JP2020133223A - 安全装置及び建設機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】建設機械が転倒するのを自動的に防止することができるとともに、確実に建設機械の安全を確保することができる安全装置及び建設機械を提供する。【解決手段】安全装置は、油圧ショベル1の周囲の地形の形状を示す形状データを取得する形状センサ101と、形状データに基づいて、油圧ショベル1が周囲の特定方向の斜面に向かって転倒するのを防止するための転倒防止制御を作動させる作動条件を満たすか否かを判断する判断部112と、判断部112によって作動条件を満たすと判断された場合、作業装置の先端部を斜面に向けて降下させる降下制御部113とを備える。【選択図】図2
Description
本開示は、建設機械の安全を確保する安全装置及び建設機械に関するものである。
従来、油圧ショベルなどの建設機械には、領域制限制御装置が設けられている。領域制限制御装置は、予め作業者が任意の制限領域を設定し、フロント作業装置の位置と設定した制限領域とを比較してフロント作業装置が制限領域に侵入しようとした場合に、フロント作業装置を停止、もしくは制限領域の境界に沿って動作させ、制限領域には侵入しないようフロント作業装置を動作させる装置である。オペレータは、領域制限制御を行うことにより作業性を損なう可能性があると判断したときは、自分の意志で領域制限機能を解除することができる。
しかしながら、領域制限機能を解除するには、領域制限機能を解除するための操作をオペレータが行う必要があり、作業上速やかに領域制限機能を解除することは困難であった。
そこで、例えば、特許文献1は、車体の状態量に基づいて車体が浮上する可能性があるかどうかを判断し、車体が浮上する可能性があると判断したときは領域制限制御を解除して手動による脱出を可能にする領域制限制御装置を開示している。
上記従来の技術では、車体が浮上する可能性があると判断された場合にフロント作業装置の領域制限制御が解除されるのみであり、解除後の操作はオペレータにゆだねられる。
例えば、作業時において、建設機械の足場が崩落して車体が浮上する可能性があると判断された場合、フロント作業装置の領域制限制御が解除されるが、解除後の操作はオペレータにゆだねられる。この場合、オペレータは、転倒防止のための操作を迅速に行い、安全を確保する必要がある。
しかしながら、オペレータが咄嗟に転倒を防止するための操作を行うことは困難であるため、転倒を防止するための安全対策を施すことが望ましい。
本開示は、上記の問題を解決するためになされたもので、建設機械が転倒するのを自動的に防止することができるとともに、確実に建設機械の安全を確保することができる安全装置及び建設機械を提供することを目的とするものである。
本開示の一態様に係る安全装置は、機体と、前記機体に取り付けられる作業装置とを備える建設機械の安全を確保する安全装置であって、前記建設機械の周囲の地形の形状を示す形状データを取得する取得部と、前記形状データに基づいて、前記建設機械が前記周囲の特定方向の斜面に向かって転倒するのを防止するための転倒防止制御を作動させる作動条件を満たすか否かを判断する判断部と、前記判断部によって前記作動条件を満たすと判断された場合、前記作業装置の先端部を前記斜面に向けて降下させる降下制御部と、を備える。
この構成によれば、建設機械が特定方向の斜面に向かって転倒するのを防止するための転倒防止制御を作動させる作動条件を満たすか否かが判断され、当該作動条件を満たすと判断された場合、作業装置の先端部が斜面に向けて降下するので、作業装置の先端部が斜面に押し付けられ、作業装置の先端部により建設機械を支えることにより、建設機械が転倒するのを自動的に防止することができるとともに、確実に建設機械の安全を確保することができる。
また、上記の安全装置において、前記判断部は、前記形状データに基づいて前記建設機械の接地面に対する前記斜面の傾斜角度を算出し、前記傾斜角度が閾値よりも大きい場合、前記作動条件を満たすと判断してもよい。
この構成によれば、建設機械の特定方向の斜面の傾斜角度が閾値よりも大きい場合、作動条件を満たすと判断され、作業装置の先端部が斜面に向けて降下するので、建設機械が転倒する可能性が高い場合に、未然に建設機械が転倒するのを防止することができる。
また、上記の安全装置において、前記判断部は、前記形状データに基づいて前記建設機械の接地面に対する斜面の傾斜角度を算出し、前記建設機械が不安定状態であるかを判定し、前記傾斜角度が閾値よりも大きく、かつ前記建設機械が不安定状態であると判定した場合、前記作動条件を満たすと判断してもよい。
この構成によれば、建設機械の接地面に対する斜面の傾斜角度が閾値よりも大きく、かつ建設機械が不安定状態となった場合に、建設機械が転倒するのを自動的に防止することができる。
また、上記の安全装置において、前記判断部は、前記建設機械の加速度を取得し、取得した前記加速度が閾値より大きい場合、前記建設機械が不安定状態であると判定してもよい。
この構成によれば、例えば、建設機械の足場が斜面に向かって崩落し、建設機械が特定方向に傾いた場合に、建設機械の加速度が閾値より大きくなるので、確実に建設機械が不安定状態であると判定することができる。
また、上記の安全装置において、前記降下制御部は、前記作業装置の先端部と前記斜面との間の距離が最短となる経路に沿って前記作業装置の先端部を前記斜面に向けて降下させてもよい。
この構成によれば、作業装置の先端部と斜面との間の距離が最短となる経路に沿って作業装置の先端部が斜面に向けて降下するので、作業装置の先端部を最短距離で斜面に向けて降下させることができ、より迅速に建設機械が転倒するのを自動的に防止することができる。
