する12位での)に対応するアスパラギン酸からアラニンへの置換は、得られたバリアントにおいて存在するが、異なる位置に存在し得る。異なる位置にもかかわらず、アミノ酸が示される置換に対応するかどうかは、当技術分野で周知であるように、配列アラインメントによって決定することができる。一般に、隣接する配列が別のポリペプチドの相同配列とアラインしていると考えられるような、置換されるアミノ酸に隣接するアミノ酸の同一性または類似性を示すアラインメントは、置換されるアミノ酸を表1〜3の対応するバリアントについて局所的に位置付けて、所与のポリペプチド鎖においては移動した数字位置にもかかわらず、置換を行う対応する位置を決定することを可能にする。一実施形態では、置換される位置を含む、少なくとも3〜15個のアミノ酸を含む領域は、対応するバリアント配列に沿った置換されるアミノ酸の位置を含んで、比較的高い同一性パーセントで、対応するバリアント配列と局所的にアラインする(例えば90%、95%または100%の同一性)。いくつかの実施形態では、表1〜3から選択される対応するバリアントによって示される1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、全てまたは全てより少ないアミノ酸置換)は、ポリペプチド鎖に沿った異なる物理的位置で起こる場合でさえも、比較されるポリペプチドの配列が、BLASTPアラインメントアルゴリズムをデフォルトパラメータで用いたとき対応するバリアント配列に沿った示される位置で同一の整合または類似のアミノ酸を有する対応するバリアントとアラインした場合、所与のバリアントにおいて存在すると考えられ、類似のアミノ酸とは、アラインメントアルゴリズムのデフォルトパラメータを用いた目的のバリアント位置とのアラインメントに十分な化学特性を有すると考えられるアミノ酸である。
いくつかの実施形態では、本発明の核酸分子は、本明細書の様々な実施形態のいずれかと関係して記載される核酸と相補的である。
本発明の核酸または本発明のポリペプチドは、野生型親配列、例えば、配列番号1、2もしくは3または表4で開示される配列などの親配列を除外し得ると理解される。当業者は、当技術分野で周知のことに基づいて親野生型配列の意味を容易に理解する。そのような本発明の核酸は、自然界に見出されるような天然に存在するアミノ酸配列をコードする核酸配列を除外し得るとさらに理解される。同様に、本発明のポリペプチドは、自然界に見出されるようなアミノ酸配列を除外し得る。したがって、特定の実施形態では、本発明の核酸またはポリペプチドは、コードされたアミノ酸配列が野生型親配列もしくは天然に存在するアミノ酸配列ではなく、かつ/または核酸配列が野生型もしくは天然に存在する核酸配列ではないという条件で、本明細書で示される通りである。天然アミノ酸または核酸配列は、自然界に見出されるような天然に存在する生物体において見られる配列に関連することが当業者により理解される。したがって、天然に存在する生物体における状態と同じ状態で見出されない、または天然に存在する生物体と同じヌクレオチドもしくはコードされたアミノ酸配列を有さない核酸またはアミノ酸配列は、本発明の核酸および/またはアミノ酸配列の意味に含まれる。例えば、本明細書に記載するバリアントを含む、親配列から1つまたは複数のヌクレオチドまたはアミノ酸位置で変更された核酸またはアミノ酸配列は、天然に存在しない本発明の核酸またはアミノ酸配列の意味に含まれる。本発明の単離された核酸分子は、核酸配列を含有する天然に存在する染色体を除外し、天然に存在する細胞で見出される他の分子、例として、DNA結合タンパク質、例えば真核細胞内で染色体に結合するヒストンなどのタンパク質をさらに除外し得る。
したがって、本発明の単離された核酸配列は、天然に存在する核酸配列と比較して物理的および化学的相違を有する。本発明の単離されたまたは天然に存在しない核酸は、自然界に見出されるような天然に存在する核酸配列の共有または非共有結合のいずれかの化学結合のいくつかまたは全てを含有しないか、または必ずしも有さない。本発明の単離された核酸は、したがって、例えば、染色体に見出される天然に存在する核酸配列とは異なる化学構造を有することによって、天然に存在する核酸とは異なる。異なる化学構造は、例えば、天然に存在する染色体から単離された核酸配列を放出するホスホジエステル結合の切断によって起こり得る。本発明の単離された核酸はまた、原核細胞または真核細胞のいずれかにおいて染色体DNAに結合するタンパク質から核酸を単離または分離し、それによって異なる非共有結合によって天然に存在する核酸とは異なることによって、天然に存在する核酸とは異なり得る。原核生物起源の核酸について、本発明の天然に存在しない核酸は、染色体の天然に存在する化学結合、例えば、ポリメラーゼもしくは染色体構造タンパク質などのDNA結合タンパク質への結合のいくつかもしくは全てを必ずしも有さないか、またはスーパーコイルなどのより高次の構造で存在しない。真核生物起源の核酸について、本発明の天然に存在しない核酸はまた、クロマチンに見出されるのと同じ内部核酸化学結合も含有せず、構造タンパク質との化学結合も含有しない。例えば、本発明の天然に存在しない核酸は、ヒストンにも骨格タンパク質にも化学結合しておらず、セントロメアにもテロメアにも含有されていない。したがって、本発明の天然に存在しない核酸は、自然界に見出されるような核酸とは異なるファンデルワールス相互作用、水素結合、イオンもしくは静電結合および/または共有結合を欠くか、または含有するので、天然に存在する核酸とは化学的に別個である。そのような結合の相違は、核酸の別々の領域内で内部にて起こってもよく(すなわちシス)、あるいはそのような結合の相違は、例えば、染色体タンパク質とのトランスの相互作用で起こってもよい。真核生物起源の核酸の場合、cDNA内の化学結合は、染色体DNA上の遺伝子の共有結合、すなわち配列とは異なるので、cDNAは、単離されたまたは天然に存在しない核酸と考えられる。したがって、単離されたまたは天然に存在しない核酸は天然に存在する核酸とは別個であることが、当業者により理解される。
一実施形態では、本発明は、配列番号1、2もしくは3としてまたは表4で参照されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、アミノ酸配列が、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの1つまたは複数を含む、単離されたポリペプチドを提供する。一実施形態では、本発明は、ループA(配列番号5)および/またはループB(配列番号6)のコンセンサスアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを提供する。
別の実施形態では、本発明は、配列番号1、2もしくは3としてまたは表4で参照されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、アミノ酸配列が、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの1つまたは複数を含み、1つまたは複数のアミノ酸置換以外のアミノ酸配列が、配列番号1、2もしくは3としてまたは表4で参照されるアミノ酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するか、またはこれと同一である、単離されたポリペプチドを提供する。一実施形態では、アミノ酸配列は、1〜100個のアミノ酸位置における保存的アミノ酸置換をさらに含み、位置は、表1、2および/または3で示される1つまたは複数のアミノ酸置換以外である。別の実施形態では、アミノ酸配列は、表1、2および/または3で示される1つまたは複数のアミノ酸置換以外に、親配列と比較して2〜300個のアミノ酸位置での改変を含まず、位置は、配列番号1、2もしくは3としてまたは表4で参照されるアミノ酸配列のうちの2、3、4または5つと同一である位置から選択される。一実施形態では、アミノ酸配列は、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15もしくは16個またはそれよりも多く、例えば、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42または43個、すなわち、最大で置換を有するアミノ酸位置の全てを含む。
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする。一実施形態では、ポリペプチドは、3−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換し得る。一実施形態では、ポリペプチドは、4−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換し得る。一実施形態では、ポリペプチドは、親ポリペプチドと比べてより高い活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、3−ヒドロキシ−(S)−ブチリルCoAよりも3−ヒドロキシ−(R)−ブチリルCoAについてより高い活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、アセチルCoAよりも3−ヒドロキシブチリルCoAについてより高い特異性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、アセチルCoAよりも4−ヒドロキシブチリルCoAについてより高い特異性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、細胞または細胞抽出物における副産物の生成を低減する。特定の実施形態では、副産物は、エタノールまたは4−ヒドロキシ−2−ブタノンである。一実施形態では、ポリペプチドは、親ポリペプチドと比べてより高いkcatを有する。
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で開示されるアミノ酸配列、例として、配列番号1、2もしくは3または表4で参照される配列を有する単離されたポリペプチドであって、アミノ酸配列が、表1、2および/または3で示される1つまたは複数のバリアントアミノ酸位置を含む、単離されたポリペプチドを提供する。特に、そのようなポリペプチドは、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードし、これは、アシルCoAを対応するアルデヒドに、例えば、3−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチルアルデヒドに、または4−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換し得る。いくつかの態様では、本発明の単離されたポリペプチドは、配列番号1、2もしくは3としてまたは表4で参照されるアミノ酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するか、またはこれと同一である、表1、2および/または3で示される1つまたは複数のバリアントアミノ酸位置以外のアミノ酸配列を含む。バリアントアミノ酸位置は、20個の天然に存在するアミノ酸、バリアントアミノ酸位置の対応する位置での野生型もしくは親配列の保存的置換、または表1、2および/もしくは3で本明細書に開示されるアミノ酸などのバリアントアミノ酸位置での特定のアミノ酸のうちのいずれか1つを含み得ることが理解される。バリアントアミノ酸位置のいずれかを組み合わせて、さらなるバリアントを生成することができることがさらに理解される。2つまたはそれよりも多いバリアントアミノ酸位置の組合せを有するバリアントは、野生型より大きな活性を示した。したがって、本明細書で例示されるように、活性バリアントアミノ酸位置を組み合わせることによって酵素バリアントを生成すると、改善された特性を有する酵素バリアントが得られた。当業者は、当業者に周知の方法を用いて、単一のバリアント位置またはバリアント位置の組合せを有するポリペプチドを容易に生成して、本明細書に記載するように、活性の増大、3−ヒドロキシブチリルCoAまたは3−ヒドロキシブチルアルデヒドのS形態に優るR形態についての特異性の増大、アセチルCoAに優る3−ヒドロキシブチリルCoAおよび/または4−ヒドロキシブチリルCoAについての特異性の増大、エタノールまたは4−ヒドロキシ−2−ブタノンなどの副産物形成の低減、kcatの増大、in vivoおよび/またはin vitroでの安定性の増大などを含む、所望の特性を有するポリペプチドを生成することができる。
「相同性」または「同一性」または「類似性」は、2つのポリペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性を指す。相同性は、比較の目的のためにアラインされ得る各配列中の位置を比較することによって決定することができる。比較される配列中の位置が、同じ塩基またはアミノ酸によって占有されている場合には、分子は、その位置で同一である。配列間の相同性の程度は、配列によって共有される整合位置または相同位置の数の関数である。ポリペプチドまたはポリペプチド領域(またはポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド領域)が、別の配列とある特定のパーセンテージ(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%)の「配列同一性」を有することは、アラインさせた場合、2つの配列を比較すると、アミノ酸(またはヌクレオチド塩基)のパーセンテージが同じであることを意味する。
特定の実施形態では、本発明は、本明細書で開示される任意の組合せの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれよりも多いバリアントを含む、アミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドを提供する。バリアントは、表1、2および/または3で示されるバリアントの任意の組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、単離されたポリペプチドは、参照ポリペプチドのバリアントであり、参照ポリペプチドは、配列番号1、2もしくは3または表4の配列のアミノ酸配列を有し、ポリペプチドバリアントは、表1〜3から選択され、配列番号1、2もしくは3または表4の配列と比べて1つまたは複数のアミノ酸置換を有する。
いくつかの実施形態では、単離されたポリペプチドは、参照ポリペプチドのバリアントであり、参照ポリペプチドは、配列番号1、2もしくは3または表4の配列のアミノ酸配列を有し、ポリペプチドバリアントは、配列番号1、2もしくは3または表4の配列と比べて1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、1つまたは複数のアミノ酸置換は、表1〜3から選択され、ポリペプチドバリアントは、表1〜3から選択される対応するバリアントと少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有する。1つまたは複数のアミノ酸置換は、表1〜3で列挙されるバリアントのうちのいずれか1つから、または表1〜3で列挙される2つもしくはそれよりも多いバリアントの任意の組合せから選択され得る。表1〜3の単一のバリアントから選択する場合、得られたバリアントは、示される置換の全てまたは示される置換の全てより少ない置換を含む、任意の組合せの選択されるバリアントの置換のうちの1つまたは複数を含み得る。置換が、表1〜3の2つまたはそれよりも多いバリアントの置換から選択される場合、得られたバリアントは、任意の組合せの、2つまたはそれよりも多い選択されるバリアントのそれぞれからの、示される置換の全てまたは示される置換の全てより少ない置換を含む、選択されるバリアントの置換のうちの1つまたは複数を含み得る。例えば、得られたバリアントは、表1〜3の単一のバリアントからの1、2、3または4個の置換を含み得る。さらなる例として、得られたバリアントは、本明細書で開示されるように、最大で置換される全ての位置を含む、表1〜3の1、2、3、4、5つまたはそれよりも多い選択されるバリアントから選択される、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、20、25個またはそれよりも多い置換を含み得る。いくつかの実施形態では、得られたバリアントは、表1〜3の選択されるバリアントの示される置換の全てを含む。いくつかの実施形態では、得られたバリアントは、配列番号1、2もしくは3または表4の配列とは少なくとも1個のアミノ酸置換だが、25、20、10、5、4または3個未満のアミノ酸置換によって異なる。いくつかの実施形態では、得られたバリアントは、表1〜3から選択されるバリアントによって示される配列を含むか、本質的にこれからなるか、またはこれからなり、示されるアミノ酸置換でのみ配列番号1、2もしくは3または表4の配列とは異なる。
いくつかの実施形態では、得られたバリアントは、表1〜3から選択される対応するバリアントと少なくとも80%、85%、90%または95%の配列同一性を有し;いくつかの場合、同一性は、少なくとも90%またはそれよりも高い。得られたバリアントが、表1〜3から選択される対応するバリアントと100%未満同一である場合、対応するバリアントについて示されるアミノ酸置換のうちの1つまたは複数の位置は、(例えば、1つまたは複数のアミノ酸の挿入または欠失の場合)移動するが、それでも得られたバリアント内に含有され得る。例えば、「D12A」(配列番号1または2に対する12位での)に対応するグリシンからグルタミン酸への置換は、得られたバリアントにおいて存在するが、異なる位置に存在し得る。異なる位置にもかかわらず、アミノ酸が示される置換に対応するかどうかは、上記のように、および当技術分野で周知であるように、配列アラインメントによって決定することができる。いくつかの実施形態では、表1〜3から選択される対応するバリアントによって示される1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、全てまたは全てより少ないアミノ酸置換)は、ポリペプチド鎖に沿った異なる物理的位置で起こる場合でさえも、比較されるポリペプチドの配列が、BLASTPアラインメントアルゴリズムをデフォルトパラメータで用いたとき対応するバリアント配列に沿った示される位置で同一の整合または類似のアミノ酸を有する対応するバリアントとアラインした場合、所与のバリアントにおいて存在すると考えられ、類似のアミノ酸とは、アラインメントアルゴリズムのデフォルトパラメータを用いた目的のバリアント位置とのアラインメントに十分な化学特性を有すると考えられるアミノ酸である。
単独または組合せのバリアントは、参照ポリペプチド、例えば、野生型(ネイティブ)酵素と比べて活性を保持または改善する酵素を生成し得る。いくつかの態様では、本発明のポリペプチドは、表1、2および/または3で示されるバリアントの任意の組合せを有し得る。いくつかの態様では、表1、2および/または3で示されるバリアントの任意の組合せを有する本発明のポリペプチドは、アシルCoAを対応するアルデヒドに、例えば、3−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチルアルデヒドに、または4−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換し得る。そのようなポリペプチドを生成およびアッセイする方法は、当業者に周知である。
いくつかの実施形態では、本発明の単離されたポリペプチドは、1〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって2〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって3〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって4〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって5〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって6〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって7〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって8〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって9〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって10〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって15〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって20〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって30〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって40〜100個のアミノ酸位置、またはそれに代わって50〜100個のアミノ酸位置、またはその中の任意の整数個のアミノ酸位置における保存的アミノ酸置換をさらに含む場合があり、位置は、表1、2および/または3で示されるバリアントアミノ酸位置以外である。いくつかの態様では、保存的アミノ酸配列は、化学的保存的または進化的保存的アミノ酸置換である。保存的アミノ酸を特定する方法は、当業者に周知であり、そのうちのいずれか1つは、本発明の単離されたポリペプチドを生成するために用いることができる。
いくつかの実施形態では、本発明の単離されたポリペプチドは、親(野生型)配列と比較して、2〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって3〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって4〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって5〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって10〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって20〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって30〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって40〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって50〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって60〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって80〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって100〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって150〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって200〜300個のアミノ酸位置、またはそれに代わって250〜300個のアミノ酸位置、またはその中の任意の整数個のアミノ酸位置での改変を含まない場合があり、位置は、配列番号1、2もしくは3としてまたは表4で参照されるアミノ酸配列のうちの2、3、4または5つと同一である位置から選択される。
本明細書で開示されるように、アルデヒドデヒドロゲナーゼのポリペプチドバリアントなどのバリアントポリペプチドは、例えば、アシルCoAをその対応するアルデヒドに転換する、例として、3−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換するか、または4−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換する、親ポリペプチドと同様の酵素反応を行うことができることが理解される。アルデヒドデヒドロゲナーゼ酵素のポリペプチドバリアントは、活性の増大、3−ヒドロキシブチリルCoAまたは3−ヒドロキシブチルアルデヒドのS形態に優るR形態についての特異性の増大、アセチルCoAに優る3−ヒドロキシブチリルCoAおよび/または4−ヒドロキシブチリルCoAについての特異性の増大、エタノールまたは4−ヒドロキシ−2−ブタノンなどの副産物形成の低減、kcatの増大、in vivoおよび/またはin vitroでの安定性の増大などを含むが、これらに限定されない、ポリペプチドに特徴的な利益を提供するバリアントを含み得ることがさらに理解される(実施例を参照)。特定の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、野生型または親ポリペプチドと少なくとも同じか、またはこれよりも高い、すなわち、バリアントアミノ酸位置を有さない親ポリペプチドより高い活性を示し得る。例えば、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、野生型または親ポリペプチドより1.2、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10倍またはさらにそれよりも高い活性のバリアントポリペプチドを有し得る(実施例を参照)。活性は、同じアッセイ条件下の野生型または親ポリペプチドと比べた、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼの、基質を生成物に転換する能力を指すと理解される。
別の特定の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、3−ヒドロキシブチリルCoAまたは3−ヒドロキシブチルアルデヒドのS形態に優るR形態についての特異性の増大、例えば、約2〜40倍高い、例えば、2〜35、2〜30、2〜25、2〜20、2〜15、2〜10または2〜5、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40倍またはさらにそれよりも高い活性を示し得る。そのような特異性の増大は、例えば、3−ヒドロキシブチリルCoAまたは3−ヒドロキシブチルアルデヒドのR形態についてのS形態に対する活性の比によって測定することができる。
別の特定の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、アセチルCoAに優る3−ヒドロキシブチリルCoAおよび/または4−ヒドロキシブチリルCoAについての特異性の増大、例えば、1.5〜100、1.5〜95、1.5〜90、1.5〜85、1.5〜80、1.5〜75、1.5〜70、1.5〜65、1.5〜60、1.5〜55、1.5〜50、1.5〜45、1.5〜40、1.5〜35、1.5〜30、1.5〜25、1.5〜20、1.5〜15、1.5〜10または1.5〜5、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100倍を示し得る。そのような特異性の増大は、例えば、3−ヒドロキシブチリルCoAまたは4−ヒドロキシブチリルCoAについてのアセチルCoAに対する活性の比によって測定することができる。特異性は、アセチルCoAについての活性で割った3HB−CoAまたは4HB−CoAについての活性により示される。
別の特定の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、エタノールおよび/または4−ヒドロキシ−2−ブタノンなどの副産物形成の低減、例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の副産物形成の低減を示し得る。そのようなアルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、野生型または親ポリペプチド、すなわち、バリアントアミノ酸位置を有さない親ポリペプチドと比べて、上記のように、副産物形成の低減を有する活性を示し得る。
別の特定の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、野生型または親ポリペプチド、すなわち、バリアントアミノ酸位置を有さない親ポリペプチドと比べて、例えば、1.25、1.5、1.75、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10倍またはそれよりも高い、kcatの増大を示し得る。kcatは、ターンオーバー数の酵素学におけるその周知の意味を指すと理解され、kcat=Vmax/[E]であり、Vmaxは、飽和基質での酵素反応速度であり、[E]は、全酵素濃度である(Segel、Enzyme Kinetics: Behavior and Analysis of Rapid Equilibrium and Steady−State Enzyme Kinetics、Wiley−Interscience、New York(1975年)を参照)。そのようなアルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、野生型または親ポリペプチド、すなわち、バリアントアミノ酸位置を有さない親ポリペプチドと比べて、kcatの増大を有する活性を示し得る。
別の特定の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、野生型または親ポリペプチド、すなわち、バリアントアミノ酸位置を有さない親ポリペプチドと比べて、in vitroもしくはin vivoのいずれかまたは両方での、安定性の増大を示し得る。例えば、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、細胞溶解物中でin vitroにて安定性の増大を示し得る。
特定の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、上記の特徴のうちの2つまたはそれよりも多く、例えば、任意の組合せの、(1)活性の増大、(2)3−ヒドロキシブチリルCoAまたは3−ヒドロキシブチルアルデヒドのS形態に優るR形態についての特異性の増大、(3)アセチルCoAに優る3−ヒドロキシブチリルCoAおよび/または4−ヒドロキシブチリルCoAについての特異性の増大、(4)エタノールおよび/または4−ヒドロキシ−2−ブタノンなどの副産物形成の低減、(5)kcatの増大、(6)in vivoおよび/またはin vitroでの安定性の増大などの特徴のうちの2つまたはそれよりも多くを示し得ることが理解される。そのような組合せとしては、例えば、特徴1および2;1および3;1および4;1および5;1および6;2および3;2および4;2および5;2および6;3および4;3および5;3および6;4および5;4および6;5および6;1、2および3;1、2および4;1、2および5;1、2および6;1、3および4;1、3および5;1、3および6;1、4および5;1、4および6;1、5および6;2、3および4;2、3および5;2、3および6;2、4および5;2、4および6;2、5および6;3、4および5;3、4および6;3、5および6;4、5および6;1、2、3および4;1、2、3および5;1、2、3および6;1、2、4および5;1、2、4および6;1、2、5および6;1、3、4および5;1、3、4および6;1、3、5および6;1、4、5および6;2、3、4および5;2、3、4および6;2、3、5および6;3、4、5および6;1、2、3、4および5;1、3、4、5および6;1、2、4、5および6;1、2、3、5および6;1、2、3、4および6;2、3、4、5および6;1、2、3、4、5および6が挙げられる。
本発明のポリペプチドは、当技術分野で周知の様々な方法、例えば、組換え発現系、沈殿、ゲル濾過、イオン交換、逆相および親和性クロマトグラフィーなどによって単離することができる。他の周知の方法は、Deutscherら、Guide to Protein Purification: Methods in Enzymology、182巻、(Academic Press、(1990年))に記載されている。あるいは、本発明の単離されたポリペプチドは、周知の組換え法(例えば、Sambrookら、上記、1989年;Ausubelら、上記、1999年を参照)を用いて得ることができる。本発明のポリペプチドの生化学精製のための方法および条件は、当業者によって選択され、精製は、例えば、機能アッセイによってモニタリングすることができる。
