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JP2020093350A - 歯切り工具、歯車加工装置及び歯車加工方法 - Google Patents

歯切り工具、歯車加工装置及び歯車加工方法 Download PDF

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JP2020093350A
JP2020093350A JP2018233538A JP2018233538A JP2020093350A JP 2020093350 A JP2020093350 A JP 2020093350A JP 2018233538 A JP2018233538 A JP 2018233538A JP 2018233538 A JP2018233538 A JP 2018233538A JP 2020093350 A JP2020093350 A JP 2020093350A
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拓也 中山
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Abstract

【課題】低コストなスカイビング加工用の歯切り工具、当該歯切り工具を用いる歯車加工装置及び歯車加工方法を提供する。【解決手段】歯切り工具1A,1B,1Cは、リング状の工具本体2A,2B,2Cと、工具本体2A,2B,2Cの内周側に刃先が向くように周方向に取り付けられる交換可能な複数の工具刃3A,3B,3Cと、を備え、スカイビング加工により工作物Wを加工して歯車の歯を創成する。歯切り工具1A,1B,1Cは、内歯車型工具であるため、外歯車型工具による外歯歯車の加工精度及び当該加工時の寿命よりも有利となり、低コスト化が図れる。さらに、工具刃交換式工具であるため、ソリッド(無垢)の歯切り工具で必要な工具交換によるコストの代わりに工具刃交換のみのコストに抑制できる。【選択図】図1A

Description

本発明は、歯切り工具、歯車加工装置及び歯車加工方法に関するものである。
近年、コストの面から高速加工可能な歯車加工が望まれており、特許文献1に記載のようなスカイビング加工が知られている。スカイビング加工とは、歯切り工具の中心軸線と工作物の中心軸線とを傾斜させた状態(歯車加工における交差角を有する状態)とする。そして、歯切り工具及び工作物をそれぞれの中心軸線周りに同期回転させながら、歯切り工具を工作物の中心軸線方向に相対移動する加工である。
スカイビング加工用の歯切り工具は、外歯歯車及び内歯歯車の創成が可能な外歯車型の歯切り工具(以下、外歯車型工具という)が一般的である。しかし、外歯車型工具は、一般的にソリッド(無垢)の高速度工具鋼で成るため、非常にコスト高となる。そこで、特許文献2,3には、工具刃のみの交換が可能な外歯車型工具が記載されている。これによれば、工具交換によるコストの代わりに工具刃交換のみのコストに抑制できる。
特開2012−171020号公報 特開2015−44282号公報 特開2016−16514号公報
一般的に外歯車型工具では、外歯歯車の加工時の噛み合い長さは、内歯歯車の加工時の噛み合い長さよりも短くなる。このため、外歯車型工具では、外歯歯車の加工時の外歯車型工具の工具刃の摩耗量は、内歯歯車の加工時の外歯車型工具の工具刃の摩耗量よりも多くなる。よって、外歯車型工具では、外歯歯車の加工精度及び当該加工時の寿命は、内歯歯車の加工精度及び当該加工時の寿命よりも不利になり、工具刃交換の頻度が高まり、コスト高になる傾向にある。
本発明の目的は、低コストなスカイビング加工用の歯切り工具、当該歯切り工具を用いる歯車加工装置及び歯車加工方法を提供することである。
本発明に係る歯切り工具は、リング状の工具本体と、前記工具本体の内周側に刃先が向くように周方向に取り付けられる交換可能な複数の工具刃と、を備え、スカイビング加工により工作物を加工して歯車の歯を創成する。スカイビング加工用の歯切り工具は、内歯車型工具であるため、外歯歯車の加工時の噛み合い長さは、外歯車型工具による内歯歯車の加工時の噛み合い長さと同等にできる。このため、外歯歯車の加工時の内歯車型工具の工具刃の摩耗量は、外歯歯車の加工時の外歯車型工具の工具刃の摩耗量よりも小さくなる。よって、内歯車型工具による外歯歯車の加工精度及び当該加工時の寿命は、外歯車型工具による外歯歯車の加工精度及び当該加工時の寿命よりも有利となり、工具刃交換の頻度を抑制して低コスト化が図れる。さらに、工具刃交換式工具であるため、ソリッド(無垢)の歯切り工具で必要な工具交換によるコストの代わりに工具刃交換のみのコストに抑制できる。
