図1は、本明細書に記載される方法に従ってVFLレンズシステム(本明細書では撮像システムとも称される)として使用可能であるか又はVFLレンズシステムを含む1つの例示的なマシンビジョン検査システム10のブロック図である。マシンビジョン検査システム10は画像測定機12を含み、これは、制御コンピュータシステム14とデータ及び制御信号を交換するように動作可能に接続されている。制御コンピュータシステム14は更に、モニタ又はディスプレイ16、プリンタ18、ジョイスティック22、キーボード24、及びマウス26と、データ及び制御信号を交換するように動作可能に接続されている。モニタ又はディスプレイ16は、マシンビジョン検査システム10の動作の制御及び/又はプログラミングに適したユーザインタフェースを表示することができる。様々な実施例では、タッチスクリーンタブレット等によって、要素14、16、22、24、及び26のいずれか又は全ての機能を代用すること及び/又はこれらの機能を冗長的に与えることが可能であることは認められよう。
制御コンピュータシステム14は一般に、分散型又はネットワーク型のコンピューティング環境等を含む任意の適切なコンピューティングシステム又はデバイスを用いて実施され得ることは、当業者には認められよう。このようなコンピューティングシステム又はデバイスは、本明細書に記載する機能を実現するためにソフトウェアを実行する1つ以上の汎用又は特殊用途プロセッサ(例えば非カスタムデバイス又はカスタムデバイス)を含み得る。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ等のメモリ、又はそのような構成要素の組み合わせに記憶することができる。また、ソフトウェアは、光学ベースのディスク、フラッシュメモリデバイス、又はデータを記憶するための他のいずれかのタイプの不揮発性記憶媒体のような1つ以上の記憶デバイスに記憶することができる。ソフトウェアは、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実施するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む1つ以上のプログラムモジュールを含み得る。分散型コンピューティング環境では、プログラムモジュールの機能性は、有線又は無線のいずれかの構成において、複数のコンピューティングシステム又はデバイスにまたがるように組み合わせるか又は分散させ、サービスコールを介してアクセスすることができる。
画像測定機12は、可動ワークピースステージ32と、ズームレンズ又は交換可能対物レンズを含み得る光学撮像システム34と、を含む。ズームレンズ又は交換可能対物レンズは一般に、光学撮像システム34によって得られる画像に様々な倍率を与える。マシンビジョン検査システム10の様々な実施例は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,454,053号、第7,324,682号、第8,111,905号、及び8,111,938号にも記載されている。
図2は、図1のマシンビジョン検査システムと同様の、本明細書に開示されるいくつかの特徴を含むマシンビジョン検査システム100の制御システム部120及びビジョン構成要素部200のブロック図である。以下で更に詳しく記載されるように、制御システム部120を用いてビジョン構成要素部200を制御する。ビジョン構成要素部200は、光学アセンブリ部205と、光源220、230、及び240と、中央の透明部212を有するワークピースステージ210と、を含む。ワークピースステージ210は、ワークピース20’又は較正物体20を配置することができるステージの表面に対して概ね平行な面内にあるX軸及びY軸に沿って制御可能に移動できる。
光学アセンブリ部205は、カメラシステム260、交換可能対物レンズ250、及び可変焦点距離(VFL)レンズ270(例えば、様々な例示的な実施例におけるTAGレンズ)を含む。様々な実施例において、光学アセンブリ部205は更に、レンズ226と228を有するターレットレンズアセンブリ223も含む場合がある。ターレットレンズアセンブリの代わりに、様々な実施例において、固定もしくは手作業で交換可能な倍率可変レンズ(magnification-altering lens)、又はズームレンズ構成等を含んでもよい。様々な実施例において、交換可能対物レンズ250は、可変倍率レンズ部の一部として含まれる固定倍率対物レンズのセット(例えば、0.5倍、1倍、2倍又は2.5倍、5倍、7.5倍、10倍、20倍又は25倍、50倍、100倍等の倍率に対応した対物レンズのセット)から選択することができる。
光学アセンブリ部205は、制御可能モータ294を用いることで、X軸及びY軸に概ね直交したZ軸に沿って制御可能に移動できる。制御可能モータ294はアクチュエータを駆動して、ワークピース20’又は較正物体20の画像の焦点を変えるために光学アセンブリ部205をZ軸に沿って動かす。制御可能モータ294は信号ライン296を介して入出力インタフェース130に接続されている。以下で更に詳しく記載されるように、より小さい範囲にわたって画像の焦点を変化させるため、又は光学アセンブリ部205を移動させることの代わりに、VFL(例えばTAG)レンズ270を、信号ライン234’を介してレンズ制御インタフェース134によって制御して、VFLレンズ270の光学パワーを周期的に変調し、これによって光学アセンブリ部205の有効合焦位置を変調することができる。レンズ制御インタフェース134は、以下で更に詳しく記載されるように、本明細書に開示される様々な原理に従ったVFLレンズ制御部180を含むことができる。ワークピース20’又は較正物体20は、ワークピースステージ210上に配置することができる。ワークピースステージ210は、光学アセンブリ部205に対して移動するように制御され、交換可能対物レンズ250の視野が較正物体20又はワークピース20’上の複数の位置間で及び/又は複数のワークピース20’間で移動できるようになっている。
透過照明光源220、落射照明光源230、及び斜め照明光源240(例えばリング光)のうち1つ以上が、それぞれ光源光222、232、及び/又は242を発して、較正物体20、又は1もしくは複数のワークピース20’を照明することができる。例えば画像露光中に、落射照明光源230は、ビームスプリッタ290(例えば部分反射ミラー(partial mirror))を含む経路に沿って光源光232を発することができる。光源光232は画像光255として反射又は透過され、撮像のため用いられる画像光は、交換可能対物レンズ250、ターレットレンズアセンブリ223、及びVFLレンズ270を通過して、カメラシステム260によって集光される。1もしくは複数のワークピース20’又は較正物体20の画像を含むワークピース又は較正物体画像露光は、カメラシステム260によってキャプチャされ、制御システム部120への信号ライン262上に出力される。
様々な光源(例えば光源220、230、及び240)は、関連付けられた信号ライン(例えばそれぞれバス221、231、及び241)を介して制御システム部120の照明制御インタフェース133に接続することができる。制御システム部120は、画像の倍率を変更するため、ターレットレンズアセンブリ223を軸224に沿って回転させることで、信号ライン又はバス223’を介してターレットレンズを1つ選択するよう制御できる。
図2に示されているように、種々の例示的な実施例において制御システム部120は、制御部125、入出力インタフェース130、メモリ140、ワークピースプログラム発生器及び実行器170、及び電源部190を含む。これらの構成要素及び以下で説明する追加の構成要素の各々は、1つ以上のデータ/制御バス及び/又はアプリケーションプログラミングインタフェースによって、又は様々な要素間の直接接続によって、相互接続することができる。入出力インタフェース130は、撮像制御インタフェース131、移動制御インタフェース132、照明制御インタフェース133、及びレンズ制御インタフェース134を含む。レンズ制御インタフェース134は、VFLレンズ制御部180を含むか又はこれに接続することができる。VFLレンズ制御部180は、VFLレンズ270によって行われる周期的な合焦位置変調と同期した様々な画像露光を制御するための回路及び/又はルーチンを含み、更に、本明細書に開示される原理に従った合焦状態較正サブシステム回路/ルーチン183を含む。これについては、図3に示されている同様の又は同一の要素380及び383を参照して以下で更に詳しく記載する。いくつかの実施例において、レンズ制御インタフェース134及びVFLレンズ制御部180はマージされる及び/又は区別できない場合がある。
照明制御インタフェース133は、照明制御要素133a〜133nを含むことができ、これらは、マシンビジョン検査システム100の様々な対応する光源について、例えば選択、パワー、オン/オフ切り換え、及びストロボパルスタイミングを適用可能な場合に制御する。いくつかの実施例では、図3に示されているような露光(ストロボ)時間制御部333esが、(例えば特定の記憶されている較正データに従って)VFLレンズ合焦位置変調の所望の位相時間と同期した画像露光ストロボタイミングを与えるように、また以下で更に詳しく記載されているように、照明制御要素133a〜133nのうち1つ以上にストロボタイミング信号を与えることができる。いくつかの実施例において、露光(ストロボ)時間制御部333es及び照明制御要素133a〜133nのうち1つ以上はマージされる及び/又は区別できない場合がある。
メモリ140は、画像ファイルメモリ部141、エッジ検出メモリ部140ed、1つ以上のパートプログラム等を含み得るワークピースプログラムメモリ部142、及びビデオツール部143を含むことができる。ビデオツール部143は、対応する各ビデオツールのためのGUIや画像処理動作等を決定するビデオツール部143a及び他のビデオツール部(例えば143n)、並びに関心領域(ROI:region of interest)発生器143roiを含む。関心領域発生器143roiは、ビデオツール部143内に含まれる様々なビデオツールにおいて動作可能である様々なROIを規定する自動、半自動、及び/又は手動の動作をサポートする。エッジ要素を位置特定すると共に他のワークピース要素検査動作を実行するためのそのようなビデオツールの動作の例については、上述のように本願に含まれる引例のいくつか、及び米国特許第7,627,162号に更に詳しく記載されている。
ビデオツール部143は、焦点高さ(すなわち有効合焦位置(Z高さ))測定動作のためのGUIや画像処理動作等を決定する自動合焦ビデオツール143afも含む。様々な実施例において、自動合焦ビデオツール143afは更に、図3に記載されたハードウェアを用いて高速で合焦高さを測定するために利用できる高速合焦高さツールも含むことができる。これについては、米国特許第9,143,674号に更に詳しく記載されている。様々な実施例において、高速合焦高さツールは、これ以外の場合には自動合焦ビデオツールのための従来の方法に従って動作する自動合焦ビデオツール143afの特別モードとしてもよく、又は、自動合焦ビデオツール143afの動作は高速合焦高さツールの動作のみを含んでもよい。1又は複数の画像関心領域のための高速自動合焦及び/又は合焦位置決定は、既知の方法に従って画像を解析して様々な領域の対応する合焦特性値(例えば定量的コントラスト尺度値及び/又は定量的合焦尺度値)を決定することに基づき得る。例えばそのような方法は、米国特許第8,111,905号、第7,570,795号、及び第7,030,351号に開示されている。
