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JP2020164562A - 一液型樹脂組成物 - Google Patents

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JP2020164562A JP2019063431A JP2019063431A JP2020164562A JP 2020164562 A JP2020164562 A JP 2020164562A JP 2019063431 A JP2019063431 A JP 2019063431A JP 2019063431 A JP2019063431 A JP 2019063431A JP 2020164562 A JP2020164562 A JP 2020164562A
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Abstract

【課題】低温速硬化性に優れた一液型樹脂組成物を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂の硬化剤として、分子内に3つ以上のチオール基を有し、かつ分子内に環骨格、エーテル骨格およびエステル骨格を有しないチオール化合物を使用する【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂及び特定の構造を有するチオール化合物を含む一液型樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂を使用した熱硬化性樹脂組成物は、機械的特性、電気的特性、熱的特性、耐薬品性及び接着強度等の点で優れた性能を有することから、塗料、電気電子絶縁材料及び接着剤等の幅広い用途に利用されてきた。そのような樹脂組成物として、二液型樹脂組成物と、一液型樹脂組成物とが開発されている。二液型樹脂組成物では、使用時にエポキシ樹脂と硬化剤とが混合され、エポキシ樹脂が硬化させられる。一方、一液型樹脂組成物では、エポキシ樹脂と硬化剤とが予め混合されており、使用時に熱等により硬化させられる。
近年、半導体素子などの封止の分野における電子部品の保護、回路の高密化や接続の信頼性向上のため、一液型樹脂組成物が重要な役割を担っている。特に、生産性、作業性の向上を目的として、低温短時間での硬化に対する要求が高まっている。また、電子部品の小型化が進み、様々な装置のモバイル化、ウェアラブル化が達成された結果、従来よりも多様な環境下で電子機器が使用される場面が増えている。その結果、樹脂組成物に対しても、落下衝撃耐性や高温高湿耐性に関して、従来よりも高い信頼性が求められている。
上記に関連して、例えば特許文献1、2には、それぞれ一液型エポキシ樹脂組成物が記載されており、剛直な環骨格を有するチオール化合物をエポキシ樹脂の硬化剤として用いることが記載されている。
国際公開第2015/060440号公報 国際公開第2015/060439号公報
しかしながら、一般的に環骨格を有するチオール化合物は剛直な構造であるが故に、硬化速度が遅いという欠点が存在した。
本発明の課題は、低温速硬化性に優れた一液型樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エポキシ樹脂の硬化剤として、分子内に3つ以上のチオール基を有し、かつ分子内に環骨格、エーテル骨格およびエステル骨格を有しないチオール化合物を使用することによって、低温速硬化性に優れた一液型樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の態様を含むものである。
〔1〕下記A及びB成分
A:エポキシ樹脂
B:分子内に3つ以上のチオール基を有し、かつ分子内に環骨格、エーテル骨格およびエステル骨格を有しないチオール化合物
を含む、一液型樹脂組成物。
〔2〕前記B成分の分子量が、150〜500の範囲である、前記〔1〕に記載の一液型樹脂組成物。
〔3〕前記B成分が、以下の構造
(X1〜X4は、いずれも−SHであるか、又はX1〜X4のうちの3つが−SHであり、残りの1つが−H、−OH若しくは−CH3である)
を有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の一液型樹脂組成物。
〔4〕下記C成分
C:分子内にチオール基を3つ以上有し、かつ分子内に環骨格を有しているチオール化合物
を更に含む、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物。
〔5〕前記C成分が、分子内にエーテル骨格を有しないチオール化合物である、前記〔4〕に記載の一液型樹脂組成物。
〔6〕前記C成分が、分子内にエステル骨格を有しないチオール化合物である、前記〔4〕又は〔5〕に記載の一液型樹脂組成物。
〔7〕前記C成分におけるチオールの官能基等量が、100g/eq〜200g/eqである、前記〔4〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物。
〔8〕前記B成分のチオール基の数(b)及び前記C成分のチオール基の数(c)の合計に対する、前記B成分のチオール基の数(b)の割合(b/(b+c))が、0.2〜0.9である、前記〔4〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物。
〔9〕下記D成分
D:潜在性硬化促進剤
を更に含む、前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物。
