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JP2020139244A - 積層不織布 - Google Patents

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JP2020139244A JP2019035479A JP2019035479A JP2020139244A JP 2020139244 A JP2020139244 A JP 2020139244A JP 2019035479 A JP2019035479 A JP 2019035479A JP 2019035479 A JP2019035479 A JP 2019035479A JP 2020139244 A JP2020139244 A JP 2020139244A
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吉田 潤
Jun Yoshida
潤 吉田
結香 西口
Yuka NISHIGUCHI
結香 西口
晋吾 林
Shingo Hayashi
晋吾 林
幸司 北村
Koji Kitamura
幸司 北村
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Abstract

【課題】液戻りを抑制しつつ、かつ通液性にも優れる積層不織布を提供することである。【解決手段】熱融着性不織布層(A)と極細繊維不織布層(B)とが積層されてなる積層不織布であって、前記熱融着性不織布層(A)を構成する繊維(Fa)として、少なくとも第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)と第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)からなる複合繊維(Fa1)を少なくとも用いてなり、前記極細繊維不織布層(B)を構成する繊維(Fb)が、ポリエステル系樹脂からなる繊維で構成され、前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレングリコールが5質量%以上40質量%以下の範囲で共重合されており、その平均単繊維直径が0.1μm以上5.0μm以下であり、前記熱融着性不織布層(A)の、厚さ方向に占める割合が70%以上98%以下である、積層不織布。【選択図】 図1

Description

本発明は、通液性、液戻り防止性に優れる積層不織布に関するものである。
使い捨ておむつ等の吸収性物品は、一般的に、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を備えている。吸収体は、一般的に、液保持性の吸収性コアが液透過性の包装シートで被覆されて構成されている。吸収性コアは、一般的に、パルプ繊維等の繊維集合体に高吸収性ポリマーが散布されて形成されている。
このような吸収性物品においては、吸収力は高く、且つ吸収性物品自体の厚みが薄くコンパクトで嵩張らないことが要望されており、このため、吸収体の厚みを薄くすることが提案されている(例えば、特許文献1)。
また、上記吸収体は、一般に、パルプ繊維等に代表される繊維状基材と高吸水性ポリマーからなり、排泄液の吸収は、まず繊維状基材に一旦ストックした後、高吸水性ポリマーによって固定することにより行うようになされている。
一方で包装シートは、吸収体の形状維持、高吸収性ポリマー粒子の漏れ出し防止等を目的とするものであるため、吸収体素材が抜け出ない緻密な繊維構造が必要である反面、吸収体を包むものであるため通液性にも優れることが要求される。包装シートの素材としては、クレープ紙が広く採用されているが、このような高い要求を満たすために従来から種々の改善が提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
特開平10−118117号公報 特開2009−148322号公報 特開2001−314444号公報 特開2012−148060号公報
吸収体を薄型化する手段として、嵩高い繊維状基材の使用量を低減することが考えられる。しかし、これにより排泄液のストック能力が低下するだけでなく、高吸水性ポリマーがゲル化して吸収体の液体を吸収させる特性(吸液性)を大幅に低下させるゲルブロッキングという現象が生じやすくなり、少ない排泄液の量でも吸収体全体を均一に使用できず、吸収体により一度吸収された尿が再び物品表面に戻り出てくる「液戻り」という現象が発生するという問題がある。また、液戻りを抑制するために包装シートを緻密な不織布とすると、通液性に劣り、反対に粗い不織布とすると繊維状基材が抜け出してくる問題があり、これらを高い次元で両立させることが困難であった。従って、本発明では、液戻りを抑制しつつ、かつ通液性にも優れる積層不織布を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、親水性ポリマーであるポリエチレングリコールを特定の割合で共重合させたポリエチレンテレフタレートを極細繊維不織布とし、これに短繊維からなる熱融着性不織布を積層した不織布を用いることで、例えば紙おむつ用包装シートとして用いた場合に、液戻りを抑制し、かつ通液性も向上させることができるという知見を得た。本発明は、この知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
本発明の積層不織布は、熱融着性不織布層(A)と極細繊維不織布層(B)とが積層されてなる積層不織布であって、前記熱融着性不織布層(A)を構成する繊維(Fa)として、少なくとも第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)と第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)からなる複合繊維(Fa1)を少なくとも用いてなり、前記極細繊維不織布層(B)を構成する繊維(Fb)が、ポリエステル系樹脂からなる繊維で構成され、前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレングリコールが5質量%以上40質量%以下の範囲で共重合されており、その平均単繊維直径が0.1μm以上5.0μm以下であり、前記熱融着性不織布層(A)の、厚さ方向に占める割合が70%以上98%以下である。
本発明の積層不織布の好ましい態様によれば、前記複合繊維(Fa1)の平均単繊維直径が、7.0μm以上24.0μm以下である。
本発明の積層不織布の好ましい態様によれば、前記熱融着性不織布層(A)を構成する繊維(Fa)が、前記複合繊維(Fa1)に加えて、さらに1種以上の繊維(Fa2)を含む積層不織布である。