本発明のポリペプチドを調製するための方法の1つの非限定的な例は、本明細書に記載するように、当技術分野で周知の方法を用いて、好適な宿主細胞、例として、細菌細胞、酵母細胞または他の好適な細胞においてポリペプチドをコードする核酸を発現すること、およびここでもまた周知の精製法を用いて発現したポリペプチドを回収することである。本発明のポリペプチドは、本明細書に記載するように発現ベクターで形質転換した細胞から直接的に単離することができる。また、本発明の組換えにより発現されたポリペプチドは、所望により、適切な親和性タグ、例として、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、ポリHis、ストレプトアビジンなどを伴う融合タンパク質として発現し、親和性精製することができる。本発明のポリペプチドは、所望により、親和性タグを保持してもよく、または必要に応じて親和性タグは、親和性タグを除去するための周知の方法を用いて、例えば、適切な酵素もしくは化学切断を用いてポリペプチドから除去してもよい。したがって、本発明は、親和性タグを伴わないか、または必要に応じて伴う本発明のポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で開示される本発明のポリペプチドを発現する宿主細胞を提供する。本発明のポリペプチドはまた、当業者に周知のポリペプチド合成の方法を用いて化学合成によって生成することができる(Merrifield、J. Am. Chem. Soc. 85巻:2149頁(1964年);Bodansky, M.、Principles of Peptide Synthesis(Springer−Verlag、1984年);Houghten、Proc. Natl. Acad. Sci., USA 82巻:5131頁(1985年);Grant Synthetic Peptides: A User Guide. W.H. Freeman and Co.、N.Y.(1992年);Bodansky MおよびTrost B.編 Principles of Peptide Synthesis. Springer−Verlag Inc.、NY(1993年))。
いくつかの実施形態では、本発明は、生物触媒として本明細書で開示されるポリペプチドを用いることを提供する。「生物触媒」は、本明細書で用いる場合、化学反応を開始するか、またはその速度を改変する生物学的物質を指す。生物触媒は、酵素であり得る。本発明のポリペプチドは、本明細書で開示されるように基質の生成物への転換の速度を増大させるために用いることができる。産業的反応に関連して、本発明のポリペプチドは、例えば、in vitro法を用いて、ポリペプチドを発現する宿主細胞なしで、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する反応を改善するために用いることができる。一実施形態では、本発明は、生物触媒としての本発明のポリペプチドの使用を提供する。
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするポリペプチドは、アルデヒドデヒドロゲナーゼを発現する細胞の細胞溶解物として提供される。このような場合、細胞溶解物は、in vitro反応において、3−ヒドロキシブチリルCoAの3−ヒドロキシブチルアルデヒドへの、もしくは4−ヒドロキシブチリルCoAの4−ヒドロキシブチルアルデヒドへの転換、または逆反応を行うためのアルデヒドデヒドロゲナーゼの供給源として働く。別の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、部分的に精製された形態、例えば、部分的に細胞溶解物から精製された形態で提供することができる。別の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、アルデヒドデヒドロゲナーゼが、他の構成成分、例として、細胞抽出物の構成成分から実質的に精製されている、実質的に精製された形態で提供することができる。アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするポリペプチドを部分的に精製または実質的に精製するための方法は、本明細書に記載するように、当技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、固体支持体、例えば、ビーズ、プレートまたは膜に固定化される。特定の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、親和性タグを含み、親和性タグは、アルデヒドデヒドロゲナーゼを固体支持体に固定化するために用いられる。そのような親和性タグとしては、本明細書に記載するように、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、ポリHis、ストレプトアビジンなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で開示されるポリペプチドおよびポリペプチドについての少なくとも1つの基質を有する組成物を提供する。本明細書で開示されるポリペプチドのそれぞれについての基質は、本明細書に記載され、図で例示されている。本発明の組成物内のポリペプチドは、in vitroまたはin vivo条件下で基質と反応することができる。この関係において、in vitro条件は、本発明の細胞を含む、細胞の非存在下または細胞外での反応を指す。
一実施形態では、本発明は、本発明のポリペプチドおよびポリペプチドについての少なくとも1つの基質を含む組成物を提供する。一実施形態では、ポリペプチドは、in vitro条件下で基質と反応することができる。一実施形態では、基質は、3−ヒドロキシブチリルCoAである。一実施形態では、基質は、3−ヒドロキシ−(R)−ブチリルCoAである。一実施形態では、基質は、4−ヒドロキシブチリルCoAである。
いくつかの実施形態では、本発明は、他のステップの中でも、本明細書で開示されるベクターを、例えば、ベクターによってコードされたアミノ酸配列を発現することができ、かつ/または発酵することができる宿主細胞に導入する工程を含み得る、宿主株を構築する方法を提供する。本発明のベクターは、コンジュゲーション、エレクトロポレーション、化学的変換、形質導入、トランスフェクションおよび超音波形質転換を含むが、これらに限定されない、当技術分野で周知の技術を用いて宿主細胞に安定にまたは一過的に導入することができる。追加の方法は、本明細書で開示され、そのうちのいずれか1つは、本発明の方法で用いることができる。
さらなる実施形態では、本発明は、本発明のポリペプチド、すなわち、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを含む細胞を提供する。したがって、本発明は、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするポリペプチドを含む天然に存在しない細胞を提供する。必要に応じて、細胞は、3−HBalもしくは1,3−BDO経路、または4−HBalもしくは1,4−BDO経路を含む場合があり、さらに必要に応じて、それに関連する下流生成物、例として、そのエステルまたはアミドを生成する経路を含む。いくつかの実施形態では、天然に存在しない細胞は、アシルCoAをその対応するアルデヒドに転換するアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む。当業者は、これらが単に例であり、所望の生成物を生成するのに好適な、および適切な活性が基質の生成物への転換のために利用可能である、本明細書で開示される基質−生成物対のいずれも、本明細書中の教示に基づいて当業者によって容易に決定することができることを理解する。したがって、特定の実施形態では、本発明は、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外因性核酸を含有する細胞、特に天然に存在しない細胞であって、アルデヒドデヒドロゲナーゼが、図1および2で示される経路などの3−HBal、1,3−BDO、4−HBalまたは1,4−BDO経路で機能する、細胞を提供する。
一実施形態では、本発明は、本発明の核酸を含む本発明のベクターを含む細胞を提供する。本発明はまた、本発明の核酸を含む細胞も提供する。一実施形態では、核酸分子は、細胞の染色体に組み込まれる。特定の実施形態では、組込みは、部位特異的である。本発明の一実施形態では、核酸分子が発現される。一実施形態では、本発明は、本発明のポリペプチドを含む細胞を提供する。
一実施形態では、ベクター、核酸またはポリペプチドを含む細胞は、微生物体である。特定の実施形態では、微生物体は、細菌、酵母または真菌である。特定の実施形態では、細胞は、単離された真核細胞である。
一実施形態では、細胞は、3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/もしくは1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成する経路を含む。別の実施形態では、細胞は、4−ヒドロキシブチルアルデヒド(4−HBal)および/もしくは1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成する経路を含む。一実施形態では、細胞は、発酵することができる。一実施形態では、細胞は、細胞内で発現される本発明のポリペプチドについての少なくとも1つの基質をさらに含む。特定の実施形態では、基質は、3−ヒドロキシブチリルCoAである。特定の実施形態では、基質は、3−ヒドロキシ−(R)−ブチリルCoAである。一実施形態では、細胞は、3−ヒドロキシ−(R)−ブチリルCoAについて3−ヒドロキシ−(S)−ブチリルCoAより高い活性を有する。別の特定の実施形態では、基質は、4−ヒドロキシブチリルCoAである。本発明はまた、本発明の細胞を含む培地も提供する。
本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼは、アシルCoAをその対応するアルデヒドに転換する経路で利用することができる。アルデヒドデヒドロゲナーゼを含む3−HBalおよび/または1,3−BDOについての例示的な経路は、例えば、WO2010/127319、WO2013/036764、米国特許第9,017,983号、US2013/0066035に記載されており、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれている。
例示的な3−HBalおよび/または1,3−BDO経路は、図1に示され、WO2010/127319、WO2013/036764、米国特許第9,017,983号およびUS2013/0066035に記載されている。そのようなアルデヒドデヒドロゲナーゼを含む3−HBalおよび/または1,3−BDO経路は、例えば、(G)アセトアセチルCoAレダクターゼ(ケトン還元);(H)3−ヒドロキシブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALD)とも本明細書で呼ばれる3−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼ(アルデヒド形成);および(C)1,3−BDOデヒドロゲナーゼとも本明細書で呼ばれる3−ヒドロキシブチルアルデヒドレダクターゼを含む(図1を参照)。アセトアセチルCoAは、チオラーゼを利用して、アセチルCoAの2つの分子をアセトアセチルCoAの1つの分子に転換することによって形成することができる。アセトアセチルCoAチオラーゼは、アセチルCoAの2つの分子をアセトアセチルCoAおよびCoAの1つの分子それぞれに転換する(WO2013/036764およびUS2013/0066035を参照)。
例示的な1,3−BDO経路は、WO2010/127319の図2に示されている。簡潔には、アセトアセチルCoAは、アセトアセチルCoAレダクターゼ(ケトン還元)(EC1.1.1.a)によって3−ヒドロキシブチリルCoAに転換することができる(図1のステップG)。3−ヒドロキシブチリルCoAは、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを含む、3−ヒドロキシブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼとも本明細書で呼ばれる3−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼ(アルデヒド形成)(EC1.2.1.b)によって3−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換することができる(図1のステップH)。3−ヒドロキシブチルアルデヒドは、1,3−BDOデヒドロゲナーゼとも本明細書で呼ばれる3−ヒドロキシブチルアルデヒドレダクターゼ(EC1.1.1.a)によって1,3−ブタンジオールに転換することができる(図1のステップC)。
本明細書で開示されるように、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼは、3−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換する経路で機能し得る。3−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換するアルデヒドデヒドロゲナーゼを含む上記の経路では、経路は、アセトアセチルCoAを3−ヒドロキシブチリルCoAに転換する(図1を参照)。本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼはまた、経路の基質/生成物として3−ヒドロキシブチリルCoAを含む他の3−HBalおよび/または1,3−BDO経路で用いることができる。当業者は、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを容易に利用して、そのような反応を含む任意の所望の経路で3−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換することができる。
例示的な4−HBalおよび/または1,4−BDO経路は、図2に示され、WO2008/115840、WO2010/030711、WO2010/141920、WO2011/047101、WO2013/184602、WO2014/176514、米国特許第8,067,214号、米国特許第7,858,350号、米国特許第8,129,169号、米国特許第8,377,666号、US2013/0029381、US2014/0030779、US2015/0148513およびUS2014/0371417に記載されている。そのようなアルデヒドデヒドロゲナーゼを含む4−HBalおよび/または1,4−BDO経路は、例えば、(1)スクシニルCoAシンテターゼ;(2)CoA非依存型コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ;(3)α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ;(4)グルタミン酸:コハク酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ;(5)グルタミン酸デカルボキシラーゼ;(6)CoA依存型コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ;(7)4−ヒドロキシブタン酸デヒドロゲナーゼ;(8)α−ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ;(9)4−ヒドロキシブチリルCoA:アセチルCoAトランスフェラーゼ;(10)酪酸キナーゼ(4−ヒドロキシ酪酸キナーゼとも呼ばれる);(11)ホスホトランスブチリラーゼ(ホスホ−トランス−4−ヒドロキシブチリラーゼとも呼ばれる);(12)アルデヒドデヒドロゲナーゼ(4−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼとも呼ばれる);(13)アルコールデヒドロゲナーゼ、例として、1,4−ブタンジオールデヒドロゲナーゼ(4−ヒドロキシブタナールレダクターゼまたは4−ヒドロキシブチルアルデヒドレダクターゼとも呼ばれる)を含む(図2を参照)。
図2と同様に、例示的な1,4−BDO経路は、WO2010/141920の図8Aに示されている。簡潔には、スクシニルCoAは、スクシニルCoAレダクターゼ(またはコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ)(EC1.2.1.b)によってコハク酸セミアルデヒドに転換することができる。コハク酸セミアルデヒドは、4−ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.a)によって4−ヒドロキシブチレートに転換することができる。あるいは、スクシニルCoAは、スクシニルCoAレダクターゼ(アルコール形成)(EC1.1.1.c)によって4−ヒドロキシブチレートに転換することができる。4−ヒドロキシブチレートは、4−ヒドロキシブチリルCoAトランスフェラーゼ(EC2.8.3.a)によって、4−ヒドロキシブチリルCoAヒドロラーゼ(EC3.1.2.a)によってまたは4−ヒドロキシブチリルCoAリガーゼ(または4−ヒドロキシブチリルCoAシンテターゼ)(EC6.2.1.a)によって4−ヒドロキシブチリルCoAに転換することができる。あるいは、4−ヒドロキシブチレートは、4−ヒドロキシ酪酸キナーゼ(EC2.7.2.a)によって4−ヒドロキシブチリル−ホスフェートに転換することができる。4−ヒドロキシブチリル−ホスフェートは、ホスホトランス−4−ヒドロキシブチリラーゼ(EC2.3.1.a)によって4−ヒドロキシブチリルCoAに転換することができる。あるいは、4−ヒドロキシブチリル−ホスフェートは、4−ヒドロキシブタナールデヒドロゲナーゼ(リン酸化)(EC1.2.1.d)によって4−ヒドロキシブタナールに転換することができる。4−ヒドロキシブチリルCoAは、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントによるものを含む、4−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼ(または4−ヒドロキシブタナールデヒドロゲナーゼ)(EC1.2.1.b)によって4−ヒドロキシブタナールに転換することができる。あるいは、4−ヒドロキシブチリルCoAは、4−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼ(アルコール形成)(EC1.1.1.c)によって1,4−ブタンジオールに転換することができる。4−ヒドロキシブタナールは、1,4−ブタンジオールデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.a)によって1,4−ブタンジオールに転換することができる。
例示的な1,4−BDO経路はまた、WO2010/141920の図8Bにも示されている。簡潔には、アルファ−ケトグルタレートは、アルファ−ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ(EC4.1.1.a)によってコハク酸セミアルデヒドに転換することができる。あるいは、アルファ−ケトグルタレートは、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC1.4.1.a)によってグルタメートに転換することができる。4−アミノブチレートは、4−アミノ酪酸オキシドレダクターゼ(脱アミノ化)(EC1.4.1.a)または4−アミノ酪酸トランスアミナーゼ(EC2.6.1.a)によってコハク酸セミアルデヒドに転換することができる。グルタメートは、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(EC4.1.1.a)によって4−アミノブチレートに転換することができる。コハク酸セミアルデヒドは、4−ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.a)によって4−ヒドロキシブチレートに転換することができる。4−ヒドロキシブチレートは、4−ヒドロキシブチリルCoAトランスフェラーゼ(EC2.8.3.a)によって、4−ヒドロキシブチリルCoAヒドロラーゼ(EC3.1.2.a)によってまたは4−ヒドロキシブチリルCoAリガーゼ(または4−ヒドロキシブチリルCoAシンテターゼ)(EC6.2.1.a)によって4−ヒドロキシブチリルCoAに転換することができる。4−ヒドロキシブチレートは、4−ヒドロキシ酪酸キナーゼ(EC2.7.2.a)によって4−ヒドロキシブチリル−ホスフェートに転換することができる。4−ヒドロキシブチリル−ホスフェートは、ホスホトランス−4−ヒドロキシブチリラーゼ(EC2.3.1.a)によって4−ヒドロキシブチリルCoAに転換することができる。あるいは、4−ヒドロキシブチリル−ホスフェートは、4−ヒドロキシブタナールデヒドロゲナーゼ(リン酸化)(EC1.2.1.d)によって4−ヒドロキシブタナールに転換することができる。4−ヒドロキシブチリルCoAは、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼによるものを含む、4−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼ(または4−ヒドロキシブタナールデヒドロゲナーゼ)(EC1.2.1.b)によって4−ヒドロキシブタナールに転換することができる。4−ヒドロキシブチリルCoAは、4−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼ(アルコール形成)(EC1.1.1.c)によって1,4−ブタンジオールに転換することができる。4−ヒドロキシブタナールは、1,4−ブタンジオールデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.a)によって1,4−ブタンジオールに転換することができる。
本明細書で開示されるように、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼは、4−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換する経路で機能し得る。4−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換するアルデヒドデヒドロゲナーゼを含む上記の経路では、経路は、4−ヒドロキシブチレートを4−ヒドロキシブチリルCoAに、または4−ヒドロキシブチリル−ホスフェートを4−ヒドロキシブチリルCoAに転換する(図2を参照)。本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼはまた、経路の基質/生成物として4−ヒドロキシブチリルCoAを含む他の4−HBalおよび/または1,4−BDO経路で用いることもできる。当業者は、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを容易に利用して、そのような反応を含む任意の所望の経路で4−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換することができる。例えば、4−オキソブチリルCoAは、WO2010/141290、図9Aに記載され、示されるように、4−ヒドロキシブチリルCoAに転換することができる。加えて、5−ヒドロキシ−2−オキソペンタン酸は、WO2010/141290、図10および11に記載され、示されるように、4−ヒドロキシブチリルCoAに転換することができる。また、アセトアセチルCoA、3−ヒドロキシブチリルCoA、クロトニルCoAおよび/またはビニルアセチルCoAは、WO2010/141290、図12に記載され、示されるように、4−ヒドロキシブチリルCoAに転換することができる。加えて、4−ヒドロキシブタ−2−エノイルCoAは、WO2010/141290、図13に記載され、示されるように、4−ヒドロキシブチリルCoAに転換することができる。したがって、当業者は、所望により、4−ヒドロキシブチリルCoAの4−ヒドロキシブチルアルデヒドへの転換を含む4−HBalおよび/または1,4−BDO経路で、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼをどのように用いるかを容易に理解する。
通常の中心的な代謝中間体を1,3−BDOまたは1,4−BDOに転換するために必要とされる酵素型は、代表的な酵素(EC)番号を伴って上記に示される(WO2010/127319、WO2013/036764、WO2008/115840、WO2010/030711、WO2010/141920、WO2011/047101、WO2013/184602、WO2014/176514、米国特許第9,017,983号、米国特許第8,067,214号、米国特許第7,858,350号、米国特許第8,129,169号、米国特許第8,377,666号、US2013/0066035、US2013/0029381、US2014/0030779、US2015/0148513およびUS2014/0371417も参照)。各標識の最初の3桁は、基質特異性に依存しない変換の一般型を示す酵素番号の最初の3桁に対応する。例示的な酵素としては:1.1.1.a、オキシドレダクターゼ(ケトンからヒドロキシル、またはアルデヒドからアルコール);1.1.1.c、オキシドレダクターゼ(2ステップ、アシルCoAからアルコール);1.2.1.b、オキシドレダクターゼ(アシルCoAからアルデヒド);1.2.1.c、オキシドレダクターゼ(2−オキソ酸からアシルCoA、脱カルボキシル化);1.2.1.d、オキシドレダクターゼ(リン酸化/脱リン酸化);1.3.1.a、CH−CHドナーに作用するオキシドレダクターゼ;1.4.1.a、アミノ酸に作用するオキシドレダクターゼ(脱アミノ化);2.3.1.a、アシルトランスフェラーゼ(リン酸基の転移);2.6.1.a、アミノトランスフェラーゼ;2.7.2.a、ホスホトランスフェラーゼ、カルボキシル基アクセプター;2.8.3.a、補酵素Aトランスフェラーゼ;3.1.2.a、チオールエステルヒドロラーゼ(CoA特異的);4.1.1.a、カルボキシリアーゼ;4.2.1.a、ヒドロリアーゼ;4.3.1.a、アンモニアリアーゼ;5.3.3.a、イソメラーゼ;5.4.3.a、アミノムターゼ;および6.2.1.a、酸−チオールリガーゼが挙げられる。
本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼは、アシルCoAをその対応するアルデヒドに転換するために細胞においてまたはin vitroで利用することができる。本明細書で開示されるように、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼは、3−ヒドロキシブチリルCoAのSエナンチオマーに優るRエナンチオマーについての特異性の増大、アセチルCoAに優る3−ヒドロキシブチリルCoAおよび/または4−ヒドロキシブチリルCoAについての特異性の増大、活性の増大、副産物生成の低減、kcatの増大などを含むが、これらに限定されない、有益かつ有用な特性を有する。本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼは、1,3−ブタンジオールデヒドロゲナーゼを用いて本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼの生成物、3−ヒドロキシ−(R)−ブチルアルデヒドを(R)−1,3−ブタンジオールに酵素的に転換することによって、1,3−ブタンジオールのR形態((R)−1,3−ブタンジオールとも呼ばれる)を生成するために用いることができる。
1,3−ブタンジオールの生物由来R形態は、R形態が好ましい下流生成物の生成のために利用することができる。いくつかの実施形態では、R形態は、医薬および/または栄養補助食品として利用することができる(WO2014/190251を参照)。例えば、(R)−1,3−ブタンジオールは、血中のケトン体レベルの増大などの有益な効果を有し得る(3R)−ヒドロキシブチル(3R)−ヒドロキシブチレートを生成するために用いることができる。ケトン体レベルの増大は、身体および認知能力の増強、および心血管状態、糖尿病の治療およびミトコンドリア機能不全障害の治療、ならびに筋肉疲労および筋肉障害の治療を含む、様々な臨床利益をもたらし得る(WO2014/190251を参照)。1,3−ブタンジオールの生物由来R形態は、例えば、石油由来ラセミ体1,3−ブタンジオール、そのS形態またはそのR形態を、生物由来R形態で置換することによって、石油ベースでない生成物が所望される下流生成物の生成のために利用することができる。
一実施形態では、本発明は、化合物のR形態のエナンチオマーが富化されている3−HBalもしくは1,3−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを提供する。いくつかの実施形態では、3−HBalまたは1,3−BDOは、Rエナンチオマーを富化したラセミ体である、すなわち、S−エナンチオマーよりR−エナンチオマーを多く含む。例えば、3−HBalまたは1,3−BDOラセミ体は、55%またはそれよりも多いR−エナンチオマーおよび45%またはそれよりも少ないS−エナンチオマーを含み得る。例えば、3−HBalまたは1,3−BDOラセミ体は、60%またはそれよりも多いR−エナンチオマーおよび40%またはそれよりも少ないS−エナンチオマーを含み得る。例えば、3−HBalまたは1,3−BDOラセミ体は、65%またはそれよりも多いR−エナンチオマーおよび35%またはそれよりも少ないS−エナンチオマーを含み得る。例えば、3−HBalまたは1,3−BDOラセミ体は、70%またはそれよりも多いR−エナンチオマーおよび30%またはそれよりも少ないS−エナンチオマーを含み得る。例えば、3−HBalまたは1,3−BDOラセミ体は、75%またはそれよりも多いR−エナンチオマーおよび25%またはそれよりも少ないS−エナンチオマーを含み得る。例えば、3−HBalまたは1,3−BDOラセミ体は、80%またはそれよりも多いR−エナンチオマーおよび20%またはそれよりも少ないS−エナンチオマーを含み得る。例えば、3−HBalまたは1,3−BDOラセミ体は、85%またはそれよりも多いR−エナンチオマーおよび15%またはそれよりも少ないS−エナンチオマーを含み得る。例えば、3−HBalまたは1,3−BDOラセミ体は、90%またはそれよりも多いR−エナンチオマーおよび10%またはそれよりも少ないS−エナンチオマーを含み得る。例えば、3−HBalまたは1,3−BDOラセミ体は、95%またはそれよりも多いR−エナンチオマーおよび5%またはそれよりも少ないS−エナンチオマーを含み得る。いくつかの実施形態では、3−HBalもしくは1,3−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドは、90%を超えるR形態、例えば、95%、96%、97%、98%、99%または99.9%を超えるR形態である。一実施形態では、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドは、55%以上のR−エナンチオマー、60%以上のR−エナンチオマー、65%以上のR−エナンチオマー、70%以上のR−エナンチオマー、75%以上のR−エナンチオマー、80%以上のR−エナンチオマー、85%以上のR−エナンチオマー、90%以上のR−エナンチオマーまたは95%以上のR−エナンチオマーであり、高度に化学的純粋な、例えば、99%以上、例えば、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上または99.9%以上のR−エナンチオマーであり得る。
一実施形態では、3−HBalおよび/または1,3−BDOの前駆体の石油由来ラセミ混合物、特に3−ヒドロキシブチリルCoAのラセミ混合物は、S形態に優るR形態についての特異性の増大を示す、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼの基質として用いられて、R形態のエナンチオマーが富化されている3−HBalもしくは1,3−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する。そのような反応は、石油由来前駆体を、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを発現する細胞、特に前駆体を3−ヒドロキシブチリルCoAに転換することができる細胞に供給することによって行うことができるか、または石油由来前駆体を3−ヒドロキシブチリルCoAに転換する1つもしくは複数の酵素を用いてin vitroで、もしくはin vivoとin vitro反応との組合せで行うことができる。本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼで4−ヒドロキシブチリルCoAを生成する反応は同様に、石油由来前駆体を、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを発現する細胞、特に前駆体を4−ヒドロキシブチリルCoAに転換することができる細胞に供給することによって行うことができるか、または石油由来前駆体を4−ヒドロキシブチリルCoAに転換する1つもしくは複数の酵素を用いてin vitroで、もしくはin vivoとin vitro反応との組合せで行うことができる。