また、上記の安全装置において、前記降下制御部は、前記作業装置の先端部の位置と前記斜面の位置との距離が所定の範囲内になる到達位置まで前記作業装置の先端部を降下させてもよい。
この構成によれば、作業装置の先端部の位置と斜面の位置との距離が所定の範囲内になる到達位置まで作業装置の先端部が降下するので、例えば、建設機械を作業装置で支えることが可能な位置まで作業装置の先端部を降下させることにより、確実に建設機械が転倒するのを防止することができる。
また、上記の安全装置において、前記到達位置は、前記作業装置の先端部が前記斜面を超える位置であってもよい。
この構成によれば、作業装置の先端部が斜面を超える位置まで作業装置の先端部を降下させることにより、作業装置の先端部が斜面に突き刺さり、より確実に建設機械を安定させることができる。
また、上記の安全装置において、前記降下制御部は、前記判断部によって前記作動条件を満たすと判断された場合、オペレータによる操作を受け付けずに前記作業装置の先端部を前記斜面に向けて降下させ、前記作業装置の先端部を前記到達位置まで降下させた後、前記オペレータによる操作を受け付けてもよい。
この構成によれば、作動条件を満たすと判断された場合、オペレータによる操作を受け付けずに作業装置の先端部が斜面に向けて降下し、作業装置の先端部が到達位置まで降下した後、オペレータによる操作が受け付けられるので、建設機械を安定させた後、例えば、作業装置の先端部を斜面に押し付けた状態で、建設機械を後方に移動させる等のオペレータによる転倒回避操作を行うことができる。
本開示の他の態様に係る建設機械は、上記のいずれかに記載の安全装置と、機体と、前記機体に取り付けられた作業装置と、を備える。
この構成によれば、建設機械が特定方向の斜面に向かって転倒するのを防止するための転倒防止制御を作動させる作動条件を満たすか否かが判断され、当該作動条件を満たすと判断された場合、作業装置の先端部が斜面に向けて降下するので、作業装置の先端部が斜面に押し付けられ、作業装置の先端部により建設機械を支えることにより、建設機械が転倒するのを自動的に防止することができるとともに、確実に建設機械の安全を確保することができる。
本開示によれば、建設機械が転倒するのを自動的に防止することができるとともに、確実に建設機械の安全を確保することができる。
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
図1は、本開示の実施の形態に係る安全装置が搭載される建設機械の例である油圧ショベルを示す図である。この油圧ショベル1は、地面Gの上を走行可能な下部走行体10と、下部走行体10に搭載される上部旋回体12と、上部旋回体12に搭載される作業装置14とを備える。ここでは、安全装置が油圧ショベル1に適用される構成を例示するが、本開示はこれに限定されない。例えば、安全装置は、油圧クレーン等の下部走行体、上部旋回体及び作業装置を備える建設機械であれば、どのような建設機械に適用されてもよい。
また、本実施の形態において、地面Gに直行する上側の方向を上方、下側の方向を下方と呼び、上方及び下方を総称して上下方向と呼ぶ。また、下部走行体10が前進する方向を前方、下部走行体10が後進する方向を後方と呼び、前方及び後方を総称して前後方向と呼ぶ。また、上下方向及び前後方向のそれぞれに直行する方向を左右方向と呼ぶ。また、後方から前方に見て左右方向の左側を左方、右側を右方と呼ぶ。なお、下部走行体10は、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長い。そのため、下部走行体10の長手方向は前後方向を向く。
下部走行体10及び上部旋回体12は、作業装置14を支持する機体を構成する。上部旋回体12は、旋回フレーム16と、その上に搭載される複数の要素とを有する。当該複数の要素は、エンジンを収容するエンジンルーム17及び運転室であるキャブ18を含む。下部走行体10は、一対のクローラで構成されている。上部旋回体12は下部走行体10に対して旋回可能に取り付けられている。
作業装置14は、掘削作業及びその他の必要な作業のための動作を行うことが可能であり、ブーム21、アーム22及びバケット23を含む。ブーム21は、旋回フレーム16の前端に起伏可能すなわち水平軸回りに回動可能に支持される基端部と、その反対側の先端部とを有する。アーム22は、ブーム21の先端部に水平軸回りに回動可能に取付けられる基端部と、その反対側の先端部とを有する。バケット23は、アーム22の先端部に回動可能に取付けられる。
ブーム21、アーム22、及びバケット23のそれぞれには、複数の伸縮可能な油圧シリンダであるブームシリンダC1、アームシリンダC2及びバケットシリンダC3が取り付けられている。
ブームシリンダC1は、上部旋回体12とブーム21との間に介在し、ブーム21に起伏動作を行わせるように伸縮する。アームシリンダC2は、ブーム21とアーム22との間に介在し、アーム22に回動動作を行わせるように伸縮する。バケットシリンダC3は、アーム22とバケット23との間に介在し、バケット23に回動動作を行わせるように伸縮する。
図2は、図1に示す油圧ショベルの構成を示すブロック図である。油圧ショベル1は、コントローラ100、形状センサ101、傾斜センサ102、姿勢センサ103、旋回センサ104、ブーム操作装置105、アーム操作装置106、バケット操作装置107、旋回操作装置108、走行操作装置109及び油圧回路200を備える。
