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JP2020113529A - 有機el表示パネル、及び有機el表示パネルの製造方法 - Google Patents

有機el表示パネル、及び有機el表示パネルの製造方法 Download PDF

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JP2020113529A
JP2020113529A JP2019121412A JP2019121412A JP2020113529A JP 2020113529 A JP2020113529 A JP 2020113529A JP 2019121412 A JP2019121412 A JP 2019121412A JP 2019121412 A JP2019121412 A JP 2019121412A JP 2020113529 A JP2020113529 A JP 2020113529A
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利樹 錦織
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Abstract

【課題】透過型の有機EL表示パネルにおいて、基板内方の塗布領域における発光層の膜厚ムラの発生を抑制して輝度ムラの発生を抑制する。【解決手段】透過型の有機EL表示パネル10であって、光透過性の基板100xと、基板上に、行方向に複数の有機EL素子100を含む画素100eが、列方向に複数個、列設された画素列100elが、行方向に画素列の幅より大きい間隔を隔てて複数本、並設されてなる画素列群100elgと、を備え、ひとつの画素100eに含まれる複数の有機EL素子100は、それぞれが、発光色の異なる複数の有機発光材料の何れかを含み、基板100x上の間隔に相当する部分を基板の非画素領域10a2とするとき、当該非画素領域10a2における画素列100elと行方向に隣り合う部分の上方には、複数の有機発光材料の何れかを含むダミー発光層123Aが形成されている。【選択図】図2

Description

本開示は、有機材料の電界発光現象を利用した有機EL(Electro Luminescence)表示パネルに関し、特に、光透過性の基板の背面のからの入射光と有機EL素子から発せられる光とを表面側から出射する透過型の有機EL表示パネルの画質改善技術に関する。
近年、デジタルテレビ等の表示装置に用いられる表示パネルとして、基板上に有機EL素子を行列状に複数配列した有機EL表示パネルが実用化されている。
有機EL素子は、一対の電極の間に有機発光材料を含む発光層が配設された構造を有している。1つの有機EL素子の発光層と、隣り合う有機EL素子の発光層とは、絶縁材料からなるバンクで仕切られている。有機EL素子は、駆動時に、一対の電極対間に電圧が印加され、発光層に注入されるホールと電子との再結合に伴って発光する。
上述の有機EL表示パネルを製造する場合、特に、発光層等の作製においては、例えば、液滴吐出法(インクジェット法)を用いることにより、有機発光材料のインク液を基板上に吐出、塗布し、乾燥させる。
このとき、基板上の塗布領域における周辺部では、塗布されたインク液から蒸発した溶媒分子の分圧が低いため、基板上の塗布領域の中央部と比較すると、速く乾きはじめる。このように基板上に塗布されたインク液の乾燥時間の差は、基板上の塗布領域での発光層の膜厚ムラを引き起こし、輝度ムラの要因となる場合があった。これに対し、塗布領域内での有機EL薄膜の膜厚の均一化を図る手法として、塗布領域の周囲や、隣りあう表示画素間に、有機発光材料を含む組成物を塗布する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2)
特開2005−259718号公報 特開2004−87508号公報
しかしながら、光透過性の基板の背面のからの入射光と有機EL素子から発せられる光とを表面側から出射する透過型の有機EL表示パネルを想定した場合、光透過性の領域を確保するために基板上に面内の画素密度が低下するか、あるいは、画素密度が低い領域が発生する。そのため、反射型の有機EL表示パネルと比べて基板内方の塗布領域における発光層の膜厚ムラが顕著に発生し輝度ムラの要因となるということが懸念される。
本開示は、透過型の有機EL表示パネルにおいて、想定される基板内方の塗布領域における発光層の膜厚ムラの発生を抑制して輝度ムラの発生を抑制する有機EL表示パネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本開示の一態様に係る有機EL表示パネルは、透過型の有機EL表示パネルであって、光透過性の基板と、前記基板上に、行方向に複数の有機EL素子を含む画素が、列方向に複数個、列設された画素列が、行方向に前記画素列の幅より大きい間隔を隔てて複数本、並設されてなる画素列群と、を備え、ひとつの前記画素に含まれる前記複数の有機EL素子は、それぞれが、発光色の異なる複数の有機発光材料の何れかを含み、前記基板上の前記間隔に相当する部分を前記基板の非画素領域とするとき、当該非画素領域における前記画素列と行方向に隣り合う部分の上方には、前記複数の有機発光材料の何れかを含むダミー発光層が形成されていることを特徴とする。
また、本開示の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、透過型の有機EL表示パネルの製造方法であって、基板を準備する工程と、前記基板上方に、副画素電極が列方向に複数個列設された副画素電極の列が、行方向に第1の間隔を隔てて並設された副画素電極の列群を、行方向に前記第1の間隔より広い第2の間隔を隔てて複数本、並設する工程と、前記基板上の前記副画素電極の列群が存在する部分では複数本の前記副画素電極の列それぞれを行方向に挟むように、前記基板上の前記第2の間隔に相当する部分では行方向における前記副画素電極のピッチで、前記基板上面に複数の列バンクを列方向に延伸させて形成する工程と、隣り合った前記列バンクの間のうち、前記副画素電極が存在する画素間隙と、少なくとも画素間隙と行方向に隣り合う前記副画素電極が存在しない非画素間隙とに、前記有機発光材料を含むインクを塗布する工程と、前記インクに含まれる溶媒を蒸発させて、前記画素間隙に発光層を、前記画素間隙と行方向に隣り合う非画素間隙にダミー発光層を形成する工程と、前記発光層の上方に対向電極を形成する工程とを有することを特徴とする。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネル、有機EL表示パネルの製造方法によると、透過型の有機EL表示パネルにおいて、基板内方の塗布領域における発光層の膜厚ムラの発生を抑制することができる。その結果、面内に膜厚のアンバランスの方向や程度が異なる副画素が混在することに起因して、低視野角から視認したときに副画素の膜厚のアンバランスの方向や程度に応じて大きな輝度ばらつきを抑制できる。
実施の形態に係る有機EL表示パネル10の平面図である。 図1におけるA部の模式平面図である。 図2におけるX1−X1で切断した模式断面図である。 有機EL表示パネル10の製造工程のフローチャートである。 (a)〜(d)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(b)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(b)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(b)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(b)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(g)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(b)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)は有機EL表示パネル10、(b)比較例における発光層の形成過程を示す模式断面図である。 (a)は、1つの有機EL表示パネル10の実施例1、2、比較例における一枚の有機EL表示パネル内の発光層の断面プロファイルの測定位置を示す模式平面図、(b)は1つの有機EL発光層内の発光層の表面の高さの測定位置を示す模式断面図である。 (a)(b)(c)は、それぞれ、有機EL表示パネル10の実施例1、2及び比較例における列バンクと発光層の断面プロファイルの測定結果である。 (a)は、有機EL表示パネル10の実施例1、(b)は、実施例2及び比較例の各測定部における赤色の発光層の高さa、bの差|b−a|である。 有機EL表示パネル10の実施例1、2及び比較例の各測定部における赤色の発光層の高さa、bの差|b−a|の平均及び分散を示した図である。 (a)から(c)は、変形例1に係る有機EL表示パネル10Aの発光層の形成過程を示す、図1におけるA部と同じ部分の模式平面図である。 比較例の各測定部の位置と、各測定部における赤色の発光層の高さの差|b−a|を、基板100xの周辺部に位置する測定部と当該測定部における測定値に丸印を付して表した図である。 変形例2に係る有機EL表示パネル10Bにおける、図1のA部と同じ部分の模式平面図である。 変形例3に係る有機EL表示パネル10Cにおける、図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。 変形例4に係る有機EL表示パネル10Dにおける、図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。 変形例5に係る有機EL表示パネル10Eにおける、図1のA部と同じ部分の模式平面図である。 変形例8に係る有機EL表示パネル10Fにおいて、図2におけるX1−X1と同じ断面で切断した模式断面図である。 変形例8に係る有機EL表示パネル10Fにおける、図1のA部と同じ部分の模式平面図である。 変形例9に係る有機EL表示パネル10Gの模式平面図である。 変形例10に係る有機EL表示パネル10Hの模式平面図である。 実施の形態に係る有機EL表示装置の回路構成を示す模式ブロック図である。 有機EL表示装置に用いる有機EL表示パネル10の各副画素100seにおける回路構成を示す模式回路図である。
≪本発明を実施するための形態の概要≫
本開示の実施の形態に係る有機EL表示パネルは、透過型の有機EL表示パネルであって、光透過性の基板と、前記基板上に、行方向に複数の有機EL素子を含む画素が、列方向に複数個、列設された画素列が、行方向に前記画素列の幅より大きい間隔を隔てて複数本、並設されてなる画素列群とを備え、ひとつの前記画素に含まれる前記複数の有機EL素子は、それぞれが、発光色の異なる複数の有機発光材料の何れかを含み、前記基板上の前記間隔に相当する部分を前記基板の非画素領域とするとき、当該非画素領域における前記画素列と行方向に隣り合う部分の上方に、前記複数の有機発光材料の何れかを含むダミー発光層が形成されていることを特徴とする。