本発明に係る工作物に歯車の歯を創成する歯車加工装置は、リング状の工具本体と、前記工具本体の内周側に刃先が向くように周方向に取り付けられる交換可能な複数の工具刃と、を有する荒加工用の荒工具と、リング状の工具本体の内周側に刃先が向くように周方向に設けられる複数の工具刃を有する仕上げ加工用の仕上げ工具と、前記荒工具及び前記仕上げ工具をそれぞれ支持して回転可能な工具主軸と、前記工作物を支持して回転可能であり、前記工具主軸と相対移動可能な工作物主軸と、前記荒工具及び前記仕上げ工具を収容可能な工具マガジンと、前記荒工具と前記仕上げ工具とを前記工具主軸に対し交換する工具交換装置と、前記荒工具を前記荒工具の中心軸線周りに回転させると共に、前記工作物を前記工作物の中心軸線周りに回転させ、前記荒工具を前記工作物の中心軸線方向に相対的に移動させ、前記工作物を荒加工する制御を行う荒加工制御部と、前記仕上げ工具を前記仕上げ工具の中心軸線周りに回転させると共に、前記工作物を前記工作物の中心軸線周りに回転させ、前記仕上げ工具を前記工作物の中心軸線方向に相対的に移動させ、前記工作物を仕上げ加工して前記歯車の歯を創成する制御を行う仕上げ加工制御部と、を備える。
本発明に係る工作物に歯車の歯を創成する歯車加工方法は、リング状の工具本体と、前記工具本体の内周側に刃先が向くように周方向に取り付けられる交換可能な複数の工具刃と、を有する荒加工用の荒工具を前記荒工具の中心軸線周りに回転させると共に、前記工作物を前記工作物の中心軸線周りに回転させ、前記荒工具を前記工作物の中心軸線方向に相対的に移動させ、前記工作物を荒加工する荒加工工程と、リング状の工具本体の内周側に刃先が向くように周方向に設けられる複数の工具刃を有する仕上げ加工用の仕上げ工具を前記荒工具と交換し、前記仕上げ工具を前記仕上げ工具の中心軸線周りに回転させると共に、前記工作物を前記工作物の中心軸線周りに回転させ、前記仕上げ工具を前記工作物の中心軸線方向に相対的に移動させ、前記工作物を仕上げ加工して前記歯車の歯を創成する仕上げ加工工程と、を備える。
本発明に係る歯車加工装置及び歯車加工方法によれば、上述の歯切り工具を用いているので、加工コストを低減できる。
本発明の実施形態の歯切り工具を中心軸線方向に見た図である。 図1Aの歯切り工具をIB方向から見た図である。 歯切り工具である第一荒工具の第一荒工具刃の斜視図である。 図2Aの第一荒工具刃をIIB方向から見た図である。 図2Aの第一荒工具刃をIIC方向から見た図である。 歯切り工具である第二荒工具の第二荒工具刃の斜視図である。 図3Aの第二荒工具刃をIIIB方向から見た図である。 図3Aの第二荒工具刃をIIIC方向から見た図である。 歯切り工具である第一仕上げ工具の第一仕上げ工具刃の斜視図である。 図4Aの第一仕上げ工具刃をIVB方向から見た図である。 図4Aの第一仕上げ工具刃をIVC方向から見た図である。 歯切り工具である第二仕上げ工具の斜視図である。 本発明の実施形態の歯車加工装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態の歯車加工方法を説明するためのフローチャートである。 歯切り工具で工作物を加工するときに必要な交差角を付ける前の配置状態を歯切り工具の径方向に見た図である。 図8Aを歯切り工具の中心軸線方向に見た図である。 歯切り工具で工作物を加工するときに必要な交差角を付けた後の配置状態を歯切り工具の径方向に見た図である。 図9Aを工作物の中心軸線方向に見た図である。 歯切り工具刃に逃げ角がない場合、歯切り工具で工作物を加工するときに必要なオフセット角を付けた後の配置状態を歯切り工具の径方向に見た図である。 図10Aを工作物の中心軸線方向に見た図である。
(1.歯切り工具の形状)
本発明の実施形態の歯切り工具は、スカイビング加工により工作物を加工して平歯車やはすば歯車等の歯を創成する工具刃交換式の内歯車型工具である。ここで、背景技術で説明したように、従来のスカイビング加工用の交換式の工具刃は、周知の一般的ないわゆる汎用インサートではなく、特別に製造したいわゆる専用インサートである。この専用インサートは、例えば、創成する歯車の歯の歯面の仕上げ形状がインボリュート形状である場合、専用インサートの刃面の形状もインボリュート形状に形成する必要があり、非常に高価である。