〔10〕前記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物を含む、接着剤。
〔11〕前記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物を含む、封止材。
〔12〕前記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物を熱硬化させてなる、硬化物。
〔13〕前記〔12〕に記載の硬化物を含む、電子部品。
本発明の一液型樹脂組成物は、低温速硬化性に優れる。ここで、「一液型」樹脂組成物とは、硬化剤とエポキシ樹脂とを予め混合した組成物であって、該組成物に熱等をかけることによって硬化する性質を有する組成物を意味する。
[エポキシ樹脂]
本発明の一液型樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A成分)を含む。
本発明で使用するエポキシ樹脂は、特に限定されないが、1分子当り平均して2個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ジグリシジルトルイジン、ジグリシジルアニリン等)、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のグリシジルエーテル化物、及びアルコール類のジグリシジルエーテル化物、並びに、これらエポキシ樹脂のアルキル置換体、ハロゲン化物及び水素添加物等が挙げられる。これらは1種または2種以上を使用してもよい。
エポキシ樹脂は、これらの中でも、本発明の樹脂組成物の高耐熱性及び低透湿性を保つ等の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン構造を有するエポキシ樹脂等が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましい。
また、エポキシ樹脂は、液状であっても、固形状であっても、液状と固形状の両方を用いてもよい。ここで、「液状」及び「固形状」とは、常温(25℃)でのエポキシ樹脂の状態である。塗工性、加工性、接着性の観点から、使用するエポキシ樹脂全体の少なくとも10重量%以上が液状であるのが好ましい。かかる液状エポキシ樹脂の具体例として、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「jER 828EL」、「jER 827」、)、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「jER 807」)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「jER152」)、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂(DIC社製「HP4032」、「HP4032D])、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP−4032SS」)、液状ビスフェノールAF型エポキシ樹脂(新日鐵住金化学社製「ZX1059」)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(カネカ社製「MX−135」)、水素添加された構造のエポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「jER YX8000」)がある。また、固形エポキシ樹脂の具体例として、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(DIC社製「HP4700」)、ジシクロペンタジエン型多官能エポキシ樹脂(DIC社製「HP7200」)、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鐵住金化学社製「ESN−475V」)、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製「PB−3600」)、ビフェニル構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000H」、「NC3000L」、三菱ケミカル社製「YX4000」)などが挙げられる。
A成分のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは100〜300g/eq、より好ましくは120〜280g/eq、更により好ましくは140〜260g/eqである。エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含むエポキシ基含有化合物の質量を意味する。エポキシ当量は、化合物の分子量を化合物中のエポキシ基の数で割ることによって算出することが出来る。
本発明の樹脂組成物において、エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物中の不揮発分100重量%に対して、20重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましく、70重量%以上がさらにより好ましく、80重量%以上が殊更好ましく、90重量%以上が特に好ましい。また、99.0重量%以下が好ましく、98.5重量%以下がより好ましく、98.0重量%以下がさらに好ましく、97.5重量%以下がさらにより好ましく、97.0重量%以下が殊更好ましく、96.5重量%以下が特に好ましい。
[チオール化合物]