係る構成により、透過型の有機EL表示パネルにおいて、基板内方の塗布領域における発光層の膜厚ムラの発生を抑制することができる。その結果、面内に膜厚のアンバランスの方向や程度が異なる副画素が混在することに起因して、低視野角から視認したときに副画素の膜厚のアンバランスの方向や程度に応じて大きな輝度ばらつきを抑制できる。そのため、低視野角からの視認性を高めることができ、表示画像に対する視野角は看者と背景対象物との位置関係の影響により変動することに起因して、反射型の表示パネルに比べて低視野角における高い視認性が求められる透過型の表示パネルとして有効に利用できる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記非画素領域において、前記ダミー発光層が存在する部分は、前記ダミー発光層が存在しない部分よりも厚み方向の可視光透過率が低い構成としてもよい。
係る構成により、基板内方の塗布領域における発光層の膜厚ムラの発生を抑制するとともに、非画素間隙のうちダミー発光層が存在しない部分において可視光透過率を向上することができ、透過型の表示パネルとして透過像の視認性を向上することができる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記ダミー発光層は、ひとつの前記画素に含まれる前記複数の有機発光材料をすべて含む構成としてもよい。
係る構成により、青(B)、緑(G)及び赤(R)のインクを塗布するすべての走査において、ダミー間隙内にインクをあふれる限界まで満たした状態にして画素間隙内へインクを塗布することができることができる。その結果、画素領域における画素間隙のうち非画素領域との境界に近い間隙において、画素領域の外方におけるインク膜厚の増加はより一層抑制することができる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記複数本の画素列と隣り合う複数の前記ダミー発光層のうち、行方向において前記基板の外縁に近い周辺部ダミー発光層は、行方向において前記基板の内方に近い中央部ダミー発光層よりも、含まれる有機発光材料の量が多い構成としてもよい。
係る構成により、基板の周辺部において、画素領域における画素間隙のうち非画素領域との境界に近い画素間隙において、画素領域の外方におけるインク膜厚が顕著に増加するという現象を抑制できる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記周辺部ダミー発光層は、前記中央部ダミー発光層よりも、行方向の幅が広い構成としてもよい。
係る構成により、行方向において前記基板の外縁に近い周辺部ダミー発光層は、行方向において前記基板の内方に近い中央部ダミー発光層よりも、含まれる有機発光材料の量が多い構成を実現できる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において前記周辺部ダミー発光層は、前記中央部ダミー発光層よりも、厚みが厚い構成としてもよい。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記基板は基材と、前記基材の上面に形成された有機材料からなる平坦化層を含み、前記ダミー発光層は、前記平坦化層を凹陥させた溝に形成されている構成としてもよい。
係る構成により、平面視におけるダミー発光層の幅を異ならせることなく、ダミー間隙522zA内に充填するインクの量を基板の中央部よりも周辺部において増加することができる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記基板上面には、列方向に複数の列バンクが延伸されており、前記画素列においては、隣り合った前記列バンクの間の画素間隙に、前記有機EL素子に対応する画素電極と、前記複数の有機発光材料の何れかを含む発光層が形成されており、前記非画素領域においては、隣り合った前記列バンクの間の非画素間隙のうち、行方向において最も前記画素列に近いダミー間隙に、前記ダミー発光層が形成されている構成としてもよい。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記ダミー発光層が形成される非画素間隙を挟む列バンクは、前記画素間隙に挟まれた前記列バンクよりも高さが高い構成としてもよい。
係る構成により、行方向において前記基板の外縁に近い周辺部ダミー発光層は、行方向において前記基板の内方に近い中央部ダミー発光層よりも、含まれる有機発光材料の量が多い構成を実現できる。
本開示の実施の形態に係る有機EL表示パネルの製造方法は、透過型の有機EL表示パネルの製造方法であって、基板を準備する工程と、前記基板上方に、副画素電極が列方向に複数個列設された副画素電極の列が、行方向に第1の間隔を隔てて並設された副画素電極の列群を、行方向に前記第1の間隔より広い第2の間隔を隔てて複数本、並設する工程と、前記基板上の前記副画素電極の列群が存在する部分では複数本の前記副画素電極の列それぞれを行方向に挟むように、前記基板上の前記第2の間隔に相当する部分では行方向における前記副画素電極のピッチで、前記基板上面に複数の列バンクを列方向に延伸させて形成する工程と、隣り合った前記列バンクの間のうち、前記副画素電極が存在する画素間隙と、少なくとも画素間隙と行方向に隣り合う前記副画素電極が存在しない非画素間隙とに、前記有機発光材料を含むインクを塗布する工程と、前記インクに含まれる溶媒を蒸発させて、前記画素間隙に発光層を、前記画素間隙と行方向に隣り合う非画素間隙にダミー発光層を形成する工程と、前記発光層の上方に対向電極を形成する工程とを有することを特徴とする。
係る構成により、画素間隙のうち、非画素領域との境界に近い間隙では、ダミー間隙に塗布されたダミー発光層のインクが存在することにより、周縁部分の中央部分に対する溶媒蒸気圧の低下が抑制される。そのため、間隙では、画素領域の外方に位置するインク部分と内方に位置するインク部分との溶媒の蒸発速度の差は減少する。
そのため、画素領域における画素間隙のうち非画素領域との境界に近い間隙において、画素領域の外方におけるインク膜厚の増加は抑制することができる。すなわち、基板内方の塗布領域における発光層の膜厚ムラの発生を抑制して輝度ムラの発生を抑制することができる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、ひとつの前記副画素電極の列群に含まれる前記複数の副画素電極の列に対応する画素間隙には、それぞれが、発光色の異なる複数の有機発光材料を含むインクが塗布され、前記画素間隙と行方向に隣り合い前記副画素電極が存在しない非画素間隙には、前記複数の有機発光材料を含むインクから選択される1以上の有機発光材料を含むインクが塗布される構成としてもよい。
係る構成により、ひとつの画素に含まれる複数の有機EL素子は、それぞれが、発光色の異なる複数の有機発光材料の何れかを含む構成において、基板内方の塗布領域における発光層の膜厚ムラの発生を抑制して輝度ムラの発生を抑制することができる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記インクを塗布する工程において、画素間隙に対する発光色の異なる複数の有機発光材料を含むインクが塗布は、単位面積当たりの溶媒蒸発時間が大きいインクから順に塗布を行う構成としてもよい。
係る構成により、塗布された溶媒蒸発時間が小さいインクを溶媒蒸気圧の高い雰囲気中に置きその乾燥を抑制することができる。その結果、溶媒蒸発時間が小さいインクにおける画素領域の外方におけるインク膜厚が増加する現象を抑制することができる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記画素列においては、前記基板上面に列方向に複数の列バンクが延伸されており、隣り合った前記列バンクの間の画素間隙に、前記有機EL素子に対応する画素電極と、前記複数の有機発光材料の何れかを含む発光層が形成されており、前記非画素領域においては、画素間隙を形成する前記列バンクのうち行方向もおいて最も外方に位置する第1の列バンクに隣り合って、前記第1の列バンクとの間にダミー間隙を形成する第2の列バンクのみが形成されており、前記ダミー間隙に前記ダミー発光層が形成されている構成としてもよい。
係る構成により、表示パネルの裏側にある対象物(背景対象物)の像の視認性を向上することができる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記画素列の行方向の両側に位置する2つの前記ダミー発光層は、列方向の端部で行方向につながっている構成としてもよい。
係る構成により、画素領域内の画素間隙に塗布された発光層のインクが、画素領域の列方向の周辺部において溶媒の蒸発速度が相対的に大きく、列方向の周辺部から溶媒の乾燥は始まる現象を抑制できる。その結果、画素領域の列方向の周辺部において副画素内で列方向に発光層の膜厚のアンバランスが生じ、副画素電対として必要な平均膜厚が得られず副画素の輝度が低下することを抑制できる。特に、画素領域の列方向の周辺部において低視野角から視認したときに大きな輝度ばらつきが生じることを抑制できる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、透過型の有機EL表示パネルの製造方法であって、基板を準備する工程と、前記基板上方に、副画素電極が列方向に複数個列設された副画素電極の列が、行方向に第1の間隔を隔てて複数本の並設された副画素電極の列群を、行方向に前記第1の間隔より広い第2の間隔を隔てて複数本、並設する工程と、前記基板上の前記副画素電極の列群が存在する部分では複数本の前記副画素電極の列それぞれを行方向に挟むように、前記基板上の前記第2の間隔に相当する部分では行方向における前記副画素電極のピッチで、前記基板上面に複数の列バンクを列方向に延伸させて形成する工程と、隣り合う前記列バンクの間のうち、前記副画素電極が存在する画素間隙には有機発光材料を含むインクを塗布するとともに、少なくとも画素間隙と行方向に隣り合い前記副画素電極が存在しない非画素間隙にダミー溶媒を塗布する工程と、前記インクに含まれる溶媒及び前記ダミー溶媒を蒸発させて、前記画素間隙に発光層を形成する工程と、前記発光層の上方に対向電極を形成する工程とを有する構成としてもよい。
係る構成により、ダミーの溶媒を塗布した非画素間隙には乾燥後に有機発光材料が残らないために、完成した表示パネルにおいて画素間隙に隣り合う非画素間隙の可視光透過率を向上することができ、透過型の表示パネルとして透過像の視認性を向上することができる。
≪実施の形態≫
本実施の形態に係る有機EL表示パネル10(以後、「表示パネル10」と称する)について、図面を用いて説明する。なお、図面は模式図であって、その縮尺は実際とは異なる場合がある。
<表示パネル10の全体構成>
図1は、実施の形態に係る表示パネル10の平面図である。本明細書では、図におけるX方向、Y方向、Z方向を、それぞれ表示パネル10における、行方向、列方向、厚み方向とする。表示パネル10は、有機材料の電界発光現象を利用した有機EL(Electro Luminescence)パネルであって、光透過性の基板100xと上部基板130とが対向配置された基本構造を有し、基板100xの背面のからの入射光と有機EL素子から発せられる光とを表面側から出射する透過型の有機EL表示パネルである。
同図に示すように表示パネル10は、平面視したとき、画像表示領域10aと、画像表示領域10aの基板外方に位置する周辺領域10bとを有する。画像表示領域10aでは、光透過性の基板100x表面側に複数の有機EL素子が、例えば、X方向及び/又はY方向に所定の間隔を空けてマトリクス状に配列され構成されている構成を採る。本実施の形態では、図1に示すように、表示パネル10には、画像表示領域10aには、基板上100xに、複数の単位画素100eが列方向に複数個、列設された画素列100elが、行方向に画素列100elの行方向の幅より大きい間隔を隔てて複数本が並設されてなる画素列群100elgを構成している。それぞれの単位画素100eは、行方向に並んだ発光色の異なる複数の副画素100seを含み、1つの副画素100seが1つの有機EL素子100から構成されている。ひとつの画素100eに含まれる複数の有機EL素子100は、本例では、青(B)、緑(G)、赤(R)の発光色の有機EL素子100からなる。