本開示の文脈において、当業者に既知であるように、「ビデオツール」という言葉は概ね、マシンビジョンユーザが比較的シンプルなユーザインタフェースを介して実施可能である比較的複雑な自動化又はプログラミングされた動作セットのことである。例えばビデオツールは、あらかじめプログラミングされた複雑な画像処理動作及び計算セットを含み、これらの動作及び計算を規定する少数の変数又はパラメータを調整することによって特定のインスタンスでこれらを適用及びカスタム化することができる。ビデオツールは、基礎にある動作及び計算の他に、ビデオツールの特定のインスタンス向けにそれらのパラメータをユーザが調整することを可能とするユーザインタフェースも備えている。場合によっては、目に見えるユーザインタフェース機能がビデオツールと称され、基礎にある動作は暗黙的に含まれることに留意すべきである。
1つ以上のディスプレイデバイス136(例えば図1のディスプレイ16)及び1つ以上の入力デバイス138(例えば図1のジョイスティック22、キーボード24、及びマウス26)は、入出力インタフェース130に接続することができる。ディスプレイデバイス136及び入力デバイス138を用いて、様々なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)機能を含み得るユーザインタフェースを表示することができる。それらの機能は、検査動作の実行、及び/又はパートプログラムの生成及び/又は修正、カメラシステム260によってキャプチャされた画像の閲覧、及び/又はビジョン構成要素部200の直接制御のために使用可能である。
種々の例示的な実施例において、ユーザがマシンビジョン検査システム100を用いてワークピース20のためのパートプログラムを生成する場合、ユーザは、マシンビジョン検査システム100を学習モードで動作させて所望の画像取得訓練シーケンスを提供することによって、パートプログラム命令を発生させる。例えば訓練シーケンスは、代表的ワークピースの特定のワークピース要素を視野(FOV)内に配置し、照明レベルを設定し、合焦又は自動合焦を行い、画像を取得し、(例えばそのワークピース要素に対してビデオツールのうち1つのインスタンスを用いて)画像に適用される検査訓練シーケンスを提供することを含み得る。学習モードは、この1又は複数のシーケンスがキャプチャ又は記録されて、対応するパートプログラム命令に変換されるように動作する。パートプログラムが実行された場合、これらの命令はマシンビジョン検査システムに訓練した画像取得を再現させると共に、検査動作を行って、パートプログラムの生成時に用いた代表的ワークピースに合致する実行モードの1つ又は複数のワークピース上の特定のワークピース要素(すなわち対応位置における対応する要素)を自動的に検査させる。いくつかの実施例では、そのような技法を利用して、較正物体及び/又は1もしくは複数の較正物体画像を解析するためのパートプログラム命令を生成することで、以下で更に詳しく記載される機能及び動作を提供できる。
図3は、VFLレンズ370(例えばTAGレンズ)を含み、本明細書に開示される原理に従って較正することができるVFLレンズシステム300(撮像システム300とも称される)の概略図である。VFLレンズシステム300は、マシンビジョンシステムに適合させるか又はスタンドアロンのシステムとして構成することができ、更に、本明細書に開示される原理に従って動作することができる。図3の3XXと番号を付けたいくつかのコンポーネントは、図2における同様の2XXと番号を付けたコンポーネントと同様の動作又は機能に対応する及び/又は同様の動作又は機能を提供し、他の指示がない限り同様に理解され得ることは認められよう。
以下で更に詳しく記載されるように、撮像光路OPATH(本明細書ではワークピース撮像光路又は較正物体撮像光路とも呼ばれる)は、ワークピース320’又は較正物体320からカメラ360まで画像光355を伝達する経路に沿って配置された様々な光学コンポーネントを含む。画像光は概ねそれらの光軸OAの方向に沿って伝達される。図3に示されている実施例では、全ての光軸OAは位置合わせされている。しかしながら、この実施例は単なる例示であって、限定ではないことは認められよう。より一般的には、撮像光路OPATHはミラー及び/又は他の光学要素を含み、既知の原理に従ってカメラ(例えばカメラ360)を用いてワークピース320’又は較正物体320を撮像するために動作する任意の形態をとることができる。
図示されている実施例では、撮像光路OPATHは、VFLレンズ370(これは4f撮像構成に含めることができる)を含み、少なくとも部分的に、ワークピース画像露光中にワークピース320’の表面を撮像するため、又は較正物体画像露光中に較正物体320の表面を撮像するために利用される。以下で更に詳しく記載されるように、本明細書に開示される原理に従って、較正物体画像光が撮像光路OPATHに沿って伝送され、VFLレンズ370を通過して較正物体画像露光を形成し、これを、VFLレンズシステム300の較正プロセスの一部として解析することができる。
図3に示されているように、VFLレンズシステム300は、光源330、露光(ストロボ)時間制御部333es、対物レンズ350、チューブレンズ351、リレーレンズ352、VFL(TAG)レンズ370、リレーレンズ356、レンズ制御部380、カメラ360、有効合焦位置(Z高さ)較正部373、及びワークピース合焦信号処理部375(任意選択的)を含む。様々な実施例における様々なコンポーネントは、直接接続によって、又は1つ以上のデータ/制御バス(例えばシステム信号及び制御バス395)及び/又はアプリケーションプログラミングインタフェース等によって相互接続することができる。
以下で更に詳しく説明するように、様々な実施例において、VFLレンズ制御部380は、VFLレンズ370の光学パワーをある範囲の光学パワーにわたって周期的に変調するようVFLレンズ370の駆動信号を制御することができ、これらの光学パワーは周期的変調内の各位相タイミングで発生する。カメラ360(例えば撮像検出器を含む)は、画像露光中にVFLレンズ370を介して撮像光路OPATHに沿って伝送された光を受光し、対応するカメラ画像を提供する。対物レンズ350は、画像露光中にワークピース320’又は較正物体320のうち少なくとも1つから生じる画像光を入力し、この画像露光中に画像光を撮像光路OPATHに沿ってVFLレンズ370を介してカメラ360へ伝送して、対応するカメラ画像内でワークピース画像又は較正物体画像のうち少なくとも1つを提供する。画像露光中の対物レンズ350の前方の有効合焦位置EFPは、その画像露光中のVFLレンズ370の光学パワーに対応する。露光時間制御部333esは、カメラ画像のために使用される画像露光タイミングを制御するよう構成されている。
以下で更に詳しく記載されるように、様々な実施例において、VFLレンズシステム300を較正するための方法は、周期的変調の様々な位相タイミングで複数のカメラ画像(例えば画像スタック)を取得することを含み得る。様々な実施例において、各カメラ画像の取得は、較正物体320を較正物体撮像構成に(例えば対物レンズ350の視野内に)配置した状態で較正物体320に対して光源光332を出力することと、カメラ360からカメラ画像を受信することと、を含み得る。様々な実施例において、較正物体画像光355は較正物体画像露光中に撮像光路OPATHに沿って伝送され、VFLレンズ370を通過してカメラ360に到達し、カメラ画像内で較正物体画像を与えることができる。様々な実施例において、複数のカメラ画像を取得した後、少なくとも部分的にこれらの複数のカメラ画像を解析することに基づいて較正データを決定できる。較正データは、各有効合焦位置EFPに対応する周期的変調の各位相タイミングを示す。
図3に示されている一般的な構成に関して、光源330は「落射照明光源(coaxial light source)」又は他の光源であり、ビームスプリッタ390(例えばビームスプリッタの一部としての部分反射ミラー)を含む経路に沿って対物レンズ350を介してワークピース320’又は較正物体320の表面へと光源光332を発する(例えばストロボ照明又は連続照明で)ように構成されている。対物レンズ350は、ワークピース320’又は較正物体320に近接した有効合焦位置EFPで集束する画像光355(例えばワークピース光又は較正物体光)を受光し、画像光355をチューブレンズ351に出力する。チューブレンズ351は画像光355を受光し、これをリレーレンズ352に出力する。他の実施例では、同様の光源によって視野を非同軸に照明することができる。例えば、リング光源が視野を照明することができる。
様々な実施例において、対物レンズ350は交換可能対物レンズとすることができ、チューブレンズ351はターレットレンズアセンブリの一部として含めることができる(例えば図2の交換可能対物レンズ250及びターレットレンズアセンブリ223と同様)。図3に示されている実施例において、対物レンズ350のノミナルの焦点面から発する画像光355はチューブレンズ351によって合焦され、ノミナルの中間像面IIPnomにおいて中間像を形成する。VFL(TAG)レンズ370がレンズ効果を与えない(光学パワーがない)状態である場合、対物レンズ350のノミナルの焦点面、ノミナルの中間像面IIPnom、及びカメラ360の像面は、既知の顕微鏡撮像原理に従って共役面セットを形成する。様々な実施例において、本明細書で言及される他のレンズはいずれも、個別レンズや複合レンズ等から形成するか、又はそれらのレンズと連携して動作することができる。
リレーレンズ352は、チューブレンズ351から(又は、様々な代替的な顕微鏡構成において、より一般的には中間像面から)画像光355を受光し、これをVFL(TAG)レンズ370に出力する。VFL(TAG)レンズ370は画像光355を受光し、これをリレーレンズ356に出力する。リレーレンズ356は画像光355を受光し、これをカメラ360に出力する。様々な実施例において、カメラ360は、画像露光期間とも呼ばれる画像露光中に(例えばカメラ360の積分期間中に)カメラ画像をキャプチャし、対応する画像データを制御システム部に提供することができる。いくつかのカメラ画像は、ワークピース画像露光中に与えられた(例えばワークピース320’の領域の)ワークピース画像、又は較正物体画像露光中に与えられた(例えば較正物体320の領域の)較正物体画像を含み得る。いくつかの実施例において、画像露光(例えばワークピース画像露光又は較正物体画像露光)は、カメラ360の画像積分期間内である光源330のストロボタイミングによって制限又は制御され得る。様々な実施例において、カメラ360は、1メガピクセルよりも大きいピクセルアレイを有し得る(例えば1.3メガピクセル、1280×1024画素アレイ、1画素当たり5.3ミクロン)。
図3の例では、リレーレンズ352及び356並びにVFL(TAG)レンズ370は4f光学構成に含まれるものとして示され、リレーレンズ352及びチューブレンズ351はケプラー式望遠鏡構成に含まれるものとして示され、チューブレンズ351及び対物レンズ350は顕微鏡構成に含まれるものとして示されている。ここに示す構成は全て単なる例示であって、本開示に対する限定ではないことは理解されよう。様々な実施例において、図示されている4f光学構成は、VFL(TAG)レンズ370(例えば開口数(NA)が小さいデバイスであり得る)を、対物レンズ350のフーリエ面に配置することを可能とする。この構成は、ワークピース320’又は較正物体320におけるテレセントリシティを維持すると共に、尺度変化及び画像歪みを最小限に抑えることができる(例えば、ワークピース320’又は較正物体320の各有効合焦位置(Z高さ)で一定の倍率を与えることを含む)。ケプラー式望遠鏡構成(例えばチューブレンズ351及びリレーレンズ352を含む)は、顕微鏡構成と4f光学構成との間に含めることができ、画像収差等を最小限に抑えるように、VFL(TAG)レンズ370の位置において対物レンズ有効径(clear aperture)の望ましいサイズの投射を与えるように構成可能である。
様々な実施例において、レンズ制御部380は、駆動信号発生部381、タイミングクロック381’、撮像回路/ルーチン382、及び合焦状態較正サブシステム回路/ルーチン383を含むことができる。駆動信号発生部381は、(例えばタイミングクロック381’と連携して)動作して、信号ライン380’を介して高速VFL(TAG)レンズ370に周期的な駆動信号を与えることができる。様々な実施例において、VFLレンズシステム(又は撮像システム)300は、協調した動作のためレンズ制御部380と連携して動作するよう構成できる制御システム(例えば図2の制御システム部120)を備えることができる。
