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JP2020036981A - 被検体情報取得装置およびその制御方法 - Google Patents

被検体情報取得装置およびその制御方法 Download PDF

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JP2020036981A JP2019214135A JP2019214135A JP2020036981A JP 2020036981 A JP2020036981 A JP 2020036981A JP 2019214135 A JP2019214135 A JP 2019214135A JP 2019214135 A JP2019214135 A JP 2019214135A JP 2020036981 A JP2020036981 A JP 2020036981A
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Kotaro Umezawa
孝太郎 梅澤
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Toru Imai
亨 今井
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Abstract

【課題】光音響イメージングにおいて、被検体の位置ずれに起因する特性情報の誤差に関する情報を提供する。【解決手段】本発明の被検体情報取得装置は、第一および第二の波長の光を発生させる光源と、第一および第二の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第一および第二の受信信号を出力する変換素子と、第一および第二の受信信号に基づいて第一および第二の特性情報分布を取得し、第一および第二の特性情報分布に基づいて被検体内部の物質濃度分布を取得する特性情報取得部と、第一および第二の特性情報分布の間の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得部と、物質濃度分布と位置ずれ量に基づく画像を表示部に出力する表示制御部を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、被検体情報取得装置およびその制御方法に関する。
光を用いたイメージング技術の一つとして、光音響イメージング(PAI:Photoacoustic Imaging)がある。光音響イメージングでは、まず、光源から発生したパルス光が被検体に照射される。照射光が被検体内で伝播・拡散したのち、被検体内の光吸収体がこの光のエネルギーを吸収すると、音響波(以降、光音響波と呼ぶ)が発生する。この光音響波を超音波探触子(トランスデューサ)で受信し、処理装置内で受信信号を解析処理することで、被検体内部の光学特性値に関する情報が画像データとして取得される。これにより、被検体内の光学特性値分布が可視化される。
近年、微細な光吸収体の情報を得るために、光音響イメージングの分解能の向上が求められている。そこで、音を集束させたり、照射光を集光させたりすることで、被検体表面付近の微細血管等の吸収体を高解像度でイメージングする、光音響顕微鏡の開発が進められている。特許文献1では、照射光をレンズで集光し、被検体を光の焦点位置に配置することにより、分解能を向上させている。
また、被検体内部の光吸収体は、波長に応じて吸収特性が異なる。そこで、互いに異なる波長を有する光を被検体に照射し、波長ごとの光音響波の信号強度に基づく演算をすることで、被検体内の物質濃度に関する分布を取得できる。具体的には、波長毎に求めた被検体内の光の吸収係数値と、対象物質に固有の光吸収の波長依存性とを用いて、物質の濃度に関する分布を画像化する。さらに、オキシヘモグロビンHbOの濃度と、デオキシヘモグロビンHbとの濃度を基に、血液の酸素飽和度を取得できる。
特表2011−519281号公報
被検体が生体の場合は、拍動、呼吸またはその他の体動により、光音響測定中に被検体が動くことがある。その結果、被検体と、超音波探触子および光照射部との相対的な位置関係がずれる。また、探触子を術者が把持するハンドヘルド型の光音響装置の場合や、超音波探触子を移動(走査)させて広範囲を画像化する光音響装置の場合、被検体が動かなくても、超音波探触子が理想的な位置から動いてしまうと、上記の相対位置関係がずれる。また、体動に伴う被検体の変形により、被検体内部の各部位の位置関係が変化することがある。
酸素飽和度等の測定中、第一の波長での測定と第二の波長での測定の間に、上述の体動や超音波探触子の移動が起こると、各波長に由来する光音響画像同士の間でずれや変形が生じる。今後このようなずれや変形を総称して「位置ずれ」と呼ぶ。このような波長間の位置ずれが起こると、物質濃度を算出するときに、被検体内で異なる位置にある光吸収体同士が比較される。その結果、濃度算出の精度が低下する可能性がある。
特に、注目する光吸収体が血液の場合は、測定波長間で位置関係がずれてしまうと、各波長における血管の位置がずれてしまう。これにより、各血管位置における波長間の吸収
係数の比が誤った値となるため、誤った酸素飽和度を求めてしまうことになる。
なお、本明細書における位置ずれとは、被検体位置、超音波探触子位置、および両者の相対的位置関係が、装置の設計値や、走査の際の設定値からずれていることを意味する。例えば超音波探触子を走査する場合、走査軌跡上の各位置で光音響波の検出が行われるため、測定位置は検出のたびに変化する。しかしこのような位置変化は既知の情報であるため、画像再構成に反映可能であり、位置ずれとは呼ばない。
従来の光音響装置において、術者は、位置ずれによる酸素飽和度等の特性情報の誤差についての情報を得られない。酸素飽和度等の特性情報の定量値の信頼性に関する情報がないまま、術者が得られた光音響画像の読影を行うと、診断の正確性が低下する可能性がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、光音響イメージングにおいて、被検体の位置ずれに起因する特性情報の誤差に関する情報を提供することにある。
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
第一の波長の光と第二の波長の光を発生させる光源と、
前記第一の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第一の受信信号を出力し、前記第二の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第二の受信信号を出力する変換素子と、
前記第一の受信信号に基づいて第一の特性情報分布を取得し、前記第二の受信信号に基づいて第二の特性情報分布を取得し、前記第一および第二の特性情報分布に基づいて前記被検体内部の物質濃度分布を取得する特性情報取得部と、
前記第一の特性情報分布と前記第二の特性情報分布の間の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得部と、
