JP2020017413A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料として、少なくとも水素および窒素を含む化合物を含む場合に、アンモニアの発生を抑制できる燃料電池を提供すること。【解決手段】アニオン交換膜からなる電解質層4と、電解質層4を挟んで対向配置される燃料側電極2および酸素側電極3とを備える燃料電池1において、燃料側電極2に、金属触媒としてニッケルと金とを、金の含有割合が、ニッケルと金との総モルに対して、25モル%以上となるように含ませる。また、燃料として、ヒドラジンなどの、少なくとも水素および窒素を含有する化合物を使用する。【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池に関し、より詳しくは、固体高分子型燃料電池に関する。
現在まで、燃料電池としては、アルカリ型(AFC)、固体高分子型(PEFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体電解質型(SOFC)などの各種のものが知られている。なかでも、固体高分子型燃料電池は、比較的低温で運転できることから、例えば、自動車用途などの、各種用途での使用が検討されている。
このような固体高分子型燃料電池としては、膜電極接合体の燃料側電極(アノード電極)に、金属触媒としてニッケルを含有させることが知られている。
より具体的には、例えば、水加ヒドラジンなどを燃料とする燃料電池において、電解質膜の一方面に、ニッケルを含むアノード電極を形成し、また、電解質膜の他方面に、コバルトを含むカソード電極を形成して、膜電極接合体を得ること、さらに、その膜電極接合体を用いて燃料電池を得ることが、知られている(例えば、特許文献1(実施例)参照。)。
一方、燃料電池においては、発電性能の向上が要求されており、そのため、燃料側電極(アノード触媒)の活性向上が要求されている。
本発明は、燃料側電極(アノード触媒)の活性に優れる燃料電池である。
本発明[1]は、電解質層と、前記電解質層を挟んで対向配置され、燃料が供給される燃料側電極、および、酸素が供給される酸素側電極とを備える燃料電池において、前記燃料は、少なくとも水素および窒素を含有する化合物を含み、前記燃料側電極は、ニッケルと金とを含み、前記燃料側電極における金の含有割合が、ニッケルと金との総量に対して、25原子%以上である、燃料電池を含んでいる。
本発明の燃料電池によれば、燃料側電極にニッケルと金とが含まれており、燃料側電極における金の含有割合が、ニッケルと金との総量に対して、25原子%以上であるため、金のマトリクス中にニッケルを分散させることができる。
つまり、このような燃料電池によれば、燃料側電極においてニッケルが微粒子状に分散されるため、ニッケルが塊状で存在する場合に比べ、ニッケルの活性面積を大きくすることができ、その結果、発電効率の向上を図ることができる。
図1において、この燃料電池1は、燃料電池セルSを備えており、燃料電池セルSは、電解質層4と、その電解質層4の一方面に積層される燃料側電極2、および、電解質層4の他方面に積層される酸素側電極3とを備えている。
すなわち、燃料側電極2および酸素側電極3が、それらの間に電解質層4を挟んだ状態で、対向配置されている。換言すれば、燃料電池セルSは、電解質層4と、電解質層4を挟んで対向配置される燃料側電極2および酸素側電極3とを備えている。
電解質層4は、例えば、カチオン交換膜またはアニオン交換膜から形成されている。好ましくは、アニオン交換膜から形成されている。
アニオン交換膜としては、酸素側電極3で生成される水酸化物イオン(OH−)を、酸素側電極3から燃料側電極2へ移動させることができる媒体であれば、特に限定されないが、例えば、4級アンモニウム基、ピリジニウム基などのアニオン交換基を有する固体高分子膜(アニオン交換樹脂)が挙げられる。
燃料側電極2は、電解質層4の一方の面に対向接触されている。この燃料側電極2は、アノード触媒(金属触媒)として、ニッケル(Ni)と金(Au)とを主成分として含んでおり、好ましくは、ニッケルと金とからなる。
アノード触媒として、具体的には、例えば、ニッケルと金との混合物(混合触媒)、ニッケルと金との合金(ニッケル金合金)、ニッケルと、金と、ニッケル金合金との混合物などが挙げられる。
好ましくは、ニッケル(金属単体)と金(金属単体)とからなる混合物(混合触媒)、ニッケル(金属単体)と金(金属単体)とからなる合金(ニッケル金合金)、ニッケル(金属単体)と、金(金属単体)と、ニッケル金合金とからなる混合物が挙げられる。