油圧回路200は、図1に示すブームシリンダC1、アームシリンダC2及びバケットシリンダC3に加え、旋回モータM1、左右一対の走行モータM2L,M2R、一対のブーム電磁弁V1、一対のアーム電磁弁V2、一対のバケット電磁弁V3、一対の旋回電磁弁V4、左の一対の走行電磁弁V5L、右の一対の走行電磁弁V5R、ブーム制御弁V6、アーム制御弁V7、バケット制御弁V8、旋回制御弁V9及び左右一対の走行制御弁V10L,V10Rを含む。さらに、油圧回路200は、図示しないエンジンの動力により駆動され、各アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプ及び各切換弁のパイロットポートに対してパイロットラインを介してパイロット圧を送るパイロットポンプを含む。
ブームシリンダC1は、油圧ポンプからの作動油の供給を受けることにより伸縮し、これによりブーム上げ動作とブーム下げ動作とを行わせる。
アームシリンダC2は、油圧ポンプからの作動油の供給を受けることにより伸縮し、これによりアーム引き動作とアーム押し動作とを行わせる。
バケットシリンダC3は、油圧ポンプからの作動油の供給を受けることにより伸縮し、これによりバケット掬い動作とバケット開き動作とを行わせる。
旋回モータM1は、油圧ポンプからの作動油の供給を受けることにより双方向に回転動作するモータ出力軸を有し、当該モータ出力軸に連結された上部旋回体12に左旋回動作又は右旋回動作を行わせる。
走行モータM2L及び走行モータM2Rは、それぞれ、油圧ポンプからの作動油の供給を受けることにより双方向に回転動作するモータ出力軸を有し、当該モータ出力軸に連結された下部走行体10に前進走行動作又は後進走行動作を行わせる。走行モータM2L及び走行モータM2Rは、同一速度で回転することで、下部走行体10は前進又は後進する。一方、走行モータM2L及び走行モータM2Rが異なる速度で回転することで、下部走行体10は旋回する。
ブーム制御弁V6は、一対のブームパイロットポートを有する油圧パイロット切換弁からなり、当該一対のブームパイロットポートのいずれかにブームパイロット圧が入力されることにより、そのブームパイロットポートに対応した方向にそのブームパイロット圧の大きさに対応したストロークで開弁し、これにより、ブームシリンダC1に対する作動油の供給の方向及び流量を変化させる。
アーム制御弁V7は、一対のアームパイロットポートを有する油圧パイロット切換弁からなり、当該一対のアームパイロットポートのいずれかにアームパイロット圧が入力されることにより、そのアームパイロットポートに対応した方向にそのアームパイロット圧の大きさに対応したストロークで開弁し、これにより、アームシリンダC2に対する作動油の供給の方向及び流量を変化させる。
バケット制御弁V8は、一対のバケットパイロットポートを有する油圧パイロット切換弁からなり、当該一対のバケットパイロットポートのいずれかにバケットパイロット圧が入力されることにより、そのバケットパイロットポートに対応した方向にそのバケットパイロット圧の大きさに対応したストロークで開弁し、これにより、バケットシリンダC3に対する作動油の供給の方向及び流量を変化させる。
旋回制御弁V9は、一対の旋回パイロットポートを有する油圧パイロット切換弁からなり、当該一対の旋回パイロットポートのいずれかに旋回パイロット圧が入力されることにより、その旋回パイロットポートに対応した方向にその旋回パイロット圧の大きさに対応したストロークで開弁し、これにより、旋回モータM1に対する作動油の供給の方向及び流量を変化させる。
走行制御弁V10L,V10Rは、それぞれ、一対の走行パイロットポートを有する油圧パイロット切換弁からなり、当該一対の走行パイロットポートのいずれかに走行パイロット圧が入力されることにより、その走行パイロットポートに対応した方向にその走行パイロット圧の大きさに対応したストロークで開弁し、これにより、走行モータM2L,M2Rに対する作動油の供給の方向及び流量を変化させる。
一対のブーム電磁弁V1は、パイロットポンプとブーム制御弁V6の一対のブームパイロットポートとの間にそれぞれ介在する電磁弁であり、電気信号であるブーム指令信号の入力を受けて開閉動作を行う。一対のブーム電磁弁V1は、ブーム指令信号の入力を受けるとそのブーム指令信号に応じた度合いにブームパイロット圧を調節する。
一対のアーム電磁弁V2は、パイロットポンプとアーム制御弁V7の一対のアームパイロットポートとの間にそれぞれ介在する電磁弁であり、電気信号であるアーム指令信号の入力を受けて開閉動作を行う。一対のアーム電磁弁V2は、アーム指令信号の入力を受けるとそのアーム指令信号に応じた度合いにアームパイロット圧を調節する。
一対のバケット電磁弁V3は、パイロットポンプとバケット制御弁V8の一対のアームパイロットポートとの間にそれぞれ介在する電磁弁であり、電気信号であるバケット指令信号の入力を受けて開閉動作を行う。一対のバケット電磁弁V3は、バケット指令信号の入力を受けるとそのバケット指令信号に応じた度合いにバケットパイロット圧を調節する。
一対の旋回電磁弁V4は、パイロットポンプと旋回制御弁V9の一対の旋回パイロットポートとの間にそれぞれ介在する電磁弁であり、電気信号である旋回指令信号の入力を受けて開閉動作を行う。旋回電磁弁V4は、旋回指令信号の入力を受けるとその旋回指令信号に応じた度合いに旋回パイロット圧を調節する。
一対の走行電磁弁V5Lは、パイロットポンプと走行制御弁V10Lの一対の走行パイロットポートとの間にそれぞれ介在する電磁弁であり、電気信号である旋回指令信号の入力を受けて開閉動作を行う。一対の走行電磁弁V5Lは、走行指令信号の入力を受けるとその走行指令信号に応じた度合いに走行パイロット圧を調節する。
一対の走行電磁弁V5Rは、パイロットポンプと走行制御弁V10Rの一対の走行パイロットポートとの間にそれぞれ介在する電磁弁であり、電気信号である旋回指令信号の入力を受けて開閉動作を行う。走行電磁弁V5Rは、走行指令信号の入力を受けるとその走行指令信号に応じた度合いに走行パイロット圧を調節する。