前記物質濃度分布と、前記位置ずれ量と、に基づく画像を表示部に出力する表示制御部と、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置である。
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、
光源と、変換素子と、特性情報取得部と、位置ずれ量取得部と、表示制御部と、を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、
前記光源が、第一の波長の光と第二の波長の光を発生させるステップと、
前記変換素子が、前記第一の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第一の受信信号を出力し、前記第二の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第二の受信信号を出力するステップと、
前記特性情報取得部が、前記第一の受信信号に基づいて第一の特性情報分布を取得し、前記第二の受信信号に基づいて第二の特性情報分布を取得し、前記第一および第二の特性情報分布に基づいて前記被検体内部の物質濃度分布を取得するステップと、
前記位置ずれ量取得部が、前記第一の特性情報分布と前記第二の特性情報分布の間の位置ずれ量を取得するステップと、
前記表示制御部が、前記物質濃度分布と、前記位置ずれ量と、に基づく画像を表示部に出力するステップと、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置の制御方法である。
本発明によれば、光音響イメージングにおいて、被検体の位置ずれに起因する特性情報
の誤差に関する情報を提供できる。
実施形態1の光音響装置の全体構成を示す模式図 実施形態1の被検体情報取得フローの一例を示すフローチャート 実施形態1の被検体情報取得フローの別の一例を示すフローチャート 実施形態2の被検体情報取得フローの一例を示すフローチャート 実施形態3の被検体情報取得フローの一例を示すフローチャート 実施形態1の表示方法の一例を示す模式図 実施形態2の表示方法の一例を示す模式図 実施形態4の被検体情報取得フローの一例を示すフローチャート
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。よって、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。また、同一の構成要素には原則として同一の符号を付して、説明を省略する。
本発明は、被検体から伝播する音響波を検出し、被検体内部の特性情報を生成する技術に関する。よって本発明は、被検体情報取得装置またはその制御方法、あるいは被検体情報取得方法や信号処理方法として捉えられる。本発明はまた、これらの方法をCPUやメモリ等のハードウェア資源を備える情報処理装置に実行させるプログラムや、そのプログラムを格納した記憶媒体としても捉えられる。
本発明の被検体情報取得装置は、光(電磁波)を照射された被検体内において光音響効果により発生した音響波を受信して、被検体情報を画像データとして取得する装置を含む。このような装置は、光音響装置、光音響イメージング装置などとも呼べる。特性情報とは、光音響波を受信することにより得られる受信信号を用いて生成される、被検体内の複数位置のそれぞれに対応する特性情報である。
本発明により取得される特性情報は、光エネルギーの吸収量や吸収率を反映している。例えば、光照射によって生じた音響波の発生源、被検体内の初期音圧(発生音圧)、あるいは初期音圧から導かれる光エネルギー吸収密度や吸収係数、組織を構成する物質の濃度に関する情報が含まれる。物質の濃度に関する情報とは、例えば、オキシヘモグロビンあるいはデオキシヘモグロビン濃度、それらから導かれるトータルヘモグロビン濃度や酸素飽和度などである。また、グルコース濃度、コラーゲン濃度、メラニン濃度、脂肪や水の体積分率などでもよい。また、被検体内の各位置の特性情報に基づいて、2次元または3次元の被検体情報分布が得られる。分布データは、表示装置に表示するための画像データとして生成され得る。
本発明でいう音響波とは、典型的には超音波であり、音波、音響波と呼ばれる弾性波を含む。探触子等により音響波から変換された電気信号を音響信号とも呼ぶ。ただし、本明細書における超音波または音響波という記載は、それらの弾性波の波長を限定する意図ではない。光音響効果により発生した音響波は、光音響波または光超音波と呼ばれる。光音響波に由来する電気信号を光音響信号とも呼ぶ。
本発明の被検体情報取得装置は、人や動物などの生体や、生体以外のサンプル、ファントムなどの校正試料を測定できる。被検体が生体の場合、血管疾患や悪性腫瘍の診断への活用が期待できる。
<実施形態1>
(特性値画像と位置ずれ分布を並べて表示)
以下、第1の実施形態の被検体情報取得装置(光音響装置)の構成及び処理について説明する。
((装置構成))
図1は本実施形態の光音響装置の構成を示す模式図である。装置は基本的な構成要素として、光源100、探触子200、光導波部300、光照射部400、走査機構500、制御部600、処理部700、表示部800、水槽900を備える。処理部700は、信号収集部710、特性情報取得部720、位置ずれ量取得部730を含む。探触子200は、変換素子210を含む。
光源100から出射されたパルス光は、光導波部300を通って光照射部400から照射光1000として被検体1100に照射され、被検体1100内の光吸収体1110に到達する。光吸収体1110としては、典型的には生体内におけるヘモグロビン、ヘモグロビンを多く含む血管、新生血管を伴う腫瘍などがある。光吸収体1110は、光のエネルギーを吸収して、光音響波をそれぞれ発生する。発生した光音響波は、被検体内を伝搬し変換素子210に到達する。
変換素子210は、光音響波を受信することにより時系列の受信信号を出力する。処理部700には、変換素子210から出力された受信信号が順次入力される。なお、本実施形態において、探触子200の変換素子210(受信面)は、水槽900内の音響整合材としての水910に浸かっている。これにより、被検体1100と変換素子210との音響整合が図られている。
走査機構500は、探触子200や光照射部400等を含む測定部1200を移動させて、被検体1100に対する相対的な位置関係を変化させる。制御部600は、光音響装置内の各構成ブロックを制御する。
処理部700は、変換素子210から入力された信号を用いて、光の吸収率に関わる特性情報を生成する。また、処理部700は、各測定波長毎に得られた光の吸収率に関わる特性情報を基に、酸素飽和度等の濃度に関する特性情報、および測定波長間での被検体の位置ずれ量を算出する。処理部700は、生成された特性情報のデータおよび位置ずれ量を表示制御部850に送信する。表示制御部850は、表示部800に特性情報の画像および位置ずれに関する情報を表示させる。
以下、本実施形態に係る光音響装置の各構成ブロックの詳細を説明する。
(光源100)
光源100は、ナノ秒からマイクロ秒オーダーのパルス光を発生可能なパルス光源が好ましい。具体的なパルス幅としては、1〜100ナノ秒程度が好ましい。また、波長としては400nmから1600nm程度が好ましい。特に、生体表面近傍の血管を高解像度でイメージングする際は、可視光領域の波長(400nm以上、700nm以下)が好適である。一方、生体の深部をイメージングする際には、生体の背景組織において吸収が少ない波長(700nm以上、1100nm以下)が好適である。ただし、テラヘルツ波、マイクロ波、ラジオ波領域の使用も可能である。