様々な実施例において、レンズ制御部380は概して、VFLレンズ370の所望の位相タイミングと同期するようにワークピース320’又は較正物体320を撮像すること、並びにVFLレンズ370の駆動及び応答を制御、監視、及び調整することに関連した、様々な機能を実行できる。様々な実施例において、撮像回路/ルーチン382は、当技術において既知のように、また本願に含まれる引例に記載されているように、VFLレンズ370の位相タイミングと同期した光学システムの標準的な撮像動作を実行する。以下で更に詳しく記載されるように、様々な実施例において、合焦状態較正サブシステム回路/ルーチン383は、本明細書に開示される原理に従って合焦状態較正を実行することができる。
合焦状態較正サブシステム回路/ルーチン383は、参照領域合焦解析器384及び任意選択的な調整回路/ルーチン385を含む。様々な実施例において、参照領域合焦解析器384は、(例えばカメラ画像に含まれる)較正物体画像を入力することや、特定のビデオツール(例えば、既知のタイプの自動合焦ビデオツール、又はマルチ領域もしくはマルチポイント自動合焦ビデオツール等)を呼び出すこと等の機能を実行するか、又は、他の合焦解析ルーチンを実行して、合焦状態較正等に使用される較正物体画像内の合焦状態参照領域(FSRR)の1つ以上の合焦特性値(例えば定量的コントラスト及び/又は合焦尺度値)を決定することができる。
様々な実施例において、そのようなプロセスを介して決定される較正データは、システムによる以降の測定動作のために記憶すると共に利用することができる。様々な実施例では、任意選択的に、決定された較正データ及び/又は他のファクタを、システムに調整を実行するためのプロセスの一部として使用し、場合によってはその後に較正データを再び決定することができる。例えば1つの実施例において、任意選択的な調整回路/ルーチン385は、参照領域合焦解析器384からの決定された合焦特性結果/値及び/又は他の決定された較正データ、又は他の決定された結果/値/データを入力し、システムに特定のタイプの調整を実施するか否かを決定するため、この決定された結果/値/データを対応する記憶されている結果/値/データと比較することができる。以下で更に詳しく記載されるように、様々な実施例において、調整は、VFLレンズ370を駆動するための振幅の調整(例えば、その光学パワー範囲と、結果として得られる有効合焦位置範囲とを調整するため)、位相タイミングの調整(例えば、特定の有効合焦位置(Z高さ)を与えるため使用される位相タイミングを調整するため)、VFLレンズ温度の調整等を含み得る(が、これらに限定されない)。様々な実施例において、このような調整は、駆動信号発生部381、タイミングクロック381’、及び/又はレンズヒータ/クーラ337等の制御信号を変更することによって実施できる。これについては以下で更に詳しく記載する。様々な実施例において、合焦状態較正サブシステム回路/ルーチン383は、場合によっては、VFLレンズの光学パワー範囲及び/又は結果として得られる有効合焦位置範囲が所望のレベルになる(例えば、特定の記憶されている結果/値/データに対して所望の許容差内になる)まで、繰り返し動作を実行してシステムを反復して解析及び調整することができる。一度このような調整プロセスが完了したら、システムの現在の状態に対応する較正データを、システムによる以降の測定動作のために記憶すると共に利用することができる。
様々な例において、望ましくない温度変動に起因して、VFLレンズの動作特性にドリフトが発生する可能性がある。図3に示されているように、様々な実施例において撮像システム300は、VFLレンズ370に関連付けられたヒータ/クーラ337を任意選択的に含み得る。レンズヒータ/クーラ337は、いくつかの実施例及び/又は動作条件に従って、ある熱エネルギ量をVFLレンズ370に入力すること及び/又は冷却機能を実行することで、VFLレンズ370の加熱及び/又は冷却を容易にするように構成できる。更に、様々な実施例では、VFLレンズ370に関連付けられた温度センサ336によってVFLレンズ監視信号を提供して、VFLレンズ370の動作温度を監視することができる。
図7のAからCを参照して詳しく後述するように、カメラ360は、VFLレンズ370の周期的変調の対応する位相タイミング及びそれによって得られる撮像システム300の有効合焦位置において露光された較正物体画像(例えば例示的な画像700A〜700C等)を提供して、合焦状態較正動作をサポートすることができる。詳しくは後述するが、特定の既知の位相タイミングを用いて露光された較正物体画像(例えば例示的な画像700A〜700C等)に含まれる合焦状態参照領域セット内の各要素(member)の合焦特性値は、対応する位相タイミング中のVFLレンズ370の光学パワー及びそれによって得られる撮像システム300の有効合焦位置に関連している。
以下で更に詳しく記載するように、様々な実施例において、較正物体320は合焦状態(FS:focus state)較正物体320と称することができ、平面状傾斜パターン表面SRFを含み得る(例えば図3の下部に、較正物体320に隣接して、較正物体320を90度回転させた図が平面状傾斜パターン表面SRFと共に示されている)。詳しくは後述するが、様々な実施例では、平面状傾斜パターン表面SRF上に、合焦状態参照領域(FSRR)のセットを(例えばコントラストパターンの一部として)分散させることができる。FSRRは、較正物体画像内に、それぞれ異なる相対的な参照領域合焦距離又は位置に固定された既知の相対的な参照領域画像位置(RRIL)を有し得る。結果として、ある特定のFSRRのベストフォーカス画像を含むカメラ画像は、その特定のFSRRに関連付けられたシステム合焦参照状態を規定することができる。様々な実施例において、その規定されたシステム合焦参照状態は、(例えば以下で更に記載するように)その特定のFSRRに関連付けられた特定のVFL光学パワー及び/又は特定の有効合焦位置等を含み得る。
様々な実施例において、較正物体320を撮像する場合、較正物体320を較正物体撮像構成に配置することができる。様々な実施例において、較正物体撮像構成は、較正物体320をシステムのステージ(例えば210)上に又は対物レンズ350の視野内に位置付けることを含み得る。較正物体320は、取得されるカメラ画像が較正物体320の傾斜面を含む較正物体画像を含むような位置に置くことで、較正物体320の傾斜面上のFSRRの合焦特性値を決定することを可能とする。これについては後で詳しく記載する。
様々な実施例において、較正物体320が較正物体撮像構成に配置されて撮像されている場合、VFLレンズ370は較正物体画像の画像光355を受光及び出力する。VFLレンズ370の動作に関連付けられた周期的光学パワー変動によって、(例えばカメラ360における)画像合焦位置は周期的に変更される。較正物体320上の様々なFSRRが(例えば対物レンズ350から)異なる距離に位置付けられている場合、それらは、VFLレンズ370の周期的光学パワー変動中の異なる時点で取得された各画像においてそれぞれ合焦される。従って、較正物体320(例えばFSRRの相対的な高さに関して特定の既知の特徴を有する)は、本明細書に開示されるような較正プロセスの一部として利用できる。これについては後で詳しく記載する。
VFLレンズ370の全体的な動作に関して、上述したように様々な実施例では、レンズ制御部380が周期的にその光学パワーを迅速に調整又は変調して、250kHz、又は70kHz、又は30kHz等の(すなわちVFLレンズ共振周波数の)周期的変調が可能である高速VFLレンズを実現することができる。図3に示されているように、VFLレンズ370を駆動する信号の周期的変調を用いることにより、撮像システム300の有効合焦位置EFP(すなわち対物レンズ350の前方の合焦位置)を、範囲Refp(例えば自動合焦サーチ範囲)内で迅速に移動させることができる。範囲Refpは、対物レンズ350と組み合わせたVFLレンズ370の最大光学パワーに対応する有効合焦位置EFP1(又はEFPmax)と、対物レンズ350と組み合わせたVFLレンズ370の最大負光学パワーに対応する有効合焦位置EFP2(又はEFPmin)とによって画定できる。様々な実施例において、有効合焦位置EFP1及びEFP2は、それぞれ90度及び270度の位相タイミングにほぼ対応することができる。これについては後で詳しく記載する。検討の目的のため、範囲Refpの中央をEFPnomとして示すことができ、これは対物レンズ350のノミナルの光学パワーと組み合わせたVFLレンズ370のゼロ光学パワーに対応し得る。この記載によるとEFPnomは、いくつかの実施例では、対物レンズ350のノミナルの焦点距離にほぼ対応することができる(これは対物レンズ350の作動距離WD(working distance)に相当し得る)。
1つの実施例において、任意選択的な合焦信号処理部375は、カメラ360からデータを入力し、(例えばワークピース320’又は較正物体320の)撮像された表面領域が有効合焦位置にあるときを決定するため使用されるデータ又は信号を提供することができる。例えば、様々な有効合焦位置(Z高さ)でカメラ360によって取得された、画像スタックの一部のような画像グループを、既知の「最大コントラスト」又は「ベストフォーカス画像」解析を用いて解析して、ワークピース320’又は較正物体320の撮像された表面領域が対応する有効合焦位置(Z高さ)にあるときを決定できる。しかしながら、より一般的には、他の適切ないずれかの既知の画像合焦検出構成を使用することができる。いずれにせよ、ワークピース合焦信号処理部375等は、VFLレンズ370(例えばTAGレンズ)の有効合焦位置の周期的な変調(複数の有効合焦位置のスイープ)中に取得された1又は複数の画像を入力し、ターゲット要素(例えばワークピース又は較正物体)がベストフォーカスである画像及び/又は画像タイミングを決定することができる。いくつかの実施例では、合焦信号処理部375及び参照領域合焦解析器384の一部又は全てはマージされる及び/又は区別できない場合がある。あるいは、いくつかの実施例では、合焦信号処理部375を主にワークピース画像を処理するために利用し、参照領域合焦解析器384を主に較正物体画像を処理するために利用することも可能である。
いくつかの実施例において、合焦信号処理部375は、(例えばワークピース要素又は較正物体要素の)ベストフォーカスに対応する位相タイミングを決定し、この「ベストフォーカス」位相タイミング値を、有効合焦位置較正部373(これは例えば、本明細書に開示されているような較正プロセスによって決定された較正データを記憶できる)に出力することができる。有効合焦位置較正部373は、各有効合焦位置(Z高さ)をVFLレンズ370の標準的な撮像共振周波数の周期内の各「ベストフォーカス」位相タイミングに関連付ける有効合焦位置(Z高さ)較正データを与えることができる。場合によっては、この較正データは、標準的な撮像駆動制御構成又は参照状態に従ったVFLレンズ370の動作に概ね対応し得る。
一般的に言えば、有効合焦位置較正部373は、記録された有効合焦位置(Z高さ)較正データ(例えば本明細書に開示されているような較正プロセスによって決定される)を含む。そのため、別々の要素としての図3の表現は限定ではなく、単に概略的な表現を意図している。様々な実施例において、関連した記録されている有効合焦位置(Z高さ)較正データは、レンズ制御部380、ワークピース合焦信号処理部375、又はシステム信号及び制御バス395に接続されたホストコンピュータシステム等と、マージされる及び/又は区別できない場合がある。
