JP2020131739A - 車両の姿勢制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】運転者の操舵の運転操作性を向上させると共に、ピッチ運動を応答性良く制御することができる車両の姿勢制御装置を提供する。【解決手段】姿勢制御装置4は、基準前後加速度演算手段23と、基準ヨーレート演算手段14と、目標ピッチ運動設定手段15と、車体運動が、基準前後加速度、基準ヨーレートおよび目標ピッチ運動と略一致するように、制駆動力指令値および後輪舵角指令値を補正する指令値補正手段16とを備える。指令値補正手段におけるモーメント分配手段16aは、補正により発生するピッチモーメントの総和ΔMpを、制駆動力指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpxと、後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpyとに分配する。モーメント分配手段16aは、ピッチモーメントΔMpの微分値等に基づいて、分配するモーメントの大きさを設定する。【選択図】図8
Description
この発明は、運転者等の操舵に応じてピッチ運動を制御することで、運転者の運転操作性を向上させる車両の姿勢制御装置に関する。
車速と操舵角から計算した横加加速度に応じて前下がりのピッチ運動となる目標ピッチ角を算出し、目標ピッチ角となるようにショックアブソーバーの減衰力、もしくはエアサスペンションの圧力を調整するサスペンション制御装置が示されている(特許文献1)。
また旋回中の車体の浮き上がりを抑制するため、前輪の左右のトー角を制御し、車体の横方向に入力される力が左右で等しくなるようにトー角を調整する車体挙動制御装置が示されている(特許文献2)。
また旋回中の車体の浮き上がりを抑制するため、前輪の左右のトー角を制御し、車体の横方向に入力される力が左右で等しくなるようにトー角を調整する車体挙動制御装置が示されている(特許文献2)。
田中利緒、鈴木雄大、小坂秀一、程偉鵬、山門誠、狩野芳郎、安部正人著、「車体運動がG−Vectoring制御に及ぼす影響」、自動車技術会、2017年春季大会学術講演会予稿集CD、20175163、PP888−892
特許文献1において、ショックアブソーバーの減衰力を調整する場合、車体に生じるピッチ運動もしくはロール運動を受動的に制御するため、車体を持ち上げることは困難であり、制御可能な運動に制限がある。またエアサスペンションを使用する場合、能動的な運動は可能であるが応答性が低いため、応答遅れが生じる虞がある。
特許文献2では、前輪において、旋回初期に外輪のトー角に対して内輪のトー角の転舵角を大きくする、もしくは位相を早くすることで車体の前輪側にジャッキダウン力を発生させることにより良好なロール感を得ている。しかし、前輪に通常の転舵装置に加えて左右のタイロッドの長さを伸縮させるトー角調整手段を組合わせる必要があり、複雑な構成のため、コストおよび車載性が問題となる虞がある。またタイヤの横力はタイヤの接地部位が変形することで発生するため、応答性が低く、応答遅れが生じる虞がある。
この発明の目的は、運転者の操舵の運転操作性を向上させると共に、ピッチ運動を応答性良く制御することができる車両の姿勢制御装置を提供することである。
この発明の車両の姿勢制御装置4は、車両の速度を検出する車速検出手段5、前輪7の操舵角を検出する操舵角検出手段6、前記車両のアクセル操作手段のアクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段11、前記車両のブレーキ操作手段のブレーキ操作量を検出するブレーキ操作量検出手段12、左右の前後輪7,8の制動力または駆動力である制駆動力を調整可能な制駆動力制御装置13、および後輪8の舵角を調整可能な後輪舵角制御装置2を備えた車両の姿勢を制御する姿勢制御装置であって、
前記車両は、前記制駆動力制御装置13で調整された制駆動力によって前記前後輪7.8のサスペンション9,10を介して車体に作用する垂直方向の力で前記車体にピッチモーメントが発生し、前記後輪舵角制御装置2で前記後輪8の舵角を調整し前記後輪8に発生する横力によって前記後輪8のサスペンション10を介して前記車体に作用する垂直方向の力で前記車体にピッチモーメントが発生する車両であり、
前記アクセル操作量および前記ブレーキ操作量に基づいて、各輪7,8の制駆動力指令値を演算し、この制駆動力指令値から前記車両の基準前後加速度を演算する基準前後加速度演算手段23と、
前記車速検出手段5で検出された車速、前記操舵角、および定められた条件に従って与えられた後輪舵角指令値に基づいて、前記車両の基準ヨーレートを演算する基準ヨーレート演算手段14と、
前記車速、前記操舵角、および前記後輪舵角指令値に基づいて、目標ピッチ運動となる目標ピッチ角または目標ピッチ角速度を設定する目標ピッチ運動設定手段15と、
車体運動が、前記基準前後加速度、前記基準ヨーレートおよび前記目標ピッチ運動と略一致するように、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値を補正する指令値補正手段16と、を備え、
前記指令値補正手段16は、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントの総和を、前記制駆動力指令値の前記補正により発生するピッチモーメントと、前記後輪舵角指令値の前記補正により発生するピッチモーメントとに分配するモーメント分配手段16aを有し、
このモーメント分配手段16aは、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値を補正することで発生するピッチモーメントの時間変化特性を表す値、または前記後輪舵角指令値の時間変化特性を表す値に基づいて、前記分配するモーメントの大きさを設定する。
前記定められた条件は、設計等によって任意に定める条件であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な条件を求めて定められる。
前記車両は、前記制駆動力制御装置13で調整された制駆動力によって前記前後輪7.8のサスペンション9,10を介して車体に作用する垂直方向の力で前記車体にピッチモーメントが発生し、前記後輪舵角制御装置2で前記後輪8の舵角を調整し前記後輪8に発生する横力によって前記後輪8のサスペンション10を介して前記車体に作用する垂直方向の力で前記車体にピッチモーメントが発生する車両であり、
前記アクセル操作量および前記ブレーキ操作量に基づいて、各輪7,8の制駆動力指令値を演算し、この制駆動力指令値から前記車両の基準前後加速度を演算する基準前後加速度演算手段23と、
前記車速検出手段5で検出された車速、前記操舵角、および定められた条件に従って与えられた後輪舵角指令値に基づいて、前記車両の基準ヨーレートを演算する基準ヨーレート演算手段14と、
前記車速、前記操舵角、および前記後輪舵角指令値に基づいて、目標ピッチ運動となる目標ピッチ角または目標ピッチ角速度を設定する目標ピッチ運動設定手段15と、
車体運動が、前記基準前後加速度、前記基準ヨーレートおよび前記目標ピッチ運動と略一致するように、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値を補正する指令値補正手段16と、を備え、
前記指令値補正手段16は、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントの総和を、前記制駆動力指令値の前記補正により発生するピッチモーメントと、前記後輪舵角指令値の前記補正により発生するピッチモーメントとに分配するモーメント分配手段16aを有し、