具体的な光源100としては、レーザーが好ましい。また、第一の波長と第二の波長を少なくとも含む、複数波長の光を出力するために、発振する波長の変更が可能な波長可変レーザーがより好ましい。レーザーとしては、固体レーザー、ガスレーザー、色素レーザ
ー、半導体レーザーなどを使用できる。特に、Nd:YAGレーザーやアレクサンドライトレーザーなどのパルスレーザーが好ましい。また、Nd:YAGレーザー光を励起光とするTi:saレーザーやOPO(Optical Parametric Oscillators)レーザー、または色素レーザーを用いてもよい。波長の異なる複数の光源を用いても良い。また、レーザーの代わりに発光ダイオードやフラッシュランプなども利用できる。
(探触子200)
探触子200は、1つ以上の変換素子210と、それを支持する筺体を備える。変換素子210には、音響波を受信して電気信号に変換する素子を利用できる。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電現象を用いた圧電素子、光の共振を用いた変換素子、CMUT等の静電容量型の変換素子が挙げられる。
光音響装置が光音響トモグラフィー装置である場合は、探触子200には変換素子210は複数設けられていることが好ましい。複数の変換素子210は、1Dアレイ、1.5Dアレイ、1.75Dアレイ、2Dアレイ、と呼ばれるような平面内、もしくはアーク形状やお椀型形状のような曲面内に並ぶように配置されることが好ましい。一方、光音響装置が光音響顕微鏡の場合は、探触子200をフォーカス型探触子とすることが好ましい。その場合、変換素子210の受信面に音響レンズを設ける。
また、被検体の形状を安定させるために、不図示の保持部材を設けることが好ましい。お椀型の探触子の場合、皿状やカップ状の保持部材が好適である。また、2枚の板状部材で被検体を挟持する構成も取り得る。保持部材は、光および音響波を透過させる材質が好ましい。保持部材を用いると、後述する光量分布の計算を簡略化できる利点もある。
走査機構500が、探触子200を被検体1100に対して機械的に移動させることで、広い範囲の被検体情報を取得できる。また、光照射部400と探触子200とは同期して移動することが好ましい。走査方式としては探触子や被検体の形状に応じて、ラスタースキャンやスネークスキャン、螺旋形のスキャンなどが使用できる。また、探触子200がハンドヘルド型の場合は、術者が探触子200を把持する把持部を有する。
(光導波部300)
光導波部300は、光源100から光照射部400まで光を伝達させる。光導波部300は、光ファイバ、レンズ、ミラー、プリズム、拡散板等の光学素子を利用できる。
(光照射部400)
光照射部400は光導波部300により伝達された光を、照射光1000として被検体1100に照射する。ここで、光音響トモグラフィー装置においては、光照射部400はレンズ等によりビーム光の径を広げて照射することが好ましい。一方、光音響顕微鏡においては、解像度を上げるために、光導波路300の光照射部はレンズ等で構成し、照射光1000の径をフォーカスして照射することが好ましい。
また、光照射部400を被検体1100に対して移動してもよい。さらに、光照射部400を探触子200と連動して移動させても良い。これにより広い範囲を画像化できる。お椀型探触子の場合、お椀の中心に光照射部400を配置してもよい。なお、光導波部300および光照射部400を用いずに、光源100から直接被検体1100に光を照射することも可能である。
(処理部700)
本実施形態の処理部700は、信号収集部710、特性情報取得部720、位置ずれ量
算出部730を備える。
信号収集部710は、変換素子210から出力される時系列のアナログ受信信号(光音響信号と呼ぶ)を収集する。そして、受信信号の増幅や、アナログの受信信号のAD変換、デジタル化された受信信号の記憶等の信号処理を行う。また、信号収集部710は、照射光1000の一部が入射する光検出器(不図示)から出力される、光量に関する信号(光量信号と呼ぶ)を、照射したパルス毎に収集する。信号収集部710としては、DAS(Data Acquisition System)と呼ばれる回路を利用できる。例えば、信号収集部710は、受信信号を増幅する増幅器や、AD変換器などから構成される。なお、増幅器は、探触子200内に設けても良い。本発明において、第一の波長の光は第一の受信信号に変換され、第二の波長の光は第二の受信信号に変換される。
特性情報取得部720は、信号収集部710に収集された光音響信号および光量信号を用いて、被検体内の光の吸収率に関わる特性情報を位置毎に取得する。例えば、発生音圧分布、光エネルギー吸収密度分布、光の吸収係数分布などが取得される。さらに、特性情報取得部720は各波長の光の吸収率に関わる特性情報を用いて、被検体内に存在する物質の濃度に関する特性情報(特に血液の酸素飽和度分布)を求める。特性情報取得時の画像再構成手法として、UBP(Universal Back Projection)、FBP(Filtered Back Projection)、整相加算(Delay and Sum)等の公知の手法を利用できる。本発明において、第一の受信信号からは第一の特性情報分布が取得され、第二の受信信号からは第二の特性情報分布が取得される。また、第一の特性情報分布と第二の特性情報分布からは物質濃度分布が取得される。物質濃度分布の取得には、位置ずれ量の分布が利用される場合もある。
位置ずれ量算出部730は、特性情報取得部720において算出された測定波長ごとの光の吸収率に関わる特性情報を用いて、測定波長間における位置ずれ量を算出する。
特性情報取得部720および位置ずれ量算出部730としては、CPUやGPU等のプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)チップ等の演算回路を使用できる。なお、1つのプロセッサや演算回路から構成されるだけでなく、複数のプロセッサや演算回路から構成されていてもよい。また、受信信号、生成された分布データ、表示画像データ、各種測定パラメーター等を記憶するメモリを備えていてもよい。メモリは、典型的には1つ以上のROM、RAM、およびハードディスクなどの記憶媒体から構成される。
(表示部800)
表示部800は、特性情報取得部720において算出された酸素飽和度等の物質の濃度に関する特性情報、および、位置ずれ量算出部730において算出された測定波長間の位置ずれ量分布を表示する。表示部800として、LCD(Liquid Crystal
Display)やCRT(Cathode Ray Tube)、有機ELディスプレイ等を使用できる。表示部800は、光音響装置と別々に提供されてもよい。また表示制御部850としては、情報処理装置や制御回路などを利用できる。あるいは、表示部に内蔵された制御回路を利用してもよい。
(水槽900)