このようなアノード触媒を製造するには、例えば、まず、金のナノ粒子を分散媒にコロイド状に分散させた金のナノ分散液を準備する。
なお、ナノ粒子とは、平均粒子径(測定法:X線回折)が、8nm以下、好ましくは、3nmの粒子であると定義される。
金のナノ粒子をコロイド状に分散させる方法は、特に制限されず、公知の方法が採用される。すなわち、上記の平均粒子径を有する金のナノ粒子を、分散媒に、公知の方法で分散させればよい。
分散媒としては、例えば、水、アルコール類(例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなど)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン(THF)など)、ケトン類、エステル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン含有炭化水素類(クロロホルム、ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなど)などが挙げられる。
これら分散媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
分散媒として、好ましくは、ハロゲン含有炭化水素類が挙げられ、より好ましくは、クロロホルムが挙げられる。
金のナノ分散液において、金の含有割合は、例えば、0.010質量%以上、好ましくは、0.020質量%以上であり、例えば、0.050質量%以下、好ましくは、0.030質量%以下である。
次いで、この方法では、金のナノ分散液に対して、ニッケルを配合および混合する。
ニッケルの配合量は、金とニッケルとの原子割合が後述する範囲になるように、適宜設定される。すなわち、金の原子割合と、ニッケルの原子割合とが後述の割合となるように、金とニッケルとを配合する。
これにより、分散媒に対して、金およびニッケルが所定割合で混合および分散された分散液が得られる。
次いで、この方法では、得られた分散液から、分散媒を除去して、金およびニッケルを乾燥させる。
分散媒を除去する方法としては、特に制限されず、例えば、加熱蒸発、減圧留去など、公知の方法が挙げられる。好ましくは、分散媒を、減圧留去する。なお、除去条件(温度、圧力など)は、分散媒の種類に応じて、適宜設定される。
これにより、金およびニッケルを含む金属粉末を得る。
その後、この方法では、得られた金属粉末を、還元雰囲気(例えば、H2/Ar混合気体など)下において、焼成する。
焼成条件としては、焼成温度が、例えば、400℃以上、好ましくは、500℃以上であり、例えば、1000℃以下、好ましくは、800℃以下である。また、焼成時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、例えば、10時間以下、好ましくは、5時間以下である。
これにより、ニッケルおよび金を含むアノード触媒を得ることができる。
アノード触媒において、金(金の金属原子)の含有割合は、ニッケルと金との総量に対して、25原子%以上、好ましくは、30原子%以上、より好ましくは、40原子%以上、さらに好ましくは、50原子%以上、とりわけ好ましくは、60原子%以上であり、例えば、99.9原子%以下、好ましくは、99原子%以下、より好ましくは、90原子%以下、さらに好ましくは、85原子%以下、とりわけ好ましくは、80原子%以下である。
また、ニッケル(ニッケルの金属原子)の含有割合は、ニッケルと金との総量に対して、例えば、0.1原子%以上、好ましくは、1原子%以上、より好ましくは、10原子%以上、さらに好ましくは、15原子%以上、とりわけ好ましくは、20原子%以上であり、例えば、75原子%以下、好ましくは、70原子%以下、より好ましくは、60原子%以下、さらに好ましくは、50原子%以下、とりわけ好ましくは、40原子%以下である。
ニッケルと金との含有割合が上記範囲であれば、図2Aに示されるように、金のマトリクス中にニッケルを良好に分散させることができ、アノード触媒表面におけるニッケルの活性面積(触媒活性を発現可能な面積)を大きくすることができるので、発電効率の向上を図ることができる。
すなわち、ニッケルは凝集しやすいため、通常、アノード触媒がニッケルからなるか、または、ニッケルを過剰に含有する場合、図2Bに示すように、ニッケルが凝集して塊状になるため、ニッケルの活性面積が十分ではない。
これに対して、上記のアノード触媒は、金を上記の割合で含有するため、アノード触媒中にニッケルが過剰に含有されず、図2Aに示されるように、金のマトリクス中に、ニッケルが微粒子状に分散される。
