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JP2020029113A - 自動車部材及びその製造方法 - Google Patents

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JP2020029113A
JP2020029113A JP2018154293A JP2018154293A JP2020029113A JP 2020029113 A JP2020029113 A JP 2020029113A JP 2018154293 A JP2018154293 A JP 2018154293A JP 2018154293 A JP2018154293 A JP 2018154293A JP 2020029113 A JP2020029113 A JP 2020029113A
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明弘 廣瀬
Akihiro Hirose
明弘 廣瀬
一仁 冨木
Kazuhito Tomiki
一仁 冨木
佐々木 浩
Hiroshi Sasaki
浩 佐々木
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Toyota Motor Corp
Toyoda Gosei Co Ltd
Toyota Motor Kyushu Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyoda Gosei Co Ltd
Toyota Motor Kyushu Inc
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Abstract

【課題】必要な箇所にのみ接着剤が付着した自動車部材を製造できる技術を提供すること。【解決手段】アウター部材1と、アウター部材に対して所定の組み付け方向に向けて組み付けられたインナー部材2とが接着剤3により固着一体化された自動車部材であって、アウター部材は、アウター側接着予定部15と、アウター側接着予定部よりも組み付け方向の先側にある突起状のスペーサーリブ11と、を有し、インナー部材は、アウター部材とインナー部材との組み付け完了時においてアウター側接着予定部に対面するインナー側接着予定部25と、インナー側接着予定部よりも組み付け方向の先側にあり組み付け完了時においてスペーサーリブを収容する凹部21と、凹部よりも組み付け方向の先側にありアウター部材とインナー部材との組み付け途中においてスペーサーリブに対面する当て部22と、を有する自動車部材。【選択図】図2

Description

本発明は、アウター部材とインナー部材とが組み付けられ接着剤により固着一体化された自動車部材、及び、当該自動車部材を製造する方法に関する。
アウター部材とインナー部材とが組み付けられ一体化された自動車部材として、例えば、リヤスポイラーやバックドアガーニッシュ等が知られている。これらの自動車部材は、別々に成形したアウター部材とインナー部材とを組み付けて一体化することで、内部に中空部を設けたり、内部に他部材を配設したりすることができる。アウター部材とインナー部材とを固着する方法として、種々の方法が挙げられる。例えば特許文献1には、樹脂製のアウター部材及びインナー部材を、振動溶着によって固着一体化する技術が紹介されている。
ところで、アウター部材及びインナー部材を振動溶着する場合、振動溶着時の振動の幅を見込んで、アウター部材とインナー部材との接合部は比較的大きな面積にする必要がある。しかし、自動車部材の内部に配設する他部材の形状や、その個数等によっては、アウター部材及びインナー部材に振動溶着用の大きな接合部を確保し難い場合がある。
アウター部材とインナー部材とを接着剤により接着して一体化すれば、上記したような大面積の接合部は必要でなくなるため、自動車部材の設計の自由度が向上すると考えられる。
自動車部材をインナー部材とアウター部材とで構成し、両者を接着するためには、インナー部材又はアウター部材の接合部に予め接着剤を塗布しておき、インナー部材とアウター部材とを組み付ければ良いと考えられる。
