JP2020105510A - エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物、多層構造体および包装体 - Google Patents
エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物、多層構造体および包装体 Download PDFInfo
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Abstract
Description
また、近年、インターネットショッピングの普及、発展途上国の経済成長等に伴い、物品流通のボーダーレス化が急速に進み、食品や薬品等の輸送期間が長期化する傾向があり、長期輸送時や取扱中における落下や衝突に対する高い耐衝撃性と、さらに優れたガスバリア性と優れた流動安定性を兼ね備えたEVOH樹脂組成物からなる層を有する多層構造体(包装材)が求められている。
[式]0.001≦((D)金属イオン換算含有量/(B)酢酸イオン換算含有量)≦1.30・・・(1)
[式]0.11≦((D)金属イオン換算含有量/(C)カルボン酸イオン換算含有量)≦100・・・(2)
[式]0.11≦((D)金属イオン換算含有量/(E)ホウ素換算含有量)≦100・・・(3)
[式]0.001≦((D)金属イオン換算含有量/(B)酢酸イオン換算含有量)≦1.30・・・(1)
[式]0.11≦((D)金属イオン換算含有量/(C)カルボン酸イオン換算含有量)≦100・・・(2)
[式]0.11≦((D)金属イオン換算含有量/(E)ホウ素換算含有量)≦100・・・(3)
[式]850≦伸長粘度[Pa・s]≦48000・・・(4)
なお、本明細書において「および/または」とは、少なくとも一方を意味し、「Xおよび/またはY」の場合、Xのみ、Yのみ、XおよびYの三通りを意味するものである。
本発明で用いるEVOH(A)は、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーとを共重合させた後にケン化させることにより得られる樹脂であり、エチレン−ビニルアルコール系共重合体またはエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物として知られる非水溶性の熱可塑性樹脂である。重合法も公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合等を用いることができるが、一般的にはメタノールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行ない得る。
本発明のEVOH樹脂組成物は、酢酸および/またはその塩(B)を含有するものである。すなわち、本発明のEVOH樹脂組成物は、酢酸および酢酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有するものである。
かかる含有量が少なすぎると、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の熱分解物によって接着強度が低下したり、本発明の効果が充分に得られない傾向があり、含有量が多すぎると、溶融成形時の色調安定性が低下しやすくなったり、本発明の効果が充分に得られない傾向がある。
本発明のEVOH樹脂組成物は、酢酸以外の脂肪族カルボン酸(C)を含有するものであり、上記脂肪族カルボン酸(C)の炭素数としては、通常3〜30、好ましくは4〜22、より好ましくは4〜20、特に好ましくは5〜14である。上記脂肪族カルボン酸(C)の炭素数が上記範囲内であると、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
かかる含有量が少なすぎると、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の熱安定性が不充分となり、結果として本発明の効果が充分に得られない傾向があり、含有量が多すぎると溶融成形時の色調安定性が低下しやすくなったり、上記脂肪族カルボン酸(C)自体が可塑剤として作用し、本発明の効果が充分に得られない傾向がある。
かかる含有量比が上記範囲内にあると、本発明の効果がより顕著に得られる傾向があり、上記範囲より小さいと、溶融成形時の色調安定性が不充分だったり、接着強度が不充分となる傾向があり、上記範囲より大きいと、本発明の効果が充分に得られない傾向がある。
本発明のEVOH樹脂組成物は、上記酢酸以外の脂肪族カルボン酸(C)の金属塩である脂肪族カルボン酸金属塩(D)を含有するものである。
なお、本発明のEVOH樹脂組成物が複数の脂肪族カルボン酸(C)あるいは複数の脂肪族カルボン酸金属塩(D)を含有する場合は、少なくとも1種類の脂肪族カルボン酸(C)と脂肪族カルボン酸金属塩(D)のアニオン種が同一種であればよい。
(i)脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属イオン換算での含有量:乾燥した試料を精秤して、恒量化した白金蒸発皿に入れ、電熱器で炭化し、次いでガスバーナーで加熱し、煙が出なくなるまで焼き、さらに電気炉内に上記の白金蒸発皿を入れ、昇温して、完全に灰化させる。これを冷却後、灰化物に塩酸および純水を入れ、電熱器で加熱して溶解し、メスフラスコに流し込み、純水で容量を一定にして原子吸光分析用の試料とする。この原子吸光分析用試料中の金属量を原子吸光度法で定量分析することにより、脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属イオン換算での含有量を求めることができる。
(ii)脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量:まず、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)やガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)等を用いて、EVOH樹脂組成物中の脂肪族カルボン酸(C)とその金属塩(D)のカルボン酸イオン換算での含有量の総和(cx)を定量する。その後、前述の脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属イオン換算での含有量から、脂肪族カルボン酸金属塩(D)のカルボン酸イオン換算での含有量(cy)を算出する。そして、脂肪族カルボン酸(C)とその金属塩(D)のカルボン酸イオン換算での含有量の総和(cx)と脂肪族カルボン酸金属塩(D)のカルボン酸イオン換算での含有量(cy)の差((cx)−(cy))から、脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量を求めることができる。
本発明のEVOH樹脂組成物は、上記ホウ酸および/またはその塩(E)を含有するものである。すなわち、本発明のEVOH樹脂組成物は、ホウ酸およびホウ酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有するものである。
かかる含有量が少なすぎると、本発明の効果(耐衝撃性および流動安定性改善効果)が充分に得られない傾向があり、多すぎると、色調が低下したり、多層製膜時にフィッシュアイが多発し、本発明の効果(耐衝撃性および流動安定性改善効果)が充分に得られない傾向がある。
また、上記酢酸および/またはその塩(B)が捕捉しきれなかった、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の熱分解物や上記EVOH(A)の熱分解物を、ホウ酸および/またはその塩(E)が捕捉する事によって、色調の低下を抑制するものと推測される。
[式]0.001≦((D)金属イオン換算含有量/(B)酢酸イオン換算含有量)≦1.30・・・(1)