一方、汎用インサートは、旋盤において工作物を旋削するバイトに使用される交換式の旋削用工具刃(旋削用インサート)である。この汎用インサートは、刃面の形状は三角形状であり、安価であるがインボリュート形状の歯面を形成できない。そこで、本実施形態の歯切り工具によるスカイビング加工では、汎用インサートを用いて歯車の歯の荒加工を行い、その後に専用インサートを用いて歯車の歯の仕上げ加工を行って最終的なインボリュート形状の歯面を形成する。これにより、高価な専用インサートの加工頻度を低減でき、加工コストの低減が図れる。
以下、図を参照して本実施形態の歯切り工具の形状について説明する。なお、詳細は後述するが、本実施形態の歯切り工具は、基本的な形状は同じで3つの種類(荒加工用の第一荒工具、荒加工用の第二荒工具、仕上げ加工用の第一仕上げ工具)がある。このため、図1A及び図1BにおけるA,B,Cの符号は、第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1Cをそれぞれ示すものとする。
図1A及び図1Bに示すように、歯切り工具1A(1B,1C)は、リング状の工具本体2A(2B,2C)及び工具本体2A(2B,2C)の内周側に一端部側の刃先3Aa(3Ba,3Ca)が向くようにして周方向に取り付けられる交換可能な複数(本例では、12個)の工具刃3A(3B,3C)を備える。歯切り工具1A(1B,1C)の工具本体2A(2B,2C)の一端面には、四角柱状(菱形の柱状)の工具刃3A(3B,3C)が嵌め込まれる三角柱状の溝2aが等角度(本例では、30度)間隔で形成される。
溝2aは、工具刃3A(3B,3C)の他端部側の刃先3Aa(3Ba,3Ca)を密着させて嵌め込んだとき、工具刃3A(3B,3C)の一方の刃先3Aa(3Ba,3Ca)が工具本体2の内周側に突出し、且つ工具刃3A(3B,3C)が高精度に位置決めされるように形成される。工具刃3A(3B,3C)は、溝2aに嵌め込まれた状態でボルト穴3Ae(3Be,3Ce)に挿入されるボルト4により締結固定される。
第一荒工具1Aは、第一荒工具本体2A及び第一荒工具刃3Aを備える。第二荒工具1Bは、第二荒工具本体2B及び第二荒工具刃3Bを備える。第一仕上げ工具1Cは、第一仕上げ工具本体2C及び第一仕上げ工具刃3Cを備える。第一荒工具刃3A及び第二荒工具刃3Bは、荒加工用の工具刃であり、汎用インサートである。第一仕上げ工具刃3Cは、仕上げ加工用の工具刃であり、専用インサートである。
第一荒工具刃3Aは、工作物に創成する歯の歯面の形状に基づかない形状で、且つ、逃げ角を有しない形状に形成される。つまり、創成する歯車の歯の歯面の仕上げ形状がインボリュート形状である場合、歯の歯面の形状に基づかない形状とは、スカイビング加工によってインボリュート形状を加工できない形状である。具体的には、図2A、図2B及び図2Cに示すように、第一荒工具刃3Aは、四角形の柱状(菱形の柱状)に形成され、鋭角(例えば、30度)の両端部が刃先3Aaとしてそれぞれ形成される。そして、各刃先3Aaには、前逃げ角及び側逃げ角が形成されていない。
すなわち、刃先3Aaの上側のすくい面3Abに対し刃先3Aaの両側の逃げ面3Acの稜線3Adは直角(すくい面3Abの垂直面に対する稜線3Adの成す角(前逃げ角)は零度)であり、すくい面3Abに対し両側の逃げ面3Acは直角(すくい面3Abの垂直面に対する両側の逃げ面3Acの成す角(側逃げ角)は零度)である。そして、第一荒工具刃3Aのすくい面3Abの中央には、第一荒工具本体2Aに取り付けるための貫通するボルト穴3Aeが穿孔される。
第二荒工具刃3Bは、工作物に創成する歯の歯面の形状に基づかない形状で、且つ、逃げ角を有する形状に形成される。具体的には、図3A、図3B及び図3Cに示すように、第二荒工具刃3Bは、四角形の柱状(菱形の柱状)に形成され、鋭角(例えば、30度)の両端部(鋭角部位)が刃先3Baとしてそれぞれ形成される。そして、各刃先3Baには、前逃げ角及び側逃げ角が形成される。
すなわち、刃先3Baの上側のすくい面3Bbの垂直面に対する刃先3Baの両側の逃げ面3Bcの稜線3Bdの成す角(前逃げ角)はαa度であり、すくい面3Bbの垂直面に対する両側の逃げ面3Bcの成す角(側逃げ角)はβa度である。そして、第二荒工具刃3Bのすくい面3Bbの中央には、第二荒工具本体2Bに取り付けるための貫通するボルト穴3Beが穿孔される。