このモーメント分配手段16aは、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値を補正することで発生するピッチモーメントの時間変化特性を表す値、または前記後輪舵角指令値の時間変化特性を表す値に基づいて、前記分配するモーメントの大きさを設定する。
前記定められた条件は、設計等によって任意に定める条件であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な条件を求めて定められる。
この構成によると、指令値補正手段16は、車体運動が、基準前後加速度、基準ヨーレートおよび目標ピッチ運動と略一致するように、制駆動力指令値および後輪舵角指令値を補正する。換言すれば、操舵角と車速に応じた目標ピッチ運動となる目標ピッチ角または目標ピッチ角速度を算出し、前後輪7,8の制駆動力指令値および後輪舵角指令値を補正することで車体にピッチモーメントを自在に発生させ、いずれかの目標値と略一致するようにピッチ運動を制御する。このピッチ運動と旋回により発生するロール運動の連成したダイアゴナルな、つまり斜めの姿勢変化によって運転者に余裕を持った操舵を実現させ、これにより運転者の操舵の運転操作性を向上させることができる。
この場合に、指令値補正手段16におけるモーメント分配手段16aは、補正により発生するピッチモーメントの総和ΔMpを、制駆動力指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpxと、後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpyとに分配する。このモーメント分配手段16aは、ピッチモーメントΔMpの時間変化特性を表す値、または後輪舵角指令値δrの時間変化特性を表す値に基づいて、分配するモーメントの大きさを設定するため、変化が速い成分を制駆動力で発生させ、変化が遅い成分を後輪の舵角で発生させることができる。これは、ピッチモーメントΔMpまたは後輪舵角指令値δrの時間変化特性が大きい場合には、応答性良く発生可能な制駆動力によって主にピッチモーメントを制御することで、ピッチモーメントを応答性良く発生させるためである。タイヤで横力を発生させる場合、車輪部分を転舵し、タイヤの接地部位が捻じれるように変形することで横力が発生するため、応答性が良くない。制駆動力の場合、タイヤの前後方向の剛性が高いため応答性が高く、ピッチモーメントを応答性良く発生させることができる。よってピッチ運動制御における応答性を高めることができる。
前記モーメント分配手段16aは、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値を補正することで発生するピッチモーメントΔMpの微分値、または前記後輪舵角指令値δrの微分値に基づいて、前記分配するモーメントの大きさを設定してもよい。
前記モーメント分配手段16aは、前記ピッチモーメントΔMpの微分値の大きさ、または前記後輪舵角指令値δrの微分値の大きさが閾値を超えたとき、前記後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpyへの分配比率を小さくしてもよい。
前記閾値は、設計等によって任意に定める閾値であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な閾値を求めて定められる。
この構成によると、閾値を境としてピッチモーメントΔMpyへの分配比率を小さくすることで、制御系を簡単化でき演算負荷を低減することができる。
前記モーメント分配手段16aは、前記ピッチモーメントΔMpの微分値の大きさ、または前記後輪舵角指令値δrの微分値の大きさが閾値を超えたとき、前記後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpyへの分配比率を小さくしてもよい。
前記閾値は、設計等によって任意に定める閾値であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な閾値を求めて定められる。
この構成によると、閾値を境としてピッチモーメントΔMpyへの分配比率を小さくすることで、制御系を簡単化でき演算負荷を低減することができる。
前記モーメント分配手段16aは、前記ピッチモーメントΔMpの微分値の大きさ、または前記後輪舵角指令値δrの微分値の大きさが閾値以上となったとき、前記後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpyへの分配比率を零にしてもよい。
前記閾値は、設計等によって任意に定める閾値であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な閾値を求めて定められる。
この場合、補正後の後輪舵角指令値が後輪舵角の制御可能な最大値を超えないようにすることができる。
前記閾値は、設計等によって任意に定める閾値であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な閾値を求めて定められる。
この場合、補正後の後輪舵角指令値が後輪舵角の制御可能な最大値を超えないようにすることができる。
前記モーメント分配手段16aは、前記ピッチモーメントΔMpの周波数特性に基づいて、前記分配するモーメントの大きさを設定してもよい。
前記モーメント分配手段16aは、前記ピッチモーメントΔMpの低周波成分を前記後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpyとして分配し、前記低周波成分を除いたピッチモーメントを前記制駆動力指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpxとして分配してもよい。この場合、モーメント分配手段16aにおいて、ピッチモーメントΔMpを例えばローパスフィルタ16aaで高周波成分と低周波成分とに分配し得る。
前記モーメント分配手段16aは、前記ピッチモーメントΔMpの低周波成分を前記後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpyとして分配し、前記低周波成分を除いたピッチモーメントを前記制駆動力指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpxとして分配してもよい。この場合、モーメント分配手段16aにおいて、ピッチモーメントΔMpを例えばローパスフィルタ16aaで高周波成分と低周波成分とに分配し得る。
前記指令値補正手段16は、少なくとも前記車体の後輪側を持ち上げることで前記車両に前下がり方向のピッチ運動を生じさせるように前記補正を行ってもよい。この場合、車体の前輪側を支点にピッチ運動が生じるため、運転者の身体にはシートに押し付けられるような力が発生してシートと密着することから、運転者は安心感が得られる。またピッチ運動を効率良く制御して、運転者の操舵の運転操作性を向上させることができる。
前記車両は、前記前輪7と前記後輪8の制駆動力の大きさが等しいとき、前記前後輪7,8のサスペンション9,10を介して前記車体に作用する垂直方向の力につき、前記前輪7よりも前記後輪8の方が大きく、かつ、前記前輪7と前記後輪8の舵角が等しいとき、タイヤが発生する横力によって前記サスペンション9,10を介して前記車体に作用する垂直方向の力につき、前記前輪7よりも前記後輪8の方が大きくなるサスペンション9,10を有する車両であってもよい。この場合、車体後輪側の上下運動の制御が容易になる。したがってピッチ運動をより効率良く制御することができる。
前記車両は、前記前輪7のロールセンター位置の高さが地上位置と略等しくてもよい。
