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JP2020124789A - スカイビング加工方法 - Google Patents

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JP2020124789A
JP2020124789A JP2019019848A JP2019019848A JP2020124789A JP 2020124789 A JP2020124789 A JP 2020124789A JP 2019019848 A JP2019019848 A JP 2019019848A JP 2019019848 A JP2019019848 A JP 2019019848A JP 2020124789 A JP2020124789 A JP 2020124789A
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上久保 俊孝
Toshitaka Kamikubo
俊孝 上久保
弘茂 厳島
Hiroshige Kibishima
弘茂 厳島
克彦 浦瀬
Katsuhiko Urase
克彦 浦瀬
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】ダレの形成を抑制し、ワークの加工精度を向上可能なスカイビング加工方法を提供すること。【解決手段】本発明にかかるスカイビング加工方法では、(a)回転するワークWに対し逆方向に移動する、所定の軌跡を有する刃具11を用いて、ワークWを円筒状にスカイビング加工する工程と、(b)ダレ幅13aの計算値から求めた領域において、加工されたワークWのダレ量13bを測定する工程と、(c)次のワークWの狙い径に対し、測定したダレ量13bを加算又は減算することによって、次のワークWの加工径を決定するとともに、次のワークWのダレ幅13aにおける刃具11の所定の軌跡を補正する工程と、(d)補正した刃具11の軌跡を新たな所定の軌跡とし、次のワークWを準備する工程と、を備え、上記工程(a)〜(d)を繰り返す。【選択図】図1

Description

本発明はスカイビング加工方法に関する。
スカイビング加工方法は、旋盤を利用した切削加工の一種であり、刃具を用いて回転する被削材(ワーク)の表面を加工する方法である。加工時には、ワークの回転軸に対して斜めに配置した刃具を、回転するワークの表面を横断するように接触させることによって加工を行う。刃具の刃先の位置は、製品の加工精度に深く関わる。特許文献1には、創成歯切りを用いた加工における、刃具の刃先の位置測定方法が開示されている。
特開2008−272861号公報
背景技術で述べたように、特許文献1に開示されている刃具の刃先の位置測定方法は、創成歯切りを用いた加工に関するものである。一方、スカイビング加工では、ワークの回転軸に対して刃具が斜めに配置されているため、刃具を一定条件で送る場合、刃具の送り方向の端部では形状ダレ(ダレ)が生じ、当該ダレが形成されることによってワークの加工精度が低下するという問題があった。
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、ダレの形成を抑制し、ワークの加工精度を向上可能なスカイビング加工方法を提供するものである。
本発明に係るスカイビング加工方法は、
(a)回転するワークに対し逆方向に移動する、所定の軌跡を有する刃具を用いて、前記ワークを円筒状にスカイビング加工する工程と、
(b)ダレ幅の計算値から求めた領域において、加工された前記ワークのダレ量を測定する工程と、
(c)次のワークの狙い径に対し、測定した前記ダレ量を加算又は減算することによって、前記次のワークの加工径を決定するとともに、前記次のワークのダレ幅における前記刃具の前記所定の軌跡を補正する工程と、
(d)補正した前記刃具の軌跡を新たな所定の軌跡とし、前記次のワークを準備する工程と、を備え、
上記工程(a)〜(d)を繰り返す。
本発明に係るスカイビング加工方法では、