<表示パネル10の画像表示領域10aの構成>
基板上100x上の画像表示領域10aは、画素列100elがある画素領域10a1と画素列100elがない非画素領域10a2が交互に配置された構成を採る。非画素領域10a2の行方向の幅は画素領域10a1の行方向の幅に対し、例えば、1倍以上5倍以下としてもよい。以上の構成により、表示パネル10は、画素列群100elgが画素領域10a1にある画素100eを点灯させることにより全体としてディスプレイとして機能し、看者は画素列群100elgが表示する表示画像と非画素領域10a2の背面のから透過光とを視認することができる。
図2は、図1におけるA部の拡大図である。表示パネル10の画像表示領域10a内の一部を示す模式平面図であって、後述する発光層123、電子輸送層124、対向電極125、封止層126、前面板131を取り除いた状態を示した図である。
表示パネル10は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が形成された基板100x(TFT基板)に、各々が画素を構成する複数の有機EL素子100が上記した態様にて配され、上面より光を発するトップエミッション型の構成を有する。
図2に示すように、表示パネル10における基板100xの画素領域10a1には、副画素100seに対応して複数の画素電極119が基板100x上に行及び列方向にそれぞれ所定の距離だけ離れた状態でマトリックス状に配されている。画素電極119は、平面視において矩形形状であり、光反射材料からなり光透過性を有しない。画素電極119の下方には、画素電極119とTFTのソースS1とを接続する接続凹部(コンタクトホ
ール、不図示)が設けられている。
図2に示すように、表示パネル10は、基板100x上を区画してRGB各色の発光単位を規制する列バンク522Yが配されている。列バンク522Yの形状は、いわゆるライン状のバンク形式を採用し、画素領域10a1では、行方向に隣り合う2つの画素電極119を挟んで、各条が列方向に延伸する列バンク522Yが行方向に並設されている。また、非画素領域10a2にも、画素領域10a1と同一の間隔で、列バンク522Yが行方向に並設されている。
隣り合う列バンク522Y間を間隙522zと定義し、画素領域10a1における青(B)、緑(G)、赤(R)の発光色の副画素100seに対応する間隙を間隙522zB、522zG、522zR(区別しないときは「画素間隙522zP」とし、行方向における間隙522zBの右方と間隙522zRの右方に位置するそれぞれの間隙をダミー間隙522zAとする。なお、後述するが、間隙522zB、522zG、522zRには、それぞれ各色発光層123B、123G、123Rが形成され、ダミー間隙522zAには、ダミー発光層123Aが形成される。
また、ダミー間隙522zAには、対向電極125の電流容量を補うために複数の補助電極(不図示)が基板100x上の画素列elに沿って列方向にわたり連続して敷設されていてもよい。
<画像表示領域10aにおける各部の構成>
表示パネル10における有機EL素子100の構成について、図3を用いて説明する。図3は、図2におけるX1−X1で切断した模式断面図である。
図3に示すように、表示パネル10においては、Z軸方向下方に薄膜トランジスタが形成された基板100x(TFT基板)が構成され、その上に有機EL素子部、前面板131が積層されている。有機EL素子部は、その主な構成として、平坦化層118、画素電極119、ホール注入層120、ホール輸送層121、列バンク522Y、有機発光層123、電子輸送層124、対向電極125、封止層126の各層から構成される。
(基板100x)
基板100xは表示パネル10の支持部材であり、基材(不図示)と、基材上に形成されたTFT層(不図示)とを有する。
基材は、表示パネル10の支持部材であり平板状である。基材の材料としては、電気絶縁性を有する材料、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド材料、アルミナ等の絶縁性材料のいずれかで形成することができる。透光性を有する材料を用いることにより、透過型表示パネルとして利用することが可能となる。また、可撓性を有するプラスチック材料として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。材料としては、電気絶縁性を有する材料、例えば、樹脂材料を用いることができる。
TFT層は、基材の表面に副画素毎に設けられており、各々には薄膜トランジスタ素子を含む副画素回路が形成されている。TFT層は、基材上面に形成された電極、半導体層、絶縁層などの多層構造からなる。
[平坦化層118]
基材上及びTFT層の上面には平坦化層118が設けられている。基板100xの上面に位置する平坦化層118は、TFT層と画素電極119との間の電気的絶縁性を確保すると共に、TFT層の上面に段差が存在してもそれを平坦化して、画素電極119を形成する下地面への影響を抑える機能を持つ。平坦化層118の材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂等の有機絶縁材料、SiO(酸化シリコン)やSiN(窒化シリコン)等の無機絶縁材料を用いることができる。平坦化層118には、画素電極119と対応するTFTの副画素回路のソースS1とを接続するためにのコンタクトホール(不図示)が開設されている。
(有機EL素子100)
[画素電極119]
基板100xにおける画像表示領域10aの上面に位置する平坦化層118上には、副画素100seに対応して画素電極119が設けられている。
画素電極119は、発光層123へキャリアを供給するためのものであり、例えば陽極として機能した場合は、発光層123へホールを供給する。金属層としては、シート抵抗が小さく、高い光反射性を有する材料として、例えば、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、アルミニウム合金、Mo(モリブデン)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)等からなる。画素電極119の厚みは、例えば、200nm以上400nm以下としてもよい。
画素電極119の形状は、例えば、概矩形形状をした平板状である。平坦化層118のコンタクトホール上には、画素電極119の一部を基板100x方向に凹入された画素電極119の接続電極(不図示)が形成されており、接続凹部の底で画素電極119と対応する画素のソースS1 に接続される配線とが接続される。
なお、画素電極119の表面にさらに公知の透明導電膜を設けてもよい。透明導電膜の材料としては、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)を用いることができる。
[ホール注入層120]
画素電極119上には、ホール注入層120が積層されている。ホール注入層120は、画素電極119から注入されたホールをホール輸送層121へ輸送する機能を有する。
ホール注入層120は、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる層である。ホール注入層120の厚みは、例えば、数nm〜数十nmとしてもよい。
[列バンク522Y]
画素電極119、ホール注入層120の端縁を被覆するように絶縁物からなるバンクが形成されている。列バンク522Y同士の間には間隙522zが形成され、画素領域10a1では、画素間隙522zPの底部には、複数の画素電極119がY方向に列設され、その上に機能層としてのホール注入層120、ホール輸送層121、有機発光層123、電子輸送層124が形成されている。また、非画素領域10a1にある間隙522zのうち、行方向において画素領域10a1の両側において隣り合うダミー間隙522zAにはダミー発光層123Aが形成される。
列バンク522Yの形状は、列方向に延伸する線状であり、行方向に平行に切った断面は、上方を先細りとする順テーパー台形状である。列バンク522Yは、画素領域10a1では、発光層123をウェット法で形成するときに、発光層123の材料となる有機化合物を含んだインクの行方向への流動を堰き止めて塗布されたインクがあふれ出ないようにする構造物として機能する。また、列バンク522Yは、画素領域10a1では、行方向の基部により行方向における各副画素100seの発光領域100aの外縁を規定する。
列バンク522Yは、絶縁性の有機材料(例えばアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等)、あるいは、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの無機材料からなる。
[ホール輸送層121]
画素領域10a1における間隙522zR、522zG、522zB内のホール注入層120上、ホール輸送層121が積層される。ホール輸送層121は、ホール注入層120から注入されたホールを発光層123へ輸送する機能を有する。ホール輸送層121は、例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはアミン系有機高分子であるポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物、あるいは、TFB(poly(9、9-di-n-octylfluorene-alt-(1、4-phenylene-((4-sec-butylphenyl)imino)-1、4-phenylene))などを用い
ることができる。
さらに、図3に示すように、ダミー間隙522zA内の平坦化層118上に、ダミーのホール輸送層121を形成してもよい。
[発光層123、ダミー発光層123A]
画素領域10a1における間隙522zR、522zG、522zB内のホール輸送層121上、及びダミー間隙522zA内のホール輸送層121(ホール輸送層121が無い場合には平坦化層118上)には、発光層123が積層されている。発光層123は、有機化合物からなる層であり、電圧を印加されることにより内部でホールと電子とが注入され再結合されることにより励起状態が生成され発光する機能を有する。列バンク522Yにより規定された間隙522zR、間隙522zG、間隙522zB、ダミー間隙522zA内では、発光層123は、列方向に延伸するように線状に設けられている。赤色間隙522zR、緑色間隙522zG、青色間隙522zBには、それぞれ各色に発光する発光層123R、123G、123Bが形成されている。ダミー間隙522zAには、発光に寄与しないダミー発光層123Aが形成される。
表示パネル10では、発光層123の材料には、湿式印刷法を用い成膜できる発光性の有機材料を用いる。具体的には、例えば、特許公開公報(日本国・特開平5−163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
[電子輸送層124]
列バンク522Y及び列バンク522Yにより規定された間隙522z内の発光層123上を被覆するように電子輸送層124が積層して形成されている。電子輸送層124は、対向電極125からの電子を発光層123へ輸送するとともに、発光層123への電子の注入を制限する機能を有する。表示パネル10では、少なくとも表示領域全体に連続した状態で形成されている。