本発明の積層不織布の好ましい態様によれば、前記第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)の融点が、前記第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)の融点より10度以上高い積層不織布である。
本発明によれば、液戻りを抑制しつつ、かつ通液性にも優れる積層不織布が得られる。特に、本発明の積層不織布は、前記の特性から紙おむつ用の包装シートをはじめとする部材に好適に用いられる。
図1は、本発明に係る積層不織布を例示する概念断面図である。
本発明の積層不織布は、熱融着性不織布層(A)と極細繊維不織布層(B)とが積層されてなる積層不織布であって、前記熱融着性不織布層(A)を構成する繊維(Fa)として、少なくとも第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)と第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)からなる複合繊維(Fa1)を少なくとも用いてなり、前記極細繊維不織布層(B)を構成する繊維(Fb)が、ポリエステル系樹脂からなる繊維で構成され、前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレングリコールが5質量%以上40質量%以下の範囲で共重合されており、その平均単繊維直径が0.1μm以上5.0μm以下であり、前記熱融着性不織布層(A)の、厚さ方向に占める割合が70%以上98%以下である。以下に、その構成要素について詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではない。
[熱融着性不織布層(A)とその構成要素]
本発明の熱融着性不織布層(A)は、これを構成する繊維(Fa)として、少なくとも第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)と第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)からなる複合繊維(Fa1)を少なくとも用いられてなる。より好ましくは、さらに1種以上の繊維(Fa2)を含むものである。以下に、それぞれについて詳述する。
(第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)と第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12))
まず、前記の繊維(Fa)として少なくとも用いられる複合繊維(Fa1)は、少なくとも第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)と第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)からなる。特に、極細繊維不織布層(B)との間の熱接着性の観点から、第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)の融点と第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)の融点を比較した場合に、第1の熱可塑性樹脂(Pa11)の融点の方が高いことが好ましい。さらに、第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)の融点が、第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)の融点より10℃以上高いことがより好ましい。ただし、不織布としたときのハンドリング性および衛生材料への加工性の観点から、第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)の融点が第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)の融点よりも10℃以上150℃以下の範囲内で高いことが好ましい。
前記の第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)としては、例えば、ポリエステル、ポリアミドおよびポリオレフィン等を挙げることができる。ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリトリメチレンテレフタレート等を挙げることができる。また、ポリアミドの具体例としては、ポリアミド6、ポリアミド66およびポリアミド12等を挙げることができる。また、ポリオレフィンの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびプロピレン・エチレン共重合体を挙げることができる。中でも、柔軟性の観点から、ポリアミド6やポリブチレンテレフタレートやポリプロピレンが好ましく用いられ、コストの観点からはポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
また、この第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)には、他の成分が共重合されていても良く、粒子、難燃剤および帯電防止剤等の添加剤を含有させることも許容される。
前記の共重合成分としては、例えば、5−スルホイソフタル酸ナトリウムや3−ヒドロキシブタン酸が挙げられる。粒子としては、例えば、酸化チタンを挙げることができる。また、難燃剤としては、例えば、有機系難燃剤や無機系難燃剤を挙げることができる。さらに、帯電防止剤としては、例えば、アルコール系の帯電防止剤を挙げることができる。
そして、前記の第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)としては、ポリエチレンやポリプロピレンを用いることができ、特にポリエチレンが接着性の観点から好ましく用いられる。ポリエチレンとしては、製法や物性の違いにより区分され、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等があり、それぞれ繊維用に検討されている。本発明ではいずれのポリエチレンも用いられるが、紡糸安定性の観点から、LLDPEを用いることが好ましい態様である。