様々な実施例において、露光(ストロボ)時間制御部333esは、撮像システム300の画像露光時間を(例えば、周期的に変調される有効合焦位置の位相タイミングに対して)制御する。より具体的には、いくつかの実施例において、画像露光中に露光(ストロボ)時間制御部333esは、(例えば、有効合焦位置較正部373で得られる有効合焦位置(Z高さ)較正データを用いて)光源330を制御して、制御された各時点でストロボ発光させることができる。例えば、露光(ストロボ)時間制御部333esは、VFLレンズ370の標準的な撮像共振周波数の周期内の各位相タイミングでストロボ発光するようにストロボ光源を制御して、VFLレンズ370のスイープ(周期的な変調)範囲内で特定の有効合焦位置を有する画像を取得可能とする。他の実施例では、露光時間制御部333esは、カメラ360の高速電子カメラシャッタを制御して、制御された各時点及び/又はそれに関連付けられた有効合焦位置で画像を取得可能とする。いくつかの実施例において、露光(ストロボ)時間制御部333esは、カメラ360とマージされる及び/又は区別できない場合がある。様々な実施例において、露光時間制御部333es並びに上述した他の特徴及び要素の動作は、ワークピース画像取得、較正物体画像取得、又はそれら双方を管理するように実施できることは認められよう。図7のAからCに関して以下で更に詳しく記載するように、いくつかの特定の例示的な実施例において、較正物体画像露光は、VFLレンズの較正データの決定に利用できるように、較正物体の構造に関連して指定された位相タイミング(例えば、較正物体320のFSRRがそれぞれ異なる合焦レベルである複数の画像を提供する特定の位相タイミング)に対応するよう制御することができる。
図4A及び図4Bは、本明細書に開示される原理に従って使用できる合焦状態(FS)較正物体420の第1の例示的な実施例を示す図である。図4Aに示されているように、較正物体420は、平面状傾斜パターン表面SRFと、支持体BDYと、(例えば平面状傾斜パターン表面SRFを支持体BDYに取り付けるための)取り付け部材ATCと、を含む。以下で図6に関して更に詳しく記載するように、様々な実施例では、平面状傾斜パターン表面SRF上に、FSRRのセットを(例えばコントラストパターンの一部として)分散させることができる。例えば様々な実施例において、平面状傾斜パターン表面SRFは、(例えば図4Aの例に示されているように)コントラストパターンが格子ラインを含んでいる格子を含むことができる。
図4Bに示されているように、較正物体420は更に、平面状傾斜パターン表面SRFの下方に位置付けられた反射面RSF(例えばミラー等)を含む。様々な実施例において、較正物体420がVFLレンズシステムに対して較正物体撮像構成に配置されている/位置付けられている場合、反射面RSFは対物レンズ及び/又は撮像光路の光軸に対してノミナルで直交し得る。様々な実施例において、VFLレンズシステムからの光源光(例えば光源光332)が平面状傾斜パターン表面SRF(例えば格子)を通過した場合、この光は反射面RSFで反射されて戻り、再び平面状傾斜パターン表面SRFを通過して、較正物体画像光の少なくとも一部としてVFLレンズシステムの撮像光路に沿って伝送され得る。様々な実施例において、特定の比較的大きい傾斜角(例えば10度を超える傾斜角又は15度を超える傾斜角等)の平面状傾斜パターン表面を有する較正物体では、このような特徴が特に望ましい場合がある。より具体的には、いくつかの実施例において、特定の傾斜角の平面状傾斜パターン表面は、VFLレンズシステムの撮像光路に沿って所望の光量を反射しない可能性があるが、反射面RSFで反射されて再び平面状傾斜パターン表面を通過する光は、(例えば較正物体420の撮像の改善等を達成するように)撮像光路に沿って誘導される画像光を増大させることができる。
図5は、図4A及び図4Bのような較正物体の(すなわち平面状傾斜パターン表面の)様々な傾斜角を示す図である。様々な実施例において、このような様々な較正物体は、VFLレンズシステムの様々な倍率の交換可能対物レンズセット(例えば1倍から50倍までの範囲の倍率の対物レンズセット)と共に使用される較正物体セットの一部として提供することができる。以下で更に詳しく記載するように、較正物体セットの各較正物体はそれぞれ傾斜量が異なる平面状傾斜パターン表面を有し、較正物体セットの各較正物体はそれぞれ倍率が異なる対物レンズに対応する。様々な実施例において、VFLレンズシステムの較正が実行される場合、セットの中から、較正の間に使用される対物レンズに対応する較正物体を使用することができる。
様々な実施例において、各較正物体の傾斜角は、指定された倍率を有する対応する対物レンズと共に使用するためVFL範囲(例えば+1ジオプター)の完全スキャンを可能とするように設計できる。更に具体的に述べると、より倍率の大きい対物レンズを利用すると解像度が増大するが、これに応じてZスキャン全範囲が縮小し、このため対応する較正物体の傾斜角が小さくなり得る(例えば、図5Bの表に示されている傾斜角及び他の値によって示されている)。図5Bの表によって示されているいくつかの具体的な例示の値として、対物レンズの倍率が1倍であり、X視野(FOV)が6.784mm、Y視野が5.427mm、スキャン範囲が20.000mmである構成では、対応する較正物体に71.3度の傾斜角を利用できる。図5Bの表で一番下に示されている、対物レンズの倍率が50倍であり、X視野(FOV)が0.1357mm、Y視野が0.1085mm、スキャン範囲が0.008mmである構成では、対応する較正物体に3.4度の傾斜角を利用できる。
様々な実施例では、各対物レンズと共に使用される別個の較正物体を提供するのではなく、2つ以上の指定された対物レンズと共に使用される単一の較正物体を提供することも可能である。1つのそのような実施例において、平面状傾斜パターン表面は、調整可能な傾斜角を有する(例えば図5Bに示したもののように、異なる対物レンズと共に使用するため異なる角度に調整する)ことができる。様々な実施例において、異なる対物レンズと共に使用される異なる較正物体のセットは、それぞれ異なる大きさである可能性がある、及び/又は異なるピッチのコントラストパターン及び/又は対応した合焦状態参照領域を有する可能性がある。例えば、0.1357mm×0.1085mmのFOVを有する50倍の対物レンズと共に使用される較正物体は、6.784mm×5.427mmのFOVを有する1倍の対物レンズと共に使用される較正物体よりも、小さい平面状傾斜パターン表面を有する及び/又は細かいピッチのコントラストパターン及び/又は対応したFSRR(例えば、細かい格子ラインピッチの小さい格子)を有し得る。
図6は、本明細書に開示される原理に従って使用できる較正物体620の第2の例示的な実施例を示す2つの関連した図を含む。図600Aの平面図に、較正物体620の表面SRFが示されている。図600Bは側面図であり、本明細書に開示される原理に従って、較正物体620の表面SFRは傾斜角TAに傾斜して図示されている。図600Aに示されているように、較正物体620の表面SRFは、表面に沿ったコントラストパターンCPを含む平面状「パターン表面」であり、指定された数及び/又は構成のパターン要素PE(例えばパターン要素PE−0〜PE−25)を有することができる。1つの実施例において、平面状パターン表面SRFは格子を含み、コントラストパターンCPは格子要素のものであり、パターン要素PE−0〜PE−25は格子上に分散した格子ラインに対応し得る。様々な実施例において、コントラストパターンは、高い空間周波数で配置された高コントラストパターン要素PEを含むことが望ましい場合がある。図6に示されているように、コントラストパターンCPの様々なFSRRは表面SRFに沿って配置され(例えば代表的な領域FSRR−1、FSRR−13、及びFSRR−25を参照のこと)、平面状パターン表面SRFが傾斜角TAに傾斜した状態である場合、それらのFSRRが対物レンズ350に対して異なる有効合焦位置にあるようになっている。
本明細書で言及される場合、FSRRは、較正物体画像内の参照領域画像位置(RRIL)にある較正物体620上の任意の領域と見なすことができ、設計及び/又は較正によって知ることができる。平面状パターン表面が格子を含み、パターン要素PE−0〜PE−25が格子ラインに相当する図6の具体例では、FSRRは1つの実施例において格子ラインのエッジ(すなわち下部エッジ)に対応し得る。このような実施例では、FSRR−1〜FSRR−25は格子ラインPE−1〜PE−25の下部エッジに対応し得る(例えば、FSRR−1は格子ラインPE−1の下部エッジに対応し、FSRR−13は格子ラインPE−13の下部エッジに対応し、FSRR−25は格子ラインPE−25の下部エッジに対応する)。この具体例ではFSRRは格子ラインの下部エッジに対応することが指定されるが、様々な実施例においてFSRRは、任意のタイプや寸法等のコントラストパターン要素や特徴等に対応し得る(例えば、それぞれ較正物体画像内で別個の決定可能なRRILに位置付けられている)ことは認められよう。
様々な実施例において、FSRRは平面状傾斜パターン表面SRFに対して既知の幾何学的関係を有する。例えば平面状傾斜パターン表面が格子を含む実施例では、既知の幾何学的関係は、格子が平面状傾斜パターン表面SRFの面に対して既知の位置合わせを有すること、及び/又は各FSRRが平面状傾斜パターン表面SRFにおいて既知の一定の高さにあること、及び/又は平面状傾斜パターン表面SRFに対するFSRRの他の既知の幾何学的関係に対応し得る。様々な実施例において、FSRRは相互に既知の領域関係も有する。例えば格子の場合、既知の領域関係は、格子が既知の格子ピッチPIを有すること、及び/又はFSRRが相互に既知の間隔SPを有すること、及び/又はFSRR相互の他の既知の領域関係に対応し得る。対物レンズ350に対して較正物体撮像構成に配置された場合、各FSRRは、対物レンズ350に対してそれぞれ異なる参照領域合焦距離又は有効合焦位置EFPに固定される。
図600Bに示されているように、較正物体620の表面SRFが傾斜角TAにある状態では、FSRR−1、FSRR−13、及びFSRR−25はそれぞれ対物レンズ350に対して異なる有効合焦位置EFP−1、EFP−13、及びEFP−25に配置されている。他の各FSRR−iは、較正物体合焦位置範囲Rco内の他の各有効合焦位置EFP−iを有することは認められよう。本明細書に開示されるいずれの較正物体も、撮像されるパターン表面を備えた、やや拡散性又は散乱性の表面を組み込むことで、よりいっそうロバストな撮像、位置合わせ要件の軽減、及び、望ましくない反射の低減を可能とする。本明細書に開示されるような較正物体は、図1から図3を参照して記載したような例示的なVFLレンズシステムを較正するため利用することができ、カメラ360(例えば1280×1024画素カメラ)で撮像して、本明細書に開示される原理に従って使用できる較正物体画像を得ることができる。
図7のA、B、及びCは、3つの異なる合焦状態における、図6の較正物体620の画像を含む3つのカメラ画像700A、700B、及び700Cを表す図である。以下で更に詳しく記載するように、較正プロセスの一部として、多数の画像(例えば、様々な実施例では数十又は数百に達する画像であり得る)を含む画像スタックを取得できる(例えば、VFLレンズ370の光学パワー変調範囲全体(以下、光学パワー変調範囲のことを「範囲」と略すこともある)を通して等しく離間された位相タイミング等で)。様々な実施例において、画像700A、700B、及び700Cは、そのような画像スタックからの3つの例示的な画像を表現することができる(例えば、画像700Bは範囲の中央近傍で撮像され、画像700A及び700Cは範囲の両端部近傍で撮像されている)。