形状センサ101は、油圧ショベル1の周囲の地形の形状を示す形状データを取得する。形状センサ101は、油圧ショベル1の周囲の地形の距離分布を示す形状データを検出する。形状センサ101は、例えば、LIDAR(light detection and ranging)などの3次元の測距センサを含む。形状センサ101はLIDARの他、赤外線を用いた測距センサ及び超音波を用いた測距センサなど、距離分布を計測できるセンサであれば、どのようなセンサを含んでいてもよい。本実施の形態では、形状センサ101は、例えば上部旋回体12、作業装置14又は下部走行体10において、画角の中心線が下斜め前方を向くように取り付けられている。以下の説明では、形状センサ101は、上部旋回体12の上部に取り付けられているものとして説明する。形状データは、例えば形状センサ101からの地形までの深度を示す深度データがマトリックス状に配列された距離画像データである。形状センサ101は、検出した形状データをコントローラ100に入力する。
傾斜センサ102は、接地面(水平面)に対する下部走行体10の下面の傾斜角度である接地面角度を検出する。傾斜センサ102は、例えば加速度センサ及び角速度センサの機能を有する慣性センサを含む。傾斜センサ102は、慣性センサの検出信号に基づいてストラップダウン方式などにより接地面角度を検出する。傾斜センサ102は、検出した接地面角度をこれらに対応する電気信号である検出信号に変換してコントローラ100に入力する。
姿勢センサ103は、作業装置14の姿勢を検出する。姿勢センサ103は、図1に示すブーム角度センサ61、アーム角度センサ62及びバケット角度センサ63を含む。ブーム角度センサ61は、上部旋回体12に対するブーム21の回転角度であるブーム角度を検出する。アーム角度センサ62は、ブーム21に対するアーム22の回転角度であるアーム角度を検出する。バケット角度センサ63は、アーム22に対するバケット23の回転角度であるバケット角度を検出する。ブーム角度センサ61、アーム角度センサ62及びバケット角度センサ63は、それぞれ、レゾルバ又はロータリーエンコーダなどで構成される。姿勢センサ103は、検出したブーム角度、アーム角度及びバケット角度をこれらに対応する電気信号である検出信号に変換してコントローラ100に入力する。
旋回センサ104は、下部走行体10に対する上部旋回体12の旋回角度を検出する。旋回センサ104は、例えば、レゾルバ又はロータリーエンコーダなどで構成される。旋回センサ104は、検出した旋回角度をこれに対応する電気信号である検出信号に変換してコントローラ100に入力する。
ブーム操作装置105は、ブーム上げ動作又はブーム下げ動作のためのオペレータからの操作を受け付けるブーム操作レバーと、ブーム操作レバーの操作量に応じたブーム操作信号をコントローラ100に入力する操作信号生成部とを含む電気レバー装置で構成されている。
アーム操作装置106は、アーム引き動作又はアーム押し動作のためのオペレータからの操作を受け付けるアーム操作レバーと、アーム操作レバーの操作量に応じたアーム操作信号をコントローラ100に入力する操作信号生成部とを含む電気レバー装置で構成されている。
バケット操作装置107は、バケット掬い動作又はバケット開き動作のためのオペレータからの操作を受け付けるバケット操作レバーと、バケット操作レバーの操作量に応じたバケット操作信号をコントローラ100に入力する操作信号生成部とを含む電気レバー装置で構成されている。
旋回操作装置108は、上部旋回体12を右旋回又は左旋回させるためのオペレータからの操作を受け付ける旋回操作レバーと、旋回操作レバーの操作量に応じた旋回操作信号をコントローラ100に入力する操作信号生成部とを含む電気レバー装置で構成されている。
走行操作装置109は、下部走行体10を前進又は後進させるためのオペレータからの操作を受け付ける走行操作レバーと、走行操作レバーの操作量に応じた走行操作信号をコントローラ100に入力する操作信号生成部とを含む電気レバー装置で構成されている。
コントローラ100は、例えばマイクロコンピュータからなり、演算部110及び指令部120を備える。演算部110は、油圧ショベル1が周囲の特定方向の斜面に向かって転倒するのを防止するための転倒防止制御を作動させる作動条件を満たす場合に、作業装置14の先端部を斜面に向けて降下させる転倒防止制御を行う。指令部120は、油圧回路200に含まれる各要素の作動を制御する機能を担う。
指令部120は、ブーム指令部121、アーム指令部122、バケット指令部123、旋回指令部124及び走行指令部125を備える。
ブーム指令部121は、ブーム操作装置105の操作量に応じた値のブーム指令信号を一対のブーム電磁弁V1に入力することで該ブーム操作装置105の操作量に応じた開度にブーム電磁弁V1の開度を設定するが増大するほどブームシリンダC1へ供給される作動油の流量が増大する。
アーム指令部122は、アーム操作装置106の操作量に応じた値のアーム指令信号を一対のアーム電磁弁V2に入力することで該アーム操作装置106の操作量に応じた開度にアーム電磁弁V2の開度を設定する。
バケット指令部123は、バケット操作装置107の操作量に応じた値のバケット指令信号を一対のバケット電磁弁V3に入力することで該バケット操作装置107の操作量に応じた開度にバケット電磁弁V3の開度を設定する。
旋回指令部124は、旋回操作装置108の操作量に応じた値の旋回指令信号を旋回電磁弁V4に入力することで該旋回操作装置108の操作量に応じた開度に旋回電磁弁V4の開度を設定する。
走行指令部125は、走行操作装置109の操作量に応じた値の走行指令信号を一対の走行電磁弁V5L及び一対の走行電磁弁V5Rに入力することで該走行操作装置109の操作量に応じた開度に一対の走行電磁弁V5L及び一対の走行電磁弁V5Rそれぞれの開度を設定する。
演算部110は、座標系変換部111、判断部112及び降下制御部113を備える。