電子輸送層124に用いる電子輸送性が高い有機材料として、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。フッ化ナトリウムで形成された層を含んでいてもよい。また、アルカリ金属、又は、アルカリ土類金属から選択されるドープ金属がドープされて形成された層を含んでいてもよい。
[対向電極125]
電子輸送層124上に、対向電極125が形成されている。対向電極125は、画素電極119と対になって発光層123を挟むことで通電経路を作る。対向電極125は、発光層123へキャリアを供給し、例えば陰極として機能した場合は、発光層123へ電子を供給する。表示パネル10では、対向電極125は各発光層123に共通の電極となっている。対向電極125は、銀(Ag)又はアルミニウム(Al)などを薄膜化した電極を用い形成される。また、金属層に加え、あるいは単独で酸化インジウムスズ(ITO)若しくは酸化インジウム亜鉛(IZO)など光透過性を有する導電材料が用いてもよい。
[封止層126]
対向電極125を被覆するように、封止層126が積層形成されている。封止層126は、ホール注入層120、ホール輸送層121、発光層123、電子輸送層124、対向電極125が水分や空気などに触れて劣化することを抑制するためのものである。封止層126は、対向電極125の上面を覆うように設けられている。また、トップエミッション型の場合においては、ディスプレイとして良好な光取り出し性を確保するために高い透光性を有する、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの透光性無機材料を用い形成される。また、透光性無機材料の層の上に、アクリル樹脂、シリコン樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
[接合層127]
封止層126の上方には、上部基板130の下側の主面にカラーフィルタ層132が形成された前面板131が配されており、接合層127により接合されている。接合層127は、基板100xと前面板131とを貼り合わせるとともに、各層が水分や空気に晒されることを防止する機能を有する。接合層127の材料は、例えば、樹脂接着剤等からなり、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂などの透光性材料樹脂材料を採用することができる。
(前面板131の各部構成)
[上部基板130]
接合層127の上に、上部基板130にカラーフィルタ層132が形成された前面板131が設置・接合されている。上部基板130には、トップエミッション型では、例えば、カバーガラス、透明樹脂フィルムなどの光透過性材料が用いられる。また、上部基板130により、表示パネル10、剛性向上、水分や空気などの侵入防止などを図ることができる。
[カラーフィルタ層132]
上部基板130には画素の各色自己発光領域100aに対応する位置にカラーフィルタ層132が形成されている。カラーフィルタ層132は、青(B)、緑(G)、赤(R)に対応する波長の可視光を透過させるために設けられる透明層であり、各色画素から出射された光を透過させて、その色度を矯正する機能を有する。例えば、本例では、間隙522zR、間隙522zG、間隙522zBの上方に、赤色、緑色、青色のカラーフィルタ層132R、132G、132Bが各々形成されている。カラーフィルタ層132としては、公知の樹脂材料(例えば市販製品として、JSR株式会社製カラーレジスト)等を採用することができる。
[遮光層133]
上部基板130には、各画素の発光領域100a間の境界に対応する位置に遮光層133が形成されている。遮光層133は、青(B)、緑(G)、赤(R)に対応する波長の可視光を透過させないために設けられる黒色樹脂層であって、例えば光吸収性及び遮光性に優れる黒色顔料を含む樹脂材料からなる。例えば、紫外線硬化樹脂(例えば紫外線硬化アクリル樹脂)材料を主成分とし、これに、例えば、カーボンブラック顔料、チタンブラック顔料、金属酸化顔料、有機顔料など遮光性材料の黒色顔料を添加してなる樹脂材料からなる。
<表示パネル10の製造方法>
表示パネル10の製造方法について、図4〜11を用いて説明する。図4は、表示パネル10の製造工程のフローチャートである。図5〜11における各図は、表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図2(画像表示領域10a)におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。
[基板100xの作成]
複数のTFTや配線(TFT層)を基板100xに形成する(図4におけるステップS1、図5(a))。
[平坦化層118の形成]
基板100xを被覆するように、上述の平坦化層118の構成材料(感光性の樹脂材料)をフォトレジストとして塗布し、表面を平坦化することにより平坦化層118を形成する(図4:ステップS2、図5(b))。具体的には、一定の流動性を有する樹脂材料を、例えば、ダイコート法により、基板100x1の上面に沿って、TFT層による基板100x1上の凹凸を埋めるように塗布したのち焼成する。
平坦化層118における、TFT素子の例えばソース電極上の個所にドライエッチング法を行い、コンタクトホール(不図示)を形成する。コンタクトホールは、その底部にソース電極の表面が露出するようにパターニングなどを用いて形成される。
次に、コンタクトホールの内壁に沿って接続電極を形成する。接続電極層の上部は、その一部が平坦化層118上に配される。接続電極層の形成は、例えば、スパッタリング法を用いることができ、金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法およびウエットエッチング法を用いてパターニングすればよい。
[画素電極119、ホール注入層120の形成]
次に、画素電極119、ホール注入層120の形成を行う。
先ず、平坦化層118を形成した後、平坦化層118の表面にドライエッチング処理を行い成膜前洗浄を行う。
次に、平坦化層118の表面に成膜前洗浄を行った後、画素領域10a1では画素電極119を形成するための画素電極用の金属膜119xをスパッタリング法、真空蒸着法などの気相成長法により平坦化層118の表面に成膜する(図4:ステップS3、図5(c))。本例では、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とする合金からなる膜をスパッタリング法により成膜する。成膜した後に焼成を行ってもよい。
さらに、金属膜119xの表面に成膜前洗浄を行った後、引き続き真空雰囲気下で、画素領域10a1ではホール注入層120を形成するための金属膜120’を気相成長法により金属膜119xの表面に成膜する(図4:ステップS4、図5(d))。本例では、タングステンをスパッタリング法により成膜する。成膜した後に焼成を行ってもよい。
その後、感光性樹脂等からなるフォトレジスト層FRを塗布したのち、所定の開口部が施されたフォトマスクPMを載置し、その上から紫外線照射を行いフォトレジストを露光し、そのフォトレジストにフォトマスクが有するパターンを転写する(図6(a))。次に、フォトレジスト層FRを現像によってパターニングする。
その後、パターニングされたフォトレジスト層FRを介して、画素領域10a1では、金属膜120’にドライエッチング処理を施してパターニングを行い、ホール注入層120を形成する。
続けて、パターニングされたフォトレジスト層FR及びホール注入層120を介して、画素領域10a1では、金属膜119xにウエットエッチング処理を施ししてパターニングを行い、画素電極119を形成する。
最後に、フォトレジスト層FRを剥離して、画素領域10a1では、同一形状にパターニングされた画素電極119及びホール注入層120の積層体を形成する。(図4:ステップS5、図6(b))。
[列バンク522Yの形成]
ホール注入層120を形成した後、ホール注入層120を覆うように列バンク522Yを形成する。列バンク522Yの形成工程では、ホール注入層120上に、スピンコート法などを用い、列バンク522Yの構成材料(例えば、感光性樹脂材料)からなる膜を積層形成する。そして、樹脂膜の上方にマスクを配して露光し、その後で現像することにより、樹脂膜をパターニングして間隙522zを開設して列バンク522Yを形成する(図4:ステップS6、図7(a))。このとき、列バンク522Yに対する焼成工程において、金属が酸化されホール注入層120として完成する。
[有機機能層の形成]
画素領域10a1では、列バンク522Yにより規定される画素間隙522zP内に形成されたホール注入層120上に対して、ホール輸送層121、発光層123を順に積層形成する。非画素領域10a1では、ダミー間隙522zA内の平坦化層118上にホール輸送層121を形成する。
ホール輸送層121は、インクジェット法やグラビア印刷法によるウェットプロセスを用い、構成材料を含むインクを列バンク522Yにより規定される画素間隙522zP内及びダミー間隙522zA内に塗布した後、溶媒を揮発除去させる、あるいは、焼成することによりなされる(図4:ステップS7、図7(b))。RGBの各副画素に形成されるホール輸送層121は、RGBの各副画素によって膜厚が異なって形成されてもよい。
発光層123の形成は、インクジェット法を用い、構成材料を含むインクを列バンク522Yにより規定される画素間隙522zP内及びダミー間隙522zA内に塗布した後、焼成することによりなされる(図4:ステップS8、図8(a))。
具体的には、基板100xは、列バンク522YがY方向に沿った状態で液滴吐出装置の動作テーブル上に載置され、Y方向に沿って複数のノズル孔がライン状に配置されたインクジェットヘッド301をX方向に基板100xに対し相対的に移動しながら、各ノズル孔から列バンク522Y同士の画素間隙522zP内及びダミー間隙522zA内に設定された着弾目標を狙ってインク18の液滴を着弾させることによって行う。
この工程では、副画素形成領域となる間隙522zB、間隙522zG、間隙522zR、及びダミー間隙522zA内に、インクジェット法により青(B)、緑(G)、赤(R)いずれかの有機発光層の材料を含むインク18をそれぞれ充填し、充填したインクを減圧下で乾燥させ、ベーク処理することによって、発光層123R、123G、123B、及びダミー発光層123Aを形成する。ダミー間隙522zA内に充填するインクは、青(B)、緑(G)、赤(R)いずれかの有機発光層の材料を含むインク18であってもよい。
基板100xに対して赤色、緑色、青色発光層の何れかを形成するためのインクの塗布が終わると、その基板に別の色のインクを塗布し、次にその基板に3色目のインクを塗布する工程が繰り返し行われ、3色のインクを順次塗布する。このとき、ダミー間隙522zA内へのインクの塗布は、青(B)、緑(G)、赤(R)いずれかの有機発光層の材料を含むインクの塗布と同一のインクジェットヘッド301の走査の中で行ってもよい。これにより、基板100x上には、青色発光層123B、緑色発光層123G、赤色発光層123R及びダミー発光層123Aが、図の紙面横方向に繰り返して並んで形成される。
なお、ホール注入層120のホール輸送層121、発光層123の形成方法は上記の方法には限定されず、例えばディスペンサー法、ノズルコート法、スピンコート法、凹版印刷、凸版印刷等の公知の方法によりインクを滴下・塗布してもよい。