(a)回転するワークに対し逆方向に移動する、所定の軌跡を有する刃具を用いて、前記ワークを円筒状にスカイビング加工する工程と、
(b)ダレ幅の計算値から求めた領域において、加工された前記ワークのダレ量を測定する工程と、
(c)次のワークの狙い径に対し、測定した前記ダレ量を加算又は減算することによって、前記次のワークの加工径を決定するとともに、前記次のワークのダレ幅における前記刃具の前記所定の軌跡を補正する工程と、
(d)補正した前記刃具の軌跡を新たな所定の軌跡とし、前記次のワークを準備する工程と、を備える。よって、ダレの形成を抑制し、ワークの加工精度を向上できる。
本発明により、スカイビング加工において、ダレの形成を抑制し、ワークの加工精度を向上できる。
実施の形態にかかるスカイビング加工方法の流れを示すフローチャートである。 実施の形態にかかるスカイビング加工方法に用いる刃具及びワークを示す模式図である。 図2のIIIで示す黒塗り矢印方向から見たワークと刃具の側面図である。 実施の形態にかかるワークの加工部の詳細と刃具の軌跡を示す模式図である。 実施の形態にかかるワークの加工部におけるダレ量の測定点を示す模式図である。 実施の形態にかかるワークの加工部におけるダレ量の測定結果の例を示すグラフである。 実施の形態にかかる刃具の所定の軌跡と、当該軌跡を補正する領域を示す模式図である。 実施の形態にかかる補正後の刃具の軌跡の例を示す模式図である。 実施例及び比較例にかかるスカイビング加工方法を用いて加工を行ったワークのダレ量の結果を示すグラフである。
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、図に示した右手系xyz座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。特に言及の無い限りz軸プラス向きが鉛直上向きである。また、xy平面が水平面である。
<実施の形態>
図1は、実施の形態にかかるスカイビング加工方法の流れを示すフローチャートである。図1に示すように、本実施の形態にかかるスカイビング加工方法は、以下の(a)〜(d)の工程を備える(ステップS1〜S4)。
(a)回転するワークに対し逆方向に移動する、所定の軌跡を有する刃具を用いて、ワークを円筒状にスカイビング加工する工程(ステップS1)。
(b)ダレ幅の計算値から求めた領域において、加工されたワークのダレ量を測定する工程(ステップS2)。
(c)次のワークの狙い径に対し、測定したダレ量を加算又は減算することによって、次のワークの加工径を決定するとともに、次のワークのダレ幅における刃具の所定の軌跡を補正する工程(ステップS3)。
(d)補正した刃具の軌跡を新たな所定の軌跡とし、次のワークを準備する工程(ステップS4)。
そして、上記工程(a)〜(d)、すなわちステップS1〜S4を繰り返す。
次に、図1のフローチャートに対応する図2〜8の模式図及びグラフを参照しつつ、各ステップについて詳細に説明する。
<ステップS1:スカイビング加工>
ステップS1では、スカイビング加工装置に取り付けられた刃具を用いて、旋盤の主軸に取り付けられたワークの表面をスカイビング加工する。
図2は、実施の形態にかかるスカイビング加工方法に用いる刃具及びワークを示す模式図である。図2に示すように、円筒状のワークWは、旋盤の主軸(z軸)を中心として、黒矢印で示す方向に回転している。換言すると、ワークWは、z軸を中心として時計回りに回転している。刃具11は、回転するワークWの表面に接触しつつ、yz平面を下向きの白抜き矢印で示す方向(y軸負方向)に送られる、すなわち移動することによって、ワークWの表面をスカイビング加工する。ここで、刃具11が加工するワークWの範囲を、加工幅12とする。
図3は、図2のIIIで示す黒塗り矢印方向から見たワークと刃具の側面図である。なお、図3では、ワークWの加工幅12以外の部分は省略して図示している。ワークWは円筒状であり、刃具11はワークWの回転軸に対して斜めに接触している。したがって、刃具11は、ワークWの加工幅12の全体ではなく、加工幅12の一部と接触する。図3に示すように、加工幅12のうち、刃具11が接触してワークWの表面を切削加工する範囲を加工部13として、互い違いの格子状のハッチングで示す。つまり、図3は、z軸を中心に時計回りに回転するワークWの加工部13を、刃具11が切削する様子を示している。また、刃具11が加工部13を切削する厚さを、切込量apとして示す。