具体的に述べると、カメラ画像700Aは、FSRR−1がベストフォーカスである有効合焦位置EFP−1の近傍で合焦された較正物体画像ROI−700Aを含む。カメラ画像700Bは、FSRR−13がベストフォーカスである有効合焦位置EFP−13の近傍で合焦された較正物体画像ROI−700Bを含む。カメラ画像700Cは、FSRR−25がベストフォーカスである有効合焦位置EFP−25の近傍で合焦された較正物体画像ROI−700Cを含む。有効合焦位置EFP−1、EFP−13、EFP−25の各々は図6に示されている。図7のA、B、及びCでは、異なる画像合焦度又はボケ度が、異なるクロスハッチパターンによって概略的に表されている。図示のように、代表的なFSRR−1は参照領域画像位置RRIL−1を有し、FSRR−13は参照領域画像位置RRIL−13を有し、FSRR−25は参照領域画像位置RRIL−25を有する。
前述のように、(例えばカメラ360における)画像合焦位置又は位置は、VFLレンズ370の動作に関連付けられた周期的な光学パワー変動によって周期的に変化する。従って、較正物体620の近傍の有効合焦位置EFPも、VFLレンズ370の動作に関連付けられた周期的な光学パワー変動のために周期的に変化するか又はスイープされることは認められよう。異なるFSRRがそれぞれ異なる有効合焦位置EFPに位置する場合、各FSRRは、VFLレンズ370の周期的な光学パワー変動の位相又は周期に関連したそれぞれ異なる時点(位相時点)でベストフォーカスとなる。
従って、較正物体画像ROI−700Aは、有効合焦位置EFP−1においてRRIL−1のFSRR−1がベストフォーカスとなるタイミングに対応するPh−1と表された位相タイミング近傍の画像露光(例えばストロボタイミング)によって取得される(本明細書で用いられる慣習に従って)。この較正物体画像ROI−700Aでは、較正物体620の表面SRFの傾斜角TA(すなわち図6に示されている)のため、FSRRの合焦は、おおよそFSRR−1及びRRIL−1からの距離の関数として徐々に劣化し、較正物体620の遠端の近傍であるため画像合焦位置から相対的に遠いRRIL−25のFSRR−25の近傍で概ね最悪となることが図示されている。画像内の任意のFSRRの合焦度又はボケ度は、既知の方法に従ってその特定のFSRRの合焦特性値(例えば定量的コントラスト及び/又は合焦尺度値)を決定することに基づいて決定され得る。図7のB及びCは、前述の記載との類似性によって理解できる。
簡潔に述べると、較正物体画像ROI−700Bは、有効合焦位置EFP−13においてRRIL−13のFSRR−13がベストフォーカスとなるタイミングに対応する位相タイミングPh−13の近傍での画像露光によって取得される。この特定の例では、EFP−13(図6に示されている)は、VFL光学パワーがゼロであるノミナルの合焦位置として指定されているノミナルの合焦位置EFPnomの近傍の合焦位置の一例である。従ってEFPnomは、ノミナルで合焦範囲Rcoの中央にあり、対物レンズ350のノミナルの焦点距離Fref(例えば対物レンズ350からの作動距離WDに対応し得る)に対応し得る。EFP−13は較正物体620及び合焦位置範囲Rcoの中央に位置し、FSRRの合焦は、FSRR−13及びRRIL−13から離れるそれぞれの方向で徐々に劣化し、較正物体620の両端の近傍で最悪となることが図示されている。簡潔に述べると、較正物体画像ROI−700Cは、有効合焦位置EFP−25においてRRIL−25のFSRR−25がベストフォーカスとなるタイミングに対応する位相タイミングPh−25の近傍での画像露光によって取得される。FSRRの合焦は、FSRR−25及びRRIL−25から離れる方向で概ね徐々に劣化し、較正物体620の遠端の近傍であるため画像合焦位置から相対的に遠いRRIL−1のFSRR−1の近傍で最悪となることが図示されている。
上記のように、異なるFSRRがそれぞれ異なる有効合焦位置EFPに位置付けられている場合、各FSRRは、VFLレンズ370の周期的な光学パワー変動の位相又は周期に関連したそれぞれ異なる時点(すなわち異なる位相時点)でベストフォーカスとなる。以下で更に詳しく記載するように、画像スタックが取得される場合(例えば画像セットは、VFLレンズ370の光学パワー変調範囲全体を通して等しく離間された位相タイミング等で取得される)、各画像に現れる所与のFSRRは概して、各画像でそれぞれ異なる合焦特性値(例えば異なる定量的コントラスト及び/又は合焦尺度値)を有し、FSRRがベストフォーカスであるタイミングのより近くで取得される画像は、合焦特性値がより大きい。このような画像スタックはFSRRの正確なベストフォーカス画像を含まない可能性がある(例えば、そのようなベストフォーカス画像のタイミングはスタック内の2つの画像のタイミングの間にあり得る)が、既知の技法(例えばポイントフロムフォーカス動作の使用及び/又は合焦曲線の解析等)に従って画像スタックの画像を解析することにより、そのようなベストフォーカス画像のタイミングを決定できる。前述のように、VFLレンズシステム300は、合焦特性値(例えば定量的コントラスト及び/又は合焦尺度値)及び/又は画像スタックの画像内のFSRRの他の値を決定するように構成され得る参照領域合焦解析器384及び/又は合焦信号処理部375を含むことができる。これらの値を、FSRRがベストフォーカスにある位相タイミングを決定するためのプロセスの一部として使用できる。様々な実施例では、位相タイミングをシステムの有効合焦位置(Z高さ)に関連付ける較正データを決定するため、このような各FSRRの位相タイミングの決定を各FSRRの既知の有効合焦位置(Z高さ)と組み合わせて利用することができる。これについては後で図11から図15を参照して更に詳しく記載する。
上述のように、様々な実施例において、画像700A、700B、及び700Cは、そのような画像スタックからの3つの例示的な画像を表現することができる(例えば、画像700Bは範囲の中央近傍で撮像され、画像700A及び700Cは範囲の両端部近傍で撮像されている)。様々な実施例において、そのような画像スタックを較正プロセスの一部として取得する場合、最初に特定の較正変数及び/又は他の変数が決定され得る。例えばVFLレンズ制御部は、VFLレンズの共振周波数Fres、VFLレンズ/制御部温度Tcntrlr、電力レベルPelecのような、特定の入力変数又は他の変数の現在の値の指示を与えることができる。様々な実施例では、そのような変数から、例えば位相遅延Pd、電力レベルPelec、VFLレンズの共振周波数Fres、位相差度PhaseDiffDegreeのような、特定の移動マニピュレータ制御プログラム(MOMAC:mobile manipulator control program)変数を取得するか又は他の方法で決定することができる。一度そのような変数の現在の値が受信されるか又は他の方法で決定されたら、較正物体画像の画像スタックのために画像を取得する時間増分(又は他の範囲の区切り(division))を決定することができる。
1つの具体的な例示の実施例では、有効合焦位置範囲(Z範囲)の全体(すなわち上から下まで=180度)を1/2度の増分に分割することができる(すなわち、この具体的な例示の実施例では結果として360のステップが生じる)。各ステップは時間で(例えば秒単位で)表現することができ、共振周波数Fresの2倍が180度のスキャンに必要な総時間となる。従って、各ステップの時間は、位相遅延(すなわちVFLレンズ変調の)を秒単位で表現する(例えば、画像スタック内の各画像の取得時間にノミナルで対応する)。また、光パルスの持続時間(例えば、いくつかの実施例では各画像を取得するため一定であり得る)を指定することができ(例えば50ナノ秒等)、上述のように各画像のタイミングに従ってトリガすることができる。様々な実施例では、いくつかの値(例えば各ステップの時間、光パルスの持続時間等)を対応するルックアップテーブル(LUT)に記録し、較正プロセスの次のステップを実行するため使用することができる。
様々な実施例では、上記の値を用いて、較正物体画像の画像スタック(例えば、上記の具体例の値に従った約360の画像のような、指定された数の画像を含む)を得ることができる。画像スタックに加えて、拡大被写界深度の画像(例えば、以下で図8に関して更に詳しく記載する)も得ることができる(例えば、VFLレンズ動作のための既知の技法を用いて、更に、いくつかの場合は上記の例示的な値で示される光パルスのための位相タイミング及び/又は他の位相タイミングのいくつか又は全てを用いて)。更に、VFLレンズが、VFLレンズの光学パワーが変調されておらずVFLレンズがレンズ効果を与えない状態である(例えばレンズが電源オフされている)ときに取得されるような、オフVFL画像も得ることができる(例えば後で図10に関して更に詳しく記載する)。オフVFLカメラ画像は、少なくとも部分的に対物レンズによって決定されるがVFLレンズの光学パワーの変調又はレンズ効果によっては決定されない有効合焦位置に対応する。様々な実施例において、これらの画像(すなわち画像スタックの画像、EDOF画像、及び/又はオフVFL画像)の各々は、以下で更に詳しく記載するように、較正プロセスの様々な部分のために利用することができる。
図8は、図6の較正物体620の拡大被写界深度(EDOF)画像800を表す図である。このようなEDOF画像では、被写界深度は単一合焦位置の撮像システムによって与えられるものよりも大きい。(例えばVFLレンズを用いて)拡大被写界深度の画像を取得するための様々な方法が既知であり、例えば米国特許第10,101,572号に記載されている。以下で更に詳しく記載されるように、様々な実施例において、VFLレンズシステムを較正するための方法は、EDOF画像を用いて各FSRRの近似位置を決定することを含み得る(例えば近似位置は、画像内のFSRRの合焦特性値を決定するため画像内に関心領域を配置する等、様々な目的に使用され得る)。
様々な実施例において、図8のようなEDOF画像は、いくつかの目的では許容できる量の合焦/コントラストのFSRRの画像を含み得るが、この合焦/コントラストは、コントラストパターン全体にわたる全てのFSRRについては正確でないか又は特定の許容差内で一貫していない可能性がある(これは例えば、EDOF画像を生成/取得するため利用される処理方法の結果として起こり得る)。このように変動する可能性のあるFSRRの合焦/コントラストは、図8において、パターン要素間の様々なクロスハッチパターンによって図示されている。EDOF画像に関するこのようなファクタのため、(例えばFSRRの精密な位置を決定する)特定の動作のために更に精密な解析が望まれる場合は、そのような処理に対して画像スタックからの画像を代替的に使用すればよい。これについては以下で更に詳しく記載する。様々な実施例において、(例えば図6に示された、平面状パターン表面SRFを傾斜のない向きから見た場合のピッチPI及び間隔SPと比べて)EDOF画像800内のFSRRは、対物レンズ350に対する傾斜角TAのため、これらFSRR相互の合成ピッチPI’及び/又は間隔SP’を有することが図示されている。合成ピッチPI’及び間隔SP’は同様に、図7のAからCの画像内のピッチ及び間隔に対応し得ることは認められよう。様々な実施例では、様々な較正プロセスの一部として、図8のようなEDOF画像を様々な目的のために使用できる。これについては以下で図9、図10、及び図11を参照して更に詳しく記載する。
図9は、(例えばVFLレンズ等に対する)較正物体の回転を補償するために使用できる画像900の回転角RAの決定を示す図である。以下で更に詳しく記載するように、様々な実施例において、VFLレンズシステムを較正するための方法は位置合わせプロセスを実行することを含み得る。位置合わせプロセスは、位置合わせ画像(例えば画像900)と、(例えば間隔又はピッチに従った)FSRR相互の既知の領域関係又は(例えば既知の位置合わせに従った)平面状傾斜パターン表面に対するFSRRの既知の幾何学的関係のうち少なくとも1つと、を使用して、VFLレンズシステムに対する較正物体の位置合わせの決定又は補償のうち少なくとも一方を行うことを含む。様々な実施例において、位置合わせ画像は、画像スタックのカメラ画像、EDOF画像(例えば図8のもの等)、又はオフVFLカメラ画像(例えば図10のもの等)のうち少なくとも1つであり得る。