前記の第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)として用いられるポリエチレンにも、少量の他成分ポリマーがブレンドされていること、および/または共重合されていることが許容される。他成分ポリマーとしては、融点がポリエチレンに近いポリプロピレンやポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのポリオレフィン系ポリマーの他、低融点ポリエステルや低融点ポリアミドが挙げられる。また、ポリエチレンの特性を十分発現させるため、ブレンド物の質量比率は、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下である。また、共重合体においては、第2の熱可塑性樹脂組成物の含有共重合成分の共重合量が、50質量%以下であることが好ましい。
このポリエチレンのメルトフローレート(以下、MFRと記載する場合がある。)は、10〜100g/10分であることが好ましく、より好ましくは20〜40g/10分である。なお、ここでいうメルトフローレートとは、ASTM D1238 (A法)に準拠して、190℃の温度で、荷重2.16kgで測定した値を指す。
さらに、本発明で用いられる第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)、第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられている酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、核剤、および顔料等の添加物、あるいは他の重合体を必要に応じて添加することができる。
(熱融着性不織布層(A)を構成する繊維(Fa))
前記の熱融着性不織布層(A)を構成する繊維(Fa)としては、少なくとも第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)と第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)からなる複合繊維(Fa1)を少なくとも用いてなる。
本発明の複合繊維(Fa1)の、(Pa11)と(Pa12)の質量比率(Pa11/Pa12)は、90/10〜10/90であることが好ましく、70/30〜30/70であることがより好ましく、60/40〜40/60がさらに好ましい態様である。第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)の質量比率を、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上とすることにより、不織布に十分な物性を付与することができる。また、第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)の質量比率を、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上とすることにより、十分な熱接着性が得られる。
本発明の複合繊維(Fa1)の横断面形状は、低融点成分が繊維表面の少なくとも一部を形成していることが好ましい。横断面形状の例としては、同芯の芯鞘構造、偏芯の芯鞘構造、およびサイドバイサイド構造とすることができる。
本発明の複合繊維(Fa1)の平均単繊維直径は、7.0μm以上24.0μm以下であることが好ましい。平均単繊維直径を、好ましくは8.0μm以上とし、より好ましくは10.0μm以上とし、さらに好ましくは12.0μm以上とすることにより、製造過程においてポリマーを引き伸ばして繊維化する際の紡糸性が安定し、不織布としたときの繊維同士の接着点が多くなるため、強度を高くすることができる。また、平均単繊維直径を好ましくは22.0μm以下とし、より好ましくは20.0μm以下とし、さらに好ましくは18.0μm以下とすることにより、衛生材料に使用される場合に必要な柔軟性を良好なものとすることができる。
なお、本発明に係る複合繊維(Fa1)の平均単繊維直径とは、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(1)不織布の任意の場所からタテ×ヨコ=1cm×1cmの測定サンプルを30個採取する。
(2)走査型電子顕微鏡で倍率200〜3000倍に調節して、採取したサンプルから繊維表面写真を各1枚ずつ、計30枚撮影する。
(3)写真の中で単繊維直径が明確に確認できるものについて単繊維直径を全て測定し、それらの算術平均値(μm)の小数点以下第二位を四捨五入して得られた値を平均単繊維直径とする。
さらに、前記の熱融着性不織布層(A)を構成する繊維(Fa)として、前記の複合繊維(Fa1)に加えて、さらに1種以上の繊維(Fa2)を含むものがより好ましい。例えば、繊維(Fa2)を、複合繊維(Fa1)の平均単繊維直径よりも大きい複合繊維とすることで、熱融着性不織布層(A)をより嵩高いものとすることができ、や加えて、身体の伸びに追随して変形し、回復するような柔軟性に優れた、積層不織布とすることができる。一方で、例えば、繊維(Fa2)を、複合繊維(Fa1)の平均単繊維直径よりも小さい複合繊維とすることで、紙おむつ等の衛生材料に適用し得る、繊細で柔らかな、肌になじむような感触を有する積層不織布とすることができる。
前記の繊維(Fa2)としては、複合繊維に限られるものではなく、例えば、コットン、シルクおよびウールなどの天然繊維、ビスコースレーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維(例えば、”リオセル”(登録商標)および“テンセル”(登録商標))等の再生繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維およびポリアミド系繊維、アクリルニトリルからなる(ポリ)アクリルの単一繊維、ならびにポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチックからなる繊維等であってよい。
(熱融着性不織布層(A))
本発明の積層不織布に係る熱融着性不織布層(A)は、前記の繊維(Fa)から構成される。
本発明の熱融着性不織布層(A)の厚さは、0.30mm以上1.60mm以下であることが好ましい。厚みが0.40mm以上、より好ましくは0.50mm以上であることによって、嵩高性を保持し、液戻りを抑制することができる。一方、厚みが1.60mm以下、より好ましくは1.50mm以下とすることで、積層不織布をより柔軟なものとし、さらに肌触りを良好なものとすることができる。
なお、本発明において、熱融着性不織布層(A)の厚み(mm)とは、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(1)積層不織布の任意の場所からタテ×ヨコ=1cm×1cmの測定サンプルを10個採取する。
