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JP2020026511A - 球状多孔質樹脂及びその製造方法 - Google Patents

球状多孔質樹脂及びその製造方法 Download PDF

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JP2020026511A
JP2020026511A JP2018153601A JP2018153601A JP2020026511A JP 2020026511 A JP2020026511 A JP 2020026511A JP 2018153601 A JP2018153601 A JP 2018153601A JP 2018153601 A JP2018153601 A JP 2018153601A JP 2020026511 A JP2020026511 A JP 2020026511A
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穣慈 秋山
Joji Akiyama
穣慈 秋山
宇山 浩
Hiroshi Uyama
浩 宇山
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Osaka Gas Chemicals Co Ltd
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Osaka University NUC
Osaka Gas Chemicals Co Ltd
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Abstract

【課題】内部のマクロ孔のサイズが適切な範囲に制御されており、形状が粒子状である多孔質樹脂及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の多孔質樹脂は、マクロ孔を備え、平均粒子径が0.1mm以上の球状であり、前記マクロ孔は、平均孔径が0.1〜100μmである連続孔である。本発明の多孔質樹脂の製造方法は、原料樹脂を第1の溶媒に溶解して樹脂溶液を得る工程1と、前記樹脂溶液と、前記原料樹脂に対して貧溶媒である第2の溶媒とを混合して白濁液を得る工程2と、前記白濁液を第3の溶媒に添加して成形体を前記第3の溶媒中に析出させる工程3と、前記成形体を加熱処理することで多孔質樹脂を得る工程4とを備える。【選択図】なし

Description

本発明は、球状多孔質樹脂及びその製造方法に関する。
網目状の共連続構造を有する多孔質樹脂は、いわゆる「モノリス」と呼ばれている。このようなモノリス状の多孔質樹脂は、例えば、分離剤、電池用セパレータ、カラム基材等の種々の分野への応用が期待されていることから、次世代型の新規機能性材料として注目されている。
モノリス状の多孔質樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール等の種々の樹脂から形成されることが知られている。このような多孔質樹脂は、例えば、樹脂溶液における相分離等の現象を利用して製造できることが知られている。
モノリス状の多孔質樹脂は、内部に多数の連続孔を有することから、この内部構造を適切に制御することで、多孔質樹脂の種々の性能を向上できることが知られている。例えば、特許文献1等には、構造が均一で大きい連続マクロボイド構造を有するモノリス状有機多孔質体が提案されている。このモノリス状有機多孔質体では、内部構造が制御されていることで、水や気体等の流体を透過させた際の圧力損失を低くすることができ、吸着剤やイオン交換体として有用であるとされている。
特開2009−019188号公報
しかしながら、従来のモノリス状多孔質樹脂においては、例えば、ブロック状、フィルム状等の形状に形成することができるものの、球状等の粒子状に形成することが容易ではなかった。このようなモノリス状多孔質樹脂の形状に制約があることから、その用途が著しく制限を受けやすいという問題点を有していた。例えば、カラム等に充填する用途である場合は、モノリス状多孔質樹脂が球状でないことから、カラムへの均一な充填が困難となり、所望の性能を発揮することができないことがあった。