次に、図4を用いて、刃具11がワークWの加工部13を移動しつつ切削する様子、すなわち刃具11の軌跡の詳細について説明する。
図4は、実施の形態にかかるワークの加工部の詳細と刃具の軌跡を示す模式図である。図4では、刃具11はワークWの回転軸(z軸)に対してホルダ角θの角度を有して配置されている。刃具11が移動する軌跡を、11a〜11cで示す。より具体的には、刃具11は、実線で示す刃具11a、二点鎖線で示す刃具11b、さらに二点鎖線で示す11cの方向(y軸負方向)へ移動しながら、加工部13を切削する。
図4では、刃具11が加工部13に接することによって加工部13の表面を切削する部分を、切削部14a〜14hとして示す。なお、説明のために切削部14a〜14hとして、各地点を断続的に記載しているが、実際の切削部は断続的ではない。実際の切削部は、刃具11をy軸負方向に移動させるにつれて、z軸負方向に連続的に形成される。
図4に示すように、刃具11が刃具11aの位置に配置されると、加工部13の切削部14a(黒丸で示す)に接触し、加工部13の切削が開始される。続いて、刃具11を刃具11bの位置まで移動させると、加工部13の切削部14bの位置(黒太線で示す)まで切削が進む。さらに、刃具11を刃具11cの位置まで移動させると、加工部13の切削部14cの位置(黒太線で示す)まで切削が進む。さらに刃具11をy軸負方向へ移動させ、刃具が加工部13の端部である切削部14h(黒丸で示す)に接したところで、加工を終了する。
つまり、ホルダ角θを有する刃具11をy軸正方向から負方向へと移動させると、切削部14は、z軸正方向から負方向に向かって、z軸に対してホルダ角θを有した状態で平行に移動する。すなわち、刃具11を用いた切削では、z軸正方向から負方向に向かって切削が進行する。
ここで、第1回目のステップS1では、刃具11の軌跡は所定の軌跡を有している。ここで、第1回目のステップS1における所定の軌跡とは、切削部14aから切削部14hまで切削が進む間の、刃具11の軌跡のことを示している。より具体的には、yz平面において、刃具11がy軸正方向からy軸負方向に移動する軌跡を示す。第1回目のステップS1では、刃具11のx軸方向の移動は行われていない。すなわち、第1回目のステップS1では、刃具11のx軸方向の位置が固定されているため、刃具11は加工部13に対して一定の力で接触した状態で、切削が進行する。
次に、第1回目のステップS1において、ダレが形成される理由について説明する。第1回目のステップS1では、切削開始点である切削部14aから、切削終了点である切削部14hまで、所定の軌跡で刃具11を移動させている。切削部14bの位置から、切削部14cの位置までは、刃具11が加工部13に接する幅が一定である。すなわち、刃具11が加工部13に接触する力は、一定である。
しかし、切削部が、切削部14cの位置から左側(z軸負側)の領域に進むと、切削部の幅は切削部14d〜14gへと進むにつれて、徐々に小さくなる。切削部14の幅が徐々に小さくなるにつれて、加工部13が刃具11の接触によって押される力が弱まる。すなわち、切削部14cの位置から左側(z軸負側)の領域では切削抵抗が低下することによって、ワークW(加工部13)は刃具11に若干近づく方向に動く。また、切削抵抗が低下することによって、刃具11の位置が変化する。
したがって、第1回目のステップS1では、切削部14cの位置から左側(z軸負側)の領域に、ダレが形成される。換言すると、ダレは、切削部14cより左側(z軸負側)の位置から、切削終了点である切削部14hにかけて形成される。図4では、ダレのz軸方向の幅を、ダレ幅13aとして示す。
上述の通り、第1回目のステップS1ではダレが形成される。一方、第2回目以降のステップS1では、加工を行うワークWの一つ前のワークのダレ量の結果(ステップS2)を用いて、刃具11の所定の軌跡を補正することによって、ダレの形成を抑制する。刃具11の所定の軌跡の補正に関する詳細は、ステップS3にて後述する。