水槽900は、音響整合材としての水910を保持可能な器である。探触子200に備えられた変換素子210を水910に浸たすことにより、被検体1100と変換素子210を音響的に整合させられる。また、水槽900が被検体1100と接する面は、光音響波を通しやすいように、光音響波の波長よりも薄いフィルムで構成されていることが好ましい。また、音響整合材や接触面は、照射光1000を吸収しにくい材料で構成されるこ
とが好ましい。音響整合材としては、水、超音波ジェルもしくは油等が好適である。また接触面の材料には、ポリエチレン、ウレタンゴム、PET等を採用できる。また、被検体1100と接触面の間にも、超音波ジェルや水などの音響整合材を設置するとよい。
(走査機構500)
走査機構500として、ステッピングモーターやサーボモーターによる自動ステージを使用できる。また、XYステージ、シャフト、スクリュー機構などの機械部品や、探触子や光照射部の位置検出機構および位置制御機構を組み合わせて構成できる。図1では、走査機構500は測定部1200を移動させて被検体1100上の測定点を走査する構成を示した。しかし、被検体1100上の測定点を走査しながら測定を行うことができれば、どのような構成でもよい。例えば、照射光1000は被検体1100に広い範囲で照射し、走査機構500は探触子200のみを移動させる構成でもよい。
逆に、探触子200には広範囲の光音響波を受信可能なもの(例えば、フォーカス範囲の広いシングルトランスデューサーやアレイ型トランスデューサー)を用いて、走査機構500は光照射部のみを移動させる構成でもよい。この場合、照射光1000は集光させることが好ましい。なお、探触子200を固定する場合、音響整合材が液体である必要はない。例えば、水槽900および水910の代わりに、ゲル部材(ポリウレタン系のゲルなど)を使用できる。
また、走査機構500が探触子210や光照射部400の角度を変えて走査することも可能である。さらに、走査機構500は、探触子200や光照射部400を直接走査せずに、被検体1100上の測定点を走査することも可能である。例えば、光音響波や照射光1000を反射するミラーを制御(角度変更または移動)することで、照射光1000の照射位置や光音響波の検出位置を走査できる。この場合でも、移動させる対象として、光照射位置、光音響波の検出位置、および、その両方のいずれでもよい。このようなミラーとして、ガルバノミラーやMEMSミラーが好適である。
(制御部600)
制御部600は各構成ブロックに必要な制御信号やデータを供給する。具体的には、光源100へ発光を指示する信号や、変換素子200の受信制御信号および走査機構500の制御信号を供給する。さらに、処理部600の信号増幅制御、AD変換タイミング制御、受信信号の記憶制御などを行う。制御部600についても、処理部700と同様にCPUやGPU等のプロセッサ、FPGAチップ等の回路を1つ又は複数組み合わせて構成できる。また、各種測定パラメーター等を記憶するメモリを備えていてもよい。メモリは、典型的には1つ以上のROM、RAM、およびハードディスクなどの記憶媒体から構成される。これらは処理部700と併用することも可能である。
(被検体1100)
被検体1100は本発明の光音響装置の一部を構成するものではないが、以下に説明する。本実施形態に係る光音響装置は、人や動物の血管疾患や悪性腫瘍などの診断や化学治療の経過観察などを主な目的とする。よって、被検体1100としては生体、具体的には人体や動物の乳房、頸部、腹部、顔、および皮膚などの診断の対象部位が想定される。生体は、呼吸や拍動などが原因で体動が起こるため、設置位置からのずれや変形が起こりやすい。ただし無生物の場合でも位置ずれや変形は起こり得る。なお、走査機構が被検体を移動させる場合があるが、これは本発明の位置ずれに該当しない。本発明における位置ずれとは、複数波長に由来する光音響信号から画像再構成をする場合に、被検体のターゲットが想定された位置から異動した状態を指す。
また、被検体1100の内部にある光吸収体1110としては、被検体1100の内部
で相対的に光吸収係数が高いものが好ましい。例えば、人体が測定対象であればオキシヘモグロビンあるいはデオキシヘモグロビンやそれらを多く含む血管、あるいは新生血管を多く含む悪性腫瘍が光吸収体1110の対象となる。その他、メラノーマや頸動脈壁のプラークなどもその対象となる。
(ハンドヘルド型)
また、本発明をハンドヘルド型の光音響装置にも適用できる。その場合、点線1300で囲まれた部材を、術者が把持可能な一つの筺体に格納すると良い。
((被検体情報取得方法))
本実施形態に係る光音響装置において、処理部700が測定データを収集し、被検体の特性情報および位置ずれ量を算出したのちに、表示部800に表示するフローの一例を、図2を用いて説明する。ここでは濃度に関する特性情報の例として酸素飽和度を取り上げるが、その他の特性情報も同様のフローで取得できる。本フローは、被検体が測定可能領域に設置され、装置の起動や暖機などの準備処理が完了した時点から開始される。
S101のステップにおいて、多波長光音響データおよび光量データが取得される。まず光照射部400が被検体に光を照射する。変換素子210は、光パルス毎に発生する光音響波を受信する。信号収集部710は、変換素子210から出力される時系列のアナログ受信信号をチャネル毎に収集し、各種の信号処理を行って保存する。また、信号収集部710は光検出器から出力されるパルスごとの光量信号を収集する。この際、広範囲の画像を得るために、走査機構500により、探触子200と光照射部400とを被検体に対して相対移動させて、複数の走査位置で光音響波を受信する。
上記の処理を複数の波長について行うことで、ステップS101が完了する。なお本フローでは、第一の波長での光音響データと光量データを取得したのち、第二の波長での測定を行う。しかし、走査機構500により探触子200が移動する最中に、交互に第一の波長と第二の波長による測定を行ってもよい。この場合でも、複数波長による測定中に体動が起こり得るので、本発明が効果を発揮する。また、光量に関しては、実際に測定する代わりに、予めメモリに格納された推定光量値を取得してもよい。推定光量値は、装置構成や光源制御値、被検体と光照射部の位置関係、被検体内でのターゲットボクセルの深さなどに基づいて算出できる。
S102のステップでは、特性情報取得部720は、S101で得られた光音響信号および光量信号を用いて解析により、被検体内の光吸収分布データを測定波長毎に算出する。すなわち特性情報取得部720は、画像再構成により光音響信号からした発生音圧を、光量信号に基づいて補正することで、各測定位置での光吸収分布データを取得する。
補正方法の一例を述べる。まず、特性情報取得部720は光量信号から被検体1100に照射された照射光1000の光量を算出する。この際、事前に測定してある、光量信号と照射光量との関係を用いて照射光量を算出する。光量信号と照射光量との関係テーブルもしくは関係式として持っておくことが好ましい。そして、特性情報取得部720は照射光量と被検体形状を基に、被検体内の光量分布データを算出する。この際、光輸送方程式や光拡散方程式を基に、有限要素法やモンテカルロ法を用いた計算ができる。また、照射光の照射分布を事前に測定しておくことで、より正確な光量分布データを取得できる。