様々な実施例において、位置合わせ画像を使用することは、位置合わせ画像を解析して、VFLレンズシステムに対する較正物体の位置合わせを示す合成周波数を決定することを含み得る。様々な実施例において、合成周波数は、位置合わせ画像の2Dフーリエ変換を処理することによって決定できる。様々な実施例において、位置合わせプロセスは、VFLレンズシステムに対する較正物体の回転角(例えば、以下で更に詳しく記載するような図9の回転角RA)に対応する較正物体の位置合わせを決定することと、(例えば、較正物体の少なくとも1つの画像を更に処理する前に、この少なくとも1つの画像を回転角だけ回転させることによって)VFLレンズシステムに対する較正物体の位置合わせを補償することと、を含み得る。
図9の例に関して上述したように、様々な実施例において、回転角の決定に使用される画像900は、EDOF画像(例えば図8のもの等)であるか、あるいは別のタイプの較正物体画像(例えば画像スタックからの画像又はオフVFL画像等)であり得る。図9に示されている例では、画像900は図8のEDOF画像を回転させたものである(すなわち、図示の簡略化のため、図8のパターン要素間のクロスハッチパターンは図9に含まれていない)。
様々な実施例において、ユーザ又はシステムが(例えば対物レンズ350及び撮像システムの視野内のステージ上に)較正物体を配置した場合、較正物体の向きは、所望の垂直方向又は水平方向の向きに対して(例えばVFLレンズシステムに対して)精密に位置合わせされていない可能性がある。より具体的に述べると、様々な実施例において較正物体は、VFLレンズシステムに対してピッチ、ヨー、又はロールのうち1つ以上で、ある回転度を有し得る(例えば、ユーザによる設置/配置/配向や、ステージ表面又は較正物体が置かれる表面が平坦でないことに起因して)。図9の例では、較正物体は、コントラストパターンが垂直方向の向きに対してある回転度を有するような向きである。
図9に示されているように、較正物体は、対応する局所Xco、Yco、及びZco較正物体座標軸を有する画像面内にある(すなわち、Xco軸及びYco軸はVFLレンズシステムのX軸及びY軸に対して回転して示されている)。図9に示されているように、較正物体の回転量を示す較正物体回転角RA(例えば、局所Xco軸方向とX軸方向との間の角度に対応する)が決定される。様々な実施例では、較正物体の向きをEDOF画像から決定することが望ましい場合がある(例えば、多数のパターン要素を解析して、較正物体全体の向きを示すものとして平均向きを決定できる。これは、1つ又は少数のパターン要素のみを解析するとサンプリングポイント数が少ない等のために決定の精度が低下することとは対照的である)。
様々な実施例において、較正物体の回転を補償するためのプロセスは、EDOF画像900を解析して、(例えばXco軸方向に沿った周波数とは対照的に)X軸方向に沿ったコントラストパターン(例えばFSRR/格子ライン等を含む)の合成周波数を決定することを含み得る。1つの実施例において、このような解析は、2Dフーリエ変換又は高速フーリエ変換(FFT)を処理してEDOF画像900の合成周波数を決定することを含み得る。様々な実施例において、EDOF画像900の合成周波数は(例えば、図8に示されているようなコントラストパターンが水平方向に位置合わせされた既知の合成周波数、並びにピッチPI’及び間隔SP’に対応する既知の合成周波数と比較して)、較正物体の回転角RAを示すことができる。EDOF画像からの測定された合成周波数(フーリエ変換の基本波)は、関連する計算及び較正において用いるため、傾斜角TAを補償するために使用される(例えば、較正物体の実際の傾斜角TAと既知の又は設計された傾斜角との関係を決定する)。フーリエ変換の高次の測定された合成周波数は、回転角RAを決定し、関連する計算及び較正におけるその効果を補償するため使用できる。
様々な実施例では、更に処理を行う前に、対応する画像を回転角だけ回転させることによって較正物体回転角RAを補償することができる。より具体的に述べると、様々な実施例において、(例えば以下で更に詳しく記載するように)更に画像処理を実行する前に、コントラストパターンのピッチ(例えばFSRR/格子のピッチ)の測定に対するバイアスを除去するように処理/解析対象の各画像を最初に回転させることができる(例えば、回転のための既知の画像処理及び/又はソフトウェア技法を用いて)。様々な実施例では、画像を回転させることの代わりに又はこれに加えて、対応する画像データに対して回転を補償するための様々な既知の数学的及び/又は他の処理技法を使用できる(例えば、画像の回転と同様の効果を得るため又は他のため)。
図10はオフVFLカメラ画像1000を表す図である。オフVFLカメラ画像1000は、図6の較正物体の画像を含み、VFLレンズの光学パワーが変調されておらずVFLレンズがレンズ効果を与えない状態である(例えばレンズが電源オフされている)ときに取得される。以下で更に詳しく記載されるように、VFLレンズシステムを較正するための方法の一部として、様々な実施例では、オフVFLカメラ画像を解析して、画像スタックの画像の対応する値の基準になると共に対物レンズ350からの作動距離WDに対応する代表値を決定できる。様々な実施例において、オフVFLカメラ画像の代表値と一致する(例えば、作動距離WDに対応するものとして指定される)画像スタック内の画像の2つの対応する値間の内挿値を決定することができる。様々な実施例において、代表値は、オフVFLカメラ画像に対してラインスキャンを実行することによって少なくとも部分的に決定される画素位置とすることができる。
図10の例に関して、上記のようにオフVFL画像1000は、対物レンズの作動距離WDとの関連において使用できる。様々な実施例では、対物レンズの作動距離WDを決定するため、(例えば出荷前に工場等で)最初に対物レンズの較正を実行してもよい。様々な実施例では、対物レンズの初期較正の一部として、ポイントフロムフォーカス(PFF)焦点面補正(FPC:focal plane correction)(すなわち像面湾曲(field curvature)に関連している)を較正すればよい。その後の時点で(例えば対物レンズを使用するとき)、ポイントフロムフォーカス又は他の機構(例えば内径ゲージ等を含む)を用いて、対物レンズの作動距離WD(例えば焦点面補正(FPC)参照面又は参照位置のような、参照面又は参照位置に対する対物レンズ先端面(nose plane)の距離に対応する)を精密に測定できる。様々な実施例では、これに加えて又はこの代わりに、対物レンズの作動距離WDを精密に測定するため他の測定ツール/デバイス/物体(ゲージブロック等)を使用してもよい。様々な実施例において、作動距離WDは、VFLレンズシステムの較正のために有用であり得るマシン座標系(MCS:machine-coordinate system)に関連付ける(referenced)ことも可能である。これについては以下で更に詳しく記載する。より具体的には、上記のように、対物レンズの工場におけるPFF較正では、作動距離WDを物理的に又は他の方法で測定することによって、対物レンズ搭載フランジに対する第1のMCS参照値(例えば同焦点距離)を確立できる。
様々な実施例において、オフVFL画像1000は、作動距離WDに対応し、従ってMCS参照位置に対応する有効合焦位置に、ノミナルで対応し得る。このような有効合焦位置は、少なくとも部分的に対物レンズによって決定されるが、VFLレンズの光学パワー変調又はレンズ効果によって決定されるのでないことは認められよう。以下で更に詳しく記載するように、対応する外部参照位置は較正プロセスの一部として有用であり、対物レンズ350から較正物体620上の決定された位置等までの精密な外部参照距離を示すことができ(例えばこれは、他の場合には既知でないか利用可能でない可能性がある)、画像スタックの画像及び/又は決定される対応したデータ等に対する固定の(anchoring)既知の参照位置として機能できる。
例えば、レンズシステムの従来の較正プロセス(例えば、ステージの所与の位置、又は対物レンズと較正のため測定/利用される物体又は表面との間の他の距離に対して)では、典型的に、測定/較正位置のために参照され得る既知の/物理的に測定可能な距離(例えば、対物レンズと較正のため利用される物体/表面との間の物理的に既知の/測定可能な距離)が存在し得る。これに対し、様々な実施例において、特定のタイプのVFLレンズシステム(例えば、流体媒質中で波を用いてレンズ効果を生成するTAGレンズを含む)に実行される較正では、(例えば、流体媒質中で波によって生成されるVFLレンズの変調光学パワーに関して)現在の/有効なレンズ位置に対する物理的に既知の/測定可能な距離が存在しない可能性がある。例えば、VFLレンズシステムの較正プロセス中に取得される所与の画像/データ/測定値のセットにおいて、取得された画像/データ/測定値の範囲内のどの位置/値が、指定された外部参照位置/ロケーションに正確に対応するかは明らかでない場合がある(例えば1つの例では、どの位置/値がその範囲内のゼロ光学パワー位置に対応するかは明らかでない可能性がある)。
具体例として、VFLレンズシステムのそのような較正プロセス中に取得された画像のスタックにおいて、この画像スタックは、(例えば既知のMCS位置における)所望の外部参照位置に正確に対応する画像を含まない可能性があり、画像スタック範囲内の対応する相対的な位置が既知でない可能性がある。本明細書に開示される原理に従って、オフVFL画像を用いて画像スタック範囲内のそのような画像の相対的なロケーション/位置の指示を効果的に与えることができる。より具体的に述べると、様々な実施例において、(例えば既知のMCS位置における)正確な外部参照位置に対応するオフVFL画像を取得し解析することによって、更に、画像スタックの画像を解析して画像スタック範囲内のどこに(例えば、画像スタックの画像に対応する値の範囲内のどこに)オフVFL画像が該当する(例えば、オフVFL画像に対応する値が値範囲内のどこに該当する)か決定することによって、その範囲内の精密な相対的な位置/値を確定し、これが固定の/既知の参照位置/ロケーション/値を与えることができる(例えば、これに対して画像スタックの範囲及び/又は画像/対応する値を関連付けることができる)。本明細書に記載されているように、様々な実施例において、オフVFLレンズ画像は周期的変調中のVFLレンズのゼロ光学パワー位置/値に対応し、精密な参照距離は既知である/物理的に測定することができる(例えば対物レンズ350の作動距離WDに対応する)。従って様々な実施例では、オフVFL画像(例えば、又は関連付けられた値)が対応している範囲内の精密な相対的な位置/ロケーション/値を決定することにより、その範囲及び/又は関連付けられた値/データポイントを、(例えば既知のMCS位置/ロケーション/距離における)対応する既知の外部参照位置/ロケーション/座標/距離に固定する/関連付けることができる。
上記のように様々な実施例では、オフVFL画像1000を用いて、オフVFLカメラ画像と同様である画像スタック内の1つ以上のカメラ画像を決定し、これによって、画像スタックの範囲内のどこにオフVFL画像1000が対応するかを決定できる。より具体的に述べると、画像スタックは、オフVFL画像1000と同様である有効合焦位置における画像(例えば作動距離WDのわずかに上方及び下方の有効合焦位置の)を含み、オフVFL画像1000は、場合によっては、対応する位相タイミングで取得され作動距離WDに等しい有効合焦位置を有する画像スタック内の画像に対する「対の一方(twin)」の画像と見なすことができる。画像スタック値の範囲内の、MCS参照位置に対応するそのような位置を決定することにより、画像スタック内の(例えば画像等の)残りの位置及び/又はそれから決定されるデータも、MCSに関連付けることができる。様々な実施例において、このような構成はVFLレンズシステムの較正に関して様々な利点を有し得る。例えば、いくつかの従来のシステムにはそのようなMCS参照位置が存在しなかった、及び/又は(例えば較正安定性を外部で検証するために使用される)そのような外部参照位置が明らかでなかった。