モノリス状多孔質樹脂を粒子状に成形するには、ブロック状等に成形した後に、これを粉砕等することが考えられるが、この場合、工程が煩雑になるばかりか、所望のサイズの粒子を得ることも難しいものであった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、内部のマクロ孔のサイズが適切な範囲に制御された球状多孔質樹脂及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、
することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
マクロ孔を備えた球状多孔質樹脂であって、
平均粒子径が0.1mm以上の球状であり、
前記マクロ孔は、平均孔径が0.1〜100μmであり、かつ、連続孔である、球状多孔質樹脂。
項2
水銀ポロシメータで測定した累積細孔容積が1mL/g以上である、項1に記載の球状多孔質樹脂。
項3
水銀ポロシメータ測定において、細孔径が0.1μm〜5μmの範囲に微分細孔容量の最大ピークを有する、項1又は2に記載の球状多孔質樹脂。
項4
主成分が酢酸セルロースである、項1〜3のいずれか1項に記載の球状多孔質樹脂。
項5
球状多孔質樹脂の製造方法であって、
原料樹脂を第1の溶媒に溶解して樹脂溶液を得る工程1と、
前記樹脂溶液と、前記原料樹脂に対して貧溶媒である第2の溶媒とを混合して白濁液を得る工程2と、
前記白濁液を第3の溶媒に添加して該第3の溶媒中に成形体を析出させる工程3と、
前記成形体を加熱処理することで多孔質樹脂を得る工程4と、
を備える、球状多孔質樹脂の製造方法。
項6
前記工程4の加熱処理の前に、前記成形体を乾燥機内で流動させながら乾燥処理する、項5に記載の製造方法。
本発明に係る多孔質樹脂は、内部のマクロ孔のサイズが適切な範囲に制御されており、形状が球状である。従って、本発明に係る球状多孔質樹脂は、例えば、カラム等の容器内への充填性に優れる。
本発明に係る球状多孔質樹脂の製造方法によれば、多孔質樹脂の内部に形成されるマクロ孔のサイズを適切な範囲に容易に制御することができ、また、得られる球状多孔質樹脂の形状を容易に粒子状に成形することができる。
実施例1で得られた球状多孔質樹脂の外観を示す写真である。 実施例1で得られた球状多孔質樹脂の断面を示すSEM画像である。 実施例1で得られた球状多孔質樹脂の細孔分布曲線である。 実施例1で得られた球状多孔質樹脂の累積細孔容積の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.球状多孔質樹脂
本発明の球状多孔質樹脂は、マクロ孔を備え、平均粒子径が0.1mm以上の球状である。本発明の球状多孔質樹脂において、マクロ孔は、平均孔径が0.1〜100μmであり、かつ、連続孔である。つまり、本発明の球状多孔質樹脂は、樹脂材料に所定のサイズの孔が多数形成されてなる粒子状の材料である。なお、以下では、本発明の球状多孔質樹脂を単に「多孔質樹脂」と略記する。
多孔質樹脂を形成するための樹脂材料は特に限定されず、例えば、公知の樹脂を広く採用することができる。樹脂材料としては、多孔質樹脂の製造が容易となる点で、溶媒に溶解して樹脂溶液を形成することができる性質を有していることが好ましい。
樹脂材料としては、例えば、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリエーテルサルホン、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン等を挙げることができる。これらの中でも、所望のマクロ孔が形成されやすく、かつ、球状に形成されやすいという観点から、セルロース系樹脂であることが好ましい。セルロース系樹脂としては、例えば、酢酸セルロース等を挙げることができる。
樹脂材料は、ホモポリマーであってもよいし、あるいは共重合体であってもよい。樹脂材料が共重合体である場合は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、交互共重合体及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
樹脂材料の数平均分子量も特に限定されず、例えば、所望の多孔質樹脂が形成されやすいという点で、樹脂材料の数平均分子量を5000〜500,000とすることができる。樹脂材料の数平均分子量は、5000〜300,000であることが好ましく、8000〜100,000であることが特に好ましい。
樹脂材料は、1種単独の樹脂で構成することができるし、あるいは、2種以上の樹脂を含むこともできる。