第一仕上げ工具刃3Cは、工作物に創成する歯の歯面の形状に基づく形状で、且つ、逃げ角を有する形状に形成される。つまり、創成する歯車の歯の歯面の仕上げ形状がインボリュート形状である場合、歯の歯面の形状に基づく形状とは、スカイビング加工によってインボリュート形状を加工できる形状である。具体的には、図4A、図4B及び図4Cに示すように、第一仕上げ工具刃3Cは、工作物に創成する歯の歯面の形状が、例えばインボリュート形状であれば、同様のインボリュート形状に形成され、鋭角の両端部が刃先3Caとしてそれぞれ形成される。そして、前逃げ角αb及び側逃げ角βbが形成される点、及び第一仕上げ工具刃3Cのすくい面3Cbの中央に、第一仕上げ工具本体2Cに取り付けるための貫通するボルト穴3Ceが穿孔される点は、第二荒工具刃3Bと略同様である。
また、歯切り工具としては、上述の工具刃交換式の内歯車型工具(第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C)の他に、図5に示すように、無垢の内歯車型の仕上げ加工用の第二仕上げ工具1Dも使用可能である。この第二仕上げ工具1Dは、リング状の第二仕上げ工具本体2Dの内周側に刃先3Daが向くように第二仕上げ工具本体2Dに一体的に形成される複数の第二仕上げ工具刃3Dを有する。第二仕上げ工具刃3Dは、第一仕上げ工具刃3Cと同様に、工作物に創成する歯の歯面の形状に基づく形状で、且つ、逃げ角を有する形状に形成される。
以上のように、第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C及び第二仕上げ工具1Dは、内歯車型工具であるため、外歯歯車の加工時の噛み合い長さは、外歯車型工具による内歯歯車の加工時の噛み合い長さと同等にできる。このため、外歯歯車の加工時の内歯車型工具(第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C及び第二仕上げ工具1D)の工具刃の摩耗量は、外歯歯車の加工時の外歯車型工具の工具刃の摩耗量よりも小さくなる。よって、内歯車型工具(第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C及び第二仕上げ工具1D)による外歯歯車の加工精度及び当該加工時の寿命は、外歯車型工具による外歯歯車の加工精度及び当該加工時の寿命よりも有利となり、工具刃交換の頻度を抑制して低コスト化が図れる。
また、第一荒工具1A、第二荒工具1B及び第一仕上げ工具1Cは、工具刃交換式の加工工具であるため、ソリッド(無垢)の高速度工具鋼で成る歯切り工具で必要な工具交換によるコストの代わりに工具刃交換のみのコストに抑制できる。また、第一荒工具1A及び第二荒工具1Bは、汎用の工具刃(第一荒工具刃3A及び第二荒工具刃3B)を使用するため、第一仕上げ工具1Cの専用の工具刃(第一仕上げ工具刃3C)と比較して低コストであり、加工コストの低減を図れる。
また、第一荒工具刃3Aは、四角形の柱状(菱形の柱状)に形成され、鋭角の両端部が刃先3Aaとしてそれぞれ形成され、各刃先3Aaの両側に逃げ面3Acが形成されている。これにより、第一荒工具刃3Aは、両端の刃先3Aaにそれぞれ形成される両側の切れ刃(計4箇所)を加工部位として使用できる。よって、背景技術で説明した従来のスカイビング加工用の交換式の工具刃のように、2箇所を加工部位として使用するものと比較して、工具刃交換の頻度を低減して加工コストの低減を図れる。このことは、第二荒工具1B及び第一仕上げ工具1Cも同様である。
なお、第一荒工具刃3Aは、四角形の柱状(菱形の柱状)のもので4箇所を加工部位として使用する場合を説明したが、正三角形の柱状のもので6箇所を加工部位として使用するようにしてもよい。これにより、さらに工具刃交換の頻度を低減して加工コストの低減を図れる。このことは、第二荒工具1B及び第一仕上げ工具1Cも同様である。
また、第一荒工具1A及び第二荒工具1Bは、高精度な加工が不要な荒加工のみに使用するので、第一荒工具刃3A及び第二荒工具刃3Bの交換の際の取付精度を高精度にする必要はなく、交換作業時間の短縮化を図れる。一方、第一仕上げ工具1C及び第二仕上げ工具1Dは、高精度な加工が必要な仕上げ加工のみに使用するので、歯車の歯の創成時の加工パス数を減少させて加工負荷を低減できる。よって、第一仕上げ工具刃3C及び第二仕上げ工具刃3Dの摩耗量を低減し、工具交換の頻度を低減して加工コストの低減を図れる。
(2.歯車加工装置の構成)