(2)走査型電子顕微鏡で倍率20〜80倍に調節して、採取したサンプルから無作為に3カ所ずつ、計30枚の積層不織布の断面写真を撮影する。
(3)それぞれの写真で不織布層毎に厚みを測定し、それらの算術平均値(mm)の小数点以下第3位を四捨五入する。
本発明の熱融着性不織布層(A)の目付は、5g/m以上80g/m以下であることが好ましい。目付が5g/m以上、より好ましくは10g/m以上、さらに好ましくは15g/m以上であることによって、適度な厚みを保持し、液戻りを抑制することができる。一方、80g/m以下、より好ましくは70g/m以下、さらに好ましくは60g/m以下とすることによって、柔軟性を付与することができる。
なお、本発明において、熱融着性不織布層(A)の目付(g/m)とは、後述する測定方法によって得られる値を採用することとする。
[極細繊維不織布層(B)とその構成要素]
本発明の極細繊維不織布層(B)において、これを構成する繊維(Fb)は、ポリエステル系樹脂からなる繊維で構成されてなる。さらに、前記のポリエステル系樹脂は、ポリエチレングリコールが5質量%以上40質量%以下の範囲で共重合されている。また、前記の繊維(Fb)の平均単繊維直径が0.1μm以上5.0μm以下である。以下に、それぞれについて詳述する。
(ポリエステル系樹脂)
本発明の極細繊維不織布層(B)を構成する繊維(Fb)に用いられるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などが挙げられるが、特にポリエチレンテレフタレートであることが好ましい態様である。ポリエチレンテレフタレートを用いることで優れた柔軟性と触感を有し、また高い紡糸速度で延伸することができるため配向結晶化が進みやすく機械強度を併せ持つ繊維とすることができる。
また、本発明で用いられるポリエステル系樹脂は、ポリエチレングリコールと共重合されていることが重要である。ポリエステル系樹脂がポリエチレングリコールと共重合されていることで、通液時、親水性成分の溶出を抑制することができる。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂の含有ポリエチレングリコールの共重合量は、5質量%以上40質量%以下であることを特徴としている。ポリエチレングリコールの共重合量を5質量%以上、より好ましくは7質量%以上とすることにより優れた柔軟性と触感を有する不織布を得ることができる。また、ポリエチレングリコールの共重合量を40質量%以下、より好ましくは20質量%以下とすることにより、実用に耐え得る耐熱性と高い機械強度の繊維とすることができる。なお、本発明における共重合ポリエステル樹脂の含有ポリエチレングリコールの共重合量とは、以下の方法で測定、算出される値を指すこととする。
(1)共重合ポリエステル系樹脂約0.05gを採取する。
(2)これに28%アンモニア水1mLを加え、120℃で5時間加熱し試料を溶解させる。
(3)放冷後、精製水1mL、6mol/L塩酸1.5mLを加え、精製水で5mL定容する。
(4)遠心分離器にかけ、メッシュ孔径0.45μmのフィルターにて濾過する。
(5)濾過液をGPCにて分子量分布測定を行う。
(6)既知の分子量の標準試料を用いて作成した分子量の検量線を用いて、ポリエチレングリコールの数平均分子量を算出する。
(7)また、ポリエチレングリコール水溶液にて作成した溶液濃度の検量線を用いてポリエチレングリコールを定量し、共重合ポリマー中のポリエチレングリコールの共重合量を算出する。
また、本発明で用いられるポリエステル系樹脂の含有ポリエチレングリコールの数平均分子量は、4000以上20000以下であることが好ましい。ポリエチレングリコールの数平均分子量を4000以上、より好ましくは5000以上とすることでポリエステル系樹脂に吸湿性を付与することができ、良好な触感の不織布を得ることができる。またポリエチレングリコールの数平均分子量を20000以下、より好ましくは10000以下とすることで、ポリエステル系樹脂としたときに優れた製糸性を有するために欠点の少ないスパンボンド不織布となる。なお、本発明における共重合ポリエステル樹脂の含有ポリエチレングリコールの数平均分子量とは、以下の方法で測定、算出される値を指すこととする。
(1)ポリエステル系樹脂約0.05gを採取する。
(2)これに28%アンモニア水1mLを加え、120℃で5時間加熱し試料を溶解させる。
(3)放冷後、精製水1mL、6mol/L塩酸1.5mLを加え、精製水で5mL定容する。
(4)遠心分離器にかけ、メッシュ孔径0.45μmのフィルターにて濾過する。
(5)濾過液をGPCにて分子量分布測定を行う。
(6)既知の分子量の標準試料を用いて作成した分子量の検量線を用いて、ポリエチレングリコールの数平均分子量を算出する。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、着色のための顔料、酸化防止剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、および耐熱安定剤等を添加することができる。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂の融点は、200℃以上300℃以下であることが好ましく、より好ましくは220℃以上280℃以下である。融点を好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上とすることにより、実用に耐え得る耐熱性が得られやすくなる。また、融点を好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下とすることにより、口金から吐出された糸条を冷却し易くなり、繊維同士の融着を抑制し、得られる不織布は欠点の少ないものとなる。なお、本発明におけるポリエステル系樹脂の融点とは、示差走査熱量計で窒素下、昇温速度16℃/分の条件で測定を行い、得られた吸熱ピークのピークトップ温度より求めた値を指す。
本発明のポリエステルの製造方法は、公知のエステル交換法やエステル化法等の重合方法によって製造される。エステル交換法ではテレフタル酸のエステル形成誘導体とエチレングリコールを反応容器内に仕込み、エステル交換触媒の存在下150℃以上250℃以下の範囲で反応させた後、安定剤、重縮合触媒等を添加し、500Pa以下の減圧下で250℃以上300℃以下の範囲で加熱し、3時間以上5時間以下反応させることによって得ることができる。また、エステル化法ではテレフタル酸、エチレングリコールを反応容器に仕込み窒素加圧下150℃以上270℃以下でエステル化反応を行い、エステル化反応終了後、安定剤、重縮合触媒等を添加し500Pa以下の減圧下で250℃以上300℃以下の範囲で加熱し、3時間以上5時間以下反応させることによって得ることができる。