一般に、較正物体620のオフVFL画像1000は、VFLレンズの変調光学パワーがゼロ値である(例えば、光学パワーの正の値と負の値との間で変調している間にゼロ値と交差する)ときの位相タイミングに対応する較正物体620の画像とノミナルで同一であり得る(例えばノミナルで対の一方である)。上記のように、オフVFL画像1000に対応する有効合焦位置はノミナルで作動距離WDに対応し、作動距離WDは、既知である及び/又は高い精度で決定することができ(例えば外部物理較正及び/又は測定プロセスを用いて)、画像スタック内の画像及び/又は対応する決定されたデータ等に対する固定参照位置として機能し得る。
1つの具体的な例示の実施例において、オフVFL画像1000に対応する画像スタック内の位置を示す値を決定するためのプロセスは、画像1000の(例えば画像1000の中心を通る)スキャンを実行することを含み得る。例えば1つの実施例では、画像全体の合焦特性値(例えば定量的コントラスト及び/又は合焦尺度値)(すなわち、コントラストパターンの格子ラインエッジ又は他の要素全体の合焦特性値に対応する)を決定するため、あるタイプのビデオツール(例えばエッジ検出ツール等)を用いて、画像(例えば、コントラストパターンCPのパターン要素PE全体にわたって画像中心を通るように配置されたスキャンライン)をスキャンすることができる。図9に関して上述したように、このような処理の前に、オフVFL画像1000の回転の補償が必要ならば、(例えば、図9に関して上述したように回転角に応じて画像を回転させること等によって)実行することができる。
一度、画像全体のスキャンから合焦特性値又は他のデータを決定したら、画像に対応する位置及び/又は値が決定される。1つの具体的な例示の実施例において、これは、対応する位置(例えば重心、又はコントラストパターン全体の変調合焦特性値で表されるような合焦特性値データの他の表現に対応し得る)を決定するため、合焦特性値又は他のデータを解析することを含み得る(例えば、最小/最大合焦特性値ピークに対する包絡線フィッティング(envelope fitting)を実行し、サブ画素精度でピークバースト変調の測定等を可能とする)。上記のように、このようなプロセスによって決定された位置は、(例えば固定オフセットの)対物レンズ作動距離WDにノミナルで対応し得る。
様々な実施例において、画像1000の位置は、(例えばカメラ360の)検出器の画素に対して(例えばインデックスデータ等で)表現することができる。1つの具体例の値として、インデックスデータ値は636.50画素に対応し得る(例えば、カメラの検出器は関連軸に沿って約1280画素を有する)。様々な実施例において、画像1000に対応する決定された位置(例えば636.50のインデックスデータ値)を、画像スタック内の画像の解析から決定された(例えば画素位置に関する)他の位置と比べることができる。画像1000の決定位置と一致する内挿位置は、画像1000の「対の一方」と見なすことができ、作動距離WDにノミナルで対応すると考えられる。このように、作動距離WDを画像スタック範囲内の特定の内挿位置に固定することができる(これは例えば、対物レンズに対する絶対位置に対応し、決定した位置を正確にMCSに関連付けてMCSで表現することを可能とする)。
図11から図14は、上記の例に従い、また本明細書に開示される原理に従って較正データを決定するためのプロセスを示す。図11から図14の例では、参照した較正物体は110のFSRRを有することが指定されている(例えば、FSRRとして指定された110の格子ラインエッジを有する格子を含む)が、他の点では上述の較正物体と同様であり、同様の構造を有し、それらとの類似性によって理解される。以下で更に詳しく記載するように、較正データを決定するための例示的なプロセスは、FSRRのピーク合焦特性値(例えばピーク定量的コントラスト及び/又は合焦尺度値等)に対応する位相タイミングを決定すること(例えば図11を参照のこと)と、FSRRの各々について画素位置及び対応する有効合焦位置(Z高さ)を決定すること(例えば図12を参照のこと)と、決定したデータを組み合わせること(例えば図13を参照のこと)と、これを用いて、等しいステップサイズで較正データが決定されるフィッティング曲線を決定すること(例えば図14を参照のこと)と、を含む。以下で更に詳しく記載するように、このようなプロセス(すなわち本明細書に開示される較正物体を利用する)は、VFLシステムの較正において様々な利点を有する。
図11は、画像スタックの画像から決定された、あるFSRRの合焦特性値曲線1110を示すグラフ1100の図である。以下で更に詳しく記載するように、様々な実施例において、VFLレンズシステムを較正するための方法は、各FSRRのピーク合焦特性値の位相タイミングを決定するため、画像スタック内のカメラ画像を解析してカメラ画像内の各FSRRの合焦特性値を決定することを含み得る。様々な実施例において、各FSRRの決定された合焦特性値は、FSRRの定量的コントラスト尺度値を含み得る。
図11の例では、合焦特性値曲線1110を用いて、FSRRの最大コントラストフィッティング重心インデックス値又は他の対応する値を決定できる。同様のプロセスを実行して、FSRRの各々について合焦特性値曲線を決定し、得られた値を更に別の決定のために使用することも可能である(例えば、FSRRについて画素位置と有効合焦位置(Z高さ)とを決定する。これは、作動距離WD/オフVFL画像(例えば画像1000)に対応する範囲内の位置を基準とすることができる。これについては後で図12を参照して更に詳しく記載する)。
図11に示されているFSRRの合焦特性値曲線1110を決定するため、最初のステップは、画像スタックの画像内でFSRRの近似位置を決定することを含み得る。一度近似位置を決定したら、これを、各画像内の同一位置に関心領域を配置するため利用することができる(例えば、これによって各画像内のFSRRの合焦特性値を決定する。これにより、FSRRが高い合焦レベルを有する画像を示し、FSRRがベストフォーカスであるときのタイミング/位相値を決定できる)。様々な実施例において、FSRRの近似位置の決定は、(例えば図8のEDOF画像800と同様の)較正物体のEDOF画像又は他のタイプの画像を解析することを含み得る。
EDOF画像又は他の画像が解析される実施例において、このプロセスは、合焦特性値スキャン又は他のスキャンを実行して、(例えば画像内に示された)カメラ360の検出器におけるFSRRの近似画素位置を決定することを含み得る。1つの具体的な例示の実施例では、画像の合焦特性値スキャン又は他の処理を用いて、FSRRに対応する大まかな/近似的な「シード」位置を決定できる。様々な実施例では、決定した近似位置を1つ以上のルックアップテーブルLUTに記憶し、上述のように他の処理のため使用することも可能である。これについては以下で更に詳しく記載する。様々な実施例では、近似位置の決定の一部として、近似位置の決定において見落としたFSRRがないことを確認するためにチェックを実行できる。例えば、FSRRの数が既知であるため、これに対応する数のエントリを有するルックアップテーブルLUT及び/又は他の技法を使用して、決定した近似位置の数が既知のFSRRの数と一致することを検証できる。
上述のように、(例えば上記の例示的なプロセスによって決定される)FSRRの近似位置は、各画像においてそのFSRRに関連付けられた合焦特性値(例えば定量的コントラスト及び/又は合焦尺度値)のレベルを決定するため、画像スタックの各画像内に関心領域を配置するために使用できる。様々な実施例において、このようなプロセスは既知のポイントフロムフォーカス(PFF)又は他の解析動作に従って実行され、これによって、各FSRRのピーク合焦特性値の位相タイミングを示す(例えばFSRRのベストフォーカスタイミングを示す)ことができる。画像スタック及び合焦曲線の決定及び解析のため、並びにポイントフロムフォーカス及びエッジ解析動作等のための例示的な技法は、米国特許第6,542,180号、第7,003,161号、第7,627,162号、第9,060,117号、及び第9,602,715号に教示されている。
1つの具体的な例示の実施例では、このような動作に従って、FSRRを検出するような大きさに設定された関心領域を、各画像においてFSRRの近似位置に対して配置する(例えばその中心に置く)ことができる。関心領域は、関心領域内で合焦特性値(例えば定量的コントラスト及び/又は合焦尺度値)を決定するため使用され得るビデオツール又は他の解析機構に関連付けることができる。様々な実施例において、より高い合焦特性値は概ね、FSRRにより焦点が合っている画像に対応し得る。図11の例では、各データポイント1120は、画像スタックの各画像内のFSRRのピーク合焦特性値を表す。曲線1110は、(およそ110のFSRRのうち)1つのFSRR内で計算された360の測定コントラスト値から得られる。交差点は、1110のコントラストピークに対する42ポイント(42−pt)二次フィッティングである。様々な実施例において、曲線1110は、画像スタックの画像から決定されたデータポイント1120に対するフィッティングから得られる。
(例えば曲線1110で表されるような)画像スタックの画像からの合焦特性値を解析することにより、周期的変調範囲内で最もFSRRの焦点が合っているときを示す「ピーク」合焦特性値(例えば曲線1110のピーク)を決定できる。これは、特定の画像の位相タイミング又は画像間の内挿位相タイミングに対応し得る。様々な実施例において、ピークは、フィッティングさせた値の重心に従って決定することができ、最大コントラストフィッテング重心インデックス値として表現できる。VFLレンズの動作に従って、各画像を、画像が取得されたタイミング/位相遅延(例えばデータポイント1120の各々のタイミング/位相遅延によって示される)に関連付けることができ、これに応じて最大コントラストフィッティング重心インデックス値を、FSRRがベストフォーカスであるときのタイミング/位相遅延に関連付けることができる。図11の具体例において、FSRRのピーク値は、約181.6472度の最大コントラストフィッティング重心インデックス値を有するX軸に沿ったタイミング/位相遅延にあることが示されている。様々な実施例において、このような値(例えば、X軸上の位相遅延x2において360度範囲の180度中点の近傍にある)は、いくつかの場合、FSRRが較正物体上のFSRR範囲の中央近傍にあることを示し得る(例えば110のFSRRを有する較正物体では、FSRRは55番目のFSRRであるかその近傍であり得る)。範囲の中央近傍にあるこのようなFSRRは、ノミナルの有効合焦位置EFPnom及び/又は決定された作動距離WDの位置の近傍でもあり得る(例えば、図6から図10の例におけるFSRR−13と同様)。以下で図12及び図13に関して更に詳しく記載するように、時間/位相タイミングを有効合焦位置(Z高さ)に相関付けるシステムの較正データを決定するため、各FSRRのピーク合焦特性値の位相タイミングを表すこのようなデータを、各FSRRの有効合焦位置(Z高さ)を表すデータと組み合わせることができる。
図12は、サブ画素精度で決定されるFSRRの画像画素位置及び対応するFSRRの有効合焦位置(Z高さ)を示すグラフ1200の図である。以下で更に詳しく記載するように、様々な実施例において、VFLレンズシステムを較正するための方法は、各FSRRの有効合焦位置(Z高さ)を決定することを含み得る。様々な実施例において、各FSRRの有効合焦位置(Z高さ)の決定は、カメラ画像の1つ以上において各FSRRの画素位置をサブ画素精度で決定することを含み得る。次いで、決定した画素位置並びに較正物体及びVFLレンズシステムの既知の物理的特徴に基づいて、FSRRの有効合焦位置を決定することができる。既知の物理的特徴は少なくとも、平面状傾斜パターン表面の傾斜角、対物レンズの倍率、及び画素の大きさを含む。
