図1から図6を用いて、本実施の形態に係るコイルユニットについて説明する。図1から図6に示す構成のうち、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。なお、実施の形態に示す構成において、請求項に記載された構成に対応する構成には、括弧書きで請求項の構成を併記する場合がある。
図1は、非接触充電システム1を模式的に示す模式図である。非接触充電システム1は、車両2と、送電側のコイルユニット3とを備える。
車両2は、コイルユニット4と、バッテリ5とを含む。コイルユニット3およびバッテリ5は、車両2の下面に設けられている。
図2は、車両2の下面側において、コイルユニット4およびその周囲の構成を示す斜視図である。車両2は、車両2の底面に設けられたシールド板6,7と、緩衝部材8とを含む。
シールド板6はコイルユニット4の右側に設けられており、シールド板7はコイルユニット4の左側に設けられている。緩衝部材8は、コイルユニット4の前側に設けられている。
シールド板6,7は、たとえば、アルミニウムなどによって形成されており、受電時にコイルユニット4の周囲に形成される電磁界が車両2の底面に入射することを抑制する。
緩衝部材8は、コイルユニット4の前方側から異物がコイルユニット4に衝突することを抑制する部材である。
図3は、コイルユニット3,4の回路構成を模式的に示す回路図である。コイルユニット3は、送電コイル10と、共振キャパシタ11a,11bと、フィルタ12と、インバータ13とを含む。共振キャパシタ11aは、送電コイル10の一端に電気的に直列に接続されており、共振キャパシタ11bは送電コイル10の他端に電気的に直列に接続されている。送電コイル10と、共振キャパシタ11a,11bとによってLC共振回路が形成されており、このLC共振回路のQ値は、100以上である。
フィルタ12は、共振キャパシタ11a,11bに電気的に接続されており、インバータ13はフィルタ12に電気的に接続されている。なお、インバータ13は、電源9に接続されている。
コイルユニット4は、受電コイル15と、共振キャパシタ16a,16bと、フィルタ17と、整流器18とを含む。
共振キャパシタ16aは、受電コイル15の一端に電気的に接続されており、共振キャパシタ16bは受電コイル15の他端に電気的に接続されている。
フィルタ17は、共振キャパシタ16a,16bに接続されており、整流器18はフィルタ17に接続されている。なお、バッテリ5は、整流器18に接続されている。
図4は、コイルユニット4などを示す分解斜視図である。コイルユニット4は、収容ケース20と、保護シート23と、受電コイル15と、ボビン24と、フェライト25と、金属板26と、シール部材27と、共振キャパシタ16a、16bと、フィルタ17と、整流器18とを含む。
収容ケース20は、樹脂蓋21と本体22とを含む。本体22は、金属によって形成されている。樹脂蓋21が本体22に取り付けられることで、収容ケース20内に受電コイル15などを収容する収容空間が形成される。なお、本体22の詳細構成については後述する。
樹脂蓋21は、底板30と、周壁31と、枠壁32と、固定部材33とを含む。底板30は板状に形成されている。周壁31は、底板30の外周縁部に形成されており、底板30の外周縁部から上方に延びるように形成されると共に、環状に形成されている。
枠壁32は、底板30の上面に設けられている。枠壁32によって、収容ケース20内の収容空間は、コイル収容空間34および機器収容空間35に区画されている。
固定部材33は、周壁31の上面に間隔をあけて設けられており、固定部材33は、たとえば、ボルトなどである。固定部材33によって、樹脂蓋21および本体22が互いに連結されている。
なお、保護シート23と、受電コイル15と、ボビン24と、フェライト25とはコイル収容空間34内に収容されている。フィルタ17および整流器18は、機器収容空間35内に収容されている。
保護シート23は、複数設けられており、底板30の上面に配置されている。保護シート23は、絶縁材料によって形成されている。
受電コイル15は、複数の保護シート23の上面に配置されている。なお、受電コイル15は、上下方向に延びる巻回軸線O1の周囲を取り囲むように形成されている。受電コイル15は、平板コイルである。