このようなアノード触媒によれば、ニッケルが塊状で存在する場合に比べ、アノード触媒表面におけるニッケルの活性面積を大きくすることができ、その結果、発電効率の向上を図ることができる。
なお、アノード触媒は、上記した方法に限定されず、公知の方法(例えば、金とニッケルとを物理混合する方法や、例えば、金の塩とニッケルの塩とを混合し、乾燥および焼成する方法など)により得ることもできる。
好ましくは、上記した方法、すなわち、まず、金のナノ粒子を分散媒にコロイド状に分散させた金のナノ分散液を準備し、次いで、金のナノ分散液にニッケルを配合して金およびニッケルの分散液を調製し、その後、金およびニッケルを乾燥および焼成する方法が挙げられる。
このような方法によれば、金のマトリクス中にニッケルを良好に分散させることができ、触媒活性に優れるアノード触媒を得ることができる。
また、アノード触媒においては、金およびニッケルを、担体に担持させることもできる。
担体としては、例えば、カーボンなどが挙げられ、好ましくは、多孔質カーボンが挙げられる。すなわち、アノード触媒として、好ましくは、カーボンに担持された金およびニッケル(AuNi/C)が挙げられる。
金およびニッケル(混合物および/または合金)を担体に担持させるには、例えば、上記したアノード触媒の製造方法において、金および/またはニッケルを、予め、担体に担持させる。
換言すれば、担体に担持された金、および/または、担体に担持されたニッケルを、上記したアノード触媒の製造方法に用いる。好ましくは、担体に担持されたニッケルを、上記したアノード触媒の製造方法に用いる。
担体に担持された金、および、担体に担持されたニッケルは、特に制限されず、公知の方法で得ることができる。
具体的には、例えば、金および/またはニッケル(好ましくは、ニッケル)の塩と、担体とを、分散媒中で混合し、その後、分散媒を除去する。
塩としては、例えば、無機金属塩、有機金属塩などが挙げられる。
無機金属塩としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、例えば、塩化物、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機金属塩としては、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩などのカルボン酸塩、例えば、金属キレート錯体などが挙げられる。
これら塩は、単独使用または2種類以上併用することができる。
塩として、好ましくは、無機金属塩、より好ましくは、無機酸塩、とりわけ好ましくは、硝酸塩が挙げられる。
分散媒としては、例えば、水、アルコール類(例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなど)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン(THF)など)、ケトン類、エステル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン含有炭化水素類(クロロホルム、ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなど)などが挙げられる。
これら分散媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
分散媒として、好ましくは、水、アルコール類、エーテル類が挙げられ、より好ましくは、アルコール類が挙げられ、さらに好ましくは、エタノールが挙げられる。
また、金および/またはニッケル(好ましくは、ニッケル)の塩と、担体と、分散媒との混合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。好ましくは、担持濃度、すなわち、金、ニッケルおよび担体の総量に対する金およびニッケルの総量が後述する範囲となるように、設定される。
分散媒を除去する方法としては、特に制限されず、例えば、加熱蒸発、減圧留去など、公知の方法が挙げられる。好ましくは、分散媒を、減圧留去する。なお、除去条件(温度、圧力など)は、分散媒の種類に応じて、適宜設定される。
そして、このようにして、金および/またはニッケル(好ましくは、ニッケル)の塩と、担体とを、分散媒に分散させた後、分散媒を除去することにより、金および/またはニッケルを、予め、担体に担持させることができる。
そして、この方法では、担体に担持された金、および/または、担体に担持されたニッケルを、上記したアノード触媒の製造方法に用いる。