座標系変換部111は、形状センサ101で検出された形状データを、油圧ショベル1を基準とする機械座標系のデータに変換する。機械座標系は、例えば、長手方向(前後方向)をX軸、左右方向をY軸、上下方向をZ軸、上部旋回体12の旋回軸上における上部旋回体12と下部走行体10との接合部分を原点とする3次元の直交座標系である。なお、機械座標系のX軸、Y軸、Z軸及び原点は上記に限定されない。機械座標系の原点は、例えば、作業装置14の基端部(ブーム21の基端部)であってもよい。
形状センサ101は上部旋回体12に取り付けられているため、機械座標系における形状センサ101の位置は上部旋回体12の旋回角度に応じて変化する。そこで、座標系変換部111は、旋回センサ104が検出した旋回角度を用いて、機械座標系における形状センサ101の位置を算出し、この位置から形状センサ101の座標系と機械座標系との相対的な位置関係を特定し、特定した相対的な位置関係に基づいて形状データを機械座標系のデータに変換する。形状センサ101は、マトリックス状の複数の検出地点の深度データにより地形を表す。そのため、座標系変換部111は、複数の検出地点までの深度(距離)から、機械座標系における各検出地点の座標を算出する。
なお、形状センサ101が作業装置14に配置されている場合は、形状データを機械座標系のデータに変換するに際して、姿勢センサ103の検出信号と旋回角度とが必要となる。また、形状センサ101が下部走行体10に配置されている場合は、形状センサ101の機械座標系における位置は一定であるため、形状データを機械座標系に変換するに際して姿勢センサ103の検出信号と旋回角度とは不要である。
判断部112は、形状データに基づいて、油圧ショベル1が周囲の特定方向の斜面に向かって転倒するのを防止するための転倒防止制御を作動させる作動条件を満たすか否かを判断する。本実施の形態における転倒防止制御は、作業装置14の先端部を斜面に向けて降下させる制御である。判断部112は、傾斜角度算出部114、作動条件判断部115及び状態判定部116を備える。
傾斜角度算出部114は、形状データに基づいて油圧ショベル1の接地面に対する斜面の傾斜角度を算出する。
図3は、本実施の形態において、油圧ショベルが斜面の路肩近傍で作業している場面の一例を示す図である。以下、図3を用いて傾斜角度算出部114の処理について説明する。油圧ショベル1は、斜面301の路肩302で作業をしている。なお、斜面301は、例えば法面であり、法面は、切土又は盛土により作られる人工的な斜面である。路肩302は、斜面301の上端に連なる面である。路肩302は水平である。傾斜角度θ1は、油圧ショベル1の接地面SAに対する斜面301の傾斜角度である。ここでは、油圧ショベル1は路肩302に位置するため、接地面SAは路肩302となる。斜面301は、油圧ショベル1が作業装置14により切土又は盛土等の作業を行う面である。
傾斜角度算出部114は、機械座標系に変換した形状データから傾斜角度θ1を算出する。この場合、傾斜角度算出部114は、下部走行体10の接地面SAと斜面301との境界線を形状データから検出し、境界線を挟んで接地面SAの反対側の所定範囲の領域を斜面候補領域として抽出する。次に、傾斜角度算出部114は、境界線に対して直交する方向を斜面301の傾斜方向として設定し、斜面候補領域から傾斜方向と平行な1ラインの座標データ群を抽出し、抽出したデータ群の回帰直線を求める。次に、傾斜角度算出部114は、この回帰直線のXY平面に対する角度、すなわち、接地面SAに対する角度を傾斜角度として算出する。このとき、傾斜角度算出部114は、回帰直線の決定係数が所定の値以下であれば、形状データには、斜面301は含まれていないと判定し、決定係数が所定の値より大きければ、斜面301が含まれていると判定してもよい。
あるいは、傾斜角度算出部114は、斜面候補領域から傾斜方向に平行な複数ラインの座標データ群を抽出し、複数ラインのそれぞれについて回帰直線を求め、複数の回帰直線のそれぞれについて接地面SAに対する角度を算出し、各角度が一定の角度範囲にあり、且つ、複数の回帰直線のそれぞれの決定係数が所定の閾値より大きければ、形状データには斜面301が含まれていると判定してもよい。そして、この場合、傾斜角度算出部114は、接地面SAに対する各回帰直線の角度の平均値を傾斜角度θ1として算出してもよい。
状態判定部116は、油圧ショベル1が安定状態と不安定状態とのいずれであるかを判定する。下部走行体10の下面全体が接地面SAに接している場合、油圧ショベル1は安定状態となる。しかしながら、図3において、油圧ショベル1の足場部分303が斜面301に向かって崩落し、下部走行体10の下面の一部のみが接地面SAに接する場合、油圧ショベル1は前方に傾き、不安定状態となる。
図4は、本実施の形態において、油圧ショベルの足場部分が崩落した場面の一例を示す図である。
図4に示すように、油圧ショベル1の足場部分303が斜面301に向かって崩落した場合、油圧ショベル1は前方に傾く。このとき、傾斜センサ102は、下部走行体10の接地面(水平面)SAに対する傾斜角度である接地面角度θ2を検出する。油圧ショベル1が前方に傾くことにより、油圧ショベル1の鉛直方向の加速度が増加する。そこで、状態判定部116は、油圧ショベル1の加速度を取得し、取得した加速度が閾値より大きい場合、油圧ショベル1が不安定状態であると判定する。状態判定部116は、傾斜センサ102によって検出された接地面角度θ2を微分することにより、油圧ショベル1の加速度を算出する。状態判定部116は、算出した加速度が閾値より大きいか否かを判断する。そして、状態判定部116は、算出した加速度が閾値より大きいと判断した場合、油圧ショベル1が不安定状態であると判定する。