本発明の実施形態の歯車加工装置の構成について図6を参照して説明する。図6に示すように、歯車加工装置10は、例えば、直交3軸(X軸線,Y軸線,Z軸線)方向の移動並びにC軸線(工作物Wの中心軸線Cw)回りの回転及びA軸線回りの揺動が可能な5軸マシニングセンタである。歯車加工装置10は、第一荒工具1A又は第二荒工具1Bと、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dと、第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dを支持して回転可能な工具主軸11と、工作物Wを支持して回転可能であり、工具主軸11と相対移動可能な工作物主軸12と、第一荒工具1A又は第二荒工具1B、及び、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dを収容可能な工具マガジン13と、第一荒工具1A又は第二荒工具1Bと第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dとを工具主軸11に対し交換する工具交換装置14及び歯車の歯の創成の動作制御を行う制御装置20等を備える。
工具主軸11は、図示しないベッド上においてチャック11aを介して第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dを歯切り工具1の中心軸線Ctの周りに回転可能に支持する。さらに、工具主軸11は、ベッド上においてX軸線方向及びY軸線方向へ移動可能である。従って、第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dは、第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dの中心軸線Ctの周りに回転可能となり、ベッドに対してX軸線方向及びY軸線方向へ移動可能となる。
工作物主軸12は、ベッド上においてチャック12aを介して工作物WをC軸線回り、すなわち工作物Wの中心軸線Cwの周りに回転可能に支持する。さらに、工作物主軸12は、ベッド上においてチルトテーブル12bにA軸線回りに揺動可能(チルト(傾斜)可能)に支持される。そして、チルトテーブル12bに支持される工作物主軸12は、ベッド上においてZ軸線方向へ移動可能である。従って、工作物Wは、工作物Wの中心軸線Cwの周りに回転可能となり、ベッドに対してA軸線回りに揺動可能且つZ軸線方向へ移動可能となる。
なお、工具マガジン13には、荒加工用として第一荒工具1A及び第二荒工具1Bの一方と、仕上げ加工用として第一仕上げ工具1C及び第二仕上げ工具1Dの一方を収容するようにしたが、第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C及び第二仕上げ工具1Dの全ての工具を収容するようにしてもよい。
制御装置20は、第一荒工具1A又は第二荒工具1Bで工作物Wを荒加工する制御を行う荒加工制御部21及び第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dで工作物Wを仕上げ加工する制御を行う仕上げ加工制御部22を備える。制御装置20は、工具主軸11の移動用の図略のボールねじ機構及び駆動モータを駆動制御して、工具主軸11に支持される第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1DをX軸線方向、Y軸線方向へそれぞれ移動させ、また、工作物主軸12の移動用の図略のボールねじ機構及び駆動モータを駆動制御して、工作物主軸12に支持される工作物WをZ軸線方向へ移動させる。
そして、図8A及び図8Bに示すように、制御装置20は、工具主軸11に支持される第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dの中心軸線Ctと工作物主軸12に支持される工作物Wの中心軸線Cwとを平行な状態(基準状態)にし、両中心軸線Ct,Cwを通る平面を基準平面BPとして定義する。
さらに、制御装置20は、チルトテーブル12b用の駆動モータを駆動制御して、チルトテーブル12bに支持される工作物WをA軸線回りに揺動させる。そして、図9A及び図9Bに示すように、制御装置20は、基準平面BPから垂直な方向に向かって工具主軸11に支持される第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dの中心軸線Ctを交差角θだけ傾斜させる。この交差角θは、工作物Wに創成する歯車の歯のねじれ角及び第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dのねじれ角に基づいて調整される。