本発明のポリエステルの製造方法においてポリエチレングリコールの添加時期は特に限定されず、エステル化反応やエステル交換反応前に他の原料とともに添加してもよく、また、エステル化反応やエステル交換反応が終了後、重縮合反応が始まる前までに添加すればよい。
本発明のポリエステルの製造方法ではエステル交換触媒として、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム、チタンテトラブトキシド等が挙げられ、重縮合用触媒としては、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム、チタンテトラブトキシド等が挙げられる。
(極細繊維不織布層(B)を構成する繊維(Fb))
本発明の極細繊維不織布層(B)を構成する繊維(Fb)は、前記のポリエステル系樹脂からなる。
前記の繊維(Fb)の平均単繊維直径は、0.1μm以上5.0μm以下である。平均単繊維直径を、0.1μm以上、好ましくは0.4μm以上とし、より好ましくは0.7μm以上とし、さらに好ましくは0.9μm以上とすることにより、製造過程においてポリマーを引き伸ばして細化する際に、繊維が切れてショット(ポリマー塊状物)が発生して手触りがざらついたものになることを防ぐことができ、また十分な通液性を確保することができる。また、平均単繊維直径を5.0μm以下、好ましくは4.0μm以下、より好ましくは3.0μm以下とすることにより、極細繊維不織布の地合を均一化するとともに、極細繊維不織布を緻密なものとし、例えば、包装用シートとして用いるのに十分な程度にまで粉落ちを抑制させることができる。
なお、本発明に係る繊維(Fb)の平均単繊維直径とは、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(1)不織布の任意の場所からタテ×ヨコ=1cm×1cmの測定サンプルを30個採取する。
(2)走査型電子顕微鏡で倍率200〜3000倍に調節して、採取したサンプルから繊維表面写真を各1枚ずつ、計30枚撮影する。
(3)写真の中で単繊維直径が明確に確認できるものについて単繊維直径を全て測定し、それらの算術平均値(μm)の小数点以下第二位を四捨五入して得られた値を平均単繊維直径とする。
本発明の極細繊維不織布層(B)は、前記の繊維(Fb)で構成される。
また、本発明の極細繊維不織布層(B)の厚さは、0.03mm以上1.00mm以下であることが好ましい。厚さを0.03mm以上、より好ましくは0.05mm、さらに好ましくは0.10mm以上とすることで加工する上で必要な強度が得られる。一方で、厚さを1.00mm以下、より好ましくは0.80mm以下、さらに好ましくは0.70mm以下とすることで、柔軟性に富み、肌触りを良好なものとすることができる。
なお、本発明において、極細繊維不織布層(B)の厚み(mm)とは、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(1)積層不織布の任意の場所からタテ×ヨコ=1cm×1cmの測定サンプルを10個採取する。
(2)走査型電子顕微鏡で倍率20〜80倍に調節して、採取したサンプルから無作為に3カ所ずつ、計30枚の積層不織布の断面写真を撮影する。
(3)それぞれの写真で不織布層毎に厚みを測定し、それらの算術平均値(mm)の小数点以下第3位を四捨五入する。
本発明の極細繊維不織布層(B)の目付は、5g/m以上20g/m以下であることが好ましい。目付が5g/m以上、より好ましくは8g/m以上、さらに好ましくは10g/m以上であることによって、例えば、包装用シートとして用いるのに十分な程度にまで粉落ちを抑制させることができる。一方、20g/m以下、より好ましくは18g/m以下、さらに好ましくは15g/m以下とすることによって、十分な通液性を得ることができる。
なお、本発明において、極細繊維不織布層(B)の目付(g/m)とは、後述する測定方法によって得られる値を採用することとする。
[積層不織布]
本発明の積層不織布の熱融着性不織布層(A)の、厚さ方向に占める割合が70%以上98%以下であることが必要である。厚さ方向に占める割合を70%以上、より好ましくは75%、さらに好ましくは80%以上とすることで、液戻りが抑制される。一方で、厚さ方向に占める割合を98%以下、より好ましくは96%、さらに好ましくは95%以下とすることで、粉落ち防止性を満たすことができる。
なお、熱融着性不織布層(A)の厚さ方向に占める割合、また、極細繊維不織布層(B)の厚さ方向に占める割合とは、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(1)不織布の任意の場所からタテ×ヨコ=1cm×1cmの測定サンプルを10個採取する。
(2)走査型電子顕微鏡で倍率20〜80倍に調節して、採取したサンプルから無作為に3カ所ずつ、計30枚の積層不織布の断面写真を撮影する。
(3)それぞれの写真で不織布層毎に厚みを測定し、それらの算術平均値(mm)の小数点以下第3位を四捨五入する。
(4)熱融着性不織布層(A)の厚みDと積層不織布全体の厚みDとの比率を計算する。
・熱融着性不織布層(A)の厚み方向に占める割合=(D/D)×100(%)
(5)極細繊維不織布層(B)の厚みDと積層不織布全体の厚みDとの比率を計算する。
・極細繊維不織布層(B)の厚み方向に占める割合=(D/D)×100(%)
また、本発明の積層不織布の目付は、10g/m以上100g/m以下であることが好ましい。目付が10g/m以上、より好ましくは15g/m以上、さらに好ましくは20g/m以上であることによって、十分な強度と粉落ち防止性を得ることができる。一方、100g/m以下、より好ましくは80g/m以下、さらに好ましくは60g/m以下とすることによって、包装用シートとして十分な通液性が得られる。なお、本発明に係る目付とは、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(1)不織布の任意の場所から得られた15cm四方の不織布片の質量を3点測定する。
(2)測定した値を1m当たりの値に換算し、その算術平均値(g/m)について小数点以下第一位で四捨五入して得られた値を目付とする。
また、熱融着性不織布層(A)、極細繊維不織布層(B)のそれぞれの目付は、前記の積層不織布の目付(g/m)に、前記の熱融着性不織布層(A)の厚み方向に占める割合、あるいは、極細繊維不織布層(B)の厚み方向に占める割合をかけて、その値(g/m)について小数点以下第一位で四捨五入して得られた値とする。