本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを含む3−HBal、1,3−BDO、4−HBalまたは1,4−BDO経路を含有する細胞について本明細書で一般に記載されているが、本発明はまた、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む細胞を提供することが理解される。アルデヒドデヒドロゲナーゼは、所望の生成物、例として、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の生成物またはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成するのに十分な量で発現され得る。例示的な3−HBal、1,3−BDO、4−HBalまたは1,4−BDO経路は、図1および2に示され、本明細書に記載されている。
実施例で記載され、図に例示されるように、図1および2の経路を含む本明細書で開示される経路のいずれかは、所望により、任意の経路、特に本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを利用する経路の中間体または生成物を生成する細胞を生成するために利用することができることが理解される。本明細書で開示されるように、中間体を生成するそのような細胞は、所望の生成物を生成する1つまたは複数の上流または下流経路酵素を発現する別の細胞と組み合わせて用いることができる。しかしながら、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalまたは1,4−BDO経路中間体を生成する細胞は、所望の生成物としての中間体を生成するために利用することができることが理解される。
一般に、代謝反応、その反応体または生成物について言及しつつ、あるいは特に、言及する代謝反応、反応体もしくは生成物と関連があるかもしくはそれを触媒する酵素、または言及する代謝反応、反応体もしくは生成物と関連があるタンパク質をコードする1つまたは複数の核酸または遺伝子に言及しつつ、本明細書において本発明を記載する。本明細書で別段明示的に述べられていない限り、反応への言及はまた、反応の反応体および生成物への言及にもなることを当業者は理解する。同様に、本明細書で別段明示的に述べられていない限り、反応体または生成物への言及はまた、反応にも言及しており、これらの代謝構成要素のいずれかへの言及は、言及する反応、反応体もしくは生成物を触媒する酵素または言及する反応、反応体もしくは生成物に関与するタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子にも言及している。同様にして、代謝生化学、酵素学およびゲノミクスの周知の分野を考慮すると、本明細書における遺伝子またはコード核酸への言及はまた、対応するコードされる酵素およびそれが触媒する反応または反応と関連があるタンパク質、ならびにその反応の反応体および生成物への言及にもなる。
本明細書で開示されるように、カルボン酸である生成物または経路の中間体は、完全プロトン化形態、部分的プロトン化形態および完全脱プロトン化形態を含めた、種々のイオン化の形態をとって存在し得る。したがって、接尾語の「〜エート(−ate)」または酸の形を互換的に使用して、遊離酸の形態および任意の脱プロトン化形態の両方を記載することができ、これは、特に、イオン化形態は、その中で、化合物が見出されるpHに依存することが公知であるからである。カルボン酸生成物または中間体には、カルボン酸生成物または経路の中間体のエステル形態、例として、O−カルボキシレートエステルおよびS−カルボキシレートエステルが含まれることを理解されたい。O−およびS−カルボキシレートは、C1〜C6である低級アルキルの、分枝鎖または直鎖のカルボキシレートを含むことができる。いくつかのそのようなO−またはS−カルボキシレートとして、非限定的に、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、i−プロピル、sec−ブチルおよびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシルのO−またはS−カルボキシレートが挙げられ、これらはいずれも、不飽和をさらに保有することができ、それらには、例えば、プロペニル、ブテニル、ペンチルおよびヘキセニルのO−またはS−カルボキシレートがある。O−カルボキシレートは、生合成経路の生成物である場合がある。生合成により入手し得る他のO−カルボキシレートとして、脂肪アルコール、例として、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、パルミトリルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール、ヘンイコシルアルコールおよびベヘニルアルコールから誘導される、中鎖〜長鎖の基、すなわちC7〜C22のO−カルボキシレートエステルを挙げることができ、それらのいずれも必要に応じて、分枝していてもよく、かつ/または不飽和を含有してもよい。O−カルボキシレートエステルはまた、生化学または化学的プロセス、例として、遊離カルボン酸の生成物のエステル化、またはO−もしくはS−カルボキシレートのエステル交換反応を介して入手することもできる。S−カルボキシレートは、例えば、CoA S−エステル、システイニルS−エステル、アルキルチオエステル、ならびに種々のアリールチオエステルおよびヘテロアリールチオエステルである。
本発明の細胞を、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする発現可能な核酸、および必要に応じて、1つまたは複数の3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO生合成経路生合成経路に関与する酵素またはタンパク質の1つまたは複数をコードする発現可能な核酸、およびさらに必要に応じて、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する酵素をコードする核酸を導入することによって生成することができる。選ばれる宿主細胞に応じて、特定の3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO生合成経路または下流生成物の一部または全部についての核酸を発現させることができる。例えば、所望の生合成経路についての1つまたは複数の酵素またはタンパク質が、選ばれた宿主に欠損している場合、欠損している酵素(複数可)またはタンパク質(複数可)のための発現可能な核酸を宿主に導入し、続いて、外因性の発現を行う。あるいは、選ばれた宿主がいくつかの経路の遺伝子の内因性の発現を示すが、他の遺伝子は欠損している場合には、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生合成を達成するには、欠損している酵素(複数可)またはタンパク質(複数可)についてのコード核酸が含まれる、または外因性に発現される遺伝子の外因性発現が、所望の場合、経路の酵素の発現を増大させるために提供され得る。したがって、本発明の細胞を、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼ、および必要に応じて、外因性の酵素もしくはタンパク質の活性を導入して、所望の生合成経路を得ることによって、または1つもしくは複数の内因性の酵素もしくはタンパク質と一緒になって、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを含め、所望の生成物、例として、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO、もしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する、1つもしくは複数の外因性の酵素もしくはタンパク質の活性を導入することによって、生成することができる。
例えば、発酵プロセスに適用可能または好適な細菌、酵母、真菌または様々な微生物のいずれかから宿主細胞を選択することができ、これにおいて本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを発現する天然に存在しない細胞を生成することができる。例示的な細菌としては、Escherichia属およびKlebsiella属を含むEnterobacteriales目Enterobacteriaceae科;Anaerobiospirillum属を含むAeromonadales目Succinivibrionaceae科;Actinobacillus属およびMannheimia属を含むPasteurellales目Pasteurellaceae科;Rhizobium属を含むRhizobiales目Bradyrhizobiaceae科;Bacillus属を含むBacillales目Bacillaceae科;Corynebacterium属およびStreptomyces属をそれぞれ含むActinomycetales目Corynebacteriaceae科およびStreptomycetaceae科;Gluconobacter属を含むRhodospirillales目Acetobacteraceae科;Zymomonas属を含むSphingomonadales目Sphingomonadaceae科;Lactobacillus属およびLactococcus属をそれぞれ含むLactobacillales目Lactobacillaceae科およびStreptococcaceae科;Clostridiales目Clostridiaceae科Clostridium属;ならびにPseudomonas属を含むPseudomonadales目Pseudomonadaceae科から選択される任意の種が挙げられる。宿主細菌の非限定的な種としては、Escherichia coli、Klebsiella oxytoca、Anaerobiospirillum succiniciproducens、Actinobacillus succinogenes、Mannheimia succiniciproducens、Rhizobium etli、Bacillus subtilis、Corynebacterium glutamicum、Gluconobacter oxydans、Zymomonas mobilis、Lactococcus lactis、Lactobacillus plantarum、Streptomyces coelicolor、Clostridium acetobutylicum、Pseudomonas fluorescensおよびPseudomonas putidaが挙げられる。E.coliは、遺伝子工学に好適な十分に特徴付けられている微生物体であるので、特に有用な宿主生物体である。
同様に、酵母または真菌種の例示的な種としては、Saccharomyces属、Kluyveromyces属およびPichia属を含むSaccharomycetales目Saccaromycetaceae科;Yarrowia属を含むSaccharomycetales目Dipodascaceae科;Schizosaccharomyces属を含むSchizosaccharomycetales目Schizosaccaromycetaceae科;Aspergillus属を含むEurotiales目Trichocomaceae科;ならびにRhizopus属を含むMucorales目Mucoraceae科から選択される任意の種が挙げられる。宿主酵母または真菌の非限定的な種としては、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces lactis、Kluyveromyces marxianus、Aspergillus terreus、Aspergillus niger、Pichia pastoris、Rhizopus arrhizus、Rhizobus oryzae、Yarrowia lipolyticaなどが挙げられる。酵母である特に有用な宿主生物体としては、Saccharomyces cerevisiaeが挙げられる。
特に3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成するための宿主細胞として微生物体である細胞を利用することについて本明細書で一般に記載されているが、宿主細胞は、より高度な真核生物の細胞系、例として、哺乳動物細胞系または昆虫細胞系であり得ることが理解される。したがって、微生物体である宿主細胞についての本明細書での言及は、所望の生成物を生成するためにより高度な真核細胞系を代わりに利用してもよいことが理解される。例示的なより高度な真核細胞系としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒト(Hela、ヒト胎児腎臓(HEK)293、Jurkat)、マウス(3T3)、霊長類(Vero)、昆虫(Sf9)などが挙げられるが、これらに限定されない。そのような細胞系は、商業的に入手可能である(例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC;Manassas VA);Life Technologies、Carlsbad CAを参照)。所望の生成物を生成するために本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼ、ならびに必要に応じて代謝および/または遺伝子改変を導入するために、任意の好適な宿主細胞を用いることができることが理解される。
選択される宿主細胞の、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生合成経路の構成要素に応じて、本発明の天然に存在しない細胞は、少なくとも1つの、外因性に発現される3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路のコード核酸、そして最大では、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを含め、1つまたは複数の3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生合成経路もしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドのためのコード核酸を全て含む。例えば、メ3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生合成を、経路の酵素またはタンパク質が欠損している宿主において、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを含め、対応するコード核酸の外因性の発現を通して確立することができる。3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路もしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの全ての酵素またはタンパク質が欠損している宿主では、前記経路中の全ての酵素またはタンパク質の外因性の発現を含めることができるが、宿主が経路の酵素またはタンパク質の少なくとも1つを含有する場合でも、該経路の全ての酵素またはタンパク質を発現させることができることが理解される。例えば、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路もしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成するための経路中の全ての酵素またはタンパク質の外因性の発現が、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを含め、含まれ得る。
本明細書において提供される教示および手引きを考慮すると、発現可能な形態で導入するコード核酸の数は、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路が細胞に含まれるべき場合は、少なくとも、選択される宿主細胞の、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の欠損と平行することが当業者により理解される。したがって、本発明の天然に存在しない細胞は、本明細書に開示される3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生合成経路を構成する酵素またはタンパク質をコードする核酸を、特定の経路に応じて、1、2、3、4、5、6、7、8つなど、最大で全て、有し得る。いくつかの実施形態では、前記天然に存在しない細胞また、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生合成を促進もしくは最適化するまたは他の有用な機能を宿主の微生物体に付与する他の遺伝子改変を含んでもよい。1つのそのような他の機能性として、例えば、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の前駆体、例として、アセチルCoAまたはアセトアセチルCoAの1つまたは複数の合成の増大を挙げることができる。
一般に、宿主細胞が、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを発現することができ、必要に応じて3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の前駆体を、そのような経路を含む細胞において、自然に生成した分子または工学的に操作された(engineered)生成物のいずれかとして生成し、所望の前駆体の新規の生成または宿主細胞により自然に生成される前駆体の生成の増加のいずれかをもたらすように、宿主細胞は選択される。本明細書で開示されるように、宿主の生物体を、前駆体の生成を増大させるように工学的に操作することができる。さらに、所望の前駆体を生成するように工学的に操作されている細胞を、宿主の生物体として使用し、さらに工学的に操作して、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路もしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド(所望の場合)の酵素またはタンパク質を発現させることもできる。
いくつかの実施形態では、本発明の天然に存在しない細胞は、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを合成する酵素能力を含有する宿主から生成される。この特定の実施形態では、例えば、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の反応を、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生成もしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドに向けて推進するために、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の生成物の合成または蓄積を増大させることが有用となる場合がある。合成または蓄積の増大は、例えば、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを含め、上記の3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の酵素またはタンパク質の1つまたは複数をコードする核酸の過剰発現によって達成することができる。3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の1つもしくは複数の酵素および/または1つもしくは複数のタンパク質の過剰発現を、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼの外因性発現を含め、例えば、内因性の1つもしくは複数の遺伝子の外因性の発現を通して、または異種の1つもしくは複数の遺伝子の外因性の発現を通して起こすことができる。したがって、例えば、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路に応じて、1、2、3、4、5、6、7、8つまたはそれより多く、すなわち、最大で全ての、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生合成経路の酵素またはタンパク質、またはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する酵素をコードする核酸の過剰発現を通して、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する本発明の天然に存在しない細胞に、天然に存在する生物体を容易に変換することができる。さらに、天然に存在しない生物体は、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生合成経路もしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの酵素の活性の増大をもたらす内因性の遺伝子の変異誘発により生成することもできる。
特に有用な実施形態では、コード核酸の外因性発現が使用される。外因性発現は、発現および/または調節エレメントを宿主および用途向けに調整する能力を付与し、使用者によって制御される所望の発現レベルを達成する。しかし、誘導可能なプロモーターまたは他の調節エレメントに連結する場合、負の調節エフェクターの除去または遺伝子のプロモーターの誘導などによって、内因性発現を他の実施形態で利用することもできる。したがって、天然に存在する誘導可能なプロモーターを有する内因性遺伝子は、適当な誘導剤を提供することによって上方制御することができるか、または、内因性遺伝子の調節領域を誘導可能な調節エレメントを組み込むように工学的に処理し、それによって所望の時間における内因性遺伝子の発現の増加の調節を可能にすることができる。同様に、天然に存在しない細胞に導入される外因性遺伝子のための調節エレメントとして、誘導可能なプロモーターを含めることができる。
1つまたは複数の外因性核酸のいずれかを細胞に導入して、本発明の天然に存在しない細胞を生成することができることが理解される。核酸を導入し、その結果、例えば、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする核酸を導入することを含め、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生合成経路を細胞に付与することができる。あるいは、コード核酸を導入して、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生合成能力を得て中間体を生成するのに必要な反応のいくつかを触媒する生合成能力を有する細胞を生成することもできる。例えば、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生合成経路を有する天然に存在しない細胞は、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを含め、所望の酵素またはタンパク質をコードする少なくとも2つの外因性核酸を含むことができる。したがって、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを含め、生合成経路の2つ以上の酵素またはタンパク質の任意の組合せを、本発明の天然に存在しない細胞に含めることができることが理解される。同様に、所望の生合成経路の酵素および/またはタンパク質の組合せにより、対応する所望の生成物の生成が生じる限り、所望により、生合成経路の3つ以上の酵素またはタンパク質の任意の組合せを、本発明の天然に存在しない細胞に含めることができることも理解される。同様に、所望の生合成経路の酵素および/またはタンパク質の組合せにより、対応する所望の生成物の生成が生じる限り、4つの任意の組合せ、または本明細書で開示される生合成経路のより多くの酵素またはタンパク質を、所望により、本発明の天然に存在しない細胞に含めることもできる。
本明細書に記載する3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生合成に加えて、本発明の天然に存在しない細胞および方法はまた、種々の組合せ、すなわち、お互いに組合せて、ならびに/あるいは当技術分野で周知の他の細胞および方法と組合せて利用して、他のルートによる生成物の生合成を達成することもできる。例えば、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生産体の使用に代わる、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOを生成するための1つの代替が、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の中間体を、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOに転換することが可能な別の細胞の添加によるものである。1つのそのような手順は、例えば、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の中間体を生成する細胞の発酵を含む。次いで、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の中間体を、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOに転換する第2の細胞のための基質として、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の中間体を使用することができる。3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の中間体を、第2の生物体の別の培養物に直接添加して、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の中間体の生産体の元々の培養物から、これらの細胞を、例えば、細胞分離により枯渇させることができ、次いで、その後に、第2の生物体を発酵ブロスに添加し、これを利用して、中間体の精製ステップなしで最終生成物を生成することができる。3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する細胞が、必要に応じて、そのような下流生成物を生成するために含められ得る。
あるいは、そのような酵素変換は、酵素の組み合わせ、または基質の所望の生成物への変換をもたらす連続的な基質の酵素への曝露により、in vitroで実施することができる。別の代替として、所望の場合、細胞ベースの変換およびin vitroの酵素変換の組み合わせを使用することができる。
他の実施形態では、本発明の天然に存在しない細胞および方法を、多種多様なサブ経路として組み立てて、例えば、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生合成を達成することができる。これらの実施形態では、所望の本発明の生成物の生合成経路を、異なる細胞へと分離することができ、これらの異なる細胞を共培養して、最終生成物を生成することができる。そのような生合成スキームでは、最終生成物が合成されるまで、1つの細胞の生成物が、第2の細胞のための基質となる。例えば、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生合成を、1つの経路の中間体を、別の経路の中間体、または生成物に転換するための生合成経路を含有する細胞を構築することによって達成することができる。それに代わって、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOはまた、同じ槽中で2つの異なる細胞を使用する共培養または共発酵を通して、細胞から生合成的に生成することもでき、この場合、第1の細胞が、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの中間体を生成し、第2の細胞が、その中間体を、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドに転換する。
本明細書において提供される教示および手引きを考慮すると、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成するために、他の細胞、サブ経路を有する他の天然に存在しない細胞の共培養、ならびに当技術分野で周知の他の化学的および/または生化学的な手順の組合せを併用する、本発明の天然に存在しない細胞および方法について、多種多様な組合せおよび置換形態が存在することが当業者により理解される。