なお、ホール輸送層121を形成する前に、インクジェット法を用い、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料を含むインクを間隙522z内に塗布した後、溶媒を揮発除去、あるいは焼成してもよい。
[電子輸送層124の形成]
発光層123を形成した後、表示パネル10の発光エリア全面(画像表示領域10a)にわたって、真空蒸着法などにより電子輸送層124を形成する(図4:ステップS9、図8(b))。
真空蒸着法を用いる理由は有機膜である発光層123に損傷を与えないためと、高真空化で行う真空蒸着法は成膜対象の分子が基板に向かって垂直方向に直進的に成膜される。電子輸送層124は、発光層123の上に、金属酸化物又はフッ化物を真空蒸着法などにより成膜する。あるいは、有機材料と金属材料との共蒸着法により成膜する。なお、電子輸送層124の膜厚は、光学的な光取り出しとして最も有利となる適切な膜厚とする。
[対向電極125の形成]
電子輸送層124を形成した後、電子輸送層124を被覆するように、対向電極125を形成する(図4:ステップS10、図9(a))。対向電極125は、金属、金属酸化物を主成分とする膜を、下地層を被覆するように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法、又は真空蒸着法により形成する。
[封止層126の形成]
対向電極125を被覆するように封止層126を形成する(図4:ステップS11、図9(b))。封止層126は、CVD法、スパッタリング法などを用い形成できる。
[前面板131の形成]
前面板131の製造工程では、透明な上部基板130を準備し、紫外線硬化樹脂(例えば紫外線硬化アクリル樹脂)材料を主成分とし、黒色顔料を添加してなる遮光層の材料(133X)を透明な上部基板130に塗布する(図10(a))。遮光層の材料の膜133´の上面に所定の開口部が施されたパターンマスクPMを重ね、紫外線照射を行う(図10(b))。パターンマスクPM及び未硬化の遮光層133を除去して現像しキュアすると、例えば、概矩形状の断面形状の遮光層133が完成する(図10(c))。次に、遮光層133を形成した上部基板130表面に、紫外線硬化樹脂成分を主成分とするカラーフィルタ層132(例えば、G)の材料132Gを塗布し(図10(d))、所定のパターンマスクPMを載置し紫外線照射を行う(図10(e))。その後はキュアを行い、パターンマスクPM及び未硬化のペースト132Gを除去して現像すると、カラーフィルタ層132Gが形成される(図10(f))。この工程を各色のカラーフィルタ材料について繰り返すことで、カラーフィルタ層132R、132Bを形成する(図10(g))。以上で前面板131が形成される(図4:ステップS12)。
[前面板131と背面パネルとの貼り合わせ]
次に、基板100xから封止層126までの各層からなる背面パネルに、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂などの紫外線硬化型樹脂を主成分とする接合層127の材料を塗布する(図11(a))。
続いて、塗布した材料に紫外線照射を行い、背面パネルと前面板131との相対的位置関係を合せた状態で両基板を貼り合わせる。その後、両基板を焼成して封止工程を完了すると、表示パネル10が完成する(図4:ステップS13、図11(b))。
<効 果>
(発光層の形成過程におけるダミー発光層の影響について)
以下、表示パネル10の効果について説明する。
図12は、発光層の形成過程を示す模式断面図であり、(a)は表示パネル10、(b)比較例に係るは表示パネル10Xにおける状態を示した図である。同図は、図2におけるX1−X1と同じ断面で切断した模式断面図である。
比較例に係る表示パネル10Xは、行方向における画素間隙522zPの両側の間隙522zにダミー発光層123A及びホール輸送層121が形成されない点で表示パネル10と相違する。したがって、表示パネル10Xでは、非画素領域10a2は全幅において光透過性を有する。表示パネル10Xの他の構成は表示パネル10の各構成と同じである。表示パネル10Xでは、インクジェット法を用い構成材料を含むインクを列バンク522Yにより規定される画素間隙522zP内に塗布した後、焼成することにより発光層123が形成される。
この表示パネル10Xでは、図12(b)に示すように、基板100x上の画素領域10a1内の画素間隙522zPに塗布された発光層123のインクは、画素領域10a1の周辺部において溶媒の蒸発速度が相対的に大きく、周辺部から溶媒の乾燥は始まる。その理由は、ウエットプロセスに於いては、インクの溶媒を蒸発乾燥させるプロセスにおいて、成膜エリアの中央部分と周縁部分とでは、周縁部分の方が中央部分よりも溶媒蒸気圧が低くなることにより溶媒の乾燥速度が大きいためである。ここで、成膜エリアとは、ウエットプロセスによりインクを塗布するエリアであり、図12(a)に示した画素領域10a1と同じ領域である。
透過型表示パネルでは、行方向において、画素領域10aと画素領域10aのサイズ以上の非画素領域10a2とが交互に配置されるために、成膜エリアである画素領域10aの周縁部分では中央部分よりも溶媒蒸気圧の低下が顕著になる。そのため、画素間隙522zPを構成する間隙522zB、522zG、522zRのうち、非画素領域10a2との境界に近い間隙522zB、522zRでは、画素領域10a1の外方に位置するインク部分が内方に位置するインク部分よりも乾燥により溶媒の蒸発が進み、単位面積あたりの残存溶媒量が減少する。そして、乾燥過程において、溶媒の減少を補うように画素領域10a1の内方に位置するインク部分から外方に位置するインク部分に向けてインクの対流が生じ、有機発光材料を含む溶質が画素領域10a1の内方のインク部分から内方のインク部分へと移動する。その結果、図12(b)に示すように、表示パネル10Xでは、画素領域10a1における画素間隙522zPのうち非画素領域10a2との境界に近い間隙522zB、522zRにおいて、画素領域10a1の外方におけるインク膜厚が増加する。
係る場合には、間隙522zB、522zRに対応する副画素100seにおいて、副画素内で発光層の膜厚のアンバランスが生じるとともに、副画素電対として必要な平均膜厚が得られず副画素の輝度が低下する。特に、副画素内で発光層の膜厚にアンバランスが生じることにより、低視野角から視認したときに大きな輝度ばらつきが生じる。
その理由は、同じ視野角であっても、副画素を膜厚の薄い方向から見る場合と膜厚の厚い方向から見る場合とで、視野に垂直な方向の膜厚が異なることに起因して、視認される輝度が変化するためである。したがって、面内に膜厚のアンバランスの方向や程度が異なる副画素が混在する場合には、低視野角から視認したときに副画素の膜厚のアンバランスの方向や程度に応じて大きな輝度ばらつきが生じることとなる。表示パネルの裏側にある対象物(背景対象物)の像を視認する透過型の表示パネルでは、看者は背景対象物を見やすい位置から表示パネルを見る場合が多い。その場合、表示パネルと看者との角度、すなわち、看者の表示画像に対する視野角も看者と背景対象物との位置関係によって変動する。そのため、反射型の表示パネルに比べて低視野角における表示画像の視認性が求められる。
これに対し、実施の形態に係る表示パネル10では、図12(a)に示すように、行方向における画素間隙522zPの両側のダミー間隙522zAにはダミー発光層123A及びホール輸送層121が形成される。したがって、表示パネル10では、非画素領域10a2におけるダミー間隙522zAに相当する部分は光半透過性を呈する構成となる。
係る構成により、基板100x上の画素領域10a1内の画素間隙522zPに塗布された発光層123のインクが、画素領域10a1の周辺部において溶媒の蒸発速度が相対的に大きく、周辺部から溶媒の乾燥は始まる現象を抑制できる。
その理由は、表示パネル10では、ウエットプロセスによりインクを塗布する成膜エリアは、図12(a)に示す画素領域10a1にダミー間隙522zAを加えた領域となる。そのため、インクの溶媒を蒸発乾燥させるプロセスにおいて、成膜エリアの周辺部に位置するダミー間隙522zAでは、非画素領域10a2の内方に位置するインク部分が外方に位置するインク部分よりも乾燥により溶媒の蒸発が進み、単位面積あたりの残存溶媒量が減少し、溶媒の減少を補うように非画素領域10a2の外方に位置するインク部分から内方に位置するインク部分に向けてインクの対流が生じ、有機発光材料を含む溶質が非画素領域10a2の外方のインク部分から内方のインク部分へと移動する。その結果、図12(a)に示すように、表示パネル10では、非画素領域10a2におけるダミー間隙522zAの内方におけるインク膜厚が増加する。
しかしながら、画素間隙522zPを構成する間隙522zB、522zG、522zRのうち、非画素領域10a2との境界に近い間隙522zB、522zRでは、ダミー間隙522zAに塗布されたダミー発光層123Aのインクが存在することにより、周縁部分の中央部分に対する溶媒蒸気圧の低下が抑制される。そのため、間隙522zB、522zRでは、画素領域10a1の外方に位置するインク部分と内方に位置するインク部分との溶媒の蒸発速度の差は比較例に比べて顕著に減少する。
そのため、画素領域10a1における画素間隙522zPのうち非画素領域10a2との境界に近い間隙522zB、522zRにおいて、画素領域10a1の外方におけるインク膜厚の増加は抑制される。その結果、面内に膜厚のアンバランスの方向や程度が異なる副画素が混在することに起因して、低視野角から視認したときに副画素の膜厚のアンバランスの方向や程度に応じて大きな輝度ばらつきが生じることを抑制できる。そのため、低視野角からの視認性を高めることができ、反射型の表示パネルに比べて低視野角における高い視認性が求められる透過型の表示パネルとして有効に利用できる。
(効果確認試験)
以下、表示パネル10を用いた効果確認試験の結果について説明する。
[試験方法]
発明者は、表示パネル10における発光層123の断面プロファイルを原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)を用いて測定した。図13(a)は、1つの表示パネル10の実施例1、2、比較例における一枚の表示パネル内の発光層の断面プロファイルの測定位置を示す模式平面図、(b)は1つの有機EL発光層内の発光層の表面の高さの測定位置を示す模式断面図である。本試験では、表示パネルおける、図13(a)に示す1〜25の測定部において、表示パネルにおける副画素100seのX方向中心線上における発光層123の断面プロファイルを測定し、列バンク522Y側面上のピンニング位置Pi1、Pi2からそれぞれ5μmの位置における発光層の高さa、bの差|b−a|と、ピンニング位置Pi1、Pi2からそれぞれ5μmの位置間の発光層の高さの平均値meanabを算出した。
[供試サンプル]
次に、実施例、比較例1から3の仕様について説明する。
実施例1は、発光層123の形成工程において、インクジェット法を用い、構成材料を含むインクを列バンク522Yにより規定される画素間隙522zP内に規定量を滴下し、ダミー間隙522zA内には、青(B)、緑(G)、赤(R)のインクの何れかをあふれる限界まで滴下して塗布した後、焼成して形成した発光層を有する表示パネルである。ダミー間隙522zA内へのインクの塗布は、画素間隙522zPに対する同一色のインクの塗布と同一のインクジェットヘッドの走査の中で行った。