さらに、本発明の積層不織布は、他の不織布を積層して、積層不織布として用いることもできる。例えば、本発明の極細繊維不織布よりも剛性の高いシートを積層して、機械的強度を高めて使用することや、耐薬品性や耐熱性の高い不織布と組み合わせて使用することもできる。本発明の積層不織布と他の不織布とを積層する方法としては、本発明の効果を損なわない方法であればよく、接着剤を用いて不織布同士を貼り合わせる方法、湿気硬化型ウレタン樹脂をスプレー法で散布する方法、熱可塑性樹脂あるいは熱融着繊維を散布して、走行するコンベアに載せて加熱炉を通して貼り合わせる方法や、メルトブロー法以外の製法で製造した不織布の上に、メルトブロー法により積層する方法などが挙げられる。その中でも、湿気硬化型ウレタン樹脂によるスプレー法は、2枚の不織布をプレスすることなく貼り合わせることが可能なため、貼り合わせ時の圧力損失の上昇が少なくすることができるため、より好ましい方法である。
[積層不織布の製造方法]
次に、本発明の積層不織布を製造する方法の一例を説明する。
本発明の積層不織布は、熱融着性不織布層(A)と極細繊維不織布層(B)とを形成し、これらを積層して製造される。
(熱融着性不織布層(A)の形成)
本発明における熱融着性不織布層(A)を形成する方法としては、スパンボンド法やメルトブロー法により2成分以上の熱可塑性樹脂からなる複合繊維を含む長繊維不織布層を形成する方法や、短繊維をカードにより繊維ウェブを形成させた後に熱風処理を施してエアスルー不織布層を形成する方法(エアスルー法)などを採用することができる。中でも、エアスルー法は、嵩高性が良好なものが得られるため、好ましく適用できる。
エアスルー法は、原綿である短繊維をカード機に通過させることにより、短繊維を開繊し、繊維ウェブ状態に成形した後、熱処理によって不織布状にする製造方法である。
熱処理の方法については、例えば、熱風処理による熱接着や超音波による融着や、上下一対のロール表面に、それぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール、および上下一対のフラット(平滑)ロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールなど各種ロールによる熱圧着、またそれぞれの組み合わせを適用することができる。
なかでも、熱風処理による熱接着が不織布の厚み、すなわち嵩高性を保持することができるので、特に好ましく用いられる。
[極細繊維不織布層(B)の形成]
次に、本発明の極細繊維不織布層の製造方法について説明する。
本発明の極細繊維不織布は、メルトブロー法、スパンボンド法およびエレクトロスピニング法など挙げられるが、複雑な工程を必要とせず、細繊維および太繊維を製造することができるという点で、メルトブロー法が好ましく用いられる。メルトブロー法は、原料を押出機内で溶融して口金部に供給し、口金から押し出した糸条に熱風を吹きつけ、細化させた後、捕集ネット上に不織繊維ウェブを形成する。このメルトブロー法によれば、複雑な工程によらなくとも細繊度の繊維を得ることができるため、緻密で均一な極細繊維不織布を得ることができる。
本発明では、前記のポリエステル系樹脂を押出機において溶融し、計量して紡糸口金へと供給し、長繊維として紡出する。ポリエステル系樹脂を溶融し紡糸する際の紡糸温度は、250℃以上340℃以下の範囲であることが好ましい。250℃以上、より好ましくは、260℃以上、さらに好ましくは、280℃以上とすることで、ポリエステル系樹脂の溶融状態が均一となり紡糸性に優れる。一方、340℃以下、より好ましくは330℃以下、さらに好ましくは320℃以下とすることで、ポリエステル樹脂の紡糸機内での熱変性を抑制することができる。
また、本発明では、口金から押し出した糸条に熱風を吹き付ける際の熱風の温度は、前記の紡糸温度以上(紡糸温度+60℃)以下であることが好ましい。紡糸温度以上、より好ましくは(紡糸温度+10℃)以上、さらに好ましくは(紡糸温度+20℃)以上とすることで、紡糸口金から紡出した糸状を効率よく細化することができる。一方、(紡糸温度+60℃)以下、より好ましくは(紡糸温度+50℃)以下、さらに好ましくは(紡糸温度+40℃)以下とすることで、安定した紡糸状態を維持することができる。
(不織布層の積層)
本発明の積層不織布の製造方法は、熱融着性不織布層(A)と極細繊維不織布層(B)とが積層されてなる状態とすることにできる方法であれば、いずれの方法にしたがっても行うことができる。例えば、極細繊維不織布の上に直接、短繊維をカード機により形成した繊維ウェブを堆積させ、熱処理により融着させて熱融着性不織布を形成させる方法や、極細繊維不織布とスパンボンド不織布とを積層した不織布層と、短繊維をカード機により形成した繊維ウェブを熱処理により不織布状にして形成した熱融着性不織布層とを、加熱加圧により両不織布層を融着させる方法等を採用することができる。
(不織布層の熱接着)
本発明の積層不織布の製造工程においては、前記の不織布層同士を熱接着する工程も好ましく採用することができる。
熱風処理による熱接着の場合、熱風温度は、接着される全ての不織布層に使用されている樹脂のうち、最も低い融点の成分の融点+1℃以上+30℃以下の範囲とすることが好ましく、より好ましくは+1℃以上+15℃以下の範囲であり、さらに好ましくは+1℃以上+10℃以下の範囲である。熱風温度を、低融点成分の融点+1℃以上とすることにより、十分な熱接着性を得ることができる。また、熱風温度を、好ましくは低融点樹脂の融点+30℃以下とし、より好ましくは+15℃以下とし、さらに好ましくは10℃以下とすることにより、熱による不織布の硬化を抑えることができ、紙おむつ等の衛生材料用不織布として、柔軟な風合いを維持することができる。
また、本発明においては、熱風風量について、1.0m/sec以上5.0m/sec以下であることが好ましい。熱風風量を1.0m/sec以上とすることにより、衛生材料用不織布に熱風を通気させることができ、十分な接着性を得ることができる。一方、熱風風量を5.0m/sec以下とすることにより、熱処理時のウェブ乱れを抑制することができる。
(熱処理工程)
不織布層同士の接着性を向上させること、または所定の厚みの積層不織布を得ることを目的に、加熱加圧処理、すなわちエンボス加工やカレンダー加工などの熱処理工程も好ましく採用することができる。
エンボス加工におけるエンボス接着面積率は、5%以上30%以下であることが好ましい。接着面積を好ましくは5%以上とし、より好ましくは10%以上とすることにより、実用に供しうる強度を得ることができる。一方、エンボス接着面積率を好ましくは30%以下とし、より好ましくは20%以下とすることにより、柔軟な風合いを維持することができる。