3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の酵素またはタンパク質もしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドのためのコード核酸の供給源は、例えば、コードされる遺伝子産物が参照反応を触媒することが可能である任意の種を含み得る。そのような種は、原核生物および真核生物の両方を含み、それらとして、これらに限定されないが、古細菌および真正細菌を含めた、細菌、ならびに酵母、植物、昆虫、動物、およびヒトを含む哺乳動物を含めた、真核生物が挙げられる。そのような供給源の例示的な種には、例えば、Escherichia coli、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces kluyveri、Clostridium kluyveri、Clostridium acetobutylicum、Clostridium beijerinckii、Clostridium saccharoperbutylacetonicum、Clostridium perfringens、Clostridium difficile、Clostridium botulinum、Clostridium tyrobutyricum、Clostridium tetanomorphum、Clostridium tetani、Clostridium propionicum、Clostridium aminobutyricum、Clostridium subterminale、Clostridium sticklandii、Ralstonia eutropha、Mycobacterium bovis、Mycobacterium tuberculosis、Porphyromonas gingivalis、Arabidopsis thaliana、Thermus thermophilus、Pseudomonas種(例えば、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas putida、Pseudomonas stutzeri、Pseudomonas fluorescens)、Homo sapiens、Oryctolagus cuniculus、Rhodobacter spaeroides、Thermoanaerobacter brockii、Metallosphaera sedula、Leuconostoc mesenteroides、Chloroflexus aurantiacus、Roseiflexus castenholzii、Erythrobacter、Simmondsia chinensis、Acinetobacter種(例えば、Acinetobacter calcoaceticusおよびAcinetobacter baylyi)、Porphyromonas gingivalis、Sulfolobus tokodaii、Sulfolobus solfataricus、Sulfolobus acidocaldarius、Bacillus subtilis、Bacillus cereus、Bacillus megaterium、Bacillus brevis、Bacillus pumilus、Rattus norvegicus、Klebsiella pneumonia、Klebsiella oxytoca、Euglena gracilis、Treponema denticola、Moorella thermoacetica、Thermotoga maritima、Halobacterium salinarum、Geobacillus stearothermophilus、Aeropyrum pernix、Sus scrofa、Caenorhabditis elegans、Corynebacterium glutamicum、Acidaminococcus fermentans、Lactococcus lactis、Lactobacillus plantarum、Streptococcus thermophilus、Enterobacter aerogenes、Candida、Aspergillus terreus、Pedicoccus pentosaceus、Zymomonas mobilus、Acetobacter pasteurians、Kluyveromyces lactis、Eubacterium barkeri、Bacteroides capillosus、Anaerotruncus colihominis、Natranaerobius thermophilusm、Campylobacter jejuni、Haemophilus influenzae、Serratia marcescens、Citrobacter amalonaticus、Myxococcus xanthus、Fusobacterium nuleatum、Penicillium chrysogenum、海洋ガンマプロテオバクテリア、ブチレート生成細菌、Nocardia iowensis、Nocardia farcinica、Streptomyces griseus、Schizosaccharomyces pombe、Geobacillus thermoglucosidasius、Salmonella typhimurium、Vibrio cholera、Heliobacter pylori、Nicotiana tabacum、Oryza sativa、Haloferax mediterranei、Agrobacterium tumefaciens、Achromobacter denitrificans、Fusobacterium nucleatum、Streptomyces clavuligenus、Acinetobacter baumanii、Mus musculus、Lachancea kluyveri、Trichomonas vaginalis、Trypanosoma brucei、Pseudomonas stutzeri、Bradyrhizobium japonicum、Mesorhizobium loti、Bos taurus、Nicotiana glutinosa、Vibrio vulnificus、Selenomonas ruminantium、Vibrio parahaemolyticus、Archaeoglobus fulgidus、Haloarcula marismortui、Pyrobaculum aerophilum、Mycobacterium smegmatis MC2 155、Mycobacterium avium亜種paratuberculosis K−10、Mycobacterium marinum M、Tsukamurella paurometabola DSM 20162、Cyanobium PCC7001、Dictyostelium discoideum AX4、Acidaminococcus fermentans、Acinetobacter baylyi、Acinetobacter calcoaceticus、Aquifex aeolicus、Arabidopsis thaliana、Archaeoglobus fulgidus、Aspergillus niger、Aspergillus terreus、Bacillus subtilis、Bos Taurus、Candida albicans、Candida tropicalis、Chlamydomonas reinhardtii、Chlorobium tepidum、Citrobacter koseri、Citrus junos、Clostridium acetobutylicum、Clostridium kluyveri、Clostridium saccharoperbutylacetonicum、Cyanobium PCC7001、Desulfatibacillum alkenivorans、Dictyostelium discoideum、Fusobacterium nucleatum、Haloarcula marismortui、Homo sapiens、Hydrogenobacter thermophilus、Klebsiella pneumoniae、Kluyveromyces lactis、Lactobacillus brevis、Leuconostoc mesenteroides、Metallosphaera sedula、Methanothermobacter thermautotrophicus、Mus musculus、Mycobacterium avium、Mycobacterium bovis、Mycobacterium marinum、Mycobacterium smegmatis、Nicotiana tabacum、Nocardia iowensis、Oryctolagus cuniculus、Penicillium chrysogenum、Pichia pastoris、Porphyromonas gingivalis、Porphyromonas gingivalis、Pseudomonas aeruginos、Pseudomonas putida、Pyrobaculum aerophilum、Ralstonia eutropha、Rattus norvegicus、Rhodobacter sphaeroides、Saccharomyces cerevisiae、Salmonella enteric、Salmonella typhimurium、Schizosaccharomyces pombe、Sulfolobus acidocaldarius、Sulfolobus solfataricus、Sulfolobus tokodaii、Thermoanaerobacter tengcongensis、Thermus thermophilus、Trypanosoma brucei、Tsukamurella paurometabola、Yarrowia lipolytica、Zoogloea ramigera and Zymomonas mobilis、Clostridum種(例えば、Clostridium saccharoperbutylacetonicum、Clostridium beijerinckii、Clostridium saccharobutylicum、Clostridium botulinum、Clostridium methylpentosum、Clostridium sticklandii、Clostridium phytofermentans、Clostridium saccharolyticum、Clostridium asparagiforme、Clostridium celatum、Clostridium carboxidivorans、Clostridium clostridioforme、Clostridium bolteae、Caldalkalibacillus thermarum、Clostridium botulinumが挙げられるが、これらに限定されない)、Pelosinus fermentans、Thermoanaerobacterium thermosaccharolyticum、Desulfosporosinus種、Thermoanaerobacterium種(例えば、Thermoanaerobacterium saccharolyticum、Thermoanaerobacterium xylanolyticumが挙げられるが、これらに限定されない)、Acetonema longum、Geobacillus種(例えば、Geobacillus thermogluco


sidansが挙げられるが、これに限定されない)、Bacillus azotoformans、Thermincola potens、Fusobacterium種(例えば、but not limited to Fusobacterium nucleatum、Fusobacterium ulceransが挙げられるが、これらに限定されない)、Fusobacterium varium、Ruminococcus種(例えば、Ruminococcus gnavus、Ruminococcus obeum)、Lachnospiraceae bacterium、Flavonifractor plautii、Roseburia inulinivorans、Acetobacterium woodii、Eubacterium種(例えば、Eubacterium plexicaudatum、Eubacterium hallii、Eubacterium limosum、Eubacterium yuriiが挙げられるが、これらに限定されない)、Eubacteriaceae bacterium、Thermosediminibacter oceani、Ilyobacter polytropus、Shuttleworthia satelles、Halanaerobium saccharolyticum、Thermoanaerobacter ethanolicus、Rhodospirillum rubrum、Vibrio、Propionibacterium propionicum、および本明細書に開示されるかまたは表4に記載のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードの供給源生物体を含め対応する遺伝子のための供給源生物体として利用可能である他の例示的な種が含まれる。しかし、完全ゲノム配列が現在、395種の微生物のゲノム、ならびに多様な酵母、真菌、植物および哺乳動物のゲノムを含めて、550超の種について利用可能である(これらの半分超が公共のデータベース、例として、NCBI上で利用可能である)ので、例えば、公知の遺伝子のホモログ、オルソログ、パラログおよび非オルソロガス遺伝子の置換物を含めた、関係のあるまたは離れた種における1つまたは複数の遺伝子について、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生合成活性をコードする遺伝子を同定すること、ならびに生物体間で遺伝子変化物(genetic alteration)を交換することは、当技術分野で日常的であり、周知である。したがって、特定の生物体、例として、E.coliに言及して本明細書に記載する、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼの発現を含め、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生合成を可能にする代謝変化は、原核生物および真核生物を一様に含めた、他の微生物に容易に適用することができる。本明細書において提供される教示および手引きを考慮すると、1つの生物体において例示される代謝変化を、他の細胞、例として、生物体に等しく適用することができることを当業者は知る。
代替の3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生合成経路が無関係な種に存在する場合などの一部の例では、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの生合成を、例えば、参照反応に代わる類似するが同一ではない代謝反応を触媒する、無関係な種からの1つまたは複数のパラログの外因性の発現により、宿主種に付与することができる。異なる生物体間には、代謝のネットワークの間に特定の差が存在することから、異なる生物体間においては、実際の遺伝子の使用が異なる場合があることが当業者により理解される。しかし、本明細書において提供される教示および手引きを考慮すると、本発明の教示および方法を、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを導入することを含め、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを合成する細胞を対象種において構築するために本明細書に例示される代謝変化とコグネイトな代謝変化を使用すれば、全ての細胞に適用することができることもまた当業者は理解する。
本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを含め、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する天然に存在しない宿主を構築し、それらの発現レベルを試験するための方法を、例えば、当技術分野で周知の組換えおよび検出の方法により実施することができる。そのような方法は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第3版、Cold Spring Harbor Laboratory、New York(2001年);およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、Baltimore, MD(1999年)に記載されているのを見出すことができる。
本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする外因性核酸、および必要に応じて、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する経路に関与する外因性核酸配列は、それらに限定されないが、コンジュゲーション、エレクトロポレーション、化学的変換、形質導入、トランスフェクションおよび超音波形質転換を含む当技術分野で周知の技術を用いて、宿主細胞に安定してまたは一時的に導入することができる。E.coliまたは他の原核細胞での外因性発現では、遺伝子のいくつかの核酸配列または真核生物の核酸のcDNAは、N末端ミトコンドリアなどのターゲティングシグナルまたは他のターゲティングシグナルをコードすることができ、それは、所望により、原核生物の宿主細胞への形質転換の前に除去することができる。例えば、ミトコンドリアのリーダー配列を除去すると、E.coliでの発現が増加した(Hoffmeisterら、J. Biol. Chem. 280巻、4329〜4338頁(2005年))。酵母または他の真核細胞での外因性発現では、宿主細胞に適したミトコンドリアのターゲティングまたは分泌シグナルなどの適切なターゲティング配列を加えることによって、遺伝子は、リーダー配列を加えることなしにサイトゾルで発現させることができるか、またはミトコンドリアもしくは他のオルガネラを標的にすることができるか、または分泌を標的にすることができる。したがって、核酸配列にターゲティング配列を除去するか含めるための適当な改変を外因性核酸配列に組み込んで、望ましい特性を付与できることが理解される。さらに、当技術分野で周知の技術を用いて遺伝子にコドン最適化を行って、タンパク質の最適化された発現を達成することができる。
宿主生物体で機能的である発現調節配列に作動可能に連結されている、本明細書で例示される、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする核酸、および/または必要に応じて1つまたは複数の3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO生合成経路をコードする核酸、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する酵素をコードする核酸を含むように、1つまたは複数の発現ベクターを構築することができる。本発明の宿主細胞での使用に適用可能な発現ベクターには、例えば、宿主染色体への安定した組込みで作動可能なベクターおよび選択配列またはマーカーを含めて、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソームおよび人工染色体が含まれる。さらに、発現ベクターは、1つまたは複数の選択可能なマーカー遺伝子および適当な発現調節配列を含むことができる。例えば、抗生物質もしくは毒素に対する耐性を提供するか、栄養要求性の欠乏を補充するか、または培地中にない重大な栄養素を供給する、選択可能なマーカー遺伝子を含めることもできる。発現調節配列は、当技術分野で周知である、構成的および誘導可能なプロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーターなどを含めることができる。2つ以上の外因性コード核酸を共発現させる場合、両方の核酸を、例えば、単一の発現ベクターまたは別々の発現ベクターに挿入することができる。単一ベクターの発現では、コード核酸を作動的に1つの共通の発現調節配列に連結することもでき、または異なる発現調節配列に、例えば1つの誘導可能なプロモーターおよび1つの構成的プロモーターに連結することもできる。本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするまたは代謝もしくは合成経路に関与するポリペプチドをコードする外因性核酸配列の形質転換は、当技術分野で周知である方法を用いて確認することができる。そのような方法には、例えば、mRNAのノーザンブロットもしくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅などの核酸分析、または遺伝子産物の発現についてのイムノブロッティング、または導入された核酸配列もしくはその対応する遺伝子産物の発現を試験する他の適切な分析法が含まれる。外因性核酸は所望の産物の産生に十分な量で発現されることが当業者によって理解され、また、当技術分野で周知であり本明細書で開示される方法を用いて発現レベルを最適化して十分な発現を得ることができることがさらに理解される。
ベクターまたは発現ベクターはまた、in vitro転写および翻訳によってコードされた核酸を発現して、コードされたポリペプチドを生成するために用いることができる。そのようなベクターまたは発現ベクターは、少なくとも1つのプロモーターを含み、本明細書中上で記載するベクターを含む。そのようなin vitro転写および翻訳のためのベクターは一般に、二本鎖DNAである。in vitro転写および翻訳の方法は、当業者に周知である(Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory、New York(2001年);およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、Baltimore、MD(1999年)を参照)。in vitro転写および翻訳のためのキットも、商業的に入手可能である(例えば、Promega、Madison、WI;New England Biolabs、Ipswich、MA;Thermo Fisher Scientific、Carlsbad、CAを参照)。
一実施形態では、本発明は、3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/もしくは1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成するための方法であって、本発明の細胞を培養して、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたはそのエステルもしくはアミドを生成する工程を含む方法を提供する。そのような細胞は、本発明のポリペプチドを発現する。一実施形態では、本発明は、4−ヒドロキシブチルアルデヒド(4−HBal)および/もしくは1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成するための方法であって、本発明の細胞を培養して、4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOまたはそのエステルもしくはアミドを生成する工程を含む方法を提供する。一実施形態では、細胞は、実質的に嫌気性の培地中にある。一実施形態では、方法は、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOもしくは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDO、またはそのエステルもしくはアミドを単離または精製する工程をさらに含み得る。特定の実施形態では、単離または精製する工程は、蒸留を含む。
一実施形態では、本発明は、本発明の製品を生成するためのプロセスであって、製品を生成する反応において、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを、それ自体または別の化合物と化学反応させる工程を含むプロセスを提供する。
一実施形態では、本発明は、3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/もしくは1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成するための方法であって、基質を本発明のポリペプチドに提供する工程と、基質を3−HBalおよび/または1,3−BDOに転換する工程とを含み、基質が、1,3−ヒドロキシブチリルCoAのラセミ混合物である、方法を提供する。一実施形態では、3−HBalおよび/または1,3−BDOは、R形態のエナンチオマーが富化されている。一実施形態では、本発明は、4−ヒドロキシブチルアルデヒド(4−HBal)および/もしくは1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成するための方法であって、基質を本発明のポリペプチドに提供する工程と、基質を4−HBalおよび/または1,4−BDOに転換する工程とを含み、基質が、1,4−ヒドロキシブチリルCoAである、方法を提供する。一実施形態では、ポリペプチドは、細胞中、細胞溶解物中に存在するか、または細胞もしくは細胞溶解物から単離される。
一実施形態では、本発明は、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを生成するための方法であって、本発明の細胞の溶解物をインキュベートして、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを生成する工程を含む方法を提供する。一実施形態では、細胞溶解物は、第2の細胞溶解物と混合され、第2の細胞溶解物は、本発明のポリペプチドの基質、または3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOもしくは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOの下流生成物を生成する酵素活性を含む。
本発明はまた、本発明のポリペプチドを生成するための方法であって、細胞においてポリペプチドを発現する工程を含む方法も提供する。本発明は、本発明のポリペプチドを生成するための方法であって、本発明の核酸または本発明のベクターをin vitroで転写および翻訳して、ポリペプチドを生成する工程を含む方法をさらに提供する。
本明細書に記載するように、細胞は、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを発現するために用いることができ、必要に応じて、細胞は、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを利用して所望の生成物、例として、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを生成する代謝経路を含み得る。所望の生成物を発現するためのそのような方法は、本明細書に記載されている。あるいは、本明細書に記載するように、細胞溶解物、例えば、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを発現する細胞の細胞溶解物、または本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼおよび代謝経路を発現して所望の生成物を生成する細胞において、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼは発現され、かつ/または所望の生成物は生成され得る。別の実施形態では、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼは、in vitro転写および翻訳によって発現することができ、アルデヒドデヒドロゲナーゼは、細胞を含まない系において生成される。in vitro転写および翻訳によって発現されるアルデヒドデヒドロゲナーゼは、in vitroで反応を行うために用いることができる。必要に応じて、他の酵素またはそのような酵素を含有する細胞溶解物は、in vitroでアルデヒドデヒドロゲナーゼ酵素反応の生成物を所望の下流生成物に転換するために用いることができる。
アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性について試験ためのアッセイを含め、アルデヒドデヒドロゲナーゼの発現、あるいは3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生成について試験するのに適した精製および/またはアッセイを、周知の方法を使用して実施することができる(実施例も参照)。試験する各工学的に操作された株について、3連の培養物などの適切な複製物を増殖させることができる。例えば、工学的に操作された産生宿主における生成物および副産物の形成をモニタリングすることができる。最終生成物および中間体、ならびに他の有機化合物を、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、GC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分析)およびLC−MS(液体クロマトグラフィー−質量分析)などの方法、または当技術分野で周知である日常的な手順を用いる他の適切な分析法によって分析することができる。発酵ブロス中の生成物の放出を、培養上清で試験することもできる。副産物および残留グルコースは、例えば、グルコースおよびアルコールには屈折率検出器を、有機酸には紫外線検出器を用いるHPLCによって(Linら、Biotechnol. Bioeng. 90巻、775〜779頁(2005年))、または当技術分野で周知である他の適切なアッセイおよび検出方法によって定量化することができる。また、外因性DNA配列から得られた個々の酵素またはタンパク質の活性も、当技術分野で周知の方法を使用してアッセイすることができる。
3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくは他の所望の生成物、例として、それに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドは、当技術分野で周知である様々な方法を用いて培養物中の他の成分から分離することができる。そのような分離法には、例えば、抽出法、ならびに連続液液抽出、浸透気化法、膜濾過、膜分離、逆浸透、電気透析、蒸留、結晶化、遠心分離、抽出濾過、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィーおよび限外濾過を含む方法が含まれる。上記の方法は全て、当技術分野において周知である。
本明細書で記載される天然に存在しない本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを発現する細胞のいずれかを培養して、本発明の生合成生成物を生成および/または分泌することができる。例えば、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生産する細胞を、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生合成のために培養することができる。したがって、一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、あるいは3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体を含む培養培地を提供する。一部の局面では、培養培地を、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、あるいは3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体を生成する、本発明の天然に存在しない細胞から分離することもできる。培地から細胞を分離するための方法は、当技術分野で周知である。例示的な方法としては、濾過、凝集、沈殿、遠心分離、沈降などが挙げられる。
本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを発現する細胞において、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼ、あるいは3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成するために、組換え体の株を、炭素供給源および他の必須栄養素を有する培地で培養する。全体的なプロセスのコストを低減するために、発酵槽中の嫌気的条件を維持することが、時には望ましく、そうすることが、極めて望ましい場合がある。そのような条件は、例えば、最初に、窒素で培地をスパージし、次いで、フラスコを、セプタムおよびクリンプキャップを用いて密封することによって得ることができる。
嫌気的条件で増殖が観察されない株については、微好気的または実質的に嫌気的な条件を、限定的通気のための小さな穴をセプタムに開けることによって適用することができる。例示的な嫌気的条件は、先に記載されており、当技術分野で周知である。例示的な好気的条件および嫌気的条件が、例えば、2007年8月10日出願の米国公開第2009/0047719号に記載されている。本明細書で開示されるように、発酵は、回分、流加または連続的な様式で実施することができる。発酵は、所望の場合、2相で行うこともできる。第1の相は、高増殖およびそれゆえ高生産性を可能にする好気性であり得、これに高収率の所望の生成物、例として、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの嫌気相が続いてもよい。
培地を望ましいpHに維持することが必要なとき、所望により、塩基、例えばNaOHもしくは他の塩基、または酸の添加によって培地のpHを所望のpH、特に中性pH、例えば約7のpHに維持することができる。増殖速度は、分光光度計(600nm)を用いて光学密度を測定することによって決定することができ、グルコース取り込み速度は、炭素源枯渇を経時的にモニターすることによって決定できる。
増殖培地は、例えば、天然に存在しない細胞に炭素源を供給することができる任意の炭水化物源を含み得る。そのような供給源としては、例えば:糖、例として、グルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、スクロースおよびデンプン;またはグリセロールが挙げられ、炭素供給源は、唯一の炭素供給源として単独で、または本明細書に記載するか、もしくは当技術分野で公知の他の炭素供給源と組合せて用いることができることが理解される。炭水化物の他の供給源には、例えば再生可能なフィードストックおよびバイオマスが含まれる。本発明の方法でフィードストックとして用いることができる例示的なバイオマスの型には、セルロースのバイオマス、ヘミセルロースのバイオマスおよびリグニンフィードストックまたはフィードストックの部分が含まれる。そのようなバイオマスフィードストックは、例えば炭素源として有用な炭水化物基質、例えばグルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトースおよびデンプンを含有する。本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、上記に例示されるもの以外の再生可能なフィードストックおよびバイオマスを、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼの発現、および必要に応じて3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生成のための本発明の細胞を培養するのに用いることもできることを理解するであろう。
再生可能なフィードストック、例として、上記に例示されるものに加えてまた、炭素の供給源としてのシンガスで増殖するために、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する本発明の細胞を改変することもできる。この特定の実施形態では、シンガスまたは他の気体の炭素供給源を利用するための代謝経路をもたらすために、1つまたは複数のタンパク質または酵素を、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOを生成する生物体で発現させる。