ところで、例えばリヤスポイラーやバックドアガーニッシュ等、自動車部材のなかには複雑な立体形状を有するものが多い。また、自動車部材には、接着剤の付着を避けるべき部分もある。このため、アウター部材及びインナー部材の組み付け作業は、所定の組み付け方向で精密に位置決めしつつ行う必要がある。例えば、図7に示すように、アウター部材101に接着剤103の付着を避けるべき非接着部119がある場合、インナー部材102の接合部125に塗布した接着剤103が非接着部119に付着することを回避するために、アウター部材101に対するインナー部材の組み付け方向は、図7中白抜き矢印で示す方向に定められる。
しかし、アウター部材101とインナー部材102の形状にバラツキがある場合、例えば図8に示すようにアウター部材101における組み付け方向の後側端部117とインナー部材102との距離が近い場合、たとえインナー部材102をアウター部材101に対して正しい方向に組み付けたとしても、インナー部材102の接合部125に塗布した接着剤103がアウター部材101の非接着部119に付着する場合がある。自動車部材は大型のものが多く、また、軽量化のために自動車部材の材料として樹脂材料を用いる場合も多いところ、樹脂製のアウター部材101及びインナー部材102には形状のバラツキが生じ易く、特に、大型の自動車部材では形状のバラツキが大きくなり易い。そうすると、アウター部材101とインナー部材102とが接着剤103により固着一体化された自動車部材においては、不要な箇所にまで接着剤103が付着する不具合が生じ易いといえる。
このため、アウター部材とインナー部材とが接着剤により固着一体化され、かつ、必要のない箇所への接着剤の付着が抑制された自動車部材を製造する技術が望まれている。
特開2014−12471号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、必要のない箇所への接着剤の付着が抑制された自動車部材を製造する技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の自動車部材は、
アウター部材と、前記アウター部材に対して所定の組み付け方向に向けて組み付けられたインナー部材とが接着剤により固着一体化された自動車部材であって、
前記アウター部材は、アウター側接着予定部と、前記アウター側接着予定部よりも前記組み付け方向の先側にある突起状のスペーサーリブと、を有し、
前記インナー部材は、前記アウター部材と前記インナー部材との組み付け完了時において前記アウター側接着予定部に対面するインナー側接着予定部と、前記インナー側接着予定部よりも前記組み付け方向の先側にあり前記組み付け完了時において前記スペーサーリブを収容する凹部と、前記凹部よりも前記組み付け方向の先側にあり前記アウター部材とインナー部材との組み付け途中において前記スペーサーリブに対面する当て部と、を有するものである。
また、上記課題を解決する本発明の自動車部材の製造方法は、
アウター部材と、前記アウター部材に対して所定の組み付け方向に向けて組み付けられたインナー部材とが接着剤により固着一体化された自動車部材を製造する方法であって、
前記アウター部材に、アウター側接着予定部と、前記アウター側接着予定部よりも前記組み付け方向の先側にある突起状のスペーサーリブと、を設け、
前記インナー部材に、前記アウター部材と前記インナー部材との組み付け完了時において前記アウター側接着予定部に対面するインナー側接着予定部と、前記インナー側接着予定部よりも前記組み付け方向の先側にあり前記組み付け完了時において前記スペーサーリブを収容する凹部と、前記凹部よりも前記組み付け方向の先側にあり前記アウター部材とインナー部材との組み付け途中において前記スペーサーリブに対面する当て部と、を設け、
前記アウター部材と前記インナー部材との組み付け前に、前記インナー側接着予定部に前記接着剤を塗布し、
前記アウター部材と前記インナー部材との組み付け途中において、前記スペーサーリブと前記当て部とを互いに押しつけて、前記アウター部材のうち前記スペーサーリブよりも前記組み付け方向の後側の部分と、前記インナー部材のうち前記当て部よりも前記組み付け方向の後側の部分と、の距離を広げる、自動車部材の製造方法である。