ここでいうエンボス接着面積率とは、一対の凹凸を有するロールにより熱接着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって繊維ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合のことをいう。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱処理する場合は、凹凸を有するロールの凸部が繊維ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合のことをいう。
熱エンボスロールに施される彫刻の形状としては、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形などの形状を用いることができる。
熱エンボスロールの表面温度は、全ての不織布層に使用されている樹脂のうち、最も低融点である樹脂の融点に対し−50℃以上−1℃以下とすることが好ましい。熱エンボスロールの表面温度を、最も低融点である樹脂の融点に対し、好ましくは−50℃以上とし、より好ましくは−30℃以上とし、さらに好ましくは−10℃以上とすることにより、十分に熱接着させ強度をもたせ毛羽の発生を抑えやすくすることができる。一方、使用されている樹脂のうち、最も低融点である樹脂の融点に対し、好ましくは−1℃以下とすることにより、繊維の融解により樹脂同士の剥離が発生するのを防ぎやすくすることができる。
一方、カレンダー加工による熱処理時のカレンダーロールの温度は、最も低融点成分である樹脂の融点に対し−1℃以下とすることが好ましい。カレンダーロール温度を低融点成分の融点に対し−1℃以下とすることにより、熱処理後の不織布表面が硬化することを防ぐことができる。カレンダーロール温度は、目的とする不織布の厚みにより適宜調節できる。
また、カレンダーもしくはエンボス加工による熱処理時のロールの線圧は、10N/cm以上500N/cm以下であることが好ましい。前記の線圧を好ましくは10N/cm以上とし、より好ましくは15N/cm以上とし、さらに好ましくは20N/cm以上とすることにより、十分な熱処理が可能となり、厚みを制御することができる。一方、前記の線圧を好ましくは500N/cm以下とし、より好ましくは400N/cm以下とし、さらに好ましくは300N/cm以下とすることにより、ロールの応力がかかりすぎないことにより不織布の風合いを維持することができる。ロールの線圧は、目的とする不織布の厚みにより適宜調整することができる。
熱エンボスロールの表面材質としては、十分な熱圧着効果を得て、かつ片方のエンボスロールの彫刻(凹凸部)が他方のロール表面に転写することを防ぐため、金属製ロールと金属製ロールを対にすることが好ましい態様である。
本発明の積層不織布は、親水性を向上させることができ、かつ液戻りを抑制することができるため、例えば紙おむつ用包装シートとして好適に用いることができるが、その応用範囲はこれに限られるものではない。
以下本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、本明細書に記載の趣旨に沿って設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
[測定方法]
(1)ポリエステル系樹脂の融点
ポリエステル系樹脂の融点は、前記の方法に従って、示差走査熱量計(TA Instruments社製「DSCQ2000」)を使用して測定した。
(2)共重合ポリエステル系樹脂中の含有ポリエチレングリコールの数平均分子量および共重合量の測定
ポリエチレングリコールの数平均分子量の測定、共重合量の測定において、GPCの測定装置、測定条件は以下のとおりとした。
・装置:ゲル浸透クロマトグラフGPC
・検出器:示差屈折率検出器RI(東ソー製「RI−8020」,感度128x)
・フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製「SPD−M20A」)
・カラム:TSKgelG3000PWXL(1本)(東ソー)
・溶媒:0.1M塩化ナトリウム水溶液
・流速:0.8mL/min
・カラム温度:40℃
・注入量:0.05mL
・標準試料:ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド
(3)積層不織布の目付(g/m
積層不織布の目付は電子天秤「JP−300P(CHYO社製)」を用いて、前記の方法で算出した。
(4)平均単繊維直径(μm)および不織布層の厚さ方向に占める割合
平均単繊維直径および不織布層の厚さ方向に占める割合は、走査型電子顕微鏡「VHX−D500(キーエンス社製)」を用いて、前記の方法で算出した。
(5)通液性
通液性は、LENZING社製、LISTERストライクスルー試験器を用いて評価する。評価手順は、以下の通りである。
(A)100×100mmの大きさのろ紙(フィルターペーパー 「ERT−FF3 Hollingworth & Vose社製」)3枚の上に、125×125mmの大きさにカットした試料を配置し、その上に通電透液プレートを配置する。
(B)ストライクスルー試験機本体に、ろ紙、試料及び通電透液プレートをセットする。
(C)ストライクスルー試験機本体に、生理食塩水5mLを入れる。
(D)ストライクスルー試験機本体から、上記生理食塩水(室温)を、通電透液プレートの開孔部に落下させる。
(E)通電透液プレートの通電時間を記録する。
(F)(C)〜(E)を3回繰り返し行う。
(G)測定を3回実施し、それらの平均値を、透液時間とする。
なお、試料をセットしない場合、すなわち、ろ紙3枚における透液時間は、1.6秒であった。
また、1回目の通液時間が2秒以内、かつ2回目の通液時間が3秒以内、かつ3回目の通液時間が5秒以内、である場合に通液性が良好と判断した。
(6)液戻り性
液戻り性は上記「不織布の通液性」で3回繰り返し測定を行ったサンプルを用いて評価を行う。
(A)上記「不織布の通液性」で3回繰り返し測定を行った後、通電透液プレートを取り除き、100×100mmの大きさで質量4kgのおもりを試料、ろ紙の上に配置して3分間静置し、ろ紙に生理食塩水をなじませる。
(B)3分後、おもりを取り除き、試料の上に125mm×125mmの液戻り測定用のろ紙(ピックアップペーパー 「ERT−MED Hollingworth & Vose社製」)を2枚重ねて配置し、その上に再度質量4kgのおもりを配置し、2分間静置する。液戻り測定用濾紙は予め、2枚合わせた質量(W1)を測定し、記録する。
(C)2分後おもりを取り除き、フィルターペーパー2枚の質量(W2)を測定し、記録する。
(D)液戻り量(R)を下記式で算出する。
・R=W1−W2
なお、液戻り量(R)が150mg以下である場合に、液戻りが良好と判断した。