合成ガス(syngas)またはプロデューサーガスとしても公知の合成ガス(synthesis gas)は、石炭、ならびに炭素材、例えば農作物および残渣を含むバイオマス材のガス化の主要な生成物である。合成ガスは主としてHおよびCOの混合物であり、それらに限定されないが、石炭、石油、天然ガス、バイオマスおよび廃棄有機物を含む任意の有機フィードストックのガス化から得ることができる。ガス化は、高い燃料対酸素比の下で一般に実施される。ほとんどHおよびCOであるが、合成ガスはより少ない量のCOおよび他のガスをも含み得る。したがって、合成ガスはCO、さらにCOなどのガス状炭素の費用効果の高い供給源を提供する。
Wood−Ljungdahl経路は、COおよびHからアセチルCoAおよびアセテートなどの他の生成物への転換を触媒する。COおよび合成ガスを利用することができる生物体は一般に、Wood−Ljungdahl経路に包含される酵素および変換の同じ基本セットを通して、COおよびCO/H混合物を利用する能力も有する。同じ生物体がCOを用いることもでき、同じ経路が含まれることが明らかにされるずっと前に、微生物によるCOからアセテートへのH依存性転換が認識された。必要な還元当量を供給する水素が存在する限り、多くの酢酸生成菌がCOの存在下で増殖し、アセテートなどの化合物を生成することが示された(例えば、Drake、Acetogenesis、3〜60頁、Chapman and Hall、New York、(1994年)参照)。これは、以下の式に要約することができる:
2CO+4H+nADP+nPi→CHCOOH+2HO+nATP
したがって、Wood−Ljungdahl経路を有する天然に存在しない微生物は、アセチルCoAおよび他の所望の生成物の生成にCOおよびH混合物も利用することができる。
Wood−Ljungdahl経路は当技術分野で周知であり、12個の反応からなり、それらは2つの分岐:(1)メチル分岐および(2)カルボニル分岐に分けることができる。メチル分岐はシンガスをメチルテトラヒドロ葉酸(メチルTHF)に転換し、カルボニル分岐はメチルTHFをアセチルCoAに転換する。メチル分岐における反応は、以下の酵素またはタンパク質によって順番に触媒される:フェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ。カルボニル分岐における反応は、以下の酵素またはタンパク質によって順番に触媒される:メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ(例えば、AcsE)、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質集合タンパク質(例えば、AcsF)、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、およびニッケル−タンパク質集合タンパク質(例えば、CooC)(WO2009/094485を参照)。本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする核酸を含む、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路またはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成するために十分な数のコード核酸を導入するための本明細書で提供される教示および手引きに従って、当業者は、宿主生物体に存在しないWood−Ljungdahl酵素またはタンパク質をコードする核酸を少なくとも導入することに関して、同じ工学的設計を実施することもできることを理解する。したがって、改変された生物体が完全なWood−Ljungdahl経路を含むように、本発明の細胞へ1つまたは複数のコード核酸を導入すると、シンガス利用能が付与される。
さらに、一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよび/またはヒドロゲナーゼ活性と協働した還元的(逆行性)トリカルボン酸回路が、CO、COおよび/またはHを、アセチルCoA、および他の生成物、例として、アセテートに転換するために使用することができる。炭素を、還元的TCA経路を介して固定することが可能な生物体は、以下の酵素の1つまたは複数を利用することができる:ATPクエン酸リアーゼ、クエン酸リアーゼ、アコニターゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、アルファ−ケトグルタル酸:フェレドキシンオキシドレダクターゼ、スクシニルCoAシンテターゼ、スクシニルCoAトランスフェラーゼ、フマル酸レダクターゼ、フマラーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、NAD(P)H:フェレドキシンオキシドレダクターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、およびヒドロゲナーゼ。具体的には、COを、還元的TCA回路を介してアセチルCoAまたはアセテートに固定するために、COおよび/またはHから一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよびヒドロゲナーゼにより抽出された還元当量が利用される。アセテートを、酵素、例として、アセチルCoAトランスフェラーゼ、酢酸キナーゼ/ホスホトランスアセチラーゼ、およびアセチルCoAシンテターゼによりアセチルCoAに転換することができる。アセチルCoAを、ピルビン酸:フェレドキシンオキシドレダクターゼ、および糖新生の酵素により、グリセルアルデヒド−3−リン酸、ホスホエノールピルベート、およびピルベートに転換することができる。アセチルCoAはまた、本明細書で開示されるように(図1を参照)、例えば、アセトアセチルCoAチオラーゼによって、アセトアセチルCoAに転換して、1,3−BDO経路に送り込んでもよい。3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路もしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する経路を生成するのに十分な数のコード核酸を導入するための、本明細書において提供される教示および手引きに従って、同じ工学的設計をまた、少なくとも、宿主の生物体中に存在しない還元的TCA経路の酵素またはタンパク質をコードする核酸を導入することに関しても実施することができることが当業者により理解される。したがって、改変された生物体が還元的TCA経路を含有するように、1つまたは複数のコード核酸の本発明の細胞への導入が実施できる。
したがって、本明細書において提供される教示および手引きを考慮すると、天然に存在しない細胞であって、炭素供給源、例として、炭水化物で増殖する場合、生合成された本発明の化合物を生成および/または分泌する細胞を生成することができることが当業者により理解される。そのような化合物には、例えば、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、ならびに3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路における中間体の代謝産物のいずれかが含まれる。
必要とされることは、例えば、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを含め、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生合成経路の一部または全部を含める操作を含めて、所望の化合物または中間体の生合成を達成するため、必要とされる酵素またはタンパク質の活性の1つまたは複数に関して工学的な操作を行うだけである。したがって、本発明は、天然に存在しない細胞であって、炭水化物または他の炭素供給源で増殖する場合、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成および/または分泌する細胞、ならびに炭水化物または他の炭素供給源で増殖する場合、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路において示される中間体の代謝産物のいずれかを生成および/または分泌する細胞を提供する。本発明の3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する細胞は、中間体、例えば、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の中間体から合成を開始することができる。
本発明の天然に存在しない細胞は、本明細書で例示されるように、当技術分野で周知の方法を用いて、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼ、および必要に応じて、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の酵素もしくはタンパク質またはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドをコードする少なくとも1つの核酸を外因的に発現して、構築される。酵素またはタンパク質は、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成するのに十分な量で発現され得る。本発明の細胞は、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを発現するか、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成するのに十分な条件下で培養されることが理解される。本明細書で提供される教示およびガイダンスに従って、本発明の天然に存在しない細胞は、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生合成を達成し、約0.1〜300mMの間またはそれよりも高い、例えば、0.1〜1.3Mまたはそれよりも高い細胞内濃度をもたらし得る。一般に、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの細胞内濃度は、約3〜150mMの間、特に約5〜125mMの間、より特に約10mM、20mM、50mM、80mMまたはそれよりも高い濃度を含む約8〜100mMの間である。これらの例示的な範囲のそれぞれの間のおよびそれらを上回る細胞内濃度もまた、本発明の天然に存在しない細胞から達成され得る。例えば、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの細胞内濃度は、約100mM、200mM、500mM、800mM、1M、1.1M、1.2M、1.3Mまたはそれよりも高い濃度を含む約100mM〜1.3Mの間であり得る。
本発明の細胞は、周知の方法を用いて培養される。培養条件には、例えば、液体培養法ならびに発酵および他の大規模培養法が含まれ得る。本明細書に記載するように、本発明の生合成生成物の特に有用な収率は、嫌気的または実質的に嫌気的な培養条件下で得ることができる。
いくつかの実施形態では、培養条件には、嫌気的または実質的に嫌気的な増殖または維持条件が含まれる。例示的な嫌気的条件は、以前に記載されており、当技術分野で周知である。発酵プロセスのための例示的な嫌気的条件は、本明細書に記載されており、例えば、2007年8月10日に出願の米国公開第2009/0047719号に記載されている。これらの条件のいずれかは、天然に存在しない細胞および当技術分野で周知の他の嫌気的条件で利用され得る。そのような嫌気的または実質的に嫌気的な条件下で、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalまたは1,4−BDO手順は、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを5〜10mMまたはそれよりも高い細胞内濃度および本明細書で例示される全ての他の濃度で合成することができる。上の記載は、細胞内濃度について言及するが、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalまたは1,4−BDO生成細胞は、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを細胞内で生成し、かつ/または生成物を培地に分泌し得ることが理解される。
本明細書に記載するように、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生合成を達成するための1つの例示的な増殖条件は、嫌気的培養または発酵条件を含む。特定の実施形態では、本発明の天然に存在しない細胞は、嫌気的または実質的に嫌気的な条件の下で保持し、培養し、または発酵させることができる。簡潔には、嫌気的条件とは、酸素不足の環境を指す。実質的に嫌気的な条件には、例えば培地中の溶存酸素濃度が飽和の0〜10%の間にとどまるような、培養、回分発酵または連続発酵が含まれる。実質的に嫌気的な条件には、1%未満の酸素の雰囲気で維持された密封チャンバー内の液体培地または固体寒天で細胞を増殖または休止させることも含まれる。酸素の割合は、例えば、培養物をN/CO混合物または他の好適な1つまたは複数の非酸素ガスでスパージすることによって維持することができる。
本明細書に記載する培養条件の規模を拡大し、連続的に増殖させて、本発明の細胞によって、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを製造することができる。例示的な増殖法には、例えば、流加回分発酵および回分分離;流加回分発酵および連続分離、または連続発酵および連続分離が含まれる。これらのプロセスは全て、当技術分野において周知である。発酵法は、商業的な量の3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生合成による生成に特に有用である。一般に、また非連続的な培養法と同様に、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの連続的および/またはほとんど連続的な生成には、指数増殖期の増殖を維持および/またはほとんど維持するのに十分な栄養素および培地で、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する本発明の天然に存在しない細胞を培養することが含まれる。そのような条件下における連続培養は、例えば、1、2、3、4、5、6もしくは7日間またはそれよりも長い増殖または培養を含むことができる。さらに、連続培養は、1、2、3、4もしくは5週間またはそれよりも長い週、および最長数ヶ月間のより長い期間を含むこともできる。あるいは、本発明の生物体は、特定の用途に適する場合は数時間培養することができる。連続的および/またはほとんど連続的な培養条件は、これらの例示的な期間の間の全ての期間を含むこともできることを理解すべきである。本発明の細胞を培養する時間は、所望の目的に十分な量の生成物を生成するのに十分な期間であることがさらに理解される。
例示的な発酵プロセスとしては、流加回分発酵および回分分離;流加回分発酵および連続分離;ならびに連続発酵および連続分離が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な回分発酵プロトコールでは、生成生物体を、適切なガスでスパージした好適な大きさのバイオリアクターで増殖させる。嫌気的条件下で、培養物を不活性ガスまたはガス、例えば窒素、N/CO混合物、アルゴン、ヘリウムなどの組合せでスパージする。細胞が増殖し、炭素供給源を利用するにつれて、追加の炭素供給源および/または他の栄養素を、炭素供給源および/または栄養素の消費とおよそ平衡を保つ速度でバイオリアクターに供給する。バイオリアクターの温度は、所望の温度、一般に22〜37℃の範囲内で維持されるが、温度は、生成生物体の増殖特徴および/または発酵プロセスについて所望の条件によってより高温またはより低温で維持してもよい。発酵槽内の培養物の所望の特徴、例えば、細胞密度、生成物濃度などを達成するために所望の期間の間、増殖を続ける。回分発酵プロセスでは、発酵のための期間は一般に、所望の培養条件によって数時間〜数日間の範囲内、例えば、8〜24時間または1、2、3、4もしくは5日間または最長で1週間である。pHは、所望により、制御しても、しなくてもよく、pHが制御されない場合、培養物は典型的に、ランの終わりまでにpH3〜6まで低減する。培養期間の完了の際に、発酵槽内容物は、細胞分離ユニット、例えば、遠心分離、濾過ユニットなどを通過させて、細胞および細胞片を除去してもよい。所望の生成物が細胞内で発現した場合、追加の生成物を放出するために、所望により、発酵ブロスからの細胞の分離前または後に、細胞を溶解、または酵素的もしくは化学的に破壊してもよい。発酵ブロスを、生成物分離ユニットに移してもよい。生成物の単離は、希釈水溶液から所望の生成物を分離するための当技術分野で利用される標準の分離手順によって行われる。そのような方法としては、発酵プロセスの生成物の化学的特徴によって、生成物の有機溶液を提供するための水不混和性有機溶媒(例えば、トルエン、またはジエチルエーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、メチル第三級ブチルエーテル(MTBE)、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを含むが、これらに限定されない他の好適な溶媒)を用いた液液抽出、適切な場合、標準蒸留法などが挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な完全連続発酵プロトコールでは、生成生物体は一般に、所望の細胞密度を達成するために最初に回分様式で増殖させる。炭素供給源および/または他の栄養素が消耗したら、同じ組成の供給培地を所望の速度で連続的に供給し、発酵液を同じ速度で取り除く。そのような条件下では、バイオリアクター内の生成物濃度、および細胞密度は概して、一定に保たれる。発酵槽の温度は、上記のように、所望の温度で維持される。連続発酵相中、生成を最適化するために、好適なpH範囲を維持することは、概して望ましい。pHをモニタリングして、所望のpH範囲を維持するための好適な酸または塩基の添加を含む、日常的な方法を用いて維持してもよい。バイオリアクターは、適宜および所望により、長期間、一般に少なくとも1週間〜数週間および最長で1ヶ月またはそれよりも長く連続作動する。発酵液および/または培養物は、所望により、最多で毎日試料採取することを含む、定期的にモニタリングして、生成物濃度および/または細胞密度の一貫性を保証する。連続様式では、新しい供給培地を供給するにつれて、発酵槽内容物は絶えず除去される。細胞、培地および生成物を含有する退出流は一般に、所望により、細胞および細胞片の除去を伴うか、または伴わない、連続生成物分離手順に供される。水不混和性有機溶媒(例えば、トルエン、またはジエチルエーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、メチル第三級ブチルエーテル(MTBE)、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを含むが、これらに限定されない他の好適な溶媒)を用いた連続液液抽出、標準連続蒸留法など、または当技術分野で周知の他の方法を含むがこれらに限定されない、当技術分野で利用される連続分離法は、希釈水溶液から生成物を分離するために用いることができる。
発酵手順は、当技術分野で周知である。簡潔には、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生合成生成のための発酵は、例えば、流加回分発酵および回分分離;流加回分発酵および連続分離、または連続発酵および連続分離で利用することができる。回分および連続発酵手順の例は、当技術分野で周知であり、本明細書に記載されている。
実質的な量の3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの連続生成のための本発明の、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生成体を用いる、本明細書に記載する発酵手順に加えて、また、所望により、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド生成体を、例えば、化学合成および/もしくは酵素手順に同時にかけて、生成物を他の化合物に転換してもよく、または発酵培養物から生成物を分離し、順次、化学的および/もしくは酵素的な転換にかけて、生成物を他の化合物に転換してもよい。
本明細書に開示される培養および発酵の条件に加えて、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼの発現、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生合成を達成するための増殖条件に、浸透圧保護剤を培養条件に添加することを含めることもできる。特定の実施形態では、本発明の天然に存在しない細胞を、浸透圧保護剤の存在下において、本明細書に記載されるように維持し、培養し、または発酵させることができる。手短に述べると、浸透圧保護剤は、オスモライトとして作用し、本明細書に記載する細胞が浸透圧のストレスを生き延びるのを支援する化合物を指す。浸透圧保護剤には、これらに限定されないが、ベタイン、アミノ酸、および糖のトレハロースが含まれる。そのような浸透圧保護剤の非限定的な例が、グリシンベタイン、プロリン(praline)ベタイン、ジメチルテチン、ジメチルスルホニオプロプリオネート、3−ジメチルスルホニオ−2−メチルプロプリオネート、ピペコリン酸、ジメチルスルホニオアセテート、コリン、L−カルニチンおよびエクトインである。一態様では、浸透圧保護剤は、グリシンベタインである。本明細書に記載する細胞を浸透圧のストレスから保護するのに適している浸透圧保護剤の量およびタイプは、使用される細胞に依存することは当業者に理解される。培養条件における浸透圧保護剤の量は、例えば、約0.1mM以下、約0.5mM以下、約1.0mM以下、約1.5mM以下、約2.0mM以下、約2.5mM以下、約3.0mM以下、約5.0mM以下、約7.0mM以下、約10mM以下、約50mM以下、約100mM以下、または約500mM以下であり得る。
いくつかの実施形態では、炭素フィードストック、ならびにホスフェート、アンモニア、サルフェート、クロリドおよび他のハロゲンなどの細胞による他の取り込み供給源を選んで、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または任意の3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体に存在する原子の同位体の分布を変化させることができる。上記に列挙した種々の炭素フィードストックおよび他の取り込み供給源は、本明細書ではまとめて「取り込み供給源」を指す。取り込み供給源は、生成物としての3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体に存在する任意の原子について、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路から逸脱した反応において生成される副産物について、同位体の富化をもたらし得る。同位体の富化は、例えば、炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、リン、クロリドまたは他のハロゲンを含めた、任意の標的原子について達成することができる。
いくつかの実施形態では、取り込み供給源を選択して、炭素−12、炭素−13および炭素−14の比を変化させることができる。いくつかの実施形態では、取り込み供給源を選択して、酸素−16、酸素−17および酸素−18の比を変化させることができる。いくつかの実施形態では、取り込み供給源を選択して、水素、重水素および三重水素の比を変化させることができる。いくつかの実施形態では、取り込み供給源を選択して、窒素−14および窒素−15の比を変化させることができる。いくつかの実施形態では、取り込み供給源を選択して、硫黄−32、硫黄−33、硫黄−34および硫黄−35の比を変化させることができる。いくつかの実施形態では、取り込み供給源を選択して、リン−31、リン−32およびリン−33の比を変化させることができる。いくつかの実施形態では、取り込み供給源を選択して、塩素−35、塩素−36および塩素−37の比を変化させることができる。
いくつかの実施形態では、標的原子の同位体の比を、1つまたは複数の取り込み供給源を選択することによって、所望の比に変化させることができる。取り込み供給源は、自然界に見出されるような天然の供給源、または人造の供給源から得ることができ、当業者は、天然の供給源、人造の供給源、またはそれらの組合せを選択して、標的原子の同位体の所望の比を達成することができる。人造の取り込み供給源の例には、例えば、少なくとも部分的に化学的合成反応から得られる取り込み供給源が含まれる。そのような同位体が富化された取り込み供給源を、商業的に購入することもしくは実験室で調製することができ、かつ/または必要に応じて、取り込み供給源の天然の供給源と混合して、同位体の所望の比を達成することもできる。いくつかの実施形態では、所望の起源の、自然界に見出されるような取り込み供給源を選択することによって、取り込み供給源の標的原子の同位体比を達成することができる。例えば、本明細書で論じるように、天然の供給源は、バイオベースの供給源であり、生物学的有機体(biological organism)に由来してもよくもしくは生物学的有機体により合成されてもよく、または石油に基づく生成物もしくは大気などの供給源であってもよい。いくつかのそのような実施形態では、炭素の供給源を、例えば、炭素−14が比較的に枯渇している場合がある、化石燃料に由来する炭素供給源、または石油に由来する対応物よりも多くの量の炭素−14を保有する場合がある、環境もしくは大気中の炭素供給源、例として、COから選択することができる。
不安定な炭素の同位体である炭素−14または放射性炭素は、地球の大気中の1012個の炭素原子うちのおおよそ1個を構成し、約5700年の半減期を有する。炭素のストックは、上層大気中で、宇宙線および通常の窒素(14N)が関与する核反応により補充される。炭素−14が、遠い昔に崩壊したので、化石燃料は、炭素−14を含有しない。化石燃料の燃焼により、大気中の炭素−14の割合が下がり、これは、いわゆる「スース効果」である。
化合物中の原子の同位体の比を決定する方法は、当業者に周知である。同位体の富化は、質量分析により、当技術分野で公知の技法、例として、加速器質量分析(AMS)、安定同位体比質量分析(SIRMS)、および核磁気共鳴による部位特異的天然同位体分配(SNIF−NMR)を使用して容易に評価される。そのような質量分析の技法を、分離の技法、例として、液体クロマトグラフィー(LC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および/またはガスクロマトグラフィーなどと一体化することができる。
炭素の場合、ASTM D6866が、固体、液体および気体の試料のバイオベースの含有量を、放射性炭素年代測定を使用して決定するための標準化された分析方法として、米国材料試験協会(ASTM)インターナショナルにより米国で開発された。この標準法は、放射性炭素年代測定の使用に基づいて、生成物のバイオベースの含有量の決定を行う。ASTM D6866は、最初に2004年に公開され、この標準法の現在有効なバージョンは、ASTM D6866−11である(2011年4月1日以来有効)。本明細書に記載する技法を含めて、放射性炭素年代測定の技法は、当業者に周知である。
化合物のバイオベースの含有量は、炭素−14(14C)対炭素−12(12C)の比により推定される。具体的には、現在の割合(fraction modern)(Fm)は、式:Fm=(S−B)/(M−B)から算出され、式中、B、SおよびMはそれぞれ、ブランク、試料および現在の参照の14C/12C比を示す。現在の割合は、「現在」からの、試料の14C/12C比の偏差の測定値である。現在は、δ13VPDB=−19/milに対して正規化された、国家標準局(NBS)シュウ酸I(すなわち、標準参照(resference)物質(SRM)4990b)の(AD1950年の)放射性炭素濃度の95%と定義される(Olsson、The use of Oxalic acid as a Standard、Radiocarbon Variations and Absolute Chronology、Nobel Symposium, 12th Proc.、John Wiley & Sons、New York(1970年))。例えば、ASMにより測定された質量分析の結果は、国際的に同意されている定義、すなわち、δ13VPDB=−19/milに対して正規化された、NBSシュウ酸I(SRM 4990b)の比活性の0.95倍を使用して計算される。これは、1.176±0.010×10−12の、(AD1950年の)14C/12Cの絶対比と同等である(Karlenら、Arkiv Geofysik、4巻:465〜471頁(1968年))。標準法の計算には、1つの同位体の、別の同位体に関する識別的な取り込み、例えば、C12>C13>C14の生物学的な系における優先的な取り込みが考慮に入れられており、これらの補正は、δ13について補正されたFmとして反映されている。
シュウ酸標準物質(SRM 4990bまたはHOx1)は、1955年のサトウダイコンの作物から作製された。1000ポンドが作製されたが、このシュウ酸標準物質は最早、商業的に入手可能でない。シュウ酸II標準物質(HOx2;N.I.S.T 表記 SRM 4990C)が、1977年のFrench beetの作物の糖蜜から作製された。1980年代初期に、12の研究室からなるグループが、2つの標準物質の比を測定した。シュウ酸II対1の活性の比は、1.2933±0.001(加重平均)である。HOxIIの同位体の比は、−17.8/ミル(mil)である。ASTM D6866−11は、現在の標準物質のために、入手可能なシュウ酸II標準物質SRM 4990C(Hox2)の使用を提案している(Mann、Radiocarbon、25巻(2号):519〜527頁(1983年)における元々のシュウ酸標準物質対現時点で入手可能なシュウ酸標準物質についての考察を参照)。Fm=0%は、材料中に炭素−14原子を完全に欠くことを示し、したがって、化石(例えば、石油に基づく)炭素供給源を示す。核爆弾の試験からの大気中への炭素−14の1950年以降の射出について補正した後のFm=100%は、完全に現在の炭素供給源を示す。本明細書に記載する場合、そのような「現在の」供給源には、バイオベースの供給源が含まれる。
ASTM D6866に記載されているように、現在の炭素のパーセント(percent modern carbon)(pMC)が、100%よりも大きくなる場合がある。これは、減少しつつあるが継続的している1950年代の核試験プログラムの作用により、ASTM D6866−11に記載されているように、大気中の炭素−14の相当な富化が生じたことによる。全ての試料の炭素−14活性が、「爆弾前(pre−bomb)」の標準物質へ参照されること、およびほとんど全ての新しいバイオベースの生成物が、爆弾後の環境において生成されることから、試料の本当のバイオベースの含有量をより良好に反映するために、(同位体の割合についての補正の後の)全てのpMC値に、(2010年の時点では)0.95を乗じなければならない。103%よりも大きいバイオベースの含有量は、分析の誤りが生じてしまった、またはバイオベースの炭素の供給源が、数年超古いものであるかのいずれかであることを示唆している。
ASTM D6866により、材料の総有機含有量と比べたバイオベースの含有量が定量化され、存在する無機炭素および炭素を含有しない他の物質は考慮されない。例えば、ASTM D6866に基づくと、50%がデンプンに基づく材料であり、50%が水である生成物は、バイオベースの含有量=100%を有するとみなされる(100%バイオベースである、50%の有機含有量)。別の例では、50%がデンプンに基づく材料であり、25%が石油に基づき、25%が水である生成物は、バイオベースの含有量=66.7%を有する(有機含有量は75%であるが、生成物の50%のみがバイオベースである)。別の例では、50%が有機炭素であり、石油に基づく生成物である生成物は、バイオベースの含有量=0%を有するとみなされる(有機炭素は50%であるが、化石供給源に由来する)。したがって、化合物または材料のバイオベースの含有量を決定するための周知の方法および公知の標準物質に基づいて、当業者は、バイオベースの化合物または材料の含有量を容易に決定すること、および/またはバイオベースの所望の含有量を有する本発明の化合物または材料を利用する下流の生成物を調製することができる。