好ましくは、担体に担持されたニッケルを、上記したアノード触媒の製造方法に用いる。
アノード触媒の製造方法において、担体に担持されたニッケルを用いる場合、例えば、上記と同じ方法で、金ナノ粒子をコロイド状に分散させた分散液に対して担体に担持されたニッケルを添加し、混合した後、分散媒を除去し、得られた金属粉末(担体を含む)を上記の還元雰囲気において加熱する。
これにより、ニッケルおよび金が担体に担持されたアノード触媒が得られる。
なお、金およびニッケルを担体に担持させて用いる場合、その担持濃度(金、ニッケルおよび担体の総量に対する金およびニッケルの総量)が、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、5質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、45質量%以下、より好ましくは、40質量%以下である。
また、このようなアノード触媒から燃料側電極2を形成するには、特に制限されないが、例えば、膜−電極接合体を形成する。膜−電極接合体は、公知の方法により形成することができる。例えば、まず、上記したアノード触媒と電解質溶液とを混合し、必要によりアルコールなどの適宜の溶剤を添加して粘度を調整することにより、アノード触媒の分散液を調製する。次いで、その分散液を、電解質層4の表面にコーティングすることにより、上記したアノード触媒を電解質層4の表面に定着させる。これにより、上記の割合で金とニッケルとを含む燃料側電極2が得られる。
アノード触媒の使用量は、例えば、0.01〜5mg/cm2である。
この燃料側電極2では、好ましくは、少なくとも水素および窒素を含有する化合物(以下、「燃料化合物」という。(後述))が供給され、その燃料化合物と、電解質層4を通過した水酸化物イオン(OH−)とを反応させて、電子(e−)と窒素(N2)と水(H2O)とを生成させる。
酸素側電極3は、電解質層4の他方の面に対向接触されている。この酸素側電極3は、特に限定されないが、例えば、触媒が担持される多孔質電極として形成されている。
上記触媒としては、好ましくは、酸素(O2)と水(H2O)とから水酸化物イオン(OH−)を生成させる触媒作用を有する化合物が挙げられる。具体的には、特に限定されないが、例えば、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)などの周期表第8〜10族(IUPAC Periodic Table of the Elements(version date 19 February 2010)に従う。以下同じ。)元素や、例えば、Cu、Ag、Auなどの周期表第11族元素など、および、これらの組み合わせなどが挙げられ、さらには、これらの有機金属錯体およびその焼成物が挙げられる。なかでも、好ましくは、Feの有機金属錯体の焼成物が挙げられる。触媒の担持量は、例えば、0.1〜10mg/cm2、好ましくは、0.1〜5mg/cm2である。また、上記触媒は、上記したカーボンなどの担体に担持させることが好ましい。
また、このような触媒から酸素側電極3を形成するには、特に制限されないが、例えば、上記した燃料側電極2と同様にして、膜−電極接合体を形成する。
この酸素側電極3では、好ましくは、供給される酸素(O2)と、水(H2O)と、外部回路13を通過した電子(e−)とを反応させて、水酸化物イオン(OH−)を生成させる。
燃料電池セルSは、さらに、燃料供給部材5および酸素供給部材6を備えている。燃料供給部材5は、ガス不透過性の導電性部材からなり、その一方の面が、燃料側電極2に対向接触されている。そして、この燃料供給部材5には、燃料側電極2の全体に燃料を接触させるための燃料側流路7が、一方の面から凹む葛折状の溝として形成されている。なお、この燃料側流路7は、その上流側端部および下流側端部に、燃料供給部材5を貫通する供給口9および排出口8がそれぞれ連続して形成されている。
また、酸素供給部材6も、燃料供給部材5と同様に、ガス不透過性の導電性部材からなり、その一方の面が、酸素側電極3に対向接触されている。そして、この酸素供給部材6にも、酸素側電極3の全体に酸素(空気)を接触させるための酸素側流路10が、一方の面から凹む葛折状の溝として形成されている。なお、この酸素側流路10にも、その上流側端部および下流側端部に、酸素供給部材6を貫通する供給口11および排出口12がそれぞれ連続して形成されている。
そして、この燃料電池1は、実際には、上記した燃料電池セルSが、複数積層されるスタック構造として形成される。そのため、燃料供給部材5および酸素供給部材6は、実際には、両面に燃料側流路7および酸素側流路10が形成されるセパレータとして構成される。