前輪7のジャッキアップ角が設定された角度以下(例えば、数度以下)のとき、前輪7のロールセンター位置の高さが地上位置と略等しいとされる。前記数度は、例えば、シミュレーションまたは実車試験の結果を基に設定される。
前輪7のジャッキアップ角が小さい程、旋回時に生じる前輪7のジャッキアップ力が小さいため、ピッチ運動を制御する際の外乱が小さくなる。
この構成によれば、前輪7のロールセンター位置の高さが地上位置と略等しいため、前輪7のジャッキアップ角を零度に近づけることができ、よってピッチ運動を制御する際の外乱を小さくすることができる。したがって、旋回時における車両の姿勢安定性を高めることが可能となる。
前輪7のジャッキアップ角が設定された角度以下(例えば、数度以下)のとき、前輪7のロールセンター位置の高さが地上位置と略等しいとされる。前記数度は、例えば、シミュレーションまたは実車試験の結果を基に設定される。
前輪7のジャッキアップ角が小さい程、旋回時に生じる前輪7のジャッキアップ力が小さいため、ピッチ運動を制御する際の外乱が小さくなる。
この構成によれば、前輪7のロールセンター位置の高さが地上位置と略等しいため、前輪7のジャッキアップ角を零度に近づけることができ、よってピッチ運動を制御する際の外乱を小さくすることができる。したがって、旋回時における車両の姿勢安定性を高めることが可能となる。
前記車両は、前記前輪7の制駆動力により前記サスペンションを介して発生する垂直方向の力が略零となるよう、前輪7のアンチダイブ角が略零となるサスペンションを有してもよい。
前記前輪7のアンチダイブ角が略零とは、前輪7のジャッキアップ角が設定された角度以下(例えば、数度以下)の場合と同義である。前記数度は、例えば、シミュレーションまたは実車実験の結果を基に設定される。
この構成によれば、前輪のサスペンションを介して発生する垂直方向の力を略零とすることができ、これにより車体後輪側の上下運動のみの制御が容易になる。
前記前輪7のアンチダイブ角が略零とは、前輪7のジャッキアップ角が設定された角度以下(例えば、数度以下)の場合と同義である。前記数度は、例えば、シミュレーションまたは実車実験の結果を基に設定される。
この構成によれば、前輪のサスペンションを介して発生する垂直方向の力を略零とすることができ、これにより車体後輪側の上下運動のみの制御が容易になる。
この発明の車両の制御装置は、車両の速度を検出する車速検出手段、前輪の操舵角を検出する操舵角検出手段、前記車両のアクセル操作手段のアクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段、前記車両のブレーキ操作手段のブレーキ操作量を検出するブレーキ操作量検出手段、左右の前後輪の制動力または駆動力である制駆動力を調整可能な制駆動力制御装置、および後輪の舵角を調整可能な後輪舵角制御装置を備えた車両の姿勢を制御する姿勢制御装置であって、前記車両は、前記制駆動力制御装置で調整された制駆動力によって前記前後輪のサスペンションを介して車体に作用する垂直方向の力で前記車体にピッチモーメントが発生し、前記後輪舵角制御装置で前記後輪の舵角を調整し前記後輪に発生する横力によって前記後輪のサスペンションを介して前記車体に作用する垂直方向の力で前記車体にピッチモーメントが発生する車両であり、前記アクセル操作量および前記ブレーキ操作量に基づいて、各輪の制駆動力指令値を演算し、この制駆動力指令値から前記車両の基準前後加速度を演算する基準前後加速度演算手段と、前記車速検出手段で検出された車速、前記操舵角、および定められた条件に従って与えられた後輪舵角指令値に基づいて、前記車両の基準ヨーレートを演算する基準ヨーレート演算手段と、前記車速、前記操舵角、および前記後輪舵角指令値に基づいて、目標ピッチ運動となる目標ピッチ角または目標ピッチ角速度を設定する目標ピッチ運動設定手段と、車体運動が、前記基準前後加速度、前記基準ヨーレートおよび前記目標ピッチ運動と略一致するように、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値を補正する指令値補正手段と、を備え、前記指令値補正手段は、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントの総和を、前記制駆動力指令値の前記補正により発生するピッチモーメントと、前記後輪舵角指令値の前記補正により発生するピッチモーメントとに分配するモーメント分配手段を有し、このモーメント分配手段は、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値を補正することで発生するピッチモーメントの時間変化特性を表す値、または前記後輪舵角指令値の時間変化特性を表す値に基づいて、前記分配するモーメントの大きさを設定する。このため、運転者の操舵の運転操作性を向上させると共に、ピッチ運動を応答性良く制御することができる。
<車両の概略構成>
この発明の実施形態に係る車両の姿勢制御装置を図1ないし図10と共に説明する。
図1は、実施形態に係る姿勢制御装置を備えた車両の概念構成を示すブロック図である。この車両は、四輪のそれぞれにインホイールモータ駆動装置IWMを備えた電気自動車である。
この発明の実施形態に係る車両の姿勢制御装置を図1ないし図10と共に説明する。
図1は、実施形態に係る姿勢制御装置を備えた車両の概念構成を示すブロック図である。この車両は、四輪のそれぞれにインホイールモータ駆動装置IWMを備えた電気自動車である。
<インホイールモータ駆動装置IWM>
図2に示すように、車両の走行駆動装置であるインホイールモータ駆動装置IWMは、車輪用軸受20と、電動モータ21と、減速機22とを備える。減速機22は、電動モータ21の回転出力を車輪用軸受20の回転輪となるハブ輪20aに減速して伝達する。ハブ輪20aに、各車輪7,8(図1)のホイールが取付けられる。電動モータ21は、例えば、同期モータ等の交流モータであり、ステータ21aとロータ21bとを有する。
図2に示すように、車両の走行駆動装置であるインホイールモータ駆動装置IWMは、車輪用軸受20と、電動モータ21と、減速機22とを備える。減速機22は、電動モータ21の回転出力を車輪用軸受20の回転輪となるハブ輪20aに減速して伝達する。ハブ輪20aに、各車輪7,8(図1)のホイールが取付けられる。電動モータ21は、例えば、同期モータ等の交流モータであり、ステータ21aとロータ21bとを有する。
<制御系について>
図1に示すように、車両は、前輪舵角制御装置1、後輪舵角制御装置2、ECU3、姿勢制御装置4、制駆動力制御装置13、車速検出手段としての車速センサ5、操舵角検出手段としての操舵角センサ6、アクセル操作量検出手段としてのアクセルペダルセンサ11、およびブレーキ操作量検出手段としてのブレーキペダルセンサ12を備える。
アクセルペダルセンサ11は、車両のアクセル操作手段であるアクセルペダル等に設けられ、運転者のアクセル踏込量に応じたアクセル操作量を検出しECU3に出力する。ブレーキペダルセンサ12は、車両のブレーキ操作手段であるブレーキペダル等に設けられ、運転者のブレーキ踏込量に応じたブレーキ操作量を検出しECU3に出力する。
図1に示すように、車両は、前輪舵角制御装置1、後輪舵角制御装置2、ECU3、姿勢制御装置4、制駆動力制御装置13、車速検出手段としての車速センサ5、操舵角検出手段としての操舵角センサ6、アクセル操作量検出手段としてのアクセルペダルセンサ11、およびブレーキ操作量検出手段としてのブレーキペダルセンサ12を備える。
アクセルペダルセンサ11は、車両のアクセル操作手段であるアクセルペダル等に設けられ、運転者のアクセル踏込量に応じたアクセル操作量を検出しECU3に出力する。ブレーキペダルセンサ12は、車両のブレーキ操作手段であるブレーキペダル等に設けられ、運転者のブレーキ踏込量に応じたブレーキ操作量を検出しECU3に出力する。
