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JP2020201360A - マルチコアファイバ - Google Patents

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Abstract

【課題】波長1100nmでシングルモード伝搬可能な複数のコアを有するマルチコアファイバを提供する。【解決手段】マルチコアファイバ1は、石英系ガラスからなる複数のコア2と、複数のコアを囲み、複数のコアの最大屈折率よりも低い屈折率を有する石英系ガラスからなるクラッド3と、を備え、波長1100nmにおけるモードフィールド径は5.0μm以上であり、波長1100nmにおいてシングルモード伝搬し、半径2mmで曲げたときの波長1100nmにおける曲げ損失が1dB/ターン以下であり、コア間クロストークが−30dB/km以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、マルチコアファイバに関する。
特許文献1には、波長1100nmの光をシングルモード伝搬することが可能なシングルコアファイバ(SCF)が記載されている。
また、近年の増え続ける通信容量に応えるために、様々なタイプの光ファイバが開発されており、そのなかでもマルチコアファイバ(MCF)が注目されている。
特開2008−58662号公報
特許文献1に記載の構成は、シングルコアであるため、所望の光学的特性を満たすために、主にコア設計のみがなされ、コアはクラッドの中心に配置される。一方、マルチコアファイバでは、設計パラメータとして、コア設計のみならず、コア数、コア配置、最小クラッド厚、クラッド径を含めて光学的特性および機械的特性の観点から最適化がなされる。さらに、マルチコアファイバでは、望ましい特性が用途によって異なるため、望ましいファイバ設計もまた用途によって異なる。マルチコアファイバでは、シングルコアに比べて設計パラメータが多いためファイバ設計がより複雑になる。そこで、所望の用途として、波長1100nmでシングルモード伝搬可能であり、例えば16個以上のコアを有するマルチコアファイバの実現が期待されている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、波長1100nmでシングルモード伝搬可能な複数のコアを有するマルチコアファイバを提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るマルチコアファイバは、石英系ガラスからなる複数のコアと、前記複数のコアを囲み、前記複数のコアの最大屈折率よりも低い屈折率を有する石英系ガラスからなるクラッドと、を備え、波長1100nmにおけるモードフィールド径は5.0μm以上であり、波長1100nmにおいてシングルモード伝搬し、半径2mmで曲げたときの波長1100nmにおける曲げ損失が1dB/ターン以下であり、コア間クロストークが−30dB/km以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係るマルチコアファイバは、前記クラッドの外径は124〜126μmであることを特徴とする。
本発明の一態様に係るマルチコアファイバは、前記コアは、第1コアと、前記第1コアの外周を囲む第2コアとを有し、前記クラッドは、前記第2コアの外周を囲み、前記クラッドに対する前記第1コアの比屈折率差は0.60%以上であり、前記クラッドに対する前記第2コアの比屈折率差は−0.01%以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係るマルチコアファイバは、前記クラッドの外周を覆い、前記クラッドの屈折率よりも低い屈折率を有する樹脂からなる被覆をさらに備えることを特徴とする。
本発明によれば、波長1100nmでシングルモード伝搬可能な複数のコアを有するマルチコアファイバを提供することができるという効果を奏する。
図1は、実施の形態に係るマルチコアファイバを示す模式図である。 図2は、コアの一例を示す模式図である。 図3は、マルチコアファイバの特性のシミュレーションに用いるコアのW型屈折率プロファイルを示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載においては、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、本明細書においては、カットオフ波長とは、実効カットオフ波長であり、ITU−T(国際電気通信連合)G.650.1で定義するケーブルカットオフ波長を意味する。また、その他、本明細書で特に定義しない用語についてはG.650.1およびG.650.2における定義、測定方法に従うものとする。