<ステップS2:ダレ量の測定>
ステップS2では、ステップS1で加工したワークの加工部に形成されたダレのダレ量を測定する。ダレ量の測定は、加工を終えたワークWを旋盤の主軸から取り外す前、すなわち、旋盤の主軸に取り付けた状態で、スカイビング加工装置の内部にて行うことができる。ダレ量の測定は、測定領域を設定した上で、当該測定領域の両端部に設定する測定点A及びBにおいて行う。当該測定点A及びBを設定する方法について、以下、図5を用いて説明する。
図5は、実施の形態にかかるワークの加工部におけるダレ量の測定点を示す模式図である。測定領域Lは、計算によって求めたダレ幅13aの両側に、測定のための余裕代を設けて定めた領域である。まず、ダレ幅13aの計算値Z(mm)を求める。ダレ幅13aの計算値Zは、ワークWの直径と、刃具11が加工部13を切削する厚さと、ホルダ角θと、を用いて、以下の計算式(式1)及び(式2)で求めることができる。
以下の計算式(式1)及び(式2)において、各記号の意味は、それぞれ以下の通りである。
・D(mm):加工したワークの直径。
・ap.(mm):切込量。切込量とは、刃具が加工部を切削する厚さを示す。
・θ(°):ホルダ角
下記(式1)のZ’の値を、(式2)に代入することによって、ダレ幅13aの計算値Zを求めることができる。
Figure 2020124789
(式1)
Figure 2020124789
(式2)
図5において、上記の計算によって求めたダレ幅13aは、加工部13の端部13eから、切削部14cまでの幅である。
次に、測定領域Lの両端であり、ダレ量の測定に用いる測定点A及びBを定める。測定点Aは、ダレが形成されていない部分に設定する。測定点Bは、ダレの端部側に設定する。より具体的には、以下の通り定めることができる。
・測定点A:ワークの加工部13の端部13eの位置からz軸正方向に向かって、余裕代b(mm)、ダレ幅13aの計算値Z(mm)、及び余裕代a(mm)をそれぞれ加算して求めた位置
・測定点B:ワークの加工部13の端部13eの位置からz軸正方向に向かって、余裕代b(mm)の幅の間隔を空けた位置
余裕代aは、ダレ幅13a以外の部分、すなわちダレが形成されていない部分を含めてダレ量を測定するために設ける幅である。したがって、余裕代aは、設定してもよいし、設定しなくてもよい。換言すると、余裕代aは、例えば、0〜1mm程度に設定することができる。
余裕代bは、各ワーク間において、ワークの加工部13の端部13eは多少の位置のばらつきが生じ得るため、当該ばらつきを考慮するために設ける間隔である。余裕代bは、例えば、当該端部13eの位置のばらつきの値に1/2を乗算することによって求めることができる。
測定点Aは、余裕代b(mm)、ダレ幅13aの計算値Z(mm)、及び余裕代a(mm)をそれぞれ加算して求めた位置であってもよいし、余裕代aは含まなくてもよい。一方、ワークによってばらつきが含まれる可能性がある余裕代bは含まずに測定を行うことが好ましいため、測定点Bは、余裕代b(mm)の幅の間隔を空けた位置に設定することが好ましい。
上記のようにしてダレ幅13aの計算値から求めた測定点A及び測定点Bを用いて、ダレ量13bの測定を行う。より具体的には、例えば図6に示すように、測定点Aの値から測定点Bの値を減算した絶対値が、ダレ量13bである。
次に、図5に対応する図6のグラフを用いて、ダレ量の測定結果の例について説明する。図6は、実施の形態にかかるワークの加工部におけるダレ量の測定結果の例を示すグラフである。図6のグラフは、図5のxz平面と対応するものである。図6に示すように、測定点A〜測定点B間の測定領域Lにおけるダレ量13bを測定することができる。ダレ量の測定は、例えば、タッチプローブを用いて行うことができる。
<ステップS3:刃具の軌跡の補正>
ステップS3では、ステップS2で測定したダレ量を用いて、次のワークの加工径を決定するとともに、次のワークのダレ幅における刃具の所定の軌跡を補正する。