材料のバイオベースの含有量を定量化するための、炭素−14年代測定の技法の適用は、当技術分野で公知である(Currieら、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B、172巻:281〜287頁(2000年))。例えば、炭素−14年代測定を使用して、テレフタレート含有材料中のバイオベースの含有量が定量化されている(Colonnaら、Green Chemistry、13巻:2543〜2548頁(2011年))。とりわけ、再生可能な1,3−プロパンジオールおよび石油に由来するテレフタル酸から得られたポリプロピレンテレフタレート(PPT)ポリマーでは、、ほぼ30%のFm値が得られた(すなわち、ポリマー炭素の3/11が、再生可能な1,3−プロパンジオールに由来し、8/11が、化石の終点メンバーのテレフタル酸に由来するからである)(Currieら、上記、2000年)。対照的に、再生可能な1,4−ブタンジオールおよび再生可能なテレフタル酸の両方から得られたポリブチレンテレフタレートポリマーからは、90%を上回るバイオベースの含有量が得られた(Colonnaら、上記、2011年)。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、環境の炭素ともまた呼ばれる、大気中の炭素の取り込み供給源を反映する炭素−12、炭素−13および炭素−14の比を有する、本発明の細胞によって生産される3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体を提供する。例えば、いくつかの態様では、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体は、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%程度のFm値を有し得る。いくつかのそのような実施形態では、取り込み供給源はCOである。いくつかの実施形態では、本発明は、石油に基づく炭素の取り込み供給源を反映する炭素−12、炭素−13および炭素−14の比を有する、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体を提供する。この態様では、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体は、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2%未満、または1%未満のFm値を有し得る。いくつかの実施形態では、本発明は、大気の炭素の取り込み供給源と石油に基づく取り込み供給源との組合せにより得られる炭素−12、炭素−13および炭素−14の比を有する、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体を提供する。取り込み供給源のそのような組合せの使用は、炭素−12、炭素−13および炭素−14の比を変化させることができる1つの方法となり、それぞれの比が、取り込み供給源の比率を反映する。
さらに、本発明は、生物学的に生成された3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または本明細書で開示される3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体に、およびそれに由来する生成物に関し、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体は、環境に存在するCOとおよそ同じ値の炭素−12、炭素−13および炭素−14の同位体比を有する。例えば、いくつかの態様では、本発明は、環境に存在するCOとおよそ同じ値の炭素−12対炭素−13対炭素−14の同位体比、または本明細書で開示される他の比のいずれかを有する生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO中間体を提供する。本明細書で開示されるように、生成物は、環境に存在するCOとおよそ同じ値の炭素−12対炭素−13対炭素−14の同位体比、または本明細書で開示される比のいずれかを有してもよく、生成物は、本明細書で開示されるように、生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体から生成され、生物由来生成物は化学的に改変されて、最終生成物を生成することが理解される。3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生物由来生成物、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOの中間体を化学的に改変して所望の生成物を生成する方法は、本明細書に記載するように、当業者に周知である。本発明は、環境に存在するCOとおよそ同じ値の炭素−12対炭素−13対炭素−14の同位体比を有する、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドに基づき得るプラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品、ならびに4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドに基づき得るプラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロンなどをさらに提供し、プラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品は、本明細書で開示されるように、生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体から直接的に、またはこれとの組合せで生成される。ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品を生成するための方法は、以前に記載されている(例えば、そのそれぞれが参照により本明細書に組み込まれている、WO2010/127319、WO2013/036764、米国特許第9,017,983号、US2013/0066035、WO/2012/018624、US2012/0021478を参照)。1,3−BDOは、in vivoまたはin vitroのいずれかで、例えば、リパーゼを用いて酸と反応させて、エステルに転換することができる。そのようなエステルは、栄養補助食品、医薬品および食品用途を有する場合があり、1,3−BDOのR−形態が用いられる場合、それは(S−形態またはラセミ混合物と比較すると)エネルギー供給源として動物およびヒトの両方によって最もよく利用される形態であるので、有利である(例えば、ケトンエステル、例として、(米国でGenerally Recognized As Safe(GRAS)承認を有する)(R)−3−ヒドロキシブチル−R−1,3−ブタンジオールモノエステルおよび(R)−3−ヒドロキシ酪酸グリセロールモノエステルまたはジエステル)。ケトンエステルは、経口で送達することができ、エステルは、身体によって用いられるR−1,3−ブタンジオールを放出する(例えば、WO2013150153を参照)。アミドを生成する方法は、当技術分野で周知である(例えば、GoswamiおよびVan Lanen、Mol. Biosyst. 11巻(2号):338〜353頁(2015年)を参照)。
したがって、本発明は、酵素経路の改善、および1,3−BDOの組成の改善、つまり高度に富化されているか、または本質的にエナンチオマー的に純粋な、副産物について純度の質の改善をさらに有するR−1,3−ブタンジオールを提供する微生物を提供するために特に有用である。1,3−BDOは、直接的に食品供給源、食品成分、香味料、香味料のための溶媒または可溶化剤、安定剤、乳化剤ならびに抗菌剤および保存剤としての用途を含む、さらなる食品関連用途を有する。1,3−BDOは、非経口薬物溶媒として医薬産業で用いられる。1,3−BDOは、皮膚軟化薬、保水剤である成分、不溶性成分の結晶化を予防する成分、芳香剤などのより水溶性でない成分のための可溶化剤として、ならびに抗菌剤および保存剤として化粧品における用途を見出す。例えば、それは、とりわけヘアスプレーおよびセッティングローション中で保水剤として用いることができる;それは、精油からの芳香の喪失を低下させ、微生物による変質に対して保存し、ベンゾエートのための溶媒として用いられる。1,3−BDOは、0.1%〜50%、ならびにさらに0.1%未満およびさらに50%を超える濃度で用いることができる。それは、毛髪および入浴製品、眼および顔面化粧品、芳香剤、身体の清潔のための製品ならびに剃毛およびスキンケア調製物で用いられる(例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Cosmetic Ingredient Review boardの報告書:「Final Report on the Safety Assessment of Butylene Glycol, Hexylene Glycol, Ethoxydiglycol, and Dipropylene Glycol」、Journal of the American College of Toxicology、4巻、5号、1985年を参照)。この報告は、化粧品における1,3−BDOの特定の用途および濃度を提供するものであり、例えば、「Product Formulation Data」という表題のその中の報告の表2を参照されたい。
一実施形態では、本発明は、生物由来3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを含む培地であって、生物由来3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOが、大気中の二酸化炭素取り込みの供給源を反映する炭素−12、炭素−13および炭素−14の同位体比を有し、生物由来3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOが、本発明または本発明の方法の、細胞によってまたは細胞溶解物中で生成される、培地を提供する。一実施形態では、培地は、細胞から分離される。
一実施形態では、本発明は、大気中の二酸化炭素取り込みの供給源を反映する炭素−12、炭素−13および炭素−14の同位体比を有する、3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/もしくは1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)または4−ヒドロキシブチルアルデヒド(4−HBal)および/もしくは1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)であって、本発明または本発明の方法の、細胞によってまたは細胞溶解物中で生成される3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを提供する。一実施形態では、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%のFm値を有する。
一実施形態では、本発明は、本発明または本発明の方法の、細胞によってまたは細胞溶解物中で生成された3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/もしくは1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)または4−ヒドロキシブチルアルデヒド(4−HBal)および/もしくは1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)を提供する。一実施形態では、本発明は、大気中の二酸化炭素取り込みの供給源を反映する炭素−12、炭素−13および炭素−14の同位体比を有する3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/または1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)であって、本発明または本発明の方法の、細胞によってまたは細胞溶解物中で生成され、R形態のエナンチオマーが富化されている3−HBalおよび/または1,3−BDOを提供する。一実施形態では、3−HBalおよび/または1,3−BDOは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%のFm値を有する。
一実施形態では、本発明は、本発明または本発明の方法の、細胞によってまたは細胞溶解物中で生成された3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/または1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)であって、R形態のエナンチオマーが富化されている3−HBalおよび/または1,3−BDOを提供する。一実施形態では、R形態は、3−HBalおよび/または1,3−BDOの95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%を超える。一実施形態では、3−HBalおよび/または1,3−BDOは、55%以上のR−エナンチオマー、60%以上のR−エナンチオマー、65%以上のR−エナンチオマー、70%以上のR−エナンチオマー、75%以上のR−エナンチオマー、80%以上のR−エナンチオマー、85%以上のR−エナンチオマー、90%以上のR−エナンチオマーまたは95%以上のR−エナンチオマーであり、高度に化学的純粋な、例えば、99%以上、例えば、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上または99.9%以上のR−エナンチオマーであり得る。
一実施形態では、本発明は、本発明または本発明の方法の、細胞によってまたは細胞溶解物中で生成された3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDO、ならびにそれぞれ、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalもしくは1,4−BDO以外の化合物を含む組成物を提供する。一実施形態では、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDO以外の化合物は、それぞれ、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOもしくは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを生成するか、または本発明のポリペプチドを発現する細胞の部分である。
一実施形態では、本発明は、本発明もしくは本発明の方法の、細胞によってもしくは細胞溶解物中で生成された3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOもしくは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを含む組成物、または3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOもしくは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを生成する細胞の細胞溶解物もしくは培養上清を提供する。
一実施形態では、本発明は、本発明または本発明の方法の、細胞によってまたは細胞溶解物中で生成された3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを含む製品であって、プラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマー、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンまたはブタジエンベースの製品である製品を提供する。一実施形態では、製品は、化粧品または食品添加物である。一実施形態では、製品は、少なくとも0.1%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%または少なくとも50%の生物由来3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは生物由来4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを含む。一実施形態では、製品は、繰返し単位として、生成された3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは生成された4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOの部分を含む。一実施形態では、本発明は、本発明または本発明の方法の、細胞によってまたは細胞溶解物中で生成された3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOで製造されたまたはこれに由来する製品を成型することによって得られた成型製品を提供する。
本発明は、生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、および生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド以外の化合物を含む組成物をさらに提供する。生物由来生成物以外の化合物は、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する経路を有する本発明の天然に存在しない細胞の細胞部分、例えば、微量の細胞部分であってもよく、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成する経路を有する本発明の天然に存在しない細胞の存在下で生成された発酵ブロスもしくは培地もしくはその精製もしくは部分精製画分であってもよい。組成物は、本明細書で開示されるように、副産物形成が低下した生物体によって生成された場合、例えば、低レベルの副産物を含み得る。組成物は、例えば、生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または本発明の細胞の細胞溶解物もしくは培養上清を含み得る。
3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドは、商業的および産業的な適用で用いられる化学物質である。そのような適用の非限定的な例としては、プラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品の生成が挙げられる。さらに、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalまたは1,4−BDOは、プラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品を含む、広い範囲の製品の生成における原材料としても用いられる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼを発現するか、または本明細書で開示される方法を用いて生成された本発明の天然に存在しない細胞によって生成された1つもしくは複数の生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体を含む、バイオベースのプラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品を提供する。
本明細書で用いる場合、用語「生物由来」は、生物学的有機体から得られるまたは生物学的有機体により合成されることを意味し、生物学的有機体により生成され得ることから、再生可能な資源とみなすことができる。そのような生物学的有機体、特に、本明細書に開示される本発明の細胞は、農業、植物、細菌または動物からの供給源から得られるフィードストックまたはバイオマス、例として、糖または炭水化物を利用することができる。あるいは、生物学的有機体は、大気中の炭素を利用することもできる。本明細書で用いる場合、用語「バイオベース(biobased)」は、本発明の生物由来化合物の全体または部分で構成される、上記した生成物を意味する。バイオベースの生成物または生物由来生成物は、石油に由来する生成物とは対照的であり、そのような生成物は、石油もしくは石油化学フィードストックから得られるかまたは石油もしくは石油化学フィードストックから合成される。
いくつかの実施形態では、本発明は、生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体を含む、プラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品を提供し、生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体は、プラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品の生成で用いられる3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体の全てまたは部分を含む。例えば、最終的なプラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品は、プラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品の製造の結果である生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、もしくは3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体、またはその部分を含有し得る。そのような製造は、生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体を化学反応させて(例えば、化学的転換、化学的官能化、化学的カップリング、酸化、還元、重合、共重合など)、最終的なプラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品にすることを含み得る。したがって、いくつかの態様では、本発明は、本明細書で開示されるように、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または100%の生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体を含む、バイオベースのプラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品を提供する。
加えて、いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で開示される生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体、および生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体以外の化合物を有する組成物を提供する。例えば、いくつかの態様では、本発明は、バイオベースのプラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品を提供し、その生成で用いられる3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体は、生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体と、石油に由来する3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体との組合せである。例えば、バイオベースのプラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品は、製品の少なくとも一部が、本明細書で開示される細胞によって生成された生物由来生成物を含む限り、50%の生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドと、50%の石油に由来する3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドとを、または他の所望の比、例として、60%/40%、70%/30%、80%/20%、90%/10%、95%/5%、100%/0%、40%/60%、30%/70%、20%/80%、10%/90%の生物由来前駆体/石油に由来する前駆体を用いて生成することができる。本発明の生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミド、または生物由来3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路中間体を用いて、プラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリエステル、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)(PTMO、ポリテトラメチレンオキシドとも呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびスパンデックス、エラスタンまたはLycra(商標)と呼ばれるポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンおよび/またはブタジエンベースの製品を生成するための方法は、当技術分野で周知であることが理解される。
より良好な生産体を得るために、代謝モデリングを利用して、増殖条件を最適化することができる。モデリングを用いて、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計することができる(例えば、米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、ならびに米国特許第7,127,379号を参照)。モデリング解析は、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOもしくはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドのより効率の高い生成の方向に代謝を移動させる細胞増殖に対する影響の信頼性のある予測を可能にする。
所望の生成物の生合成を有利にする代謝改変を特定し、設計するための1つのコンピュータ方法は、OptKnockコンピュータフレームワークである(Burgardら、Biotechnol. Bioeng. 84巻、647〜657頁(2003年))。OptKnockは、標的生成物を過剰に生産する遺伝的に安定した微生物をもたらす遺伝子欠失または破壊戦略を示唆する、代謝モデリングおよびシミュレーションプログラムである。具体的には、フレームワークは、所望の生化学物質を細胞増殖の必須の副産物になるように強制する遺伝子操作を示唆するために、微生物の完全な代謝ネットワークおよび/または生化学ネットワークを調べる。戦略的に置かれた遺伝子欠失または他の機能的遺伝子破壊を通して生化学的生成を細胞増殖と連結することによって、バイオリアクター内での長期間の後に設計製作された株に加えられる増殖淘汰圧は、強制的な増殖連結型の生化学的生成の結果として、性能の改善をもたらす。最後に、遺伝子欠失が構築されると、OptKnockによって選択された遺伝子はゲノムから完全に除去されるので、設計された株がそれらの野生型状態に戻る可能性はごくわずかである。したがって、このコンピュータ方法は、所望の生成物の生合成をもたらす代替経路を特定するために用いること、または所望の生成物の生合成のさらなる最適化のために、天然に存在しない細胞と共に用いることができる。
簡単に述べると、OptKnockは細胞代謝のモデリングのためのコンピュータによる方法およびシステムを指すために本明細書で用いられる用語である。OptKnockプログラムは、特定の制約をフラックスバランス分析(FBA)モデルに組み込む、モデルおよび方法のフレームワークに関する。これらの制約には、例えば、定性的動態学情報、定性的調節情報および/またはDNAマイクロアレイ実験データが含まれる。OptKnockは、例えばフラックスバランスモデルを通して誘導されるフラックス境界を締め、その後、遺伝子付加または欠失の存在下で代謝ネットワークの性能限界を調査することによって、様々な代謝問題の解法も計算する。OptKnockコンピュータフレームワークは、代謝ネットワークの性能限界の効果的なクエリーを可能にするモデル式の構築を可能にし、生じる混合整数線形計画法の問題を解決する方法を提供する。OptKnockとして本明細書で言及される代謝モデリングおよびシミュレーション法は、例えば、2002年1月10日に出願の米国特許公開第2002/0168654号、2002年1月10日に出願の国際特許PCT/US02/00660、および2007年8月10日に出願の米国公開第2009/0047719号に記載されている。
生成物の生合成による生成を有利にする代謝変化を特定および設計するための別のコンピュータ方法は、SimPheny(登録商標)と呼ばれる代謝モデリングおよびシミュレーションシステムである。このコンピュータ方法およびシステムは、例えば、2002年6月14日に出願の米国特許公開2003/0233218および2003年6月13日に出願の国際特許出願PCT/US03/18838に記載されている。SimPheny(登録商標)は、コンピュータでネットワークモデルを生成し、生物系の化学反応を通して質量、エネルギーまたは電荷のフラックスをシミュレートして、その系の化学反応のありとあらゆる可能な機能を含む解空間を定義し、それによってその生物系に許容される一連の活性を判定するのに用いることができるコンピュータシステムである。この手法は、含まれる反応の公知の化学量などの制約、ならびに反応を通して最大フラックスに関連する反応の熱力学のおよび容量制約によって解空間が定義されるので、制約に基づくモデリングと称される。これらの制約によって定義される空間を調べて、生物系またはその生化学成分の表現型能力および挙動を判定することができる。
生物系は柔軟であり、多くの異なる方法で同じ結果に到達することができるので、これらのコンピュータ手法は生物的な現実と一貫している。生物系は、全ての生物系が直面しなければならない基本的な制約によって制限されている進化機構を通して設計される。したがって、制約に基づくモデリング戦略は、これらの一般的な現実を包含する。さらに、制約の締め付けを通してさらなる制限をネットワークモデルに連続的に加える能力は、解空間のサイズの縮小をもたらし、それによって、生理的性能または表現型を予測できる精度を高める。
本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、代謝モデリングおよびシミュレーションのための様々なコンピュータフレームワークを適用して、宿主細胞における所望の化合物の生合成を設計および実施することができる。そのような代謝モデリングおよびシミュレーション方法には、例えば、SimPheny(登録商標)およびOptKnockのような上で例示したコンピュータシステムが含まれる。本発明の説明のために、モデリングおよびシミュレーションのためのOptKnock計算フレームワークに関して、いくつかの方法を本明細書に記載する。当業者は、OptKnockを用いる代謝変化の特定、設計および実行を、当技術分野で周知であるそのような他の代謝モデリングおよびシミュレーションコンピュータフレームワークおよび方法のいずれかに適用する方法を知るであろう。
上記の方法は、破壊する1セットの代謝反応を提供する。セット内の各反応の除去または代謝改変は、生物体の増殖期の間の必須の生成物として、所望の生成物をもたらすことができる。反応が知られているので、2層の(bilevel)OptKnock問題の解決は、反応セット内の各反応を触媒する1つまたは複数の酵素をコードする1つまたは複数の関連遺伝子も提供する。反応セットおよび各反応に関与する酵素をコードするそれらの対応遺伝子の同定は、一般に自動化されたプロセスであり、その反応と、酵素およびコード遺伝子の間の関係を有する反応データベースとの相関関係を通して達成される。
同定されると、標的細胞または生物体において、所望の生成物の生成を達成するために破壊される反応セットが、セット内の各代謝反応をコードする少なくとも1つの遺伝子の機能的破壊によって実施される。反応セットの機能的破壊を達成する1つの特に有用な手段は、各コード遺伝子の欠失によるものである。しかし、一部の例では、例えば、変異、プロモーターもしくは調節因子のためのシス結合部位などの調節領域の欠失を含む他の遺伝子異常、またはいくつかの場所のいずれかにおけるコード配列の切断によって反応を破壊することが有益となることがある。例えば、生成物の連結の速やかな評価が所望され、または遺伝子復帰変異が起こる可能性がより低い場合、遺伝子セットの全体未満の欠失をもたらすこれらの後者の異常が有用なことがある。