その後、発生音圧分布データを光量分布データで除算することにより、被検体内の光吸収分布データあるいは被検体内の光吸収分布データに比例するデータを取得する。なお、光音響トモグラフィー装置において走査しながら測定する場合は、各走査位置において信号収集部710から出力される光音響信号および光量信号を用いて、各走査位置における
発生音圧分布データと光量分布データを算出する。その後、各走査位置情報を基に、各走査位置における発生音圧分布データを足し合わせた全発生音圧分布データを、各走査位置における光量分布データを足し合わせた全光量分布データで除算することにより、被検体内の光吸収分布データを取得できる。
一方、光音響装置が光音響顕微鏡である場合には、特性情報取得部720は、光音響信号収集部710から出力される光音響信号を時間変化に対して包絡線検波する。続いて、光パルス毎の信号における時間軸方向を奥行き方向に変換して、空間座標上にプロットする。これを測定位置(走査位置)毎に行うことにより、音圧分布データを取得する。
さらに、特性情報取得部720は信号収集部710から出力される光量信号を用いて、各測定位置での音圧分布データを補正し、被検体内の光吸収分布データを取得する。例えば、光検出器がフォトダイオードの場合は、各測定点においてフォトダイオードから出力される受信信号のピーク値をとる。そして、音圧分布データをピーク値で除算することにより、被検体内の光吸収分布データあるいはそれに比例したデータを取得する。
S103のステップでは、特性情報取得部720は、S102で求めた各波長の光吸収分布データを用いて血液の酸素飽和度分布(物質濃度分布)を求める。
一方、S104のステップでは、位置ずれ量算出部730が、S102で求めた測定波長ごとの光吸収分布データを用いて測定波長間における位置ずれ量を算出する。以下、位置ずれ量算出法の一例を記述する。S102において求めた2波長の光吸収分布データのうち、一方を基準画像とする。そして他方の波長の光吸収分布(変形画像と呼ぶ)を、基準画像に合うように変形位置合わせする。具体的には、光吸収分布のボリュームデータ内のランダムに抽出した点で、画像同士の相関を計算する。そして、相関が高くなるように画像を変形し最適化を行う。この際、正規化相互相関など、基準画像と変形画像の一致度を表すような指標を使用できる。
変形にはFreeFormDeformationなどの公知な方法を利用できる。なお、多段階的に変形位置合わせを行ってもよい。例えば、Affine変換により回転・拡大縮小・剪断および平行移動を行い大まかに位置合わせした後に、FreeFormDeformationを用いる。なお、本実施形態では位置ずれ補正に光吸収分布をそのままを用いたが、不要部を除去し、さらに、光吸収分布の対数画像にするなどの事前処理を行ってもよい。
このようにして変形位置合わせを行った変形画像において、ボリュームデータ内の各点が、変形位置合わせの前と後で移動した量を位置ずれ量とする。位置ずれ量としては、変形前後の各点の直線移動距離、ある特定方向(例えば、変換素子210の受信面に対して垂直方向)の移動量、各方向成分をもつベクトル量、などを利用できる。なお、3波長以上の測定においても、ある測定波長の光吸収分布を基準画像として同様の変形位置合わせが可能である。
S105のステップでは、S103で算出された酸素飽和度分布とS104で算出された測定波長間の位置ずれ量分布を、表示部800に表示する。両画像の表示方法は、図1のような横に並べた表示のほか、重畳表示、交互表示、文字や記号による注釈付き表示などでもよい。また、マウスやキーボード等の入力装置を用いた術者の指示に応じて、表示方法を変えてもよい。
位置ずれ量分布の表示法としては、図1に示したように位置ずれ量を直接表示する方法がある。直接表示法においては、位置ずれ量を明度、彩度、色相などに対応させることが
好ましい。これら全ての表示方法を兼用してもよい。また、図6(a)に示したように、位置ずれ量に関してある閾値を設けて、特性情報(810)と共に、位置ずれ量が閾値以上であるか以下であるかに応じて二値化して表示(820)しても良い。さらに、図6(b)に示したように、求めた位置ずれ量を元に、位置ずれによって生じる濃度に関する特性情報の誤差(820)を計算して、特性情報(810)と共に表示しても良い。
光音響顕微鏡の場合は、奥行き方向(変換素子210の受信面に対して垂直方向)の位置ずれ量分布を表示することが好ましい。これは、奥行き方向での位置ずれに伴う超音波のフォーカス位置のずれが、受信音圧を大きく変化させ、ひいては特性情報の誤差の増大を招くからである。
ステップS105までの光音響装置による処理が終了した後、術者はS105において表示された、酸素飽和度等の物質の濃度に関する特性情報および測定波長間の位置ずれ量分布を元に読影を行う。この際、位置ずれ量を信頼度の指標として酸素飽和度分布画像を読影するとよい。
<変形例>
本実施形態では、S104において測定波長ごとの光吸収分布データを用いて、測定波長間における位置ずれ量を算出した。しかし、その他の特性情報を用いてもよい。例えば、位置ずれ量算出部730が発生音圧分布データを用いて位置ずれ量を算出するときのフローを図3に示す。
S202において、特性情報取得部720が発生音圧分布データを算出する。S205において、位置ずれ量算出部730は発生音圧分布データを用いて位置ずれ量を算出する。位置ずれ量の算出手法は、光吸収分布データを用いた際と同様である。一方、S203〜S204では、複数の波長の光に由来する光吸収分布に基づき、酸素飽和度分布(物質濃度分布)が求められる。その他のステップについては図2と同様の処理を行う。
また、光吸収率に関する特性情報を用いずに、例えば、各波長における測定時にカメラ等により被検体1100を撮影し、カメラ画像に基づいて測定波長間の被検体の位置ずれを算出してもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、被検体の位置ずれに起因する特性情報の誤差に関する情報を提供できる。特に、位置ずれに起因する特性情報の信頼度に関する情報を、再構成画像と対比させて表示できるので、術者の読影に有益である。
<実施形態2>
(特性値画像と位置ずれ分布を重ねて表示)
本実施形態の光音響装置の構成は、実施形態1と同様である。以下、本実施形態の処理内容のうち、実施形態1と異なる部分を中心として、図4のフローを参照しつつ説明する。ステップS301〜S304の処理は、実施形態1のステップS101〜S104と同様である。
S305のステップで特性情報取得部720は、S303で得られた酸素飽和度分布の物質濃度分布、および、S304で得られた測定波長間の位置ずれ量分布を用いて、位置ずれ量分布を反映した、物質の濃度に関する特性情報を作成する。
例えば、位置ずれ量に関してある閾値を設けて、位置ずれ量が閾値以上の箇所に関しては物質の濃度に関する特性情報を0またはヌル(情報なし)とする。これにより、次のS306において、位置ずれが大きく特性情報の誤差が大きい箇所に関しては、物質の濃度
に関する特性情報は表示されない。したがって、誤差が小さく信頼度が高い位置の特性情報のみ表示される。位置ずれ量の閾値は光音響装置の解像度に応じて設定することが好ましい。例えば、解像度が50μmの光音響顕微鏡の場合は、閾値を50μmとすることが好ましい。