なお、本実施の形態では、傾斜センサ102によって検出された接地面角度θ2から加速度を算出しているが、本開示は特にこれに限定されず、油圧ショベル1に加速度センサを設け、加速度センサが油圧ショベル1の加速度を検出してもよい。
作動条件判断部115は、傾斜角度算出部114によって算出された傾斜角度が閾値よりも大きく、かつ状態判定部116によって油圧ショベル1が不安定状態であると判定された場合、油圧ショベル1が前方の斜面に向かって転倒するのを防止するための転倒防止制御を作動させる作動条件を満たすと判断する。
降下制御部113は、判断部112によって作動条件を満たすと判断された場合、作業装置14の先端部を斜面に向けて降下させる転倒防止制御を作動させる。降下制御部113は、作業装置14の先端部と斜面との間の距離が最短となる経路に沿って作業装置14の先端部を斜面に向けて降下させる。
すなわち、降下制御部113は、姿勢センサ103によって検出されたブーム角度、アーム角度及びバケット角度と、ブーム21、アーム22及びバケット23それぞれの基端部から先端部までの長さとに基づいて、機械座標系における作業装置14の先端部の座標を算出する。作業装置14の先端部は、バケット23の先端部231である。ブーム21、アーム22及びバケット23それぞれの基端部から先端部までの長さは、不図示のメモリに予め記憶されている。降下制御部113は、斜面候補領域内の座標データ群の中から、バケット23の先端部231の座標からの距離が最短となる斜面上の地点304の座標を特定する。そして、降下制御部113は、バケット23の先端部231の座標と、バケット23の先端部231の座標からの距離が最短となる斜面上の地点304の座標とを結ぶ直線を、バケット23の先端部231が移動する経路401として算出する。降下制御部113は、算出した経路401に沿ってバケット23の先端部231を移動させるためのブーム制御信号、アーム制御信号及びバケット制御信号を生成し、生成したブーム制御信号、アーム制御信号及びバケット制御信号を指令部120へ出力する。
なお、ブーム指令部121は、降下制御部113の制御量に応じた値のブーム指令信号を一対のブーム電磁弁V1に入力する。また、アーム指令部122は、降下制御部113の制御量に応じた値のアーム指令信号を一対のアーム電磁弁V2に入力する。また、バケット指令部123は、降下制御部113の制御量に応じた値のバケット指令信号を一対のバケット電磁弁V3に入力する。
図5は、本実施の形態において、油圧ショベルの作業装置の先端部を斜面に向けて降下させた場面の一例を示す図である。
降下制御部113は、作業装置14の先端部231の位置と斜面の位置との距離が所定の範囲内になる到達位置まで作業装置14の先端部を降下させる。到達位置は、作業装置14の先端部231が斜面301を超える位置である。降下制御部113は、作業装置14の先端部231が斜面301を超える位置まで、作業装置14の先端部231を降下させる。これにより、作業装置14の先端部231が斜面301に突き刺さり、より確実に油圧ショベル1を安定させることができる。
なお、到達位置は、斜面301よりも手前の位置であってもよい。降下制御部113は、斜面301よりも手前の位置まで、作業装置14の先端部231を降下させてもよい。これにより、作業装置14の先端部231が到達位置に到達するまでの時間がより短くなり、より早く油圧ショベル1を安定させることができる。
また、油圧ショベル1は、ブームシリンダC1の圧力値を検出するブームシリンダ圧センサと、アームシリンダC2の圧力値を検出するアームシリンダ圧センサとをさらに備えてもよい。そして、降下制御部113は、ブームシリンダ圧センサ又はアームシリンダ圧センサによって所定値以上の圧力値が検出されるまで、作業装置14の先端部を降下させてもよい。作業装置14の先端部が地面に押し付けられることにより、ブームシリンダC1又はアームシリンダC2の圧力値が上昇する。そのため、ブームシリンダ圧センサ又はアームシリンダ圧センサによって検出される圧力値が所定値以上になるまで、作業装置14の先端部を降下させることにより、作業装置14の先端部を地面に充分に押し付けることができ、確実に油圧ショベル1を安定させることができる。
また、降下制御部113は、判断部112によって作動条件を満たすと判断された場合、オペレータによる操作を受け付けずに作業装置14の先端部を斜面に向けて自動的に降下させ、作業装置14の先端部を到達位置まで降下させた後、オペレータによる操作を受け付ける。すなわち、降下制御部113は、判断部112によって作動条件を満たすと判断された場合、ブーム操作装置105、アーム操作装置106、バケット操作装置107、旋回操作装置108及び走行操作装置109からの各操作信号を受け付けない。そして、降下制御部113は、作業装置14の先端部を到達位置まで降下させた後、ブーム操作装置105、アーム操作装置106、バケット操作装置107、旋回操作装置108及び走行操作装置109からの各操作信号を受け付ける。これにより、作業装置14の先端部が斜面に到達した後、オペレータによる操作が受け付けられるので、油圧ショベル1を安定させた後、例えば、バケット23の先端部を斜面に押し付けた状態で、油圧ショベル1を後方に移動させる等のオペレータによる転倒回避操作を行うことができる。
図6は、図2に示す油圧ショベルの動作を示すフローチャートである。なお、図6に示す処理は、油圧ショベル1の稼働中、所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS1において、形状センサ101は、油圧ショベル1の周囲の地形の距離分布を示す形状データを取得する。
次に、ステップS2において、旋回センサ104は、下部走行体10に対する上部旋回体12の旋回角度を取得する。