なお、図示しないが、この燃料電池1には、導電性材料によって形成される集電板が備えられており、集電板に備えられた端子から燃料電池1で発生した起電力を外部に取り出すことができるように構成されている。
また、試験的(モデル的)には、この燃料電池セルSの燃料供給部材5と酸素供給部材6とを外部回路13によって接続し、その外部回路13に電圧計14を介在させて、発生する電圧を計測することもできる。
そして、本発明においては、上記燃料化合物を含む燃料が、改質などを経由することなく、直接供給される。
この燃料化合物では、水素は窒素に直接結合していることが好ましい。また、燃料化合物は、窒素−窒素結合を有するものが好ましく、炭素−炭素結合を有しないものが好ましい。また、炭素の数はできる限り少ない(できればゼロである)ものが好ましい。
また、このような燃料化合物には、その性能を阻害しない範囲において、酸素原子、イオウ原子などを含んでいてよく、より具体的には、カルボニル基、水酸基、水和物、スルホン酸基あるいは硫酸塩などとして、含まれていてもよい。
このような観点から、本発明において燃料化合物としては、具体的には、例えば、ヒドラジン(NH2NH2)、水加ヒドラジン(NH2NH2・H2O)、炭酸ヒドラジン((NH2NH2)2CO2)、硫酸ヒドラジン(NH2NH2・H2SO4)、モノメチルヒドラジン(CH3NHNH2)、ジメチルヒドラジン((CH3)2NNH2、CH3NHNHCH3)、カルボンヒドラジド((NHNH2)2CO)などのヒドラジン類、例えば、尿素(NH2CONH2)、例えば、イミダゾール、1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールなどの複素環類、例えば、ヒドロキシルアミン(NH2OH)、硫酸ヒドロキシルアミン(NH2OH・H2SO4)などのヒドロキシルアミン類などが挙げられる。このような燃料化合物は、単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。好ましくは、ヒドラジン類が挙げられる。
上記した燃料化合物のうち、炭素を含まない化合物、すなわち、ヒドラジン(NH2NH2)、水加ヒドラジン(NH2NH2・H2O)、硫酸ヒドラジン(NH2NH2・H2SO4)、ヒドロキシルアミン(NH2OH)、硫酸ヒドロキシルアミン(NH2OH・H2SO4)などは、後述するヒドラジンの反応のように、COによる触媒の被毒がないので耐久性の向上を図ることができ、実質的なゼロエミッションを実現することができる。
燃料は、上記例示の燃料化合物をそのまま用いてもよいが、上記例示の燃料化合物を、例えば、水および/またはアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低級アルコールなど)などの溶液として用いることができる。この場合、溶液中の燃料化合物の濃度は、燃料化合物の種類によっても異なるが、例えば、1〜90質量%、好ましくは、1〜30質量%である。
また、燃料を溶液(液体燃料)として用いる場合、溶液に、添加剤を添加することができる。
添加剤としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(すなわち、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化フランシウム)、アルカリ土類金属水酸化物(すなわち、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化ラジウム)などの電解質などが挙げられる。これら添加物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
添加剤として、好ましくは、アルカリ金属水酸化物が挙げられ、さらに好ましくは、水酸化カリウムが挙げられる。
添加剤の添加量は、特に制限されないが、溶液(液体燃料)中において、例えば、0.1mol/L以上、好ましくは、0.5mol/L以上、例えば、5mol/L以下、好ましくは、3mol/L以下、さらに好ましくは、2mol/L以下である。
さらに、燃料は、上記した燃料化合物をガス(例えば、蒸気)として用いることができる。