別の例として、物質の濃度に関する特性情報に対して、位置ずれ量分布に応じて重みづけを行う手法もある。例えば、物質の濃度に関する特性情報は色相データとし、位置ずれ量は明度データとして割り当てる。この際、位置ずれ量が小さいほど明度は高く、位置ずれ量が大きいほど明度が低くなるように明度データを作成する。これにより、次のS306において、位置ずれ量が小さい箇所、すなわち、値の誤差が小さく信頼度が高い箇所が強調される。
光音響顕微鏡の場合は、奥行き方向(変換素子210の受信面に対して垂直方向)の位置ずれ量分布を用いて、位置ずれ量分布を反映した物質の濃度に関する特性情報を作成することが好ましい。
S306のステップでは、S305において作成された、位置ずれ量分布を反映した特性情報が表示部800に表示される。例えば、図7(a)では、位置ずれ量が所定の閾値以下の箇所に関してのみ特性情報が表示されている。また、図7(b)では、位置ずれ量に応じて明度を調整し、濃度に関する特性情報データを色相データとして表示している。
以上説明したように、本実施形態によれば、位置ずれに起因する、酸素飽和度等の特性情報の定量値の誤差に関する情報を術者に与えられる。特に本実施形態では、画像の信頼度の指標が被検体内部の再構成画像に重畳表示され、部位ごとの信頼性が一覧で理解できる。
<実施形態3>
(位置ずれ補正後に酸素飽和度を算出)
本実施形態の光音響装置の構成は、上記各実施形態と同様である。以下、本実施形態の処理内容のうち、上記各実施形態と異なる部分を中心として、図5のフローを参照しつつ説明する。ステップS401〜S402の処理は、実施形態1のステップS101〜S102と同様である。
S403のステップでは、特性情報取得部720は、S402で求めた測定波長ごとの光吸収分布データの位置ずれに対して変形および位置合わせを行う。今後、この測定波長間の変形および位置合わせを、位置ずれ補正と呼ぶ。位置ずれ補正において、位置ずれを検出する際は、実施形態1で説明した、変形位置合わせの手法を使用できる。特性情報取得部720は、検出された位置ずれ量に基づいて、基準画像でない方の画像の画素の位置を修正する。
S404のステップでは、特性情報取得部720は、S403で求めた位置ずれ補正後の各波長の光吸収分布データを用いて、血液の酸素飽和度分布などの、物質濃度分布を求める。
S405のステップでは、位置ずれ量算出部730は、S402で求めた測定波長ごとの光吸収分布データを用いて、測定波長間における位置ずれ量を算出する。位置ずれ量の算出方法は実施形態1のステップS104と同様である。また、本実施形態においては、S403において測定波長間の位置ずれ補正を行うので、この位置ずれ補正前と位置ずれ補正後のデータを比較することにより位置ずれ量分布を求めてもよい。
S406のステップでは、酸素飽和度分布等の物質濃度分布を表示部800に表示する。なお本実施形態では位置ずれが補正済みであるため、表示を簡潔にするために、酸素飽和度分布のみを表示してもよい。ただし、参考のために位置ずれ量分布を表示してもよい。両画像の表示方法は、上述したような併置、重畳表示、交互表示など何れの方法でもよい。各表示方法は、ユーザによる操作により切り替えられるようにしてもよい。また、交互表示は、自動的に両画像を切り替えて表示させてもよいし、ユーザの操作により表示画像を切り替えられる構成としてもよい。また、実施形態2のように、位置ずれ量や酸素飽和度(特性情報値)を色彩等に反映させて表示してもよい。
ステップS406までの光音響装置による処理が終了した後に、術者が酸素飽和度分布画像を読影する。この際、位置ずれ量は補正済みであるため、術者は表示された画像を一覧するだけで精度の高い被検体内部情報を取得できる。また、酸素飽和度分布とともに位置ずれ量分布が表示されている場合、それを信頼度の指標とすることで診断の精度がさらに向上する。なお、本実施形態においても、位置ずれ量の算出や補正のために、各種の特性情報値やカメラ画像を利用してよい。
本実施形態では位置ずれ補正を行った後に、濃度に関する特性情報を計算しているため、位置ずれによる値の誤差は小さい。この効果は光音響トモグラフィーの場合に顕著である。一方、光音響顕微鏡の場合、奥行き方向(素子の指向軸方向)の位置ずれに伴う超音波フォーカス位置ずれが、受信音圧や特性情報値に敏感に反映される。そして、位置合わせを行った後に濃度に関する特性情報を計算した場合、位置のずれは補正できても音圧の絶対値の値までは補正できないため、位置ずれ量に応じて値の誤差が生じる。以上の理由により、本実施形態は光音響顕微鏡に特に好適である。
以上説明したように、本実施形態に係る光音響装置によれば、位置ずれに起因する、酸素飽和度等の特性情報の定量値の誤差に関する情報を提供できる。特に、位置ずれが補正済みの画像を提示できるので、術者にとって見やすく直感的に理解しやすい。
<実施形態4>
以下、第4の実施形態の処理フローの一例を、図8を用いて説明する。本実施形態では、光源100としてTi:saレーザーを用いる。レーザー光は光導波部300である光ファイバを用いて、被検体1100の表面に照射される。探触子200としては、変換素子210であるピエゾ素子を、半球状の支持体上に512個スパイラル状に配置したものを用いる。この半球状の支持体はX軸およびY軸に沿って移動するスキャナー(走査機構500)によりXY平面上で走査される。
また、本実施形態の信号収集器710は、512チャンネルの音響波検出素子からの全データを同時に受信し、増幅およびデジタル変換をした後に、特性情報取得部720であるコンピュータへ転送する機能を有する。信号収集器710のサンプリング周波数は20MHzであり、光照射のタイミングを受信開始タイミングとしている。
被検体1100は、生体を模擬した半球状のウレタンゴムからなるファントムである。ファントム内には、散乱体としての酸化チタンと、吸収体としての血液の吸収スペクトルを模擬した2種類のインクと、が混ぜられている。また、ファントム内の中心には直径0.5mmの球状の黒色ゴムが、光吸収体1110として埋め込まれている。ファントムのサイズは直径80mmである。また、ファントムは透明なプラスチックカップ(保持部材)で固定され、音響マッチング部材である水を介して探触子200と接触している。
S801のステップでは、半球型探触子を円周状あるいは螺旋状の軌道に沿って走査しながら、2台のTi:saレーザーを用いて、ファントムに波長756nmと797nm
のパルス光を10Hzで交互に照射する。そして、探触子200が各測定位置での光音響信号を取得する。また、実施形態1と同様に、各測定位置での光量データを取得する。なお、走査機構の精度により、指定した測定位置に対して±200μm程度誤差が生じ得る。次に、S802のステップでは、特性情報取得部720が、実施形態1と同様な方法で、波長ごとに各測定位置の光吸収分布を算出する。
S803のステップでは、位置ずれ量取得部730が波長間の位置ずれ量を算出する。ここでは、各測定位置で波長ごとに算出された光吸収分布において、波長797nmで測定された光吸収分布を基準画像として設定する。そして、基準画像と波長756nmの光吸収分布データの相関値が最大になる移動量を、ずれ量として定義する。これにより、各測定位置でのX,Y,Z方向のずれ量(あるいはずれベクトル)が算出される。