図1は、実施の形態に係るマルチコアファイバを示す模式図である。図2は、コアの一例を示す模式図である。
図1に示すように、マルチコアファイバ1は、石英系ガラスからなる複数のコア2と、複数のコア2を囲み、複数のコア2の最大屈折率よりも低い屈折率を有する石英系ガラスからなるクラッド3と、クラッド3の外周を覆う被覆4と、を備える。このマルチコアファイバ1は、外周が被覆4によって覆われたクラッド3の内部に、全19個のコア2が六方最密構造で配置された構造を有する。
コア2は、例えばゲルマニウムやフッ素などの屈折率調整用のドーパントが添加された石英系ガラスによって構成されている。このコア2は、図2に示すように、第1コア21と、第1コア21の外周を囲む第2コア22とを有する。第1コア21は、ゲルマニウムなどの屈折率を高めるドーパントをドープした1層目のコアである。第2コア22は、フッ素などの屈折率を低くするドーパントをドープしたディプレスト層である2層目のコアである。この実施の形態では、全19個のコア2の屈折率は、同一に設計されている。
クラッド3は、第1コア21の最大屈折率よりも低く、かつ第2コア22の屈折率よりも高い屈折率に設定されており、内部に複数のコア2を有している。このクラッド3は、例えば屈折率調整用のドーパントが添加されていない純石英ガラスにより構成されている。
被覆4は、マルチコアファイバ1のガラス部分を保護する機能を有する。被覆4は、例えばUV硬化樹脂等からなり、1層または2層以上の層構造を有する。被覆4に用いられるUV硬化樹脂としては、例えばウレタンアクリレート系、ポリブタジエンアクリレート系、エポキシアクリレート系、シリコーンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系などがあるが、光ファイバのコーティングに使用されるものであれば特に限定されない。
図3は、マルチコアファイバの特性のシミュレーションに用いるコアのW型屈折率プロファイルを示す図である。図3に示すように、マルチコアファイバ1は、第1コア21の屈折率プロファイルP1と、第2コア22の屈折率プロファイルP2と、クラッド3の屈折率プロファイルP3と含む、W型屈折率プロファイルを有する。
また、図3には、第1コア21の直径aと、第2コア22の直径bと、クラッド3に対する第1コア21の比屈折率差Δ1と、クラッド3に対する第2コア22の比屈折率差Δ2とが示されている。
比屈折率差Δ1およびΔ2は、それぞれ、下記式(1)および(2)により表される。
Δ1={(nc1−nc)/nc1}・100 (1)
Δ2={(nc2−nc)/nc2}・100 (2)
ここで、nc1は第1コア21の最大屈折率、nc2は第2コア22の最小屈折率、ncはクラッド3の屈折率である。
図3に示すようなW型屈折率プロファイルを有するマルチコアファイバ1において、各パラメータ値を変化させた場合の特性のシミュレーションを行った。このシミュレーション結果を表1に示す。
表1は、図3に示す屈折率プロファイルを有するコア2を含むマルチコアファイバ1において各パラメータを設定したときの特性一覧を示している。なお、表1に示すパラメータについて、MDFは波長1100nmにおけるモードフィールド径であり、カットオフ波長は上述のカットオフ波長であり、曲げ損失は半径2mmで曲げたときの波長1100nmにおける曲げ損失である。
Figure 2020201360
このシミュレーションでは、コア設計のパラメータである、第1コア21の比屈折率差Δ1、第2コア22の比屈折率差Δ2、第1コア21の直径a、第2コア22の直径b、波長1100nmにおけるモードフィールド径、カットオフ波長、波長1100nmにおける曲げ損失を設定し、この設定値に応じて、マルチコアファイバ1の特性に関わるパラメータを算出した。マルチコアファイバ1の特性に関わるパラメータとして、コアピッチと、最小クラッド厚と、コア間クロストーク(XT)と、クラッド3の外径(クラッド径)とが挙げられる。
コアピッチは、最隣接のコア2のコア中心同士の間隔である。コア数およびコア配置について、コアピッチはファイバ断面積内のコア密度を高めるためには小さい方が望ましいが、コア間クロストークを抑えたい場合は、コアピッチは所定の大きさを取る必要がある。マルチコアファイバ1ではコア2同士が等間隔に配置されているため、コアピッチは同一の値となる。
最小クラッド厚は、複数のコア2のうち最も外周側に位置するコア2の中心(最外周コア中心)からクラッド3と被覆4との界面までの最短距離(径方向長さ)で表されるパラメータである。最小クラッド厚は、クラッド3と被覆4との界面に近い外周コアの光学特性を良好に保つうえで重要なパラメータである。例えば、コア2が被覆4に近すぎると、コア2を伝搬する光が被覆4に漏れてしまい、外周コアの損失が大きくなる。そこで、この損失を低減することができる大きさに最小クラッド厚を設計する必要がある。