ECU3は、入力された操作量に基づいて、制駆動力指令値を演算し姿勢制御装置4に出力する。姿勢制御装置4は、前記制駆動力指令値に対して後述する補正を行い、補正後制駆動力指令値を制駆動力制御装置13に出力する。制駆動力制御装置13は、入力された補正後制駆動力指令値に基づき、四輪のインホイールモータ駆動装置IWMの制駆動力を各輪独立に制御する。
前輪舵角制御装置1は、運転者のハンドル操作に応じて前輪7の舵角を制御する装置である。この前輪舵角制御装置1は、例えば、操舵角センサ6で検出した操舵角δh、車速センサ5で検出した車速V、および図示しない操舵トルクセンサで検出した運転者の操舵トルク等に基づいて、運転者の操舵トルクをアシストするように図示外の電気モータのトルクまたは油圧を調節し、前輪7の舵角を制御する。
また前輪舵角制御装置1は、操舵角をECU3に出力する。ECU3は、車速および操舵角に基づいて、左右の後輪舵角指令値を演算し、姿勢制御装置4に出力する。姿勢制御装置4では、制駆動力指令値と同様に、後輪舵角指令値に後述する補正を行い、補正後後輪舵角指令値を後輪舵角制御装置2に出力する。後輪舵角制御装置2は、姿勢制御装置4が出力する補正後後輪舵角指令値に従い、後輪8の舵角を左右独立に制御する。
<X-Y平面上の運動について>
図3に示すように、本実施形態では、X-Y平面上を走行する車両モデルとして、いわゆる二輪車モデルを四輪に拡張したモデルで説明する。走行中の車両の各輪7,8には、インホイールモータ駆動装置IWM(図1)の電動モータ21(図2)による駆動力および回生ブレーキである制動力によって前後力Xiが生じ、各輪7,8の向きと各輪位置での車両の進行方向とが成す角度に応じた横力Yiが生じる。なお、添え字iは、fl:左前輪、fr:右前輪、rl:左後輪、rr:右後輪のいずれかを示す。
図3に示すように、本実施形態では、X-Y平面上を走行する車両モデルとして、いわゆる二輪車モデルを四輪に拡張したモデルで説明する。走行中の車両の各輪7,8には、インホイールモータ駆動装置IWM(図1)の電動モータ21(図2)による駆動力および回生ブレーキである制動力によって前後力Xiが生じ、各輪7,8の向きと各輪位置での車両の進行方向とが成す角度に応じた横力Yiが生じる。なお、添え字iは、fl:左前輪、fr:右前輪、rl:左後輪、rr:右後輪のいずれかを示す。
前後力Xiおよび横力Yiによって生じるX-Y平面上の運動は、式(1)〜式(3)のようになる。
各記号は以下のとおりである。
m:車両重量、V:車速、β:横滑り角、r:ヨーレート、df:前輪トレッド、dr:後輪トレッド、lf:前輪車軸から車両重心までの距離、lr:後輪車軸から車両重心までの距離、Iz:z軸周りの慣性モーメント
m:車両重量、V:車速、β:横滑り角、r:ヨーレート、df:前輪トレッド、dr:後輪トレッド、lf:前輪車軸から車両重心までの距離、lr:後輪車軸から車両重心までの距離、Iz:z軸周りの慣性モーメント
<ピッチ運動について>
次にピッチ運動について考える。ロール運動を無視すれば、前後力Xiおよび横力Yiによって生じるピッチ運動は、式(4)〜式(6)で示される。図4におけるPGは重心位置である。
次にピッチ運動について考える。ロール運動を無視すれば、前後力Xiおよび横力Yiによって生じるピッチ運動は、式(4)〜式(6)で示される。図4におけるPGは重心位置である。
<前後力によって生じるピッチモーメントについて>
Mpxについて、図4を用いて説明する。Mpxは前後力Xiによって生じるピッチモーメントであり、式(5)で示される。図4は、例としてダブルウィッシュボーン形式のサスペンション9,10を有する車両において、インホイールモータ駆動装置IWM(図1)の制駆動力が直接サスペンション機構に作用している様子を図示している。
Mpxについて、図4を用いて説明する。Mpxは前後力Xiによって生じるピッチモーメントであり、式(5)で示される。図4は、例としてダブルウィッシュボーン形式のサスペンション9,10を有する車両において、インホイールモータ駆動装置IWM(図1)の制駆動力が直接サスペンション機構に作用している様子を図示している。
前輪7について考えると、前輪サスペンション9におけるアッパーアーム9aとロアアーム9bのそれぞれの延長線の交点P4fが、前輪サスペンション9の瞬間回転中心となる。この瞬間回転中心P4fと車輪接地点P2fとの成す角がアンチダイブ角θfとなる。
後輪8についても同様に、後輪サスペンション10の瞬間回転中心P4rと車輪接地点P2rとの成す角であるアンチスカッフ角θrが求まる。
後輪8についても同様に、後輪サスペンション10の瞬間回転中心P4rと車輪接地点P2rとの成す角であるアンチスカッフ角θrが求まる。
説明を簡単にするために、左右の前輪7,7でアンチダイブ角θfが等しく、且つ左右の後輪8,8でアンチスカッフ角θrが等しいとすると、左右の前輪7,7に前後力Xfl,Xfrを与えれば、前輪サスペンション9を介して車体には−(Xfl+Xfr)・tanθfの上下力が作用する。後輪8も同様に、左右の後輪8,8に前後力Xrl,Xrrを与えれば、後輪サスペンション10を介して車体には(Xrl+Xrr)・tanθrの上下力が作用する。これらの上下力によってピッチモーメントMpxが車両重心PG周りに発生する。
他のサスペンション形式においてもアンチダイブ角θfおよびアンチスカッフ角θrが存在するため、同様に前後力XiによってピッチモーメントMpxが生じる。前後輪7,8の前後力Xfl,Xfr,Xrl,Xrrを変化させることで、ピッチ運動を制御することができる。ただし、前後力Xiを変化させると、式(1)で示されるように車両の前後運動も変化するため、前後運動を考慮しながら、車両のピッチ運動を制御する方が好ましい。すなわち、補正前後で前後力Xiの和が略同じとなるように各輪7,8の前後力Xiを補正することで、前後運動に対して補正による影響を与えることなくピッチ運動を制御することができる。
また、アンチダイブ角θfが小さくアンチスカッフ角θrが大きいサスペンション9,10とすることで、車体後輪側の上下運動の制御が容易になる。さらにアンチダイブ角θfを略零とすれば、車体後輪側の上下運動のみの制御が容易になる。後述する後輪舵角指令値の補正では、後輪舵角を調整し車体後輪側の上下運動によりピッチ運動を制御するため、このような車両構成とすることで制駆動力および後輪舵角の両方で車体後輪側の上下運動を制御することができる。
<横力によって生じるピッチモーメントについて>
Mpyについて、図5を用いて説明する。Mpyは横力Yiによって生じるピッチモーメントであり、式(6)で示される。図5は図4と同様に、例としてダブルウィッシュボーン形式のサスペンションを有する車両を図示している。図5は後輪8を車両後方から示した図である。左右それぞれのアッパーアーム10aとロアアーム10bのそれぞれの延長線の交点PlrlおよびPlrrと、後輪8の接地点P2rlおよびP2rrを通る直線の交点P3rが後輪8のロールセンターになる。このロールセンターP3rと車輪接地点P2rlおよびP2rrとの成す角がジャッキアップ角γrとなる。
Mpyについて、図5を用いて説明する。Mpyは横力Yiによって生じるピッチモーメントであり、式(6)で示される。図5は図4と同様に、例としてダブルウィッシュボーン形式のサスペンションを有する車両を図示している。図5は後輪8を車両後方から示した図である。左右それぞれのアッパーアーム10aとロアアーム10bのそれぞれの延長線の交点PlrlおよびPlrrと、後輪8の接地点P2rlおよびP2rrを通る直線の交点P3rが後輪8のロールセンターになる。このロールセンターP3rと車輪接地点P2rlおよびP2rrとの成す角がジャッキアップ角γrとなる。
図5は左旋回中の模式図であり、左輪8の横力Yrlによってサスペンション10を介して車体に作用する車体を持ち下げる垂直力(いわゆるジャッキダウン力)が発生し、同様に右輪8の横力Yrrによってサスペンション10を介して車体に作用する車体を持ち上げる垂直力(いわゆるジャッキアップ力)が発生している。これら後輪における左右輪8,8の横力によって車体に生じる上下力の合力が、車体後輪側を持ち上げる、もしくは持ち下げる力となる。前輪についても同様に考えることができる。他のサスペンション形式においてもジャッキアップ角γrが存在するため、同様に横力YiによってピッチモーメントMpyが生じる。
式(7)〜式(10)のKiはタイヤのコーナリングパワーである。コーナリングパワーは一般的にタイヤの垂直荷重に依存し、ある一定の範囲において、定性的には垂直荷重が大きくなるほどコーナリングパワーは大きくなる。そのため、図5において車両が左旋回している場合、旋回外輪である右輪8の垂直荷重が大きくなる。後輪の左右輪舵角がゼロであれば、右輪8のジャッキアップ力(上方への力)の方が左輪8のジャッキダウン力(下方への力)よりも大きくなるため、車体後輪側には車体を持ち上げる力が生じる。ここで仮に、右後輪8の舵角をδrr>0とすれば右後輪8の横力Yrrがさらに大きくなり、車体後輪側には車体を持ち上げる力が増すため、後輪舵角を制御することで車両のピッチ運動を制御することができる。
ただし、横力Yiを変化させると、式(2)および式(3)で示されるように、車両の横運動とヨー運動も変化するため、横運動もしくはヨー運動を考慮しながら、車両のピッチ運動を制御する方が好ましい。
両式において後輪の横力は左右輪の和として作用するため、後輪における左右輪の和が変化しないように、左右の後輪舵角(トー角)を調整することで、ピッチ運動に加えてヨー運動および横運動を制御できるため、後輪舵角制御装置2(図1)は、左右輪の舵角を独立して制御できることが望ましい。この場合、左右後輪の横力の差でピッチ運動を制御し、左右後輪の横力の和で車両の横運動とヨー運動を制御することができる。
両式において後輪の横力は左右輪の和として作用するため、後輪における左右輪の和が変化しないように、左右の後輪舵角(トー角)を調整することで、ピッチ運動に加えてヨー運動および横運動を制御できるため、後輪舵角制御装置2(図1)は、左右輪の舵角を独立して制御できることが望ましい。この場合、左右後輪の横力の差でピッチ運動を制御し、左右後輪の横力の和で車両の横運動とヨー運動を制御することができる。
<前後輪の各ロールセンターの位置関係について>
前輪7のロールセンターP3fと後輪8のロールセンターP3rの位置関係について図6に示す。この実施形態では、後輪舵角を制御することで効果的にピッチ運動を制御するため、前輪7のロールセンターP3fよりも後輪8のロールセンターP3rが高い方が好ましい。ロールセンターが高い方がジャッキアップ角は大きくなり、横力Yiによって生じる上下力を大きくすることができる。つまり、同じ横力によって車体に作用する垂直力(ジャッキアップ力もしくはジャッキダウン力)が前輪7よりも後輪8の方が大きくなるように設計された車両であれば、後輪8の舵角を制御することでピッチ運動を効率よく制御することができる。
前輪7のロールセンターP3fと後輪8のロールセンターP3rの位置関係について図6に示す。この実施形態では、後輪舵角を制御することで効果的にピッチ運動を制御するため、前輪7のロールセンターP3fよりも後輪8のロールセンターP3rが高い方が好ましい。ロールセンターが高い方がジャッキアップ角は大きくなり、横力Yiによって生じる上下力を大きくすることができる。つまり、同じ横力によって車体に作用する垂直力(ジャッキアップ力もしくはジャッキダウン力)が前輪7よりも後輪8の方が大きくなるように設計された車両であれば、後輪8の舵角を制御することでピッチ運動を効率よく制御することができる。
また、前輪7のジャッキアップ角γfが小さいほど、旋回時に生じる前輪7のジャッキアップ力が小さいため、ピッチ運動を制御する際の外乱が小さくなる。したがって、前輪7のジャッキアップ角γfは好ましくはゼロ度に近い方がよい。換言すれば、前輪7のロールセンター位置の高さが地上位置と略等しい方がよい。前輪7のジャッキアップ角γfが設定された角度以下(例えば、数度以下)のとき、前輪7のロールセンター位置の高さが地上位置と略等しいとされる。
また図6では、ロールセンター位置が前後輪7,8とも地面よりも上方に位置している。これは、車両の重心位置とロールセンターが近い方が、車両のロール運動を小さくすることができ、旋回時における車両の姿勢安定性を高められる。なお、図5におけるジャッキアップ角γfは、旋回時などにおいてサスペンション10が動くことでロールセンターP3rが移動し変化する。そのため、図6における前輪7のロールセンターP3fと後輪8のロールセンターP3rの位置関係は、水平面上に停車している時の位置関係を基準とする。
<本実施形態における制御ブロック図>
図7に示すように、車速センサ5で検出した車速と、操舵角センサ6で検出した操舵角と、アクセルペダルセンサ11で検出した運転者のアクセル操作量と、ブレーキペダルセンサ12で検出した運転者のブレーキ操作量がECU3に入力される。本図7の例では、ECU3は、制駆動力指令値演算器3aと後輪舵角指令値演算器3bとを備える。制駆動力指令値演算器3aは、アクセル操作量とブレーキ操作量に基づいて制駆動力指令値を演算する。
図7に示すように、車速センサ5で検出した車速と、操舵角センサ6で検出した操舵角と、アクセルペダルセンサ11で検出した運転者のアクセル操作量と、ブレーキペダルセンサ12で検出した運転者のブレーキ操作量がECU3に入力される。本図7の例では、ECU3は、制駆動力指令値演算器3aと後輪舵角指令値演算器3bとを備える。制駆動力指令値演算器3aは、アクセル操作量とブレーキ操作量に基づいて制駆動力指令値を演算する。
後輪舵角指令値演算器3bは、低速時には前輪と逆相、高速時には前輪と同相に左右の後輪を同じ角度で転舵するいわゆる後輪舵角制御方法により、前記車速および前記操舵角に基づいて、後輪舵角指令値を演算する。前輪舵角および車速と後輪舵角との関係は、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により定められマップ等に記憶される。前記低速時および前記高速時の各車速はそれぞれ任意に定められる。但し、高速時は低速時よりも車速が大きい。本実施形態において、後輪舵角制御方法を適用しない場合は、右後輪の舵角δrrおよび左後輪の舵角δrlをゼロとして考えればよい。車速、操舵角、制駆動力指令値および後輪舵角指令値は、ECU3から姿勢制御装置4に出力される。
姿勢制御装置4は、入力された車速、操舵角、制駆動力指令値および後輪舵角指令値に基づき、基準とする前後運動、ヨー運動および目標とするピッチ運動となるように、制駆動力指令値および後輪舵角指令値を補正し、補正後の制駆動力指令値である補正後制駆動力指令値を制駆動力制御装置13に、補正後の後輪舵角指令値である補正後後輪舵角指令値を後輪舵角制御装置2にそれぞれ出力する。制駆動力制御装置13は、入力された補正後制駆動力指令値に従い、インホイールモータ駆動装置IWM(図1)を制御する。後輪舵角制御装置2は、後輪の舵角が補正後後輪舵角指令値となるように、図示外の後輪転舵アクチュエータを駆動する。この後輪転舵アクチュエータは、例えば、電気モータまたは油圧等により駆動される。
<姿勢制御装置の詳細>
図8は、姿勢制御装置4の詳細を示すブロック図である。