実施例2は、発光層123の形成工程において、インクジェット法を用い、構成材料を含むインクを列バンク522Yにより規定される画素間隙522zP内に規定量を滴下し、間隙522zRと隣り合う方のダミー間隙522zA内に対し、青(B)のインクを規定量だけ滴下して塗布した後、焼成して形成した発光層を有する表示パネルである。ダミー間隙522zA内へのインクの塗布は、画素間隙522zPに対する青(B)のインクの塗布と同一のインクジェットヘッドの走査の中で行った。
比較例は、発光層123の形成工程において、インクジェット法を用い、構成材料を含むインクを列バンク522Yにより規定される画素間隙522zP内に規定量を滴下して塗布した後、焼成して形成した発光層を備える表示パネルである。
[測定結果]
図14(a)(b)(c)は、それぞれ、表示パネル10の実施例1、2及び比較例における列バンクと発光層の断面プロファイルの測定結果である。
赤(R)の発光層において比較すると、比較例(図14(c)D部)では、凹状に湾曲し、かつ、凹部内で右方(画素領域の外方)に向けて発光層の高さが高くなるように傾斜した断面プロファイルとなった。これに対し、実施例2(図14(b)C部)では、凹部内の傾斜の程度が比較例よりも減少した断面プロファイルとなった。さらに、実施例1(図14(a)B部)では、凹部内の傾斜はさらに減少しほぼ左右均等な断面プロファイルとなった。
図15(a)は、表示パネル10の実施例1、(b)は、実施例2及び比較例の各測定部における赤(R)の発光層の高さa、bの差|b−a|である。図15(a)(b)は、比較例における最大値を基準に正規化した図である。発光層の高さの差|b−a|の平均値は、比較例>実施例2>実施例1となり、ダミー間隙522zAへのインクの塗布量が多いほどダミー間隙522zAと隣り合う間隙522zRに形成された発光層の高さの差|b−a|は減少した。また、分散(ばらつき)も同様の結果となった。
[考 察]
以上の実施例1、2、比較例による測定結果から、ダミー間隙522zAに塗布されたダミー発光層123Aのインクが多く存在することにより、画素領域10a1における画素間隙522zPのうち非画素領域10a2との境界に近い間隙522zB、522zRにおいて、画素領域10a1の外方におけるインク膜厚の増加は抑制されることが確認できる。実施例1>実施例2>比較例の順に、周縁部分の中央部分に対する溶媒蒸気圧の低下が抑制され、間隙522zB、522zRにおいて画素領域10a1の外方に位置するインク部分と内方に位置するインク部分との溶媒の蒸発速度の差が減少したためと考えられる。
<変形例>
実施の形態に係る表示パネル10を説明したが、本開示は、その本質的な特徴的構成要素を除き、以上の実施の形態に何ら限定を受けるものではない。例えば、実施の形態に対して当業者が各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。以下では、そのような形態の一例として、表示パネル10の変形例を説明する。
(変形例1)
次に、変形例1に係る表示パネル10Aについて説明する。
図17(a)から(c)は、変形例1に係る表示パネル10Aの発光層の形成過程を示す、図1におけるA部と同じ部分の模式平面図である。
実施の形態に係る表示パネル10では、発光層の形成工程において、ダミー間隙522zA内に充填するインクは、青(B)、緑(G)、赤(R)のいずれかの有機発光層の材料を含むインクであってもよく、ダミー間隙522zA内へのインクの塗布は、画素間隙522zPに対する同一色のインクの塗布と同一のインクジェットヘッドの走査の中で行ってもよい構成とした。
これに対し、変形例1に係る表示パネル10Aでは、図17(a)から(c)に示すように、画素間隙522zPへのインクの塗布と同一のすべてのインクジェットヘッドの走査の中で、ダミー間隙522zA内に青(B)、緑(G)、赤(R)のインクを塗布する構成とした点で表示パネル10と相違する。この場合、表示パネル10Aは、ダミー間隙522zAに形成されたダミー発光層123Aは、青(B)、緑(G)及び赤(R)の有機発光材料をすべて含む構成となる。係る構成により、表示パネル10Aでは、青(B)、緑(G)及び赤(R)のインクを塗布するすべての走査において、ダミー間隙522zA内に新たなインクを滴下しながら画素間隙522zP内へインクを塗布することができる。
さらに、表示パネル10Aでは、1回目のインクジェットヘッドの走査では、ダミー間隙522zA内にインクをあふれる限界まで滴下し、2回目のインクジェットヘッドの走査では、溶媒の蒸発に伴う減少量を予め計算しておき当該減少分を補う量だけ新たなインクを滴下する構成としてもよい。具体的には、インクジェットヘッドの走査間隔が、例えば、30秒から1分の場合、自然乾燥では、ダミー間隙522zA内に充填されたインクから10〜20%の溶媒が蒸発するために、同量のインクを補う構成を採ることが望ましい。係る構成により、表示パネル10Aでは、青(B)、緑(G)及び赤(R)のインクを塗布するすべての走査において、ダミー間隙522zA内にインクをあふれる限界まで満たした状態にして画素間隙522zP内へインクを塗布することができる。
その結果、画素領域10a1における画素間隙522zPのうち非画素領域10a2との境界に近い間隙522zB、522zRにおいて、画素領域10a1の外方におけるインク膜厚の増加はより一層抑制される。
(変形例2)
次に、変形例2に係る表示パネル10Bについて説明する。
図18は、前出の比較例の各測定部の位置と、各測定部における赤(R)の発光層の高さの差|b−a|を、基板100xの周辺部に位置する測定部と当該測定部における測定値に丸印を付して表した図である。図8に示すように、比較例では、丸印を付した基板100xの周辺部に位置する測定部における発光層の高さの差|b−a|は、他の測定部における結果に比べて大きいことが見て取れる。すなわち、比較例に係る表示パネル10Xでは、基板100xの周辺部において、画素領域10a1における画素間隙522zPのうち非画素領域10a2との境界に近い間隙522zB、522zRにおいて、画素領域10a1の外方におけるインク膜厚が増加する傾向が大きい。ここで、「周辺部」とは、図18に示すように、基板100xの外縁から約3%内方に入った位置までの範囲を指す。また、「中央部」とは、「周辺部」より内方の範囲、すなわち、基板100xの外縁から約3%内方に入った位置よりも内方の範囲を指す。
これに対し。変形例2に係る表示パネル10Bでは、発光層の形成工程において、ダミー間隙522zA内に充填するインクの量を、基板100xの中央部よりも周辺部において増加する構成とした点に特徴を有する。
図19は、変形例2に係る表示パネル10Bにおける、図1のA部と同じ部分の模式平面図である。図19に示すように、表示パネル10Bでは、発光層の形成過程において画像表示領域10aの周辺部に位置するダミー間隙522zA2内に充填するインクの量が、中央部に位置するダミー間隙522zA1内に充填するインクの量よりも多い構成を採る。係る構成により、完成した表示パネル10Bでは、複数本の画素列100elと隣り合う複数のダミー発光層123Aのうち、行方向において基板100xの外縁に近い周辺部のダミー発光層123Aは、行方向において基板100xの内方に近い中央部のダミー発光層123A1よりも、含まれる有機発光材料の量が多い構成となる。
その結果、基板100xの周辺部において、画素領域10a1における画素間隙522zPのうち非画素領域10a2との境界に近い画素間隙522zにおいて、画素領域10a1の外方におけるインク膜厚が顕著に増加するという現象を抑制することができる。
さらに、発光層の形成過程において、1つのダミー間隙522zA2にインクを塗布するときのインクジェットヘッドの各ノズルからのインク滴の吐出量を列方向で異ならせるように制御してもよい。すなわち、1つのダミー間隙522zA2のなかで画像表示領域10aの列方向の周辺部に位置する部分に充填するインクの量が、列方向の中央部に位置する部分に充填するインクの量よりも多くなるように、インクジェットヘッドの各ノズルからのインク滴の吐出量を制御してもよい。
(変形例3)
次に、変形例3に係る表示パネル10Cについて説明する。
図20は、変形例3に係る表示パネル10Cにおける、図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。変形例3に係る表示パネル10Cでは、図20に示すように、ダミー間隙522zAを平坦化層118に凹陥部118Aを設けてダミー間隙522zAに貯留できるインクの量を、画素間隙522zPに貯留できるインクの量に比べて増加する構成を採る。係る構成により、完成した表示パネル10Cでは、凹陥部118Aの深さだけ厚みが厚いダミー発光層123Aが、凹陥部118A内に形成される。
また、変形例2係る構成を実現するために、画像表示領域10aの周辺部において、ダミー間隙522zAを平坦化層118に凹陥部118Aを設けて、凹陥部118Aの深さだけ厚みが厚いダミー発光層123Aを形成する構成としてもよい。係る構成により、平面視におけるダミー発光層123Aの幅を異ならせることなく、ダミー間隙522zA内に充填するインクの量を基板100xの中央部よりも周辺部において増加することができ、変形例2に係る構成を実現できる。
(変形例4)
次に、変形例4に係る表示パネル10Dについて説明する。
図21は、変形例4に係る表示パネル10Dにおける、図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。変形例4に係る表示パネル10Dでは、図21に示すように、ダミー間隙522zAの両側の列バンク522Yの頂部522Yb2を、画素間隙522zの両側の列バンク522Yの頂部522Yb1よりも高くすることにより、ダミー間隙522zAに貯留できるインクの量を、画素間隙522zPに貯留できるインクの量に比べて増加する構成を採る。係る構成により、完成した表示パネル10Dでは、列バンク522Yの高さの増加分だけ厚いダミー発光層123Aが形成される。
また、変形例2係る構成を実現するために、画像表示領域10aの周辺部において、ダミー間隙522zAの両側の列バンク522Yの頂部522Yb2を、画素間隙522zの両側の列バンク522Yの頂部522Yb1よりも高くして、列バンク522Yの高さの増加分だけ厚いダミー発光層123Aを形成してもよい。係る構成により、平面視におけるダミー発光層123Aの幅を異ならせることなく、変形例2に係る構成を実現できる。
(変形例5)
次に、変形例5に係る表示パネル10Eについて説明する。
変形例5に係る表示パネル10Eでは、変形例2と同様に、発光層の形成工程において、ダミー間隙522zA内に充填するインクの量を、基板100xの中央部よりも周辺部において増加する構成とした点に特徴を有する。
図22は、変形例5に係る表示パネル10Eにおける、図1のA部と同じ部分の模式平面図である。表示パネル10Eでは、図22に示すように、画像表示領域10aの中央部から周辺部にかけて、ダミー間隙522zA1、2、3の行方向の幅を段階的に拡大することにより、ダミー間隙522zA1、2、3に充填されるインクの量が中央部から周辺部にかけて段階的に増加する構成を採る。その結果、完成した表示パネル10Bでは、画像表示領域10aに形成されるダミー発光層123Aの幅は中央部から周辺部かけて段階的に拡幅する構成となる。
その結果、基板100xの中央部から周辺部において、画素領域10a1における画素間隙522zPのうち非画素領域10a2との境界に近い画素間隙522zにおいて、画素領域10a1の外方におけるインク膜厚が段階的に増加するという現象を抑制できる。
(変形例6)