ボビン24は、主板36および支持壁37を含み、ボビン24は絶縁材料によって形成されている。主板36は、板状に形成されており、支持壁37は主板36の上面に形成されている。主板36の下面には、コイル溝38が形成されており、このコイル溝38に受電コイル15がはめ込まれている。
フェライト25は、複数の分割フェライト板39を含む。各分割フェライト板39も巻回軸線O1の周囲を取り囲むように形成されている。
フェライト25は、ボビン24の上面に配置されており、各分割フェライト板39の周面は、支持壁37によって支持されている。
金属板26は、フェライト25の上面に設けられている。金属板26は、板状のシールド部40および板状のシールド部41を含む。シールド部40は、コイル収容空間34内に配置されており、シールド部41は機器収容空間35内に配置されている。なお、金属板26は、アルミニウムなどによって形成されている。
共振キャパシタ16a,16bは、シールド部40の上面側に配置されており、フィルタ17および整流器18は、シールド部41の上面側に配置されている。
シール部材27は、環状に形成されており、樹脂蓋21の周壁31の上面と、本体22との間に配置されている。シール部材27は、たとえば、Oリングなどであり、樹脂などによって形成されている。シール部材27は、環状に形成されている。
図5は、コイルユニット4の一部を示す断面図である。本体22は、アルミニウムなどの金属材料によって形成されている。
本体22は、天板46と、周壁47とを含む。天板46は、略板状に形成されており、略長方形形状に形成されている。周壁47は、天板46の外周縁部から下方に向かうように形成されており、周壁47は環状に形成されている。本体22の天板46の下面には、台座75および台座76が形成されている。
ボビン24はボルト77によって台座75に固定されており、金属板26はボルト78によって台座76に固定されている。
そして、受電コイル15は、ボビン24のコイル溝38に装着されており、受電コイル15は、ボビン24を通して、本体22に固定されている。
樹脂蓋21の周壁31の水平方向の厚さT2は、底板30の上下方向の厚さT1よりも厚い。さらに、周壁31は枠状に形成されている一方で、底板30は平板状に形成されている。このため、周壁31の剛性は、底板30の剛性よりも高く、コイルユニット4内の内圧が上昇した際に、底板30が下方に膨らむように弾性変形する一方で、周壁31は殆ど変形しない。
シール部材27は、本体22の周壁47の下面と、樹脂蓋21の周壁31の上面との間に挟み込まれている。
図4に戻って、本体22は、冷却フィン48と、補強部材50と、通気性防水フィルタ60とを含む。冷却フィン48は、天板46の上面に間隔をあけて複数形成されている。補強部材50も天板46の上面に形成されている。
補強部材50は、中央部材51と、梁52,53,54,55と、フランジ56,57,58,59とを含む。中央部材51は、天板46の中央に形成されており、各梁52,53,54,55は、中央部材51を中心として放射状に形成されている。
各梁52,53,54,55は、中央部材51から天板46の角部に向けて延びるように形成されており、各梁52,53,54,55は天板46の外周縁部から外方に突出するように形成されている。
補強部材50は、本体22の剛性を補強しており、本体22の剛性は補強部材50がない場合よりも高くなっている。これにより、本体22に外力が加えられたとしても、本体22が変形することが抑制されている。さらに、天板46の上面に設けられた複数の冷却フィン48によっても、本体22の剛性は高められている。
各フランジ56,57,58,59は、各梁52,53,54,55の先端部に形成されている。
シールド板6は、フランジ56およびフランジ58の上面に配置されており、フランジ56およびフランジ58は、ボルト65A,65Cおよびナット68,72によってシールド板6に固定されている。
シールド板7は、フランジ57およびフランジ59の上面に配置されており、フランジ57およびフランジ59は、ボルト65B,65Dおよびナット70,73によって、シールド板7に固定されている。
緩衝部材8は、本体22の前方側に配置されている。連結部材66,67は、平板状に形成されており、連結部材66,67は、シールド板6,7の上面から緩衝部材8の上面に亘って配置されている。