好ましくは0.005≦((D)/(B))≦1.1、より好ましくは0.005≦((D)/(B))≦1.0、さらにより好ましくは0.01≦((D)/(B))≦0.8、特に好ましくは0.04≦((D)/(B))≦0.48、殊に好ましくは0.05≦((D)/(B))≦0.45である。かかる値が上記範囲内にあると、本発明の効果がより顕著に得られる傾向があり、上記範囲より小さいと、本発明の効果が充分に得られない傾向があり、上記範囲より大きいと、溶融成形時の色調安定性が不充分だったり、接着強度が不充分となる傾向がある。
[式]0.11≦((D)金属イオン換算含有量/(C)カルボン酸イオン換算含有量)≦100・・・(2)
好ましくは0.13≦((D)/(C))≦90、さらに好ましくは0.15≦((D)/(C))≦80、特に好ましくは0.2≦((D)/(C))≦70である。かかる値が上記範囲内にあると、本発明の効果がより顕著に得られる傾向があり、上記範囲より小さいと、溶融成形時の色調安定性が不充分だったり、本発明の効果が充分に得られない傾向があり、上記範囲より大きいと、溶融成形時の色調安定性が不充分だったり、成形性が不充分となる傾向がある。
[式]0.11≦((D)金属イオン換算含有量/(E)ホウ素換算含有量)≦100・・・(3)
好ましくは0.13≦((D)/(E))≦90、特に好ましくは0.15≦((D)/(E))≦80、殊に好ましくは0.2≦((D)/(E))≦70である。かかる値が上記範囲内にあると、本発明の効果がより顕著に得られる傾向があり、上記範囲より小さいと、色調が低下したり、多層製膜時にフィッシュアイが多発し、本発明の効果(耐衝撃性改善効果)が充分に得られない傾向があり、上記範囲より大きいと、本発明の効果(耐衝撃性改善効果)が充分に得られない傾向がある。
[式]850≦伸長粘度[Pa・s]≦48000・・・(4)
より好ましくは900≦伸長粘度[Pa・s]≦30000、特に好ましくは950≦伸長粘度[Pa・s]≦20000である。かかる値が上記範囲内にあると、本発明の効果がより顕著に得られる傾向があり、上記範囲より小さいと、本発明の効果が充分に得られない傾向があり、上記範囲より大きいと溶融成形時の成形性が不充分となる傾向がある。
本発明のEVOH樹脂組成物の210℃、100S-1での伸長粘度(Pa・s)は、キャピラリー型レオメーターを用い、Cogswellの式[Polymer Engineering Science、12巻、64−73頁(1972)]に基づいて、下記の条件で測定を行なうことにより求めることができる。
ηe=[9(n+1)2P0 2]/[32ηs(dγ/dt)2]・・・式(5)
dε/dt=4σs(dγ/dt)/[3(n+1)P0]・・・式(6)
σs=k(dγ/dt)n・・・式(7)
ここで、ηeは伸長粘度、ηsは剪断粘度、dγ/dtは剪断歪み速度、dε/dtは伸長歪み速度、σsは剪断応力、kは定数、指数nは、メルトフラクチャーやスリップスティックの発生しない剪断速度領域(100≦dγ/dt≦1000)における、剪断応力と剪断歪み速度がべき乗則に従うと仮定し、二次関数でフィッティングを行うことにより求められる。P0はキャピラリー長0のダイで生じる圧力損失であり、2つ以上の長さの異なるキャピラリーを用いた測定結果のBaglay補正により求められる。
測定装置:Gottfert社製RHEOGRAPH 20
測定温度:210℃
ロングダイ:長さ10mm、直径1mm、流入角180°
ショートダイ:長さ0.2mm、直径1mm、流入角180°
本発明のEVOH樹脂組成物には、樹脂成分として、EVOH(A)以外に、他の熱可塑性樹脂を、EVOH(A)に対して、通常30重量%以下となるような範囲内で含有してもよい。
具体的には、例えば、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)等のホモポリマーが挙げられ、なかでもポリカプラミド(ナイロン6)が好ましい。また、共重合ポリアミド系樹脂としては、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン108)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン12/66)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン26/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)等の脂肪族ポリアミドや、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体、ポリ−P−フェニレンテレフタルアミドや、ポリ−P−フェニレン・3−4'ジフェニルエーテルテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド、非晶性ポリアミド、これらのポリアミド系樹脂をメチレンベンジルアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族アミンで変性したものやメタキシリレンジアンモニウムアジペート等が挙げられる。あるいは、これらの末端変性ポリアミド系樹脂であってもよく、好ましくは末端変性ポリアミド系樹脂である。
本発明のEVOH樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば、通常、EVOH樹脂組成物の10重量%以下、好ましくは5重量%以下)において、一般的にEVOH樹脂組成物に配合する添加剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤(例えば、飽和脂肪族アミド(例えば、ステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えば、オレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えば、エチレンビスステアリン酸アミド等)、低分子量ポリオレフィン(例えば、分子量500〜10000程度の低分子量ポリエチレン、または低分子量ポリプロピレン等))、可塑剤(例えば、エチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコール等)、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、不溶性無機塩(例えば、ハイドロタルサイト等)、充填材(例えば、無機フィラー等)、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤、リン酸および/またはその塩、桂皮酸および/またはその塩、共役ポリエン化合物、エンジオール基含有物質(例えば、没食子酸プロピル等のフェノール類等)、アルデヒド化合物(例えば、クロトンアルデヒド等の不飽和アルデヒド類等)等の公知の添加剤が含有されていてもよい。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明のEVOH樹脂組成物の製造方法は、特に限定するものではないが、例えば、以下の(I)〜(IV)に示す方法等が挙げられる。
(I)EVOH(A)のペレットに酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、ホウ酸および/またはその塩(E)からなる群より選ばれる少なくとも1種を所定割合で配合して、ドライブレンドする方法(ドライブレンド法)。
(II)EVOH(A)のペレットを酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、ホウ酸および/またはその塩(E)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する溶液に浸漬させた後、ペレットを乾燥させる方法(浸漬法)。