本発明の一液型樹脂組成物は、エポキシ樹脂の硬化剤として、分子内に3つ以上のチオール基を有し、かつ分子内に環骨格、エーテル骨格およびエステル骨格を有しないチオール化合物(B成分)を含む。硬化剤としてB成分のチオール化合物を用いることで、一液型樹脂組成物の低温速硬化性が向上する。また、エステル骨格を含まないB成分のチオール化合物は、エステル骨格を含むチオール化合物に比べ、耐加水分解性に優れる。更に、B成分のチオール化合物がエーテル骨格を含まないことにより、本発明の一液型樹脂組成物は保存安定性にも優れたものとなる。
B成分のチオール化合物の分子量は、例えば150〜500であり、好ましくは155〜400、より好ましくは160〜300、更により好ましくは168〜250である。
B成分のチオール化合物におけるチオールの官能基当量は、好ましくは20〜100g/eq、より好ましくは30〜80g/eq、更により好ましくは40〜60g/eqである。チオールの官能基当量とは、1当量のチオール基を含むチオール基含有化合物の質量を意味する。チオールの官能基当量は、化合物の分子量を化合物中のチオール基の数で割ることによって算出することができる。
B成分のチオール化合物は、好ましくは、以下の構造
(X1〜X4は、いずれも−SHであるか、又はX1〜X4のうちの3つが−SHであり、残りの1つが−H、−OH若しくは−CH3である)
を有する。
上記構造を有するチオール化合物は市場において入手可能であり、例えば、旭化学工業社製の2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール(TMPE)(X1〜X4がいずれも−SH)、3−メルカプト−2,2−ビス(メルカプトメチル)−1−プロパノール (X1〜X4のうちの3つが−SH、残りの1つが−OH)、2−エチル−2−(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール(X1〜X4のうちの3つが−SH、残りの1つが−CH3)等が挙げられる。
B成分のチオール化合物の含有量は、本発明の一液型樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂を100質量部とした場合、例えば3〜50質量部、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは7〜30質量部である。
B成分のチオール化合物は、分子内に環骨格を有しておらず、従って、後述する分子内に環骨格を有するC成分のチオール化合物を含まない。また、B成分のチオール化合物は、エステル骨格を含んでおらず、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオナート)(TMTP):
等の、ポリオールとメルカプト有機酸のエステル化反応によって得られるチオール化合物を含まない。また、B成分のチオール化合物は、エーテル骨格を含んでおらず、例えば、ペンタエリスリトールトリプロパンチオール(PEPT):

等の、エーテル骨格を有するチオール化合物を含まない。
本発明の一液型樹脂組成物は、B成分のチオール化合物と共に、分子内にチオール基を3つ以上有し、かつ環骨格を有しているチオール化合物(C成分)を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の硬化剤として、C成分のチオール化合物をB成分のチオール化合物と併用して用いることで、B成分による低温速硬化性を維持しつつ、一液型樹脂組成物の硬化物の伸び性を向上させることができる。C成分のチオール化合物は、保存安定性の観点から、エーテル骨格を有しないものが好ましい。すなわち、C成分のチオール化合物としては、分子内にチオール基を3つ以上有し、かつ分子内に環骨格を有し、エーテル骨格を有しないチオール化合物が好ましい。またC成分のチオール化合物は、耐加水分解性の観点から、エステル骨格を有しないものがより好ましい。すなわち、C成分のチオール化合物としては、分子内にチオール基を3つ以上有し、かつ分子内に環骨格を有し、エステル骨格を有しないチオール化合物がより好ましい。またこれらの観点から、C成分のチオール化合物は、特に、分子内にチオール基を3つ以上有し、かつ分子内に環骨格を有し、エーテル骨格およびエステル骨格を有しないチオール化合物であるのが好ましい。
C成分におけるチオールの官能基当量は、好ましくは100〜200g/eqであり、より好ましくは110〜190g/eqである。
C成分のチオール化合物は、市場において入手可能であり、例えば、以下の製品を挙げることができる。
TMPIC:味の素ファインテクノ社製、トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレート、チオールの官能基当量117g/eq
TS−G:四国化成社製、1,3,4,6−テトラキス(2−メルカプトエチル)グリコールウリル、チオールの官能基当量103g/eq
NR−1:昭和電工社製、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、チオールの官能基当量189g/eq
C成分のチオール化合物の含有量は、本発明の一液型樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂を100質量部とした場合、例えば3〜80質量部、好ましくは5〜70質量部、より好ましくは7〜60質量部である。
本発明の一液型樹脂組成物において、B成分のチオール基の数(b)及びC成分のチオール基の数(c)の合計に対する、B成分のチオール基の数(b)の割合(b/(b+c))は、例えば0.2〜0.9、好ましくは0.3〜0.9、より好ましくは0.4〜0.9、さらに好ましくは0.5〜0.8である、B成分のチオール基の数の割合が上記範囲内であれば、低温速硬化性と硬化物の伸び性の効果をバランスよく発揮させることができる。