次に、ステップS3において、座標系変換部111は、取得された旋回角度を用いて、取得された形状センサ101を基準とする座標系で表される形状データを、油圧ショベル1を基準とする機械座標系で表される形状データに変換する。
次に、ステップS4において、傾斜角度算出部114は、座標系変換部111によって変換された機械座標系の形状データに基づいて、油圧ショベル1の接地面に対する前方の斜面の傾斜角度を算出する。
次に、ステップS5において、傾斜センサ102は、接地面(水平面)に対する下部走行体10の下面の傾斜角度である接地面角度を取得する。
次に、ステップS6において、状態判定部116は、傾斜センサ102によって取得された接地面角度から加速度を算出する。
次に、ステップS7において、状態判定部116は、算出した加速度に基づいて、油圧ショベル1が安定状態と不安定状態とのいずれであるかを判定する。ここで、状態判定部116は、算出した加速度が閾値より大きいか否かを判断する。そして、状態判定部116は、算出した加速度が閾値以下であると判断した場合、油圧ショベル1が安定状態であると判定する。また、状態判定部116は、算出した加速度が閾値より大きいと判断した場合、油圧ショベル1が不安定状態であると判定する。
次に、ステップS8において、作動条件判断部115は、傾斜角度算出部114によって算出された傾斜角度が閾値よりも大きく、かつ状態判定部116によって判定された油圧ショベル1の状態が不安定状態であるか否かを判断する。
ここで、傾斜角度が閾値以下である、又は油圧ショベル1の状態が安定状態であると判断された場合(ステップS8でNO)、処理が終了する。
一方、傾斜角度が閾値よりも大きく、かつ油圧ショベル1の状態が不安定状態であると判断された場合(ステップS8でYES)、ステップS9において、降下制御部113は、オペレータによる操作を禁止する。すなわち、降下制御部113は、ブーム操作装置105、アーム操作装置106、バケット操作装置107、旋回操作装置108及び走行操作装置109からの各操作信号を受け付けずに破棄する。
次に、ステップS10において、姿勢センサ103は、作業装置14の姿勢を検出する。姿勢センサ103は、ブーム角度、アーム角度及びバケット角度を作業装置14の姿勢として検出する。
次に、ステップS11において、降下制御部113は、姿勢センサ103によって検出されたブーム角度、アーム角度及びバケット角度と、ブーム21、アーム22及びバケット23それぞれの基端部から先端部までの長さとに基づいて、機械座標系における作業装置14の先端部の座標を算出する。
次に、ステップS12において、降下制御部113は、斜面候補領域内の座標データ群の中から、作業装置14の先端部の座標からの距離が最短となる斜面上の地点の座標を特定する。
次に、ステップS13において、降下制御部113は、作業装置14の先端部の移動経路を算出する。すなわち、降下制御部113は、作業装置14の先端部の座標と、作業装置14の先端部の座標からの距離が最短となる斜面上の地点の座標とを結ぶ直線を、作業装置14の先端部の移動経路として算出する。
次に、ステップS14において、降下制御部113は、算出した移動経路に沿って作業装置14の先端部を斜面に向けて降下させるように、指令部120に各指令信号を出力させる。ここで、降下制御部113は、算出した移動経路に沿って作業装置14の先端部を斜面に向けて降下させるためのブーム制御信号、アーム制御信号及びバケット制御信号を生成し、生成したブーム制御信号、アーム制御信号及びバケット制御信号を指令部120へ出力する。ブーム指令部121は、降下制御部113から入力されたブーム制御信号に応じた値のブーム指令信号を一対のブーム電磁弁V1に入力する。アーム指令部122は、降下制御部113から入力されたアーム制御信号に応じた値のアーム指令信号を一対のアーム電磁弁V2に入力する。バケット指令部123は、降下制御部113から入力されたバケット制御信号に応じた値のバケット指令信号を一対のバケット電磁弁V3に入力する。これにより、ブームシリンダC1、アームシリンダC2及びバケットシリンダC3が駆動され、作業装置14の先端部が斜面に向けて降下する。
次に、ステップS15において、降下制御部113は、オペレータによる操作を受け付ける。すなわち、降下制御部113は、ブーム操作装置105、アーム操作装置106、バケット操作装置107、旋回操作装置108及び走行操作装置109からの各操作信号を受け付ける。
このように、油圧ショベル1が前方の斜面に向かって転倒するのを防止するための転倒防止制御を作動させる作動条件を満たすか否かが判断され、当該作動条件を満たすと判断された場合、作業装置14の先端部が斜面に向けて降下するので、作業装置14の先端部が斜面に押し付けられ、作業装置14の先端部により油圧ショベル1を支えることにより、油圧ショベル1が転倒するのを自動的に防止することができるとともに、確実に油圧ショベル1の安全を確保することができる。
なお、本実施の形態は、下部走行体10の前方が斜面301に向けられた状態での転倒防止制御を行うものを開示したが、本開示はこれに限定されず、下部走行体10の前方が斜面301に向けられていない状態での転倒防止制御を行うものであってもよい。この場合、図3のように油圧ショベル1が作業装置14により切土又は盛土等の作業を行う斜面301に対する油圧ショベル1の相対方向を特定方向として記憶すればよい。このようにすれば、下部走行体10が斜面301に向けられていない状態であり、上部旋回体12が下部走行体10に対して旋回しており、作業装置14により斜面301で作業を行うことで、油圧ショベル1が斜面301に向かって転倒するおそれがあるときに、転倒防止制御を作用させるこができる。