多孔質樹脂は、主成分が酢酸セルロースであることが好ましい。この場合、多孔質樹脂の製造が容易であり、また、マクロ孔を所定のサイズに制御しやすく、形状を球状に形成しやすい。本明細書において、「主成分が酢酸セルロースである」とは、多孔質樹脂の全質量に対して、酢酸セルロースの含有量が50質量%以上であることを意味する。主成分が酢酸セルロースである場合、多孔質樹脂の全質量に対して、酢酸セルロースの含有量が70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以上含むことが特に好ましい。多孔質樹脂は、酢酸セルロースのみで形成されていてもよい。
本発明の多孔質樹脂は、内部にマクロ孔を有する。当該マクロ孔は、網目状の共連続構造に形成された連続孔である。マクロ孔が連続孔を有しているかどうかは、例えば、多孔質樹脂の断面のSEM観察及び水銀ポロシメータの測定結果から判断することができる。水銀ポロシメータによる測定では、真空排気した状態で多孔質樹脂に水銀を徐々に導入するので、多孔質樹脂内の孔に水銀が満たされていく。この場合、多孔質樹脂内の大きい孔から順に水銀が満たされる。
本発明の多孔質樹脂において、マクロ孔の平均孔径は0.1〜100μmである。本発明において、多孔質樹脂に形成されているマクロ孔の平均孔径は、水銀圧入法を利用した細孔容積水銀ポロシメータによって得られる細孔容積分布から得ることができる。
本発明では、前記細孔容積分布において、0.1μmから100μmの区間の累積細孔容量が1/2となるときの細孔直径を、マクロ孔の平均孔径と定義する。細孔容積水銀ポロシメータは、例えば、島津製作所社製「オートポアIV9500」を用いることができる。
マクロ孔の平均孔径が0.1〜100μmであることで、例えば、多孔質樹脂中におけるガス成分の拡散速度が大きくなり、また、外表面積もより大きくなる。マクロ孔の平均孔径の下限は0.1μmであることが好ましく、0.2μmであることがより好ましく、0.5μmであることが特に好ましい。マクロ孔の平均孔径の上限は70μmであることが好ましく、60μmであることがより好ましく、50μmであることが特に好ましい。
本発明の多孔質樹脂の形状は球状である。ここでいう球状とは、真球状に限らず、例えば、楕円球状等も含む。具体的には、アスペクト比(長径/短径の値)が1〜5である範囲を球状とする。ここで、長径とは、多孔質樹脂の最大の直径、短径とは、多孔質樹脂の最小の直径を意味する。
本発明の多孔質樹脂は、平均粒子径が0.1mm以上である。ここでいう多孔質樹脂の平均粒子径とは、例えば、顕微鏡又は目視による直接観察によって無作為に50個の多孔質樹脂を選択し、これらの直径を、ノギスを用いて計測して算術平均した値をいう。また、多孔質樹脂が楕円球状である場合の多孔質樹脂の平均粒子径とは、顕微鏡による直接観察によって無作為に50個の多孔質樹脂を選択し、これらの円相等径を計測して算術平均した値をいう。
本発明の多孔質樹脂は、水銀ポロシメータで測定したときの累積細孔容積が1mL/g以上であることが好ましく、この場合、多孔質樹脂中のマクロ孔が十分に形成され得る。多孔質樹脂において、前記累積細孔容積の上限は特に限定的ではなく、例えば、10mL/g程度である。累積細孔容積は、1.7psia(約11.7kPa)から27500psia(約190MPa)まで圧力を加えたときの総水銀圧入量(mL)を試料(多孔質樹脂)質量(g)で除することにより算出することができる。前記細孔容積分布における最大累積細孔容積を多孔質樹脂の累積細孔容積とする。
本発明の多孔質樹脂は、水銀ポロシメータ測定において、細孔径が0.1μm〜5μmである範囲に微分細孔容量の最大ピークを有していることが好ましい。この場合、多孔質樹脂中におけるガス成分の拡散速度の悪化が防止されやすく、また、外表面積もより大きくなりやすいので、多孔質樹脂として好ましい。細孔径が0.1μm〜5μmである範囲に微分細孔容量の最大ピークを有しているかどうかは、水銀ポロシメータ測定から得られる細孔分布曲線(細孔直径−微分細孔容積グラフ)から確認することができる。
本発明の多孔質樹脂を製造する方法は特に限定されず、種々の方法を採用することができる。例えば、後記する工程1〜工程4を含む製造方法によって、本発明の多孔質樹脂を製造することができる。
本発明の多孔質樹脂は、本発明の効果が阻害されない限り、前記樹脂材料以外のその他成分を含むこともできる。
本発明の多孔質樹脂は、内部のマクロ孔のサイズが適切な範囲に制御されており、形状が粒子状である。このため、本発明の多孔質樹脂は、例えば、分離カラムの充填剤等の各種用途に好適に使用することができる。特に、本発明の多孔質樹脂は形状が球形であることで、カラム等に均一に充填しやすく、均一な通液及びガス拡散がもたらされ得る。