そして、このような燃料電池1において、電解質層4としてアニオン交換膜を用い、また、酸素供給部材6の酸素側流路10に酸素(空気)を供給しつつ、燃料供給部材5の燃料側流路7に上記した燃料を供給すれば、酸素側電極3においては、次に述べるように、燃料側電極2で発生し、外部回路13を介して移動する電子(e−)と、水(H2O)と、酸素(O2)とが反応して、水酸化物イオン(OH−)を生成する。生成した水酸化物イオン(OH−)は、アニオン交換膜からなる電解質層4を、酸素側電極3から燃料側電極2へ移動する。そして、燃料側電極2においては、電解質層4を通過した水酸化物イオン(OH−)と、燃料とが反応して、電子(e−)が生成する。生成した電子(e−)は、燃料供給部材5から外部回路13を介して酸素供給部材6に移動され、酸素側電極3へ供給される。このような燃料側電極2および酸素側電極3における電気化学的反応によって、起電力が生じ、発電が行われる。
そして、このような電気化学的反応では、燃料側電極2において、燃料に水酸化物イオン(OH−)を直接反応させる(一段反応)。
例えば、燃料としてヒドラジン(NH2NH2)を用いた場合、燃料側電極2、酸素側電極3および全体として、次の反応式(1)〜(3)で表すことができる。
(1) NH2NH2+4OH−→4H2O+N2+4e− (燃料側電極)
(2) O2+2H2O+4e−→4OH− (酸素側電極)
(3) NH2NH2+O2→2H2O+N2 (全体)
そして、この燃料電池1では、上記したように、燃料側電極2にニッケルと金とが含まれており、燃料側電極2における金の含有割合が、ニッケルと金との総量に対して、25原子%以上であるため、金のマトリクス中にニッケルを分散させることができる。
(1) NH2NH2+4OH−→4H2O+N2+4e− (燃料側電極)
(2) O2+2H2O+4e−→4OH− (酸素側電極)
(3) NH2NH2+O2→2H2O+N2 (全体)
そして、この燃料電池1では、上記したように、燃料側電極2にニッケルと金とが含まれており、燃料側電極2における金の含有割合が、ニッケルと金との総量に対して、25原子%以上であるため、金のマトリクス中にニッケルを分散させることができる。
このような燃料電池1によれば、燃料側電極2においてニッケルが微粒子状に分散されるため、ニッケルが塊状で存在する場合に比べ、ニッケルの活性面積を大きくすることができ、その結果、発電効率の向上を図ることができる。
なお、この燃料電池1の運転条件は、特に限定されないが、例えば、燃料側電極2側の加圧が200kPa以下、好ましくは、100kPa以下であり、酸素側電極3側の加圧が200kPa以下、好ましくは、100kPa以下であり、燃料電池セルSの温度が0〜120℃、好ましくは、20〜80℃として設定される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜設計を変形することができる。
本発明の燃料電池の用途としては、例えば、自動車、船舶、航空機などにおける駆動用モータの電源や、携帯電話機などの通信端末における電源などが挙げられる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
実施例1
まず、金のナノ粒子(平均粒子径3.0nm)を、分散媒としてのクロロホルムに分散させた金のナノ分散液(金濃度0.027質量%)を用意した。
まず、金のナノ粒子(平均粒子径3.0nm)を、分散媒としてのクロロホルムに分散させた金のナノ分散液(金濃度0.027質量%)を用意した。
一方、硝酸ニッケル220mgとカーボン700mgとをエタノール10g中に配合し、撹拌しながら溶媒を減圧留去した。これにより、カーボンに担持されたニッケルの粉末を得た。
次いで、カーボンに担持されたニッケルの粉末920mgを、金のナノ分散液860g(金232mg相当)に加え、撹拌しながら、分散媒を減圧留去して、金属粉末を得た。
その後、得られた金属粉末を、5%H2/Ar混合気体(H2/Ar=7/93(体積比))中において、700℃で4時間焼成し、アノード触媒としてAuNi/C触媒を製造した。
得られたアノード触媒において、金(Au)とニッケル(Ni)との原子比率は、Au:Ni=50:50であった。
また、AuおよびNiのカーボンに対する担持濃度(アノード触媒の総量に対するAuNiの質量割合)は、30質量%であった。
実施例2
AuとNiとの原子比率を、Au:Ni=75:25に変更し、AuおよびNiのカーボンに対する担持濃度を30質量%とした以外は、実施例1と同じ方法で、アノード触媒を製造した。
AuとNiとの原子比率を、Au:Ni=75:25に変更し、AuおよびNiのカーボンに対する担持濃度を30質量%とした以外は、実施例1と同じ方法で、アノード触媒を製造した。
比較例1
AuとNiとの原子比率を、Au:Ni=0:100に変更し、Niのカーボンに対する担持濃度を50質量%とした以外は、実施例1と同じ方法で、アノード触媒を製造した。