所望の生成物の増殖連結型の生合成を含む生合成をもたらすことができる破壊すべきさらなる反応セットまたは代謝改変をもたらす上記の2層のOptKnock問題のさらなる生産的解法を特定するために、整数カットと呼ばれる最適化法を実施することができる。この方法は、各反復での整数カットと呼ばれる追加の制約の組込みで、上に例示されるOptKnock問題を反復して解決することによって進行する。整数カット制約は、解決手法が、生成物生合成を増殖に不可避的に連結する任意の前の反復で特定されるものと正確に同じ反応セットを選択することを、効果的に防止する。例えば、前に特定された増殖連結型の代謝改変が破壊のための反応1、2および3を特定する場合、以下の制約は、その後の解法で同じ反応が同時に考慮されることを防止する。整数カット法は当技術分野で周知であり、例えば、Burgardら、Biotechnol. Prog. 17巻、791〜797頁(2001年)に記載されているのを見ることができる。代謝モデリングおよびシミュレーションのためのOptKnockコンピュータフレームワークと組み合わせたそれらの使用に関して本明細書で記載される全ての方法と同様に、反復性コンピュータ分析でのリダンダンシーを減らす整数カット法は、例えばSimPheny(登録商標)を含む当技術分野で周知である他のコンピュータフレームワークとともに適用することもできる。
本明細書で例示される方法は、所望の生成物を生合成的に生成する細胞および生物体の構築を可能にし、それには、特定された遺伝子改変を抱えるように設計製作された細胞または生物体の増殖への、標的生化学生成物の生成の必須の連結が含まれる。したがって、本明細書で記載されるコンピュータ方法は、OptKnockまたはSimPheny(登録商標)から選択されるコンピュータ方法によって特定される代謝改変の同定および実行を可能にする。代謝改変のセットには、例えば、1つまたは複数の生合成経路の酵素の付加および/または、例えば遺伝子欠失による破壊を含む1つまたは複数の代謝反応の機能的破壊を含めることができる。
上記のように、OptKnock方法は、長期の増殖選択に曝した場合、変異体微生物ネットワークをコンピュータによって予測されるそれらの最大増殖表現型の方へ進化させることができるという前提で開発された。言い換えると、本手法は、選択圧の下で自己最適化する生物体の能力を導入する。OptKnockフレームワークは、ネットワーク化学量論に基づいて生化学的生成と細胞増殖との間の連結を強制する遺伝子欠失組合せの網羅的な列挙を可能にする。最適遺伝子/反応ノックアウトの同定は、生じたネットワークについての最適増殖の解法が対象とする生化学物質を過剰に生産するように活性反応セットを選択する、2層の最適化問題の解決を必要とする(Burgardら、Biotechnol. Bioeng. 84巻、647〜657頁(2003年))。
前に例示され、例えば米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、ならびに米国特許第7,127,379号に記載されるように、代謝経路に必要不可欠な遺伝子を同定するために、E.coli代謝のコンピュータ化学量論モデルを使用することができる。本明細書で開示されるように、OptKnock数学フレームワークを、所望の生成物の増殖連結型生成をもたらす正確な遺伝子欠失に適用することができる。さらに、2層のOptKnock問題の解決は、1セットの欠失だけを提供する。全ての意味がある解決、すなわち増殖連結型生成の形成をもたらすノックアウトの全セットを列挙するために、整数カットと呼ばれる最適化技術を実施することができる。これは、上記のように、各反復での整数カットと呼ばれる追加の制約の組込みでOptKnock問題を反復して解決することを必要とする。
本明細書で開示されるように、本発明は、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントに関する(実施例を参照)。そのようなバリアントの生成は、実施例で記載される。様々な方法のいずれかを、アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアント、例として、本明細書で開示されるアルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントを生成するために用いることができる。そのような方法としては、部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発、コンビナトリアルライブラリーおよび以下に記載される他の変異誘発法が挙げられるが、これらに限定されない(Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory、New York(2001年);Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、Baltimore、MD(1999年);Gillmanら、Directed Evolution Library Creation: Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology)Springer、第2版(2014年)を参照)。
本明細書で開示されるように、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO、またはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドのための経路の所望の活性をコードする核酸を、宿主の生物体に導入することができる。場合によっては、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO、またはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの経路の酵素またはタンパク質の活性を改変して、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDOまたはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドの生成を増大させるのが望ましいことがある。例えば、タンパク質または酵素の活性を増大させる公知の変異を、コード核酸分子に導入することができる。さらに、最適化の方法を適用して、酵素もしくはタンパク質の活性を増大させること、および/または阻害活性を低下させる、例えば、負のレギュレーターの活性を低下させることもできる。
1つのそのような最適化の方法が、定向進化である。定向進化は、酵素の特性を改善するためおよび/または変化させるための特定の遺伝子を標的とする変異の導入が関与する、強力なアプローチである。多く(例えば、>10個)の酵素バリアントの自動化スクリーニングを可能にする、感度の高い高スループットスクリーニングアッセイの開発および実行を通して、改善されたおよび/または変化した酵素を同定することができる。典型的には、変異誘発およびスクリーニングを反復して実施して、最適化された特性を有する酵素を得る。また、変異誘発のための遺伝子の領域を同定するのを支援することができる計算アルゴリズムも開発されており、これにより、生成し、スクリーニングする必要がある酵素バリアントの数を顕著に低下させることができる。多種多様なバリアントライブラリーを有効に生み出すために、多数の定向進化の技術が開発されており(総説については、Hibbertら、Biomol.Eng、22巻:11〜19頁(2005年);HuismanおよびLalonde、Biocatalysis in the pharmaceutical and biotechnology industries、717〜742頁(2007年)、Patel(編)、CRC Press;OttenおよびQuax、Biomol.Eng、22巻:1〜9頁(2005年).;ならびにSenら、Appl Biochem.Biotechnol、143巻:212〜223頁(2007年)を参照)、これらの方法は、多くの酵素のクラスにわたる広い範囲の特性の改善に首尾よく適用されている。定向進化の技術により改善および/または変化が生じている酵素の特徴として、例えば、非天然の基質の転換についての選択性/特異性;ロバストな高温処理のための温度安定性;より低いまたはより高いpH条件下におけるバイオ処理のためのpH安定性;高い生成物タイターを達成することができるような、基質または生成物の耐性;非天然の基質を含めるための、基質結合性を広げることを含んだ、結合性(K);生成物、基質または主要な中間体による阻害を除去するための阻害(K);酵素反応速度を増加させて、所望のフラックスを達成するための活性(kcat);タンパク質収率および全体的な経路のフラックスを増大させるための発現レベル;好気的条件において、空気に感受性の酵素を操作するための酸素安定性;ならびに酸素の非存在下において、好気的酵素を操作するための嫌気性下での活性が挙げられる。
特定の酵素の所望の特性を標的にする、遺伝子の変異誘発および多様化のために、いくつかの例示的な方法が開発されている。そのような方法は、当業者に周知である。これらのいずれかを使用して、3−HBal、1,3−BDO、4−HBalもしくは1,4−BDO経路の酵素もしくはタンパク質またはそれに関連する下流生成物、例として、そのエステルもしくはアミドを生成するための、または本発明のアルデヒドデヒドロゲナーゼの活性を変化させることおよび/または最適化することができる。そのような方法としては、PCR反応におけるDNAポリメラーゼの忠実度を低下させることによって、ランダム点変異を導入する、EpPCR(Pritchardら、J Theor.Biol. 234巻:497〜509頁(2005年));epPCRと同様であり、ただし、環状プラスミド全体が、鋳型として使用され、最後の2つのヌクレオチド上にエキソヌクレアーゼ抵抗性のチオホスフェート連結を有する、ランダムな6塩基長を使用して、プラスミドを増幅し、続いて、細胞への形質転換を行い、細胞中で、該プラスミドは、タンデムリピートにおいて再環状化する、誤りがちのローリングサークル増幅(Error−prone Rolling Circle Amplification)(epRCA)(Fujiiら、Nucleic Acids Res. 32巻:e145頁(2004年);およびFujiiら、Nat. Protoc. 1巻:2493〜2497頁(2006年));典型的には、2つまたはそれよりも多いバリアント遺伝子を、ヌクレアーゼ、例として、Dnase IまたはEndoVを用いて消化して、ランダムな断片のプールを生成し、これらの断片を、DNAポリメラーゼの存在下でのアニーリングおよび伸長のサイクルにより再度組み立てて、キメラ遺伝子のライブラリーを生み出すことに関与する、DNAシャフリング(DNA Shuffling)またはファミリーシャフリング(Family Shuffling)(Stemmer、Proc Natl Acad Sci USA 91巻:10747〜10751頁(1994年);およびStemmer、Nature 370巻:389〜391頁(1994年));鋳型のプライミングを引き起こし、続いて、変性および非常に短い期間(5秒程度の短さ)のアニーリング/伸長が伴う2段階PCRのサイクルが繰り返される、互い違いの伸長(Staggered Extension)(StEP)(Zhaoら、Nat. Biotechnol. 16巻:258〜261頁(1998年));ランダムな配列のプライマーを使用して、鋳型の異なるセグメントに相補的な、多くの短いDNA断片を生成する、ランダムプライミング組換え(Random Priming Recombination)(RPR)(Shaoら、Nucleic Acids Res 26巻:681〜683頁(1998年))が挙げられるが、これらに限定されない。
追加の方法としては、線形化プラスミドDNAを使用して、ミスマッチ修復により修復されるヘテロ二重鎖を形成する、ヘテロ二重鎖組換え(Heteroduplex Recombination)(Volkovら、Nucleic Acids Res. 27巻:e18頁(1999年);およびVolkovら、Methods Enzymol. 328巻:456〜463頁(2000年));Dnase Iによる断片化および一本鎖DNA(ssDNA)のサイズ分画を用いる、一過性鋳型上におけるランダムキメラ形成(Random Chimeragenesis on Transient Templates)(RACHITT)(Cocoら、Nat. Biotechnol. 19巻:354〜359頁(2001年));鋳型のプールとして使用される一方向性のssDNA断片の存在下において、プライマーから一方向性に成長しつつある鎖の鋳型スイッチを引き起こす、切断型鋳型上における組換え伸長(Recombined Extension on Truncated templates)(RETT)(Leeら、J. Molec. Catalysis 26巻:119〜129頁(2003年));縮重プライマーを使用して、分子間の組換えを制御する、縮重オリゴヌクレオチド遺伝子シャフリング(Degenerate Oligonucleotide Gene Shuffling)(DOGS)(BergquistおよびGibbs、Methods Mol.Biol 352巻:191〜204頁(2007年);Bergquistら、Biomol.Eng 22巻:63〜72頁(2005年);Gibbsら、Gene 271巻:13〜20頁(2001年));対象の遺伝子または遺伝子断片の1塩基対の欠失を有するコンビナトリアルライブラリーを生み出す、ハイブリッド酵素の創出のための漸進的切断(Incremental Truncation for the Creation of Hybrid Enzymes)(ITCHY)(Ostermeierら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96巻:3562〜3567頁(1999年);およびOstermeierら、Nat. Biotechnol. 17巻:1205〜1209頁(1999年));ホスホチオエートdNTPを使用して切断部を生成することを除いては、ITCHYに類似する、ハイブリッド酵素の創出のためのチオ−漸進的切断(Thio−Incremental Truncation for the Creation of Hybrid Enzymes)(THIO−ITCHY)(Lutzら、Nucleic Acids Res 29巻:E16頁(2001年));遺伝子を組み換えるための2つの方法、ITCHYとDNAシャフリングとを組み合わせる、SCRATCHY(Lutzら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98巻:11248〜11253頁(2001年));変異を、epPCRを介して作り、続いて、使用可能な活性を維持する変異についてスクリーニング/選択を行う、ランダムドリフト変異誘発(Random Drift Mutagenesis)(RNDM)(Bergquistら、Biomol. Eng. 22巻:63〜72頁(2005年));ランダム変異誘発の方法であり、ランダムな長さの断片のプールを、ホスホチオエートヌクレオチドのランダムな組込みおよび切断を使用して生成し、このプールを鋳型として使用して、「ユニバーサル」塩基、例として、イノシンの存在下において伸長し、イノシンを含有する相補体の複製により、ランダムな塩基の組込みをもたらし、その結果、変異誘発をもたらす、配列飽和変異誘発(Sequence Saturation Mutagenesis)(SeSaM)(Wongら、Biotechnol. J. 3巻:74〜82頁(2008年);Wongら、Nucleic Acids Res. 32巻:e26頁(2004年);およびWongら、Anal. Biochem. 341巻:187〜189頁(2005年));「標的における全ての遺伝子多様性」をコードし、シャフルされた子孫について非常に高い多様性を可能にするように設計されたオーバーラップするオリゴヌクレオチドを使用する、合成シャフリング(Synthetic Shuffling)(Nessら、Nat. Biotechnol. 20巻:1251〜1255頁(2002年));dUTPの組込みの組合せを利用し、続いて、ウラシルDNAグリコシラーゼ、次いで、ピペリジンを用いて処理して、エンドポイントDNA断片化を実施する、ヌクレオチド交換および切除技術(Nucleotide Exchange and Excision Technology)NexT(Mullerら、Nucleic Acids Res. 33巻:e117頁(2005年))が挙げられる。
さらなる方法としては、リンカーを使用して、関係の薄いまたは無関係の2つの遺伝子間の融合を促進し、2つの遺伝子間の様々なキメラを生成し、単一クロスオーバーハイブリッドのライブラリーが得られる、配列相同性に依存しないタンパク質の組換え(Sequence Homology−Independent Protein Recombination)(SHIPREC)(Sieberら、Nat. Biotechnol. 19巻:456〜460頁(2001年));開始材料が、挿入部を含有するスーパーコイル二本鎖DNA(dsDNA)プラスミド、および変異の所望の部位において縮重している2つのプライマーを含む、Gene Site Saturation Mutagenesis(商標)(GSSM(商標))(Kretzら、Methods Enzymol. 388巻:3〜11頁(2004年));短いオリゴヌクレオチドカセットを使用して、限定的な領域を、多数の可能なアミノ酸配列の変化で置き換える、コンビナトリアルカセット変異誘発(Combinatorial Cassette Mutagenesis)(CCM)(Reidhaar−Olsonら、Methods Enzymol. 208巻:564〜586頁(1991年);およびReidhaar−Olsonら、Science 241巻:53〜57頁(1988年));本質的には、CCMに類似し、epPCRを、高い変異率で使用して、ホットスポットおよびホット領域を同定し、次いで、CMCMにより伸長して、タンパク質配列空間の定義された領域を網羅する、コンビナトリアル複数カセット変異誘発(Combinatorial Multiple Cassette Mutagenesis)(CMCM)(Reetzら、Angew. Chem. Int. Ed Engl. 40巻:3589〜3591頁(2001年));DNAポリメラーゼIIIの変異体サブユニットをコードするmutD5遺伝子を利用して、条件付tsミューテータープラスミドにより、選択の間に、ランダムなおよび天然の変異の頻度を20〜4000倍増大させることが可能になり、選択が必要でない場合、有害な変異が蓄積するのがブロックされる、ミューテーター株技法(Mutator Strains technique)(Selifonovaら、Appl. Environ. Microbiol. 67巻:3645〜3649頁(2001年);Lowら、J. Mol. Biol. 260巻:359〜3680頁(1996年))が挙げられる。
追加の例示的な方法としては、選択されたアミノ酸のコンビナトリアル変異を評価し、最適化する、多次元の変異誘発の方法である、ルックスルー変異誘発(Look−Through Mutagenesis)(LTM)(Rajpalら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102巻:8466〜8471頁(2005年));複数の遺伝子に一度に適用すること、または単一の遺伝子のキメラの大きなライブラリー(複数の変異)を生み出すために適用することができる、DNAシャフリング方法である、遺伝子の再組立て(Gene Reassembly)(Verenium Corporationにより供給されるTunable GeneReassembly(商標)(TGR(商標))技術);特定の折畳みを有する、構造的に定義されたタンパク質骨格をアンカーし、折畳みおよび全体的なタンパク質のエネルギー特性を安定化させることができるアミノ酸置換について、配列空間を検索する最適化アルゴリズムであり、概して、三次元構造が公知のタンパク質については最も有効である、インシリコのタンパク質設計の自動化(Protein Design Automation)(PDA)(Hayesら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99巻:15926〜15931頁(2002年));ならびに構造/機能の知識を使用して、酵素の改善に有望な部位を選ぶこと、飽和変異誘発を、選ばれた部位において、変異誘発の方法、例として、Stratagene QuikChange(Stratagene;San Diego CA)を使用して実施すること、所望の特性についてスクリーニング/選択すること、および改善されたクローン(複数可)を使用して、別の部位において再度始め、所望の活性が達成されるまで繰り返し続けることを含む、反復飽和変異誘発(Iterative Saturation Mutagenesis)(ISM)(Reetzら、Nat. Protoc. 2巻:891〜903頁(2007年);およびReetzら、Angew. Chem. Int. Ed Engl. 45巻:7745〜7751頁(2006年))が挙げられる。
変異誘発のための上記の方法はいずれも、単独で、または任意に組み合わせて使用することができる。さらに、本明細書に記載するように、定向進化の方法は、いずれか1つを、またはそれらを組み合わせて、適応進化の技法と併せて使用してもよい。
本発明の様々な実施形態の活性に実質的に影響を及ぼさない改変はまた、本明細書で提供される本発明の定義内に提供されることが理解される。したがって、以下の実施例は、本発明を例示することが意図されるが、本発明を限定するとは意図されない。
アルデヒドデヒドロゲナーゼバリアント
この実施例では、望ましい特性を有するアルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントの生成を記載する。
変異誘発技法を用いて、鋳型ALD−1に基づいてバリアントアルデヒドデヒドロゲナーゼを生成した。誤りがちのPCR、部位特異的変異誘発を用いて、および遺伝子選択中の自然発生の変異により、バリアントを生成した。鋳型ALD−1は、以下に提供するアルデヒドデヒドロゲナーゼに対応する:
ALD−2およびALD−3についての追加のALD配列を、以下に提供する:
ALD−1は、3−ヒドロキシブチリルCoAのRエナンチオマーについて、Sエナンチオマーと比較してわずかにより特異的である。ALD−1の、ALD−2およびALD−3に対する配列アラインメントを、図3に示す。配列は、それぞれ、配列番号1、2および3に対応する。ALD−3については結晶構造も存在し(PDBID 4C3S)、ALD−2は、ALD−1よりALD−3により緊密に関連している。それゆえ、ALD−3を鋳型として使用した。図3の下線部は、2つのループ領域であり、第1番目はA、第2番目はBと名付けられ、両方とも、本明細書で決定されるように基質特異性およびエナンチオマー特異性に関与する。ALD−1のループAは、配列LQKNNETQEYSINKKWVGKD(配列番号124)であり、ALD−2のループAは、配列IGPKGAPDRKFVGKD(配列番号125)であり、ALD−3のループAは、配列ITPKGLNRNCVGKD(配列番号126)である。ALD−1のループBは、配列SFAGVGYEAEGFTTFTIA(配列番号127)であり、ALD−2のループBは、配列TYCGTGVATNGAHSGASALTIA(配列番号128)であり、ALD−3のループBは、配列SYAAIGFGGEGFCTFTIA(配列番号129)である。ALD−2由来の基質特異性ループAおよびBの配列および長さは、ALD−1およびALD−3の基質特異性ループAおよびBの配列および長さとは異なる;それにもかかわらず、アラインメントは、本明細書に記載するように置換についての対応する位置の特定を容易にするのに十分な保存を示し、とりわけ図6に示されるように3Dモデリングと組み合わせた場合、十分な保存を示し、これは、とりわけ本明細書に記載するように例示的な置換で改変した場合、2つのループ領域が相互作用して、基質特異性およびエナンチオマー特異性に影響を及ぼすことを示す。ALD−1およびALD−3は、51.9%同一である。ALD−1およびALD−2は、35.9%同一である。ALD−3およびALD−2は、40%同一である。図3のアラインメントに基づいてコンセンサスALD配列を生成した。ALD−1、ALD−2およびALD−3のアラインメントに基づくループAについてのコンセンサスは、IXPKG−−−−−XXNRKXVGKD(配列番号5)である。ALD−1、ALD−2およびALD−3のアラインメントに基づくループBについてのコンセンサスは、SYAGXGXXXE−−−−GFXTFTIA(配列番号6)である。
追加のアラインメントを行った(図4)。図4Aは、ALD−1と比較した40〜55%カットオフでのアラインメントを示す。図4Bは、ALD−1と比較した75〜90%カットオフでのアラインメントを示す。図4Cは、ALD−1と比較した90%カットオフでのアラインメントを示す。図4A〜4Cで示される例示的なアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALD)のアラインメントは、本発明の置換が行われ得る代表的な鋳型ALD配列における位置に対応するALDにおける位置の特定を示す。下線部は、2つの重要なループ領域であり、第1番目はA、第2番目はBと名付けられ、両方とも、本明細書で決定されるように基質特異性およびエナンチオマー特異性に関与する。図4A〜4Cは、本明細書で教示される置換についての対応する位置が、ALD−1と少なくとも40%同一であるALD、とりわけループAおよびB領域、およびとりわけ非常に保存されているループB領域において特定され得ることを示す。
アセチルCoAに対して3HB−CoAについてバリアント45の特異性を増大させるための変異は、1,3 BDO生成の増大およびエタノールの低減を有するいくつかのバリアントをもたらした。アセチルCoAから生成したアセトアルデヒドは、宿主細胞でネイティブに酵素によって、または3−ヒドロキシブチルアルデヒドを1,3−ブタンジオールに転換する経路酵素によってエタノールに転換され得るので、アセチルCoAに優る3−ヒドロキシブチリルCoAの特異性を増大させる変異誘発は、エタノールの低減をもたらす。アルデヒドデヒドロゲナーゼの酵素活性を増大させるか、またはその、3−ヒドロキシブチリルCoAについての特異性を増大させるバリアントは、酵素経路を通して1,3−ブタンジオールへの流れを増大させることによって4−ヒドロキシ−2−ブタノンを低減し、これはアセトアセチルCoAを1,3−ブタンジオール形成に引き込み、それが、ネイティブ酵素または特異性のより低い経路酵素による4−ヒドロキシ−2−ブタノンへの2ステップ転換への可用性を低減する。バリアント45の配列を、以下に提供する:
行ったアッセイは、NADHがNADに転換されるときの吸光度の低減をモニタリングすることによって3HB−CoAに対する活性を調べるin vitroアッセイである。アセチルCoA(AcCoA)を基質とするアッセイも行い、3HB−CoAの、AcCoAに対する活性の比における改善について、改善された酵素を特定した。アセチルCoAから生成したアセトアルデヒドは、宿主細胞でネイティブに酵素によって、または3−ヒドロキシブチルアルデヒドを1,3−ブタンジオールに転換する経路酵素によってエタノールに転換され得るので、アセチルCoAに優る3−ヒドロキシブチリルCoAの特異性を増大させる変異は、エタノールの低減をもたらす。
これらのバリアントのサブセットの、(R)および(S)3−ヒドロキシブチルアルデヒドによるさらなる調査は、試験したバリアント(952、955、957、959、961)のうちの5つは、親酵素(バリアント45)および野生型ALD−1と比較してRエナンチオマーについての選択性の改善を有することを示した(図5)。図5Aは、3−ヒドロキシ−(R)−ブチルアルデヒド(バーの組の左のバー)および3ヒドロキシ−(S)−ブチルアルデヒド(バーの組の右のバー)に対するALD−2、ALD−1およびALD−1バリアントの比活性を示す。精製ストレプトアビジンタグ付きタンパク質を、35℃でIVI緩衝液pH7.5、0.5mM NAD、2mM CoA中にて10mM RまたはSいずれかの3−ヒドロキシブチルアルデヒドの存在下でアッセイし、340nmでのNADH吸光度の変化によって活性をモニタリングした。IVI緩衝液は、5mM第一リン酸カリウム、20mM第二リン酸カリウム、10mMグルタミン酸ナトリウム一水和物および150mM塩化カリウム、pH7.5を含有する。したがって、アッセイにおける酵素反応は、図1に示される方向とは逆の方向で行われた、すなわち、反応は、3−ヒドロキシブチルアルデヒドの3−ヒドロキシブチリルCoAへの転換を測定した。図5Bに示されるように、ある特定のアルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントは、S−3−ヒドロキシブチルアルデヒド(S−3HB−アルデヒド)に優るR−3−ヒドロキシブチルアルデヒド(R−3HB−アルデヒド)についての選択性を示した。
ALD−1結晶構造を用いた変異体959のコンピュータモデリングにより、アミノ酸置換F442Nのために、R異性体の炭素3上のヒドロキシルで水素結合ネットワークが形成されることが可能になるが、(S)異性体では可能でないことが示唆される(図6)。図6A〜6Cは、アルデヒドデヒドロゲナーゼ959の構造のリボン図を示す。図は、959の構造への3−ヒドロキシ−(R)−ブチルアルデヒド(図6A)または3−ヒドロキシ−(S)−ブチルアルデヒド(図6B)のドッキングを示す。図6Cは、3−ヒドロキシ−(S)−ブチルアルデヒドが、図6Aで示される3−ヒドロキシ−(R)−ブチルアルデヒドのドッキングについてエネルギー的に最も好ましい向きと同じ向きでドッキングされた場合、活性部位に位置するイソロイシンで、好ましくない相互作用(丸で囲んだ)が生み出されることを示す。モデルは、変異F442Nが、タンパク質と3−ヒドロキシ−(R)−ブチルアルデヒドのヒドロキシルとの間で水素結合を生み出し、これはSエナンチオマーでは可能でないことを示す。
例示的なアルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントを、表1A〜1Dに示す。
ALDバリアントの様々な活性を決定し、表2に示す。
例示的なALDバリアントの追加の活性を、表3に示す。ALDバリアントで、50g/リットルを超える、60g/リットルを超える、70g/リットルを超える、80g/リットルを超える、および90g/リットルを超えるほど高い、48時間での1,3−BDO生成のレベルが得られた。
上記のそのようなアルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントを用いて、R−3−ヒドロキシブチルアルデヒドの立体異性体、またはより高い割合のR形態を有するRおよびS形態の混合物を生成することができる。そのような立体異性体を利用して、下流生成物の立体異性体、例として、R−1,3−ブタンジオールを製造することができる。そのような立体異性体は、医薬または栄養補助食品としての有用性を有する。
これらの結果は、3−ヒドロキシブチルアルデヒド、1,3−ブタンジオール、4−ヒドロキシブチルアルデヒドもしくは1,4−ブタンジオールまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼを含む代謝経路によって生成される他の所望の生成物の商業的生成に有用である、望ましい特性を有するアルデヒドデヒドロゲナーゼバリアントの生成を示す。
上記のバリアントは、ALD−1親配列に基づく。表1、2または3に示されるバリアントアミノ酸位置は、相同アルデヒドデヒドロゲナーゼ配列に適用することができることが理解される。表4は、相同性に基づいて例示的なALD配列を示す。当業者は、そのような配列は、配列をアラインするための日常的であり周知の方法(例えば、BLAST、blast.ncbi.nlm.nih.gov;Altschulら、「J. Mol. Biol.」215巻:403〜410頁(1990年))で分析することができることを容易に理解する。さらに、公に利用可能な配列データベース、例として、米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)GenBankデータベース、欧州分子生物学研究所()、ExPasy PrositeまたはBLASTを用いる他の公に利用可能な配列データベースで見出される配列データベースを検索することによって、追加の相同ALD配列を特定することができる。そのようなアラインメントは、酵素活性を保存するためのコンセンサス配列およびさらなる酵素バリアントを生成するための位置を特定するために利用され得る、保存されている残基についての情報を提供し得る。