本発明の一液型樹脂組成物は、B成分のチオール基の数(b)及びC成分のチオール基の数(c)の合計に対する、A成分のエポキシ基の数(a)の割合(a/(b+c))が1となる量でA〜C成分を含むことが好ましい。
[潜在性硬化促進剤]
本発明の一液型樹脂組成物は、任意に、潜在性硬化促進剤(D成分)を含んでもよい。本発明で用いることができる潜在性硬化促進剤としては、例えば固体分散型潜在性硬化促進剤を挙げることができる。固体分散型潜在性硬化促進剤とは、室温(25℃)では上述のエポキシ樹脂に不溶の固体で、加熱することにより可溶化し、エポキシ樹脂の硬化促進剤として機能する化合物であり、常温で固体のイミダゾール化合物、および固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤の例としては、アミン化合物とエポキシ化合物との反応生成物(アミン−エポキシアダクト系)、アミン化合物とイソシアネート化合物または尿素化合物との反応生成物(尿素型アダクト系)等が挙げられる。これらのうち、固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤が好ましい。
前記常温で固体のイミダゾール化合物としては、例えば、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル−(1))−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2′−メチルイミダゾリル−(1)′)−エチル−S−トリアジン・イソシアヌール酸付加物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール−トリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール−トリメリテート、N−(2−メチルイミダゾリル−1−エチル)−尿素、N,N′−(2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル)−アジボイルジアミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤(アミン−エポキシアダクト系)の製造原料の一つとして用いられるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、レゾルシノールなど多価フェノール、またはグリセリンやポリエチレングリコールのような多価アルコールとエピクロロヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエーテル;p−ヒドロキシ安息香酸、β−ヒドロキシナフトエ酸のようなヒドロキシ酸とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエステル;4,4′−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノールなどとエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルアミン化合物;更にはエポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、エポキシ化ポリオレフィンなどの多官能性エポキシ化合物やブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートなどの単官能性エポキシ合物;等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
前記固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤の製造原料として用いられるアミン化合物は、エポキシ基と付加反応しうる活性水素を分子内に1以上有し、かつ1級アミノ基、2級アミノ基および3級アミノ基の中から選ばれた官能基を少なくとも分子内に1以上有するものであればよい。このような、アミン化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n−プロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、4,4′−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンのような脂肪族アミン類;4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2−メチルアニリンなどの芳香族アミン化合物;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、ピペリジン、ピペラジンなどの窒素原子が含有された複素環化合物;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、この中で特に分子内に3級アミノ基を有する化合物は、優れた硬化促進能を有する潜在性硬化促進剤を与える原料であり、そのような化合物の例としては、例えば、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、N−メチルピペラジンなどのアミン化合物や、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール化合物のような、分子内に3級アミノ基を有する1級もしくは2級アミン類;2−ジメチルアミノエタノール、1−メチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−フェノキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ブトキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N−β−ヒドロキシエチルモルホリン、2−ジメチルアミノエタンチオール、2−メルカプトピリジン、2−ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メルカプトピリジン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、N,N−ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸、N,N−ジメチルグリシンヒドラジド、N,N−ジメチルプロピオン酸ヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジドなどのような、分子内に3級アミノ基を有するアルコール類、フェノール類、チオール類、カルボン酸類およびヒドラジド類;等が挙げられる。
上記のエポキシ化合物とアミン化合物を付加反応せしめ潜在性硬化促進剤を製造する際に、さらに分子内に活性水素を2以上有する活性水素化合物を添加することもできる。このような活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、フェノールノボラック樹脂などの多価フェノール類、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類、アジピン酸、フタル酸などの多価カルボン酸類、1,2−ジメルカプトエタン、2−メルカプトエタノール、1−メルカプト−3−フェノキシ−2−プロパノール、メルカプト酢酸、アントラニル酸、乳酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤の製造原料として用いられるイソシアネート化合物としては、例えば、n−ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネートなどの単官能イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(例:2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどの多官能イソシアネート化合物;更には、これら多官能イソシアネート化合物と活性水素化合物との反応によって得られる、末端イソシアネート基含有化合物;等も用いることができる。このような末端イソシアネート基含有化合物の例としては、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応により得られる末端イソシアネート基を有する付加化合物、トリレンジイソシアネートとペンタエリスリトールとの反応により得られる末端イソシアネート基を有する付加化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、上記固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤の製造原料として用いられる尿素化合物として、例えば、尿素、チオ尿素などが挙げられるが、これらに限定されるものでない。
上記固体分散型潜在性硬化促進剤は、例えば、上記の製造原料を適宜混合し、室温から200℃の温度において反応させた後、冷却固化してから粉砕するか、あるいは、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の溶媒中で反応させ、脱溶媒後、固形分を粉砕することにより容易に得ることが出来る。
上記固体分散型潜在性硬化促進剤として市販されている代表的な例としては、例えば、アミン−エポキシアダクト系(アミンアダクト系)としては、味の素ファインテクノ社製「アミキュアPN−23」、「アミキュアPN−H」、エー・シー・アール社製「ハードナーX−3661S」、「ハードナーX−3670S」、旭化成社製「ノバキュアHX−3742」、「ノバキュアHX−3721」などが挙げられ、また、尿素型アダクト系としては、T&K TOKA社製「FXE−1000」、「FXR−1030」などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
エポキシ樹脂の含有量を100質量部とした場合、硬化促進剤の含有量は0.1〜100質量部であることが好ましく、1〜60質量部であることがより好ましく、5〜30質量部がさらに好ましい。
[その他の添加剤]
本発明の一液型樹脂組成物には、任意に、B成分及びC成分以外のエポキシ樹脂用硬化剤、保存安定性向上剤、充填剤、希釈剤、溶剤、顔料、可撓性付与剤、カップリング剤、酸化防止剤、沈降防止剤、分散剤等の各種添加剤を加えることができる。
B成分及びC成分以外のエポキシ樹脂用硬化剤としては、例えばイミダゾール系硬化剤やアミン系硬化剤を挙げることができる。さらに、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオナート)(TMTP)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(β−チオプロピオネート)等のポリオールとメルカプト有機酸のエステル化反応によって得られるチオール化合物もエポキシ樹脂用硬化剤として使用することができる。