姿勢制御装置4は、基準前後加速度演算手段23と、基準ヨーレート演算手段14と、目標ピッチ運動設定手段15と、指令値補正手段16とを備える。基準前後加速度演算手段23では、制駆動力指令値を補正する際の基準となる基準前後加速度atを、姿勢制御装置4に入力された制駆動力指令値(前後力)により式(1)から演算する。基準前後加速度atは前後力指令値である前後力Xiの和を車両重量mで割った値に等しい。
図8は、姿勢制御装置4の詳細を示すブロック図である。
姿勢制御装置4は、基準前後加速度演算手段23と、基準ヨーレート演算手段14と、目標ピッチ運動設定手段15と、指令値補正手段16とを備える。基準前後加速度演算手段23では、制駆動力指令値を補正する際の基準となる基準前後加速度atを、姿勢制御装置4に入力された制駆動力指令値(前後力)により式(1)から演算する。基準前後加速度atは前後力指令値である前後力Xiの和を車両重量mで割った値に等しい。
基準ヨーレート演算手段14では、後輪舵角指令値を補正する際の基準となる基準ヨーレートrtを、姿勢制御装置4に入力された車速、操舵角、後輪舵角指令値、制駆動力指令値を用いて式(2)および式(3)から演算する。
目標ピッチ運動設定手段15では、制駆動力指令値または後輪舵角指令値を補正する際の目標となるピッチ運動として、目標ピッチ角または目標ピッチ角速度を設定する。これらの目標値は、シミュレーションまたは実車実験の結果を基に定めた値としても良いし、例えば、非特許文献1に示されているように、操舵によって生じる横加加速度(もしくは操舵角速度としても良い)に応じたピッチ運動として式(12)のように設定しても良い。非特許文献1では、横加加速度に応じた減速度(制動力)を発生することでピッチ運動を発生させている。式(12)により目標ピッチ角が求められる。なお目標ピッチ角速度は、式(12)を微分することで求められる。
目標ピッチ運動設定手段15では、制駆動力指令値または後輪舵角指令値を補正する際の目標となるピッチ運動として、目標ピッチ角または目標ピッチ角速度を設定する。これらの目標値は、シミュレーションまたは実車実験の結果を基に定めた値としても良いし、例えば、非特許文献1に示されているように、操舵によって生じる横加加速度(もしくは操舵角速度としても良い)に応じたピッチ運動として式(12)のように設定しても良い。非特許文献1では、横加加速度に応じた減速度(制動力)を発生することでピッチ運動を発生させている。式(12)により目標ピッチ角が求められる。なお目標ピッチ角速度は、式(12)を微分することで求められる。
指令値補正手段16は、式(1)〜式(6)に基づいて、基準前後加速度、基準ヨーレートおよび目標ピッチ運動(目標ピッチ角または目標ピッチ角速度)となるように、制駆動力指令値および後輪舵角指令値を補正し、補正後制駆動力指令値および補正後後輪舵角指令値として出力する。
ここで、式(4)をラプラス変換し、目標ピッチ角をΦt、制駆動力指令値および後輪舵角指令値を補正することで発生するピッチモーメントをそれぞれΔMpx、ΔMpyとし、指令値の補正により発生するピッチモーメントの総和(ピッチモーメント指令値)をΔMpとすると式(13)〜式(16)になる。なおMpx、Mpyは、補正前の前後力指令値Xiおよび舵角指令値による横力Yiで発生するピッチモーメントであり、前後力指令値の補正量をΔXi、後輪舵角δiに対する補正量をΔδiとし、補正により生じる横力をΔYiとしている。
ここで、式(4)をラプラス変換し、目標ピッチ角をΦt、制駆動力指令値および後輪舵角指令値を補正することで発生するピッチモーメントをそれぞれΔMpx、ΔMpyとし、指令値の補正により発生するピッチモーメントの総和(ピッチモーメント指令値)をΔMpとすると式(13)〜式(16)になる。なおMpx、Mpyは、補正前の前後力指令値Xiおよび舵角指令値による横力Yiで発生するピッチモーメントであり、前後力指令値の補正量をΔXi、後輪舵角δiに対する補正量をΔδiとし、補正により生じる横力をΔYiとしている。
指令値補正手段16内のモーメント分配手段16aで、後輪舵角δrまたはピッチモーメント指令値ΔMpの微分値(変化率:時間変化特性を表す値)に基づいて、後述する方法によりΔMpxとΔMpyの配分を決定する。指令値補正手段16では、さらに、式(1)および式(3)に基づいて基準前後加速度および基準ヨーレートを略満たすように制駆動力指令値および後輪舵角指令値の補正量を演算し、補正後制駆動力指令値および補正後後輪舵角指令値を出力する。指令値補正手段16では、これらの処理手順に対応するように、少なくとも車速、操舵角、制駆動力指令値を入力変数とした補正後制駆動力指令値および補正後後輪舵角指令値の出力値をマップデータとして用意しておいてもよい。この場合、指令値補正手段16に基準ヨーレート演算手段14と目標ピッチ運動設定手段15の処理が含まれる。また図7に示すECU3に備えた後輪舵角指令値演算器3bの処理は、姿勢制御装置4に取り込んでも良いし、さらにはマップデータに含めても良い。
図9は、前記姿勢制御装置4(図8)の制御動作時の操舵角、ピッチ角、ピッチ角速度、ピッチモーメント指令値、ピッチモーメント指令値の微分値、補正後制駆動力指令値、補正後後輪舵角指令値を示す図である。操舵角は反時計回りであるCCWを正、ピッチ角およびピッチモーメント指令値は前下がり方向を正、補正後制駆動力指令値は駆動を正、補正後後輪舵角指令値はCCWを正としている。レーンチェンジ動作における操舵角入力を例とし、制駆動力指令値および後輪舵角指令値はピッチ制御のみの動作としており、補正前の制駆動力指令値および後輪舵角指令値は全てゼロである。
レーンチェンジ動作初期(旋回初期)では、ピッチ角が正(前下がり)となるピッチモーメント指令値を満たすように制駆動力指令値および後輪舵角指令値を補正する。ピッチモーメント指令値ΔMpからΔMpx、ΔMpyへの分配は、モーメント分配手段16a(図8)で行う。例えば、ΔMpにおけるΔMpyの比率をαとした場合、ΔMpx、ΔMpyは式(21)、式(22)となる。
α=ΔMpy/ΔMp (20)
ΔMpx=(1−α)・ΔMp (21)
ΔMpy=α・ΔMp (22)
α=ΔMpy/ΔMp (20)
ΔMpx=(1−α)・ΔMp (21)
ΔMpy=α・ΔMp (22)
比率αは、例えば図10または図11のように定められている。図9の例は、図10で示される比率αを適用した場合である。図10および図11では、モーメント分配手段16a(図8)は、ピッチモーメント指令値ΔMpの微分値であるΔMp_dotが閾値ΔMp_dot_t以下のときは一定比率とし、閾値ΔMp_dot_tを超えたときにピッチモーメント指令値の微分値ΔMp_dotが大きくなる程、比率αが小さくなるようにしている。
これは、ピッチモーメント指令値の変化速度が大きい場合には、応答性良く発生可能な制駆動力によって主にピッチモーメントを制御することで、ピッチモーメントを応答性良く発生させるためである。タイヤで横力を発生させる場合、車輪部分を転舵し、タイヤの接地部位が捻じれるように変形することで横力が発生するため、応答性が良くない。制駆動力の場合、タイヤの前後方向の剛性が高いため応答性が高く、ピッチモーメントを応答性良く発生させることができる。
一方で、制駆動力は運転者のアクセル操作またはブレーキ操作に応じて制御する必要があるため、ピッチモーメントの発生には後輪の転舵を主体とした方が良い。ΔMp_dotが閾値を超えたときの比率αは、図10のように、ピッチモーメント指令値の微分値が大きくなるに従って直線的に減少させても良いし、図11のように、ピッチモーメント指令値の微分値が大きくなるに従って、指数関数等で表されるような曲線的に減少させても良い。また図10,図11では、モーメント分配手段16a(図8)は、ピッチモーメント指令値の微分値が、制御可能な最大値ΔMp_dot_max以上で比率αをゼロとしている。なお図10、図11で表される比率αは、モーメント分配手段16a(図8)においてマップデータとして定められていてもよい。