連結部材66はボルト69によって緩衝部材8に固定されており、ボルト65Aおよびナット68によってシールド板6に固定されている。連結部材67は、ボルト71によって緩衝部材8に固定されており、ボルト65Bおよびナット70によってシールド板7に固定されている。
連結部材66,67などによって、本体22と、シールド板6,7と、緩衝部材8とは一体的に連結されている。
図4において、天板46の上面には、段差62が形成されており、段差62の縦壁63には、貫通孔61が形成されている。貫通孔61は、本体22(収容ケース20)の内部と外部とを連通しており、通気性防水フィルタ60は、この貫通孔61内に配置されている。
通気性防水フィルタ60は、水や埃などの異物を透過せず、空気や水蒸気などの気体を通過する。通気性防水フィルタ60としては、ゴアテックス(登録商標)などを採用することができる。
上記のように構成された受電側のコイルユニット4が電力を受電する際には、受電コイル15、共振キャパシタ16a,16b、フィルタ17および整流器18に電流が流れる。このように、各部材や機器に電流が流れることで、各部材および機器において熱が発生し、コイルユニット4内の温度が上昇する場合がある。
コイルユニット4内の温度が上昇すると、コイルユニット4内の内圧が上昇する。コイルユニット4内の内圧が上昇し始めると、通気性防水フィルタ60を通して、コイルユニット4内の空気が外部に排気され、コイルユニット4内の内圧が上昇することが抑制される。
通気性防水フィルタ60は、コイルユニット4の外部に面しているため、通気性防水フィルタ60に埃などの異物が付着するおそれがある。通気性防水フィルタ60が異物によって目詰まりすると、コイルユニット4内の空気が外部に排気されず、コイルユニット4内の温度が上昇した際にコイルユニット4の内圧が上昇する。コイルユニット4の内圧が上昇すると、図6に示すように、底板30が膨らむように弾性変形する。
底板30が膨らむように弾性変形することで、コイルユニット4内の内圧の上昇を抑制することができる。なお、コイルユニット4の内圧が常圧に戻ると、底板30は図5に示すように平坦面状に戻る。
仮に、底板30が変形し難い構成である場合には、コイルユニット4内の内圧が上昇し、コイルユニット4内の内圧と、コイルユニット4の外部の外圧との圧力差がシール部材27に加えられる。そして、圧力差が大きくなると、シール部材27の一部が破断するなどの弊害が生じる。
本実施の形態に係るコイルユニット4は、樹脂蓋21の底板30が膨らむように変形することで、コイルユニット4の内圧および外圧の差圧が大きくなることを抑制することができ、シール部材27が破損することを抑制することができる。
さらに、コイルユニット4においては、補強部材50によって本体22の剛性が高くなっているため、コイルユニット4内の内圧が上昇しても、本体22が変形することを抑制することができる。
このため、コイルユニット4内の内圧が上昇した際に、本体22およびシール部材27の間に隙間が生じることを抑制することができる。これにより、コイルユニット4の外部から異物がコイルユニット4内に入り込むことを抑制することができる。
同様に、樹脂蓋21の周壁31は、コイルユニット4内の内圧が上昇しても殆ど変形しないため、コイルユニット4内の内圧が上昇しても、樹脂蓋21およびシール部材27に間に隙間が形成されることを抑制することができる。これにより、シール部材27および樹脂蓋21の間から外部の異物がコイルユニット4内に入り込むことを抑制することができる。
そして、底板30が下方に膨らむように変形したとしても、受電コイル15やボビン24は、底板30に固定されていないため、受電コイル15およびボビン24は変形しない。仮に、受電コイル15の形状が変形すると、受電コイル15のインダクタンスが変動する。コイルユニット4内の内圧が上昇するタイミングとしては、コイルユニット4が電力を受電している場合が多く、受電中に上記の受電コイル15のインダクタンスが変動すると、受電効率が低下しやすい。
その一方で、本実施の形態に係るコイルユニット4においては、コイルユニット4内の内圧が上昇しても、受電コイル15の変形が抑制されており、受電効率の低下が抑制されている。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。