コア間クロストークは、コア間の間隔を大きくすることによって抑制することができるパラメータである。コア間の間隔を狭くするとコア間での光の漏れ(コア間クロストーク)が発生してしまい、伝送品質が低下する虞がある。そのため、コア間クロストークを抑えることが望まれる。
クラッド径については、クラッド3の内部に複数のコア2を配置しようとするとクラッド径を大きくする必要が生じる。しかし、クラッド径を大きくすることでファイバ1本当たりの伝送容量を大きくできる一方で機械的信頼性が低下する。機械的信頼性については、クラッド径が大きいほど、マルチコアファイバ1を曲げた際に石英系ガラスに加わる歪が大きくなるため、破断する確率が高くなる。そのため、クラッド径は必要な機械的信頼性を実現できる程度の大きさに抑えたほうがよい。
表1に示すように、計算例S1〜S4では、それぞれコア設計を同じ値に設定し、コアピッチを異なる値に設定した場合についてシミュレーション計算した。そして、計算例S1〜S4とは異なる値にコア設計を変更した計算例が計算例S5〜S15に示されている。計算例S5〜S8では、それぞれコア設計を同じ値に設定し、コアピッチを異なる値に設定してシミュレーション計算した。計算例S9〜S11では、それぞれコア設計を同じ値に設定し、コアピッチを異なる値に設定してシミュレーション計算した。さらに、計算例S12〜S15では、それぞれコア設計を同じ値に設定し、コアピッチを異なる値に設定してシミュレーション計算した。
具体的には、まず、計算例S1〜S4では、コア設計として、クラッド3に対する第1コア21の比屈折率差Δ1を0.55%、クラッド3に対する第2コア22の比屈折率差Δ2を−0.4%、第1コア21の直径aを7.3μm、第2コア22の直径bを14.0μm、波長1100nmにおけるモードフィールド径を6.1μm、カットオフ波長を1171nm、波長1100nmにおける曲げ損失を0.7dB/ターンに設定し、コアピッチが25μm,30μm,35μm,40μmとなる場合について、最小クラッド厚と、コア間クロストークと、クラッド径とを算出した。
計算例S1では、コアピッチが25μmの場合に最小クラッド厚が8.6μmと算出される。ここで、最小クラッド厚の算出方法について、コア2からクラッド3の外に光が漏れることの損失を過剰損失とすると、この過剰損失は、クラッド厚が薄ければ薄いほど大きくなり、反対にクラッド厚が厚ければ厚いほど小さくなる。この過剰損失が0.001dB/kmとなるときのクラッド厚を最小クラッド厚として算出する。さらに、コアピッチが25μmとなる場合のコア間クロストークが−40.6dB/kmに算出される。そして、クラッド径は、最小クラッド厚とコア間クロストークから求まる。例えば、コア数が19でコア配置が六方最密構造となる場合には、コアピッチ×2と最小クラッド厚とを足すとクラッド3の半径となるため、その半径からクラッド径(クラッド3の直径)を求めることができる。
また、計算例S1では、最小クラッド厚が8.6μmとなり、クラッド径が117.1μmとなる。つまり、計算例S1の結果から、クラッド厚を最小クラッド厚の8.6μmよりも大きくして、クラッド3の外径を124〜126μmとすることが可能であることが分かる。そこで、マルチコアファイバ1では、クラッド径を125μmに設計し、公差±1μmを考慮して、クラッド径として124〜126μmを例示することができる。すなわち、マルチコアファイバ1ではクラッド径をG.650.2に準拠する光ファイバと同等に構成することができる。
この計算例S1と同様にして、計算例S2ではコアピッチが30μmの場合、計算例S3ではコアピッチが35μmの場合、計算例S4ではコアピッチが40μmの場合について、最小クラッド厚、コア間クロストーク、クラッド径が算出される。計算例S2では、最小クラッド厚が8.5μm、コア間クロストークが−71.5dB/km、クラッド径が139.0μmとなる。計算例S3では、最小クラッド厚が15.6μm、コア間クロストークが−102.3dB/km、クラッド径が171.2μmとなる。計算例S4では、最小クラッド厚が13.2μm、コア間クロストークが−132.0dB/km、クラッド径が186.3μmとなる。このように、計算例S1〜S4では、いずれもコア間クロストークが−30dB/km以下となっている。
次に、計算例S5〜S8では、コア設計として、クラッド3に対する第1コア21の比屈折率差Δ1を0.70%、クラッド3に対する第2コア22の比屈折率差Δ2を−0.01%、第1コア21の直径aを4.9μm、第2コア22の直径bを19.6μm、波長1100nmにおけるモードフィールド径を5.3μm、カットオフ波長を1078nm、波長1100nmにおける曲げ損失を0.9dB/ターンに設定し、コアピッチが25μm,30μm,35μm,40μmとなる場合について、最小クラッド厚と、コア間クロストークと、クラッド径とを算出した。計算例S5はコアピッチが25μmの場合、計算例S6はコアピッチが30μmの場合、計算例S7はコアピッチが35μmの場合、計算例S8はコアピッチが40μmの場合である。