AuとNiとの原子比率を、Au:Ni=0:100に変更し、Niのカーボンに対する担持濃度を50質量%とした以外は、実施例1と同じ方法で、アノード触媒を製造した。
比較例2
AuとNiとの原子比率を、Au:Ni=100:0に変更し、Auのカーボンに対する担持濃度を35質量%とした以外は、実施例1と同じ方法で、アノード触媒を製造した。
AuとNiとの原子比率を、Au:Ni=100:0に変更し、Auのカーボンに対する担持濃度を35質量%とした以外は、実施例1と同じ方法で、アノード触媒を製造した。
<<ヒドラジン酸化活性の評価>>
回転ディスク電極(Pine社、Rotating Disk Electrode:RDE)を用いて、ヒドラジン酸化の活性を測定した。
回転ディスク電極(Pine社、Rotating Disk Electrode:RDE)を用いて、ヒドラジン酸化の活性を測定した。
具体的には、各実施例および各比較例におけるアノード触媒と、アイオノマー(炭化水素系アイオノマー(電解質樹脂)(商品名:AS4)、溶媒:1−プロパノール、2質量%濃度、トクヤマ社製)を有機溶媒中に分散して調製したインクを、グラッシーカーボン上に滴下し、測定電極(担持量0.51μg/mm2)とした。
なお、インクは、アノード触媒5mg、アイオノマー(2質量%)0.15mL、有機溶媒0.85mLを混合して調製した。そして、各アノード触媒を用いて得られた測定電極を用いて、アルゴンで飽和した1mol/L水酸化カリウム+1質量%水加ヒドラジン水溶液を入れた3電極型セルを作製した。
3電極型セルにおいて、参照電極には、水銀−水銀酸化物電極(Hg/HgO)、カウンター電極には、白金線を用いた。
測定温度は、30℃で、回転数は、2400rpmとした。走査速度は、0.005V/sとし、高電位から低電位に向けて走査した。得られたヒドラジン酸化活性(質量活性(A/g))と電位との関係を示すグラフを図3に示す。
また、電位−0.6Vにおける単位質量あたりの触媒活性(A/g)と、そのAu割合およびNi割合との関係を、表1に示す。
さらに、そのアノード触媒全体(Au+Ni)の触媒活性(A/g)から、Au活性による寄与分(Au活性×Au質量割合)を除き、Ni活性による寄与分(全体の触媒活性−Au寄与分)を算出した。
そして、Ni活性による寄与分を、触媒活性中のNi割合に応じて換算し、ニッケル100%での活性として評価した。その結果を、表1に示す。
2 燃料側電極
3 酸素側電極
4 電解質層
S 燃料電池セル
3 酸素側電極
4 電解質層
S 燃料電池セル
Claims (1)
- 電解質層と、前記電解質層を挟んで対向配置され、燃料が供給される燃料側電極、および、酸素が供給される酸素側電極とを備える燃料電池において、
前記燃料は、少なくとも水素および窒素を含有する化合物を含み、
前記燃料側電極は、ニッケルと金とを含み、
前記燃料側電極における金の含有割合が、ニッケルと金との総量に対して、25原子%以上であること
を特徴とする、燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018139774A JP2020017413A (ja) | 2018-07-25 | 2018-07-25 | 燃料電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018139774A JP2020017413A (ja) | 2018-07-25 | 2018-07-25 | 燃料電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020017413A true JP2020017413A (ja) | 2020-01-30 |
Family
ID=69581572
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018139774A Pending JP2020017413A (ja) | 2018-07-25 | 2018-07-25 | 燃料電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020017413A (ja) |
-
2018
- 2018-07-25 JP JP2018139774A patent/JP2020017413A/ja active Pending
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