本発明で用いることができる保存安定性向上剤は、本発明の樹脂組成物の保存安定性を更に向上させるために添加してもよい。保存安定性向上剤としては、例えば、ボレート化合物、チタネート化合物、アルミネート化合物、ジルコネート化合物、イソシアネート化合物、カルボン酸、酸無水物及びメルカプト有機酸を挙げることができる。
上記ボレート化合物としては、例えば、トリメチルボレート、トリエチルボレート(TEB)、トリ−n−プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ−n−ブチルボレート、トリペンチルボレート、トリアリルボレート、トリヘキシルボレート、トリシクロヘキシルボレート、トリオクチルボレート、トリノニルボレート、トリデシルボレート、トリドデシルボレート、トリヘキサデシルボレート、トリオクタデシルボレート、トリス(2−エチルヘキシロキシ)ボラン、ビス(1,4,7,10−テトラオキサウンデシル)(1,4,7,10,13−ペンタオキサテトラデシル)(1,4,7−トリオキサウンデシル)ボラン、トリベンジルボレート、トリフェニルボレート、トリ−o−トリルボレート、トリ−m−トリルボレート、トリエタノールアミンボレート等が挙げられる。
上記チタネート化合物としては、例えば、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロプルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート等が挙げられる。
上記アルミネート化合物としては、例えば、トリエチルアルミネート、トリプロピルアルミネート、トリイソプロピルアルミネート、トリブチルアルミネート、トリオクチルアルミネート等が挙げられる。
前記ジルコネート化合物としては、例えば、テトラエチルジルコネート、テトラプロピルジルコネート、テトライソプロピルジルコネート、テトラブチルジルコネート等が挙げられる。
上記イソシアネート化合物としては、例えば、n−ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、2−クロロエチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−エチルフェニルイソシアネート、2,6−ジメチルフェニルイソシアネート、トリレンジイソシアネート(例:2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4‘−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等が挙げられる。
上記カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸等の飽和脂肪族一塩基酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和脂肪族一塩基酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸等のハロゲン化脂肪酸、グリコール酸、乳酸等の一塩基性オキシ酸、グリオキザル酸、ブドウ酸などの脂肪族アルデヒド酸及びケトン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸等の脂肪族多塩基酸、安息香酸、ハロゲン化安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、けい皮酸、マンデル酸等の芳香族一塩基酸、フタル酸、トリメシン酸等の芳香族多塩基酸等が挙げられる。
上記酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水ドデシニルコハク酸、無水マレイン酸、メチルシクロペンタジエンと無水マレイン酸の付加物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の脂肪族又は脂肪族多塩基酸無水物等、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロリメリット酸等の芳香族多塩基酸無水物等が挙げられる。酸無水物として市販されている代表的な例としては、例えば、エポキシ樹脂の硬化剤としても用いることができるメチルテトラヒドロ無水フタル酸である、HN−2200(日立化成社製、分子量=166)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
上記メルカプト有機酸としては、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酪酸、メルカプトコハク酸、ジメルカプトコハク酸などのメルカプト脂肪族モノカルボン酸、ヒドロキシ有機酸とメルカプト有機酸とのエステル化反応によって得られるメルカプト脂肪族モノカルボン酸、メルカプト安息香酸などのメルカプト芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。
保存安定性向上剤としては、これらのうち、汎用性・安全性が高く、保存安定性を向上させる観点より、ボレート化合物が好ましく、トリエチルボレート、トリ−n−プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ−n−ブチルボレートがより好ましく、トリエチルボレートがさらに好ましい。保存安定性向上剤の含有量は、エポキシ樹脂の保存安定性が高まりさえすれば特に制限は無いが、エポキシ樹脂の全含有量を100質量部とした場合、保存安定性向上剤の含有量が0.001〜50質量部であることが好ましく、0.05〜30質量部であることがより好ましく、0.1〜10質量部であることがさらに好ましい。