本発明の自動車部材及びその製造方法によると、必要な箇所にだけ接着剤が付着した自動車部材を得ることが可能である。
実施例の自動車部材におけるアウター部材及びインナー部材を模式的に表す分解斜視図である。 実施例の自動車部材の製造方法を模式的に表す説明図である。 実施例の自動車部材の製造方法を模式的に表す説明図である。 実施例の自動車部材におけるアウター部材及びインナー部材の形状を説明する説明図である。 実施例の自動車部材におけるアウター部材の第1スペーサーリブを模式的に表す説明図である。 実施例の自動車部材におけるアウター部材の第2スペーサーリブを模式的に表す説明図である。 従来の自動車部材の製造時において、アウター部材とインナー部材とを組み付けている様子を模式的に表す説明図である。 従来の自動車部材の製造時において、アウター部材とインナー部材とを組み付けている様子を模式的に表す説明図である。
以下、必要に応じて、本発明の自動車部材の製造方法を、単に本発明の製造方法と称する場合がある。
本発明の自動車部材は、既述したように、リヤスポイラーやバックドアガーニッシュ等として具現化できるが、これに限定されない。本発明の自動車部材は、例えば、自動車の外装部材であっても良いし、内装部材であっても良い。
本発明の自動車部材はアウター部材、インナー部材及び接着剤で構成される。このうちアウター部材は、自動車部材の外側に露出し、ユーザーに視認される部材である。一方、インナー部材は自動車の車体に近い側の部材であり、ユーザーに視認され難い部材といえる。
既述したように、本発明の自動車部材はアウター部材、インナー部材及び接着剤で構成されるが、その他の部材を具備しても良い。当該その他の部材としては、本発明の自動車部材を車体に取り付けるためのクリップ、ボルト、ナット等の取り付け部材や、デジタル放送の電波やGPS用の電波等を受信するためのフィルムアンテナ等が例示される。
アウター部材及びインナー部材は、適宜適切な大きさ及び形状にすれば良く、その材料もまた特に限定しない。後述するように、本発明の自動車部材によると不要な箇所への接着剤の付着を抑制できるため、本発明の自動車部材は、形状のバラツキの大きな成形品、例えば大型の樹脂成形品として好ましく用いられる。
以下、具体例を挙げて本発明の自動車部材及びその製造方法を説明する。
(実施例)
実施例の自動車部材は、本発明の自動車部材を自動車のリヤスポイラーとして具現化したものである。図1は実施例の自動車部材におけるアウター部材及びインナー部材を模式的に表す分解斜視図である。図2及び図3は実施例の自動車部材の製造方法を模式的に表す説明図である。詳しくは、図2は組み付け途中におけるアウター部材及びインナー部材を示し、図3は組み付け完了時におけるアウター部材及びインナー部材を示す。図4は、実施例の自動車部材におけるアウター部材及びインナー部材の形状を説明する説明図である。図5は、実施例の自動車部材におけるアウター部材の第1スペーサーリブを模式的に表す説明図である。図6は、実施例の自動車部材におけるアウター部材の第2スペーサーリブを模式的に表す説明図である。
実施例の自動車部材は、図1に示す樹脂製のアウター部材1及び樹脂製のインナー部材2が、図2に示すように接着剤3により固着一体化されたものである。インナー部材2は、アウター部材1に対して図1〜図4に白抜き矢印で示す方向に組み付けられる。以下、必要に応じて、アウター部材1に対するインナー部材2の組み付け方向を、単に、組み付け方向と称する場合がある。また、以下、長手方向とは実施例の自動車部材の長手方向を意味し、幅方向とは当該長手方向に直交する方向を意味する。
図1に示すように、アウター部材1は、アウター本体部10及びスペーサーリブ11を有する。
アウター本体部10は、長手方向に延びる長尺の板状をなす。アウター本体部10の表側面10fは意匠面であり、スペーサーリブ11はアウター本体部10の裏側面10bに合計3つ設けられている。詳しくは、3つのスペーサーリブ11は長手方向に沿って互いに離れて配列し、アウター本体部10の裏側面10bから更に裏側に向けて突起する。3つのスペーサーリブ11は、1つの第1スペーサーリブ12と、2つの第2スペーサーリブ13とで構成されており、第1スペーサーリブ12は2つの第2スペーサーリブ13の間に配置されている。