上記のバリアントなどの個々のALDバリアントは、望ましい活性を有する追加のバリアントを生成するために、単独で用いてもよく、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15もしくは16個を含む任意の他のバリアントアミノ酸位置、すなわち、最大で本明細書で開示される全てのバリアントアミノ酸位置(表1〜3を参照)と組み合わせてもよいことが理解される。例示的なALDバリアントとしては、表1〜3のいずれかで開示されるアミノ酸位置における、例えば、ALD−1のアミノ酸配列(配列番号1)に対応するアミノ酸位置12、19、33、44、65、72、73、107、122、129、139、143、145、155、163、167、174、189、204、220、227、229、230、243、244、254、267、315、353、356、396、429、432、437、440、441、442、444、447、450、460、464または467における、単一の置換または置換のうちの1つもしくは複数の組合せが挙げられるが、これらに限定されない(表1〜3を参照)。例えば、ALDバリアントとしては、ALD−1のアミノ酸配列(配列番号1)に対応するアミノ酸位置D12、V19、C33、I44、K65、K72、A73、Y107、D122、E129、I139、T143、P145、G155、V163、G167、C174、C189、M204、C220、M227、K229、T230、A243、G244、A254、C267、V315、C353、C356、R396、F429、V432、E437、T440、T441、F442、I444、S447、E450、R460、C464またはA467における、アミノ酸置換、単一の置換または置換のうちの1つもしくは複数の組合せが挙げられるが、これらに限定されない(表1〜3を参照)。他の19個のアミノ酸の任意の置換を、1つまたは複数の所望のアミノ酸位置において行ってもよいことが理解される。
一実施形態では、バリアントALDは、D12Aである12位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、V19Iである19位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、C33Rである33位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、I44Lである44位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、K65Aである65位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、K72Nである72位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、A73S、A73D、A73G、A73L、A73Q、A73F、A73E、A73W、A73R、A73CおよびA73Mから選択される73位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、Y107Kである107位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、D122Nである122位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、E129Iである129位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、I139S、I139VおよびI139Lから選択される139位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、T143NまたはT143Sである143位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、V163C、V163GおよびV163Tから選択される163位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、G167Sである167位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、C174Sである174位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、C189Aである189位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、M204Rである204位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、C220Vである220位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、M227K、M227Q、M227I、M227V、M227C、M227LおよびM227Aから選択される227位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、K229Sである229位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、T230R、T230K、T230H、T230A、T230M、T230C、T230L、T230S、T230Y、T230G、T230T、T230I、T230W、T230N、T230VおよびT230Qから選択される230位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、A243P、A243Q、A243E、A243S、A243N、A243K、A243L、A243C、A243MおよびA243Iから選択される243位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、A254Tである254位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、C267Aである267位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、V315Aである315位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、C353Aである353位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、C356TまたはC356Lである356位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、R396Hである396位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、F429Y、F429Q、F429H、F429M、F429DおよびF429Lから選択される429位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、V432VまたはV432Nである432位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、E437Pである437位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、T440Hである440位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、T441Gである441位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、F442T、F442Y、F442H、F442N、F442Q、F442MおよびF442Fから選択される442位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、I444Vである444位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、S447M、S447P、S447H、S447K、S447R、S447T、S447EおよびS447Sから選択される447位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、R460Kである460位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、C464VまたはC464Iである464位におけるアミノ酸置換を含む。一実施形態では、バリアントALDは、A467Vである467位におけるアミノ酸置換を含む。上記のアミノ酸位置のいずれかを、単一のアミノ酸置換または置換のうちの1つもしくは複数の組合せのために用いて、本発明のALDバリアントを生成することができる。
本明細書での教示に基づいて、当業者は、相同ALD配列における、ALD−1のアミノ酸配列(配列番号1)に対応するアミノ酸位置12、19、33、44、65、72、73、107、122、129、139、143、145、155、163、167、174、189、204、220、227、229、230、243、244、254、267、315、353、356、396、429、432、437、440、441、442、444、447、450、460、464または467のいずれかに対応するアミノ酸位置を容易に特定することができる。例えば、図4Aでのアラインメントにおいて示されるように、ALD−1のアミノ酸I139は、配列番号13および20のアミノ酸I133に対応する。配列番号24については、対応する位置は、V199である。アミノ酸配列をアラインするための周知の方法を用いて、一般に本明細書で開示されるようにデフォルトパラメータを用いて、当業者は、ALD−1のアミノ酸配列(配列番号1)に対応するアミノ酸位置12、19、33、44、65、72、73、107、122、129、139、143、145、155、163、167、174、189、204、220、227、229、230、243、244、254、267、315、353、356、396、429、432、437、440、441、442、444、447、450、460、464または467のいずれかに対応する別のALD配列におけるアミノ酸位置を容易に決定することができる。
ALDバリアントは、例えば、表1〜3中の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16個、すなわち、最大で本明細書で開示される全てのバリアントアミノ酸位置を含有し得ることがさらに理解される。当業者は、本明細書で開示されるように、任意の単一または組合せのアミノ酸置換、例として、上記および表1〜3のアミノ酸バリアント位置に基づいてALDバリアントを容易に生成することができる。特定の実施形態では、ALDバリアントは、表1〜3に開示されるバリアントである。
本出願を通して、種々の刊行物が参照されている。GenBank受託更新番号および/またはGI番号公開を含めて、これらの刊行物の開示は、その全体が、本発明が属する分野の技術水準をより完全に記載するために、本出願において本明細書に参照として組み込まれる。本発明は、上に提供された実施例を参照して記載されているが、本発明の趣旨から逸脱することなく、種々の変更を行うことができることが理解されるべきである。

Claims (79)

  1. (a)配列番号1、2もしくは3としてまたは表4で参照されるアミノ酸配列をコードする核酸分子であって、前記アミノ酸配列が、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの1つまたは複数を含む、核酸分子;
    (b)高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で(a)の前記核酸にハイブリダイズし、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの1つまたは複数をコードする核酸配列を含む核酸分子;
    (c)ループA(配列番号5)および/またはループB(配列番号6)のコンセンサス配列を含むアミノ酸配列をコードする核酸分子であって、前記アミノ酸配列が、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの1つまたは複数を含む、核酸分子;ならびに
    (d)(a)または(b)に相補的な核酸分子
    から選択される単離された核酸分子。
  2. 前記1つまたは複数のアミノ酸置換以外の前記アミノ酸配列が、配列番号1、2もしくは3でまたは表4で参照されるアミノ酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するか、またはこれと同一である、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  3. 前記アミノ酸配列が、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16個を含む、請求項1または2に記載の核酸。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の核酸分子を含有するベクター。
  5. 発現ベクターである、請求項4に記載のベクター。
  6. 二本鎖DNAを含む、請求項4または5に記載のベクター。
  7. 配列番号1、2もしくは3としてまたは表4で参照されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、前記アミノ酸配列が、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの1つまたは複数を含む、単離されたポリペプチド。
  8. ループA(配列番号5)および/またはループB(配列番号6)のコンセンサスアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
  9. 配列番号1、2もしくは3としてまたは表4で参照されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、前記アミノ酸配列が、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの1つまたは複数を含み、前記1つまたは複数のアミノ酸置換以外の前記アミノ酸配列が、配列番号1、2もしくは3としてまたは表4で参照されるアミノ酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するか、またはこれと同一である、単離されたポリペプチド。
  10. 前記アミノ酸配列が、1〜100個のアミノ酸位置における保存的アミノ酸置換をさらに含み、前記位置が、表1、2および/または3で示される前記1つまたは複数のアミノ酸置換以外である、請求項9に記載の単離されたポリペプチド。
  11. 前記アミノ酸配列が、表1、2および/または3で示される前記1つまたは複数のアミノ酸置換以外に、親配列と比較して2〜300個のアミノ酸位置で改変を含まず、前記位置が、配列番号1、2もしくは3としてまたは表4で参照される前記アミノ酸配列のうちの2、3、4または5つと同一である位置から選択される、請求項7から10のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。
  12. 前記アミノ酸配列が、表1、2および/または3で示されるアミノ酸置換のうちの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16個を含む、請求項7から11のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。
  13. アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする、請求項7から12のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。
  14. 3−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換し得る、請求項7から13のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。
  15. 4−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチルアルデヒドに転換し得る、請求項7から13のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。
  16. 親ポリペプチドと比べてより高い活性を有する、請求項7から15のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。
  17. 3−ヒドロキシ−(S)−ブチリルCoAよりも3−ヒドロキシ−(R)−ブチリルCoAについてより高い活性を有する、請求項7から14のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。
  18. アセチルCoAよりも3−ヒドロキシブチリルCoAについてより高い特異性を有する、請求項7から14のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。
  19. アセチルCoAよりも4−ヒドロキシブチリルCoAについてより高い特異性を有する、請求項7から13または15のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。
  20. 細胞または細胞抽出物における副産物の生成を低減する、請求項7から15のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。
  21. 前記副産物が、エタノールまたは4−ヒドロキシ−2−ブタノンである、請求項20に記載の単離されたポリペプチド。
  22. 親ポリペプチドと比べてより高いkcatを有する、請求項7から15のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。
  23. 請求項4から6のいずれか一項に記載のベクターを含む細胞。
  24. 請求項1から3のいずれか一項に記載の核酸を含む細胞。
  25. 前記核酸分子が、前記細胞の染色体に組み込まれている、請求項24に記載の細胞。
  26. 前記組込みが、部位特異的である、請求項25に記載の細胞。
  27. 前記核酸分子が発現される、請求項23から26のいずれか一項に記載の細胞。
  28. 請求項7から22のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む細胞。
  29. 微生物体である、請求項23から28のいずれか一項に記載の細胞。
  30. 前記微生物体が、細菌、酵母または真菌である、請求項29に記載の細胞。
  31. 単離された真核細胞である、請求項23から28のいずれか一項に記載の細胞。
  32. 3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/もしくは1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成する経路を含む、請求項23から31のいずれか一項に記載の細胞。
  33. 4−ヒドロキシブチルアルデヒド(4−HBal)および/もしくは1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成する経路を含む、請求項23から31のいずれか一項に記載の細胞。
  34. 発酵することができる、請求項23から33のいずれか一項に記載の細胞。
  35. 前記ポリペプチドについての少なくとも1つの基質をさらに含む、請求項23から34のいずれか一項に記載の細胞。
  36. 前記基質が、3−ヒドロキシブチリルCoAである、請求項35に記載の細胞。
  37. 前記基質が、3−ヒドロキシ−(R)−ブチリルCoAである、請求項36に記載の細胞。
  38. 3−ヒドロキシ−(S)−ブチリルCoAよりも3−ヒドロキシ−(R)−ブチリルCoAについてより高い活性を有する、請求項36または37に記載の細胞。
  39. 前記基質が、4−ヒドロキシブチリルCoAである、請求項35に記載の細胞。
  40. 生物触媒としての、請求項7から22のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用。
  41. 請求項7から22のいずれか一項に記載のポリペプチドおよび前記ポリペプチドについての少なくとも1つの基質を含む組成物。
  42. 前記ポリペプチドが、in vitro条件下で前記基質と反応することができる、請求項41に記載の組成物。
  43. 前記基質が、3−ヒドロキシブチリルCoAである、請求項41または42に記載の組成物。
  44. 前記基質が、3−ヒドロキシ−(R)−ブチリルCoAである、請求項43に記載の組成物。
  45. 前記基質が、4−ヒドロキシブチリルCoAである、請求項41または42に記載の組成物。
  46. 請求項23から39のいずれか一項に記載の細胞を含む培地。
  47. 請求項4から6のいずれか一項に記載のベクターを、発酵することができる細胞に導入する工程を含む、宿主株を構築する方法。
  48. 3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/もしくは1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成するための方法であって、請求項23から39のいずれか一項に記載の細胞を培養して、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたはそのエステルもしくはアミドを生成する工程を含む方法。
  49. 4−ヒドロキシブチルアルデヒド(4−HBal)および/もしくは1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成するための方法であって、請求項23から39のいずれか一項に記載の細胞を培養して、4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOまたはそのエステルもしくはアミドを生成する工程を含む方法。
  50. 前記細胞が、実質的に嫌気性の培地中にある、請求項48または49に記載の方法。
  51. 前記3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOもしくは前記4−HBalおよび/もしくは1,4−BDO、またはそのエステルもしくはアミドを単離または精製する工程をさらに含む、請求項48から50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記単離または精製する工程が、蒸留を含む、請求項51に記載の方法。
  53. 生物由来3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを含む培地であって、前記生物由来3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOが、大気二酸化炭素取り込み供給源を反映する炭素−12、炭素−13および炭素−14の同位体比を有し、前記生物由来3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOが、請求項23から39のいずれか一項に記載の細胞または請求項48から52のいずれか一項に記載の方法によって生成される、培地。
  54. 前記細胞から分離されている、請求項53に記載の培地。
  55. 大気二酸化炭素取り込み供給源を反映する炭素−12、炭素−13および炭素−14の同位体比を有する、3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/もしくは1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)または4−ヒドロキシブチルアルデヒド(4−HBal)および/もしくは1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)であって、請求項23から39のいずれか一項に記載の細胞または請求項48から52のいずれか一項に記載の方法によって生成される、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDO。
  56. 少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%のFm値を有する、請求項55に記載の3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDO。
  57. 請求項23から39のいずれか一項に記載の細胞または請求項48から52のいずれか一項に記載の方法によって生成された3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/もしくは1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)または4−ヒドロキシブチルアルデヒド(4−HBal)および/もしくは1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)。
  58. 大気二酸化炭素取り込み供給源を反映する炭素−12、炭素−13および炭素−14の同位体比を有する3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/または1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)であって、請求項23から39のいずれか一項に記載の細胞または請求項48から52のいずれか一項に記載の方法によって生成され、R形態のエナンチオマーが富化されている3−HBalおよび/または1,3−BDO。
  59. 少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%のFm値を有する、請求項58に記載の3−HBalおよび/または1,3−BDO。
  60. 請求項23から39のいずれか一項に記載の細胞または請求項48から52のいずれか一項に記載の方法によって生成された3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/または1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)であって、R形態のエナンチオマーが富化されている3−HBalおよび/または1,3−BDO。
  61. 前記R形態が、前記3−HBalおよび/または1,3−BDOの95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%を超える、請求項60に記載の3−HBalおよび/または1,3−BDO。
  62. 請求項58から61のいずれか一項に記載の3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDO、ならびにそれぞれ、前記3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalもしくは1,4−BDO以外の化合物を含む組成物。
  63. 前記3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは前記4−HBalおよび/もしくは1,4−BDO以外の前記化合物が、それぞれ、前記3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOもしくは前記4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを生成するか、または請求項7から22のいずれか一項に記載のポリペプチドを発現する細胞の部分である、請求項62に記載の組成物。
  64. 請求項55から61のいずれか一項に記載の3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOもしくは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDO、または前記3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOもしくは前記4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを生成する細胞の細胞溶解物もしくは培養上清を含む組成物。
  65. 請求項55から61のいずれか一項に記載の3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを含む製品であって、プラスチック、弾性繊維、ポリウレタン、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)またはそのコポリマー、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリウレタン−ポリ尿素コポリマー、ナイロン、有機溶媒、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、血糖低下剤、ブタジエンまたはブタジエンベースの製品である製品。
  66. 化粧品または食品添加物である、請求項65に記載の製品。
  67. 少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%または少なくとも50%の生物由来3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは生物由来4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを含む、請求項65または66に記載の製品。
  68. 繰返し単位として、生成された3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは生成された4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOの部分を含む、請求項65から67のいずれか一項に記載の製品。
  69. 請求項65、67または68のいずれか一項に記載の製品を成型することによって得られた成型製品。
  70. 請求項65から68のいずれか一項に記載の製品を生成するためのプロセスであって、前記製品を生成する反応において、前記3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは前記4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを、それ自体または別の化合物と化学反応させる工程を含むプロセス。
  71. 請求項69に記載の製品を生成するためのプロセスであって、前記製品を生成する反応において、前記3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは前記4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを、それ自体または別の化合物と化学反応させる工程を含むプロセス。
  72. 3−ヒドロキシブチルアルデヒド(3−HBal)および/もしくは1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成するための方法であって、基質を請求項7から22のいずれか一項に記載のポリペプチドに提供する工程と、前記基質を3−HBalおよび/または1,3−BDOに転換する工程とを含み、前記基質が、1,3−ヒドロキシブチリルCoAのラセミ混合物である、方法。
  73. 前記3−HBalおよび/または1,3−BDOは、R形態のエナンチオマー的が富化されている、請求項72に記載の方法。
  74. 4−ヒドロキシブチルアルデヒド(4−HBal)および/もしくは1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)またはそのエステルもしくはアミドを生成するための方法であって、基質を請求項7から22のいずれか一項に記載のポリペプチドに提供する工程と、前記基質を4−HBalおよび/または1,4−BDOに転換する工程とを含み、前記基質が、1,4−ヒドロキシブチリルCoAである、方法。
  75. 前記ポリペプチドが、細胞中、細胞溶解物中に存在するか、または細胞もしくは細胞溶解物から単離される、請求項72から74のいずれか一項に記載の方法。
  76. 3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを生成するための方法であって、請求項23から39のいずれか一項に記載の細胞の溶解物をインキュベートして、3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOまたは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOを生成する工程を含む方法。
  77. 前記細胞溶解物が、第2の細胞溶解物と混合され、前記第2の細胞溶解物が、請求項7から22のいずれか一項に記載のポリペプチドの基質、または3−HBalおよび/もしくは1,3−BDOもしくは4−HBalおよび/もしくは1,4−BDOの下流生成物を生成する酵素活性を含む、請求項76に記載の方法。
  78. 請求項7から22のいずれか一項に記載のポリペプチドを生成するための方法であって、細胞において前記ポリペプチドを発現する工程を含む方法。
  79. 請求項7から22のいずれか一項に記載のポリペプチドを生成するための方法であって、請求項1から3のいずれか一項に記載の核酸または請求項4から6に記載のベクターをin vitroで転写および翻訳して、前記ポリペプチドを生成する工程を含む方法。
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