図12の例において、データ1210は事実上ノミナルで線形であることが図示され、それぞれFSRRを表す個々のデータポイント1220を含む。FSRRは、X軸に沿って示された対応する画素位置、及びY軸に沿って示された対応する有効合焦位置(Z高さ)を有する。データ1210は、ノミナルで線形の減少関数に概ねフィッティングされる(例えば、FSRRが位置付けられている較正物体の平面状傾斜パターン表面の傾斜角に対応する)。上記のように、図11から図14の例に用いられる較正物体は110のFSRRを含み、図12にはこれに対応する110のデータポイント1220が示されている。(例えば上述の画像1000と同様の)較正物体のオフVFL画像に対して決定され、ノミナルで作動距離WDに対応する相対的な位置が、データポイント1230によって表されている。
様々な実施例において、データポイント1220の決定は、画像スタックからFSRRの画素位置を(例えばサブ画素精度で)決定することを含む。例えば、FSRRのベストフォーカスの位相タイミングを決定するための解析(又は他の解析)に基づいて、ベストフォーカス位置に最も近いか又は他のこれに近い画像を画像スタックから決定/選択することができる。一度画像を選択したら、この画像を解析して、画像内のFSRRの画素位置を(例えばサブ画素精度で)決定できる。このような解析に関して、(例えば上述したようにEDOF画像から又は他のものから決定される)近似位置を、(例えばエッジ検出ツール等のため)関心領域を配置するため使用することができ、これを用いてFSRRの精密な画素位置を(例えばサブ画素精度で)決定できる。各FSRRの精密な画素位置の決定に基づいて、各FSRRの正確な有効合焦位置(Z高さ)を決定することができる。より具体的には、較正物体の既知の特徴に従って、FSRRの既知の合成周波数(例えば補償された格子傾斜に関連する)、倍率(例えば現在の対物レンズの倍率に対応する)、画素の大きさ、及び要素のサブ画素位置(例えば上述のプロセスに従って決定される)に応じて、各FSRRの有効合焦位置(Z高さ)を決定することができる。
図13は、図11及び図12のようなデータを組み合わせることによって決定された測定較正データを示すグラフ1300の図である。図13において、データ1310は、それぞれFSRRを表す個別のデータポイント1320を含む。FSRRは、X軸に沿って示されたベストフォーカス位置の対応するタイミング/位相遅延、及びY軸に沿って示された対応する有効合焦位置(Z高さ)を有する。各FSRRのタイミング/位相遅延は図11のようなデータからのものであり、対応する有効合焦位置(Z高さ)は図12のようなデータからのものであることは認められよう。様々な実施例において、データ1310を表すフィッティング式(fitted equation)を決定することが望ましい場合がある。例えば1つの具体的な例示の実施例では、データポイント1320に対して最小二乗フィッティングプロセスを実行することで、位相遅延と有効合焦位置(Z高さ)値とを表す正弦波フィッティング式を決定できる(例えば、これによって得られるノミナルで正弦波状のライン1315が、正弦波フィッティング式に対応するものとして示されている)。以下で図14に関して更に詳しく記載するように、様々な実施例では、正弦波フィッティング式を用いて、VFLレンズの変調範囲内で等しく離間した有効合焦位置に対応する位相タイミングを決定することができる。
図14は、図13のようなデータから決定された、等しい有効合焦位置(Z高さ)ステップのフィッティングされた較正データを示すグラフ1400の図である。図14に、データポイント1420を含むデータセット1410が示されている。ライン1415は図13のライン1315と同様であり、上述のように図13のデータから決定された正弦波フィッティング式に対応する。正弦波フィッティング式に関して、データポイント1420は、等しいステップサイズに従って(例えば被写界深度(DOF)の1/10のように、DOFのある割合で)決定される。このような特徴は、いくつかの実施例では、特定の「1画素当たりのZ反復性」統計データ又は他のものに一致する/これを達成するように選択できる。具体例の値として、DOF=186μmの2倍対物レンズ(すなわち2倍の倍率)では、所望のステップサイズは18.6μmに決定することができる(すなわちDOFの1/10に等しい)。
一度ステップサイズを決定したら、VFLレンズの有効合焦位置(Z高さ)スキャン範囲全体(例えば図3の範囲Refp)をステップサイズで除算して、等しい有効合焦位置(Z高さ)ピッチのステップ数(すなわち、図14のY軸に沿ったデータポイント1420の間隔に対応する)を決定できる。様々な実施例では、上記のような正弦波フィッティング式を繰り返して、同一の有効合焦位置(Z高さ)ピッチを有するY軸に沿った各ステップでX軸値を決定することにより、曲線に沿ったデータポイント1420が得られる。様々な実施例では、各繰り返し時間の許容差を指定する/決定することができる(例えば、図14の例では2ナノ秒の許容差を用いる)。様々な実施例において、等しく離間した有効合焦位置(Z高さ)に対応する決定した位相タイミングは、VFLレンズシステムの各有効合焦位置(Z高さ)に対応する周期的変調の各位相タイミングを示す較正データの少なくとも一部として、(例えばルックアップテーブル(LUT)又はその他に)記憶することができる。上述の具体例の値に従って、1つの実施例では、ルックアップテーブル(LUT)に、Z上部の値から開始して258の時間/位相遅延値のリストを生成できる。
様々な実施例において、較正物体(すなわち、要素の相対的な高さ等に関して既知の特徴を有する)を測定することから決定される較正データは、一部の例では、いくつかの指定された較正条件のもとで決定することができる。様々な実施例において、そのような指定される条件は、指定された定常状態の温度(例えばT=20℃±0.25℃)、指定された対物レンズ350(例えば1x〜50xの倍率の対物レンズのうち1つ)の使用、VFLレンズ370を指定された周波数(例えば70kHz)で動作させることを含み、+/−1ジオプターによって指定されたZスキャン範囲を得ることができる(例えば具体例の値として、5x対物レンズによって約0.4mm〜−0.4mmのZスキャン範囲が得られる)。このような構成において較正物体は、少なくとも−0.4mm〜+0.4mmの範囲のコントラストパターンが得られる傾斜を備え得る。
様々な実施例において、VFL共振周波数は、温度変動及び/又は他の条件に対して比較的直接に変動することが知られている。様々な実施例において、本明細書に記載されているような較正プロセスを、指定された条件の特定のもの以外で(例えば、T=20℃のような指定された定常状態の温度以外で、及び/又は70kHzのような指定されたVFLレンズ共振周波数以外で)実行する場合、補償プロセスを実行できる。例えば1つの実施例において、補償プロセスは、VFL共振周波数(例えば、温度又は他のファクタに対して直接変動し得る)を決定/測定することと、指定された共振周波数からの逸脱を補償すること(例えば、較正データに+0.2μm/Hzの補償を適用する)と、を含み得る。
図15は、VFLレンズシステムの較正データを決定するため較正物体を利用するルーチン1500の1つの例示的な実施例を示すフロー図である。動作ブロック1510では、VFLシステムの一部であるVFLレンズを、動作周波数で光学パワー範囲にわたってVFLレンズ光学パワーを周期的に変調するように動作させる。例えば、VFLレンズが制御可能音波発生要素を有するTAGレンズである実施例では、制御可能音波発生要素を駆動信号(例えばノミナルで正弦波状の駆動信号)によって制御して、周期的に変調した光学パワー変動(例えばノミナルで正弦波状であり得る)をTAGレンズに与えることができる。
動作ブロック1520では、異なる有効合焦位置において、複数のカメラ画像を(例えば数十又は数百の数の画像を含み得る画像スタックの一部として)取得する。様々な実施例において、各カメラ画像の取得は、較正物体撮像構成に配置された較正物体に光源光を出力することと、カメラからカメラ画像を受信することと、を含む。様々な実施例では、較正物体画像露光中に較正物体画像光がワークピース撮像光路に沿って伝送され、VFLレンズを通過してカメラに至り、カメラ画像内で較正物体画像を与える。上記のように、様々な実施例において較正物体はFSRRのセットを含む。FSRRのセットは、較正物体画像内で既知の相対的な参照領域画像位置を有し、較正物体が較正物体撮像構成に配置されている場合は対物レンズに対してそれぞれ異なる有効合焦位置に固定されている。
動作ブロック1530では、複数のカメラ画像を解析することに少なくとも部分的に基づいて較正データを決定する。較正データは、各有効合焦位置(Z高さ)に対応する周期的変調の各位相タイミングを示す。上記のように、様々な実施例において、(例えば較正物体画像を含む)複数のカメラ画像の解析は、対応する特定の既知の位相タイミングを用いて、露光された複数の較正物体画像内の較正物体のFSRRセット内の各要素について合焦特性値(例えば定量的コントラスト及び/又は合焦尺度等)を決定することを含み得る。様々な実施例において、このような処理/決定は、少なくとも部分的に、参照領域合焦解析器384、ワークピース合焦信号処理部375、及び/又は遠隔コンピュータ等によって実行することができる。既知の位相タイミングにおける決定された合焦特性値に基づいて、FSRRがベストフォーカスであるときの位相タイミングを決定できる(例えば、ポイントフロムフォーカス又は他の動作を用いて)。FSRRの画素位置を決定し(例えば、FSRRが合焦されている画像スタック内の画像でビデオツール等を用いて)、決定した画素位置におけるFSRRの有効合焦位置(Z高さ)を、較正物体の既知の特性(例えばRRILにおけるFSRRの既知の及び/又は決定可能な有効合焦位置(Z高さ)に関する)を用いて決定することができる。
このようなプロセスから決定されたデータを組み合わせて、位相タイミングを有効合焦位置(Z高さ)に正確に関連付けるシステムの較正データを提供し、決定した較正データを(例えばルックアップテーブル又はその他に)記憶することができる。その後の測定動作中、(例えばストロボ光源の位相タイミング等に従って)特定の既知の位相タイミングでワークピースの1つ以上の画像を取得し、ワークピース要素がベストフォーカスであるときの位相タイミングを決定し、(例えばルックアップテーブル又はその他に提供されている)較正データを用いて、そのワークピース要素の正確な有効合焦位置(Z高さ)を決定することができる。
本開示の好適な実施例について図示及び記載したが、本開示に基づいて、図示及び記載した要素の構成及び動作のシーケンスにおける多数の変形が当業者には明らかであろう。種々の代替的な形態を用いて本明細書に開示された原理を実施することができる。例えば、調整可能な傾斜機構を用いて傾斜較正物体を実施することにより、この傾斜較正物体がカバーする較正物体合焦位置範囲Rcoを調整して、特定の対物レンズに対応すること、又は様々な合焦状態参照領域位置に関連した合焦距離選択性又は解像度を増大させることができる。別の例として、較正物体は、少なくとも部分的に湾曲した少なくとも1つのパターン表面を含むことができ、このパターン表面の少なくとも一部は較正物体撮像構成に配置された場合に対物レンズの光軸に直交しない。少なくとも1つの湾曲パターン表面の異なる部分を、対物レンズに対してそれぞれ異なる合焦距離に固定することができ、この少なくとも1つの湾曲パターン表面上にFSRRのセットを配置することができる。
これらの様々な特許及び出願の概念を用いて更に別の実施例を提供するために必要な場合、上述の実施例の態様は変更可能である。前述の記載に照らして、実施例にこれら及び他の変更を行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は本明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施例に特許請求の範囲を限定するものとして解釈されず、そのような特許請求の範囲の権利が与えられる(entitled)均等物の全範囲に加えて全ての可能な実施例を包含するものとして解釈されるべきである。