(III)EVOH(A)の溶融混練時に酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、ホウ酸および/またはその塩(E)からなる群より選ばれる少なくとも1種を配合し、その後ペレットを作製する方法(溶融混練法)。
(IV)EVOH(A)を含有した溶液に酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、ホウ酸および/またはその塩(E)からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加して混合後、溶液中の溶媒を除去する方法(溶液混合法)。
[含水率の測定方法]
EVOH(A)のペレットを電子天秤にて秤量(W1:単位g)後、150℃に維持された熱風オーブン型乾燥器に入れ、5時間乾燥させてから、さらにデシケーター中で30分間放冷させた後の重量を同様に秤量(W2:単位g)して、以下の式から算出する。
[式] 含水率(%)={(W1−W2)/W1}×100
配合後、均一に撹拌したEVOH樹脂組成物溶液またはペーストは、上記した公知の手法でペレット化する。工業的生産性の点で、好ましくはアンダーウォーターカット法である。得られたペレットは、公知の手法で乾燥する。
本発明の多層構造体は、上記本発明のEVOH樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有するものである。本発明のEVOH樹脂組成物からなる層(以下、単に「EVOH樹脂組成物層」という。)は、他の基材と積層することで、さらに強度を上げたり、他の機能を付与することができる。
なお、上記層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を介してもよい。本発明のEVOH樹脂組成物層の少なくとも一方の面に、接着性樹脂層を介して、他の基材樹脂層(すなわちEVOH以外の熱可塑性樹脂層)を有する多層構造体である場合、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
また、上記多層構造体を製造する過程で発生する端部や不良品等を再溶融成形して得られる、本発明のEVOH樹脂組成物と他の基材樹脂もしくは他の基材樹脂と接着性樹脂の混合物を含むリサイクル層をRとするとき、b/R/a、a1/R/a2、b1/R/a/b2、b1/R1/a/R2/b2、b1/R1/b2/a1/a2/a3/b3/R2/b4、b1/a1/R/a2/b2、b1/R1/a1/R2/a2/R3/b2等とすることも可能である。本発明の多層構造体の層数は、のべ数にて通常2〜15層、好ましくは3〜10層である。
これらの接着性樹脂には、EVOH(A)、他のEVOH、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、さらにはポリオレフィン系樹脂層の樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることも可能である。
〔EVOH樹脂組成物の製造〕
EVOH(A)としてEVOH(a1)〔エチレン構造単位の含有量29モル%、ケン化度99.7モル%、MFR3.8g/10分(210℃、荷重2160g)のエチレン−ビニルアルコール共重合体〕を含有し、酢酸および/またはその塩(B)として酢酸ナトリウム(b1)を含有するEVOH(a1)ペレットを用いた。また、脂肪族カルボン酸(C)としてステアリン酸(c1)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)としてステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸および/またはその塩(E)としてホウ酸(e1)を用いた。
また、各成分の含有量としては、酢酸ナトリウム(b1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して酢酸イオン換算で432ppm用い、ステアリン酸(c1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で1.0ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で20ppm用い、ホウ酸(e1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してホウ素換算で59.4ppm用いた。EVOH(a1)ペレット、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)を一括でドライブレンドすることにより本発明のEVOH樹脂組成物を製造した。
3種5層多層共押出キャストフィルム製膜装置に、上記で調製したEVOH樹脂組成物、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)〔日本ポリエチレン社製「UF240」、MFR2.1g/10分(190℃、荷重2160g)〕、接着性樹脂(LyondellBasell社製「PLEXAR PX3236」、MFR2.0g/10分〔190℃、荷重2160g〕)を供給して、下記条件で多層共押出成形により、LLDPE層/接着性樹脂層/EVOH樹脂組成物層/接着性樹脂層/LLDPE層の3種5層構造の多層構造体(フィルム)を得た。多層構造体の各層の厚み(μm)は、37.5/5/15/5/37.5であった。成形装置のダイ温度は、全て210℃に設定した。
(多層共押出成形条件)
・中間層押出機(EVOH樹脂組成物):40mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・上下層押出機(LLDPE):40mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・中上下層押出機(接着性樹脂):32mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・ダイ:3種5層フィードブロック型Tダイ(ダイ温度:210℃)
・引取速度:9.0m/分
・ロール温度:80℃
上記で製造したEVOH樹脂組成物5gを30mmφアルミカップ(アズワン社製、ディスポディニッシュPP−724)に入れ、空気雰囲気下で210℃×2時間静置したものを試料として色調評価に供した。色調評価は、下記装置および評価方法に基づいて行った。
・使用機器:ビジュアルアナライザーIRISVA400(アルファ・モス・ジャパン社製)
・データ解析用ソフト:Alpha Soft V14.3
・対物レンズ:25mm(Basler社製)
・照明モード:上下照明
・評価方法:色調評価用試料を、上記ビジュアルアナライザーのチャンバー内のトレイにセットし、CCDカメラで色調評価用試料全体の平面画像を撮影した後、データ解析用ソフトを用いて画像処理を行うことで試料のカラーパターンを評価した。得られたカラーパターンのうち、一番存在割合が多かった色(主要色)の明度(L*)から、EVOH樹脂組成物の色調安定性を評価した。なお、色調安定性は、数値が高いほど色調安定性に優れ、逆に数値が低いほど色調安定性に劣ることを意味する。結果を表1−2に示す。
上記で製造したEVOH樹脂組成物の210℃、100S-1での伸長粘度(Pa・s)を、キャピラリー型レオメーターを用いて、Cogswellの式[Polymer Engineering Science、12巻、64−73頁(1972)]、すなわち、以下の式(5)〜(7)に基づいて、下記の条件で測定を行なうことにより評価した。結果を表1−2に示す。
ηe=[9(n+1)2P0 2]/[32ηs(dγ/dt)2]・・・式(5)
dε/dt=4σs(dγ/dt)/[3(n+1)P0]・・・式(6)
σs=k(dγ/dt)n・・・式(7)
ηe:伸長粘度(Pa・s)
ηs:剪断粘度(Pa・s)
dγ/dt:剪断歪み速度(s-1)