また、工具主軸11に第一荒工具1Aが支持されている場合は、図10A及び図10Bに示すように、制御装置20は、第一荒工具1Aと工作物Wの加工点Pcを、基準平面BP上の基準位置から工作物Wの周方向にオフセット角φだけずらした位置(オフセット位置)にする。この第一荒工具1Aのオフセット位置への位置決めは、第一荒工具1Aの第一荒工具刃3Aのように逃げ角が形成されていない場合に、逃げ角を確保するために行う一般的な制御である。なお、逃げ角を有する第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dであっても、さらに所定の逃げ角が必要な場合は、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dを所定のオフセット角のオフセット位置へ位置決めする。
そして、制御装置20は、工具主軸11の回転用の駆動モータを駆動制御して、工具主軸11に支持される第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dを中心軸線Ct回りに回転させる。また、工作物主軸12の回転用の駆動モータを駆動制御して、工作物主軸12に支持される工作物Wを中心軸線Cw回りに回転させる。そして、工具主軸11及び工作物主軸12の各移動用のボールねじ機構及び駆動モータを駆動制御して、工具主軸11に支持される第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C又は第二仕上げ工具1Dを、工作物主軸12に支持される工作物Wの中心軸線Cw方向に移動させ、工作物Wを荒加工又は仕上げ加工する制御を行う。
(3.歯車加工装置の制御装置の動作)
次に、歯車加工装置10の制御装置20の動作(歯車加工方法)について図7を参照しながら説明する。なお、工具主軸11には、第一荒工具1Aが装着されているものとする。また、工具マガジン13には、第一仕上げ工具1Cが収容されているものとする。また、工作物主軸12には、大径の円筒部材及びこの円筒部材と同心で一体化された小径の円筒部材でなる工作物Wが支持されているものとする。そして、歯車加工装置10は、第一荒工具1A及び第一仕上げ工具1Cで、工作物Wの大径の円筒部材の外周に歯車の歯を加工するものとする。なお、第一荒工具1Aの代わりに第二荒工具1Bを使用する場合や、第一仕上げ工具1Cの代わりに第二仕上げ工具1Dを使用する場合も図7に示す処理を行う。
図8A及び図8Bに示すように、制御装置20は、第一荒工具1A及び工作物Wを基準状態にする(図7のステップS1、荒加工工程)。そして、図9A及び図9Bに示すように、第一荒工具1Aを工作物Wに対し交差角θを有する状態にする(図7のステップS2、荒加工工程)。
ここで、制御装置20は、第一荒工具1Aと工作物Wの加工点Pcをオフセット位置に配置変更する必要があるか否かを判断し(図7のステップS3)、オフセット位置への配置変更が不要である場合はステップS5に進む。本例では、第一荒工具1Aの第一荒工具刃3Aには逃げ角が形成されておらず、オフセット位置への配置変更が必要であるため、図10A及び図10Bに示すように、交差角θを保持した状態で、第一荒工具1Aと工作物Wの加工点Pcをオフセット位置に配置変更する(図7のステップS4、荒加工工程)。
そして、制御装置20は、第一荒工具1Aと工作物Wとを同期回転させながら第一荒工具1Aを工作物Wの中心軸線Cw方向に送り操作(移動操作)し、工作物Wの大径の円筒部材の外周を荒加工する(図7のステップS5、荒加工工程)。そして、工作物Wの大径の円筒部材の外周の荒加工が完了したか否かを判断し(図7のステップS6)、工作物Wの大径の円筒部材の外周の荒加工が完了していない場合は、ステップS5に戻って上述の操作を繰り返す。
一方、ステップS6において、制御装置20は、工作物Wの大径の円筒部材の外周の荒加工が完了した場合は、工具交換装置14で第一荒工具1Aを第一仕上げ工具1Cに交換する(図7のステップS7、仕上げ加工工程)。そして、図8A及び図8Bに示すように、制御装置20は、第一仕上げ工具1C及び工作物Wを基準状態にする(図7のステップS8、仕上げ加工工程)。そして、図9A及び図9Bに示すように、第一仕上げ工具1Cを工作物Wに対し交差角θを有する状態にする(図7のステップS9、仕上げ加工工程)。