なお、本実施の形態では、形状センサ101が検出した形状データを用いて斜面301が検出されていたが、本開示はこれに限定されず、予め計測された形状データをメモリから取得する、或いは、外部サーバから通信により形状データを取得することで斜面301を検出してもよい。この場合、傾斜角度算出部114は、不図示のGPSセンサから油圧ショベル1の現在位置を取得し、取得した形状データに油圧ショベル1の現在位置をプロットすることで、形状データから油圧ショベル1の周囲の斜面301を検出すればよい。
また、油圧ショベル1は、油圧ショベル1が転倒するのを防止するために作業装置14の先端部を自動的に降下させたことをオペレータに通知するための情報を提示する情報提示装置をさらに備えてもよい。情報提示装置は、例えば、表示装置又はスピーカである。
また、本実施の形態では、判断部112は、傾斜角度算出部114、作動条件判断部115及び状態判定部116を備えているが、本開示は特にこれに限定されず、判断部112は、状態判定部116を備えず、傾斜角度算出部114及び作動条件判断部115を備えてもよい。この場合、作動条件判断部115は、傾斜角度算出部114によって算出された傾斜角度が閾値よりも大きいか否かを判断してもよい。作動条件判断部115は、傾斜角度が閾値よりも大きい場合、作動条件を満たすと判断してもよい。
本開示に係る安全装置及び建設機械は、建設機械が転倒するのを自動的に防止することができるとともに、確実に建設機械の安全を確保することができるので、建設機械の安全を確保する安全装置及び建設機械として有用である。
1 油圧ショベル
10 下部走行体
12 上部旋回体
14 作業装置
16 旋回フレーム
17 エンジンルーム
18 キャブ
21 ブーム
22 アーム
23 バケット
61 ブーム角度センサ
62 アーム角度センサ
63 バケット角度センサ
100 コントローラ
101 形状センサ
102 傾斜センサ
103 姿勢センサ
104 旋回センサ
105 ブーム操作装置
106 アーム操作装置
107 バケット操作装置
108 旋回操作装置
109 走行操作装置
110 演算部
111 座標系変換部
112 判断部
113 降下制御部
114 傾斜角度算出部
115 作動条件判断部
116 状態判定部
120 指令部
121 ブーム指令部
122 アーム指令部
123 バケット指令部
124 旋回指令部
125 走行指令部
200 油圧回路
10 下部走行体
12 上部旋回体
14 作業装置
16 旋回フレーム
17 エンジンルーム
18 キャブ
21 ブーム
22 アーム
23 バケット
61 ブーム角度センサ
62 アーム角度センサ
63 バケット角度センサ
100 コントローラ
101 形状センサ
102 傾斜センサ
103 姿勢センサ
104 旋回センサ
105 ブーム操作装置
106 アーム操作装置
107 バケット操作装置
108 旋回操作装置
109 走行操作装置
110 演算部
111 座標系変換部
112 判断部
113 降下制御部
114 傾斜角度算出部
115 作動条件判断部
116 状態判定部
120 指令部
121 ブーム指令部
122 アーム指令部
123 バケット指令部
124 旋回指令部
125 走行指令部
200 油圧回路
Claims (9)
- 機体と、前記機体に取り付けられる作業装置とを備える建設機械の安全を確保する安全装置であって、
前記建設機械の周囲の地形の形状を示す形状データを取得する取得部と、
前記形状データに基づいて、前記建設機械が前記周囲の特定方向の斜面に向かって転倒するのを防止するための転倒防止制御を作動させる作動条件を満たすか否かを判断する判断部と、
前記判断部によって前記作動条件を満たすと判断された場合、前記作業装置の先端部を前記斜面に向けて降下させる降下制御部と、
を備える安全装置。 - 前記判断部は、前記形状データに基づいて前記建設機械の接地面に対する前記斜面の傾斜角度を算出し、前記傾斜角度が閾値よりも大きい場合、前記作動条件を満たすと判断する、
請求項1記載の安全装置。 - 前記判断部は、前記形状データに基づいて前記建設機械の接地面に対する斜面の傾斜角度を算出し、前記建設機械が不安定状態であるかを判定し、前記傾斜角度が閾値よりも大きく、かつ前記建設機械が不安定状態であると判定した場合、前記作動条件を満たすと判断する、
請求項1記載の安全装置。 - 前記判断部は、前記建設機械の加速度を取得し、取得した前記加速度が閾値より大きい場合、前記建設機械が不安定状態であると判定する、
請求項3記載の安全装置。 - 前記降下制御部は、前記作業装置の先端部と前記斜面との間の距離が最短となる経路に沿って前記作業装置の先端部を前記斜面に向けて降下させる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の安全装置。 - 前記降下制御部は、前記作業装置の先端部の位置と前記斜面の位置との距離が所定の範囲内になる到達位置まで前記作業装置の先端部を降下させる、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の安全装置。 - 前記到達位置は、前記作業装置の先端部が前記斜面を超える位置である、
請求項6記載の安全装置。 - 前記降下制御部は、前記判断部によって前記作動条件を満たすと判断された場合、オペレータによる操作を受け付けずに前記作業装置の先端部を前記斜面に向けて降下させ、前記作業装置の先端部を前記到達位置まで降下させた後、前記オペレータによる操作を受け付ける、
請求項6又は7記載の安全装置。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の安全装置と、
機体と、
前記機体に取り付けられた作業装置と、
を備える建設機械。
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