dε/dt:伸長歪み速度(s-1)
σs:剪断応力(Pa)
k、n:定数
P0:圧力損失(Pa)
(伸長粘度測定条件)
測定装置:Gottfert社製RHEOGRAPH 20
測定温度:210℃
予熱時間:10分間
ロングダイ:長さ10mm、直径1mm、流入角180°
ショートダイ:長さ0.2mm、直径1mm、流入角180°
上記で製造した多層構造体の衝撃強度(kgf・cm)を、23℃、50%RHの雰囲気中で、YSS式フィルムインパクトテスター(安田精機製作所社製、型式181)を用いて評価した。測定は計10回行い、その平均値を多層構造体の衝撃強度として評価した。なお、クランプ内径は60mm、衝撃球は半径12.7mmのものを用い、振り子の持ち上げ角度90°とした。なお、多層構造体の衝撃強度は、数値が高いほど衝撃強度に優れ、逆に数値が低いほど衝撃強度に劣ることを意味する。結果を表1−2に示す。
上記で製造した多層構造体における、EVOH樹脂組成物層と接着性樹脂層との間の接着強度(N/15mm)を、下記のT−peel剥離試験により評価した。測定は計10回行い、その平均値を多層構造体の接着強度として評価した。なお、多層構造体の接着強度は、数値が高いほど接着強度に優れ、逆に数値が低いほど接着強度に劣ることを意味する。結果を表1−2に示す。
(T−peel剥離試験条件)
・装置:Autograph AGS-H(島津製作所社製)
・ロードセル:500N
・試験方法:T−peel法(T型状にして剥離)
・試験片サイズ:幅15mm
・試験速度:300mm/min
上記で製造した多層構造体の外観を下記評価基準に基づいて目視確認することで、EVOH樹脂組成物の流動安定性を評価した。なお、EVOH樹脂組成物の流動安定性が高いほど、多層構造体中のEVOH層厚みが均一となるため多層構造体の外観が優れ、逆にEVOH樹脂組成物の流動安定性が低いほど、多層構造体中のEVOH層厚みが不均一となるため多層構造体の外観が劣ることを意味する。結果を表1−2に示す。
A:全体的にスジ、モヤおよびフィッシュアイがほとんど無く、外観が著しく良い。
B:部分的に微小なスジ、モヤおよびフィッシュアイがある。
C:全体的に大きなスジ、モヤおよびフィッシュアイがある。
D:全体的に非常に大きなスジ、モヤおよびフィッシュアイがある。
実施例1において、ステアリン酸(c1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で2.4ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例1において、ステアリン酸(c1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.7ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例1において、ステアリン酸(c1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で4.9ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で100ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例4において、酢酸ナトリウム(b1)の酢酸イオン換算での含有量を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して324ppm用い、ホウ酸(e1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してホウ素換算で115.4ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例1において、ステアリン酸(c1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で9.7ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で200ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例1において、ステアリン酸(c1)の代わりにカプリル酸(c2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で2.8ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにカプリル酸亜鉛(d2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で20ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例7において、カプリル酸(c2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で6.9ppm用い、カプリル酸亜鉛(d2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例7において、カプリル酸(c2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で6.9ppm用い、カプリル酸亜鉛(d2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用い、ホウ酸(e1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してホウ素換算で300ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例7において、酢酸ナトリウム(b1)の酢酸イオン換算での含有量を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して326ppm用い、カプリル酸(c2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で6.9ppm用い、カプリル酸亜鉛(d2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用い、ホウ酸(e1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してホウ素換算で1.0ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例7において、カプリル酸(c2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で13.8ppm用い、カプリル酸亜鉛(d2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で100ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例11において、酢酸ナトリウム(b1)の酢酸イオン換算での含有量を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して324ppm用い、ホウ酸(e1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してホウ素換算で115.4ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例11において、酢酸ナトリウム(b1)の酢酸イオン換算での含有量を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して100ppm用い、ホウ酸(e1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してホウ素換算で13.7ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