ここで、制御装置20は、第一仕上げ工具1Cと工作物Wの加工点Pcをオフセット位置に配置変更する必要があるか否かを判断する(図7のステップS10)。そして、オフセット位置への配置変更が必要である場合はオフセット位置に配置変更するが(図7のステップS11)、本例では、第一仕上げ工具1Cの第一仕上げ工具刃3Cには逃げ角が形成されているため、オフセット位置への配置変更が不要でありステップS12に進む。
そして、制御装置20は、第一仕上げ工具1Cと工作物Wとを同期回転させながら第一仕上げ工具1Cを工作物Wの中心軸線Cw方向に送り操作(移動操作)し、工作物Wの大径の円筒部材の外周に形成された歯を仕上げ加工する(図7のステップS12、仕上げ加工工程)。そして、工作物Wの大径の円筒部材の外周に形成された歯の仕上げ加工が完了したか否かを判断し(図7のステップS13)、工作物Wの大径の円筒部材の外周に形成された歯の仕上げ加工が完了していない場合は、ステップS12に戻って上述の処理を繰り返す。一方、ステップS14において、仕上げ加工制御部22は、工作物Wの大径の円筒部材の外周に形成された歯の仕上げ加工が完了した場合は、全ての処理を終了する。
(4.その他)
上述した実施形態では、第一荒工具1A、第二荒工具1B、第一仕上げ工具1C、第一仕上げ工具1Dは、歯車の歯を加工する工具として説明したが、スプライン、シンクロメッシュ機構の歯、歯車の歯の先端の面取り、歯抜けの歯車の抜け歯等を加工する工具としても適用可能である。
また、工具主軸11が、工作物主軸12に対しX軸線方向及びY軸線方向へ移動可能に構成し、工作物主軸12が、工具主軸11に対しZ軸線方向へ移動可能に構成した。しかし、工具主軸11と工作物主軸12とは、相対移動可能な構成としてもよい。工作物主軸12が、工具主軸11に対しA軸線回りに揺動可能(チルト(傾斜)可能)な構成としたが、工具主軸11が、工作物主軸12に対し揺動可能(チルト(傾斜)可能)な構成としてもよい。
1A:第一荒工具、 1B:第二荒工具、 1C:第一仕上げ工具、 1D:第二仕上げ工具、 2A:第一荒工具本体、 2B:第二荒工具本体、 2C:第一仕上げ工具本体、 2D:第二仕上げ工具本体、 3A:第一荒工具刃、 3B:第二荒工具刃、 3C:第一仕上げ工具刃、 3D:第二仕上げ工具刃、 10:歯車加工装置、 11:工具主軸、 12:工作物主軸、 20:制御装置、 21:荒加工制御部、 22:仕上げ加工制御部、 W:工作物、 θ:交差角、 φ:オフセット角、 Pc:加工点

Claims (14)

  1. リング状の工具本体と、
    前記工具本体の内周側に刃先が向くように周方向に取り付けられる交換可能な複数の工具刃と、
    を備え、
    スカイビング加工により工作物を加工して歯車の歯を創成する、歯切り工具。
  2. 前記工具刃は、荒加工用であって、前記歯の歯面の仕上げ形状に基づかない形状で、且つ、逃げ角を有しない形状に形成され、
    前記歯切り工具は、前記工作物に対して交差角を有し、且つ、前記工作物の周方向にオフセットした位置を加工点とする歯車加工方法に適用される工具である、請求項1に記載の歯切り工具。
  3. 前記工具刃は、荒加工用であって、前記歯の歯面の仕上げ形状に基づかない形状で、且つ、逃げ角を有する形状に形成され、
    前記歯切り工具は、前記工作物に対して交差角を有し、且つ、前記工作物の周方向にオフセットしていない基準位置又はオフセットした位置を加工点とする歯車加工方法に適用される工具である、請求項1に記載の歯切り工具。
  4. 前記工具刃は、仕上げ加工用に適用可能であり、前記歯の歯面の仕上げ形状に基づく形状に形成され、且つ、逃げ角を有する形状に形成され、
    前記歯切り工具は、前記工作物に対して交差角を有し、且つ、前記工作物の周方向にオフセットしていない基準位置又はオフセットした位置を加工点とする歯車加工方法に適用される工具である、請求項1に記載の歯切り工具。
  5. 前記歯の歯面の仕上げ形状は、インボリュート形状であり、
    前記歯切り工具において前記歯の歯面の仕上げ形状に基づかない形状は、スカイビング加工によってインボリュート形状を加工できない形状である、請求項2又は3に記載の歯切り工具。
  6. 前記歯の歯面の仕上げ形状は、インボリュート形状であり、