計算例S5では、最小クラッド厚が18.7μm、コア間クロストークが−33.1dB/km、クラッド径が137.5μmとなる。計算例S6では、最小クラッド厚が18.3μm、コア間クロストークが−64.5dB/km、クラッド径が156.5μmとなる。計算例S7では、最小クラッド厚が21.0μm、コア間クロストークが−89.0dB/km、クラッド径が181.9μmとなる。計算例S8では、最小クラッド厚が14.2μm、コア間クロストークが−95.8dB/km、クラッド径が188.4μmとなる。このように、計算例S5〜S8では、いずれもコア間クロストークが−30dB/km以下となっている。
次に、計算例S9〜S11では、コア設計として、クラッド3に対する第1コア21の比屈折率差Δ1を0.65%、クラッド3に対する第2コア22の比屈折率差Δ2を−0.02%、第1コア21の直径aを5.3μm、第2コア22の直径bを13.1μm、波長1100nmにおけるモードフィールド径を5.6μm、カットオフ波長を1098nm、波長1100nmにおける曲げ損失を0.8dB/ターンに設定し、コアピッチが25μm,30μm,35μmとなる場合について、最小クラッド厚と、コア間クロストークと、クラッド径とを算出した。計算例S9はコアピッチが25μmの場合、計算例S10はコアピッチが30μmの場合、計算例S11はコアピッチが35μmの場合である。
計算例S9では、最小クラッド厚が18.8μm、コア間クロストークが−30.9dB/km、クラッド径が137.6μmとなる。計算例S10では、最小クラッド厚が17.8μm、コア間クロストークが−62.2dB/km、クラッド径が155.7μmとなる。計算例S11では、最小クラッド厚が17.7μm、コア間クロストークが−93.4dB/km、クラッド径が175.5μmとなる。このように、計算例S9〜S11では、いずれもコア間クロストークが−30dB/km以下となっている。
次に、計算例S12〜S15では、コア設計として、クラッド3に対する第1コア21の比屈折率差Δ1を0.60%、クラッド3に対する第2コア22の比屈折率差Δ2を−0.4%、第1コア21の直径aを6.5μm、第2コア22の直径bを13.0μm、波長1100nmにおけるモードフィールド径を5.6μm、カットオフ波長を1093nm、波長1100nmにおける曲げ損失を0.8dB/ターンに設定し、コアピッチが25μm,30μm,35μm,40μmとなる場合について、最小クラッド厚と、コア間クロストークと、クラッド径とを算出した。計算例S12はコアピッチが25μmの場合、計算例S13はコアピッチが30μmの場合、計算例S14はコアピッチが35μmの場合、計算例S15はコアピッチが40μmの場合である。
計算例S12では、最小クラッド厚が17.5μm、コア間クロストークが−43.5dB/km、クラッド径が135.0μmとなる。計算例S13では、最小クラッド厚が17.8μm、コア間クロストークが−74.7dB/km、クラッド径が155.6μmとなる。計算例S14では、最小クラッド厚が18.8μm、コア間クロストークが−105.6dB/km、クラッド径が177.6μmとなる。計算例S15では、最小クラッド厚が18.3μm、コア間クロストークが−132.5dB/km、クラッド径が196.6μmとなる。このように、計算例S12〜S15では、いずれもコア間クロストークが−30dB/km以下となっている。
上述したように、表1に示すシミュレーション結果のうち、計算例S5〜S15は、波長1100nmにおけるモードフィールド径が5.0μm以上となり、波長1100nmにおいてシングルモード伝搬可能であり、かつ、半径2mmで曲げたときの波長1100nmにおける曲げ損失が1dB/ターン以下であるシミュレーション結果を示すものである。これら計算例S5〜S15のシミュレーション結果から、図3に示すようなW型屈折率プロファイルを有するマルチコアファイバ1においては、コア2の屈折率分布について、クラッド3に対する第1コア21の比屈折率差Δ1を0.60%以上とし、クラッド3に対する第2コア22の比屈折率差Δ2を−0.01%以下とすることにより、所望の特性を持つマルチコアファイバ1が得られることが分かった。
また、モードフィールド径の下限値は、接続損失を考慮して設定されるものであり、光源との接続損失を抑えることができる値に設定される。この下限として上述した5.0μmが例示される。マルチコアファイバ1は、半導体レーザ素子に接続可能であり、例えば垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)により構成された光源に接続されることが可能である。