図9に示すように、制駆動力指令値の補正量は、前後輪で大きさが等しく、正負が逆になっている。これは、基準前後加速度演算手段23(図8)で式(1)により計算される基準前後加速度と一致するように、補正による生じる前後加速度をゼロとするためである。また図4のように前輪7のアンチダイブ角θfを小さく(好ましくは略ゼロに)し、後輪8のアンチスカッフ角θrを大きくすることで車体前輪側の上下運動が小さく(略ゼロ)になり後輪側の上下運動の制御が容易になる。
このような車両構成とすることで制駆動力および後輪舵角の両方で車体後輪側の上下運動を制御することが容易になる。後輪舵角指令値は、旋回初期に車体の後輪側が持ち上がるように補正する。この補正量は、左右輪で同じとしても良いが、望ましくは旋回内輪よりも旋回外輪の補正量を小さくした方が良い。旋回による横加速度の発生によって荷重移動が生じ、タイヤの接地荷重が旋回内輪である左輪より、旋回外輪である右輪の方が大きくなり、舵角を変化させた時の横力変化量および横力によって車体に生じる上下力の変化が大きくなるためである。
式(2)および式(3)で示される車両の平面運動において、後輪舵角指令値の補正前後における車両運動をおおよそ等しくするためには、後輪で生じる横力の和をおおよそ等しくする必要がある。旋回外輪の補正量を小さくし、補正によって左右の後輪で変化する横力の大きさをおおよそ等しくすることで、後輪舵角指令値の補正前後における車両運動をおおよそ等しくすることができる。
次に操舵角を減少させる場面では、ピッチ角が負(前上がり)となるように、左右の後輪の後輪舵角指令値を補正し、車体の後輪側を持ち下げる。操舵角を負方向(CW)に大きくする場面でも同様の動作となる。後輪舵角指令値を補正し運転者の操舵に合わせてピッチ運動を発生させることで、車両の運転操作性が向上する。
<作用効果>
以上説明した車両の姿勢制御装置4によれば、指令値補正手段16は、車体運動が、基準前後加速度、基準ヨーレートおよび目標ピッチ運動と略一致するように、制駆動力指令値および後輪舵角指令値を補正する。換言すれば、操舵角と車速に応じた目標ピッチ運動となる目標ピッチ角または目標ピッチ角速度を算出し、前後輪7,8の制駆動力指令値および後輪舵角指令値を補正することで車体にピッチモーメントを自在に発生させ、いずれかの目標値と略一致するようにピッチ運動を制御する。このピッチ運動と旋回により発生するロール運動の連成したダイアゴナルな、つまり斜めの姿勢変化によって運転者に余裕を持った操舵を実現させ、これにより運転者の操舵の運転操作性を向上させることができる。
以上説明した車両の姿勢制御装置4によれば、指令値補正手段16は、車体運動が、基準前後加速度、基準ヨーレートおよび目標ピッチ運動と略一致するように、制駆動力指令値および後輪舵角指令値を補正する。換言すれば、操舵角と車速に応じた目標ピッチ運動となる目標ピッチ角または目標ピッチ角速度を算出し、前後輪7,8の制駆動力指令値および後輪舵角指令値を補正することで車体にピッチモーメントを自在に発生させ、いずれかの目標値と略一致するようにピッチ運動を制御する。このピッチ運動と旋回により発生するロール運動の連成したダイアゴナルな、つまり斜めの姿勢変化によって運転者に余裕を持った操舵を実現させ、これにより運転者の操舵の運転操作性を向上させることができる。
この場合に、指令値補正手段16におけるモーメント分配手段16aは、補正により発生するピッチモーメントの総和ΔMpを、制駆動力指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpxと、後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpyとに分配する。このモーメント分配手段16aは、ピッチモーメントΔMpの時間変化特性を表す値、または後輪舵角指令値δrの時間変化特性を表す値に基づいて、分配するモーメントの大きさを設定するため、変化が速い成分を制駆動力で発生させ、変化が遅い成分を後輪の舵角で発生させることができる。
これは、ピッチモーメントΔMpまたは後輪舵角指令値δrの時間変化特性が大きい場合には、応答性良く発生可能な制駆動力によって主にピッチモーメントを制御することで、ピッチモーメントを応答性良く発生させるためである。タイヤで横力を発生させる場合、車輪部分を転舵し、タイヤの接地部位が捻じれるように変形することで横力が発生するため、応答性が良くない。制駆動力の場合、タイヤの前後方向の剛性が高いため応答性が高く、ピッチモーメントを応答性良く発生させることができる。よってピッチ運動制御における応答性を高めることができる。
<他の実施形態について>
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
比率αの他の例として、図12に示すように、モーメント分配手段16a(図8)は、後輪舵角指令値の微分値(変化率:時間変化特性を表す値)δr_dotを用いて分配するモーメントの大きさを設定してもよい。この場合、図11と同様に、後輪舵角指令値の変化率δr_dotが閾値δr_dot_t以下のとき一定比率とし、閾値δr_dot_tを超えたとき後輪舵角指令値の微分値δr_dotが大きくなる程、比率αを小さくしている。またモーメント分配手段16a(図8)は、後輪舵角指令値の微分値が、後輪舵角の微分値における制御可能な最大値δr_dot_max以上で比率αをゼロとしている。
図13に示すように、モーメント分配手段16aにおいて、ピッチモーメント指令値ΔMpをローパスフィルタ16aaで高周波成分と低周波成分に分配し、高周波成分をΔMpx、低周波成分をΔMpyとしてもよい。
図14は、図9の例において、低速時には前輪と逆相、高速時には前輪と同相に左右の後輪を同じ角度で転舵する後輪転舵制御方法を適用した場合の、後輪舵角指令値を補正する例を示す図である。図14では、補正前の後輪舵角指令値が、高速走行時に前輪の操舵角と同位相かつ左右輪で同じ大きさで転舵している場合である。
図15は、図9の例において、前下がりとなるピッチ運動のみを適用した場合を示す図である。車体の後輪側を持ち上げることで前下がりとなるピッチ運動を発生させた場合、車体の前輪側を支点にピッチ運動が生じる。このため、運転者の身体には、シートに押し付けられるような力が発生して身体がシートに密着することから、運転者は安心感が得られる。一方で車体の後輪側を持ち下げてピッチ運動を発生させた場合、運転者の身体にはシートから引き離そうとする力が発生し、運転者の安心感が低下する虞がある。
このため、指令値補正手段16(図8)は、車体の後輪側を持ち上げることで前下がりとなるピッチ運動のみを発生するよう制駆動力指令値および後輪舵角指令値を補正した方がよい。この場合の車両は、前輪の制駆動力によりサスペンションを介して発生する垂直方向の力が略零となるサスペンションを有することが望ましい。この場合、アンチダイブ角を略零とすることができ、これにより車体後輪側の上下運動のみの制御が容易になる。
前述の各実施形態では、インホイールモータ駆動装置IWMを用いて制駆動力を発生させているが、制駆動力がサスペンションを介して車体の垂直方向の力として作用すればよく、例えば、摩擦ブレーキ等による制動力、またはエンジン、モータオンボード方式の電気モータ等による駆動力をジョイントを介して伝達するようにしてもよい。
インホイールモータ駆動装置IWMにおいては、サイクロイド式の減速機、遊星減速機、その他の減速機を適用可能であり、また減速機を使用しないダイレクトモータタイプであってもよい。