2.多孔質樹脂の製造方法
本願発明の多孔質樹脂の製造方法は、下記の工程1〜工程4を含むことができる。
工程1:原料樹脂を第1の溶媒に溶解して樹脂溶液を得る工程。
工程2:前記樹脂溶液と、前記原料樹脂に対して貧溶媒である第2の溶媒とを混合して白濁液を得る工程。
工程3:前記白濁液を第3の溶媒に添加して該第3の溶媒中に成形体を析出させる工程。
工程4:前記成形体を加熱処理することで多孔質樹脂を得る工程。
工程1は、原料樹脂の溶液を得るための工程である。
原料樹脂の種類としては、特に限定されず、例えば、公知の樹脂を広く採用することができる。原料樹脂としては、溶媒に溶解して樹脂溶液を形成することができる性質を有していることが好ましい。
原料樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリエーテルサルホン、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン等を挙げることができる。これらの中でも、工程1において、溶媒に溶解して樹脂溶液を容易に製造できるという観点から、セルロース系樹脂であることが好ましい。セルロース系樹脂としては、例えば、酢酸セルロース等を挙げることができる。
原料樹脂は、ホモポリマーであってもよいし、あるいは共重合体であってもよい。樹脂材料が共重合体である場合は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、交互共重合体及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
原料樹脂の数平均分子量も特に限定されず、例えば、所望の多孔質樹脂が形成されやすいという点で、5000〜500,000とすることができる。原料樹脂の数平均分子量は、5000〜300,000であることが好ましく、8000〜100,000であることが特に好ましい。
原料樹脂は、1種単独を使用することができ、あるいは、2種以上の樹脂を組み合わせて使用することもできる。
原料樹脂は、主成分が酢酸セルロースであることが好ましい。この場合、所望の多孔質樹脂の製造が容易であり、また、マクロ孔を所定のサイズに制御しやすく、形状を球状に形成しやすい。本明細書において、「主成分が酢酸セルロースである」とは、最終的に本発明の製造方法で得られる多孔質樹脂の全質量に対して、酢酸セルロースの含有量が50質量%以上であることを意味する。原料樹脂の主成分が酢酸セルロースである場合、多孔質樹脂の全質量に対して、酢酸セルロースの含有量が70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以上含むことが特に好ましい。原料樹脂は、酢酸セルロースのみで形成されていてもよい。
工程1において、使用する第1の溶媒としては、原料樹脂を溶解することが可能である限り、その種類は特に限定されず、種々の有機溶媒を広く使用することができる。第1の溶媒は、原料樹脂に対して良溶媒を示す有機溶媒であることが好ましい。
第1の溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、N−メチルピロリドン等のピロリドン系溶媒、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。
第1の溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。第1の溶媒は、樹脂溶液の形成が阻害されない範囲において、他の溶媒、添加剤等を含むこともできる。
工程1において、原料樹脂を第1の溶媒に溶解する方法は特に限定されず、公知の方法を広く適用することができる。工程1では、加温等をせずに原料樹脂を第1の溶媒に溶解することができ、あるいは、必要に応じて、加温等をして原料樹脂を第1の溶媒に溶解することもできる。例えば、原料樹脂と第1の溶媒とを混合後、50〜150℃に保持して溶解を行うことができる。
工程1において、原料樹脂を第1の溶媒に溶解するにあたっては、原料樹脂と第1の溶媒とを混合後、必要に応じて公知の攪拌機等を使用して攪拌を行ってもよい。
工程1において、原料樹脂と第1の溶媒との混合割合は特に限定されず、原料樹脂が第1の溶媒に溶解する限りは種々の混合割合とすることができる。例えば、第1の溶媒100mLあたり、原料樹脂を5〜50gとすることができる。
上記工程1により、原料樹脂が第1の溶媒に溶解した樹脂溶液を得ることができる。このように得られる樹脂溶液は、例えば、透明である。