(7)粉落ち性
直径76.2mmの円状の不織布の上に市販のSAP0.5gを散布し、不織布から上方5cmより重り(質量8.08g、直径10.9mmの円筒形)を20回落下させ、不織布より抜け落ちたSAPの質量を計測した。これを3回繰り返し、平均の抜け率を求めた
なお、粉落ち量が20mg以下である場合に、液戻りが良好と判断した。
[実施例1]
(熱融着性不織布層(A))
芯成分に融点が260℃で固有粘度が0.65dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、鞘成分に融点が130℃でMFRが18g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE)を用いた、芯鞘複合質量比率が50/50、平均単繊維直径が16.3μm、カット長が38mmの芯鞘型複合繊維を原綿として用いて、カード工程を経て、積層繊維ウェブを形成した。次いで、得られた積層繊維ウェブを、熱処理機を用いて、温度が130℃、熱風風量が3.3m/分の条件で12秒間熱処理し、不織布を得た。この熱融着性不織布の特性値を測定し、表1に示した。
(極細繊維不織布層(B))
共重合ポリエステル系樹脂として、含有ポリエチレングリコールの数平均分子量が5500で、共重合量が12質量%の、共重合ポリエチレンテレフタラートを用い押出機で溶融し、孔径φが0.4mmの吐出孔を一直線上に配置した口金(孔ピッチ:1mm、孔数:151ホール)を用いて、メルトブロー法により、紡糸温度が300℃、単孔吐出量が0.30g/分で紡出した。その後、熱風温度が320℃、熱風圧力が0.18MPaの条件で熱風を糸条に噴射し、前記の熱融着性不織布層上に捕集した。この時、同条件で捕集ネット上に別途採取したメルトブロー不織布の特性値を測定し、表1に示した。
(積層不織布)
上記で得た熱融着性不織布(A)と極細繊維不織布(B)を、熱処理機を用いて、温度が160℃、熱風風量が3.3m/分の条件で12秒間熱処理し、積層不織布を得た。得られた積層不織布の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
エア圧力を0.15MPaとした以外は実施例1と同様の方法によりメルトブロー不織布を得た。これを用いて実施例1と同様の方法により得られた積層不織布の特性値を測定し、表1に示す。
[実施例3]
ノズル温度を290℃、エア圧力を0.15MPaとした以外は実施例1と同様の方法によりメルトブロー不織布を得た。これを用いて実施例1と同様の方法により得られた積層不織布の特性値を測定し、表1に示す。
[実施例4]
含有ポリエチレングリコールの共重合量が8質量%の原料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりメルトブロー不織布を得た。これを用いて実施例1と同様の方法により得られた積層不織布の特性値を測定し、表1に示す。
[比較例1]
実施例1の極細繊維不織布(B)と同様の方法によりメルトブロー不織布を得た。この不織布の特性値を測定し、表1に示した。
[比較例2]
実施例1の熱融着性不織布(A)と同様の方法により熱融着性不織布を得た。この不織布の特性値を測定し、表1に示した。
[比較例3]
原料として、ポリプロピレン(融点162℃)を使用し、ノズル温度を230℃とした以外は実施例1の極細繊維不織布と同様の方法によりメルトブロー不織布を得た。これを用いて実施例1と同様の方法により得られた積層不織布の特性値を測定し、表1に示す。
Figure 2020139244
熱融着性不織布層(A)と極細繊維不織布層(B)とが積層されてなる積層不織布であって、前記熱融着性不織布層(A)を構成する繊維(Fa)として、少なくとも第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)と第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)からなる複合繊維(Fa1)を少なくとも用いてなり、前記極細繊維不織布層(B)を構成する繊維(Fb)が、ポリエステル系樹脂からなる繊維で構成され、前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレングリコールが5質量%以上40質量%以下の範囲で共重合されており、その平均単繊維直径が0.1μm以上5.0μm以下であり、前記熱融着性不織布層(A)の、厚さ方向に占める割合が70%以上98%以下である、実施例1〜4の積層不織布は、通液性に優れ、液戻り量も少なく、かつ粉落ち防止性にも優れるものであった。
一方、親水性ポリマーからなる極細繊維不織布単体である比較例1では通液性に優れるものの、液戻り量が多く、熱融着性繊維層単体である比較例2では粉落ちが多く、さらにポリオレフィン系樹脂からなる極細繊維不織布である比較例3では通液性に劣るものであった。
1: 熱融着性不織布層(A)
2: 極細繊維不織布層(B)
11: 熱融着性不織布層(A)を構成する繊維(Fa)
21: 極細繊維不織布層(B)を構成する繊維(Fb)

Claims (4)

  1. 熱融着性不織布層(A)と極細繊維不織布層(B)とが積層されてなる積層不織布であって、前記熱融着性不織布層(A)を構成する繊維(Fa)として、少なくとも第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)と第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)からなる複合繊維(Fa1)を少なくとも用いてなり、前記極細繊維不織布層(B)を構成する繊維(Fb)が、ポリエステル系樹脂からなる繊維で構成され、前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレングリコールが5質量%以上40質量%以下の範囲で共重合されており、その平均単繊維直径が0.1μm以上5.0μm以下であり、前記熱融着性不織布層(A)の、厚さ方向に占める割合が70%以上98%以下である積層不織布。
  2. 前記複合繊維(Fa1)の平均単繊維直径が、7.0μm以上24.0μm以下である、請求項1に記載の積層不織布。
  3. 前記熱融着性不織布層(A)を構成する繊維(Fa)が、前記複合繊維(Fa1)に加えて、さらに1種以上の繊維(Fa2)を含む、請求項1または2に記載の積層不織布。
  4. 前記第1の熱可塑性樹脂組成物(Pa11)の融点が、前記第2の熱可塑性樹脂組成物(Pa12)の融点より10度以上高い、請求項1〜3のいずれかに記載の積層不織布。
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