図7は、実施の形態にかかる刃具の所定の軌跡と、当該軌跡を補正する領域を示す模式図である。ダレは、切削部14cより左側(z軸負側)の位置から、切削終了点である切削部14hにかけて形成される。すなわち、刃具11を刃具11cの位置から刃具11dの位置まで移動させる間に、ダレが形成される。つまり、刃具11を、刃具11cの位置から刃具11dの位置まで移動させる間の刃具11の所定の軌跡を補正することによって、ダレの形成を抑制することができる。
刃具11の所定の軌跡を補正するにあたり、刃具の軌跡の補正開始点Y1と、補正終了点Y2を定める。まず、補正開始点Y1について説明する。図7に示すように、刃具11cの位置において、刃具11と加工部13のy軸負側の端部とが接触する点を、補正開始点Y1点とする。同様に、補正終了点Y2点を定める。図7に示すように、刃具11dと、Y1点からy軸負方向に向かって引いた線とが交わる点であって、加工終了点である切削部14hと同じ辺に位置する点をY2点とする。
ここで、図7に加え、さらに図8を用いて刃具の軌跡の補正方法について説明する。
図8は、実施の形態にかかる補正後の刃具の軌跡の例を示す模式図である。
補正前の刃具11の軌跡は、yz平面において、y軸正方向からy軸負方向に移動するものである。つまり、前述の通り、補正前の刃具11の軌跡、すなわち第1回目のステップS1における刃具11の軌跡では、x軸方向の移動は行われていない。
これに対し、補正後の刃具11の軌跡は、図8に示すように、刃具11をy軸正方向からy軸負方向に移動させることに加えて、x軸方向にも移動させるものである。
まず、ステップS3にて測定したダレ量13bを、ダレ補正量とする。次のワークの設計上の所望のワークの径(狙い径)に対し、ダレ補正量を加算又は減算することによって、次のワークの加工径を決定する。加工したワークWのダレの形状が、加工部13の端部においてr状に削れている場合は、ダレ補正量を加算して、次のワークの加工径を決定する。逆に、加工部13の端部が凸状又はラッパ状に形成されている場合は、ダレ補正量を減算して、次のワークの加工径を決定する。
図8に示す例では、ワークの狙い径X1にダレ補正量を加算して、次のワークの加工径X2としている。つまり、図8の例の場合は、設計ではラッパ状の形状の加工品が成形されるように刃具の所定の軌跡を設定し、ワークの加工を行うと、実際の加工品では所望の形状である円筒形状に近いものを得ることができる。このようにして次のワークの加工径X2を設定するとともに、次のワークのダレ幅の計算値(Zmm)の領域における刃具11の軌跡を補正する。
より具体的には、図7及び図8に示すY1点からY2点へ刃具11を移動させるとともに、図8に示すX1点からX2点へ刃具11を移動させるように、刃具11の軌跡の補正を行う。換言すると、刃具11をy軸正方向からy軸負方向に移動させつつ、ダレ量に応じて、刃具11をx軸正方向又は負方向に移動させるように、刃具11の軌跡の補正を行う。刃具11を地点(X1,Y1)から地点(X2,Y2)へ移動させる際には、当該2点を結んだ線上を滑らかに移動させるような軌跡とすることが好ましい。
<ステップS4:次のワークの準備>
ステップS4では、ステップS3にて補正した刃具11の軌跡を、新たな所定の軌跡として設定する。新たなワークを準備したら、ステップS1に戻り、各ステップを繰り返し行う。
スカイビング加工では、ワークの回転軸に対して刃具が斜めに配置されているため、刃具を一定条件で送る場合、刃具の送り方向の端部では形状ダレ(ダレ)が生じ、当該ダレが形成されることによってワークの加工精度が低下するという問題があった。
これに対し、本実施の形態にかかるスカイビング加工方法は、(a)回転するワークに対し逆方向に移動する、所定の軌跡を有する刃具を用いて、ワークを円筒状にスカイビング加工する工程と、(b)ダレ幅の計算値から求めた領域において、加工されたワークのダレ量を測定する工程と、(c)次のワークの狙い径に対し、測定したダレ量を加算又は減算することによって、次のワークの加工径を決定するとともに、次のワークのダレ幅における刃具の所定の軌跡を補正する工程と、(d)補正した刃具の軌跡を新たな所定の軌跡とし、次のワークを準備する工程と、を備え、上記工程(a)〜(d)を繰り返すものである。