例7において、カプリル酸(c2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で27.6ppm用い、カプリル酸亜鉛(d2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で200ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例1において、ステアリン酸(c1)の代わりにラウリン酸(c3)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.7ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにラウリン酸亜鉛(d3)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で20ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例15において、ラウリン酸(c3)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で1.8ppm用い、ラウリン酸亜鉛(d3)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例15において、ラウリン酸(c3)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で3.6ppm用い、ラウリン酸亜鉛(d3)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で100ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例17において、酢酸ナトリウム(b1)の酢酸イオン換算での含有量を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して324ppm用い、ホウ酸(e1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してホウ素換算で115.4ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例15において、ラウリン酸(c3)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で7.1ppm用い、ラウリン酸亜鉛(d3)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で200ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例1において、ステアリン酸(c1)の代わりにカプロン酸(c4)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプロン酸(c4)、カプロン酸亜鉛(d4)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で9.4ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにカプロン酸亜鉛(d4)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプロン酸(c4)、カプロン酸亜鉛(d4)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例20において、酢酸ナトリウム(b1)の酢酸イオン換算での含有量を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプロン酸(c4)、カプロン酸亜鉛(d4)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して324ppm用い、カプロン酸(c4)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプロン酸(c4)、カプロン酸亜鉛(d4)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で18.8ppm用い、カプロン酸亜鉛(d4)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプロン酸(c4)、カプロン酸亜鉛(d4)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で100ppm用い、ホウ酸(e1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプロン酸(c4)、カプロン酸亜鉛(d4)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してホウ素換算で115.4ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例1において、ステアリン酸(c1)の代わりにベヘン酸(c5)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ベヘン酸(c5)、ベヘン酸亜鉛(d5)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で2.9ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにベヘン酸亜鉛(d5)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ベヘン酸(c5)、ベヘン酸亜鉛(d5)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例22において、酢酸ナトリウム(b1)の酢酸イオン換算での含有量が、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ベヘン酸(c5)、ベヘン酸亜鉛(d5)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して324ppm用い、ベヘン酸(c5)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ベヘン酸(c5)、ベヘン酸亜鉛(d5)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で5.7ppm用い、ベヘン酸亜鉛(d5)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ベヘン酸(c5)、ベヘン酸亜鉛(d5)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で100ppm用い、ホウ酸(e1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ベヘン酸(c5)、ベヘン酸亜鉛(d5)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してホウ素換算で115.4ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例8において、EVOH(a1)の代わりにEVOH(a2)〔エチレン構造単位の含有量25モル%、ケン化度99.7モル%、MFR4.0g/10分(210℃、荷重2160g)のエチレン−ビニルアルコール共重合体〕を用い、酢酸ナトリウム(b1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して酢酸イオン換算で648ppm用い、ホウ酸(e1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