また、石英系ガラスからなるマルチコアファイバ1には、フレキシブルな配線が可能であって、コンパクトに収納できることが求められる。また、機器に用いられる場合には、配線時に曲率半径の非常に小さい曲げがマルチコアファイバ1に加わったとしても、曲げ損失が生じないことが要求される。そして、実際に機器内光配線形態を想定した場合、配線後のマルチコアファイバ1には最終的に曲率半径2mm程度の曲げが数箇所加わることが想定される場合がある。そこで、配線取りまわし時の局所的な曲げが加わった場合や最悪値設計の観点から必要な曲げ損失許容値を考えた場合、曲率半径2mmの曲げが1ターン加わった場合に曲げ損失が1dB以下であれば、十分に良好な曲げ損失特性であり、フレキシブル光配線が可能であるといえる。なお、曲げが形成されている部分(屈曲部)の数え方に「ターン」を用い、マルチコアファイバ1が360度屈曲した場合に1ターンと数える。例えば、90度の屈曲部が4箇所ある場合を1ターン、90度の屈曲部が2箇所ある場合を1/2ターンというように表現できる。
以上のように、マルチコアファイバ1は、波長1100nmの光をシングルモード伝搬することによって、波長1100〜1200nmにおいて低損失の高速光伝送が可能となる。波長1100nmにおけるモードフィールド径が5.0μm以上であることによって、光源との接続損失が低減することができる。さらに、曲率半径2mmで曲げたときの波長1100nmにおける曲げ損失が1dB/ターン以下であることによって、マルチコアファイバ1のフレキシブルな配線とコンパクトな収納が可能となる。
なお、上述したマルチコアファイバ1は、19個のコア2を有する構造に限定されず、12個以上のコアを有する構造、あるいは16個以上のコアを有する構造として構成されたものであってもよい。例えば、図1に示す六方最密構造の配置となる複数のコア2のうち、クラッド3の外周側に近い位置に配置された7個のコア2を除いた全12個のコア2からなる構造であってもよい。さらに、複数のコア2の配置は、六方最密構造に限らず、所定の格子状などであってもよい。
また、上記の実施の形態では、屈折率プロファイルとしてW型を例示しているが、屈折率プロファイルはW型に限定されない。例えば、屈折率プロファイルは、ステップ型や、トレンチ型や、セグメントコア型やW+サイドコア型など、その他の屈折率プロファイルについても適用できる。
また、複数のコア2では屈折率が同一でなくてもよい。つまり、隣接するコア2で屈折率が異なってもよい。このように、コア2同士で屈折率が異なる場合を考慮して、クラッド3の屈折率は複数のコア2のうちの最大屈折率よりも低い屈折率に構成されている。
また、被覆4の屈折率は、クラッド3よりも高い屈折率に限らず、クラッド3の屈折率以下であってもよい。つまり、被覆4は、クラッド3の屈折率よりも低い屈折率を有する樹脂から構成することができる。
1 マルチコアファイバ
2 コア
3 クラッド
4 被覆
21 第1コア
22 第2コア

Claims (4)

  1. 石英系ガラスからなる複数のコアと、
    前記複数のコアを囲み、前記複数のコアの最大屈折率よりも低い屈折率を有する石英系ガラスからなるクラッドと、
    を備え、
    波長1100nmにおけるモードフィールド径は5.0μm以上であり、
    波長1100nmにおいてシングルモード伝搬し、
    半径2mmで曲げたときの波長1100nmにおける曲げ損失が1dB/ターン以下であり、
    コア間クロストークが−30dB/km以下であることを特徴とするマルチコアファイバ。
  2. 前記クラッドの外径は124〜126μmであることを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
  3. 前記コアは、
    第1コアと、
    前記第1コアの外周を囲む第2コアとを有し、
    前記クラッドは、前記第2コアの外周を囲み、
    前記クラッドに対する前記第1コアの比屈折率差は0.60%以上であり、
    前記クラッドに対する前記第2コアの比屈折率差は−0.01%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のマルチコアファイバ。
  4. 前記クラッドの外周を覆い、前記クラッドの屈折率よりも低い屈折率を有する樹脂からなる被覆をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のマルチコアファイバ。
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