沈降防止剤としては、微粉末シリカ、脂肪酸アマイド、ポリオレフィン系ポリマー等が挙げられる。具体的には、微粉末シリカ「AEROSIL 200」(日本アエロジル社製)、「AEROSIL R805」(日本アエロジル社製)等を利用することができる。
上記のA成分のエポキシ樹脂、B成分のチオール化合物、並びに任意成分であるC成分、D成分やその他の各種添加剤を原料として本発明の一液型樹脂組成物を製造することができる。樹脂組成物の調製は、特別の困難はなく、従来公知の方法に準じて行うことができる。例えば、ヘンシェルミキサーなどの混合機で各成分を混合して、本発明の一液型樹脂組成物を調製することができる。
また、得られた一液型樹脂組成物の硬化も、特別の困難はなく、従来公知の方法に準じて行うことができる。例えば、得られた樹脂組成物を加熱することで硬化することができる。加熱は、例えば、60〜150℃、好ましくは75〜120℃、より好ましくは80〜100℃の温度で、例えば1〜120分、好ましくは3〜100分、より好ましくは5〜80分の時間行うことが適当である。
[樹脂組成物の低温速硬化性]
本発明の一液型樹脂組成物は、優れた低温速硬化性を有する。低温速硬化性は、所定の条件での樹脂組成物の示差走査熱量測定(DSC7000X 日立ハイテクサイエンス社製)における発熱ピークの有無及びピークトップの時間に基づいて評価することができる。特に、約10mgの試料(樹脂組成物)を75℃、30分間加熱した場合に発熱ピークが25分以内に観測されれば、低温速硬化性に優れていると判断できる。低温速硬化性に優れるものほど発熱ピークトップが短時間側に観測される。
[エポキシ樹脂硬化物、接着剤、封止材等]
本発明は、また、上記の一液型樹脂組成物を含む接着剤に関する。ここで接着剤は、好ましくは、電子部品の接着剤の分野で使用できる接着剤である。上記接着剤は、本発明の一液型樹脂組成物以外に、任意にB成分及びC成分以外のエポキシ樹脂用硬化剤、硬化促進剤、難燃剤、保存安定性向上剤、充填剤、希釈剤、溶剤、顔料、可撓性付与剤、カップリング剤、酸化防止剤、沈降防止剤、分散剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明は、また、上述した一液型樹脂組成物を含む封止材に関する。ここで封止材とは、フリップチップ実装時のアンダーフィル剤、チップオンボード用封止剤などの封止用材料である。上記封止材は、本発明の一液型樹脂組成物以外に、任意にB成分及びC成分以外のエポキシ樹脂用硬化剤、硬化促進剤、難燃剤、保存安定性向上剤、充填剤、希釈剤、溶剤、顔料、可撓性付与剤、カップリング剤、酸化防止剤、沈降防止剤、分散剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明は、また、上記の一液型樹脂組成物を硬化させて得られるエポキシ樹脂硬化物及び当該硬化物を含有する電子部品に関する。
[硬化物の伸び性]
本発明の樹脂組成物の硬化物は、C成分のチオール化合物を含めることによって伸び性が向上する。伸び性は、樹脂組成物を所定の条件で硬化させた硬化物の試験片の、所定の条件でのテンシロン万能試験機(オリエンテック社製、RTM−500)を用いる引っ張り試験における伸び値に基づいて評価することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[一液型樹脂組成物の調製]
表1に示す配合組成で各成分を混合し、実施例1〜7及び比較例1〜3に係る樹脂組成物を調製した。尚、表1中、各成分の配合量は、質量部を意味する。また、表1に示されるとおり、各実施例及び比較例において、樹脂組成物中のエポキシ基の数(a)とチオール基の数(b+c)との比(a/(b+c))は、概ね1である。
具体的には、専用のプラスチック容器に、表1及び表2に示される量の材料を量り取った。その後、自転・公転真空ミキサーあわとり錬太郎(シンキー社製;ARE−310)を用い、室温にて2000rpmで充分混合し、更に1分間脱泡し、目的の樹脂組成物を得た。
なお、使用した材料の詳細は以下の通りである。
[エポキシ樹脂]
ZX-1059:新日鉄住金化学社製、ビスフェノールA型(BPA型)/ビスフェノールF型(BPF型)エポキシ樹脂、エポキシ当量165g/eq
jER152:三菱ケミカル社製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量177g/eq
HP−4032SS:DIC社製、ナフタレン型エポキシ樹脂、エポキシ当量144g/eq
MX−135:カネカ社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(コアシェルゴム粒子25%分散)、エポキシ当量223g/eq
[B成分チオール]
TMPE:旭化学工業社製、2,2ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、チオールの官能基当量50g/eq
[C成分チオール]
TMPIC:味の素ファインテクノ社製、トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレート、チオールの官能基当量117g/eq
NR−1:昭和電工社製、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、チオールの官能基当量189g/eq
[その他のチオール]
PEPT:SC有機社製、ペンタエリスリトールトリプロパンチオール、チオールの官能基当量119g/eq

[潜在性硬化促進剤]
PN−23:味の素ファインテクノ社製、アミンエポキシアダクト系硬化剤
[保存安定性向上剤]
TEB:東京化成社製、トリエチルボレート
[沈降防止剤]
AEROSIL200:日本アエロジル社製、フュームドシリカ