してホウ素換算で76.9ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例8において、EVOH(a1)の代わりにEVOH(a3)〔エチレン構造単位の含有量44モル%、ケン化度99.7モル%、MFR3.5g/10分(210℃、荷重2160g)のエチレン−ビニルアルコール共重合体〕を用い、酢酸ナトリウム(b1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して酢酸イオン換算で432ppm用い、ホウ酸(e1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してホウ素換算で124.1ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例8において、カプリル酸(c2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で269ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例16において、ラウリン酸(c3)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で355ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例1において、ステアリン酸(c1)およびステアリン酸亜鉛(d1)を用いなかった以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例8において、EVOH(a1)の代わりにEVOH(a4)〔エチレン構造単位の含有量29モル%、ケン化度99.7モル%、MFR8.0g/10分(210℃、荷重2160g)のエチレン−ビニルアルコール共重合体〕を用い、酢酸および/またはその塩(B)、ホウ酸および/またはその塩(E)を含有しないこと以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例8において、ホウ酸(e1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してホウ素換算で524.6ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例8において、ホウ酸(e1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、スカプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してホウ素換算で0.26ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例1において、ステアリン酸(c1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で29.2ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で600ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例7において、カプリル酸(c2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で82.8ppm用い、カプリル酸亜鉛(d2)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で600ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例15において、ラウリン酸(c3)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で21.4ppm用い、ラウリン酸亜鉛(d3)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で600ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例1において、ステアリン酸(c1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸カルシウム、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で1.9ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにステアリン酸カルシウムをEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸カルシウム、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例1において、ステアリン酸(c1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸マグネシウム、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で15.4ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにステアリン酸マグネシウムをEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸マグネシウム、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例1において、ステアリン酸(c1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸ナトリウム、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で3.3ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにステアリン酸ナトリウムをEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸ナトリウム、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例1において、ステアリン酸(c1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で484ppm用い、ステアリン酸亜鉛(d1)を用いなかった以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例2において、ステアリン酸(c1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で484ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例2において、ステアリン酸(c1)をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.4ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例2において、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにグルコン酸亜鉛三水和物をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、グルコン酸亜鉛三水和物、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例2において、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにクエン酸亜鉛二水和物をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