インホイールモータ駆動装置IWMにおいては、サイクロイド式の減速機、遊星減速機、その他の減速機を適用可能であり、また減速機を使用しないダイレクトモータタイプであってもよい。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2…後輪舵角制御装置、4…姿勢制御装置、5…車速センサ(車速検出手段)、6…操舵角センサ(操舵角検出手段)、7…前輪、8…後輪、9,10…サスペンション、11…アクセルペダルセンサ(アクセル操作量検出手段)、12…ブレーキペダルセンサ(ブレーキ操作量検出手段)、13…制駆動力制御装置、14…基準ヨーレート演算手段、15…目標ピッチ運動設定手段、16…指令値補正手段、16a…モーメント分配手段、23…基準前後加速度演算手段
Claims (10)
- 車両の速度を検出する車速検出手段、前輪の操舵角を検出する操舵角検出手段、前記車両のアクセル操作手段のアクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段、前記車両のブレーキ操作手段のブレーキ操作量を検出するブレーキ操作量検出手段、左右の前後輪の制動力または駆動力である制駆動力を調整可能な制駆動力制御装置、および後輪の舵角を調整可能な後輪舵角制御装置を備えた車両の姿勢を制御する姿勢制御装置であって、
前記車両は、前記制駆動力制御装置で調整された制駆動力によって前記前後輪のサスペンションを介して車体に作用する垂直方向の力で前記車体にピッチモーメントが発生し、前記後輪舵角制御装置で前記後輪の舵角を調整し前記後輪に発生する横力によって前記後輪のサスペンションを介して前記車体に作用する垂直方向の力で前記車体にピッチモーメントが発生する車両であり、
前記アクセル操作量および前記ブレーキ操作量に基づいて、各輪の制駆動力指令値を演算し、この制駆動力指令値から前記車両の基準前後加速度を演算する基準前後加速度演算手段と、
前記車速検出手段で検出された車速、前記操舵角、および定められた条件に従って与えられた後輪舵角指令値に基づいて、前記車両の基準ヨーレートを演算する基準ヨーレート演算手段と、
前記車速、前記操舵角、および前記後輪舵角指令値に基づいて、目標ピッチ運動となる目標ピッチ角または目標ピッチ角速度を設定する目標ピッチ運動設定手段と、
車体運動が、前記基準前後加速度、前記基準ヨーレートおよび前記目標ピッチ運動と略一致するように、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値を補正する指令値補正手段と、を備え、
前記指令値補正手段は、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントの総和を、前記制駆動力指令値の前記補正により発生するピッチモーメントと、前記後輪舵角指令値の前記補正により発生するピッチモーメントとに分配するモーメント分配手段を有し、
このモーメント分配手段は、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値を補正することで発生するピッチモーメントの時間変化特性を表す値、または前記後輪舵角指令値の時間変化特性を表す値に基づいて、前記分配するモーメントの大きさを設定する、
車両の姿勢制御装置。 - 請求項1に記載の車両の姿勢制御装置において、前記モーメント分配手段は、前記制駆動力指令値および前記後輪舵角指令値を補正することで発生するピッチモーメントΔMpの微分値、または前記後輪舵角指令値δrの微分値に基づいて、前記分配するモーメントの大きさを設定する車両の姿勢制御装置。
- 請求項2に記載の車両の姿勢制御装置において、前記モーメント分配手段は、前記ピッチモーメントΔMpの微分値の大きさ、または前記後輪舵角指令値δrの微分値の大きさが閾値を超えたとき、前記後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpyへの分配比率を小さくする車両の姿勢制御装置。
- 請求項2または請求項3に記載の車両の姿勢制御装置において、前記モーメント分配手段は、前記ピッチモーメントΔMpの微分値の大きさ、または前記後輪舵角指令値δrの微分値の大きさが閾値以上となったとき、前記後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpyへの分配比率を零にする車両の姿勢制御装置。
- 請求項1に記載の車両の姿勢制御装置において、前記モーメント分配手段は、前記ピッチモーメントΔMpの周波数特性に基づいて、前記分配するモーメントの大きさを設定する車両の姿勢制御装置。
- 請求項5に記載の車両の姿勢制御装置において、前記モーメント分配手段は、前記ピッチモーメントΔMpの低周波成分を前記後輪舵角指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpyとして分配し、前記低周波成分を除いたピッチモーメントを前記制駆動力指令値の補正により発生するピッチモーメントΔMpxとして分配する車両の姿勢制御装置。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両の姿勢制御装置において、前記指令値補正手段は、少なくとも前記車体の後輪側を持ち上げることで前記車両に前下がり方向のピッチ運動を生じさせるように前記補正を行う車両の姿勢制御装置。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両の姿勢制御装置において、前記車両は、前記前輪と前記後輪の制駆動力の大きさが等しいとき、前記前後輪のサスペンションを介して前記車体に作用する垂直方向の力につき、前記前輪よりも前記後輪の方が大きく、かつ、前記前輪と前記後輪の舵角が等しいとき、タイヤが発生する横力によって前記サスペンションを介して前記車体に作用する垂直方向の力につき、前記前輪よりも前記後輪の方が大きくなるサスペンションを有する車両の姿勢制御装置。
- 請求項8に記載の車両の姿勢制御装置において、前記車両は、前記前輪のロールセンター位置の高さが地上位置と略等しい車両の姿勢制御装置。
- 請求項8または請求項9に記載の車両の姿勢制御装置において、前記車両は、前記前輪のアンチダイブ角が略零となるサスペンションを有する車両の姿勢制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019023335A JP2020131739A (ja) | 2019-02-13 | 2019-02-13 | 車両の姿勢制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019023335A JP2020131739A (ja) | 2019-02-13 | 2019-02-13 | 車両の姿勢制御装置 |
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ID=72277439
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023119407A1 (ja) * | 2021-12-21 | 2023-06-29 | ヤマハ発動機株式会社 | 駆動操舵制御システム、組込式駆動操舵ユニットシステム、組込式駆動操舵ユニット及び自動運転地上車両 |
JP7596704B2 (ja) | 2020-10-16 | 2024-12-10 | 日産自動車株式会社 | 車両挙動制御方法及び車両挙動制御装置 |
-
2019
- 2019-02-13 JP JP2019023335A patent/JP2020131739A/ja active Pending
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