[低温速硬化性の評価]
各実施例及び比較例について、低温速硬化性を、示差走査熱量測定(DSC7000X 日立ハイテクサイエンス社製)における発熱ピークの有無及びピークトップの時間を測定することによって評価した。具体的には、約10mgの試料(樹脂組成物)を75℃、30分間加熱し、各実施例及び比較例の樹脂組成物の発熱の有無、および発熱ピークトップの位置を測定した。
[伸び性の評価]
各樹脂組成物を離形PETフィルム(NS-80A:東レ社製)上にバーコートを用いて塗布し、90℃で60分間加熱して硬化させて硬化物を得た。得られた厚みが100μmの硬化物を、ダンベル(商品名「スーパーダンベルカッター(型式:SDMK−5889−01)」、ダンベル社製)で打ち抜き、引張強度測定用試験片を作製した。試験片から、PETフィルムを剥離した。温度25℃、湿度60%、引っ張り速度50mm/分の条件で、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製、RTM−500)を用いて引っ張り試験を行った。実施例1の樹脂組成物の試験片の伸び値(6.3mm)を100%とし、実施例1の伸び値に対する各実施例および比較例の伸び値を%で求めて、伸び性を評価した。
[保存安定性の評価]
各樹脂組成物の初期粘度(Pa・s)をE型粘度計(東機産業社製:RE−85U、ロータ名称:1°34′×R24)、を用いて2rpm、25℃の粘度を測定した。次に、樹脂組成物を密閉容器に入れ、これを25℃、60%Rhの条件下において保存した。その後、1日おきにこれを取り出し、E型粘度計を用いることで樹脂組成物の2rpm、25℃の粘度を測定した。初期の粘度を100%とした際に、200%に到達するまでの日数を保存安定性と定義した。
[評価結果の考察]
上記各評価の結果を表1に示す。実施例1〜7の樹脂組成物は、比較例1及び2の樹脂組成物に比べ、低温時における硬化性に優れることが分かった。
詳細には、表1の実施例1〜7と比較例1とを比較すると、分子内に環骨格を有するTMPIC(C成分)のみを硬化剤として用いた比較例1では、発熱ピークが確認されず、75℃での硬化は進行しなかった。分子内に環骨格及びエステル骨格を有するNR−1(C成分)のみを硬化剤として用いた比較例2では、発熱ピークは観測されたものの、発熱ピークトップが現れるのが28分と実施例に比べて遅く、B成分が存在する場合と比較し、硬化速度に劣ることが分かった。実施例1〜7についてはいずれも20分以内に発熱ピークが確認され、B成分による低温速硬化性の向上が観測された。
次に表1の実施例2乃至7と実施例1の伸び性に注目すると、硬化剤としてTMPE(B成分)のみを含む実施例1に対し、TMPE(B成分)とTMPIC又はNR−1(C成分)の組み合わせを含む実施例2〜7では伸び性の向上が観測された。
また分子内にエーテル骨格を有するPEPTをB成分の代わりに使用した比較例3では、保存安定性が著しく悪く、室温で硬化が進行し、硬化速度および伸び性の評価ができなかった。室温で硬化が進行する比較例3の樹脂組成物は、一液型樹脂組成物には適していない。
本発明の一液型樹脂組成物は、接着剤や封止材に好適に用いることができ、その硬化物は、電子部品として使用することができる。

Claims (13)

  1. 下記A及びB成分
    A:エポキシ樹脂
    B:分子内に3つ以上のチオール基を有し、かつ分子内に環骨格、エーテル骨格およびエステル骨格を有しないチオール化合物
    を含む、一液型樹脂組成物。
  2. 前記B成分の分子量が、150〜500の範囲である、請求項1に記載の一液型樹脂組成物。
  3. 前記B成分が、以下の構造
    (X1〜X4は、いずれも−SHであるか、又はX1〜X4のうちの3つが−SHであり、残りの1つが−H、−OH若しくは−CH3である)
    を有する、請求項1又は2に記載の一液型樹脂組成物。
  4. 下記C成分
    C:分子内にチオール基を3つ以上有し、かつ分子内に環骨格を有しているチオール化合物
    を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物。
  5. 前記C成分が、分子内にエーテル骨格を有しないチオール化合物である、請求項4に記載の一液型樹脂組成物。
  6. 前記C成分が、分子内にエステル骨格を有しないチオール化合物である、請求項4又は5に記載の一液型樹脂組成物。
  7. 前記C成分におけるチオールの官能基等量が、100g/eq〜200g/eqである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物。
  8. 前記B成分のチオール基の数(b)及び前記C成分のチオール基の数(c)の合計に対する、前記B成分のチオール基の数(b)の割合(b/(b+c))が、0.2〜0.9である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物。
  9. 下記D成分
    D:潜在性硬化促進剤
    を更に含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物を含む、接着剤。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物を含む、封止材。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の一液型樹脂組成物を熱硬化させてなる、硬化物。
  13. 請求項12に記載の硬化物を含む、電子部品。
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