なお、この記述は、走査機構500が探触子の停止と移動を繰り返し、停止位置ごとに各波長での光音響測定が行われる、ステップアンドリピート方式の場合に該当する。しかし本実施形態は、適切な補間計算を行うことにより、探触子が連続的に移動しながら光音響測定を行うような場合にも適用できる。
S804では、特性情報取得部720が、S803で算出したずれ量を元に、波長756nmの光吸収分布データをX,Y,Z方向にずらし、ずれ量を補正する。そして、基準画像と、ずれ量補正済みの波長756nmの光吸収分布データから、酸素飽和度分布画像を算出する。これにより、位置ずれ量分布を反映した酸素飽和度分布画像が作成される。
S805のステップでは、作成された酸素飽和度分布画像を表示部800に表示する。表示方法は上記各実施形態と同様でよい。これにより、術者による読影の際に、ずれ量が補正された高精度な酸素飽和度分布画像が表示される。なお、位置ずれ量算出部730で算出された測定波長間の位置ずれ量分布(ベクトル)を、信頼度に関する情報として、酸素飽和度とともに表示してもよい。
以上述べたように、本発明により、被検体の位置ずれに起因する、酸素飽和度等の特性情報の定量値の誤差に関する情報を術者に与えることが可能となる。術者はこれらの情報を画像の信頼度の指標として用いて読影を行う事が出来るので、より正確な診断につながる。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明は上記特定の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で実施形態の修正をすることができる。
<その他の実施形態>
記憶装置に記録されたプログラムを読み込み実行することで前述した実施形態の機能を実現するシステムや装置のコンピュータ(又はCPU、MPU等のデバイス)によっても、本発明を実施することができる。また、例えば、記憶装置に記録されたプログラムを読み込み実行することで前述した実施形態の機能を実現するシステムや装置のコンピュータによって実行されるステップからなる方法によっても、本発明を実施することができる。この目的のために、上記プログラムは、例えば、ネットワークを通じて、又は、上記記憶装置となり得る様々なタイプの記録媒体(つまり、非一時的にデータを保持するコンピュータ読取可能な記録媒体)から、上記コンピュータに提供される。したがって、上記コンピュータ(CPU、MPU等のデバイスを含む)、上記方法、上記プログラム(プログラムコード、プログラムプロダクトを含む)、上記プログラムを非一時的に保持するコンピュータ読取可能な記録媒体は、いずれも本発明の範疇に含まれる。
100:光源、210:変換素子、720:特性情報取得部、730:位置ずれ量取得部、800:表示部、850:表示制御部
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
第一の波長の光と第二の波長の光を発生させる光源と、
前記第一の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第一の受信信号を出力し、前記第二の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第二の受信信号を出力する変換素子と、
前記第一の受信信号に基づいて第一の特性情報分布を取得し、前記第二の受信信号に基づいて第二の特性情報分布を取得し、前記第一の特性情報分布および第二の特性情報分布に基づいて前記被検体内部の物質濃度分布を取得する特性情報取得部と、
前記第一の波長の光の照射と前記第二の波長の光の照射の間における、前記第一の特性情報分布と前記第二の特性情報分布の間の位置ずれ量分布を取得する位置ずれ量取得部と、
前記物質濃度分布を表す画像と、前記位置ずれ量分布を表す画像を表示部に表示させる表示制御部と、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置である。
また、本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
第一の波長の光と第二の波長の光を発生させる光源と、
前記第一の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第一の受信信号を出力し、前記第二の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第二の受信信号を出力する変換素子と、
前記第一の受信信号に基づいて第一の特性情報分布を取得し、前記第二の受信信号に基づいて第二の特性情報分布を取得し、前記第一の特性情報分布および第二の特性情報分布に基づいて前記被検体内部の物質濃度分布を取得する特性情報取得部と、
前記第一の波長の光の照射と前記第二の波長の光の照射の間における、前記第一の特性情報分布と前記第二の特性情報分布の間の位置ずれ量分布を取得する位置ずれ量取得部と、
前記特性情報取得部で取得された前記物質濃度分布に前記位置ずれ量分布を反映した画像を表示部に表示させる表示制御部と、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置である。

本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、
光源と、変換素子と、特性情報取得部と、位置ずれ量取得部と、表示制御部と、を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、
前記光源が、第一の波長の光と第二の波長の光を発生させるステップと、
前記変換素子が、前記第一の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第一の受信信号を出力し、前記第二の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第二の受信信号を出力するステップと、
前記特性情報取得部が、前記第一の受信信号に基づいて第一の特性情報分布を取得し、前記第二の受信信号に基づいて第二の特性情報分布を取得し、前記第一の特性情報分布および第二の特性情報分布に基づいて前記被検体内部の物質濃度分布を取得するステップと
記位置ずれ量取得部が、前記第一の波長の光の照射と前記第二の波長の光の照射の間における、前記第一の特性情報分布と前記第二の特性情報分布の間の位置ずれ量分布を取得するステップと、
前記表示制御部が、前記物質濃度分布を表す画像と、前記位置ずれ量分布を表す画像を表示部に表示させるステップと、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置の制御方法である。
また、本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
光源と、変換素子と、特性情報取得部と、位置ずれ量取得部と、表示制御部と、を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、
前記光源が、第一の波長の光と第二の波長の光を発生させるステップと、
前記変換素子が、前記第一の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第一の受信信号を出力し、前記第二の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第二の受信信号を出力するステップと、