次に、変形例6に係る表示パネルの製造方法について説明する。
自然乾燥中の固形分を溶かしている溶媒の蒸発速度をVp(μm3/sec)、画素内
面積をS(μm2)、ドロップ数をd、一滴あたりのインク体積をρ(μm3)としたとき、単位面積当たりの溶媒蒸発時間A(sec/μm2)は、
Figure 2020113529
により算出される。ここで、溶媒の蒸発速度をVpは。各種インクを撥液基板に印刷しカメラでインクの液滴がシュリンクしていく様子を観察することにより、単位時間当たりに蒸発するインクの面積を求めることにより算出する。
変形例6に係る表示パネルの製造方法では、発光層の形成工程において、青(B)、緑(G)、赤(R)の発光色のインクのうち、単位面積当たりの溶媒蒸発時間Aが大きいインクを最初に印刷する構成を採る。
発明者の検討では、単位面積当たりの溶媒蒸発時間Aが小さいインクほど、非画素領域10a2との境界に近い画素間隙522zPにおいて、画素領域10a1の外方におけるインク膜厚が増加する傾向が大きい傾向がある。そのため、単位面積当たりの溶媒蒸発時間Aが大きいインクを最初に印刷し、溶媒蒸発時間Aが小さいインクを後に印刷することにより、塗布された溶媒蒸発時間Aが小さいインクを溶媒蒸気圧の高い雰囲気中に置き、その乾燥を抑制することができる。その結果、溶媒蒸発時間Aが小さいインクにおける画素領域10a1の外方におけるインク膜厚が増加する現象を抑制できる。
(変形例7)
次に、変形例7に係る表示パネルの製造方法について説明する。
実施の形態に係る表示パネルの製造方法では、隣り合った列バンク522Yの間のうち、副画素電極119が存在する画素間隙522zPと、少なくとも画素間隙522zPと行方向に隣り合う副画素電極119が存在しない非画素間隙522zAとに、有機発光材料を含むインクを塗布する構成とした。しかしながら、変形例7に係る表示パネルの製造方法では、副画素電極119が存在する画素間隙522zPには有機発光材料を含むインクを塗布するとともに、少なくとも画素間隙522zPと行方向に隣り合い副画素電極119が存在しない非画素間隙522zAにダミーの溶媒を塗布する構成としてもよい。
係る構成では、実施の形態に係る表示パネル10と同様に、基板内方の塗布領域における発光層123の膜厚ムラの発生を抑制して輝度ムラの発生を抑制する。併せて、変形例7に係る表示パネルでは、ダミーの溶媒を塗布した非画素間隙522zAには乾燥後に有機発光材料が残らないために、完成した表示パネルにおいて画素間隙522zPに隣り合う非画素間隙522zAの可視光透過率を向上することができ、透過型の表示パネルとして透過像の視認性を向上することができる。
(変形例8)
次に、変形例8に係る表示パネル10Fについて説明する。
図23は、変形例8に係る有機EL表示パネル10Fにおいて、図2におけるX1−X1と同じ断面で切断した模式断面図である。図24は、変形例8に係る有機EL表示パネル10Fにおける、図1のA部と同じ部分の模式平面図である。
変形例8に係る表示パネル10Fでは、図23に示すように、非画素領域10a21にはダミー間隙522zAに隣接する列バンク522Y以外に列バンクが存在しない構成を採る。具体的には、画素列100elにおいては、基板上面に列方向に複数の列バンク522Yが延伸されており、隣り合った列バンク522Yの間の画素間隙522zPに、有機EL素子100に対応する画素電極119と、複数の有機発光材料の何れかを含む発光層123が形成されており、かつ、非画素領域10a21においては、画素間隙522zPを形成する列バンク522zのうち行方向もおいて最も外方に位置する列バンクに隣り合って、当該列バンクとの間にダミー間隙522zAを形成する列バンクのみが形成されており、ダミー間隙522zAにダミー発光層123Aが形成されている構成を採る。その他の構成については実施の形態に係る表示パネル10Aと同じである。
係る構成により、表示パネル10Fでは、表示パネルの裏側にある対象物(背景対象物)の像の視認性を向上することができる。
(変形例9、10)
次に、変形例9に係る表示パネル10G、変形例10に係る表示パネル10Hについて説明する。
図25は、変形例9に係る有機EL表示パネル10Gの模式平面図である。図26は、変形例10に係る有機EL表示パネル10Hの模式平面図である。
変形例9、10に係る表示パネル10G、Hでは、図25、26に示すように、変形例8に係る表示パネル10Fと同様に、非画素領域10a21にはダミー間隙522zAに隣接する列バンク522Y以外に列バンクが存在しない構成を採る。
さらに、変形例9に係る表示パネル10Gでは、図25に示すように、画素領域10a1における間隙522zB、522zG、522zRに対し、行方向における間隙522zBの右方と間隙522zRの右方に位置するダミー間隙522zAが、画素領域10a1のY方向の端部で接続されている構成を採る。すなわち、間隙522zPは、ダミー発光層123Aが形成されているダミー間隙522zAによって取り囲まれている構成を採る。
係る構成により、表示パネル10Gでは、基板100x上の画素領域10a1内の画素間隙522zPに塗布された発光層123のインクが、画素領域10a1の列方向の周辺部において溶媒の蒸発速度が相対的に大きく、列方向の周辺部から溶媒の乾燥は始まる現象を抑制できる。その結果、間隙522zPにおいて、画素領域10a1の列方向の周辺部において副画素内で列方向に発光層の膜厚のアンバランスが生じ、副画素電対として必要な平均膜厚が得られず副画素の輝度が低下することを抑制できる。特に、画素領域10a1の列方向の周辺部において低視野角から視認したときに大きな輝度ばらつきが生じることを抑制できる。
一方、変形例10に係る表示パネル10Hでは、図26に示すように、間隙522zB、522zG、522zRは行方向に所定距離だけ離れて配されており、間隙522zB、522zG、522zRそれぞれの間に、所定の幅の非画素領域10a22が形成されている。係る構成により、表示パネル10Hでは、表示パネルの裏側にある対象物(背景対象物)の像の視認性をさらに向上することができる。
そして、画素領域10a1における間隙522zB、522zG、522zRにそれぞれ対し、行方向における間隙522zの両側に位置するダミー間隙522zAが、画素領域10a1のY方向の端部で接続されている構成を採る。すなわち、ダミー発光層123Aが形成されているダミー間隙522zAによって、間隙522zB、522zG、522zRそれぞれが取り囲まれている構成を採る。係る構成により、表示パネル10Hでは、画素領域10a1の列方向の周辺部において低視野角から視認したときに大きな輝度ばらつきが生じることを抑制できる。
<回路構成>
以下では、実施の形態に係る有機EL表示装置1の回路構成について説明する。図27に示すように、有機EL表示装置1は、表示パネル10と、これに接続された駆動制御回路部20とを有して構成されている。駆動制御回路部20は、4つの駆動回路21〜24と制御回路25とにより構成されている。
表示パネル10においては、複数の画素100eが行列状に配されて表示領域を構成している。各画素100eは、3個の各色有機EL素子100、つまり、青(B)、緑(G)、赤(R)の3色に発行する3個の副画素100seから構成される。各副画素100seの回路構成について説明する。図28は、表示パネル10の各副画素100seに対応する各色有機EL素子100における回路構成を示す回路図である。本実施の形態に係る表示パネル10では、各副画素100seが2つのトランジスタTr1、Tr2と1つのキャパシタC、及び発光部としての有機EL素子部ELとを有し構成されている。トランジスタTr1は、駆動トランジスタであり、トランジスタTr2は、スイッチングトランジスタである。
スイッチングトランジスタTr2のゲートG2は、走査ラインVscnに接続され、ソースS2は、データラインVdatに接続されている。スイッチングトランジスタTr2のドレインD2は、駆動トランジスタTr1のゲートG1に接続されている。
駆動トランジスタTr1のドレインD1は、電源ラインVaに接続されており、ソースS1は、有機EL素子部ELの画素電極(アノード)に接続されている。有機EL素子部E
Lにおける対向電極(カソード)は、接地ラインVcatに接続されている。
なお、キャパシタCの第1端は、スイッチングトランジスタTr2のドレインD2及び駆動トランジスタTr1のゲートG1と接続され、キャパシタCの第2端は、電源ラインVaと接続されている。
表示パネル10においては、各副画素100seのゲートG2からゲートラインが各々
引き出され、表示パネル10の外部から接続される走査ラインVscnに接続されている。同様に、各副画素100seのソースS2からソースラインが各々引き出され表示パネ
ル10の外部から接続されるデータラインVdatに接続されている。
また、各副画素100seの電源ラインVa及び各副画素100seの接地ラインVcatは集約されて、有機EL表示装置1の電源ライン及び接地ラインに接続されている。
<まとめ>
以上のとおり、実施の形態に係る有機EL表示パネルは、透過型の表示パネル10であって、光透過性の基板100xと、基板上に、行方向に複数の有機EL素子100を含む画素100eが、列方向に複数個、列設された画素列100elが、行方向に画素列の幅より大きい間隔を隔てて複数本、並設されてなる画素列群100elgと、を備え、ひとつの画素100eに含まれる複数の有機EL素子100は、それぞれが、発光色の異なる複数の有機発光材料の何れかを含み、基板100x上の間隔に相当する部分を基板の非画素領域10a2とするとき、当該非画素領域10a2における画素列100elと行方向に隣り合う部分の上方には、複数の有機発光材料の何れかを含むダミー発光層123Aが形成されている構成を採る。
また、本開示の実施の形態に係る透過型の有機EL表示パネルの製造方法は、基板100xを準備する工程と、基板100x上方に、副画素電極119が列方向に複数個列設された副画素電極の列が、行方向に第1の間隔を隔てて並設された副画素電極の列群を、行方向に第1の間隔より広い第2の間隔を隔てて複数本、並設する工程と、基板上の副画素電極の列群が存在する部分では複数本の副画素電極の列それぞれを行方向に挟むように、基板上の第2の間隔に相当する部分では行方向における副画素電極のピッチで、基板上面に複数の列バンク522Yを列方向に延伸させて形成する工程と、隣り合った列バンク522Yの間のうち、副画素電極119が存在する画素間隙522zPと、少なくとも画素間隙522zPと行方向に隣り合う副画素電極119が存在しない非画素間隙522zAとに、有機発光材料を含むインクを塗布する工程と、インクに含まれる溶媒を蒸発させて、画素間隙に発光層を、画素間隙522zPと行方向に隣り合う非画素間隙522zAにダミー発光層123Aを形成する工程と、発光層123の上方に対向電極125を形成する工程とを有することを特徴とする。
係る構成により、透過型の有機EL表示パネルにおいて、基板内方の塗布領域における発光層の膜厚ムラの発生を抑制することができる。
そのため、面内に膜厚のアンバランスの方向や程度が異なる副画素が混在することに起因して、低視野角から視認したときに副画素の膜厚のアンバランスの方向や程度に応じて大きな輝度ばらつきを抑制できる。
その結果、低視野角からの視認性を高めることができる。よって、表示画像に対する視野角は看者と背景対象物との位置関係の影響により変動することに起因して、反射型の表示パネルに比べて低視野角における高い視認性が求められる透過型の表示パネルとして有効に利用できる。
<その他の変形例>