図5に示すように、第1スペーサーリブ12には第1支持脚部14が一体化されている。第1スペーサーリブ12は、裏側に突起し長手方向に延びる矩形の板状をなす。第1支持脚部14は、当該第1スペーサーリブ12と同様に裏側に突起し、第1スペーサーリブ12の長手方向の一端部に一体化され、幅方向に延びる矩形の板状をなす。したがって第1スペーサーリブ12と第1支持脚部14との複合体は、全体として、略L字の立壁状をなす。
図6に示すように、第2スペーサーリブ13には2つの第2支持脚部16が一体化されている。第2スペーサーリブ13は、裏側に突起し長手方向に延びる矩形の板状をなす。第2支持脚部16は、当該第2スペーサーリブ13と同様に裏側に突起し、第2スペーサーリブ13の長手方向の両端部に各々一体化され、幅方向に延びる三角形の板状をなす。第2スペーサーリブ13と2つの第2支持脚部16との複合体は、全体として、略H字の立壁状をなす。
インナー部材2は、図1に示すインナー本体部20及び凹部21、並びに、図2に示す当て部22を有する。
図1に示すように、インナー本体部20は、長手方向に延びる長尺の板状をなす。凹部21はインナー本体部20を表側−裏側方向に貫通する開口状をなす。詳しくは、3つの凹部21は長手方向に沿って互いに離れて配列し、各々、スペーサーリブ11に対応する位置に配置されている。
図2に示すように、当て部22は、インナー部材2の表側面20fから更に表側に突起するリブ形状を有する。当て部22は各凹部21の近傍に各々設けられ、対応する凹部21よりも組み付け方向の先側に配置される。当て部22は幅方向に延びる立壁状をなす。当て部22における組み付け方向の先側の部分22fは、丸みを帯びた、角のない形状である。
インナー本体部20の表側面20fのうち、凹部21よりも組み付け方向の後側の部分をインナー側接着予定部25という。インナー側接着予定部25は、後述する組み付け完了時において、アウター本体部10における裏側面10bの一部に対面する。アウター本体部10における裏側面10bの当該一部を、アウター側接着予定部15という。
以下、実施例の自動車部材の製造方法を説明する。
先ず、インナー部材2のインナー側接着予定部25に接着剤3を塗布する。そして、インナー部材2の表側面20fをアウター部材1の裏側面10bに向け、インナー部材2を組み付け方向に動かす。このとき、インナー部材2はアウター部材1に近づけられる。
接着剤3は、インナー部材2のインナー側接着予定部25、つまり、インナー部材2におけるアウター部材1側の面に塗布されているため、インナー部材2がアウター部材1に近づくと、接着剤3がアウター部材1に近づく。このため、例えば成形のバラツキにより、アウター部材1のうち組み付け方向の後側の端部(必要に応じて後側端部17と称する)が裏側に向けてやや反った形状となっている場合には、インナー部材2のインナー側接着予定部25に塗布されている接着剤3が、アウター部材1の後側端部17に付着する虞がある。当該後側端部17が非接着部19であれば、非接着部19に接着剤3が付着することで、自動車部材の商品価値が損なわれる。
しかし実施例の自動車部材およびその製造方法では、図2に示すように、組み付け途中において、アウター部材1のスペーサーリブ11がインナー部材2の当て部22に対面する。このため、アウター部材1の後側端部17が裏側に向けてやや反った形状となっている場合には、組み付け途中において、アウター部材1のスペーサーリブ11とインナー部材2の当て部22とが互いに押しつけられ、アウター部材1及びインナー部材2には、互いに離れる方向の力が作用する。このため、アウター部材1のうちスペーサーリブ11よりも組み付け方向の後側の部分と、インナー部材2のうち当て部22よりも組み付け方向の後側の部分と、の距離が広げられ、インナー部材2のインナー側接着予定部25に塗布されている接着剤3は、アウター部材1の後側端部17に付着しない。したがって、当該後側端部17が非接着部19であっても、非接着部19への接着剤3の付着を抑制できる。