、クエン酸亜鉛二水和物、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例2において、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにグルコン酸カルシウム一水和物をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、グルコン酸カルシウム一水和物、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例2において、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにクエン酸カルシウム四水和物をEVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、クエン酸カルシウム四水和物、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で50ppm用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
実施例11において、EVOH(a1)の代わりにEVOH(a5)〔エチレン構造単位の含有量38モル%、ケン化度99.7モル%、MFR50g/10分(210℃、荷重2160g)のエチレン−ビニルアルコール共重合体〕を用い、酢酸ナトリウム(b1)の酢酸イオン換算での含有量が、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(e1)の含有量の総和に対して酢酸イオン換算で576ppm用い、ホウ酸(e1)を用いなかった以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
さらに、脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属種が、長周期型周期表第4周期dブロックに属する元素から選ばれる1種ではない比較例8〜10においても衝撃強度が低いものであり、比較例9はさらに流動安定性に劣るものであった。
そして、脂肪族カルボン酸(C)と脂肪族カルボン酸金属塩(D)のアニオン種が同一種でない比較例14〜17では、衝撃強度および接着強度が低いだけでなく、流動安定性に劣るものであった。
さらに、ホウ酸(E)を含有せず、本発明で規定する式(3)を満たさない比較例18では、衝撃強度が低く、流動安定性に劣るものであった。
これに対し、本発明の特徴的構成を有するEVOH樹脂組成物(実施例1〜27)では、衝撃強度に優れながらも接着強度が低下せず優れた値を示した。さらに流動安定性に優れ、色調安定性も低下しないものであった。
Claims (10)
- エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、酢酸および/またはその塩(B)、酢酸以外の脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸(C)の金属塩である脂肪族カルボン酸金属塩(D)、ホウ酸および/またはその塩(E)を含有する樹脂組成物であって、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属種が、長周期型周期表第4周期dブロックに属する元素から選ばれる少なくとも1種であり、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、ホウ酸および/またはその塩(E)の各種含有量が、重量基準で下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とするエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
[式]0.001≦((D)金属イオン換算含有量/(B)酢酸イオン換算含有量)≦1.30・・・(1)
[式]0.11≦((D)金属イオン換算含有量/(C)カルボン酸イオン換算含有量)≦100・・・(2)
[式]0.11≦((D)金属イオン換算含有量/(E)ホウ素換算含有量)≦100・・・(3) - 上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物の210℃、100S-1での伸長粘度が、下記式(4)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
[式]850≦伸長粘度[Pa・s]≦48000・・・(4) - 上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属イオン換算での含有量が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記ホウ酸および/またはその塩(E)の含有量の総和に対して、1〜500ppmであることを特徴とする請求項1または2に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
- 上記脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記ホウ酸および/またはその塩(E)の含有量の総和に対して、0.001〜450ppmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
- 上記酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算での含有量が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記ホウ酸および/またはその塩(E)の含有量の総和に対して、10〜2000ppmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
- 上記ホウ酸および/またはその塩(E)のホウ素換算での含有量が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記ホウ酸および/またはその塩(E)の含有量の総和に対して、0.001〜500ppmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
- 上記脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量に対する上記酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算での含有量比(酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算含有量/脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算含有量)が、重量基準で0.0001〜10000であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
- 上記脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量に対する上記ホウ酸および/またはその塩(E)のホウ素換算での含有量比(ホウ酸および/またはその塩(E)のホウ素換算での含有量/脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算含有量)が、重量基準で0.0001〜10000であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物からなる層を有することを特徴とする多層構造体。
- 上記請求項9記載の多層構造体からなることを特徴とする包装体。
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