工程2では、工程1で得られた樹脂溶液と、前記原料樹脂に対して貧溶媒である第2の溶媒とを混合して白濁液を得る。
第2の溶媒は、原料樹脂に対して貧溶媒である限りはその種類は特に限定されない。第2の溶媒の具体例としては、水、低級アルコール、アセトン等のケトン化合物、アセトニトリル等のニトリル化合物等を挙げることができる。特に、原料樹脂の主成分が酢酸セルロースである場合は、第2の溶媒は、低級アルコールであることが好ましい。
低級アルコールの具体例としては、例えば、炭素数1〜8であるアルコール化合物を挙げることができ、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、t−アミルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノールが挙げられる。これらの中でも、原料樹脂の主成分が酢酸セルロースである場合は、1−ヘキサノールであることが特に好ましい。
第2の溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。また、第2の溶媒は、白濁液の形成が阻害されない範囲において、他の溶媒、添加剤等を含むこともできる。
工程2では、工程1で得られた樹脂溶液と、第2の溶媒とを混合する。混合の方法は特に限定されず、例えば、工程1で得られた樹脂溶液に第2の溶媒を添加する方法を挙げることができる。添加の方法は特に限定的ではなく、例えば、樹脂溶液に第2の溶媒を滴下する方法を挙げることができる。この場合、滴下の方法は特に限定されず、公知の方法を広く採用することができる。樹脂溶液の滴下速度も特に限定されず、例えば、滴下により白濁液が得られる範囲で適宜調整することができる。
樹脂溶液に第2の溶媒を添加するにあたり、樹脂溶液の温度は、白濁液が得られる範囲で適宜調整することができる。例えば、樹脂溶液を50〜150℃に保持して第2の溶媒を添加することができる。
工程2において、第2の溶媒の使用量は特に限定されず、白濁液を得ることができる範囲で適宜設定することができる。例えば、工程1で使用した第1の溶媒100mLあたり、第2の溶媒の使用量を20〜500mLとすることができる。
上記の工程2では、第1の溶媒に溶解している樹脂が、貧溶媒である第2の溶媒によって相分離が生じ、この結果、樹脂溶液が白濁する。
工程3では、工程2で得られた白濁液を第3の溶媒に添加する。これにより、第3の溶媒中に樹脂が析出して、樹脂の成形体として得られる。
第3の溶媒は、原料樹脂に対して貧溶媒である各種の溶媒を使用することができる。第3の溶媒は、前記第2の溶媒と異なる溶媒であって、前記第2の溶媒よりも乾燥が容易である溶媒であることが好ましい。例えば、第3の溶媒は、第2の溶媒よりも低い沸点を有することが好ましい。
第3の溶媒の具体例としては、水、炭素数1〜3の低級アルコール、アセトン等のケトン化合物、アセトニトリル等のニトリル化合物等を挙げることができる。特に、乾燥等によって溶媒除去がより容易である観点から、第3の溶媒は、水、炭素数1〜3の低級アルコール等であることが好ましい。特に、原料樹脂の主成分が酢酸セルロースである場合は、第3の溶媒は、水、炭素数1〜3の低級アルコール等であることが好ましく、水と炭素数1〜3の低級アルコールの混合溶媒であることが特に好ましい。この場合において、炭素数1〜3の低級アルコールは、エタノールであることが特に好ましい。
第3の溶媒が水と炭素数1〜3の低級アルコールの混合溶媒である場合、その混合比は特に限定されない。例えば、水/炭素数1〜3の低級アルコールの体積比を10/90〜90/10とすることができる。
第3の溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。第3の溶媒は、成形体の形成及び乾燥の阻害が起こらない範囲において、他の溶媒、添加剤等を含むこともできる。
工程3において、白濁液を第3の溶媒に添加する方法は特に限定的ではない。例えば、白濁液を第3の溶媒に滴下する方法を挙げることができる。この場合、滴下の方法は特に限定されず、公知の方法を広く採用することができる。白濁液の滴下速度も特に限定されず、例えば、滴下により成形体が得られる範囲で適宜調整することができる。
白濁液を第3の溶媒に添加するにあたり、第3の溶媒の温度は、白濁液が得られる範囲で適宜調整することができる。例えば、第3の溶媒を0〜40℃に保持して白濁液を添加することができる。