換言すると、組み付け途中において、スペーサーリブ11は、アウター部材1の裏側面10bとインナー部材2の表側面20fとの距離を離すためのスペーサーとして機能し、アウター部材1の裏側面10bとインナー部材2の表側面20fとの間には、当該スペーサーリブ11の突起高さ分だけの隙間が確保される。
図2に示す組み付け途中にあるインナー部材2を、更に組み付け方向に動かすと、図3に示すように、スペーサーリブ11が相対的に当て部22を乗り越え、当て部22よりも組み付け方向の後側にある凹部21に収容される。すると、スペーサーリブ11よりも組み付け方向の後側にあるアウター側接着予定部15が、インナー部材2のインナー側接着予定部25と対面する。
なおこのとき、スペーサーリブ11が当て部22を乗り越えて凹部21に収容されることで、スペーサーリブ11のスペーサーとして機能がなくなり、インナー側接着予定部25とアウター側接着予定部15との距離は近くなっている。したがって、図3に示す組み付け完了時には、インナー側接着予定部25に塗布された接着剤3とアウター側接着予定部15とが接触し、インナー側接着予定部25とアウター側接着予定部15とが接着剤3によって接着される。つまりこのとき、アウター部材1とインナー部材2とは接着剤3により固着一体化される。
既述したように、組み付け途中においては、スペーサーリブ11によってアウター部材1の裏側面10bとインナー部材2の表側面20fとの間に隙間が確保されるため、インナー側接着予定部25に塗布された接着剤3は、アウター部材1のうちアウター側接着予定部15以外の部分には付着し難い。このため、実施例の製造方法によると、必要のない箇所への接着剤3の付着が抑制された実施例の自動車部材を製造できる。
換言すると、実施例の製造方法では、アウター部材1のうちアウター側接着予定部15以外の部分は、組み付け途中においても組み付け完了時においても、インナー側接着予定部25と当接しない。このため、インナー側接着予定部25に塗布された接着剤3もまた、アウター部材1のアウター側接着予定部15以外の部分には接触し難い。したがって、実施例の製造方法によると、必要のない箇所への接着剤3の付着が抑制された実施例の自動車部材を製造できる。
なお、アウター側接着予定部15は、少なくとも組み付け完了時において、インナー側接着予定部25に塗布された接着剤3に接触する。場合によっては、アウター側接着予定部15は、組み付け途中においても、インナー側接着予定部25に塗布された接着剤3に接触しても良い。
必要な箇所にのみ接着剤3が付着した自動車部材を製造するためには、アウター部材1におけるアウター側接着予定部15以外の部分と、インナー側接着予定部25と、の組み付け途中における接触を抑制することが肝要である。アウター部材1におけるアウター側接着予定部15以外の部分と、インナー側接着予定部25と、の組み付け途中における接触を抑制するためには、スペーサーリブ11の突起高さを充分な高さとする必要がある。例えば、当て部22からの荷重を受けたスペーサーリブ11が過度に変形したり座屈したりすると、スペーサーリブ11の突起高さが上記した充分な高さを下回る場合がある。スペーサーリブ11の過度な変形等を抑制するためには、スペーサーリブ11の強度を高めるのが好ましい。
実施例の自動車部材およびその製造方法では、アウター部材1に、スペーサーリブ11の補強構造を設けている。この補強構造によって、スペーサーリブ11の強度が高められ、スペーサーリブ11の過度な変形や座屈が抑制される。具体的には、第1スペーサーリブ12は第1支持脚部14により補強され、第2スペーサーリブ13は第2支持脚部16により補強されるため、第1スペーサーリブ12及び第2スペーサーリブ13は、組み付け途中に作用する荷重に抗し得る。このため、実施例の製造方法では、組み付け途中におけるスペーサーリブ11の突起高さが充分な高さに保たれ、アウター側接着予定部15以外の部分とインナー側接着予定部25との組み付け途中における接触がより一層抑制され、ひいては、必要な箇所にのみ接着剤3が付着した実施例の自動車部材を信頼性高く製造することが可能である。