前記特性情報取得部が、前記第一の受信信号に基づいて第一の特性情報分布を取得し、前記第二の受信信号に基づいて第二の特性情報分布を取得し、前記第一の特性情報分布および第二の特性情報分布に基づいて前記被検体内部の物質濃度分布を取得するステップと、
前記位置ずれ量取得部が、前記第一の波長の光の照射と前記第二の波長の光の照射の間における、前記第一の特性情報分布と前記第二の特性情報分布の間の位置ずれ量分布を取得するステップと、
前記表示制御部が、前記特性情報取得部で取得された前記物質濃度分布に前記位置ずれ量分布を反映した画像を表示部に表示させるステップと、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置の制御方法である。

Claims (17)

  1. 第一の波長の光と第二の波長の光を発生させる光源と、
    前記第一の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第一の受信信号を出力し、前記第二の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第二の受信信号を出力する変換素子と、
    前記第一の受信信号に基づいて第一の特性情報分布を取得し、前記第二の受信信号に基づいて第二の特性情報分布を取得し、前記第一および第二の特性情報分布に基づいて前記被検体内部の物質濃度分布を取得する特性情報取得部と、
    前記第一の特性情報分布と前記第二の特性情報分布の間の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得部と、
    前記物質濃度分布と、前記位置ずれ量と、に基づく画像を表示部に出力する表示制御部と、
    を有することを特徴とする被検体情報取得装置。
  2. 前記位置ずれ量取得部は、前記第一の波長の光の照射と前記第二の波長の光の照射の間における、前記被検体と前記変換素子の相対的な位置関係の変化に基づいて、前記位置ずれ量を取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
  3. 前記位置ずれ量取得部は、前記第一の波長の光の照射と前記第二の波長の光の照射の間における前記被検体の体動による前記位置ずれ量を取得する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の被検体情報取得装置。
  4. 前記位置ずれ量取得部は、前記第一の波長の光の照射と前記第二の波長の光の照射の間における前記被検体の変形による前記位置ずれ量を取得する
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  5. 前記表示制御部は、前記物質濃度分布を表す画像と、前記位置ずれ量の分布を表す画像を、前記表示部に並べて表示させる
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  6. 前記表示制御部は、前記物質濃度分布を表す画像と、前記位置ずれ量の分布を表す画像を、前記表示部に重ねて表示させる
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  7. 前記表示制御部は、前記位置ずれ量の分布を、明度、彩度および色相の少なくともいずれかに対応させた画像を前記表示部に表示させる
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の被検体情報取得装置。
  8. 前記位置ずれ量取得部は、二値化された前記位置ずれ量の分布を取得する
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の被検体情報取得装置。
  9. 前記位置ずれ量取得部は、前記位置ずれ量の分布に基づき、前記位置ずれによって生じる前記物質濃度分布における誤差を取得する
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の被検体情報取得装置。
  10. 前記特性情報取得部は、前記位置ずれ量に基づいて補正された前記物質濃度分布を取得する
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  11. 前記特性情報取得部は、前記位置ずれ量に基づいて、前記第二の特性情報分布を前記第一の特性情報分布に合わせて変形させ、当該変形させた第二の特性情報分布と前記第一の特性情報分布を用いて、前記物質濃度分布を取得する
    ことを特徴とする請求項10に記載の被検体情報取得装置。
  12. 前記表示制御部は、前記物質濃度分布において前記位置ずれ量が所定の閾値以下の部分のみ、前記表示部に表示させる
    ことを特徴とする請求項11に記載の被検体情報取得装置。
  13. 前記表示制御部は、前記位置ずれ量の分布に基づいて重みづけをした前記物質濃度分布を前記表示部に表示させる
    ことを特徴とする請求項11に記載の被検体情報取得装置。
  14. 前記位置ずれ量取得部は、前記第一の特性情報分布および前記第二の特性情報分布の相関に基づいて前記位置ずれ量を取得する
    ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  15. 前記位置ずれ量取得部は、カメラ画像に基づいて前記位置ずれ量を取得する
    ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  16. 前記特性情報取得部は、前記物質濃度分布として酸素飽和度分布を取得する
    ことを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  17. 光源と、変換素子と、特性情報取得部と、位置ずれ量取得部と、表示制御部と、を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、
    前記光源が、第一の波長の光と第二の波長の光を発生させるステップと、
    前記変換素子が、前記第一の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第一の受信信号を出力し、前記第二の波長の光が被検体に照射されて発生する音響波を受信して第二の受信信号を出力するステップと、
    前記特性情報取得部が、前記第一の受信信号に基づいて第一の特性情報分布を取得し、前記第二の受信信号に基づいて第二の特性情報分布を取得し、前記第一および第二の特性情報分布に基づいて前記被検体内部の物質濃度分布を取得するステップと、
    前記位置ずれ量取得部が、前記第一の特性情報分布と前記第二の特性情報分布の間の位置ずれ量を取得するステップと、
    前記表示制御部が、前記物質濃度分布と、前記位置ずれ量と、に基づく画像を表示部に出力するステップと、
    を有することを特徴とする被検体情報取得装置の制御方法。
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