工程3において、第3の溶媒の使用量は特に限定されず、成形体を得ることができる範囲で適宜設定することができる。例えば、白濁液100mLあたり、第3の溶媒の使用量を50〜5000mLとすることができる。
工程3において、白濁液を第3の溶媒に添加することで、球状の成形体が得られる。この球状の成形体は、多孔質樹脂の前駆体である。ここでいう前駆体とは、必ずしも限定的な解釈を望むものではなく、例えば、多孔質樹脂のマクロ孔に、工程1及び工程2で使用した溶媒等が充填された状態を挙げることができる。このマクロ孔内の溶媒は、その後の工程で除去され得る。
白濁液を第3の溶媒に添加することで得られる球状の成形体の粒子径は、白濁液の添加速度、白濁液の濃度、温度等によって決定され得る。
工程3において、第3の溶媒中にて成形体を得た後、必要に応じて第3の溶媒を第4の溶媒で溶媒置換をすることもできる。第4の溶媒としては、例えば、水、炭素数1〜3の低級アルコール等であることが好ましく、炭素数1〜3の低級アルコールであることがより好ましい。炭素数1〜3の低級アルコールは、エタノールであることが特に好ましい。この溶媒置換をすることで、溶媒の乾燥がより容易となり、また、工程1および工程2で使用した第1の溶媒及び第2の溶媒の除去または低減もできる。
溶媒置換の方法は特に限定されず、公知の方法を広く採用することができる。例えば、工程3で得られた成形体をろ過等によって取り出し、これを第4の溶媒に所定の時間浸漬する方法を挙げることができる。成形体を第4の溶媒に所定の時間浸漬した後、再度、成形体を取り出して、新たな第4の溶媒に浸漬させる操作を複数回繰り返すこともできる。
上記溶媒置換によって、工程1、工程2及び工程3で使用した第1の溶媒、第2の溶媒及び第3の溶媒を除去又は低減することができ、第4の溶媒に置換することができる。
工程4では、工程3で得られた成形体の加熱処理を行う。これにより、目的の多孔質樹脂を得ることができる。
本発明の製造方法において、工程4の加熱処理の前に、前記成形体を乾燥機内で流動させながら乾燥処理することもできる。この乾燥処理を行うことで、成形体の形状が球状に形成されやすくなる。
成形体を乾燥機内で流動させながら乾燥処理する方法は特に限定されず、例えば、公知の各種乾燥機を使用することができる。この場合の乾燥機としては、流動層造粒乾燥機等を挙げることができ、より具体的には、回転式のパン型造粒機が例示される。
必要に応じて上記乾燥処理を行った後、成形体の加熱処理を行う。なお、成形体を乾燥機内で流動させながら乾燥処理を行わない場合は、工程3で得られた成形体をろ過等によって取り出してから加熱処理を行うことができる。
工程4において、加熱処理の方法は特に限定されず、例えば、公知の加熱炉等の装置を使用して行うことができる。
加熱処理において、加熱温度は、例えば、50〜300℃とすることができる。この温度範囲であれば、所望のマクロ孔を有する多孔質樹脂が形成されやすい。加熱処理の時間は特に限定されず、加熱温度に応じて適宜設定することができる。例えば、加熱時間は3〜24時間とすることができる。
加熱処理は、空気雰囲気下及び不活性ガス雰囲気下等のいずれの雰囲気下でも行うことができる。また、加熱処理は、大気圧下、減圧下及び加圧下のいずれで行ってもよい。
工程4の加熱処理により、多孔質樹脂を得ることができる。得られる多孔質樹脂は、例えば、「1.多孔質樹脂」の項で説明した多孔質樹脂と同様の特徴を有する。つまり、本発明の製造方法で得られる多孔質樹脂の一実施形態としては、マクロ孔を備え、平均粒子径が0.1mm以上の球状である。この実施形態においても、マクロ孔は、平均孔径が0.1〜100μmである連続孔である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
酢酸セルロース(数平均分子量〜50000、Aldrich製)20gを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100mLに加え、85℃で攪拌した。酢酸セルロースがDMFに溶解して樹脂溶液が得られた後、150mLの1−ヘキサノールを樹脂溶液にゆっくり加え、撹拌を続け、白濁液を得た。得られた白濁液をパスツールピペットで吸い出し、エタノール/水(70/30、v/v)混合溶媒中に滴下した。当該混合溶媒中に滴下された白濁溶液は、球状に形成されながら混合溶媒中に沈んでいった。
次いで、球状の成形体をエタノール中に浸して、12時間の間にエタノールを3回交換して溶媒置換を行い、DMFと1−ヘキサノールを除去した。その後、成形体を常温(25℃)でパン型造粒機(アズワン製Pan Type Granulator PZ−01)で2時間に亘って回転させながら乾燥を行った。このように乾燥した成形体を、170℃のオーブンで6時間以上加熱処理をした。これにより、直径が2mmである球状の多孔質樹脂粒子を得た。