組み付け途中におけるスペーサーリブ11の過度な変形等を抑制するためには、スペーサーリブ11を、組み付け方向に作用する力に抗し得る形状にすることも有効である。具体的には、図4に示すように、組み付け方向に対するスペーサーリブ11の突起方向の角度θ1を、90°以上180°以下の範囲とするのが効果的である。
なお、本明細書でいう組み付け方向とは、組み付け時におけるアウター部材1に対するインナー部材2の相対的な移動方向を意味する。つまり、実施例では固定したアウター部材1に対してインナー部材2を動かすことでアウター部材1とインナー部材2とを組み付けたが、固定したインナー部材2に対してアウター部材1を動かすことでアウター部材1とインナー部材2とを組み付けても良い。この場合にも、アウター部材1に対してインナー部材2が動く相対的な方向は同じ方向である。
本発明の製造方法は、当該組み付け方向が所定の範囲にある時に特に有効である。具体的には、図4に示される、アウター部材1の裏側面10bに対する組み付け方向の角度θ2が、20°以上45°以下の範囲内にある時に、本発明の製造方法は特に効果的である。
実施例の自動車部材におけるアウター部材1とインナー部材2とは接着剤3のみで固着一体化されたが、本発明の自動車部材は、接着剤3に加えて、アウター部材1とインナー部材2とを固着するためのその他の固着要素を具備し得る。例えば、実施例の自動車部材では、アウター部材1のスペーサーリブ11はインナー部材2の凹部21に収容されているだけだが、当該スペーサーリブ11と凹部21の周縁部21p(図3参照)とを係合させても良い。この場合には、アウター部材1とインナー部材2との組み付けに要する工数を実質的に増やすことなく、アウター部材1とインナー部材2とをより強固に一体化できる利点がある。
スペーサーリブ11と凹部21の周縁部21pとを係合させる方法としては、例えば、スペーサーリブ11の先端に爪状や鉤状等の突起を設ける方法が挙げられる。組み付け完了時、スペーサーリブ11が凹部21に収容された際に、当該突起がインナー部材2の裏側面20bの更に裏側に露出して凹部21の周縁部21pと係合すれば、アウター部材1とインナー部材2との組み付けに要する工数は実施例の製造方法と変わらず、アウター部材1とインナー部材2とをより強固に一体化できる。
実施例の自動車部材におけるアウター部材1のスペーサーリブ11とインナー部材2の当て部22とは、組み付け途中において互いに押しつけられたが、本発明の自動車部材におけるスペーサーリブ11及び当て部22は、組み付け途中において互いに接触しなくても良い。例えば、設計上、スペーサーリブ11の突起高さを、組み付け途中において当て部22から僅かに離れるような高さとしても良い。このような場合にも、成形のバラツキ等により、インナー側接着予定部25とアウター部材1とが過度に接近する場合には、スペーサーリブ11と当て部22とが当接し、インナー側接着予定部25に塗布した接着剤3のアウター部材1への付着を抑制できる。
なお、本発明の自動車部材において、スペーサーリブ11と当て部22との距離は、組み付け途中において、0mm以上3mm以下であるのが好ましい。
本発明の自動車部材において、表側−裏側方向におけるスペーサーリブ11の高さは、3mm以上であるのが好ましい。表側−裏側方向におけるスペーサーリブ11の高さに特に上限はないが、5mm以下とするのが実用的である。
本発明の自動車部材において、当て部22がリブ状である場合、表側−裏側方向における当て部22の高さは、3mm以上であるのが好ましい。表側−裏側方向における当て部22の高さに特に上限はないが、5mm以下とするのが実用的である。
本発明の自動車部材において、当て部22はリブ状でなくても良いが、表側−裏側方向におけるスペーサーリブ11の高さと当て部22の高さとの和は、6mm以上であるのが好ましい。表側−裏側方向におけるスペーサーリブ11の高さと当て部22の高さとの和に特に上限はないが、10mm以下とするのが実用的である。
実施例の自動車部材における当て部22はリブ形状であるが、本発明の自動車部材における当て部22はこれに限定されず、単にインナー本体部20の表側面20fの一部であっても良い。但し、当て部22をリブ形状とする場合には、当て部22とスペーサーリブ11との接触面積を小さくでき、当て部22によりスペーサーリブ11に比較的大きな荷重を作用させることができる。この場合には、例えばアウター部材1のアウター本体部10がインナー部材2に向けて撓んでいるような場合にも、当該荷重によって、アウター部材1の形状を効率良く矯正できる利点がある。