上述の通り、ダレ幅を計算し、理論的に明確な領域を規定した上で、当該領域におけるダレ量の測定を行っているため、本実施の形態にかかるスカイビング加工方法では、正確なダレ量を測定することができる。ここで、一般に、ハードスカイビング加工では、加工回数が増加するとダレ量が増加することが知られている。一方、本実施の形態では、一つ前のワークのダレ量の測定結果を、次のワークの加工に用いる刃具の所定の軌跡の補正に用いる。より具体的には、刃具の所定の軌跡が、ダレが形成される領域において、一連の加工工程を繰り返すごとに補正される。したがって、加工回数を重ねるごとに、切削抵抗の変化を抑制することができるため、結果としてダレの形成を抑制することができる。すなわち、より所望の円筒形状に近い加工品を得ることができる。よって、本実施の形態にかかるスカイビング加工方法では、加工回数を重ねるごとに、加工精度を向上させることができる。
以下、図9を参照し、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例として、刃具の軌跡の補正を行ってスカイビング加工を行った場合と、比較例として、刃具の軌跡の補正を行わずにスカイビング加工を行った場合について、それぞれのダレ量を測定した。実施例では刃具の軌跡を補正し、比較例では補正しなかったこと以外は、実施例及び比較例ともに同条件で行った。ワークは、円筒状のワークを用いた。刃具は、ホルダ角45°の刃具と、ホルダ角60°の刃具を用いた。切削条件は、切削速度V:200(m/分)、1回転あたりの送り量f:0.2(mm/rev)、切込量ap.:0.09(mm)、各N=1で行った。
図9は、実施例及び比較例にかかるスカイビング加工方法を用いて加工を行ったワークのダレ量の結果を示すグラフである。図9に示すように、比較例において、ホルダ角60°のサンプル(白丸で示す)は、ダレ量が1μmであり、ダレ量の目標上限値である2μmを下回っていた。しかし一方で、ホルダ角45°のサンプル(白三角で示す)では、図9に示す通りダレ量が3.9μmであり、ダレ量の目標上限値である2μmを上回る結果であった。
これに対し、刃具の軌跡の補正を行った実施例では、ホルダ角60°のサンプル(黒丸で示す)は、ダレ量が0μmであった。さらにホルダ角45°のサンプル(黒三角で示す)においても、図9に示す通りダレ量が0.8μmであり、ダレ量の目標上限値である2μmを大幅に下回る結果を得ることができた。実施例のダレ量の値は、研削盤を用いた研磨仕上加工を用いた場合と同程度の少ないダレ量である。したがって、本発明にかかるスカイビング加工を用いることによって、ダレの形成を抑制し、ワークの加工精度を向上することができた。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
11、11a〜11d 刃具
12 加工幅
13 加工部
13a ダレ幅
13b ダレ量
13e 端部
14、14a〜14h 切削部
L 測定領域
W ワーク
θ ホルダ角

Claims (1)

  1. (a)回転するワークに対し逆方向に移動する、所定の軌跡を有する刃具を用いて、前記ワークを円筒状にスカイビング加工する工程と、
    (b)ダレ幅の計算値から求めた領域において、加工された前記ワークのダレ量を測定する工程と、
    (c)次のワークの狙い径に対し、測定した前記ダレ量を加算又は減算することによって、前記次のワークの加工径を決定するとともに、前記次のワークのダレ幅における前記刃具の前記所定の軌跡を補正する工程と、
    (d)補正した前記刃具の軌跡を新たな所定の軌跡とし、前記次のワークを準備する工程と、を備え、
    上記工程(a)〜(d)を繰り返す、
    スカイビング加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116922155A (zh) * 2023-09-18 2023-10-24 四川普什宁江机床有限公司 一种基于数控齿轮机床的二次对刀方法

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