(評価方法)
SEM観察
日立ハイテクノロジーズ製のX線分析装置付走査型電子顕微鏡「Microscope TM3000/ShiftED3000」を使用して、SEM観察を行った。
多孔質樹脂のマクロ孔解析
多孔質樹脂のマクロ孔の測定は、水銀圧入法による水銀ポロシメータで測定した。測定装置は、島津製作所製「オートポアIV9500」を使用した。具体的には、多孔質樹脂(試料)を試料容器に入れ、2.67Pa以下の圧力で30分間脱気し、次いで、水銀を試料容器内に導入し、加圧を徐々にしながら水銀を試料の細孔へ圧入した。細孔直径が125μmに相当する圧力1.7psia(約11.7kPa)から、細孔直径が7.8nmに相当する圧力27500psia(約190MPa)まで水銀を多孔質樹脂体に圧入し、総水銀圧入量(mL)を試料重量(g)で除することにより累積細孔容積(mL/g)を求めた。この方法にて、細孔直径(μm)と、累積細孔容積(mL/g)との関係をプロットして細孔容積分布を得た。この細孔容積分布から微分細孔容積を計算し、グラフ化することで細孔分布曲線(細孔直径−微分細孔容積グラフ)を導き出した。なお、細孔直径とは、本明細書でいう細孔径と同義である。
多孔質樹脂の累積細孔容積
前記細孔容積分布における最大累積細孔容積を多孔質樹脂の累積細孔容積とした。
(評価結果)
図1は、実施例1で得られた多孔質樹脂の外観写真を示しており、図2は、実施例1で得られた多孔質樹脂体の断面のSEM写真((a)が40倍、(b)が300倍、(c)1000倍観察)である。
図1から、実施例1で得られた多孔質樹脂は、球状に形成されていることがわかる。また、多孔質樹脂の平均粒子径は2mmであった。また、図2から、実施例1で得られた多孔質樹脂に形成されたマクロ孔は、連続孔が形成されていることも確認された。
図3には、実施例1で得られた多孔質樹脂の細孔分布曲線(細孔直径−微分細孔容積グラフ)を示している。この図3には、比較として、大阪ガスケミカル製の球状活性炭「X7100H−3」(1.5mm前後の造粒体)の細孔分布曲線も示している。なお、図3において、実線が実施例1で得られた多孔質樹脂、破線が比較用の球状活性炭である。
図4には、実施例1で得られた多孔質樹脂の細孔直径と累積細孔容積との関係(細孔容積分布)を示している。この図4には、比較として、大阪ガスケミカル製の球状活性炭「X7100H−3」(1.5mm前後の造粒体)の結果も示している。なお、図4において、実線が実施例1で得られた多孔質樹脂、破線が比較用の球状活性炭である。
図4の細孔容積分布から、実施例1で得られた多孔質樹脂のマクロ孔の平均孔径は2.1μmであることがわかった。図3の細孔分布曲線において、細孔直径が1.8μmに微分細孔容積の最大ピークを有することもわかった。
図4から、実施例1で得られた多孔質樹脂の累積細孔容積は、5.5mL/gであることがわかった。

Claims (6)

  1. マクロ孔を備えた球状多孔質樹脂であって、
    平均粒子径が0.1mm以上の球状であり、
    前記マクロ孔は、平均孔径が0.1〜100μmであり、かつ、連続孔である、球状多孔質樹脂。
  2. 水銀ポロシメータで測定した累積細孔容積が1mL/g以上である、請求項1に記載の球状多孔質樹脂。
  3. 水銀ポロシメータ測定において、細孔径が0.1μm〜5μmの範囲に微分細孔容量の最大ピークを有する、請求項1又は2に記載の球状多孔質樹脂。
  4. 主成分が酢酸セルロースである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の球状多孔質樹脂。
  5. 球状多孔質樹脂の製造方法であって、
    原料樹脂を第1の溶媒に溶解して樹脂溶液を得る工程1と、
    前記樹脂溶液と、前記原料樹脂に対して貧溶媒である第2の溶媒とを混合して白濁液を得る工程2と、
    前記白濁液を第3の溶媒に添加して該第3の溶媒中に成形体を析出させる工程3と、
    前記成形体を加熱処理することで多孔質樹脂を得る工程4と、
    を備える、球状多孔質樹脂の製造方法。
  6. 前記工程4の加熱処理の前に、前記成形体を乾燥機内で流動させながら乾燥処理する、請求項5に記載の製造方法。
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