当て部22をリブ形状とする場合、当て部22及びスペーサーリブ11の延びる方向は実施例の方向に限定されず如何なる方向であっても良い。但し、当て部22及びスペーサーリブ11が互いに交差する方向に延びる場合には、当て部22及び/又はスペーサーリブ11の位置が設計された位置と多少ずれていても、組み付け途中において当て部22とスペーサーリブ11とを対面させることができ、必要に応じてこれらを互いに押しつけることができる。つまり、この場合には、アウター部材1及びインナー部材2の寸法につき、多少のバラツキを許容し得る利点がある。なお、実施例の自動車部材においては、スペーサーリブ11が長手方向に延び、リブ状の当て部22が幅方向に延びているが、例えば、スペーサーリブ11が幅方向に延び、リブ状の当て部22が長手方向に延びても良い。
スペーサーリブ11が幅方向に延び、リブ状の当て部22が長手方向に延びる場合にも、リブ状の当て部22における組み付け方向の先側の部分、つまり、当て部22において、組み付け途中に最初にスペーサーリブ11に接触すると想定される部分を、角のない形状とするのが好ましい。又は、スペーサーリブ11における組み付け方向の後側の部分、つまり、スペーサーリブ11において、組み付け途中に最初に当て部22に接触すると想定される部分を、角のない形状とするのが好ましい。組み付け途中においてスペーサーリブ11とリブ状の当て部22とを滑らかに摺接させ、スペーサーリブ11及びリブ状の当て部22に作用する力を適切な大きさにし、ひいては、スペーサーリブ11及びリブ状の当て部22が座屈する等の不具合を低減するためである。
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
本発明の自動車部材は、以下のように表現できる。
〔1〕アウター部材1と、前記アウター部材1に対して所定の組み付け方向に向けて組み付けられたインナー部材2とが接着剤3により固着一体化された自動車部材であって、
前記アウター部材1は、アウター側接着予定部15と、前記アウター側接着予定部15よりも前記組み付け方向の先側にある突起状のスペーサーリブ11と、を有し、
前記インナー部材2は、前記アウター部材1とインナー部材2との組み付け完了時において前記アウター側接着予定部15に対面するインナー側接着予定部25と、前記インナー側接着予定部25よりも前記組み付け方向の先側にあり前記組み付け完了時において前記スペーサーリブ11を収容する凹部21と、前記凹部21よりも前記組み付け方向の先側にあり前記アウター部材1とインナー部材2との組み付け途中において前記スペーサーリブ11に対面する当て部22と、を有する、自動車部材。
〔2〕前記当て部22は、前記スペーサーリブ11に向けて突出するリブ形状を有する、〔1〕に記載の自動車部材。
〔3〕前記スペーサーリブ11と前記当て部22とは、前記組み付け途中において互いに押しつけられる、〔1〕又は〔2〕に記載の自動車部材。
〔4〕前記アウター部材1は、前記アウター側接着予定部15よりも前記組み付け方向の後側に非接着部19を有し、前記非接着部19には接着剤3が付着していない、〔1〕〜〔3〕の何れか一項に記載の自動車部材。
〔5〕 前記当て部22における前記組み付け方向の先側の部分22fは角のない形状を有する、〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載の自動車部材。
本発明の自動車部材の製造方法は、以下のように表現できる。
〔6〕アウター部材1と、前記アウター部材1に対して所定の組み付け方向に向けて組み付けられたインナー部材2とが接着剤3により固着一体化された自動車部材を製造する方法であって、
前記アウター部材1に、アウター側接着予定部15と、前記アウター側接着予定部15よりも前記組み付け方向の先側にある突起状のスペーサーリブ11と、を設け、