実施の形態に係る表示パネル10では、発光層123は、行バンク上を列方向に連続して延伸している構成としている。しかしながら、上記構成において、発光層123は、行バンク上において画素ごとに断続している構成としてもよい。
表示パネル10では、行方向に隣接する列バンク522Y間の間隙522zに配された副画素100seの発光層123が発する光の色は互いに異なる構成とし、列方向に隣接する副画素100seの発光層123が発する光の色は同じである構成とした。しかしながら、上記構成において、行方向に隣接する副画素100seの発光層123が発する光の色は同じであり、列方向に隣接する副画素100seの発光層123が発する光の色が互いに異なる構成としてもよい。また、行列方向の両方において隣接する副画素100seの発光層123が発する光の色が互いに異なる構成としてもよい。
実施の形態に係る表示パネル10では、画素100eには、赤色画素、緑色画素、青色画素の3種類があったが、本発明はこれに限られない。例えば、発光層が1種類であってもよいし、発光層が赤、緑、青、黄色に発光する4種類であってもよい。
また、上記実施の形態では、画素電極119と対向電極125の間に、ホール注入層120、ホール輸送層121、発光層123及び電子輸送層124が存在する構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、ホール注入層120、ホール輸送層121及び電子輸送層124を用いずに、画素電極119と対向電極125との間に発光層123のみが存在する構成としてもよい。また、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層などを備える構成や、これらの複数又は全部を同時に備える構成であってもよい。また、これらの層はすべて有機化合物からなる必要はなく、無機物などで構成されていてもよい。
また、上記実施の形態では、1つの副画素100seに対して2つのトランジスタTr1、Tr2が設けられてなる構成を採用したが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、1つのサブピクセルに対して1つのトランジスタを備える構成でもよいし、三つ以上のトランジスタを備える構成でもよい。
さらに、上記実施の形態では、トップエミッション型のEL表示パネルを一例としたが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、ボトムエミッション型の表示パネルなどに適用することもできる。その場合には、各構成について、適宜の変更が可能である。また、コロイド状量子ドット(Quantum Dot)を用いた量子ドットディスプレイ装置などに適用することもできる。
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない工程については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
また、上記の工程が実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記工程の一部が、他の工程と同時(並列)に実行されてもよい。
また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
また、各実施の形態及びその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。
さらに、本実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本発明に含まれる。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネル、及び有機EL表示装置は、テレビジョンセット、パーソナルコンピュータ、携帯電話などの装置、又はその他表示パネルを有する様々な電子機器に広く利用することができる。
1 有機EL表示装置
10、10A、10B、10C、10D 有機EL表示パネル
10a 画像表示領域
10a1 画素領域
10a2 非画素領域
10b 周辺領域
100 有機EL素子
100R、100B、100G 各色有機EL素子
100se 副画素
100e 画素(単位画素)
100el 画素列
100elg 画素列群
100x 基板(TFT基板)
118 平坦化層
119 画素電極(反射電極)
120 ホール注入層
121 ホール輸送層
522Y 列バンク
522z 間隙
522zP(522zR、522zG、522zB) 画素間隙
522zA ダミー間隙
123(123R、123G、123B) 発光層
123A ダミー発光層
124 電子輸送層
125 対向電極
126 封止層
127 接合層
130 上部基板
131 前面板
132 カラーフィルタ層
133 遮光層

Claims (15)

  1. 透過型の有機EL表示パネルであって、
    光透過性の基板と、
    前記基板上に、行方向に複数の有機EL素子を含む画素が、列方向に複数個、列設された画素列が、行方向に前記画素列の幅より大きい間隔を隔てて複数本、並設されてなる画素列群とを備え、
    ひとつの前記画素に含まれる前記複数の有機EL素子は、それぞれが、発光色の異なる複数の有機発光材料の何れかを含み、
    前記基板上の前記間隔に相当する部分を前記基板の非画素領域とするとき、当該非画素領域における前記画素列と行方向に隣り合う部分の上方に、前記複数の有機発光材料の何れかを含むダミー発光層が形成されている
    有機EL表示パネル。
  2. 前記非画素領域において、前記ダミー発光層が存在する部分は、前記ダミー発光層が存在しない部分よりも厚み方向の可視光透過率が低い
    請求項1に記載の有機EL表示パネル。
  3. 前記ダミー発光層は、ひとつの前記画素に含まれる前記複数の有機発光材料をすべて含む
    請求項1又は2に記載の有機EL表示パネル。
  4. 前記複数本の画素列と隣り合う複数の前記ダミー発光層のうち、
    行方向において前記基板の外縁に近い周辺部ダミー発光層は、行方向において前記基板の内方に近い中央部ダミー発光層よりも、含まれる有機発光材料の量が多い
    請求項1から3の何れかに記載の有機EL表示パネル。
  5. 前記周辺部ダミー発光層は、前記中央部ダミー発光層よりも、行方向の幅が広い
    請求項4に記載の有機EL表示パネル。
  6. 前記周辺部ダミー発光層は、前記中央部ダミー発光層よりも、厚みが厚い
    請求項4に記載の有機EL表示パネル。
  7. 前記基板は基材と、前記基材の上面に形成された有機材料からなる平坦化層を含み、
    前記ダミー発光層は、前記平坦化層を凹陥させた溝に形成されている
    請求項1から6の何れか1項に記載の有機EL表示パネル。
  8. 前記基板上面には、列方向に複数の列バンクが延伸されており、
    前記画素列においては、隣り合った前記列バンクの間の画素間隙に、前記有機EL素子に対応する画素電極と、前記複数の有機発光材料の何れかを含む発光層が形成されており、
    前記非画素領域においては、隣り合った前記列バンクの間の非画素間隙のうち、行方向において最も前記画素列に近いダミー間隙に、前記ダミー発光層が形成されている
    請求項1又は2に記載の有機EL表示パネル。
  9. 前記ダミー発光層が形成される非画素間隙を挟む列バンクは、前記画素間隙に挟まれた前記列バンクよりも高さが高い
    請求項8に記載の有機EL表示パネル。
  10. 前記画素列においては、前記基板上面に列方向に複数の列バンクが延伸されており、隣り合った前記列バンクの間の画素間隙に、前記有機EL素子に対応する画素電極と、前記複数の有機発光材料の何れかを含む発光層が形成されており、
    前記非画素領域においては、画素間隙を形成する前記列バンクのうち行方向もおいて最も外方に位置する第1の列バンクに隣り合って、前記第1の列バンクとの間にダミー間隙を形成する第2の列バンクのみが形成されており、前記ダミー間隙に前記ダミー発光層が形成されている
    請求項1又は2に記載の有機EL表示パネル。
  11. 前記画素列の行方向の両側に位置する2つの前記ダミー発光層は、列方向の端部で行方向につながっている
    請求項1から10の何れか1項に記載の有機EL表示パネル。
  12. 透過型の有機EL表示パネルの製造方法であって、
    基板を準備する工程と、
    前記基板上方に、副画素電極が列方向に複数個列設された副画素電極の列が、行方向に第1の間隔を隔てて並設された副画素電極の列群を、行方向に前記第1の間隔より広い第2の間隔を隔てて複数本、並設する工程と、
    前記基板上の前記副画素電極の列群が存在する部分では複数本の前記副画素電極の列それぞれを行方向に挟むように、前記基板上の前記第2の間隔に相当する部分では行方向における前記副画素電極のピッチで、前記基板上面に複数の列バンクを列方向に延伸させて形成する工程と、
    隣り合った前記列バンクの間のうち、前記副画素電極が存在する画素間隙と、少なくとも画素間隙と行方向に隣り合う前記副画素電極が存在しない非画素間隙とに、前記有機発光材料を含むインクを塗布する工程と、
    前記インクに含まれる溶媒を蒸発させて、前記画素間隙に発光層を、前記画素間隙と行方向に隣り合う非画素間隙にダミー発光層を形成する工程と、
    前記発光層の上方に対向電極を形成する工程とを有する
    有機EL表示パネルの製造方法。
  13. ひとつの前記副画素電極の列群に含まれる前記複数の副画素電極の列に対応する画素間隙には、それぞれが、発光色の異なる複数の有機発光材料を含むインクが塗布され、
    前記画素間隙と行方向に隣り合い前記副画素電極が存在しない非画素間隙には、前記複数の有機発光材料を含むインクから選択される1以上の有機発光材料を含むインクが塗布される
    請求項12に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  14. 前記インクを塗布する工程において、画素間隙に対する発光色の異なる複数の有機発光材料を含むインクが塗布は、単位面積当たりの溶媒蒸発時間が大きいインクから順に塗布を行う
    請求項12に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  15. 透過型の有機EL表示パネルの製造方法であって、
    基板を準備する工程と、
    前記基板上方に、副画素電極が列方向に複数個列設された副画素電極の列が、行方向に第1の間隔を隔てて複数本の並設された副画素電極の列群を、行方向に前記第1の間隔より広い第2の間隔を隔てて複数本、並設する工程と、
    前記基板上の前記副画素電極の列群が存在する部分では複数本の前記副画素電極の列それぞれを行方向に挟むように、前記基板上の前記第2の間隔に相当する部分では行方向における前記副画素電極のピッチで、前記基板上面に複数の列バンクを列方向に延伸させて形成する工程と、
    隣り合う前記列バンクの間のうち、前記副画素電極が存在する画素間隙には有機発光材料を含むインクを塗布するとともに、少なくとも画素間隙と行方向に隣り合い前記副画素電極が存在しない非画素間隙にダミー溶媒を塗布する工程と、
    前記インクに含まれる溶媒及び前記ダミー溶媒を蒸発させて、前記画素間隙に発光層を形成する工程と、
    前記発光層の上方に対向電極を形成する工程とを有する
    有機EL表示パネルの製造方法。
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