    前記歯切り工具において前記歯の歯面の仕上げ形状に基づく形状は、スカイビング加工によってインボリュート形状を加工できる形状である、請求項4に記載の歯切り工具。
  7. 前記工具刃は、前記荒加工用として、旋削用工具刃(旋削用インサート)を適用する、請求項2又は3に記載の歯切り工具。
  8. 前記工具刃は、前記荒加工用として、菱形又は正三角形に形成され、複数の鋭角部位を加工部位として適用可能である、請求項7に記載の歯切り工具。
  9. 工作物に歯車の歯を創成する歯車加工装置であって、
    リング状の工具本体と、前記工具本体の内周側に刃先が向くように周方向に取り付けられる交換可能な複数の工具刃と、を有する荒加工用の荒工具と、
    リング状の工具本体の内周側に刃先が向くように周方向に設けられる複数の工具刃を有する仕上げ加工用の仕上げ工具と、
    前記荒工具及び前記仕上げ工具をそれぞれ支持して回転可能な工具主軸と、
    前記工作物を支持して回転可能であり、前記工具主軸と相対移動可能な工作物主軸と、
    前記荒工具及び前記仕上げ工具を収容可能な工具マガジンと、
    前記荒工具と前記仕上げ工具とを前記工具主軸に対し交換する工具交換装置と、
    前記荒工具を前記荒工具の中心軸線周りに回転させると共に、前記工作物を前記工作物の中心軸線周りに回転させ、前記荒工具を前記工作物の中心軸線方向に相対的に移動させ、前記工作物を荒加工する制御を行う荒加工制御部と、
    前記仕上げ工具を前記仕上げ工具の中心軸線周りに回転させると共に、前記工作物を前記工作物の中心軸線周りに回転させ、前記仕上げ工具を前記工作物の中心軸線方向に相対的に移動させ、前記工作物を仕上げ加工して前記歯車の歯を創成する制御を行う仕上げ加工制御部と、
    を備える、歯車加工装置。
  10. 前記荒工具の工具刃は、前記歯の歯面の仕上げ形状に基づかない形状で、且つ、逃げ角を有しない形状に形成され、
    前記荒加工制御部は、前記工作物に対して交差角を有し、且つ、前記工作物の周方向にオフセットした位置を加工点として、前記荒工具で前記工作物を荒加工する制御を行う、請求項9に記載の歯車加工装置。
  11. 前記荒工具の工具刃は、前記歯の歯面の仕上げ形状に基づかない形状で、且つ、逃げ角を有する形状に形成され、
    前記荒加工制御部は、前記工作物に対して交差角を有し、且つ、前記工作物の周方向にオフセットしていない基準位置又はオフセットした位置を加工点として、前記荒工具で前記工作物を荒加工する制御を行う、請求項9に記載の歯車加工装置。
  12. 前記仕上げ工具の工具刃は、交換可能であって、前記歯の歯面の仕上げ形状に基づく形状に形成され、且つ、逃げ角を有する形状に形成され、
    前記仕上げ加工制御部は、前記工作物に対して交差角を有し、且つ、前記工作物の周方向にオフセットしていない基準位置又はオフセットした位置を加工点として、前記仕上げ工具で前記工作物を仕上げ加工する制御を行う、請求項9−11の何れか一項に記載の歯車加工装置。
  13. 前記仕上げ工具の工具刃は、前記工具本体に一体的であって、前記歯の歯面の形状に基づく形状に形成され、且つ、逃げ角を有する形状に形成され、
    前記仕上げ加工制御部は、前記工作物に対して交差角を有し、且つ、前記工作物の周方向にオフセットしていない基準位置又はオフセットした位置を加工点として、前記仕上げ工具で前記工作物を仕上げ加工する制御を行う、請求項9−11の何れか一項に記載の歯車加工装置。
  14. 工作物に歯車の歯を創成する歯車加工方法であって、
    リング状の工具本体と、前記工具本体の内周側に刃先が向くように周方向に取り付けられる交換可能な複数の工具刃と、を有する荒加工用の荒工具を前記荒工具の中心軸線周りに回転させると共に、前記工作物を前記工作物の中心軸線周りに回転させ、前記荒工具を前記工作物の中心軸線方向に相対的に移動させ、前記工作物を荒加工する荒加工工程と、
    リング状の工具本体の内周側に刃先が向くように周方向に設けられる複数の工具刃を有する仕上げ加工用の仕上げ工具を前記荒工具と交換し、前記仕上げ工具を前記仕上げ工具の中心軸線周りに回転させると共に、前記工作物を前記工作物の中心軸線周りに回転させ、前記仕上げ工具を前記工作物の中心軸線方向に相対的に移動させ、前記工作物を仕上げ加工して前記歯車の歯を創成する仕上げ加工工程と、
    を備える、歯車加工方法。
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