前記インナー部材2に、前記アウター部材1とインナー部材2との組み付け完了時において前記アウター側接着予定部15に対面するインナー側接着予定部25と、前記インナー側接着予定部25よりも前記組み付け方向の先側にあり前記組み付け完了時において前記スペーサーリブ11を収容する凹部21と、前記凹部21よりも前記組み付け方向の先側にあり前記アウター部材1とインナー部材2との組み付け途中において前記スペーサーリブ11に対面する当て部22と、を設け、
前記アウター部材1と前記インナー部材2との組み付け前に、前記インナー側接着予定部25に前記接着剤3を塗布し、
前記アウター部材1と前記インナー部材2との組み付け途中において、前記スペーサーリブ11と前記当て部22とを互いに押しつけて、前記アウター部材1のうち前記スペーサーリブ11よりも前記組み付け方向の後側の部分と、前記インナー部材2のうち前記当て部22よりも前記組み付け方向の後側の部分と、の距離を広げる、自動車部材の製造方法。
1:アウター部材 2:インナー部材
3:接着剤 11:スペーサーリブ
15:アウター側接着予定部 19:非接着部
21:凹部 22:当て部
25:インナー側接着予定部
22f:当て部における組み付け方向の先側の部分

Claims (6)

  1. アウター部材と、前記アウター部材に対して所定の組み付け方向に向けて組み付けられたインナー部材とが接着剤により固着一体化された自動車部材であって、
    前記アウター部材は、アウター側接着予定部と、前記アウター側接着予定部よりも前記組み付け方向の先側にある突起状のスペーサーリブと、を有し、
    前記インナー部材は、前記アウター部材と前記インナー部材との組み付け完了時において前記アウター側接着予定部に対面するインナー側接着予定部と、前記インナー側接着予定部よりも前記組み付け方向の先側にあり前記組み付け完了時において前記スペーサーリブを収容する凹部と、前記凹部よりも前記組み付け方向の先側にあり前記アウター部材とインナー部材との組み付け途中において前記スペーサーリブに対面する当て部と、を有する、自動車部材。
  2. 前記当て部は、前記スペーサーリブに向けて突出するリブ形状を有する、請求項1に記載の自動車部材。
  3. 前記スペーサーリブと前記当て部とは、前記組み付け途中において互いに押しつけられる、請求項1又は請求項2に記載の自動車部材。
  4. 前記アウター部材は、前記アウター側接着予定部よりも前記組み付け方向の後側に非接着部を有し、前記非接着部には接着剤が付着していない、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の自動車部材。
  5. 前記当て部における前記組み付け方向の先側の部分は角のない形状を有する、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の自動車部材。
  6. アウター部材と、前記アウター部材に対して所定の組み付け方向に向けて組み付けられたインナー部材とが接着剤により固着一体化された自動車部材を製造する方法であって、
    前記アウター部材に、アウター側接着予定部と、前記アウター側接着予定部よりも前記組み付け方向の先側にある突起状のスペーサーリブと、を設け、
    前記インナー部材に、前記アウター部材と前記インナー部材との組み付け完了時において前記アウター側接着予定部に対面するインナー側接着予定部と、前記インナー側接着予定部よりも前記組み付け方向の先側にあり前記組み付け完了時において前記スペーサーリブを収容する凹部と、前記凹部よりも前記組み付け方向の先側にあり前記アウター部材とインナー部材との組み付け途中において前記スペーサーリブに対面する当て部と、を設け、
    前記アウター部材と前記インナー部材との組み付け前に、前記インナー側接着予定部に前記接着剤を塗布し、
    前記アウター部材と前記インナー部材との組み付け途中において、前記スペーサーリブと前記当て部とを互いに押しつけて、前記アウター部材のうち前記スペーサーリブよりも前記組み付け方向の後側の部分と、前記インナー部材のうち前記当て部よりも前記組み付け方向の後側の部分と、の距離を広げる、自動車部材の製造方法。
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